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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】撮像装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/12 20060101AFI20220614BHJP
   A61C 19/04 20060101ALI20220614BHJP
   A61B 1/24 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A61B1/12 530
A61C19/04 Z
A61B1/24
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018162937
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032059
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2020-06-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000138185
【氏名又は名称】株式会社モリタ製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 剛
(72)【発明者】
【氏名】若染 直矩
(72)【発明者】
【氏名】西村 巳貴則
【審査官】佐藤 秀樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-046016(JP,A)
【文献】特開2013-188269(JP,A)
【文献】特開2006-010983(JP,A)
【文献】特開2012-028974(JP,A)
【文献】国際公開第2007/145233(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00- 1/32
G03B 17/02-17/17
17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手持ち式の、対象物を撮像する撮像装置であって、
光学部品を含み、前記対象物からの光を取り込むプローブと、
前記プローブから取り込んだ光を処理する電子部品と、
使用者によって保持される筐体とを備え、
前記筐体は、前記プローブに設けた前記光学部品に空気を供給する第1送風部と、前記第1送風部の駆動を制御する制御部と、前記電子部品を実装する電子基板と、を含み、
前記電子基板は、第1基板面と当該第1基板面の裏側の第2基板面とを有し、
前記第1基板面には、前記電子部品のうち他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品が実装され、
前記第1送風部は、前記第2基板面のうち前記特定の電子部品の近傍となる位置に設けられ、
前記第1送風部は、
回転軸に放射状に固定される複数の回転羽と、
前記回転軸の方向に設けた、空気を吸い込む吸気口と、
前記回転軸の方向と直交する方向であり、かつ、前記光学部品の方向に設けた、前記吸気口より吸い込んだ空気を排出する排気口とを含み、
前記吸気口は前記排気口よりも開口の面積が大きい、撮像装置。
【請求項2】
前記特定の電子部品は、FPGA、CPU、イメージセンサ、GPU、および電源回路のうち少なくとも一つを含む、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記排気口は前記プローブの方向に設けられ、空気を通す送風管が接続される、請求項1または請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記吸気口は、前記特定の電子部品と対向する位置に設けられる、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記筐体は、空気を供給して前記特定の電子部品を冷却する第2送風部をさらに含み、
前記第2送風部は、前記第1基板面の側に設けられる、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1送風部は、前記特定の電子部品のうち演算部品が前記第1基板面に実装された位置の裏側の前記第2基板面の位置の近傍に設けられる、請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記電子基板は、前記第2送風部の空気の排出方向に前記演算部品を実装し、
前記演算部品は、前記排出方向に対して平行となる方向に冷却フィンを有するヒートシンクを備える、請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記筐体は、前記プローブに近い側から順に、前記第1送風部、前記特定の電子部品、前記第2送風部、および外気を取り込むための取り込み口が設けられる、請求項5~請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1送風部の駆動量を撮像開始時に最大となるように制御する、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記制御部は、撮像開始から前記第1送風部の駆動量を所定の度合で減少させ、所定時間の経過後に一定に保つ、請求項9に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像装置は口腔内用撮像装置である、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、様々な分野において撮像装置が使用されている。たとえば、歯科分野においても、口腔内を撮像する撮像装置として様々な装置が開発されている。例えば、補綴物等をコンピュータ上でデジタル的に設計するために、歯の三次元形状を取得するための撮像装置が開発されている。この撮像装置は、例えば、特許文献1に開示され三次元スキャナ、あるいは口腔内スキャナと呼ばれている。
【0003】
