(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】制動制御装置および制動システム
(51)【国際特許分類】
B60T 8/1761 20060101AFI20220614BHJP
B62L 3/08 20060101ALI20220614BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20220614BHJP
B62M 6/55 20100101ALN20220614BHJP
【FI】
B60T8/1761
B62L3/08
B62M6/45
B62M6/55
(21)【出願番号】P 2018009753
(22)【出願日】2018-01-24
【審査請求日】2020-03-11
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 利彦
(72)【発明者】
【氏名】福田 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】高山 仁志
(72)【発明者】
【氏名】名合 大輔
(72)【発明者】
【氏名】中倉 正裕
(72)【発明者】
【氏名】中島 岳彦
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-109699(JP,A)
【文献】特開平07-002077(JP,A)
【文献】特開2009-090774(JP,A)
【文献】特開2014-118143(JP,A)
【文献】特開2011-121376(JP,A)
【文献】特開2017-043332(JP,A)
【文献】特開2017-226390(JP,A)
【文献】特開平07-304440(JP,A)
【文献】国際公開第2011/046136(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60T 7/12-8/1769
B60T 8/32-8/96
B60T 13/00-13/74
B62L 1/00-5/20
B62M 1/00-29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、
前記第1所定条件に用いられる閾値を変更することによって前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定される、制動制御装置。
【請求項2】
前記制限情報は、人力駆動操作に関する情報、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報、前記人力駆動車の姿勢に関する情報、前記人力駆動車の走行環境に関する情報、および、ユーザの状態に関する情報、の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の制動制御装置。
【請求項3】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、人力駆動操作に関する情報を含む、制動制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1所定条件および前記第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御を実行しない、請求項3に記載の制動制御装置。
【請求項5】
前記制限情報は、前記人力駆動操作に関する情報に加えて、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報、前記人力駆動車の姿勢に関する情報、前記人力駆動車の走行環境に関する情報、および、ユーザの状態に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項3または4に記載の制動制御装置。
【請求項6】
前記制限情報は、前記コンポーネントに関する情報を含み、
前記コンポーネントは、電動補助ユニット、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および、制動装置の少なくとも1つを含み、
前記コンポーネントに関する情報は、バッテリの残量に関する情報、前記コンポーネントの異常に関する情報、前記人力駆動車のタイヤの空気圧に関する情報、前記タイヤのパンクに関する情報、および、前記制動部の摩擦部材に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項2または5に記載の制動制御装置。
【請求項7】
前記コンポーネントに関する情報は、前記バッテリの残量に関する情報を含み、
前記バッテリの残量が所定残量以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項6に記載の制動制御装置。
【請求項8】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報を含み、
前記コンポーネントは、電動補助ユニット、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および、制動装置の少なくとも1つを含み、
前記コンポーネントに関する情報は、前記コンポーネントの異常に関する情報を含み、
前記コンポーネントの状態が異常である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される
、制動制御装置。
【請求項9】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報を含み、
前記コンポーネントは、電動補助ユニット、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および、制動装置の少なくとも1つを含み、
前記コンポーネントに関する情報は、
前記人力駆動車のタイヤの空気圧に関する情報を含み、
前記タイヤの空気圧が所定空気圧以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、制動制御装置。
【請求項10】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報を含み、
前記コンポーネントは、電動補助ユニット、サスペンション、アジャスタブルシートポスト、および、制動装置の少なくとも1つを含み、
前記コンポーネントに関する情報は、
前記人力駆動車のタイヤのパンクに関する情報を含み、
前記タイヤがパンクしている場合、前記第2所定条件が成立すると判定される
、制動制御装置。
【請求項11】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報を含み、
前記コンポーネントは、制動装置を含み、
前記コンポーネントに関する情報は、
前記制動部の摩擦部材に関する情報を含み、
前記摩擦部材の厚さが所定厚さ以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される
、制動制御装置。
【請求項12】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報を含み、
前記コンポーネントに関する情報は、前記人力駆動車のタイヤの空気圧に関する情報を含む、制動制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、前記第1所定条件および前記第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御を実行しない、請求項12に記載の制動制御装置。
【請求項14】
前記タイヤの空気圧が所定空気圧以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項12または13に記載の制動制御装置。
【請求項15】
前記制限情報は、前記タイヤの空気圧に関する情報に加えて、前記人力駆動車の姿勢に関する情報、前記人力駆動車の走行環境に関する情報、および、ユーザの状態に関する情報の少なくとも1つを含む、請求項13または14に記載の制動制御装置。
【請求項16】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、前記人力駆動車の姿勢に関する情報を含み、
