IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティーの特許一覧

特許7088586多波長の位相変調によって広帯域スペクトルを生成するためのシステムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】多波長の位相変調によって広帯域スペクトルを生成するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H01S 3/10 20060101AFI20220614BHJP
   G01C 19/72 20060101ALI20220614BHJP
   G02F 1/03 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H01S3/10 Z
G01C19/72 M
G01C19/72 J
G02F1/03 502
【請求項の数】 24
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021145607
(22)【出願日】2021-09-07
(65)【公開番号】P2022065618
(43)【公開日】2022-04-27
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】17/071,212
(32)【優先日】2020-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ジェイ・エフ・ディゴネット
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン・エム・ウィーラー
【審査官】村井 友和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第10228250(US,B2)
【文献】米国特許第08780948(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0022818(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01S 3/00-3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1のピークを含む第1のスペクトルを有する第1の光を生成するように構成された少なくとも1つのレーザ源であって、各第1のピークが、対応するピーク波長および対応する線幅を有する、少なくとも1つのレーザ源と、
雑音波形を生成するように構成された波形生成器と、
前記少なくとも1つのレーザ源と光学的に連通し、前記波形生成器と電気的に連通する電気光学位相変調器であって、前記電気光学位相変調器が前記第1の光を受信し、前記雑音波形を受信し、複数の第2のピークを含む第2のスペクトルを有する第2の光を生成するように前記第1の光を変調することによって前記雑音波形に応答するように構成され、各第2のピークが対応するピーク波長および対応する線幅を有し、前記第2のピークの前記ピーク波長が前記第1のピークの前記ピーク波長に等しく、前記第2のピークの前記線幅が前記対応する第1のピークの前記線幅よりも広い、電気光学位相変調器と
を備える光学システム。
【請求項2】
隣接する第2のピークが互いに実質的に重なり合う、請求項1に記載の光学システム。
【請求項3】
隣接する第1のピークが互いに実質的に重なり合わない、請求項2に記載の光学システム。
【請求項4】
隣接する第1のピークが互いに実質的に重なり合う、請求項2に記載の光学システム。
【請求項5】
隣接する第2のピークが互いに実質的に重なり合わない、請求項1に記載の光学システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つのレーザ源がマルチモードレーザを含む、請求項1に記載の光学システム。
【請求項7】
前記波形生成器が、少なくとも1つの雑音源と、前記少なくとも1つの雑音源からのソース雑音波形を増幅して前記雑音波形を生成するように構成された少なくとも1つの増幅器とを備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの増幅器の最終増幅器が利得Gおよび飽和電圧レベルVsatを有し、前記波形生成器が、標準偏差Vrms=Gvrmsを有する確率密度関数を有する雑音電圧V(t)を生成し、vrmsは前記最終増幅器への入力雑音のrms値であり、前記電気光学位相変調器が、電圧Vπがπ位相シフトを発生させるように構成される、請求項7に記載の光学システム。
【請求項9】
前記第1のピークが1520nm~1580nmの範囲内にあり、Vsat/Vπが0.5~3の範囲内にあり、Vrms/Vπが0.7~1.1の範囲内にある、請求項8に記載の光学システム。
【請求項10】
前記第1のピークが1520nm~1580nmの範囲内にあり、Vsat/Vπが3より大きい範囲内にあり、Vrms/Vπが0.8より大きい範囲内にある、請求項8に記載の光学システム。
【請求項11】
前記電気光学位相変調器と光学的に連通し、前記第2の光の少なくとも一部を受信するように構成されたセンサをさらに備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項12】
前記センサがファイバ光学ジャイロスコープ(FOG)を備える、請求項11に記載の光学システム。
【請求項13】
前記光学システムが、多機能集積光学チップ(MIOC)をさらに備え、前記FOGが、前記MIOCと光学的に連通する感知コイルを備え、前記MIOCは前記電気光学位相変調器と光学的に連通し、前記電気光学位相変調器から前記第2の光を受信するように構成されている、請求項12に記載の光学システム。
【請求項14】
前記MIOCが、偏光子、Y接合部、およびループ固有周波数で方形波変調信号によって駆動されるプッシュプル位相変調器を備える、請求項13に記載の光学システム。
【請求項15】
前記感知コイルが、1キロメートルを超えるコイル長を有する四重極巻の偏波保持ファイバを含む、請求項13に記載の光学システム。
【請求項16】
前記MIOCおよび前記感知コイルが、熱的に隔離されたエンクロージャ内に収容される、請求項13に記載の光学システム。
【請求項17】
前記電気光学位相変調器の出力を偏光するように構成された偏光子をさらに備える、請求項1に記載の光学システム。
【請求項18】
光学デバイスで使用するためのレーザベースの広帯域光を生成する方法であって、前記方法が、
少なくとも1つのレーザを使用して、複数の第1のピークを含む第1のスペクトルを有する第1の光を生成するステップであって、各第1のピークが、対応するピーク波長および対応する線幅を有し、隣接する第1のピークが互いに実質的に重なり合わない、ステップと、
雑音波形に応答して、複数の第2のピークを含む第2のスペクトルを有する第2の光を生成するように前記第1の光を変調するステップであって、各第2のピークが、対応するピーク波長および対応する線幅を有し、前記第2のピークの前記ピーク波長が前記第1のピークの前記ピーク波長に等しく、前記第2のピークの前記線幅が前記第1のピークの前記線幅よりも広い、ステップと
を含む、方法。
【請求項19】
隣接する第2のピークが互いに実質的に重なり合う、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
隣接する第2のピークが互いに実質的に重なり合わない、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記雑音波形がガウス白色雑音波形である、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記雑音波形が、±Vsatに2つのデルタ関数を有する擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)PDFである確率密度関数と、前記2つのデルタ関数の間に実質的に一定の非ゼロ値を有する領域とを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の光の少なくとも一部を少なくとも1つのセンサに入力することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記少なくとも1つのセンサがファイバ光学ジャイロスコープを備える、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本出願は、一般に、レーザ駆動の広幅化光源に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
特定のクラスの2波干渉計、特にレーザ撮像(例えば、B.Redding et al.,“Speckle-free laser imaging using random laser illumination,”Nat.Photon.,vol.6,pp.355-359,Apr.2012参照)、回転検知(例えば、H.C.Lefevre,“The fiber-optic gyroscope,a century after Sagnac’s experiment:The ultimate rotation-sensing technology?”C.R.Phys.,vol.15,no.10,pp.851-858,Nov.2014参照)、および光コヒーレンストモグラフィ(例えば、W.Drexler et al.,“In vivo ultrahigh-resolution optical coherence tomography,”Opt.Lett.,vol.24,no.17,pp.1221-1223,1999参照)では、散乱体などの不完全性から生じるスプリアス信号が測定信号とコヒーレントに干渉し、雑音および/またはドリフトを追加する。これらの用途は、インコヒーレント光の使用から恩恵を受け、これにより、対象の小さな空間領域の外側のこれらの干渉効果が排除される。
【0003】
例えば、いくつかのLIDARシステムは、インコヒーレント光を使用して大気の乱流を「通して見る」と共に、エアロゾルからの散乱を使用して遠方の物体の変位を測定する(例えば、F.Y.Lin and J.M.Liu,“Chaotic lidar,”IEEE J.Sel.Top.Quantum Electron.,vol.10,no.5,pp.991-997,Sep.2004参照)。医療撮像器具では、インコヒーレント光を使用して、周囲の組織からの背景反射のためにコヒーレント光で分解することが困難な組織内のμm体積を撮像する(例えば、Drexler 1999参照)。
【0004】
ファイバ光学ジャイロスコープ(FOG)は、2200年で一周するほどの小さな回転速度を推測するために、極めて小さい経路長差(10fm以下)を測定する(例えば、Lefevre 2014参照)。インコヒーレント光は、ファイバコイルに沿った光後方散乱(例えば、M.J.F.Digonnet et al.,”Coherent backscattering noise in a photonic-bandgap fiber optic gyroscope,”20th Int.Conf.Opt.Fibre Sensors,vol.7503,pp.750302-1-4,Oct.2009、S.W.Lloyd et al.,”Modeling coherent backscattering errors in fiber optic gyroscopes for sources of arbitrary line width,”J.Lightwave Technol.,vol.31,no.13,pp.2070-2078,Jul.2013参照)または偏光結合(例えば、N.Chamoun and M.J.F.Digonnet,”Noise and bias error due to polarization coupling in a fiber optic gyroscope,”J.Lightwave Technol.,vol.33,no.13,pp.2839-2847,Apr.2015参照)からのスプリアス干渉から生じる雑音およびドリフトを大幅に低減することによってFOGに優れた精度を与える。インコヒーレント光はまた、「ゼロ長」光キャビティを実証するのに有用であり得る(例えば、A.Gellineau et al.,”Design of resonant mirrors with negative group delay,”Opt.Express,vol.,no.23,pp.29213-29222,Nov.2014、A.Gellineau et al.,”Engineering-reflected phase in Fabry-Perot sensors with resonant mirrors,”Opt.Lett.,vol.38,no.23,pp.4992-4995,Dec.2013参照)。ファイバレーザのパワースケーリングを制限する可能性がある誘導ブリルアン散乱は、レーザの位相を雑音で外部変調してその線幅を広げることによって緩和することもできる(例えば、B.S.Vikram et al.,”Continuously linewidth tunable polarization maintaining narrow linewidth fiber laser,”Proc.SPIE 10897,Fiber Lasers XVI:Technology and System,pp.108971V-1-7,Mar.2019、B.Anderson et al.,”Experimental study of SBS suppression via white noise phase modulation,”Proc.SPIE,vol.8961,pp.89611W-1-7,Feb.2014参照)。
