(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】積込機械の制御装置、制御方法および遠隔操作システム
(51)【国際特許分類】
E02F 3/43 20060101AFI20220614BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
E02F3/43 F
E02F9/22 E
(21)【出願番号】P 2018035663
(22)【出願日】2018-02-28
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】特許業務法人 志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根田 知樹
(72)【発明者】
【氏名】西郷 雄祐
(72)【発明者】
【氏名】奥脇 立太
(72)【発明者】
【氏名】畠 一尋
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-094453(JP,A)
【文献】特開2017-227012(JP,A)
【文献】特開平07-071054(JP,A)
【文献】特開平09-111811(JP,A)
【文献】国際公開第2015/129932(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/057758(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0073935(US,A1)
【文献】特開2016-183449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 3/43
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、前記旋回体に取り付けられバケットを有する作業機とを備える積込機械を制御する制御装置であって、
オペレータから前記バケットに排土させるための排土操作信号および積込指示信号の入力を受け付ける操作信号入力部と、
前記積込指示信号を受け付けた場合に、前記バケットを積込点へ移動させるための前記作業機および前記旋回体の操作信号を
自動的に出力し、
前記バケットが前記積込点に至った後に前記バケットに排土させるための前記排土操作信号を自動的に出力する操作信号出力部
と、
前記旋回体が前記積込点に到達する前に前記排土操作信号を受け付けた場合に、排土操作を許可するか否かを判定する判定部と
を備え
、
前記操作信号出力部は、前記排土操作を許可すると判定された場合に前記排土操作信号を出力する
制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記旋回体が向く方位が、排土操作を許可しない第1領域または排土操作を許可する第2領域のいずれにあるかを判定し、
前記操作信号出力部は、前記旋回体の向く方位が前記第2領域に含まれる場合に、前記排土操作を許可する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記第1領域は、前記作業機と積込対象とが上方からの平面視において干渉しない領域である
請求項1
または請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記操作信号出力部は、前記第1領域に含まれる場合に前記作業機を積込点へ移動させるための前記作業機の操作信号を出力し、前記第2領域に含まれる場合に前記作業機を積込点へ移動させるための前記作業機の操作信号の出力を禁止する
請求項1
から請求項3の何れか1項に記載の制御装置。
【請求項5】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、前記旋回体に取り付けられバケットを備える作業機とを備える積込機械の制御方法であって、
オペレータから積込指示信号を受け付けるステップと、
前記積込指示信号を受け付けたときに、前記作業機を積込点へ移動させるための前記作業機および前記旋回体の操作信号を
自動的に出力するステップと、
前記バケットが前記積込点に至った後に前記バケットに排土させるための前記操作信号を自動的に出力するステップと、
前記旋回体が前記積込点に到達する前に排土操作信号を受け付けた場合に、排土操作を許可するか否かを判定するステップと、
前記排土操作を許可すると判定された場合に前記排土操作信号を出力するステップと
を備える積込機械の制御方法。
【請求項6】
旋回中心回りに旋回する旋回体と、前記旋回体に取り付けられバケットを有する作業機
とを備える積込機械の遠隔操作システムであって、
オペレータから前記バケットに排土させるための排土操作信号および積込指示信号の入力を受け付ける操作信号入力部と、
前記積込指示信号を受け付けた場合に、前記バケットを積込点へ移動させるための前記作業機および前記旋回体の操作信号を自動的に出力し、前記バケットが前記積込点に至った後に前記バケットに排土させるための前記排土操作信号を自動的に出力する操作信号出力部と、
前記旋回体が前記積込点に到達する前に前記排土操作信号を受け付けた場合に、排土操作を許可するか否かを判定する判定部と
を備え、
前記操作信号出力部は、前記排土操作を許可すると判定された場合に前記排土操作信号を出力する
