(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】診療装置
(51)【国際特許分類】
A61C 19/00 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
A61C19/00 J
A61C19/00 Z
A61C19/00 B
(21)【出願番号】P 2021008981
(22)【出願日】2021-01-22
【審査請求日】2021-01-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000141598
【氏名又は名称】株式会社吉田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 通三
(72)【発明者】
【氏名】川原 恒夫
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-288457(JP,A)
【文献】中国実用新案第201370648(CN,Y)
【文献】特開平11-144513(JP,A)
【文献】特開平6-335485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 19/00
A61F 9/007
A61F 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
診療椅子と、診療用無影灯と、を有する診療装置であって、
紫外線照射灯を備え、
前記紫外線照射灯は、少なくとも前記診療椅子を俯瞰する位置から前記診療椅子のシート部に向けて紫外線を照射し、当該シート部および/またはその周辺器材を殺菌可能とし、
紫外線光源部から紫外線が被写体に照射される範囲を照射野とすると、前記紫外線照射灯は、前記照射野を前記診療椅子のヘッドレストからレッグレストまでの区間の一部、または、全部を照射可能にする長手方向照射位置調整駆動手段と、
前記照射野の大きさを可変するための自動または手動の紫外線照射野可変手段と、を有し
、
前記診療装置は、前記診療椅子または前記照射野に人がいないことを検知して前記紫外線照射灯からの紫外線の照射を可能にする患者検出手段を備え、前記患者検出手段によって前記診療椅子または前記照射野に人がいないことを検知したときに、前記紫外線照射灯から紫外線を照射して殺菌をすること、
を特徴とする診療装置。
【請求項2】
前記周辺器材は、少なくとも診療用テーブル、ドクター用インスツルメントハンガ、アシスタント用インスツルメントハンガ、スピットン、床材、壁材のうちの一つを含むこと、
を特徴とする請求項1記載の診療装置。
【請求項3】
前記シート部および/または前記周辺器材に酸化チタンを含有したこと、
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の診療装置。
【請求項4】
前記酸化チタンに前記紫外線を照射することによる光触媒反応によって殺菌可能としたこと、
を特徴とする請求項3に記載の診療装置。
【請求項5】
前記紫外線照射灯は、前記診療用無影灯と一体的に、または、前記診療用無影灯の近傍に設けられていること、
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項6】
前記紫外線照射灯が俯瞰する位置は、前記診療椅子の長手方向の中心線上の上方であること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項7】
紫外線光源部から紫外線が被写体に照射される範囲を照射野とすると、前記紫外線照射灯は、前記照射野を前記診療椅子のシート幅方向に調整可能な幅方向照射角度調整駆動手段を有していること、
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項8】
前記紫外線照射灯は、前記照射野の形状を変えるためのガイドマスクを備えたこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項9】
前記長手方向照射位置調整駆動手段は、前記紫外線光源部を前記診療椅子の長手方向に垂直旋回させる垂直旋回軸を有し、当該垂直旋回軸を前記俯瞰する位置上の一点に固定し、前記垂直旋回軸を中心に前記紫外線光源部を旋回させて前記照射野を前記診療椅子の長手方向に移動可能にしたこと、
を特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項10】
前記長手方向照射位置調整駆動手段は、前記紫外線光源部を前記診療椅子の長手方向に直線走行可能な走行手段を有し、前記照射野を移動可能にしたこと、
を特徴とする請求項1または請求項9に記載の診療装置。
【請求項11】
前記紫外線照射灯は、紫外線光源部から紫外線が被写体に照射される範囲の照射野を、所定のスキャン速度及び所定のスキャン軌跡で移動可能とし、
前記診療装置は、前記照射野のスキャン速度及び前記照射野のスキャン軌跡を予め設定可能な設定手段と、
前記設定手段で設定された前記スキャン速度及び前記スキャン軌跡に沿って前記紫外線照射灯の自動照射可能に運転プログラムを作成する演算手段と、
前記紫外線照射灯の自動照射の操作を行う操作手段と、を有していること、
を特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項12】
前記紫外線照射灯を制御する制御装置は、紫外線を照射する位置と時間の設定、及び、紫外線を照射しないで移動するルートの設定を行う設定手段と、
設定された通りに移動して紫外線を照射するプログラムを作成する演算手段と、
自動照射の操作を行う操作手段と、を有していること、
を特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の診療装置。
【請求項13】
前記設定手段は、さらに、前記診療椅子の紫外線照射ポジション及び診療用テーブルの紫外線照射ポジションの設定が可能であること、
を特徴とする請求項12に記載の診療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者の患部を照明する診療用無影灯を備えた診療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯科、耳鼻科等の治療を行う場合には、患者の患部を照明する診療用無影灯が使用されている(例えば、特許文献1参照)。この他、その診療用無影灯には、ウイルスや細菌を殺菌する殺菌灯を取り付けたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0003】
特許文献2に記載の無影灯は、無影灯用ランプ(3)の反射ミラー(2)の後側に殺菌灯(10)を設置している。昼間の診療中は、殺菌灯(10)で天井を照らすようにして天井付近を浮遊している菌を滅菌している。夜間等の休診中は、無影灯(1)の向きを上側に反転させて、殺菌灯(10)を下向きにして床面等に付着している菌を滅菌している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-130333号公報
【文献】実開平5-20717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献2に記載の無影灯は、天井を照らして滅菌したり、床面を照らして滅菌したりする場合は、間接(9)及び不図示の支持アームを手で回動して、照射方向を変える必要があった。さらに、特許文献2に記載の無影灯で診療器具、診療用ベッド、歯科用椅子等を殺菌する場合は、殺菌灯(10)で照射する範囲が広いため、手で無影灯を移動させて、殺菌灯(10)の照射範囲を変更する必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、そのような問題点を解消すべく発明されたものであって、人の手を煩わせることなく診療椅子等を殺菌することができる診療装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、診療椅子と、診療用無影灯と、を有する診療装置であって、紫外線照射灯を備え、前記紫外線照射灯は、少なくとも前記診療椅子を俯瞰する位置から前記診療椅子のシート部に向けて紫外線を照射し、当該シート部および/またはその周辺器材を殺菌可能とし、紫外線光源部から紫外線が被写体に照射される範囲を照射野とすると、前記紫外線照射灯は、前記照射野を前記診療椅子のヘッドレストからレッグレストまでの区間の一部、または、全部を照射可能にする長手方向照射位置調整駆動手段と、前記照射野の大きさを可変するための自動または手動の紫外線照射野可変手段と、を有し、前記診療装置は、前記診療椅子または前記照射野に人がいないことを検知して前記紫外線照射灯からの紫外線の照射を可能にする患者検出手段を備え、前記患者検出手段によって前記診療椅子または前記照射野に人がいないことを検知したときに、前記紫外線照射灯から紫外線を照射して殺菌をすることを特徴とする。
ここで、「シート部」とは、診療椅子全体、また、診療椅子のうちの座部、バックレスト、ヘッドレスト、アームレスト、レッグレストのうちのいずれか一つ、あるいは、それらのうちの複数とする。
【0008】
また、前記周辺器材は、少なくとも診療用テーブル、ドクター用インスツルメントハンガ、アシスタント用インスツルメントハンガ、スピットン、床材、壁材のうちの一つを含むことが好ましい。
また、前記シート部および/または前記周辺器材に酸化チタンを含有することが好ましい。
