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特許7088692刺繍ミシン、糸色まとめ方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】刺繍ミシン、糸色まとめ方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   D05B 19/10 20060101AFI20220614BHJP
   D05C 11/16 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
D05B19/10
D05C11/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018036969
(22)【出願日】2018-03-01
(65)【公開番号】P2019150262
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000002244
【氏名又は名称】株式会社ジャノメ
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】峰岸 祐実
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 由美子
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-088461(JP,A)
【文献】特開2010-179017(JP,A)
【文献】特開2017-176463(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 1/00-97/12
D05C 1/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製する複数の模様の縫製順に該模様の糸色を記憶する糸色記憶部と、
前記糸色記憶部に記憶された所定の模様の所定の糸色を比較対象とし、前記所定の模様以外の模様の糸色のいずれかを被比較対象として、前記比較対象と前記被比較対象とが同一であるか否かを比較する糸色比較部と、
前記比較対象と前記被比較対象との間で、同一の糸色をまとめる糸色まとめ部と、
前記糸色比較部における比較結果に基づいて、前記比較対象を適宜変更する比較対象変更部と、
を備え、
前記糸色まとめ部は、
前記糸色比較部で同一と判断された場合に、前記糸色記憶部において、前記比較対象を前記糸色比較部で同一であると判断された前記被比較対象と一緒に縫製するように記憶するとともに、前記比較対象の記憶を削除し、前記糸色比較部において同一と判断された前記比較対象の縫製順と前記被比較対象の縫製順との間に、前記比較対象により構成される模様の該比較対象以外の糸色とまとめられた被比較対象がある場合には、前記糸色のまとめを実施せず、
前記糸色比較部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製順または該縫製順とは逆の順に前記被比較対象と比較し、
前記比較対象により構成される模様における縫製順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より前に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、
前記比較対象により構成される模様における縫製順とは逆の順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より後に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、前記比較対象変更部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製の所定の順に前記被比較対象と比較した場合に、前記糸色比較部において同一でないと判断すると、前記比較対象を前記縫製の所定の順とは逆の順に前記被比較対象と比較するか、あるいは、次に縫製する模様の所定の糸色を前記比較対象として前記被比較対象と比較することを特徴とする刺繍ミシン。
【請求項2】
前記複数の模様の縫製順を入れ替える縫製順入替部と、
前記縫製順入替部が前記縫製順を入れ替えたときの前記糸色まとめ部による糸色まとめを行った前記複数の模様の縫製回数を算出する縫製回数算出部と、
前記複数の模様の縫製順を決定する縫製順決定部と、
を備え、
前記縫製順決定部は、前記縫製回数算出部が算出する縫製回数が最小となる前記縫製順を決定し、前記糸色記憶部に決定した前記縫製順と前記糸色まとめ部による糸色まとめ結果とを記憶させることを特徴とする請求項に記載の刺繍ミシン。
【請求項3】
縫製する複数の模様の縫製順に該模様の糸色を記憶する糸色記憶部と、糸色比較部と、糸色まとめ部と、比較対象変更部と、を備えた装置における糸色まとめ方法であって、
前記糸色比較部が、前記糸色記憶部に記憶された所定の模様の所定の糸色を比較対象とし、前記所定の模様以外の模様の糸色のいずれかを被比較対象として、前記比較対象と前記被比較対象とが同一であるか否かを比較する第1の工程と、
前記糸色まとめ部が、前記比較対象と前記被比較対象との間で、同一の糸色をまとめる第2の工程と、
前記比較対象変更部が、前記第1の工程における比較結果に基づいて、前記比較対象を適宜変更する第3の工程と、
を備え、
前記第2の工程において、前記糸色まとめ部は、前記糸色比較部で同一と判断された場合に、前記糸色記憶部において、前記比較対象を前記糸色比較部で同一であると判断された前記被比較対象と一緒に縫製するように記憶するとともに、前記比較対象の記憶を削除し、前記第1の工程で同一と判断された前記比較対象の縫製順と前記被比較対象の縫製順との間に、前記比較対象により構成される模様を構成する該比較対象以外の糸色とまとめられた被比較対象がある場合には、前記糸色のまとめを実施せず、
前記第1の工程において、前記糸色比較部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製順または該縫製順とは逆の順に前記被比較対象と比較し、
前記比較対象により構成される模様における縫製順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より前に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、
前記比較対象により構成される模様における縫製順とは逆の順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より後に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、
前記第3の工程において、前記比較対象変更部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製の所定の順に前記被比較対象と比較した場合に、前記糸色比較部において同一でないと判断すると、前記比較対象を前記縫製の所定の順とは逆の順に前記被比較対象と比較するか、あるいは、次に縫製する模様の所定の糸色を前記比較対象として前記被比較対象と比較することを特徴とする糸色まとめ方法。
【請求項4】
前記装置が、さらに、縫製順入替部と、縫製回数算出部と、縫製順決定部とを備え、
前記縫製順入替部が、前記複数の模様の縫製順を入れ替える第4の工程と、
前記縫製回数算出部が、前記第4の工程において前記縫製順を入れ替え、前記第2の工程による糸色まとめを行った前記複数の模様の縫製回数を算出する第5の工程と、
前記縫製順決定部が、前記第5の工程において、算出された縫製回数が最小となる前記縫製順を決定し、前記糸色記憶部に決定した前記縫製順と前記第2の工程による糸色まとめ結果とを記憶させる第6の工程と、
を備えたことを特徴とする請求項に記載の糸色まとめ方法。
【請求項5】
縫製する複数の模様の縫製順に該模様の糸色を記憶する糸色記憶部と、糸色比較部と、糸色まとめ部と、比較対象変更部と、を備えた装置における糸色まとめ方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記糸色比較部が、前記糸色記憶部に記憶された所定の模様の所定の糸色を比較対象とし、前記所定の模様以外の模様の糸色のいずれかを被比較対象として、前記比較対象と前記被比較対象とが同一であるか否かを比較する第1の工程と、
前記糸色まとめ部が、前記比較対象と前記被比較対象との間で、同一の糸色をまとめる第2の工程と、
前記比較対象変更部が、前記第1の工程における比較結果に基づいて、前記比較対象を適宜変更する第3の工程と、
を備え、
前記第2の工程において、前記糸色まとめ部は、前記糸色比較部で同一と判断された場合に、前記糸色記憶部において、前記比較対象を前記糸色比較部で同一であると判断された前記被比較対象と一緒に縫製するように記憶するとともに、前記比較対象の記憶を削除し、前記第1の工程で同一と判断された前記比較対象の縫製順と前記被比較対象の縫製順との間に、前記比較対象により構成される模様を構成する該比較対象以外の糸色とまとめられた被比較対象がある場合には、前記糸色のまとめを実施せず、
前記第1の工程において、前記糸色比較部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製順または該縫製順とは逆の順に前記被比較対象と比較し、
前記比較対象により構成される模様における縫製順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より前に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、
前記比較対象により構成される模様における縫製順とは逆の順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より後に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、
前記第3の工程において、前記比較対象変更部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製の所定の順に前記被比較対象と比較した場合に、前記糸色比較部において同一でないと判断すると、前記比較対象を前記縫製の所定の順とは逆の順に前記被比較対象と比較するか、あるいは、次に縫製する模様の所定の糸色を前記比較対象として前記被比較対象と比較することをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項6】
前記装置が、さらに、縫製順入替部と、縫製回数算出部と、縫製順決定部とを備え、
前記縫製順入替部が、前記複数の模様の縫製順を入れ替える第4の工程と、
前記縫製回数算出部が、前記第4の工程において前記縫製順を入れ替え、前記第2の工程による糸色まとめを行った前記複数の模様の縫製回数を算出する第5の工程と、
前記縫製順決定部が、前記第5の工程において、算出された縫製回数が最小となる前記縫製順を決定し、前記糸色記憶部に決定した前記縫製順と前記第2の工程による糸色まとめ結果とを記憶させる第6の工程と、
