(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】撓み噛み合い式歯車装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/32 20060101AFI20220614BHJP
F16H 55/06 20060101ALI20220614BHJP
F16H 55/08 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F16H1/32 B
F16H55/06
F16H55/08 Z
(21)【出願番号】P 2018165077
(22)【出願日】2018-09-04
【審査請求日】2021-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】白水 健次
【審査官】畔津 圭介
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-102110(JP,A)
【文献】特開2018-084252(JP,A)
【文献】特開2014-020495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 1/32
F16H 55/06
F16H 55/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起振体と、
前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、
前記外歯歯車と噛み合う内歯歯車と、を備えた撓み噛み合い式歯車装置であって、
前記外歯歯車及び前記内歯歯車の一方の歯車は、樹脂により構成され、
前記外歯歯車及び前記内歯歯車の他方の歯車は、前記樹脂よりも熱伝導率が高く、かつ、前記樹脂よりも耐摩耗性が高い高熱伝導材料により構成され、
前記外歯歯車と前記内歯歯車の噛合範囲において、前記一方の歯車の歯厚は、前記他方の歯車の歯厚よりも大き
く、
前記噛合範囲において、前記一方の歯車の歯厚の最小値は、前記他方の歯車の歯厚の最大値以上であ
る撓み噛み合い式歯車装置。
【請求項2】
前記噛合範囲において、前記一方の歯車の歯厚の最小値は、前記他方の歯車の歯厚の最小値より大きい請求項1に記載の撓み噛み合い式歯車装置。
【請求項3】
前記噛合範囲における歯丈方向の中央位置において、前記一方の歯車の歯厚は、前記他方の歯車の歯厚よりも大きい請求項1または2に記載の撓み噛み合い式歯車装置。
【請求項4】
前記高熱伝導材料は金属である請求項1から
3のいずれかに記載の撓み噛み合い式歯車装置。
【請求項5】
前記一方の歯車は前記内歯歯車であり、
前記他方の歯車は前記外歯歯車である請求項1から
4のいずれかに記載の撓み噛み合い式歯車装置。
【請求項6】
前記起振体は、軸方向に直交する断面の外周形状が楕円状とされ、
前記起振体と前記外歯歯車との間に配置される起振体軸受を備え、
前記起振体及び前記起振体軸受は、前記樹脂よりも熱伝導率が高い高熱伝導材料により構成される請求項5に記載の撓み噛み合い式歯車装置。
【請求項7】
前記起振体は、軸方向に直交する断面の外周形状が楕円状とされ、
前記起振体と前記外歯歯車の間に配置される起振体軸受を備え、
前記外歯歯車の内周面は、前記起振体軸受の転動体が転動する外輪側転走面を構成する請求項
5に記載の撓み噛み合い式歯車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撓み噛み合い式歯車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高減速比を得られる小型の歯車装置として、撓み噛み合い式歯車装置が知られている。近年、歯車装置の用途が多様化しており、この種の撓み噛み合い式歯車装置で軽量化が要請されることがある。この要請に応えるものとして、特許文献1には、内歯歯車と外歯歯車に樹脂を用いた撓み噛み合い式歯車装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歯車に樹脂を用いると、歯車の噛合箇所が発熱した場合に、熱劣化の影響による歯車の寿命の低下が懸念される。この対策を講じた撓み噛み合い式歯車装置は未だ提案されておらず、その提案が望まれる。
【0005】
本発明のある態様は、こうした状況に鑑みてなされ、その目的の1つは、軽量化を図りつつ、歯車の発熱対策を図れる撓み噛み合い式歯車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様は撓み噛み合い式歯車装置に関し、起振体と、前記起振体により撓み変形する外歯歯車と、前記外歯歯車と噛み合う内歯歯車と、を備えた撓み噛み合い式歯車装置であって、前記外歯歯車及び前記内歯歯車の一方の歯車は、樹脂により構成され、前記外歯歯車及び前記内歯歯車の他方の歯車は、前記樹脂よりも熱伝導率が高く、かつ、前記樹脂よりも耐摩耗性が高い高熱伝導材料により構成され、前記外歯歯車と前記内歯歯車の噛合範囲において、前記一方の歯車の歯厚は、前記他方の歯車の歯厚よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の撓み噛み合い式歯車装置によれば、軽量化を図りつつ、歯車の発熱対策を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の歯車装置を示す側面断面図である。
【
図2】第1実施形態の内歯歯車の一部や外歯歯車を軸方向から見た図である。
【
図4】第2実施形態の歯車装置を示す側面断面図である。
【
図5】第3実施形態の歯車装置を示す側面断面図である。
【
図6】第4実施形態の歯車装置を示す側面断面図である。
【
図7】第5実施形態の歯車装置を示す側面断面図である。
【
図8】第6実施形態の歯車装置を示す側面断面図である。
【