また、前記酸化チタンに前記紫外線を照射することによる光触媒反応によって殺菌可能とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人の手を煩わせることなく診療椅子等を殺菌することができる診療装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る診療装置の一例を示す概略斜視図である。
【
図7A】ダブル誘電体方式の紫外線発生の原理を示す説明図である。
【
図8A】シングル誘電体方式の紫外線発生の原理を示す説明図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る診療装置の第1変形例を示す図であり、紫外線照射灯の配置状態を示す概略斜視図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る診療装置の第2変形例を示す図であり、紫外線照射灯の設置状態を示す概略正面図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る診療装置の第3変形例を示す図であり、紫外線照射灯の設置状態を示す概略正面図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る診療装置の第4変形例を示す図であり、手動式の紫外線照射野可変手段を有する紫外線照射灯の構造を示す概略図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る診療装置の第4変形例を示す図であり、自動式の紫外線照射野可変手段を有する紫外線照射灯の構造を示す概略図である。
【
図14】本発明の実施形態に係る診療装置の第5変形例を示す図であり、長手方向照射位置調整駆動手段を有する紫外線照射灯を示す概略図である。
【
図15】本発明の実施形態に係る診療装置の第6変形例を示す図であり、紫外線照射灯を走行させる走行手段を示す概略図である。
【
図16A】本発明の実施形態に係る診療装置の第7変形例を示す図であり、走行手段を示す概略図である。
【
図16B】本発明の実施形態に係る診療装置の第7変形例を示す図であり、紫外線照射灯を移動させる走行手段を示す概略図である。
【
図17A】本発明の実施形態に係る診療装置の第8変形例を示す図であり、走行手段を示す概略図である。
【
図17B】本発明の実施形態に係る診療装置の第8変形例を示す図であり、紫外線照射灯を診療椅子の中央部上方に移動させたときの状態を示す概略図である。
【
図17C】本発明の実施形態に係る診療装置の第8変形例を示す図であり、紫外線照射灯をレッグレストの上方に移動させたときの状態を示す概略図である。
【
図18A】本発明の実施形態に係る診療装置の第9変形例を示す概略斜視図である。
【
図18B】本発明の実施形態に係る診療装置の第9変形例を示す図であり、照射野のスキャン軌跡を示す説明図である。
【
図18C】本発明の実施形態に係る診療装置の第9変形例を示す図であり、照射野のスキャン軌跡と、紫外線照射及びスキャン速度との関係を示す表である。
【
図18D】本発明の実施形態に係る診療装置の第9変形例を示すブロック図である。
【
図19A】本発明の実施形態に係る診療装置の第10変形例を示す概略斜視図である。
【
図19B】本発明の実施形態に係る診療装置の第10変形例を示す図であり、照射野のスキャン軌跡を示す説明図である。
【
図19C】本発明の実施形態に係る診療装置の第10変形例を示す図であり、照射野のスキャン軌跡と、紫外線照射及びスキャン速度との関係を示す表である。
【
図19D】本発明の実施形態に係る診療装置の第10変形例を示すブロック図である。
【
図20】本発明の実施形態に係る診療装置の第11変形例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、
図1~
図8Bを参照して本発明の実施形態に係る診療装置Sの一例を説明する。
なお、便宜上、前後、左右、上下は、
図1に示す診療用無影灯2の向いている方向を正面(前)として基準とする。また、以下の説明において、同一の構成のものは、同じ符号を付してその説明を省略する。
【0012】
<診療装置>
図1に示す診療装置Sは、歯科、耳鼻科、眼科等の医療の診断・治療を行うのに使用される装置である。診療装置Sは、例えば、鼻、眼、口腔等を診療部位とする医療に主に使用される。診療装置Sは、少なくとも、患者が着座する診療椅子11と、患者の口腔を明るく照らすための診療用無影灯2と、殺菌用の紫外線照射灯4と、を有している。このため、診療装置Sは、患者がいない診療椅子11、診療用テーブル5、その周辺に配置された周辺器材等の診療器具に紫外線を照射して殺菌できる機能を有している。
【0013】
なお、診療装置Sは、医療の診断、治療を行う装置であればよく、使用用途、設置場所等は特に限定されない。以下、診療装置Sの一例として、診療用無影灯2を備えた歯科用診療装置100によって、患者の口腔内を治療する場合を例に挙げて説明する。
【0014】
<歯科用診療装置>
図1に示すように、歯科用診療装置100は、歯科用治療ユニット1と、必要に応じてスマートフォン6と、を備えて構成されている。歯科用診療装置100は、診療室R内に配置されている。
スマートフォン6は、診療用無影灯2を後記する通常診療モードと、診療器具殺菌モードと、に切換可能なモード切換手段としての機能を有している。なお、スマートフォン6は、タブレット端末であってもよい。
【0015】
<歯科用治療ユニット>
歯科用治療ユニット1は、診療椅子11と、診察台10と、診察台10に立設された支柱12と、支柱12の上部に軸支されたアーム13と、アーム13の先端部に取り付けた診療用無影灯2と、診療用テーブル5と、ドクター用インスツルメントハンガ15と、アシスタント用インスツルメントハンガ16と、スピットン17と、操作手段51と、患者検出手段28と、表示部55と、表示装置(図示省略)と、を備えている。歯科用治療ユニット1は、診察台10、支柱12、アーム13、診療用無影灯2及び診療用テーブル5を有するものであればよく、型式、種類等は特に限定されない。
【0016】
<診察台>
図1に示すように、診察台10は、歯科用ユニットである。診察台10は、支柱12を有するものであればよく、形状、構造等は特に限定されるものではない。
【0017】
<診療椅子>
診療椅子11は、患者が診療時に着座する医療用椅子である。診療椅子11は、ベース部11aと、座部11bと、バックレスト11cと、ヘッドレスト11dと、アームレスト11eと、レッグレスト11fと、を有している。診療椅子11のシート材料は、酸化チタンを含有してもよい。
【0018】
ベース部11aは、診療椅子11の基台となる部位である。ベース部11aには、診療椅子11の他に、診察台10と、診療用テーブル5と、ドクター用インスツルメントハンガ15と、アシスタント用インスツルメントハンガ16と、が設けられている。
バックレスト11cは、患者の背部を支えて患者を所定の診療体位に保持する部位である。座部11bまたはバックレスト11cには、患者の有無を検知する患者検出手段14が設けられている。
ヘッドレスト11dは、患者の頭部を支える部位である。
アームレスト11eは、患者の左右の肘をそれぞれ支える部位である。
レッグレスト11fは、患者の足部を支える部位である。
【0019】
<周辺器材>
周辺器材は、診療室R内において、診療椅子11の周辺に配置されているものである。周辺器材は、診療用テーブル5、ドクター用インスツルメントハンガ15、アシスタント用インスツルメントハンガ16、スピットン17、診療室Rの床材R1、診療室Rの壁材R2等である。周辺器材は、酸化チタンを含有している。
【0020】
支柱12は、アーム13の基端部を回転可能に支持する柱部材である。支柱12は、例えば、電源等と診療用無影灯2とを電気的に接続するハーネス(図示省略)を挿通した円筒形状の金属製部材によって形成されている。支柱12の上部には、アーム13の基端部が回動可能に設置されている。
【0021】
アーム13は、支柱12から診療用無影灯2に延びて配置されて、所定以上の力(予め設定された回転方向の任意の力)を移動方向に加えることで、診療用無影灯2を上下前後左右方向に移動可能に弾性支持する支持力を有するバランスアームから成る。アーム13は、複数の関節を有する多関節アームから成る。アーム13は、支柱12に軸支された第1アーム13aと、第1アーム13aの先端側に配置された第2アーム13bと、第1アーム13a及び第2アーム13b内に配線されたハーネス(図示省略)と、第1アーム13aと第2アーム13bとの間に設けられたジョイント部13cと、第2アーム13bの先端の設けられた接続部13dと、を備えて成る。なお、アーム13の構成等は、適宜変更してよい。
【0022】
<患者検出手段>
図1に示す患者検出手段14,28は、診療椅子11または照射野P1,P2(
図4、
図9参照)に人がいないことを検知して紫外線照射灯4からの紫外線の照射を可能にするためのセンサである。患者検出手段14は、患者が診療椅子11に着座したときに、患者の体重によって診療椅子11やヘッドレスト11dが押される押圧力を検出する圧力センサや、患者の体重で押されてONする着座スイッチや、人を検出する赤外線検知センサ、光センサや、人を検出するための撮像カメラ等から成る。なお、圧力センサまたは着座スイッチから成る患者検出手段14の場合は、診療椅子11の座部11bあるいはバックレスト11cに設けられている。赤外線検知センサ、光センサあるいは撮像カメラから成る患者検出手段14の場合は、アーム13、診療用無影灯2、あるいは支柱12に設けられている。
【0023】
<診療用無影灯>
図1及び
図2に示すように、診療用無影灯2は、患者の口腔内、被検査歯(歯牙)、根管内等を明るく照らすための照明装置である。
図2、
図4あるいは
