(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】位置指示器及び位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20220614BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/03 400A
G06F3/044 B
(21)【出願番号】P 2021109806
(22)【出願日】2021-07-01
(62)【分割の表示】P 2017111236の分割
【原出願日】2017-06-06
【審査請求日】2021-07-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】山本 定雄
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-153954(JP,A)
【文献】特開2015-222518(JP,A)
【文献】特開2016-126503(JP,A)
【文献】特開2016-184444(JP,A)
【文献】特開平07-334291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
G06F 3/041-3/047
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペン形状を有し、センサとの間で静電的にインタラクションを生じさせる位置指示器であって、
ペン形状の筐体と、
前記筐体の軸心方向の一端側の開口から先端部が突出するように配置された導電性を有する芯体と、
前記導電性を有する芯体を取り囲むように配置された導体と、
前記センサとの間で前記静電的にインタラクションを生じさせるための信号を生成して、前記生成した信号を前記芯体に供給する信号発信回路と、
前記芯体の先端部から前記センサに対して信号が送出される状態で、前記導体を交流的に接地した状態にする第1の制御と、前記導体を電気的に孤立させる状態にする第2の制御とを少なくとも行うことで、前記センサとの間で異なる静電的インタラクションを生じさせるようにするための制御回路と、
を備え、
前記第1の制御がなされているときに、位置検出用信号または付加情報を送信する
ことを特徴とする位置指示器。
【請求項2】
前記制御回路は、前記芯体を取り囲む導体に前記信号発信回路によって生成された信号を供給する状態にする第3の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項3】
前記センサに対して、前記センサとの間の静電的インタラクションによって、少なくとも前記第2の制御を行うタイミングを通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項4】
前記制御回路は、前記センサとの間の静電的インタラクションによって前記センサから送信されてくる信号に基づいて、前記第1の制御と前記第2の制御とを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項5】
前記制御回路は、前記センサから無線送信された制御信号に対応して、前記第1の制御と前記第2の制御とを行う
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項6】
無線信号受信回路をさらに備えており、前記センサから無線送信された無線信号が前記無線信号受信回路で受信されて前記制御信号が取得される
ことを特徴とする請求項5に記載の位置指示器。
【請求項7】
前記制御回路は、前記第1の制御がなされた期間と前記第2の制御がなされた期間とが1対となるように制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項8】
前記制御回路は、前記第1の制御を第1の時間周期で行い、前記第2の制御を第2の時間周期で行う
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項9】
前記芯体に印加される圧力を検知する圧力センサをさらに備えており、
前記制御回路は、前記圧力センサからの出力に基づいて、前記芯体が前記センサに当接したことが検知された状態で、前記第1の制御と前記第2の制御とを実行する
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項10】
前記芯体に印加される圧力を検知する圧力センサをさらに備えており、
前記制御回路は、前記圧力センサからの出力に基づいて、前記芯体が前記センサから離間したことが検知されたことに基づいて、前記芯体を取り囲む導体に前記信号発信回路によって生成された信号を供給する状態にする第3の制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項11】
前記芯体と取り囲む導体は、複数の分割導体が前記芯体を取り囲むように配置されて構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項12】
前記制御回路は、前記複数の分割導体のそれぞれを所定のシーケンスで順次に、前記電気的に孤立させる状態にする第2の制御を行う
ことを特徴とする請求項11に記載の位置指示器。
【請求項13】
充電素子を有する電源回路をさらに備えるとともに、前記芯体を取り囲む導体はコイル形状を有しており、前記芯体を取り囲む導体を介して受信された電磁誘導起電力によって前記電源回路が有する前記充電素子を充電するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項14】
前記充電素子は、再充電可能な二次電池、またはコンデンサである
ことを特徴とする請求項13に記載の位置指示器。
【請求項15】
充電素子を有する電源回路をさらに備えるとともに、前記芯体を取り囲む導体はコイル形状を有しており、前記芯体を取り囲む導体を介して受信された電磁誘導起電力による前記電源回路が有する前記充電素子の充電と、前記芯体のペン先から前記センサに対して信号が送出される状態で前記芯体を取り囲む導体を交流的に接地した状態にする第1の制御とが選択されるように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の位置指示器。
【請求項16】
ペン形状を有する位置指示器と、位置指示器と静電的にインタラクションを生じさせるセンサとを備える位置検出装置であって、
前記位置指示器は、
ペン形状の筐体と、
前記筐体の軸心方向の一端側の開口から先端部が突出するように配置された導電性を有する芯体と、
前記導電性を有する芯体を取り囲むように配置された導体と、
前記センサとの間で前記静電的にインタラクションを生じさせるための信号を生成して、前記生成した信号を前記芯体に供給する信号発信回路と、
前記芯体の先端部から前記センサに対して信号が送出される状態で、前記導体を交流的に接地した状態にする第1の制御と、前記導体を電気的に孤立させる状態にする第2の制御とを少なくとも行うことで、前記センサとの間で異なる静電的インタラクションを生じさせるようにするための制御回路と、
を備え、前記第1の制御がなされているときに、位置検出用信号または付加情報を送信し、
前記第1の制御の状態の前記位置指示器との静電的なインタラクションにより前記センサで検出される信号出力と、前記第2の制御の状態の前記位置指示器との静電的なインタラクションにより前記センサで検出される信号出力とから、前記位置指示器の前記センサに対する傾斜角を検出する
ことを特徴とする位置検出装置。
【請求項17】
前記位置指示器の前記芯体を取り囲む導体は、複数の分割導体が前記芯体を取り囲むように配置されて構成されており、
前記位置指示器の前記制御回路が、前記複数の分割導体のそれぞれを所定のシーケンスで順次に、前記交流的に接地する状態とは異なる状態にする第2の制御を行い、
前記第2の制御により前記複数の分割導体のそれぞれが所定のシーケンスで順次に、前記電気的に孤立させる状態とされる前記位置指示器との静電的なインタラクションにより得られる信号から、前記位置指示器の回転を検出する
ことを特徴とする請求項16に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、位置検出装置及び位置検出装置と共に使用される静電容量方式の位置指示器に関し、特に入力面に対する傾き角を検出するための発明に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の位置指示器においては、位置検出装置のセンサの入力面(センサ面)に対するペンの傾き角(芯体の軸心方向の傾き角)を検出することができるものがある。この検出された傾き角は、位置指示器のペン先の位置に応じた表示画面上におけるカーソル位置を、位置指示器の傾き角に関係なく、ペン先位置となるように補正するために用いられると共に、傾き角に応じたアプリケーションを動作させるようにするために用いられる。
【0003】
静電容量方式の位置指示器の傾き角の検出方法としては、従来は、芯体(信号電極)からのセンサに送出される信号と、センサ面に対して芯体の先端位置よりも軸心方向に離れた位置に設けられた別の信号電極から送出される信号との2つの信号を、センサ側で検出することで検出する方法が提案されている(例えば特許文献1(特開2016‐153954号公報)等参照)。
【0004】
図16は、特許文献1に開示されている傾き角の検出方法を説明するための図である。この特許文献1の位置指示器においては、位置検出用信号を送出する芯体101と、この芯体101とは別に、この例では、芯体101の周囲を取り囲むように配置されている筒状電極102が設けられている。
図16では、筒状電極102は、断面図として示している。芯体101は、この筒状電極102の中空部を貫通し、かつ、ペン先側が筒状電極102よりもセンサ面103側に突出する状態とされている。
【0005】
図16(A)は、位置指示器の芯体101の軸心方向がセンサ面103に対して垂直の状態を示しており、このときには、センサ面103において芯体101からの信号を所定の信号レベル以上で検出する領域は、
図16(B)に示す円形領域111となり、また、電極102からの信号を所定のレベル以上で検出する領域は、
図16(B)に示すドーナツ状領域112となる。
【0006】
したがって、センサにおける位置指示器からの信号の受信レベルは、例えばセンサ面の横軸(X軸)方向に見たときには、
図16(C)に示すようなものとなり、芯体101からの受信信号のレベルが最大となり、その両側に、筒状電極102からの受信信号のレベルが検出されるものとなる。このとき、芯体101からの受信信号のレベルのピーク値が得られるX座標値X2と、筒状電極102からの受信信号のレベルのピーク値が得られる位置X1との距離と、位置X3との距離とは、同一の所定のものとなる。Y座標についても同様となる。
【0007】
また、
図16(D)は、位置指示器の芯体101の軸心方向がセンサ面に対して所定の傾き角で傾斜している状態を示しており、このときには、センサ面103において芯体101からの信号を所定の信号レベル以上で検出する領域は、
図16(E)に示す楕円形領域113となり、また、電極102からの信号を所定の信号レベル以上で検出する領域は、
図16(E)に示す変形したドーナツ状領域114となる。このとき、芯体101からの受信信号のレベルのピーク値が得られるX座標値X5と、筒状電極102からの受信信号のレベルのピーク値が得られるX座標位置X4との距離と、X座標位置X6との距離との関係は、
図19(F)に示すように、芯体101の傾斜に応じたものとなる。また、Y座標も、傾いた方向及び傾き角に応じたものとなる。
【0008】
したがって、位置検出装置では、これらのX座標及びY座標から、芯体101の傾き角を検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した従来の芯体の傾き角の検出方法は、2つの電極から信号をセンサに対して送出する必要があるために、信号を2つの電極に供給するための構成が複雑になるという問題があった。また、送信信号を大きくする場合、2つの電極を同時に駆動することが考えられるが、二つの回路を駆動することになり消費電力が増えるという問題もあった。
【0011】
この発明は、以上の問題点を解決することができるようにした位置指示器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、この発明の実施形態によれば、
ペン形状を有し、センサとの間で静電的にインタラクションを生じさせる位置指示器であって、
ペン形状の筐体と、
前記筐体の軸心方向の一端側の開口から先端部が突出するように配置された導電性を有する芯体と、
前記導電性を有する芯体を取り囲むように配置された導体と、
