(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】リニアモータ
(51)【国際特許分類】
H02K 33/18 20060101AFI20220614BHJP
H02K 41/03 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H02K33/18 B
H02K41/03 A
(21)【出願番号】P 2017232329
(22)【出願日】2017-12-04
【審査請求日】2020-07-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第103731002(CN,A)
【文献】特開平02-062010(JP,A)
【文献】特開昭63-314157(JP,A)
【文献】特開平05-168219(JP,A)
【文献】特開昭58-023362(JP,A)
【文献】実開昭63-164371(JP,U)
【文献】特開平04-255456(JP,A)
【文献】特開2008-245475(JP,A)
【文献】特表2006-504271(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0288524(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 33/18
H02K 41/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気的空隙において可動方向に移動可能に設けられる可動子と、
互いに対向するように、前記可動方向と直交する第1方向に離隔して配置された第1ヨーク及び第2ヨークと、
前記第1ヨークに固定され、前記磁気的空隙を介して前記第2ヨークと対向し、前記磁気的空隙に界磁磁界を形成する界磁磁石と、
を備え、
前記可動方向および前記第1方向それぞれに直交する第2方向に離隔して配置され、前記第1ヨークと前記第2ヨークの間の前記第1方向の間隔を保持する第1スペーサおよび第2スペーサを有し、
前記可動子は、前記可動方向および前記第2方向に延在する単一のコイルを含み、
前記第1スペーサおよび前記第2スペーサは、前記可動方向から見たときに、前記コイルと重複しない位置において前記コイルを挟んで配置され、
前記磁気的空隙は前記第2ヨークに面して
おり、
前記可動方向の幅において、前記コイルの幅は前記第1ヨークおよび前記第2ヨークの幅よりも小さく、
前記コイルの前記第2方向幅は、前記界磁磁石の前記第2方向幅よりも大きく、前記第1スペーサと前記第2スペーサの間の間隔よりも小さいことを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
前記第1ヨークと前記第2ヨークは、前記コイルの前記可動方向の最大幅よりも狭い間隔で、前記可動方向に互いに離れて配置される複数のボルトによって互いに固定されることを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記第1ヨークおよび前記第2ヨークは、軟磁性鋼板で形成されており、
前記第1スペーサおよび前記第2スペーサは、非磁性のステンレス材料で形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のリニアモータ。
【請求項4】
別の磁気的空隙において移動可能に設けられる別の可動子と、
前記第2ヨークと対向するように、前記第2ヨークの前記第1ヨークとは反対側に離隔して配置された第3ヨークと、
前記第2ヨークに固定され、前記別の磁気的空隙を介して前記第3ヨークと対向し、前記別の磁気的空隙に別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石と、
をさらに備え、
前記別の磁気的空隙は前記第3ヨークに面しており、
前記界磁磁石および前記別の界磁磁石は、前記第1方向に磁化されており、
前記界磁磁石の前記第1方向で前記別の界磁磁石側の表面の磁極と、前記別の界磁磁石の前記第1方向で前記界磁磁石側の表面の磁極と、は互いに逆極性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリニアモータ。
【請求項5】
別の磁気的空隙において移動可能に設けられる別の可動子と、
前記第1ヨークと対向するように、前記第1ヨークの前記第2ヨークとは反対側に離隔して配置された第3ヨークと、
前記第1ヨークに固定され、前記別の磁気的空隙を介して前記第3ヨークと対向し、前記別の磁気的空隙に別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石と、
をさらに備え、
前記別の磁気的空隙は前記第3ヨークに面しており、
前記界磁磁石および前記別の界磁磁石は、前記第1方向に磁化されており、
前記界磁磁石の前記第1方向で前記別の界磁磁石側の表面の磁極と、前記別の界磁磁石の前記第1方向で前記界磁磁石側の表面の磁極と、は互いに逆極性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリニアモータ。
【請求項6】
別の磁気的空隙において移動可能に設けられる別の可動子と、
前記第2ヨークと対向するように、前記第2ヨークの前記第1ヨークとは反対側に離隔して配置された第3ヨークと、