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記人力駆動車の操舵角、前記人力駆動車のスリップアングル、前記人力駆動車の横荷重、前記人力駆動車のヨー角度、前記人力駆動車のロール角度、前記人力駆動車のピッチ角度、および、前記回転体が設けられる車輪の接地荷重の少なくとも1つを含む
、制動制御装置。
【請求項17】
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記操舵角を含み、
前記操舵角が所定操舵角以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項16に記載の制動制御装置。
【請求項18】
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記スリップアングルを含み、
前記スリップアングルが所定スリップアングル以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項16または17に記載の制動制御装置。
【請求項19】
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記横荷重を含み、
前記横荷重が所定横荷重以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項16から18のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項20】
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記ヨー角度を含み、
前記ヨー角度が所定ヨー角度以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項16から19のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項21】
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記ロール角度を含み、
前記ロール角度が所定ロール角度以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項16から20のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項22】
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記ピッチ角度を含み、
前記ピッチ角度が所定ピッチ角度以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項16から21のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項23】
前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記接地荷重を含み、
前記接地荷重が所定接地荷重以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項16から22のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項24】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、
前記人力駆動車の走行環境に関する情報を含み、
前記走行環境に関する情報は、走行路面の摩擦係数に関する情報、天候に関する情報、および、前記走行路面の振幅に関する情報の少なくとも1つを含む
、制動制御装置。
【請求項25】
前記走行環境に関する情報は、前記摩擦係数に関する情報を含み、
前記摩擦係数が所定摩擦係数以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項24に記載の制動制御装置。
【請求項26】
前記走行環境に関する情報は、前記天候に関する情報を含み、
前記天候が所定天候である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項24または25に記載の制動制御装置。
【請求項27】
前記走行環境に関する情報は、前記振幅に関する情報を含み、
前記振幅が所定振幅以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項24から26のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項28】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は
、ユーザの状態に関する情報を含み、
前記ユーザの状態に関する情報は、前記ユーザの心拍数に関する情報を含み、
前記心拍数が所定心拍数以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される
、制動制御装置。
【請求項29】
人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御が実行される頻度が低下するように制限するように、前記ABS制御を制限し、
前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定され、
前記制限情報は、人力駆動操作に関する情報を含み、
前記人力駆動操作に関する情報は、ケイデンス、パワー、および、トルクの少なくとも1つを含む
、制動制御装置。
【請求項30】
前記人力駆動操作に関する情報は、前記ケイデンスを含み、
前記ケイデンスが所定ケイデンス以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項29に記載の制動制御装置。
【請求項31】
前記人力駆動操作に関する情報は、前記パワーを含み、
前記パワーが所定パワー以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項29または30に記載の制動制御装置。
【請求項32】
前記人力駆動操作に関する情報は、前記トルクを含み、
前記トルクが所定トルク以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される、請求項29から31のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項33】
前記制御部は、前記第1所定条件が成立し、前記第2所定条件が成立しない場合、制限をかけずに前記ABS制御を実行する、請求項1から32のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項34】
前記回転体が設けられる車輪のスリップ率が所定スリップ率以上である場合、前記第1所定条件が成立すると判定される、請求項1から33のいずれか一項に記載の制動制御装置。
【請求項35】
請求項1から34のいずれか一項に記載の制動制御装置と、
前記制動部と、
前記制動部を駆動する電動駆動部と、を備える制動システム。
【請求項36】
前記人力駆動車の推進を補助する電動補助ユニットをさらに備える、請求項35に記載の制動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制動制御装置および制動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
人力駆動車に適用される制動制御装置として、例えば特許文献1の制動制御装置が知られている。この制動制御装置は、例えば所定条件が成立する場合、人力駆動車の回転体に作用する制動力を調節するようにABS(Antilock Brake System)制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
所定条件が成立したときの状況によっては、ABS制御の実行が望まれないことがある。このため、好適なタイミングでABS制御を実行できることが好ましい。