【0005】
コヒーレンスの程度は光帯域幅に反比例するので、コヒーレンスを低減するために、光は、広い帯域幅を有するように選択され得る。例えば、GHz(例えば、Lin 2004、Lloyd 2013、Vikram 2019、Anderson 2014参照)やTHz(例えば、Redding 2012、Lefevre 2014、Drexler 1999参照)の帯域幅が用いられている。ほとんどの用途は、パルスレーザまたは連続波希土類ドープ超蛍光ファイバ源(SFS)のいずれかを使用することによってこの目標を満たす。SFSは多くの用途で良好に機能するが、2つの重要な制限がある。SFSは相対強度雑音(RIN)が高く、これは雑音を増加させる(そして時には制限する)。SFSはまた、平均波長安定性が低く、FOGでは、測定される絶対回転速度に著しい誤差をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
特定の実施態様では、光学システムは、複数の第1のピークを含む第1のスペクトルを有する第1の光を生成するように構成された少なくとも1つのレーザ源を備える。各第1のピークは、対応するピーク波長および対応する線幅を有する。光学システムは、雑音波形を生成するように構成された波形生成器をさらに備える。光学システムは、少なくとも1つのレーザ源と光学的に連通し、かつ波形生成器と電気的に連通する電気光学位相変調器をさらに備える。電気光学位相変調器は、第1の光を受信し、雑音波形を受信し、複数の第2のピークを含む第2のスペクトルを有する第2の光を生成するように第1の光を変調することによって雑音波形に応答するように構成される。各第2のピークは、対応するピーク波長および対応する線幅を有する。第2のピークのピーク波長は、第1のピークのピーク波長と等しく、第2のピークの線幅は、対応する第1のピークの線幅よりも広い。
【0007】
特定の実施態様では、方法は、光学デバイスで使用するためのレーザベースの広帯域光を生成する。この方法は、少なくとも1つのレーザを使用して、複数の第1のピークを含む第1のスペクトルを有する第1の光を生成することを含む。各第1のピークは、対応するピーク波長および対応する線幅を有し、隣接する第1のピークは互いに実質的に重なり合わない。この方法は、雑音波形に応答して、複数の第2のピークを含む第2のスペクトルを有するように第1の光を変調することをさらに含む。各第2のピークは、対応するピーク波長および対応する線幅を有する。第2のピークのピーク波長は、第1のピークのピーク波長と等しい。第2のピークの線幅は、第1のピークの線幅よりも広い。
【0008】
図面の簡単な説明
特許または出願ファイルは、カラーで作成された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を伴うこの特許または特許出願公開の写しは、請求および必要な料金の支払いに応じて特許庁によって提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本明細書に記載の特定の実施態様による、例示的な広幅化レーザ、増幅器伝達関数、および増幅前後の電気雑音の確率密度関数(PDF)のブロック図を概略的に示す。
図2A】残留キャリアのない10THz線幅を有するガウス型線形に均一に広げられた例示的なレーザの光スペクトル、および同じ広げられたガウス型線形に10%の残留キャリア(例えば、500GHz線幅)を加えた例示的なレーザの光スペクトルを示す。
図2B図2Aの2つの広幅化レーザの一方または他方によって駆動される例示的な2波マッハツェンダ干渉計の経路長遅延の関数としてプロットされた例示的な平均干渉出力パワーを示す。
図3】Vrms/VπおよびVsat/Vπの関数としてのキャリア抑制fの計算されたヒートマップのプロットである。
図4】本明細書に記載の特定の実施態様に互換性のある例示的な雑音源および少なくとも1つの増幅器を概略的に示す。
図5】本明細書に記載の特定の実施態様による例示的なFOGを概略的に示す。
図6】本明細書に記載の特定の実施態様による、Vrms/Vπの関数としてのf値のプロットである。
図7】測定された半値全幅(FWHM)および広幅化レーザの測定されたキャリア抑制のプロット、ならびに本明細書で説明されるようにVrms/Vπの関数としてのFWHMおよびキャリア抑制の依存性の計算された予測である。
図8】FOG(図8の左側)および干渉縞(図8の右側の暗い領域)をインテロゲートするために使用されるインテロゲーティングレーザ光の様々な例示的なスペクトルを概略的に示す。
図9A】本明細書に記載の特定の実施態様による、複数の波長のレーザ光を生成するように構成されたレーザ源を備える例示的な光学システムを概略的に示す。
図9B】本明細書に記載の特定の実施形態による、光学デバイスで使用するためのレーザベースの広帯域光を生成する例示的な方法のフロー図である。
図10】本明細書に記載の特定の実施態様による、VrmsおよびVsatの関数としてのキャリア抑制fの計算されたヒートマップのプロットである。
図11】本明細書に記載の特定の実施態様による、複数のピーク波長を有するレーザ光を生成するように構成された例示的なレーザ源を概略的に示す。
図12】本明細書に記載の特定の実施態様による、既知の伝達関数を用いて入力PDFを出力PDFに変換する方法を図式的に示す。
図13】本明細書に記載の特定の実施態様による、図4に概略的に示す雑音源を使用して測定された出力信号g(y)またはV(t)のPDFを示す。
図14】本明細書に記載の特定の実施態様による、特定のパラメータ値によって定義される漸次飽和モデル増幅器伝達関数、およびハードレールを有するハードクリッピングモデル増幅器伝達関数を概略的に示す。
図15】本明細書に記載の特定の実施態様による、増幅器伝達関数のキャリア抑制を予測する方法のフロー図である。
図16】本明細書に記載の特定の実施態様による、漸次飽和モデルにおいてμ=0を保持しながらx=-xの4つの異なる選択肢についてのVsatおよびVrmsの関数としての例示的なキャリア抑制のグラフ、およびハードクリッピングモデル(例えば、x=-x=1)のVsatおよびVrmsの関数としてのキャリア抑制のグラフを示す。
図17A】本明細書に記載の特定の実施態様による、(広げられたときに第2の光のピークが実質的に重なり合うように)互いに近接して離間したレーザ源から出力された第1の光の2つのピーク波長を概略的に示す。
図17B】本明細書に記載の特定の実施態様による、(広げられたときに第2の光のピークが実質的に重なり合わないように)互いに遠く離れているレーザ源から出力された第1の光の2つのピーク波長を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明を実施するための形態
レーザの帯域幅は、広帯域RF雑音によって駆動される電気光学位相変調器(EOM)を介してその出力を送信することによって広げられてきた(例えば、Vikram 2019、J.Chamoun and M.J.F.Digonnet,”Aircraft-navigation-grade laser-driven FOG with Gaussian-noise phase modulation,”Opt.Lett.,vol 42,no.8,pp.1600-1603,Apr.2017、J.N.Chamoun,”A laser-driven fiber optic gyroscope for inertial navigation of aircraft,”Ph.D.dissertation,Dept.App.Phys.,Stanford Univ.,2016参照)。弱い変調の場合、キャリアパワーの一部は、周波数スペクトルがRF周波数スペクトルを反映する対称側波帯に再分配される。変調振幅が増加すると、側波帯のパワーは高次側波帯にさらに再分配され、側波帯は互いに畳み込まれ、したがって、光スペクトルは広帯域幅を有するガウス分布に平滑化される。この帯域幅は、前者が後者よりも大幅に広い場合、元のレーザ線幅とは無関係である。この方法は、約1.5GHz(例えば、Anderson 2014参照)から約10GHz(例えば、Vikram 2019参照)および42GHz(例えば、Chamoun 2017参照)の範囲の帯域幅を生成した。十分に強い変調の一部の範囲にわたって、わずかな割合f(約10-4)の残留キャリアのみが残る(例えば、N.Abramson,”Bandwidth and spectra of phase-and-frequency-modulated waves,”IEEE Trans.Commun.Syst.,vol.11,no.4,pp.407-414,Dec.1963参照)。この技術は、レーザの平均波長安定性を維持し、SFSのRINよりもはるかに低いRINを有する光を生成するという利点を提供する。
【0011】
広幅化方法は線幅を増加させ、したがってレーザの全体的なコヒーレンスを減少させるが、コヒーレントな残留キャリアには少量のパワーが残る。この残留キャリアのパワーの割合が実質的に減少しない限り、レーザのコヒーレンスを支配することができ、高度のインコヒーレンスが望まれる用途におけるその使用を制限することができる。例えば、25GHzに広げられた25kHzレーザを利用するFOGにおける後方散乱雑音は、キャリアに1%のパワーが残っており、1/√Δνとして光帯域幅Δνが増加するにつれて減少する(例えば、Lloyd2013、Chamoun2017参照)。したがって、広帯域成分は雑音を(25GHz/25kHz)1/2、すなわち-30dB低減するが、残留する25kHzのキャリアからの雑音は依然として元の雑音の1%、すなわち-20dBである。0.01%のキャリア抑制の場合、雑音は完全に-30dB低減される。
【0012】
LIDAR用途では、大気反射およびエアロゾル反射もスプリアス2波干渉計を導入する可能性がある。干渉計のアームの長さが数コヒーレンス長Lを超えて異なる場合、フィールドは平均してインコヒーレントに干渉し、干渉計の出力は摂動に影響されない。屈折率が実質的に1に等しい媒体(例えば、空気)において目標空間分解能ΔLを達成するためのレーザ帯域幅Δνは、Δν≒c/ΔLである。1-cmの分解能の場合、数十GHzの帯域幅を使用することができる。数THzの帯域幅は、サブミリメートル分解能を有する網膜撮像に使用することができる(例えば、Drexler 1999参照)。しかしながら、わずか1%の残留キャリアでさえ、1%のコヒーレントな反射をもたらし、画質を損なう可能性がある。
【0013】
一般に、EOMに印加されるRF雑音電圧を増加させると、fが指数関数的に減少する(例えば、Abramson 1963、D.Middleton,An Introduction to Statistical Communication Theory,Piscataway,NJ,USA:Wiley,pp.604-605,1996、Chamoun 2016、A.Godone et al.,”RF spectrum of a carrier with a random phase modulation of arbitrary slope,”Metrologia,vol 45,no.3,pp.313-324,May 2008参照)。しかしながら、以前の実験的研究では、大きなRF電圧では、帯域幅が増加し続ける間にキャリア抑制が低下し(例えば、Anderson 2014、Chamoun 2017参照)、キャリアを最適に抑制する狭い範囲のRF電圧をもたらすことが報告された。したがって、大きなRF電力でfが低下する理由、fを最適に抑制する電圧の範囲が非常に狭い理由、ならびにこの範囲を可能な限り拡張して広げられた光源を温度および他の環境変化に対してより堅牢にする方法を理解する必要がある。
【0014】
