(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】改質炉
(51)【国際特許分類】
C10J 3/64 20060101AFI20220614BHJP
C10J 3/00 20060101ALI20220614BHJP
C10B 53/02 20060101ALI20220614BHJP
C01B 3/02 20060101ALI20220614BHJP
C01B 32/05 20170101ALI20220614BHJP
C01B 32/324 20170101ALI20220614BHJP
C01B 32/336 20170101ALI20220614BHJP
C10K 1/10 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C10J3/64
C10J3/00 S
C10B53/02
C01B3/02 Z
C01B32/05
C01B32/324
C01B32/336
C10K1/10
(21)【出願番号】P 2018091691
(22)【出願日】2018-05-10
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】517374753
【氏名又は名称】エネサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 美洋
(72)【発明者】
【氏名】赤池 一宏
【審査官】岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-522084(JP,A)
【文献】特開2015-165019(JP,A)
【文献】国際公開第2017/138157(WO,A1)
【文献】特開2013-185093(JP,A)
【文献】特開昭63-134510(JP,A)
【文献】特開2004-035837(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101968309(CN,A)
【文献】特開2013-001892(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10J 3/64
C10J 3/00
C10B 53/02
C01B 3/02
C01B 32/05
C01B 32/324
C01B 32/336
C10K 1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温負圧下で炭化物と過熱蒸気とを反応させて水性ガスおよび活性炭を得る改質炉であって、
内部空間を有する本体部と、
前記内部空間に収容され、前記本体部の長尺方向に延在して配置された筒状の回転体と、
前記内部空間を加熱する加熱部と、を備え、
前記本体部は、前記内部空間に前記炭化物を投入可能に設けられた投入部と、
前記改質炉の外部に少なくとも前記水性ガスを排出可能に設けられた排出部と、
前記内部空間に前記過熱蒸気を導入可能に設けられた蒸気導入部と、
前記内部空間に酸素成分を導入可能に設けられた酸素導入部と、有
し、
前記回転体は、前記本体部の下端に設けられ、前記本体部の下部から上部に向けて延在している改質炉。
【請求項2】
前記酸素導入部は、前記投入部の下方に設けられている請求項1に記載の改質炉。
【請求項3】
前記酸素導入部は、空気を導入可能に設けられている請求項1または2に記載の改質炉。
【請求項4】
前記回転体は複数の孔を有し、
前記蒸気導入部は前記回転体に接続され、前記回転体を介して前記内部空間に前記過熱蒸気を導入する請求項1から3のいずれか1項に記載の改質炉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改質炉およびそれを用いたガス化システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭や産業分野から排出される有機物を改質炉により処理して、水性ガスとして発電などに再利用する方法が検討されている(例えば、特許文献1)。以下、このような有機物をバイオマスということがある。バイオマスから水性ガスを生成する反応で得られる活性炭も、再利用する方法が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の改質炉においては、市場要求に応じて水性ガスおよび活性炭の生産効率の向上が求められていた。本明細書において、「生産効率」とは、単位生産時間あたりの生産量を意味する。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、水性ガスおよび活性炭の生産効率を高めた改質炉およびそれを用いたガス化システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は、高温負圧下で炭化物と過熱蒸気とを反応させて水性ガスおよび活性炭を得る改質炉であって、内部空間を有する本体部と、内部空間に収容され、本体部の長尺方向に延在して配置された筒状の回転体と、内部空間を加熱する加熱部と、を備え、本体部は、内部空間に炭化物を投入可能に設けられた投入部と、改質炉の外部に少なくとも水性ガスを排出可能に設けられた排出部と、内部空間に過熱蒸気を導入可能に設けられた蒸気導入部と、内部空間に酸素成分を導入可能に設けられた酸素導入部と、有する改質炉を提供する。
