(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】無害な消毒化粧鏡
(51)【国際特許分類】
A47B 67/02 20060101AFI20220614BHJP
A61L 2/10 20060101ALI20220614BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20220614BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A47B67/02 502A
A61L2/10
A61L9/20
A61G12/00 B
A47B67/02 502D
(21)【出願番号】P 2018009193
(22)【出願日】2018-01-23
【審査請求日】2021-01-18
(32)【優先日】2017-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518026361
【氏名又は名称】ステリルメン、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】マックス マン
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実公昭52-045448(JP,Y2)
【文献】特開2000-254515(JP,A)
【文献】中国実用新案第202908345(CN,U)
【文献】中国実用新案第202501560(CN,U)
【文献】中国実用新案第205568484(CN,U)
【文献】特開平11-165096(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 67/02
A61L 2/10
A61L 9/20
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消毒化粧鏡であって、
鉛直方向面を含む壁に取り付けられた場合に、上端、下端及び側縁を有する鏡パネルと、
前記鏡パネルを、
前記壁から水平方向に離間した関係となるように、前記
壁に取り付けるための取り付け手段であって、前記鏡パネルと前記
壁との間に、前記上端及び前記下端において開放されるプレナムスペースを形成し、前記下端を通して入り前記上端を通して出る上昇空気に対して、前記プレナムスペースを通る実質的に鉛直な空気通過経路を提供する、取り付け手段と、
前記
鏡パネルの前記下端の少なくとも一部に実質的に沿
って又は前記鏡パネルの下縁近傍に設けられたUV光源であって、前記下端近傍の空気を局所的に加熱することによって、対流を促進し、前記プレナムスペー
スの内部又は近傍をUV光に暴露し、これにより、前記UV光が、
少なくとも前記UV光に暴露された、前記プレナムスペース
の前記内部又は前記近傍を上方に移動する空
気を除菌する、UV光源と、
を備える化粧鏡。
【請求項2】
前記取り付け手段は、取り付ける前記壁と実質的に平行な、前記プレナムスペースを形成する標準的閉鎖位置と、前記プレナムスペースへのアクセスを提供する開放位置との間で移動可能となるように、前記鏡パネルを取り付ける、前記鉛直方向の自由端におけるヒンジを含む、請求項1に記載の化粧鏡。
【請求項3】
前記ヒンジは、塑性ヒンジである、請求項2に記載の化粧鏡。
【請求項4】
前記UV光源は、200-280nmの範囲内のUV光を発光するLEDのストリップ、水銀及びキセノン管の少なくとも1つを含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧鏡。
【請求項5】
前記UV光源を通過し、前記プレナムスペースを通る対流によって空気の移動を促進すべく、前記下端近傍の空気を加熱するための手段をさらに備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧鏡。
【請求項6】
前記加熱するための手段は、熱ストリップを含む、請求項5に記載の化粧鏡。
【請求項7】
化粧鏡を有する医療施設、ワークスペース及び他のチャンバの空気を消毒又は滅菌する方法であって、
化粧鏡の裏に
上端及び下端において開放されるプレナムスペースを形成すべく、前記化粧鏡を壁から予め定められた間隔で配置する段階と、
前記プレナムスペース
の内
部又
は近傍における病原体を、100-280nmの範囲のUVC光に暴露すべく、
前記化粧鏡の前記下端の少なくとも一部に実質的に沿って又は前記化粧鏡の下縁近傍に設けられたUV光源により前記プレナムスペース、及び前記プレナムスペースの