本明細書では、任意の確率密度関数(PDF)の雑音で駆動される位相変調器で広げられた任意の線幅のレーザにおける残留キャリアを記述するための閉じた形式の式が開示される。この式を使用して、この広げられた光源の3つの特性を予測することができる。
【0015】
・増幅器の飽和によって引き起こされ得る高いRF電圧で観察されたキャリア抑制の低下
・この飽和は、飽和していない場合よりも低いRF電力でほぼ完全なキャリア抑制を可能にし、RF電力に対するより厳しい公差を犠牲にしても、増幅器に供給される電力を低減することができる。
【0016】
・Vπが低減され、かつ/またはVsatが増大される場合、RF電力の公差を大幅に緩和することができる。例えば、そのような低公差動作点は、3VのVπ、±21VのVsat、および11.10±8.154VのVrmsを有する非圧縮雑音確率密度関数(PDF)で達成することができる。
【0017】
この第3の特性は、雑音源、増幅器、およびEOMが異なる温度で異なる動作をすることができ、経年劣化する可能性があるため、広い温度範囲にわたって拡張動作を有する用途において特に興味深いものとなり得る。
【0018】
消光比モデル
飽和した増幅器によって生成されるガウス白色雑音に焦点を合わせて、任意のランダム位相変調波形によって広げられたレーザにおけるキャリア抑制の簡単な解析式を本明細書で開示する。本明細書に記載のモデルはまた、有利には、飽和の存在下での弱い変調限界と強い変調限界との間の、およびこの領域の外側の、これまでモデル化されていなかった領域における広げられたスペクトルの線形の近似式を提供する。EOMに印加される電圧Vrms、増幅器チェーンの増幅器(例えば、少なくとも1つの増幅器の最終増幅器)の飽和電圧Vsat、および(例えば、電圧Vπがπ位相シフトを発生させるように)最大キャリア抑制を生じさせるためのEOMのVπの条件が導出される。電圧Vπは、EOMの電気光学効率、EOMの長さ、EOMの電極間の間隔、および電極に印加される電圧によって生成されるフィールドと導波路内の光モードフィールドとの間の重なり合いを含むがこれらに限定されない様々な要因に依存する。本明細書に開示されるモデルは、高精度FOGおよびLIDARを含む広範囲の干渉計に適した広幅化レーザの設計を容易にすることができる。
【0019】
図1は、本明細書に記載の特定の実施態様による、増幅前後の例示的な広幅化レーザ100、増幅器伝達関数、および電気雑音の確率密度関数(PDF)のブロック図を概略的に示す。図1に示すように、広帯域レーザ100は、レーザ光(例えば、E=Eexp(iωt))を供給するように構成されたレーザ源110と、レーザ光を受信するように構成された電気光学位相変調器(EOM)120とを備える。広帯域レーザ100は、rms電圧をvrmsとするガウスPDF(例えば、Chamoun 2017参照)を有する白色雑音信号(例えば、電圧)v(t)を生成するように構成された雑音源130(例えば、広帯域ガウス雑音源)をさらに備える。広幅化レーザ100は、雑音源130からの白色雑音電圧v(t)をEOM120を駆動するのに十分な雑音電圧V(t)に増幅するように構成された少なくとも1つの増幅器140(例えば、高帯域幅RF増幅器)をさらに備える。例えば、図1の右側に示されるように、少なくとも1つの増幅器140は、白色雑音電圧v(t)をより広いPDFを有するより強い雑音電圧V(t)に増幅する。少なくとも1つの増幅器140に供給される約±Vsatの有限電源電圧は、図1の左側の伝達関数に示すように、大きな入力電圧が印加されると、少なくとも1つの増幅器140の出力を飽和させる。この飽和は、増幅された雑音PDFのテール内の±Vsatを超える絶対電圧を±Vsatでローブに圧縮させる(図1のV(t)のPDF参照)。最終増幅器の入力信号p(v)の標準偏差はvrmsである。したがって、増幅されたPDF P(V)の標準偏差は、ほぼVrms=Gvrmsであり、式中、Gは最後の増幅器の利得である。EOM120は、比例定数π/Vπを介してV(t)を光位相シフトφ(t)に変換し、レーザ光に光位相シフトを与える。EOM120から出力される変調信号(例えば、E=Eexp(iωt+φ(t))は、広い線幅(例えば、数GHz)に加えて、わずかなfの残留キャリア抑制を有する。特定の実施態様では、レーザ源110からのレーザ光は連続波であるが、特定の他の実施態様では、レーザ源110からのレーザ光はパルス化される。
【0020】
低コヒーレンス光(例えば、LIDAR、FOG)を利用するフォトニックシステムを有する特定の実施態様では、測定信号の雑音およびドリフトは、例えば散乱体によって引き起こされるスプリアス干渉計から生じる。マッハツェンダ干渉計(MZI)を使用してスプリアス干渉計をモデル化し、光源のコヒーレンスがこれらの誤差の大きさにどのように影響するかを示すことができ、MZIは光路遅延τ=nΔL/cを有し、式中、ΔLは2つのアーム間の長さの差であり、nはアームの屈折率であり、cは真空中の光の速度である。例えば、LIDARの場合、ΔLは、(対象の主反射信号を生成する)ターゲットと(スプリアス反射信号を生成する)散乱体との間の距離の2倍を表すことができ、MZIビームスプリッタは可逆50%結合器であり得る。図2Aは、残留キャリアがない10THz線幅を有するガウス型線形に均一に広げられた例示的なレーザの光スペクトル(破線曲線)、および同じ広げられたガウス型線形に残留キャリアのパワーの10%を加えた例示的なレーザの光スペクトル(例えば、500GHz線幅、実線曲線)を示す。図2Aの大きな線幅は、図2Bにおいて容易に識別されるように、干渉縞およびコヒーレンス長をほぼ同じ長さスケールに置くことを例示目的としている。
【0021】
図2Bは、図2Aの2つの広幅化レーザの一方または他方によって駆動される(例えば、インテロゲートされる)例示的な2波マッハツェンダ干渉計の経路長遅延τの関数としてプロットされた例示的な平均干渉出力パワーを示す。経路長遅延τが増加すると、出力パワーは、減少する振幅を有する包絡線またはコントラストΓ(τ)を有する干渉縞を示す。残留キャリアがない広幅化レーザ(図2Aの破線曲線)によってインテロゲートされるMZIの場合、このコントラストは、(例えば、H.C.Lefevre,The Fiber-Optic Gyroscope,Boston,MA,USA:Artech House,pp.262,2014参照)として表すことができる。
【0022】
【数1】
【0023】
式中、Δfは広げられた線幅である。コントラストΓ(τ)の振幅は、干渉縞が消えるまでτの増加と共に指数関数的に減少する(図2Bの破線曲線)。レーザτのコヒーレンス時間は、コントラストの振幅を1/eに減少させる光路遅延である。τ>>τの場合、MZIの平均出力パワーはτに依存せず、したがってτの変動に依存しない。その結果、出力パワーは変動に対して非常に安定し、その結果、ドリフトまたは雑音をほとんど発生させない。
【0024】
残留キャリアを有する広幅化レーザ(図2Aの実線曲線)によってインテロゲートされるMZIの場合、PDFは、正規化された振幅fおよび線幅Δfを有する広帯域信号と、振幅fおよび線幅Δfを有する正規化された残留キャリア抑制を有する狭線幅信号との和であり、f+f=1である。式(1)に重畳原理を適用すると、コントラストΓ(τ)は、以下のように表すことができる。
【0025】
【数2】
【0026】
式(2)は、図2Aの残留キャリアを有する広幅化レーザの場合(例えば、f=0.9、f=0.1である)、経路長遅延τが増加するにつれて、Γ(τ)は指数関数的に減少し、fに等しい有限値に漸近することを示す(1/Δf<<τ<<1/Δfの場合)。この結果は図2B(実線曲線)と一致しており、これは、τが大きい場合、MZIの出力パワーが0にならず、図2Bに示すτの最大値よりもはるかに大きい約1/Δfの経路長遅延τまで振動し続けることを示す。したがって、残留キャリアの存在下では、MZIの出力パワーが長さ変動に敏感である広範囲の経路長不一致(例えば、約50fsからはるかに大きい値までの経路長遅延に対応する)が存在する。この挙動は、多数の散乱体が雑音およびドリフトに寄与することを意味するため、様々な状況(例えば、LIDAR)で望ましくない。この分析は、キャリア抑制fを単純に大きな遅延でMZIのコントラストとしてモデル化できることを示している。
【0027】
コントラストの解析式を導出するために、位相雑音φΝ(t)によって変調されたレーザの出力フィールドは、以下のように表すことができる。
【0028】
【数3】
【0029】
式中、tは時間であり、ωは平均光周波数である。MZI出力では、フィールドはτだけ遅延した自身のレプリカと干渉する。所与の遅延に対して、平均干渉パワーは、以下のように表すことができる。
【0030】
【数4】
【0031】
式中、E{}は(有限検出帯域幅での時間平均をモデル化するための)期待値であり、Δφ(t,τ)=φ(t)-φ(t-τ)はフィールド間の位相差であり、Δφの確率密度関数(PDF)はpΔφ(Δφ)であり、これは0の平均を有し、E {sin(Δφ(t,τ))}=0であるように対称であると仮定することができる。増大する電圧および減少する電圧のスルーレートが異なる場合、PDFはわずかに非対称である可能性があり、これは増幅器で生じるが、一般に無視できる。完全な対称性は、本明細書でより完全に開示されるように、測定データに非常によく適合するより単純なモデルを提供するために仮定することができる。
【0032】
この仮定の下で、式(4)は以下のように表すことができる。
【0033】
【数5】
【0034】
コントラストΓ(τ)は、以下のように表すことができる。
【0035】
【数6】
【0036】
キャリア抑制fは、広幅化レーザの数コヒーレンス時間よりも大きいτに対してΓ(τ)を計算することによって決定することができる(例えば、Middleton 1996参照)。この限界において、φ(t)およびφ(t+τ)は統計的に独立している(1/τが雑音帯域幅より小さい場合、統計的に相関する)。φ(t)-φ(t+τ)のPDFは、pφ(φ-<φ>)の自動畳み込みを行うことによって得ることができ、式中、<φ>はφの期待値であり、特定の実施態様では0であると仮定することができる。pφ(φ)はP(V)、それらがサンプリングされたV(t)のPDFに比例し(例えば、pφ(φ)=Vπ/πP(φ=πV/Vπ))、キャリア抑制は畳み込み(*)として表すことができる。
【0037】
【数7】
【0038】
式(7)は、物理パラメータP(V)およびVπからキャリア抑制を計算する簡単な手段を提供する。式(7)を算出するために、既知であるVπの値と、一般的に知られていないP(V)を用いることができる。PDFは、オシロスコープで測定するか、または計算することができる(例えば、図12に示す方法を用いる)。PDFは、v(t)のガウスPDFのPDFを増幅器の非線形伝達関数f(v)で変換することにより算出できる。この目的のために、使用される量はp(v)およびf(v)である。vのPDFは、ガウス分布とすることができ(最初の7つの増幅器が線形であるため)、平均μ(例えば、最初の7つの増幅器によって雑音電圧に加えられる小さなオフセットに起因して非ゼロである)および標準偏差vrmsを有する。P(V)は、以下によりp(v)に関連付けられる(例えば、M.Fisz,Probability Theory and Mathematical Statistics,New York,NY,USA:John Wiley&Sons,Inc.,pp.36-40参照)。
【0039】
【数8】
【0040】
図1の右上隅に示すPDFに示されているように、最後の増幅器における飽和の効果は、元のガウス入力PDFを歪めることである。
【0041】
式(8)は、最終増幅器の非線形伝達関数の知識を用いて算出することができる。伝達関数は、複数の物理的パラメータに依存するシグモイド形状を有することができ、したがって、正準関数によって記述することはできない。しかしながら、これは、双曲線正接関数および入力電圧の多項式を含む関数によって表すことができる(例えば、I.Angelov,H.Zirath,and N.Rorsman,“A new empirical nonlinear model for HEMT and MESFET devices,”IEEE Trans.Microwave Theory Tech.,vol.40,no.12,pp.2258-2266,Dec.1992、I.Angelov,L.Bengtsson,and M.Garcia,“Extensions of the Chalmers nonlinear HEMT and MESFET model,”IEEE Trans.Microwave Theory Tech.,vol.44,no.10,pp.1664-1674,Oct.1996参照)。式(9)に示されるように、伝達関数は、双曲線正接関数を用いてモデル化することができるが(例えば、Angelov 1996の場合のように)、簡単にするために自由パラメータを少なくする。