前記センサとの間で前記静電的にインタラクションを生じさせるための信号を生成して、前記生成した信号を前記芯体に供給する信号発信回路と、
前記芯体の先端部から前記センサに対して信号が送出される状態で、前記導体を交流的に接地した状態にする第1の制御と、前記導体を電気的に孤立させる状態にする第2の制御とを少なくとも行うことで、前記センサとの間で異なる静電的インタラクションを生じさせるようにするための制御回路と、
を備え、
前記第1の制御がなされているときに、位置検出用信号または付加情報を送信する
ことを特徴とする位置指示器を提供する。
【0013】
上述の構成の位置指示器においては、芯体を取り囲む導体を交流的に接地した状態にする第1の制御がなされているときに、位置検出用信号または付加情報が送信されるので、位置指示器の筐体を手で持っても、芯体から送出される位置検出用信号または付加情報に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】この発明による位置指示器の第1の実施形態の構成例を説明するための図である。
【
図2】この発明による位置指示器の第1の実施形態の要部の構成例を説明するための図である。
【
図3】この発明による位置指示器の第1の実施形態の信号送信制御回路の回路構成例を示す図である。
【
図4】この発明による位置指示器の第1の実施形態における傾き角の検出方法を説明するための図である。
【
図5】この発明による位置指示器の第1の実施形態と共に使用する位置検出装置の構成例を示す図である。
【
図6】この発明による位置指示器の第1の実施形態における信号送信制御方法の第1の例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図7】この発明による位置指示器の第1の実施形態における信号送信制御方法の第2の例を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】この発明による位置指示器の第2の実施形態の要部の構成例を説明するための図である。
【
図9】この発明による位置指示器の第2の実施形態の信号送信制御回路の構成例を示す図である。
【
図10】この発明による位置指示器の第2の実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図11】この発明による位置指示器の第2の実施形態の変形例を説明するための図である。
【
図12】この発明による位置指示器の第3の実施形態の要部の構成例を説明するための図である。
【
図13】この発明による位置指示器の第3の実施形態の信号送信制御回路の構成例を示す図である。
【
図14】この発明による位置指示器の第3の実施形態の要部の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図15】この発明による位置指示器の第3の実施形態の要部の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図16】従来の位置指示器の傾き角の検出方向を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明による位置指示器の実施形態を、図を参照しながら説明する。
【0016】
[第1の実施形態]
図1は、この発明の第1の実施形態の位置指示器1の構成例を説明するための図であり、主としてペン先側の一部縦断面図である。この実施形態では、位置指示器1は外観がペン形状を有するものとして形成されている。
【0017】
[第1の実施形態の位置指示器の構造的構成例の説明]
この実施形態の位置指示器1は、ペン形状の筐体2を備える。この筐体2は、絶縁材料例えば合成樹脂からなる中空の円筒状形状の絶縁体部21により構成されている。そして、この実施形態では、筐体2の絶縁体部21の外表周面の少なくとも操作者が当該位置指示器1を把持する部分は、例えば金属からなる導電体部22で覆われている。
【0018】
筐体2内には、プリント配線基板3と、電源回路としてのバッテリー4と、筆圧検出ユニット5とが配設されている。筐体2の外表周面を覆う導電体部22は、図示は省略するが、このプリント配線基板3のアース導体に電気的に接続されている。なお、バッテリー4は、乾電池、充電可能な蓄電池、あるいは後述する電気二重層キャパシタなどのキャパシタを含む電源回路であっても良い。
【0019】
プリント配線基板3上には、
図1に示すように、信号送信制御回路30と、図示を省略したその他の電子部品及び配線パターンなどが配置されている。信号送信制御回路30は、位置検出用信号及び付加情報を生成し、生成した位置検出用信号及び付加情報を、位置指示器1から送出するようにする。
【0020】
バッテリー4は、プリント配線基板3上に構成されている電子回路及び電子部品への電源の供給源である。
図1において、端子42は、プリント配線基板3上の電源回路部に電気的に接続されている端子である。バッテリー4の正極側電極41は、この端子42に接触して電気的に接続されている。図示は省略するが、バッテリー4の負極側電極は、プリント配線基板3のアース導体に直接に接続され、あるいは筐体2の導電体部22を経由してプリント配線基板3のアース導体に接続されている弾性変位する端子に押圧接触するようにされている。
【0021】
筆圧検出ユニット5は、後述するように、この実施形態では、芯体6に印加される筆圧に応じた静電容量を呈する可変容量キャパシタの構成とされている。この筆圧検出ユニット5で構成される可変容量キャパシタの両端の電極は、
図1では、導電パターン31cにより、信号送信制御回路30に接続されている。
【0022】
芯体6は、筐体2の外部に突出するペン先側とは反対側の端部が、筐体2の中空部内に配設されている筆圧検出ユニット5に嵌合されることで、位置指示器1の筐体2の中空部内に係止される。なお、芯体6は、引き抜くことで、筆圧検出ユニット5との嵌合が外れるように構成されている。すなわち、芯体は、位置指示器1に対して交換可能である。
【0023】
芯体6は、導体、例えば金属や導体粉が混合された硬質の樹脂で構成されており、導電パターン31aを通じて信号送信制御回路30と電気的に接続されている。そして、信号送信制御回路30で生成された位置検出用信号及び付加情報が、この導体からなる芯体6を通じて、位置検出装置のセンサに対して送出されるように構成されている。
【0024】
そして、この実施形態では、芯体6のペン先側と筆圧検出ユニット5との嵌合側を除く中間部が筒状のシールド用部材7により覆われるようにされている。シールド用部材7は、導体により構成されており、当該シールド用部材7の導体が導電パターン31bを通じて信号送信制御回路30と電気的に接続されている。そして、このシールド用部材7の導体は、後述するように、信号送信制御回路30による制御により、交流的に接地する状態と、電位的に浮いた状態との2つの状態に切り替え制御されるようにされている。
【0025】
シールド用部材7の導体が交流的に接地された状態では、芯体6を覆っている部分が芯体6を静電シールドして、芯体6の当該覆っている部分からの信号の送出を抑止(遮蔽)するように働く。したがって、シールド用部材7の導体が、交流的に接地されている状態では、主として芯体6のペン先側からのみ、信号がセンサに対して送出される。一方、シールド用部材7の導体が、電位的に浮いた状態とされたときには、あるいは芯体6と電気的に接続されたときには、シールド用部材7による静電シールドは解除されて、芯体6の全体からセンサに対して信号が送出されるようになる。
【0026】
図2は、芯体6、シールド用部材7及び筆圧検出ユニット5の部分の詳細な構成例を示す図である。
図2は、芯体6、シールド用部材7及び筆圧検出ユニット5の部分の断面図を示すものである。
【0027】
芯体6は、
図2に示すように、直径が例えば1.9mmに形成された導電性材料、例えば金属からなる芯体本体部61を備え、この実施形態では、芯体本体部61のペン先側の約半分が絶縁性材料からなる保護部材62により覆われている。保護部材62は、位置検出装置のセンサ入力面を傷付けないようにすると共にセンサ入力面との接触面積を大きくする役割と、シールド用部材7の筒状導体71に対する絶縁をより強固にする役割を有する。
【0028】
図2に示すように、シールド用部材7は、この実施形態では、導電性材料で構成されている筒状導体71が、その外壁面及び内壁面を含むほぼ全表面を絶縁層72で覆われた構成とされている。
【0029】
筆圧検出ユニット5は、芯体6に印加される筆圧を、圧力伝達部材8を通じて受けて、静電容量が可変する可変容量キャパシタの構成とされている。この例の筆圧検出ユニット5は、例えば特許文献:特開2011-186803号公報に記載されている周知の構成の筆圧検出手段を使用したもので、芯体6に印加される筆圧に応じて静電容量が変化する可変容量キャパシタを構成する。
【0030】
この例の筆圧検出ユニット5は、
図2に示すように、絶縁性材料、例えば樹脂からなるハウジング部材51内に、誘電体52と、導電部材53と、弾性部材54と、スライド部材55と、端子部材56との複数個の部品が収納されて構成されている。端子部材56は、筆圧検出ユニット5で構成される可変容量キャパシタの第1の電極を構成する。また、導電部材53と弾性部材54とは電気的に接続されて、可変容量キャパシタの第2の電極を構成する。
【0031】
スライド部材55は、ハウジング部材51の中空部内に、軸心方向に移動可能に収納されている。ただし、スライド部材55は、弾性部材54により、常にペン先側に弾性的に付勢されている。
【0032】
そして、このスライド部材55の嵌合凹部55aに、圧力伝達部材8が嵌合される。圧力伝達部材8は、芯体6の芯体本体部61の端部61aが嵌合される芯体嵌合部81と、筆圧検出ユニット5のスライド部材55に嵌合する突出部82とを有する。
【0033】
また、ハウジング部材51のペン先側の端部には、シールド用部材7を嵌合させる嵌合凹部51aが形成されており、シールド用部材7は、そのペン先側とは反対側の端部が、このハウジング部材51の嵌合凹部51aに嵌合されてハウジング部材51に保持されている。芯体6は、
図2に示すように、シールド用部材7の筒状導体71の中空部内を挿通するようにされて、芯体本体部61の端部61aが、圧力伝達部材8の芯体嵌合部81に嵌合される。
【0034】
圧力伝達部材8の芯体嵌合部81には、芯体6の芯体本体部61のペン先側とは反対側の端部61aが挿入される凹部81aが設けられている。この圧力伝達部材8の凹部81a内には、
図2に示すように、芯体6の芯体本体部61の端部61aと、プリント配線基板3の信号送信制御回路30との電気的な接続を行うための端子片83が配設されている。端子片83は、芯体6の芯体本体部61の端部61aを弾性的に挟持するように構成されている。
【0035】
芯体6の芯体本体部61は、その端部61aが、圧力伝達部材8の芯体嵌合部81の凹部81a内の端子片83に挿入(圧入)されることで、圧力伝達部材8と結合され、芯体6に印加される筆圧が圧力伝達部材8を介して後述する筆圧検出ユニット5に伝達されるように構成されている。ただし、芯体6を所定の力で引っ張ることで、当該芯体6は、圧力伝達部材8との結合が解除されて引き抜くことが可能とされている。つまり、芯体6は交換可能とされている。
【0036】
そして、圧力伝達部材8の凹部81a内の端子片83からは、延長部83aが延出されており、この延長部83aは、プリント配線基板3の信号送信制御回路30と接続されている導体パターンに接続されるリード電極84に接続されている。これにより、プリント配線基板3の信号送信制御回路30からの信号が、芯体6の芯体本体部61に供給されるように構成されている。
【0037】
また、
図2に示すように、シールド用部材7の絶縁層72の一部が剥離されて、筒状導体71の面が露出している端子部73と、プリント配線基板3上の信号送信制御回路30とが、例えば金線74(及び導電パターン31c)を通じて電気的に接続されている。これにより、シールド用部材7は、信号送信制御回路30における制御を受けるように構成されている。
【0038】
図2の構成において、芯体6に筆圧が印加されると、当該筆圧は圧力伝達部材8を介して筆圧検出ユニット5のスライド部材55に伝達され、スライド部材55は、印加された筆圧に応じて、弾性部材54の弾性力に抗して導電部材53を誘電体52側に移動させる。すると、導電部材53と誘電体52との接触面積が印加された筆圧に応じて変化し、第1の電極と第2の電極との間に形成される可変容量キャパシタの静電容量が、印加された筆圧に応じて可変される。
【0039】
[第1の実施形態の位置指示器1の信号送信制御回路30の構成例の説明]
図3は、この実施形態の位置指示器1の信号送信制御回路30の回路構成図である。すなわち、信号送信制御回路30は、この例では、コントローラ301と、発振回路302と、スイッチ回路303とを備える。
【0040】