前記内部又は
前記近傍にUV光を提供する段階と、
を備える方法。
【請求項8】
前記化粧鏡近傍の動作の検出、及び予め定められた一連の時間インターバルに従って、UV光を活性化及び非活性化するようにプログラムされたタイマの少なくとも1つに応答して、前記UV光の生成を阻害するための手段をさらに備える、請求項1から6のいずれか1項に記載の化粧鏡。
【請求項9】
前記化粧鏡近傍の人がUV光に暴露される可能性を制限すべく、前記UV光の生成を制御及び間欠的に中断するための制御手段をさらに備える、請求項1から6及び8のいずれか1項に記載の化粧鏡。
【請求項10】
前記制御手段は、動作検出器又はプログラマブルコントローラの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の化粧鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、化粧鏡に関し、より詳細には、医療施設又は他の施設において用いられる200-280nmの範囲内の紫外線(UV)光源に病原体を暴露することによって、空気を消毒及び浄化する無害な化粧鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
病院、介護施設等における医療関連感染(HAI)は、深刻な健康問題である。HAIは、米国において年間で99,000名超の死亡者を発生させている、又はこれに寄与していると概算されている。米国疾病予防管理センター(CDC)は、患者25名のうち1名が、その滞在中に少なくとも1つの感染症に罹患すると報告している。様々な細菌が、病院及び他の医療施設において表面に適用される消毒剤に対して免疫又は耐性を有する。これらの細菌は、病室等におけるカウンタートップ及び他の表面を清掃するために用いられる多くの化学消毒剤に対して耐性を有するので、一般的に、「ブドウ球菌」感染と称されるものを発生させる。一般的な問題は、例えば、国際紫外線協会の公報IUVANewsにおいて説明されている。http://www.iuva.org/Publicationsこれらの感染は、予防可能であるとみなされている。2011年、連邦政府は、その滞在中に感染した患者への医療行為に関して、病院への補償を中止した。以来、高感染率に対してさらなる罰則が加えられた。これらは、いくつかの状況では、収益全体の40%にもなる。
【0003】
成功へのハードルの1つが、標準的な消毒製品及び運用に対して耐性を有する多剤耐性微生物(MDRO)である。これが、UV-C(UV)のような新技術への扉を開いた。
【0004】
毎年、百万人超の患者が、病院におけるその初期滞在と関連のない疾病に罹患する。毎年約100,000人の米国人が、この理由により死亡する。精神面及び経済面の両方において、コストは圧倒的で、算出困難である。
【0005】
病室内における最大の病原体集中は、洗面所のシンク周囲のエリアにおける表面で発生する。詳細には、蛇口及びハンドル、これらの制御部分の間の表面、ならびにシンクのすぐ上の壁面を含むシンク裏の跳ね返り部分が、典型的な病室において、最も感染しているエリアである。
【0006】
様々なUV装置が、感染力を有する病原体を減少させるために提案されてきた。例えば、航空機の洗面所は、飛行中に、病原体を減少させるUV LEDストリップを利用し始めた。他の施設は、病原体をUV光源に暴露する様々な装置を設置している。しかしながら、UV光源は、概して、別個の又は単体の装置であり、詳細には、間欠的な適用向けに設計されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題、及び空中浮遊する病原体の除菌又は滅菌と関連する他の問題に対処するために、本発明の目的は、空中浮遊する病原体及びカウンタートップのような表面上の病原体を紫外線(UV)光に暴露し、このような病原体を破壊又は中和し、これらの効果を失わせる、又は効果を低下させる、さらなる機能を果たす消毒化粧鏡を提供することである。
【0008】
本発明の他の目的は、前述の目的に関して、感染制御要件を満たし、構造が単純で安価に製造できる消毒化粧鏡を提供することである。
【0009】