【0042】
【数9】
【0043】
式中、vは入力電圧であり、Gは最終増幅器の小信号利得である。一般に、正および負の電圧はわずかに異なる伝達関数で飽和するため、RF増幅器の伝達関数は非対称である。この非対称性は、式(9)でパラメータxおよびxによってモデル化され、xおよびxは、それぞれ増幅器の線形範囲の下限および上限である。xおよびxの値は、x>xであれば、-1から1の間であり得る。式(8)は、この伝達関数の逆数を利用し、次の形式を有する。
【0044】
【数10】
【0045】
入力信号のPDFは、ガウスの形式を有する関数p(v)として表すことができる。
【0046】
【数11】
【0047】
式中、vrmsは入力の標準偏差を表し、Vrms/Gに等しく、μは入力ガウスの平均値を表す。図12は、本明細書に記載の特定の実施態様による、既知の伝達関数を用いて入力PDFを出力PDFに変換するこの方法を図式的に示す。
【0048】
まとめると、キャリア抑制は、式(7)で表すことができる。所与の増幅器チェーンについて、式(7)は、最後の増幅器のパラメータVsat、G、x、およびxを測定することによって算出することができ、これにより式(9)の伝達関数f(v)を決定し、次に、最後の増幅器に印加されたガウス雑音のvrmsおよびμを測定し、これによりv(t)、したがってそのPDF p(v)が決定される。次に、関数f(V)およびp(v)を式(8)で使用してP(V)を計算することができ、これを式(7)に挿入してキャリア抑制を得ることができる。
【0049】
図3は、Vrms/VπおよびVsat/Vπの関数としてのキャリア抑制fの計算されたヒートマップのプロットである。図3のVrmsおよびVsatに対するキャリア抑制の依存性は、図1の最後の増幅器について測定されたG、x、およびxの値、ならびに図1の最後の増幅器への入力電圧の平均電圧μについて式(7)を数値解明することによって計算される。x軸およびy軸は、それぞれ無次元比Vsat/VπおよびVrms/Vπを表す。図3は、Vrms/Vπが0.66未満および/またはVsat/Vπが0.46未満の領域はキャリア抑制が不十分である(例えば、-20dB以上)ことを示しており、プロットの左下は変調がない場合にキャリア抑制がないことを示している。優れたキャリア抑制を有する領域(例えば、-60dB以下)は、薄い歪んだU字型(例えば、馬蹄形)帯域での最大抑制を含む(7に等しいVsat/Vπまでの比について、複数の帯域が図3に示されている。図3に示すよりもVsat/Vπの比が大きいほど多く存在する)。
【0050】
rms>>Vsat図3の左上を参照)の場合、EOM120に印加されるランダム電圧は±Vsat/Gを超える確率が高く、少なくとも1つの増幅器140はほぼ常に飽和している。極端な飽和の限界では、PDF内のすべての領域は2つのサイドローブ内にあり、これは±Vsatでデルタ関数として近似することができる(すなわち、P(V)=(δ(V-Vsat)+δ(V+Vsat))/2)。この式を式(7)に代入すると、f=(1+cos(2πVsat/Vπ))/2が得られ(Chamoun 2016がVsatをピークツーピーク値として定義するのに対して、本明細書で定義されるVsatは振幅であることを認識した後に、J.Chamoun and M.J.F.Digonnet,“Pseudo-random-bit-sequence phase modulation for reduced errors in a fiber optic gyroscope,”Opt.Lett.,vol.41,no.24,pp.5664-5667,Dec.2016に同意し、結果的に、この式ではπの前に2の追加係数が生じる)図3の上部に沿った周期構造を記述する。Vrms<<Vsat図3の右下を参照)の場合、PDFはほぼガウス分布である。ガウス分布を式(7)に挿入すると、f=exp(-(πVrms/Vπ)が得られ(Vikram 2019、Abramson 1963、Middleton 1996、Chamoun 2016、Godone 2008に同意)、この式は、Vrmsが十分に大きい(例えば、図3の右端でVrms/Vπ>>1である)場合の優れたキャリア抑制の広い領域へのロールオフを記述する。
【0051】
図3の破線曲線は、同じ広がりの輪郭である。各輪郭は、EOM120における雑音電圧のrms電気帯域幅に対する広げられた光のrms帯域幅の比に等しい数によってラベル付けされている。これらの輪郭線を生成するために使用されるモデルは、付記に提示されている。これらの曲線は、非常に低いVrmsまたはVsat(実際にはほとんど生じない)を除いて、この比が1よりも大きく、広げられた光は雑音信号よりも広いことを示している。VsatおよびVrmsの両方が増加するにつれて、この比は増加する。例えば、「4」とラベル付けされた曲線に沿って、増幅器チェーンが10GHzの帯域幅を有する場合、広幅化レーザは40GHzの帯域幅を有する。わずか10GHzの電子機器で40GHzの光帯域幅が達成され、これは複雑さおよびコストの大幅な削減に相当する。
【0052】
特定の実施態様では、有限の電力収支または熱的考慮事項がVrms.の実用的な最大値を制限する。キャリアを抑制しながら最も少ない電力を使用する動作点(例えば、全くまたは完全に、少なくとも-30dB、少なくとも-35dB、少なくとも-40dB、少なくとも-50dB、少なくとも-60dB)は、図3の第1の帯域の底部に沿っている(例えば、0.50より大きく約2.57以下のVsat/Vπ)。この領域は最も低いVrmsを有するが、この第1の帯域の狭い厚さによって示されるように、VrmsおよびVsatの両方において厳しい公差を犠牲にする。例えば、4.7VのVπおよび6.3VのVsat(第1の帯域に属するVsat/Vπ=1.34)の場合、図3は、Vrms/Vπ=0.731±0.030またはVrms=3.44±0.14Vで少なくとも-30dBの抑制を達成することができることを示している。図3に見られるように、これらの帯域ははるかに広いため、より高次の帯域で動作すると、これらの公差を緩和することができる。例えば、低VπのEOM(例えば、ワシントン州レドモンドのEOSPACE,Inc.から入手可能なもののように、1GHzでVπ<3.0Vであり、より高い周波数でVπが低下して平均Vπ=3.5Vを有する)と増幅器(例えば、ニューヨーク州ブルックリンのMinicircuitsのZHL-5W-202-S+のように、3dB圧縮点が38dBmであり、Vsat=約21Vとなる)との組み合わせでは、Vsat/Vπ=6である。少なくとも-30dBのキャリア抑制は、Vrms=11.1±8.15V(例えば、公差は約58倍大きくすることができる)で達成することができる。同様に、より高いレベルのキャリア抑制(例えば、少なくとも-35dB、少なくとも-40dB、少なくとも-50dB、少なくとも-60dB)の公差は、 sat /Vπの比が大きいほどさらに大きくなり得る。欠点は、これらの領域に到達するために、大きな値のVsatを達成するために大型で高価な駆動装置が使用されることであり得る。
【0053】
以前の開示は、Vsat/VπおよびVrms/Vπのパラメータ空間の特定の狭いスライスのみを調査しており、これらの特定のスライス以外の光学システム(例えば、広帯域レーザ100)の性能に関するガイダンスを提供していない(例えば、Vsat/Vπ=1.34における垂直スライス(Chamoun 2017)、0.5<Vsat/Vπ<1.5の範囲内であると推定される垂直スライス(Anderson 2014)、EOMを駆動する擬似ランダムビットシーケンス(PRBS)信号であって、これはVrms/Vπ=∞における実質的に水平スライスであり、Vsatの値はPRBS信号の振幅によって決定される(Anderson 2014、Chamoun 2016))。これらの以前の開示は経験的観察に基づいており、本明細書に記載の特定の実施態様の構造および方法をもたらす正確なモデリング(例えば、飽和の影響を含む)を利用しなかった。
【0054】
本明細書に記載の特定の実施態様は、Vsat/VπおよびVrms/Vπのパラメータ空間の特定の領域における動作を回避する。例えば、最終増幅器146に入力される任意の白色雑音電圧v(t)に対して、広帯域レーザ100は、Vrmsの値がキャリアを完全に抑制しない領域(例えば、Vsat/Vπが0.5未満)での動作を回避するように構成することができる。別の例として、Vsat/Vπが2.57の場合、Vrms/Vπ=0.98で完全なキャリア抑制を達成することができる。Vsat/Vπ=2.83となるように増幅器のVsat値を10%増加させると、完全なキャリア抑制を提供する最小Vrms/Vπは約2.65に倍増する。Vsat/Vπをさらに増加させると、Vrms/Vπが減少する。それにもかかわらず、Vrms/Vπは、2.28<Vsat/Vπ<3.08のこの領域において依然として大きい(例えば、2.0より大きい)ままであるという欠点がある。利得圧縮が突然始まる増幅器の限界において(例えば、x=-x=1、図16の下部を参照)、Vrmsの値がキャリアを完全に抑制しないVsat/Vπ≒1.67から2.5の間の領域が存在する。広帯域レーザ100の動作のために回避されるべきパラメータ空間のこれらの領域の存在は、驚くべきことであり(例えば、以前の開示によって示唆されていない)、Vsat/Vπを低減すること(例えば、より低いVsat/Vπを意味する低減されたダイナミックレンジを有するより安価な最終増幅器146を使用することによって、ハイダイナミックレンジの増幅器140の出力を減衰させることによって)は、Vsat/VπおよびVrms/Vπの特定の値に対する完全な(例えば、パーフェクトな)キャリア抑制を可能にする。
【0055】
本明細書に記載の特定の実施態様は、Vsat/Vπのパラメータ空間におけるキャリア抑制の構造を利用する。例えば、図3を参照すると、各U字型帯域(例えば、大きなキャリア抑制に対応する)は、第1のプロング、底部、および第2のプロングを有する。第1のプロングの各々は正確にVsat/Vπ=2n+0.5で始まり、nは整数である。Vsat/Vπのこれらの開始値において、キャリア抑制は、Vrmsの大きい値(例えば、Vrms=∞;Vrms5以上)において最適である。これらのU字型帯域の第1のプロングは、下方に延びるにつれて2つに分割され、Vrmsの値は最初にVsatの増加に伴って底部まで減少し、底部は最小のVrmsを含む領域を含み、底部におけるVrmsの値はVsatの増加に伴って増加する。各U字型帯域の第2のプロングは、Vsat/Vπ=(2n+1.5)を過ぎて右に曲がり、次いで上方に延び、左に曲がり、Vrmsの値はVsat/Vπが(2n+1.5)に向かって徐々に減少するにつれて増加する。特定の実施態様では、光学システム(例えば、広帯域レーザ100)は、第2のU字型帯域の底部もしくは底部付近(例えば、Vsat/Vπが2.5から6.5の範囲であり、Vrms/Vπが0.8から2.4の範囲)、または第3以上の1つの底部もしくは底部付近で動作する。
【0056】
本明細書に記載の特定の実施態様は、第1のプロングおよび第2のプロングの幅、ならびにキャリアが最適に(例えば、-30dBより良好、-35dBより良好、-40dBより良好、-50dBより良好、-60dBより良好、全く、完全に)抑制されるこれらのU字型帯域の底部を利用する。これらの幅は、キャリア抑制を所定の閾値よりも実質的に良好に維持するために(例えば、-30dBより良好、-40dBより良好、-50dBより良好、-60dBより良好)、VsatおよびVrmsが維持されるべき公差に対応する。図3に示すように、これらの幅は、U字型帯域に沿った動作点の位置に応じて変化する。例えば、各U字型帯域の右側の帯域の幅(例えば、図3において(Vsat/Vπ、Vrms/Vπ)=(2.57,0.98)、(Vsat/Vπ、Vrms/Vπ)=(5.0,1.5))は、U字型帯域の左側の帯域の幅(例えば、(Vsat/Vπ、Vrms/Vπ)=(0.84,0.81)、(Vsat/Vπ、Vrms/Vπ)=(3.20,1.82))よりも大きい。特定の実施態様では、光学システム(例えば、広帯域レーザ100)は、幅がより大きくなるVsatの値で動作し、したがってVsatおよびVrmsの公差はあまり限定的ではなく、動作温度の範囲にわたって、少なくとも1つの増幅器140および/またはEOM120のより緩い製造公差で最適な抑制を達成することを可能にする。
【0057】