積込機械の遠隔操作システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積込機械の制御装置、制御方法および遠隔操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積込機械の自動積込制御に関する技術が開示されている。自動積込制御とは、制御装置が積込機械のオペレータ等から積込点の指定を受け付け、制御装置が積込機械および作業機の動作を制御することで、バケットを積込点へ移動させる制御である。特許文献1に記載の技術によれば、制御装置は、予め作業機の位置の時系列を記憶しておき、当該時系列に従って作業機を作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術によれば、作業機は予め記憶された積込点まで自動的に移動し、積込点において排土がなされる。一方で、サイクルタイムの短縮のため、バケットが積込点に達する前に排土操作を開始したいという要望がある。この場合に、バケットが積込対象の上にないときに排土操作がなされ、土砂が積込対象からこぼれてしまうことを防止することが好ましい。
本発明の目的は、自動積込制御においてオペレータによる排土操作を受け付けることができ、かつ積込対象から土砂がこぼれることを防ぐことができる積込機械の制御装置、制御方法および遠隔操作システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様によれば、制御装置は、旋回中心回りに旋回する旋回体と、前記旋回体に取り付けられバケットを有する作業機とを備える積込機械を制御する制御装置であって、オペレータから前記バケットに排土させるための排土操作信号および積込指示信号の入力を受け付ける操作信号入力部と、前記積込指示信号を受け付けた場合に、前記バケットを積込点へ移動させるための前記作業機および前記旋回体の操作信号を自動的に出力し、前記バケットが前記積込点に至った後に前記バケットに排土させるための操作信号を自動的に出力する操作信号出力部と、前記旋回体が前記積込点に到達する前に前記排土操作信号を受け付けた場合に、前記排土操作を許可するか否かを判定する判定部とを備え、前記操作信号出力部は、前記排土操作を許可すると判定された場合に前記排土操作信号を出力する。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、積込機械の制御装置は、自動積込制御において排土操作を受け付けることができ、かつ積込対象から土砂がこぼれることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係る積込機械の構成を示す概略図である。
【
図2】第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
【
図3】第1の実施形態に係るバケットの経路の例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る自動積込制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】第1の実施形態に係る自動積込制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
〈第1の実施形態〉
《積込機械の構成》
図1は、第1の実施形態に係る積込機械の構成を示す概略図である。
積込機械100は、土砂を運搬車両などの積込点へ積込を行う作業機械である。第1の実施形態に係る積込機械100は、油圧ショベルである。なお、他の実施形態に係る積込機械100は、油圧ショベル以外の積込機械であってもよい。また
図1に示す積込機械100はフェイスショベルであるが、バックホウショベルやロープショベルであってもよい。
積込機械100は、走行体110と、走行体110に支持される旋回体120と、油圧により作動し旋回体120に支持される作業機130とを備える。旋回体120は、旋回中心を中心として旋回自在に支持される。
【0009】
作業機130は、ブーム131と、アーム132と、クラムバケット133と、ブームシリンダ134と、アームシリンダ135と、バケットシリンダ136と、クラムシリンダ137と、ブーム角度センサ138と、アーム角度センサ139と、バケット角度センサ140とを備える。
【0010】
ブーム131の基端部は、旋回体120にピンを介して取り付けられる。
アーム132は、ブーム131とクラムバケット133とを連結する。アーム132の基端部は、ブーム131の先端部にピンを介して取り付けられる。
クラムバケット133は、アーム132の先端部にピンを介して取り付けられるバックオール1331と、土砂などを掘削するための刃を有するクラムシェル1332とを有する。バックオール1331とクラムシェル1332とはピンを介して開閉可能に連結される。バックオール1331とクラムシェル1332とが閉じているとき、バックオール1331およびクラムシェル1332は、掘削した土砂を収容するための容器として機能する。他方、バックオール1331とクラムシェル1332とが開くことで、収容した土砂を排土することができる。
【0011】
ブームシリンダ134は、ブーム131を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ134の基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ134の先端部は、ブーム131に取り付けられる。
アームシリンダ135は、アーム132を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ135の基端部は、ブーム131に取り付けられる。アームシリンダ135の先端部は、アーム132に取り付けられる。
バケットシリンダ136は、クラムバケット133を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ136の基端部は、ブーム131に取り付けられる。バケットシリンダ136の先端部は、クラムバケット133のバックオール1331に取り付けられる。
