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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】断熱構造、および断熱構造の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/62 20060101AFI20220614BHJP
   E04B 1/76 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E06B1/62 Z
E04B1/76 500F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017185223
(22)【出願日】2017-09-26
(65)【公開番号】P2019060125
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2020-06-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】豊田 兼昭
(72)【発明者】
【氏名】弘末 雅也
【審査官】鳥井 俊輔
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-071058(JP,A)
【文献】特開2000-274147(JP,A)
【文献】実開昭61-041706(JP,U)
【文献】特開2014-091919(JP,A)
【文献】特開平08-013923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の躯体と、
前記躯体に取付けられたサッシ枠と、
下地材と断熱材とが予め一体に形成され、かつ前記躯体の壁面に配置される内装材と、を備える断熱構造であって、
前記サッシ枠と前記内装材との間に形成された隙間を閉塞する気密材を備えていることを特徴とする断熱構造。
【請求項2】
鉄筋コンクリート製の建築物の壁状の躯体と、
前記躯体に取付けられたサッシ枠と、
発泡プラスチック系断熱材を有し、かつ前記躯体の壁面に配置される内装材と、を備える断熱構造であって、
前記躯体の室内側の壁面と前記発泡プラスチック系断熱材との間に空間を有し、
前記サッシ枠と前記内装材との間に形成された隙間を閉塞する気密材を備え、
前記サッシ枠に配置される窓枠部材を更に備え、
前記気密材は、前記サッシ枠と前記窓枠部材、および前記窓枠部材と前記発泡プラスチック系断熱材の端部との間に挟まれていることを特徴とする断熱構造。
【請求項3】
建築物の躯体と、
前記躯体に取付けられたサッシ枠と、
断熱材を有し、かつ前記躯体の壁面に配置される内装材と、を備える断熱構造であって、
前記サッシ枠と前記内装材との間に形成された隙間を閉塞する気密材を備え、
前記気密材は、前記躯体が画成する底面、および前記サッシ枠それぞれに固着された第2気密部を備えていることを特徴とする断熱構造。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に係る断熱構造の施工方法であって、
前記サッシ枠と、前記内装材と、の間に形成された前記隙間を、前記気密材により閉塞することを特徴とする断熱構造の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱構造、および内装材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示すような、建築物の躯体の壁面に施工される断熱材が知られている。
このような断熱材を施工する際には、断熱材を躯体の壁面に配置するとともに、躯体に取付けられたサッシ枠に窓枠部材を配置する。断熱材と窓枠部材とを互いに当接させることにより、断熱材と躯体との間の空間を閉塞し、例えば室内の暖められた空気が前記空間に進入することを防ぎ、躯体の壁面での結露の発生を抑えることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6047139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、躯体の壁面には凹凸があるため、躯体の壁面における、この壁面と断熱材とが対向する対向方向Xの位置がばらつくことがある。断熱材の、躯体の壁面からの前記対向方向Xの位置が定まりにくいことで、断熱材に当接させる窓枠部材の、前記対向方向Xの大きさが定まりにくくなり、窓枠部材の寸法の調整に手間がかかることがあった。