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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】抗がんおよび免疫増強用新規ターゲット
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/713 20060101AFI20220614BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20220614BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A61K31/713
A61K39/395 N
A61K39/395 U
A61P35/00
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020554843
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-12
(86)【国際出願番号】 KR2019003965
(87)【国際公開番号】W WO2019194586
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】62/652,948
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520077986
【氏名又は名称】ゲノム アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ユン,キョン‐ワン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ブ‐ナム
(72)【発明者】
【氏名】ソン,チンヨン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ユン・ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スロ
(72)【発明者】
【氏名】ホウ,ヨン・キュン
(72)【発明者】
【氏名】チュン,チュ‐ヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,アルム
【審査官】小川 知宏
(56)【参考文献】
【文献】Journal of Clinical Endocrinology and Metabolism,2018年,103(1),46-55
【文献】Cancer Medicine,2013年,2(1),21-31
【文献】Immunological Reviews,2015年,268,288-295
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/7088
A61K 39/395
A61P 35/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を有効成分として含み、
前記抑制剤は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の遺伝子のDNAまたはmRNAに相補的に結合するsiRNAであることを特徴とする、もしくは、
前記抑制剤は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上のタンパク質に特異的に結合する抗体であることを特徴とする、がん治療または予防用の薬学的組成物。
【請求項2】
前記がんは、胃癌、肺癌、肝癌、大腸癌、結腸癌、小腸癌、膵癌、脳癌、骨癌、黒色腫、乳癌、硬化性腺症、子宮癌、子宮頸癌、頭頸部癌、食道癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、腎癌、肉腫、前立腺癌、尿道癌、膀胱癌、血液癌、リンパ腫、または線維腺腫であることを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
前記KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤は、がん細胞のT細胞回避機能を抑制することを特徴とする、請求項1に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年4月5日に出願された米国出願番号62/652,948を優先権で主張し、その開示内容は、本明細書に全体として参照により挿入される。
【0002】
本発明は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を含むがん治療または予防用薬学的組成物、およびKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を個体に投与することでがんを治療または予防する方法に関する。また、本発明は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を含む免疫増強用薬学的組成物、およびKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を個体に投与することで免疫力を増加させる方法に関する。また、本発明は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上を利用した抗がん剤スクリーニング方法、およびがん予後分析に必要な情報を提供する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
過去数年間、がんに関する集中的な研究がなされたにも関わらず、依然として、がんは、全世界的に主要な死亡原因である。多数のがん治療方法が開発されたが、全てのがん腫に対して、そして全ての患者に対して効果的ではない。がんを治療するために、現在、ほとんど使用されている方法は、相対的に非選択的である。手術により疾病を持つ組織を除去したり、放射線治療により固形腫瘍の大きさを減少させたり、化学治療によりがん細胞を速く死滅させたりする。特に、化学治療は、薬物に対する耐性を発達させることがあり、一部の場合は、投与可能な容量を制限して、結局、潜在的に有効な薬物の使用を排除させる程度に深刻な副作用を引き起こす。従って、ターゲット特異的で、より効果的ながん治療の開発が急を要している。
【0004】
人体適応免疫体系は、がん細胞を特異的に除去できる非常に精巧なシステムである。特に、T細胞の場合、細胞性適応免疫を決定する役割を果たし、細胞が非自己または非正常な抗原に露出される場合、抗原を認知して除去する。T細胞の場合、1細胞当たり約20,000~40,000TCR分子を発現し、APCの100,000pMHC分子のうちいくつかの抗原(ペプチド配列により決定)を特異的に認知して信号伝達を開始するようになる。このようなTCR分子は、非常に精巧で、微妙な抗原変化を認知して信号を伝達しなければならない高感度センサとしての役割を果たさなければならない。このような細胞性適応免疫は、非常に精巧に作動されてがん細胞を効果的に除去できなければならない。仮に、抗原特異的適応免疫体系が正常に作動しなくなると、がん細胞除去機能に深刻な問題をもたらす。例えば、がん細胞の表面にあるタンパク質PD-L1またはPD-L2がT細胞の表面にあるタンパク質PD-1と結合すると、T細胞は、がん細胞を攻撃できない。従って、効果的ながん治療のために、T細胞ががん細胞を除去するのに妨げられる要素を除去することが必要である。
【0005】
そこで、本発明者らは、人体免疫体系を利用したがん治療方法を見出すために研究を進行した結果、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の活性および発現の阻害ががんの発達、成長、浸潤および転移を顕著に抑制することを確認することで本発明を完成するに至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の一目的は、がん治療または予防用薬学的組成物を提供することであり、がんを治療または予防する方法を提供する。
【0007】
本発明の他の目的は、免疫増強用薬学的組成物を提供するものであり、免疫力を増加させる方法を提供する。
【0008】
本発明のまた他の目的は、抗がん剤スクリーニング方法を提供することである。
【0009】
本発明のまた他の目的は、がん予後分析に必要な情報を提供する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明の一様態は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を有効成分として含む、がん治療または予防用薬学的組成物、およびKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を個体に投与することでがんを治療または予防する方法を提供する。