を備えたことを特徴とする請求項に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刺繍ミシン、糸色まとめ方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
刺繍縫い可能なミシンにおいて、模様縫目データを複数個組み合わせて、1つの全体模様を構成することにより、多様な刺繍縫いを行うことが、一般的に行われている。
また、模様の色彩も多様化しており、1つの模様の中で複数の色を使うことも通例であり、複数の色から構成される模様を複数個組み合わせた場合には、全体模様がさらに、複雑な色構成の模様となる。
しかし、複数の色から構成される模様を複数組み合わせた全体模様を刺繍縫いする場合、色が変わるごとに糸替えを行う必要があり、糸替えの手間がかかり、刺繍効率が悪くなる問題がある。
【0003】
上記の問題に対して、特許文献1には、複数の模様縫目データを選択し、配置することにより全体模様を作成するための装置と、複数の模様縫目データの内、同一の色構成を有する模様縫目データをグループ化するグループ化装置と、前記グループ化した複数の模様縫目データを色ごとに連続縫い可能なように、該模様縫目データを編集する装置と、前記編集する装置により編集された模様縫目データを記憶する装置と、を有する刺繍縫い可能なミシンが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、多針ミシンを複数備える縫製システムにおいて、糸駒色データと、多針ミシンのIDと、刺繍データとを取得し、刺繍データに含まれる糸色データと、糸駒色データとを比較して、その比較結果に基づいて、複数の多針ミシンの中から、次の使用順序の多針ミシンを縫製ミシンとして決定し、縫製ミシンに部分模様が割り当てられる。そして、縫製ミシンに対して、指定データが送信され、縫製ミシンが指定データを受信した場合に、指定データによって指定される部分模様が加工布に縫製されることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-179017号公報
【文献】特開2011-10719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、縫いの重なり順番を遵守するために、複数の模様縫目データの中で、同一の色構成を有し、かつ、色についての縫い順序が同一の模様縫目データをグループ化するため、色順や色数に差がある場合には、糸まとめができず、汎用性が低いという問題があった。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、縫製する糸色とミシンに掛けられた糸色とを比較し、既に掛けられている糸色である場合には、縫製を開始し、既に掛けられている糸色でない場合には、縫製を停止するというシステムであったため、適用範囲が複数の糸色を掛けておける多針ミシン限定されているという問題があった。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、汎用性に優れ、糸駒の交換回数を低減する刺繍ミシン、糸色まとめ方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
形態1;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、縫製する複数の模様の縫製順に該模様の糸色を記憶する糸色記憶部と、前記糸色記憶部に記憶された所定の模様の所定の糸色を比較対象とし、前記所定の模様以外の模様の糸色のいずれかを被比較対象として、前記比較対象と前記被比較対象とが同一であるか否かを比較する糸色比較部と、前記比較対象と前記被比較対象との間で、同一の糸色をまとめる糸色まとめ部と、を備え、前記糸色まとめ部は、前記糸色比較部で同一と判断された場合に、前記糸色記憶部において、前記比較対象を前記糸色比較部で同一であると判断された前記被比較対象と一緒に縫製するように記憶するとともに、前記比較対象の記憶を削除することを特徴とする刺繍ミシンを提案している。
【0010】
形態2;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記糸色まとめ部は、前記糸色比較部において同一と判断された前記比較対象の縫製順と前記被比較対象の縫製順との間に、前記比較対象により構成される模様の該比較対象以外の糸色とまとめられた被比較対象がある場合には、前記糸色のまとめを実施しない刺繍ミシンを提案している。
【0011】
形態3;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記糸色比較部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製順または該縫製順とは逆の順に前記被比較対象と比較し、前記比較対象により構成される模様における縫製順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より前に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、前記比較対象により構成される模様における縫製順とは逆の順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より後に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とすることを特徴とする刺繍ミシンを提案している。
【0012】
形態4;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記糸色比較部における比較結果に基づいて、前記比較対象を適宜変更する比較対象変更部を備え、前記比較対象変更部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製の所定の順に前記被比較対象と比較した場合に、前記糸色比較部において同一でないと判断すると、前記比較対象を前記縫製の所定の順とは逆の順に前記被比較対象と比較するか、あるいは、次に縫製する模様の所定の糸色を前記比較対象として前記被比較対象と比較することを特徴とする刺繍ミシンを提案している。
【0013】
形態5;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記複数の模様の縫製順を入れ替える縫製順入替部と、前記縫製順入替部が前記縫製順を入れ替えたときの前記糸色まとめ部による糸色まとめを行った前記複数の模様の縫製回数を算出する縫製回数算出部と、前記複数の模様の縫製順を決定する縫製順決定部と、を備え、前記縫製決定部は、前記縫製回数算出部が算出する縫製回数が最小となる前記縫製順を決定し、前記糸色記憶部に決定した前記縫製順と前記糸色まとめ部による糸色まとめ結果とを記憶させることを特徴とする刺繍ミシンを提案している。
【0014】
形態6;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、縫製する複数の模様の縫製順に該模様の糸色を記憶する糸色記憶部と、糸色比較部と、糸色まとめ部と、を備えた装置における糸色まとめ方法であって、前記糸色比較部が、前記糸色記憶部に記憶された所定の模様の所定の糸色を比較対象とし、前記所定の模様以外の模様の糸色のいずれかを被比較対象として、前記比較対象と前記被比較対象とが同一であるか否かを比較する第1の工程と、前記糸色まとめ部が、前記比較対象と前記被比較対象との間で、同一の糸色をまとめる第2の工程と、を備え、前記第2の工程において、前記糸色まとめ部は、前記糸色比較部で同一と判断された場合に、前記糸色記憶部において、前記比較対象を前記糸色比較部で同一であると判断された前記被比較対象と一緒に縫製するように記憶するとともに、前記比較対象の記憶を削除することを特徴とする糸色まとめ方法を提案している。
【0015】
形態7;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第2の工程において、前記糸色まとめ部は、前記第1の工程で同一と判断された前記比較対象の縫製順と前記被比較対象の縫製順との間に、前記比較対象により構成される模様を構成する該比較対象以外の糸色とまとめられた被比較対象がある場合には、前記糸色のまとめを実施しない糸色まとめ方法を提案している。
【0016】
形態8;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第1の工程において、前記糸色比較部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製順または該縫製順とは逆の順に前記被比較対象と比較し、前記比較対象により構成される模様における縫製順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より前に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、前記比較対象により構成される模様における縫製順とは逆の順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より後に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とすることを特徴とする糸色まとめ方法を提案している。
【0017】
形態9;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第1の工程における比較結果に基づいて、前記比較対象を適宜変更する比較対象変更部を備え、前記比較対象変更部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製の所定の順に前記被比較対象と比較した場合に、前記糸色比較部において同一でないと判断すると、前記比較対象を前記縫製の所定の順とは逆の順に前記被比較対象と比較するか、あるいは、次に縫製する模様の所定の糸色を前記比較対象として前記被比較対象と比較する第3の工程を備えたことを特徴とする糸色まとめ方法を提案している。
【0018】
形態10;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記装置が、さらに、縫製順入替部と、縫製回数算出部と、縫製順決定部とを備え、前記縫製順入替部が、前記複数の模様の縫製順を入れ替える第4の工程と、前記縫製回数算出部が、前記第4の工程において前記縫製順を入れ替え、前記第2の工程による糸色まとめを行った前記複数の模様の縫製回数を算出する第5の工程と、前記縫製順決定部が、前記第5の工程において、算出された縫製回数が最小となる前記縫製順を決定し、前記糸色記憶部に決定した前記縫製順と前記第2の工程による糸色まとめ結果とを記憶させる第6の工程と、を備えた糸色まとめ方法を提案している。
【0019】