前記第3ヨークに固定され、前記別の磁気的空隙を介して前記第2ヨークと対向し、前記別の磁気的空隙に別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石と、
をさらに備え、
前記別の磁気的空隙は前記第2ヨークに面しており、
前記界磁磁石および前記別の界磁磁石は、前記第1方向に磁化されており、
前記界磁磁石の前記第1方向で前記別の界磁磁石側の表面の磁極と、前記別の界磁磁石の前記第1方向で前記界磁磁石側の表面の磁極と、は互いに逆極性であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のリニアモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアモータに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを直線運動に変換するためにリニアモータが利用される。例えば、特許文献1には、ヨークを有する固定子と、この固定子に沿って走行するように設けられた可動子とを有するリニアアクチュエータが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者はリニアモータについて以下の認識を得た。
生産設備に組み込まれるリニアモータは、高さ寸法が小さく薄いことが望ましい。リニアモータとして、磁気的空隙を介して高さ方向に対向配置された一対の磁石を備える構成が考えられる。この構成では、磁気回路からの漏れ磁束を減らすために一対の磁石の外側に設けられた一対のバックヨークを備えることが考えられる。このリニアモータの高さ寸法を低減するために、バックヨークを薄くすることが考えられる。しかし、バックヨークが薄すぎると、バックヨークは磁気的に飽和し、漏れ磁束が増大する可能性がある。
【0005】
漏れ磁束が大きいと、リニアモータによって駆動される装置の特性に影響を及ぼす可能性がある。例えば、リニアモータで駆動される電子線装置では、漏れ磁束が微弱な場合でも計測精度に影響が及ぶことが考えられる。
これらから、本発明者は、リニアモータには、漏れ磁束の増大を抑制しつつ薄型化を可能にする観点から、改善すべき課題があることを認識した。
このような課題は、生産設備に組み込まれるリニアモータに限らず他の用途のリニアモータについても生じうる。
【0006】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的は、漏れ磁束の増大を抑制しつつ薄型化することが可能なリニアモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のリニアモータは、磁気的空隙において可動方向に移動可能に設けられる可動子と、互いに対向するように、可動方向と直交する第1方向に離隔して配置された第1ヨーク及び第2ヨークと、第1ヨークに固定され、磁気的空隙を介して第2ヨークと対向し、磁気的空隙に界磁磁界を形成する界磁磁石と、を備える。磁気的空隙は第2ヨークに面する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、漏れ磁束の増大を抑制しつつ薄型化することが可能なリニアモータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るリニアモータの一例を示す正面図である。
【
図2】
図1のリニアモータの平面図である。
図2(a)は、第2ヨークを取付けた状態のリニアモータを示す。
図2(b)は、第2ヨークを外した状態のリニアモータを示す。
図2(c)は、コイル12を外した状態のリニアモータを示す。
【
図5】本発明の第2実施形態に係るリニアモータの一例を示す正面図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係るリニアモータの一例を示す正面図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係るリニアモータの一例を示す正面図である。
【
図8】第1変形例に係るリニアモータの一例を示す正面図である。
【
図9】第2変形例に係るリニアモータの一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに各図面を参照しながら説明する。実施の形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
また、第1、第2などの序数を含む用語は多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、この用語によって構成要素が限定されるものではない。
【0011】
[第1実施形態]
図1~
図4を参照して、本発明の第1実施形態に係るリニアモータ100について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るリニアモータ100を示す正面図である。
図2は、リニアモータ100を示す平面図である。
図2(a)は、第2ヨーク26を取付けた状態のリニアモータ100を示す。
図2(b)は、第2ヨーク26を外した状態のリニアモータ100を示す。
図2(c)は、コイル12とスペーサ28を外した状態のリニアモータを示す。
図3は、リニアモータ100を示す側面図である。
図3は、一対のスペーサ28bのうち手前側の1つを外した状態のリニアモータを示す。
【0012】
