(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】電子装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20220614BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G01C21/34
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2019032242
(22)【出願日】2019-02-26
【審査請求日】2021-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良介
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-249539(JP,A)
【文献】特開2010-165103(JP,A)
【文献】特開2016-062240(JP,A)
【文献】特開2006-031421(JP,A)
【文献】特開2006-252533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
23/00-25/00
G09B 23/00-29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション機能を備えた電子装置
と、当該電子装置と通信可能なサーバーと含むシステムであって、
前記電子装置は、
目的地までの経路を探索する探索手段と、
探索された経路を提示する提示手段と、
予め設定された特定施設の駐車場に進入したときの走行軌跡を収集する収集手段と、
前記収集手段によって収集された走行軌跡を前記サーバーに送信する送信手段と、
前記サーバーから特定施設の行列に関する行列情報を取得する取得手段とを有し、
前記収集手段は、特定施設を目的地として設定したときに特定施設の駐車場に進入するタイミングより一定時間前の走行軌跡データを収集し、道路地図データを参照して収集した走行軌跡データから走行リンクリストを生成し、生成した走行リンクリストの中から低速区間のリンクリストを抽出し、前記走行軌跡は、前記走行リンクリストと前記低速区間のリンクリストとを含み、
前記サーバーは、複数の車両から受け取った走行リンクリストを統計処理して特定施設の駐車場に進入するリンクリストを推定し、推定したリンクリストに基づき特定施設の駐車場への案内経路を特定し、当該案内経路を統計処理して低速区間が終端する位置から行列の最後尾の位置を推定し、前記行列情報は、前記案内経路および前記行列の最後尾の位置を含み、
前記探索手段は、前記行列情報に基づき特定施設の行列に合流可能な経路を探索する、
システム。
【請求項2】
前記探索手段は、前記行列情報に基づき行列の最後尾を通過する経路探索する、請求項1に記載の
システム。
【請求項3】
前記探索手段は、前記行列情報に基づき行列の最後尾を経由地に追加して目的地の経路を探索する、請求項1に記載の
システム。
【請求項4】
前記探索手段は、特定施設の行列に合流可能な経路の案内を行う、請求項1に記載の
システム。
【請求項5】
前記探索手段は、目的地で設定された施設が前記特定施設に該当する場合に、前記行列情報を利用して目的地の経路を探索する、請求項1に記載の
システム。
【請求項6】
前記探索手段は、前記行列情報に含まれる行列が発生する日時に該当する場合に、前記行列情報を利用して目的地の経路を探索する、請求項1に記載の
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション機能を有する電子装置に関し、特に、施設等の駐車場の待ち行列への合流案内に関する。
【背景技術】
【0002】
車載用ナビゲーション装置では、百貨店などの大型施設が目的地に設定された場合、その駐車場入り口までの経路の案内を行っている。また、駐車場への入場待ち行列の最後尾への案内を行うため、特許文献1では、目的地である駐車場へ向うる先行車両の車載機からリアルタイムで走行軌跡データを取得し、入場待ち行列の最後尾の位置とその最後尾が位置するリンクを推定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