本発明のさらに他の目的は、前述の目的に関して、医療施設、ならびに表面及び空気の浄化及び消毒を必要とする他の施設において、シンク、カウンタートップ及び他のエリアの上に設置できるように、単純かつ簡便な消毒化粧鏡を提供することである。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、空気を加熱し、UV光源を通過する対流によりこれを上昇させることによって、空気流の除菌又は滅菌を促進及び加速する、説明されているタイプの消毒化粧鏡を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、利用者にとって安全で有効な、目障りにならず審美的に満足なUV-C光源を組み込む消毒化粧鏡であって、カウンタートップ近傍にあること、及び空気をリサイクルすることの両方によって、細菌のUV照射に対するさらなる暴露を保証し、連続的で信頼性の高い抗菌除菌作用を提供する消毒化粧鏡を提供することである。
【0012】
本発明のなおさらなる目的は、シンク及び/又はカウンタートップの上(例えば、表面の10インチ(約254mm)上)に、又は除菌もしくは消毒を必要とする他のエリアに、化粧鏡の下縁に沿ってUV光源を組み込むことによって、空中浮遊する細菌及び表面を除菌又は消毒し、空気が鏡の裏のプレナムスペースを通して上昇しUV光源に暴露されるように、空気を加熱する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的、及び以下に明らかにされる他の目的を実現すべく、本発明に係る消毒化粧鏡は、壁に取り付けられた場合に上端及び下端を有する鏡パネルを含む。鏡パネルを、カウンタートップ、シンク等の上において、鉛直方向面から離間した関係となるように鉛直方向面に取り付けるための取り付け手段が提供される。取り付け手段は、鏡パネルと鉛直方向面との間に、上端及び下端において開放されるプレナムスペースを形成し、下端を通して入り上端を通して出る上昇空気に対して、プレナムスペースを通る「煙突状」の実質的に鉛直な空気通過経路又は列を提供する。上昇空気をUV光に暴露する、下端の少なくとも一部に実質的に沿うようなUV光源が提供される。UV光源は、下端近傍の空気を局所的に加熱することによって対流を促進し、これにより、UV光は、プレナムスペースを通って上方に移動する空気を除菌する。空気は、プレナムスペースにおいて、UV光に暴露される。しかしながら、UV光源は、鏡の裏、鏡に面する壁、又はプレナムスペース近傍の任意の位置に配置されてよい。
【0014】
本発明に係る方法は、壁から予め定められた間隔を有し、鏡の裏にプレナムスペースを形成する化粧鏡を有する医療施設及び介護施設、ワークスペース及び他の閉鎖領域のカウンタートップの表面及び空気を消毒又は滅菌する段階と、プレナムスペース内の空気を暴露するUV光であって、空気を加熱し、プレナムスペースを通してこれを上昇させ、空気中の病原体を100-280nmの範囲のUV-C光に暴露するUV光を、例えば、鏡の下端に沿って設ける段階と、を含む。プレナムスペースの下端における空気は、有利には、補助加熱要素によって加熱され、プレナムスペースを通る空気の移動を促進及び加速し、空気をリサイクルし、空気浄化及び病原体の除去をさらに実行してよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
当業者であれば、以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び図面を読めば、本発明から導出する改良及び利点を認識しよう。
【
図1】本発明に係る消毒化粧鏡の前方立面図である。
【
図3】
図1及び2に示される鏡の上方平面図であり、鏡パネルが開放位置にある。
【
図5】
図2に示される鏡の下部領域の、線5-5に沿った拡大部分断面図である。
【
図7】本発明に係る消毒化粧鏡の代替的な実施形態の後方立面図である。
【
図8】
図5と類似するが、
図7に示される鏡の、線8-8に沿った図である。
【
図9】
図2と類似するが、UV-LEDストリップも鉛直方向ヒンジに沿って延び、ヒンジ上で、又はその近傍の位置で蓄積し得る細菌を除菌する代替的な実施形態を示す。
【
図10】
図9に示される実施形態の、10-10に沿った拡大断面図であり、UV-LEDストリップのヒートシンクとして機能する、鏡に取り付けられたアルミニウムのアングルをさらに示す。
【
図11】
図9に示される実施形態の部分的上方平面図であり、ヒンジに沿って延びる鉛直方向UV-LEDストリップの位置を示す。
【
図12】
図2及び9と類似し、UV水銀ランプがUV-LEDストリップの代わりに用いられ、このようなランプが鏡の下縁に沿って、かつ、ヒンジ近傍の鏡の1つの側に沿って提供される、さらなる実施形態を示す。