図3に示すように、nが大きいU字型帯域の方がnが小さいU字型帯域よりもU字型帯域の底部の幅が広いため、キャリアが抑圧される(例えば、-30dBより良好、-35dBより良好、-40dBより良好、-50dBより良好、-60dBより良好、全く、完全に)パラメータ空間の連続領域が大きくなる。例えば、光学システム(例えば、広帯域レーザ100)は、4以上のVsat/Vπの値および1.2以上のVrms/Vπの値で動作させることができる。
【0058】
例示的なFOG構成
図4は、本明細書に記載の特定の実施態様に互換性のある例示的な雑音源130および少なくとも1つの増幅器140を概略的に示す。図4の雑音源130および少なくとも1つの増幅器140を使用して、14GHzの熱雑音をEOM120への28dBmの入力電力に増幅することができる(例えば、雑音帯域幅は、増幅器の帯域幅によって決定される)。図4の雑音源130および少なくとも1つの増幅器140を備える広幅化レーザ100を使用して、VrmsおよびVsatパラメータに対するキャリア抑制の依存性を実験的に検証した。雑音源130は、熱雑音を生成する少なくとも1つの抵抗器(例えば、50Ω抵抗器)を備え、少なくとも1つの増幅器140は、熱雑音を受信および増幅するように構成された増幅器の第1のセット141(例えば、一連の前置増幅器および増幅器)を備える。少なくとも1つの増幅器140は、増幅器の第1のセット141によって出力された増幅された熱雑音からDC付近の1/f雑音を除去するように構成されたハイパスフィルタ(HPF)142をさらに備える。少なくとも1つの増幅器140は、HPF142の出力を受信するように構成された増幅器の第2のセット143をさらに備える。少なくとも1つの増幅器140は、Vrmsを調整するように(例えば、EOM120に適用されるPDFの形状を調整するために)構成された第1の可変減衰器144(減衰αを有する)をさらに備える。少なくとも1つの増幅器140は、少なくとも1つの増幅器140の最終増幅器146から電圧を受信し、VrmsおよびVsatの両方を調整するように構成された第2の可変減衰器145(減衰αを有する)をさらに備える。第1の可変減衰器144は、増幅器の第2のセット144の2つ以上の増幅器の間に(例えば、図4によって概略的に示されるように、増幅器の第2のセット143の最後の2つの増幅器の前に)配置することができ、第2の可変減衰器146は、増幅器の第2のセット144の後に(例えば、図4によって概略的に示されるように、少なくとも1つの増幅器140の端に)配置することができる。特定の他の実施態様では、第1の可変減衰器144は、増幅器の第2のセット143と第2の可変減衰器145との間に配置することができる。
【0059】
FOGが狭線幅レーザでインテロゲートされる場合、FOGの検出ファイバコイル内の散乱体によって誘導される著しいドリフトを受け、これは多くの分散スプリアス干渉計を形成する(例えば、Lloyd 2013参照)。このドリフトは、残留キャリアのパワーに比例する。狭線幅レーザが広げられると、残留キャリアのパワーが低下し、このドリフトが低減する(例えば、Chamoun 2017参照)。したがって、キャリア抑制は、広幅化レーザおよび非広幅化レーザでインテロゲートされたFOGの測定されたドリフトを比較することによって推測することができる。
【0060】
本明細書に記載の特定の実施態様は、等方性ではないVπを有するEOMを利用する(例えば、異常軸および通常軸に沿って偏光された光が異なるVπ値を受ける複屈折結晶)。したがって、同じ印加電圧分布P(V)に対して、一方のフィールドは優れたキャリア抑制を示すことができ、他方のフィールドは不十分な抑制を示すことができ、それにより、広幅化レーザの全体的なキャリア抑制を損なう可能性がある。この問題に対処するために、特定の実施態様のEOMは、実質的に等方性のVπを達成するように構成することができ(例えば、導波路および電極の幾何学的形状の慎重な設計を介して)、または望ましくないフィールドをブロックすることができる(例えば、複屈折EOMの場合、所望の偏光のみがEOMから出力されることを可能にする出力の偏光子を用いる、偏波源および偏波保持ファイバを使用する)。
【0061】
図5は、コヒーレンス抑制を測定するように構成された、本明細書に記載の特定の実施態様による例示的なFOG500を概略的に示す。FOG500は、狭線幅レーザ110(例えば、約90Hzの線幅を有するOrbits Ethernalレーザ)と、レーザ110からレーザ光を受信し、少なくとも1つの増幅器140(例えば、図4参照)から増幅された雑音を受信する(例えば、それによって駆動される)ように構成された電気光学位相変調器(EOM)120(例えば、iXBlue MPZ-LN-10位相変調器)とを備える広幅化レーザ100を含む。EOM120は、広げられた光を出力するように構成される。FOG500は、光回路510、ファイバコイル520、光検出器530、ロックイン増幅器540、およびデジタル取得回路550をさらに備える。光回路510は、広幅化レーザ100から広げられた光を受信するように構成されたサーキュレータ512と、サーキュレータ512から広げられた光の少なくとも一部を受信し、受信した広げられた光を偏光し、受信した広げられた光のパワーを2つの均等に分割された信号に分割し、2つの均等に分割された信号に(例えば、関数生成器516からの)方形波変調を適用し(例えば、最大信号対雑音比のために干渉計をバイアスするために)、均等に分割された変調信号をファイバコイル520の2つの対応する入力に提供するように構成された多機能集積光回路(MIOC)514とを備える。MIOC514は、ファイバコイル520から戻ってくる2つの信号を受信および再結合するようにさらに構成される。サーキュレータ512は、再結合された信号を受信して光検出器530に導くようにさらに構成される。光検出器信号はロックイン増幅器540によって復調され、ロックイン増幅器540の出力はデジタル収集(DAQ)回路によって測定される。
【0062】
広幅化レーザのキャリア抑制は、FOG500の出力信号を数分間記録し、この時間トレースのアラン分散を計算し、アラン分散を形成する雑音(角度ランダムウォーク)を推測することによって測定した。FOG測定は、最初に非広幅化レーザ110を用いて行われ、次に、fを変化させるために様々な減衰αを有するレーザ110を用いて広幅化レーザ100を用いて行われた。図6は、本明細書に記載の特定の実施態様による、Vrms/Vπの関数としてのf値のプロットである。図6の破線は、本明細書に提示された数学モデルを使用して計算されたf値を示し、図6のドットは、ファイバ光学ジャイロスコープのドリフトの実験的減少を示し、図6の円は、オシロスコープで測定したPDFから推測されるコヒーレンス減少を示す。Vrms(例えば、RFコネクタによる損失)の絶対値のいくらかの不確実性に対応するために、測定されたVrms値を約0.2dBシフトしてデータを理論と整合させた。以前に実験的に観察されたように(例えば、Anderson 2014、Chamoun 2017参照)、Vrmsが増加すると、キャリア抑制は約0.72Vπで最小値に達するまで改善し、次いでVrmsがさらに増加するとキャリア抑制は低下し、最大抑制は-37dBと測定される(図6のドットを参照)。
【0063】
図6はまた、異なる方法を用いた測定によって確認されたこの依存性を示す。図4の回路で生成される雑音電圧のPDF P(V)を、広帯域オシロスコープ(例えば、Agilent 86100A)を用いて、Vrms(αを変化させ、α定数を保持して調整された)の異なる値について測定した。次いで、式(7)を用いて各P(V)からfを計算し、fをVrmsの関数としてプロットした(図6のドット)。図6から分かるように、2組の実験的測定値は互いによく一致している。
【0064】
図6はまた、式(7)、(8)、(10)、および(11)を使用してモデル化されたキャリア抑制を示す(破線)。Vrmsに対するモデル化されたキャリア抑制依存性と測定されたキャリア抑制依存性との間には優れた一致がある。また、この比較により、キャリア抑制の最小値が厳密に増幅器の飽和から生じることが確認される。増幅器飽和がなければ、キャリア抑制は、Vrmsが増加するにつれて向上し続ける(例えば、Chamoun 2016参照)。しかし、飽和には利点がある。飽和がない場合、雑音PDFは純粋にガウスであり、式(7)を用いて、キャリア消滅は、無限Vrmsの限界でのみ無限になることを示すことができる。飽和が存在する場合、有限のVrmsに対してキャリア消滅が無限大になることも式(7)で示すことができる。したがって、PDFの形状はキャリア抑制に大きく影響する。この形状は、本明細書で説明するように増幅器を用いて、または他の非線形フィルタ(例えば、トランジスタのネットワーク、ダイオードおよび抵抗器のネットワーク)を用いて制御することができる。
【0065】
図6の破線曲線の最小値は、図3の第1の帯域の底部付近の点に対応する。この帯域の形状を実験的に確認するために、αおよびαを調整することによってVrmsおよびVsatを変化させた。FOG500におけるバイアス不安定性、したがってfにおける極小値を最小にしたVrmsとVsatとの組み合わせは、図3に十字として示されており、それらは理論上の帯域と非常によく一致する。
【0066】
図13は、本明細書に記載の特定の実施態様による、α=0dBを維持しながら可変減衰αのいくつかの値について測定およびモデル化された確率密度関数P(V)のプロットである。αが-9dBであり、α=0dBである場合(図13の上部を参照)、図4の第1の可変減衰器144の後の2つの増幅器は飽和せず、PDFはほぼガウス分布になる。αが-4dBである場合(図13の下部を参照)、図4の第1の可変減衰器144の後の2つの増幅器の少なくとも1つが飽和するように駆動され、その結果、もはやガウスではないがより平坦で肩を示す測定PDFが得られる。図13は、図12の方法を使用して計算されたPDFもプロットしている。予想されるPDFと測定されたPDFはよく一致している。
【0067】
特定の実施態様では、図3の第2のU字型帯域(例えば、n=1)で動作することは、その領域ではキャリア抑制がVsatおよびVrmsの変動に対する感度が低いため有利である。その帯域に到達するために、電子機器およびEOM120は、Vsat/Vπ>3.5(図3参照)を満たす。3.5以上の比を達成するために、本明細書に記載の特定の実施態様は、Vπを低減するためにより長い電気光学結晶で製造されたEOM120および/またはVsatを増加させるためにより大きな電圧を供給することができる増幅器を利用する。両方の強化は、雑音帯域幅の減少を犠牲にして行われ、それにより、広幅化レーザの帯域幅が減少する。
【0068】
市販の広帯域幅のファイバピグテール付きEOMは、LiNbOで製造され、典型的には、長さが数センチメートルの電気光学結晶長を有する。例えば、ワシントン州レドモンドのEOSPACE,Inc.から入手可能な低Vπ小型変調器は、8.8cmの結晶長、10dBの挿入損失、および1GHzで3VのVπを有する。別の例として、フランスSaint-Germain-en-LayeのiXBlueから入手可能なMPZ-LN-10変調器は、8.5cmの長さ、2.5dBの挿入損失、および1GHzで4VのVπを有する。電気光学効率は、低周波数で最も強く(例えば、Vπは最も低い)、より高いRF周波数では電気光学効率が低下する。より長い結晶を使用すると、損失の増加およびより大きなフットプリントを犠牲にしても、電気光学活性領域が増加する(例えば、長さが2倍になるとVπが半分に減少する)。
【0069】
図7は、測定された半値全幅(FWHM)および広幅化レーザの測定されたキャリア抑制のプロット、ならびに本明細書で説明されるようにVrms/Vπの関数としてのFWHMおよびキャリア抑制の依存性の計算された予測である。広幅化レーザは、Vrmsに対するFWHMの依存性を測定するために異なる雑音源と共に以前に使用されていた(例えば、Chamoun 2017参照)。レーザ110は、2kHzの線幅を有するRIOレーザであり、雑音源130は、3つのMinicircuit ZX 60-14012L前置増幅器を含む少なくとも1つの増幅器140によって増幅され、係数αで減衰され、SHF100CP増幅器で増幅された、ニュージャージー州ホイッパニーのNoiseWave(約10GHz帯域幅)からのNW10-G雑音源であった。モデルパラメータは、ベンダーによって列挙されたデバイスパラメータに基づく。図7の測定では、増幅器140はハイパスフィルタを含まなかった。
【0070】
キャリア抑制およびFWHMは、測定された広げられたスペクトルをガウス分布に当てはめることによって推定した。図7の実線および破線曲線は、付記のFWHMのモデルによって決定した。6.3Vに等しいVsatで実線曲線を作成した。破線曲線は、飽和しない(例えば、Vsatは無限大に等しい)という仮定の下での仮説的依存性を示す。6.3Vに等しいVsatを使用して計算された依存性は、キャリア抑制の測定された挙動と非常によく一致し、Vrmsが増加するにつれて単調に増加するFWHMと一致する。図7の上のグラフにおける2つの理論曲線の比較は、線幅の増加が飽和によって減速されることを示している。図7の下のグラフにおける2つの理論曲線の比較は、飽和なしよりも飽和ありの方がはるかに低いVrmsを使用して-40dB抑制を達成できることを示している。