百貨店等の大型施設では、土日祝日等に来客で混雑し、駐車場の入り口付近に入場のための待ち行列が発生する。施設側は、行列を管理するため駐車場への進入経路を指定することもあり、そうすると、ナビゲーション装置による案内経路では、駐車場の待ち行列に上手く合流することができなかったり、あるいは駐車場に到着することができなくなる可能性がある。
【0005】
図1は、そのような従来の課題を説明する図である。
図1(A)において、施設Aの駐車場入り口10に待ち行列12が発生し、待ち行列12は、施設Aから指定された進入経路に従い交差点14で右側に延び、その最後尾16が行列の合流地点となる。
【0006】
このような状況で、
図1(B)に示すように、自車Mのナビゲーション装置において施設Aを目的地とする経路探索を行うと、施設Aの駐車場10の入り口までの経路20が探索され、これが提示される。
【0007】
自車Mは、経路20に従い施設Aに向かうが、待ち行列12の最後尾16の合流地点の位置が分からず、その結果、待ち行列12に合流することができず、ひいては施設Aの駐車場10にも入ることができない。この場合、ユーザーは、待ち行列12の最後尾16を探すために、周辺をさらに走行しなければならない。
【0008】
一方、特許文献1は、目的地に向かう先行車両の走行軌跡データを利用して待ち行列の最後尾の合流地点を推定するものであるが、その推定には、先行車両のリアルタイムの走行軌跡データが用いられる。つまり、先行車両が存在しないと、行列の最後尾を推定することができないという課題がある。
【0009】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、先行車両からのリアルタイムな走行軌跡データがなくても、駐車場等の待ち行列の最後尾への案内が可能な電子装置およびシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子装置は、ナビゲーション機能を備えたものであって、目的地までの経路を探索する探索手段と、探索された経路を提示する提示手段と、少なくとも過去の特定施設に関する走行軌跡データを収集して生成された特定施設の行列に関する行列情報を取得する取得手段とを有し、前記探索手段は、前記行列情報に基づき特定施設の行列に合流可能な経路を探索する。
【0011】
ある実施態様では、前記探索手段は、前記行列情報に基づき行列の最後尾を通過する経路探索する。ある実施態様では、前記探索手段は、前記行列情報に基づき行列の最後尾を経由地に追加して目的地の経路を探索する。ある実施態様では、前記探索手段は、特定施設の行列に合流可能な経路の案内を行う。ある実施態様では、前記探索手段は、目的地で設定された施設が前記特定施設に該当する場合に、前記行列情報を利用して目的地の経路を探索する。ある実施態様では、前記探索手段は、前記行列情報に含まれる行列が発生する日時に該当する場合に、前記行列情報を利用して目的地の経路を探索する。ある実施態様では、行列情報は、特定施設の行列の最後尾の位置情報を含む。
【0012】
本発明に係るシステムは、上記記載の電子装置と、当該電子装置とネットワークを介して接続されたサーバーとを含むものであって、電子装置は、走行軌跡データを収集する収集手段と、収集された走行軌跡データをサーバーに送信する手段とを有し、前記サーバーは、種々の車両に搭載された電子装置から走行軌跡データを受け取る手段と、受け取った走行軌跡データを解析し、その解析結果に基づき前記行列情報を生成する生成手段と、生成した行列情報を電子装置に送信する手段とを含む。
【0013】
ある実施態様では、前記収集手段は、前記特定施設を目的地とした車両の走行軌跡データを収集する。ある実施態様では、前記収集手段は、前記特定施設の駐車場に進入した車両の走行軌跡データを収集する。ある実施態様では、前記生成手段は、走行軌跡データの基づき特定施設に進入する経路と、進入する経路の低速区間の終端を解析する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少なくとも過去の特定施設に関する走行軌跡データを収集して生成された特定施設の行列情報に基づき特定施設の行列に合流可能な経路を探索するようにしたので、特定施設の行列への合流が容易になり、特定施設に確実に到着することができる。また、特定施設へ向かう先行車両からのリアルタイムな走行軌跡データが無くても、特定施設の行列への案内が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】従来のナビゲーション装置の課題を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例に係る経路案内システムの構成を示す図である。