【0011】
用語「KIRREL3(Kin of IRRE-like protein 3)」は、KIRREL3遺伝子によりコーディングされるタンパク質であり、ネフリン様タンパク質(nephrin-like protein)の構成員に属し、「NEPH2」とも命名される。このタンパク質は、胎児および成人の脳、腎臓糸球体の足細胞(podocytes)で発現され、腎臓の血液ろ過機能、シナプス形成等と関連しているものと知られている。
【0012】
用語「CNTN4(Contactin-4)」は、CNTN4遺伝子によりコーディングされるタンパク質であり、免疫グロブリン上科(immunoglobulin superfamily)に属し、細胞接着分子として機能するGPI(glycosylphosphatidylinositol)-anchored神経細胞膜タンパク質であって、神経系の発達過程で軸索(axon)コネクションを形成する役割を果たすものと知られている。
【0013】
用語「CD351(Cluster of Differentiation 351)」は、IgAおよびIgMに高い親和性で結合するFc受容体であり、「Fcα/μR」とも命名される。マウスで大食細胞(macrophages)、濾胞性樹状突起細胞(follicular dendritic cells)、辺縁部および濾胞性B細胞(marginal zone and follicular B cells)、および腎臓管上皮細胞(kidney tubular epithelial cells)で発現され、ヒトでは、腸の粘膜固有層細胞(intestinal lamina propria cells)、パネート細胞(Paneth cells)、扁桃腺内濾胞性樹状突起細胞(follicular dendritic cells in tonsils)、活性化された大食細胞(activated macrophages)および一部類型の前-胚中心IgD+/CD38+ B細胞(pre-germinal centre IgD+/CD38+ B cells)で発現されるものと知られている。
【0014】
前記KIRREL3、CNTN4およびCD351は、ヒト由来KIRREL3、CNTN4およびCD351であってよい。より具体的に、前記KIRREL3のアミノ酸配列は、NCBIに開示されたNCBI Reference Sequence:NP_115920.1の配列であるか、それを含むことができ、前記CNTN4のアミノ酸配列は、NCBIに開示されたNP_783200.1の配列であるか、それを含むことができ、前記CD351のアミノ酸配列は、NCBIに開示されたAAL51154.1の配列であるか、それを含むことができる。また、前記KIRREL3、CNTN4およびCD351のアミノ酸配列は、それぞれNCBI Reference Sequence:NP_115920.1、NP_783200.1、AAL51154.1の配列と80%、85%、90%または95%以上の相同性を有する配列であるか、それを含むことができるが、これに限定されるものではなく、KIRREL3、CNTN4およびCD351の特性または機能を示すアミノ酸配列であればいずれも含まれる。
【0015】
前記KIRREL3の遺伝子は、ヒト由来KIRREL3のアミノ酸配列をコーディングする核酸配列であるか、それを含むか、またはNCBIに開示されたNCBI Reference Sequence:NM_032531.4の核酸配列であるか、それを含むことができる。前記CNTN4の遺伝子は、ヒト由来CNTN4のアミノ酸配列をコーディングする核酸配列であるか、それを含むか、またはNCBIに開示されたNCBI Reference Sequence:NM_175607.3の核酸配列であるか、それを含むことができる。前記CD351の遺伝子は、ヒト由来CD351のアミノ酸配列をコーディングする核酸配列であるか、それを含むか、またはNCBIに開示されたNCBI Reference Sequence:AY063125.1の核酸配列であるか、それを含むことができる。また、前記KIRREL3、CNTN4およびCD351の核酸配列は、それぞれNCBIに開示されたNCBI Reference Sequence:NM_032531.4、NM_175607.3、AY063125.1の核酸配列と80%、85%、90%または95%以上の相同性を有する配列であるか、それを含むことができるが、これに限定されるものではなく、KIRREL3、CNTN4およびCD351の特性または機能を示すアミノ酸を生産できる核酸配列であればいずれも含まれる。
【0016】
用語「KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤」は、KIRREL3、CNTN4およびCD351の中から選択された一つ以上の活性または発現を阻害する物質を意味する。「KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤」と「KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤」は、相互交換的に使用される。例えば、前記抑制剤は、KIRREL3、CNTN4およびCD351の活性または発現を阻害する物質であってよい。また他の例として、前記抑制剤は、KIRREL3およびCNTN4の活性または発現を阻害する物質であるか、またはKIRREL3およびCD351の活性または発現を阻害する物質であるか、またはCNTN4およびCD351の活性または発現を阻害する物質であってよい。また他の例として、前記抑制剤は、KIRREL3の活性または発現を阻害する物質であるか、またはCNTN4の活性または発現を阻害する物質であるか、またはCD351の活性または発現を阻害する物質であってよい。また他の例として、前記抑制剤は、KIRREL3抑制剤、CNTN4抑制剤およびCD351抑制剤の組み合わせであってよい。また他の例として、前記抑制剤は、KIRREL3抑制剤およびCNTN4抑制剤の組み合わせであるか、またはKIRREL3抑制剤およびCD351抑制剤の組み合わせであるか、またはCNTN4抑制剤およびCD351抑制剤の組み合わせであってよい。
【0017】
前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、好ましくは、T細胞のがん細胞回避機能を阻害できる。KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤がKIRREL3、CNTN4および/またはCD351の活性を遮断することで、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351によりT細胞ががん細胞を攻撃できなくなる作用機序を抑制し、またT細胞のがん細胞に対する免疫活性を維持させ得る。または、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351タンパク質に特異的に結合してKIRREL3、CNTN4および/またはCD351とT細胞の結合を妨害するか、またはKIRREL3、CNTN4および/またはCD351の特定代謝経路を阻害してタンパク質発現を減少させるか活性を有し得ないように変性させ得る。従って、本発明に係るKIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、がん治療または予防に非常に効果的である。
【0018】
前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の活性または発現を阻害する物質であれば、化合物、タンパク質、融合タンパク質、抗体、アミノ酸、ペプチド、ウイルス、炭水化物、脂質、核酸、抽出物、分画物等を含むことができ、これに限定されるものではない。前記KIRREL3抑制剤、CNTN4抑制剤およびCD351抑制剤は、互いに独立して異なるか同一の形態の物質であってよい。例えば、全ての抑制剤が抗体であってよい。また他の例として、2個の抑制剤は抗体であり、残りの1個の抑制剤は化合物であってよい。
【0019】
