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特許7088596画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネル
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/3233 20160101AFI20220614BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20220614BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220614BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220614BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220614BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220614BHJP
   H04N 5/369 20110101ALI20220614BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 624B
G09G3/20 691E
G09G3/20 680H
G09G3/20 621K
G09F9/30 365
G09F9/30 349Z
G09F9/00 366G
H05B33/14 A
H01L27/32
H04N5/369
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2018563041
(86)(22)【出願日】2017-12-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-13
(86)【国際出願番号】 CN2017116501
(87)【国際公開番号】W WO2019113947
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100070024
【弁理士】
【氏名又は名称】松永 宣行
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】リウ、 リーピン
(72)【発明者】
【氏名】シュイ、 シャオウェイ
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-131798(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0730361(KR,B1)
【文献】特開2011-197772(JP,A)
【文献】特開2012-133207(JP,A)
【文献】特開2005-148285(JP,A)
【文献】特開2011-071277(JP,A)
【文献】特開2009-058769(JP,A)
【文献】特開2006-065305(JP,A)
【文献】特開2010-286875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/3233
G09G 3/20
G09F 9/30
G09F 9/00
H01L 51/50
H01L 27/32
H04N 5/369
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルであって、
基板と、
前記基板に形成されたトランジスタ層と、
前記ディスプレイパネルを、少なくとも1つが表示サブ領域および感光サブ領域を有する複数のサブピクセル領域に分割するように、前記トランジスタ層の前記基板から離れた側に形成されたピクセル限定層と、
前記複数のサブピクセル領域における前記トランジスタ層にそれぞれ形成された複数の有機発光ダイオードと、
それぞれが前記複数の有機発光ダイオードの1つに結合された表示駆動サブ回路を少なくとも含む、前記複数のサブピクセル領域における前記トランジスタ層にそれぞれ形成された複数の画素回路とを含み
そのうち、前記複数のサブピクセル領域のうちの少なくとも1つのサブピクセル領域における少なくとも1つの画素回路は、前記感光サブ領域上に形成されて、前記表示サブ領域に形成された表示駆動サブ回路に結合された感光サブ回路を含み、
前記複数の有機発光ダイオードの各々は、トランジスタ層の基板から離れた側に形成された第1電極と、前記第1電極の基板から離れた側に形成された有機発光材料と、前記有機発光材料の基板から離れた側に形成された第2電極を含み、そのうち、前記複数のサブピクセル領域の少なくとも1つにおける少なくとも1つの前記有機発光ダイオードは、前記感光サブ領域から実質的に除外された前記表示サブ領域に形成された第1電極を含み、
各前記画素回路の前記表示駆動サブ回路は、入力データ電圧に基づいてサブピクセル画像を表示するように、電源電圧によって充電された駆動電流を前記複数のサブピクセル領域のうちの1つにおける前記有機発光ダイオードの第1電極に生成して前記有機発光ダイオードを発光させるように選択電圧、入力データ電圧及び電源電圧を受信する、1つ以上のスイッチトランジスタに結合された駆動トランジスタおよび蓄積コンデンサを少なくとも含み、
少なくとも1つの前記画素回路の前記感光サブ回路は、制御トランジスタに直列に結合された少なくとも1つのフォトレジスタを含み、前記感光サブ回路は、駆動トランジスタに並列に結合されるとともに、スキャン対象物から反射された入射光に応答して少なくとも1つのフォトレジスタを通して流れる光電流を検知するように構成され、または、少なくとも1つの前記画素回路の前記感光サブ回路は、制御トランジスタに並列に結合された少なくとも1つのフォトレジスタを含み、前記感光サブ回路は、前記駆動トランジスタと少なくとも1つの前記有機発光ダイオードの第1電極との間に直列に結合されるとともに、前記制御トランジスタがオフしている間に、スキャン対象物から反射された入射光に応答して少なくとも1つの前記フォトレジスタを通して流れる光電流を検知するように構成される
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項2】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
前記感光サブ回路は、少なくとも1つの前記フォトレジスタおよび前記制御トランジスタに結合され、前記感光サブ回路によって検知された光電流を記録するために、フィードバックICに接続されるように構成される信号読み出しトランジスタをさらに含む
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項3】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
前記サブピクセル画像を表示するように前記表示駆動サブ回路が動作している間に、前
記感光サブ回路を無効にするために、前記制御トランジスタおよび前記信号読み出しトランジスタがオフにされる
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項4】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
