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特許7088775磁歪式トルクセンサのための改善された間隙補償
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】磁歪式トルクセンサのための改善された間隙補償
(51)【国際特許分類】
   G01L 3/10 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
G01L3/10 301M
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018147311
(22)【出願日】2018-08-06
(65)【公開番号】P2019060854
(43)【公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】15/675,269
(32)【優先日】2017-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503230014
【氏名又は名称】ベントリー・ネバダ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ダン・トゥ・ルー
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エフ・ハワード
(72)【発明者】
【氏名】ペッカ・タパニ・シピラ
【審査官】森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第3290885(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0366637(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0292962(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0252415(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0058958(US,A1)
【文献】特許第2574023(JP,B2)
【文献】特公平7-26880(JP,B2)
【文献】特公平4-62327(JP,B2)
【文献】特公平4-62328(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサヘッド(106、202)を備えた磁歪式センサであって、
前記センサヘッド(106、202)は、
駆動電流(244)に応答して磁束を生成するように構成されている駆動用コイル(212)を結合している駆動ポール(234)と、
それぞれの検出ポール(236)に結合された2つの磁気センサであって、2つの磁気センサによって検出される第1の磁束および第2の磁束に少なくとも基づいて第1の信号(110s、248)を出力するようにそれぞれ構成され、検出された前記第1の磁束は前記生成される磁束と、前記センサヘッド(106、202)とターゲット(104、222)との間の間隙(224)および前記ターゲット(104、222)との相互作用から生じ検出された前記第2の磁束は前記生成される磁束と前記間隙(224)の相互作用から生じる、2つの磁気センサと、
前記駆動ポール(234)に結合された近接コイル(216)であって、前記第1の磁束、前記第2の磁束、および近接コイル(216)によって検出される第3の磁束に少なくとも基づいて第2の信号(112s、252)を出力するように構成され、前記第3の磁束は前記生成される磁束と前記間隙(224)の相互作用から生じる、近接コイル(216)と
前記センサヘッド(106、202)と電気的に接続しているコントローラ(114、204)であって、
前記第1の信号(110s、248)および前記第2の信号(112s、252)を受信し、
前記第1の信号(110s、248)および前記第2の信号(112s、252)に基づいて前記間隙(224)を決定し、
前記第1の信号(110s、248)および前記第2の信号(112s、252)から決定される前記間隙(224)に基づいて前記第1の信号(110s、248)から前記ターゲット(104,222)に加えられる力を決定する
ように構成されているコントローラ(114、204)と、を備える、磁歪式センサ。
【請求項2】
前記力はトルクである、請求項記載の磁歪式センサ。
【請求項3】
前記2つの磁気センサは、前記駆動ポール(234)に対してほぼ対称的に配置される、請求項1又は2記載の磁歪式センサ。
【請求項4】
検出された前記第3の磁束は、前記ターゲット(104、222)の電磁特性からほぼ独立している、請求項1から3のいずれか1項記載の磁歪式センサ。
【請求項5】
前記第2の磁束および前記第3の磁束は、前記ターゲット(104、222)に衝突するのを避けるように配置されている、請求項1から4のいずれか1項記載の磁歪式センサ。
【請求項6】
磁歪式トルクセンサ(110)のコアに設けられた駆動ポール(234)に結合されている駆動用コイル(212)を用いて、第1の領域、第2の領域、および第3の領域を通じて延びる磁束を生成するステップであって、前記第1の領域はターゲット(104、222)、一対の第1のセンサ、および第2のセンサを含み、前記第2の領域は前記一対の第1のセンサおよび前記第2のセンサを含み、前記第3の領域は前記第2のセンサを含む、磁束を生成するステップと、
前記生成される磁束と、前記第2のセンサと前記ターゲット(104、222)の間の間隙(224)および前記ターゲット(104、222)の相互作用から生じる第1の磁束と、前記生成される磁束と前記間隙(224)との相互作用から生じる第2の磁束との組み合わせを、前記一対の第1のセンサが測定するステップと、
前記第1の磁束、前記第2の磁束、および第3の磁束の組み合わせを、前記第2のセンサが測定するステップであって、前記第3の磁束は、前記生成される磁束と前記間隙(224)の相互作用から生じる、前記第2のセンサが測定するステップと
前記一対の第1のセンサによって測定される前記第1の磁束および前記第2の磁束の組み合わせと、前記第2のセンサによって測定される前記第1の磁束、前記第2の磁束、および前記第3の磁束との組み合わせと、に基づいて前記間隙(224)を決定するステップと、
前記間隙(224)に基づいて前記一対の第1のセンサによって測定される前記第1の磁束および前記第2の磁束の組み合わせから前記ターゲット(104、222)に加えられる力を決定するステップと、
を含み、
前記磁歪式トルクセンサ(110)のコアは、基部と、前記基部から外方に延びる前記駆動ポール(234)と、前記基部から外方に延びる少なくとも2つの検出ポール(236)と、を備え、前記一対の第1のセンサのうちの各センサが前記検出ポール(236)にそれぞれ配置され、前記第2のセンサが前記駆動ポール(234)に配置されるように構成されている、近接検出方法。
【請求項7】
前記一対の第1のセンサによって測定される前記第1の磁束および前記第2の磁束と前記第2のセンサによって測定される前記第1の磁束前記第2の磁束、および前記第3の磁束との組み合わせに基づいて前記第3の磁束を決定するステップと、