本発明の目的は、好適なタイミングでABS制御を実行できる制動制御装置および制動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1側面に従う制動制御装置は、人力駆動車の回転体を制動する制動部を制御する制御部を備え、前記制御部は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、前記ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御を制限し、前記第2所定条件は、前記人力駆動車の走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定される。
第2所定条件が成立する場合では、第1所定条件が成立する場合であってもABS制御の実行が望まれない可能性が高い。上記制動制御装置では、第1所定条件および第2所定条件が成立する場合にABS制御が制限されるため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0006】
前記第1側面に従う第2側面の制動制御装置において、前記制御部は、前記第1所定条件および前記第2所定条件が成立する場合、前記ABS制御を実行しない。
このため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0007】
前記第1または第2側面に従う第3側面の制動制御装置において、前記制御部は、前記第1所定条件が成立し、前記第2所定条件が成立しない場合、制限をかけずに前記ABS制御を実行する。
このため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0008】
前記第1~第3側面のいずれか1つに従う第4側面の制動制御装置において、前記制限情報は、人力駆動操作に関する情報を含む。
人力駆動操作によっては、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。上記制動制御装置では、人力駆動操作に関する情報に基づいて第2所定条件が規定されるため、ABS制御を好適に制限できる。このため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0009】
前記第4側面に従う第5側面の制動制御装置において、前記人力駆動操作に関する情報は、ケイデンス、パワー、および、トルクの少なくとも1つを含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0010】
前記第5側面に従う第6側面の制動制御装置において、前記人力駆動操作に関する情報は、前記ケイデンスを含み、前記ケイデンスが所定ケイデンス以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
ケイデンスが所定ケイデンス以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0011】
前記第5または第6側面に従う第7側面の制動制御装置において、前記人力駆動操作に関する情報は、前記パワーを含み、前記パワーが所定パワー以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
パワーが所定パワー以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0012】
前記第5~第7側面のいずれか1つに従う第8側面の制動制御装置において、前記人力駆動操作に関する情報は、前記トルクを含み、前記トルクが所定トルク以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
トルクが所定トルク以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0013】
前記第1~第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制動制御装置において、前記制限情報は、前記人力駆動車の姿勢に関する情報を含む。
人力駆動車の姿勢によっては、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。上記制動制御装置では、人力駆動車の姿勢に関する情報に基づいて第2所定条件が規定されるため、ABS制御を好適に制限できる。このため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0014】
前記第9側面に従う第10側面の制動制御装置において、前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記人力駆動車の操舵角を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0015】
前記第10側面に従う第11側面の制動制御装置において、前記操舵角が所定操舵角以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
人力駆動車の操舵角が所定操舵角以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0016】
前記第9~第11側面のいずれか1つに従う第12側面の制動制御装置において、前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記人力駆動車のスリップアングルを含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0017】
前記第12側面に従う第13側面の制動制御装置において、前記スリップアングルが所定スリップアングル以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
人力駆動車のスリップアングルが所定スリップアングル以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0018】
前記第9~第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制動制御装置において、前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記人力駆動車の横荷重を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0019】
前記第14側面に従う第15側面の制動制御装置において、前記横荷重が所定横荷重以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
人力駆動車の横荷重が所定横荷重以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0020】
前記第9~第15側面のいずれか1つに従う第16側面の制動制御装置において、前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記人力駆動車のヨー角度を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0021】
前記第16側面に従う第17側面の制動制御装置において、前記ヨー角度が所定ヨー角度以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
人力駆動車のヨー角度が所定ヨー角度以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0022】
前記第9~第17側面のいずれか1つに従う第18側面の制動制御装置において、前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記人力駆動車のロール角度を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0023】
前記第18側面に従う第19側面の制動制御装置において、前記ロール角度が所定ロール角度以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