前記表示駆動サブ回路の前記駆動トランジスタがオフしている間に、感光サブ回路を有効にして光電流を検知し前記フィードバックICに記録するために、前記制御トランジスタと前記信号読み出しトランジスタがオンにされる
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項5】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
前記感光サブ回路は、前記光電流を第1電極に通して、少なくとも1つの前記有機発光ダイオードを駆動することにより、スキャン対象物に基づくサブピクセル画像を表示するように動作する
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項6】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
少なくとも1つの前記画素回路の前記表示駆動サブ回路は、前記制御トランジスタがオフしている間に、前記入力データ電圧を一定値として前記複数の画素回路のそれぞれに供給する場合、駆動トランジスタをオンに維持するように構成される
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項7】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
少なくとも1つの前記画素回路の前記表示駆動サブ回路は、前記制御トランジスタがオンして駆動電流が少なくとも1つの前記フォトレジスタをバイパスすることを可能にするときに各入力データ電圧に基づくサブピクセル画像を表示するように、他のいずれか1つの前記表示駆動サブ回路と同じに構成される
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項8】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
表示駆動サブ回路は、2T1C駆動サブ回路を形成するように、駆動トランジスタと、1つのスイッチトランジスタと、蓄積コンデンサとを含む
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項9】
請求項に記載のディスプレイパネルにおいて、
前記表示駆動サブ回路は、NT1C駆動サブ回路を形成するように、駆動トランジスタと、N-1個のスイッチトランジスタと、蓄積コンデンサとを含み、ただし、Nは6,7,または8のいずれかである
ことを特徴とするディスプレイパネル。
【請求項10】
画像表示モードおよび画像スキャンモードを有するディスプレイパネルの画素回路であって、
前記ディスプレイパネルの画像表示モードの間に、選択電圧、入力データ電圧及び電源電圧を受信して、発光ダイオードの第1電極に駆動トランジスタを介して電源電圧によって充電された駆動電流を生成して前記発光ダイオードを発光させることにより、入力データ電圧に基づいてサブピクセル画像を表示するように、駆動トランジスタと蓄積コンデンサに結合された1つ以上のスイッチトランジスタとを少なくとも有する表示駆動サブ回路と、
制御トランジスタに結合された少なくとも1つのフォトレジスタを有する感光サブ回路とを含み、
そのうち、前記感光サブ回路が、駆動トランジスタに結合し、画像スキャンモードの間に、ディスプレイパネルでスキャンされている対象物から反射された入射光に応答して、少なくとも1つの前記フォトレジスタによって誘起される光電流を前記発光ダイオードの第1電極に供給するとともに、画像表示モードの間に、駆動電流がフォトレジスタをバイパスすることを可能にする
ことを特徴とする画素回路。
【請求項11】
請求項10に記載の画素回路において、
少なくとも1つの前記フォトレジスタは、前記制御トランジスタに直列に結合することにより、駆動トランジスタに並列に結合し、前記駆動トランジスタがオフしている間に、画像スキャンモードの間に、前記制御トランジスタをオンにすることにより前記感光サブ回路を有効にして、前記フォトレジスタを介して前記発光ダイオードの第1電極に光電流を供給し、画像表示モードの間に、制御トランジスタをオフにすることにより、駆動電流が発光ダイオードの第1電極に直接に流れることを可能にし、そのうち、前記感光サブ回路は、前記フォトレジスタに結合され、前記フォトレジスタを通る電流の値を集積回路に収集するように構成された第2制御トランジスタをさらに含む
ことを特徴とする画素回路。
【請求項12】
請求項10に記載の画素回路において、
少なくとも1つの前記フォトレジスタは、前記制御トランジスタに並列に結合されることにより、前記駆動トランジスタに直列に結合し、画像表示モードの間に、前記制御トランジスタをオンにすることにより、前記感光サブ回路を無効にして、駆動電流がフォトレジスタをバイパスするが前記制御トランジスタを介して前記発光ダイオードの第1電極に流れることを可能にするとともに、前記駆動トランジスタをオンに維持することにより一定の駆動電流をバックグラウンドとして供給する際に、画像スキャンモードの間に、前記制御トランジスタをオフにすることにより、光電流が前記フォトレジスタを介して前記発光ダイオードの第1電極に直接に流れることを可能にする
ことを特徴とする画素回路。
【請求項13】
請求項10あるいは11に記載の画素回路を有するディスプレイパネルを用いて画像をスキャンする方法であって、
画像スキャンのためにディスプレイパネルを有効にすると、前記駆動トランジスタをオフにするように前記表示駆動サブ回路を配置するステップと、
オンレベルである第1制御信号を供給して前記制御トランジスタをオンにすることにより、電源電圧によって充電された電流を前記制御トランジスタを介して前記フォトレジスタに流すステップと、
対象物をスキャンするためのスキャン光ビームを提供するステップと、
スキャン対象物から反射された入射光を検出するステップと、
前記入射光の強度変動に応じてフォトレジスタを通した前記発光ダイオードへの電流の変化を誘起するステップと、
電流によって駆動される前記発光ダイオードによって発光することにより、スキャン対
象物のサブピクセル画像を表示するステップとを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
スキャン光ビームを提供するステップは、前記ディスプレイパネルに内蔵された光源または外部光源を使用する
ことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、
オンレベルである第2制御信号を供給することにより、前記フォトレジスタに結合され前記フォトレジスタを介して集積回路に電流の値を収集するように構成される第2制御トランジスタをオンにする同時に、オンレベルである第1制御信号を供給することにより、前記制御トランジスタをオンにして、入射光の強度変動に応じて変化し前記フォトレジスタを通した電流を、スキャン画像を処理するための集積回路に送信するステップをさらに含む
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1~のいずれか1項に記載のディスプレイパネルを備える表示装置であって、