【
図13】
図12に示される実施形態の、線13-13に沿った拡大断面図であり、UV水銀ランプから過剰な熱を除去するためのUV水銀ランプ及びヒートシンクを示す。
【
図14】鏡近傍の個人を保護すべく、UV光の過剰発光を制御又は制限するために、上述の消毒化粧鏡の実施形態に関連して利用可能な動作制御配線回路の模式図である。
【
図15】UV光の過剰発光を制御及び防止するために、
図14に示される回路を有する、
図14におけるプログラムされたコントローラの動作を表すフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
病院における、及び上記エリアに集中する、最も流行する危険な20前後の病原体は、長さが270-280ナノメートルの範囲の紫外波に暴露された場合に大幅に減少可能であり、その事実は、今や十分に実証されている。この特定の波長(UVC波と称される)を生成するUVダイオードは、最近の数年間で、市場において入手可能となった。
【0017】
本願の出願人は、UVを生成し、照明器具でもある電化壁掛け鏡を開発し、親特許出願第15/418,231として出願した。これは、
a.審美的に許容可能であり、
b.設置が容易であり、
c.24時間で約45分用いられた場合に病原体の99.99%を破壊し、
d.完全に安全であり、
e.メンテナンス及び清掃のために、ユニットの裏に容易にアクセス可能であり、
f.壁掛け鏡及び照明器具の両方として機能する。
【0018】
ユニットは、ヒンジで取り付けられ、現在ホテル産業に販売されている、永久的に取り付けられたバックライト付き電化鏡に、幾分類似する。米国のみで、約6,000の病院が存在し、その各々が、約300部屋を有する。毎年600超の病院が、建設又は完全に改修され、これは、1年あたり180,000部屋(及び洗面所)に相当するが、例えば、共同洗面所、スタッフ用洗面所、食品調理に関連する洗い場エリアは含まない。これは、明らかにされていたならば、米国において約200,000のUVC生成鏡につながり得る。
【0019】
米国は、現在の国際的病院市場の25-35パーセントに相当する。この概算は、介護トイレの手洗い又は洗面所も、オフィス、レストランのような商業施設も含んでおらず、住宅市場への機会又は現在ホテル市場に販売中の鏡に代わるアップグレード版としての機会を含まない。これは、重大かつ重要な市場に相当する。
【0020】
ここで、詳細には、図を参照すると、同一又は類似の部分は、全体を通して同じ参照番号で示されている。最初に
図1を参照すると、本発明に係る消毒化粧鏡は、概して、参照番号10で示されている。
【0021】
好ましい実施形態において、鏡10は、概して、図示されるように矩形形状であり、上端10a及び下端10bを含む。鏡10は、中央反射面12a及び艶消し周辺ストリップ12bを有する鏡パネル12を含む。鏡パネル12は、3/16インチ(約4.763mm)の透明なホスピタリティグレードの鏡であってよい。鏡10は、ニューヨーク、マウントバーノンのMunnWorks LLCによって製造されたタイプのバックライト付き鏡と、外観において類似してよい。
【0022】
可視光を、例えば、2700kで発光するLEDストリップ14は、従来的な態様で、艶消し周辺ストリップ12bを通して照明を提供する。
【0023】
図2~
図5を参照すると、鏡10は、典型的には、カウンタートップCの上において壁又は鉛直方向面16に取り付けられ、鏡パネル12と取り付け面との間にプレナムスペース18を形成する。プレナムスペース18は、上端及び下端10a、10bに開口を有し、
図2における矢印20によって示唆されるように、空気が下端10bを通して入り、上端10aを通して出ることによって上昇する、実質的に鉛直な空気シャフト、経路又は列を提供する。カウンタートップCの上の鏡10の高さは重要ではないが、代表的高さの10インチ(約254mm)が典型的であり、本発明の用途において、有益な消毒の成果を提供する。
【0024】
詳細には、
図3~
図6を参照すると、鏡10の取り付け方法が示される。長取り付け部分22a及び短取り付け部分22bを含む鏡ハンガ22が提供される。示されるように、壁に取り付けられた場合に、長取り付け部分22aは、概して、壁16と平行に延び(coextensive)、短取り付け部分22bは、長取り付け部分の1つの側方に設けられ、概して、長取り付け部分と垂直な外方向に、壁16から離れるように突出する。短取り付け部分22bの鉛直方向の自由端に沿って、ヒンジ24が提供される。ヒンジ24は、破線の輪郭で示される、壁と実質的に平行で、プレナムスペース18を形成する標準的閉鎖位置12'と、