以下、XYZ直交座標系をもとに説明する。X軸方向は水平な左右方向に対応し、Y軸方向は水平な前後方向に対応し、Z軸方向は鉛直な上下方向に対応する。Y軸方向およびZ軸方向はそれぞれX軸方向に直交する。X軸方向は左方向、右方向あるいは横方向と、Y軸方向は前方向あるいは後方向と、Z軸方向は上方向、下方向あるいは高さ方向と表記することがある。これら方向の表記は、3方向それぞれを区別する目的で用いられ、リニアモータ100の使用姿勢を制限するものではない。
【0013】
(リニアモータ)
リニアモータ100は、可動子10と、固定子20と、を備える。固定子20は磁気的空隙30gを含む磁気回路30を有する。リニアモータ100は、磁気的空隙30gにおいて可動子10に可動方向の推力を生じさせるエネルギー変換機構として機能する。
図1~
図4では、リニアモータ100は、可動方向がY軸方向と一致するように配置されている
【0014】
(可動子)
可動子10は、コイル12と、コイル12をY軸方向に移動可能に支持する支持機構(不図示)と、を含む。コイル12は、X軸方向およびY軸方向に延在してZ軸方向に薄い板状の部材である。平面視において、コイル12は、X軸方向に平行な2辺とY軸方向に平行な2辺とを有し、四隅がR形状に丸められた略矩形の輪郭を有する。コイル12は、有鉄芯コイルであってもよいが、この例では、空芯コイルである。コイル12は、Z軸の周りを周回するように巻かれたワイヤから構成されてもよい。コイル12に駆動電流が流されると、コイル12はZ軸方向の磁束を発生する。
【0015】
(固定子)
固定子20は、界磁磁石22と、第1ヨーク24と、第2ヨーク26と、スペーサ28と、を含む。界磁磁石22、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、磁気的空隙30gに界磁磁界を形成する磁気回路30を構成する。磁気的空隙30gは、界磁磁石22と第2ヨーク26の間の空隙である。磁気的空隙30gは界磁磁石22および第2ヨーク26それぞれに面している。
【0016】
(ヨーク)
第1ヨーク24および第2ヨーク26の形状に限定はないが、この例では、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、X軸方向およびY軸方向に延在してZ軸方向に薄い板状の部材である。平面視において、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、X軸方向に平行な2辺とY軸方向に平行な2辺とを有する略矩形の輪郭を有する。第1ヨーク24および第2ヨーク26は、公知の様々な軟磁性材料で形成されてもよい。この例では、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、軟磁性鋼板で形成されている。第1ヨーク24および第2ヨーク26は、Z軸方向に離れて互いに平行に配置されている。特に、第1ヨーク24および第2ヨーク26は、互いに対向するように配置されている。
【0017】
第1ヨーク24および第2ヨーク26の磁気的空隙30g側の表面は、Z軸に直交する平面に平行に設けられている。
図2の例では、第1ヨーク24および第2ヨーク26それぞれのX軸方向の両端近傍には、それぞれ3つの孔24hが設けられている。3つの孔24hは所定の間隔でY軸方向に配列されている。各孔24hはZ軸方向に貫通している。孔24hは、第1ヨーク24と第2ヨーク26とを固定するためのボルト18bを挿通させるためのボルト孔である。
【0018】
(界磁磁石)
界磁磁石22は、磁気的空隙30gに界磁磁界を形成する磁束の供給源として機能する。界磁磁石22は、1または複数の磁石を含んでもよい。この例では、互いにY軸方向に隣接して配列された2個の磁石22bを含んでいる。各磁石22bは、X軸方向およびY軸方向に延在してZ軸方向に薄い板状の部材である。平面視において、各磁石22bは、X軸方向に平行な2辺とY軸方向に平行な2辺とを有する略矩形の輪郭を有する。各磁石22bの磁気的空隙30g側の表面は、Z軸に直交する平面に平行に設けられている。各磁石22bは、公知の様々な磁石材料で形成されてもよい。この例では、各磁石22bは、NdFeBなどの希土類磁石材料で形成されている。第1ヨーク24と第2ヨーク26との間において磁界を形成する磁石は、界磁磁石22だけである。界磁磁石22は、対向する2つのヨークの一方である第1ヨーク24にのみ設けられており、第2ヨーク26には設けられていない。
【0019】
界磁磁石22はZ軸方向に磁化され、界磁磁石22の磁気的空隙30g側の表面には、1または複数の磁極が設けられている。
図2の例では一方の磁石22bの上面(磁気的空隙30g側の表面)にはN極の磁極が設けられており、他方の磁石22bの上面(磁気的空隙30g側の表面)にはS極の磁極が設けられている。各磁石22bの磁極は磁気的空隙30gにZ軸方向の界磁磁界を発生させる。界磁磁石22は、公知の様々な手段によって第1ヨーク24に固定されてもよい。この例では、界磁磁石22は、接着により第1ヨーク24に固定されている。
【0020】
(スペーサ)
スペーサ28は、第1ヨーク24と第2ヨーク26のZ軸方向の間隔を保持する部材として機能する。スペーサ28は、1または複数のスペーサを含んでもよい。この例では、互いにX軸方向に離間して配列された一対のスペーサ28bを含んでいる。各スペーサ28bは、第1ヨーク24と第2ヨーク26のX軸方向の両端近傍に配置されている。各スペーサ28bは正面視の断面が略矩形の輪郭を有し、Y軸方向に伸びる角柱状の部材である。一例として、各スペーサ28bは、非磁性のステンレス材料で形成されてもよい。