通常の表示モードにあるディスプレイパネルで入力データに基づいて画像を表示し、または、スキャンモードにあるディスプレイパネルでスキャンされている対象物から反射された入射光に応答する光電流に基づいて画像を表示する
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示技術に関し、特に、画像スキャン機能を有するアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)ディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器用に開発された自動化機能や他のスマート機能の利用により、人々は日々の生活や仕事でこれらの携帯機器にますます頼りになる。しかし、画像スキャン機能を備えた携帯機器はまだ存在しない。多くの場合、携帯機器のカメラ機能が代替スキャナとして使用される。表面が不平坦な対象物をスキャンすると、カメラを通して満足したスキャン画像を得ることが困難である。アクティブマトリックス有機発光ダイオードに基づくディスプレイパネルが携帯機器で普及するにつれて、画像表示とスキャン機能の両方を有する増強されたAMOLEDディスプレイパネルが望まれている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態では、本開示はディスプレイパネルを提供する。このディスプレイパネルは、基板と、基板に形成されたトランジスタ層とを含む。ディスプレイパネルは、ディスプレイパネルを複数のサブピクセル領域に分割するように、トランジスタ層の基板から離れた側に形成されたピクセル限定層をさらに含む。複数のサブピクセル領域のうちの少なくとも1つは、表示サブ領域および感光サブ領域を含む。また、前記ディスプレイパネルは、複数のサブピクセル領域におけるトランジスタ層にそれぞれ形成された複数の有機発光ダイオードを含む。また、ディスプレイパネルは、複数のサブピクセル領域におけるトランジスタ層にそれぞれ形成された複数の画素回路を含む。複数の画素回路の各々は、複数の有機発光ダイオードの1つに結合された表示駆動サブ回路を少なくとも含む。複数のサブピクセル領域のうちの少なくとも1つのサブピクセル領域における少なくとも1つの画素回路は、感光サブ領域上に形成されて、表示サブ領域に形成された表示駆動サブ回路に結合された感光サブ回路を含む。
【0004】
一態様として、複数の有機発光ダイオードの各々は、トランジスタ層の基板から離れた側に形成された第1電極と、第1電極の基板から離れた側に形成された有機発光材料と、有機発光材料の基板から離れた側に形成された第2電極を含む。複数のサブピクセル領域の少なくとも1つにおける少なくとも1つの有機発光ダイオードは、感光サブ領域から実質的に除外された表示サブ領域に形成された第1電極を含む。
【0005】
一態様として、各画素回路の表示駆動サブ回路は、入力データ電圧に基づいてサブピクセル画像を表示するように、電源電圧によって充電された駆動電流を複数のサブピクセル領域のうちの1つにおける有機発光ダイオードの第1電極に生成して有機発光ダイオードを発光させるように選択電圧、入力データ電圧及び電源電圧を受信する、1つ以上のスイッチトランジスタに結合された駆動トランジスタおよび蓄積コンデンサを少なくとも含む。
【0006】
一態様として、少なくとも1つの画素回路の感光サブ回路は、制御トランジスタに直列に結合された少なくとも1つのフォトレジスタを含む。感光サブ回路は、駆動トランジスタに並列に結合されるとともに、スキャン対象物から反射された入射光に応答して少なくとも1つのフォトレジスタを通して流れる光電流を検知するように構成される。
【0007】
一態様として、感光サブ回路は、少なくとも1つのフォトレジスタおよび制御トランジスタに結合された信号読み出しトランジスタをさらに含む。信号読み出しトランジスタは、感光サブ回路によって検知された光電流を記録するために、フィードバックICに接続されるように構成される。
【0008】
一態様として、サブピクセル画像を表示するように表示駆動サブ回路が動作している間に、制御トランジスタおよび信号読み出しトランジスタがオフにされて感光サブ回路を無効にする。
【0009】
一態様として、表示駆動サブ回路の駆動トランジスタがオフしている間、感光サブ回路を有効にして光電流を検知しフィードバックICに記録するために、制御トランジスタと信号読み出しトランジスタがオンとなる。
【0010】
一態様として、感光サブ回路は、光電流を第1電極に通して、少なくとも1つの有機発光ダイオードを発光させることにより、スキャン対象物に基づくサブピクセル画像を表示するように動作する。
【0011】
一態様として、少なくとも1つの画素回路の感光サブ回路は、制御トランジスタに並列に結合された少なくとも1つのフォトレジスタを含む。感光サブ回路は、駆動トランジスタと少なくとも1つの有機発光ダイオードの第1電極との間に直列に結合されるとともに、制御トランジスタがオフしている間にスキャン対象物から反射された入射光に応答して少なくとも1つのフォトレジスタを通して流れる光電流を検知するように構成される。
【0012】
一態様として、少なくとも1つの画素回路の表示駆動サブ回路は、制御トランジスタがオンしている間に、入力データ電圧を一定値として前記複数の画素回路のそれぞれに供給する場合、駆動トランジスタをオンに維持するように構成される。
【0013】
一態様として、少なくとも1つの画素回路の表示駆動サブ回路は、制御トランジスタがオンして駆動電流が少なくとも1つのフォトレジスタをバイパスすることを可能にするときに各入力データ電圧に基づくサブピクセル画像を表示するように、他のいずれか1つの表示駆動サブ回路と同じに構成される。
【0014】
一態様として、表示駆動サブ回路は、2T1C駆動サブ回路を形成するように、駆動トランジスタと、1つのスイッチトランジスタと、蓄積コンデンサとを含む。
【0015】
一態様として、表示駆動サブ回路は、NT1C駆動サブ回路を形成するように、駆動トランジスタと、N-1個のスイッチトランジスタと、蓄積コンデンサとを含み、ただし、Nは6,7,または8のいずれかである。
【0016】
別の態様では、本開示は、画像表示モードおよび画像スキャンモードを有するディスプレイパネルの画素回路を提供する。画素回路は、少なくとも駆動トランジスタと、蓄積コンデンサに結合された1つ以上のスイッチトランジスタとを有する表示駆動サブ回路を含み、この表示駆動サブ回路が、ディスプレイパネルの画像表示モードのときに、選択電圧、入力データ電圧及び電源電圧を受信して、発光ダイオードの第1電極には駆動トランジスタを介して電源電圧によって充電された駆動電流を供給することにより、入力データ電圧に基づいてサブピクセル画像を表示するように駆動トランジスタを駆動する。さらに、画素回路は、制御トランジスタに結合された少なくとも1つのフォトレジスタを有する感光サブ回路を含み、この感光サブ回路が、駆動トランジスタに結合し、画像スキャンモードのときに、ディスプレイパネルでスキャン対象物から反射された入射光に応答して、少なくとも1つのフォトレジスタによって誘起される光電流を発光ダイオードの第1電極に供給するとともに、画像表示モードのときに、駆動電流がフォトレジスタをバイパスすることを可能にする。
【0017】