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、断熱材と躯体との間の空間を、簡易かつ確実に閉塞することができる断熱構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る断熱構造は、建築物の躯体と、前記躯体に取付けられたサッシ枠と、断熱材を有し、かつ前記躯体の壁面に配置される内装材と、を備える断熱構造であって、前記サッシ枠と前記内装材との間に形成された隙間を閉塞する気密材を備えていることを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る内装材の施工方法は、建築物の躯体の壁面に、断熱材を有した内装材を配置する内装材の施工方法であって、前記躯体に取付けられたサッシ枠と、前記内装材と、の間に形成された隙間を、気密材により閉塞することを特徴とする。
【0008】
これらの発明によれば、サッシ枠と内装材との間に形成された隙間が、気密材により閉塞される。このため、例えば躯体の壁面に凹凸があること等により、内装材の、躯体の壁面に対する、この壁面と対向する対向方向Xの位置が定まりにくい場合であっても、内装材と躯体との間の空間を、簡易かつ確実に閉塞することができる。
【0009】
また、前記気密材は、前記サッシ枠および前記内装材それぞれに固着された第1気密部を備えてもよい。
【0010】
この場合、気密材が、サッシ枠および内装材それぞれに固着された第1気密部を備えているので、内装材と躯体との間の空間を、一層確実に閉塞することができる。
【0011】
また、前記気密材は、前記躯体が画成する底面、および前記サッシ枠それぞれに固着された第2気密部を備えてもよい。
【0012】
この場合、気密材が、前記躯体が画成する底面、およびサッシ枠それぞれに固着された第2気密部を備えているので、内装材と躯体との間の空間を、一層確実に閉塞することができる。
【0013】
また、前記気密材は、弾性材料により形成されてもよい。
【0014】
この場合、気密材が弾性材料により形成されているので、気密材を、例えば内装材やサッシ枠等といった、前記隙間の周囲に位置する部材に押し付けて弾性変形させることにより、内装材と躯体との間の空間を、確実に閉塞することができる。
【0015】
また、前記気密材は、薄膜材料により形成されてもよい。
【0016】
この場合、気密材が薄膜材料により形成されているので、気密材がかさ張るのを抑え、気密材の取扱性および施工性を確保することができる。
【0017】
また、前記サッシ枠に配置される窓枠部材を更に備え、前記気密材は、前記サッシ枠と前記窓枠部材との間に挟まれてもよい。
【0018】
この場合、気密材が、サッシ枠と、サッシ枠に配置される窓枠部材と、の間に挟まれているので、気密材が位置ずれしたり、気密材とサッシ枠との接続部分に隙間が生じたりするのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、断熱材と躯体との間の空間を、簡易かつ確実に閉塞することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態に係る断熱構造のうち、第1気密部を示す横断面図である。
図2図1に示す第1気密部の変形例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態に係る断熱構造のうち、第2気密部を示す縦断面図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る断熱構造のうち、第1気密部を示す横断面図である。
図5図4に示す第1気密部の変形例を示す横断面図である。
図6】本発明の第3実施形態に係る断熱構造のうち、第1気密部を示す横断面図である。
図7】本発明の第4実施形態に係る断熱構造のうち、(a)内装材の施工前の状態を示す横断面図、(b)内装材の施工後の状態を示す横断面図である。
図8図7に示す断熱構造の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、図1から図3を参照し、本発明の第1実施形態に係る断熱構造1について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は模式的なものであり、長さ、幅、および厚みの比率等は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る断熱構造1は、建築物の躯体10と、躯体10に取付けられたサッシ枠11と、サッシ枠11に配置される窓枠部材12と、断熱材21を有し、かつ躯体10の側壁をなす壁面10Aに配置される内装材20と、を備えている。躯体10は例えば鉄筋コンクリート等により形成されている。また、躯体10の壁面10Aには、既設の断熱材としての吹付ウレタン(図示せず)等が、一面に貼られていてもよい。