コントローラ301は、例えばマイクロプロセッサで構成されており、位置指示器1の信号送信制御回路30の後述のような処理動作を制御する制御回路を構成するもので、駆動電源の例としてのバッテリー4からの電源電圧VDDが供給されている。コントローラ301は、発振回路302を制御すると共に、スイッチ回路303を切替制御する。バッテリー4からの電源電圧VDDは、電源スイッチPswを介して、信号送信制御回路30、及びその他の回路の電源電圧とされる。電源スイッチPswは、
図1では図示を省略するが、筐体2の側面に設けられる操作子が押下操作されることでオン、オフされる。
【0041】
コントローラ301には、また、筆圧検出ユニット5で構成される可変容量キャパシタ5Cが接続されており、この可変容量キャパシタ5Cの容量を監視することで、位置指示器1の芯体6に印加される筆圧を検出する。すなわち、この実施形態では、可変容量キャパシタ5Cに対して放電用抵抗器Rdが接続されており、コントローラ301は、可変容量キャパシタ5Cが満充電の状態から、所定の両端電圧になるまでの放電時間を計測することで、可変容量キャパシタ5Cの静電容量を検出し、その検出した静電容量から筆圧を検出する。
【0042】
発振回路302は、例えば周波数f1=1.8MHzの交流信号を発生するもので、バッテリー4からの電源電圧VDDが、電源スイッチPswを介して供給されている。この発振回路302からの交流信号の所定時間の連続波、すなわち、バースト信号は、センサに対して送出される位置検出用信号となる。
【0043】
コントローラ301は、この発振回路302のイネーブル端子ENに制御信号(イネーブル信号CT)を供給して当該発振回路302をオン、オフ制御することで、発振回路302から前記バースト信号及びASK(Amplitude Shift Keying)変調信号を発生させる。発振回路302は、コントローラ301からのイネーブル信号CTに応じて、発生する交流信号を断続させ、これにより、発振回路302は、バースト信号及びASK変調信号を発生することができる。この実施形態では、コントローラ301は、前述のようにして検出した筆圧の値をデジタル信号に変換し、そのデジタル信号に応じて発振回路302を制御することで、筆圧値の情報をASK変調信号として、発振回路302から出力させるようにする。
【0044】
発振回路302の出力端は、この実施形態では、芯体6の導電性の芯体本体部61に接続されており、発振回路302からの交流信号は、芯体6の導電性の芯体本体部61を通じて位置検出装置のセンサに対して送出される。
【0045】
スイッチ回路303は、コントローラ301からの切替制御信号SWより切替制御される。このスイッチ回路303の可動端子aは、シールド用部材7の筒状導体71に接続されている。そして、このスイッチ回路303の一方の固定端子bは遊端とされ、他方の固定端子cは接地されている。スイッチ回路303の他方の固定端子cは、交流的に接地されていればよいので、バッテリー4の電源電圧VDDが得られる端子に接続されるように構成されてもよい。
【0046】
スイッチ回路303の可動端子aが、コントローラ301からの切替制御信号SWより、固定端子c側に切り替えられているときには、シールド用部材7の筒状導体71は接地される状態になるので、芯体6の芯体本体部61は、ペン先側及び筆圧検出ユニット5との嵌合側を除いて、シールド用部材7の筒状導体71により静電シールドされている状態となり、位置指示器1からの信号は、主として芯体6の芯体本体部61のペン先側から送出される。
【0047】
また、スイッチ回路303の可動端子aが、コントローラ301からの切替制御信号SWより、固定端子b側に切り替えられているときには、シールド用部材7の筒状導体71は、電位的に浮いた状態になるので、芯体6の芯体本体部61は静電シールドされず、位置指示器1からは、芯体6の芯体本体部61のほぼ全体から信号が送出される状態となる。
【0048】
この実施形態では、上記のように、スイッチ回路303を、上記の2つの状態に切り替えることで、位置指示器1からの信号の送出状態が変化し、しかも、位置検出装置側のセンサ面上では、当該2つの状態における位置指示器1からの信号の受信状態が、位置指示器1の傾き角に応じて変化することを利用して、位置指示器1のセンサ面に対する傾き角を検出するようにする。
【0049】
例えば位置指示器1の芯体6の軸心方向が、
図4(A)に示すように、位置検出装置のセンサ面200に対して垂直(90度)の状態のときには、スイッチ回路303の可動端子aが固定端子cに接続されて、芯体6が静電シールドされている状態では、芯体6の芯体本体部61のほぼ先端部のみから信号が送出されるので、位置検出装置のセンサでは、
図4(B)の曲線LAで示すように、芯体6の先端位置P0でピーク値を呈する、比較的急峻な信号レベルの受信信号が得られる。
【0050】
また、位置指示器1の芯体6の軸心方向が、
図4(A)に示すように、位置検出装置のセンサ面200に対して垂直(90度)の状態において、スイッチ回路303の可動端子aが固定端子bに接続されて、静電シールドが解除されている状態では、芯体6の芯体本体部61のほぼ全体から信号が送出されるので、位置検出装置のセンサでは、
図4(B)の曲線LBで示すように、スイッチ回路303の可動端子aが固定端子cに接続される状態と同様に芯体6の先端位置P0でピーク値を呈するが、比較的ブロードな強度分布を有する信号レベルの受信信号が得られる。
【0051】
一方、位置指示器1の芯体6の軸心方向が、位置検出装置のセンサ面200に対して、例えば
図4(C)に示すように傾き角θで傾いている状態のときには、スイッチ回路303の可動端子aが固定端子cに接続されて、芯体6が静電シールドされている状態では、芯体6の芯体本体部61のほぼ先端部のみから送出される信号により、位置検出装置のセンサでは、
図4(D)の曲線LCで示すように、芯体6の先端位置より若干ずれた位置P1でピーク値を呈する、比較的急峻な信号レベルの受信信号が得られる。
【0052】
また、位置指示器1の芯体6の軸心方向が、
図4(C)に示すように、位置検出装置のセンサ面200に対して傾き角θで傾いている状態において、スイッチ回路303の可動端子aが固定端子bに接続されて、静電シールドが解除されている状態では、芯体6の芯体本体部61のほぼ全体から信号が送出されるので、位置検出装置のセンサでは、
図4(D)の曲線LDで示すように、スイッチ回路303の可動端子aが固定端子cに接続される状態では傾き角θの大きさに応じて異なる位置P2でピーク値を呈する、比較的ブロードな強度分布を有する信号レベルの受信信号が得られる。
【0053】
なお、
図3に示すように、スイッチ回路303は、芯体6がシールド用部材7の筒状導体71によって静電シールドされている状態及び芯体6が静電シールドされていない状態を生成するために設けられるものである。従って、
図3に点線で示すように、発振回路302の出力端をスイッチ回路303の固定端子bに接続する構成であっても良い。
【0054】
以上のことから、位置検出装置では、位置指示器1において芯体6がシールド用部材7により静電シールドされている状態と、芯体6がシールド用部材7による静電シールドが解除されている状態との2つの状態のそれぞれにおける受信信号を検出し、それぞれの受信信号のレベルのピーク値を呈する位置を検出することで、センサ面200に対する位置指示器1の芯体6の軸心方向の傾き角を検出することができる。
【0055】
すなわち、上述したように、前記の2つの状態のそれぞれにおける受信信号のピーク値を呈する位置が一致している状態では、位置検出装置は、センサ面200に対する位置指示器1の芯体6の軸心方向の傾き角は90度であると検出することができる。そして、前記の2つの状態のそれぞれにおける受信信号のピーク値を呈する位置が不一致であるときには、それら2つのピーク値を呈する位置間の距離から、センサ面200に対する位置指示器1の芯体6の軸心方向の傾き角を検出することができる。
【0056】
また、上述の第1の実施形態の位置指示器1によれば、シールド用部材7により芯体6が静電シールドされている状態で、位置検出用信号や付加情報等の信号を、センサに対して送出すれば、位置指示器1の筐体2を手で持っても芯体6が送出する信号に影響を与えることがない。
【0057】
[位置検出装置の構成例の説明]
この実施形態の位置検出装置201は、
図5に示すように、当該位置検出装置201を構成するセンサ202と、このセンサ202に接続されるペン指示検出回路203とで構成されている。
【0058】
センサ202は、この例では、断面図は省略するが、下層側から順に、第1の導体群211、絶縁層(図示は省略)、第2の導体群212を積層して形成されたものである。第1の導体群211は、例えば、横方向(X軸方向)に延在した複数の第1の導体211Y1、211Y2、…、211Ym(mは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、Y軸方向に配置したものである。
【0059】
また、第2の導体群212は、第1の導体211Y1、211Y2、…、211Ymの延在方向に対して交差する方向、この例では直交する縦方向(Y軸方向)に延在した複数の第2の導体212X1、212X2、…、212Xn(nは1以上の整数)を互いに所定間隔離して並列に、X軸方向に配置したものである。
【0060】
このように、位置検出装置201のセンサ202では、第1の導体群211と第2の導体群212を交差させて形成したセンサパターンを用いて、位置指示器1が指示する位置を検出する構成を備えている。
【0061】
なお、以下の説明において、第1の導体211Y1、211Y2、…、211Ymについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第1の導体211Yと称する。同様に、第2の導体212X1、212X2、…、212Xnについて、それぞれの導体を区別する必要がないときには、その導体を、第2の導体212Xと称することとする。
【0062】
この実施形態の位置検出装置201においては、センサ202は、例えばタブレット型情報端末などの電子機器の表示画面の大きさに対応した大きさのセンサ面(指示入力面)200を備えており、光透過性を有する、第1の導体群211と第2の導体群212とによって形成されている。
【0063】
なお、第1の導体群211と第2の導体群212は、センサ基板の同一面側にそれぞれが配置される構成であってもよいし、センサ基板の一面側に第1の導体群211を配置し、他面側に第2の導体群212を配置する構成でもよい。
【0064】
ペン指示検出回路203は、センサ202との入出力インターフェースとされる選択回路221と、増幅回路222と、バンドパスフィルタ223と、検波回路224と、サンプルホールド回路225と、AD(Analog to Digital)変換回路226と、制御回路220とからなる。
【0065】
選択回路221は、制御回路220からの制御信号に基づいて、第1の導体群211および第2の導体群212の中からそれぞれ1本の導体を選択する。選択回路221により選択された導体は増幅回路222に接続され、位置指示器1からの信号が、選択された導体により検出されて増幅回路222により増幅される。この増幅回路222の出力はバンドパスフィルタ223に供給されて、位置指示器1から送信される信号の周波数の成分のみが抽出される。
【0066】
バンドパスフィルタ223の出力信号は検波回路224によって検波される。この検波回路224の出力信号はサンプルホールド回路225に供給されて、制御回路220からのサンプリング信号により、所定のタイミングでサンプルホールドされた後、AD変換回路226によってデジタル値に変換される。AD変換回路226からのデジタルデータは制御回路220によって読み取られ、処理される。
【0067】
制御回路220は、内部のROMに格納されたプログラムによって、サンプルホールド回路225、AD変換回路226、および選択回路221に、それぞれ制御信号を送出するように動作する。また、制御回路220は、AD変換回路226からのデジタルデータから、位置指示器1によって指示されたセンサ202上の位置座標を算出し、その位置座標のデータを、例えばタブレット型情報端末などの電子機器内の他の処理プロセッサ等に出力する。
【0068】
また、位置検出装置201の制御回路220は、位置指示器1からの信号として、上述したように、芯体6の芯体本体部61が静電シールドされている状態のときの信号と、芯体6の芯体本体部61の静電シールドが解除されている状態のときの信号を検出する。そして、それら検出した2つの状態のそれぞれにおける受信信号のピーク値を呈する位置間の距離に基づく情報を検出し、その検出した距離の情報に基づいて、センサ面200に対する位置指示器1の芯体6の傾き角を算出するようにする。
【0069】