図5に示すように、診療用無影灯2は、筐体21と、ジョイント部22と、左右の把持部23と、反射ミラー24と、固定ブロック25と、垂直旋回軸26と、水平旋回軸27と、クラッチC1と、垂直旋回用エンコーダE1と、シート幅旋回用エンコーダE2と、垂直旋回モータM1と、シート幅旋回モータM2と、患者検出手段28と、操作手段29と、複数(例えば、4つ)の照明用光源3と、紫外線照射灯4と、を備えて成る。また、診療用無影灯2は、通常診療モードと、診療器具殺菌モードと、の2種類のモードを有している。
【0024】
<通常診療モード>
通常診療モードは、患者の患部に対して照明用光源3による通常照明照射のみを行うモードである。
【0025】
<診療器具殺菌モード>
図1に示すように、診療器具殺菌モードは、診療前後に診療装置Sの所望の診療器具等に、紫外線照射灯4で紫外線を照射して殺菌を行うモードである。このため、歯科用診療装置100は、診療時の前後に、診療器具に対して殺菌消毒が可能となるので、術者、補助者、患者に対しての感染を防止することが可能となる。
【0026】
ここで、診療器具とは、診療椅子11とその周辺器材が含まれ、具体的には、
図1に示す診療椅子11のヘッドレスト11dと、バックレスト11cと、座部11bと、レッグレスト11fと、アームレスト11eと、ドクター用インスツルメントハンガ15と、アシスタント用インスツルメントハンガ16と、診療用テーブル5(ドクターテーブル)と、診察台10と、操作パネル54と、床材R1と、壁材R2等が含まれる。
【0027】
<筐体>
図2及び
図4に示すように、筐体21は、診療用無影灯2のケース本体である。筐体21は、略お椀型をしている。筐体21の前面には、反射ミラー24、照明用光源3及び紫外線照射灯4が設けられている。筐体21の下部には、操作手段29が設けられている。筐体21の後部には、ジョイント部22が設けられている。筐体21の左右側面には、把持部23が突設されている。筐体21には、多数の接続端子を有する電気接続部(図示省略)が設けられている。
【0028】
<ジョイント部>
図4及び
図5に示すように、ジョイント部22は、筐体21をアーム13の接続部13dに対して上下左右方向に回動自在に連結する自在接手を構成する連結部材である(
図1参照)。ジョイント部22は、水平旋回ジョイント22aと、垂直旋回ジョイント22bと、水平旋回アーム22cと、を備えて構成されている。このため、筐体21の前面に配置された照明用光源3及び紫外線照射灯4は、照射する方向を自由に変えることが可能になっている。
【0029】
水平旋回ジョイント22aは、接続部13dに回転自在に連結されている。
垂直旋回ジョイント22bは、筐体21の後面左右から突出した垂直旋回軸26の先端部に回転自在に連結されている。
水平旋回アーム22cは、水平旋回ジョイント22aと垂直旋回ジョイント22bとの間に設けられて、両者を連結した連結部材である。
【0030】
<把持部>
図2及び
図4に示すように把持部23は、照明用光源3または紫外線照射灯4を照射するとき、あるいは、筐体21をアーム13に着脱したり、筐体21の向きを調整したりするときに、持ち手となる部材である。把持部23は、略U字状に形成された略棒状の部材から成る。左側の把持部23の下側には、患者検出手段28が取り付けられている。
【0031】
<操作手段>
図1に示す操作手段29,51,61は、診療用無影灯2が点灯する通常診療モードと、紫外線照射灯4が点灯する診療器具殺菌モードと、に切り換えるモード切換スイッチ(モード選択スイッチ)である。つまり、操作手段29,51,61は、通常診療モードと、診療器具殺菌モードと、を有している。
【0032】
操作手段29は、診療用無影灯2と、紫外線照射灯4とのどちらかを点灯及び消灯させることが可能なスイッチであればよく、その切換機構は特に限定されず、例えば、スライドスイッチ、押釦スイッチ、ロータイリースイッチ、非接触スイッチ(近接センサ)等から成る。操作手段29は、その一例を挙げると、
図3に示すように、診療用無影灯2を点灯させる診療用無影灯点灯接点部29aと、紫外線照射灯4を点灯させる紫外線照射灯点灯接点部29cと、を有するスライドスイッチから成る。非接触スイッチ29bは、前記スライドスイッチで選択された診療用無影灯点灯接点部29aまたは紫外線照射灯点灯接点部29cの点灯及び消灯を切り換える非接触スイッチである。消灯時に手をかざすことで点灯し、再度手をかざすことで消灯する。
【0033】
図1に示すように、操作手段51は、診療用テーブル5の操作パネル54に設けられたタッチスイッチから成る。
操作手段61は、スマートフォン6の操作画面に設けられている。
【0034】
<表示部>
表示部55は、通常診療モードと、診療器具殺菌モードとの二つのうちのどれであるかを表示する表示器である。表示部55は、診療用テーブル5に設けられた液晶表示装置、あるいは、LED表示装置から成る。
【0035】
<照明用光源>
図2に示す照明用光源3は、例えば、ランプあるいはLEDの後ろ側に反射ミラー用の拡散板を設置し、面光源として影を生じないように被写体の周囲に所望の照射野(光パターン)を設ける無影灯から成る(例えば、特開2014-53164号公報参照)。照明用光源3は、不図示の支持体を介して支持部に、回動機構によって回動自在に取り付けられている。このため、照明用光源3によって照明される照明位置は、自由に調整することができるようになっている。歯科用の通常照明光の照明用光源3は、一般に、色温度3600°K~6000°K(ケルビン温度)の白色光が使用されている。照明用光源3は、診療用無影灯2に紫外線照射灯4と一体に構成する場合は、通常照明の中央に紫外線照射灯4を設け直接集光手段を用いて診療器具に照射するようにする。
なお、照明用光源3は、無影灯であればよく、影が生じないように複数のLEDを設け、前方に照射野形状のスリット及びレンズを配置して照射野を設けた周知の無影灯であってもよい。
【0036】
<紫外線照射灯>
図2及び
図4に示す紫外線照射灯4は、紫外線を発生する装置である。紫外線照射灯4は、殺菌可能な紫外線を照射できる装置であればよく、構造、種類、紫外線光源部40から発生する紫外線の波長等は特に限定されない。
【0037】
図1に示すように、紫外線照射灯4は、少なくとも診療椅子11を俯瞰する位置から診療椅子11のシート部に向けて紫外線を照射し、当該シート部のシート面を殺菌可能である。また、紫外線照射灯4は、診療椅子11及び周辺器材に含有された酸化チタンに紫外線を照射することによる光触媒反応によっても殺菌可能である。紫外線照射灯4が俯瞰する位置は、診療椅子11の長手方向の中心線O1-O1上の上方である。紫外線照射灯4は、照明用光源3がある診療用無影灯2と一体的に、または、診療用無影灯2の近傍に設けられている。このため、紫外線照射灯4は、治療前後の診療器具に紫外線を照射して殺菌することが可能になる。紫外線照射灯4は、紫外線を照射可能な照射野P1,P2(
図9参照)を有している。紫外線照射灯4の照射野P1,P2は、設定した照射角度になるように後記する長手方向照射位置調整駆動手段45及び幅方向照射角度調整駆動手段46(
図5参照)によって調整される。
【0038】
<紫外線光源部>
紫外線光源部40は、紫外線を発生する光源である。紫外線光源部40は、診療用無影灯2の反射ミラー24の中央部に設けられている。なお、紫外線光源部40は、紫外線を発光するものであればよい。紫外線光源部40は、診療用無影灯2に設けることには限定されず、診療用無影灯2の近傍に配置してもよい。
【0039】
例えば、紫外線光源部40は、波長が200nm~400nmのメタル・ハライド・UVランプや、365nmの高圧水銀UVランプを使用して紫外線を照射してもよい。なお、紫外線光源部40から発生される紫外線の波長は、好ましくは、190nm~230nm、あるいは、230nm~280nmであり、より好ましくは、193nm,207nm、222nmまたは254nmにピークを有している。紫外線光源部40は、当該紫外線光源部40から発生される紫外線が特定(単一)の波長以外の波長を有することを防止するハンドパスフィルタ等のフィルタ(図示省略)を備えている。紫外線光源部40の190nm~230nmの波長域を発光する発光源には、波長域を照射可能なエキシマランプと、紫外線LEDとがあり、230nm~280nmの波長域を発光する発光源には、波長域を照射可能なエキシマランプと、紫外線LEDと、低圧水銀ランプとがある。
紫外線光源部40には、エキシマランプ41と、紫外線LEDとがあるが、以下、エキシマランプ41を使用した場合の一例を説明する(
図6参照)。
【0040】
次に、
図6を参照して紫外線照射灯4の構造を説明する。
図6に示すように、紫外線照射灯4は、交流電源ACと、エキシマランプ41と、ガイドマスク42と、バンドパスフィルタ43と、コーン44と、を備えて構成されている。
【0041】
<エキシマランプ>
エキシマランプ41は、例えば、波長が193nmの場合はArF(アルゴン・フッ素)エキシマランプ、波長が207nmの場合はKrBr(クリプトン・臭素)エキシマランプ、波長が222nmの場合はKrCl(クリプトン・塩素)エキシマランプ、波長が254nmの場合はHgXe(水銀・キセノン)エキシマランプ等がある。これらの中で、新型コロナウイルス(正式名称は「SARS-Cov-2」)を最も短時間で死滅させるには、波長222nmのKrCl(クリプトン・塩素)エキシマランプが最も好ましい。
【0042】
エキシマランプには、
図7Aに示すダブル誘電体方式(矩形型)のエキシマランプ41Aと、
図8A及び
図8Bに示すシングル誘電体方式(円筒型)のエキシマランプ41Bとがあり、そのどちらかを使用する。
【0043】
<ダブル誘電体方式のエキシマランプ>
