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特許7088611標準化出力による高分解能ラインモニタリングのための技術及びそれを用いる光通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】標準化出力による高分解能ラインモニタリングのための技術及びそれを用いる光通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/071 20130101AFI20220614BHJP
   H04B 10/079 20130101ALI20220614BHJP
   H04J 14/02 20060101ALI20220614BHJP
   H04L 43/00 20220101ALI20220614BHJP
【FI】
H04B10/071
H04B10/079 150
H04J14/02
H04L43/00
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019559412
(86)(22)【出願日】2017-12-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2017057645
(87)【国際公開番号】W WO2018134658
(87)【国際公開日】2018-07-26
【審査請求日】2020-10-02
(31)【優先権主張番号】15/407,722
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502101180
【氏名又は名称】サブコム,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(74)【代理人】
【識別番号】100114915
【弁理士】
【氏名又は名称】三村 治彦
(74)【代理人】
【識別番号】100125139
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 洋
(72)【発明者】
【氏名】マトス,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ジャンダー,ラルフ ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】クラム,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】リス,ジョナサン エム.
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-060665(JP,A)
【文献】米国特許第06323981(US,B1)
【文献】米国特許第06414775(US,B1)
【文献】米国特許第07136156(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0171958(US,A1)
【文献】特開2002-062217(JP,A)
【文献】特開2007-082202(JP,A)
【文献】特開2005-084041(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/071
H04B 10/079
H04J 14/02
H04L 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のケーブルセグメントを備える光経路と
前記光経路に結合されたラインモニタリング設備(LME)を有する端局と
を備えた光通信システムであって、前記LMEが
前記光経路に沿って少なくとも1つのLMEテスト信号を送信し、
前記複数のケーブルセグメントの各々を通じて前記少なくとも1つのLMEテスト信号に与えられるゲインを示す複数のゲイン測定値を測定し、
前記測定された複数のゲイン測定値に基づいて結果的なLMEデータセットを導出し、
前記光通信システムに関連した複数のシステムパラメータであり、前記LMEに関連したハードウェアパラメータ、前記少なくとも1つのLMEテスト信号が関連する第1のチャネル波長を示す表示波長の値、前記複数のケーブルセグメント内で実施されるファイバのタイプを示すファイバタイプの値、ユーザ定義システム名称、ユーザ定義発信端末位置、及びユーザ定義終端端末位置のうちの少なくとも1つを含む前記複数のシステムパラメータを受信し、
前記結果的なLMEデータセット及び前記光通信システムに関連した前記複数のシステムパラメータの少なくとも一部に基づいて出力ファイルを生成するように構成された、光通信システム。
【請求項2】
前記複数のゲイン測定値の各々が、所定の測定間隔で実行されるゲイン測定に関連した、請求項1に記載の光通信システム。
【請求項3】
前記所定の測定間隔が約100ピコ秒である、請求項2に記載の光通信システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのLMEテスト信号が複数のLMEテスト信号を備え、前記結果的なLMEデータセットを導出することが、前記複数のLMEテスト信号の各々に関連した所定数のデータセットを平均化することをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項5】
前記所定数のデータセットが、前記光経路の長さ、各LMEテスト信号の空間分解能及び各LMEテスト信号のバイト長の少なくとも一部に基づく、請求項4に記載の光通信システム。
【請求項6】
前記生成される出力ファイルがTelecordia SR-4731に適合するフォーマットのものである、請求項1から5のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項7】