【0007】
本発明の一態様においては、酸素導入部は、投入部の下方に設けられている構成としてもよい。
【0008】
本発明の一態様においては、酸素導入部は、空気を導入可能に設けられている構成としてもよい。
【0009】
本発明の一態様においては、内部空間に炭化物を供給する供給部を備え、供給部は、投入部に接続された供給路と、供給路の一部に設けられ、炭化物と水とを接触させる接触部と、を有する構成としてもよい。
【0010】
本発明の一態様は、高温負圧下で炭化物と過熱蒸気とを反応させて、水性ガスおよび活性炭を得る改質炉であって、内部空間を有する本体部と、内部空間に収容され、本体部の長尺方向に延在して配置された筒状の回転体と、内部空間に炭化物を供給する供給部と、内部空間を加熱する加熱部と、を備え、本体部は、内部空間に炭化物を投入可能に設けられた投入部と、改質炉の外部に少なくとも水性ガスを排出可能に設けられた排出部と、改質炉の外部に少なくとも活性炭を排出可能に設けられた活性炭排出部と、内部空間に過熱蒸気を導入可能に設けられた蒸気導入部と、を有し、供給部は、投入部に接続された供給路と、供給路の一部に設けられ、炭化物と水とを接触させる接触部と、を有する改質炉を提供する。
【0011】
本発明の一態様は、バイオマスを炭化させ、炭化物を得る炭化炉と、上記の改質炉と、水性ガスと水とを接触させて水性ガスを冷却する熱交換部と、を備え、熱交換部は、筒状の部材であり、熱交換部の内部に水性ガスを導入可能に設けられたガス導入部と、熱交換部の内部に水を散布する水散布部と、熱交換部の外部に水性ガスを排出可能に設けられたガス排出部と、水を貯留可能に設けられた貯留部と、貯留部から水散布部に水を送液可能に設けられた流路と、を有し、水散布部の少なくとも一部は、ガス排出部の上流側に設けられているガス化システムを提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、水性ガスおよび活性炭の生産効率を高めた改質炉およびそれを用いたガス化システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態の改質炉の構成を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第2実施形態の改質炉の構成を示す模式図である。
【
図3】
図3は、ガス化システムを示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第一熱交換器の構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施形態の改質炉について説明する。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の寸法や比率などは適宜異ならせてある。
【0015】
<改質炉>
≪第1実施形態≫
本実施形態の改質炉は、高温負圧下で炭化物と過熱蒸気とを反応させていわゆる水蒸気改質を行い、水性ガスおよび活性炭を得る装置である。水性ガスとは、炭化物を水蒸気改質することによって生成された主に水素および一酸化炭素で構成される混合ガスをいう。水性ガスは、水素および一酸化炭素以外にも二酸化炭素やメタンを含む。なお、「過熱蒸気」とは、「高温(例えば、約650℃)の水蒸気」を意味する。
【0016】
図1は、第1実施形態の改質炉の構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施形態の改質炉100は、内筒体101と、外筒体102と、回転体103と、を備える。
【0017】
本実施形態の内筒体101は、特許請求の範囲における本体部に相当する。本実施形態の外筒体102は、特許請求の範囲における加熱部に相当する。
【0018】
[内筒体]
内筒体101は長尺の筒状部材である。内筒体101の中心軸の軸方向は、上下方向である。
【0019】
内筒体101は、内部空間125を有する。本実施形態における内部空間125は、特許請求の範囲における内部空間に相当する。
【0020】
内筒体101は、第一排出部122と、投入部124と、第二排出部123と、バッフル126と、を有する。
【0021】
本実施形態の第一排出部122は、特許請求の範囲における排出部に相当する。
【0022】
本実施形態の第二排出部123は、特許請求の範囲における活性炭排出部に相当する。
【0023】
内筒体101の上部には、第一排出部122と、が設けられている。第一排出部122は、改質炉100の外部に少なくとも水性ガスを排出可能に設けられている。
【0024】
内筒体101の中間部には、投入部124が設けられている。投入部124は、内部空間125に炭化物を投入可能に設けられている。投入部124には、炭化物を内部空間125に自動投入するためのスクリューコンベアやベルトコンベアが設けられていてもよい。
【0025】
内筒体101の下部には、第二排出部123が設けられている。第二排出部123は、改質炉100の外部に少なくとも活性炭を排出可能に設けられている。
【0026】
内筒体101の内壁には、内筒体101の中心軸の軸方向に延びる長尺のバッフル126が配置されている。バッフル126は、後述する回転体103と共に用いることで、炭化物の撹拌効率を向上させることができる。
【0027】