この場合に、位置検出装置201の制御回路220は、前記の2つの状態のそれぞれにおける受信信号のピーク値を呈する位置間の距離のデータと、センサ面200に対する位置指示器1の芯体6の軸心方向の傾き角のデータとの対応テーブルを備えており、前記の2つの状態のそれぞれにおける受信信号のピーク値を呈する位置間の距離の情報を検出して、前記対応テーブルを参照することでセンサ面200に対する位置指示器1の芯体6の軸心方向の傾き角の情報を検出するようにしている。
【0070】
なお、位置検出装置201の制御回路220は、上述のような対応テーブルを備えずに、検出した2つの状態のそれぞれにおける受信信号のピーク値を呈する位置間の距離の情報から、計算により位置指示器1の芯体6の傾斜角の情報を算出するようにしてもよいことは言うまでもない。
【0071】
[芯体6の軸心方向の傾き角の検出のための位置指示器1の信号送信制御]
位置検出装置201では、
図3及び
図4を用いて説明したようにして、センサ面に対する位置指示器1の芯体6の軸心方向の傾き角を検出することができるようにするためには、位置指示器1からの受信信号が、位置指示器1において芯体6がシールド用部材7により静電シールドされている状態と、芯体6がシールド用部材7による静電シールドが解除されている状態との2つの状態とのいずれの状態における受信信号であるかを検知する必要がある。
【0072】
この実施形態では、位置検出装置201では、位置指示器1からの信号に基づいて、前記の2つの状態のいずれの状態における受信信号であるかを検知するようにする。このため、この実施形態では、位置指示器1の信号送信制御回路30のコントローラ301は、位置検出装置201でそれが可能なような信号を送信するように制御する。
【0073】
<信号送信制御の第1の例>
この位置指示器1の信号送信制御回路30のコントローラ301による信号送信制御方法の第1の例を、
図6を参照して説明する。なお、以下の信号送信制御は、電源スイッチPswがオンとされて、バッテリー4の電圧が、発振回路302、及びその他の回路に供給されている状態であることは言うまでもない。
【0074】
図6は、コントローラ301による信号送信制御方法の第1の例を説明するためのタイミングチャートである。この例においては、コントローラ301は、イネーブル信号CT(
図6(A)参照)により発振回路302をイネーブル制御して、
図6(B)及び(C)に示すように、所定時間長のバースト信号からなる位置検出用信号と、スタート信号STと、シールド状態情報SHと、筆圧データ等のデジタル付加データとからなる信号を、
図6(D)に示すように、周期Taで繰り返すような信号SBを発信回路302から出力させるように制御する。
【0075】
すなわち、コントローラ301からのイネーブル信号CTは、
図6(A)に示すように、周期Taの先頭から所定期間はハイレベルを維持するようにされ、発振回路302からは、この所定期間において、
図6(B)及び(C)に示すように、バースト信号からなる位置検出用信号が出力される。この位置検出用信号は、芯体6の芯体本体部61を通じて位置検出装置201のセンサ202に送信される。
【0076】
この位置検出用信号の送信期間の長さは、位置検出装置201のペン指示検出回路203において、位置指示器1によるセンサ202上の指示位置を検出することが可能な時間長とされ、例えばセンサ202の第1の導体211Y及び第2の導体212Xの全てを1回以上、好ましくは複数回以上スキャンすることができる時間長とされる。
【0077】
この位置検出用信号の送信期間中に、位置指示器1のコントローラ301は、その芯体6に印加される筆圧を、筆圧検出ユニット5により構成される可変容量キャパシタ5Cの静電容量に応じた検出信号として検出し、その検出信号から、筆圧を例えば10ビットの値(2進コード)として求める。
【0078】
そして、位置指示器1の信号送信制御回路30のコントローラ301は、
図6(A)~(C)に示すように、位置検出用信号の送信期間が終了すると、筆圧データなどの付加データの送信期間とし、イネーブル信号CT(
図6(A)を所定の周期td(td<Ta)でハイレベルまたはローレベルに制御することにより発振回路302から出力する信号をASK変調する。所定の周期tdは、送信データ(デジタルデータ)の1ビット分の送信区間に対応する。
【0079】
この場合に、
図6(A)及び(B)に示すように、送信データ(2進コード)が「0」のときはイネーブル信号CTをローレベルとして、発振回路302から発振信号は出力せず、送信データ(2進コード)が「1」のときはイネーブル信号CTを周期tdにおいて、
図6(A)に示すようにハイレベルとして発振回路302から発振信号を送出するように制御する。
【0080】
そして、付加データの送信期間の最初の周期tdは必ず、送信データを「1」とし、それを
図6(C)に示すように、付加データの送信期間のスタート信号STとする。このスタート信号STは、以降の付加情報のデータ送出タイミングを位置検出装置201側で正確に判定することができるようにするためのタイミング信号である。なお、このスタート信号STに代えて、位置検出用信号の終了時点をタイミング信号として利用することもできる。
【0081】
コントローラ301は、スタート信号STに続いて、シールド状態情報SHを、次の1周期tdで送出するように、発振回路302に供給するイネーブル信号CT(
図6(A))を制御する。このシールド状態情報SHは、シールド用部材7による芯体6の静電シールドが実行されている状態で信号を送出する状態と、シールド用部材7による芯体6に対する静電シールドが解除されている状態で信号を送出する状態のタイミングを、位置検出装置側に伝達するための情報である。
【0082】
この例では、シールド状態情報SHは、当該シールド状態情報SHが含まれる周期Tの次の周期Tにおける信号送出が、シールド用部材7による芯体6の静電シールドが実行されている状態であるか、解除状態であるかを示すようにしている。コントローラ301は、シールド状態情報SHに対応させて、各周期Tにおけるスイッチ回路303の切り替えを行うように切替制御信号SW(
図6(E)参照)を生成する。
【0083】
すなわち、この
図6の例では、コントローラ301は、シールド状態情報SHが「1」である周期Tの次の周期Tでは、切替制御信号SW(
図6(E)参照)をローレベルとすることで、スイッチ回路303を固定端子b側に切り替え、芯体6の芯体本体部61に対する静電シールドを解除する状態(シールドオフの状態)とするように制御する。また、コントローラ301は、シールド状態情報SHが「0」である周期Tの次の周期Tでは、切替制御信号SW(
図6(E)参照)をハイレベルとすることで、スイッチ回路303を固定端子c側に切り替え、芯体6の芯体本体部61に対する静電シールドを実行する状態(シールドオンの状態)とするように制御する。
【0084】
このシールド状態情報SHの次には、コントローラ301は、10ビットの筆圧データを、位置検出装置201のセンサ202に順次送信するようにイネーブル信号CTを制御する。
図6(A)及び(B)では、送信する筆圧データが「0101110101」の場合を示している。なお、位置指示器1は、筆圧データに引き続いて、自身の識別情報や電池残量などのデータを、上述と同様にしてASK信号やOOK(On Off Keying)信号として送出するようにしてもよい。
【0085】
位置指示器1の信号送信制御回路30の発振回路302は、以上のような位置検出用信号の送信期間とデジタルデータからなる付加情報の送信期間とからなる周期Taの信号を、コントローラ301からの制御に基づいて、
図6(D)に示すように、繰り返し送出するようにする。そして、コントローラ301は、切替制御信号SWAにより、スイッチ回路303の可動端子aを、1周期Ta毎に、固定端子bと固定端子cとに交互に切り替えるようにする(
図6(E)参照)。これにより、位置指示器1は、1周期Ta毎に、芯体6の芯体本体部61をシールド用部材7により静電シールドする状態と、その静電シールドを解除する状態とを繰り返す。
【0086】
なお、コントローラ301は、筆圧検出ユニット5で構成される可変容量キャパシタ5Cの静電容量を、前述したようにして検出することで、筆圧が位置指示器1の芯体6に印加されているか否かを検出することが可能である。すなわち、コントローラ301は、位置指示器1の芯体6の先端部が、位置検出装置201のセンサ202のセンサ面200にタッチしたか否かを検出することが可能である。そこで、この実施形態では、位置指示器1のコントローラ301は、可変容量キャパシタ5Cの静電容量の値から、芯体6に筆圧が印加されていないと判別したときには、位置検出用信号及び付加情報は送出しない、あるいは位置検出用信号は送出するが、付加情報は送出しない、とするように発振回路302を制御すると共に、スイッチ回路303は、可動端子aを常に固定端子cに接続するように制御して、1周期Ta毎の切り替え制御は行わないようにする。
【0087】
そして、コントローラ301は、可変容量キャパシタ5Cの静電容量の値から、芯体6に筆圧が印加されたと判別したときには、位置検出用信号及び付加情報を送出するように発振回路302を制御すると共に、スイッチ回路303は、可動端子aを固定端子bと固定端子cとの1周期Ta毎に交互に切り替える切り替え制御を行うようにうする。
【0088】
なお、コントローラ301は、筆圧の検出結果に応じたこのような制御を行わずに、バッテリー4の電源が投入されているときには、常に、
図6(D)のような信号を送出すると共に、
図6(E)に示すように、スイッチ回路303を1周期Ta毎に切り替える制御を行うようにしても勿論よい。
【0089】
位置検出装置側では、この位置指示器1からの信号をセンサ202で受信して、以下に説明するような受信処理をする。
【0090】
すなわち、位置検出装置201のペン指示検出回路203においては、制御回路220は、例えばまず第2の導体212X1~212Xnを順次に選択する選択信号を選択回路221に供給し、第2の導体212X1~212Xnのそれぞれの選択時に、AD変換回路226から出力されるデータを信号レベルとして読み取る。そして、第2の導体212X1~212Xnの全ての信号レベルが所定値に達していなければ、制御回路220は、位置指示器1はセンサ202上に無いものと判断し、第2の導体212X1~212Xnを順次に選択する制御を繰り返す。
【0091】
第2の導体212X1~212Xnのいずれかから所定値以上のレベルの信号が検出された場合には、制御回路220は、最も高い信号レベル(ピーク値。以下同じ)が検出された第2の導体212Xの番号とその周辺の複数個の第2の導体212Xを記憶する。そして、制御回路220は、選択回路221を制御して、第1の導体211Y1~211Ymを順次選択して、AD変換回路226からの信号レベルを読み取る。このとき制御回路220は、最も大きい信号レベルが検出された第1の導体211Yとその周辺の複数個の第1の導体211Yの番号を記憶する。
【0092】
そして、制御回路220は、以上のようにして記憶した、最も大きい信号レベルが検出された第2の導体212Xの番号及び第1の導体211Yの番号とその周辺の複数個の複数個の第2の導体212X及び第1の導体211Yから、位置指示器1により指示されたセンサ202上の位置を検出する。
【0093】
制御回路220は、選択回路221で最後の第1の導体211Ymを選択して信号レベルの検出を終了したら、位置指示器1からの位置検出用信号の送信期間の終了を待ち、位置検出用信号の送信期間の終了後のスタート信号STを検出したら、筆圧データなどのデータを読み取り、デジタル信号を復元する動作を行う。
【0094】
また、制御回路220は、スタート信号STの検出に続いて、シールド状態情報SHを検出して、「1」であるか、「0」であるかを判別し、その判別結果に基づいて、位置指示器1の芯体6が静電シールドされている状態での受信信号と、静電シールドが解除されている状態での受信信号レベルとを検知し、両者のピーク値の位置から、位置指示器1の芯体6の傾き角を検出するようにする。そして、制御回路220は、以上の動作を繰り返すようにする。
【0095】
なお、以上の第1の例においては、スイッチ回路303の切替制御信号SWをローレベルとして芯体6に対する静電シールドを解除する状態の期間においても、付加情報を送信するようにしたが、当該芯体6に対する静電シールドを解除する状態の期間においては、付加情報を送信しないようにしてもよい。
【0096】
また、以上の第1の例においては、コントローラ301は、スイッチ回路303の切替制御信号SWをローレベルとして芯体6に対する静電シールドを解除する状態の期間を、1周期Taの全体の期間とするとともに、静電シールドされている状態と静電シールドが解除されている状態が交互に生じるようにした。しかしながら、