記ハードウェアパラメータは、取得範囲、パルス幅パラメータ、後方散乱係数及び/又はノイズフロアレベルのうちの少なくとも1つを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の光通信システム。
【請求項8】
波長分割多重化通信システム(WDM通信システム)のラインモニタリング設備(LME)を介してラインテストを実行する方法であって、
前記WDM通信システムの光経路に沿って少なくとも1つのLMEテスト信号を送信するステップであって、前記光経路は複数のケーブルセグメントを備える、ステップと、
前記複数のケーブルセグメントの各々を通じて前記少なくとも1つのLMEテスト信号に与えられるゲインを示す複数のゲイン測定値を測定するステップと、
前記測定された複数のゲイン測定値に基づいて結果的なLMEデータセットを導出するステップと、
前記WDM通信システムに関連した複数のシステムパラメータであり、前記LMEに関連したハードウェアパラメータ、前記少なくとも1つのLMEテスト信号が関連する第1のチャネル波長を示す表示波長の値、前記複数のケーブルセグメント内で実施されるファイバのタイプを示すファイバタイプの値、ユーザ定義システム名称、ユーザ定義発信端末位置、及びユーザ定義終端端末位置のうちの少なくとも1つを含む前記複数のシステムパラメータを受信するステップと、
前記結果的なLMEデータセット及び前記WDM通信システムに関連した前記複数のシステムパラメータの少なくとも一部に基づいて出力ファイルを生成するステップと
を備える方法。
【請求項9】
前記複数のゲイン測定値の各々が、所定の測定間隔で実行されるゲイン測定に関連した、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つのLMEテスト信号が複数のLMEテスト信号を備え、前記結果的なLMEデータセットを導出するステップが、前記複数のLMEテスト信号の各々に関連した所定数のデータセットを平均化するステップをさらに含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記所定数のデータセットが、前記光経路の長さ、各LMEテスト信号の空間分解能及び各LMEテスト信号のバイト長の少なくとも一部に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記生成される出力ファイルがTelecordia SR-4731に適合するフォーマットのものである、請求項8から11のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
長距離光通信システムにおいては、システムの健全状態をモニタリングすることが重要となり得る。例えば、モニタリングは、光伝送ケーブルにおける欠陥若しくは破損、欠陥のある中継器若しくは増幅器、又はシステムの他の問題を検出するのに使用可能である。既知のモニタリング方法は、光時間領域反射測定(OTDR)設備及び技術の使用を含む。
【0002】
より詳細にはOTDR技術によると、OTDR信号源は、光パルス又は特別に変調された光搬送波などのテスト又はプローブ信号を生成し、テスト信号は、経路対のアウトバウンド光経路に出射される。アウトバウンド経路における要素は、OTDRテスト信号の部分を反射(例えば、後方散乱)し得る。後方散乱された信号部分は、(例えば、同じアウトバウンド経路、又はインバウンド経路などの異なる経路上で)戻され、OTDR受信機において検出され得る。経路における各要素の伝送特性はまた、例えば、テスト信号又は反射された信号を減衰させることによって、その要素後のポイントで反射される信号の量にも影響を及ぼし得る。光経路に沿って各要素又はポイントから後方散乱又は反射される信号の大きさは、光経路を特徴付けるためのメトリックとして用いられ得る。コヒーレント光時間領域反射測定(COTDR)はOTDRの向上したものであり、海底光通信システムなどの長距離WDMシステムにおいて用いられ得る。COTDRは、そのテスト信号及びコヒーレント光検出受信機が受信機の感度を向上させるように特別な光変調方式を用いる。向上した感度によって非常に低いレベルの後方散乱した信号の測定が可能となるので、ファイバが(例えば、光増幅器を越えて)COTDR設備から遠く離れた光経路の部分にある場合であっても、非常に長い光ファイバの試験が可能となる。伝送経路における光ファイバからのレイリー後方散乱がOTDR又はCOTDRによって検出可能であるため、システムのモニタリングに対するこのアプローチは、ユーザが中継器間のファイバを試験することが可能な診断ツールを提供する。
【0003】
ここで、添付の図面を参照して例として発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1図1は、本開示によるシステムの実施形態の一例の簡略化したブロック図である。
図2図2は、本開示の実施形態による、図1のシステムの例に用いるのに適したラインモニタリング設備(LME)の例を概略的に示すブロック図である。
図3図3は、本開示の実施形態による、図2のLMEの例によって実施され得る複数の処理段を示すブロック図である。
図4図4は、本開示による通信システムの例における測定されたゲイン対距離の変化のプロットを含む。
図5図5は、本開示の実施形態による図4のプロットの拡大された部分を示す。
図6図6は、本開示の実施形態による図4のプロットの他の拡大された部分を示す。
図7図7は、本開示による処理の一例を示すブロックフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示は、ラインモニタリング設備(LME)を含む光通信システムに関し、より具体的には、システム健全状態モニタリング用途のための標準フォーマットにおいてその上位表示を提供するように高分解能ライン走査を実行するための技術に関する。