バッフル126の長尺方向の長さは、特に制限されない。バッフル126は、例えば内筒体101の内壁の回転体103に対向する範囲に設けられていることが好ましい。
【0028】
バッフル126の枚数は、特に制限されないが、複数であることが好ましく、例えば3枚であることが好ましい。また、バッフル126の配列方法は、特に制限されないが、内筒体101の中心軸を中心とする相対角度が等しくなるように配列されていることが好ましい。例えば、3枚のバッフル126が設けられている場合、内筒体101の中心軸を中心とする相対角度が120°となるように配列されていることが好ましい。
【0029】
[外筒体]
外筒体102は、内部空間146を有する。外筒体102は、内部空間146に内筒体101の一部を収容している。なお、本発明の効果を奏する範囲において、外筒体102は、内部空間146に内筒体101の全部を収容していてもよい。外筒体102は、導入部144と、排出部145と、を有する。
【0030】
外筒体102の上部には、導入部144が設けられている。導入部144は、内部空間146に後述の炭化炉の排ガスを導入可能に設けられている。これにより、外筒体102は、導入部144から導入された排ガスによって、内部空間146に収容された内筒体101を加熱し、内筒体101の内部空間125を加熱する。
【0031】
外筒体102の下部には、排出部145が設けられている。排出部145は、内部空間146の排ガスを排出可能に設けられている。
【0032】
導入部144と排出部145とがこのような位置関係にあると、炭化炉の排ガスは外筒体102の上部から下部に向かって流動する。一方、内筒体101の内部空間125においては、過熱蒸気および酸素成分が内筒体101の下部から上部に向かって流動する。このように、炭化炉の排ガスの流動方向と、過熱蒸気および酸素成分の流動方向とが逆向きであると、内筒体101を効率的に加熱することができる。また、炭化炉の排ガスに含まれる微粉炭が外筒体102の外部に排出されやすく、微粉炭が外筒体102の下部に堆積しにくい。
【0033】
[回転体]
回転体103は、内部空間125に収容されている。回転体103は、長尺の筒状部材である。回転体103は、回転軸104を中心として回転可能に設けられている。回転軸104は、回転体103の下部から回転体103の長尺方向に延在している。回転軸104の内側は流路121が形成されている。この流路121は、回転体103の内部空間125と連通している。
【0034】
回転体103は、複数の羽根160と、複数の孔161と、を有する。
【0035】
流路121は、回転体103の内部に過熱蒸気および酸素成分を導入可能に設けられている。流路121は、過熱蒸気と酸素成分との混合気体を導入してもよい。本実施形態の流路121は、特許請求の範囲における蒸気導入部および酸素導入部に相当する。
【0036】
流路121が過熱蒸気および酸素成分との混合気体を導入することにより、過熱蒸気および酸素成分とが別々に導入される場合と比べて、炭化物の改質効率が向上する。また、改質炉100の構成が簡素化される。
【0037】
なお、本実施形態の改質炉100においては、流路121から過熱蒸気および酸素成分を導入することとしたが、これに限定されない。例えば、改質炉100は、過熱蒸気を導入可能に設けられた蒸気導入部と、酸素成分を導入可能に設けられた酸素導入部とを別の構成として有してもよい。この場合、蒸気導入部は、内筒体101に設けられていれば、位置は特定されない。また、酸素導入部は、内筒体101の下部に設けられていることが好ましい。
【0038】
流路121における酸素成分の導入量は、酸素導入部120の近傍の酸素濃度が水素ガスの爆発下限界未満となるように調整される。具体的には、酸素成分の導入量は、酸素導入部120の近傍の酸素濃度が6%未満となるように調整される。
【0039】
本実施形態の改質炉100において、酸素成分は、酸素であってもよいし、空気であってもよい。酸素導入部120が酸素成分として空気を導入する場合、空気中の酸素濃度は約20%であることから酸素の導入量を制御しやすい。
【0040】
複数の羽根160は、回転体103の外周面に設けられている。バッフル126が設けられた内部空間125において、複数の羽根160を有する回転体103が回転することによって、内部空間125の炭化物を効率的に撹拌することができる。複数の羽根160の配列方法は、特に制限されないが、回転軸104を中心軸とするらせん状であることが好ましい。
【0041】
複数の孔161は、回転体103の外周面に設けられている。流路121が回転体103の内部に導入した過熱蒸気および酸素成分は、複数の孔161を介して、回転体103の内部から内筒体101の内部空間125へと移動する。
【0042】
[動作]
以上、説明した本実施形態の改質炉100の動作について説明する。導入部144は、外筒体102の内部空間146に後述する炭化炉の排ガスを導入する。これにより、外筒体102は、導入部144から導入された排ガスによって、内部空間146に収容された内筒体101を加熱し、内筒体101の内部空間125を加熱する。
【0043】
流路121は、過熱蒸気および酸素成分を回転体103の内部に導入する。回転体103の内部の過熱蒸気および酸素成分は、複数の孔161を介して、回転体103の内部から内筒体101の内部空間125へと移動する。投入部124は、加熱された内部空間125に炭化物を投入する。
【0044】