クラムシリンダ137は、バックオール1331とクラムシェル1332とを開閉するための油圧シリンダである。クラムシリンダ137の基端部は、バックオール1331に取り付けられる。クラムシリンダ137の先端部は、クラムシェル1332に取り付けられる。
【0012】
ブーム角度センサ138は、ブーム131に取り付けられ、ブーム131の傾斜角を検出する。
アーム角度センサ139は、アーム132に取り付けられ、アーム132の傾斜角を検出する。
バケット角度センサ140は、クラムバケット133のバックオール1331に取り付けられ、クラムバケット133の傾斜角を検出する。
第1の実施形態に係るブーム角度センサ138、アーム角度センサ139、およびバケット角度センサ140は、地平面に対する傾斜角を検出する。なお、他の実施形態に係る角度センサはこれに限られず、他の基準面に対する傾斜角を検出してもよい。例えば、他の実施形態においては、角度センサは、ブーム131、アーム132およびクラムバケット133の基端部に設けられたポテンショメータによって相対回転角を検出してもよいし、ブームシリンダ134、アームシリンダ135およびバケットシリンダ136のシリンダ長さを計測し、シリンダ長さを角度に変換することで傾斜角を検出するものであってもよい。
【0013】
旋回体120には、運転室121が設けられる。運転室121の内部には、オペレータが着座するための運転席122、積込機械100を操作するための操作装置123、検出方向に存在する対象物の3次元位置を検出するための検出装置124が設けられる。操作装置123は、オペレータの操作に応じて、ブーム131の回動操作信号、アーム132の回動操作信号、クラムバケット133の回動操作信号、クラムバケット133の開閉操作信号、旋回体120の左右への旋回操作信号を生成し、制御装置128に出力する。クラムバケット133の開閉操作信号は、バケットに排土をさせるための排土操作信号の一例である。開閉操作信号は開操作信号と閉操作信号を含む。また操作装置123は、オペレータの操作に応じて作業機130に自動積込制御を開始させるための積込指示信号を生成し、制御装置128に出力する。操作装置123は、例えばレバー、スイッチおよびペダルにより構成される。積込指示信号はスイッチの操作により生成される。例えば、スイッチがONになったときに、積込指示信号が出力される。操作装置123は、運転席122の近傍に配置される。操作装置123は、オペレータが運転席122に座ったときにオペレータの操作可能な範囲内に位置する。
検出装置124の例としては、ステレオカメラ、レーザスキャナ、UWB(Ultra Wide Band)測距装置などが挙げられる。検出装置124は、例えば検出方向が積込機械100の運転室121の前方を向くように設けられる。検出装置124は、対象物の3次元位置を、検出装置124の位置を基準とした座標系で特定する。
なお、第1の実施形態に係る積込機械100は、運転席122に着座するオペレータの操作に従って動作するが、他の実施形態においてはこれに限られない。例えば、他の実施形態に係る積込機械100は、積込機械100の外部で操作するオペレータの遠隔操作によって操作信号や積込指示信号が送信され動作するものであってもよい。
【0014】
積込機械100は、位置方位演算器125、傾斜計測器126、油圧装置127、制御装置128を備える。
【0015】
位置方位演算器125は、旋回体120の位置および旋回体120が向く方位を演算する。位置方位演算器125は、GNSSを構成する人工衛星から測位信号を受信する2つの受信器を備える。2つの受信器は、それぞれ旋回体120の異なる位置に設置される。位置方位演算器125は、受信器が受信した測位信号に基づいて、現場座標系における旋回体120の代表点(ショベル座標系の原点)の位置を検出する。
位置方位演算器125は、2つの受信器が受信した各測位信号を用いて、一方の受信器の設置位置に対する他方の受信器の設置位置の関係として、旋回体120の向く方位を演算する。旋回体120が向く方位とは、旋回体120の正面に直交する方向であって、作業機130のブーム131からクラムバケット133へ伸びる直線の延在方向の水平成分に等しい。
【0016】
傾斜計測器126は、旋回体120の加速度および角速度を計測し、計測結果に基づいて旋回体120の姿勢(例えば、ロール角、ピッチ角、ヨー角)を検出する。傾斜計測器126は、例えば旋回体120の下面に設置される。傾斜計測器126は、例えば、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)を用いることができる。
【0017】
油圧装置127は、作動油タンク、油圧ポンプ、および流量制御弁を備える。油圧ポンプは、図示しないエンジンの動力で駆動し、流量制御弁を介して走行体110を走行させる図示しない走行油圧モータ、旋回体120を旋回させる図示しない旋回油圧モータ、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136、およびクラムシリンダ137に作動油を供給する。流量制御弁はロッド状のスプールを有し、スプールの位置によって走行油圧モータ、旋回油圧モータ、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136、およびクラムシリンダ137に供給する作動油の流量を調整する。スプールは、制御装置128から受信する制御指令に基づいて駆動される。つまり、走行油圧モータ、旋回油圧モータ、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136、およびクラムシリンダ137に供給される作動油の量は、制御装置128によって制御される。上記のとおり、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136、およびクラムシリンダ137は共通の油圧装置127から供給される作動油によって駆動する。