図6(F)に示すように、位置検出用信号の送信区間に対応してスイッチ回路303の切替制御信号SWをローレベルとすることで、芯体6に対する静電シールドを解除し、付加情報の送信期間に対応してスイッチ回路303の切替制御信号SWをハイレベルとすることで静電シールドするようにしてもよい。このようにすれば、付加情報の送信期間は、常に芯体6が静電シールドされている状態となるので、送信信号は、芯体6の先端部側からのみ送出されるので、位置検出装置201では、付加情報をそれぞれの期間Ta内で良好に検出することができるようになる。
【0097】
なお、上述の第1の例では、シールド状態情報SHにより、1周期Ta後の送信期間における芯体6に対する静電シールドの状態を位置検出装置201に伝達するようにしたが、シールド状態情報SHにより、直前の位置検出用信号の送信期間における芯体6に対する静電シールドの状態を位置検出装置201に伝達するようにしてもよい。
【0098】
<信号送信制御の第2の例>
この位置指示器1の信号送信制御回路30のコントローラ301による信号送信制御方法の第2の例を、
図7を参照して説明する。
【0099】
図7は、コントローラ301による信号送信制御方法の第2の例を説明するためのタイミングチャートである。上述の第1の例では、静電シールド状態を伝達するために、シールド状態情報SHを、位置指示器1から位置検出装置201に送信するようにしたが、第2の例は、第1の例におけるシールド状態情報SHのような、静電シールド状態を伝達するための情報は送る必要がないようにした例である。
【0100】
この例においては、コントローラ301は、イネーブル信号CT(
図7(A)参照)により発振回路302をイネーブル制御して、
図7(B)及び(C)に示すように、所定時間長のバースト信号からなる位置検出用信号と、スタート信号STと、筆圧データ等のデジタル付加データとからなる信号を、
図7(D)に示すように、周期Tbで繰り返すような信号SBを発信回路302から出力させるように制御する。
【0101】
この第2の例では、
図7(C)に示すように、付加情報の送信期間には、シールド状態情報SHは含まない。その代わりに、この第2の例においては、
図7(A)~(C)に示すように、位置検出用信号の送信期間Psの長さを、例えば第1の例の2倍の長さとする。そして、
図7(D)及び(E)に示すように、位置検出用信号の送信期間Psを2分し、その前半のPs/2の期間では、シールド用部材7による芯体6の静電シールドを実行し、後半のPs/2の期間では、シールド用部材7による芯体6の静電シールドを解除するように制御する。
【0102】
すなわち、コントローラ301は、
図7(E)に示すように、各1周期Tbの期間の内、位置検出用信号の送信期間の後半のPs/2の期間のみ、スイッチ回路303の可動端子aを固定端子bを切り替えて、シールド用部材7による芯体6の静電シールドを解除する状態とし、他の期間においては、可動端子aを固定端子cに切り替えて、シールド用部材7による芯体6に対する静電シールドを実行するように制御する切替制御信号SWを生成し、スイッチ回路303に供給する。その他は、第1の例と同様の構成とする。
【0103】
この第2の例においては、位置検出装置201の制御回路220は、位置検出用信号の送信期間の終わりあるいはスタート信号STを検出することで、次の位置検出用信号の送信期間Psの開始時点を検知する。そして、制御回路220は、位置指示器1からの受信信号として、位置検出用信号の送信期間Psの前半のPs/2の期間では、芯体6がシールド用部材7により静電シールドが実行されている状態での信号を検出し、後半のPs/2の期間では、芯体6のシールド用部材7による静電シールドが解除されている状態での信号を検出する。そして、制御回路220は、それら2つの期間で受信した信号から、前述したようにして、位置指示器1の芯体6の傾き角を検出する。
【0104】
なお、
図7の例では、
図7(E)に示すように、位置検出用信号の送信期間Psの前半のPs/2の期間では、芯体6がシールド用部材7により静電シールドが実行されている状態とし、後半のPs/2の期間では、芯体6のシールド用部材7による静電シールドが解除されている状態とするようにした。しかしながら、
図7(F)に示すように、コントローラ301による制御によって、位置検出用信号の送信期間Psに対応して芯体6のシールド用部材7による静電シールドを行い、位置検出用信号の送信に続く筆圧データ等の付加情報の送信に対応して芯体6のシールド用部材7による静電シールドを解除するようにしてもよい。
【0105】
[第2の実施形態]
上述の第1の実施形態の位置指示器1では、シールド用部材7は、筒状の導体71を用いて構成するようにしたが、シールド用部材は、このような筒状の導体に限られるものではない。以下に説明する第2の実施形態の位置指示器1Aでは、シールド用部材は、芯体をその巻回空間内に収納するようなコイルで構成するようにする。そして、第2の実施形態の位置指示器1Aでは、シールド用部材をコイルにより構成すると共に、このコイルを電磁誘導方式の充電を行うための誘導コイルとしても用いるようにする。したがって、この第2の実施形態の位置指示器1Aは、バッテリーを備えず、その代わりに、例えば電気二重層キャパシタなどのキャパシタあるいは充電可能な蓄電池などの蓄電素子を備える構成を備える。
【0106】
また、第1の実施形態では、位置指示器において、芯体がシールド用部材により静電シールドされている状態と、芯体の静電シールドが解除されている状態とを位置検出装置側で認識できるようにするための情報を、位置指示器から位置検出装置側に伝達するようにした。これに対して、この第2の実施形態においては、位置指示器1Aから芯体の静電シールドの状態を伝達するための情報を位置検出装置側に送信するのではなく、位置検出装置から送信された傾き角の検出要求信号を受信して、その受信した傾き角の検出要求信号(以下、単に要求信号と略称する)に応じて、位置指示器1Aが、予め定められたシーケンスで、芯体をシールド用部材で静電シールドしている状態での信号送信と、芯体のシールド用部材による静電シールドを解除している状態での信号送信とを実行するようにする。
【0107】
図8は、この第2の実施形態の位置指示器1Aの芯体6A及びシールド用部材7Aを説明するための図であり、
図8(A)は、芯体6Aと、シールド用部材7Aと、筆圧検出ユニット5Aの部分の分解斜視図、
図8(B)は、位置指示器1Aのペン先側を、筐体2を断面として示した一部拡大図である。以下に説明する位置指示器1Aにおいて、第1の実施形態の位置指示器1と対応する部分の参照符号は、同一番号にサフィックスAを付加して示す。
【0108】
この第2の実施形態の位置指示器1Aにおいては、芯体6Aは、例えば導電性の金属棒あるいは導電性粉体を混入した硬質樹脂からなる棒状体の構成とされている。そして、シールド用部材7Aは、導線が巻回されて形成されたコイル75が、例えば円柱状形状の磁性体コア、この例では、フェライトコア76に巻回されて構成されている。フェライトコア76の軸心方向のペン先側とは反対側の端部は、
図8(B)に示すように、筆圧検出ユニット5Aを内部に収納しているハウジング部材51Aの嵌合凹部51Aaに嵌合されるようにされている。
【0109】
フェライトコア76には、軸心方向に貫通する貫通孔76aが形成されている。この貫通孔76aの内径rは、芯体6Aの外径より若干大きい値に選定されており、芯体6Aが、このフェライトコア76の貫通孔76aを通じて挿通される。そして、
図8(B)に示すように、芯体6Aの先端部6Aaとは反対側の端部6Abが、ハウジング部材51A内に設けられている筆圧検出ユニット5Aに嵌合されるように構成されている。
【0110】
筆圧検出ユニット5Aに芯体6Aが嵌合されている状態においては、芯体6Aの先端部6Aa側は、フェライトコア76から突出するように構成されている。使用者が、芯体6Aを引き抜くように力を印加すれば、芯体6Aと筆圧検出ユニット5Aの嵌合部との嵌合は、容易に外れて、芯体6Aを引き抜くことができる。つまり、芯体6Aは、交換可能とされている。筆圧検出ユニット5Aは、上述の第1の実施形態の位置指示器1の筆圧検出ユニット5と同様の構成とされている。
【0111】
そして、この例では、ハウジング部材51A内には、プリント配線基板3Aが取り付けられており、このプリント配線基板3Aに形成されている電子回路と、筆圧検出ユニット5Aを構成する可変容量キャパシタ5ACの両端と電気的に接続されると共に、コイル75の一端75a及び他端75bも、このプリント配線基板3Aの電子回路に電気的に接続されている。
【0112】
そして、この第2の実施形態の位置指示器1Aは、位置検出装置からの指示信号を受信するための構成として、
図8(B)に示すように、筐体2Aの絶縁体部21Aのペン先部に導体スリーブ23を備える。この導体スリーブ23は、筐体2Aの絶縁体部21Aのペン先部を覆う筒状のキャップ状形状を有し、筐体2Aの導電体部(
図8では図示は省略)とは電気的に絶縁されている。この導体スリーブ23は、位置検出装置のセンサからの信号を、静電結合により受信可能であり、図示は省略するが、プリント配線基板3Aの電子回路と電気的に接続されている。
【0113】
[第2の実施形態の位置指示器1Aの信号送信制御回路30Aの構成例の説明]
図9は、この第2の実施形態の位置指示器1Aの信号送信制御回路30Aの構成例を示す図である。この例の信号送信制御回路30Aは、コントローラ301Aと、発振回路302Aと、スイッチ回路303Aと、スイッチ回路3044と、充電方式の電源回路304と、受信信号検出回路305とを備える。
【0114】
コントローラ301Aは、コントローラ301と同様にマイクロプロセッサで構成されており、位置指示器1Aの信号送信制御回路30Aの処理動作を制御する制御回路を構成する。この例では、このコントローラ301Aには、電源回路304からの電源電圧VDDが駆動電源として供給されている。コントローラ301Aは、発振回路302Aを制御すると共に、スイッチ回路303Aとスイッチ回路3044を切替制御する。
【0115】
また、このコントローラ301Aには、筆圧検出ユニット5Aを構成する可変容量キャパシタ5ACが接続されており、コントローラ301Aは、第1の実施形態のコントローラ301と同様に、可変容量キャパシタ5ACが、満充電の状態から抵抗器Rdを通じて放電し、所定の両端電圧になるまでの時間を計測することで、可変容量キャパシタ5ACの静電容量を検出し、その検出した静電容量から筆圧を検出する。
【0116】
発振回路302Aは、発振回路302と同様に、例えば周波数f1=1.8MHzの交流信号を発生するもので、この例では電源回路304からの電源電圧VDDが供給されている。
【0117】
コントローラ301Aは、上述の第1の実施形態の場合と同様にして、この発振回路302Aのイネーブル端子ENに制御信号(イネーブル信号CTA)を供給して当該発振回路302Aをオン、オフ制御することで、発振回路302Aからバースト信号(位置検出用信号)及びASK変調信号(付加情報)を発生させたり、信号送出を停止させたりする。
【0118】
発振回路302Aの出力端は、この実施形態では、導電性の芯体6Aに接続されており、発振回路302からの交流信号は、芯体6Aを通じて位置検出装置のセンサに対して送出される。
【0119】
スイッチ回路303Aは、コントローラ301Aからの切替制御信号SWAより切替制御される。このスイッチ回路303Aの可動端子aは、シールド用部材7Aを構成するコイル75の一方の端子75aに接続されている。そして、このスイッチ回路303Aの一方の固定端子bは遊端とされ、他方の固定端子cは接地されている。
【0120】
そして、シールド用部材7Aを構成するコイル75の他方の端子75bは、コントローラ301Aからの切替制御信号SWBより切替制御されるスイッチ回路3044の可動端子aに接続されている。このスイッチ回路3044の一方の固定端子bは整流用ダイオード3041のアノードに接続されており、他方の固定端子cは遊端とされている。電源回路304は、整流用ダイオード3041と、電気二重層キャパシタ3042と、電圧変換回路3043とにより構成されている。そして、電気二重層キャパシタ3042の一端はダイオード3041のカソードに接続され、他端は、接地されている。なお、電源回路304は、充電可能な蓄電池を含む回路構成でも良い。コントローラ301Aは、切替制御信号SWA及びSWBによってスイッチ回路303A及びスイッチ回路3044を制御することで、コイル75を誘導コイル(無線給電用コイル)として、あるいは静電シールド用部材として機能させる。すなわち、コイル75を電磁誘導方式による無線給電用コイルとしてさせるときには、コントローラ301は切替信号SWBによってスイッチ回路3044を制御することでスイッチ回路3044の可動端子aと固定端子bとが接続されるとともに、切替信号SWAによってスイッチ回路303Aを制御することでスイッチ回路303Aの可動端子aと固定端子cとが接続される。コイル75を静電シールド部材として機能させるときには、コントローラ301は切替信号SWBによってスイッチ回路3044を制御することでスイッチ回路3044の可動端子aと遊端とされた固定端子cとが接続される。スイッチ回路3044の可動端子aと遊端とされた固定端子cとが接続された状態で、切替信号SWAによってスイッチ回路303Aの可動端子aと固定端子cとが接続されるとコイル75を静電シールド部材として機能させることができる。また、切替信号SWAによってスイッチ回路303Aの可動端子aと遊端とされた固定端子bとが接続されるとコイル75の静電シールド部材としての機能を解除させることができる。
