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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】収納式観覧席
(51)【国際特許分類】
   E04H 3/12 20060101AFI20220614BHJP
   A47C 7/56 20060101ALI20220614BHJP
   A47C 1/121 20060101ALI20220614BHJP
   A47C 1/126 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E04H3/12 B
A47C7/56
A47C1/121
A47C1/126
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018187502
(22)【出願日】2018-10-02
(65)【公開番号】P2020056225
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】510274430
【氏名又は名称】コトブキシーティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 宗一
【審査官】後藤 夕希奈
(56)【参考文献】
【文献】特許第4914903(JP,B2)
【文献】特開2015-52224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 3/12
A47C 7/56
A47C 1/121
A47C 1/126
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段状の展開位置と、上下に重なる収納位置との間で移動可能な複数段の床台と、
前記床台の前端部にその前端部から前方へ突出して設けられた座と、その座の後方位置にて前記床台の前端部上に、起立した使用位置と後方へ倒れた収納位置との間で起倒可能に設けられた背と、を有する椅子と、
前記背を前記使用位置と前記収納位置との間で移動させる背駆動機構と、
を備える収納式観覧席であって、
前記背駆動機構が、
前記背の下端部に連結された第1端部と、前記使用位置において前記第1端部よりも下方に位置する第2端部を少なくとも有し、前記背を前記使用位置と前記収納位置との間で回動させる背回動部材と、
前記背及び前記座が設けられた床台に対して一段下の床台に設けられ、前記使用位置において前記第2端部に接触して下方から支持する支持部材と、
前記背回動部材を回動させるアクチュエータと、を備える、
収納式観覧席。
【請求項2】
請求項1に記載の収納式観覧席であって、
前記第2端部には回転可能なローラーが設けられる、
収納式観覧席。
【請求項3】
請求項1に記載の収納式観覧席であって、
前記第2端部には高さを調節可能な脚部が設けられる、
収納式観覧席。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の収納式観覧席であって、
前記背の下方には主回転部材が設けられ、
前記背回動部材において、前記第1端部と前記第2端部の間に設けられた連結部が、前記主回転部材の回転中心から所定距離だけ離間した部分に連結される、
収納式観覧席。
【請求項5】
請求項4に記載の収納式観覧席であって、
前記主回転部材が外周縁にギア部を有する主回転ギアであり、
前記アクチュエータに接続されたシャフトのギアと前記主回転ギアが嵌合する、
収納式観覧席。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の収納式観覧席であって、
前記支持部材が、前記一段下の床台における前記背の直下から鉛直方向に延びた支持柱であり、前記使用位置において前記支持柱の頂部に前記第2端部が載置される、
収納式観覧席。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納式観覧席に関する。
【背景技術】
【0002】