【0018】
制御装置128は、操作装置123から操作信号を受信する。制御装置128は、受信した操作信号に基づいて、作業機130、旋回体120、または走行体110を駆動させる。
【0019】
《制御装置の構成》
図2は、第1の実施形態に係る制御装置の構成を示す概略ブロック図である。
制御装置128は、プロセッサ1100、メインメモリ1200、ストレージ1300、インタフェース1400を備えるコンピュータである。ストレージ1300は、プログラムを記憶する。プロセッサ1100は、プログラムをストレージ1300から読み出してメインメモリ1200に展開し、プログラムに従った処理を実行する。
【0020】
ストレージ1300の例としては、HDD、SSD、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM等が挙げられる。ストレージ1300は、制御装置128の共通通信線に直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1400を介して制御装置128に接続される外部メディアであってもよい。ストレージ1300は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0021】
プロセッサ1100は、プログラムの実行により、車両情報取得部1101、検出情報取得部1102、操作信号入力部1103、バケット位置特定部1104、積込位置特定部1105、回避位置特定部1106、移動処理部1107、領域判定部1108、操作信号出力部1109を備える。
【0022】
車両情報取得部1101は、旋回体120の旋回速度、位置および方位、ブーム131、アーム132およびクラムバケット133の傾斜角、走行体110の走行速度、ならびに旋回体120の姿勢を取得する。以下、車両情報取得部1101が取得する積込機械100に係る情報を車両情報とよぶ。
【0023】
検出情報取得部1102は、検出装置124から3次元位置情報を取得し、積込対象200(例えば、運搬車両やホッパ)の位置および形状を特定する。
【0024】
操作信号入力部1103は、操作装置123から操作信号の入力を受け付ける。ブーム131の回動操作信号、アーム132の回動操作信号、クラムバケット133の回動操作信号、クラムバケット133の開閉操作信号、旋回体120の旋回操作信号、走行体110の走行操作信号、ならびに積込機械100の積込指示信号が含まれる。
【0025】
バケット位置特定部1104は、車両情報取得部1101が取得した車両情報に基づいて、ショベル座標系におけるアーム132の先端の位置Pおよびアーム132の先端からクラムバケット133の最下点までの高さHbを特定する。クラムバケット133の最下点とは、クラムバケット133の外形のうち地表面からの距離が最も短い点をいう。特に、バケット位置特定部1104は、積込指示信号の入力を受け付けたときのアーム132の先端の位置Pを掘削完了位置P10として特定する。
図3は、第1の実施形態に係るバケットの経路の例を示す図である。具体的には、バケット位置特定部1104は、ブーム131の傾斜角と既知のブーム131の長さ(基端部のピンから先端部のピンまでの距離)とに基づいて、ブーム131の長さの垂直方向成分および水平方向成分を求める。同様に、バケット位置特定部1104は、アーム132の長さの垂直方向成分および水平方向成分を求める。バケット位置特定部1104は、積込機械100の位置から、積込機械100の方位および姿勢から特定される方向に、ブーム131およびアーム132の長さの垂直方向成分の和および水平方向成分の和だけ離れた位置を、アーム132の先端の位置P(
図1に示すアーム132の先端部のピンの位置P)として特定する。また、バケット位置特定部1104は、クラムバケット133の傾斜角と既知のクラムバケット133の形状とに基づいて、クラムバケット133の鉛直方向の最下点を特定し、アーム132の先端から最下点までの高さHbを特定する。
【0026】
積込位置特定部1105は、操作信号入力部1103に積込指示信号が入力された場合に、検出情報取得部1102が特定した積込対象200の位置および形状に基づいて、積込位置P13を特定する。積込位置特定部1105は、車両情報取得部1101が取得した旋回体120の位置、方位および姿勢に基づいて積込対象200の位置情報が示す積込点P21を現場座標系からショベル座標系に変換する。積込位置特定部1105は、特定した積込点P21から、積込機械100の旋回体120の向く方向にクラムバケット133の中心からアーム132の先端までの距離D1だけ離れた位置を、積込位置P13の平面位置として特定する。つまり、アーム132の先端が積込位置P13に位置するとき、クラムバケット133の中心は積込点P21に位置することとなる。したがって、制御装置128は、アーム132の先端が積込位置P13へ移動するように制御することで、クラムバケット133の中心を積込点P21に移動させることができる。積込位置特定部1105は、積込対象200の高さHtに、バケット位置特定部1104が特定したアーム132の先端からクラムバケット133最下点までの高さHbと、クラムバケット133の制御余裕分の高さとを加算することで、積込位置P13の高さを特定する。なお、他の実施形態においては、積込位置特定部1105は、制御余裕分の高さを加算せずに積込位置P13を特定してもよい。すなわち、積込位置特定部1105は、高さHtに高さHbを加算することで、積込位置P13の高さを特定してもよい。
【0027】