人力駆動車のロール角度が所定ロール角度以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0024】
前記第9~第19側面のいずれか1つに従う第20側面の制動制御装置において、前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記人力駆動車のピッチ角度を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0025】
前記第20側面に従う第21側面の制動制御装置において、前記ピッチ角度が所定ピッチ角度以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
人力駆動車のピッチ角度が所定ピッチ角度以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0026】
前記第9~第21側面のいずれか1つに従う第22側面の制動制御装置において、前記人力駆動車の姿勢に関する情報は、前記回転体が設けられる車輪の接地荷重を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0027】
前記第22側面に従う第23側面の制動制御装置において、前記接地荷重が所定接地荷重以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
車輪の接地荷重が所定接地荷重以下である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0028】
前記第1~第23側面のいずれか1つに従う第24側面の制動制御装置において、前記制限情報は、前記人力駆動車の走行環境に関する情報を含む。
人力駆動車の走行環境によっては、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。上記制動制御装置では、人力駆動車の走行環境に関する情報に基づいて第2所定条件が規定されるため、ABS制御を好適に制限できる。このため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0029】
前記第24側面に従う第25側面の制動制御装置において、前記走行環境に関する情報は、走行路面の摩擦係数に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0030】
前記第25側面に従う第26側面の制動制御装置において、前記摩擦係数が所定摩擦係数以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
走行路面の摩擦係数が所定摩擦係数以下である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0031】
前記第24~第26側面のいずれか1つに従う第27側面の制動制御装置において、前記走行環境に関する情報は、天候に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0032】
前記第27側面に従う第28側面の制動制御装置において、前記天候が所定天候である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
天候が所定天候である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0033】
前記第24~第28側面のいずれか1つに従う第29側面の制動制御装置において、前記走行環境に関する情報は、走行路面の振幅に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0034】
前記第29側面に従う第30側面の制動制御装置において、前記振幅が所定振幅以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
走行路面の振幅が所定振幅以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0035】
前記第1~第30側面のいずれか1つに従う第31側面の制動制御装置において、前記制限情報は、前記人力駆動車のコンポーネントに関する情報を含む。
人力駆動車のコンポーネントの状態によっては、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。上記制動制御装置では、コンポーネントに関する情報に基づいて第2所定条件が規定されるため、ABS制御を好適に制限できる。このため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0036】
前記第31側面に従う第32側面の制動制御装置において、前記コンポーネントに関する情報は、バッテリの残量に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0037】
前記第32側面に従う第33側面の制動制御装置において、前記バッテリの残量が所定残量以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
バッテリの残量が所定残量以下である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0038】
前記第31~第33側面のいずれか1つに従う第34側面の制動制御装置において、前記コンポーネントに関する情報は、前記コンポーネントの異常に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0039】
前記第34側面に従う第35側面の制動制御装置において、前記コンポーネントの状態が異常である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
コンポーネントの状態が異常である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0040】
前記第31~第35側面のいずれか1つに従う第36側面の制動制御装置において、前記コンポーネントに関する情報は、前記人力駆動車のタイヤの空気圧に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0041】
前記第36側面に従う第37側面の制動制御装置において、前記タイヤの空気圧が所定空気圧以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
タイヤの空気圧が所定空気圧以下である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0042】
前記第31~第37側面のいずれか1つに従う第38側面の制動制御装置において、前記コンポーネントに関する情報は、前記人力駆動車のタイヤのパンクに関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0043】
前記第38側面に従う第39側面の制動制御装置において、前記タイヤがパンクしている場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
タイヤがパンクしている場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0044】
前記第31~第39側面のいずれか1つに従う第40側面の制動制御装置において、前記コンポーネントに関する情報は、前記制動部の摩擦部材に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0045】
前記第40側面に従う第41側面の制動制御装置において、前記摩擦部材の厚さが所定厚さ以下である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
摩擦部材の厚さが所定厚さ以下である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0046】
前記第1~第41側面のいずれか1つに従う第42側面の制動制御装置において、前記制限情報は、ユーザの状態に関する情報を含む。