一具現例において、前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、KIRREL3、CNTN4およびCD351抑制剤で処理されていないがん細胞に対比してがん細胞内のKIRREL3、CNTN4および/またはCD351の発現を減少させるものであってよい。前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の発現減少は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の遺伝子から生成するmRNAおよび/またはタンパク質の水準が減少したか除去されたことを意味し得る。前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、例えば、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351遺伝子のDNAまたはmRNAに相補的に結合するアンチセンス核酸、siRNA、shRNA、miRNA、リボザイム等を含むことができ、これに限定されるものではない。前記KIRREL3抑制剤、CNTN4抑制剤およびCD351抑制剤は、互いに独立して異なるか同一の形態の物質であってよい。例えば、全ての抑制剤がsiRNAであってよい。また他の例として、2個の抑制剤はsiRNAであり、残りの1個の抑制剤はアンチセンス核酸であってよい。
【0020】
用語「アンチセンス核酸」は、特定mRNAの配列に対して相補的な核酸配列を含有しているDNA、RNA、またはこれらの断片または誘導体を意味し、mRNAの配列に相補的に結合または混成化してmRNAのタンパク質への翻訳を阻害する作用をする。
【0021】
用語「siRNA(small interfering RNA)」は、特定mRNAの切断(cleavage)を通してRNAi(RNA interference)を誘導できる短い二重鎖RNAを意味する。siRNAは、標的遺伝子のmRNAと相同な配列を有するセンスRNA鎖と、これと相補的な配列を有するアンチセンスRNA鎖を含む。siRNAは、標的遺伝子の発現を抑制できるので、遺伝子ノックダウン方法または遺伝子治療方法等に使用される。
【0022】
用語「shRNA(short hairpin RNA)」は、一本鎖RNAであって、水素結合により二本鎖部分を形成するステム(stem)部分と、環状を帯びるループ(loop)部分とに区分され、Dicer等のタンパク質によりプロセシングされてsiRNAに変換され、siRNAと同じ機能を果たすことができる。
【0023】
用語「miRNA(micro RNA)」は、標的RNAの分解を促進させるか、またはこれらの翻訳を抑制させることで遺伝子発現を転写後に調節する21~23個の非コーディングRNAをいう。
【0024】
用語「リボザイム(ribozyme)」は、特定塩基配列を認識して自体的にそれを切断する酵素のような機能を有するRNA分子を意味する。リボザイムは、ターゲットメッセンジャーRNA鎖の相補的な塩基配列に特異性を有して結合する領域と、ターゲットRNAを切断する領域とで構成される。
【0025】
前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351遺伝子のDNAまたはmRNAに相補的に結合するアンチセンス核酸、siRNA、shRNA、miRNA、リボザイム等は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351のmRNAの翻訳、細胞質内への転位(translocation)、成熟(maturation)または他の任意のKIRREL3、CNTN4および/またはCD351の生物学的機能に対する必須な活性を阻害できる。
【0026】
一具現例において、前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、KIRREL3、CNTN4およびCD351抑制剤で処理されていないがん細胞と比較してがん細胞内のKIRREL3、CNTN4および/またはCD351の機能を不活性化させるか活性を減少させるものであってよい。前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351抑制剤は、例えば、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351タンパク質に特異的に結合する化合物、ペプチド、ペプチドミメティクス、融合タンパク質、抗体、アプタマー等を含むことができ、これに限定されるものではない。前記KIRREL3抑制剤、CNTN4抑制剤およびCD351抑制剤は、互いに独立して異なるか同一の形態の物質であってよい。
【0027】
用語「特異的」は、細胞内で他のタンパク質に影響を及ぼさず、目的タンパク質にのみ結合する能力を意味する。
【0028】
用語「抗体」は、単一クローン抗体、多クローン抗体、二重特異的抗体、多重特異的抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体を含み、新規抗体の他に既に当該技術の分野において公知または市販の抗体も含まれる。前記抗体は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上に特異的に結合する限り、2本の重鎖と2本の軽鎖を含む全長の形態だけではなく、抗体分子の機能的な断片を含む。前記抗体分子の機能的な断片は、少なくとも抗原結合機能を保有している断片を意味し、ここには、Fab、F(ab’)、F(ab’)2、Fv等が含まれ得るが、これに限定されるものではない。
【0029】
用語「ペプチドミメティクス(Peptide Mimetics)」は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の活性を誘導するKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上のタンパク質の結合ドメインを抑制するペプチドまたは非ペプチドである。
【0030】
用語「アプタマー(Aptamer)」は、それ自体で安定した三次構造を有しながら標的分子に高い親和性と特異性で結合できる特徴を有する一本鎖核酸(DNA、RNAまたは変形核酸)を意味する。
【0031】
本発明の薬学的組成物に含まれるKIRREL3、CNTN4および/またはCD351の活性または発現を阻害する物質は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351がT細胞の機能を抑制することを阻害することができ、これによって、T細胞ががん細胞を攻撃できる機能を維持または促進させる作用をすることができる。ここで、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の活性または発現を阻害する物質で処理した群において、T細胞のがん細胞攻撃能力は、非処理群に比して5%~200%増加し得る。従って、本発明の薬学的組成物は、がんの予防または治療に有用に使用され得る。
【0032】
本発明の薬学的組成物が治療または予防できるがんには、例えば、胃癌、肺癌、肝癌、大腸癌、結腸癌、小腸癌、膵癌、脳癌、骨癌、黒色腫、乳癌、硬化性腺症、子宮癌、子宮頸癌、頭頸部癌、食道癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、腎癌、肉腫、前立腺癌、尿道癌、膀胱癌、血液癌、白血病、リンパ腫、線維腺腫等が含まれ、これに限定されるものではない。
【0033】
本発明に係る薬学的組成物は、前記有効成分を単独で含有するか、または一つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、希釈剤、安定化剤、保存剤等をさらに含有することができる。
【0034】
薬学的に許容される担体は、例えば、経口投与用担体または非経口投与用担体を含むことができる。前記経口投与用担体は、ラクトース、デンプン、セルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸等を含むことができる。前記非経口投与用担体は、水、適した油、食塩水、水性グルコース、グリコール等を含むことができる。薬学的に許容される安定化剤は、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムまたはアスコルビン酸のような抗酸化剤等がある。薬学的に許容される保存剤は、塩化ベンザルコニウム、メチル-またはプロピル-パラベン、クロロブタノール等がある。その他の薬学的に許容される担体としては、文献Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th ed.,Mack Publishing Company,Easton,PA,1995に記載されているものを参考にすることができる。
【0035】
本発明の薬学的組成物は、ヒト等の動物に任意の方法で、例えば、経口または非経口的に投与できる。前記非経口的投与方法としては、静脈内、筋肉内、動脈内、骨髄内、硬膜内、経皮、皮下、腹腔内、鼻腔内、腸管、局所、舌下、直腸内投与等であってよく、これに限定されない。
【0036】
本発明の薬学的組成物は、上述したような投与経路によって経口投与用製剤または非経口投与用製剤に剤形化することができる。