一態様として、少なくとも1つのフォトレジスタは、制御トランジスタに直列に結合することにより、駆動トランジスタに並列に結合する。駆動トランジスタがオフしている間、画像スキャンモードのときに、制御トランジスタをオンにすることにより感光サブ回路を有効にして、フォトレジスタを通って発光ダイオードの第1電極に光電流を供給する。画像表示モードのときに、制御トランジスタをオフにすることにより、駆動電流が発光ダイオードの第1電極に直接に流れることを可能にする。感光サブ回路は、フォトレジスタに結合され、フォトレジスタを通る電流の値を集積回路に収集するように構成された第2制御トランジスタをさらに含む。
【0018】
一態様として、少なくとも1つのフォトレジスタは制御トランジスタに並列に結合されることにより、駆動トランジスタに直列に結合する。画像表示モードのときに、制御トランジスタをオンにすることにより、感光サブ回路を無効にして、駆動電流がフォトレジスタをバイパスするが、制御トランジスタを介して発光ダイオードの第1電極に流れることを可能にする。駆動トランジスタをオンに維持することにより一定の駆動電流をバックグラウンドとして供給する際に、画像スキャンモードのときに、制御トランジスタをオフにすることにより、光電流がフォトレジスタを通って発光ダイオードの第1電極に直接に流れることを可能にする。
【0019】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載の画素回路を有するディスプレイパネルを使用して画像をスキャンする方法を提供する。この方法は、画像スキャンのためにディスプレイパネルが有効にされると、駆動トランジスタをオフにするように表示駆動サブ回路を配置するステップを含む。この方法は、オンレベルである第1制御信号を供給して第1制御トランジスタをオンにすることにより、電源電圧によって充電された電流を第1制御トランジスタを介してフォトレジスタに流すステップをさらに含む。さらに、この方法は、対象物をスキャンするためのスキャン光ビームを提供するステップと、スキャン対象物から反射された入射光を検出するステップとを含む。さらに、本方法は、入射光の強度変動に応じてフォトレジスタを通した発光ダイオードへの電流の変化を誘起するステップを含む。さらに、この方法は、電流によって駆動される発光ダイオードによって発光することにより、スキャン対象物のサブピクセル画像を表示するステップを含む。
【0020】
一態様として、スキャン光ビームを提供するステップは、ディスプレイパネルに内蔵された光源または外部光源を使用する。
【0021】
一態様として、この方法は、オンレベルである第2制御信号を供給することにより、フォトレジスタに結合されフォトレジスタを介して集積回路に電流の値を収集するように構成される第2制御トランジスタをオンにする同時に、オンレベルである第1制御信号を供給することにより、制御トランジスタをオンにして、入射光の強度変動に応じて変化しフォトレジスタを通した電流を、スキャン画像を処理するための集積回路に送信するステップをさらに含む。
【0022】
さらに別の態様では、本開示は、本明細書に記載のディスプレイパネルを備える表示装置を提供し、この表示装置は、通常の表示モードにあるディスプレイパネルからの入力データ、またはスキャンモードにあるディスプレイパネルでスキャンされている対象物から反射された入射光に応答する光電流のいずれかに基づいて画像を表示する。
【0023】
以下の図面は、開示された様々な実施形態による例示的な目的のための単なる例であり、本開示の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の幾つかの実施形態による画像表示のための表示サブ領域および画像スキャンのための感光サブ領域をそれぞれ含むサブピクセルのマトリクスからなる表示領域を有するディスプレイパネルの概略図である。
図2】本発明の幾つかの実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの構造を示す概略図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの画素回路の簡略回路構成である。
図4】本発明の一つの実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの画素回路を示す図である。
図5】本発明の他の実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの画素回路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本開示について、実施の形態を参照して詳細に説明する。幾つかの実施形態に対する以下の説明は、例示および説明のみを目的として本明細書に提示されることに留意されたい。本発明を包括的な、または精確的な形態に限定することを意図するものではない。
【0026】
画像スキャン機能を有する画像表示用のディスプレイパネルが必要とされており、特に携帯機器に用いられる。したがって、本開示は、従来技術の制限または欠点による1つまたは複数の問題を実質的に解決した、画像スキャン機能を有するディスプレイパネル、スキャン機能を有するアクティブマトリクス有機発光ダイオード(AMOLED)に基づくディスプレイパネル、および該ディスプレイパネルを有する表示装置を提供する。
【0027】
一態様として、本開示は、画像スキャン機能を有するディスプレイパネルを提供する。図1は、本開示の幾つかの実施形態によるサブピクセルのマトリクスで構成される表示領域を有するディスプレイパネルの概略図である。図1に示すように、ディスプレイパネルはベース基板100を含む。ベース基板は典型的にはガラス基板である。他の材料を使用することもできる。ディスプレイパネルは、ベース基板100における表示領域110を含む。表示領域110には、複数の画素200が複数の行及び列を有するマトリクス状に規則的に配列されている。各画素200は、複数のサブピクセル210,220,230を含む。例えば、画素は、赤色光を放射する赤色サブピクセル、緑色光を放射する緑色サブピクセル、青色光を放射する青色サブピクセルを有する。一態様として、各画素内の複数のサブピクセルは、互いの間のサブピクセル間領域のみによって分離され、互いに隣接して一行に配置される。一態様として、複数の画素の各行および各列の各画素200は、小さな間隔で互いに実質的に接近して配置される。
【0028】
一実施形態では、各サブピクセル、例えば210は、表示サブ領域211と感光サブ領域212とに分割される。各表示サブ領域211には、通常動作中にサブピクセル画像を表示するための発光素子を配置することができる。感光サブ領域212には、スキャン対象物からの入射光による画素信号を記録するための光センサまたは光検出器を配置することができる。一態様として、画素信号は、入射光の強度に相関する強度で光を放出させるように発光素子を駆動してスキャンしたサブピクセル画像を得ることができる電流である。
【0029】