図3及び4において実線で示される、プレナムスペース18へのアクセスを提供する開放位置12''との間で移動可能となるように、鏡パネル12を取り付ける。図示される実施形態において、鏡パネル12は、壁18から約2インチ(約50.8mm)の距離dで離間し、プレナムスペース18に、寸法dより幾分小さい深さを与える。
【0025】
任意の好適な又は従来のヒンジが、鏡パネル12を取り付けるために利用可能である。しかしながら、
図4に示されるように、病原体が詰まって増殖する可能性のある間隙又は割れ目を除去する、又はこれらの数を最小化するU形の塑性ヒンジ24が、本用途には好ましい。鏡パネル12を壁18と平行なその標準的閉鎖位置に維持するために、好適なストッパ又はスペーサ26が提供される。ストッパ又はスペーサ26は、鏡パネルの位置を、壁18から間隔dにあるその閉鎖位置に維持し、鏡パネルを所望の位置に保持し、プレナムスペース18の完全性を保証する。スペーサ又はストッパ26は、鏡パネルがその閉鎖位置から不用意に移動することを防止するマグネット28を、鏡パネル12上に含むものとして示される。
【0026】
本発明の重要な特徴は、下端10bの幅の少なくとも一部に沿って、好ましくはその全体に沿って延びるUV光源30を一体化したことである。UV光源30は、下端10b近傍の空気を局所的に加熱することによって空気の対流を促進し、空気流20を生成する。UV光は、煙突効果に倣って、かつUV光源30を通過した空気の移動を促進するように形成されたプレナムスペース18を通って、上方に移動する空気を除菌する。また、UV光源30を鏡10の下端又は下縁近傍に設けることによって、UV光は、カウンタートップC上の病原体を効率的に除菌又は中和する。
【0027】
好ましい本実施形態によれば、UV光源30は、200-280nmの範囲内、好ましくは240-280nmの範囲内のUV光を発光するLEDのストリップの形式である。IUVANewsの文献に示されるように、紫外線照射は、最も広義には、10-400nmの範囲内の照射からなるものとして定義される。しかしながら、消毒用途に最も有効なものは、標準的にはUV-Cとして示される短波紫外線光である。UV-Cは、波長100-280nmを含むが、240-280nmが、空中浮遊する病原体を除菌又は滅菌するために最も有効である。当該範囲のUV光は、DNAによって最も効率的に、最大吸収約260nmで吸収される。UV-Cは、空気浄化、滅菌及び消毒に用いられてきた。240-280nmの高強度UV照射は、生きた微生物のDNAを破壊可能である。UV照射の有効性は、強度及び暴露時間に直接関連する。本消毒化粧鏡10は、プレナムスペース18を通過する空気を間断なく循環及びリサイクルし、空気をUV LEDストリップ30に連続的に暴露させることによって、微生物及び病原体を中和する簡便、安価、かつ有効な方法である。
【0028】
プレナムスペース18を通って移動させられる空気を増量すべく、本発明は、有利には、鏡の下端10bにおいてUV LEDストリップ30近傍の空気をさらに加熱するために、
図7及び
図8に示される熱ストリップ32を用いる。UV LEDストリップ30による空気の加熱と熱ストリップ32による空気の加熱との間で、化粧鏡10より下にある空気は、より迅速に、より積極的に加熱され、より高温になる。これにより、より多量の空気を、プレナムスペース18を通って上方に移動させ、これにより、UV光源30に暴露される病原体の数が増加する。
【0029】
例えば、シンク又はカウンタートップCの上、約10インチ(約254mm)の高さにおいて、幅24-30インチ(約609.6-762mm)及び高さ34-40インチ(約863.6-1016mm)の鏡10を用いることによって、電力が1日あたり約30分だけ印加されれば、最も有害な病原体が中和可能となる。LEDストリップは、従来は、(例えば、シンク、カウンタートップ及び化粧鏡が典型的に設置される洗面所において)壁のスイッチがオンにされた場合に通電される。標準的には、化粧台は、1日あたり少なくとも30分用いられる。
【0030】
消毒化粧鏡10は、従って、カウンタートップに見られる微生物の空中浮遊物及び表面の除菌及び除染の有効性を高めるように電力印加された場合に、病原体で汚染された空気を継続的又は連続的にUV-C光に暴露する、安価で信頼性の高い方法である。