内部空間125に投入された炭化物は、内部空間125の熱および過熱蒸気の熱によって加熱され、過熱蒸気と反応する。この反応により、水性ガスおよび活性炭が生成する。
【0045】
一般に、改質炉の内部空間の温度は、750℃以上に保持されることが好ましい。内部空間146に導入される排ガスにより、内筒体101の内部空間125の温度は750℃以上に保持されることが可能となる。しかし、炭化物と過熱蒸気との反応(C+H2O→CO+H2)は吸熱反応であるため、改質炉の内部空間の温度が一時的に600℃前半まで低下することがある。この場合、排ガスを用いて内部空間125を昇温させる時間が長くなり、生産効率が低下してしまう。
【0046】
本実施形態の改質炉100においては、酸素存在下で炭化物と過熱蒸気とを反応させることにより、生成した水性ガスに含まれる水素の一部を燃焼させる。水素の燃焼反応は発熱反応であるため、内部空間125の温度低下を抑制できる。その結果、内部空間125を昇温させる時間が短くなり、生産効率を向上させることができる。
【0047】
特に、投入部124の下方では、内筒体101の内部空間125の温度が低下しやすい。これは、内部空間125における投入部124の下方で炭化物と過熱蒸気との反応が行われやすく、吸熱反応が起こりやすいためであると考えられる。また、内部空間125に投入される炭化物の温度は内部空間125の温度よりも低いためであると考えられる。
【0048】
本実施形態の改質炉100において、酸素導入部120は投入部124の下方に設けられている。そのため、本実施形態の改質炉100においては、内部空間125における投入部124の下方で水素の燃焼反応を生じやすく、効果的に内部空間125の温度低下を抑制できる。その結果、内部空間125を昇温させる時間が短くなり、生産効率を向上させることができる。
【0049】
バッフル126が設けられた内部空間125において、回転体103は回転することにより炭化物を効率的に撹拌することができる。これにより、炭化物と過熱蒸気との接触回数が増え、炭化物と水蒸気との反応が促進される。
【0050】
第一排出部122は、生成した水性ガスを改質炉100の外部に排出する。一方、第二排出部123は、生成した活性炭を改質炉100の外部に排出する。
【0051】
排出部145は、内部空間146に導入され、内部空間125を加熱することにより熱交換された排ガスを、改質炉100の外部に排出する。
【0052】
また、炭化物を効率的に過熱蒸気と接触させることができれば、回転体103を省略し、内筒体101に導入部144および排出部145を設け、かつ、外筒体102に流路121、投入部124、第一排出部122、第二排出部123および投入された炭化物を流動させる手段を設けてもよい。すなわち、内筒体101の内部空間125に炭化炉の排ガスを導入し、外筒体102の内部空間146を加熱して、内部空間146で炭化物の改質を行ってもよい。
【0053】
以上の構成によれば、第1実施形態の改質炉100は生産効率が高い。
【0054】
<改質炉>
≪第2実施形態≫
図2は、第2実施形態の改質炉の構成を示す模式図である。
図2に示すように、本実施形態の改質炉105は、内筒体101と、外筒体102と、回転体103と、供給部20と、を備える。以下、本実施形態において第2実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0055】
(供給部)
供給部20は、内筒体101の内部空間125に炭化物を供給する。供給部20は、供給路21と、接触部22と、を有する。
【0056】
供給路21の一端は、投入部124に接続されている。供給路21の他端は、炭化物を貯蔵する貯蔵部23に接続されている。供給路21には、炭化物を内部空間125に自動投入するためのスクリューコンベアやベルトコンベアが設けられていてもよい。
【0057】
供給路21の一部には、炭化物と水とを接触させる接触部22が設けられている。接触部22は、供給路21の内部に水を噴霧するスプレーノズル24を備える。スプレーノズル24は、改質炉100の外部の用水Wに接続されている。なお、接触部22の構成は、炭化物と水とを接触させることができる限り、本実施形態の構成に限定されない。
【0058】
[動作]
以上、説明した本実施形態の改質炉105の動作について説明する。接触部22は、スプレーノズル24を用いて、貯蔵部23から供給路21に運搬された炭化物に水を接触させる。
【0059】
用いる炭化物には、多数の孔が形成されている。このような炭化物に水を接触させると、炭化物の多数の孔に水が入り込み、炭化物の内部に水を含有させることができる。改質炉105に原料として水を含有させた炭化物を用いると、内筒体101の内部空間125で炭化物と、内部の水とが加熱され、過熱蒸気が発生し、炭化物の内部から過熱蒸気と反応する。
【0060】
これにより、炭化物に水を含有させない場合と比べて、炭化物と過熱蒸気との接触面積が増大する。そのため、本実施形態の改質炉105では、反応の進行が速くなる。また、炭化物に水を含有させない場合と比べて、流路121における過熱蒸気の導入量が抑えられる。さらに、炭化物と過熱蒸気との接触面積が増大した結果、得られる活性炭の表面積が広くなり、高品質なものとなる。
【0061】
投入部124が内筒体101の内部空間125に炭化物を投入する以降の動作は第1実施形態と同様である。
【0062】