人力駆動車に搭乗するユーザの状態によっては、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。上記制動制御装置では、ユーザの状態に関する情報に基づいて第2所定条件が規定されるため、ABS制御を好適に制限できる。このため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0047】
前記第42側面に従う第43側面の制動制御装置において、前記ユーザの状態に関する情報は、前記ユーザの心拍数に関する情報を含む。
このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0048】
前記第43側面に従う第44側面の制動制御装置において、前記心拍数が所定心拍数以上である場合、前記第2所定条件が成立すると判定される。
ユーザの心拍数が所定心拍数以上である場合、ABS制御の実行が望まれない可能性が高い。このため、ABS制御を好適に制限できる。
【0049】
前記第1~第44側面のいずれか1つに従う第45側面の制動制御装置において、前記回転体が設けられる車輪のスリップ率が所定スリップ率以上である場合、前記第1所定条件が成立すると判定される。
このため、ABS制御が実行されることによって、車輪のスリップを抑制するように回転体を制動できる。
【0050】
本発明の第46側面に従う制動システムは、前記制動制御装置と、前記制動部と、前記制動部を駆動する電動駆動部と、を備える。
第2所定条件が成立する場合では、第1所定条件が成立する場合であってもABS制御の実行が望まれない可能性が高い。上記制動システムでは、第1所定条件および第2所定条件が成立する場合にABS制御が制限されるため、好適なタイミングでABS制御を実行できる。
【0051】
前記第46側面に従う第47側面の制動システムにおいて、前記人力駆動車の推進を補助する電動補助ユニットをさらに備える。
このため、電動補助ユニットを搭載する人力駆動車に制動システムを適用できる。
【発明の効果】
【0052】
本発明の制動制御装置および制動システムによれば、好適なタイミングでABS制御を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】実施形態の制動システムを含む人力駆動車の側面図。
【
図3】
図2の制動制御装置が実行する制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0054】
(実施形態)
図1を参照して、制動システム10を含む人力駆動車Aについて説明する。
ここで、人力駆動車は、走行のための原動力に関して、少なくとも部分的に人力を用いる車両を意味し、電動で人力を補助する車両を含む。人力以外の原動力のみを用いる車両は、人力駆動車には含まれない。特に、内燃機関のみを原動力に用いる車両は、人力駆動車には含まれない。通常、人力駆動車には、小型軽車両が想定され、公道での運転に免許を要しない車両が想定される。図示される人力駆動車Aは、電気エネルギーを用いて人力駆動車Aの推進を補助する電動補助ユニットEを含む自転車(e-bike)である。具体的には、図示される人力駆動車Aは、トレッキングバイクである。
【0055】
人力駆動車Aは、フレームA1、フロントフォークA2、車輪W、ハンドルH、および、ドライブトレインBをさらに含む。車輪Wは、前輪WFおよび後輪WRを含む。本実施形態では、前輪WFは、タイヤT、リムR、複数のスポークS、ハブHB、および、ディスクブレーキロータDRを含む。後輪WRは、前輪WFと実質的に同じ構成を含む。
【0056】
ドライブトレインBは、チェーンドライブタイプに構成される。ドライブトレインBは、クランクC、フロントスプロケットD1、リアスプロケットD2、および、チェーンD3を含む。クランクCは、フレームA1に回転可能に支持されるクランク軸C1、および、クランク軸C1の両端部にそれぞれ設けられる一対のクランクアームC2を含む。各クランクアームC2の先端には、ペダルPDが回転可能に取り付けられる。なお、ドライブトレインBは、任意のタイプから選択でき、ベルトドライブタイプ、または、シャフトドライブタイプであってもよい。
【0057】
フロントスプロケットD1は、クランク軸C1と一体に回転するようにクランクCに設けられる。リアスプロケットD2は、後輪WRのハブHBに設けられる。チェーンD3は、フロントスプロケットD1およびリアスプロケットD2に巻き掛けられる。人力駆動車Aに搭乗するユーザによってペダルPDに加えられる駆動力は、フロントスプロケットD1、チェーンD3、および、リアスプロケットD2を介して後輪WRに伝達される。
【0058】
制動システム10は、電動補助ユニットEを備える。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aの推進力がアシストされるように動作する。電動補助ユニットEは、例えばペダルPDに加えられる駆動力に応じて動作する。電動補助ユニットEは、電気モータE1を含む。電動補助ユニットEは、人力駆動車Aに搭載されるバッテリBTから供給される電力によって駆動される。バッテリBTは、フレームA1の外表面に設けられる。バッテリBTは、少なくとも一部がフレームA1の内部空間に配置されてもよい。制動システム10は、電動補助ユニットEを省略してもよい。
【0059】
制動システム10は、車輪の数に対応する数の制動装置12をさらに備える。本実施形態では、前輪WFに対応する制動装置12、および、後輪WRに対応する制動装置12が制動システム10に設けられる。2つの制動装置12は、互いに同じ構成を有する。本実施形態では、制動装置12は、人力駆動車Aの回転体を制動するディスクブレーキ装置である。回転体は、人力駆動車Aの前輪WFおよび後輪WRのそれぞれに設けられるディスクブレーキロータDR(以下、「回転体DR」ともいう)である。制動装置12は、リムブレーキ装置であってもよい。この場合、回転体はリムRである。
【0060】
制動システム10は、人力駆動車Aの回転体DRを制動する制動部14と、制動部14を駆動する電動駆動部16とをさらに備える。本実施形態では、制動装置12に、制動部14および電動駆動部16が含まれる。制動部14は、回転体DRに接触可能な摩擦部材14A(
図2参照)と、回転体DRを摩擦部材14Aによって挟持するキャリパ14Bとを含む。制動部14は、例えば電動駆動部16により電気的に駆動されることによって回転体DRを制動する。具体的には、摩擦部材14Aが回転体DRと接触するようにキャリパ14Bが電気的に駆動され、摩擦部材14Aと回転体DRとの接触によって回転体DRが制動する。電動駆動部16は、電気モータ16Aを含む。電動駆動部16は、例えばバッテリBTから供給される電力によって駆動される。本実施形態では、電動駆動部16は、キャリパ14Bに設けられる。
【0061】
制動システム10は、操作装置Fをさらに備える。操作装置Fは、人力駆動車Aの中心平面に対して、ハンドルHの右側、および、ハンドルHの左側にそれぞれ設けられる。操作装置Fは、ユーザによって操作されるレバーF1を含む。操作装置FのレバーF1の操作に応じて、制動装置12が機械的または電気的に駆動される。本実施形態では、一方の操作装置FのレバーF1の操作に応じて一方の制動装置12が電気的に駆動され、他方の操作装置FのレバーF1の操作に応じて他方の制動装置12が電気的に駆動される。この場合、一方の操作装置Fにおける各制動装置12の制動力の比率と、他方の操作装置Fにおける各制動装置12の制動力の比率とを異ならせるようにしてもよい。
【0062】
人力駆動車Aは、コンポーネントCOをさらに含む。コンポーネントCOは、例えば変速機(図示略)、電動補助ユニットE、サスペンションSU、アジャスタブルシートポストASP、および、制動装置12の少なくとも1つを含む。各種のコンポーネントCOは、人力駆動車Aに搭載されるバッテリBT、または、専用の電源(図示略)から供給される電力によって駆動される。
【0063】