【0023】
例えばリフォームの際には、既設の内装材20が、躯体10の壁面10Aに接着剤40により固着されている。この接着剤40の一部が、躯体10の壁面10Aに残置されることがある。これにより、躯体10の壁面10Aには、この壁面10Aと内装材20とが対向する方向に向けて張出す、又は窪む凹凸が形成されていることがある。
以下の説明において、躯体10の壁面10Aと内装材20とが対向する方向を対向方向Xといい、上下方向Zから見た横断面視において、対向方向Xと直交する方向を直交方向Yという。対向方向Xおよび直交方向Yはともに、水平方向に延びている。
【0024】
躯体10には、対向方向Xから見た正面視で矩形状をなし、対向方向Xに開口する開口部10Bが形成されている。
サッシ枠11は、躯体10の開口部10Bに取付けられている。サッシ枠11は開口部10Bの全周にわたって延びている。サッシ枠11は正面視で矩形枠状をなしている。サッシ枠11には、躯体10の内側(室内)と外側(室外)とを連通可能に仕切る窓やドア等の開閉部材が配置される。サッシ枠11は、例えばアルミニウム材料等の金属材料により形成されている。
【0025】
サッシ枠11における室内側の端部には、室内側に向けて突出するサッシアングル11Aが形成されている。なお、サッシ枠11には、サッシアングル11Aが形成されていなくてもよい。
窓枠部材12は、正面視でサッシ枠11と同等の大きさの矩形枠状をなしている。図1に示す横断面図において、窓枠部材12は対向方向Xに延びる矩形状をなしている。窓枠部材12は、躯体10の開口部10Bのうち、床材50における上方を向く床面50Aよりも上方に位置する部分の全周にわたって、サッシ枠11に沿って延びている。図3に示すように、床材50は、サッシ枠11のうち、下側に位置し、横方向に延びる部分に配置されている。床材50は躯体10における底面10Cの上方に位置し、開口部10Bおよびサッシアングル11Aに上下方向Zに挟まれている。
【0026】
図1に示すように、内装材20は、断熱材21および下地材22を備えている。断熱材21および下地材22は、別体であっても一体であってもよい。内装材20は躯体10の壁面10Aに配置される。内装材20は、断熱材21が躯体10の壁面10Aを向き、下地材22が室内を向いた状態で配置される。下地材22および断熱材21それぞれの表裏面の大きさは、互いに同等となっている。断熱材21は接着剤40により躯体10の壁面10Aに固着されている。下地材22は図示しない長ビス等の固定部材により、断熱材21に固定されている。内装材20は、直交方向Yに隣り合うように複数配置されている。
【0027】
断熱材21としては、例えば、JISA9511準拠の発泡プラスチック系断熱材、すなわち、フェノール樹脂発泡体、硬質ウレタンフォーム、イソシアヌレートフォーム、押出法ポリスチレンフォーム、ビーズ法ポリスチレンフォーム等が使用され、これらの発泡プラスチック系断熱材に真空断熱材を埋設してもよい。
通常、断熱材21の両面には、クラフト紙、ガラス繊維混抄紙、水酸化アルミニウム紙、寒冷紗、ライナー紙、エンボス加工紙、複合紙などの紙や、ガラス繊維織布、ガラス繊維不織布、ポリエステル不織布、ポリプロピレン不織布などの不織布、アルミニウム箔、ポリエチレン加工紙などの非透湿シートが面材として積層される。
【0028】
断熱材21は、現場でカッターや丸鋸等で容易に加工できるものとされていることが好ましく、後述する気密材30との接着性の観点から、ガラス繊維混抄紙、ガラス繊維不織布、ポリエステル不織布が好ましい。
また、内装材20のうち、少なくとも断熱材21は気密性を備えており、厚さ25mmにおける透湿係数が200ng/(m・s・Pa)以下とされ、100ng/(m・s・Pa)以下が好ましく、60ng/(m・s・Pa)以下がより好ましく、50ng/(m・s・Pa)以下が最も好ましい。
断熱材21の厚さとしては、十分な断熱性を得るため15mm以上とされ、室内空間を広くするため40mm以下とされており、20mm以上30mm以下が好ましい。
【0029】
下地材22としては、例えば、石膏ボード、耐水石膏ボード、合板、亜鉛メッキ鋼板、珪酸カルシウム板、木毛セメント板や構造用パネル、パーティクルボード、シージングボード、MDF、ハードボード、積層繊維板、構造用合板等の木質系ボード、およびロックウール吸音板等が使用される。
【0030】
そして本実施形態に係る断熱構造1は、サッシ枠11と内装材20との間に形成された隙間を閉塞する気密材30を備えている。気密材30は非透湿性の薄膜材料により長尺のシート状に形成されている。