また、撮像装置の先端には、口腔内に差込み、口腔内を撮像するためのプローブが設けられることがある。プローブには、観察対象からの光を筐体へと導く光学部品を含んでいる。
【0004】
口腔内を撮像する場合、口腔内が高温・多湿であるので、プローブを口腔内に差込むと、プローブに設けた光学部品(例えば、ミラーなど)が曇ることになる。撮像装置は、プローブに設けた光学部品が曇ると、口腔内を上手く撮像することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】米国特許第7255558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、観察対象およびプローブのガラス面に付着した異物を除去することを目的に、観察対象およびプローブのガラス面に対して温かい空気を送り出していたので、プローブに設けた光学部品の曇りを防止することを目的としていなかった。また、特許文献1では、温かい空気を送り出すために、送風部をハンドピースの外部に設ける必要があり、ハンドピースとの接続が複雑になる虞があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ハンドピースの外部に送風部を設けることなく、プローブに設けた光学部品の曇りを防止する撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある局面に従う撮像装置は、対象物を撮像する撮像装置であって、光学部品を含み、前記対象物からの光を取り込むプローブと、前記プローブから取り込んだ光を処理する電子部品を含む筐体とを備え、前記筐体は、前記プローブに設けた前記光学部品に空気を供給する第1送風部と、前記第1送風部の駆動を制御する制御部とを含み、前記第1送風部は、前記撮像装置の使用時に使用者が前記筐体を保持した場合に、前記筐体内で前記電子部品よりも上側となる位置に設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る撮像装置は、使用者が筐体を保持した場合に、筐体内で電子部品よりも上側となる位置に送風部を設けることで、電子部品の発熱によって温められた空気をプローブに設けた光学部品へ供給して、ハンドピースの外部に送風部を設けることなく、プローブに設けた光学部品の曇りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る三次元スキャナの構成を説明するための概略図である。
図2】実施の形態1に係るハンドピースの構成を示す図である。
図3】実施の形態1に係るハンドピースの外気の取り込み口を示す図である。
図4】実施の形態1に係る第1のファンの構造を示す図である。
図5】実施の形態1に係る第1のファンの回転数を示すグラフである。
図6】実施の形態1に係る第1駆動部のY-Z断面を示す図である。
図7】実施の形態1に係る第1駆動部のX-Z断面を示す図である。
図8】実施の形態1に係るハンドピースの別の形態を示す図である。
図9】実施の形態2に係るハンドピースの構成を示す図である。
図10】実施の形態2に係る電子基板の第1基板面を示す図である。
図11】実施の形態3に係るハンドピースの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[実施の形態1]
実施の形態1について、図面を参照しながら説明する。実施の形態1では、口腔内の歯の三次元形状を取得することが可能な三次元スキャナ100を例に説明する。なお、口腔内の歯の三次元形状を取得することが可能な三次元スキャナ100(口腔内スキャナ)は、実施の形態1に係る三次元スキャナ100の1つの例示的形態にすぎず、実施の形態1に係る三次元スキャナ100はこれに限定されない。実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、同様の構成を有する撮像装置であればよく、歯科に限られず、眼科、耳鼻咽喉科、放射線科、および獣医科など、あらゆる医科の診療に適用可能である。また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、同様の構成を有する撮像装置であればよく、医療用に限定されるものではない。また、撮像装置は三次元スキャナ100に限定されるものではなく、例えば、口腔内カメラ、光干渉断層診断装置(Optical Coherence Tomography: OCT)、紫外・赤外・テラヘルツイメージング装置、蛍光イメージング装置などでもよい。
【0012】
[A 三次元スキャナの構成]
図1は、実施の形態1に係る三次元スキャナ100の構成を説明するための概略図である。図1に示すように、三次元スキャナ100は、ハンドピース70と、表示部50と、電源45とを備え、各々はケーブル43でつながっている。ハンドピース70は、手持ち式の部材であり、プローブ25と筐体30とを含む。
【0013】
プローブ25は、キャップ10と筒部20とで構成されている。キャップ10は、筒部20に対して着脱可能であり、歯などの対象物99にパターンを投影して三次元形状を取得するために、口腔内に差し込まれる。このため、使用者は、感染対策として、生体に接触する可能性のあるキャップ10のみを筒部20から取り外して滅菌処理(たとえば、高温高湿環境での処理)を施すことが可能である。仮に、三次元スキャナの装置全部を滅菌処理した場合、光学部品や電子部品などが多く含まれるため装置の寿命が短くなる虞があるが、上述したようにキャップ10のみを取り外して滅菌処理した場合には、装置の寿命が短くなることを極力防止することができる。
【0014】
筒部20は、対象物に反射した光を筐体30内に導くためのリレーレンズやλ/4板等の光学部品を含む。なお、筒部20は、筐体30の一部であっても、筐体30とは別の構成であってもよい。以下では、筒部20を筐体30の一部として説明する。
【0015】
筐体30は、内部に、撮像部21と、送風部22と、制御部40とを含む。
【0016】
撮像部21は、対象物99にパターンを投影し、投影したパターンを撮像する。なお、実施の形態1に係る撮像部21は、以下で説明されるように、合焦法の原理を用いて三次元形状を取得する構成であるが、共焦点法などの原理を用いて三次元形状を取得する構成であってもよい。つまり、撮像部21は、投影パターンや光学センサの焦点の位置を変化させる構成を含み、光学的な手法を用いて三次元形状を取得する構成であればいずれの原理を用いた構成であってもよい。