図2に示されるように、制動システム10は、制動制御装置20をさらに備える。制動制御装置20は、例えばバッテリBTから供給される電力によって駆動される。制動制御装置20は、人力駆動車Aの回転体DRを制動する制動部14を制御する制御部22を備える。制御部22は、CPU(Central Processing Unit)またはMPU(Micro Processing Unit)である。制御部22は、電動駆動部16を制御することによって制動部14を制御する。制御部22は、電動補助ユニットEを含む各種のコンポーネントCOを制御してもよい。制動制御装置20は、記憶部24をさらに備える。記憶部24は、不揮発性メモリおよび揮発性メモリを含む。記憶部24は、例えば制御のための各種プログラム、および、予め設定される情報を記憶する。予め記憶部24に記憶される情報は、所定の入力装置(図示略)を用いて変更可能に構成されてもよい。
【0064】
制御部22は、ABS制御を実行するための第1所定条件、および、ABS制御を制限するための第2所定条件が成立する場合、ABS制御を制限する。ABS制御は、人力駆動車Aの回転体DRが制動部14によって制動される状態において、回転体DRに作用する制動力を調節する制御である。具体的には、制御部22は、ABS制御を実行する場合において、回転体DRに作用する制動力を調節するように制動部14を制御する。詳細には、制御部22は、ABS制御を実行する場合において、回転体DRに作用する制動力が減少するように制動部14を制御する。ABS制御を制限することには、ABS制御が実行される頻度が低下するように制限すること、ABS制御が実行される強度が低下するように制限すること、および、ABS制御が実行されないように制限することが含まれる。ABS制御が実行される頻度が低下するように制限することには、第1所定条件に用いられる閾値(本実施形態では、後述する所定スリップ率)を変更することが含まれる。ABS制御が実行される強度が低下するように制限することには、ABS制御を実行する場合において、回転体DRに作用する制動力を調節する調整量を第2所定条件が成立しない場合に比べて低減することが含まれる。本実施形態では、制御部22は、第1所定条件および第2所定条件が成立する場合、ABS制御を実行しない。制御部22は、第1所定条件が成立し、第2所定条件が成立しない場合、制限をかけずにABS制御を実行する。
【0065】
第1所定条件は、例えば車輪Wのスリップ率に基づいて規定される。回転体DRが設けられる車輪Wのスリップ率が所定スリップ率以上である場合、第1所定条件が成立すると判定される。例えば車輪Wのスリップ率は、人力駆動車Aの前輪WFおよび後輪WRの回転速度差に基づいて取得されてもよい。本実施形態では、第1所定条件が成立するか否かの判定は、制御部22が実行する処理に含まれる。第2所定条件は、人力駆動車Aの走行速度に関する情報とは異なる制限情報に基づいて規定される。制限情報は、第1制限情報、第2制限情報、第3制限情報、第4制限情報、および、第5制限情報の少なくとも1つを含む。
【0066】
第1制限情報は、人力駆動操作に関する情報を含む。人力駆動操作は、例えば人力駆動車AのクランクCへの入力である。人力駆動操作に関する情報は、ケイデンス、パワー、および、トルクの少なくとも1つを含む。ケイデンスが所定ケイデンス以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。ケイデンスが所定ケイデンス以上である場合、例えばユーザがペダルPDを漕いでいる状態を示唆する。所定ケイデンスに関する情報は、予め記憶部24に記憶される。本実施形態では、第2所定条件が成立するか否かの判定は、制御部22が実行する処理に含まれる。パワーが所定パワー以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。パワーが所定パワー以上である場合、例えばユーザがペダルPDを漕いでいる状態を示唆する。所定パワーに関する情報は、予め記憶部24に記憶される。トルクが所定トルク以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。トルクが所定トルク以上である場合、例えばユーザがペダルPDを漕いでいる状態を示唆する。所定トルクに関する情報は、予め記憶部24に記憶される。
【0067】
第2制限情報は、人力駆動車Aの姿勢に関する情報を含む。人力駆動車Aの姿勢は、車輪Wが接地する地面等の走行路面(図示略)に対する人力駆動車Aの姿勢である。人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、人力駆動車Aの操舵角を含む。操舵角が所定操舵角以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。操舵角が所定操舵角以上である場合、例えば人力駆動車Aが曲がるように走行している状態を示唆する。所定操舵角に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、人力駆動車Aのスリップアングルを含む。スリップアングルが所定スリップアングル以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。スリップアングルが所定スリップアングル以上である場合、例えば人力駆動車Aが曲がるように走行している状態を示唆する。所定スリップアングルに関する情報は、予め記憶部24に記憶される。
【0068】
人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、人力駆動車Aの横荷重を含む。横荷重は、例えば人力駆動車Aが曲がるように走行する場合に人力駆動車Aの側部に作用する荷重である。横荷重が所定横荷重以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。横荷重が所定横荷重以上である場合、例えば人力駆動車Aが曲がるように走行している状態を示唆する。所定横荷重に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、人力駆動車Aのヨー角度を含む。ヨー角度が所定ヨー角度以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。ヨー角度が所定ヨー角度以上である場合、例えば人力駆動車Aが曲がるように走行している状態を示唆する。所定ヨー角度に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、人力駆動車Aのロール角度を含む。ロール角度が所定ロール角度以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。ロール角度が所定ロール角度以上である場合、例えば人力駆動車Aが曲がるように走行している状態を示唆する。所定ロール角度に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。
【0069】
人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、人力駆動車Aのピッチ角度を含む。ピッチ角度が所定ピッチ角度以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。ピッチ角度が所定ピッチ角度以上である場合、例えば人力駆動車Aの前輪WFまたは後輪WRが走行路面から浮いている状態を示唆する。所定ピッチ角度に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、回転体DRが設けられる車輪Wの接地荷重を含む。接地荷重が所定接地荷重以下である場合、第2所定条件が成立すると判定される。接地荷重が所定接地荷重以下である場合、例えば人力駆動車Aの前輪WFまたは後輪WRが走行路面から浮いている状態を示唆する。所定接地荷重に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。本実施形態では、人力駆動車Aの姿勢に関する情報は、操舵角、スリップアングル、横荷重、ヨー角度、ロール角度、ピッチ角度、および、接地荷重の少なくとも1つを含む。
【0070】