また本実施形態では、図1および図3に示すように、気密材30は、サッシ枠11および内装材20それぞれに固着された第1気密部31と、躯体10が画成する底面10C、およびサッシ枠11それぞれに固着された第2気密部32と、を備えている。第1気密部31は、サッシ枠11のうち、床材50の床面50Aよりも上方に位置する部分に沿って形成され、第2気密部32は、サッシ枠11のうち、床材50の床面50Aよりも下方に位置する部分に沿って形成されている。
【0031】
図1に示すように、第1気密部31では、気密材30は断熱材21における直交方向Yを向く側面に固着されている。また、気密材30は、サッシ枠11のうち、対向方向における室内側に位置するとともに室内側を向く内面に固着されている。これにより、気密材30は、サッシ枠11と断熱材21との間に形成された隙間を被覆して閉塞している。気密材30は例えば接着剤を用いて固着してもよいし、予め接着剤が貼付された両面テープとして形成してもよい。
【0032】
特に、第1気密部31に用いられる気密材30としては、特開2013-249436号などに記載されているような、ポリエチレンなどの非透湿性樹脂で構成された長尺の非透湿性シートの長尺側端部と、長尺の粘着テープの長尺側端部と、が予め一体となった長尺の養生シート(いわゆるマスカーテープ)を用いることが好ましい。
なお、図2に示す変形例に係る断熱構造1Bのように、断熱材21および下地材22が壁面10Aへの施工前から予め一体に形成されている場合等において、第1気密部31における気密材30を、断熱材21における躯体10側を向く外面に固着してもよい。
【0033】
また本実施形態では、図1に示すように、第1気密部31における気密材30の一方側の端部は、サッシ枠11と窓枠部材12との間に挟まれている。窓枠部材12はサッシ枠11の内面およびサッシアングル11Aそれぞれに当接するように配置されている。そして気密材30の一方側の端部の位置が、サッシ枠11と窓枠部材12とにより固定されている。
また、気密材30の他方側の端部は、断熱材21と窓枠部材12との間に挟まれている。
なお、気密材30の他方側の端部は、躯体10の壁面10Aに固着してもよい。このとき、気密材30が固着される壁面10Aに、既設の吹付ウレタン等が貼られている場合には、これらの既設のウレタン等をあらかじめ除去しておくことが好ましい。
【0034】
図3に示すように、躯体10の壁面10Aのうち、床下に位置する部分には下地材22が配置されていない。
第2気密部32における気密材30は、躯体10が画成する底面10Cのうち、断熱材21が配置された部分よりも対向方向Xにおける室内側に固着されている。気密材30はまた、サッシ枠11の内面に固着されている。これにより、気密材30は、サッシ枠11と断熱材21との間に形成された隙間を被覆して閉塞している。図示の例では、気密材30が断熱材21の上端部に当接している。なお、気密材30は断熱材21と当接していなくてもよい。また、第2気密部32に用いられる気密材30としては、第1気密部31に用いられるものと同様にマスカーテープを用いることが好ましい。
【0035】
次に、本実施形態に係る内装材20の施工方法について説明する。
本実施形態に係る内装材20の施工方法では、まず、建築物の躯体10の壁面10Aに内装材20を配置する。内装材20の配置に際しては、まず断熱材21を躯体10の壁面10Aに配置した後に、下地材22を断熱材21における室内側を向く内面に配置する。断熱材21の外面に接着剤40を付着して、断熱材21を躯体10の壁面10Aに固着する。この際、躯体10の壁面10Aの凹凸により、躯体10の壁面10Aと断熱材21との間には空間が形成される。
なお、断熱材21および下地材22が壁面10Aへの施工前から予め一体に形成されている場合には、断熱材21を躯体10の壁面10Aに向けた状態で、内装材20を躯体10の壁面10Aに配置する。
【0036】
そして本実施形態では、躯体10に取付けられたサッシ枠11と、内装材20と、の間に形成された隙間を、気密材30により閉塞する。この際、例えば床材50の床面50Aよりも上方に位置する部分から作業を開始する。気密材30の端部を、サッシ枠11の内面と、断熱材21における直交方向Yを向く側面と、にそれぞれ固着する。これにより第1気密部31が形成される。そして、第1気密部31をサッシ枠11に沿って上下方向Zおよび直交方向Yに向けて順次形成する。気密材30の固着は、例えば接着シール等を用いて行うことができる。
【0037】
次に、床材50の床面50Aよりも上方に位置する部分の全体に第1気密部31を形成した後に、サッシ枠11のうち、床下に位置する部分において、第2気密部32を形成する。すなわち、気密材30の他方側の端部を、躯体10が画成する底面10Cと、サッシ枠11と、にそれぞれ固着する。そして、第2気密部32をサッシ枠11に沿って直交方向Yに、順次形成する。