前記第3の磁束に基づいて前記間隙(224)を決定するステップと
をさらに含む、請求項記載の近接検出方法。
【請求項8】
前記第3の磁束は、前記ターゲット(104、222)の電磁特性からほぼ独立している、請求項記載の近接検出方法。
【請求項9】
前記第2の磁束および前記第3の磁束は、前記ターゲット(104、222)に衝突するのを避けるように配置されている、請求項6から8のいずれか1項記載の近接検出方法。
【請求項10】
前記第1および第2のセンサの各々は、それぞれ内部を通じ延びる磁場に基づいて信号を出力するように構成された誘導センサである、請求項6から9のいずれか1項記載の近接検出方法。
【請求項11】
前記一対の第1のセンサは、前記生成される磁束の源に対してほぼ対称的に配置される、請求項6から10のいずれか1項記載の近接検出方法。
【請求項12】
磁歪式トルクセンサ(110)の駆動ポール(234)に結合されている駆動用コイル(212)を用いて磁束を生成するステップと、
前記磁歪式トルクセンサ(110)のそれぞれの検出ポール(236)に結合された2つの磁気センサが、前記2つの磁気センサによって検出される第1の磁束および第2の磁束に少なくとも基づいて第1の信号(110s、248)を出力するステップであって、検出された前記第1の磁束は前記生成される磁束とターゲット(104、222)および間隙(224)ならびに2つの前記検出ポール(236)との相互作用から生じ、当該間隙(224)は前記磁歪式トルクセンサ(110)と前記ターゲット(104、222)の間にあり、検出された前記第2の磁束は前記生成される磁束と前記間隙(224)および前記2つの検出ポール(236)との相互作用から生じる、第1の信号(110s、248)を出力するステップと、
前記駆動ポール(234)に結合された近接コイル(216)が、前記第1の磁束、検出された前記第2の磁束、および前記近接コイル(216)によって検出される第3の磁束の組み合わせに少なくとも基づいて第2の信号(112s、252)を出力するステップであって、前記第3の磁束は前記生成される磁束と前記間隙(224)の相互作用から生じる、第2の信号(112s、252)を出力するステップと
前記第1の信号(110s、248)および前記第2の信号(112s、252)に基づいて前記間隙(224)を決定するステップと、
前記第1の信号(110s、248)および前記第2の信号(112s、252)から決定される前記間隙(224)に基づいて前記第1の信号(110s、248)から前記ターゲット(104、222)に加えられるトルクを決定するステップと、
を含む、検出方法。
【請求項13】
前記2つの磁気センサは、前記駆動ポール(234)に対してほぼ対称的に配置される、請求項1記載の検出方法
【請求項14】
検出された前記第3の磁束は、前記生成される磁束と前記間隙(224)の相互作用のみから生じる、請求項12又は13記載の検出方法
【請求項15】
前記第2の磁束および前記第3の磁束は、前記ターゲット(104、222)に衝突するのを避けるように配置されている、請求項12から14のいずれか1項記載の検出方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁歪式センサおよび検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
センサは、設備を監視するために様々な産業において使用され得る。一例として、トルクセンサは、回転機械部品(例えば、シャフト)を監視し、監視対象の部品に加えられるトルクを表す信号を出力するため使用され得る。測定されたトルクと設計仕様を比較することによって、監視対象の部品がこれらの仕様内で動作しているか判定することができる。
【0003】
磁歪式トルクセンサは、トルクを測定するために磁場を用いるタイプのセンサである。一般に、磁歪は、磁場が存在するときの材料の形状の変化(例えば、膨張または収縮)を特徴付ける強磁性材料の特性である。逆に、透磁率などの強磁性材料の磁気特性(材料内の磁場の発生を支える能力)は、材料に加えられるトルクに応答して変化し得る。磁歪式トルクセンサは、シャフトを透過する磁束を生成することができるとともに、この磁歪式トルクセンサがシャフトと相互作用するときの磁束を検出することができる。シャフトに加えられるある量のトルクが変化するとき、磁歪式センサは、検出された磁束に基づいてシャフトに加えられるトルクを表す信号を出力することができる。
【0004】
しかしながら磁気トルクセンサと監視対象の部品を隔てる距離または間隙は、回転中の監視対象の部品の振動および/または形状の変動により変化し得る。これらの距離の変化によって、加えられるトルクとは独立している磁歪式トルクセンサによって検出された磁束の変動が引き起こされ得る。したがって、検出された磁束に基づいて磁歪式トルクセンサによって取得されるトルク測定値は、シャフト上の実際のトルクから逸れる場合がある。
【発明の概要】
【0005】
概して、トルクセンサなどの磁歪式センサを間隙補償するシステムおよび方法が提供される。
【0006】
一実施形態では、磁歪式センサが提供され、この磁歪式センサは、駆動ポールと、それぞれの検出ポールに結合された2つの磁気センサと、近接コイルとを備えたセンサヘッドを備えることができる。駆動ポールは、駆動電流に応答して磁束を生成するように構成することができる駆動用コイルをそこに結合していることができる。2つの磁気センサは、この2つの磁気センサによって検出される第1の磁束および第2の磁束に少なくとも基づいて第1の信号を出力するようにそれぞれ構成することができる。検出された第1の磁束は生成される磁束とターゲットの相互作用から生じ、間隙はセンサヘッドとターゲットとの間にあり、2つの検出ポールおよび検出された第2の磁束は生成される磁束と間隙の相互作用から生じ得る。近接コイルは、駆動ポールに結合され得るものであり、近接コイルは、第1の磁束、検出された第2の磁束、および近接コイルによって検出される第3の磁束に少なくとも基づいて第2の信号を出力するように構成することができる。第3の磁束は、生成される磁束と間隙の相互作用から生じ得る。
【0007】
別の実施形態では、センサは、センサヘッドと電気的に接続しているコントローラを備えることができる。コントローラは、第1の信号および第2の信号を受信し、第1の信号に基づいてターゲットに加えられる力を決定し、第1の信号および第2の信号に基づいて間隙を決定し、第1の信号および第2の信号から決定される間隙に基づいて第1の信号から決定される力を調整するように構成することができる。
【0008】
別の実施形態では、力は、トルクとすることができる。
【0009】
別の実施形態では、2つの磁気センサは、駆動ポールに対してほぼ対称的に配置することができる。
【0010】
別の実施形態では、検出された第3の磁束は、ターゲットの電磁特性からほぼ独立していることができる。
【0011】
別の実施形態では、第2および第3の磁束は、ターゲットに衝突するのを避けることができる。
【0012】