会場、体育館などの建物内の壁側に複数の観覧席(椅子)を収納し、必要に応じて出して椅子を並べることができる収納式観覧席が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、背の使用位置でロックする第1リンクと、第1リンクに連結されアクチュエータで回動する第2リンクを備える収納式観覧席であり、着座の際等に背に大きな力が加わった場合でも背が予期せず倒れてしまうことを防止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4914903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、背を使用位置と収納位置との間で回動させているが、背に近い床部分を支える床台ロック部材駆動機構も必要となり構造が複雑になるという課題がある。
【0006】
本発明は、構成が簡単で低コストな収納観覧席を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の収納式観覧席は、階段状の展開位置と、上下に重なる収納位置との間で移動可能な複数段の床台と、前記床台の前端部にその前端部から前方へ突出して設けられた座と、その座の後方位置にて前記床台の前端部上に、起立した使用位置と後方へ倒れた収納位置との間で起倒可能に設けられた背と、を有する椅子と、前記背を前記使用位置と前記収納位置との間で移動させる背駆動機構と、備える収納式観覧席であって、前記背駆動機構が、前記背の下端部に連結された第1端部と、前記使用位置において前記第1端部よりも下方に位置する第2端部を少なくとも有し、前記背を前記使用位置と前記収納位置との間で回動させる背回動部材と、前記背及び前記座が設けられた床台に対して一段下の床台に設けられ、前記使用位置において前記第2端部に接触して下方から支持する支持部材と、前記背回動部材を回動させるアクチュエータと、を備える。
【0008】
本発明の収納式観覧席の一態様として例えば、前記第2端部には回転可能なローラーが設けられる。
【0009】
本発明の収納式観覧席の一態様として例えば、前記第2端部には高さを調節可能な脚部が設けられる。
【0010】
本発明の収納式観覧席の一態様として例えば、前記背の下方には主回転部材が設けられ、前記背回動部材において、前記第1端部と前記第2端部の間に設けられた連結部が、前記主回転部材の回転中心から所定距離だけ離間した部分に連結される。
【0011】
本発明の収納式観覧席の一態様として例えば、前記主回転部材が外周縁にギア部を有する主回転ギアであり、前記アクチュエータに接続されたシャフトのギアと前記主回転ギアが嵌合する。
【0012】
本発明の収納式観覧席の一態様として例えば、前記支持部材が、前記一段下の床台における前記背の直下から鉛直方向に延びた支持柱であり、前記使用位置において前記支持柱の頂部に前記第2端部が載置される。
【発明の効果】
【0013】
本発明の収納式観覧席は、背の下端部に背駆動機構が設け、背駆動機構を下方から支持する支持部材を一段下の床台に設ける構成により、余分な突出部分が無くなり全体がコンパクト化され、床台を背駆動機構を介して支持することで、背駆動機構の多目的化が図れ、無駄のない簡素化された構成を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る収納式観覧席の一例を示し、(a)展開位置における平面図、(b)展開位置における側面図、(c)収納位置における側面図。
図2】(a)図1(b)のA部を拡大した簡略図、(b)図1(c)のB部を拡大した簡略図。
図3】本発明に係る収納式観覧席の展開位置における椅子3つの正面透視図。
図4】本発明に係る収納式観覧席の背及び背駆動機構の第1実施形態の一例の動作を示す模式図、(a)展開位置、(b)収納位置。
図5図4の背駆動機構の動作を示す模式図、(a)展開位置、(b)収納位置。
図6】背が収納位置から展開位置に遷移する際の背駆動機構の動作を示し、(a)収納位置、(b)遷移途中位置、(c)展開位置。
図7】展開位置における背駆動機構の配置状態を示す図であり、(a)背駆動機構の拡大図、(b)収納式観覧席の図。
図8】本発明に係る収納式観覧席の背及び背駆動機構の第2実施形態の一例の動作を示す模式図、(a)展開位置、(b)収納位置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る収納式観覧席の好適な実施形態を、図1図6に基づいて詳述する。
【0016】
図1は、本発明に係る収納式観覧席の一例を示し、(a)は展開位置における平面図、(b)は展開位置における側面図、(c)は収納位置における側面図である。図2は、図1の収納式観覧席であり、(a)は図1(b)のA部を拡大した簡略図、(b)は図1(c)のB部を拡大した簡略図である。図1及び図2に基づいて、収納式観覧席の概要を説明する。