図7Aに示すように、ダブル誘電体方式のエキシマランプ41Aは、上側から順に金属電極41Aaと、誘電体41Abと、放電プラズマが発生する放電空間41Acと、誘電体41Adと、金属網電極41Aeとを備えて構成されて、光照射41Afを発する。
【0044】
二つの誘電体41Ab,41Adは、放電空間41Acを介して平行に配置された板状の石英ガラスから成る。
放電空間41Acには、放電用ガスが充填されている。放電用ガスは、希ガスとハロゲンガスの混合ガスを用いて紫外線を発光させることができる。希ガスは、ArF(193nm)、KrBr(207nm)、KrCl(222nm)、HgXe(254nm)がある。新型コロナウイルスを最も短時間で死滅させる希ガスは、
図7Bに示すように、波長222nmのKrCl(クリプトン・塩素)エキシマランプの相対強度が強く最も好ましい。
【0045】
金属電極41Aaは、誘電体41Abの上側に配置されている。金属電極41Aaと金属網電極41Aeとの電極間には、高周波、高電圧(数Hz~数MHz、数kV)が印加される。この電圧の印加に伴って、誘電体41Ab,41Adの放電空間41Ac側の表面には、プラス、マイナスの電位が誘電されて、表面電位差が放電破壊電圧に達すると、放電空間41Ac内で放電し、放電プラズマが発生させる。そして、エキシマランプ41Aは、放電時の電子と封入ガス分子との衝突によってエキシマ発光する。
【0046】
<シングル誘電体方式のエキシマランプ>
図8A及び
図8Bに示すように、シングル誘電体方式のエキシマランプ41Bは、誘導体41Baと、外部電極41Bbと、内部電極41Bcと、放電空間41Bdと、を備えて構成されて、光照射41Beを発する。
【0047】
誘導体41Baは、一つの円筒状の石英ガラスから成る。
外部電極41Bbは、誘導体41Baの外側表面に設けられた棒状の電極から成る。
内部電極41Bcは、誘導体41Baの中心線上に配置された棒状の電極から成る。
放電空間41Bdは、円筒状の誘導体41Ba内の空間である。放電空間41Bd内には、ガス体が注入されて放電プラズマが発生される。そして、放電空間41Bd内の内部電極41Bcと、放電管である誘導体41Ba外の外部電極41Bbと、の間に低い印加電圧を加えると、誘導体41Ba内には、放電プラズマが発生し、誘導体41Ba外には、紫外線が光放射される。
【0048】
<ガイドマスク>
図6に示すように、ガイドマスク42は、照射野P1,P2(
図4、
図9参照)の形状や、照射パターン形状を変えたり、決めたりするための部材である。このため、ガイドマスク42は、矩形状にすることで、照射野P1(
図9参照)を矩形にすることができる。ガイドマスク42は、矩形であっても、正方形でも、円形であってもよく、その形状は特に限定されない。なお、ガイドマスク42は、交換可能にしてもよい。
【0049】
<バンドパスフィルタ>
バンドパスフィルタ43は、特定の波長のみを透過するフィルタである。バンドパスフィルタ43は、例えば、希ガスがKrCl(クリプトン・塩素)の場合は波長222nmの遠紫外線C波のみを通過させるフィルタである。このため、バンドパスフィルタ43は、殺菌するのに適合した波長のものを使用する。
【0050】
<コーン>
コーン44は、紫外線照射の広がりを抑制するための円筒形の部材である。コーン44の内壁は、紫外線を無反射処理する無電解ニッケルメッキ処理されて、診療椅子11のシート部や診療器具を照射する紫外線の広がりを抑えている。なお、コーン44は、円筒形状のものに限定されず、角筒状(多角形状)のものであってもよい。
【0051】
紫外線照射灯4は、例えば、紫外線の相対強度を示すグラフ(
図7B)の希ガスがKrCl(クリプトン・塩素)の特性に於いて、前述のようにバンドパスフィルタ43を用いてピーク波長の222nmの特定波長のみを通過させるようにしてもよいし、190nm~230nm、あるいは、230nm~280nmの範囲外の波長を通過させないようなバンドパスフィルタ43を用いてもよい。
このように紫外線照射灯4は、希ガスの選択や、バンドパスフィルタ43の波長の通過領域を抽出することで、波長が190nm~230nm、あるいは、230nm~280nmの範囲で特定波長のみを発生するようにしてもよいし、波長が190nm~230nm、あるいは、230nm~280nmのいずれかの特定範囲の波長を発生するようにしてもよい。
【0052】
<長手方向照射位置調整駆動手段>
照射野P1(
図9参照)は、紫外線光源部40から紫外線が被写体に照射される範囲をいう。
図1または
図4に示すように、長手方向照射位置調整駆動手段45は、照射野P1(
図9参照)を診療椅子11のヘッドレスト11dからレッグレスト11fまでの区間の一部、または、全部を照射可能にするための位置調整装置である。長手方向照射位置調整駆動手段45は、手動式であっても、電動式あるいはその他の駆動式のものであってもよい。以下、長手方向照射位置調整駆動手段45の一例として電動式のものを例に挙げて説明する。
【0053】
図4または
図5に示すように、長手方向照射位置調整駆動手段45は、固定ブロック25と、垂直旋回軸26と、クラッチC1と、垂直旋回モータM1と、垂直旋回用エンコーダE1と、を備えて構成されている。
図1、
図4あるいは
図5に示すように、長手方向照射位置調整駆動手段45は、垂直旋回軸26を俯瞰する位置上の一点に固定し、垂直旋回軸26を中心に紫外線光源部40を旋回させて照射野P1(
図9参照)を診療椅子11の長手方向に移動可能にする。
【0054】
図5に示すように、固定ブロック25は、垂直旋回軸26を軸支する軸受部材である。固定ブロック25は、筐体21の後側の中央部に左右方向に向けて設置されて、垂直旋回軸26を回転自在に軸支する筒状の軸受部材から成る。固定ブロック25は、筐体21に一体形成、または、固定されている。
垂直旋回軸26は、紫外線光源部40を診療椅子11の長手方向に垂直旋回させる軸棒部である。
【0055】
図4または
図5に示すように、クラッチC1は、垂直旋回軸26と、垂直旋回モータM1のロータ軸とを伝達可能に接続したり、遮断したりするための装置である。クラッチC1は、垂直旋回軸26と、垂直旋回モータM1のロータ軸との間に設けられている。クラッチC1の構造は、特に限定されない。クラッチC1は、制御装置(図示省略)に接続されて、制御装置からの駆動信号を受けて駆動する。クラッチC1が遮断されているときは、把持部23の操作で筐体21を垂直旋回軸26に対して手動で旋回させることができる。
【0056】
垂直旋回モータM1は、紫外線照射灯4及び照明用光源3が設けられた筐体21を、クラッチC1、垂直旋回軸26及び固定ブロック25を介在して垂直旋回させるための駆動源である。垂直旋回モータM1は、診療用テーブル5の操作手段51に接続されて、操作手段51によって駆動操作される。
【0057】
垂直旋回用エンコーダE1は、垂直旋回モータM1のロータ軸の回転角度を検出するロータリーエンコーダである。垂直旋回用エンコーダE1は、制御装置(図示省略)に接続されている。
【0058】
<幅方向照射角度調整駆動手段>
図5に示すように、幅方向照射角度調整駆動手段46は、照射野P2を診療椅子11のシート幅方向に調整可能な駆動装置である。幅方向照射角度調整駆動手段46は、紫外線光源部40と、シート幅方向旋回軸40bと、シート幅旋回モータM2と、シート幅旋回用エンコーダE2と、を備えて構成されている。なお、幅方向照射角度調整駆動手段46は、診療椅子11のみではなく、診療椅子11の横に配置された診療用テーブル5も照射可能にすることができる。幅方向照射角度調整駆動手段46は、手動であっても、自動であってもよい。
【0059】
シート幅方向旋回軸40bは、紫外線光源部40をシート幅方向に旋回させるための軸棒である。シート幅方向旋回軸40bは、筐体21の中央部に上下方向に向けて配置されている。
【0060】
シート幅旋回モータM2は、紫外線照射灯4及び照明用光源3が設けられた筐体21を、シート幅方向旋回軸40bを介在して水平旋回させるための駆動源である。シート幅旋回モータM2は、診療用テーブル5の操作手段51に接続されて、操作手段51によって操作される。
【0061】
シート幅旋回用エンコーダE2は、シート幅旋回モータM2のロータ軸の回転角度を検出するロータリーエンコーダである。シート幅旋回用エンコーダE2は、制御装置(図示省略)に接続されている。
【0062】
<診療用テーブル>
図1に示すように、診療用テーブル5は、ドクターテーブルともいわれるテーブルである。診療用テーブル5は、前記した操作手段51と、照射時間設定手段52と、報知手段53と、操作パネル54と、表示部55と、を有している。診療用テーブル5は、診療椅子11のベース部11aに設けられて、ドクター用インスツルメントハンガ15及び診療椅子11の近隣に配置されている。
【0063】
<照射時間設定手段>
照射時間設定手段52は、紫外線を照射する時間を設定するための入力装置である。照射時間設定手段52による時間設定は、診療用テーブル5の操作パネル54に予め設定されている複数の設定時間から任意の設定時間を選択する方法、あるいは、デジタル時間を操作キーにより入力する方法である。
【0064】
<報知手段>
報知手段53は、紫外線を照射する時間が、予め設定された所定の時間を超えた場合に報知して術者等に知らせるための報知装置である。報知手段53は、音、音声、警告灯表示、表示画面への警告表示等によって術者(操作者)の五感に感じるものであればよく、その構造や報知方法は特に限定されない。
【0065】
<操作パネル>
操作パネル54は、照射時間設定手段52の照射時間を設定するための操作等を行う複数のタッチスイッチ(図示省略)を有する液晶パネル部である。操作パネル54は、診療用テーブル5に内設された制御装置(図示省略)に電気的に接続されて、タッチスイッチ(図示省略)の操作信号が制御装置に入力されて、照明用光源3及び紫外線照射灯4を駆動させる。