以上の構成によれば、第2実施形態の改質炉105は生産効率が高い。特に、第2実施形態の改質炉105も、第1実施形態の改質炉100と同様に、流路121を有する。そのため、第2実施形態の改質炉105は、第1実施形態の改質炉100と比べてさらに生産効率が高い。
【0063】
なお、第2実施形態の改質炉105においては、流路121は、過熱蒸気のみ導入し、酸素成分は導入しなくてもよい。また、改質炉105は、流路121の代わりに過熱蒸気を導入可能に設けられた蒸気導入部と、酸素成分を導入可能に設けられた酸素導入部とを有してもよい。これにより、第2実施形態の改質炉105は、さらに生産効率を向上させることができる。
【0064】
<ガス化システム>
図3は、ガス化システムを示すブロック図である。
図3に示す矢印は、各工程での物質の流れを表している。
図3に示すように、本実施形態のガス化システム300は、第1実施形態の改質炉100と、乾燥機301と、炭化炉302と、第一サイクロン303と、第二サイクロン304と、過熱器305と、第一熱交換器306と、第二熱交換器307と、第三熱交換器308と、ガスタンク309と、第四熱交換器310と、を備える。
【0065】
乾燥機301は、高温の空気A1を乾燥用熱源として用い、バイオマス原料C0から水分を除去する。これにより、乾燥機301は、炭化炉302での炭化に適した水分率に調整されたバイオマス原料C1を得る。乾燥機301の具体的な構造については特に限定されず、例えば、回転シェルの内部に高温の空気A1を送る乾燥機を用いることができる。
【0066】
炭化炉302は、バイオマス原料C1を炭化させて炭化物C2を生成する。炭化炉302の具体的な構造については特に限定されず、例えば、低酸素雰囲気下でバイオマス原料C1を400℃~600℃に加熱して炭化させる炭化炉を用いることができる。
【0067】
改質炉100は、炭化炉302で発生した排ガスE1を、
図1の導入部144から外筒体102の内部空間146に導入し、内筒体101の内部空間125を加熱する。改質炉100は、加熱された内部空間125に、炭化物C2および過熱蒸気V2を導入する。これにより、改質炉100は、炭化物C2と、過熱蒸気V2とを反応させて水性ガスG1および活性炭C3を生成する。
【0068】
第一サイクロン303は、水性ガスG1に含まれる微粉炭や塵を除去し、水性ガスG2を得る。第一サイクロン303の具体的な構造については特に限定されず、公知のサイクロンを用いることができる。なお、第一サイクロン303は、省略してもよい。
【0069】
第二サイクロン304は、改質炉100から排出された排ガスE2に含まれる不純物を除去し、排ガスE3を得る。第二サイクロン304の具体的な構造については特に限定されず、公知のサイクロンを用いることができる。なお、第二サイクロン304は、省略してもよい。
【0070】
過熱器305は、水蒸気V1を、排ガスE3と熱交換させて加熱し、過熱蒸気V2を生成する。一方、排ガスE3は、水蒸気V1を加熱することにより熱交換されて排ガスE4となる。過熱器305の具体的な構造については特に限定されず、公知の過熱器を用いることができる。
【0071】
第一熱交換器306は、水性ガスG2を、水W1に接触させ、直接熱交換させて冷却する、いわゆる湿式の熱交換器である。本実施形態の第一熱交換器306は、特許請求の範囲における熱交換部に相当する。
【0072】
熱交換前の水性ガスG2は、例えば約800℃である。第一熱交換器306によって、熱交換後の水性ガスG3は、約77℃まで冷却される。
【0073】
一方、水W1は、水性ガスG2を冷却することにより熱交換される。水W1の一部は気化され、水性ガスG3に含まれる。熱交換前の水性ガスG2における水分率は、例えば約6質量%である。第一熱交換器306の第二分離室322(
図4参照)では、水性ガスG2における水分率が、約42質量%まで上昇するが、熱交換後の水性ガスG3における水分率は、約6質量%以下まで減少する。
【0074】
第一熱交換器306は、水W1を含む液体Lを、液体Lよりも低温の水W2と熱交換させて冷却する。なお、液体Lは、水W1の他に後述する微粉炭を含む。水W2は、液体Lを冷却することにより熱交換されて水W3となる。第一熱交換器306の構成については後述する。
【0075】
第二熱交換器307は、空気A0を、排ガスE4と熱交換させて加熱し、高温の空気A1を生成する。一方、排ガスE4は、空気A0を加熱することにより熱交換されて、排ガスE5となり、煙突(図示なし)などから排出される。第二熱交換器307の具体的な構造については特に限定されず、公知の熱交換器を用いることができる。
【0076】
第三熱交換器308は、水性ガスG3を、水W2と熱交換させて冷却し、水性ガスG4を生成する。第三熱交換器308によって、熱交換後の水性ガスG4は、約35℃まで冷却される。
【0077】
また、第三熱交換器308は、水性ガスG3に含まれる水分を冷却凝縮することによって、熱交換後の水性ガスG4における水分率を約5質量%まで低減する。
【0078】
第三熱交換器308の具体的な構造については特に限定されず、公知の熱交換器を用いることができる。
【0079】
第四熱交換器310は、水W1を、高温の空気A1の一部と熱交換させて加熱し、水蒸気V1を生成する。第四熱交換器310の具体的な構造については特に限定されず、公知の熱交換器を用いることができる。
【0080】