【0121】
コントローラ301Aは、受信信号検出回路305からの出力を監視して、センサからの受信信号の信号レベルが所定の閾値レベル以上になったか否かにより、位置指示器1Aとセンサとの間で静電的インタラクションを可能にする結合状態になったか否かを判別する。そして、その判別結果に応じて、発振回路302Aを制御するイネーブル信号CTAを制御すると共に、切替制御信号SWBによってスイッチ回路3044の可動端子aと固定端子cとを接続し、及び切替制御信号SWAによってスイッチ回路303Aを制御する。このときの前記所定の閾値は、位置指示器1Aとセンサとの間で静電的なインタラクションを可能にする結合状態にときの受信信号レベに基づいて予め定めてある。なお、位置指示器1Aとセンサとの間で静電的インタラクションを可能にする結合状態は、位置指示器1Aの芯体6Aの先端部6Aaがセンサのセンサ面に接触することなく、近接している状態を含む。
【0122】
そして、コントローラ301Aは、位置指示器1Aとセンサとの間で静電的インタラクションを可能にする結合状態になったときには、位置検出装置からの要求信号の受信を監視する。位置検出装置からの要求信号は、前述したように、導体スリーブ23でセンサとの静電結合を通じて受信する。導体スリーブ23で受信された位置検出装置からの要求信号は、受信信号検出回路305を通じてコントローラ301Aに供給される。受信信号検出回路305にも電圧変換回路304からの電圧が電源として供給される。
【0123】
そして、コントローラ301Aは、位置検出装置からの要求信号を受信してはいないときと、要求信号を受信したときとに応じて、後述するように、発振回路302Aを制御するイネーブル信号CTAを制御すると共に、スイッチ回路303Aの切替制御信号SWAを制御する。
【0124】
この場合に、コントローラ301Aは、位置検出装置からの要求信号を受信したと判別したときには、上述した第1の実施形態の位置指示器1と同様に、芯体6Aから信号を送出するように発振回路302Aを制御すると共に、スイッチ回路303Aを、芯体6Aをシールド用部材7Aにより静電シールドした状態と、芯体6Aのシールド用部材7Aによる静電シールドを解除した状態との2つの状態に切り替えるように制御する。
【0125】
このときに芯体6Aから送出する信号の態様としては、前述した第1の実施形態の第1の例の信号送信制御の態様であってもよいし、第2の例の信号送信制御の態様であってもよい。第1の例を用いる場合には、要求信号に基づいて定められるタイミングで、位置指示器1Aから位置検出装置のセンサに前記の態様の信号を送出することができるので、芯体6Aから送出する信号には、シールド状態情報SHは含めなくてもよい。
【0126】
また、前記の2つの状態の信号としては、上述の第1の例や第2の例の信号送信制御の態様を必ずしも用いなくてもよく、例えば筆圧情報等の付加情報を含まない位置検出用信号のみを、前記の2つの状態で送信するようにしてもよい。
【0127】
後述するように、コントローラ301Aは、位置指示器1Aとセンサとの間で静電的インタラクションを可能にする結合状態になっていないときには、切替制御信号SWBによってスイッチ回路3044の可動端子aを固定端子bに接続させるとともに、切替制御信号SWAによりスイッチ回路303Aの可動端子aを固定端子cに接続させることで、コイル75をスイッチ回路303Aを通じて接地させる。
【0128】
この状態で、位置指示器1Aを図示しない、電磁誘導方式によって充電を行う充電器に装着すると、充電器が発生する交番磁界によりコイル75には誘導起電力が発生して、ダイオード3041を介して充電器としての電気二重層キャパシタ3042を充電する。
【0129】
電圧変換回路3043は、電気二重層キャパシタ3042に蓄えられた電圧を一定の電圧に変換して、その電圧を、コントローラ301A、発振回路302A及び受信信号検出回路305の電源として供給する。この電圧変換回路3043は、電気二重層キャパシタ3042の両端の電圧よりも低くなるような降圧タイプのものでも良いし、電気二重層キャパシタ3042の両端の電圧よりも高くなるような昇圧タイプのものでも良い。また、電気二重層キャパシタ3042の両端の電圧が一定の電圧よりも高い場合は降圧回路として動作し、前記一定の電圧よりも低い場合は昇圧回路として動作する昇降圧タイプのものでも良い。
【0130】
次に、この第2の実施形態の位置指示器1Aの信号送信制御回路30Aのコントローラ301Aの制御処理の流れを、
図10のフローチャートを参照しながら説明する。
【0131】
すなわち、コントローラ301Aは、受信信号検出回路305で検出されたセンサからの受信信号の信号レベルを検出し(ステップS101)、検出した受信信号の信号レベルが所定の閾値以上であるか否かを判別する(ステップS102)。
【0132】
ステップS102で、検出した受信信号の信号レベルが所定の閾値以上とはなっていないと判別したときには、コントローラ301Aは、位置指示器1Aとセンサとの間では静電的なインタラクションを可能にする結合状態になっていないと判断して、イネーブル信号CTAにより、発振回路302Aからの信号送出は停止するように制御し、スイッチ回路3044は切替制御信号SWBにより固定端子bに接続すると共に、スイッチ回路303Aは、切替制御信号SWAにより、可動端子aを固定端子cに接続させるように制御する(ステップS103)。この状態では、コイル75はスイッチ回路303Aを通じて接地されているので、位置指示器1Aを充電装置に装着することで、電気二重層キャパシタ3042を充電して蓄電することが可能である。
【0133】
ステップS102で、検出した受信信号の信号レベルが所定の閾値以上とはなっていると判別したときには、コントローラ301Aは、位置指示器1Aとセンサとの間では静電的なインタラクションを可能にする結合状態になっていると判断して、スイッチ回路3044は切替制御信号SWBによって可動端子aを固定端子cに接続するとともに、イネーブル信号CTAにより、前述したような発振回路302Aからの信号送出を実行するように制御する。スイッチ回路303Aは、切替制御信号SWAにより、可動端子aを固定端子cに接続させる状態を維持する(ステップS104)。
【0134】
次に、コントローラ301Aは、受信信号検出回路305で検出されたセンサからの受信信号を監視して、要求信号を受信したか否かを判別する(ステップS105)。このステップS105で、要求信号は受信してはいないと判別したときには、コントローラ301Aは、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0135】
そして、ステップS105で、要求信号を受信したと判別したときには、コントローラ301Aは、上述した第1の実施形態の位置指示器1と同様に、芯体6Aをシールド用部材7Aにより静電シールドした状態と、芯体6Aのシールド用部材7Aによる静電シールドを解除した状態との2つの状態で、芯体6Aを通じて、上述した信号を位置検出装置のセンサに供給するようにする(ステップS106)。
【0136】
次に、コントローラ301Aは、位置検出装置から、要求終了信号を受信したか否かを判別する(ステップS107)。このステップS107で、位置検出装置から要求終了信号を受信してはいないと判別したときには、コントローラ301Aは、処理をステップS105に戻し、このステップS105以降の処理を繰り返す。また、ステップS107で、位置検出装置から要求終了信号を受信したと判別したときには、コントローラ301Aは、処理をステップS101に戻し、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0137】
上述した第2の実施形態の位置指示器1Aによれば、位置検出装置からの傾き角の検出要求信号を受信したときは、その受信した傾き角の検出要求信号に応じて、芯体6Aをシールド用部材7Aにより静電シールドした状態と、芯体6Aのシールド用部材7Aによる静電シールドを解除した状態との2つの状態を現出するようにする信号シーケンスを実行すればよい。
【0138】
また、上述の第2の実施形態の位置指示器1Aによれば、芯体6Aを静電シールドするためのシールド用部材7Aとしてコイル75を用いると共に、このコイル75を非接触充電用のコイルとするようにしたため、芯体6Aを静電シールドすることの効果に加えて、例えばペン立て形状の充電器などによる非接触充電が可能で、操作性の良い位置指示器が実現できる。
【0139】
[第2の実施形態の変形例]
上述の第2の実施形態では、位置指示器1Aとセンサとの間で静電的インタラクションを可能にする結合状態は、導体スリーブを通じてセンサから受信する信号の信号レベルに基づいて検出するようにしたが、第1の実施形態と同様に、筆圧検出ユニット5Aによる筆圧検出に基づいて、センサにタッチしている状態を検出することにより、検出するようにしてもよい。
【0140】
なお、導体スリーブ23は受信専用としたが、導体スリーブ23を発振回路302Aからの信号の送信用として用いることもできる。すなわち、その場合には、導体スリーブ23を、信号送信をする送信時間区間と、センサからの信号を受信する受信時間区間とに時分割制御することができるように回路を構成する。そして、受信時間区間における受信信号から位置指示器とセンサとの静電的なインタラクションが可能な状態となる結合状態を検出する以前のときには、送信時間区間に信号を送信する。これにより、位置指示器からの信号を、芯体と導体スリーブから送出することできるので、位置指示器がセンサと結合する前の、いわゆるホバー状態における信号送出エネルギーを大きくすることができて、ホバー状態での位置指示器の位置検出が比較的容易になる。そして、位置指示器とセンサとが結合状態になったら、受信時間区間のみとして、位置検出装置のセンサからの信号を常に監視するようにし、要求信号の判別を行うようにする。
【0141】
また、上述の第2の実施形態においては、位置検出装置側からの要求信号に応じて、芯体から信号を送出しながら、当該芯体を静電シールドしている状態と、静電シールドを解除している状態の2つの状態を1つのペア(1対)として現出するように制御するように説明した。しかしながら、通常は、静電シールドしている状態の芯体から信号を送出するようにしておき、位置検出装置側からの要求信号があったときに、静電シールドを解除するように制御してもよい。また、逆に、通常は、静電シールドを解除している状態の芯体から信号を送出するようにしておき、位置検出装置側からの要求信号があったときに、静電シールドを実行するように制御してもよい。
【0142】
その場合には、位置検出装置では、通常時に検出している位置指示器からの受信信号のピーク値を保持しておき、それと、要求信号を送出した後に受信した受信信号のピーク値との差から、位置指示器の芯体の軸心方向の傾き角を検出するようにすればよい。
【0143】
なお、位置指示器1Aの芯体6Aをコイル75により静電シールドするときの、コイル75の一端75aは、接地電位に限らず、電源のプラス側電位であっても良いし、電源のプラス側電位と接地電位との中間の電位であっても良い。要は、コイル75の一端75aは、交流的に接地されていればよい。
【0144】
また、上述の第2の実施形態では、位置検出装置からの位置指示器1A(芯体6A)の傾き角検出のための要求信号は、位置指示器1Aのペン先側に導体からなる導体スリーブ23を設けて、この導体スリーブ23によりセンサとの静電結合により受信するようにした。しかし、位置指示器1Aにおける位置検出装置からの要求信号の受信は、この例に限られるものではない。
【0145】
例えば、
図5を用いて説明した位置検出装置201と同一部分には、同一の参照符号を付してその説明は省略する
図11に示すように、位置指示器1Aに、双方向通信可能な無線通信手段、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信部9を設けると共に、位置検出装置にも、無線通信手段、例えばブルートゥース(登録商標)規格の無線通信部227を設ける。そして、位置検出装置201の制御回路220は、位置指示器1Aの芯体6Aの軸心方向の傾き角を検出するタイミングで、要求信号を無線通信部227を通じて、位置指示器1Aに供給するようにする。
【0146】
そして、位置指示器1Aは、この位置検出装置からの要求信号を無線通信部9で受けて、