【0066】
<ドクター用インスツルメントハンガ>
ドクター用インスツルメントハンガ15は、術者が使用する種々のインスツルメントが係止される箇所である。
【0067】
<アシスタント用インスツルメントハンガ>
アシスタント用インスツルメントハンガ16は、補助者が使用する種々のインスツルメントが係止される箇所である。
【0068】
<スピットン>
スピットン17は、患者がうがいをするための装置である。スピットン17は、診療椅子11に隣接して配置されている。
【0069】
<制御装置>
制御装置(図示省略)は、歯科用診療装置100の動作を制御する装置である。制御装置は、患者検出手段28、操作手段29,51,61、診療用テーブル5等からの駆動信号を受けて、各手段を制御して、主に、表示部55や、照明用光源3や、紫外線照射灯4を駆動させる制御を実行させる。制御装置は、例えば、診療用テーブル5に設けられている。制御装置は、診療用無影灯2、不図示の液晶表示装置及び電源(図示省略)に電気的に接続されている。
【0070】
[作用効果]
次に、診療装置S(歯科用診療装置100)の作用効果を説明する。
【0071】
このように、本発明は、
図1または
図2に示すように、診療椅子11と、診療用無影灯2と、を有する診療装置Sであって、紫外線照射灯4を備え、紫外線照射灯4は、少なくとも診療椅子11を俯瞰する位置から診療椅子11のシート部(診療用テーブル5を含む)に向けて紫外線を照射し、当該シート部および/またはその周辺器材を殺菌可能とした。
【0072】
かかる構成によれば、本発明は、紫外線照射灯4は、少なくとも診療椅子11を俯瞰する位置から患者がいない診療椅子11のシート部および/またはその周辺器材及び診療用テーブル5に向けて紫外線を照射して殺菌可能とした。これにより、本発明は、人の手を煩わせることなく診療椅子11等を自動的に殺菌することができる。
【0073】
また、
図1に示すように、周辺器材は、少なくとも診療用テーブル5、ドクター用インスツルメントハンガ15、アシスタント用インスツルメントハンガ16、スピットン17、床材R1、壁材R2のうちの一つを含む。
【0074】
かかる構成によれば、紫外線照射灯4は、診療椅子11のシート部の他、その周辺の診療用テーブル5、ドクター用インスツルメントハンガ15、アシスタント用インスツルメントハンガ16、スピットン17、床材R1、壁材R2等の周辺器材についても殺菌することができる。
【0075】
また、シート部および/またはその周辺器材に酸化チタンを含有した。
かかる構成によれば、シート部および/またはその周辺器材は、酸化チタンを含有していることで、紫外線を照射することによって、さらに効率よく殺菌を行うことができる。
【0076】
また、酸化チタンに紫外線を照射することによる光触媒反応によって殺菌可能とした。
かかる構成によれば、光触媒による次の光誘起分解反応効果と、光誘起超親水化反応効果とでシート部やその周辺器材を殺菌することができる。
光誘起分解反応効果について説明する。酸化チタンに波長380nm以下の紫外光を照射すると、伝導帯に電子が励起され、価電子帯に電子の抜け殻である正孔が生成される。この電子や正孔が環境中の酸素や水(水蒸気)と反応して、スーパーオキシドアニオン(O2-)や、ヒドロキシラジカル(・OH)を生成する。特に、ヒドロキシラジカルの酸化力は、塩素・過酸化水素・オゾンを凌ぐほどで、あらゆる有機物を分解することができると共に、酸素によって細菌を殺菌する効果と、抗菌効果を発揮する。
【0077】
次に、光誘起超親水化反応効果について説明する。紫外光照射により生成した正孔は、表面に拡散して格子酸素にトラップされる。正孔が格子酸素にトラップされたとき、チタン―酸素間の結合距離は長くなり、酸素欠陥に配位した水酸基と酸化チタンとの相互作用が光照射により弱まる。その際に、吸着水がチタン原子に配位して新たな表面水素基が形成され、酸化チタン表面の水酸基密度は、増加すると考えられる。その結果、水との親和性が向上し、超親水性が発現すると共に、強い酸素力による抗菌の機能がある。
【0078】
また、
図1に示すように、紫外線照射灯4は、診療用無影灯2と一体的に、または、診療用無影灯2の近傍に設けられている。
【0079】
かかる構成によれば、紫外線照射灯4は、診療用無影灯2と一体的に設けられていることで、特別な設置用装置を設けることなく、診療用無影灯2のアームや支柱等を共用するができる。このため、紫外線照射灯4は、部品点数及び組付工数を削減してコストダウンを図ることができる。
また、紫外線照射灯4は、診療用無影灯2の近傍に設けられていることで、診療用無影灯2の周辺が煩雑化するのを抑制することができる。
【0080】
また、
図1に示すように、紫外線照射灯4が俯瞰する位置は、診療椅子11の長手方向の中心線O1-O1上の上方である。
【0081】
かかる構成によれば、紫外線照射灯4が俯瞰する位置は、診療椅子11の長手方向の中心線O1-O1上の上方であることで、患者が接触する診療椅子11のヘッドレスト11dからレッグレスト11fに亘って効率よく紫外線を当てて殺菌することができる。
【0082】
また、
図4、
図5あるいは
図9に示すように、紫外線光源部40から紫外線が被写体に照射される範囲を照射野P1とすると、紫外線照射灯4は、照射野P1を診療椅子11のヘッドレスト11dからレッグレスト11fまでの区間の一部、または、全部を照射可能にする長手方向照射位置調整駆動手段45を有している。
【0083】
かかる構成によれば、紫外線照射灯4は、長手方向照射位置調整駆動手段45を有していることで、照射野P1を診療椅子11のヘッドレスト11dからレッグレスト11fまでの区間の一部、または、全部を自動的に照射可能にすることができる。
【0084】
また、
図5に示すように、紫外線光源部40から紫外線が被写体に照射される範囲を照射野P2(
図9参照)とすると、紫外線照射灯4は、照射野P2(
図9参照)を診療椅子11のシート幅方向に調整可能な幅方向照射角度調整駆動手段46を有している。
【0085】
かかる構成によれば、紫外線照射灯4は、幅方向照射角度調整駆動手段46を有していることで、照射野P2を診療椅子11のシート幅方向に調整可能となるため、照射野P2を調整して、診療器具を殺菌することが可能である。
【0086】
また、
図6に示すように、紫外線照射灯4は、照射野P1,P2(
図9参照)の形状を変えるためのガイドマスク42を備えている。
【0087】
かかる構成によれば、紫外線照射灯4は、ガイドマスク42を備えていることで、紫外線を照射して殺菌する部位の範囲に応じて照射野P1,P2(
図9参照)の形状を適宜に変えることができる。
【0088】
また、
図1に示すように、診療装置Sは、診療椅子11または照射野P1,P2(
図9参照)に人がいないことを検知して紫外線照射灯4からの紫外線の照射を可能にする患者検出手段14,28を備えている。
【0089】
かかる構成によれば、診療装置Sは、診療椅子11に設けた患者検出手段14を備えていることで、診療椅子11に人がいないことを検知したときに、紫外線照射灯4から紫外線を照射して殺菌をすることができる。また、診療装置Sは、診療用無影灯2に設けた患者検出手段28を備えていることで、照射野P1,P2(
図9参照)内に人がいないことを検知したときに、紫外線照射灯4から紫外線を照射して殺菌をすることができる。
【0090】
[第1変形例]
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0091】
図9は、本発明の実施形態に係る診療装置S1の第1変形例を示す図であり、紫外線照射灯4Aの配置状態を示す概略斜視図である。
【0092】
前記実施形態では、
図2に示すように、紫外線照射灯4の一例として、診療用無影灯2に一体的に設けた場合を説明したが、紫外線照射灯4はこれに限定されるものではない。
図9に示すように、紫外線照射灯4Aは、診療用無影灯2Aの近傍に設けたものであってもよい。
【0093】
この場合、診療用無影灯2Aは、実施形態の診療用無影灯2の紫外線照射灯4を取り外したものである。
紫外線照射灯4Aは、例えば、紫外線光源部40Aと、紫外線光源部40Aを備えた筐体40Aaと、前記長手方向照射位置調整駆動手段45と、前記幅方向照射角度調整駆動手段46と、を備えている。紫外線照射灯4Aは、支柱12に回動自在に設けられたアーム13Aの先端部に取り付けられている。紫外線照射灯4Aは、診療椅子11の長手方向の中心線O1-O1上の上方から俯瞰するように配置されている。
【0094】
本発明の第1変形例によれば、紫外線照射灯4Aは、診療用無影灯2Aの近傍に配置されたアーム13Aに設けたので、診療用無影灯2Aと紫外線照射灯4Aとが別体になっているため、それぞれの位置を独立させて移動させることができる。
また、紫外線照射灯4Aは、従来設置されている診療用無影灯2とは別に、後付けで適宜配置して使用することができる。さらに、紫外線照射灯4Aは、長手方向照射位置調整駆動手段45と、前記幅方向照射角度調整駆動手段46と、を備えているので、照射野P1を診療椅子11の長手方向に移動したり、照射野P2を診療椅子11の幅方向に移動したりすることが可能である。
【0095】
[第2変形例]
図10は、本発明の実施形態に係る診療装置S2の第2変形例を示す図であり、紫外線照射灯4Bの設置状態を示す概略正面図である。
【0096】
前記第1変形例では、
図9に示すように、紫外線照射灯4Aをアーム13Aによって診療用無影灯2Aの近傍に配置した場合を説明したが、
図10に示すように、紫外線照射灯4Bは、照明用光源3の近傍にある診療用無影灯2Bの筐体21の外周部に設けたものであってもよい。
【0097】