【0017】
送風部22は、筐体30内の空気の流れを制御し、プローブ25の先端へ空気を送り出し、プローブ25に設けた光学部品の曇りを防止する。さらに、送風部22は、使用者が筐体30を保持した場合に、筐体30内で電子部品よりも上側となる位置に設けられることにより、電子部品の発熱によって温められ筐体30内の上方に溜まる空気をプローブ25の先端に送り出す。これにより、プローブ25に設けた光学部品の表面温度と口腔内の温度との差が緩和され、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0018】
制御部40は、撮像部21、送風部22、および表示部50の動作を制御する。制御部40は、撮像部21の動作を制御するとともに、撮像部21で撮像した画像を処理して三次元形状を取得する。また、制御部40は、送風部22の動作を制御することにより、電子部品の発熱によって温められた空気を、口腔内に差し込まれるプローブ25の先端へ送り出す。また、制御部40は、取得した三次元形状を表示部50に出力する。また、制御部40は、ハンドピース70の設定情報を入力装置(図示省略)から入力することを可能とする。
【0019】
制御部40は、制御中枢としてのCPU(Central Processing Unit)34と、CPU34が動作するためのプログラムや制御データなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、CPU34のワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)と、主に画像処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)と、周辺機器との間で信号の整合性を保つための入出力インターフェイスとを含む。なお、CPUやGPUを、FPGA(field-programmable gate array)で構成してもよい。
【0020】
表示部50は、制御部40で得られた対象物99の三次元形状の計測結果を表示する。表示部50は、ハンドピース70の設定情報、患者情報、スキャナの起動状態、取扱説明書、およびヘルプ画面など、その他の情報も表示可能である。表示部50には、たとえば据え置き式の液晶ディスプレイや、ヘッドマウント式やメガネ式のウェアラブルディスプレイなどが適用できる。また、表示部50は複数あってもよく、三次元形状の計測結果やその他の情報が、複数の表示部50上に同時表示あるいは分割表示されてもよい。
【0021】
電源45は、ハンドピース70に電力を供給する。電源45は、図1に示すようにハンドピース70の外部に設けられてもよいが、ハンドピース70の内部に設けられてもよい。また、電源45は、ハンドピース70と表示部50のそれぞれに個別に給電できるように複数設けられてもよい。
【0022】
図1では三次元スキャナ100の各構成要素(70,45,50)がケーブル43によって配線されているように描かれているが、これらの配線のうちの一部または全部が無線通信によって接続されてもよい。
【0023】
[B ハンドピースの構成]
図2および図3を参照して、実施の形態1に係るハンドピース70について説明する。図2は、実施の形態1に係るハンドピース70の構成を示す図である。図3は、実施の形態1に係るハンドピース70の外気の取り込み口41を示す図である。なお、説明の都合上、ハンドピース70の長手方向をX軸、ハンドピース70の幅方向をY軸、ハンドピース70の高さ方向をZ軸とする。なお、X軸方向は、後述するレンズ81の光軸と平行である。
【0024】
図2に示すように、ハンドピース70は、プローブ25と筐体30とから構成され、電源45および表示部50とケーブル43を介してつながっている。筐体30は、図3に示すような取り込み口41を含み、外気を取り込むことができる。なお、取り込み口41は外気を取り込むことができればよく、取り込み口41の形状や数は図3に示すものに限られない。
【0025】
図2に示されるハンドピース70は、使用者が筐体30の一部を上(紙面の上)または下(紙面の下)から保持して操作するタイプ(ペンタイプ)のものである。使用者は、筐体30自体を保持して、プローブ25の先端を口腔内に差し込んで、対象物99の形状を計測する。ハンドピース70の幅は、使用者の持ち易さと操作性を考慮して、上方よりも下方が狭くなるように構成してもよい。
【0026】
[C プローブ]
プローブ25は、キャップ10と筒部20とで構成される。キャップ10は、ミラー1と、一方でミラー1を保持し、他方で筒部20を覆うカバー部材とで構成される。ミラー1を設けたキャップ10の先端には、採光部3が設けてある。採光部3は、光源31からの光を対象物99に投射するための窓であり、対象物99で反射した光を取り込むための窓でもある。ミラー1は、光源31からの光を対象物99へ反射させたり、採光部3から取り込まれた光を筐体30へ反射させたりする。
【0027】
キャップ10は、筒部20に対して着脱可能であり、少なくとも筒部20の一部を覆っている。具体的には、筒部20は筐体30から突出しており、キャップ10は、筒部20の一部分と嵌合可能に構成される。なお、キャップ10は、筒部20に対して着脱可能であると説明したが、これに限られず、筒部20に対してキャップ10が固定された構成、筒部20とキャップ10とが一体不可分で、1つのプローブ25となっている構成などであってもよい。
【0028】
[D 筐体]
筐体30は、その内部に、多数の電子部品、たとえば、制御部40としてのCPU34、撮像部21としてのイメージセンサ33、GPU(図示省略)、電源回路39、およびその他の電子部品(図示省略)等を含み、電子基板36に実装される。電子部品の中でも、CPU34、イメージセンサ33、GPU(図示省略)および電源回路39は他の電子部品と比較して発熱量が多く、CPU34やGPU(図示省略)はこれらの中でもとりわけ発熱量が多い演算系の電子部品である。そのため、CPU34には、熱を放出するためのヒートシンク35が設けられる。