【0031】
UV光源30を鏡の下縁に沿って、鏡パネル12の裏に配置することによって、多数の利点が実現される。ユーザは、ユーザの目及び皮膚に有害となり得るUV照射から保護される。また、光は、鏡において反射せず、望ましくない影もしくはトーン又は照明の歪みを回避する。LED光ストリップを用いることにより、水銀ランプ又は電球のような従来のUV源に対して、光源が大幅に長寿命化する。UV光源を化粧鏡と一体化させることによって、操作者に、特殊なUV器具を用いて施設を定期的に除菌させる必要がなくなる。
【0032】
本発明の方法は、従って、化粧鏡10の鏡パネル12を、化粧鏡が用いられる医療施設、ワークスペース又は他のチャンバの壁から、予め定められた間隔で位置付け、鏡の裏にプレナムスペース18を形成する。UV光は、そこで、鏡の下端に設けられ、空気を加熱し、プレナムスペースを通ってこれを上昇させ、空気中の病原体を、10-400nmの範囲、好ましくは240-280nmの範囲のUVC光に暴露する。最適な波長は、約260nmである。
【0033】
方法は、有利には、プレナムスペースを通る空気の移動を促進すべく、空気をさらに加熱するさらなる段階を含む。これにより、消毒又は滅菌されるべき空気のUV光への暴露が加速する。これは、熱ストリップを鏡の下端に配置することによって、実現可能である。
【0034】
図9、
図10及び
図11に示される代替的な実施形態を参照すると、ヒンジ24近傍の鏡の鉛直方向縁に沿って設けられた、追加UV-LEDストリップ30aが示される。追加UV-LEDストリップ30aは、ヒンジが常に容易に手動で清掃又は除菌されるわけではないことから、ヒンジ表面に付着し得る細菌を除菌するように機能する。UV-LEDストリップ30aの作用は、手動メンテナンスされても、されなくても、ヒンジを細菌のない状態で維持することを保証する。鏡の下縁に取り付けられたアルミニウムのアングル34が示される。ここで、UV-LEDストリップが固定される。アングル34は、ヒートシンクとして機能し、過剰な熱がUV-LEDストリップ30において増大することを防止し、過剰な熱の蓄積を防止することによって、UV-LEDストリップの信頼性及び長寿命化を促進する。
【0035】
図11において、鉛直方向UV-LEDストリップ30aの位置がヒンジとの関連で示され、好ましくは、暴露されるヒンジ内面のおおよそ中ほどである。ここは、細菌が蓄積する可能性が最も高く、手動メンテナンスが最も困難となり得る。
【0036】
図12及び
図13を参照すると、なおさらなる実施形態が示される。これは、UV-LEDストリップが小型蛍光管の形式のUV水銀ランプ又は電球によって置換されている点を除き、
図9、
図10及び
図11に示される実施形態に類似する。これらは、水銀ランプ、キセノンランプ、又はUV波生成成分、波もしくは光を有する任意のランプであってよい。本発明は、鏡の裏、及び取り付けたヒンジ近傍のエリアを消毒するために、鏡の裏において好適なUV光を生成するUV源を用いることに想到する。
【0037】
前述の事項を考慮すると、本発明は、広義には、ヒンジにより壁に取り付けられる電気バックライト付き鏡に想到する。ヒンジは、鏡の裏面及び鏡の裏の壁を暴露及び消毒し、鏡が取り付けられる壁と離間した関係となるように鏡を取り付けるヒンジを消毒するための移動を容易にする。これに関連して、ドライバ、エレクトロニクス、LEDダイオード、UVダイオード、UV光電球、管又はランプは、全て、鏡自体に取り付けられてよく、鏡の裏の壁が、鏡を保持する金属アングル以外のいずれのアタッチメントも有さないことを可能とする。これにより、細菌が堆積する可能性の高い鏡の裏の壁全体の手動消毒を、容易化及び促進する。
【0038】
UV光源の位置は、好ましくは、鏡の下縁に沿って設けられ、これは、このような光源にとって実用的な位置であるが、本発明は、生成されたUV光が消毒のために処理されるべき空気及び表面を暴露するために有効である限り、UV光源を、鏡の裏、又は鏡の裏の壁の任意の位置に配置することに、さらに想到する。本発明は、UV光源が、電気的コンポーネントを損なうことなく鏡の裏の壁エリアを手動で消毒可能とする何らかの態様において、カバー又はカプセル化されるように保護可能である限り、UV LEDストリップ又はダイオードを、鏡の裏のみならず、鏡に面する壁自体に取り付けることに、さらに想到する。UV光源を鏡の裏、又は鏡が閉鎖位置にある場合に鏡に面する壁の部分のいずれかに取り付けることの利益は、上述されたものと実質的に同じ利益を与える。