図2の例では、各スペーサ28bには、所定の間隔でY軸方向に配列された3つの孔28hが設けられており、各孔28hはZ軸方向に貫通している。各孔28hは、第1ヨーク24と第2ヨーク26とを固定するためのボルト18bを挿通させるためのボルト孔である。各孔28hは、各ヨークの孔24hと対応する位置に設けられている。
【0021】
第1ヨーク24と第2ヨーク26とは、ボルト18bを第1ヨーク24の孔24hと、スペーサ28bの孔28hと、第2ヨーク26の孔24hと、に挿入し、ナット(不図示)を螺合させることにより、互いに固定されてもよい。
【0022】
次に、
図4を参照して各部の大きさについて説明する。
図4は、
図1のA-A線に沿った断面図である。
図4には、各部のZ軸方向に沿った高さ方向の寸法として、T1、T2、M1、G1、D1が示されている。T1は、第1ヨーク24の高さ方向の寸法であり、T2は、第2ヨーク26の高さ方向の寸法である。T1は、第1ヨーク24の磁石22b側の表面から反対側の表面までのZ軸方向寸法と定義してもよい。M1は、磁石22bの高さ方向の寸法である。M1は、磁石22bの第1ヨーク24側の表面から第2ヨーク26側の表面までのZ軸方向寸法と定義してもよい。G1は、磁気的空隙30gの高さ方向の寸法である。G1は、磁石22bの第2ヨーク26側の表面から、第2ヨーク26の磁石22b側の表面までのZ軸方向距離と定義してもよい。D1は、第1ヨーク24と第2ヨーク26の間の間隔である。D1は、第1ヨーク24の磁石22b側の表面から、第2ヨーク26の磁石22b側の表面までのZ軸方向距離と定義してもよい。
【0023】
T1、T2が大きすぎると、リニアモータ100の高さ寸法が過大になり、リニアモータ100の組み込み可能な機器の範囲が限定されうる。T1、T2が小さすぎると、磁束が飽和して第2ヨーク26から外部へ漏れる磁束が増え、外部機器の計測精度の低下の原因となりうる。T1、T2は、これらの観点から所望の漏れ磁束の大きさに応じて、設定されてもよい。T2はT1以上またはT1未満に設定されてもよい。
図1の例では、T2はT1と等しい。
【0024】
M1が大きすぎると、それだけG1が小さくなり、磁石22bがコイル12に接触する可能性が高くなる。M1が小さすぎると、磁気的空隙30gの界磁磁界が弱くなりコイル12の推力が不足するおそれがあり、磁石22bの高温減磁の原因となりうる。M1は、これらの観点から所望の推力を確保しつつ、コイル12との接触の可能性が実用的な範囲内となるように設定されてもよい。
【0025】
G1が大きすぎると、それだけM1が小さくなり、推力が不足するおそれがあり、また磁石22bの高温減磁の原因となりうる。G1が小さすぎると、磁石22bがコイル12に接触する可能性が高くなる。G1は、これらの観点から高温減磁の可能性およびコイル12との接触の可能性が実用的な範囲内となるように設定されてもよい。
【0026】
D1が一定である場合、M1とG1とは、一方を大きくすると他方が小さくなる関係にある。G1はM1の3倍以下、好ましくは、G1はM1の2倍以下となるように設定されてもよい。これらの範囲では、上述の推力や高温減磁の観点において実用的な特性が得られることがシミュレーションにより確認されている。シミュレーションによると、G1がM1の3倍を超えると磁気回路30の磁気抵抗が大きくなりすぎリニアモータの効率が低下しうる。なお、G1はM1の0.5倍以上であってもよい。この範囲では、コイル12との接触の可能性が実用的な範囲内となる。
【0027】
このように構成された第1実施形態に係るリニアモータ100の動作について説明する。磁気的空隙30gの界磁磁界中に配置されたコイル12に駆動電流が与えられると、フレミングの法則に従ってコイル12にY軸方向の推力が生まれる。この推力により、コイル12に接続された外部部材(不図示)がY軸方向に駆動される。
【0028】
[第2実施形態]
図5を参照して、本発明の第2実施形態に係るリニアモータ200について説明する。
図5は、本発明の第2実施形態に係るリニアモータ200を示す正面図である。
図5は、
図1に対応する。第2実施形態に係るリニアモータ200は、第1実施形態に係るリニアモータ100に対して、別の固定子20(B)と、別の可動子10(B)と、が設けられている点で相違し、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。
【0029】
外部機器の各部を個別に駆動するために、複数のリニアモータを高さ方向に配列して使用することが考えられる。この場合には、リニアモータをさらに高さ方向に薄く構成することが望ましい。第2実施形態に係るリニアモータ200は、このような課題に基づき案出されたものであり、複数の駆動対象を個別に駆動するリニアモータを高さ方向に薄く構成することができる。リニアモータ200は、複数のリニアモータが配列されたリニアモータアレイとして機能する。
【0030】
リニアモータ200は、可動子10と、固定子20と、別の可動子10(B)と、別の固定子20(B)と、を備える。可動子10と、固定子20と、については第1実施形態のリニアモータ100と同様であり、第1実施形態の説明はこれらの構成要素に適用されうる。
【0031】
別の固定子20(B)は、第2ヨーク26の界磁磁石22とは反対側にZ軸方向に積層されている。別の固定子20(B)は磁気的空隙36gを含む磁気回路36を有する。リニアモータ200は、磁気的空隙36gにおいて別の可動子10(B)に可動方向の推力を生じさせる。