別の実施形態では、すべてのサブピクセルが表示サブ領域と感光サブ領域とに分割されるわけではない。代わりに、各N個のサブピクセルに対して、通常の画像表示機能を有する素子を含む表示サブ領域と、光センサまたは光検出器を含む感光サブ領域とに分割される1つだけのサブピクセルが存在してもよい。実施形態では、ディスプレイパネルは、画像スキャンモードの解像度が画像表示モードよりも劣っていても、通常の画像表示モードの上の画像スキャンモードを有するように構成されている。複数の薄膜トランジスタ、蓄積コンデンサ、および各サブピクセルに関連するそれぞれの有機発光ダイオードに結合されたフォトレジスタを含むディスプレイパネルの画素構造に関する詳細は、本明細書に、特に以下の部分に記載されている。
【0030】
図2は、本発明の幾つかの実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの構造を示す概略図である。図2に示すように、AMOLEDディスプレイパネルは、ベース基板100を含む。ベース基板100の表面には、トランジスタ層1が形成されている。一態様として、トランジスタ層1には、1つ以上の薄膜トランジスタ101の電極、端子、チャネル、ゲート端子、ソースノードおよびドレインノードを形成するように、1つまたは複数のパターン化された金属サブ層、半導体サブ層および酸化物サブ層が形成される。一態様として、トランジスタ層1には、光制御可変抵抗器であるフォトレジスタ102が少なくとも1つ存在する。フォトレジスタの抵抗は、入射光強度が増加するにつれて低下し、換言すれば、光電導性を示す。通常、フォトレジスタは抵抗の高い半導体からなる。暗所では、フォトレジスタは、数メガオーム(すなわち、本質的に非導電体)の高い抵抗を有することができ、光の中では、数百オームほど低い抵抗を有することができる。例えば、硫化カドミウムは、フォトレジスタ102を製造するための良く安価な材料とするが、他の材料を使用することもできる。
【0031】
実施形態では、入射光の強度変動に応じて変化する抵抗値で電流を調整する光センサとしてフォトレジスタを用いる。入射光がスキャン対象物から反射された光である場合、入射光の強度変動はスキャン対象物の像を実質的に再現するコントラスト・マップを反映している。感光回路ではフォトレジスタに制御トランジスタを結合することによって、制御トランジスタのゲート端子に制御信号を印加することにより、感光回路がスキャン対象物からの画像の強度変動を検出するためのフォトレジスタを利用することを可能にする。
【0032】
図2に戻して、一態様として、トランジスタ層1は、その中の薄膜トランジスタ、蓄積コンデンサ、及びフォトレジスタを全て覆うパッシベーション層を構成する。トランジスタ層1には、画素限定層2が形成されている。実施形態では、画素限定層2は、複数の行および列に配列されるとともにサブピクセル間領域によって互いに分離された複数のサブピクセル領域のパターンを形成するように、トランジスタ層1を部分的に覆うように構成される。少なくとも1つのサブピクセル領域210について、そのパターンは、トランジスタ層1の表面領域の一部分が画素限定層2によって覆われていないが、残りの部分が画素限定層2によって覆われていることを特徴とする。図1に示すように、少なくとも1つのサブピクセル領域210は、表示サブ領域211として画素限定層2によって覆われていないトランジスタ層1の表面部分と、感光サブ領域212として画素限定層2によって覆われている残りの部分とに分割される。
【0033】
実施形態では、図1および図2に示すように、有機発光ダイオードの第1電極3は、ディスプレイパネル上の少なくとも1つのサブピクセル領域210と関連付けられ、少なくともトランジスタ層1の表面領域の前記一部分、すなわち少なくとも1つのサブピクセル領域210の表示サブ領域211に形成されている。一態様として、第1電極3は、典型的には、トランジスタ層1における表示サブ領域211の下に形成された1つ以上の薄膜トランジスタ101に電気的に接触する金属材料によって形成される。一態様として、第1電極3は、サブピクセル領域の残りの部分、すなわち感光サブ領域212には延びていない。フォトレジスタ102は、トランジスタ層1において、具体的には第1電極3によって覆われていない感光サブ領域212の下に形成される。一態様として、第1電極3は、光透過率が相対的に低い導電性材料によって形成される。したがって、第1電極3の下の表示領域211は光透過率が悪く、第1電極3の材料によって遮断されていない入射光がフォトレジスタ102によって感知され易い。一態様として、少なくとも1つのサブピクセル領域210において、感光サブ領域212の面積は、表示サブ領域211の面積よりも著しく小さい。実施形態では、第1電極3は有機発光ダイオードのアノードである。別の実施形態では、第1電極3は有機発光ダイオードのカソードである。
【0034】
再び図2を参照すると、有機発光ダイオードは、ディスプレイパネルの各サブピクセル領域の表示サブ領域における第1電極3に形成された有機発光材料4を含む。一態様として、有機発光材料4は、異なる色の光を放出する異なるサブピクセルにおいて異なるように構成されてもよい。さらに、少なくとも1つのサブピクセル領域210の表示サブ領域211における有機発光材料4に第2電極5が形成されている。一態様として、第2電極5は、透明な導電性材料で作られ、少なくとも1つのサブピクセル領域210の感光サブ領域211を覆う画素限定層2を少なくとも部分的に覆うように形成されてもよい。
【0035】
左、右、前、後、上、下、前、および後の表記は、便宜上のみ使用されており、特定の固定方向を示唆するものではないことに留意されたい。代わりに、対象物の各部分の間の相対的な位置および/または方向を反映するために使用されている。
【0036】
実施形態では、ディスプレイパネルの複数の画素のうちの1つの画素の各サブピクセルは、トランジスタ層1に配置された画素回路を含む。複数の画素回路のそれぞれは、サブピクセル領域におけるトランジスタ層1に形成された複数の薄膜トランジスタおよび少なくとも1つの蓄積コンデンサを含む表示駆動サブ回路。ディスプレイパネルにおける複数の画素回路のうちの少なくとも1つは、感光サブ回路をさらに含み、該感光サブ回路が、トランジスタ層において、具体的には対応するサブピクセル領域の感光サブ領域に形成された、対応するサブピクセル領域の表示サブ領域に形成された表示駆動サブ回路に結合された少なくとも1つのフォトレジスタを含む。特に、複数の薄膜トランジスタは、少なくとも1つのスイッチトランジスタに結合された駆動トランジスタを含み、表示駆動サブ回路の1つの蓄積コンデンサは、少なくとも1つの画素回路内で、感光サブ回路における少なくとも1つのフォトレジスタに電気的に結合される。各画素回路は、選択電圧、入力データ電圧、及び電源電圧を受信し、サブピクセル領域の上方に形成された有機発光ダイオードの第1電極に接続された駆動トランジスタの端子を有するように構成される。選択電圧の制御下で、画素回路は、電源電圧によって充電された駆動電流を有機発光ダイオードの第1電極に生成して有機発光ダイオードを発光させ、入力データ電圧に基づくサブピクセル画像を表示する。さらに、少なくとも1つの画素回路は、感光サブ回路がディスプレイパネルの画像スキャンモードを実行することができるように設計される。感光サブ回路は、表示駆動サブ回路が実質的に無効されている間、画像スキャンモードのときに、通常、少なくとも1つのフォトレジスタがディスプレイパネルによってスキャンされている対象物からの入射光の強度変動に応答する感光電流(すなわち、光電流)を検出し、光電流を有機発光ダイオードの第1電極に接続するように構成される。