ターゲットの近接を測定する方法も提供される。一実施形態では、方法は、第1の領域、第2の領域、および第3の領域を通じて延びる磁束を生成するステップであって、第1の領域はターゲット、一対の第1のセンサ、および第2のセンサを含み、第2の領域は一対の第1のセンサおよび第2のセンサを含み、第3の領域は第2のセンサを含む、磁束を生成するステップと、生成される磁束とターゲットの相互作用から生じる第1の磁束と、生成される磁束と第2のセンサおよびターゲットの間の間隙との相互作用から生じる第2の磁束との組み合わせを、一対の第1のセンサが測定するステップと、第1の磁束、第2の磁束、および第3の磁束の組み合わせを、第2のセンサが測定するステップであって、第3の磁束は、生成される磁束と間隙の相互作用から生じる、第2のセンサが測定するステップとを含むことができる。
【0013】
一実施形態では、方法は、一対の第1のセンサによって測定される第1および第2の磁束と第2のセンサによって測定される第1、第2、および第3の磁束との組み合わせに基づいて第3の磁束を決定するステップと、第3の磁束に基づいて間隙を決定するステップとを含むこともできる。
【0014】
別の実施形態では、第3の磁束は、ターゲットの電磁特性からほぼ独立していることができる。
【0015】
別の実施形態では、第2および第3の磁束は、ターゲットに衝突するのを避けることができる。
【0016】
別の実施形態では、第1および第2のセンサの各々は、それぞれ内部を通じ延びる磁場に基づいて信号を出力するように構成された誘導センサであってもよい。
【0017】
別の実施形態では、一対の第1のセンサは、生成される磁束の源に対してほぼ対称的に配置されてもよい。
【0018】
間隙変動に対してトルク測定値を補償する方法も提供される。一実施形態では、方法は、磁歪式トルクセンサの駆動ポールに結合されている駆動用コイルを用いて磁束を生成するステップと、磁歪式センサのそれぞれの検出ポールに結合された2つの磁気センサが、2つの磁気センサによって検出される第1の磁束および第2の磁束に少なくとも基づいて第1の信号を出力するステップであって、検出された第1の磁束は生成される磁束とターゲットの相互作用から生じ得、間隙は磁歪式トルクセンサとターゲットの間および2つの検出ポール間にあり、検出された第2の磁束は生成される磁束と間隙および2つの検出ポールとの相互作用から生じ得る第1の信号を出力するステップと、駆動ポールに結合された近接コイルが、第1の磁束、検出された第2の磁束、および近接コイルによって検出される第3の磁束の組み合わせに少なくとも基づいて第2の信号を出力するステップであって、第3の磁束は生成される磁束と間隙の相互作用から生じ得る、第2の信号を出力するステップとを含むことができる。
【0019】
一実施形態では、この方法は、第1の信号に基づいてターゲットに加えられるトルクを決定するステップと、第1の信号および第2の信号に基づいて間隙を決定するステップと、第1の信号および第2の信号から決定される間隙に基づいて第1の信号から決定されるトルクを調整するステップとを含むこともできる。
【0020】
別の実施形態では、力はトルクであり得る。
【0021】
別の実施形態では、2つの磁気センサは、駆動ポールに対してほぼ対称的に配置されてもよい。
【0022】
別の実施形態では、検出された第3の磁束は、生成される磁束と間隙の相互作用のみから生じ得る。
【0023】
別の実施形態では、第2および第3の磁束は、ターゲットに衝突するのを避けることができる。
【0024】
これらおよび他の特徴は、添付図面と共に参照される以下の詳細な説明からより容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】トルクセンサおよび近接センサを備えたセンサヘッドを有する磁歪式トルクセンサを含む動作環境の例示的な一実施形態を示す図である。
図2】コアと駆動用コイルと2つ以上の磁気センサと近接センサとを有するセンサヘッドを備える図1の磁歪式トルクセンサの例示的な一実施形態の断面図である。
図3】駆動用コイルによって生成された空間的分布の磁束を示す図2のセンサヘッドの断面図である。
図4図2の磁歪式トルクセンサのコアの例示的な実施形態の平面図である。
図5】ターゲットのトルクおよび近接を測定する方法の例示的な実施形態を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図面は必ずしも原寸に比例しないことに留意されたい。図面は、本明細書に開示した主題の典型的な態様のみを示すことが意図されるものであり、したがって、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。当業者は、本明細書に具体的に説明されるとともに添付図面に示されるシステム、装置、および方法は非限定の例示的な実施形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定められることを理解されよう。
【0027】
次に、本明細書に開示したシステム、装置、および方法の構造、機能、作製、および使用に関する原理の概要を示すために、いくつかの例示的な実施形態を説明する。これらの実施形態の1つまたは複数の例は、添付図面に示されている。例示的な一実施形態に関連して図示または説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わされてもよい。そのような修正および変更は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。さらに、本開示では、各実施形態の同じ名称の構成部品は、概して、同様の特徴を有し、したがって、特定の実施形態の範囲内で、同じ名称の各構成部品のそれぞれの特徴は、必ずしも完全に詳述されているものではない。
【0028】
トルクセンサなどの磁歪式センサは、磁束を生成する駆動要素と、シャフトに加えられるトルクを決定するために磁束がターゲット(例えば、回転機械シャフト)と相互作用するときに磁束を測定する検出要素とを備えることができる。いくつかの例では、検出要素によって検出される磁束は、ターゲットからの距離または間隙の変化に非常に敏感であり得るとともに、これらの間隙の変動は、検出された磁束から決定されるトルク測定値に誤差を導入し得る。トルク測定値の品質を改善するため、この間隙の変化が、間隙の変動についてトルク測定値を補償するために測定され得る。一例として、非接触近接センサが、磁歪式センサが生成する磁束の測定値から間隙を決定するために使用され得る。しかしながら、これらの非接触近接センサによって取得される間隙測定値の精度は、検出された磁場を間隙とは独立して変動させるターゲットの電磁特性の変化によって損なわれ得る。したがって、間隙変化による測定された磁束の変化をターゲットの電磁特性による測定された磁束の変化から分離する改善された間隙補償測定値が、磁歪式トルクセンサと共に使用することでトルク測定値の精度を高めるために提供される。
【0029】
回転機械部品のトルクを測定する検出システムおよび対応する方法の各実施形態が、本明細書に説明される。しかしながら、本開示の各実施形態は、限定されるものではなく、回転機械部品または固定機械部品に加えられる他の力を測定するために用いられてもよい。
【0030】