第3制限情報は、人力駆動車Aの走行環境に関する情報を含む。走行環境に関する情報は、走行路面の摩擦係数に関する情報を含む。摩擦係数が所定摩擦係数以下である場合、第2所定条件が成立すると判定される。摩擦係数が所定摩擦係数以下である場合、例えば走行路面が濡れている状態を示唆する。所定摩擦係数に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。走行環境に関する情報は、天候に関する情報を含む。天候が所定天候である場合、第2所定条件が成立すると判定される。天候が所定天候である場合、例えば走行路面が濡れている状態を示唆する。所定天候に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。走行環境に関する情報は、走行路面の振幅に関する情報を含む。振幅が所定振幅以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。振幅が所定振幅以上である場合、例えば人力駆動車Aががたついている状態を示唆する。所定振幅に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。本実施形態では、走行環境に関する情報は、走行路面の摩擦係数に関する情報、天候に関する情報、および、走行路面の振幅に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0071】
第4制限情報は、人力駆動車AのコンポーネントCOに関する情報を含む。コンポーネントCOに関する情報は、バッテリBTの残量に関する情報を含む。バッテリBTの残量が所定残量以下である場合、第2所定条件が成立すると判定される。バッテリBTの残量が所定残量以下である場合、例えばABS制御が正常に動作しない可能性があることを示唆する。所定残量に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。コンポーネントCOに関する情報は、コンポーネントCOの異常に関する情報を含む。コンポーネントCOの状態が異常である場合、第2所定条件が成立すると判定される。コンポーネントCOの状態が異常である場合、例えばABS制御が正常に動作しない可能性があることを示唆する。コンポーネントCOに関する情報は、人力駆動車AのタイヤTの空気圧に関する情報を含む。タイヤTの空気圧が所定空気圧以下である場合、第2所定条件が成立すると判定される。タイヤTの空気圧が所定空気圧以下である場合、例えば人力駆動車Aががたついている状態を示唆する。所定空気圧に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。
【0072】
コンポーネントCOに関する情報は、人力駆動車AのタイヤTのパンクに関する情報を含む。タイヤTがパンクしている場合、第2所定条件が成立すると判定される。タイヤTがパンクしている場合、例えば人力駆動車Aががたついている状態を示唆する。タイヤTがパンクしている状態では、タイヤTの空気圧が0である。コンポーネントCOに関する情報は、制動部14の摩擦部材14Aに関する情報を含む。摩擦部材14Aの厚さが所定厚さ以下である場合、第2所定条件が成立すると判定される。摩擦部材14Aの厚さが所定厚さ以下である場合、例えばABS制御が正常に動作しない可能性があることを示唆する。所定厚さに関する情報は、予め記憶部24に記憶される。本実施形態では、コンポーネントCOに関する情報は、バッテリBTの残量に関する情報、コンポーネントCOの異常に関する情報、タイヤTの空気圧に関する情報、タイヤTのパンクに関する情報、および、摩擦部材14Aに関する情報の少なくとも1つを含む。
【0073】
第5制限情報は、ユーザの状態に関する情報を含む。ユーザの状態に関する情報は、ユーザの心拍数に関する情報を含む。心拍数が所定心拍数以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。心拍数が所定心拍数以上である場合、例えばユーザの心理状態が安定していないことを示唆する。所定心拍数に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。ユーザの状態に関する情報は、ユーザの声量に関する情報を含む。声量が所定声量以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。声量が所定声量以上である場合、例えばユーザの心理状態が安定していないことを示唆する。所定声量に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。
【0074】
ユーザの状態に関する情報は、ユーザの発汗量に関する情報を含む。発汗量が所定発汗量以上である場合、第2所定条件が成立すると判定される。発汗量が所定発汗量以上である場合、例えばユーザの心理状態が安定していないことを示唆する。所定発汗量に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。ユーザの状態に関する情報は、ユーザの脳波に関する情報を含む。脳波に異常がある場合、第2所定条件が成立すると判定される。脳波に異常がある場合、例えばユーザの心理状態が安定していないことを示唆する。ユーザの状態に関する情報は、ユーザの血流に関する情報を含む。血流に異常がある場合、第2所定条件が成立すると判定される。血流に異常がある場合、例えばユーザの心理状態が安定していないことを示唆する。ユーザの状態に関する情報は、心拍数に関する情報、声量に関する情報、発汗量に関する情報、脳波に関する情報、および、血流に関する情報の少なくとも1つを含む。
【0075】
制限情報は、人力駆動車Aの総重量に関する情報、および、人力駆動車Aの車体仕様に関する情報の少なくとも一方をさらに含んでいてもよい。人力駆動車Aの総重量は、人力駆動車Aの重量、ユーザの重量、ならびに、人力駆動車Aのバスケットおよびキャリア(ともに図示略)等に積載される荷物の重量等を含む。一例では、総重量が所定重量以下である場合、第2所定条件が成立すると判定される。所定重量に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。人力駆動車Aの車体仕様は、フレームA1の仕様、および、各種のコンポーネントCOの仕様等を含む。一例では、車体仕様が所定仕様である場合、第2所定条件が成立すると判定される。所定仕様に関する情報は、予め記憶部24に記憶される。
【0076】
人力駆動車Aは、各種の情報を検出する検出装置26をさらに含む。検出装置26は、第1検出部26A、第2検出部26B、第3検出部26C、第4検出部26D、第5検出部26E、および、第6検出部26Fの少なくとも1つを含む。検出装置26は、操作装置FのレバーF1が操作される状態において各種の情報を検出してもよく、所定時間毎に各種の情報を検出してもよい。検出装置26は、例えば検出した制限情報を制動制御装置20に出力する。
【0077】
第1検出部26Aは、第1制限情報を検出する。第1検出部26Aは、例えばケイデンス、パワー、および、トルクの少なくとも1つを検出するための各種のセンサ(図示略)を含む。第1検出部26Aは、取得した第1制限情報を制御部22に出力する。第2検出部26Bは、第2制限情報を検出する。第2検出部26Bは、例えば操舵角、スリップアングル、横荷重、ヨー角度、ロール角度、ピッチ角度、および、接地荷重の少なくとも1つを検出するための各種のセンサ(図示略)を含む。第2検出部26Bは、取得した第2制限情報を制御部22に出力する。
【0078】
第3検出部26Cは、第3制限情報を検出する。第3検出部26Cは、例えば走行路面の摩擦係数に関する情報、および、走行路面の振幅に関する情報の少なくとも一方を検出するための各種のセンサ(図示略)、ならびに、天候に関する情報を外部から検出するための受信機(図示略)の少なくとも一方を含む。第3検出部26Cは、取得した第3制限情報を制御部22に出力する。第4検出部26Dは、第4制限情報を検出する。第4検出部26Dは、例えばバッテリBTの残量に関する情報、コンポーネントCOの異常に関する情報、タイヤTの空気圧に関する情報、タイヤTのパンクに関する情報、および、摩擦部材14Aに関する情報の少なくとも1つを検出するための各種のセンサ(図示略)を含む。第4検出部26Dは、取得した第4制限情報を制御部22に出力する。
【0079】