【0071】
ソフトクリッピングアンプを使用した実施例
一般に、これらの関数の正確な形状を決定するパラメータ、すなわちx、x、およびVsatは未知であり、増幅器モデルごとに一意になる。これらのパラメータは、経験的に決定することができる(例えば、増幅器の入力に様々な標準偏差を有するガウス白色雑音を印加し、高速オシロスコープを用いて増幅器の出力を測定することによって)。例えば、図13は、本明細書に記載の特定の実施態様による、図4に概略的に示す雑音源を使用して測定された出力信号V(t)のPDFを示す。入力雑音の標準偏差は、印加された減衰αを変化させ、αを一定の既知の値に保持することによって調整され、有効標準偏差vrms=vrms,0・10^(α/20)となり、式中、vrms,0は減衰なしの印加された入力雑音の標準偏差である。出力V(t)を高速オシロスコープで測定し、図13に破線で示すPDFが得られた。パラメータμ、vrms、0、xα、x、およびVsatを最小二乗フィッティング技術によって決定し、最良適合の値を表1に示す。
【0072】
【表1】
【0073】
表1の値は、SHF100CPP増幅器、および図5に概略的に示す少なくとも1つの増幅器140の残りの部分の様々な特性を示す。xおよびxの値は、増幅器がその出力範囲の約25%にわたってほぼ線形であり、負電圧で始まる非線形性よりも低い絶対値で正電圧で非線形性が始まることを示す。μの非ゼロ値は、入力雑音が非ゼロ平均を有するか、または増幅器のバイアス点が可能な出力範囲の中央に中心付けられていないことを示す。これら2つの効果は、出力PDFの非対称性に寄与する。
【0074】
図14は、本明細書に記載の特定の実施態様による、表1のパラメータ値によって定義される漸次飽和モデル増幅器伝達関数(暗線)およびハードクリッピングモデル増幅器伝達関数(例えば、x=-x=1)(明線)を概略的に示す。漸次飽和増幅器伝達関数とハードクリッピング増幅器伝達関数との間の2つの違いを図14に見ることができる。第1に、ハードクリッピングモデルでは、増幅器は0ボルトの入力に対して0ボルトを出力し、一方、漸次飽和モデル(例えば、ソフトクリッピングモデル)は、入力波形が0ボルトを中心としていないか、または増幅器の製造によって設定された固有の非ゼロバイアス点に起因して(例えば、FET内のゲート-チャネル厚に起因して、または入力電圧を非ゼロ平均で入力段内の分圧器に容量結合することによりバイアス点を設定することによって)、オフセットμを可能にする。第2に、ハードクリッピングモデルは、Vinのより低い値でその最大絶対値(例えば、5.5V)に達し、次いで入力値を増加させるために最大絶対値にクランプされたままである。対照的に、漸近飽和値は、より大きい値のVinを利用してハードクリッピングモデルのVsatに達するが、非常に大きい値のVinの場合、増幅器は、増幅器が漸次飽和モデルのVsat(例えば、6.3V)に漸近的に近づくにつれて、ハードクリッピングモデルの最大絶対値よりも大きい値を出力することができる。
【0075】
任意の増幅器(例えば、ハードクリッピングモデルまたは漸次飽和モデルに従って動作する)の出力によって駆動される広幅化レーザ100のキャリア抑制は、上記の式(7)を使用して表すことができる。
【0076】
図6は、本明細書に記載の特定の実施態様による、漸次飽和モデルを使用したVrms/Vπの関数としてのf値のプロットである。図6において、ドットは、FOGのドリフトの低減から推測されるキャリア抑制を表し、円は、測定されたPDFからキャリア抑制を計算することによって推測されるキャリア抑制を表す。実線は、5.5Vのレールおよび17.9dBの利得を有するハードクリッピングモデルを使用したモデル化されたキャリア抑制を表し、破線は、表1に列挙されたパラメータを有する漸次飽和モデル(例えば、ソフトクリッピングモデル)を使用したモデル化されたキャリア抑制を表す。図6に見られるように、いずれのモデルの形状もデータと非常によく一致する。図6の2つのモデル間の主な違いは、ハードクリッピングモデルが単一の大域的最小値を予測するのに対して、漸次飽和モデルは、非常に短い距離(例えば、0.3%の相対差)で隔てられた2つの極小値を予測し、極大値は2つの極小値の間の-60dBであることである。これら2つのモデルが非常によく一致するという事実は、Vrmsに対するキャリア抑制の依存性がVsat、G、x、およびxの2つ以上の組み合わせによってよくモデル化され得ることを意味する。例えば、特定の実施態様では、自由パラメータの数を減らすことができ、それによって、ハードクリッピングモデルを近似するために漸次飽和モデルのパラメータをx=-x=1に設定し、測定データを記述するVsatの値を決定することによって、モデルを単純化することができる。
【0077】
図15は、本明細書に記載の特定の実施態様による、増幅器伝達関数のキャリア抑制を予測する方法1500のフロー図である。動作ブロック1510において、方法1500は、増幅器伝達関数のための正準モデル関数を選択することを含み、正準モデル関数は複数のパラメータを有する。動作ブロック1520において、方法1500は、少なくとも1つの既知の入力PDFについて増幅器の少なくとも1つの出力PDFを測定するステップをさらに含む。動作ブロック1530において、方法1500は、少なくとも1つの既知の入力PDFおよび正準モデル関数を使用して予測される少なくとも1つの出力PDFを決定すること(例えば、計算すること)をさらに含む。動作ブロック1540において、方法1500は、測定された少なくとも1つの出力PDFを予測された少なくとも1つの出力PDFに適合させ、適合を使用して正準モデル関数の複数のパラメータの値を推定することをさらに含む。方法1500を使用して、特定の実施態様は、Vrmsのその値でPDFを生成し、fを計算して最小キャリア抑制を決定することによって、任意の入力Vrmsに対するキャリア抑制を予測する。
【0078】
図16は、本明細書に記載の特定の実施態様による、漸次飽和モデルにおいてμ=0を保持しながらx=-xの4つの異なる選択肢についてのVsatおよびVrmsの関数としての例示的なキャリア抑制のグラフ、およびハードクリッピングモデル(例えば、x=-x=1)のVsatおよびVrmsの関数としてのキャリア抑制のグラフを示す。図16は、増幅器伝達関数の線形領域の上限および下限に対するキャリア抑制の依存性を説明する図である。
【0079】
例えば、キャリア抑制のVrmsおよびVsatへの依存性のいくつかの特性は、xの値に依存しない。Vrms>>Vsatの領域(例えば、図16の各グラフの上部に沿って)では、Vsatが大きいほどキャリア抑制が周期的である。Vsat>>Vrmsの領域では、キャリア抑制は、キャリア抑制が優れた領域におよそ指数関数的に減衰する。Vsat/Vπが約2以下の領域では、キャリアを最適に抑制するVrmsの値がU字型帯域を形成する。前述したように、この第1のU字型帯域におけるVrmsに対するキャリア抑制の依存性は、Vsat、x、およびxの2つ以上の組み合わせによって正確にモデル化することができる。
【0080】
図16の各グラフにおいて、Vsat/Vπが2.5より大きい領域では、キャリア抑制が略三角形の領域で-40dBよりも良好である。例えば、ハードクリッピングモデル(例えば、x=-x=1)の場合、この三角形領域は、0.75以上のVrms/Vπに下限を有し、0.4・Vsat/Vπ以下のVrms/Vπに上限を有する。漸次飽和モデルのグラフに示されているキャリア抑制の場合、三角形領域の上限の勾配は、xの減少と共に増加する。
【0081】
図16に見られるように、第1のU字型帯域の底部は広がり、第1のU字型帯域の第2のプロングは、線形領域の限界を減少させることによって右にシフトする。特定の実施態様では、増幅器伝達関数の線形範囲の範囲に対する第1のU字型帯域のこの依存性は、最終増幅器146の増幅器伝達関数の線形範囲を適切な範囲に制限することによって、Vπにほぼ等しいVrmsおよび1.6Vπ以上の任意のVsatを有する広幅化レーザを設計するために使用することができる。特定の実施態様では、図16に示すキャリア抑制の特性は、増幅器の動作点がVrms、Vsat、Vπ、x、xおよびμの変動に対してロバストであるように、広幅化レーザ(例えば、動作のためのパラメータを選択するために、)を設計するために使用することができる。例えば、そのような広幅化レーザは、経年劣化、温度の変動、および/または増幅器の部品間の製造のばらつきによって引き起こされるキャリア抑制の変動を緩和することができる。
【0082】
多波長におけるキャリア抑制
特定の実施態様では、ファイバ光学ジャイロスコープは、多波長を有するインテロゲーティングレーザを使用することから利益を得ることができる。例えば、図8は、FOG(図8の左側)をインテロゲートするために使用されるインテロゲーティングレーザ光の様々な例示的なスペクトルを概略的に示す。これらのスペクトルを使用して、時間領域信号を生成し(例えば、スペクトルの逆フーリエ変換を使用して)、時間領域信号を使用してマッハツェンダ干渉計(MZI)をインテロゲートした。干渉パワーの経路長遅延に対する依存性は、図8の右側にプロットされている(図8では、干渉縞が近すぎて分解できないことに留意されたい)。FOG内のスプリアス干渉計によって引き起こされる2波干渉計は、FOGからの推定回転速度信号に誤差を生じさせる可能性がある。これらの干渉計の長さの不整合が変化すると(例えば、熱的変動に起因する)、誤差も変化し、雑音およびドリフトが生じ、雑音およびドリフトの大きさは干渉縞の振幅に比例する。特定の実施態様では、図8に見られるように、広帯域スペクトルに複数の広げられたピークを導入することにより、平均縞視認性を低下させることができ、これにより、複数の広げられたピークによって駆動される干渉計(例えば、FOG)の雑音およびドリフトを有利に改善することができる。平均縞視認性は、より広いピークがスペクトルに追加されるにつれて単調に減少し続けることができる。
【0083】
図9Aは、本明細書に記載の特定の実施態様による、複数の波長でレーザ光を生成するように構成された少なくとも1つのレーザ源1000を備える例示的な光学システム900(例えば、広幅化レーザ)を概略的に示す。光学システム900は、複数の第1のピークを含む第1のスペクトルを有する第1の光1010を生成するように構成された少なくとも1つのレーザ1000を備え、各第1のピークは対応するピーク波長(例えば、安定した平均波長)および対応する線幅を有する。例えば、第1のピークは、単一のレーザ1000(例えば、マルチモードレーザ)および/または複数のレーザ1000(例えば、複数の単一モードレーザ)によって生成され得る。特定の実施態様では、図9Aに概略的に示すように、隣接する第1のピークは互いに実質的に重なり合わないが、特定の他の実施態様では、隣接する第1のピークは互いに実質的に重なり合う。
【0084】
光学システム900は、雑音波形1210を生成するように構成された波形生成器1200をさらに備える。特定の実施態様では、雑音波形1210はガウス白色雑音波形であるが、特定の他の実施態様では、雑音波形1210は、実質的にガウス(例えば、±Vsatに2つのデルタ関数を有するPRBS PDF、および2つのデルタ関数の間に実質的に一定の非ゼロ値を有する領域)である確率密度関数(PDF)を有する。特定の実施態様では、雑音波形1210は増幅器1220の雑音指数によってシードされるが、特定の他の実施態様では、雑音波形1210は雑音源1230(例えば、逆バイアスされたツェナーダイオード)からのアバランシェ雑音によってシードされる。
【0085】
光学システム900は、少なくとも1つのレーザ源1000と光学的に連通し、かつ波形生成器1200と電気的に連通する電気光学位相変調器1100をさらに備える。電気光学位相変調器1100は、第1のスペクトルを有する第1の光1010を受信し、雑音波形1210を受信し、第1の光1010を変調することによって雑音波形1210に応答して、複数の第2のピークを含む第2のスペクトルを有する第2の光1110を生成するように構成され、各第2のピークは対応するピーク波長および対応する線幅を有し、第2のピークのピーク波長は第1のピークのピーク波長に等しく、第2のピークの線幅は対応する第1のピークの線幅よりも広い。特定の実施態様では、隣接する第2のピークは互いに実質的に重なり合わないが、特定の他の実施態様では、隣接する第2のピークは互いに実質的に重なり合う。
【0086】