【0037】
特定の実施形態では、表示駆動サブ回路は、駆動トランジスタの第1端子に結合された第1ポートと、駆動トランジスタの第2端子に結合された第2ポートとを含む。さらに、表示駆動サブ回路には、ゲート線に結合された制御端子からの少なくとも1つの選択電圧、データ線に結合されたデータ端子からの入力データ電圧、および第1電源に結合された電源端子からの電源電圧が供給されている。表示駆動サブ回路の第2ポートが、発光素子の第1電極にも結合され、発光素子の第2電極が第2電源に結合される。一態様として、第1電源は高電圧を供給し、第2電源は低電圧または接地電圧を供給する。さらに、表示駆動サブ回路は、駆動トランジスタに結合された少なくとも1つのスイッチトランジスタおよび蓄積コンデンサを含む。少なくとも1つのスイッチトランジスタは、少なくともディスプレイパネルが画像表示モードで動作している期間に、蓄積コンデンサによって補助されるとともに少なくとも1つの選択電圧の制御下で、駆動トランジスタをオンにして、第1電源から発光素子の第1電極へ駆動電流を流すことにより、入力データ電圧に基づいて発光を駆動する。一態様として、発光素子は、サブピクセル領域におけるトランジスタ層1のベース基板から離れた側の表面に形成された有機発光ダイオードである。
【0038】
幾つかの実施形態では、少なくとも1つの画素回路の感光サブ回路は、表示駆動サブ回路の第1ポートおよび第2ポートを共有することによって、表示駆動サブ回路に並列に結合される。実施形態では、感光サブ回路は、制御トランジスタに直列に結合されたフォトレジスタを少なくとも含む。フォトレジスタは、強度の増加した光によって照明されるときに抵抗が低下することを特徴とする。制御トランジスタは、ディスプレイパネルが画像表示モードで動作する場合にオフし、ディスプレイパネルが画像スキャンモードで動作するとともに、表示駆動サブ回路を無効にするように駆動トランジスタがオフする場合に、フォトレジスタによって検知された入射光に応じた感光電流または光電流が感光サブ回路によって検知されるようにオンするように構成される。そして、発光素子は光電流によって駆動され、スキャン対象物から反射された入射光の強度変動に応じて変化する光を発する。
【0039】
図3は、本開示の幾つかの実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの画素回路の簡素化された回路構成である。図3に示すように、画素回路は、画像表示機能と画像スキャン機能の両方を有するAMOLEDディスプレイパネルを実現するために、表示駆動サブ回路と感光サブ回路の2つのサブ回路を含む。実施形態では、表示駆動サブ回路は、少なくとも1つの駆動トランジスタDT、N-1個のスイッチトランジスタ(N-1)Tを有するN個の薄膜トランジスタと、1つの蓄積コンデンサC1とからなるNT1C駆動サブ回路として構成されており、さらに、駆動トランジスタDTの第1端子に結合された第1ポートと、有機発光ダイオードOLEDの第1電極に結合された第2ポートを有し、そのうち、有機発光ダイオードOLEDの第2電極がグランドに接続されている。さらに、表示駆動サブ回路は、電源V1に結合された電源端子を含む。表示駆動サブ回路はさらに、データラインDataに結合された、入力データ電圧を受信するためのデータポートと、制御ラインSelectから1つ以上の選択電圧を受信するための1つ以上の制御ポートとを含む。駆動トランジスタDTは、有機発光ダイオードOLEDの第1電極に結合された第2端子を有し、電源V1からの電源電圧によって充電された駆動電流をOLEDの第1電極に接続して、そしてOLEDを介してグランドポートに接続するように制御する。駆動電流は、ディスプレイパネルが画像表示モードで動作しているときに、データ線Dataから受信した入力データ電圧に基づいて発光するOLEDを駆動するために使用される。感光サブ回路は、表示駆動サブ回路に結合され、ディスプレイパネルに画像スキャン機能を提供する。感光サブ回路は、制御トランジスタT3に結合された少なくとも1つのフォトレジスタPRを含む。フォトレジスタPRおよび制御トランジスタT3はともに、表示駆動サブ回路の第1ポートAおよび第2ポートBを共有することにより、駆動トランジスタDTに接続されている。制御トランジスタT3は、そのゲート端子に印加される第1制御信号S1によって制御されて、オン状態またはオフ状態になるように構成される。
【0040】
AMOLEDディスプレイパネルが通常の画像表示モードで動作している場合に、第1制御信号S1をオフレベルに設定することにより制御トランジスタT3がオフ状態となる。このとき、T3およびフォトレジスタPRを通ってOLEDに電流が流れ込むことはできない。AMOLEDディスプレイパネルの画像スキャンモードが有効にされると(通常、通常の画像表示モードが同時に中断される)、フォトレジスタPRからOLEDに流れる感光電流が検出される。駆動トランジスタDTはオフ状態であり、駆動トランジスタからOLEDに駆動電流が流れていない。第1制御信号S1をオンレベルに設定することにより、制御トランジスタT3がオン状態に設定され、電流が電源V1からフォトレジスタPRを通ってOLEDに流れることを潜在的に可能にする導電経路を確立する。一態様として、電流は感光電流である。フォトレジスタは暗所で非常に大きな電気抵抗を有するので、感光電流は非常に小さい。一態様として、ディスプレイパネルに取り付けられた光源(またはディスプレイパネルに結合された外部光源)を使用して、対象物をスキャンする光ビームを提供する場合、ディスプレイパネルの感光サブ回路は、スキャン対象物からの少なくとも一部の反射光を検知することが可能である。感光サブ回路への入射光としての反射光がフォトレジスタPRに受光されると、フォトレジスタPRの抵抗値が低下し、感光電流が増加する。入射光の強度が強いほど、フォトレジスタPRの抵抗値は小さくなり、伝導経路を通してOLEDに流れる感光電流は大きくなる。フォトレジスタによって検知された感光電流が十分に大きくなると、OLEDを駆動して光を放出することができる。OLEDを通した電流が大きいほど、OLEDによって放出される光が強くなる。実際、入射光の強度変動は、スキャン対象物の表面特徴変動を表す。そして、放射光の強度変動は、相応のコントラスト変動をもたらすので、対象物のスキャン画像が生成される。一態様として、この対象物のスキャン画像は、光検出器PRを通過するが駆動トランジスタDTを通らない感光電流によって生成されるOLEDによる放射光に基づいて、ディスプレイパネル上に直接に表示することができる。
【0041】
一態様として、感光サブ回路は、フォトレジスタPRおよびフィードバック集積回路(IC)に結合された別の薄膜トランジスタ、すなわち信号読み出しトランジスタT4を含む。T4は、そのゲート端子に印加された第2制御信号S2によって制御される。第2制御信号S2は、第1制御信号S1がオンレベルに設定されるのと実質的に同時にオンレベルに設定される。したがって、T3がオンになると、T4もオンになる。信号読出しトランジスタT4の取り付けにより、フォトレジスタPRを通過する電流信号は、読出しトランジスタT4を介してフィードバックICに送信されることができる。一態様として、フィードバックICは、スキャン対象物からの入射光のある強度に応じてフォトレジスタPRによって決定された電流信号を受信し、スキャン画像の画素データに変換するように構成される。