形態11;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、縫製する複数の模様の縫製順に該模様の糸色を記憶する糸色記憶部と、糸色比較部と、糸色まとめ部と、を備えた装置における糸色まとめ方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、前記糸色比較部が、前記糸色記憶部に記憶された所定の模様の所定の糸色を比較対象とし、前記所定の模様以外の模様の糸色のいずれかを被比較対象として、前記比較対象と前記被比較対象とが同一であるか否かを比較する第1の工程と、前記糸色まとめ部が、前記比較対象と前記被比較対象との間で、同一の糸色をまとめる第2の工程と、を備え、前記第2の工程において、前記糸色まとめ部は、前記糸色比較部で同一と判断された場合に、前記糸色記憶部において、前記比較対象を、前記糸色比較部で同一であると判断された前記被比較対象と一緒に縫製するように記憶するとともに、前記比較対象の記憶を削除することを特徴とするプログラムを提案している。
【0020】
形態12;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第2の工程において、前記糸色まとめ部は、前記第1の工程で同一と判断された前記比較対象の縫製順と前記被比較対象の縫製順との間に、前記比較対象により構成される模様を構成する該比較対象以外の糸色とまとめられた被比較対象がある場合には、前記糸色のまとめを実施しないプログラムを提案している。
【0021】
形態13;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第1の工程において、前記糸色比較部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製順または該縫製順とは逆の順に前記被比較対象と比較し、前記比較対象により構成される模様における縫製順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より前に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とし、前記比較対象により構成される模様における縫製順とは逆の順に比較する場合は、前記比較対象により構成される模様より後に縫製する他の模様の糸色を前記被比較対象とすることを特徴とするプログラムを提案している。
【0022】
形態14;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記第1の工程における比較結果に基づいて、前記比較対象を適宜変更する比較対象変更部を備え、前記比較対象変更部は、前記比較対象を該比較対象により構成される模様における縫製の所定の順に前記被比較対象と比較した場合に、前記糸色比較部において同一でないと判断すると、前記比較対象を前記縫製の所定の順とは逆の順に前記被比較対象と比較するか、あるいは、次に縫製する模様の所定の糸色を前記比較対象として前記被比較対象と比較する第3の工程を備えたことを特徴とするプログラムを提案している。
【0023】
形態15;本発明の1またはそれ以上の実施形態は、前記装置が、さらに、縫製順入替部と、縫製回数算出部と、縫製順決定部とを備え、前記縫製順入替部が、前記複数の模様の縫製順を入れ替える第4の工程と、前記縫製回数算出部が、前記第4の工程において前記縫製順を入れ替え、前記第2の工程による糸色まとめを行った前記複数の模様の縫製回数を算出する第5の工程と、前記縫製順決定部が、前記第5の工程において、算出された縫製回数が最小となる前記縫製順を決定し、前記糸色記憶部に決定した前記縫製順と前記第2の工程による糸色まとめ結果とを記憶させる第6の工程と、を備えたプログラムを提案している。
【発明の効果】
【0024】
本発明の1またはそれ以上の実施形態によれば、汎用性に優れ、糸駒の交換回数を低減する刺繍ミシン、糸色まとめ方法およびプログラムを提供できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンの構成図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る刺繍模様を例示した図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンにおける縫い順と刺繍模様の仕上がりの関係を例示した図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンにおける糸色まとめ処理の概念を示す図である。
図5図2の模様群の糸色コードを縫製順ごとに並べた図である。
図6】簡易な例により糸色まとめ処理を説明するための図である。
図7】簡易な例により糸色まとめ処理を説明するための図である。
図8】簡易な例により糸色まとめ処理を説明するための図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンにおける糸色まとめ処理のフローチャート図である。
図10】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンにおける糸色まとめ処理のフローチャート図である。
図11】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンにおける糸色まとめ処理のフローチャート図である。
図12】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンにおける糸色まとめ処理のフローチャート図である。
図13】本発明の第1の実施形態に係る刺繍ミシンにおける糸色まとめ処理のフローチャート図である。
図14】判定対象の糸色がすでに、他の模様の同色コードとグループ化されている場合を例示した図である。
図15図5の糸色に対して、糸色まとめの処理前と処理後の結果を示した図である。
図16】本発明の第2の実施形態に係る刺繍ミシンの構成図である。
図17】本発明の第2の実施形態に係る刺繍ミシンにおける糸色まとめ処理のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について、図1から図15を用いて説明する。
なお、本発明において、『模様』は他と接しない閉じられた領域における色(糸色)と図形の組合せを意味するものとする。図2ではピアノ(1)~トランペット(9)まで9つの模様が表示されている。その1つの模様は1つまたは複数の色(糸色)の図形である『構成部』で構成され、例えば、図4において、クマの耳等が構成部に該当する。つまり、「模様」は、「構成部」で構成され、その「構成部」は「糸色」と「図形」で成り立っている。
ある模様における複数の構成部は、その模様において縫製する順番が定まっているものである。その順番が変わってしまうと、模様全体として希望したものと異なってしまう。図4のクマの例では、構成部である耳の縫製順序によって模様全体として異なるものになってしまう(図4のクマの○と×を参照)。本発明は、そのような模様が複数ある場合を想定している。
また、第1の実施形態および第2の実施形態における刺繍ミシンは、1針で刺繍縫いが行えるミシンおよび多針で刺繍縫いが行えるミシンのいずれをも含むものである。
【0027】
<刺繍ミシンの構成>
図1を用いて、本実施形態に係る刺繍ミシン100の構成について説明する。
【0028】
本実施形態に係る刺繍ミシン100は、図1に示すように、糸色記憶部101と、糸色比較部102と、糸色まとめ部103と、比較対象変更部104と、ミシンモータ制御装置105と、振幅・送りモータ制御装置106と、X-Yモータ制御装置107と、表示装置108と、タッチパネル109と、タクトスイッチ110と、中央演算部(CPU)120とから構成されている。
【0029】
糸色記憶部101は、図示しないRAM等から構成され、縫製する複数の模様の縫製順に模様を構成する構成部の糸色を記憶する。
【0030】
糸色比較部102は、糸色記憶部101に記憶された所定の模様を構成する所定の糸色を比較対象とし、所定の模様以外の模様を構成する糸色のいずれかを被比較対象として、比較対象と被比較対象とが同一であるか否かを比較する。
また、糸色比較部102は、比較対象をその比較対象の模様における縫製順またはその縫製順とは逆の順に被比較対象と比較し、縫製順に比較する場合は、比較対象の模様より前に縫製する他の模様の糸色を被比較対象とし、縫製順とは逆の順に比較する場合は、比較対象の模様より後に縫製する他の模様の糸色を被比較対象とする。
【0031】
糸色まとめ部103は、比較対象と被比較対象との間で同一の糸色をまとめる。つまり、複数の模様の糸色のうち、異なる模様の間で、同色の糸色をまとめる。
また、糸色まとめ部103は、糸色比較部102で同一と判断された場合に、糸色記憶部101において、比較対象を糸色比較部102で同一であると判断された被比較対象と一緒に縫製するように記憶するとともに、元の比較対象の縫製順から削除する。
また、糸色まとめ部103は、糸色比較部102において、同一と判断された比較対象の縫製順と被比較対象の縫製順との間に、比較対象により構成される模様の比較対象以外の糸色がすでにまとめられている場合には、糸色のまとめを実施しない。更に上記のような場合に該当しないものでも、図14のように比較対象(模様Bの糸色コード「002」)が既に(模様Aの糸色コード「002」と)糸色まとめされ、その比較対象が糸色まとめする被比較対象(模様Cの糸色コード「002」)の模様の被比較対象以外の糸色(模様Cの糸色コード「237」)が既に(模様Aの糸色コード「237」と)糸色まとめされ、比較対象と被比較対象とが糸色まとめされることにより、既に糸色まとめされている元の模様(模様A)糸色(コード「002」→コード「237」)の縫製順が逆転してしまう(コード「237」→コード「002」)場合にも、糸色のまとめを実施しない。詳細は後述する。
【0032】
比較対象変更部104は、糸色比較部102における比較結果に基づいて、比較対象を適宜変更する。
また、比較対象変更部104は、比較対象をその比較対象の模様における縫製順に被比較対象と比較した場合に、糸色比較部102において同一でないと判断すると、比較対象を縫製順とは逆の順に被比較対象と比較するか、あるいは、次に縫製する模様の所定の糸色を比較対象として被比較対象と比較する。
【0033】
ミシンモータ制御装置105は、CPU120に電気的に接続されている。ミシンモータ制御装置105は、CPU120からの指令によって、ミシンモータを回転制御し、針棒の上下運動により、縫い目を形成する。
【0034】
振幅・送りモータ制御装置106は、CPU120からの指令に基づいて、振幅モータを駆動制御し、針棒を振ることにより、ジグザグの動きをさせる。また、送りモータを駆動制御することにより、縫製対象物の送り量あるいは前後の方向を制御する。つまり、ミシンモータと振幅モータ、送りモータにより縫い機構が制御され、直線やジグザグあるいは具象模様の縫い目を形成する。
【0035】
表示装置108は、外部入出力装置を介して、CPU120に電気的に接続されている。また、表示装置108には、その表示面の下側に後述するタッチパネル109が重ねて配置された多層構造となっており、タッチパネル109および表示装置108が、「表示部」としてのユニット化されている。
【0036】
タッチパネル109は、静電容量方式や抵抗膜方式等のパネルとして構成されており、CPU120に電気的に接続されている。また、使用者の操作の利便性を考慮して、刺繍ミシン100の外部に操作可能に露出されて配置されている。使用者がタッチパネル109を指でタッチすることにより、模様の選択等を画面で確認しながら操作することができる。
【0037】