図5の例では、別の可動子10(B)の可動方向は、可動子10の可動方向と同様にY軸方向と平行に設定されている。
【0032】
(別の可動子)
別の可動子10(B)は、コイル14と、コイル14をY軸方向に移動可能に支持する支持機構(不図示)と、を含む。コイル14は、第1実施形態のコイル12と同様であり、第1実施形態の説明はコイル14に適用されうる。
【0033】
(別の固定子)
別の固定子20(B)は、界磁磁石32と、第3ヨーク34と、スペーサ28と、を含む。界磁磁石32と、第3ヨーク34は、磁気的空隙36gに界磁磁界を形成する磁気回路36を構成する。磁気的空隙36gは、界磁磁石22と第3ヨーク34の間の空隙である。磁気的空隙36gは界磁磁石32および第3ヨーク34それぞれに面している。スペーサ28は、第1実施形態のスペーサ28と同様である。
【0034】
第3ヨーク34は、第1実施形態の第2ヨーク26と同様であり、第1実施形態の説明は第3ヨーク34に適用されうる。第3ヨーク34は、第2ヨーク26からZ軸方向で上方に離れて、第2ヨーク26と平行に配置されている。第3ヨーク34は、磁気的空隙36gと、界磁磁石32と、を挟んで第2ヨーク26と対向している。つまり、リニアモータ200は、下から順に積層された第1ヨーク24、界磁磁石22、磁気的空隙30g、第2ヨーク26、界磁磁石32、磁気的空隙36gおよび第3ヨーク34を含んでいる。
【0035】
(界磁磁石)
界磁磁石32は、磁気的空隙36gに界磁磁界を形成する。界磁磁石32は、互いにY軸方向に隣接して配列された2個の磁石32bを含んでいる。各磁石32bは、第1実施形態の磁石22bと同様であり、第1実施形態の説明は各磁石32bに適用されうる。界磁磁石32は、第2ヨーク26にのみ設けられており、第3ヨーク34には設けられていない。
図5の符号Cの枠内の図は、各磁石の磁化方向を模式的に示す部分図である。界磁磁石32はZ軸方向に磁化されている。一方の磁石32bの上面(磁気的空隙36g側の表面)にはN極の磁極が設けられており、他方の磁石32bの上面(磁気的空隙36g側の表面)にはS極の磁極が設けられている。各磁石32bの磁極は磁気的空隙36gにZ軸方向の界磁磁界を発生させる。界磁磁石32は、接着により第2ヨーク26に固定されてもよい。
【0036】
第2ヨーク26と第3ヨーク34との間において磁界を形成する磁石は、界磁磁石32だけである。界磁磁石32は、対向する2つのヨークの一方である第2ヨーク26にのみ設けられており、第3ヨーク34には設けられていない。
【0037】
リニアモータ200では、上面にN極の磁極が設けられた磁石22bの上方に配置された磁石32bの上面にはN極の磁極が設けられており、上面にS極の磁極が設けられた磁石22bの上方に配置された磁石32bの上面にはS極の磁極が設けられている。
【0038】
第1ヨーク24と第2ヨーク26と第3ヨーク34とは、それぞれの間にスペーサ28bを挟んでZ軸方向に沿って高さ方向に積層され、ボルトおよびナットにより互いに固定されてもよい。
【0039】
別の固定子20(B)の各部の寸法は、固定子20の各部の寸法に対応しており、固定子20の寸法T1、T2、M1、G1およびD1はそれぞれ別の固定子20(B)の対応する各部の寸法に適用されてもよい。
【0040】
このように構成された第2実施形態に係るリニアモータ200の動作について説明する。各磁気的空隙30g、36gの界磁磁界中に配置された各コイル12、14に駆動電流が与えられると、フレミングの法則に従って各コイル12、14にY軸方向の推力が生まれる。この推力により、各コイル12、14に接続された各外部部材(不図示)がY軸方向に駆動される。コイル12とコイル14とは互いに独立して駆動されてもよい。
【0041】
[第3実施形態]
図6を参照して、本発明の第3実施形態に係るリニアモータ300について説明する。リニアモータ300は、複数のリニアモータが配列されたリニアモータアレイとして機能する。
図6は、本発明の第3実施形態に係るリニアモータ300を示す正面図である。
図6は、
図1に対応する。第3実施形態に係るリニアモータ300は、第2実施形態に係るリニアモータ200に対して、別の固定子20(B)および別の可動子10(B)の配置が異なり、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。
【0042】
リニアモータ300は、可動子10と、固定子20と、別の可動子10(B)と、別の固定子20(B)と、を備える。可動子10、固定子20、別の可動子10(B)および別の固定子20(B)の各部材の構成については第2実施形態のリニアモータ200と同様であり、第2実施形態の説明はこれらの部材に適用されうる。第3実施形態のリニアモータ300では、固定子20の下側に別の可動子10(B)および別の固定子20(B)が設けられる。
【0043】
リニアモータ300は、第1ヨーク24と、界磁磁石22と、磁気的空隙30gと、第2ヨーク26と、界磁磁石32と、磁気的空隙36gと、第3ヨーク34と、を含んでいる。界磁磁石32は、第1ヨーク24の界磁磁石22とは反対側の下面に固定される。界磁磁石32は、第1ヨーク24に接着により固定されてもよい。磁気的空隙36gは、界磁磁石32の第1ヨーク24とは反対側の下側に設けられる。第3ヨーク34は、磁気的空隙36gの界磁磁石32とは反対側の下側に設けられる。界磁磁石32と、第3ヨーク34は、磁気的空隙36gに界磁磁界を形成する磁気回路36を構成する。つまり、リニアモータ300は、下から順に積層された第3ヨーク34、磁気的空隙36g、界磁磁石32、第1ヨーク24、界磁磁石22、磁気的空隙30gおよび第2ヨーク26を含んでいる。磁気的空隙36gは界磁磁石32および第3ヨーク34それぞれに面している。