【0017】
本実施形態の収納式観覧席1は、複数の椅子10と、椅子10を固定する複数段の床台20と、背駆動機構30とを備える。椅子10は、背駆動機構30により起倒可能に設けられる背11と観客などが座る座12とを有している。
【0018】
図1(a)、(b)及び図2(a)に示されるように、会場、体育館等の建物内にて観客が使用できる状態に椅子が並べられ、複数の床台20が段をなした階段状となる状態を展開位置、特に背11が起立した状態を使用位置、図2(b)に示されるように、背11が倒れた状態及び図1(c)に示されるように各床台20が上下に重なるように配置され、建物内の側壁に設けられた収納部100に収納された状態を収納位置と定義する。
【0019】
椅子10は、各床台20の前端部21に固定され、座12は前端部21の前方に突出して設けられ、背11は座12の後方位置において、前端部21上で起立した使用位置と後方に倒れた収納位置との間で起倒可能に設けられている。そして、背駆動機構30は、背11の下端部11aに配置され、背11を使用位置と収納位置との間で移動可能としている。当該移動とは、背11が起立状態と倒れ状態との間の動きであり、支点を中心とした回動でもある。
【0020】
本実施形態の収納式観覧席1は、各床台20の下面に梁材2が固定され、梁材2は、床台20の後端部22に設けられた貫材3に固定されている。床台20は、貫材3を介して貫材3の後面に固定された図示しない脚部材により片持ち状態で支持する支持構体を有しており、当該支持構体の下端部に配置される走行ローラーにより、収納式観覧席1が移動可能である。
【0021】
各床台20の前端部21には、開口を下向きにした断面コ字状のフレーム4が固定され、フレーム4内に背駆動機構30が収納されている。フレーム4の上面には椅子10の肘掛け13が固定され、肘掛け13に回動自在に座12が取り付けられている。隣接同士の椅子10は、肘掛け13で連結されているため、椅子10同士の結合力が強く、安定した状態が維持され、観客等が安心して着席が可能である。
【0022】
図3は、収納式観覧席の展開位置における椅子3つの正面透視図である。図4は、収納式観覧席の背及び背駆動機構の第1実施形態の一例の動作を示す模式図で、(a)は展開位置(使用位置)、(b)は収納位置である。図5は、図4の背駆動機構の動作を示す模式図で、(a)は展開位置(使用位置)、(b)は収納位置である。図3から図5に基づいて、背駆動機構30の第1実施形態を詳述する。
【0023】
背駆動機構30は、背11の内面に固定される一対の背駆動部31と、背駆動部31の回動を支え回動支点となる主軸32と、背駆動部31を回動させる一対の背回動部材33と、背回動部材33を回動させる主回転部材34と、主回転部材34を回動させるシャフト35と、シャフト35を駆動させるアクチュエータ40と、背回動部材33を下方から支持する支持部材50とを備える。
【0024】
本実施形態の背駆動部31は金属から形成され、断面L字形状を呈する第1背駆動部31aと、第1背駆動部31aの一端に固定され、背11の下端部11aの内面と直接固定される角形状で強度のある第2背駆動部31bとを有し、第1背駆動部31aの第2背駆動部31bが固定された一端と対向する他端は、背11の回転中心となる主軸32と連結されている。主軸32は、フレーム4から上方に突出し一対をなす突出部5に設けられている。
【0025】
突出部5、主軸32及び背駆動部31は、背11の内部に形成された開口部11bに収納されている。これにより、背駆動機構30の上部が背11から突出すること無く、コンパクトに収納できる。
【0026】
背回動部材33は、一枚の金属板からなり、背駆動部31と連結軸31cを介して連結する第1端部33aと、第1端部33aと反対側に位置する第2端部33bとを有し、第2端部33bには、回転可能なローラー36が設けられている。背回動部材33は、第1端部33aと第2端部33bの間に連結部37が設けられ、連結部37は、主回転部材34の回転中心Oから所定距離Dだけ離間した部分で主回転部材34の側面に連結され、主回転部材34に回動に連動して大きく回動することが可能である。
【0027】
アクチュエータ40は、例えばモータなどであり、シャフト35と連結し、アクチュエータ40の駆動をシャフト35に伝達している。アクチュエータ40は、個々の背駆動機構30に備えられていてもよく、複数の背駆動機構30を同時に動かす機構であってもよい。図3に示される実施形態では、一の椅子10の下端にアクチュエータ40が配置され、アクチュエータ40は、複数の椅子10を横断するように配置されたシャフト35に連動し、複数の背駆動機構30を同時に駆動している。