図1は、間隙補償式トルク検出システム102とターゲット104とを含む動作環境100の例示的な一実施形態を示す。間隙補償式トルク検出システム102は、センサヘッド106と、トルクセンサ110と、近接センサ112と、コントローラ114とを備える磁歪式トルク検出システムであり得る。トルクセンサ110は、センサヘッド106内に配置することができるとともに、トルクセンサ110は、ターゲット104の選択部分に加えられるトルクを表す第1の信号110sを生成するように構成され得る。近接センサ112は、センサヘッド106内に配置することもできるとともに、近接センサ112は、それ自体とターゲット104の選択部分との間の間隙Gを表す第2の信号112sを生成するように構成することができる。
【0031】
使用時、センサヘッド106は、トルク測定値および間隙測定値を取得するためにターゲット104に近接して配置することができる。コントローラ114は、第1および第2の信号110s、112sを受信するように構成することができるとともに、コントローラ114は、ターゲット104の選択部分に加えられるトルクを決定することができる。コントローラ114は、ターゲット104の電磁特性の変動からほぼ独立している間隙Gを測定することもできる。第1の信号110sおよび測定された間隙Gから、コントローラ114は、(例えば、ターゲットの振動および/または幾何学的変動による)間隙Gの変化を補償するために、トルクセンサ110によって決定されたトルクを調整することもできる。このようにして、トルク測定値の精度を向上させることができる。
【0032】
いくつかの実施形態では、センサヘッド106は、ターゲット104に対して所望の向きおよび/または位置でセンサヘッド106を配置するようにフレームまたは他の固定取付具(図示せず)に結合することができる。他の実施形態では、トルク測定値および間隙測定値は、ターゲット104が(例えば、縦軸A周りに)回転している間に、またはターゲットが静止している間に、ターゲット104から取得することができる。他の実施形態は、開示した本主題の範囲内にある。
【0033】
図2は、コントローラ204と電気的に接続しているセンサヘッド202を備える間隙補償式トルク検出システム200の例示的な一実施形態の断面図である。センサヘッド202は、コア210と駆動用コイル212と2つ以上の磁気センサ(例えば、検出コイル214a、214b)とを備えるトルクセンサを収容するハウジング206を形成することができる。センサヘッド202は、近接コイル216を備えた近接センサを備えることもできる。以下により詳細に説明されるように、トルクセンサは、ターゲット222の選択部分220(例えば、センサヘッド202に対向して配置されるターゲット222の一部)に加えられるトルクを測定するように構成することができる。近接センサは、トルク測定値がトルクセンサによって取得されるのと同時に、センサヘッド202(例えば、ハウジング206の遠位端206d)とターゲット222の選択部分220との間の間隙224を測定するように構成することができる。
【0034】
ターゲット222は、回転するように構成されている任意の機械または設備226の部品であり得る。回転部品の例には、限定するものではないが、シャフトおよびロータが含まれ得る。回転部品を組み込む機械および設備226の例には、限定するものではないが、ターボ機械(例えば、タービンエンジン、圧縮機、ポンプ、およびそれらの組み合わせ)、発電機、内燃機関、およびそれらの組み合わせが含まれ得る。力または負荷は、ターゲット222が負荷を回転および駆動することを可能にするように、駆動装置230(例えば、往復動機関、内燃機関、タービンエンジン、電気モータなど)によってターゲット222に加えられ得る。ターゲット222は、限定するものではないが、鉄、鋼鉄、ニッケル、コバルト、およびそれらの合金などの強磁性材料を含む材料から形成することができる。いくつかの実施形態では、ターゲット222は、磁化されていなくてもよい。他の実施形態では、ターゲット222は、磁化されていてもよい。
【0035】
コア210は、基部232と、少なくとも3つの細長いポール234、236a、236bとを備えることができる。ポール234、236a、236bは、基部232から外の方へ延びることができるとともに、それらは、選択された距離だけ互いから離れることができる。コア210は、任意の強磁性材料から形成することができる。例には、限定するものではないが、鉄、鋼鉄、ニッケル、コバルト、およびそれらの合金が含まれ得る。ポール234のうちの1つは、駆動用コイル212が巻き回される駆動ポールであり得る。ポール236a、236bは、検出コイル214a、214bが巻き回される検出ポールであり得る。いくつかの実施形態では、検出ポール236a、236bは、駆動ポール234を中心にしてほぼ対称的に配置され得る。
【0036】
駆動用コイル212および検出コイル214a、214bは、それぞれコントローラ204と電気的に接続することができる。図2に示すように、コントローラ204は、有線接続または無線接続によって励振源ES240に電気的に接続することができる。高周波(RF)送信機などの無線通信装置は、励振源ES240と一体のRF受信機に信号を送信するためにコントローラ204と一体とすることができる。図2にも示すように、コントローラ204は、センサヘッド202から離して配置することができる。しかしながら、代替の実施形態(図示せず)では、コントローラ204は、センサヘッド202内に配置されてもよい。
【0037】
電源242(例えば、電気コンセント、発電機、電池など)は、コントローラ204と励振源ES240とに電力を供給することができる。励振源ES240は、駆動電流244(例えば、交流電流)を駆動用コイル212に送り届けるように構成することができ、コントローラ204は、励振源ES240によって駆動用コイル212へ送り届けられる駆動電流244の特性(例えば、周波数、振幅など)を制御するように構成することができる。コントローラ204は、汎用または特定用途向けプロセッサ246を用いる任意の計算装置とすることができる。いずれの場合でも、コントローラ204は、周波数、振幅、およびそれらの組み合わせなどの駆動電流244の特性に関連した命令を記憶するメモリ250を備えることができる。メモリ250は、以下により詳細に説明するように、センサ信号(例えば、トルク信号248a、248b、および近接信号252)を用いてトルク測定値、改善された間隙測定値を決定し、改善されたトルク測定値に基づいてトルク測定値を補償する命令およびアルゴリズムを備えることもできる。プロセッサ246は、1つまたは複数の処理装置を備えることができ、メモリ250は、方法を実行するとともに本明細書に記載されたアクションを制御するためにプロセッサ246によって実行可能な命令をまとめて記憶する1つまたは複数の有形の非一時的な機械可読媒体を備えることができる。
【0038】
駆動電流244は、駆動用コイル212を通過し、これによって磁束254a、254bを生成することができる。磁束254a、254bの少なくとも一部は、コア210およびターゲット222を透過し、検出コイル214a、214bおよび近接コイル216を通過し、コア210(例えば、検出ポール236a、236b)を介して駆動用コイル212の戻ることができる。このようにして、磁気ループが、トルクセンサおよびターゲット222を通じて形成され得る。以下により詳細に説明されるように、磁束254a、254bとは異なる空間分布を有するさらなる磁束が存在することもできる。