【0006】
波長分割多重化(WDM)通信システムのラインモニタリング設備(LME)に対する高分解能の標準フォーマット出力を提供するための技術が、本開示により開示される。本開示によるWDM通信システムは、光経路(例えば、1以上のファイバ)を介して複数のLMEテスト信号を送信し、例えば、100ピコ秒以下の所定の間隔でそれに関連した反射のゲイン測定を実行し得る。複数のLMEテスト信号の各々に対するゲイン測定値は、LMEピークデータともいわれるLME結果データを提示するように正規化及びフィルタリングされ得る。この目的で、WDM通信システムは、(例えば、システムの長さ、ファイバのタイプ、及び送信されたLMEテスト信号又はテストパルスの数などに依存して)数百万/数十億に上るデータポイントによって完全なライン走査を実行し、それをLMEピークデータ内の相対的に少数の結果的なデータポイントに正規化し得る。そして、WDM通信システムは、市販のビューア及び光時間領域反射測定器(OTDR)設備と互換性のある標準フォーマットでLME結果ファイルを出力し得る。WDM通信システムは、診断目的のためにLME結果をUSBサムドライブ、携帯型ハードウェア、ネットワーク位置などに直接出力し得る。
【0007】
したがって、本開示によるWDM通信システムは、標準化された非独自仕様で、スタンドアロンOTDRテストデバイスなどのラインモニタリングへの他のアプローチでは利用不可能な分解能でテスト測定値を提供するように、光経路全体に沿って光テスト信号に与えられるゲイン又はその部分を正確に測定し得る。これによって、WDM通信は、数万キロメートル以上に及び得るシステムの長さ全体(又はその一部)に上位表示のゲインデータを提供可能となり得る。
【0008】
上位表示は、有利なことに、例えば、システムの部分を示すゲインデータを分離及び表示して対象とするエリアを容易かつ正確に識別するように「拡大」する多数の方法で視認されるデータポイントを可能とする。ゲインデータの空間分解能は約100メートル以下であり得るので、ケーブルの切断及び構成要素の不良などのケーブルの事象の厳密な位置は、例えば、自動ソフトウェア処理及び/又はトレーニングされた技術者によって容易に特定され得る。例えば、技術者又はソフトウェア処理は、システム(例えば、ケーブル地上局)の開始に対する事象の距離及び関連する測定ゲインレベルによって検出された事象が通信システムの特定の構成要素(例えば、光中継器、分岐ユニットなど)に起因するものとし得る。さらに、WDM通信システムは、システムの健全状態及び診断に関する有意義な情報を提供するために市販のビューアがメタデータとして用いることができる、各LMEテスト信号に対する表示波長、各パルス幅の持続時間などのような独自のシステムパラメータも含む標準フォーマットで結果ファイルを出力し得る。
【0009】
図面では図1は、本開示によるWDM伝送システム100の例示的な一実施形態の簡略化されたブロック図である。一般的に、システム100は、各中継器/増幅器、分岐ユニットなどに関連するゲイン値を計算するように構成され得る。ゲインのばらつきは、システムにおける欠陥を示すシステム警報を生成し、又は、例えば、欠陥状況が発生しつつあることの表示をユーザに提供するのに用いられ得る。
【0010】
WDM伝送システム100、すなわち、システム100が、説明の簡略化のために、高度に簡略化されたポイントツーポイントシステム形式として示されたが、他の実施形態もこの開示の範囲内のものとなる。ここで説明する技術及びアーキテクチャは広く多様なネットワーク構成要素及び構成で用いられてもよく、所与のシステムは複数の中継器、変動長のスパン及び/又はシステムの端末における送受信機などの他の構成要素を含み得る。本開示の実施形態は、任意の特定のそのような構成部品及び/又は構成に限定されることを意図するものではない。
【0011】
図示するように、システム100は、ともに双方向光経路対を形成する2つの一方向光経路110、120によって結合された端末(又は端局)102、104を含み得る。ここで用いられる用語「結合される」は、1つのシステム要素によって搬送される信号が「結合される」要素に与えられる任意の接続、カップリング、リンクなどのことをいう。そのような「結合される」デバイスは、相互に必ずしも直接には接続されず、そのような信号を操作又は変更し得る介在構成要素又はデバイスによって分離され得る。
【0012】
光経路110は、端末102における送信機112から端末104における受信機114への一方向で複数のチャネル(又は波長)において光データを搬送することができる。光経路120は、端末104における送信機124から端末102における受信機122への経路110に関連する方向とは反対の方向で複数のチャネル(又は波長)において光データを搬送することができる。端末102に関して、光経路110はアウトバウンド経路であり、光経路120はインバウンド経路である。端末104に関して、光経路120はアウトバウンド経路であり、光経路110はインバウンド経路である。光経路110及び120は、例えば、水域における及び/又は水域にわたる配備についての長距離光ファイバラインであり得る。水域、例えば、海洋に配設されたシステムの部分は、ここでは「ウェットプラント」と呼ばれ得る。
【0013】
光経路110、120の各々は、関連する増幅器118-1~118-N及び128-1~128-Nをそれぞれ含み得る。光増幅器118、128は、簡略化した形式で示され、1以上のエルビウムドープファイバ増幅器(EDFA)若しくは他の希土類ドープファイバ増幅器、ラマン増幅器又は半導体光増幅器を含み得る。