回避位置特定部1106は、積込位置特定部1105が特定した積込位置P13と、車両情報取得部1101が取得した積込機械100の位置と、検出情報取得部1102が特定した積込対象200の位置および形状に基づいて、作業機130と積込対象200とが上方からの平面視において干渉しない点である干渉回避位置P12を特定する。干渉回避位置P12は、積込位置P13と同じ高さを有し、かつ旋回体120の旋回中心からの距離が、当該旋回中心から積込位置P13までの距離と等しく、かつ下方に積込対象200が存在しない位置である。回避位置特定部1106は、例えば、旋回体120の旋回中心を中心とし、当該旋回中心と積込位置P13との距離を半径とする円を特定し、当該円上の位置のうち、クラムバケット133の外形が上方からの平面視で積込対象200と干渉せず、かつ積込位置P13に最も近い位置を、干渉回避位置P12と特定する。回避位置特定部1106は、積込対象200の位置および形状、ならびにクラムバケット133の既知の形状に基づいて、積込対象200とクラムバケット133とが干渉するか否かを判定することができる。ここで、「同じ高さ」、「距離が等しい」とは、必ずしも高さまたは距離が完全に一致するものに限られず、多少の誤差やマージンが許容されるものとする。
【0028】
移動処理部1107は、操作信号入力部1103が積込指示信号の入力を受け付けた場合に、積込位置特定部1105が特定した積込位置P13、回避位置特定部1106が特定した干渉回避位置P12に基づいて、クラムバケット133を積込位置P13まで移動させるための回動操作信号を生成する。すなわち、移動処理部1107は、掘削完了位置P10から、旋回開始位置P11および干渉回避位置P12を経由して、積込位置P13に到達するように、回動操作信号を生成する。また、移動処理部1107は、ブーム131およびアーム132が駆動してもクラムバケット133の対地角度が変化しないように、クラムバケット133の回動操作信号を生成する。
【0029】
領域判定部1108は、旋回体120の向く方位が、排土操作を許可しない第1領域R1または排土操作を許可する第2領域R2のいずれにあるかを判定する。第1領域R1は、積込指示信号の入力を受け付けたときに旋回体120が向く方位(起点方位)から作業機130が干渉回避位置P12に位置するときに旋回体120が向く方位(基準方位)までの領域である。第2領域R2は、基準方位から作業機130が積込位置P13に位置するときに旋回体120が向く方位(終点方位)までの領域である。
【0030】
操作信号出力部1109は、操作信号入力部1103に入力された操作信号、または移動処理部1107が生成した操作信号を出力する。具体的には、操作信号出力部1109は、自動積込制御中である場合に、移動処理部1107が生成した操作信号を出力し、自動積込制御中でない場合に、操作信号入力部1103に入力された操作信号を出力する。また、操作信号出力部1109は、自動積込制御中である場合であっても、旋回体120が第2領域R2に含まれる方位を向く場合、操作信号入力部1103に入力されたクラムバケット133の開操作信号を出力する。
【0031】
《動作》
積込機械100のオペレータは、積込機械100と積込対象200とが積込処理可能な位置関係にあると判断すると、操作装置123のスイッチをONにする。これにより、操作装置123は、積込指示信号を生成し出力する。
【0032】
図4-
図5は、第1の実施形態に係る自動積込制御方法を示すフローチャートである。制御装置128は、オペレータから積込指示信号の入力を受け付けると、
図4-
図5に示す自動積込制御を実行する。
【0033】
車両情報取得部1101は、旋回体120の位置および方位、ブーム131、アーム132およびクラムバケット133の傾斜角、ならびに旋回体120の姿勢を取得する(ステップS1)。車両情報取得部1101は、取得した旋回体120の位置および方位に基づいて、旋回体120の旋回中心の位置を特定する(ステップS2)。また検出情報取得部1102は、検出装置124から、積込対象200の3次元位置情報を取得し、3次元位置情報から積込対象200の位置および形状を特定する(ステップS3)。
【0034】
バケット位置特定部1104は、車両情報取得部1101が取得した車両情報に基づいて、積込指示信号の入力時のアーム132の先端の位置P、およびアーム132の先端からクラムバケット133の最下点までの高さを特定する(ステップS4)。バケット位置特定部1104は、当該位置Pを掘削完了位置P10と特定する。
【0035】
積込位置特定部1105は、ステップS1で取得した旋回体120の位置、方位および姿勢に基づいて検出情報取得部1102が取得した積込対象200の位置情報を現場座標系からショベル座標系に変換する。積込位置特定部1105は、検出情報取得部1102が特定した積込対象200の位置および形状に基づいて、積込位置P13の平面位置を特定する(ステップS5)。このとき、積込位置特定部1105は、積込対象200の高さHtに、ステップS4で特定したアーム132の先端からクラムバケット133の最下点までの高さHbと、クラムバケット133の制御余裕分の高さとを加算することで、積込位置P13の高さを特定する(ステップS6)。
【0036】
回避位置特定部1106は、車両情報取得部1101が取得した旋回体120の位置および方位に基づいて、旋回体120の旋回中心の位置を特定する(ステップS7)。回避位置特定部1106は、旋回中心から特定した平面距離だけ離れた位置であって、クラムバケット133の外形が平面視で積込対象200と干渉せず、かつ積込位置P13から最も近い位置を、干渉回避位置P12として特定する(ステップS8)。
【0037】