【0042】
一態様として、ディスプレイパネルによってスキャンされる対象物は、平坦でない表面領域を有してもよい。あるいは、スキャン対象物の表面または一部は、平坦な表面に限定されないことがある。一態様として、スキャン対象物からディスプレイパネルへの入射光の角度は、ディスプレイパネルのベース基板100の法線に対して0度に限定されない。ディスプレイパネルのベース基板は、平坦であっても湾曲していてもよい。
【0043】
一態様として、電源V1は高レベル電源であり、OLEDの第2電極は低レベル電源に接続されているか、または直接に接地されている。別の実施形態では、電源V1は低レベル電源であり、OLEDの第2電極は高レベル電源に接続されている。
【0044】
一態様として、NT1C駆動サブ回路におけるN個の薄膜トランジスタの全てはN型トランジスタである。一態様として、NT1C駆動サブ回路におけるN個の薄膜トランジスタの全てはP型トランジスタである。一態様として、特定の回路設計に従って、NT1C駆動サブ回路におけるN個の薄膜トランジスタのいくつかはN型トランジスタであり、NT1C駆動サブ回路におけるN個の薄膜トランジスタの残りはP型トランジスタであることが可能である。
【0045】
実施形態では、NT1C駆動サブ回路は、6T1C構造を形成するために、駆動トランジスタDT、5つのスイッチトランジスタおよび蓄積コンデンサC1を含む。
【0046】
別の実施形態では、NT1C駆動サブ回路は、7T1C構造を形成するために、駆動トランジスタDT、6つのスイッチトランジスタおよび蓄積コンデンサC1を含む。
【0047】
さらに別の実施形態では、NT1C駆動サブ回路は、8T1C構成を形成するために駆動トランジスタDT、7つのスイッチトランジスタおよび蓄積コンデンサC1を含む。
【0048】
特定の実施形態では、2T1C構造を形成するために、NT1C駆動サブ回路は、駆動トランジスタDTと、ただ1つのスイッチトランジスタと、蓄積コンデンサとを含む。図4は、本発明の実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの画素回路を示す図である。図4に示すように、画素回路は、2T1C構造として構成された表示駆動サブ回路を含む。この2T1C駆動サブ回路において、スイッチトランジスタT1は、入力データ電圧を供給するデータラインDataに結合された第1端子と、蓄積コンデンサCsの第1端子に結合された第2端子と、選択信号Vselectを提供する選択線に結合されたゲート端子とを有する。スイッチトランジスタはN型トランジスタである。蓄積コンデンサCsは、高レベルの電源電圧を供給する電源VDDに結合された第2端子を有する。駆動トランジスタT2は、蓄積コンデンサCsの第2端子及び高レベル電源VDDに結合された第1端子と、OLEDの第1電極に結合された第2端子と、蓄積コンデンサCsの第1端子に結合されたゲート端子とを有する。これは、ディスプレイパネルが画像表示モードで動作している間、各表示周期における発光期間中に、電源VDDから駆動トランジスタT2を介してOLEDに流れ込む駆動電流を供給し、データ信号に基づくサブピクセル画像を表示するようにOLEDを発光させる簡素なOLED駆動回路である。
【0049】
図4に示すように、画素回路は、感光サブ回路も含む。実施形態では、感光サブ回路は、制御トランジスタT3に直列に結合されたフォトレジスタPRを含む。フォトレジスタPRおよび制御トランジスタT3は、一全体として駆動トランジスタT2に並列に結合される。フォトレジスタPRは、OLEDの第1電極に結合された第1端子と、制御トランジスタT3の第1端子に結合された第2端子とを有する。制御トランジスタT3は、電源VDDに結合された第2端子と、第1制御信号S1が供給されるゲート端子とをさらに有する。一態様として、制御トランジスタT3はN型トランジスタである。
【0050】
ディスプレイパネルの画像表示モードにおいて、2T1C駆動サブ回路がOLEDを駆動してサブピクセル画像を表示するための通常動作をしているときには、第1制御信号S1がオフレベル(N型トランジスタの場合には低レベル)に設定され、制御トランジスタT3がオフになる。すると、制御トランジスタT3から(フォトレジスタPRを介して)OLEDに電流が流れない。
【0051】
画像表示モードが無効になる場合、または対象物に対してスキャン操作を行うために、ディスプレイパネルの画像スキャンモードが有効になる場合には、駆動トランジスタT2はオフになり、そこからOLEDに電流が流れない。一方、制御トランジスタT3がオン状態となるように第1制御信号S1をオンレベルにして、電源VDDからフォトレジスタPRを介してOLEDへの導電経路を形成し、流れる光電流を検知することができる。フォトレジスタPRは典型的には高抵抗半導体であり、暗所ではメガオームで非常に高い抵抗値を有するので、フォトレジスタPRを通ってOLEDに流れる光電流は非常に小さい。ここで、スキャン対象物から反射された入射光がフォトレジスタPRに達すると、フォトレジスタPRの抵抗値が低下し、光電流が増加する。低下した抵抗値は入射光の強度に比例し、OLEDに流れる電流を増加させる。光電流はOLEDを駆動して光を放出して対応するサブピクセル画像を生成するのに十分に大きくなることが可能である。したがって、対象物の表面特徴の変化を特徴付ける入射光の強度変動は、対応するコントラストを有する対象物のスキャン画像に変換されるOLEDの対応する発光強度変動につながる。
【0052】
一態様として、感光サブ回路はさらに、フォトレジスタPRの第2端子(または制御トランジスタT3の第1端子)に結合された第1端子、フィードバック集積回路(IC)に結合された第2端子、および第2制御信号S2が供給されるゲート端子を有する第2制御トランジスタT4を含む。画像スキャンモードが有効にされると、第2制御信号S2は第1制御信号S1と同時にオンレベルに設定され、T3とT4の両方がオンとなる。第2制御トランジスタT4は、フォトレジスタPRを通過した電流信号が第2制御トランジスタT4を介してフィードバックICに送信されるようにする。フィードバックICは、スキャン対象物からの入射光のある強度に応答してフォトレジスタによって決定された電流信号を記録し、該電流信号を画素データに変換するように構成される。
【0053】
図5は、本発明の他の実施形態による画像スキャン機能を有するAMOLEDディスプレイパネルの画素回路を示す。図5に示すように、画素回路は、OLEDと駆動トランジスタT2との間に結合された感光サブ回路を含む点を除いて図4に示したものと実質的に同じ2T1C駆動サブ回路として構成された表示駆動サブ回路を含む。感光サブ回路は、制御トランジスタT3に並列に結合されたフォトレジスタPRを含む。フォトレジスタPRと制御トランジスタT3を組み合わせた感光サブ回路は、駆動トランジスタT2と一緒にOLEDの第1電極と駆動トランジスタT2の第2端子との間に直列に接続される。駆動トランジスタT2の第1端子は電源VDDに接続され、OLEDの第2電極は接地される。
【0054】