【0029】
[E 送風部]
筐体30は、その内部に、送風部22である第1のファン37と、送風管38とを含む。第1のファン37は、使用者が筐体30を保持した場合に、電子部品よりも上側となる位置に設けられる。たとえば、図2では、第1のファン37は、CPU34、イメージセンサ33、GPU(図示省略)および電源回路39等よりも図中上側となる位置に設けられている。取り込み口41から取り込まれた空気は、電子部品の発熱によって温められ、筐体30内の上方に溜まる。温められた空気は、図2の矢印が示すように、第1のファン37によって取り込まれ、第1のファン37に設けられた排気口37aに接続されている送風管38を通って、プローブ25の先端に送られる。プローブ25内では、キャップ10とキャップ10に覆われた筒部20の部分とで構成される送風路を空気が通ることになる。
【0030】
プローブ25が口腔内に差し込まれると、口腔内は高温多湿であることから、プローブ25に設けた光学部品(例えば、ミラー1および筒部20に設けた位相差板2(λ/4板)等)が曇ってしまい、対象物99の形状を正確に計測することができない。しかしながら、実施の形態1に係る次元スキャナ100は、第1のファン37によって、プローブ25の先端へ空気を送り出し、プローブ25に設けた光学部品の曇りを防止する。特に、温かい空気をプローブ25の先端に送り出すことで、プローブ25に設けた光学部品の表面温度と口腔内の温度との差を緩和させることで、より曇りを防止することができる。
【0031】
[F 撮像部]
筐体30は、撮像部21として、光源31と、プリズム32と、レンズ81と、イメージセンサ33とを含む。また、筒部20には、プローブ25で採光した光を筐体30へ導くためのレンズ系(図示省略)、カバーガラス(図示省略)、光学フィルタ(図示省略)、および位相差板2(λ/4板)などの光学部品を含む。
【0032】
光源31から出力された光は、プリズム32とレンズ81とを通って、ミラー1によって対象物99の方へ投射される。対象物99で反射された光は、採光部3からプローブ25に取り込まれ、ミラー1で筒部20に導かれる。筒部20に導かれた光は、位相差板2とレンズ81とプリズム32とを通り、イメージセンサ33で検出される。合焦法の技術を用いて三次元形状を取得する場合、レンズ81と対象物99との間に設けられたパターン生成素子(図示省略)を通過した光が対象物99に投影される。レンズ81がX軸方向に往復直線運動すると、投影パターンの焦点位置が変化する。イメージセンサ33は、その変化毎に対象物99からの光を検出する。制御部40は、レンズ81の位置と、そのときのイメージセンサ33による検出結果とに基づいて、対象物99の形状情報を演算する。
【0033】
バネ55aで固定されているレンズ81がX軸方向に往復直線運動すると、レンズ81の質量分だけハンドピース70の重心位置が移動することになり当該ハンドピース70を保持する使用者の手に振動として伝わる。その振動を打ち消すために、筐体30の内部には、カウンタウェイト91がさらに設けられる。カウンタウェイト91は、バネ55bで固定され、対象物99とレンズ81との間の光路、およびレンズ81とイメージセンサ33との間の光路を遮らないように、レンズ81が直線運動する方向に設けられる。
【0034】
[G 第1のファン]
では、図4および図5を参照して、第1のファン37について説明する。第1のファン37は、圧力損失に強く、狭い管路に空気を送り込む場合に適しているブロワファンである。ブロワファンは、回転軸37eの方向から空気を取り込み、回転軸37eと直交する方向に空気を送り出すことができる。なお、第1のファン37は、圧力損失に強く、狭い管路に空気を送り込む場合に適しているものであればよく、たとえば、ダイヤフラムポンプやPZTマイクロブロワ等でもよい。
【0035】
まず、図4を参照して、第1のファン37の構造について説明する。図4は、実施の形態1に係る第1のファン37の構造を示す図である。図4(A)は、実施の形態1に係る第1のファン37のX-Y断面を示す図であり、図4(B)は、A-A線断面図である。図4に示す中抜きの矢印は、空気の流れを示す。
【0036】
図4(A)に示すように、第1のファン37は、排気口37aと、吸気口37b,37cと、回転羽37dと、回転軸37eとを含む。複数の回転羽37dが、回転軸37eに対し放射状に固定されている。第1のファン37の中に描かれている矢印は、回転羽37dの回転方向を示している。図4(A)では、回転羽37dは反時計回りに回転しているが、時計回りであってもよい。回転羽37dの回転方向、回転数、および回転速度等は、制御部40によって制御される。
【0037】
図4(B)に示すように、吸気口37b,37cが、回転軸37eの方向に設けられ、筐体30内の空気を取り込む。また、図4(A)に示すように、排気口37aが、回転軸37eと直交する方向に設けられ、吸気口37b,37cから取り込まれた空気が排気口37aから送り出される。排気口37aはプローブ25の方向に設けられ、排気口37aにはプローブ25の根元まで続く送風管38が接続されている。送風管38は、軟性(シリコン、ウレタン、ポリテトラフルオロエチレン等)でもよいし、硬性(ステンレス、アルミ、銅等)でもよい。排気口37aから送り出される空気は、送風管38を通ってプローブ25の根元まで送られ、その後は、プローブ25と筐体30との間に形成された送風路(図示省略)を通ってプローブ25の先端に送られる。
【0038】
図2および図4に示すように、吸気口37b,37cの開口の面積は、排気口37aの開口の面積よりも大きくなるように構成される。また、吸気口37bまたは吸気口37cは、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品と対向する位置に設けられる。たとえば、図2では、吸気口37bまたは吸気口37cはCPU34と対向する位置に設けられている。
【0039】
このように、吸気口37b,37cは回転軸37eの方向に設けられ、排気口37aは回転軸37eと直交する方向(第1のファン37の側面)に設けられる。これにより、空気を取り込んだ方向と直交する方向に空気を送り出すことができ、第1のファン37を薄型にすることができる。