移動処理部1107は、アーム132の先端の位置が積込位置P13に至ったか否かを判定する(ステップS9)。アーム132の先端の位置が積込位置P13に至っていない場合(ステップS9:NO)、移動処理部1107は、アーム132の先端の位置が干渉回避位置P12の近傍にあるか否かを判定する(ステップS10)。例えば、移動処理部1107は、アーム132の先端の高さと干渉回避位置P12の高さとの差が所定の閾値未満であり、または旋回体120の旋回中心からアーム132の先端までの平面距離と旋回中心から干渉回避位置P12までの平面距離との差が所定の閾値未満であるか否かを判定する(ステップS10)。アーム132の先端の位置が干渉回避位置P12の近傍にある場合(ステップS10:YES)、移動処理部1107は、ブーム131およびアーム132を干渉回避位置P12の高さまで上昇させる操作信号を生成する(ステップS11)。このとき、移動処理部1107は、ブーム131およびアーム132の位置および速度に基づいて、操作信号を生成する。
【0038】
また移動処理部1107は、生成したブーム131およびアーム132の操作信号に基づいてブーム131およびアーム132の角速度の和を算出し、当該角速度の和と同じ速度でクラムバケット133を回動させる操作信号を生成する(ステップS12)。これにより、移動処理部1107は、クラムバケット133の対地角を保持する操作信号を生成することができる。なお、他の実施形態においては、移動処理部1107は、ブーム角度センサ138、アーム角度センサ139およびバケット角度センサ140の検出値より算出されるクラムバケット133の対地角度が、自動制御開始時の対地角度と等しくなるようにクラムバケット133を回動させる操作信号を生成してもよい。
【0039】
アーム132の先端の位置が干渉回避位置P12の近傍にない場合(ステップS10:NO)、移動処理部1107は、ブーム131、アーム132およびクラムバケット133の操作信号を生成しない。つまり、アーム132の先端の位置が干渉回避位置P12の近傍にない場合、移動処理部1107は、作業機130を積込点へ移動させるための作業機130の操作信号の出力を禁止する。
【0040】
移動処理部1107は、車両情報取得部1101が取得した車両情報に基づいて、旋回体120の旋回速度が所定速度未満であるか否かを判定する(ステップS13)。すなわち、移動処理部1107は、旋回体120が旋回中であるか否かを判定する。
旋回体120の旋回速度が所定速度未満である場合(ステップS13:YES)、移動処理部1107は、クラムバケット133の高さが掘削完了位置P10の高さから干渉回避位置P12の高さに至るまでの時間である上昇時間を特定する(ステップS14)。移動処理部1107は、クラムバケット133の上昇時間に基づいて、現在時刻から旋回操作信号を出力した場合に、アーム132の先端が干渉回避位置P12または干渉回避位置P12より高い点を通過することになるか否かを判定する(ステップS15)。現在時刻から旋回操作信号を出力した場合に、アーム132の先端が干渉回避位置P12または干渉回避位置P12より高い点を通過することになる場合(ステップS15:YES)、移動処理部1107は、旋回操作信号を生成する(ステップS16)。
現在時刻から旋回操作信号を出力した場合に、アーム132の先端が干渉回避位置P12より低い点を通過することになる場合(ステップS15:NO)、移動処理部1107は、旋回操作信号を生成しない。つまり、アーム132の先端が干渉回避位置P12より低い点を通過することになる場合、移動処理部1107は、旋回操作信号の出力を禁止する。
【0041】
旋回体120の旋回速度が所定速度以上である場合(ステップS13:NO)、移動処理部1107は、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P13に到達するか否かを判定する(ステップS17)。なお、旋回体120は、旋回操作信号の出力の停止後、減速しながらも慣性により旋回し続け、その後停止する。現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P13に到達する場合(ステップS17:YES)、移動処理部1107は、旋回操作信号を生成しない。つまり、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P13に到達する場合、移動処理部1107は、旋回操作信号の出力を禁止する。これにより、旋回体120は減速を始める。
他方、現在時刻から旋回操作信号の出力を停止した場合に、アーム132の先端が積込位置P13より手前で停止することになる場合(ステップS17:NO)、移動処理部1107は、旋回操作信号を生成する(ステップS18)。
【0042】
ステップS9からステップS18の処理でブーム131、アーム132およびクラムバケット133の回動操作信号、並びに旋回体120の旋回操作信号の少なくともいずれか1つを生成すると、操作信号出力部1109は、生成した操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS19)。
【0043】
次に、操作信号入力部1103は、操作装置123からクラムバケット133の開操作信号の入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS20)。操作装置123からクラムバケット133の開操作信号の入力を受け付けていない場合(ステップS20:NO)、操作信号出力部1109は、開操作信号を出力しない。