タクトスイッチ110は、CPU120に電気的に接続されている。また、タクトスイッチ110には、縫い動作の開始/停止、糸切り、糸通し等の使用者が縫い操作を行うためのボタンが集められている。
【0038】
CPU120は、図示しないROMに格納された制御プログラムにしたがって、刺繍ミシン100全体の動作を制御する。また、外部入出力装置を介して様々なデバイスに接続されている。図示しないROMおよびRAMは、機能モジュールを格納する格納部として機能する。例えば、ROMには、通常縫い模様選択モジュール、刺繍縫い制御モジュール、通常縫い制御モジュール、内蔵模様データ格納エリア等の様々な機能モジュールおよびデータが格納されている。
【0039】
<本実施形態の概要>
関連技術として、糸色の数や糸色の縫い順が同一なデータに関して、糸色ごとにグループ化(糸色まとめ)を行う技術や、多針ミシンにおいて、何度も縫う糸色に関して、糸駒の交換回数を低減する技術があった。
しかしながら、今では、刺繍範囲が大きくなり、配置できる模様の個数や種類も増え、また、家庭用に1本針の刺繍ミシンが普及する中、上記の関連技術では、汎用性に欠けるという問題があった。
【0040】
上記の問題が起こる原因として、模様縫い目データには、重ね縫い(以下、同一箇所に縫いが重なる場合をいう)を行うデータがあるが、この重ね縫いを行う場合には、縫い順序が変わると模様自体が変わってしまうため、糸駒の交換回数を低減するための条件として、その対象を色数が同じで、同じ色順のものに限定したこと、あるいは、前提条件を複数の糸色をセットできる多針ミシンに限定するという考え方にあった。
【0041】
以下、本実施形態の概要を図2から図4を用いて説明する。
【0042】
本実施形態では、図2に示すように、(1)ピアノ、(2)トーン記号、(3)ギター、(4)バイオリン、(5)ハープ、(6)クラリネット、(7)太鼓、(8)ユーフォニアム、(9)トランペットの9つの刺繍模様を編集により配置した例で説明する。
【0043】
図2は、縫い上がりイメージを示し、図5はその縫い順番と糸色数とを示したものである。図2の例では、図5に示すように、糸色数が36色あるため、単純に考えれば、36回糸駒を交換する必要がある。1回の糸駒の交換に、例えば、15秒かかるとすれば、すべての刺繍縫いを完成させるために、糸駒の交換だけで、9分を要することになる。しかしながら、36色の中には、いくつか重複している糸色がある。そこで、この重複している糸色をまとめることにより、糸駒の交換回数を低減させることを考える。
【0044】
しかしながら、重複しているからといって、安易に、これらをまとめてしまうと縫い上がりのイメージを損なうという問題がある。これについて、図4を用いて、説明する。
図4には、風船の刺繍模様(模様A)とクマの刺繍模様(模様B)とが例示されている。それぞれの刺繍模様を構成する糸色はそれぞれ4つである。例えば、風船の刺繍模様(模様A)を糸色(4)→糸色(3)→糸色(2)→糸色(1)の順で縫ってしまうと、図4中段右側に示す×印の風船模様のようになってしまう。これを図4中段左側に示す〇印の風船模様のような仕上がりにするには、糸色(1)→糸色(2)→糸色(3)→糸色(4)の順で縫っていかなければならない。また、クマの刺繍模様(模様B)を糸色(4)→糸色(3)→糸色(2)→糸色(1)の順で縫ってしまうと、図4中段右側に示す×印のクマの模様のようになってしまう。これを図4中段左側に示す〇印のクマの模様のような仕上がりにするには、糸色(1)→糸色(2)→糸色(3)→糸色(4)の順で縫っていかなければならない。このように、縫い順と刺繍模様の仕上がりには、密接な関係があり、これを考慮しないで、糸駒の交換回数を低減させても意味がない。
【0045】
そこで、本実施形態では、上記の重複した糸色に着目するとともに、グループ化を行い、同時に縫った場合に、個々の模様としての糸色順番に影響を与えないものについて、これらをまとめることにより、糸駒の交換回数を低減させ、かつ、個々の模様に関して、縫い上がりイメージを損ねない方法を提示する。
【0046】
本実施形態では、一例として、配置された模様の縫い順番が早いものから順に、糸色まとめ可能な糸色がないかを判定する。また、糸色まとめを行うにあたり、糸色まとめが可能な糸色があるか否かは、模様における構成部の縫製順序の最初あるいは最後の糸色から判定していく。例えば、縫製順序が最初の糸色であれば、それより前に縫製予定である別の模様の同じ糸色と同時に縫っても、縫製順序が2番目以降の糸色との重なりに影響を及ぼさない。また、縫製順序が最後の糸色であれば、それより後に縫製予定である別の模様の同色と同時に縫っても、模様全体の重なりに影響を与えることはない。
【0047】
例えば、図3(A)に示すように、模様Aが縫い順に、1~3の糸色で、模様Bが縫い順に、4~6の糸色で、模様Cが縫い順に、7~9の糸色で構成され、2と4、5と7、6と9が同じ糸色である場合、これを図3(B)のように、まとめることができる。
なお、このとき、模様Bの縫いの順番は変わっていない。また、模様Aの1と3のように、同じ模様内の同じ糸色については、糸色まとめは行わず、別の糸色として扱う。
【0048】
<処理の概要>
一般化した実際の詳細な処理を説明する前に、図6から図8を用いて、処理の概要について説明する。
【0049】
具体的な処理について説明する前に、主な処理の内容および処理におけるルールを説明する。
主な処理には、糸色比較処理、糸色まとめ処理、比較対象変更処理がある。
ここで、糸色比較処理では、ある模様を構成する糸色(比較対象)とその模様以外の模様を構成する糸色(被比較対象)とが同一であるか否かを比較処理する。
また、糸色まとめ処理では、糸色比較処理で同一と判断された比較対象を被比較対象と同じタイミングで縫製するように、糸色をまとめる処理を行う。その際、比較対象は比較対象により構成される模様での縫製タイミングからは除かれる。
なお、糸色まとめ処理においては、糸色比較処理で同一とされる比較対象の縫製順と被比較対象の縫製順との間に、比較対象(比較対象がすでに被比較対象として糸色まとめ処理されている場合は、その糸色まとめ処理がされた比較対象を含む)により構成される模様の比較対象以外の糸色とすでに糸色まとめ処理された被比較対象がある場合、糸色まとめ処理を行わない。
また、比較対象変更処理は、比較対象を変更する処理を行う。
比較対象の変更形式は、例えば、比較対象により構成される模様内において昇順に次の対象へ、降順に次の対象へ、昇順から降順へ、降順から昇順へ、模様内で昇順/降順に変更してそれ以降に糸色まとめ処理を行う比較対象がなければ、他の模様の比較対象へ等を例示できる。
なお、比較対象がなければ処理を終了する。
【0050】
処理の実行は、以下のルールに基づく。
(1)比較対象の模様の前後に縫製する模様があるか否か。
比較対象の模様の前に縫製する模様がある場合には、模様内の最初の糸色から昇順に比較対象とする糸色を定め、前に縫製する模様を構成する糸色を被比較対象として、以下の(2)の処理を行う。
一方で、比較対象の模様の後に縫製する模様がある場合には、模様内の最後の糸色から降順に比較対象とする糸色を定め、後に縫製する模様を構成する糸色を被比較対象として、以下の(2)の処理を行う。
【0051】
(2)比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一か否か。
この場合、比較対象の糸色を昇順に変更する場合は、被比較対象は前に縫製する模様のいずれかの糸色となり、比較対象の糸色を降順に変更する場合は、被比較対象は後に縫製する模様のいずれかの糸色となる。
比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一である場合には、糸色まとめ処理を行った後、比較対象変更処理を行って、次の比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一か否かを判定する。
一方で、比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一でない場合には、糸色まとめ処理を行わず、比較対象変更処理を行って、次の比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一か否かを判定する。
さらに、糸色比較処理で同一とされる比較対象の縫製順と被比較対象の縫製順との間に、比較対象により構成される模様の比較対象以外の糸色とすでに糸色まとめ処理された被比較対象がある場合、糸色まとめ処理を行わず、比較対象変更処理を行って、次の比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一か否かを判定する。
他方、比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一でない場合には、比較対象変更処理を行って、次の比較対象の糸色と被比較対象の糸色との色が同一か否かを判定する。
【0052】
<処理例1>
以下では、上記の主な処理の内容および処理におけるルールを踏まえ、図6(A)、図7(A)に示す模様A~Cを例示して説明する。
【0053】
図6(A)に示すように、模様Aは、3つの構成部から構成されている。夫々の構成部は糸色1と、糸色2と、糸色3と、から成り立っている。模様Bは、4つの構成部から構成され、夫々の構成部は糸色4と、糸色5と、糸色6と、糸色7と、から成り立っている。
また、模様Cは、3つの構成部から構成されている。夫々の構成部は糸色8と、糸色9と、糸色10と、から成り立っている。
なお、縫い順は、模様A、模様B、模様Cの順番として説明する。
【0054】
<模様Aを最初の比較対象の模様とする場合の処理>
まず、図6(A)の模様Aを最初の比較対象の模様とする場合について説明する。
ここで、上記ルール(1)、すなわち、「比較対象の模様の前後に縫製する模様があるか否か。」の判断を行うと、模様Aには、前に縫製する模様はないが、後に縫製する模様がある。
また、ルール(2)により、模様Aの場合には、比較対象の糸色を降順に変更する場合に該当するため、比較対象は、降順の最初(縫製順では最後)の糸色「3」となる。
そして、「3」を比較対象とし、被比較対象を模様BまたはCのいずれかの糸色とする。
【0055】
ルール(2)に基づいて、糸色比較処理を行って、模様Bの「5」と同色であると判断する。
ここで、「3」と「5」との間に、模様Aを構成する模様の「3」以外の糸色で色まとめ処理された被比較対象がないため、「3」の縫製タイミングと「5」の縫製タイミングとを同じにする糸色まとめ処理を行う。その際、比較対象「3」は模様Aでの縫製タイミングから除かれる。
【0056】
次に、模様A内で、降順に比較対象を変更すると、次の比較対象は、「2」となる。
ここで、ルール(2)により、模様BまたはCのいずれかの糸色と糸色比較処理を行う。
ルール(2)に基づく、糸色比較処理を行って、模様Bの「4」と同色と判断する。
ここで、「2」と「4」との間に、模様Aを構成する模様の「2」以外の糸色で色まとめ処理された被比較対象がないため、「2」の縫製タイミングを「4」と同じにする糸色まとめ処理を行う。その際、比較対象「2」は模様Aでの縫製タイミングから除かれる。
【0057】
模様A内で、降順に比較対象を変更すると、次の比較対象は、「1」となる。