図9Bは、本明細書に記載の特定の実施形態による、光学デバイスで使用するためのレーザベースの広帯域光を生成する例示的な方法1300のフロー図である。動作ブロック1310において、方法1300は、少なくとも1つのレーザを使用して、複数の第1のピークを含む第1のスペクトルを有する第1の光を生成することを含み、各第1のピークは、対応するピーク波長および対応する線幅を有する。特定の実施態様では、隣接する第1のピークは互いに実質的に重なり合わないが、特定の他の実施態様では、隣接する第1のピークは互いに実質的に重なり合う。動作ブロック1320において、方法は、雑音波形に応答して、複数の第2のピークを含む第2のスペクトルを有するように第1の光を変調することをさらに含み、各第2のピークは、対応するピーク波長および対応する線幅を有し、第2のピークのピーク波長は第1のピークのピーク波長に等しく、第2のピークの線幅は第1のピークの線幅よりも広い。特定の実施態様では、隣接する第2のピークは互いに実質的に重なり合わないが、特定の他の実施態様では、隣接する第2のピークは互いに実質的に重なり合う。
【0087】
一般に、EOMのVπ値は波長に依存するため、ある波長(例えば、1580nm)の狭帯域レーザ信号のキャリアを広げ、十分に抑制するために(例えば、第1のU字型帯域で動作することによって)使用されるパラメータは、一般に、異なる波長(例えば、1520nm)の狭帯域レーザ信号のキャリアを広げ、十分に抑制するために使用されるパラメータとは異なる。この一般的な挙動は、多波長を含む入力レーザ光に対して同時にキャリアを広げて十分に抑制することは不可能であるという結論に至る。しかしながら、本明細書に記載されるように、キャリアを効率的に抑制するVrmsおよびVsatの組み合わせの範囲が十分に広く、ある波長範囲にわたってキャリアを抑制することができる領域がパラメータ空間内に存在する。さらに、離散ライン(例えば、互いに実質的に重なり合わない隣接する第1のピークを有するライン)のスペクトルを有する入力レーザ光を利用することによって、本明細書に記載の特定の実施形態は、不連続な広げられたスペクトル(例えば、隣接する第2のピークが互いに実質的に重なり合わない)を含む広幅化レーザ出力を生成する。出力される不連続広幅化スペクトルの広い領域間の波長間隔を増加させると、コヒーレンスを減少させることができ、従来のモデルによって予測されるよりも大きいFOG内の雑音およびドリフトの低減を有利に達成することができる。
【0088】
高精度FOGの性能は、一般に、光源の平均波長安定性によって制限される。第1のピークはそれぞれ、互いに独立して変化し得る平均波長を有するため、本明細書に記載の特定の実施態様の広幅化レーザが安定した平均波長を有することは容易には明らかではない。しかしながら、本明細書に記載の特定の実施態様による多波長広幅化レーザは、平均波長安定性が著しく劣ることはない。例えば、多数のN個の波長について、各波長のドリフトは、N個の波長の平均のドリフトの分散が各構成波長のドリフトの分散よりも小さいように(例えば、それぞれが分散σを有する多数のN個の確率変数について、それらの平均の分散はσ/Nである)、確率変数であると考えることができる。別の例では、平均波長のドリフトは、すべての波長を同じ量だけシフトさせる効果を有することができる環境効果(例えば、熱膨張)に起因する可能性があり、それによって、1つまたは多数の波長が利用されているかどうかにかかわらず、同じ平均波長不安定性を引き起こす。
【0089】
特定の実施態様では、EOM1100は、Vπを低減するように設計される。例えば、EOM1100は、6センチメートル~20センチメートルの範囲の長さを有し、かつ結晶を横切って電圧を印加するように構成された電極を有する結晶を含むことができ、電極は、2ミクロン~10ミクロンの範囲の距離だけ互いに離間している。特定の実施態様では、結晶長および電極間隔は、帯域幅、コスト、サイズ、重量、および/または電力が低減された電子機器を可能にするように選択される。均一なグループ遅延、低雑音指数、および利得平坦度を同時に提供しようとしないことにより、本明細書に記載の特定の実施態様の増幅器1220は、他の広幅化レーザシステムで従来使用されている増幅器よりも軽量、簡単、かつ安価であるという利点がある。
【0090】
特定の実施態様では、EOM1100によって入力信号(例えば、第1のスペクトルを有する第1の光1010)に適用される位相変調を使用して、異なる波長の複数の信号(例えば、第1のスペクトルの複数の第1のピーク)を同時に広げることができる(例えば、φ=πV/Vπで与えられる瞬時位相シフトの量で、式中、Vπは波長の関数である)。例えば、各々が25GHzに広げられた16個のピークは、400GHzの総線幅をもたらすことができる。特定の実施態様では、戦略グレードのFOGをインテロゲートするのに適した安定平均波長広帯域源を達成するために、複数のピークの広がりを使用することができる。
【0091】
EOM1100のVπの周波数依存性に起因して、キャリア抑制(例えば、Vrms/VπとVsat/Vπとの組み合わせによって決定される)は波長ごとに異なる。例えば、EOM1100は、第1の光1010の有効光路長を変調することにより、第1の光1010に位相シフトを加えることができる。1580nmに等しいレーザピーク波長の場合、1.58ミクロンに等しい光路長変化は2πに等しい位相シフトをもたらすが、1520nmに等しいレーザピーク波長の場合、1.58ミクロンに等しい光路長変化は2.08πに等しい位相シフトをもたらす(例えば、2π・1580/1520に等しい)。
【0092】
特定の実施態様では、図3に関して本明細書で説明する方法を適用して、広範囲の波長(例えば、FOGの場合、1.48ミクロン~1.6ミクロンの範囲内)にわたって対応するピーク波長および線幅を有する2つ以上のピークで残留キャリアを同時に抑制するVrmsとVsatの組み合わせを見つけることができる。
【0093】
図10は、本明細書に記載の特定の実施態様による、VrmsおよびVsatの関数としてのキャリア抑制fの計算されたヒートマップのプロットである。図10のヒートマップは、1550nmで4.7Vに等しいVπを有する1520nmおよび1580nmキャリアのfを示し、Vπ=4.7*λ/(1550nm)Vの波長依存性を有する。例えば、EOM1100は、(例えば、2つの第1のピークが互いに実質的に重なり合わないように)それぞれ1520nmおよび1580nmにピーク波長を有する2つの第1のピークおよび対応する線幅を含む第1のスペクトルを有する第1の光1010を放射する多波長レーザ源1000を広げるように構成することができる。図10に示すように、VrmsとVsatの組み合わせでは、両波長のキャリアが抑制されているものがある。図10において、青および赤の輪郭は、1520nmおよび1580nmのキャリアが40dBよりも良好に抑制されるVrmsおよびVsatの設定を表す。影領域は、赤と青の輪郭で囲まれた領域間の重なり合いを示す(例えば、両方の波長が40dBよりも良好に抑制されるVrmsおよびVsatの設定)。図10の第1のU字型帯域の底部のすぐ右の影領域は、低い値のVsatで達成可能であるが公差が厳しい(例えば、あまり強力でない電子機器またはより高いVπのEOMでより容易に達成することができる)動作領域に対応する。図10の第2のU字型帯域の底部の右の影領域は、より緩い公差を有するがより大きな値のVsat(例えば、より強力な電子機器またはより低いVπのEOM)を利用する動作領域に対応する。例えば、1520nm~1580nmの範囲内の第1のピークおよび1550nmにおける4.7VのVπについて、波形生成器1200は、1~3の範囲内のVsat/Vπおよび0.7~1.1の範囲内のVrms/Vπで動作することができる。図10の第2のU字型帯域の底部の影領域は、Vsatの値が大きくなるにつれて広くなる。Vsatの値が高いほど、より多くの領域が存在する。特定の実施態様では、Vsat/Vπは3より大きい範囲内にあり、Vrms/Vπは0.8より大きい範囲内にある。
【0094】
特定の実施態様では、EOM1100は、所定の波長範囲内の2つ以上のピーク波長に対して-30dB以上(例えば、-35dB以上;-40dB以上;-50dB以上;-60dB以上;-70dB以上)のキャリア抑制をもたらす雑音によって駆動される。例えば、FOG用途では、2つ以上のピーク波長は、1.48ミクロン~1.6ミクロンの範囲内とすることができる。別の例として、1-cmの分解能を有するLIDAR用途では、2つ以上のピーク波長の最大ピーク波長と最小ピーク波長との間の差は、数十分の一ナノメートルの範囲内(例えば、1センチメートルの分解能を達成するために1550nm~1550.25nmの範囲内)とすることができる。別の例として、サブミリメートル分解能を有する眼科用途では、2つ以上のピーク波長の最大ピーク波長と最小ピーク波長との間の差は、数十ナノメートルの範囲内(例えば、100ミクロンの分解能を達成するために1540nm~1565nmの範囲内)とすることができる。2つ以上のピーク波長の範囲は、1550nm付近または異なる波長付近を中心とすることができる。
【0095】
特定の実施態様では、光学システム900(例えば、広幅化レーザ)は、所定の波長範囲内の波長のコーム(例えば、周波数のコーム)を放射する多波長レーザ源1000で動作する。例えば、EOM1100は、1520nm~1580nmの範囲内のピーク波長を有する任意のキャリアが同時に少なくとも-30dBだけ抑制されるように、図10の黒色領域の1つをもたらす雑音によって駆動することができる。光学システム900(例えば、広幅化レーザ)は、1520nm~1580nmの範囲内の波長のコームを放射する多波長レーザ源1000で動作することができる。
【0096】
図11は、本明細書に記載の特定の実施態様による、複数のピーク波長(例えば、λ、λ、λ、...)を有するレーザ光を生成するように構成された例示的なレーザ源1000を概略的に示す。レーザ源1000は、互いに異なる周期を有する複数の領域1122(例えば、可変周期格子)を有する格子1130を形成する、周期的に変化する(例えば、変調)屈折率を有する光学的に活性な領域1120を有するファイバレーザ(例えば、エルビウムドープファイバ)を備える。ファイバレーザ1120は、異なる各領域1122内の異なる波長でレーザ発振するように構成され、それにより、多波長広幅化レーザをシードするために使用されるように構成された多波長レーザを提供する。特定の実施態様では、図11に概略的に示すように、異なる領域1122の変調周期は離散的に変化するが(例えば、各領域1122a、b、cは、他の領域1122a、b、cとは異なる対応する一様周期を有する)、特定の他の実施態様では、異なる領域1122の変調周期は連続的に変化する(例えば、チャープ)周期を有する(例えば、Y.Kim et al.,“50-Channel 100-GHz-Spaced Multiwavelength Fiber Lasers with Single-Frequency and Single-Polarization Operation,”IEEE Photonics Technology Letters,vol 20,no.20,pp.1718(2008)参照)。
【0097】
特定の実施態様では、図17Aに概略的に示すように、レーザ源1000から出力される第1の光1010のピーク波長は、広げられたときに第2の光1110のピークが実質的に重なり合う(例えば、第2の光1110の隣接するピークが互いに実質的に重なる)ように、互いに十分に近接して配置される。例えば、100個のピーク波長(例えば、線)を、第1の光1010のスペクトルにおいて1kHzだけ均等に離間させることができ、各々を1GHzだけ広げることができ、それによって、99GHzの総線幅を有するスペクトルを有する第2の光1110を有する広幅化レーザを生成することができる。本明細書で使用される場合、「実質的に重なり合う」という語句は、(i)2つのピークのスペクトル面積が、2つのピークのいずれかの面積の少なくとも25%(例えば、少なくとも30%、少なくとも40%)だけ互いに重なり合い、および/または(ii)2つのピークのピーク波長が、2つのピークのいずれか1つの半値全幅未満だけ離れているスペクトルの重なり合いを指す。本明細書で使用される場合、「隣接するピーク」という語句は、2つのピークの間に第3のピークを有しないスペクトルの2つのピークを指す。
【0098】