【0039】
検出コイル214a、214bは、ターゲット222から出る磁束254a、254bを測定するために使用することができる。ターゲット222に加えられる力(例えば、圧縮、引張り、ねじれなど)は、ターゲット222の透磁率を変化させ得るので、検出コイル214a、214bによって検出される磁束254a、254bは、変化し得る。したがって、ターゲット222に加えられるトルクは、駆動用コイル212によって生成される磁束254a、254bに対しての検出コイル214a、214bによって検出される磁束254a、254bの変化に基づいて決定することができる。検出コイル214a、214bは、磁束254a、254bの変化(例えば、差)を示すトルク信号248a、248bをコントローラ204へ送信するように構成することができる。検出ポール236a、236bが駆動ポール234に対して対称的に配置される状況下では、検出コイル214a、214bによって検出される磁束254a、254bは同じであり得、その結果として、生成されるトルク信号248a、248bも同じである。
【0040】
代替実施形態では、ターゲット222出るから磁束254a、254bは、検出コイル214a、214b以外の副次的な磁気センサ(図示せず)によって測定することもできる。副次的な磁気センサは、検出コイル214a、214bと同様に構成することができ、それらは、磁束254a、254bの変化(例えば、差)を示すトルク信号248a、248bをコントローラ204へ送信することができる。検出コイル214a、214bに応答して、副次的な磁気センサは、検出ポール236a、236bから離れて位置してもよく、その代わりに、磁束254a、254bと干渉しない材料から形成されたカップリングによって検出ポール236a、236bに結合されてもよい。すなわち、副次的な磁気センサは、ターゲット222から出る磁束254a、254bを測定することができるコイルまたは任意の他の磁気センサであり得る。副次的な磁気センサの位置は、駆動ポール234に対してほぼ対称的であり得る。
【0041】
トルク信号248a、248bは、有線接続または無線接続によってコントローラ204(例えば、受信機256)へ伝えることができる。一例として、RF送信機などの無線通信装置は、コントローラ204と一体のRF受信機へ信号を送信するために、(例えば、検出コイル214に近接した)センサヘッド202と一体とすることができる。受信機256は、トルク信号248a、248bをプロセッサ246へ送信する(例えば、260)前にトルク信号248a、248bをコンディショニングすることができる電子部品(例えば、増幅器、フィルタなど)を備えてもよい。他の実施形態では、トルク信号248a、248bは、プロセッサ246によって処理された後にコンディショニングされてもよい。
【0042】
検出コイル214a、214bからトルク信号248a、248bを受信すると、プロセッサ246は、トルク信号248a、248bを処理してターゲット222に加えられるトルクを推定することができる。すなわち、プロセッサ246は、予め記憶されたおよび/またはユーザが定めたメモリ250内のアルゴリズムを実行して、ターゲット222、センサヘッド202、および駆動電流244の特性に基づいてターゲット222に加えられるトルクの大きさを計算することができる。
【0043】
上述したように、トルク測定値は、間隙224によって影響を受け得る。したがって、トルクセンサによって検出される磁束254a、254bに基づくターゲット222について決定されるトルク測定値は、ターゲット222に加えられる実際のトルクから逸れている場合がある。この問題に対処するために、間隙224は、近接センサ(例えば、近接コイル216)によって測定することができ、この間隙224は、間隙224の変動を考慮するためにトルク測定値を調整するために使用することができる。このようにして、近接センサは、トルク測定値の精度を改善することができ、ターゲット222を搭載する機械または設備226のより良い制御を可能にする。
【0044】
ターゲット222に対しての近接コイル216の位置は、トルクセンサによって取得されるトルク測定と近接コイル216によって取得される間隙測定の両方を容易にするように選択することができる。図2に示すように、近接センサは誘導近接センサとすることができ、近接コイル216は駆動ポール234に配置することができる。いくつかの実施形態では、近接コイル216は、駆動ポール234にある駆動用コイル212から遠位に配置することができる。そのように配置すると、近接コイル216は、誘導ピックアップコイルとして機能し、磁束254a、254bの変化に基づく間隙224を表す近接信号252を送信することができる。
【0045】
近接信号252は、有線接続または無線接続によってコントローラ204(例えば、受信機256)へ伝えることができる。一例として、RF送信機などの無線通信装置は、検出コイル214と一体とするRF受信機へ信号を送信するために、(例えば、検出コイル214に近接した)センサヘッド202と一体とすることができる。受信機256は、近接信号252をプロセッサ246へ送信する前に近接信号252をコンディショニングすることができる電子部品(例えば、増幅器、フィルタなど)を備えてもよい。他の実施形態では、トルク信号248は、プロセッサ246によって処理された後にコンディショニングされてもよい。
【0046】
近接コイル216から近接信号252を受信すると、プロセッサ246は、近接信号252を処理し、間隙224を決定することができる。すなわち、プロセッサ246は、予め記憶されたおよび/またはユーザが定めたメモリ250内のアルゴリズムを実行して、間隙224の大きさを計算することができる。しかしながら、間隙224を決定するために近接信号252を単独で用いることは、間隙測定値の精度を損ない得る。上述したように、磁束254a、254bは、ターゲット222と間隙224の電磁特性によって両方影響を受け得る。一態様では、ターゲット222の電磁特性は、加えられた力(例えば、トルク、曲げ、スラストなど)により変わり得る。別の態様では、ターゲット222の電磁特性は、ターゲット222の化学的組成の不均質性により変化し得る(すなわち、電磁気的な振れ)。これらの不均質性は、ターゲット222の表面における錆または他の化学反応の形成から生じ得る。
【0047】
この問題に対処するにために、トルク信号248a、248bは、近接信号252と合成されて、ターゲット222の電磁特性から独立であり得る調整または改善された近接信号を供給することができ、これは、近接信号252よりも間隙224をより正確に表すことができる。以下に詳細に説明されるように、この調整は、検出コイル214a、214bの対称性および駆動用コイル212によって生成される磁束の空間分布により達成することができる。
【0048】
図3は、磁束254a、254bをより詳細に示すセンサヘッド202を示す。ハウジング206は、明確にするために省略されている。図示するように、磁束254a、254bは、それらの空間分布に基づいて異なる成分(例えば、Φ、Φ’、Φ、Φ’、Φ、およびΦ’)に分割することができる。磁束成分の各々は、以下交換可能にδと呼ばれるターゲット222の電磁特性、以下交換可能にgと呼ばれる間隙224、またはその両方に依存し得る。δは、トルクによって誘導される応力、変動する透磁率、および/または電気伝導性(例えば、電磁気的な振れ)の影響を表すことができる。