ここで、ルール(2)により、模様BまたはCのいずれかの糸色と糸色比較処理を行う。ルール(2)に基づく、糸色比較処理を行った結果、同色となる被比較対象がないと判断する。
【0058】
このとき、ルール(2)に基づいて、比較対象の変更(降順→昇順)を行うが、「1」より前に縫製する糸色がないため、次の模様Bを構成する糸色を比較対象とする。
なお、模様Bの場合、模様Bよりも前に縫製する模様および模様Bよりも後に縫製する模様のいずれも存在することから、まず、比較対象により構成される模様の最初に縫製する糸色を比較対象とし、順次昇順に比較対象とする糸色比較を行う。
【0059】
ここでは、まず、模様Bの「4」が比較対象となる。この比較対象に対して、ルール(1)から被比較対象は模様Bより前に縫製する模様Aを構成する糸色のいずれかである(ただし、本例では、糸色「3」「2」は模様Aでの縫製タイミングから除かれるため、「1」のみである)。
ここで、「4」と「1」とを比較すると、「4」と「1」とは同色でない。
そこで、ルール(2)にしたがって、比較対象変更処理を行うと模様B内で昇順から降順(最後)に比較対象が変更される。
その結果、降順の最初(縫製順では最後)の糸色「7」が比較対象となり、模様Cのいずれかの糸色が被比較対象となる。
【0060】
ここで、「7」は被比較対象「10」と同色であり、比較対象「7」の縫製順と被比較対象「10」の縫製順との間に、比較対象により構成される模様Bの比較対象以外の糸色とすでに糸色まとめ処理された被比較対象はないため、糸色まとめ処理を行い、比較対象「7」は模様Bでの縫製タイミングから除かれる。
次に、比較対象変更処理が行われ、比較対象が「6」に変更される。
【0061】
ここで、「6」と「8」とが同色であり、比較対象「6」の縫製順と被比較対象「8」の縫製順との間に、比較対象により構成される模様Bの比較対象以外の糸色とすでに糸色まとめ処理された被比較対象はないため、糸色まとめ処理を行い、比較対象「6」は模様Bでの縫製タイミングから除かれる。
次に、比較対象変更が変更され、比較対象が「5」となる。
しかし、被比較対象に同色の糸色はなく、糸色まとめは行われない。
次に、ルール(2)から、比較対象変更で模様Cを構成する糸色が比較対象となり、昇順の最初の糸色「8」が比較対象となるが、同色の糸色「6」は既に糸色「8」と糸色まとめされており、模様Bでの縫製タイミングから除かれており、他に同色の糸色はない。また、比較対象変更して降順に比較しようとしても模様C以降に模様はない。
そのため、糸色比較処理する比較対象もなく、処理は終了となる。処理の結果、図6(B)に示すように、色まとめが行われる。
【0062】
上記の処理によれば、糸色の交換回数を当初の10回から6回に削減することができる。
【0063】
<模様Bを最初の比較対象の模様とする場合の処理>
次に、図7(A)の模様Bを最初の比較対象の模様とする場合について説明する。
ここで、上記ルール(1)、すなわち、「比較対象の模様の前後に縫製する模様があるか否か。」の判断を行うと、模様Bには、前後に縫製する模様がある。
ここで、前に模様があるため、ルール(2)により、模様Bにおいて最初に縫製する「4」を比較対象とし、前に縫製する模様Aを構成する糸色のいずれかを被比較対象とする。
【0064】
ルール(2)に基づいて、糸色比較処理を行って、模様Bの「4」と模様Aの「2」とが同色であると判断する。
ここで、「4」と「2」との間に、模様Bを構成する模様の「4」以外の糸色と色まとめ処理された被比較対象がないため、「4」の縫製タイミングと「2」の縫製タイミングとを同じにする糸色まとめ処理を行う。
その際、比較対象「4」は模様Bでの縫製タイミングから除かれる。同様に比較対象を昇順の次の糸色「5」とした場合に、模様Aの糸色「3」と同色であり、「5」と「3」との間に、模様Bを構成する模様の「5」以外の糸色と色まとめ処理された被比較対象がないため、「5」の縫製タイミングと「3」の縫製タイミングとを同じにする糸色まとめ処理を行い、比較対象「5」は模様Bでの縫製タイミングから除かれる。
【0065】
次に、模様B内で、昇順に比較対象を変更すると、次の比較対象は、「6」となる。
ここで、ルール(2)により、模様Aのいずれかの糸色と糸色比較処理を行う。
ルール(2)に基づく、糸色比較処理を行った結果、同色となる被比較対象がないため、ルール(2)に基づいて、比較対象の変更(昇順→降順)を行い、比較対象を降順の最初(縫製順では最後)の糸色「7」とする。
なお、このとき、比較対象の変更(昇順→降順)により、被比較対象は後に縫製する模様、すなわち、模様Cのいずれかの糸色となる。
【0066】
ルール(2)に基づいて、糸色比較処理を行って、模様Bの「7」と模様Cの「10」とが同色であると判断する。ここで、「7」と「10」との間に、模様Cを構成する模様の「10」以外の糸色と色まとめ処理された被比較対象がないため、「10」の縫製タイミングと「7」の縫製タイミングとを同じにする糸色まとめ処理を行う。
その際、比較対象「7」は模様Bでの縫製タイミングから除かれる。
【0067】
次に、模様B内で、降順に比較対象を変更すると、次の比較対象は、「6」となる。
ここで、ルール(2)により、糸色比較処理を行い、模様Bの「6」と模様Cの「8」とが同色であると判断する。
ここで、「6」と「8」との間に、模様Bを構成する模様の「6」以外の糸色と色まとめ処理された被比較対象がないため、「8」の縫製タイミングと「6」の縫製タイミングとを同じにする糸色まとめ処理を行う。
その際、比較対象「6」は模様Bでの縫製タイミングから除かれる。
【0068】
次に、模様B内で、降順に比較対象を変更すると、次の比較対象は、「5」となる。
しかし、上記糸色まとめで被比較対象「3」にまとめられ、比較対象「5」は模様Bでの縫製タイミングから除かれている。比較対象「4」も同様である。
そのため、比較対象の変更を行い、比較対象が模様Cを構成する糸色となる。
なお、模様Cの場合、模様Cよりも前に縫製する模様はあるが、後に縫製する模様がないため、ルール(1)に従い、模様C内の最初の糸色から昇順に比較対象とし、前の模様、つまり、模様A、模様Bを構成する糸色を被比較対象とする。
【0069】
本例の場合、模様Cの最初の糸色「8」と同じ糸色は、模様Aにはない。
模様Bの糸色は、糸色まとめ処理により、模様Bでの縫製タイミングから除かれている。
そのため、比較対象を降順に変更する。
つまり、比較対象を模様Cの最後の糸色「10」とするが、模様C以降に模様がない、つまり被比較対象がないため、処理は、終了となる。
処理の結果、図7(B)に示すように、色まとめが行われる。
【0070】
上記の処理によれば、糸色の交換回数を当初の10回から6回に削減することができる。これは、模様Aを最初の比較対象の模様とする場合と同じ結果である。
【0071】
<処理例2>
以下では、上記の主な処理の内容および処理におけるルールを踏まえ、図8(A)に示す模様A~Cを例示して、模様Aを比較対象の模様として、全体の糸色まとめ処理を行う場合について説明する。
【0072】
図8(A)に示すように、模様Aは、糸色1と、糸色2と、糸色3と、から構成されている。
模様Bは、糸色4と、糸色5と、糸色6と、糸色7と、から構成されている。
また、模様Cは、糸色8と、糸色9と、糸色10と、から構成されている。なお、縫い順は、模様A、模様B、模様Cの順番として説明する。
【0073】
まず、図8(A)の模様Aの糸色を比較対象とする。
ここで、上記ルール(1)、すなわち、「比較対象の模様の前後に縫製する模様があるか否か。」の判断を行うと、模様Aには、前に縫製する模様はないが、後に縫製する模様がある。
そのため、模様Aの場合には、比較対象の糸色を最後の糸色から降順に変更する場合に該当するため、比較対象は、「3」となる。
そして、「3」を比較対象とし、被比較対象を模様BまたはCのいずれかの糸色とする。
【0074】
ルール(2)に基づいて、糸色比較処理を行って、模様Cの「8」と同色であると判断する。
ここで、「3」と「8」との間に、模様Aを構成する模様の「3」以外の糸色と色まとめ処理された被比較対象がないため、「3」の縫製タイミングと「8」の縫製タイミングとを同じにする糸色まとめ処理を行う。その際、比較対象「3」は模様Aでの縫製タイミングから除かれる。
【0075】
次に、模様A内で、降順に比較対象を変更すると、次の比較対象は、「2」となる。
ここで、ルール(2)により、模様BまたはCのいずれかの糸色と糸色比較処理を行う。
ルール(2)に基づく、糸色比較処理を行って、模様Bの「7」、模様Cの「10」と同色と判断する。
ここで、「2」と「10」との間に、「3」と糸色まとめ処理をした被比較対象「8」があるため、「2」と「10」との糸色まとめ処理は行わない。
一方で、「2」と「7」との間には、模様Aを構成する模様の「2」以外の糸色と色まとめ処理された被比較対象がないため、「2」の縫製タイミングと「7」の縫製タイミングとを同じにする糸色まとめ処理を行う。
その際、比較対象「2」は模様Aでの縫製タイミングから除かれる。
【0076】
模様A内で、降順に比較対象を変更すると、次の比較対象は、「1」となる。
ここで、ルール(2)により、模様BまたはCのいずれかの糸色と糸色比較処理を行う。ルール(2)に基づく、糸色比較処理を行った結果、同色となる被比較対象がないと判断する。
【0077】
このとき、ルール(2)に基づいて、比較対象の変更(降順→昇順)を行うが、「1」より前に縫製する糸色がないため、次の模様Bを構成する糸色を比較対象とする。
なお、模様Bの場合、模様Bよりも前に縫製する模様(模様A)および模様Bよりも後に縫製する模様(模様C)のいずれも存在することから、まず、比較対象により構成される模様Bの最初に縫製する糸色を比較対象とし、順次昇順に比較対象とする糸色比較を行う。
【0078】
ここでは、まず、模様Bの「4」が比較対象となる。この比較対象に対して、ルール(1)から被比較対象は模様Bより前に縫製する模様Aを構成する糸色のいずれかであるが、模様Bの前の模様A(糸色「1」のみ)に「4」と同色の糸色はない。
そのため、ルール(2)に基づいて、比較対象の変更(降順→昇順)を行い、比較対象が模様Bの「7」となり、被比較対象は、模様Cのいずれかの糸色となる。
【0079】
ここで、ルール(2)により、模様Bの「7」の糸色と模様Cのいずれかの糸色との糸色比較処理を行う。
ルール(2)に基づく、糸色比較処理を行った結果、「7」は、被比較対象の「10」と同色であると判断する。
ここで、「7」と「10」との間に、模様Bの「7」以外と糸色まとめされた被比較対象がない。
しかし、比較対象「7」は既に被比較対象として「2」と糸色まとめされている。
つまり、糸色「7」は上述した「比較対象がすでに被比較対象として糸色まとめ処理されている場合」の被比較対象に該当し、糸色「2」は「その糸色まとめ処理がされた比較対象」に該当する。
これにより、糸色「2」により構成される模様Aの「2」以外の糸色とすでに糸色まとめ処理された被比較対象が、本来の比較である比較対象と被比較対象との間にある場合は、糸色まとめ処理は行われない。
本例では、模様Aの「2」以外の糸色「3」とすでに糸色まとめ処理された被比較対象「8」が、本来の比較である比較対象「7」と被比較対象「10」との間にある。
そのため、ルール(2)にしたがって、糸色まとめ処理は行わない。
【0080】