【0039】
鏡が取り付けられた閉鎖領域の患者及び利用者の安全性に対する、UV光の過剰暴露による潜在的な害を回避し、政府及び/又は病院規則に適合するために、本発明の鏡は、UV光源又は生成器を間欠的に非活性化又は阻害するための回路を備え、これにより、これらは、常にオン状態で、UV光を連続的に発光するのではなく、間欠的であるが、閉鎖領域内のエリアを除菌又は消毒するために有効な程度に、オン状態であってよい。
図14を参照すると、この目的に利用可能な回路38が示される。回路38も、好ましくは、鏡の裏に取り付けられ、細菌が定着及び成長可能な開口、トラップ又は表面積を最小化するように、カプセル化される可能性がある。回路38は、2つの目的のために機能する。第1の目的は、UV光源(例えば、30及び30a)を、所望の又は予め定められたスケジュールに従って周期運転させることであり、第2の目的は、鏡が取り付けられた閉鎖領域内における動作を検出することである。これにより、UV光源は、鏡近傍に動作が検出された場合に、非活性化、阻害又は電力遮断されることが可能となる。任意のプログラムされたコントローラが、これらの機能を提供するために利用可能である。回路38は、例として、プログラムされたコントローラ42に接続された動作検出器40の利用を示す。24ボルト電源のような電源44が、回路38に電力印加するために用いられ、5ボルトレギュレータが、必要に応じて、プログラムされたコントローラ42に通電する調整電圧を生成するために用いられる。ポート42aにおいてコントローラ42に接続されるキャパシタ48、電界効果トランジスタ(FET)50及び抵抗52は、図示されるように、プログラムされたコントローラの入力ポート42b及び出力ポート42cに接続される。UV LED光源30、30aは、図示されるように接続される。プログラムされたコントローラ42に接続されるコンポーネントは、
図15に関連して説明されるように、予め定められた時間インターバルを確立するタイマとして、コントローラ42を動作させる。
図14は、しかしながら、UV-LEDの動作タイミングに関する、プログラムされたコントローラの1つだけの構成であるが、任意の他の公知のタイマ又はタイミング回路が、この目的のために用いられてよい。
【0040】
図15を参照すると、UV光源がLED、ランプ、電球、蛍光灯等のいずれであろうと、これらを監視及び制御するためのプログラムされたプロトコル又はロジックを示すフローチャート52が示される。最初に、コントローラ42は、54において動作を開始し、56において、6時間インターバルでタイマをインクリメントする。そこで、外部の影響を受けることなく、コントローラは、6時間毎に、UV光源に電力印加する。UV光源は、24時間中に4回電力印加される。58において、コントローラ42は、6時間タイマがその6時間インターバルを完了したか否かをクエリする。6時間周期が完了した後で、全てのタイマは、60においてリセットされ、コントローラは、54の開始位置に戻る。全6時間タイマが完了していない場合、コントローラは、62において、動作検出器40が何らかの動作を検出したか否かをクエリする。動作が検出された場合、動作検出及びUV-LED光照射タイマは、64においてリセットされ、コントローラは、56における全6時間タイマのインクリメントに戻り、プロトコルを繰り返す。動作が62において検出されなかった場合、コントローラは、66において、10分動作検出タイマが完了したか否かをクエリする。動作検出タイマが完了していなかった場合、10分動作検出タイマは、68において1秒インクリメントされ、コントローラは、56における全6時間タイマのインクリメントに戻る。10分動作検出タイマが66において完了していた場合、コントローラ42は、70において、15分UV-LED光照射タイマが完了したか否かをクエリする。これが完了していた場合、コントローラは、72において、待機するよう命令される。その後、56において、全6時間タイマが1秒インクリメントされる。15分UV-LED光照射タイマが70において完了していなかった場合、UV光源は、74において、1秒間オンにされる。UV光が74において活性化された後で、15分UV-LEDタイマは、76において1秒インクリメントされ、全6時間タイマは、その後、56において再びインクリメントされる。周期は、予め選択された又は所望の時間インターバルでUV光源の動作又は電力印加を調整するプログラムコントローラ42により、動作検出器40によって検知された個人の存在によって変形され得るように、継続的又は連続的に繰り返される。