【
図3】本発明の実施例に係る車載装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施例に係る特定施設行列合流案内プログラムの機能的な構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施例の走行軌跡収集部の動作フローを示す図である。
【
図6】本発明の実施例に係るサーバーの走行軌跡データの解析および特定施設行列合流情報の生成を行うための機能的な構成を示す図である。
【
図7】本実施例の特定施設行列合流情報の生成に用いられる情報を説明する図である。
【
図8】本実施例の特定施設行列合流情報の生成フローを示す図である。
【
図9】本実施例の特定施設行列合流情報の一例を示す図である。
【
図10】本実施例の特定施設行列合流情報の利用例を示す図である。
【
図11】本実施例の特定施設行列合流案内部の動作フローを示す図である。
【
図12】本実施例の特定施設行列への経路探索および案内の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明に係る電子装置は、コンピュータ装置、スマートフォンに代表される高機能型携帯電話端末、ポータブル端末、またはナビゲーション・オーディオ・ビジュアル機能を備えた車載装置であることができる。また、本発明に係る電子装置は、ネットワークを介してサーバーに接続されるクライアントであり、サーバーから提供される情報を利用して目的地までの経路探索や経路案内を行うことができる。
【実施例】
【0017】
図2は、本発明の実施例に係る経路案内システムの構成例を示す図である。同図に示すように、本実施例の経路案内システム100は、種々の車両M~Mnに搭載された車載装置200と、インターネット等のネットワークNWを介して車載装置200に接続されたサーバー300とを含む。車載装置200は、走行軌跡データをサーバー300にアップロードする機能を備え、サーバー300は、種々の車両からアップロードされた多数の走行軌跡データを統計的に処理することで案内に必要な情報を生成し、車載装置200は、サーバー300で生成された情報を受け取り、この情報を利用して経路の探索や案内を行うことができる。
【0018】
図3は、本実施例の車載装置200の内部構成を示すブロック図である。車載装置200は、入力部210、位置検出部220、ナビゲーション部230、通信部240、表示部250、音声出力部260、記憶部270、および制御部280を含んで構成される。但し、ここに示す構成は一例であり、車載装置200は、他の機能、例えば、オーディオ・ビジュアル機能、テレビ・ラジオ放送の受信機能、車載カメラの映像を表示する機能等を包含するものであってもよい。
【0019】
入力部210は、入力キーデバイス、音声入力認識装置、タッチパネルなどを含み、これらのデバイスを介してユーザーからの指示を受け取り、これを制御部280へ提供する。
位置検出部220は、GPS信号および/またはジャイロセンサ等の方位センサ等を利用して自車の現在位置を検出する。ナビゲーション部230は、例えば、位置検出部220によって検出された現在地から目的地までの経路を道路地図データを参照して探索し、探索された経路を表示部250に表示させたり、経路の音声案内を音声出力部260から出力させる。さらに本実施例では、ナビゲーション部230は、後述する特定施設行列合流情報を用いて大型百貨店等の特定施設の行列へ合流するための経路探索および案内を行う。
【0020】
通信部240は、サーバー300やその他の外部装置との間でデータ通信を可能にする。車載装置200は、自車の走行軌跡データをプローブ情報としてサーバー300に送信する機能を備えており、通信部240は、例えば、ネットワークNWを介してサーバー300にアクセスし、自車の走行軌跡データをサーバー300にアップロードする。サーバー300のアップロードされた走行軌跡データは、百貨店等の特定施設の駐車場に入場するときに発生する行列に関する特定施設行列合流情報を生成するために使用され、通信部240は、サーバー300で生成された特定施設行列合流情報を取得する。表示部250は、例えば、ナビゲーション部230によって生成された目的地までの経路等を道路地図上を表示する。音声出力部260は、ナビゲーション部230による案内を音声出力する。