ルール(2)に基づいて、比較対象の変更(次の模様の糸色)を行うと、比較対象は模様Cのいずれかの糸色となるが、模様Cの最初の糸色「8」と同色の糸色は模様Aおよび模様Bにない。
また、比較対象変更処理(昇順→降順)により比較対象が最後の糸色「10」となるが、模様C以降に縫製する模様もないため、処理を終了する。
【0081】
上記の処理によれば、糸色の交換回数を当初の10回から8回に削減することができる。なお、上記においては、模様Aを最初の比較対象模様とした場合を示したが、模様Bを最初の比較対象模様としても同様の効果を得ることができる。
【0082】
<刺繍ミシンの処理>
図5図9から図15を用いて、本実施形態に係る刺繍ミシン100の処理について図2の模様を例として、一般化した実際の詳細な処理を説明する。
なお、図5は、図2に示した9つの刺繍模様の縫製順(縫製順は、同図、左から順に右へ遷移し、模様(1)が最初の縫製順であり、模様(9)が最後の縫製順となる)と各々の模様を構成する構成部をその縫製順(模様(1)を例にすれば、複数の構成部(糸色コード;237等)を1~9の順)に示したものであり、以下では、これを適宜用いて、具体的に、本実施形態に係る刺繍ミシン100の処理について説明する。
また、以下の説明では、各模様ごとの処理を分かりやすくするために、縫製順が最初の模様に関する処理(図9)と、縫製順が最後の模様の処理(図13)と、縫製順が最初の模様と最後の模様の間に縫製される模様の処理(図10から図12)とに分けて個別に説明する。
【0083】
<縫製順が最初の模様の処理>
図9に示すように、まず、使用者がタッチパネル109を操作して、刺繍データを複数配置する(ステップS101)。
刺繍データの配置が終了すると、使用者がタッチパネル109を操作して、糸色まとめ処理を実行するための糸色まとめコマンドを実行する(ステップS102)。
【0084】
糸色まとめ処理が実行されると、糸色比較部102は、糸色記憶部101に記憶されているデータに基づいて、最初の模様よりも後の模様に、最初の模様を構成する最後の構成部の糸色と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS103)。
なお、最初の模様については、それより前に縫製する模様がないため、最初の糸色判定が省略されて、最後の糸色から処理を行う。
【0085】
糸色比較部102が、最初の模様よりも後の模様の構成部に、最初の模様の最後の構成部の糸色(例えば、図5では、コード;272)と同じ糸色があると判断した場合(ステップS103の「Yes」)には、同色と判断された後の模様の構成部の糸色(例えば、模様(9)のコード;272)を縫製するタイミングで、同色の模様(1)の最後の構成部を縫製するようにデータ処理するグループ化を行う(ステップS104)。
一方で、糸色比較部102が、最初の模様よりも後の模様に、最初の模様の最後の構成部の糸色と同じ糸色がないと判断した場合(ステップS103の「No」)には、当該糸色の処理を終了する。
【0086】
グループ化(ステップS104)を行った後、糸色比較部102は、グループ化した比較対象の模様の糸色の前に別の糸色の縫いデータがあるか否かを判断し(ステップS105)、前に縫いデータがある(図5では、最初の模様の最後の糸色(模様(1)のコード;272)の前に糸色(模様(1)のコード;003)のデータがある)場合(ステップS105の「Yes」)には、処理をステップS106に進める。
一方で、前に縫いデータがない場合(ステップS105の「No」)には、当該糸色の処理を終了する。
【0087】
ステップS106において、糸色比較部102は、最初の模様(模様(1))よりも後の模様(模様(2)~(9))に、比較対象の模様(模様(1))の最後の構成部の糸色(コード;272)の最後から2番目より前の糸色(例えば、図5では、コード;003からコード;237)と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS106)。
なお、比較対象の模様(模様(1))の構成部の最後から2番目より前の構成部の糸色については、以下の条件で判断する。
(1)比較対象の模様(模様(1))の縫製順より後の模様(模様(2)~(9))の構成部(被比較対象)に同じ糸色がある。
(2)(1)で同色とされた被比較対象の糸色の縫製順までに、比較対象の模様における(1)で同色とされた比較対象以外の構成部の糸色と同色であるとしてグループ化された糸色がない。
比較対象の模様の糸色が、他の模様の同じ糸色とグループ化している揚合、図14の様な事態が想定できる。つまり、前述のように、後ろから糸色まとめを行った揚合、模様Aの糸色コード「237」は模様Cの糸色コード「237」とグループ化される。
その後、模様Aの糸色コード「002」が模様Bの糸色コード「002」にグループ化され、最終的には、模様Cの糸色コード「002」にグループ化される。
このように、グループ化が行われると、模様Aの中の糸色順(糸色コード「002」→「237」)が変わってしまう(糸色コード「237」→「002」)という問題がある。
そこで、このような場合には、さらに、以下の2つの条件を確認する。
(1)データのグループ化の有無を確認する(例えば、模様Aの糸色コード「237」が模様Cの糸色コード「237」にグループ化された後、模様Aの糸色コード「002」は模様Bの糸色コード「002」にグループ化される。この場合、模様Bの糸色コード「002」は模様AとBの糸色としてグループ化されていると判断される)。
(2)比較対象の糸色がグループ化されている場合(模様Aの糸色コード「002」→模様Bの糸色コード「002」)、比較対象のグループ化している糸色(模様Bの糸色コード「002」)と被比較対象の他の模様の糸色(模様Cの糸色コード「002」)との間に、グループ化された模様の他の糸色(模様Aの糸色コード「237」)と一致するものがなければ、上記条件(1)、(2)に戻る(図14の例では一致する)。
一致するもの(模様Cの糸色コード「237」)があり、グループ化された模様の糸色の順序が変わってしまう場合(図14の例)は、グループ化している糸色(模様Bの糸色コード「002」)の更なるグループ化を行わない。
一方、糸色の順序が変わらなければ、上記条件(1)、(2)に戻る。
【0088】
ステップS106以降は、上記の条件に基づいて、最初の模様(模様(1))の最後から2番目より前の糸色(コード;003からコード;237)について判断する。
ステップS106において、糸色比較部102が、最初の模様(模様(1))よりも後(模様(2)~(9))に、最初の模様の最後から2番目より前、すなわち、図5の例では、最初の模様(模様(1))の最後から2番目の糸色(コード;003)から9番目の糸色(コード;237)のそれぞれについて、それらの糸色(コード;003からコード;237)と同じ糸色があると判断した場合(ステップS106の「Yes」)には、処理をステップS107に進める。
一方で、最初の模様(模様(1))よりも後に、最初の模様の最後から2番目より前、すなわち、図5の例では、最初の模様(模様(1))の最後から2番目の糸色(コード;003)から9番目の糸色(コード;237)のそれぞれについて、それらの糸色と同じ糸色が他の模様(模様(2)~(9))にないと判断した場合あるいは比較元の糸色がない場合(ステップS106の「No」)には、当該糸色または模様に関する糸色まとめの処理を終了する。
【0089】
ステップS107において、糸色比較部102は、比較対象の模様の糸色までに、前のグループ化で使われた糸色がないかを判断する(ステップS107)。
糸色比較部102は、被比較対象の模様の糸色までに、前のグループ化で使われた糸色がないと判断した場合(ステップS107の「Yes」)には、処理をステップS104に戻す。
また、被比較対象の模様の糸色までに、前のグループ化で使われた糸色があると判断した場合(ステップS107の「No」)には、当該糸色の処理を終了する。
【0090】
<縫製順が最初の模様および最後の模様を除く模様の処理>
図10に示すように、糸色比較部102は、糸色記憶部101に記憶されている図5に示すデータに基づいて、比較対象(模様(2)~(9)のいずれかの模様の糸色)の模様よりも前(例えば、縫製順が最初の模様(1))の模様を構成する糸色のいずれかに、比較対象の模様の最初に縫製する糸色(例えば、図5では、(模様(2))コード;002)と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS201)。
【0091】
糸色比較部102が、比較対象の模様よりも前に縫製する模様に、比較対象の模様の最初に縫製する糸色(例えば、図5では、模様(2)コード;002)と同じ糸色があると判断した場合(ステップS201の「Yes」)には、ステップS202に処理を進め、比較対象を前に縫製する模様の糸色(被比較対象)にまとめる(グループ化する)。
一方で、糸色比較部102が、比較対象の模様よりも前に縫製する模様に、比較対象の模様の最初に縫製する糸色(例えば、図5では、模様(2)コード;002)と同じ糸色がないと判断した場合(ステップS201「No」)には、比較対象変更部104により、比較対象の模様の最後に縫製する糸色に処理を遷移させ(ステップS206)、図11のステップS207に処理を進める。
【0092】
ステップS202の処理(グループ化)の後に、糸色比較部102は、比較対象である糸色の模様において、最初の模様の次に糸色の縫いデータがあるか否かを判断し(ステップS203)、次に縫いデータがある場合(ステップS203の「Yes」)には、処理をステップS204に進める。
一方で、比較対象である糸色の次に糸色の縫いデータがない場合(ステップS203「No」)には、比較対象変更部104により、比較対象の模様の最後に縫製する糸色に処理を遷移させ(ステップS206)、図11のステップS207に処理を進める。
【0093】
糸色比較部102は、比較対象の模様よりも前に縫製する模様に、比較対象の模様の最初から2番目以降に縫製する糸色のそれぞれについて、それらの糸色と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS204)。糸色比較部102が、比較対象の模様よりも前に縫製する模様に、比較対象の模様の最初から2番目以降に縫製する糸色のそれぞれについて、それらの糸色と同じ糸色があると判断した場合(ステップS204の「Yes」)には、処理をステップS205に進める。
一方で、比較対象の模様よりも前に縫製する模様に、比較対象の模様の最初から2番目以降に縫製する糸色のそれぞれについて、それらの糸色と同じ糸色がないと判断した場合(ステップS204の「No」)には、比較対象変更部104により、比較対象の模様の最後の糸色に処理を遷移させ(ステップS206)、図11のステップS207に処理を進める。
【0094】
ステップS205において、糸色比較部102は、被比較対象と比較対象との間に、前のグループ化(ステップS202)でグループ化された糸色がないかを判断する(ステップS205)。
糸色比較部102は、グループ化された糸色がないと判断した場合(ステップS205の「Yes」)には、処理をステップS202に戻し、グループ化を行う。
【0095】