【0037】
前記経口投与用製剤は、粉末、顆粒、錠剤、丸剤、糖衣錠剤、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁液等の形態に当業界に公知になった方法によって本発明の組成物を剤形化したものであってよい。例えば、本発明の有効成分を賦形剤と配合し、適した補助剤を添加した後、顆粒混合物に加工することで、経口投与のための錠剤または糖衣錠剤を収得することができる。前記賦形剤の例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトールおよびマルチトール等を含む糖類と、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、コメデンプンおよびジャガイモデンプン等を含むデンプン類、セルロース、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチル-セルロース等を含むセルロース類、ゼラチン、ポリビニルピロリドン等のような充填剤が含まれ得るが、これに限定されるものではない。選択的に、架橋結合ポリビニルピロリドン、寒天、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム等を崩壊剤として添加できる。また、本発明の薬学的組成物は、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤、防腐剤等をさらに含むことができる。
【0038】
前記非経口投与用製剤は、注射剤、ゲル剤、エアロゾル、鼻腔吸入剤の形態に当業界に公知になった方法によって本発明の組成物を剤形化したものであってよい。
【0039】
これらの剤形は、文献Remington’s Pharmaceutical Science,15th Edition,1975.Mack Publishing Company,Easton,Pennsylvania 18042,Chapter 87:Blaug,Seymourの記載内容を参考にすることができる。
【0040】
本発明に係る薬学的組成物の総有効量は、単一投与量(single dose)で個体に投与され得、または多重投与量(multiple dose)で分割治療方法(fractionated treatment protocol)により投与され得る。
【0041】
本発明の薬学的組成物の適切な有効投与量または有効成分の含量は、投与経路、投与回数、患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患の重症度、食餌、排泄率等の多様な要因を考慮して患者に対する有効投与量を考慮し、当該分野における通常の知識を有する者が決定できるだろう。例えば、本発明の薬学的組成物の全容量は、1日当たり、患者の体重1kg当たり約0.01μg~1,000mg、または0.1μg~100mgであってよい。本発明に係る薬学的組成物は、本発明の効果を示す限り、その剤形、投与経路、投与方法に特に制限されない。
【0042】
また、本発明の一様態は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を有効成分として含む、個体の免疫増強用薬学的組成物を提供する。
【0043】
本発明の薬学的組成物を免疫増強を必要とする個体に投与する場合、個体内のKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の発現または活性を全体または部分的に減少させ、T-細胞媒介性免疫反応の水準を増大させ得る。
【0044】
これによって、本発明の薬学的組成物は、免疫増強の用途に使用することができる。例えば、免疫欠乏、免疫低下または免疫系損傷による疾患の予防、治療または改善を必要とする個体に使用することができる。
【0045】
また、本発明の一様態は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を個体に投与するステップを含む、がん治療または予防方法を提供する。また、本発明の一様態は、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の抑制剤を個体に投与するステップを含む、個体の免疫増強方法を提供する。これらの方法において、特に断りのない限り、関連用語は、先に薬学的組成物で説明された用語と同じ意味を有するものと理解される。
【0046】
また、本発明の一様態は、下記ステップを含む抗がん剤スクリーニング方法を提供する。
(a)抗がん剤候補物質でがん細胞を処理するステップ、および
(b)前記がん細胞内のKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の発現または活性を測定するステップ。
【0047】
選択的に、前記抗がん剤スクリーニング方法は、抗がん剤候補物質で処理していない群に比して抗がん剤候補物質で処理した群でKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上のmRNAまたはタンパク質の発現水準が減少するか、またはKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上によるT細胞の活性抑制水準が減少する場合、前記抗がん剤候補物質を抗がん剤であるものと判断するステップをさらに含むことができる。ここで、前記水準が減少するということは、有意的に減少することを意味し得る。例えば、前記水準が減少することまたは有意的に減少することは、5%~95%(例えば、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%または90%)減少した量を意味するものであってよい。また、前記減少した量は KIRREL3、CNTN4およびCD351のそれぞれ減少した量の合計を意味することも、または KIRREL3、CNTN4およびCD351の独立して減少した量を意味することもできる。前記抗がん剤候補物質で処理していない群は、何の物質も添加されていないがん細胞であるか、またはKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の活性または発現抑制物質でない抗がん剤等の他の物質で処理されたがん細胞であってよい。
【0048】
用語「スクリーニング」は、タンパク質、融合タンパク質、抗体、ペプチド、抗生物質、酵素、化合物等の物質に対して感受性または活性等の特定性質を有している特定物質を見つけることを意味する。
【0049】
用語「抗がん剤候補物質」は、通常の選定方式によってKIRREL3、CNTN4および/またはCD351の発現または活性を抑制できるものと推定されるか、または無作為に選定された核酸、タンパク質、抗体、化合物、抽出物または天然物等であってよい。前記抗がん剤候補物質は、好ましくは、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の発現および/または活性を阻害する物質であってよい。
【0050】
前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の発現または活性の測定は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351のmRNAまたはタンパク質の発現水準を測定するか、またはKIRREL3、CNTN4および/またはCD351によるT細胞の活性抑制程度を測定することにより遂行され得る。
【0051】
前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351のmRNAの発現水準を測定する方法は、当該技術の分野において公知になった方法を利用することができ、例えば、逆転写酵素重合酵素反応、競争的逆転写酵素重合酵素反応、リアルタイム逆転写酵素重合酵素反応、RNase保護分析法、ノーザンブロット、DNAチップ、RNAチップ等を利用することができるが、これに制限されない。
【0052】
前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351のタンパク質の発現水準を測定する方法は、当該技術の分野において公知になった方法を利用することができ、例えば、ウェスタンブロット、ELISA、放射線免疫分析法、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、免疫組織化学染色、免疫沈殿分析法、補体固定分析法、FACS、タンパク質チップ等を利用することができるが、これに制限されない。
【0053】