この場合、診療用無影灯2Bは、実施形態の診療用無影灯2の紫外線照射灯4を取り外したものであって、4つの照明用光源3と、筐体21と、ジョイント部22と、把持部23と、反射ミラー24と、を有している(
図2参照)。
紫外線照射灯4Bは、例えば、矩形型エキシマランプから成る紫外線発光源部40Bと、紫外線照射野可変手段またはコーン47Bと、を備えている。
【0098】
本発明の第2変形例によれば、第1変形例同様、紫外線照射灯4Bは、診療用無影灯2Bの近傍に設けたので、診療用無影灯2Bと紫外線照射灯4Bとが別体になっている。このため、紫外線照射灯4Bは、照明用光源3のみを備えた一般的な診療用無影灯2Bの周辺に、適宜配置して、通常の無影灯及び殺菌用装置として使用することができる。
【0099】
[第3変形例]
図11は、本発明の実施形態に係る診療装置S3の第3変形例を示す図であり、紫外線照射灯4Cの設置状態を示す概略正面図である。
【0100】
前記第2変形例の紫外線照射灯4B(
図10参照)は、一例であって、
図11に示すように、円筒型エキシマランプをから成る紫外線発光源部40Cを有する紫外線照射灯4Cであってもよく、その構造は特に限定されない。
紫外線照射灯4Cは、紫外線発光源部40Cと、放物面状(湾曲面状)の反射面を有するミラー47Cと、を備えて構成されている。このように、診療用無影灯2Cの近傍に紫外線照射灯4Cを設ける場合は、照明用光源3の照明光とは別のミラー47Cを設けてもよいし、直接集光手段を用いて診療器具に照射するように配置してもよい。
ミラー47Cの反射面には、紫外線反射膜が設けられている。
【0101】
[第4変形例]
図12は、本発明の実施形態に係る診療装置S4の第4変形例を示す図であり、手動式の紫外線照射野可変手段47Dを有する紫外線照射灯4Dの構造を示す概略図である。
図13は、本発明の実施形態に係る診療装置S4の第4変形例を示す図であり、自動式の紫外線照射野可変手段47Eを有する紫外線照射灯4Eの構造を示す概略図である。
【0102】
また、
図12及び
図13に示すように、紫外線照射灯4D,4Eは、照射野P1,P2の大きさを可変するための自動または手動の紫外線照射野可変手段47D,47Eを有しているものであってもよい。
【0103】
この場合、
図12に示すように、紫外線照射灯4Dは、紫外線を発生する紫外線発光源40Dと、スリットを設けたガイドマスク42Dと、特定の波長のみを透過させるハンドパスフィルタ43Dと、手動式の紫外線照射野可変手段47Dと、を備えて成る。
紫外線照射灯4Dは、紫外線を照射可能なUVランプ(エキシマランプ)あるいはLEDの手前に、焦点可変可能な一乃至複数のUVレンズ等のレンズ47Daから成るレンズ群で構成された紫外線照射野可変手段47Dを設け、レンズ群の位置を手動で上下移動させて調整することで、アウトフォーカス領域を可変させ、照射野P1,P2を可変させる。なお、UVレンズは、石英ガラス等の紫外線を透過する材質から成るレンズで構成される。
【0104】
また、
図13に示すように、紫外線照射灯4Eは、自動で照射野P1,P2(
図9参照)の大きさを可変する紫外線照射野可変手段47Eを備えたものであってもよい。この場合、紫外線照射灯4Eは、レンズ47Eaと、筒体47Ebと、ねじ歯車47Edと、モータ47Eeと、軸部47Efと、を備えて構成されている。
【0105】
レンズ47Eaは、一乃至複数の石英ガラス等から成るUVレンズを使用する。
筒体47Ebは、内壁にレンズ47Eaを固定して、外周部にねじ部47Ecを形成した部材から成る。
【0106】
ねじ歯車47Edは、ねじ部47Ecに噛合して、筒体47Eb及びレンズ47Eaを上下動させる歯車である。ねじ歯車47Edは、軸部47Efを介在してモータ47Eeによって回転される。
【0107】
モータ47Eeは、ねじ歯車47Edを回転駆動させるための回転駆動源である。モータ47Eeは、操作手段51(
図1参照)等の操作によって駆動する。
軸部47Efは、モータ47Eeの回転をねじ歯車47Edに伝達するための軸棒である。
【0108】
本発明の第4変形例によれば、
図12または
図13に示すように、紫外線照射灯4D,4Eは、紫外線照射野可変手段47D,47Eを備えているので、レンズ47Da,47Eaを移動させることで、紫外線照射領域A1の大きさを変えることができる。このため、紫外線照射灯4D,4Eは、照射対象に対して照射野P1,P2を任意な範囲に調整することが可能であるので、殺菌する対象物に応じて紫外線照射領域A1を適宜に可変することができる。
【0109】
また、紫外線照射灯4Dは、レンズを使わずに、コーンの長さを可変可能にした二重筒構造にして、照射の広がりを抑えるようにした装置であってもよい。
また、診療器具殺菌モードの場合は、診療器具の大きさに合わせて照射野P2を可変させることが可能である。例えば、左右のアームレスト11e(
図1参照)も殺菌する場合は、照射野P2を広げればよい。また、ヘッドレスト11d(
図1参照)のみを照射する場合は、照射野P2を狭くすればよい。なお、照射野P2は、診療用無影灯2(
図1参照)の位置を照射部位に近付けたり、遠ざけたりすることでも可能である。
【0110】
[第5変形例]
図14は、本発明の実施形態に係る診療装置S5の第5変形例を示す図であり、長手方向照射位置調整駆動手段を有する紫外線照射灯4Eを示す概略図である。
【0111】
また、
図14に示すように、長手方向照射位置調整駆動手段45Fは、紫外線光源部40を診療椅子11の長手方向に垂直旋回させる垂直旋回軸26を有し、当該垂直旋回軸26を俯瞰する位置上の一点に固定し、垂直旋回軸26を中心に紫外線光源部40を旋回させて照射野Pを診療椅子11の長手方向に移動可能にしてもよい。
【0112】
この場合、長手方向照射位置調整駆動手段45Fは、実施形態の長手方向照射位置調整駆動手段45と同様に、紫外線光源部40の垂直旋回軸26を回動させるための垂直旋回モータM1と、垂直旋回用エンコーダE1と、を備えている。
【0113】
本発明の第5変形例によれば、長手方向照射位置調整駆動手段45Fは、紫外線光源部40を旋回可能な垂直旋回軸26を垂直旋回モータM1によって回動させることで、紫外線光源部40を診療椅子11の長手方向全体に亘って照射できるように垂直旋回させて、照射野P1(照射範囲)を変更させることができる。
【0114】
[第6変形例]
図15は、本発明の実施形態に係る診療装置S6の第6変形例を示す図であり、紫外線照射灯4Gを走行させる走行手段48を示す概略図である。
【0115】
また、
図15に示すように、長手方向照射位置調整駆動手段45Gは、紫外線光源部40を診療椅子11の長手方向に直線走行可能な走行手段48を有し、照射野Pを移動可能にしてもよい。
【0116】
この場合、走行手段48は、紫外線光源部40を診療椅子11の長手方向に直線走行させるための移動装置である。走行手段48は、その一例を挙げると、ヘッドレスト11dからレッグレスト11fに亘って診療椅子11の長手方向の中心線上の天井に配置された走行レール48aと、紫外線照射灯4Gに設けられて走行レール48aを走行させるための走行モータ48bと、を備えて成る。走行モータ48bは、回転駆動することで、紫外線照射灯4Gを、走行レール48aにガイドされて診療椅子11上を長手方向に平行に移動させるように構成されている。
【0117】
本発明の第6変形例によれば、診療装置S6は、走行手段48を有していることで、紫外線光源部40を診療椅子11の長手方向に直線走行可能であるため、紫外線光源部40で診療椅子11の長手方向全体に亘って照射できるように、照射野Pを移動させることができる。
【0118】
[第7変形例]
図16Aは、本発明の実施形態に係る診療装置S7の第7変形例を示す図であり、走行手段48Hを示す概略図である。
図16Bは、本発明の実施形態に係る診療装置S7の第7変形例を示す図であり、紫外線照射灯4Hを移動させる走行手段48Hを示す概略図である。
【0119】
前記した第6変形例の走行手段48(
図15参照)は、紫外線光源部40を診療椅子11の長手方向に直線走行可能であればよく、
図16A及び
図16Bに示すような走行手段48Hであってもよい。
図16Bに示すように、走行手段48Hは、基台48Ha,48Hbと、モータ48Hcと、ボールねじ48Hdと、ガイド48Heと、エンコーダ48Hfと、紫外線照射灯4Hと、を備えて構成されている。
【0120】
基台48Ha,48Hbは、ボールねじ48Hd及びガイド48Heの両端部に設けられて、ボールねじ48Hd及びガイド48Heを支持する部材である。基台48Haは、天井面や、支柱12(
図1参照)に取り付けられている。
モータ48Hcは、ボールねじ48Hdを回転駆動させるための回転動力源である。モータ48Hcは、基台48Hbに取り付けられている。
【0121】
ボールねじ48Hdは、紫外線照射灯4Hを直線移動させるための棒状のねじ部材である。ボールねじ48Hdには、紫外線照射灯4Hに設けられた雌ねじ部(図示省略)が螺合している。
ガイド48Heは、ボールねじ48Hdの回転によって移動する紫外線照射灯4Hを、安定した状態で直線移動するように支持するガイド部材である。ガイド48Heは、ボールねじ48Hdに平行に設けられている。
【0122】
エンコーダ48Hfは、モータ48Hcのロータ軸の回転角度を検出するロータリーエンコーダである。エンコーダ48Hfは、制御装置(図示省略)に接続されている。
紫外線照射灯4Hは、ボールねじ48Hdが回転することで、ガイド48Heに案内されて進退して、照射野P(図示省略)を移動させることが可能になっている。紫外線照射灯4Hの照射野P(図示省略)は、診療椅子11の左右方向の幅よりも広く設定する。
【0123】