【0044】
第1ヨーク24と第3ヨーク34との間において磁界を形成する磁石は、界磁磁石32だけである。界磁磁石32は、対向する2つのヨークの一方である第1ヨーク24にのみ設けられており、第3ヨーク34には設けられていない。
【0045】
図6の符号Dの枠内の図は、各磁石の磁化方向を模式的に示す部分図である。リニアモータ300では、上面にN極の磁極が設けられた磁石22bの下方に配置された磁石32bの上面にはN極の磁極が設けられており、上面にS極の磁極が設けられた磁石22bの下方に配置された磁石32bの上面にはS極の磁極が設けられている。
【0046】
このように構成された第3実施形態に係るリニアモータ300の動作について説明する。各磁気的空隙30g、36gの界磁磁界中に配置された各コイル12、14に駆動電流が与えられると、フレミングの法則に従って各コイル12、14にY軸方向の推力が生まれる。この推力により、各コイル12、14に接続された各外部部材(不図示)がY軸方向に駆動される。コイル12とコイル14とは互いに独立して駆動されてもよい。
【0047】
[第4実施形態]
図7を参照して、本発明の第4実施形態に係るリニアモータ400について説明する。リニアモータ400は、複数のリニアモータが配列されたリニアモータアレイとして機能する。
図7は、本発明の第4実施形態に係るリニアモータ400を示す正面図である。
図7は、
図1に対応する。第4実施形態に係るリニアモータ400は、第2実施形態に係るリニアモータ200に対して、別の固定子20(B)および別の可動子10(B)の配置が異なり、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。
【0048】
リニアモータ400は、可動子10と、固定子20と、別の可動子10(B)と、別の固定子20(B)と、を備える。可動子10、固定子20、別の可動子10(B)および別の固定子20(B)の各部材の構成については第2実施形態のリニアモータ200と同様であり、第2実施形態の説明はこれらの部材に適用されうる。第4実施形態のリニアモータ400では、固定子20の上側に別の可動子10(B)および別の固定子20(B)が設けられる。
【0049】
リニアモータ400は、第1ヨーク24と、界磁磁石22と、磁気的空隙30gと、第2ヨーク26と、界磁磁石32と、磁気的空隙36gと、第3ヨーク34と、を含んでいる。磁気的空隙36gは、第2ヨーク26の磁気的空隙30gとは反対側の上側に設けられる。界磁磁石32は、磁気的空隙36gの第2ヨーク26とは反対側の上側に設けられる。第3ヨーク34は、界磁磁石32の磁気的空隙36gとは反対側の上側に設けられる。界磁磁石32は、第3ヨーク34に固定される。界磁磁石32は、接着により第3ヨーク34の下面に固定されてもよい。界磁磁石32と、第3ヨーク34は、磁気的空隙36gに界磁磁界を形成する磁気回路36を構成する。つまり、リニアモータ400は、下から順に積層された第1ヨーク24、界磁磁石22、磁気的空隙30g、第2ヨーク26、磁気的空隙36g、界磁磁石32および第3ヨーク34を含んでいる。磁気的空隙36gは界磁磁石32および第2ヨーク26それぞれに面している。
【0050】
第2ヨーク26と第3ヨーク34との間において磁界を形成する磁石は、界磁磁石32だけである。界磁磁石32は、対向する2つのヨークの一方である第3ヨーク34にのみ設けられており、第2ヨーク26には設けられていない。
【0051】
図7の符号Eの枠内の図は、各磁石の磁化方向を模式的に示す部分図である。リニアモータ400では、上面にN極の磁極が設けられた磁石22bの上方に配置された磁石32bの上面にはN極の磁極が設けられており、上面にS極の磁極が設けられた磁石22bの上方に配置された磁石32bの上面にはS極の磁極が設けられている。
【0052】
このように構成された第4実施形態に係るリニアモータ400の動作について説明する。各磁気的空隙30g、36gの界磁磁界中に配置された各コイル12、14に駆動電流が与えられると、フレミングの法則に従って各コイル12、14にY軸方向の推力が生まれる。この推力により、各コイル12、14に接続された各外部部材(不図示)がY軸方向に駆動される。コイル12とコイル14とは互いに独立して駆動されてもよい。
【0053】
以上、本発明の幾つかの実施形態をもとに説明した。これらの各実施形態は例示であり、いろいろな変形および変更が本発明の特許請求の範囲内で可能なこと、またそうした変形例および変更も本発明の特許請求の範囲にあることは当業者に理解されるところである。従って、本明細書での記述および図面は限定的ではなく例証的に扱われるべきものである。
【0054】
以下、変形例について説明する。変形例の図面および説明では、各実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。各実施形態と重複する説明を適宜省略し、各実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0055】