【0021】
記憶部270は、ナビゲーション部230に使用される道路地図データを記憶したり、車載装置200に必要なデータやアプリケーションソフトウエア等を記憶する。また、記憶部270は、自車の走行軌跡データを蓄積したり、サーバー300から取得した特定施設行列合流情報を記憶する。
【0022】
制御部280は、車載装置200の各部の動作を制御する。ある実施態様では、制御部280は、ROM/RAM等を備えたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラを含み、ROMには、各部を制御するためのプログラムが格納される。制御部280は、このプログラムを実行することで各部を制御する。ある実施態様では、ROMには、走行軌跡データを収集し、走行軌跡データに基づき生成された特定施設行列合流情報を利用して特定施設の行列への経路案内を行う特定施設行列案内プログラムが格納される。制御部280は、ナビゲーション部230の経路探索機能を実行するとき、これと連携して特定施設行列案内プログラムを実行する。
【0023】
図4に、特定施設行列合流案内プログラムの機能的な構成を示す。同図に示すように特定施設行列合流経路案内プログラム400は、走行軌跡収集部410、走行軌跡送信部420、特定施設行列合流情報取得部430、特定施設行列合流案内部440を含んで構成される。
【0024】
走行軌跡収集部410は、自車が特定施設に向けて走行したとき、ナビゲーション部230と連携して自車の走行軌跡データを収集する。ナビゲーション部230は、自車の走行中、位置検出部220によって検出された自車位置を道路地図上のリンクにマッピングさせ、これを表示部250に表示させる。この機能を利用して、走行軌跡収集部410は、特定施設の駐車場に進入した自車の走行軌跡データを収集する。走行軌跡データは、自車位置を表す座標点(緯度、経度)の連続であり、これらのデータは、順次、記憶部270に蓄積される。走行軌跡データに走行日時を関連付けるようにしてもよい。特定施設は、大型百貨店等の施設であって、駐車場に入場する際に行列が発生し得る施設であり、収集対象となる特定施設は予め設定される。それ故、走行軌跡収集部410は、ナビゲーション部230において特定施設が目的地に設定されたとき、当該特定施設の経路に従って走行する自車の走行軌跡データが収集され、あるいは自車が特定施設の駐車場に進入するときの走行軌跡データが収集される。特定施設が目的地に設定された場合には、走行軌跡データに特定施設が目的地であることの情報を関連付けするようにしてもよい。
【0025】
図5に、走行軌跡収集部410の動作フローを示す。走行軌跡収集部410は、自車の走行中、特定施設への駐車場進入リンクリストを蓄積する(S100)。駐車場進入リンクリストは、特定施設を目的地として設定したときの走行軌跡データ、特定施設の駐車場に進入したときの走行軌跡データを含む。走行軌跡収集部410は、駐車場に進入するタイミングにより、例えば、過去30分の走行軌跡データを解析対象として抽出する。ここで収集される走行軌跡データは、例えば、位置検出部220によって検出された座標点の連続である。
【0026】
次に、走行軌跡収集部410は、道路地図データを参照して、収集された座標点をリンクにマッチングさせ、走行リンクリストを生成する(S102)。次に、走行軌跡収集部410は、走行リンクリストの中から低速区間のリンクリストを抽出する(S104)。自車が低速で走行している道路には、特定施設の駐車場に行列が生じていることが推定される。位置検出部220は、一定の時間間隔で自車位置を検出するため、自車位置の間隔がより小さければ自車が低速で走行し、間隔がより大きくなれば、自車が高速で走行していることになる。こうして抽出された低速区間のリンクリストが特定施設駐車場進入リンクリストとして蓄積される(S106)。
【0027】
走行軌跡送信部420は、走行軌跡収集部410によって収集された走行軌跡データ(特定施設駐車場進入リンクリストを含む)を通信部240を介してサーバー300に送信する。送信フォーマットは、例えば、自車を識別するID、走行軌跡データを識別するID、および走行軌跡データなどを含む。走行軌跡データを送信するタイミングは任意であるが、例えば、特定施設駐車場進入リンクリストの容量が一定になったとき、あるいは予め決められた日時、あるいは車載装置200が起動されたとき等である。