ガスタンク309は、水性ガスG4を貯蔵する。ガスタンク309の具体的な構造については特に限定されず、公知のガスタンクを用いることができる。
【0081】
[第一熱交換器]
図4は、第一熱交換器の構成を示す模式図である。
図4に示すように、第一熱交換器306は、予冷部31と、分離部32と、充填部33と、第一流路34と、第二流路35と、遠心分離部36と、第三流路39と、を有する。
【0082】
(予冷部)
予冷部31は、長尺の筒状部材313と、スプレーノズル312と、を有する。筒状部材313の長尺方向は、上下方向である。筒状部材313は、ガス導入口311を有する。
【0083】
本実施形態のガス導入口311は、特許請求の範囲におけるガス導入部に相当する。本実施形態のスプレーノズル312は、特許請求の範囲における水散布部に相当する。本実施形態の第一流路34と、第二流路35は、特許請求の範囲における流路に相当する。
【0084】
ガス導入口311は、筒状部材313の上部に設けられている。
図3の第一サイクロン303から排出された水性ガスG2は、ガス導入口311を介して、筒状部材313の内部空間に導かれる。
【0085】
スプレーノズル312は、筒状部材313の上部に設けられている。
図4では、スプレーノズル312は、ガス導入口311の下方に位置している。なお、スプレーノズル312は、ガス導入口311の上方に位置していてもよい。スプレーノズル312は、筒状部材313の内部空間に垂直方向下向きに水W1を含む液体Lを噴霧(散布)する。霧状の液体Lは、筒状部材313の内部空間で水性ガスG2と接触し、熱交換する。これにより、水性ガスは冷却される。熱交換された霧状の液体Lは、後述する貯留部41で捕集され、貯留される。
【0086】
(分離部)
分離部32は、長尺の筒状部材である。筒状部材の長尺方向は、水平方向である。分離部32の下部には、水W1を含む液体Lを貯留可能に構成された貯留部41が設けられている。
【0087】
分離部32は、第一分離室321と、第二分離室322と、を有する。
【0088】
第一分離室321は、分離部32の側板325と、垂直板323とによって挟まれた空間である。垂直板323は、開口部324aが設けられた上板324から垂直方向下向きに延びている。垂直板323の先端部323aは、貯留部41の液面より下に配置されている。このような構成の第一熱交換器306においては、筒状部材313のガス導入口311と、後述する充填部33のガス排出口331とが分断されている。これにより、第一熱交換器306は、熱交換効率に優れている。また、垂直板323の先端部323aは、分離部32の下板326と離間している。
【0089】
分離部32の上板324には、開口部324aが設けられている。開口部324aには、筒状部材313の下端が接続されている。開口部324aは、分離部32の内部空間と筒状部材313の内部空間とを連通する。
【0090】
第二分離室322は、垂直板323と、仕切板327とによって挟まれた空間である。なお、第二分離室322には、公知の集塵装置が設けられていてもよい。
【0091】
(充填部)
充填部33は、長尺の筒状部材330と、デミスター332と、デミスター333と、デミスター334と、スプレーノズル335と、スプレーノズル336と、スプレーノズル337と、エリミネーター338と、エリミネーター339と、を有する。筒状部材330の長尺方向は、上下方向である。筒状部材330は、開口部327aおよびガス排出口331を有する。筒状部材330の下部には、水W1を含む液体Lを貯留可能に構成された貯留部42が設けられている。
【0092】
開口部327aは、分離部32の内部空間と筒状部材330の内部空間とを連通する。水性ガスG2は、開口部327aを介して筒状部材330の内部空間に導かれる。また、液体Lは、充填部33と分離部32とを、オーバーフローによって、開口部327aを介して行き来することが可能である。
【0093】
本実施形態のガス排出口331は、特許請求の範囲におけるガス排出部に相当する。本実施形態のスプレーノズル335、スプレーノズル336およびスプレーノズル337は、特許請求の範囲における水散布部に相当する。
【0094】
ガス排出口331は、筒状部材330の上部に設けられている。第一熱交換器306で熱交換された水性ガスG3は、ガス排出口331を介して、第一熱交換器306の外部に排出される。
【0095】
筒状部材330の内部空間には、ガス排出口331側から上下方向に、デミスター332、スプレーノズル335、デミスター333、スプレーノズル336、エリミネーター338、スプレーノズル337、エリミネーター339の順に配置されている。
【0096】
エリミネーター338およびエリミネーター339は、公知の充填材を含む。充填部33は、エリミネーター338およびエリミネーター339によって、水性ガスG2に残存する微粉炭および霧状の水をさらに除去する。エリミネーター338は、エリミネーター339と比べて水分除去能力が同等以上であることが好ましい。
【0097】
デミスター332およびデミスター333は、水性ガスG2に残存する霧状の水をさらに除去する。
【0098】
デミスター334は、開口部327aに設けられている。デミスター334では、水性ガスG2および液体Lが通過可能に構成されている。デミスター334によって、貯留部42に貯留された液体Lにおける微粉炭濃度を低く抑えられる。
【0099】