前記KIRREL3、CNTN4および/またはCD351によるT細胞の活性抑制程度を測定する方法は、当該技術の分野において公知になった方法を利用することができ、例えば、RT-PCR、ウェスタンブロット、ELISA、放射線免疫分析、放射免疫拡散法、オクタロニー免疫拡散法、ロケット免疫電気泳動、免疫組織化学染色、免疫沈殿分析法、補体固定分析法、FACS等を利用することができるが、これに制限されない。
【0054】
また、本発明のスクリーニング方法において、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の活性抑制確認は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351タンパク質と候補物質を反応させた後、活性を測定する方法、酵母二重混成法(yeast two-hybrid)、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351のタンパク質に結合するファージディスプレイペプチドクローン(phage-displayed peptide clone)の検索、天然物および化学物質ライブラリ(chemical library)等を利用したHTS(high throughput screening)、ドラッグヒットHTS(drug hit HTS)、細胞基盤スクリーニング(cell-based screening)、またはDNAアレイ(DNA array)を利用するスクリーニング方法等を使用することができる。
【0055】
前記抗がん剤スクリーニング方法は、イン・ビトロまたはイン・ビボで全て可能である。イン・ビボの場合、前記抗がん剤候補物質でがん細胞を処理するステップは、抗がん剤候補物質をがん細胞を持つ個体またはがん疾患を持っている個体に投与することで遂行され得る。前記個体は、例えば、ヒト、マウス等のような動物であってよい。
【0056】
前記抗がん剤スクリーニング方法は、KIRREL3、CNTN4および/またはCD351の活性または発現を抑制すると、がん細胞のT細胞回避機能を阻害できるという本発明において新規で明らかにした点に基づく。本発明のスクリーニング方法によれば、新規抗がん剤を安価で簡単な方法で容易に開発できるので非常に有利である。
【0057】
また、本発明の一様態は、個体から分離した細胞または組織でKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の発現または活性を測定するステップを含むがん予後分析に必要な情報を提供する方法を提供する。
【0058】
前記方法において、KIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の発現または活性およびその測定と関連した用語は、特に断りのない限り、前記組成物および前記スクリーニング方法において説明したものと同一である。
【0059】
用語「予後」は、疾病の進行、疾病の改善、疾病の再発、転移および死亡可能性の側面での予測を指す。例えば、本発明における予後は、がん患者の疾病が完治するか、患者の状態が改善される可能性を意味する。
【0060】
前記個体から分離した細胞または組織は、がん細胞であるか、またはがんが発生したか、がん細胞が存在する組織であってよい。
【0061】
前記がん予後分析に必要な情報を提供する方法は、がん細胞のKIRREL3、CNTN4およびCD351のうち一つ以上の活性または発現水準が低いほどT細胞の活性が高くなり、これによってがん治療効果が高くなり得るという点に基づく。
【0062】
本明細書において使用される単数は、文法的に一つまたは複数を指すものである。例えば、「成分」は、一つの成分または一つより多くの成分を意味する。本明細書において、「A、Bおよび/またはC」は、A、またはB、またはC、またはAおよびB、またはAおよびC、またはBおよびC、またはA、BおよびCを意味するものとして使用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1】KIRREL3により阻害されるCD4+ T細胞の増殖率(%)を示す。
図2】KIRREL3により阻害されるCD8+ T細胞の増殖率(%)を示す。
図3】CNTN4により阻害されるCD4+ T細胞の増殖率(%)を示す。
図4】CNTN4により阻害されるCD8+ T細胞の増殖率(%)を示す。
図5】CD351により阻害されるCD4+ T細胞の増殖率(%)を示す。
図6】CD351により阻害されるCD8+ T細胞の増殖率(%)を示す。
図7a】肺癌細胞株A549とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図7b】肺癌細胞株A549とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図7c】肺癌細胞株A549とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図7d】肺癌細胞株A549とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図8a】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図8b】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図8c】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図8d】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図9a】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図9b】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図9c】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図9d】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図10a】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図10b】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図10c】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図10d】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図11a】白血病細胞株U937とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図11b】白血病細胞株U937とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図11c】白血病細胞株U937とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図11d】白血病細胞株U937とPBMCをKIRREL3抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図12a】肺癌細胞株A549とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図12b】肺癌細胞株A549とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図12c】肺癌細胞株A549とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図12d】肺癌細胞株A549とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図13a】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図13b】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図13c】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図13d】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図14a】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図14b】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図14c】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図14d】