【0028】
図6に、サーバー300による走行軌跡データの解析および特定施設行列合流情報の生成を行うための機能的な構成を示す。サーバー300は、車載装置200から走行軌跡データを受信する受信部310と、走行軌跡データに含まれる特定施設駐車場進入リンクリストを抽出する特定施設駐車場進入リンクリスト抽出部320と、抽出された特定施設駐車場進入リンクリストを格納する特定施設駐車場進入リンクリスト格納部330と、特定施設駐車場進入リンクリストを用いて特定施設行列合流情報を生成する特定施設行列合流情報生成部340と、生成された特定施設行列合流情報を格納する特定施設行列合流情報格納部350と、格納された特定施設行列合流情報を車載装置200に送信する送信部360とを含む。
【0029】
図7に、特定施設行列合流情報の生成のために利用される情報を示す。上記したように、種々の車両に搭載した車載装置は、特定施設を目的地とした車両のプローブ情報(走行軌跡データ)や、特定施設駐車場に進入した車両のプローブ情報(走行軌跡データ)をサーバー300に提供する(S130、S140)。サーバー300は、これらの情報を自動解析し(S160)、駐車場の入り口に向かうまでの行動(入り口付近からの迂回、一定時間の低速走行など)から合流経路を推測する。この推測結果に基づき特定施設行列合流情報が生成される(S170)。また、サーバー300は、特定施設の公式サイトのアクセス情報等を取得し(S120)、駐車場への合列合流情報を生成することも可能である。例えば、公式サイトには、マップイラスト等に、行列が発生する曜日、座標と方向、進入経路の規制などの情報が含まれていることがある。これらの情報は、手動により解析され(S150)、解析された情報がサーバー300に提供され、特定施設行列合流情報の生成に利用される。
【0030】
図8に、特定施設行列合流情報生成部340による特定施設行列合流情報の生成フローを示す。特定施設行列合流情報生成部340は、特定施設駐車場進入リンクリスト格納部330に格納されたデータを統計処理し、特定施設の駐車場への進入するリンクリストを推定し(S172)、この推定されたリンクリストに基づき特定施設の駐車場への案内経路を特定し、かつ案内経路から施設の駐車場への案内情報を生成する(S174)。この案内情報は、音声案内を含む。次に、特定施設行列合流情報生成部340は、案内経路を統計処理し、低速区間が終端する位置、すなわち行列の最後尾の位置を推定する(S176)。低速区間が終端する位置は、自車位置の変化が一定時間、殆どない地点である。この推定に基づき合流地点末尾の位置を特定し、かつ合流地点への案内情報を生成する(S178)。この案内情報は、音声案内を含む。
【0031】
こうして生成された特定施設合流案内情報の一例を
図9に示す。特定施設行列合流情報は、特定施設を識別するための施設情報、行列が発生する日時を識別するための曜日情報、行列が発生する位置を識別するための行列情報、行列に合流するための案内を含む行列合流案内情報などを含む。施設情報は、例えば、施設の名称や施設の座標を含み、曜日情報は、例えば、特定の期間、曜日、日時などを含む。行列情報は、行列が発生するリンクや行列の最後尾の座標等を含む。行列合流案内情報は、行列に合流するときの案内コード(音声データを含む)や案内文字列を含む。
【0032】
ここで再び
図4の説明に戻る。特定施設行列合流情報取得部430は、サーバー300によって生成された特定施設行列合流情報を通信部240を介して取得する。特定施設行列合流案内部440は、特定施設行列合流情報取得部430によって取得された特定施設行列合流情報に基づき特定施設の行列に合流する経路を探索し、その探索した経路の案内を行う。特定施設行列合流案内部440は、ナビゲーション部230において経路探索が実行されるとき、その経路探索機能の一部として実行される。
図10に示すように、ナビゲーション部230において特定施設が目的地に設定されたとき(S200)、特定施設行列合流情報が特定施設の経路の探索および案内に利用され(S210、S220)、特定施設の待ち行列の合流案内がユーザーに提示される(S230)。
【0033】