【0040】
また、吸気口37b,37cの開口の面積は、排気口37aの開口の面積よりも大きくなるように構成されている。これにより、比較的開口の面積が大きい吸気口37b,37cから効率よく空気が取り込まれ、比較的開口の面積が小さい排気口37aから効率よく空気が送り出される。
【0041】
また、排気口37aがプローブ25の方向に設けられ、プローブ25の根元まで続く送風管38が排気口37aに接続されている。第1のファン37と送風管38とのこのような配管により、最小限のスペースで、送りたい方向へ効率よく空気が送り出される。
【0042】
また、第1のファン37はカスケード構造としてもよい。これにより、吐出圧が上がるため、プローブ25の先端へより強く空気が送られる。
【0043】
また、図2では、第1のファン37は電子基板36と接しているが、これに限られない。第1のファン37は、支持部(図示省略)等によって支持され、電子基板36と接していなくてもよい。第1のファン37が電子基板36と接していない場合には、吸気口37bおよび吸気口37cの両方から温められた空気が取り込まれる。
【0044】
次に、図5を参照して、第1のファン37の回転数について説明する。第1のファン37は、制御部40によって回転数を制御される。図5は、実施の形態1に係る第1のファン37の回転数を示すグラフである。図5(A)は、実施の形態1に係る第1のファン37の回転数を示す第1のグラフであり、図5(B)は、実施の形態1に係る第1のファン37の回転数を示す第2のグラフである。図5(A),(B)ともに、横軸は撮像開始からの経過時間(t秒)を示し、縦軸は第1のファン37の回転羽37dの回転数(M回)を示す。
【0045】
図5(A)に示すように、制御部40は、撮像開始時(t=0)に、回転羽37dの回転数が最大の値(M1)となるように制御する。制御部40は、所定時間(t1)が経過したタイミングで、回転羽37dの回転数をM1よりも少ないM2に切り替え、その後も、切り替え後の回転数(M2)を維持する。
【0046】
また、制御部40は、図5(B)に示すような制御をしてもよい。すなわち、制御部40は、図5(A)と同様に、撮像開始時(t=0)に、回転羽37dの回転数が最大の値(M1)となるように制御する。その後、制御部40は、回転羽37dの回転数を所定の割合で減らしていき、所定時間(t1)が経過した後は、回転羽37dの回転数が一定の値(M2)となるように制御する。
【0047】
図5(A),(B)に示すように、制御部40は、撮像開始時に回転羽37dの回転数が最大となるように制御する。これにより、電子部品の発熱量が少ない撮像開始時であっても、プローブ25の先端に送られる空気の量を多くすることができる。
【0048】
また、図5(A)に示すように、撮像開始から所定時間(t1)の経過後、回転羽37dの回転数を撮像開始時よりも減らし、以後、その回転数(M2)を維持する。これにより、省エネが実現される。なお、プローブ25の先端に送られる空気の量を減らしても、撮像開始後、所定時間(t1)が経過した後は、電子部品の発熱による空気の温度上昇を十分に期待できることから、プローブ25に設けた光学部品の曇りを防止することができる。
【0049】
また、図5(B)に示すように、撮像開始後、回転羽37dの回転数を所定の割合で減少させ、一定の回転数(M2)に到達した後は、その回転数を維持する。これにより、省エネが実現される。なお、プローブ25の先端に送られる空気の量を減らしても、撮像開始後、電子部品の発熱量は徐々に増加していくので、電子部品の発熱による空気の温度上昇を期待できることから、プローブ25に設けた光学部品の曇りを防止することができる。
【0050】
[H レンズおよびカウンタウェイトの直線運動]
次に、図6および図7を参照して、実施の形態1に係る撮像部21において、レンズ81およびカウンタウェイト91が往復直線運動する仕組みについて説明する。レンズ81は第1駆動部80によって往復直線運動し、カウンタウェイト91は第2駆動部(図示省略)によって往復直線運動する。図6は、実施の形態1に係る第1駆動部80のY-Z断面を示す図である。図7は、実施の形態1に係る第1駆動部80のX-Z断面を示す図である。
【0051】
図6に示すように、第1駆動部80は、中央部に略円形のレンズ81を設けることができるように、レンズ81の周辺に当該レンズ81を往復直線運動させるための各部材が配置されており、直線運動方向(以下、直線Lとも称す)に沿って長尺状の中空形状を有する。このように、第1駆動部80の中央部に略円形のレンズ81を設けるような構成であるため、第1駆動部80の中央部に光を通すことができる。
【0052】
具体的には、図6に示すように、第1駆動部80においては、レンズ81の外周部に、固定支持部57aおよび可動支持部56aで構成される支持部と、固定支持部57bおよび可動支持部56bで構成される支持部とが設けられている。可動支持部56aおよび可動支持部56bは、それぞれ固定支持部57aおよび固定支持部57bに沿ってレンズ81を往復直線運動させる。
【0053】
さらに、図7に示すように、レンズ81の中心部における光路を遮らないように当該レンズ81の外周を取り囲むようにして、レンズ81の外周に長尺状のバネ55aが設けられている。第1駆動部80の縦断面においては、バネ55aが直線Lの方向からレンズ81を挟み込むようにして配置されている。バネ55aの直径は、レンズ81を固定できるように、レンズ81の直径と略同じであればよい。バネ55aは、弾性部材であり、X方向の変形が許容され、Y-Z方向に変形しないように筐体内で保持されている。このように配置されたバネ55aによって、レンズ81に対して直線運動方向に弾性力が与えられる。
【0054】
バネ55aの外側(レンズ81の中心から離れる方向)には、レンズ81を直線Lの方向に往復直線運動させるための磁気回路構成85a,85bが設けられている。磁気回路構成85a,85bは、N極およびS極からなる磁石53a,53bと、磁石53a,53bの外側に配置されたコイル52a,52bとを含む。
【0055】