【0014】
ラインモニタリング設備(LME)140、142は、光経路110、120のラインモニタリングを提供するように端末102、104の一方又は双方に位置し得る。LME140、142は、周知の信号生成、信号検出及び処理機能を実行することができ、それらの機能を実行するように構成された周知の送信機、受信機及びプロセッサを含み得る。モニタリング設備140は、1以上のテスト信号を、例えば、異なる波長で光経路110(例えば、アウトバウンド光経路)に出射し得る。そして、モニタリング設備140は、反射される信号を受信及び測定し得る。モニタリング設備142は、例えば、光経路120に1以上のテスト信号を出射する目的のために、LME140と実質的に同様に構成され得る。LME140は、LME142から受信されるテスト信号をループバックするように、さらにその逆となるように構成され得る。
【0015】
LME140及び142の各々は光時間領域反射測定(OTDR)技術で実現可能であり、特定の一実施形態においては、双方とも、具体的には、実際のデータトラフィックが存在しない場合に実行されるテスト処理(いわゆる「アウトサービスモード」)とは対照的に、システム使用中のテスト処理(いわゆる「インサービスモード」)を実行することが望まれる場合に、実際のデータ信号と干渉しないように、中継器の通過帯域のエッジに存在するテスト信号波長を提供することができる。しかしながら、ある場合においては、LME140及び142の一方のみがOTDR性能を実現し、他方は送信される信号に対して単にループバックを提供するだけである。一般的には前述したように、反射された信号(例えば、レイリー信号)は、モニタリングシステムが光経路(光経路における中継器、高損失ループバック経路、ファイバ及び他のアイテムを含む)に関連するゲインなどのパラメータを計算し、あるいはテスト信号が進行した光経路を評価可能となる情報を含む。測定されたゲイン又は他の関連パラメータのばらつきは、システムにおける欠陥を示す警報を生成するのに用いられ得る。
【0016】
LME140側から見ると、送出ファイバはケーブルセグメント116-1~116-Nを含み、入来ファイバはケーブルセグメント126-1~126-Nを含む。LME142側から見ると、送出ファイバはケーブルセグメント126-1~126-Nを含み、入来ファイバはケーブルセグメント116-1~116-Nを含む。本開示の実施形態によると、システム100によって、テスト設備140及び142は、テスト/プローブ信号の光周波数を調整することによって送出ファイバ又は入来ファイバのいずれかで反射された特定の信号を選択することが可能となる。
【0017】
図2では、追加的に図1を参照して、LME200の実施形態の例を本開示の実施形態により示す。LME200は、例えば、図1のLME140及び/又はLME142としての使用に適し得る。説明する実施形態において、LME200は、例えば、光経路110/120を介して光信号を出射するためのレーザ送信機210を含む。
【0018】
レーザ送信機210は、ファイバ、例えば、光経路110/120内のファイバを介して複数のチャネル(又は波長)において光データを波長分割多重(WDM)受信機、例えば、LME140/142に送信するように構成されたWDM送信機であり得る。レーザ送信機210は、各々が異なるチャネル又は波長を用いて光データ信号を送信する複数のレーザ送信機、及びデータ信号を光経路110/120上で送信される総合信号に合成するためのマルチプレクサを含み得る。受信機は、送信されるデータ信号を逆多重化及び検出し得る。代替的に、レーザ送信機210は、ラインモニタリングの目的のために、光経路110及び120の各々において搬送される単一チャネルのデータのみを放射する。
【0019】
LME200は、例えば、LME140及び/又はLME142としてシステム100の健全状態をモニタリングするために構成され、多様な構成に設けられ得る。説明する実施形態において、LME200は、符号生成器204、レーザ送信機210、LMEコントローラ202、コンピュータ可読メモリ208及びフィルタ206を含む。LME200は、出力220をネットワーク管理システム(NMS)212に供給するように構成され得る。出力は、例えば、OTDRビューア/アナライザシステムと互換性を有する標準フォーマットのファイルを含むことができ、それは図3と関連して以下でさらに詳細に説明する。他の場合には、出力220はLME測定値を備えてもよく、NMS212はそれを用いて、OTDRビューア/アナライザシステムと互換性のある標準フォーマットのエクスポートファイルを生成し得る。
【0020】
そのような標準の一例は、2011年7月に公表されたタイトル「Telecordia Special Report SR-4731」のSR-4731に適合するフォーマットを含む。ユーザは、例えば、NMS212のグラフィカルユーザインターフェース(GUI)を介してLME200からの出力を要求し得る。代替的に又は追加的に、NMS212は、システム100について自動健全状態モニタリングを実行するようにLME200からの出力を周期的に要求し得る。
【0021】
符号生成器204は、固定長を有するゴレイコードなどのテスト符号を生成及び出力するために構成され得る。他の場合には、テスト符号は、符号の疑似乱数列(PRS)を含み得る。符号生成器204の出力は、レーザ送信機210に結合され得る。
【0022】