他方、操作装置123からクラムバケット133の開操作信号の入力を受け付けた場合(ステップS20:YES)、領域判定部1108は、旋回体120が向く方位が、基準方位から終点方位までの第2領域R2に含まれるか否かを判定する(ステップS21)。旋回体120が向く方位が第1領域R1に含まれる場合(ステップS21:NO)、操作信号出力部1109は、入力された開操作信号を油圧装置127に出力しない。つまり、旋回体120が向く方位が第1領域R1に含まれる場合、操作信号出力部1109は、開操作信号の出力を禁止する。他方、旋回体120が向く方位が第2領域R2に含まれる場合(ステップS21:YES)、操作信号出力部1109は、入力された開操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS22)。
【0044】
なお、旋回体120が向く方位が第2領域R2に含まれる場合、アーム132の先端の高さは、干渉回避位置P12以上の高さとなっている。これは、ステップS15-S16において、移動処理部1107が、アーム132の先端が上方向からの平面視において干渉回避位置P12に位置するときにアーム132の先端の高さが干渉回避位置P12以上の高さとなるように旋回操作信号を生成するためである。アーム132の先端が上方向からの平面視において干渉回避位置P12に位置するときに旋回体120が向く方位は、基準方位と等しい。
また、旋回体120が向く方位が第1領域R1に含まれる場合であっても、アーム132の先端の高さは、必ずしも干渉回避位置未満の高さであるとは限らない。例えば、アーム132の高さを干渉回避位置P12以上の高さまで上昇させるために必要な時間が、アーム132の先端が上方向からの平面視において干渉回避位置P12に位置するまで旋回体120を旋回させるために必要な時間より短い場合、アーム132の先端の高さが干渉回避位置P12以上の高さまで上昇したときに、旋回体120が向く方位が第1領域R1に含まれる可能性がある。
【0045】
そして、車両情報取得部1101は、車両情報を取得する(ステップS23)。これにより、車両情報取得部1101は、出力した操作信号によって作動した後の車両情報を取得することができる。制御装置128は、処理をステップS9に戻し、操作信号の生成を繰り返し実行する。
【0046】
他方、ステップS9にて、アーム132の先端の位置が積込位置P13に至っている場合(ステップS9:YES)、移動処理部1107は、クラムバケット133を開く操作信号を生成する(ステップS24)。操作信号出力部1109は、生成した操作信号を油圧装置127に出力する(ステップS25)。そして、制御装置128は、自動積込制御を終了する。
【0047】
ここで、
図3を用いて、自動積込制御時の積込機械100の動作について説明する。
自動積込制御が開始されると、ブーム131およびアーム132は、掘削完了位置P10から旋回開始位置P11へ向けて上昇する。このとき、クラムバケット133は、掘削終了時の対地角度を維持するように駆動する。また、このとき旋回体120が向く方位は第1領域R1に含まれるため、操作装置123にクラムバケット133の開閉操作信号が入力されても、当該開閉操作信号は油圧装置127に出力されない。これにより、制御装置128は、積込対象の外に誤って土砂を排土してこぼれることを防ぐことができる。
【0048】
制御装置128は、アーム132の先端が旋回開始位置P11に到達すると、旋回体120は積込位置P13へ向けて旋回を開始する。このとき、アーム132の先端は干渉回避位置P12の高さに至っていないため、ブーム131およびアーム132の上昇は継続される。アーム132の先端が旋回開始位置P11から干渉回避位置P12へ移動する途中で、アーム132の先端の高さが干渉回避位置P12と等しくなるように、ブーム131、アーム132およびクラムバケット133は減速する。また、このとき旋回体120が向く方位は第1領域R1に含まれるため、操作装置123にクラムバケット133の開閉操作信号が入力されても、当該開閉操作信号は油圧装置127に出力されない。これにより、制御装置128は、積込対象の外に誤って土砂を排土してこぼれることを防ぐことができる。
【0049】
アーム132の先端が干渉回避位置P12にくると、作業機130の駆動は停止する。一方、旋回体120は旋回を継続する。すなわち、干渉回避位置P12から積込位置P13までの間、アーム132の先端は、作業機130の駆動によらず、旋回体120の旋回のみにより移動する。アーム132の先端が旋回開始位置P11から積込位置P13へ移動する途中で、アーム132の先端の位置が積込位置P13と等しくなるように、旋回体120は減速する。このとき旋回体120が向く方位は第2領域R2に含まれるため、操作装置123にクラムバケット133の開閉操作信号が入力されると、当該開閉操作信号に応じてクラムバケット133が開く。これにより、オペレータは、サイクルタイムの短縮を図ってクラムバケット133が積込位置P13に達する前に排土操作を行うことができる。
【0050】
アーム132の先端が積込位置P13にくると、作業機130および旋回体120の駆動は停止する。その後、開閉操作信号の入力の有無に関わらずクラムバケット133が開く。
【0051】
上述の自動積込制御により、積込機械100は、クラムバケット133がすくった土砂を積込対象200に積込むことができる。オペレータは、作業機130による掘削と、積込指示信号の入力による自動積込制御とを、積込対象200の積載量が最大積載量を超えない程度に繰り返し実行する。
【0052】
《作用・効果》
第1の実施形態に係る積込機械100の制御装置128は、自動積込制御中、旋回体120が向く方位が第1領域R1に含まれる場合においてクラムバケット133の開閉操作信号を受け付けたときであっても、開閉操作信号を油圧装置127に出力しない。これにより、制御装置128は、積込対象200から土砂がこぼれることを防ぐことができる。
他方、制御装置128は、自動積込制御中、旋回体120が向く方位が第2領域R2に含まれる場合においてクラムバケット133の開閉操作信号を受け付けたときに、開閉操作信号を油圧装置127に出力する。これにより、オペレータは、サイクルタイムの短縮を図ってクラムバケット133が積込位置P13に達する前に排土操作を行うことができる。