たとえば、磁気回路構成85aおよび磁気回路構成85bにおいて、図7に示すような位置関係でN極およびS極からなる磁石53aおよび磁石53bを配置すると、点線で示すような矢印方向の磁界が生じる。この場合において、図7に示すような電流(Y軸に沿って紙面の手前から奥に向かう方向の電流を「×」、Y軸に沿って紙面の奥から手前に向かう方向の電流を「・」で示す)をコイル52aおよびコイル52bのそれぞれに流すと、フレミングの左手の法則に従って、実線の矢印で示すようにX軸方向に電磁力(F)が生じる。このようにして生じた電磁力(F)が可動子である磁石53aおよび磁石53bに作用されると、磁石53aおよび磁石53bが電磁力(F)と反対の方向に動く。以下、バネ55a、磁石53a,53b、レンズ81、コイル52a,52b、およびグリスなどの粘性を有する潤滑剤を含むダンパなど、装置内での物体の運動に関わる構成を、「運動系」と称する。
【0056】
レンズ81は、レンズ81の慣性力、電磁力(F)、バネ55aの弾性力、およびダンパの粘性力といった運動系の応答により直線Lの方向に振動することになる。制御部40は、この振動を利用してレンズ81を直線Lの方向に往復直線運動させる。つまり、制御部40は、運動系の固有振動数に合わせて一定周期で第1駆動部80を制御して磁気回路構成85aおよび磁気回路構成85bに電流を流すことで、運動系による共振現象を利用してレンズ81を直線Lの方向に往復直線運動させることができる。なお、カウンタウェイト91は、レンズ81が往復直線運動するのと同様の仕組みで、第2駆動部によって往復直線運動する。
【0057】
第1駆動部80によって、レンズ81が直線Lの方向に往復直線運動すると、第2駆動部によって、カウンタウェイト91は、レンズ81と相対する方向にレンズ81と同じ距離だけ往復直線運動する。たとえば、レンズ81が対象物99に近づく方向に直線L上を10mm移動すると、カウンタウェイト91は、対象物99から遠ざかる方向に直線L上を10mm移動する。また、レンズ81が対象物99から遠ざかる方向に直線L上を15mm移動すると、カウンタウェイト91は、対象物99に近づく方向に直線L上を15mm移動する。
【0058】
制御部40は、レンズ81を往復直線運動させる第1駆動部80と、カウンタウェイト91を往復直線運動させる第2駆動部とをそれぞれ独立して制御している。これにより、対象物99に対する投影パターンの焦点位置を変化させつつ、カウンタウェイト91によってレンズ81の往復直線運動による振動を打ち消すことができる。
【0059】
[I ハンドピースの別の形態]
図8は、実施の形態1に係るハンドピースの別の形態を示す図である。ハンドピース70には、図8に示すようなハンドル48が設けられてもよい。ハンドピース70にハンドル48が設けられる場合には、使用者はハンドル48を握り、プローブ25の先端を口腔内に差し込んで、対象物99の形状を計測する。
【0060】
[J 小括]
このように、実施の形態1に係る次元スキャナ100は、筐体30内に設けた第1のファン37によって、プローブ25の先端へ空気を送り出す。これにより、ハンドピースの外部に送風部を設けることなく、プローブ25に設けた光学部品の曇りを防止することができる。
【0061】
また、実施の形態1に係る次元スキャナ100は、筐体30内において、使用者が筐体30を保持した場合に、電子部品よりも上側となる位置に第1のファン37を設ける。これにより、電子部品の発熱により温められた空気が第1のファン37によって取り込まれ、プローブ25の先端へ送り出される。その結果、プローブ25に設けた光学部品の表面温度と口腔内の温度との差が緩和され、より曇りを防止することができる。また、電子部品の発熱により温められた空気がプローブ25の先端に送り出されるので、電子部品が冷却されることにもなる。
【0062】
また、実施の形態1に係る次元スキャナ100は、第1のファン37を、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品の近傍に設けてもよい。これにより、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品によってより温められた空気をプローブ25の先端に送り出すことができるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0063】
また、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品には、FPGA、CPU34、イメージセンサ33、GPUおよび電源回路39のうち少なくとも一つが含まれる。
【0064】
また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、吸気口37b,37cを回転軸37eの方向に設け、排気口37aを回転軸37eと直交する方向に設けてもよい。これにより、第1のファン37が薄型となり、ハンドピース70の小型化が実現される。
【0065】
また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、吸気口37b,37cの開口の面積を、排気口37aの開口の面積よりも大きくなるように構成してもよい。これにより、比較的開口の面積が大きい吸気口37b,37cから効率よく空気が取り込まれ、比較的開口の面積が小さい排気口37aから効率よく空気がプローブ25の先端に送り出されるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0066】
また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、排気口37aをプローブ25の方向に設け、プローブ25の根元まで続く送風管38を排気口37aに接続してもよい。このような配管により、最小限のスペースで、送りたい方向へ効率よく空気が送り出される。
【0067】
また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、吸気口37bまたは吸気口37cを、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品と対向する位置に設けてもよい。これにより、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品によってより温められた空気がプローブ25の先端に送り出されるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0068】