LMEコントローラ202は、例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサ、x86命令セットプロセッサ、マイクロコントローラ又は特定用途向け集積回路(ASIC)などの少なくとも1つの処理デバイス/回路を備える。LMEコントローラ202の態様は、例えば、ソフトウェア(例えば、C又はC++がコントローラ/プロセッサ104上で実行される)、ハードウェア(例えば、ハードコードされたゲートレベルロジック又は専用のシリコン)若しくはファームウェア(例えば、組み込まれたルーチンがマイクロコントローラ上で実行される)又はそれらの任意の組合せを用いて実現され得る。図3の複数のLME処理段の1以上は、LMEコントローラ202によって実施され得る。実施形態において、LMEコントローラは図7のLME処理700を実行するように構成され得るが、この開示はこの点に関して必ずしも限定されない。例えば、NMS212又は他の適切なコンピューティングシステムは、1以上の動作、例えば、動作710及び712を実行し得る。
【0023】
レーザ送信機210は、周知の構成、例えば、分布フィードバックレーザ(DFB)であってもよく、伝送システム100において送信されるデータチャネルすべての波長とは異なり得る搬送波波長、例えば、λ0の光出力を生成するように構成され得る。搬送波波長λ0は、例えば、システムのスペクトル帯域幅のエッジにあってもよいし、データチャネル間にあってもよい。一実施形態において、レーザ送信機210は、異なる時間間隔で異なる複数の搬送波波長の光出力を供給するように構成され得る。例えば、レーザ送信機210は、データ信号送信帯域の短波長端における短いLME波長の、すなわち、最短波長データチャネルに隣接し、データ信号送信帯域の長波長端における長いLME波長の、すなわち、最長波長データチャネルに隣接した出力を供給し得る。一実施形態において、短いLME波長は1537nmであってもよく、長いLME波長は1563nmであってもよい。レーザ出力のパワーは、LME波長が稼働中に測定される例では、データ信号の障害を最小化するように、光経路110/120上で伝達されるデータ信号のパワーレベル未満に設定され得る。
【0024】
レーザ送信機210は、符号生成器204から受信される符号を示すLMEテスト信号を、例えば、長い及び短い双方のLME波長において生成し得る。LMEテスト信号は、LMEテスト信号出力222として供給され得る。一実施形態において、符号生成器204の出力は、レーザ出力の振幅を直接変調し得る。レーザ送信機からの出力光に、符号を与えるための他の構成が知られている。例えば、符号は、振幅、又はレーザ送信機210の出力に結合された他の変調器によって与えられ得る。
【0025】
光経路116を介して各中継器によってLME200に戻されるLEMテスト信号は、例えば、テスト信号222が進行した距離に比例する期間によって、本来のLMEテスト信号222から遅延する。第1の中継器118-1について、例えば、遅延時間ts1は、スパン116-1を介する送信機210から第1の中継器118-1への距離dに比例する。第1の中継器118-1への距離dは、例えば、ケーブルセグメント116-1を通じる送信機210から第1の中継器118-1への距離として計算され得る。この距離はまた、正確には第1の中継器118-1についての遅延経路ともいわれる。遅延時間ts2では、ts2が遅延ts1のほぼ2倍であり、後方反射は、LME200において、より具体的には、フィルタ206によってLMEコントローラにおいて受信され得る。したがって、第1の中継器36-1によって戻されるLMEテスト信号についての遅延時間ts2はts2=(d*2)/cとして計算され得るものであり、ここでcは、例えば、特定の媒体内の光の速度である。同様に、第2の中継器118-2によって戻されるLMEテスト信号についての遅延時間ts3は、第2の中継器118-2に関連する遅延経路の既知の距離dに基づいて計算可能であり、ts3=(d*2)/cとして計算され得るものであり、ここでcは光経路、例えば、光ファイバ内の光の速度である。同様に、システムにおける追加の中継器についての遅延時間もまた、それらの遅延経路の既知の距離に基づいて計算可能である。
【0026】
同様に、光経路110/120の各々に沿ったいわゆる「事象」(例えば、ケーブルの切断、構成要素の不良)とともに分岐ユニット、カプラなどの他の構成要素は、テストLMEテスト信号の反射/後方散乱を結果としてもたらし得る。したがって、各事象は、関連する反射されたテスト信号の遅延時間によってLME200からの特定の距離と相関し得る。
【0027】
ラインテスト動作中に、LMEコントローラ202は、1以上のテスト信号、例えばテスト信号222を光経路、例えば光経路110/120を介して伝搬させ得る。そして、LMEコントローラ202は、所定の間隔、例えば100ピコ秒でゲイン測定を実行し得る。例えば、測定サイクリング中に、LME200は、1以上のフォトダイオードのパワーを測定し、相関関係をモニタリングして受信信号が以前送信された符号に対応するかを識別し得る。したがって、各ゲイン測定値が配列に記憶され得るものであり、指標は複数の所定の間隔である。LMEコントローラ202の専用のハードウェアクロックは、例えば、100ピコ秒以上の分解能が可能な高分解能タイマーを提供し得る。システム100の種々の特性に依存して、100メートル以上の空間分解能は、以下でさらに説明するように、光信号に対する既知の伝搬時間に基づいて達成され得る。LMEコントローラ202は、事象を示す電気信号若しくは光信号、又はより具体的には、事象に関する反射されたテスト信号を利用し得る。LMEコントローラ202が電気信号を用いる場合には、LME200は、フィルタ206によって出力される光信号を電気信号に変換するために、フィルタ206とLMEコントローラ202の間に接続された光-電気変換器をさらに含み得る。
【0028】
所与のテスト期間にわたって、LMEテスト信号のN個の反射は、所定の測定間隔に基づいてLMEコントローラ202によって受信され、一往復中にメモリ208に記憶され得る。ある場合には、複数のLMEテスト信号が、例えば100億個/s送信され、往復の結果がLMEデータセットに記憶され、それは