(第1変形例)
上述の各実施形態の説明では、各ヨークの表面が平坦である例について説明したが、本発明はこれに限定されない。ヨークの表面は必要に応じて凸部または凹部が設けられてもよい。特に、ヨークの磁気的空隙側の面は、Z軸方向に沿った高さ寸法が各領域の磁束密度に応じて大きくまたは小さく形成されてもよい。磁束密度の高い領域には、Z軸方向に沿った高さ寸法が周囲の領域より大きい肉厚領域が設けられてもよい。肉厚領域が設けられることにより、その領域の磁気飽和を緩和し、漏れ磁束を抑制しうる。磁束密度の低い領域には、Z軸方向に沿った高さ寸法が周囲の領域より小さい肉薄領域が設けられてもよい。肉薄領域が設けられることにより、その削減した空間を有効利用してリニアモータやリニアモータを搭載する機器を小型化しうる。また、その削減した空間に応じて質量が減少し、リニアモータやリニアモータを搭載する機器を軽量化しうる。
【0056】
図8は、第1変形例に係るリニアモータ500を示す正面図である。
図8は、
図1に対応する。第1変形例に係るリニアモータ500は、第1実施形態に係るリニアモータ100に対して、第2ヨーク26に肉厚領域26tが設けられている点で相違し、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。肉厚領域26tが設けられた第2ヨーク26を第2ヨーク26(B)と表記する。
【0057】
リニアモータ500は、第1ヨーク24と、界磁磁石22と、コイル12と、第2ヨーク26(B)と、スペーサ28と、を含む。第1ヨーク24、界磁磁石22、コイル12およびスペーサ28については第1実施形態のリニアモータ100と同様であり、第1実施形態の説明はこれらの部材に適用されうる。第2ヨーク26(B)は、第2ヨーク26に対して、肉厚領域26tが設けられている点で相違し、他の特徴は同様であり、第1実施形態の説明は第2ヨーク26(B)に適用されうる。
【0058】
肉厚領域26tのX軸方向の位置や大きさは、磁束密度分布に応じて設定されてもよい。肉厚領域26tのX軸方向の位置は、界磁磁石22のX軸方向の位置に対応して設定されてもよい。肉厚領域26tのX軸方向の寸法Wtは、界磁磁石22のX軸方向の大きさに対応して設定されてもよい。
図8の例では、肉厚領域26tの寸法Wtは、界磁磁石22のX軸方向の寸法Wmと実質的に等しく設定されている。本明細書において、寸法Wtが寸法Wmの70%~130%の範囲内である場合、寸法Wtは寸法Wmと実質的に等しいという。
【0059】
図8の符号Fの枠内の図は、肉厚領域26tと周囲の領域と段差St(Z軸方向の寸法差)の周辺を拡大して示す部分図である。肉厚領域26tと周囲の領域と段差Stは、磁束密度分布に応じて設定されてもよい。
図8の例では、段差Stは、肉厚領域26tのZ軸方向の寸法T3の5%~20%の範囲内に設定されている。
【0060】
第2ヨーク26(B)の肉厚領域26tは、別部材を高さ方向に積層して形成されてもよく、一体の材料から周囲領域を削って形成されてもよい。リニアモータ500は、肉厚領域26tを備えることにより、磁気飽和を緩和し、漏れ磁束を抑制しうる。
【0061】
(第2変形例)
上述の各実施形態の説明では、各ヨークが平坦な部材であり、これらのヨークのZ軸方向の間隔を保持するためにスペーサ28を用いる例について説明したが、本発明はこれに限定されない。これらのヨークの一部または全部は、屈曲した部分を有していてもよい。例えば、Z軸方向に対向する2枚のヨークの一方のX軸方向の端部が他方のヨークに向かって屈曲してもよい。また、この屈曲した部分を他方のヨークに固定してもよい。
【0062】
図9は、第2変形例に係るリニアモータ600を示す正面図である。
図9は、
図1に対応する。第2変形例に係るリニアモータ600は、第1実施形態に係るリニアモータ100に対して、第2ヨーク626に屈曲部626bが設けられ、屈曲部626bの先に設けられた接続部626cが第1ヨーク24に固定されている点で相違し、他の構成は同様である。重複する説明を省略し、相違する構成について重点的に説明する。
【0063】
第2ヨーク626は、第2ヨーク26に対して、本体部626a、一対の屈曲部626bおよび一対の接続部626cを含む点で相違し、他の特徴は同様である。本体部626aは、第1ヨーク24と平行にX軸方向に延在する部分である。一対の屈曲部626bは、本体部626aのX軸方向の端部において第1ヨーク24に向かって略90度に屈曲する部分である。各接続部626cは、各屈曲部626bの本体部626aとは反対側から略Z軸方向に延在する部分である。各接続部626cは、公知の接続手段により第1ヨーク24に固定されてもよい。
図9の例では、一対の接続部626cは、第1ヨーク24をX軸方向の両側から挟む形状を有し、各接続部626cは、第1ヨーク24のX軸方向の端面に、ボルト618によって固定されている。
【0064】
第2変形例に係るリニアモータ600は、少ない部品点数で構成することが可能であり、組立の手間を減らすことができる。上述の各リニアモータの各ヨークには、第2ヨーク626のような屈曲部を有するヨークを適用することができる。
【0065】
(第3変形例)
上述の各実施形態の説明では、界磁磁石22が2個の磁石22bを含む例について説明したが、本発明はこれに限定されない。界磁磁石は、1個または3個以上の磁石を含んでもよい。
【0066】
(第4変形例)
上述の各実施形態の説明では、各可動子が1個のコイルを含む例について説明したが、本発明はこれに限定されない。各可動子は2個以上のコイルを含んでもよい。