【0041】
前述の事項は、本発明の原理の例示に過ぎないとみなされる。さらに、当業者であれば、多数の変形及び変更に容易に想到するので、発明を、図示及び説明された厳密な構造及び動作に限定することは望ましくない。従って、全ての好適な変形及び均等物は、本発明の範囲に再分類されてよく、これに属する。
[項目1]
消毒化粧鏡であって、
壁に取り付けられた場合に、上端及び下端を有する鏡パネルと、
上記鏡パネルを、鉛直方向面と離間した関係となるように、上記鉛直方向面に取り付けるための取り付け手段であって、上記鏡パネルと上記鉛直方向面との間に、上記上端及び上記下端において開放されるプレナムスペースを形成し、上記下端を通して入り上記上端を通して出る上昇空気に対して、上記プレナムスペースを通る実質的に鉛直な空気通過経路を提供する、取り付け手段と、
上記下端の少なくとも一部に実質的に沿うUV光源であって、上記下端近傍の空気を局所的に加熱することによって、対流を促進し、これにより、上記UV光が、上記UV光に暴露された上記プレナムスペースを上方に移動する空気を除菌する、UV光源と、
を備える化粧鏡。
[項目2]
上記鏡パネルは、矩形であり、上記上端は、上記矩形パネルの1つの側と同方向に延びており、上記下端は、上記矩形パネルの反対側と同方向に延びている、項目1に記載の化粧鏡。
[項目3]
上記取り付け手段は、壁のブロック材に取り付け可能なウォールブラケットを含む、項目1に記載の化粧鏡。
[項目4]
上記取り付け手段は、上記ウォールブラケットに取り付け可能な鏡ハンガを含む、項目3に記載の化粧鏡。
[項目5]
上記鏡ハンガは、上記ウォールブラケットに取り付け可能な長取り付け部分と、上記長取り付け部分の1つの側方における短取り付け部分と、を含み、前記短取り付け部分は、壁に取り付けられた場合に、上記ブラケットから離れるように、上記長取り付け部分と実質的に垂直な方向に突出する、項目4に記載の化粧鏡。
[項目6]
上記鏡取り付け部分は、上記鏡が壁に取り付けられた場合に、実質的に鉛直方向の自由端を形成し、上記取り付け手段は、取り付ける上記壁と実質的に平行な、上記プレナムスペースを形成する標準的閉鎖位置と、上記プレナムスペースへのアクセスを提供する開放位置との間で移動可能となるように、上記鏡パネルを取り付ける、上記鉛直方向の自由端におけるヒンジを含む、項目5に記載の化粧鏡。
[項目7]
上記プレナムスペースは、上記鏡パネルと上記壁との間において、約2インチ(約50.8mm)の深さである、項目1に記載の化粧鏡。
[項目8]
上記鏡パネルは、周辺艶消しストリップを含む、項目1に記載の化粧鏡。
[項目9]
上記ヒンジは、塑性ヒンジである、項目6に記載の化粧鏡。
[項目10]
上記UV光源は、200-280nmの範囲内のUV光を発光するLEDのストリップを含む、項目1に記載の化粧鏡。
[項目11]
上記LEDは、240-280nmの範囲内のUV光を発光する、項目10に記載の化粧鏡。
[項目12]
上記UV光源を通過し、上記プレナムスペースを通る対流によって空気の移動を促進すべく、上記下端近傍の空気を加熱するための手段をさらに備える、項目1に記載の化粧鏡。
[項目13]
上記加熱するための手段は、熱ストリップを含む、項目12に記載の化粧鏡。
[項目14]
上記UV光源は、100-280nmの範囲内の紫外線C照射を生成する、項目1に記載の化粧鏡。
[項目15]
上記UVC照射は、240-280nmの範囲にある、項目14に記載の化粧鏡。
[項目16]
鏡の裏にプレナムスペースを形成すべく、壁から予め定められた間隔を有する化粧鏡を有する医療施設、ワークスペース及び他のチャンバの空気を消毒又は滅菌する方法であって、
上記空気を加熱し、上記プレナムスペースを通して上記空気を上昇させ、上記空気における病原体を、100-280nmの範囲のUVC光に暴露すべく、上記鏡の下端にUV光を提供する段階、
を備える方法。
[項目17]
上記プレナムスペースを通る空気の移動を促進し、かつ、上記UV光に対する、消毒又は滅菌されるべき空気の暴露を加速すべく、空気の補助加熱をさらに提供する、項目16に記載の化粧鏡。
[項目18]
補助加熱は、上記鏡の上記下端における熱ストリップによって提供される、項目17に記載の化粧鏡。
[項目19]
UVC光は、240-280nmの範囲にあるように選択される、項目16に記載の化粧鏡。
[項目20]
上記UVC光は、上記鏡の上記下端近傍のLEDストリップによって提供される、項目16に記載の化粧鏡。