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図15a】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図15b】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図15c】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図15d】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図16a】白血病細胞株U937とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図16b】白血病細胞株U937とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図16c】白血病細胞株U937とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図16d】白血病細胞株U937とPBMCをCNTN4抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図17a】肺癌細胞株A549とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図17b】肺癌細胞株A549とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図17c】肺癌細胞株A549とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図17d】肺癌細胞株A549とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図18a】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図18b】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図18c】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図18d】結腸癌細胞株HCT-116とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図19a】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図19b】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図19c】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図19d】乳癌細胞株MDA-MB-231とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図20a】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図20b】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図20c】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図20d】胃癌細胞株MKN-74とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図21a】白血病細胞株U937とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図21b】白血病細胞株U937とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図21c】白血病細胞株U937とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図21d】白血病細胞株U937とPBMCをCD351抑制剤で処理したとき、PBMCの細胞毒性(%)を示したものである。
図22】KIRREL3抑制剤で処理したマウスで腫瘍の大きさの変化を示したものである。
図23】CNTN4抑制剤で処理したマウスで腫瘍の大きさの変化を示したものである。
図24a】CD351抑制剤で処理したマウスで腫瘍の大きさの変化を示したものである。
図24b】CD351抑制剤で処理したマウスで腫瘍の大きさの変化を示したものである。
図24c】CD351抑制剤で処理したマウスで腫瘍の大きさの変化を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0064】
以下、本発明を実施例によってより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例により制限されるものではない。
【0065】
実施例1.T細胞の増殖および活性抑制能
本実施例においては、KIRREL3、CNTN4およびCD351がT細胞の増殖および活性を阻害してがん細胞がT-細胞媒介免疫システムを回避するようにするか否かを確認しようとした。
【0066】
1.1.CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の準備
ヒト血液をEDTA(またはヘパリン)でコーティングされた10mLチューブに入れ、1:1の比率でPBSと混合した。それから50mLチューブにFicoll-Paque PLUSを入れ、前記血液試料を添加した。遠心分離した後、ヒトPBMC(peripheral blood mononuclear cell)を回収した。回収された結果物を遠心分離し、上澄みを除去した。次いで、RBC lysis(1x)を添加し、ピペッティングした後、アイスで3分間保管した。次いで、10% FBS RPMI1640 50mlを添加し、混合物を遠心分離して上澄みを除去した。それから、FACSバッファを添加し、上澄みを遠心分離により除去した。その後、50mlのMACSバッファ(0.5% BSAおよび2mM EDTA包含PBS)を添加し、細胞数をカウンティングし、遠心分離により上澄みを除去した。
【0067】
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を1×10細胞数基準40μl MACSバッファを利用して再懸濁させ、チューブに抗CD4および抗CD8ビオチン抗体をそれぞれ10μl入れた後、5分間冷蔵庫に保管した。その後、1×10細胞数基準MACSバッファ30μlを前記生成物に添加し、抗-ビオチンマイクロビーズ20μlを添加して混合した。次いで、LSカラムを利用してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を分離し、細胞数をカウンティングした。
【0068】
このように準備されたCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞を2×10細胞数基準CFSE(Carboxyfluorescein succinimidyl ester)1μlと混合し、37℃で3分間保管した。それからCD4+ T細胞とCD8+ T細胞をそれぞれ含有しているチューブにFBSを添加し、10分間アイスで保管した。その後、遠心分離により上澄みを除去した。生成物にFACSバッファ30mlを添加した後、ピペッティングし、遠心分離して上澄みを除去した。それから10% FBS RPMI1640を添加した後、ピペッティングし、遠心分離して上澄みを除去した。その後、生成物を10% FBS RPMI1640 10mlと混合した後、細胞数をカウンティングした。
【0069】
1.2.T細胞の活性測定
1.2.1.KIRREL3によるT細胞の活性阻害測定
組換えヒトIgG1 Fc protein(Cat.No.110-HG)および組換えヒトPD-L1/B7-H1 Fc chimera protein(Cat.No.156-B7)をR&D systemsで購入した。また、組換えヒトKIRREL3 His Tag protein(Cat.No.4910-K3)をR&D systemsで購入した。
【0070】
これらのproteinそれぞれの7.5μg/mlまたは10μg/mlをPBS中anti-CD3抗体(BioLegend、Cat.No.317325)2.5μg/mlと混合した。生成した混合物で96-ウェルプレートを4℃でコーティングし、PBSで3回洗浄した。
【0071】
先に実施例1.1において準備したCD4+ T細胞とCD8+ T細胞を96-ウェルプレートのウェル毎に200μlずつ2×10個添加し、インキュベーションした。
【0072】