また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、制御部40によって、撮像開始時に回転羽37dの回転数が最大となるように制御してもよい。これにより、電子部品の発熱量が少ない撮像開始時であっても、プローブ25の先端に送られる空気の量が多くなるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りが防止される。
【0069】
また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、制御部40によって、撮像開始から回転羽37dの回転数を所定の度合で減少させ、所定時間の経過後に一定に保つように制御してもよい。このような制御により、省エネが実現される。また、このような制御により、プローブ25の先端に送られる空気の量が調整され、プローブ25の先端が必要以上に高温になる状況が回避される。
【0070】
また、実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品を電子基板36に実装し、使用者が筐体30を保持した場合に、筐体30内において、上方から順に、第1のファン37、電子基板36、および撮像部21と位置するように構成してもよい。ハンドピース70の幅は、使用者の持ち易さと操作性を考慮して、上方よりも下方が狭くなっているが、このような構成により、筐体30の限られたスペース内で、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品を実装する電子基板36のスペースが確保される。また、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品と第1のファン37とのこのような位置関係により、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品によってより温められた空気がプローブ25の先端に送り出されるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0071】
[実施の形態2]
実施の形態2に係る三次元スキャナ100は、筐体30の内部に、実施の形態1で説明した第1のファン37に加え、第2のファンを設ける点で、実施の形態1に係る三次元スキャナ100と異なる。以下、図9および図10を参照して、実施の形態2に係る三次元スキャナ100について説明する。なお、実施の形態2に係る三次元スキャナ100は、上記の点を除き、実施の形態1に係る三次元スキャナ100と共通しているので、共通している部分については説明を省略する。
【0072】
図9は、実施の形態2に係るハンドピース70Aの構成を示す図である。図10は、実施の形態2に係る電子基板36の第1基板面36aを示す図である。図9に示すように、筐体30には、実施の形態1で説明した第1のファン37に加え、第1のファン37と同様の構造で構成される第2のファン42が設けられる。
【0073】
第2のファン42は、筐体30内において、電子基板36の基板面のうち、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品が実装されている基板面(以下、第1基板面36aとも称す)の側に設けられる。たとえば、図9では、第2のファン42は、筐体30内において、電子基板36の基板面のうち、CPU34、イメージセンサ33、および電源回路39が実装されている第1基板面36aの側に設けられている。第2のファン42は、取り込み口41から取り込まれた比較的低温の空気を取り込んで、電子基板36に実装されている電子部品の方へ送り出す。その結果、電子部品が効率よく冷却される。
【0074】
また、第2のファン42は、排気口42aを含む。第1基板面36aには、排気口42aから送り出される空気が流れていく方向に演算系電子部品が実装されてもよい。たとえば、図10に示すように、第1基板面36aには、排気口42aから送り出される空気が流れていく方向にCPU34が実装されている。また、CPU34は、その近傍に、排気口42aが空気を送り出す方向に対し平行となる方向に冷却フィン35aを有するヒートシンク35を備える。さらに、第1基板面36aには、冷却フィン35aによって誘導される空気が流れていく方向に、イメージセンサ33等の他の電子部品が設けられる。これにより、第2のファン42から送り出される比較的低温の空気が、とりわけ発熱量が多いCPU34に設けたヒートシンク35に対して送られ、冷却フィン35aでより多くの熱を奪うことができるので、CPU34の冷却効率が高まる。また、冷却フィン35aを通った空気がイメージセンサ33に誘導されるので、イメージセンサ33が効率よく冷却される。
【0075】
第1のファン37は、筐体30内において、第1基板面36aの裏側の基板面(以下、第2基板面36bとも称す)の側に設けられる。たとえば、図9では、第1のファン37は、筐体30内において、CPU34、イメージセンサ33、および電源回路39が実装されている第1基板面36aの裏側の第2基板面36bの側に設けられている。第1のファン37は、電子部品の発熱によって温められた空気を取り込んで、プローブ25の先端へ送り出す。その結果、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0076】
また、第1のファン37は、筐体30内において、演算系電子部品が実装されている第1基板面36aの位置の裏側の第2基板面36bの近傍に設けられてもよい。たとえば、図9では、第1のファン37は、筐体30内において、CPU34が実装されている第1基板面36aの位置の裏側の第2基板面36bの近傍に設けられている。第1のファン37は、とりわけ発熱量が多い電子部品の発熱によって温められた空気を取り込んで、プローブ25の先端へ送り出す。その結果、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0077】