【0049】
磁束ΦおよびΦ’は、コア210(例えば、基部232、駆動ポール234、および検出ポール236a、236bそれぞれ)、間隙224、ならびにターゲット222を通過するループを形成することができる。結果として、磁束ΦおよびΦ’は、それぞれ、ターゲット222と間隙224の電磁特性の両方の関数とすることができる。記号的に、磁束ΦおよびΦ’は、式Φ=f(δ,g)、およびΦ’=f’(δ,g)によって表すことができ、ただし、fおよびf’は、それぞれ、gに関するΦおよびΦ’の関数依存性である。
【0050】
磁束ΦおよびΦ’は、コア210(例えば、基部232、駆動ポール234、および検出ポール236a、236bそれぞれ)、ならびに間隙224を通過するが、ターゲット222を通過しないループを形成することができる。したがって、磁束ΦおよびΦ’は、磁束ΦおよびΦ’とは異なる空間分布を有し、これによって磁束ΦおよびΦ’を間隙224の値にのみ依存させる。記号的に、磁束ΦおよびΦ’は、式Φ=f(g)、およびΦ’=f’(g)によって表すことができ、ただし、fおよびf’は、それぞれ、gに関するΦおよびΦ’の関数依存性である。
【0051】
磁束ΦおよびΦ’は、コア210の一部(例えば、基部232、および駆動ポール234)、ならびに間隙224を通過するが、検出ポール236a、236bまたはターゲット222を通過しないループを形成することができる。結果として、磁束ΦおよびΦ’は、gのみの関数であり得る。しかしながら、磁束ΦおよびΦ’は、磁束ΦおよびΦ’とは異なる空間分布を有するので、それらは、異なる値を採用する。記号的に、磁束Φは、式Φ=f(g)、およびΦ’=f’(g)によって表すことができ、ただし、fおよびf’は、gに関するΦおよびΦ’の関数依存性である。
【0052】
検出ポール236a上のその位置により、トルク信号248aは、磁束ΦおよびΦによって検出コイル214a内に誘導される電圧から生じ得る。したがって、以下U1senseと呼ばれるトルク信号248aは、U1sense=a(Φ+Φ)によって与えられる場合に、磁束ΦおよびΦの合計に比例する関数として記号的に表すことができ、ただし、aは比例定数である。
【0053】
検出ポール236b上のその位置により、トルク信号248bは、磁束Φ’およびΦ’によって検出コイル214b内に誘導される電圧から生じ得る。したがって、以下U2senseと呼ばれるトルク信号248bは、U2sense=a(Φ’+Φ’)によって与えられる場合に、磁束Φ’およびΦ’の合計に比例する関数として記号的に表すことができる。
【0054】
駆動ポール234上のその位置により、近接信号252は、磁束Φ、Φ’、Φ、Φ’、Φ、およびΦ’によって近接コイル216内に誘導される電圧から生じ得る。したがって、以下Uproxと呼ばれる近接信号252は、Uprox=b(Φ+Φ’+Φ+Φ’+Φ+Φ’)によって与えられる場合に、磁束Φ、Φ’、Φ、Φ’、Φ、およびΦ’の合計に比例する関数として記号的に表すことができ、ただし、bは比例定数である。
【0055】
駆動ポール234に対しての検出ポール236a、236bの対称性により、U1senseはU2senseにほぼ等しいと仮定することができる。さらに、比例定数aおよびbは、数的に、またはトルクセンサおよび近接センサの電子回路によって、等しく設定することができる。
【0056】
これらの仮定に基づいて、コントローラ204(例えば、プロセッサ246)は、トルク信号248a、248bおよび近接信号252を用いてgにのみ依存する調整または改善された近接信号Uprox_impを決定することができる。一例として、プロセッサ246は、U1senseおよびU2senseの合計(トルク信号248a、248bの合計)からUprox(近接信号252)を減じることができる。すなわち、コントローラ204は、gに依存する関数のみを残して、δに依存する関数が除かれるようなやり方で、U1sense、U2sense、およびUproxを合成することができる。
【0057】
prox_imp=U1sense+U2sense-Uprox
prox_imp=a(Φ+Φ)+a(Φ’+Φ’)-b(Φ+Φ’+Φ+Φ’+Φ+Φ’
prox_imp=a(Φ+Φ)+a(Φ’+Φ’)-a(Φ+Φ’+Φ+Φ’+Φ+Φ’
prox_imp=a(Φ+Φ’)=f(g)
改善された近接信号Uprox_impを決定すると、プロセッサ246は、予め記憶されたおよび/またはユーザが定めたメモリ250内のアルゴリズムを実行して、改善された近接信号Uprox_impおよびトルク信号248a、248bを処理し、トルク信号248a、248bにのみ基づくトルクの測定値、または近接信号252によって補償されたトルクの測定値よりも改善されている間隙補償されたトルク測定値を決定することができる。
【0058】
図2のセンサヘッドは、2つの検出ポール236a、236bを有するコア210を備える間隙補償式トルク検出システム200を示すが、コアの代替の実施形態は、検出ポールのうちの少なくとも2つが、駆動ポールに対して対称的に配置されるとともに、改善された近接信号Uprox_impの決定を助けるために検出コイルを備えるのであれば、任意の個数の検出ポール(例えば、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個)を備えてもよい。
【0059】
一例として、図4は、間隙補償式トルク検出システム200との使用に適したコア400の例示的な実施形態の平面図である。図示するように、コア400は、十字ヨーク部分404と4つの基部406a、406b、406c、406dとを有する十字軸ヨーク402を備えることができる。基部406a、406b、406c、406dは、それぞれが本明細書に記載したように動作することを可能にする任意の構成でおよび任意の長さで十字ヨーク部分404から面内径方向外側に延びることができる。基部406a、406b、406c、406dは、約10度から135度までの範囲の角度(例えば、10度、20度、30度、40度、45度、60度、75度、90度、120度、135度、またはそれらの任意の組み合わせ)だけ角度間隔をおいて配置することができる。図4に示すように、基部406a、406b、406c、406dは、約90度だけ角度間隔をおいて配置されてもよい。センサヘッドおよびトルクセンサのさらなる実施形態は、米国特許第9,618,408号に説明されており、その全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
図5は、本明細書で説明した検出システムのいずれかを用いて、力(例えば、トルク)およびターゲット(例えば、222)の近接を測定する方法500の例示的な実施形態を示す流れ図である。方法500は、図2の間隙補償式トルク検出システム200に関連して以下説明される。しかしながら、方法500は、間隙補償式トルク検出システム200と共に用いることに限定されず、方法500は、任意の磁歪式トルクセンサと共に用いられてもよい。いくつかの態様において、方法500の実施形態は、図5に示された動作よりもより多いまたはより少ない動作を含んでもよく、図5に示された順序とは異なる順序で実行されてもよい。