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞は、anti-CD3抗体により72時間の間活性化させた。CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖は、CFSE染色の程度により確認することができ、それは、FACSDiVaソフトウェア(BD Biosciences)を利用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0073】
1.2.2.CNTN4によるT細胞の活性阻害測定
組換えヒトIgG1 Fc protein(Cat.No.110-HG)および組換えヒトPD-L1/B7-H1 Fc chimera protein(Cat.No.156-B7)をR&D systemsで購入した。また、組換えヒトCNTN4 His Tag protein(Cat:2205-CN)をR&D systemsで購入した。
【0074】
これらのproteinそれぞれの7.5μg/mlまたは10μg/mlをPBS中anti-CD3抗体(BioLegend、Cat.No.317325)2.5μg/mlと混合した。生成した混合物で96-ウェルプレートを4℃でコーティングし、PBSで3回洗浄した。
【0075】
先に実施例1.1において準備したCD4+ T細胞とCD8+ T細胞を96-ウェルプレートのウェル毎に200μlずつ2×10個添加し、インキュベーションした。
【0076】
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞は、anti-CD3抗体により72時間の間活性化させた。CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖は、CFSE染色の程度により確認することができ、それは、FACSDiVaソフトウェア(BD Biosciences)を利用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0077】
1.2.3.CD351によるT細胞の活性阻害測定
組換えヒトIgG1 Fc protein(Cat.No.110-HG)および組換えヒトPD-L1/B7-H1 Fc chimera protein(Cat.No.156-B7)をR&D systemsで購入した。また、組換えヒトCD351 His Tag protein(Cat.No.9278-FC)をR&D systemsで購入した。
【0078】
これらのproteinそれぞれの10μg/mlをPBS中anti-CD3抗体(BioLegend、Cat.No.317325)1.0μg/ml、2.0μg/ml、4.0μg/ml、または6.0μg/mlと混合した。生成した混合物で96-ウェルプレートを4℃でコーティングし、PBSで3回洗浄した。
【0079】
先に実施例1.1において準備したCD4+ T細胞とCD8+ T細胞を96-ウェルプレートのウェル毎に200μlずつ2×10個添加し、インキュベーションした。
【0080】
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞は、anti-CD3抗体により72時間の間活性化させた。CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖は、CFSE染色の程度により確認することができ、それは、FACSDiVaソフトウェア(BD Biosciences)を利用してフローサイトメトリーにより分析した。
【0081】
1.3.結果
1.3.1.KIRREL3によるT細胞の活性阻害
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖率(%)をそれぞれ図1および図2に示した。
【0082】
PD-L1で処理した対照群は、IgG1で処理した対照群に比してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖が全て抑制された。PD-L1は、T細胞表面にあるタンパク質PD-1と結合し、T細胞の増殖を抑制する。これによって、T細胞ががん細胞を攻撃し、殺傷する機能を低下させる結果をもたらす。
【0083】
KIRREL3で処理した群は、IgG1で処理した対照群に対比してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖が顕著に抑制され、PD-L1で処理した対照群に対比してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖抑制水準が類似していた。
【0084】
これは、KIRREL3をブロッキングするかノックダウンさせることで中和させればKIRREL3のT細胞増殖抑制能を低下させ得ることを意味する。その結果、効率的ながん治療が可能となる。
【0085】
1.3.2.CNTN4によるT細胞の活性阻害
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖率(%)をそれぞれ図3および図4に示した。
【0086】
PD-L1で処理した対照群は、IgG1で処理した対照群に比してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖が全て抑制された。
【0087】
CNTN4で処理した群は、IgG1で処理した対照群に対比してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖が顕著に抑制され、PD-L1で処理した対照群に対比してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖抑制水準が類似していた。
【0088】
これは、CNTN4をブロッキングするかノックダウンさせることで中和させればCNTN4のT細胞増殖抑制能を低下させ得ることを意味する。その結果、効率的ながん治療が可能となる。
【0089】
1.3.3.CD351によるT細胞の活性阻害
CD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖率(%)をそれぞれ図5および図6に示した。
【0090】
PD-L1で処理した対照群は、IgG1で処理した対照群に比してCD4+ T細胞の増殖が有意的に抑制されたのに対し、CD8+ T細胞の増殖に対しては、IgG1で処理した対照群と有意的な差を示さなかった。
【0091】
CD351で処理した群は、IgG1で処理した対照群およびPD-L1で処理した対照群の全てに対比してCD4+ T細胞およびCD8+ T細胞の増殖が顕著に抑制された。
【0092】
これは、CD351をブロッキングするかノックダウンさせることで中和させればCD351のT細胞増殖抑制能を低下させ得るようになる。その結果、効率的ながん治療が可能となる。
【0093】
実施例2.PBMC細胞毒性アッセイ
本実施例においては、KIRREL3、CNTN4またはCD351をKIRREL3、CNTN4またはCD351抑制剤を利用して中和させたとき、PBMCのがん細胞に対する細胞毒性、即ち、殺傷能を増加させ得るか否かを確認しようとした。
【0094】
2.1.PBMCの準備
ヒト血液をEDTA(またはヘパリン)でコーティングされた10mLチューブに入れ、1:1の比率でPBSと混合した。それから50mLチューブにFicoll-Paque PLUSを入れ、前記血液試料を添加した。遠心分離した後、ヒトPBMC(peripheral blood mononuclear cell)を回収した。回収された結果物を遠心分離し、上澄みを除去した。次いで、RBC lysis(1x)を添加し、ピペッティングした後、アイスで3分間保管した。次いで、10% FBS RPMI1640 50mlを添加し、混合物を遠心分離して上澄みを除去した。それから、FACSバッファを添加し、上澄みを遠心分離により除去した。その後、50mlのMACSバッファ(0.5% BSAおよび2mM EDTA包含PBS)を添加し、細胞数をカウンティングし、遠心分離により上澄みを除去した。
【0095】
96-ウェルプレートを4℃でPBS中anti-CD3抗体(BioLegend、Cat.No.317325)1.0μg/mlでコーティングした。96-ウェルプレートのウェルは、PBMCを添加する前にPBSで3回洗浄した。先に収得したPBMCを10% FBS RPMI1640と混合し、96-ウェルプレートの各ウェル毎に6×10個を100μlずつ添加した。PBMCは、72時間の間、anti-CD3抗体により活性化させた。
【0096】
2.2.がん細胞の準備