【0028】
本実施形態ではシャフト35の外周縁に設けられたシャフトのギア35aと主回転部材34の外周縁に設けられたギア部34aが嵌合して、シャフト35の回転を主回転部材34に伝達している。主回転部材34とシャフト35とが嵌合することにより、背11に力が加わっても、背11が倒れること無く安定した着席が可能である。当該嵌合方式は、ギアに限らずベルト式、チェーン式、磁力式などであっても良い。
【0029】
支持部材50は、椅子10の下方に設けられている背駆動機構30が設置される床台20の段の一段下の床台20の当該椅子10の下方に固定され、背11の真下から鉛直方向に延びた支持柱であり、使用位置において当該支持部材(支持柱)50の頂部51に第2端部33bが載置される。尚、説明を分かりやすくするために、図4では、椅子10の背11及び座12が設けられた床台を符号20、一段下の床台の符号を20a(20)で表している。
【0030】
背駆動機構30は、椅子10の下端部11aのフレーム4内に配置されるため、椅子10の前後に突出すること無く、また、背11の外面に取付部が突出することが無いため、床台20、特に観客などの通路スペースを広く取ることができる。
【0031】
以下、背駆動機構30の動作について詳述する。
【0032】
アクチュエータ40が駆動すると、アクチュエータ40に接続されたシャフト35が回転し、シャフト35の外周縁に設けられたシャフトのギア35aと主回転部材34の外周縁に設けられたギア部34aが嵌合し、シャフト35の回転が主回転部材34に伝達され、主回転部材34が回動する。主回転部材34が回転中心Oを中心として回転し、主回転部材34に連結された連結部37が同時に回転する。
【0033】
背11を使用位置から収納位置に配置したい場合(図4及び図5の(a)から(b)を参照)、背回動部材33の第1端部33aを上方に移動させるように主回転部材34を回転させる(図4及び図5では時計回りの回転)。主回転部材34の回転に連動する連結部37の主回転部材34の回転中心Oを中心とする回転に伴い、第1端部33aが上方に移動し、第1端部33aが上方に移動すると主軸32を中心に押し上げられるように背駆動部31が回転する。
【0034】
第1端部33aの上方への移動に対し、背駆動部31は、第1端部33aと連結軸31cで回転自在に連結されているため、主軸32を中心とした回転がスムーズに行われる。また、第1端部33aの側面と第1背駆動部31aの内面とが当接した状態での回転により、回転の動きが安定する。
【0035】
背駆動部31の回転により、第2背駆動部31bが倒れるように動くため、第2背駆動部31bに固定された背11が倒れて、背11が収納位置に位置付けされる。
【0036】
背11を収納位置から使用位置に配置したい場合(図4及び図5の(b)から(a)を参照)、背回動部材33の第1端部33aを下方に移動させるように主回転部材34を回転させる(図4及び図5では反時計回りの回転)。主回転部材34の回転に連動する連結部37の主回転部材34の回転中心Oを中心とする回転に伴い、第1端部33aが下方に移動し、第1端部33aが下方に移動すると主軸32を中心に引っ張られるように背駆動部31が回転する。
【0037】
第1端部33aが、連結軸31cを引っ張るように移動して、背駆動部31が立ち上がり、背駆動部31に固定された背11が起立する。第1端部33aの移動に追従して、第2端部33bが下方に移動し、最下点に達すると同時に第2端部33bに設けられたローラー36が支持部材50に載置する(図4(a)参照)。即ち、支持部材50は、第2端部33bに接触して第2端部33bを下方から支持している。ローラー36により位置の誤差、変動を吸収可能としている。
【0038】
図6は、背11が収納位置から使用位置(展開位置)に遷移する際の背駆動機構30の動作を示している。図6(a)の収納位置(図5(b)と同じ)から、遷移途中位置を示す図6(b)に示す様にシャフト35が矢印A方向に回転し(時計回りの回転)、これに連動してシャフト35に嵌合した主回転部材34が矢印B方向に回転する(反時計回りの回転)。そして、主回転部材34の回転に連動する連結部37の移動とともに背回動部材33が回動し、第1端部33aが下方に移動する。さらに背回動部材33の第1端部33aにて連結軸31cを介して接続した背駆動部31が、主軸32を中心に引っ張られるように矢印C方向に回転する(反時計回りの回転)。この結果、図6(c)の使用位置(図5(a)と同じ)になる。