D={d,d,...,d} (式1)
のように表すことができ、ここでNはゼロでない配列の指標であり、Dは関連のゲイン値の配列を示す。なお、送信される具体的な符号化率は、所望の構成に依存して調節され得る。例えば、100メートルの空間分解能(10マイクロ秒/キロメートル)は、1ビット当たり1マイクロ秒のレートでゴレイコードを送信している間に達成され得る。データレートの増加に比例して、空間分解能は増加し得る。異なるデータレートは、所望の空間分解能、ハードウェア性能、光ネットワークトポロジーなどに依存して選択され得る。
【0029】
したがって、システム100の光経路を介して送信される所与のテスト信号に関連する各LMEデータセットは、実質的に同数のデータポイントを含み得る。LMEデータセットDは、例えば、線形平均化及び他の適切なアプローチを用いて平均化及び正規化され得る。平均化及び正規化処理は、有利なことに、ノイズフロアを低下させ、測定の信頼性を高め得る。結果的な正規化されたLMEデータセットDpeaksは、図3に関して以下でさらに説明するような後続の処理及び欠陥検出に利用され得る。
【0030】
フィルタリング及び正規化は、各LMEデータセットd...dが完了するにつれて行われてもよいし(例えば、所与のLME信号の往復が生じる)、又は所定の期間後に、例えば、X個のLMEテスト信号が往復を完了した後に行われてもよい。用いられる平均値の数は、すなわち、1以上のLMEテスト信号に対応するデータセットDの総数は、システムの長さに比例して基準化され得る。例えば、より大きな平均値の数が、比較的に短いシステムスパン、例えば、10kmの事象において用いられ得る。25km以上に及ぶ長距離スパンの場合には、より小さな平均値の数が用いられ得る。選択される特定数の平均値は、信頼性のある測定値対特定数の往復を完了する時間の総量に対する必要性のバランスをとる。いずれの事象においても、複数のデータポイントの配列は、例えば、線形平均化又は他の任意の適切な平均化アプローチを用いて正規化され得る。
【0031】
平均値の総数は、以下の式:
totaln_avg=1000×CorrelationDuration/Max(20,SystemLength/(100+(CodeLen+TailLen)×SpatialResolution×10/1000)) (式2)
に基づき得るものであり、ここでCorrelationDurationはテスト期間の総継続期間であり、SystemLengthはキロメートルでのシステムの長さであり、CodeLenはバイトでのLMEテスト信号の長さであり、TailLenはシステムの長さの終わりを示す仮想の長さであり、SpatialResolutionは事象についての最大分解能である。TailLenは、例えば、この開示では実証的分析を通じて遠端のノイズフロアを補完するのに適していると識別された625kmを示す625に設定されてもよいが、他のTailLenの値はこの開示の範囲内のものである。したがって、結果的なLMEデータセットDpeaksは平均値の総数に基づく平均値を示し、平均値の総数は(式2)に基づいて計算されている。
【0032】
ここで用いられる取得範囲は全一方向長のことであり、パルスは測定されているファイバの端部に戻るOTDRから採取すべきである。以下の式:
AcquisitionRange=1.5×SystemLength×1010/(3×10) (式3)
が取得値を決定するのに用いられ得る。
【0033】
以下の式:
UserOffset=(UO×1.469/(3×(10m/s))×1012ps/s (式4)
がUserOffset(UO)を決定するのに用いられてもよく、ここでUOは、OTDRのフロントパネルから光リンクの開始部への、例えば、光ジャンパーの長さのメートルでの一方向距離である。
【0034】
図3では、本開示の実施形態による、LME結果ファイルを生成するようにLME200によって実施され得る複数の処理段300の例を示す。LME結果ファイルは、上記のようにTelecordiaフォーマットなどの標準フォーマットに適合し得る。LMEコントローラ202は、複数の処理段300などの1以上のLME処理段を実施し得る。この目的で、処理段は、ハードウェア、ソフトウェア又はそれらの組合せを含む多様な方法で実施され得る。
【0035】
LME測定値302は、上記のように結果的なLMEデータセットDpeaksを含み得る。LME測定値302は、LME結果生成器段306に提供され得る。LMEシステムパラメータ304は、種々のユーザ構成可能パラメータ及びシステム固有パラメータを含み得る。例えば、LMEシステムパラメータは、一般的パラメータ(例えば、以下の表1に要約するようなもの)、製造業者固有パラメータ(例えば、製造業者の名称、OTDRメインフレームID、OTDRメインフレームシリアル番号、光モジュールID、光モジュールシリアル番号、ソフトウェアリビジョンタグ)及び/又はハードウェアパラメータ(例えば、以下の表2に要約するようなもの)を含み得る。LMEシステムパラメータ304は、確認及び変更を目的としてNMS212のGUIを介して提示され得る。表1には非限定的な一般的パラメータのある例の概要を与え、表2には非限定的なハードウェアパラメータのある例の概要を与える。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【0036】
LME結果生成器段306はまた、LMEシステムパラメータ304も受信する。LME結果生成器段306は、LME測定値302を、複数のゲイン値及び光経路、例えば光経路110/120の開始部に対してメートルでの関連距離Dに変換するように、LMEシステムパラメータ304との組み合わせにおいてLME測定値302を用いる。以下の式は、各データポイントに関連するタイムスタンプを(メートルでの)距離の値:
Distance=T×C (式3)
に変換するように利用され得るものであり、ここでTは所与の事象に対するタイムスタンプ(例えば、所定の測定間隔で乗算される測定ゲイン値の指標)であり、Cは光の速度である。なお、光の速度Cは、媒体に依存して変動する。この目的で、ファイバタイプのパラメータが検査され、Cは、特定のファイバタイプに関連する予め定義された光ファイバのレイテンシの値及びLMEテスト信号に対して選択された表示波長に従って調整され得る。真空又は自由空間において、光はマイクロ秒(μs)当たり299792メートルの速度で進行する。これに対して、光は、関連する屈折率に起因してより低い速度で単一モードファイバを通じて移動する。例えば、あるタイプの単一モードファイバ、例えば、G.652によって、光は、約1150nmのチャネル波長に対して約204191m/μsの速度で進行可能となる。したがって、光の速度Cは、上記の一般的パラメータにおいて選択された特定のファイバタイプに関連する既知のレイテンシに基づいて調整され得る。
【0037】
いずれの事象においても、LME結果生成器段306は、選択された標準フォーマットに適合するフォーマットで複数のバイトを出力し得る。例えば、標準フォーマットは、前述のようにTelecordiaフォーマットを含み得る。この例において、フォーマットは、いわゆる「.SOR」フォーマットのものであり得る。この場合には、複数のバイトが、ゲイン/距離の値とともに表1及び表2において上記要約された値の表示を含み得る。値の各々は、複数のバイト内の具体的な位置にTelecordia OTDR仕様によって準拠されるフォーマット(例えば、データタイプ)で並べられ得る。さらに、ゲイン/距離の値は、複数のバイト内の適切なヘッダ/定義部分を介して参照され得る複数のブロックで配置され得る。LME結果生成器段は、バイトの連続配列として複数のバイトを出力し得る。
【0038】
ファイル出力段308は、標準フォーマットでフォーマット化されたバイトの連続配列を受信し、メモリ、例えば、携帯型ハードドライブ、USBサムドライブなどに記憶され得るそれに基づいてLME出力ファイルをレンダリングする。そして、エクスポートファイル段310は、レンダリングされたLMEファイルを選択された位置にエクスポートし得る。レンダリングされたLMEファイルは、「.SOR」ファイルフォーマットであり、LMEデータを解析及び/又は表示するように設計された市販のユーティリティと互換性を有し得る。
【0039】
図4では、プロット400の例が、WDM通信システムの例についてのゲイン測定値対距離を示す。プロット400は、例えば、エクスポートファイル段310でエクスポートされたレンダリングLME出力ファイルをローディングした後に、市販のビューアによって示され得る。図示するように、プロット400の例は、光伝送システムの例、例えば、図1のシステム100について距離に対するゲインの変化を示す。図示するように、システムの例は、約5000kmのシステム長を含む。プロット400に示す山部及び谷部は、システムの光通信経路に沿った種々の事象(例えば、分岐ユニット、中継器など)を表す。
【0040】
図5は、通信システムの例の2kmスパンにわたるLME結果を示すように、図4のプロット400の拡大領域を示す。図示するように、プロットされたゲイン値における山部及び谷部は、それが光通信システムの構成要素を通過するとLMEテスト信号に与えられるゲインを表す。例えば、谷部440は、例えば、約480kmで示すように分岐ユニットがあることに起因してゲインの降下と相関関係を有し得る。図6は、通信システムの例の1250m~2000mの相対的に短いスパンを示すようにさらに拡大したグラフ600を示す。図示するように、システムは、山部/谷部が閾値限度内にあり、通信システム内の既知の位置で光学的構成要素と一致する限り、「健全状態である」と分類され得る。
【0041】
図7は、本開示による処理700の一例のブロックフロー図である。処理700の例は、例えば、図3の複数のLME処理段300を実施する図1のLMEコントローラ202によって実行され得る。図示するブロックフロー図は、特定の一連の動作を含む。ただし、一連の動作は、ここで説明する一般的な機能性がどのように実施され得るかについての例を単に与えるに過ぎないことは明らかである。さらに、各一連の動作は、他に示されない限り提示された順序で実行されなくてもよい。
【0042】
図7に示す実施形態の例において、少なくとも1つのLMEテスト信号は光経路(例えば、光経路110/120)を介して表示チャネル波長で送信され(702)、光経路は複数のケーブルセグメントを有する。複数のケーブルセグメントの各々を通じてテスト信号に与えられるゲインを示す複数のゲイン測定値が、受信され得る(704)。各ゲイン測定は、上記のように100ピコ秒の増分などの所定のレートで実行され得るが、他の実施形態もこの開示の範囲内のものである。複数のゲイン測定値は、結果的なLMEデータセット(Dpeaks)を導出するようにフィルタリング及び正規化され得る(706)。
【0043】
結果的なLMEデータセット(Dpeaks)及びLMEシステムパラメータは、例えば、LMEコントローラ202によって受信され得る(708)。出力ファイル、例えば、Telecordiaフォーマットによる.SORファイルは、結果的なLMEデータセット(Dpeaks)及びLMEシステムパラメータに基づいて生成され得る(710)。出力ファイルは、所定の位置、例えば、ネットワーク位置、USBドライブ、携帯型ハードドライブなどにエクスポートされ得る(712)。
【0044】