【0061】
動作502において、間隙補償式トルク検出システム(例えば、200)は、ターゲット(例えば、222)に近接して配置することができる。上述したように、間隙補償式トルク検出システム200は、トルクセンサと近接センサとを備えることができる。
【0062】
動作504において、間隙補償式トルク検出システム200によって(例えば、駆動用コイル212によって)磁束を生成することができる。生成される磁束の第1の部分は、駆動ポール234、検出ポール236、間隙224、およびターゲット222の各々を通じて向けることができる(例えば、ΦおよびΦ)。生成される磁束の第2の部分は、駆動ポール234、検出ポール236、および間隙224の各々を通じるが、ターゲット222は通じずに向けることができる(例えば、ΦおよびΦ’)。生成される磁束の第3の部分は、駆動ポール234、および間隙224を通じるが、検出ポール236a、236b、またはターゲット222を通じずに向けることができる(例えば、ΦおよびΦ’)。
【0063】
動作506において、生成される磁束とターゲット222および/または間隙224との正味の相互作用を表す磁束は、トルクセンサ(例えば、検出コイル214a、214b)および/または近接センサ(例えば、近接コイル216)によって検出することができる。一例として、第1の磁束(例えば、ΦおよびΦ’)は、トルクセンサおよび近接センサによって検出することができ、それらは、生成される磁束とターゲット222および間隙224との正味の相互作用を表すことができる。第2の磁束(例えば、ΦおよびΦ’)は、トルクセンサおよび近接センサによって検出することができ、それらは、生成される磁束と間隙224のみの正味の相互作用だけを表すことができる。第3の磁束(例えば、ΦおよびΦ’)は、近接センサによって検出することができ、それらは、近接センサ(例えば、近接コイル216)によって検出されるとともにトルクセンサによって検出されない第1の磁束の第3の部分と間隙224のみの正味の相互作用だけを表すことができる。
【0064】
動作510において、第1の信号(例えば、トルク信号248a、248b)は、トルクセンサによって検出される第1および第2の磁束に基づいてトルクセンサによって出力することができる。
【0065】
動作512において、第2の信号(例えば、近接信号252)は、近接センサによって測定される第1、第2、および第3の磁束に基づいて近接センサによって出力することができる。第2の信号は、ターゲット222の選択部分(例えば、220)との間の間隙とターゲット222の電磁特性の両方に依存し得る。
【0066】
動作514において、ターゲット222に加えられるトルクは、第1の信号248a、248bから決定することができる。
【0067】
動作516において、改善された間隙測定値は、第1の信号248a、248bおよび第2の信号252から決定することができる。改善された間隙測定値は、ターゲット222の電磁特性とはほぼ独立しており得る。すなわち、改善された間隙測定値は、実質的に間隙224にのみ依存し得る。
【0068】
動作520において、ターゲット222に加えられる間隙補償されたトルクは、第1の信号から決定されるトルク推定値および改善された間隙測定値に基づいて決定することができる。
【0069】
本明細書に記載される方法、システム、および装置の例示的な技術的効果は、非限定的な例として、トルク測定値を補償するための改善された間隙推定値を含む。1つまたは複数の近接センサを力検出システム(例えば、トルク検出システム)に一体化することにより、ターゲットおよび/またはこのターゲットに加えられる負荷の電磁気的な振れに起因するトルク測定値の誤差を減少させることができる。近接信号を補正しない場合、ターゲットおよびこのターゲットに加えられる任意の負荷の電磁気的な振れに起因する残差は、完全なトルク信号の約±40%ほどの高さとなり得る。状況については、多くのトルク検出の用途は、完全なトルク信号の約±5%の残差を要求し得る。したがって、改善された近接信号を供給する能力は、この所望の精度を実現するのを助けることができる。
【0070】
本明細書に記載された主題は、本明細書に開示した構造的手段、およびその構造的均等物、またはそれらの組み合わせを含むアナログ電子回路、デジタル電子回路、および/またはコンピュータソフトウェア、ファームウェア、もしくはハードウェアで実施することができる。本明細書に記載された主題は、データ処理装置(例えば、プログラム可能プロセッサ、1つのコンピュータ、または複数のコンピュータ)によって実行されるためにまたはその動作を制御するために、情報キャリア(例えば、機械可読記憶装置)に有形に具体化された、または伝搬信号に具体化された、1つまたは複数のコンピュータプログラムなどの1つまたは複数のコンピュータプログラム製品として実施することができる。(プログラム、ソフトウェア、ソフトウェアアプリケーション、またはコードとしても知られている)コンピュータプログラムは、コンパイル言語またはインタプリタ言語を含む任意の形態のプログラミング言語で記述することができ、このコンピュータプログラムは、単独のプログラムとして、またはモジュール、コンポーネント、サブルーチン、もしくはコンピューティング環境における使用に適した他のユニットとして含まれる任意の形態で実施され得る。コンピュータプログラムは、必ずしもファイルに対応するわけではない。プログラムは、他のプログラムまたはデータを保持するファイルの一部に記憶されてもよく、当該プログラムに専用の単一ファイルに記憶されてもよく、または複数の連係したファイル(例えば、1つまたは複数のモジュール、サブプログラム、またはコードの部分を記憶するファイル)に記憶されてもよい。コンピュータプログラムは、一箇所にある、または複数箇所にわたって分散しているとともに通信ネットワークによって相互接続されている、1つのコンピュータまたは複数のコンピュータ上で実行されるように実施されてもよい。
【0071】
本明細書に記載された主題の方法ステップを含む本明細書に記載されたプロセスおよび論理の流れは、入力データに関して動作し出力を生成することで本明細書に記載された主題の機能を実行する1つまたは複数のコンピュータプログラムを実行する1つまたは複数のプログラム可能プロセッサによって行うことができる。プロセスおよび論理の流れは、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)によって実行することもでき、本明細書に記載された主題の装置は、専用論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)またはASIC(特定用途向け集積回路)として実施することもできる。
【0072】