図11では図示を省略するコントローラ301Aは、上述のように発振回路302Aを制御するようにする。
【0147】
なお、無線通信部は、
図11の例のような電波を用いるものに限られる訳ではなく、例えば、赤外線などの光通信や超音波を用いたものなどであってもよい。
【0148】
なお、位置検出装置からの要求信号に応じて位置指示器側から芯体の傾き角を検出するための信号を送出する際には、上述の第2の実施形態では、位置指示器は、芯体を静電シールドする状態で信号を送出する状態と、芯体に対する静電シールドを解除する状態で信号を送出する状態の2状態を実行するようにした。しかし、位置指示器では、要求信号を受けていないときには、常に、芯体を静電シールドする状態あるいは芯体に対する静電シールドを解除する状態のいずれか一方の状態で信号を送出するようにしておき、要求信号を受けたときに、芯体を静電シールドする状態あるいは芯体に対する静電シールドを解除する状態の他方の状態で信号を送出するようにしてもよい。この場合には、位置検出装置では、要求信号を送出する前の受信信号と、要求信号を送出した後の受信信号とから位置指示器の芯体の傾き角を検出することができる。
【0149】
[第3の実施形態]
以下に説明する第3の実施形態は、位置指示器の芯体の軸心方向の傾き角のみでなく、位置指示器の回転も検出することができるように構成した例である。
【0150】
図12(A)は、第3の実施形態の位置指示器1Bのペン先側の拡大断面図である。また、
図12(B)及び(C)は、第3の実施形態の位置指示器1Bの要部の構成例を示す図である。
【0151】
この第3の実施形態の位置指示器1Bの芯体6Bは、第2の実施形態の位置指示器1Aの芯体6Aと同様に、導電性金属や導電性樹脂からなる導体の棒状体で構成されている。この第3の実施形態の位置指示器1Bは、
図12(A)に示すように、芯体6Bに印加される筆圧を検出するために、筆圧検出ユニット5Bを用いる。そして、芯体6Bは、第1の実施形態と同様に、筒状のシールド用部材7Bによりペン先側と筆圧検出ユニット5Bとの嵌合側とを除いて覆われている。
【0152】
筆圧検出ユニット5Bは、例えば樹脂で構成される外側ホルダー57及び内側ホルダー58と、圧力センシングデバイス59とを備える。
【0153】
外側ホルダー57には、芯体6Bを挿通する貫通孔572と、この貫通孔572と連通する中空部からなる収納空間573を有する。この収納空間573内には、内側ホルダー58と、この内側ホルダー58に設けられている圧力センシングデバイス59とが収納される。また、外側ホルダー57のペン先側の端面には、シールド用部材7Bに応じた形状の凹部571が設けられ、この凹部571内にシールド用部材7Bのペン先側とは反対側の端部が嵌合されて結合される。
【0154】
この第3の実施形態の位置指示器1Bにおいては、
図12(B)に示すように、シールド用部材7Bは、絶縁材料例えば樹脂からなる筒状体72Bの外周面に、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcを設けるようにする。シールド用部材7Bは、
図12(A)に示すように、筐体2Bの内部において、その軸心方向と、筐体2Bの軸心方向とが一致する状態で配置される。そして、このシールド用部材7Bは、芯体6Bを挿通する径の貫通孔7Baを備える。
【0155】
電極71Ba,71Bb,71Bcは、
図12(B)に示すように、筒状体72Bの外周面において、それぞれ120度角範囲よりも若干狭い角度範囲において、互いに電気的に分離するように形成された導電性の金属導体で構成されている。すなわち、第1の実施形態におけるシールド用部材7の筒状導体71を、円周方向に3分割したものと等価である。なお、絶縁材料である樹脂からなる筒状体72Bは、第1の実施形態のシールド用部材7の絶縁層72に対応する。
【0156】
筆圧検出ユニット5Bの外側ホルダー57の凹部571の底面側の内周面には、
図12(C)に示すように、シールド用部材7Bの筒状体72Bの外周面に形成されている3個の電極71Ba,71Bb,71Bcと対応する導体片5711,5712,5713が形成されている。また、シールド用部材7Bの筒状体72Bには、位置合わせ用の突起7Bbが形成されていると共に、凹部571の底面には、
図12(C)に示すように、突起7Bbに対応する凹穴571dが形成されている。そして、突起7Bbを凹穴571d内に嵌合させることで周方向の位置合わせをし、シールド用部材7Bの筒状体72Bを凹部571内に収納する。すると、シールド用部材7Bの筒状体72Bの外周面に形成されている3個の電極71Ba,71Bb,71Bcと、凹部571の対応する導体片5711,5712,5713のそれぞれとが接触するように構成されているために、電気的に接続される状態になる。
【0157】
そして、
図12(A)に示すように、樹脂からなる外側ホルダー57内には、インサート成形により、導体片5711,5712,5713のそれぞれに一端が接続されている結線(
図12(A)の点線参照)5711a、5712a、5713aが設けられている。この結線5711a、5712a、5713aの他端はプリント配線基板3Bに設けられている信号送信制御回路30B(
図13参照)に接続されている。これにより、シールド用部材7Bが凹部571内に嵌合されて収納されると、シールド用部材7Bの外周面に形成されている3個の電極71Ba,71Bb,71Bcは、導体片5711,5712,5713及び結線5711a、5712a、5713aを通じて、プリント配線基板3Bに設けられている信号送信制御回路30Bに接続される。
【0158】
外側ホルダー57は、軸心方向における芯体6Bの側が、
図12(A)に示すように、筐体2Bの段差部2Bcと衝合すると共に、芯体6Bとは反対側も軸心方向の位置規制手段と衝合して、筐体2Bの内部において軸心方向に移動しないように固定されている。そして、シールド用部材7Bのペン先側の端部は、筐体2Bのペン先側の開口部2Baの近傍に設けられている段差部2Bbと衝合するように構成されている。これにより、外側ホルダー57に嵌合されているシールド用部材7Bも、筐体2Bの内部において軸心方向に移動しないように固定されている。
【0159】
外側ホルダー57の収納空間573の、芯体6Bが挿入される側は、内側ホルダー58の径よりも小径であり、かつ、貫通孔572は、芯体6Bの径よりも大きい径とされている。したがって、外側ホルダー57の収納空間573には段差部574が形成され、この段差部574により、収納空間573内に収納された内側ホルダー58が、外側ホルダー57から芯体6B側には抜け落ちないように構成されている。
【0160】
内側ホルダー58は、
図12(A)に示すように、筆圧検出用素子を構成する圧力センシングデバイス59を保持している。この圧力センシングデバイス59は、静電容量方式の圧力感知部を構成する半導体チップで構成されている。この圧力センシングデバイス59は、例えば特開2013-161307号公報に開示されているような筆圧に応じて静電容量を可変とする、MEMS(Mico Elector Mechanical Systems)素子からなる可変容量キャパシタとして構成され半導体素子を用いて構成することができる。この圧力センシングデバイス59の構成は、上記の公報に記載されているので、ここでは、その説明は省略する。この圧力センシングデバイス59により構成される可変容量キャパシタの2つの電極は、図示は省略するが、プリント配線基板3Bに生成されている信号送信制御回路30Bに接続されている。
【0161】
外側ホルダー57の収納空間573には、また、内側ホルダー58に保持されている圧力センシングデバイス59に対して、芯体6Bに印加される圧力を伝達するための圧力伝達部材8Bが設けられている。
【0162】
圧力伝達部材8Bは、芯体6Bを嵌合する芯体嵌合部81Bと、圧力センシングデバイス59を押圧する押圧部82Bとからなる。押圧部82Bは、圧力センシングデバイス59を押圧する突出部82Baを備えている。芯体嵌合部81Bは、芯体6Bが挿入されて嵌合される凹穴81Baを備え、この凹穴81Ba内に、芯体6Bが、そのペン先側とは反対側の端部6Baが挿入されて、着脱自在に嵌合される。
【0163】
そして、この実施形態では、外側ホルダー57の貫通孔572の壁面には、導体層53Baが印刷や蒸着などにより被着形成されていると共に、この導体層53Baから導電体ブラシ53Bbが形成されている。そして、外側ホルダー57内には、
図12(A)に示すように、導体層53Baとプリント配線基板3の信号送信制御回路30Bとを接続するための結線53Bcが、例えばインサート成形されて設けられている。
【0164】
したがって、導電体である芯体6Bが外側ホルダー57の貫通孔572に挿通して、圧力伝達部材8Bの芯体嵌合部81Bに嵌合されると、
図12(A)に示すように、芯体6Bは、貫通孔572の導電体ブラシ53Bbを介して導体層53Baと電気的に接続される。これにより、導電体である芯体6Bがプリント配線基板3Bの信号送信制御回路30Bの発振回路の出力端と接続され、芯体6Bは信号電極として働く。
【0165】
以上のような構成を有する第3の実施形態の位置指示器1Bにおいて、芯体6Bに筆圧が印加されると、筆圧検出ユニット5Bにおいては、芯体6Bが係合されている圧力伝達部材8Bが、外側ホルダー57内において、印加された筆圧に応じて軸心方向に、圧力センシングデバイス59を押圧するように変位する。このため、圧力センシングデバイス59の2つの電極間で構成される可変容量キャパシタの静電容量が、筆圧に応じて変化する。そして、この静電容量の変化により、位置指示器1Bは、上述と同様にして、芯体6Bに印加される筆圧を検出し、その検出した筆圧データを、付加情報の送信期間にASK変調信号として配置して位置検出装置に送出する。
【0166】
そして、この第3の実施形態の位置指示器1Bの信号送信制御回路30Bにおいては、芯体6Bを通じて信号を位置検出装置のセンサに送出している状態において、シールド用部材7Bの3個の電極71Ba,71Bb,71Bcを切り替え制御することで、位置検出装置201で、この位置指示器1Bから受信した信号から、位置指示器1Bによる指示位置を検出すると共に、位置指示器1Bの傾き角及び回転角を検出するようにする。以下に、この第3の実施形態の位置指示器1Bの信号送信制御回路30Bの構成例及び動作について説明する。
【0167】
[第3の実施形態の位置指示器1Bの信号送信制御回路30Bの構成例及び動作例]
図13は、第3の実施形態の位置指示器1Bの信号送信制御回路30Bの構成例を示すもので、
図3を用いて説明した第1の実施形態の位置指示器1の信号送信制御回路30と同一部分には、同一の参照符号を付して、その説明は省略する。
【0168】
コントローラ301Bは、第1の実施形態のコントローラ301と同様にマイクロプロセッサで構成されており、第1の実施形態のコントローラ301とは、これに接続される電子部品の制御の仕方のみが異なる。
【0169】
コントローラ301Bには、電源回路としてのバッテリー4から電源電圧VDDが供給されていると共に、発振回路302が接続されており、この発振回路302にイネーブル信号CTBを制御信号として供給する。また、コントローラ301Bには、筆圧検出ユニット5Bの圧力センシングデバイス59で構成されている可変容量キャパシタ59Cが接続されていると共に、この可変容量キャパシタ59Cと並列に放電用抵抗器Rdが接続されている。
【0170】
そして、この第3の実施形態においては、信号送信制御回路30Bには、シールド用部材7Bの3個の電極71Ba,71Bb,71Bcのそれぞれの電気的な状態を切り替えるための3個のスイッチ回路303Ba,303Bb,303Bcが設けられており、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcのそれぞれは、3個のスイッチ回路303Ba,303Bb,303Bcの可動端子aにそれぞれ接続されている。
【0171】
そして、スイッチ回路303Ba,303Bb,303Bcの固定端子bには、発振回路302からの信号が供給されており、固定端子cは接地されており、固定端子dは遊端とされている。そして、コントローラ301Bから、スイッチ回路303Baには切替制御信号SWaが、スイッチ回路303Bbには切替制御信号SWbが、スイッチ回路303Bcには切替制御信号SWcが、それぞれ供給されて、切替制御がなされるように構成されている。
【0172】
この第3の実施形態では、位置指示器1Bは、位置検出装置201のセンサに対して、第1の実施形態における信号送信制御方法の第2の例を用いて、シールド用部材7Bによる芯体6Bのシールド状態を伝達するようにする。
【0173】