本発明の第7変形例によれば、走行手段48Hは、このように構成しても、診療椅子11の長手方向に直線走行可能であるため、紫外線光源部40で診療椅子11の長手方向全体に亘って照射できるように、照射野P(図示省略)を移動させることができる。
【0124】
[第8変形例]
図17Aは、本発明の実施形態に係る診療装置S8の第8変形例を示す図であり、走行手段48Iを示す概略図である。
図17Bは、本発明の実施形態に係る診療装置S8の第8変形例を示す図であり、紫外線照射灯4Iを診療椅子11の中央部上方に移動させたときの状態を示す概略図である。
図17Cは、本発明の実施形態に係る診療装置S8の第8変形例を示す図であり、紫外線照射灯4Iをレッグレスト11fの上方に移動させたときの状態を示す概略図である。
【0125】
また、前記第6変形例の走行手段48(
図15参照)は、
図17A~
図17Cに示すように、紫外線照射灯4Iを多軸アーム式で直線走行させる走行手段48Iであってもよい。
この場合、走行手段48Iは、紫外線照射灯4Iと、水平旋回軸27と、第1アーム48Iaと、第2アーム48Ibと、第1モータ48Icと、第2モータ48Idと、第3モータ48Ieと、第1エンコーダ48Ifと、第2エンコーダ48Igと、第3エンコーダ48Ihと、を備えて構成されている。
【0126】
第1アーム48Iaは、基端部の第1モータ48Icのロータ軸(図示省略)を中心に、第1モータ48Icによって回動されるアームである。第1モータ48Icと、第1アーム48Iaのロータ軸に設けられた第1エンコーダ48Ifとは、制御装置(図示省略)に接続されている。
【0127】
第2アーム48Ibは、第1アーム48Iaの先端部と、第2アーム48Ibとの連結部に回動自在に連結されて、基端部の第2モータ48Idのロータ軸(図示省略)を中心に、第2モータ48Idによって回動されるアームである。第2モータ48Idと、第2モータ48Idのロータ軸に設けられた第2エンコーダ48Igとは、制御装置(図示省略)に接続されている。
【0128】
紫外線照射灯4Iは、第2アーム48Ibの先端部に回動自在に連結されて、基端部の第3モータ48Ieのロータ軸(図示省略)を中心に、第3モータ48Ieによって回動される。第3モータ48Ieと、第3モータ48Ieのロータ軸に設けられた第3エンコーダ48Ihとは、制御装置(図示省略)に接続されている。
【0129】
水平旋回軸27は、紫外線照射灯4Iの回動軸である。水平旋回軸27は、診療椅子11の中心線O1-O1上の上方に位置するように配置されている。
紫外線照射灯4I及び水平旋回軸27は、第1モータ48Ic、第2モータ48Id及び第3モータ48Ieの回転を制御することで、照射野Pを紫外線で照射しながら、診療椅子11の中心線O1-O1上の上方を前後方向に移動可能になっている。紫外線照射灯4Iの照射野P(図示省略)は、診療椅子11の左右方向の幅よりも広く設定する。
【0130】
本発明の第8変形例によれば、走行手段48Iは、このように構成しても前記第7変形例と同様に、診療椅子11の上方を長手方向に直線走行可能であるため、紫外線光源部40で診療椅子11の長手方向全体に亘って照射できるように、照射野P(図示省略)を移動させることができる。
【0131】
[第9変形例]
図18Aは、本発明の実施形態に係る診療装置S9の第9変形例を示す概略斜視図である。
図18Bは、本発明の実施形態に係る診療装置S9の第9変形例を示す図であり、照射野Pのスキャン軌跡を示す説明図である。
図18Cは、本発明の実施形態に係る診療装置S9の第9変形例を示す図であり、照射野Pのスキャン軌跡と、紫外線照射及びスキャン速度との関係を示す表である。
図18Dは、本発明の実施形態に係る診療装置S9の第9変形例を示すブロック図である。
【0132】
また、
図18A~18Dに示すように、紫外線照射灯4Jを制御する制御装置は、紫外線光源部40から紫外線が被写体に照射される範囲を照射野Pを、所定のスキャン速度及び所定のスキャン軌跡で移動可能とし、診療装置S9は、照射野Pのスキャン速度及び照射野Pのスキャン軌跡を予め設定可能な設定手段56Jと、設定手段56Jで設定されたスキャン速度及びスキャン軌跡に沿って紫外線照射灯4Jの自動照射可能に運転プログラムを作成する演算手段57Jと、紫外線照射灯4Jの自動照射の操作を行う操作手段51Jと、を有していてもよい。
【0133】
この場合、
図18Aに示すように、紫外線照射灯4Jを制御する制御装置(図示省略)は、診療用テーブル5、スマートフォン、タブレット端末、あるいは、パソコンから成る。紫外線照射灯4Jは、紫外線を照射する方向を角度調整することが可能な長手方向照射位置調整駆動手段45、及び、幅方向照射角度調整駆動手段46を有している(
図5参照)。このため、紫外線照射灯4Jは、垂直旋回角度θ1及びシート幅旋回角度θ2を調整したり、紫外線の照射野P(四角形以外の円形等でもよい)を移動させたりすることが可能になっている。
【0134】
図18Dに示すように、紫外線照射灯4Jを制御する制御装置(診療用テーブル5J)は、操作手段51Jと、報知手段53Jと、設定手段56Jと、演算手段57Jと、を備えている。制御装置は、遠隔操作手段62と、長手方向照射位置調整駆動手段45(
図18A参照)及び幅方向照射角度調整駆動手段46(
図18A参照)を傾動させるモータを駆動及び停止させるモータ駆動手段58Jと、長手方向照射位置調整駆動手段45及び幅方向照射角度調整駆動手段46に設けられたエンコーダと、患者検出手段28(
図1参照)と、照明用光源3と、紫外線光源部40と、に直接あるいは間接的に接続されている。このため、制御装置は、エンコーダからの位置情報59Jや、患者検出手段28(
図1参照)からの患者検知情報50Jや、紫外線を照射するときの診療用テーブル5Jのポジションのテーブル駆動出力や、紫外線を照射するときの診療椅子11からポジションの椅子駆動出力5J2等の情報を取得可能になっている。
【0135】
紫外線照射灯4Jによって被写体(診療椅子11及び診療用テーブル5)に紫外線を照射して殺菌する場合、
図18B及び
図18Cに示すように、まず、紫外線照射灯4Jは、垂直旋回角度θ1が40°のヘッドレスト11dのAの左側(シート幅旋回角度θ2が-5°)位置からBの右側(シート幅旋回角度θ2が5°)位置に亘って低速で移動させながら紫外線を照射して殺菌する。
【0136】
次に、紫外線照射灯4Jは、ヘッドレスト11dのBの右側(シート幅旋回角度θ2が5°、垂直旋回角度θ1が40°)位置からバックレスト11cのCの後方右側(シート幅旋回角度θ2が15°、垂直旋回角度θ1が25°)位置に亘って、紫外線照射をOFFにして高速で移動させる。
【0137】
続いて、紫外線照射灯4Jは、このバックレスト11cのCの後方右側位置から診療用テーブル5のDの後方左側(シート幅旋回角度θ2が-40°、垂直旋回角度θ1が25°)位置に亘って、低速で移動させながら紫外線を照射して殺菌する。
【0138】
そして、紫外線照射灯4Jは、この診療用テーブル5のDの後方左側位置から診療用テーブル5のEの前方左側(シート幅旋回角度θ2が-40°、垂直旋回角度θ1が15°)位置に亘って、紫外線照射をOFFにして高速で移動させる。
【0139】
次に、紫外線照射灯4Jは、この診療用テーブル5のEの後方左側位置からバックレスト11cのFの前方右側(シート幅旋回角度θ2が15°、垂直旋回角度θ1が15°)位置に亘って、低速で移動させながら紫外線を照射して殺菌する。
【0140】
続いて、紫外線照射灯4Jは、このバックレスト11cのFの前方右側位置から座部11bのGの後方右側(シート幅旋回角度θ2が15°、垂直旋回角度θ1が5°)位置に亘って、紫外線照射をOFFにして高速で移動させる。
【0141】
そして、紫外線照射灯4Jは、この座部11bのGの後方右側位置から座部11bのHの前方左側(シート幅旋回角度θ2が-15°、垂直旋回角度θ1が5°)位置に亘って、低速で移動させながら紫外線を照射して殺菌する。
【0142】
次に、紫外線照射灯4Jは、この座部11bのHの前方左側位置から座部11bのIの前方左側(シート幅旋回角度θ2が-15°、垂直旋回角度θ1が-5°)位置に亘って、紫外線照射をOFFにして高速で移動させる。
【0143】
続いて、紫外線照射灯4Jは、この座部11bのIの前方左側位置から座部11bのJの前方右側(シート幅旋回角度θ2が15°、垂直旋回角度θ1が-5°)位置に亘って、低速で移動させながら紫外線を照射して殺菌する。
【0144】
そして、紫外線照射灯4Jは、この座部11bのJの前方右側位置からレッグレスト11fのKの右側(シート幅旋回角度θ2が15°、垂直旋回角度θ1が-20°)位置に亘って、紫外線照射をOFFにして高速で移動させる。
【0145】
次に、紫外線照射灯4Jは、このレッグレスト11fのKの右側位置からレッグレスト11fのLの左側(シート幅旋回角度θ2が-15°、垂直旋回角度θ1が-20°)位置に亘って、低速で移動させながら紫外線を照射して殺菌する。
【0146】
なお、
図18Dに示すように、設定手段56,56Jは、診療用テーブル5,5J、スマートフォン、タブレット端末、あるいは、パソコンからの入力で行い、作成された運転プログラムは演算手段57内にある記憶手段(図示省略)に保管される。保管された運転プログラムは、操作手段51,51Jによって保管プログラムの中から任意に選択された運転プログラムを実行することができる。
また、演算手段57,57Jは、通常、歯科用診療ユニット1内に設けるが、外部のスマートフォン、タブレット端末、あるいは、パソコン内に設けてもよい。その場合、入力指令や駆動指令は、有線や無線の通信網等を使って行う。
【0147】