コンピュータプログラムの実行に適したプロセッサには、例として、汎用マイクロプロセッサと専用マイクロプロセッサの両方、および任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つまたは複数のプロセッサが含まれる。概して、プロセッサは、リードオンリメモリ、またはランダムアクセスメモリ、あるいは両方から命令およびデータを受信する。コンピュータの必須の要素は、命令を実行するためのプロセッサ、ならびに命令およびデータを記憶するための1つまたは複数のメモリデバイスである。概して、コンピュータは、データを記憶するための1つまたは複数の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、または光ディスクも備え、あるいはこれからデータを受信しもしくはこれへデータを転送し、またはその両方をするように動作可能に結合される。コンピュータプログラムの命令およびデータを具現化するのに適した情報キャリアには、例として、半導体メモリデバイス(例えば、EPROM、EEPROM、およびフラッシュメモリデバイス)、磁気ディスク(例えば、内蔵ハードディスクまたはリムーバブルディスク)、光磁気ディスク、および光ディスク(例えば、CDディスクおよびDVDディスク)を含む不揮発性メモリの全形態が含まれる。プロセッサおよびメモリは、専用論理回路によって補足することができ、または専用論理回路に組み込むことができる。
【0073】
ユーザとの対話を行うために、本明細書に記載された主題は、ユーザに情報を表示するための表示装置、例えば、CRT(ブラウン管)、またはLCD(液晶ディスプレイ)モニタと、キーボード、およびポインティングデバイス(例えば、マウス、またはトラックボール)とを有するコンピュータ上で実施することができ、これによってユーザは、コンピュータへの入力を行うことができる。他の種類の装置が、ユーザとの対話を行うために同様に用いられてもよい。例えば、ユーザに与えられるフィードバックは、任意の形態の感覚フィードバック(例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、または触覚フィードバック)とすることができ、ユーザからの入力は、音響入力、音声入力、または触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。
【0074】
本明細書に記載された技法は、1つまたは複数のモジュールを用いて実施することができる。本明細書に使用されるとき、用語「モジュール」は、コンピューティングソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、および/またはそれらの様々な組み合わせを指す。しかしながら、最低でも、モジュールは、ハードウェア、ファームウェア上で実施されないソフトウェア、または非一時的なプロセッサ可読追記型記憶媒体上に記録されないソフトウェアと解釈されるべきでない(すなわち、モジュールは、それ自体がソフトウェアではない)。実際には、「モジュール」は、少なくとも、プロセッサまたはコンピュータの一部などのある種の物理的で非一時的なハードウェアを常に含むと解釈されるべきである。2つの異なるモジュールは、同じ物理的ハードウェアを共有することができる(例えば、2つの異なるモジュールは、同じプロセッサおよびネットワークインタフェースを使用することができる)。本明細書中に記載されたモジュールは、様々なアプリケーションをサポートするように組み合わされ、組み込まれ、分離され、および/または複製され得る。また、特定のモジュールで実行されるものとして本明細書中に記載された機能は、特定のモジュールで実行される機能に代えてまたはそれに加えて、1つまたは複数の他のモジュールでおよび/または1つまたは複数の他の装置によって実行することができる。さらに、モジュールは、互いにローカルまたはリモートの複数の装置および/または他のコンポーネントにわたって実施することができる。さらに、モジュールは、ある装置から移動されてもよく、別の装置に加えられてもよく、および/または両装置に含まれてもよい。
【0075】
本明細書に記載された主題は、バックエンドコンポーネント(例えば、データサーバ)、ミドルウェアコンポーネント(例えば、アプリケーションサーバ)、またはフロントエンドコンポーネント(例えば、ユーザが本明細書中に記載された主題を実現するものと交信することができるグラフィカルユーザインタフェースまたはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータ)、あるいはそのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、およびフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含むコンピューティングシステムにおいて実施することができる。このシステムのコンポーネントは、デジタルデータ通信の任意の形態または媒体、例えば、通信ネットワークによって相互接続することができる。通信ネットワークの例には、ローカルエリアネットワーク(「LAN」)、および広域ネットワーク(「WAN」)、例えば、インターネットが含まれる。
【0076】
近似表現は、本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて本明細書で使用されるとき、任意の定量的表現を修正するために適用することができ、この任意の定量的表現はそれと関連している基本機能を変化させることなく許容可能に変化し得る。したがって、「約」、「ほぼ」、「実質的に」などの1つまたは複数の用語によって修正される値は、特定された精確な値に限定されるべきではない。少なくとも一部の例では、近似表現は、値を測定する機器の精度に対応し得る。ここでおよび本明細書および特許請求の範囲の全体を通じて、範囲限定は、組み合わされてもよく、かつ/または交換されてもよく、そのような範囲は特定され、文脈上または表現上他に示すものがない限りそこに含まれる全ての部分範囲を含む。
【0077】
当業者は、上記実施形態に基づいて本発明のさらなる特徴および利点を理解されよう。したがって、本出願は、添付の特許請求の範囲によって示されるときを除いて、特に図示および説明したものに限定されない。本明細書中で引用された全ての刊行物および参考文献は、参照により全体として明確に組み込まれる。
【符号の説明】
【0078】
100 動作環境
102 間隙補償式トルク検出システム
104 ターゲット
106 センサヘッド
110 トルクセンサ
110s 第1の信号
112 近接センサ
112s 第2の信号
114 コントローラ
200 間隙補償式トルク検出システム
202 センサヘッド
204 コントローラ
206 ハウジング
206d 遠位端
210 コア
212 駆動用コイル
214 検出コイル
214a 検出コイル
214b 検出コイル
216 近接コイル
220 選択部分
222 ターゲット
224 間隙
226 機械または設備、機械および設備
230 駆動装置
232 基部
234 細長いポール、駆動ポール、ポール
236 検出ポール
236a 細長いポール、検出ポール、ポール
236b 細長いポール、検出ポール、ポール
240 励振源ES
242 電源
244 駆動電流
246 汎用または特定用途向けプロセッサ、プロセッサ
248 トルク信号
248a トルク信号、第1の信号
248b トルク信号、第1の信号
250 メモリ
252 近接信号、第2の信号
254a 磁束
254b 磁束
256 受信機
400 コア
402 十字軸ヨーク
404 十字ヨーク部分
406a 基部
406b 基部
406c 基部
406d 基部
A 縦軸
G 間隙
図1
図2
図3
図4
図5