第1気密部31および第2気密部32は連続して一体に形成することが望ましい。これにより、断熱材21と躯体10との間の空間を、確実に閉塞することができるからである。なお、先述した作業の順番に限られず、第1気密部31よりも先に第2気密部32を形成してもよい。
【0038】
そして最後に、窓枠部材12をサッシ枠11に配置する。窓枠部材12はサッシ枠11の内面およびサッシアングル11Aそれぞれに当接するように配置する。この際、気密材30の一方側の端部を、窓枠部材12およびサッシ枠11により挟み込むことで、気密材30の一方側の端部を固定する。なお、気密材30の端部は、サッシ枠11に対する固着、および窓枠部材12およびサッシ枠11による挟み込みのうち、いずれか一方により固定してもよい。
また、気密材30の他方側の端部を、窓枠部材12および断熱材21により挟み込むことで、気密材30の他方側の端部を固定する。
窓枠部材12をサッシ枠11に配置することで、内装材20の直交方向Yの端部と、窓枠部材12と、が互いに当接する。
【0039】
また、気密材30は、直交方向Yに互いに隣り合う内装材20同士の間を閉塞するように配置されている。気密材30は、互いに隣り合う内装材20同士の間に、直交方向Yに挟まれている。これにより、互いに隣り合う内装材20同士の間を通して、室内から、壁面10Aと断熱材21との間の空間への空気の流通を遮断できる。
【0040】
以上説明したように、本実施形態に係る断熱構造1によれば、サッシ枠11と内装材20との間に形成された隙間が、気密材30により閉塞される。このため、例えば躯体10の壁面10Aに凹凸があること等により、内装材20の、躯体10の壁面10Aに対する対向方向Xの位置が定まりにくい場合であっても、内装材20と躯体10との間の空間を、簡易かつ確実に閉塞することができる。
【0041】
また気密材30が、サッシ枠11および内装材20それぞれに固着された第1気密部31と、躯体10が画成する底面10C、およびサッシ枠11それぞれに固着された第2気密部32と、を備えている。このため、内装材20と躯体10との間の空間を、一層確実に閉塞することができる。
【0042】
また気密材30が薄膜材料により形成されているので、気密材30がかさ張るのを抑え、気密材30の取扱性および施工性を確保することができる。
また気密材30が、サッシ枠11と、サッシ枠11に配置される窓枠部材12と、の間に挟まれているので、気密材30が位置ずれしたり、気密材30とサッシ枠11との接続部分に隙間が生じたりするのを防ぐことができる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、図4を参照し、本発明の第2実施形態に係る断熱構造2について説明する。なお、
以下の説明において、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図4に示すように、本実施形態に係る断熱構造2では、内装材20のうち、断熱材21と下地材22との間に木枠60が配置されている。木枠60は、直交方向Yに間隔をあけて複数配置されている。複数の木枠60のうち、直交方向Yの一方側に位置する木枠60は、窓枠部材12と直交方向Yに隣接している。
【0044】
断熱構造2における気密材30の他方側の端部は、断熱材21における室内側を向く内面に固着されている。気密材30の他方側の端部は、木枠60と、断熱材21の内面と、により挟まれている。これにより、気密材30を一層強固に固定することができる。
また、本実施形態では、気密材30は、直交方向Yに互いに隣り合う断熱材21同士の間を覆うように、断熱材21における室内側を向く内面に固着されている。木枠60および断熱材21は、この気密材30を、対向方向Xに挟んでいる。
【0045】
断熱構造2の変形例として、図5に示す断熱構造2Bのように、気密材30を、断熱材21における躯体10側を向く外面に固着してもよい。この場合には、木枠60と、断熱材21と、の間に気密材30が配置されない。このため、窓枠部材12と隣り合う位置における木枠60の収まりを良くすることができる。
【0046】
(第3実施形態)
次に、図6を参照し、本発明の第3実施形態に係る断熱構造3について説明する。なお、
以下の説明において、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図6に示すように、本実施形態に係る断熱構造3では、内装材20のうち、断熱材21と下地材22との間には、木枠60に代えて金属製スタッド65が配置されている。
【0047】