肺癌細胞株A549、結腸癌細胞株HCT-116、乳癌細胞株MDA-MB-231、胃癌細胞株MKN-74、および白血病細胞株U937をそれぞれ1μlのCFSE(carboxyfluorescein succinimidyl ester)と混合し、37℃で3分間保管した。その後、それぞれの細胞株を含有したチューブにFBSを添加し、10分間iceで保管した。次いで、上澄みを遠心分離により除去した。これによって収得された生成物にFACSバッファ30mlを添加した後、ピペッティングし、遠心分離して上澄みを除去した。それから10% FBS RPMI1640を添加した後、ピペッティングし、遠心分離して上澄みを除去した。これによって収得された生成物を10% FBS RPMI1640 10mlと混合した後、細胞数をカウンティングした。
【0097】
前記がん細胞を、先に実施例2.1において準備した96-ウェルプレートのPBMC含有ウェル毎に100μlずつ3×10個添加し、インキュベーションした。
【0098】
2.3.がん細胞株に対するPBMCの細胞毒性の測定
先に実施例2.2においてPBMCおよびがん細胞株の混合物が準備された。これらの混合物を10μg/mLのanti-human KIRREL3抗体、anti-human CNTN4抗体またはanti-human CD351抗体、または50nMのKIRREL3 siRNA、CNTN4 siRNAまたはCD351 siRNAと共に24時間の間、インキュベーションした。
【0099】
KIRREL3をブロッキングするために4種の中和抗体を使用した実験群1乃至4と無処理対照群は、下記表1に示し、KIRREL3をノックダウンするために3種のsiRNAを使用した実験群5乃至7と無処理対照群は、下記表2に示した。
【0100】
【表1】
【0101】
【表2】
【0102】
CNTN4をブロッキングするために5種の中和抗体を使用した実験群1乃至5と無処理対照群は、下記表3に示し、CNTN4をノックダウンするために3種のsiRNAを使用した実験群6乃至8と無処理対照群は、下記表4に示した。
【0103】
【表3】
【0104】
【表4】
【0105】
CD351をブロッキングするために3種の中和抗体を使用した実験群1乃至3と無処理対照群は、下記表5に示し、CD351をノックダウンするために3種のsiRNAを使用した実験群4乃至6と無処理対照群は、下記表6に示した。
【0106】
【表5】
【0107】
【表6】
【0108】
PBMCおよび細胞株の混合物と抗体またはsiRNAを共にインキュベーションし、24時間後に溶菌された細胞を確認するために、7-アミノアクチノマイシンD(7-AAD;BD Pharmingen、San Diego、CA、USA)で細胞を染色した。FACSDiVaソフトウェア(BD Biosciences)を利用してFL-1(CFSE)およびFL-3(7-AAD)に対する染色を測定することでがん細胞株に対するPBMCの細胞溶解能を確認した。
【0109】
2.4.結果
肺癌細胞株A549に対してKIRREL3中和抗体またはsiRNAで処理した時の実験結果を図7a乃至図7dに示し、CNTN4中和抗体またはsiRNAで処理した時の結果を図12a乃至図12dに示し、CD351中和抗体またはsiRNAで処理した時の結果を図17a乃至図17dに示した。
【0110】
肺癌細胞株A549とPBMCをKIRREL3中和抗体、CNTN4中和抗体またはCD351中和抗体で処理したとき、抗体の種類によって程度の差はあるが、無処理対照群に比して肺癌細胞殺傷能が有意的に増加したことを確認することができる。また、肺癌細胞株をKIRREL3 siRNA、CNTN4 siRNAまたはCD351 siRNAで処理した場合にも肺癌細胞殺傷能が有意的に増加したことが確認された。
【0111】
KIRREL3中和抗体またはsiRNAで処理したとき、結腸癌細胞株HCT-116に対する実験結果を図8a乃至図8dに示し、乳癌細胞株MDA-MB-231に対する実験結果を図9a乃至図9dに示し、胃癌細胞株MKN-74に対する実験結果を図10a乃至図10dに示し、白血病細胞株U937に対する実験結果を図11a乃至図11dに示した。
【0112】
また、CNTN4中和抗体またはsiRNAで処理したとき、結腸癌細胞株HCT-116に対する実験結果を図13a乃至図13dに示し、乳癌細胞株MDA-MB-231に対する実験結果を図14a乃至図14dに示し、胃癌細胞株MKN-74に対する実験結果を図15a乃至図15dに示し、白血病細胞株U937に対する実験結果を図16a乃至図16dに示した。
【0113】
また、CD351中和抗体またはsiRNAで処理したとき、結腸癌細胞株HCT-116に対する実験結果を図18a乃至図18dに示し、乳癌細胞株MDA-MB-231に対する実験結果を図19a乃至図19dに示し、胃癌細胞株MKN-74に対する実験結果を図20a乃至図20dに示し、白血病細胞株U937に対する実験結果を図21a乃至図21dに示した。
【0114】
抗体またはsiRNAを利用してKIRREL3、CNTN4およびCD351のいずれか一つを中和させたとき、PBMCの殺傷能が増加する結果は、図8a乃至図11d、図13a乃至図16dおよび図18a乃至図21dから見られるように、結腸癌、乳癌、胃癌、白血病においても同様に確認された。
【0115】
実施例3.腫瘍マウスモデル実験
本実施例においては、KIRREL3、CNTN4またはCD351をKIRREL3、CNTN4またはCD351抑制剤を利用して中和させたとき、マウス腫瘍の成長が抑制されるか否かをイン・ビボで確認しようとした。
【0116】
3.1.腫瘍マウスモデル構築
C57BL6結腸腺癌腫細胞に由来したMC38細胞株を50μl PBS中に2.0×10細胞数濃度で再懸濁させ、6週齢雌C57BL6マウスの横腹に皮下注射した。
【0117】
下記表7にKIRREL3をノックダウンするためにsiRNAを使用した実験群8と無処理対照群を示した。
【0118】
【表7】
【0119】
下記表8にCNTN4をノックダウンするためにsiRNAを使用した実験群9と無処理対照群を示した。
【0120】
【表8】
【0121】
下記表9にCD351をノックダウンするために3種のsiRNAを使用した実験群7,8および9と無処理対照群を示した。
【0122】
【表9】
【0123】
全ての実験群は、MC38細胞株を注射して11日目になる日からマウスKIRREL3、CNTN4またはCD351をターゲットするsiRNAを5日間隔で計3回マウスの腫瘍に注射した。具体的に、siRNA10μgをPBS中オリゴフェクタミン(Invitrogen社)7.5μlと製造会社の指示に従って混合した後、マウスに誘導した腫瘍組織に直接0.5mg/kgの投与量で注射した。
【0124】
3.2.結果
無処理対照群とKIRREL3がノックダウンされた実験群8においてマウスの腫瘍の大きさを測定した結果を図22に示し、CNTN4がノックダウンされた実験群9においてマウスの腫瘍の大きさを測定した結果を図23に示し、CD351がノックダウンされた実験群7乃至9においてマウスの腫瘍の大きさを測定した結果を図24a乃至図24cに示した。
【0125】
無処理対照群は、マウスで腫瘍が生成した以降、持続的に成長することを確認することができた。これに対して、KIRREL3、CNTN4およびCD351のいずれか一つがノックダウンされたマウスの腫瘍は、無処理対照群に比してその成長速度が顕著に抑制されることが分かる。これは、KIRREL3、CNTN4およびCD351のいずれか一つ以上をブロッキングまたはノックダウンさせてその活性または発現を抑制する場合、がんの発達が遅延または中止され、がんの発生が抑制されるということを示すものである。従って、KIRREL3、CNTN4およびCD351のいずれか一つ以上の抑制剤は、がんを予防するために有用に使用され得る。
【0126】
当業者は、本明細書に記載された本発明の特定具現例に対する多数の均等物を認知するか、または通常の実験だけで確認することができるだろう。このような均等物は、下記の請求項に含まれるものと意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
図8a
図8b
図8c
図8d
図9a
図9b
図9c
図9d
図10a
図10b
図10c
図10d
図11a
図11b
図11c
図11d
図12a
図12b
図12c
図12d
図13a
図13b
図13c
図13d
図14a
図14b
図14c
図14d
図15a
図15b
図15c
図15d
図16a
図16b
図16c
図16d
図17a
図17b
図17c
図17d
図18a
図18b
図18c
図18d
図19a
図19b
図19c
図19d
図20a
図20b
図20c
図20d
図21a
図21b
図21c
図21d
図22
図23
図24a
図24b
図24c
【配列表】
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