図11に、特定施設行列合流案内部の具体的な動作フローを示す。特定施設行列合流案内部440は、ナビゲーション部230において施設が目的地に設定されたとき(S300)、当該施設に一致する施設名称を有する特定施設行列合流情報が存在するか否かを判定する(S310)。もし、施設に該当する特定施設行列合流情報が存在しない場合には、ナビゲーション部230は、通常のルート探索および案内を行う(S330)。
【0034】
一方、目的地に設定された施設と同一名称の施設情報を有する特定施設行列合流情報が存在する場合には(S310)、特定施設行列合流案内部440は、特定施設行列合流情報に含まれる曜日情報を参照し、現在の日時または目的地の経路を探索する日時が行列が発生する曜日に該当するか否かを判定する(S320)。該当しなければ、通常通りのルート探索および案内となる(S330)。行列が発生する曜日に該当する場合には、特定施設行列合流情報を利用して施設の経路探索および案内が行われる(S340)。その結果、特定施設行列合流案内部440は、特定施設行列合流情報(
図8を参照)に含まれる行列情報に基づき、行列最後尾座標を経由地に追加して目的地までの経路探索を実施し(S350)、案内時には、特定施設行列合流情報に含まれる行列合流案内情報に基づき、行列に合流する案内を実施する(S360)。
【0035】
図12に、具体的な行列最後尾への経路探索例と案内例とを示す。
図12(A)に示すように、自車Mの車載装置200のナビゲーション部230において、特定施設行列合流情報に含まれる施設Aが目的地に設定され、施設Aの経路探索が行われる場合、特定施設行列合流案内部440は、特定施設行列合流情報に基づき、行列の最後尾16を経由地Kに自動的に追加する。
【0036】
図12(B)に示すように、ナビゲーション部230は、行列の最後尾である経由地Kを経由する施設Aの駐車場入り口INまでの経路Rを探索し、この経路Rの案内が開始される。自車Mが経路Rに沿って走行し、自車Mが交差点14の近傍に差し掛かると、特定施設行列合流案内部440は、行列最後尾への案内であることを通知する。この案内は、行列最後尾に合流する経路案内を開始することをユーザーに知らせ、行列への合流ができなくなる右折への進行を抑制する。同時に、交差点14を左折するために左折レーンへの誘導案内が行われる。このような行列合流への案内を行うことで、迂回ルートを走行することに対するユーザーの不安を解消する。この案内は、表示部250に案内文字列を表示したり、音声出力部260から音声出力される。なお、特定施設の行列への合流案内は、特定施設の座標と中心とする一定範囲内に自車Mが進入したとき(つまり、特定施設から一定距離内になったとき)に開始したり、あるいは、行列最後尾の地点から一定範囲内の近傍リンクを自車が走行したときに開始することができる。
【0037】
図12(C)に示すように、自車Mは、駐車場の待ち行列の最後尾にスムーズに合流することができる。行列に合流するタイミングで、例えば「まもなく施設A駐車場の行列最後尾です」のような案内が実施される。このような経路探索および案内を行うことで、ユーザーは、施設Aの駐車場行列に合流し、駐車場に到着することができる。
【0038】
このように本実施例によれば、種々の車両からアップロードされるプローブ情報を統計的に処理することで、特定施設に発生する行列およびその最後尾を精度よく推定した特定施設行列合流情報を生成することができる。これにより、先行車両からのリアルタイムな走行軌跡データがなくても、行列の最後尾への合流を容易に行うことができる。また、推定された特定施設行列合流情報を種々の車両に配信することで、各車両のユーザーは、特定施設の行列への合流が容易になり、駐車場への到着に要する時間も短縮することができる。
【0039】
なお、上記実施例では、サーバー300が特定施設行列合流情報を生成する例を示したが、これに限らず、車載装置200が、収集した走行軌跡データに基づき特定施設行列合流情報を生成するようにしてもよい。この場合、車載装置200は、サーバー300との連携を要しない。また、車載装置200は、記憶部270に予め特定施設行列合流情報を格納するようにしてもよい。さらに他の態様では、車載装置200は、通信部240を介して他の外部機器から特定施設行列行流情報を取得するようにしてもよい。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0041】
10:駐車場の入り口 12:経路
14:交差点 16:行列最後尾
100:経路案内システム 200:車載装置
300:サーバー 400:特定施設行列合流案内プログラム