ディスプレイパネルが画像表示モードで動作しているとき、制御トランジスタT3は制御信号S1によって導電体としてオンに制御され、フォトレジスタは入射光のないとき高抵抗のために典型的には非導電体となるため、駆動トランジスタT2からの駆動電流がOLEDの第1電極に流れるようにするバイパスが形成される。基本的に、感光サブ回路は、制御トランジスタT3を導電体に制御することによって無効にされ、ディスプレイパネルは、画素回路の表示駆動サブ回路を利用して導電体T3を通過する駆動電流を生成し、OLEDにサブピクセル画像を表示するための光を発光させる。ディスプレイパネルが画像スキャンモードで動作しているとき、制御トランジスタT3は、制御信号S1(オフレベルに設定)によってオフされる。したがって、感光サブ回路は、有効にされ、フォトレジスタによって検知された光電流がOLEDの第1電極に流れることを可能にする経路を提供する。光電流は、スキャン対象物からの反射の変動に起因してフォトレジスタによって検出された入射光の強度変動に応じて変化する。一態様として、OLEDは、光を放出するように光電流によって励起され、そして、この光がスキャン画像としてディスプレイパネルによって表示される。
【0055】
図5に示すように、この実施形態では、光電流は、依然として電源VDDから駆動トランジスタT2を通って効果的に流れる。したがって、画像スキャンモードの期間に、少なくとも1つの画素回路の表示駆動サブ回路には一定の入力データ電圧が供給されているとともに、表示駆動サブ回路の駆動トランジスタT2はオンのままであり、ここで、該入力データ電圧が、ディスプレイパネルの複数の画素回路のそれぞれに共通に供給される。(対象物のスキャンによる入射光の強度変動によって変化する)光電流は、画像スキャンモードのときに駆動トランジスタを流れる駆動電流であり、各サブピクセルが同じ階調輝度を持つ白い画像をOLEDによって表示されるスキャン画像のバックグラウンドとして形成する。一態様として、制御トランジスタT3はN型トランジスタである。したがって、画像表示モードの場合、制御信号S1を高電圧に設定することによりT3がオンされ、画像スキャンモードの場合、制御信号S1を低電圧に設定することによりT3がオフされる。この実施形態では、制御トランジスタT3がオンまたはオフされても、駆動トランジスタT2は常にオンになる。
【0056】
別の態様では、本開示は、本明細書に記載の画素回路を有するディスプレイパネルを使用して画像をスキャンする方法を提供する。一態様として、ディスプレイパネルは、AMOLEDディスプレイパネルである。一態様として、ディスプレイパネルは、携帯機器で使用される。この方法は、画像スキャンのためにディスプレイパネルが有効にされると、駆動トランジスタをオフにするように表示駆動サブ回路を配置するステップを含む。また、この方法は、オンレベルである第1制御信号を供給して第1制御トランジスタをオンにすることにより、第1電源からの電源電圧によって充電された電流を第1制御トランジスタおよびフォトレジスタに流すステップを含む。さらに、この方法は、対象物をスキャンするためにスキャン光ビームを提供するステップと、スキャン対象物から反射された入射光を検出するステップとを含む。さらに、本方法は、入射光の強度変動に応じてフォトレジスタを通した発光素子への電流の変化を誘起するステップを含む。さらに、この方法は、電流によって駆動される発光素子によって発光することにより、スキャン対象物のサブピクセル画像を表示するステップを含む。
【0057】
一態様として、スキャン光ビームを供給するステップは、ディスプレイパネルに内蔵された光源または外部光源を使用する。
【0058】
一態様として、この方法は、第2制御トランジスタを設けることによりフォトレジスタの第2端子をフィードバック集積回路に結合するとともに、第1制御トランジスタをオンにするようにオンレベルである第1制御信号を供給すると実質的に同時に、第2制御トランジスタをオンにするようにオンレベルである第2制御信号を供給することにより、入射光の強度変動に応じて変化するフォトレジスタを流れる電流がスキャン画像を処理するフィードバック集積回路に送信されるようにする。
【0059】
別の態様では、本開示は、画像表示機能と画像スキャン機能の両方を有する本明細書に記載のディスプレイパネルを有する表示装置を提供する。表示装置は、交互に2つのモードで動作し、画像表示モードの間に画像を表示するために入力データに基づいてOLEDデバイスを駆動して発光させるか、またはフォトレジスタがスキャン対象物からの入射光を検知し入射光の強度変動に基づいて該OLEDデバイスによってスキャン画像を生成する。一態様として、表示装置は、ディスプレイパネルの各サブピクセルに関連する各画素回路の各感光サブ回路におけるフォトレジスタによって収集された電流に基づいて、スキャン対象物のサブピクセル画像を記録するフィードバックICを含む。
【0060】
一態様として、表示装置は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、デジタル画像フレーム、スマートウォッチ、ラップトップコンピュータ、スマートフェイスリーダ、または本明細書に記載のディスプレイパネルを有する任意の携帯機器であるが、これに限定されない。一態様として、表示装置は、スキャン機能を実行することができる静止ディスプレイデバイスであってもよい。
【0061】
本開示の実施形態に対する前記の説明は、例示および説明のために提示されたものである。本開示を包括的な、または精確的な形態または例示的な実施形態に限定することを意図するものではない。したがって、前記の説明は、限定的ではなく例示的なものとみなされるべきである。明らかに、当業者には多くの修正および変更が明らかであろう。実施形態は、当業者が本開示を理解するように本開示の原理および最良の形態の実用的な適用を説明するために選択して説明され、本開示は、様々な実施形態に適用可能であり、本開示の様々な変更が、想定された特定の応用または実施に適している。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によって定義されることが意図されており、ただし、すべての用語は、特に明記しない限り、最も広い合理的な意味である。したがって、「開示」、「本開示」などの用語は、特許請求の範囲を特定の実施形態に限定するものではなく、本開示の例示的な実施形態への言及は本開示の限定や制限を意味するものではない。本開示は、添付の特許請求の範囲の精神および範囲のみによって限定される。さらに、これらの請求項は、名詞または要素の前に「第1」、「第2」などを使用する可能性がある。そのような用語は、命名法として理解されるべきであり、特定の数が与えられていない限り、そのような命名法によって改変される要素の数に制限を与えるものと解釈されるべきではない。記載された利点および利益は、本開示のすべての実施形態に適用されるわけではない。以下の請求項によって定義される本開示の範囲から逸脱することなく、当業者によって記載された実施形態に変更を加えることができることを理解されたい。さらに、本開示における要素および構成要素は、その要素または構成要素が以下の請求項において明示的に列挙されているかどうかにかかわらず、公衆に専用されることを意図していない。
図1
図2
図3
図4
図5