一方で、糸色比較部102が、被比較対象から比較対象までに、前のグループ化でグループ化された糸色があると判断した場合(ステップS205の「No」)には、比較対象の模様の最後に縫製する糸色に処理を遷移させ(ステップS206)、図11のステップS207に処理を進める。
【0096】
次に、図11に示すように、糸色比較部102が、比較対象の模様よりも後に縫製する模様があるか否かを判断する(ステップS207)。あると判断した場合(ステップS207の「Yes」)には、処理をステップS209に進める。
一方、ないと判断した場合(ステップS207の「No」)には、糸色まとめ処理を終了する(ステップS208)。
【0097】
糸色比較部102が、比較対象の模様より後に縫製する模様に、比較対象の模様の最後に縫製する糸色と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS209)。
糸色比較部102が、あると判断した場合(ステップS209の「Yes」)には、処理をステップS210に進める。一方で、ないと判断した場合(ステップS209の「No」)には、処理を図12に示すステップS217に進める。
【0098】
糸色比較部102が、比較対象の模様の最後の糸色がグループ化しているか否かを判断する(ステップS210)。糸色比較部102が、比較対象の模様の最後の糸色がグループ化していると判断した場合(ステップS210の「Yes」)には、処理をステップS211に進める。
一方で、糸色比較部102が、比較対象の模様の最後の糸色がグループ化していないと判断した場合(ステップS210の「No」)には、比較対象を被比較対象にグループ化し(ステップS212)、比較対象の前に比較対象の模様に他の糸色の縫いデータがあるか否かを判断する(ステップS213)。
判断の結果、糸色の縫いデータがあると判断した場合(ステップS213の「Yes」)には、図12に示すステップS214に処理を進める。
一方で、前に縫いデータがないと判断した場合(ステップS213の「No」)には、図12に示すステップS217に処理を進める。
【0099】
糸色比較部102が、比較対象の模様の最後に縫製する糸色とグループ化している糸色より後の糸色が比較対象の模様より前にあるか否かを判断する(ステップS211)。
糸色比較部102が、比較対象の模様の最後の糸色とグループ化している糸色より後の糸色が比較対象の模様より前にあると判断した場合(ステップS211の「Yes」)には、図12に示すステップS219に処理を進める。
一方で、糸色比較部102が、比較対象の模様の最後に縫製する糸色とグループ化している糸色より後の糸色が比較対象の模様より前にないと判断した場合(ステップS211の「No」)には、縫製順が後のデータにグループ化し(ステップS212)、比較対象の模様の前に縫製データがあるか否かを判断する(ステップS213)。
判断の結果、比較対象の模様の前に縫製データがあると判断した場合(ステップS213の「Yes」)には、図12に示すステップS214に処理を進める。
【0100】
図12に示すように、糸色比較部102が、比較対象の模様よりも前に、比較対象の模様の最後から2番目以降に縫製する糸色のそれぞれについて、それらの糸色と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS214)。
糸色比較部102が、比較対象の模様よりも前に、比較対象の模様の最後から2番目以降に縫製する糸色のそれぞれについて、それらの糸色と同じ糸色があると判断した場合(ステップS214の「Yes」)には、処理をステップS215に進める。
一方で、比較対象の模様よりも前に、比較対象の模様の最後から2番目以降に縫製する糸色のそれぞれについて、それらの糸色と同じ糸色がないと判断した場合(ステップS214の「No」)には、縫製順のデータにグループ化して、比較対象変更部104により、次の糸色に遷移する(ステップS217)。
このとき、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了したか否かを判断し(ステップS219)、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していないと判断した場合(ステップS219の「No」)には、ステップS201に処理を戻す。
また、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していると判断した場合(ステップS219の「Yes」)には、処理を終了する。
【0101】
糸色比較部102が、比較対象の模様の最後に縫製する糸色はグループ化しているか否かを判断する(ステップS215)。
糸色比較部102が、比較対象の模様の最後に縫製する糸色はグループ化している判断した場合(ステップS215の「Yes」)には、処理をステップS218に進める。
一方で、比較対象の模様の最後に縫製する糸色はグループ化していないと判断した場合(ステップS215の「No」)には、糸色比較部102は、比較対象の模様の最後に縫製する糸色が、比較対象の模様までに、前のグループ化で使われた糸色であるか否かを判断する(ステップS216)。
糸色比較部102は、比較対象の模様の最後に縫製する糸色が、比較対象の模様までに、前のグループ化で使われた糸色であると判断した場合(ステップS216の「Yes」)には、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了したか否かを判断し(ステップS219)、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していないと判断した場合(ステップS219の「No」)には、ステップS201に処理を戻す。
また、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していると判断した場合(ステップS219の「Yes」)には、処理を終了する。
【0102】
一方で、比較対象の模様の最後に縫製する糸色が、比較対象の模様までに、前のグループ化で使われた糸色でないと判断した場合(ステップS216の「No」)には、縫製順のデータにグループ化して、比較対象変更部104により、次の糸色に遷移し、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了したか否かを判断し(ステップS219)、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していないと判断した場合(ステップS219の「No」)には、ステップS201に処理を戻す。
また、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していると判断した場合(ステップS219の「Yes」)には、処理を終了する。
【0103】
糸色比較部102が、比較対象の模様の最後に縫製する糸色とグループ化されている糸色よりも後の糸色が比較対象の模様より前の模様にあるか否かを判断する(ステップS218)。
糸色比較部102が、比較対象の模様の最後に縫製する糸色とグループ化されている糸色よりも後の糸色が比較対象の模様よりも前の模様にあると判断した場合(ステップS218の「Yes」)には、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了したか否かを判断し(ステップS219)、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していないと判断した場合(ステップS219の「No」)には、ステップS201に処理を戻す。
また、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していると判断した場合(ステップS219の「Yes」)には、処理を終了する。
【0104】
一方で、糸色比較部102が、比較対象の模様の最後に縫製する糸色とグループ化している糸色よりも後の糸色が比較対象の模様よりも前の模様にないと判断した場合(ステップS218の「No」)には、糸色比較部102は、比較対象の模様の最後に縫製する糸色が比較対象の模様までに、前のグループ化で使われた糸色であるか否かを判断する(ステップS216)。
糸色比較部102は、比較対象の模様の最後に縫製する糸色が比較対象の模様までに、前のグループ化で使われた糸色であると判断した場合(ステップS216の「Yes」)には、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了したか否かを判断し(ステップS219)、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していないと判断した場合(ステップS219の「No」)には、ステップS201に処理を戻す。
また、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していると判断した場合(ステップS219の「Yes」)には、処理を終了する。
【0105】
一方で、比較対象の模様の最後に縫製する糸色が比較対象の模様までに、前のグループ化で使われた糸色でないと判断した場合(ステップS216の「No」)には、縫製順のデータにグループ化して、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了したか否かを判断し(ステップS219)、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していないと判断した場合(ステップS219の「No」)には、ステップS201に処理を戻す。
また、最初と最後を除く全ての模様について色まとめを終了していると判断した場合(ステップS219の「Yes」)には、処理を終了する。
【0106】
<縫製順が最後の模様の処理>
図13に示すように、糸色比較部102は、糸色記憶部101に記憶されているデータに基づいて、最後の模様よりも前の模様に、最後の模様の最初に縫製される糸色(例えば、図5では、コード;272)と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS301)。
なお、最後の模様については、それより後に縫製する模様がないため、最後の糸色判定が省略されて、最初の糸色から処理を行う。
【0107】
糸色比較部102が、最後の模様よりも前の模様に、最後の模様の最初に縫製される糸色(例えば、図5では、コード;272)と同じ糸色があると判断した場合(ステップS301の「Yes」)には、ステップS302に処理を進める。
一方で、糸色比較部102が、最後の模様よりも前の模様に、最後の模様の最初に縫製される糸色(例えば、図5では、コード;272)と同じ糸色がないと判断した場合(ステップS301の「No」)には、当該糸色の処理を終了する。
【0108】
糸色比較部102が、最後の模様よりも前の模様に、最後の模様の最初に縫製される糸色(例えば、図5では、コード;272)と同じ糸色があると判断した場合(ステップS301の「Yes」)には、縫製順が前のデータにグループ化を行う(ステップS302)。
そして、糸色比較部102は、前にデータがあるか否かを判断し(ステップS303)、前にデータがある(つまり、最後の模様の最初に縫製される糸色の前に糸色のデータがある)場合(ステップS303の「Yes」)には、処理をステップS304に進める。