【0067】
(第5変形例)
上述の各実施形態の説明では、各ヨークの間に2個のスペーサが設けられ、各ヨークと2個のスペーサとを正面視で矩形に組み合わせた例について説明したが、本発明はこれに限定されない。スペーサは各ヨークのX軸方向の一方の端部間にのみ設けられ、各ヨークのX軸方向の他方の端部間は開放されていてもよい。この場合、各ヨークと1個のスペーサとは、正面視で横向きのU字形を形成するように組み合わせされてもよい。
【0068】
(第6変形例)
上述の第2~第4実施形態の説明では、リニアモータがZ軸方向に沿った高さ方向に積層された2組の固定子と可動子とを備える例について説明したが、本発明はこれに限定されない。リニアモータは、高さ方向に積層された3組以上の固定子と可動子とを備えてもよい。
【0069】
(第7変形例)
上述の各実施形態の説明では、各固定子は各可動子を同一の方向に駆動するように配置される例について説明したが、本発明はこれに限定されない。各固定子は、各可動子を平面視において互いに交差する方向に駆動するように配置されてもよい。例えば、固定子20は可動子10をY軸方向に駆動するように配置され、固定子20(B)は可動子10(B)をX軸方向に駆動するように配置されてもよい。
【0070】
本発明の一態様の概要は、次の通りである。本発明のある態様のリニアモータ100は、磁気的空隙30gにおいて可動方向(Y軸方向)に移動可能に設けられる可動子10と、互いに対向するように、可動方向(Y軸方向)と直交する第1方向(Z軸方向)に離隔して配置された第1ヨーク24及び第2ヨーク26と、第1ヨーク24に固定され、磁気的空隙30gを介して第2ヨーク26と対向し、磁気的空隙30gに界磁磁界を形成する界磁磁石22と、を備え、磁気的空隙30gは第2ヨーク26に面している。この態様によると、界磁磁石22が第1ヨーク24にのみ設けられ、第2ヨーク26には設けられていないので、それに応じて第1方向(Z軸方向)の寸法を小さくすることができ、また漏れ磁束の増大を抑制することができる。このため、リニアモータによって駆動される装置の特性に影響を与える可能性を低減することが期待される。
【0071】
別の磁気的空隙36gにおいて移動可能に設けられる別の可動子10(B)と、第2ヨーク26と対向するように、第2ヨーク26の第1ヨーク24とは反対側に離隔して配置された第3ヨーク34と、第2ヨーク26に固定され、別の磁気的空隙36gを介して第3ヨーク34と対向し、別の磁気的空隙36gに別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石32と、をさらに備え、別の磁気的空隙36gは第3ヨーク34に面していてもよい。この場合、別の界磁磁石32を第2ヨーク26にのみ設けるので、それに応じて第1方向の寸法を小さくすることができる。特に、複数のリニアモータを単純に積み重ねた場合に比べて、第2ヨーク26を共用するので、第1方向の寸法を一層小さくすることができる。
【0072】
別の磁気的空隙36gにおいて移動可能に設けられる別の可動子10(B)と、第1ヨーク24と対向するように、第1ヨーク24の第2ヨーク26とは反対側に離隔して配置された第3ヨーク34と、第2ヨーク26に固定され、別の磁気的空隙36gを介して第3ヨーク34と対向し、別の磁気的空隙36gに別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石32と、をさらに備え、別の磁気的空隙36gは第3ヨーク34に面していてもよい。この場合、別の界磁磁石32を第2ヨーク26にのみ設けるので、それに応じて第1方向の寸法を小さくすることができる。特に、複数のリニアモータを単純に積み重ねた場合に比べて、第1ヨーク24を共用するので、第1方向の寸法を一層小さくすることができる。
【0073】
別の磁気的空隙36gにおいて移動可能に設けられる別の可動子10(B)と、第2ヨーク26と対向するように、第2ヨーク26の第1ヨーク24とは反対側に離隔して配置された第3ヨーク34と、第3ヨーク34に固定され、別の磁気的空隙36gを介して第2ヨーク26と対向し、別の磁気的空隙36gに別の界磁磁界を形成する別の界磁磁石32と、をさらに備え、磁気的空隙36gは第2ヨーク26に面していてもよい。この場合、別の界磁磁石32を第3ヨーク34にのみ設けるので、それに応じて第1方向の寸法を小さくすることができる。特に、複数のリニアモータを単純に積み重ねた場合に比べて、第2ヨーク26を共用するので、第1方向の寸法を一層小さくすることができる。
【0074】
界磁磁石22は、可動方向(Y軸方向)に配列された2以上の磁石を含んでもよい。この場合、界磁磁石を多極化することが可能になり、多極化に応じて推力定数を高めることができる。
【0075】
磁気的空隙30gの第1方向(Z軸方向)の寸法G1は、界磁磁石22の第1方向の寸法M1の3倍以下であってもよい。この場合、寸法G1が寸法M1の3倍を超える場合に比べて、推力定数を高めモータの効率の低下を抑制することができる。
【符号の説明】
【0076】
10・・可動子、 12、14・・コイル、 20・・固定子、 22・・界磁磁石、 24・・第1ヨーク、 26・・第2ヨーク、 26t・・肉厚領域、 30、36・・磁気回路、 30g、36g・・磁気的空隙、 32・・界磁磁石、 34・・第3ヨーク、 100、200、300、400、500・・リニアモータ。