特定の他の実施態様では、図17Bに概略的に示すように、レーザ源1000から出力される第1の光1010のピーク波長は互いに近接して離間されず、第2の光1110のピークは実質的に重なり合わない(例えば、第2の光1110の隣接するピークは、互いに実質的に重なり合わない)。本明細書で使用される場合、「実質的に重なり合わない」という語句は、(i)2つのピークのスペクトル面積が、2つのピークのいずれかの面積の25%未満(例えば、30%未満、40%未満)だけ互いに重なり合い、および/または(ii)2つのピークのピーク波長が、2つのピークのいずれか1つの半値全幅を超えて分離されるスペクトルの重なり合いを指す。特定のそのような実施態様は、EOM1100による広幅化を最大限に利用することができる。例えば、100個のピーク波長(例えば、線)を、第1の光1010のスペクトルにおいて10GHzだけ均等に離間させることができ、各々を1GHzだけ広げることができ、それにより、各々が10GHzまで広げられた周波数のコームに似たスペクトルを有する第2の光1111を有する広幅化レーザを作り出す。数値シミュレーション、ならびに測定値(例えば、Yang et al.,“Investigation on dispersion of Vπ of multifunction integrated optical circuit,”26th International Conference on Optical Fiber Sensors(2019)参照)は、多波長レーザによって提供される追加の線幅の利点を達成するために、広げられたスペクトルが連続的である必要はないことを示している。
【0099】
付記:広げられた線幅の導出
以前の調査(例えば、Middleton 1996、Chamoun 2016参照)では、飽和しない弱い変調(例えば、広幅化レーザの出力パワーがトップハット線形形状を有する場合)と強い変調(例えば、広幅化レーザの出力パワーがガウス線形を有する場合)との間の遷移領域における広幅化レーザの線形を計算する数値法が報告された。本明細書に記載されるように、線形の解析近似は、飽和を考慮しながら、任意の変調強度について導出される。帯域幅ωmaxの広帯域雑音電圧V(t)は、多数Nの等間隔の離散周波数のフーリエ和として近似することができる。各成分は、周波数ω(例えば、ωmax/Nだけ離間している)およびランダム位相φを有する。V(t)のrms値をVrmsとし、各成分のrms電圧をVrms/√Nとする。正弦波信号のピーク値はそのrms値の√2倍であるため、V(t)は以下のように表すことができる。
【0100】
【数12】
【0101】
広帯域雑音によって駆動されるEOMは、各々がωで駆動され、±ωで側波帯を生成する一連のN個のEOMとしてモデル化することができる。このチェーンの出力スペクトルは、これらの側波帯のスペクトルを互いに畳み込むことで得られる(例えば、弱い変調についてはMiddleton 1996,J.Spilker,“Statistical design and evaluation of demodulation systems for angle-modulated sinusoids,”Lockheed Missile and Space Division,Palo Alto,Calif.,Tech.Rept.LMSD-48496,Apr.1959参照。強い変調については、例えばAbramson 1963参照)。各EOMが同じ位相変調振幅Φ=(2/N)1/2πVrms/Vπを提供するように、飽和しないと仮定すると、ωでの単一周波数成分からの位相変調後のEOMの出力の光スペクトルS(ω)は、ヤコビ-アンガー展開によって表すことができる。
【0102】
【数13】
【0103】
式中、Pは出力パワーであり、ωはキャリア周波数である。弱い変調の場合、Vrmsは小さく、Φも小さい。|m|≦1の項のみが有意である。J (Φ)≒1、およびJ±1 (Φ)≒Φ /(2N)であり、式中、Φ=πVrms/Vπである。第1のEOMの出力スペクトルは、Pにほぼ等しいパワーを有するω成分と、各々がパワーPΦ /2Nを有するω±ωにおける2つの側波帯とを含む。
【0104】
第2のEOMは、第1のEOMによって出力された各離散周波数について±ωの側波帯を加算する。したがって、その出力は、Pにほぼ等しいパワーを有するω成分、パワーPΦ /2Nを有するω±ωの第1のEOMからの未修正側波帯、パワーPΦ /2Nを有するω±ωの第2のEOMによって生成されたキャリアの側波帯、およびパワーPΦ /4Nを有するω±ω±ωの側波帯(これらは無視できる)を含む。
【0105】
誘導により、最後のEOMの出力は、それぞれパワーPΦ /2Nを有する側波帯の周波数コームによって囲まれたパワーf(fは本明細書に記載の方法を使用して決定される)を有する中央キャリアとして近似することができる。Nは大きいので、このコームは、総パワーPΦ および半値幅ωmaxを有する連続的なトップハット分布として書くことができる。RF雑音スペクトルが平坦でない場合、側波帯はPΦ /2Nで与えられる異なるパワーを有し、Φ=πVrms,i/Vπであり、Vrms,iは帯域(ω,ω+ωmax/N)内のパワーによって決定される。広幅化レーザの結果として得られる形状は、もはやトップハット分布ではなく、キャリア周波数に平行移動されてその周りでミラーリングされたRF雑音のPSDに似ている。
【0106】
rmsが増加すると(しかし、依然として飽和しない限界にある)、弱変調近似はもはや成り立たず、スペクトル形状が変化する。具体的には、各1次側帯波は、各EOMにおいてJ (Φ)(もはや約1に等しくない)によって減衰され、側波帯の側波帯におけるパワーはもはや無視できない。この場合、キャリア周波数に残留するパワーは、fを記述するために式(7)を用いて正確にモデル化することができる。トップハット分布(完全に中央キャリアの側波帯からなる)におけるパワーは、J (Φ)係数で合計N回低減される。N個のEOMを通過した後、トップハット分布に残るパワーは、以下のように表すことができる。
【0107】
【数14】
【0108】
残りのパワーは、側波帯の側波帯の反復畳み込みとしてモデル化することができる。中心極限定理は、PDFの反復畳み込みが、その分散が各構成要素PDFの分散の和であるガウススペクトルをもたらすと述べている。したがって、キャリアにおけるパワーの割合はfであり、トップハットではf=Φ exp(-Φ )であり、ガウス分布f=1-f-fである。
【0109】
ガウス分布の線幅を算出するには、各離散周波数成分による単一の入力周波数の位相変調により生成されたスペクトルの分散を単純に加算すればよい。ヤコビ-アンガー展開の分散σ は式(13)で得られ、単一周波数ωは以下のように表すことができる。
【0110】
【数15】
【0111】
これらの分散を加算すると、以下が得られる。
【0112】
【数16】
【0113】
飽和が存在する場合、Vrmsがどのように決定されるかを除いて、導出は同じであり得る。数値シミュレーションは、飽和がフーリエ級数のすべての成分を係数Vrms/V’rmsだけ等しく減少させることを示しており、V’rmsは、PDFの分散を計算することによって決定される(例えば、図3に示す)。
【0114】
【数17】
【0115】
rms<<Vsatの場合、V’rms≒Vrmsである。Vsat>>Vrmsの場合、V’rms≒Vsatである。
【0116】
広げられた総スペクトルは、振幅fを有する残留キャリア、半値幅ωmaxおよび振幅fのトップハット線形、ならびに標準偏差ωmaxπV’rms/Vπ/√3および振幅1-f-fを有するガウス線形の重ね合わせであり、fはVrmsの代わりにV’rmsを使用して計算される。
【0117】
一般的に使用される用語は、理解を容易にするために特定の実施態様のシステムおよび方法を説明するために使用されるが、これらの用語は、本明細書ではそれらの最も広い合理的な解釈を有するように使用される。本開示の様々な態様は、例示的な例および実施態様に関して説明されているが、開示された例および実施態様は、限定するものとして解釈されるべきではない。とりわけ、「できる(can)」、「し得る(could)」、「し得る(might)」、または「し得る(may)」などの条件付き言語は、特に明記しない限り、または使用される文脈内で他の意味で理解されない限り、一般に、特定の実施態様は特定の特徴、要素、および/またはステップを含むが、他の実施態様は含まないことを伝えることを意図している。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、特徴、要素、および/またはステップが1つまたは複数の実施態様に何らかの形で必要とされること、または1つまたは複数の実施態様が、ユーザ入力またはプロンプトの有無にかかわらず、これらの特徴、要素、および/またはステップが任意の特定の実施態様に含まれるか、または実行されるべきかを決定するための論理を必ず含むことを意味することを意図するものではない。特に、「備える(comprises)」および「備える(comprising)」という用語は、要素、構成要素、またはステップを非排他的な方法で参照するものとして解釈されるべきであり、参照される要素、構成要素、またはステップが存在するか、または利用されるか、または明示的に参照されていない他の要素、構成要素、またはステップと組み合わされ得ることを示す。
【0118】
本明細書に開示された実施態様は相互に排他的ではなく、様々な構成で互いに組み合わせることができることを理解されたい。さらに、本明細書に記載の様々な実施態様は、様々な他の適切な装置、方法、および状況に組み込むことができる。
【0119】
用語「およそ(approximately)」、「約(about)」、「一般に(generally)」、および「実質的に(substantially)」などの本明細書で使用される程度の言語は、依然として所望の機能を実行するか、または所望の結果を達成する、記載された値、量、または特性に近い値、量、または特性を表す。例えば、「およそ(approximately)」、「約(about)」、「一般に(generally)」、および「実質的に(substantially)」という用語は、記載された量の±10%以内、±5%以内、±2%以内、±1%以内、または±0.1%以内の量を指し得る。別の例として、「ほぼ平行」および「実質的に平行」という用語は、正確に平行から±10度、±5度、±2度、±1度、または±0.1度逸脱する値、量、または特性を指し、「ほぼ垂直」および「実質的に垂直」という用語は、正確に垂直から±10度、±5度、±2度、±1度、または±0.1度逸脱する値、量、または特性を指す。本明細書に開示される範囲はまた、任意のおよびすべての重複、部分範囲、およびそれらの組み合わせを包含する。「~まで(up to)」、「少なくとも(at least)」、「より大きい(greater than)」、「未満(less than)」、「間(between)」などの語は、列挙された数字を含む。本明細書で使用される場合、「a」、「an」、および「said」の意味は、文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、複数の言及を含む。また、本明細書の説明で使用される場合、「内(in)」の意味は、文脈上他に明確に指示されない限り、「中に(into)」および「上に(on)」を含む。
【0120】
方法およびシステムは、本明細書では順序形容詞(例えば、第1、第2など)によってラベル付けされた要素に関して説明されているが、順序形容詞は、単にある要素を別の要素から区別するためのラベルとして使用され(例えば、ある信号を別の信号から、またはある回路を別の回路から)、順序形容詞は、これらの要素の順序またはそれらの使用を示すために使用されない。
【0121】
以上、種々の構成について説明した。本発明をこれらの特定の構成を参照して説明してきたが、説明は本発明を例示することを意図しており、限定することを意図していない。本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、当業者には様々な修正および応用が思い浮かぶであろう。したがって、例えば、本明細書に開示された任意の方法またはプロセスにおいて、方法/プロセスを構成する行為または動作は、任意の適切な順序で実行されてもよく、必ずしも任意の特定の開示された順序に限定されない。上述した様々な実施態様および例からの特徴または要素を互いに組み合わせて、本明細書に開示された実施態様と互換性のある代替構成を生成することができる。実施態様の様々な態様および利点が、適切な場合に記載されている。そのような態様または利点のすべてが、任意の特定の実施態様に従って必ずしも達成されるとは限らないことを理解されたい。したがって、例えば、様々な実施態様は、本明細書で教示または示唆され得るような他の態様または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で教示されるような1つの利点または利点群を達成または最適化するように実行され得ることが認識されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B