一方で、前にデータがない場合(ステップS303の「No」)には、当該糸色の処理を終了する。
【0109】
ステップS304において、糸色比較部102は、最後の模様よりも前に、最後の模様の最初から2番目以降に縫製される糸色のそれぞれについて、それらの糸色(例えば、図5では、模様(9)コード;003からコード;001)と同じ糸色があるか否かを判断する(ステップS304)。
糸色比較部102は、最後の模様よりも前に、最後の模様の最初から2番目以降のそれぞれについて、それらの糸色(例えば、図5では、コード;003からコード;001)と同じ糸色があると判断した場合(ステップS304の「Yes」)には、処理をステップS305に進める。
一方で、最後の模様よりも前に、最後の模様の最初から2番目以降に縫製される糸色のそれぞれについて、それらの糸色(例えば、図5では、コード;003からコード;001)と同じ糸色がないと判断した場合あるいは比較元の糸色がない場合(ステップS304の「No」)には、当該糸色または模様に関する糸色まとめの処理を終了する。
【0110】
ステップS305において、糸色比較部102は、最後の模様の最初から2番目以降に縫製される糸色のそれぞれについて、それらの糸色が比較対象の模様の糸色までに、前のグループ化で使われた糸色がないかを判断する(ステップS305)。
糸色比較部102は、最後の模様の最初から2番目以降に縫製される糸色のそれぞれについて、それらの糸色が比較対象の模様の糸色までに、前のグループ化で使われた糸色がないと判断した場合(ステップS305の「Yes」)には、処理をステップS302に戻す。
また、最後の模様の最初から2番目以降に縫製される糸色のそれぞれについて、それらの糸色が比較対象の模様の糸色までに、前のグループ化で使われた糸色があると判断した場合(ステップS305の「No」)には、当該糸色の処理を終了する。
そして、最後の模様の最後に縫製される糸色まで、ステップ302からステップS305までの処理を実行して最後の模様に関するすべての処理を終了する。
【0111】
なお、図5の場合には、模様(1)の最後の糸色が、模様(5)の最初の糸色(コード;272)と一致するため、糸色比較部102は、処理をステップS104に進める。
そして、模様(1)の最後の糸色を模様(5)の最初の糸色にグループ化する。
また、図5の場合には、前に縫いデータ(コード;003)があるため、処理をステップS106に進める。
【0112】
また、図5の場合は、模様(1)の最後から2番目に縫製される糸色(コード;003)と同じ糸色があるか、模様(2)より後の縫いデータを確認する。
ここで、同じ糸色であっても、ここまでにグループ化した糸色(コード;272)が先にある場合には、グループ化しない。確認の結果、模様(3)の2番目に縫製される糸色(コード;003)と一致するため、模様(3)の2番目に縫製される糸色(コード;003)にグループ化する。
次に、模様(1)の最後から3番目に縫製される糸色(コード;259)を判定する。この糸色(コード;259)と一致するものがあるか、模様(2)より後の縫いデータを確認する。
ここで、同じ糸色であっても、そのコードまでに、ここまでにグループ化した糸色(コード;272、003)がある揚合はグループ化しない。そうすると、図5の場合には、一致する糸色が無いため、ここで、模様(1)の判定を終了する。
【0113】
また、図5の場合は、模様(2)は、1つの糸色しかないが、複数の糸色がある場合と同様に処理を行う。
まず、模様(2)の1番目に縫製される糸色(コード;002)と同じ糸色が、模様(2)より前にあるか否かを判断する。
この場合、一致する糸色が無いためここで1番目に縫製される糸色の判断を終了する。次に、模様(2)の最後に縫製される糸色を判断する。
つまり、模様(2)の最後に縫製される糸色(コード;002)と同じ糸色が、模様(3)より後にあるか否かを判断する。
図5では、模様(2)の最後に縫製されると模様(3)の最後に縫製される糸色とが一致するため、模様(2)の最後に縫製される糸色を模様(3)の最後に縫製される糸色にグループ化する。
ここで、模様(2)には、それより前の糸色がないため、模様(2)の判断を終了する。
【0114】
以上、説明したように、本実施形態によれば、図15に示すように、図5を例にとった場合、当初、図15(A)に示すように、36色であったものを図15(B)に示すように、24色に低減することができる。
つまり、縫い順を考慮して、糸色まとめを行うため、刺繍模様の出来上がりのイメージを損なうことなく、糸駒の交換回数を低減することができる。また、本実施形態における糸色まとめの処理は、1針の刺繍ミシンでも多針の刺繍ミシンでも実行可能であるため、汎用性に優れるという特徴を有する。
【0115】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について、図16および図17を用いて説明する。
【0116】
<刺繍ミシンの構成>
図16を用いて、本実施形態に係る刺繍ミシン200の構成について説明する。
【0117】
本実施形態に係る刺繍ミシン200は、図16に示すように、糸色記憶部101と、糸色比較部102と、糸色まとめ部103と、比較対象変更部104と、ミシンモータ制御装置105と、振幅・送りモータ制御装置106と、X-Yモータ制御装置107と、表示装置108と、タッチパネル109と、タクトスイッチ110と、中央演算部(CPU)220と、縫製順入替部201と、縫製回数算出部202と、縫製順決定部203とから構成されている。なお、第1の実施形態と同一の符号を付す構成要素については、同様の機能を有するものであることから、その詳細な説明は省略する。
【0118】
縫製順入替部201は、複数の模様の縫製順を入れ替える。
縫製回数算出部202は、縫製順入替部201が縫製順を入れ替えたときの糸色まとめ部103による糸色まとめを行った複数の模様の縫製回数を算出する。
縫製順決定部203は、複数の模様の縫製順を決定する。
また、縫製順決定部203は、縫製回数算出部202が算出する縫製回数が最小となる縫製順を決定し、糸色記憶部101に決定した縫製順を記憶させる。
【0119】
<刺繍ミシンの処理>
図17を用いて、本実施形態に係る刺繍ミシンの処理について説明する。
【0120】
使用者がタッチパネル109を操作して、刺繍データを複数配置する(ステップS201)。
刺繍データの配置が終了すると、縫製順入替部201が、各刺繍模様の縫製順を設定する(ステップS202)。
【0121】
縫製順入替部201によって、各刺繍模様の縫製順を設定されると、使用者がタッチパネル109を操作して、糸色まとめ処理を実行するための糸色まとめコマンドを実行する(ステップS203)。
【0122】
糸色まとめ処理が実行されると、糸色比較部102が、各刺繍模様について、図5から図11に示すステップS101からステップS126までの処理を実行し(ステップS204)、CPU220がRAMに縫製順と縫製回数を記憶する(ステップS205)。
【0123】
そして、CPU220が、縫製回数算出部202により、すべての縫製順パターンにおいて縫製回数が算出されたか否かを判断する(ステップS206)。
CPU220が、縫製回数算出部202により、すべての縫製順パターンにおいて縫製回数が算出されていないと判断した場合(ステップS206の「No」)には、処理をステップS202に戻す。
一方で、CPU220が、縫製回数算出部202により、すべての縫製順パターンにおいて縫製回数が算出されたと判断した場合(ステップS206の「Yes」)には、縫製回数が最小である縫製順と糸まとめ結果とを糸色記憶部101に保存する(ステップS207)。
【0124】
以上、説明したように、第1の実施形態においては、ある縫製順に対して、糸駒の交換回数を低減する方法について説明したが、本実施形態によれば、すべての縫製順パターンで縫製回数が最小となる縫製順と糸色まとめの結果とを得ることができる。
そのため、刺繍模様の出来上がりのイメージを損なうことなく、糸駒の交換回数を低減することができる。
【0125】
また、縫製回数が最小である縫製順と糸まとめ結果とを糸色記憶部101に保存する。そのため、時間が経って、同じ刺繍模様の組み合わせを縫製する際でも、糸色記憶部101を検索することにより、刺繍模様の出来上がりのイメージを損なうことなく、糸駒の交換回数が少ない縫製作業をいつでも再現できる。
【0126】
なお、本実施形態においては、刺繍ミシンを例示して説明したが、例えば、パーソナルコンピューター(PC)に、上記の糸色記憶部101、糸色比較部102、糸色まとめ部103、比較対象変更部104、中央演算部(CPU)120、縫製順入替部201、縫製回数算出部202、縫製順決定部203に相当する機能を備えることにより、パーソナルコンピューター(PC)上で、上記処理を実行してもよい。
【0127】
つまり、本実施形態に係る刺繍ミシンの処理をコンピュータシステムあるいはコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを刺繍ミシンまたは、パーソナルコンピューター(PC)に読み込ませ、実行することによって本発明を実現することができる。ここでいうコンピュータシステムあるいはコンピュータとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0128】
また、「コンピュータシステムあるいはコンピュータ」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムあるいはコンピュータから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムあるいはコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0129】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムあるいはコンピュータにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0130】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上記において、刺繍ミシンに糸色まとめ機能が内蔵されている場合を例示して説明したが、糸まとめ機能を別体の装置で実現してもよい。また、第1および第2の実施形態においては、すべての糸色を対象に糸色まとめを実行する例について、説明したが、利用者が糸色まとめを希望する特定の糸色を選択し、その糸色のみについて、上記処理を実行してもよい。また、各縫いデータを色ごとに画像化あるいは、座標データのレイヤを作成することにより、より正確な重なりを判断する機能を設けてもよい。
【符号の説明】
【0131】
100;刺繍ミシン
101;糸色記憶部
102;糸色比較部
103;糸色まとめ部
104;比較対象変更部
105;ミシンモータ制御装置
106;振幅・送りモータ制御装置
107;X-Yモータ制御装置
108;表示装置
109;タッチパネル
110;タクトスイッチ
120;中央演算部(CPU)
200;刺繍ミシン
201;縫製順入替部
202;縫製回数算出部
203;縫製順決定部
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