【0039】
床台20は、床台20に設けられた支持部材50と1段上に設けられた背回動部材33とによる支持と、床台20に設けられた背回動部材33と一段下の床台20aに設けられた支持部材50との支持の2つの支持により、観客などの移動や着座などによる床台20の振動等を吸収し、使用位置における安心、安定感を保持することができる。
【0040】
支持部材50による支持を説明したが、フレーム4の上方に突出する高さを調整可能な突起部6を設け、連結軸31cを載置することにより、ローラー36の停止位置を調整でき、より精度の良い位置調整を行うことができる。
【0041】
図7は、使用位置(展開位置)における背駆動機構30の配置状態を示す説明図である。図7(a)は図5(a)及び図6(c)と同じ図であるが、背駆動部31の連結軸31cと主回転部材34の回転中心Oを仮想的に結んで延長した延長線L1が追加されている。ここで、背回動部材33の連結部37は、その中心Pが延長線L1上ではなく、より使用位置に遷移する際に回転する方向に沿って進んだ方向に位置している。具体的には、主回転部材34の回転中心Oと連結部37の中心Pを結ぶ延長線L2が、延長線L1から見て角度θの分だけ、主回転部材34の回転方向(図6(b)の矢印B方向)に位置している。
【0042】
このような配置状態により、たとえ観客などが座12に座り、背11にもたれかかっても、背11の位置を安定的に維持することが可能となる。すなわち、観客などが背11にもたれかかると、図7(b)に示すように背11を更に倒そうとするX方向の回転力が発生する。もし、連結部37の中心Pが延長線L1上(または図7(a)において更に左側)に存在する場合、背回動部材33を介してX方向の回転力が連結部37に伝わり、主回転部材34ともどもX方向に回転する力により、背11がX方向に倒れてしまうのを助長してしまうおそれがある。
【0043】
しかしながら、連結部の中心Pは延長線L2上にあり、連結部には図7(b)に示す様なX方向と逆向きのY方向の力がかかることになる。さらに、支持部材(支持柱)50の頂部51からは矢印C方向の効力が発生している。この結果、たとえ観客などが座12に座り、背11にもたれかかっても、背回動部材33は安定して直立した状態を維持することができる。
【0044】
本実施形態の収納式観覧席1は、背駆動機構30により背11を使用位置と収納位置に位置づけることができ、背駆動機構30が背の周辺などに突出することが無く椅子10の見栄えが良好であり、かつコンパクトにフレーム4内に収納され、一段下の床台20aに配置された支持部材50により、背回動部材33を介して床台20が安定する。また、背駆動機構30に背11の回動と、床台20の支持との機能を持たせることにより、構成が簡素化され、低コストで、作業性の良い収納式観覧席1を提供できる。
【0045】
図8は、収納式観覧席の背及び背駆動機構の第2実施形態の一例の動作を示す模式図で、(a)は展開位置(使用位置)、(b)は収納位置である。図8に基づいて、背駆動機構30の第2実施形態を説明する。
【0046】
第2実施形態では、第1実施形態の第2端部33bに設けられるローラー36が、高さを調整可能な脚部38である。その他の構成に関しては、第1実施形態と同じであるため説明を省略する。支持部材50は、第2端部33bに接触して第2端部33bを下方から支持し、脚部38により位置の誤差、変動を吸収可能としている。
【0047】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明に係る収納式観覧席は、背の使用位置と収納位置の移動が容易にでき、床台も安定する簡素化した構成を要求する分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0049】
1 収納式観覧席
2 梁材
4 フレーム
5 突出部
10 椅子
11 背
11a 下端部
11b 開口部
12 座
13 肘掛け
20 床台
21 前端部
22 後端部
30 背駆動機構
31 背駆動部
32 主軸
33 背回動部材
33a 第1端部
33b 第2端部
34 主回転部材
35 シャフト
36 ローラー
37 連結部
38 脚部
40 アクチュエータ
50 支持部材(支持柱)
51 頂部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8