第5検出部26Eは、第5制限情報を検出する。第5検出部26Eは、例えば心拍数に関する情報、声量に関する情報、発汗量に関する情報、脳波に関する情報、および、血流に関する情報の少なくとも1つを検出するための各種のセンサ(図示略)を含む。第5検出部26Eは、取得した第5制限情報を制御部22に出力する。第6検出部26Fは、車輪Wのスリップ率を検出する。第6検出部26Fは、例えば車輪Wのスリップ率を検出するための各種のセンサ(図示略)を含む。第6検出部26Fは、取得した車輪Wのスリップ率に関する情報を制御部22に出力する。なお、第2所定条件を規定する制限情報に含まれない情報を検出する検出部26A~26Eを検出装置26から省略してもよい。
【0080】
図3を参照して、制御部22が実行する制御の一例について説明する。
制御部22は、ステップS11において、第1所定条件が成立したか否かを判定する。具体的には、制御部22は、第6検出部26Fから取得した車輪Wのスリップ率に基づいて第1所定条件が成立したか否かを判定する。制御部22は、ステップS11において、第1所定条件が成立していないと判定した場合、ステップS11の処理を繰り返す。一方、制御部22は、ステップS11において、第1所定条件が成立したと判定した場合、ステップS12の処理に移行する。
【0081】
制御部22は、ステップS12において、第2所定条件が成立したか否かを判定する。具体的には、制御部22は、各検出部26A~26Eから取得した制限情報に基づいて第2所定条件が成立したか否かを判定する。制御部22は、ステップS12において、第2所定条件が成立していないと判定した場合、ステップS13に移行する。制御部22は、ステップS13において、制限をかけずにABS制御を実行する。
【0082】
一方、制御部22は、ステップS12において、第2所定条件が成立したと判定した場合、ステップS14に移行する。制御部22は、ステップS14において、ABS制御を制限する。本実施形態では、制御部22は、ステップS14において、ABS制御を実行しない。制御部22は、ステップS14の処理を経た後、ステップS11に処理を戻す。以上のように、制動制御装置20では、第1所定条件および第2所定条件が成立する場合にABS制御が制限されるため、好適なタイミングでABS制御を実行することができる。なお、ステップS11の処理およびステップS12の処理の順番を変更してもよい。
(変形例)
【0083】
上記実施形態に関する説明は、本発明に従う制動制御装置および制動システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う制動制御装置および制動システムは、例えば以下に示される上記実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変形例において、実施形態の形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0084】
・制限情報と第2所定条件に用いられる閾値との関係は、任意に変更可能である。第1例では、ケイデンスが所定ケイデンス未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第2例では、パワーが所定パワー未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第3例では、トルクが所定トルク未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第4例では、操舵角が所定操舵角未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第5例では、スリップアングルが所定スリップアングル未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第6例では、横荷重が所定横荷重未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第7例では、ヨー角度が所定ヨー角度未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第8例では、ロール角度が所定ロール角度未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第9例では、ピッチ角度が所定ピッチ角度未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第10例では、接地荷重が所定接地荷重超である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第11例では、摩擦係数が所定摩擦係数超である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第12例では、振幅が所定振幅未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第13例では、バッテリBTの残量が所定残量超である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第14例では、タイヤTの空気圧が所定空気圧超である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第15例では、摩擦部材14Aの厚さが所定厚さ超である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第16例では、心拍数が所定心拍数未満である場合、第2所定条件が成立すると判定される。第17例では、総重量が所定重量超である場合、第2所定条件が成立すると判定される。
【0085】
・制御部22が実行する制御の内容は、任意に変更可能である。一例では、制御部22は、第1所定条件および第2所定条件が成立する場合にABS制御を制限し、第1所定条件および第3所定条件が成立する場合にABS制御を実行しない。具体的には、制御部22は、第1所定条件および第2所定条件が成立する場合において、ABS制御が実行される頻度が低下するように、または、ABS制御が実行される強度が低下するようにABS制御を制限する。第3所定条件は、例えば制限情報に基づいて規定される。第3所定条件は、第2所定条件が成立した後に成立するように第2所定条件に用いられる閾値とは異なる閾値が設定される。
【0086】
・制動装置12の構成は、任意に変更可能である。第1例では、制動装置12は、制動部14、流体によって制動部14を駆動するアクチュエータ(図示略)、および、アクチュエータ(ポンプ)を駆動することによって制動部14を駆動する電動駆動部16を含む。動力伝達媒体である流体の一例は、作動油である。電動駆動部16によってアクチュエータが駆動され、流体の圧力が制動部14に与えられる。制動部14は、流体の圧力によって人力駆動車Aの回転体DRを制動するように構成される。この例によれば、制動装置12は、油圧ブレーキ装置である。制動装置12と操作装置Fとは、流体的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよい。第2例では、制動装置12は、制動部14、ケーブルによって制動部14を駆動するアクチュエータ(図示略)、および、アクチュエータを駆動することによって制動部14を駆動する電動駆動部16を含む。電動駆動部16が動作することによってアクチュエータが駆動され、ケーブルが引かれる。制動部14は、ケーブルの引きに伴って人力駆動車Aの回転体DRを制動するように構成される。この例によれば、制動装置12は、ケーブル式ブレーキ装置である。制動装置12と操作装置Fとは、機械的に接続されてもよく、電気的に接続されてもよい。第1例および第2例において、制動部14、アクチュエータ、および、電動駆動部16は、1つの筐体内に配置されてもよいし、それぞれ個別に人力駆動車Aに配置されてもよい。
【0087】
・人力駆動車Aの種類は、任意に変更可能である。第1例では、人力駆動車Aは、ロードバイク、マウンテンバイク、クロスバイク、シティサイクル、カーゴバイク、または、リカンベントである。第2例では、人力駆動車Aは、キックスケータである。
【符号の説明】
【0088】
10…制動システム、14…制動部、14A…摩擦部材、16…電動駆動部、20…制動制御装置、22…制御部、A…人力駆動車、BT…バッテリ、CO…コンポーネント、DR…回転体、E…電動補助ユニット、T…タイヤ、W…車輪。