なお、第一熱交換器306を連続運転する際、貯留部42に貯留された液体Lをサンプリングし、液体Lの色を目視で確認して、液体Lの微粉炭濃度を確認するとよい。確認後、必要に応じて液体Lの微粉炭濃度の低下させる方法を採るとよい。
【0100】
スプレーノズル335は、筒状部材330の内部空間に垂直方向下向きに水W1を(散布)する。スプレーノズル335は、デミスター333を洗浄する。なお、スプレーノズル335は、デミスター333の洗浄が必要なときに水W1を噴霧すればよい。
【0101】
スプレーノズル336およびスプレーノズル337は、筒状部材330の内部空間に垂直方向下向きに液体Lを噴霧(散布)する。スプレーノズル336およびスプレーノズル337は、液体Lを噴霧することで、筒状部材330の内部空間の水性ガスG2と液体Lとをさらに熱交換させ、水性ガスG2を冷却する。スプレーノズル336およびスプレーノズル337は、液体Lを噴霧ずることでエリミネーター338およびエリミネーター339を洗浄する。
【0102】
以上により、熱交換された霧状の液体Lは、貯留部42で捕集され、貯留される。
【0103】
(第一流路)
第一流路34の一端は、貯留部41に接続されている。第一流路34の他端は、予冷部31のスプレーノズル312に接続されている。第一流路34は、貯留部41から予冷部31に液体Lを輸送(送液)するポンプ341を有する。これにより、貯留部41に微粉炭が堆積するのを抑制しつつ、水W1の使用量を少なくすることができる。
【0104】
なお、ポンプ341は、貯留部41に微粉炭が堆積しない程度に液体Lを輸送することが好ましい。
【0105】
第一流路34の一部は、分岐路37および分岐路38に接続されている。
【0106】
分岐路37の先端部は、貯留器371に接続されている。貯留器371は、貯留部41から排出された液体Lを貯留可能に設けられている。分岐路37には、バルブ372が設けられている。
【0107】
分岐路38の先端部は、後述する遠心分離部36に接続されている。分岐路38には、バルブ381が設けられている。
【0108】
(第二流路)
第二流路35の一端は、貯留部42の液面より下方に接続されている。第二流路35の他端は、スプレーノズル336およびスプレーノズル337に接続されている。第二流路35は、貯留部42からスプレーノズル336およびスプレーノズル337に液体Lを輸送(送液)するポンプ351を有する。
【0109】
第一熱交換器306を連続運転する際、スプレーノズル336およびスプレーノズル337から噴霧する液体Lの温度が次第に上昇する。液体Lの温度の上昇に伴い、水性ガスG2の冷却効率が低下する。
【0110】
第二流路35には、液体Lを適温とするための冷却器352が設けられている。冷却器352は、第二流路35に輸送される液体Lを、液体Lよりも低温の水W2と熱交換させることにより冷却する。熱交換前の水性ガスG2の温度が約800℃であるとき、液体Lの適温は、約32℃以下である。水W2は、液体Lと熱交換することにより加熱されて、水W3となる。
【0111】
(遠心分離部)
第一熱交換器306を連続運転する際、液体Lにおける微粉炭濃度が次第に上昇する。微粉炭濃度の上昇に伴い、第一流路34および第二流路35、スプレーノズル312、スプレーノズル336およびスプレーノズル337が閉塞されるおそれがある。
【0112】
第一熱交換器306は、これらの閉塞を抑制するための遠心分離部36を有する。遠心分離部36は、微粉炭が高濃度で含まれる液体Lから遠心力により微粉炭を含む固形分を分離する。以下、「微粉炭が高濃度で含まれる液体L」を単に「高濃度の液体L」と称することがある。また、「微粉炭が低濃度で含まれる液体L」を単に「低濃度の液体L」と称することがある。
【0113】
遠心分離部36は、液体導入口361と、液体排出口362と、濃縮液排出口363と、を有する。遠心分離部36は、液体導入口361、液体排出口362および濃縮液排出口363を有する装置であれば、固液分離を可能とする公知の遠心分離機を用いることができる。
【0114】
液体導入口361は、分岐路38の先端部に接続されている。高濃度の液体Lは、液体導入口361を介して遠心分離部36の内部に導かれる。
【0115】
固形分が除去された低濃度の液体Lは、液体排出口362を介して遠心分離部36の外部に排出される。
【0116】
濃縮液排出口363は、濃縮液排出路40に接続されている。濃縮液排出路40の先端部は、貯留器401に接続されている。微粉炭が濃縮された濃縮液Sは、濃縮液排出口363を介して貯留器401に貯留される。
【0117】
(第三流路)
第三流路39の一端は、遠心分離部36の液体排出口362に接続されている。第三流路39の他端は、貯留部41に接続されている。
【0118】
(動作)
以上、説明した本実施形態の第一熱交換器306の動作について説明する。まず、貯留部41の液面が垂直板323の先端部323aよりも高くなるように、水W1を導入し、貯留部41および貯留部42に貯留する。水W1は、熱交換に伴い気化するため、第一熱交換器306の運転中は、水W1を常に導入する。
【0119】
次に、ポンプ341を駆動し、貯留部41からスプレーノズル312に水W1を輸送する。これにより、筒状部材313の内部空間に霧状の液体Lを発生させる。
【0120】
次に、ポンプ351を駆動し、貯留部42からスプレーノズル336およびスプレーノズル337に水W1を輸送する。これにより、筒状部材330の内部空間に霧状の液体Lを発生させる。