また、この第3の実施形態では、位置指示器1Bの芯体6Bの先端部が位置検出装置201のセンサと接触していない、いわゆるホバー状態においては、発振回路302からの信号を芯体6Bからのみでなく、シールド用部材7Bの3個の電極71Ba,71Bb,71Bcからも送出するようにして、位置指示器1Bがホバー状態でも、位置検出装置201が、位置指示器1Bの位置を検出することが可能に構成されている。
【0174】
なお、この例では、コントローラ301Bは、位置指示器1Bがホバー状態であるか否かは、筆圧検出ユニット5Bの圧力センシングデバイス59の静電容量に基づいて検出される筆圧に基づいて判別するようにしている。
【0175】
図14は、この第3の実施形態の位置指示器1Bの信号送信制御回路30Bのコントローラ301Bの処理動作例を説明するためのフローチャートである。また、
図15は、位置指示器1Bの芯体6Bの先端部が位置検出装置201のセンサと接触しているときの信号送信制御回路30Bにおける信号送信制御方法を説明するためのタイミングチャートである。以下、これら
図14及び
図15を参照しながら、この第3の実施形態の位置指示器1Bの信号送信制御回路30Bにおける送信信号制御方法を説明する。
【0176】
図14に示すように、コントローラ301Bは、電源スイッチPswがオンとされているかどうかにより、電源がオンとされたか否か判別する(ステップS201)。ステップS201で、電源がオンとされたと判別したときには、コントローラ301Bは、発振回路302に供給するイネーブル信号CTBにより、ホバー状態での信号を送出するように制御して、芯体6Bから当該信号を送出すると共に、切替制御信号SWa,SWb,SWcにより、スイッチ回路303Ba,303Bb,303Bcの可動端子aを固定端子bに接続する状態に切替制御して、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcの全てからホバー状態での信号を送出するように制御する(ステップS202)。ここで、ホバー状態での信号は、例えば、筆圧情報等の付加情報を含まないバースト信号を所定周期で繰り返すような信号とされる。
【0177】
そして、コントローラ301Bは、筆圧検出ユニット5の圧力センシングデバイス59で構成される可変容量キャパシタ59Cの静電容量を前述したようにして検出して、筆圧が検出されたか否か判別する(ステップS203)。このステップS203で、筆圧が検出されていないと判別したときには、コントローラ301Bは、処理をステップS202に戻し、ステップS202以降の処理を繰り返す。
【0178】
ステップS203で、筆圧が検出されて、位置指示器1Bの芯体6Bのペン先が位置検出装置201のセンサのセンサ面に接触した判別したときには、コントローラ301Bは、ステップS204~ステップS207を順次に実行して、以下に説明するように、位置検出装置201に対して、位置指示器1Bによる指示位置を検出させると共に、位置指示器1Bの芯体6Bの軸心方向のセンサ面に対する傾き角及び位置指示器1Bの回転を検出させるようにする信号送信制御を行う。
【0179】
この信号送信制御は、
図15(A)に示すような位置検出用信号の送信期間PBsと付加情報の送信期間PBadとからなる期間を1周期Tcとして、繰り返すことで行う。この場合に、位置検出用信号の送信期間PBsは、
図6(A)~(C)で説明した、位置検出装置側で位置指示器1Bによる指示位置の検出が可能な位置検出用信号の送出期間の5倍の長さの期間とされている。付加情報の送信期間PBadは、
図6(A)~(C)で説明した付加情報の送信期間と同様でよい。
【0180】
コントローラ301Bは、ステップS203で筆圧が検出されたと判別したときには、
図15に示すように、発振回路302から位置検出用信号を送出させると共に、送信期間PBsの1/5の長さの最初の送出期間P1において、切替制御信号SWa(
図15(B)参照)、切替制御信号SWb(
図15(C)参照)、切替制御信号SWc(
図15(D)参照)により、スイッチ回路303Ba,303Bb,303Bcの可動端子aを固定端子cに接続する状態に切替制御して、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcの全てを接地する(ステップS204)。これにより、芯体6Bは、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcで静電シールドされた状態(シールドオン)で、位置検出用信号を芯体6Bを通じてセンサに対して送出する状態となる。
【0181】
次に、最初の送出期間P1が終了して、送信期間PBsの1/5の長さの2番目の送信期間P2になると、コントローラ301Bは、切替制御信号SWa(
図15(B)参照)、切替制御信号SWb(
図15(C)参照)、切替制御信号SWc(
図15(D)参照)により、スイッチ回路303Ba,303Bb,303Bcの可動端子aを固定端子dに接続する状態に切替制御して、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcの全てを電位的に浮いた状態にする(ステップS205)。これにより、芯体6Bは、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcによる静電シールドを解除された状態で、位置検出用信号を芯体6Bを通じてセンサに対して送出する状態となる。
【0182】
位置検出装置では、前述と同様にして、送信期間P1において、位置指示器1Bからの信号の受信信号を検出し、その受信信号レベルから位置指示器1Bにより指示された位置を検出することができると共に、2つの送信期間P1及び送信期間P2における位置指示器1Bからの信号の受信信号を検出し、その受信信号レベルがピーク値を呈するセンサ上の位置の差から、位置指示器1Bの芯体6Bの軸心方向のセンサ面に対する傾き角を検出することができる。
【0183】
次に、2番目の送出期間P2が終了すると、コントローラ301Bは、それぞれ送信期間PBsの1/5の長さの3番目の送信期間P3、4番目の送信期間P4、5番目の送信期間P5のそれぞれにおいて、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcを、それぞれ一つずつ接地する状態に制御するようにする(ステップS206)。すなわち、
図15の例においては、3番目の送信期間P3では、切替制御信号SWa(
図15(B)参照)により、スイッチ回路303Baは可動端子aを固定端子cに接続するようにすると共に、切替制御信号SWb(
図15(C)参照)及び切替制御信号SWc(
図15(D)参照)により、スイッチ回路303Bb及びスイッチ回路303Bcの可動端子aを固定端子dに接続するように制御する。
【0184】
これにより、芯体6Bは、3番目の送信期間P3、4番目の送信期間P4、5番目の送信期間P5のそれぞれにおいて、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcの内の一つの電極のみにより静電シールドされる状態となる。したがって、位置検出装置では、静電シールドとして働く電極及び静電シールドが解除された状態となる電極に応じて異なる受信信号を、3番目の送信期間P3、4番目の送信期間P4、5番目の送信期間P5のそれぞれにおいて受信する。したがって、位置検出装置は、その受信信号の変化により、位置指示器1Bがいずれの方向に、どの程度回転したかを検出することができる。
【0185】
次に、5番目の送出期間P5が終了して付加情報の送信期間PBadになると、コントローラ301Bは、発振回路302を、筆圧データなどからなる付加情報を送出するように制御すると共に、切替制御信号SWa(
図15(B)参照)、切替制御信号SWb(
図15(C)参照)、切替制御信号SWc(
図15(D)参照)により、スイッチ回路303Ba,303Bb,303Bcの可動端子aを固定端子cに接続する状態に切替制御して、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcの全てを接地する(ステップS204)。これにより、芯体6Bは、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcで静電シールドが解除された状態(シールドオフ)で、付加情報を芯体6Bを通じてセンサに対して送出する状態となる。
【0186】
したがって、位置検出装置では、位置指示器1Bからの付加情報を、検出することが可能となる。
【0187】
次に、コントローラ301Bは、芯体6Bに印加されていた筆圧が消失したことが所定時間以上継続しているか否か判別し(ステップS208)、筆圧が消失したことが所定時間以上継続していなければ、処理をステップS204に戻し、このステップS204以降の上述した周期Tcの送信制御処理動作を繰り返す。また、筆圧が消失したことが所定時間以上継続したと判別したときには、コントローラ301Bは、処理をステップS202に戻し、このステップS202以降の処理を繰り返す。
【0188】
ここで、ステップS208で判別する、筆圧が消失したことが継続する所定時間は、使用者が、位置指示器1Bによるセンサ面での指示入力を一時休止するような時間とされる。これにより、使用者が、一旦位置指示器1Bをセンサ面から離してすぐに再度センサ面に接触させて指示入力をするときには、筆圧が検出されている状態として、上述の周期Tcを繰り返す動作を継続することができて、便利である。
【0189】
上述した第3の実施形態の位置指示器1Bによれば、位置検出装置では、位置指示器1Bの芯体6Bのセンサ面に対する傾き角のみではなく、位置指示器1Bの回転も検出することができる。傾きの検出精度が落ちるが、傾き角検出用区画のシールドオフの期間を止めて、回転検出用区間で検出された信号から傾き角を計算することもできる。
【0190】
[第3の実施形態の変形例]
上述の第3の実施形態では、第1の実施形態における信号送信制御方法の第2の例を用いて、シールド用部材7Bによる芯体6Bのシールド状態を伝達するようにした。しかし、第1の実施形態における信号送信制御方法の第1の例を適用することもできる。その場合には、3個の電極71Ba,71Bb,71Bcの全てによる静電シールドの状態と、各1個の電極による静電シールドの状態とを、位置検出装置に伝達する情報を、位置指示器1Bから送出する信号に含めるようにすればよい。
【0191】
また、第3の実施形態においても、第2の実施形態と同様にして、位置検出装置側からの要求信号を受けて、傾き角や回転を検出するための信号送出制御をするようにしてもよい。その場合に、第2の実施形態と同様に、位置指示器の筐体のペン先側に、第2の実施形態と同様に、導体スリーブなどの導体を設け、この導体スリーブと位置検出装置のセンサとを静電結合させて、位置検出装置からの要求信号を受信する方法と、
図11に示したように、電波などによる無線通信手段を用いて、位置指示器と位置検出装置との間の通信で、要求信号の授受をするようにしてもよい。
【0192】
また、導体スリーブを設けずに、芯体を、信号送信用と、位置検出装置からの要求信号の受信用とに時分割で制御するようにしてもよい。これは、上述した第2の実施形態の場合にも適用することができる。
【0193】
なお、上述の第3の実施形態では、位置指示器の回転を位置検出装置で検出させるために、シールド用部材の導体を周方向に3分割して、3個の電極を設けるようにしたが、導体の分割数は、2個以上であればいくつでもよい。
【0194】
[その他の実施形態または変形例]
なお、位置指示器と位置検出装置のセンサとの間で静電的インタラクションを可能にする結合状態は、筆圧検出ユニット5による筆圧検出に基づいて、センサにタッチしている状態の検出でもよいし、導体スリーブや芯体を通じてセンサから受信した信号のレベルの基づいて検出するようにしてもよい。
【0195】
位置指示器と位置検出装置とを電波による無線通信手段で接続する場合においては、位置指示器と、位置検出装置のセンサとの静電的なインタラクションが可能となる結合状態になったかどうかを位置検出装置側で判断し、結合状態を判別したら、その旨を無線通信により位置指示器に通知するようにしてもよい。
【0196】
上述の実施形態では、筆圧検出ユニットは、芯体に印加される筆圧を検出するために、可変容量キャパシタを構成する部材や素子を用いるようにしたが、これに限らず、インダクタンス値や抵抗値を筆圧に応じて可変とする構造や素子を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0197】
1,1A,1B…位置指示器、2…筐体、3…プリント配線基板、5,5A,5B…筆圧検出ユニット、6,6A,6B…芯体、7,7A,7B…シールド用部材、8…圧力伝達部材、9…無線通信部、30,30A,30B…信号送信制御回路、301,301A,301B…コントローラ、302,302A…発振回路、304…電源回路、305…受信信号検出回路、303、303A,303Ba,303Bb,303Bc…スイッチ回路