本発明の第9変形例によれば、診療装置S9は、設定手段56と、演算手段57と、操作手段51とを有していることで、照射野Pのスキャン速度及び照射野Pのスキャン軌跡を予め設定することができる。このため、紫外線照射灯4Jは、長手方向照射位置調整駆動手段45と、幅方向照射角度調整駆動手段46とによって、垂直旋回角度θ1及びシート幅旋回角度θ2を可変させて、効率よく診療椅子11及び診療用テーブル5全体に紫外線を照射して殺菌することができる。
【0148】
[第10変形例]
図19Aは、本発明の実施形態に係る診療装置S10の第10変形例を示す概略斜視図である。
図19Bは、本発明の実施形態に係る診療装置S10の第10変形例を示す図であり、照射野Pのスキャン軌跡を示す説明図である。
図19Cは、本発明の実施形態に係る診療装置S10の第10変形例を示す図であり、照射野Pのスキャン軌跡と、紫外線照射及びスキャン速度との関係を示す表である。
図19Dは、本発明の実施形態に係る診療装置S10の第10変形例を示すブロック図である。
【0149】
図19A及び
図19Dに示すように、紫外線照射灯4Kを制御する制御装置(図示省略)は、紫外線を照射する位置と時間の設定、及び、紫外線を照射しないで移動するルートの設定を行う設定手段56Kと、設定された通りに移動して紫外線を照射するプログラムを作成する演算手段57Kと、自動照射の操作を行う操作手段51Kと、を有していてもよい。
【0150】
なお、紫外線は、目に見えないため、紫外線を照射するプログラムを作成する際に、座標値だけでは紫外線の照射野がどこにあるか分かりにくい。そこで、紫外線照射灯4Kの照射野と診療用無影灯2の照射野を紫外線照射野可変手段47やガイドマスク42を使用して同じ大きさに設定し、診療用無影灯2の照射野をマーカとして使用し、それらの切換によりスキャンエリアに漏れがないか確認してもよい。
【0151】
また、このマーカを使用して設定手段56Kをティーチング方式による入力にしてもよい。この場合は、移動ルート毎に照射時間、紫外線の照射の有無を演算手段57K内にある記憶手段に記憶しながら全ルートを記憶する。再生実行時には、記憶ルートの順に指定された照射の有無、照射時間で実行することができる。
更に紫外線照射時に周囲の人に警告するために、このマーカを点灯したまま紫外線を照射してもよい。この時に他の報知手段53と併用してもよい。
【0152】
設定手段56Kは、さらに、診療椅子11の紫外線照射ポジション及び診療用テーブル5の紫外線照射ポジションの設定が可能であってもよい。
【0153】
この場合、
図19Aに示すように、紫外線照射灯4Kを制御する制御装置(図示省略)は、診療用テーブル5、スマートフォン、タブレット端末、あるいは、パソコンから成る。紫外線照射灯4Kは、紫外線を照射する位置及び方向を位置調整及び角度調整することが可能な長手方向照射位置調整駆動手段45K、及び、幅方向照射角度調整駆動手段46Kを有している。このため、紫外線照射灯4Kは、照射する紫外線のシート幅旋回角度θ2を調整したり、紫外線の照射野P(四角形でも四角形以外(例えば、円形等)でもよい。)を移動させたりすることが可能になっている。
【0154】
さらに、紫外線照射灯4Kは、走行手段48によって、診療椅子11の長手方向の中心線上の天井に設けた走行レール48aに沿ってスライド移動可能に配置されている。このため、診療椅子11のヘッドレスト11dからレッグレスト11fまで紫外線を照射して殺菌できると共に、診療椅子11の右端部から診療用テーブル5の左端部に亘って紫外線を照射可能になっている。
【0155】
図19Dに示すように、紫外線照射灯4Kを制御する制御装置(診療用テーブル5)は、操作手段51Kと、報知手段53と、設定手段56Kと、演算手段57Kと、を備えている。制御装置は、遠隔操作手段62と、走行手段48K(
図19A参照)のモータを駆動及び停止させるモータ駆動手段58Kと、長手方向照射位置調整駆動手段45K及び幅方向照射角度調整駆動手段46Kに設けられたエンコーダと、患者検出手段28(
図1参照)と、照明用光源3と、紫外線光源部40と、に直接あるいは間接的に接続されている。このため、制御装置は、エンコータからの位置情報59Kや、患者検出手段28(
図1参照)からの患者検知情報50Kや、紫外線を照射するときの診療用テーブル5のポジションのテーブル駆動出力や、紫外線を照射するときの診療椅子11からポジションの椅子駆動出力5K2等の情報を取得可能になっている。
【0156】
紫外線照射灯4Kによって被写体(診療椅子11及び診療用テーブル5K)に紫外線を照射して殺菌する場合、
図18A~
図18Cに示すように、まず、紫外線照射灯4Kは、x座標が0、y座標がy1のA位置に照射野の中心線P0を合わせて停止(スキャン速度0)させて、20分間紫外線を照射する。
図19Bに示すヘッドレスト11d、バックレスト11c、座部11bの上部、診療用テーブル5の右端部までの丸で囲んだ範囲に亘って紫外線を照射して殺菌することができる。
【0157】
次に、紫外線照射灯4Kは、照射野の中心線P0を、A位置から診療用テーブル5の中央部のB位置(x座標が-30、y座標が2の位置)まで、紫外線照射をOFFにして高速で移動させる。
【0158】
続いて、紫外線照射灯4Kは、そのB位置で移動を停止して、20分間紫外線を照射して殺菌する。
【0159】
そして、紫外線照射灯4Kは、照射野の中心線P0を、B位置から座部11bとレッグレスト11fとの間のC位置(x座標が0、y座標が3の位置)まで、紫外線照射をOFFにして高速で移動させる。
【0160】
次に、紫外線照射灯4Kは、そのC位置で移動を停止して、20分間紫外線を照射して殺菌する。診療装置S10は、このようにして診療椅子11全体と診療用テーブル5全体とを紫外線で殺菌する。
【0161】
本発明の第9変形例によれば、診療装置S10は、設定手段56Kと、演算手段57Kと、操作手段51Kと、を有していることで、照射野Pのスキャン速度及び照射野Pのスキャン軌跡を予め設定することができる。このため、紫外線照射灯4Kは、長手方向照射位置調整駆動手段45Kと、幅方向照射角度調整駆動手段46Kとによって、シート幅旋回角度θ2を可変させたり、診療椅子11の長手方向に移動させたりして、診療椅子11全体及び診療用テーブル5全体に紫外線を照射して殺菌することができる。
【0162】
また、設定手段56Kは、診療椅子11の紫外線照射ポジション及び診療用テーブル5の紫外線照射ポジションの設定が可能であることで、診療椅子11及び診療用テーブル5に予めプログラムを組んでおいて、初期位置に位置付けた後、自動で所定の紫外線照射ポジションに移動させる可能になる。
【0163】
[第11変形例]
図20は、本発明の実施形態に係る診療装置S11の第11変形例を示す概略斜視図である。
【0164】
前記第9変形例及び第10変形例の診療装置S9,S10では、
図18A及び
図19Aに示すように、診療椅子11及び診療用テーブル5を予め紫外線照射ポジションに位置付けして、走行手段48によって紫外線照射灯4J,4Kを移動させる場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0165】
図20に示す本発明の第11変形例のように、走行手段48Mは、診療椅子11を診療椅子11の長手方向に移動させる装置であってもよい。
【0166】
この場合、診療椅子11のベース部11aは、床に設けた走行手段48Mの走行レール48Ma上を、駆動モータ(図示省略)によって前後方向(診療椅子11の長手方向)に移動するように設けられている。走行レール48Maは、診療椅子11の長手方向に移動するようにガイドするものであればよく、その本数等は特に限定されない。紫外線を診療椅子11等に照射した殺菌する場合は、紫外線照射灯4を診療椅子11の中心線の上方に配置しておく。紫外線照射灯4は、手動で動かすものでも、自動で動かすものでもよい。
なお、紫外線照射灯4を支持する支柱12は、床面に固定されている。
【0167】
本発明の第11変形例によれば、診療装置S11は、走行手段48Mの駆動モータ(図示省略)することで、診療椅子11を中心線に沿って診療椅子11の長手方向に移動させることができる。このため、診療椅子11は、ヘッドレスト11dからレッグレスト11fを、紫外線照射灯4の真下を移動させることができるので、診療椅子11全体に紫外線を当てて殺菌することができる。
【0168】
[その他の変形例]
例えば、
図1に示す患者検出手段28は、このセンサの代わりに、サーモカメラを使用して患者を検出してもよい。
【符号の説明】
【0169】
1 歯科用治療ユニット
2 診療用無影灯
4,4A~4K 紫外線照射灯
5,5K 診療用テーブル(制御装置)
11 診療椅子
11b 座部
11d ヘッドレスト
11f レッグレスト
14 患者検出手段
17 スピットン
26 垂直旋回軸
27 水平旋回軸
40,40A~40C 紫外線光源部
42 ガイドマスク
45,45E~45G 長手方向照射位置調整駆動手段
46,46K 幅方向照射角度調整駆動手段
47B 紫外線照射野可変手またはコーン(紫外線照射野可変手段)
47C ミラー((紫外線照射野可変手段)
48,48G~48I,48K,48M 走行手段
51,51K 操作手段
56,56K 設定手段
57,57K 演算手段
100 歯科用診療装置
O1 診療椅子の長手方向の中心線
P,P1,P2 照射野
R 診療室
R1 床材
R2 壁材
S,S1~S11 診療装置
【要約】
【課題】人の手を煩わせることなく診療椅子等を殺菌することができる診療装置を提供すること。
【解決手段】診療装置Sは、診療椅子11と、診療用無影灯2とを有している。紫外線照射灯4は、少なくとも診療椅子11を俯瞰する位置から診療椅子11のシート部に向けて紫外線を照射し、当該シート部および/またはその周辺器材を殺菌可能としている。紫外線照射灯4は、診療用無影灯2と一体的に、または、診療用無影灯2の近傍に設けられている。
【選択図】
図1