【0121】
次に、水性ガスG2をガス導入口311から筒状部材313の内部空間に導入する。これにより、水性ガスG2と霧状の液体Lとを接触させ、熱交換させて、水性ガスG2を冷却する。さらに、水性ガスG2を、開口部324aを介して第一分離室321に導き、貯留部41に貯留された液体Lに衝突させる。水性ガスG2中の微粉炭を、霧状または貯留部41に貯留された液体Lに捕集し、水性ガスG2から除去する。
【0122】
水性ガスG2を液体Lに衝突させる際、貯留部41における第一分離室321の液面が垂直板323の先端部323aよりも下方に押し下げられる。これにより、垂直板323の先端部323aと液面との間に隙間が生じる。この隙間を液体Lおよび水性ガスG2が通過することで、いわゆる「ベンチュリー効果」により第二分離室322の圧力が低下し、霧状の液体Lが生じる。これにより、霧状の液体Lおよび水性ガスG2を第二分離室322に導入する。
【0123】
次に、開口部327aに設けられたデミスター334によって液体Lからなる粗大な液滴を捕集する。液体Lからなる微小な液滴および水性ガスG2を、デミスター334を介して筒状部材330に導入する。
【0124】
次に、水性ガスG2を、エリミネーター338およびエリミネーター339を介して通過させる。エリミネーター338およびエリミネーター339によって水性ガスG2に含まれる微粉炭および霧状の水を捕集し、水性ガスG2から除去する。エリミネーター338およびエリミネーター339を、スプレーノズル336およびスプレーノズル337によって洗浄し、微粉炭および水W1を含む液体Lを貯留部42で貯留する。
【0125】
また、液体Lを適温とするため、冷却器352を駆動し、第二流路35を輸送される液体Lを冷却してもよい。
【0126】
次に、水性ガスG2を、デミスター332およびデミスター333を介して通過させる。デミスター332およびデミスター333によって水性ガスG2に含まれる霧状の水をさらに捕集し、水性ガスG2から除去する。
【0127】
次に、熱交換された水性ガスG3を、ガス排出口331から筒状部材330の外部に排出する。
【0128】
第一熱交換器306においては、貯留部41と貯留部42との間を液体Lが行き来することにより、液体Lの液面を制御する。液体Lの液面を制御するために、バルブ372を開放して、貯留器371に液体Lの一部を貯留する。
【0129】
また、バルブ381を開放して、高濃度の液体Lを、液体導入口361を介して遠心分離部36の内部に導入する。高濃度の液体Lを、遠心分離部36により微粉炭を含む固形分と低濃度の液体Lとに分離する。分離された低濃度の液体Lを、液体排出口362を介して遠心分離部36の外部に排出する。遠心分離部36から排出された低濃度の液体Lを、第三流路39を介して貯留部41に輸送する。微粉炭が濃縮された濃縮液Sを、濃縮液排出口363から濃縮液排出路40を介して貯留器401に貯留する。
【0130】
第一熱交換器306として乾式の熱交換器を用いる場合、熱交換器の内部で微粉炭と水とが混ざり合うことで、高粘度の固形分が生じ、生じる固形分により流路などが閉塞することがある。また、サイクロンなどの通常の方法では、水性ガスから完全に微粉炭を除去するのは困難であり、水性ガスに微粉炭が残存することがある。
【0131】
このような課題に対し、以上説明した第一熱交換器306は、水性ガスから微粉炭を除去することができる。これにより、ガス化システム300は、流路などが閉塞するおそれが少なく、安定的に連続運転することが可能となる。
【0132】
なお、第二熱交換器307と煙突(図示なし)との間にバグフィルターを設けることにより、有害物質等を処理することが好ましい。
【0133】
改質炉から排出された排ガスを乾燥用熱源として用いる従来のガスシステムでは、乾燥させる過程でバイオマス原料が焦げたり着火したりしてしまう問題があった。これは、改質炉から排出された排ガスが非常に高温であるためである。本実施形態のガス化システム300は、排ガスE4を熱源として加熱した空気を乾燥用熱源として用いるため、上記の問題が解消されている。
【0134】
なお、乾燥機301自体が乾燥用熱源を備える場合等は、第二熱交換器307を省略してもよい。
【0135】
また、本実施形態のガス化システムは、改質炉として第1実施形態の改質炉100を用いたが、第2実施形態の改質炉105を用いてもよい。
【0136】
また、第一熱交換器306においては、スプレーノズル312、スプレーノズル335、スプレーノズル336およびスプレーノズル337を用いたが、水を散布する装置であれば、これらに限定されない。
【0137】
以上の構成によれば、本実施形態のガス化システムは、水性ガスおよび活性炭の生産効率が高く、かつ連続操業が可能である。
【0138】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0139】
20…供給部、21…供給路、22…接触部、41,42…貯留部、100,105…改質炉、101…内筒体(本体部)、102…外筒体(加熱部)、103…回転体、121…流路、124…投入部、125,146…内部空間、144…導入部、145…排出部、300…ガス化システム、302…炭化炉、A0,A1…空気、C2…炭化物、C3…活性炭、G1,G2,G3,G4…水性ガス、L…液体、V1…水蒸気、W1,W2,W3…水