【0053】
また、第1の実施形態において第1領域R1は、
図3に示すように、上方からの平面視において作業機130と積込対象200とが干渉しない領域である。これにより、制御装置128は、作業機130の下に積込対象200がないときに、クラムバケット133に排土させることを防ぐことができる。なお、荷台上方ではない干渉回避位置P12でクラムバケット133を開き始めても、積込対象200から土砂がこぼれる可能性は低い。これは、クラムバケット133は荷台よりも高い軌跡で所定の速度で旋回中であり、かつ開操作信号が出力され実際にクラムバケット133が開き始めるのにタイムラグがあるため、土砂が干渉回避位置P12よりも積込対象200側の位置から旋回方向に放出されるためである。
【0054】
また、第1の実施形態に係る制御装置128は、旋回体120が向く方位が第1領域R1にあるときに作業機130の上下操作信号を出力し、旋回体120が向く方位が第2領域R2にあるときに作業機130の上下操作信号を出力しない。つまり、制御装置128は、作業機130の上下操作信号を油圧装置127に出力している間、開閉操作信号を油圧装置127に出力しない。上述したように、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136、およびクラムシリンダ137は共通の油圧装置127から供給される作動油によって駆動する。したがって、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、バケットシリンダ136、およびクラムシリンダ137に流すことができる最大の作動油の流量は油圧装置127の能力によって定められる。そのため、作業機130を上昇させているときにクラムシリンダ137が作動すると、ブームシリンダ134、アームシリンダ135、およびバケットシリンダ136に流れる作動油の流量が減少し、作業機130の上昇速度が低下する。作業機130の上昇速度が低下すると、作業機130が積込対象200と干渉する可能性がある。
したがって、制御装置128は、作業機130の上下操作信号を油圧装置127に出力している間、開閉操作信号を油圧装置127に出力しないようにすることで、作業機130の上昇が遅れることを防ぐことができる。
【0055】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、第1の実施形態においては、基準方位を、作業機130が干渉回避位置P12に位置するときに旋回体120が向く方位としたが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、基準方位を、上方からの平面視においてアーム132の先端が積込対象200に干渉する方位のうち、最も起点方位に近い方位としてもよい。また、他の実施形態においては、基準方位を、上方からの平面視においてアーム132の先端が積込対象200に干渉する方位のうち、起点方位側の任意の方位に設定してもよい。また、他の実施形態においては、基準方位を、上方からの平面視においてアーム132の先端が積込対象200に干渉しない方位のうち、終点方位側の任意の方位に設定してもよい。この場合、基準方位においてアーム132の先端は必ずしも干渉回避位置P12の高さまで上がっていなくてもよい。つまり、基準方位は、干渉回避位置P12の近傍の任意の位置に設定されてよい。
【0056】
また、第1の実施形態に係る積込機械100はクラムバケット133を備えるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る積込機械100は、バックオール1331とクラムシェル1332とが開閉しない一体型のバケットを備えるものであってもよい。この場合における排土操作信号は、バケットを背側へ(ダンプ方向へ)回動させる操作信号である。
【0057】
また、第1の実施形態に係る自動積込制御は、ステップS25でクラムバケット133を開く操作信号を出力して終了するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御装置128は、ステップS22またはステップS25でクラムバケット133を開く操作信号を出力してからクラムバケット133に収容された土砂がすべて排土されるまでに要する時間が経過した後に、クラムバケット133を閉じる操作信号を出力してもよい。
【0058】
また、第1の実施形態に係る積込機械100は、オペレータが搭乗して操作する有人運転車両であるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る積込機械100は、遠隔の事務所にいるオペレータがモニタの画面を見ながら操作する遠隔操作装置から、通信により取得する操作信号によって作動する遠隔運転車両であってもよい。この場合、制御装置128の一部の機能が遠隔操作装置に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0059】
100…積込機械 110…走行体 120…旋回体 130…作業機 131…ブーム 132…アーム 133…クラムバケット 134…ブームシリンダ 135…アームシリンダ 136…バケットシリンダ 137…クラムシリンダ 128…制御装置 1101…車両情報取得部 1102…検出情報取得部 1103…操作信号入力部 1104…バケット位置特定部 1105…積込位置特定部 1106…回避位置特定部 1107…移動処理部 1108…領域判定部 1109…操作信号出力部 200…積込対象 P10…掘削完了位置 P11…旋回開始位置 P12…干渉回避位置 P13…積込位置 R1…第1領域 R2…第2領域