金属製スタッド65は、板金等を曲げ加工により成形した断面C字状をなす枠状部材である。金属製スタッド65は、直交方向Yに間隔をあけて複数配置されている。
複数の金属製スタッド65のうち、直交方向Yの一方側に位置する金属製スタッド65は、窓枠部材12と直交方向Yに隙間をあけて配置されている。このように、木枠60に代えて金属製スタッド65を採用することで、断熱材21と下地材22との間に配置される部材を軽量化することができる。
【0048】
(第4実施形態)
次に、図7および図8を参照し、本発明の第4実施形態に係る断熱構造4について説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同一の構成については同一の符号を付してその説明は省略し、異なる点についてのみ説明する。
図7に示すように、本実施形態に係る断熱構造4では、気密材30Bが弾性材料により形成されている。気密材30Bは直交方向Yに所定の厚みを備えている。気密材30Bの厚みは対向方向Xの全域にわたって同等となっている。気密材30Bは、窓枠部材12の外表面のうち、内装材20と当接する面に固着されている。気密材30Bは、例えば接着剤等を用いて窓枠部材12の外表面に固着されている。
【0049】
次に、本実施形態に係る内装材20の施工方法について説明する。
本実施形態では、図7(a)に示すように、内装材20を躯体10の壁面10Aに配置する前に、窓枠部材12をサッシ枠11に配置する。この際、窓枠部材12に固着された気密材30Bは、直交方向Yのうちの躯体10の壁面10A側を向いている。
そして、図7(b)に示すように、躯体10の壁面10Aに内装材20を配置する。図示の例では、内装材20は断熱材21および下地材22が一体に形成されている。内装材20における断熱材21および下地材22それぞれの直交方向Yの端部が、窓枠部材12に固着された気密材30Bに当接する。
【0050】
ここで、内装材20を気密材30Bに直交方向Yに押し当てることで、気密材30Bを僅かに弾性変形させる。これにより、気密材30Bと内装材20との間の隙間を完全に閉塞することができる。
なお、第2実施形態に係る断熱構造4の変形例として、図8に示す断熱構造4Bのように、気密材30Bを、窓枠部材12に固着することなく、内装材20の外表面のうち、窓枠部材12と当接する面に固着してもよい。
【0051】
以上説明したように、本実施形態に係る断熱構造4によれば、気密材30Bが弾性材料により形成されている。このため、気密材30Bを、例えば内装材20やサッシ枠11等といった、前記隙間の周囲に位置する部材に押し付けて弾性変形させることにより、内装材20と躯体10との間の空間を、確実に閉塞することができる。
【0052】
また、窓枠部材12における内装材20と当接する面に、弾性材料により形成された気密材30Bが配置されているので、気密材30Bに内装材20を押し当てることで、確実に内装材20と躯体10との間の空間を閉塞することができる。
【0053】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0054】
例えば、上記第1実施形態においては、気密材30が、サッシ枠11および内装材20それぞれに固着された第1気密部31を備えている構成を示したが、このような態様に限られない。例えば第1気密部31に代えて、躯体10の壁面10Aおよび内装材20それぞれに気密材30を固着してもよい。
【0055】
また、上記第1実施形態においては、気密材30が、躯体10が画成する底面10C、およびサッシ枠11それぞれに固着された第2気密部32を備えている構成を示したが、このような態様に限られない。例えば第2気密部32に代えて、断熱材21およびサッシ枠11それぞれに気密材30を固着してもよい。
【0056】
また、上記第1実施形態においては、気密材30が薄膜材料により形成されているとともに、気密材30がサッシ枠11と窓枠部材12との間に挟まれている構成を示したが、このような態様に限られない。気密材30は薄膜材料により形成されなくてもよいし、サッシ枠11と窓枠との間に挟まれていなくてもよい。
また、上記第2実施形態においては、気密材30Bが弾性材料により形成されている構成を示したが、このような態様に限られない。気密材30Bは弾性材料により形成されなくてもよい。
【0057】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1、1B、2、2B、3、4、4B 断熱構造
10 躯体
10A 壁面
10C 底面
11 サッシ枠
12 窓枠部材
20 内装材
21 断熱材
30、30B 気密材
31 第1気密部
32 第2気密部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8