[小括]
実施の形態1に係る三次元スキャナ100は、プローブ25に設けた光学部品の曇り止めを主な目的として第1のファン37を設けていた。一方、実施の形態2に係る次元スキャナ100は、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品が実装されている第1基板面36aの側に第2のファン42を設け、第1基板面36aの裏側である第2基板面36bの側に第1のファン37を設ける。これにより、取り込み口41から取り込まれた比較的低温の空気が第2のファン42によって取り込まれ、電子基板36に実装されている電子部品の方へ送り出されるので、電子部品が効率よく冷却される。また、電子部品の発熱により温められた空気が第1のファン37によって取り込まれ、プローブ25の先端へ送り出されるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0078】
また、実施の形態2に係る次元スキャナ100は、第1のファン37を、筐体30内において、演算系電子部品が実装されている第1基板面36aの位置の裏側の第2基板面36bの近傍に設けてもよい。これにより、とりわけ発熱量が多い電子部品の発熱により温められた空気が第1のファン37によって取り込まれ、プローブ25の先端へ送り出されるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0079】
また、実施の形態2に係る次元スキャナ100は、電子基板36に、第2のファン42から送り出される空気が流れていく方向にCPU34等の演算系電子部品を実装してもよい。また、演算系電子部品は、第2のファン42が空気を送り出す方向に対して平行となる方向に冷却フィン35aを有するヒートシンク35を備えてもよい。さらに、第1基板面36aに、冷却フィン35aによって誘導される空気が流れていく方向に、イメージセンサ33等の他の電子部品を設けてもよい。これにより、第2のファン42から送り出される比較的低温の空気が、とりわけ発熱量が多いCPU34に設けたヒートシンク35に対して送られ、冷却フィン35aでより多くの熱を奪うことができるので、CPU34の冷却効率が高まる。また、冷却フィン35aを通った空気がイメージセンサ33に誘導されるので、イメージセンサ33が効率よく冷却される。なお、冷却フィン35aは、実施の形態1に係る三次元スキャナ100にも適用可能である。
【0080】
また、実施の形態2に係る三次元スキャナ100では、第2のファン42は、第1のファン37と同様の構造で構成される。これにより、第2のファン42が薄型となり、ハンドピース70の小型化が実現される。なお、第2のファン42は、第1のファン37と異なる構造であってもよい。
【0081】
[実施の形態3]
実施の形態3に係る三次元スキャナ100は、第1のファン37、CPU34、および第2のファン42が電子基板36の同一の基板面の側に配置され、CPU34とイメージセンサ33が電子基板36の異なる基板面の側に配置されている点で、実施の形態2に係る三次元スキャナ100と異なる。以下、図11を参照して、実施の形態3に係る三次元スキャナ100について説明する。なお、実施の形態3に係る三次元スキャナ100は、上記の点を除き、実施の形態2に係る三次元スキャナ100と共通しているので、共通している部分については説明を省略する。
【0082】
図11は、実施の形態3に係るハンドピース70Bの構成を示す図である。筐体30内において、プローブ25に近い側から順に、第1のファン37、CPU34、第2のファン42、および取り込み口41が設けられ、第1のファン37、CPU34、および第2のファン42は、電子基板36の同一の基板面の側に設けられている。
【0083】
実施の形態3に係る電子基板36では、とりわけ発熱量が多いCPU34をイメージセンサ33等の他の電子部品とは異なる基板面に実装することで、発熱源を基板の上下で分けると共に、第1のファン37を実装した面に第2のファン42を並べて配置することが可能となる。なお、CPU34は、実施の形態2と同様に、排気口42aが空気を送り出す方向に対し平行となる方向に冷却フィン35aを有するヒートシンク35を備える。このような配置により、取り込み口41から取り込まれた比較的低温の空気が、第2のファン42によって、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品の方へ送り出されるので、電子部品が冷却される。また、このような配置により、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品によって温められた空気が、第1のファン37によって取り込まれ、プローブ25の先端へ送り出されるので、プローブ25に設けた光学部品の曇りがより防止される。
【0084】
[小括]
このように、実施の形態3に係る三次元スキャナ100では、プローブ25に近い側から順に、第1のファン37、他の電子部品と比較して発熱量が多い特定の電子部品、第2のファン42、および取り込み口41を設け、とりわけ発熱量が多いCPU34をイメージセンサ33等の他の電子部品とは異なる基板面に実装する。これにより、第1のファン37と第2のファン42を電子基板36の同一の基板面の側に配置することにより、温度が変化する空気が適宜利用される中で、電子部品が冷却され、プローブ25に設けた光学部品の曇りが防止される。また、他の電子部品と比較して発熱量が多い電子部品を電子基板36の異なる基板面の側に配置することにより、各電子部品から発生する熱が分散され冷却効果が高まる。
【0085】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0086】
100 三次元スキャナ、10 キャップ、20 筒部、25 プローブ、30 筐体、21 撮像部、22 送風部、40 制御部、70,70A,70B ハンドピース、33 イメージセンサ、34 CPU、35 ヒートシンク、37 第1のファン、38 送風管、41 取り込み口、42 第2のファン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11