本開示の態様により、光通信システムが開示される。光通信システムは、複数のケーブルセグメントを備える光経路と、光経路に結合されたラインモニタリング設備(LME)を有する端局とを備え、LMEは、光経路に沿って少なくとも1つのLMEテスト信号を送信し、複数のケーブルセグメントの各々を通じて少なくとも1つのLMEテスト信号に与えられるゲインを示す複数のゲイン測定値を受信し、受信された複数のゲイン測定値に基づいて結果的なLMEデータセットを導出し、光通信システムに関連した複数のシステムパラメータを受信し、結果的なLMEデータセット及び光通信システムに関連したシステムパラメータの少なくとも一部に基づいて出力ファイルを生成するように構成される。
【0045】
本開示の他の態様により、波長分割多重化(WDM)システムのラインモニタリング設備(LME)を介してラインテストを実行する方法が開示される。方法は、波長分割多重化(WDM)通信システムの光経路に沿って少なくとも1つのLMEテスト信号を送信するステップであって、光経路は複数のケーブルセグメントを備える、ステップと、複数のケーブルセグメントの各々を通じて少なくとも1つのLMEテスト信号に与えられるゲインを示す複数のゲイン測定値を受信するステップと、受信された複数のゲイン測定値に基づいて結果的なLMEデータセットを導出するステップと、WDM通信システムに関連した複数のシステムパラメータを受信するステップと、結果的なLMEデータセット及びWDM通信システムに関連したシステムパラメータの少なくとも一部に基づいて出力ファイルを生成するステップとを備える。
【0046】
ここで説明する方法の実施形態は、プロセッサ及び/又は他のプログラマブルデバイスを用いて実施され得る。その目的で、ここで説明する方法は、1以上のプロセッサによって実行されると方法を実行するそこに記憶された命令を有する有形のコンピュータ可読記憶媒体上で実施され得る。したがって、例えば、送信機及び/又は受信機は、ここで説明する動作を実行するように(例えば、ファームウェア又はソフトウェアにおいて)命令を記憶する記憶媒体(図示せず)を含み得る。記憶媒体は、任意のタイプの非一時的な有形の媒体、例えば、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスク読出し専用メモリ(CD-ROM)、コンパクトディスク書換え可能(CD-RW)及び光磁気ディスクを含む任意のタイプのディスク、読出し専用メモリ(ROM)、ダイナミック及びスタティックランダムアクセスメモリ(RAM)などのRAM、消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EPROM)、電気消去可能プログラマブル読出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリ、磁気若しくは光カードなどの半導体デバイス、又は電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体を含み得る。
【0047】
ここでの任意のブロック図は、開示の原理を具現化する代表的な回路構成の概念図を示す。同様に、任意のフローチャート、フロー図、状態遷移図、疑似コードなどは、コンピュータ可読媒体において実質的に示され、それによりそのようなコンピュータ又はプロセッサが明示されるか否かに関わらず、コンピュータ又はプロセッサによって実行され得る種々の処理を示すことが明らかとなる。ソフトウェアモジュール、又は単にソフトウェアであると示唆されるモジュールは、処理ステップ及び/又はテキスト記述の性能を示すフローチャート要素又は他の要素の任意の組合せとしてここでは示され得る。そのようなモジュールは、明示的又は示唆的に示されるハードウェアによって実行され得る。
【0048】
任意の機能ブロックを含む図面に図示する種々の要素の機能は、専用のハードウェアと、さらに適切なソフトウェアに関連してソフトウェアを実行可能なハードウェアとの使用を通じて提供され得る。機能は、プロセッサ/コントローラによって提供される場合には、単一の専用プロセッサによって、単一の供用プロセッサによって、又はその一部が供用され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。さらに、用語「プロセッサ」又は「コントローラ」の明示的な使用は、ソフトウェアを実行可能なハードウェアのことだけをいうと解釈されるべきではなく、限定することなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)及び不揮発性ストレージを示唆的に含み得る。他のハードウェア、慣習的及び/又は慣行的なものも含まれ得る。
【0049】
ここで用いられる用語「結合される」は、1つのシステム要素によって搬送される信号が「結合される」要素に与えられる任意の接続、結合、リンクなどのことをいう。そのような「結合される」デバイス、又は信号及びデバイスは、相互に必ずしも直接には接続されず、そのような信号を操作又は変更し得る介在構成要素又はデバイスによって分離され得る。ここで任意の実施形態に用いられるように、「回路構成」は、例えば、単体で又は任意に組み合わせて、ハードワイヤード回路構成、プログラマブル回路構成、状態機械回路構成、及び/又はプログラマブル回路構成によって実行される命令を記憶するファームウェアを備え得る。少なくとも1つの実施形態において、送信機及び受信機は、1以上の集積回路を備え得る。「集積回路」は、デジタル、アナログ若しくは混合信号半導体デバイス、及び/又は、例えば、それに限定されずに半導体集積回路チップなどのマイクロ電子デバイスであり得る。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7