図9】第7実施形態の歯車装置を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略したり、構成要素の寸法を適宜拡大、縮小して示す。また、共通点のある別々の構成要素には、名称の冒頭に「第1、第2」等と付し、符号の末尾に「-A、-B」等と付すことで区別し、総称するときはこれらを省略する。
【0010】
(第1の実施の形態)
図1は、第1実施形態の歯車装置10を示す側面断面図である。歯車装置10は、内歯歯車18-A、18-Bと噛み合う外歯歯車14を撓み変形させつつ回転させることで外歯歯車14を自転させ、その自転成分を出力する撓み噛み合い式歯車装置である。本実施形態の歯車装置は、減速用内歯歯車18-Aと出力用内歯歯車18-Bを用いて起振体12の回転を減速して出力する、いわゆる筒型の撓み噛み合い式歯車装置である。
【0011】
歯車装置10は、主に、起振体12と、外歯歯車14と、起振体軸受16-A、16-Bと、内歯歯車18-A、18-Bと、支持部材20と、軸受ハウジング22-A、22-Bと、を備える。以下、起振体12の回転中心線Laに沿う方向を単に「軸方向X」といい、その回転中心線La周りの周方向、径方向に関して、単に「周方向」、「径方向」ということがある。
【0012】
起振体12は、剛性を持つ筒状部材である。起振体12には、キー等を用いて、モータ等の駆動装置の駆動軸(不図示)が連結される。起振体12には配線等が挿通される軸孔12aが形成される。起振体12は、駆動軸によって、自らの軸芯を回転中心として回転させられる。なお、駆動装置は、起振体12より軸方向Xの一方側(図中右側)に配置される。以下、軸方向Xの一方側を入力側といい、他方側(図中左側)を反入力側という。
【0013】
起振体12は、中間軸部12bと、中間軸部12bより入力側にある入力側軸部12cと、中間軸部12bより反入力側にある反入力側軸部12dとを有する。中間軸部12bは、その軸方向Xに直交する断面の外周形状が楕円状をなす。入力側軸部12c及び反入力側軸部12dは、その軸方向Xに直交する断面の外周形状が円状をなす。本明細書での「楕円」とは、幾何学的に厳密な楕円に限定されず、略楕円も含まれる。
【0014】
外歯歯車14は、起振体12の中間軸部12bの外周側に配置される。外歯歯車14は、可撓性を持つ筒状部材である。外歯歯車14は、筒状の外歯基部14aと、外歯基部14aの外周部に設けられた複数の第1外歯14b-A及び第2外歯14b-Bとを有する。第1外歯14b-Aは軸方向Xの入力側に配置され、後述する減速用内歯歯車18-Aと噛み合う。第2外歯14b-Bは、軸方向Xの反入力側に配置され、後述する出力用内歯歯車18-Bと噛み合う。第1外歯14b-Aと第2外歯14b-Bは、起振体12の中間軸部12bの長軸方向の両側部分が内歯歯車18と噛み合う。本実施形態の第1外歯14b-A及び第2外歯14b-Bは外歯基部14aと一体的に形成されるが、外歯基部14aとは別体に設けられてもよい。
【0015】
外歯歯車14は、起振体12の回転に追従して、起振体軸受16を介して起振体12の中間軸部12bにより楕円状に撓み変形させられる。このとき、外歯歯車14は、内歯歯車18-Aとの噛合位置を周方向に変えつつ、起振体12の中間軸部12bの形状に合うように撓み変形させられる。
【0016】
起振体軸受16は、起振体12の中間軸部12bと外歯歯車14の間に配置される。起振体軸受16には、外歯歯車14の第1外歯14b-Aと起振体12の間に配置される第1起振体軸受16-Aと、外歯歯車14の第2外歯14b-Bと起振体12の間に配置される第2起振体軸受16-Bとが含まれる。起振体12は、起振体軸受16を介して外歯歯車14を回転自在に支持する。
【0017】
各起振体軸受16のそれぞれは、複数の第1転動体16aと、第1内輪16bと、第1外輪16cを有する。本実施形態の第1転動体16aは球体である。本実施形態の第1内輪16bは起振体12の中間軸部12bの外周面が構成しており、その外周面は第1転動体16aが転動する内輪側転走面16dを構成する。第1内輪16bは、起振体12が兼ねることになるが、起振体12とは別の部材により構成されてもよい。
【0018】
本実施形態の第1外輪16cは外歯歯車14とは別の部材により構成される。第1外輪16cは可撓性を持つ。第1外輪16cは、起振体12の回転に追従して、第1転動体16aを介して起振体12の中間軸部12bにより楕円状に撓み変形させられる。
【0019】
内歯歯車18は、剛性を持つ環状部材である。内歯歯車18は、外歯歯車14の第1外歯14b-Aや第2外歯14b-Bの外周側に配置される。本実施形態の内歯歯車18には、軸方向Xの入力側に配置される減速用内歯歯車18-A(第1内歯歯車)と、軸方向Xの反入力側に配置される出力用内歯歯車18-B(第2内歯歯車)とが含まれる。
【0020】
減速用内歯歯車18-Aは、筒状の第1内歯基部18a-Aと、第1内歯基部18a-Aの内周部に設けられた複数の第1内歯18b-Aとを有する。第1内歯18b-Aは、外歯歯車14の第1外歯14b-Aと噛み合う。本実施形態の第1内歯18b-Aは第1内歯基部18a-Aと一体的に形成されるが、第1内歯基部18a-Aとは別体に設けられてもよい。
【0021】
第1内歯18b-Aの歯数は第1外歯14b-Aの歯数より2i(iは1以上の自然数)だけ多い。これにより、起振体12が回転したとき、第1内歯18b-Aと第1外歯14b-Aの歯数差に応じた減速比で起振体12の回転が減速されて外歯歯車14が自転する。なお、減速用内歯歯車18-Aは、ボルトB1がねじ込まれるボルト穴が形成された連結部18cを有する。このボルトB1は、減速用内歯歯車18-Aを入力側軸受ハウジング22-Aに連結するために用いられる。
【0022】
出力用内歯歯車18-Bは、筒状の第2内歯基部18a-Bと、第2内歯基部18a-Bの内周部に設けられた複数の第2内歯18b-Bとを有する。第2内歯18b-Bは、外歯歯車14の第2外歯14b-Bと噛み合う。本実施形態の第2内歯18b-Bは第2内歯基部18a-Bと一体的に形成されるが、第2内歯基部18a-Bとは別体に設けられてもよい。
【0023】
第2内歯18b-Bの歯数は第2外歯14b-Bの歯数と同数である。これにより、起振体12が回転したとき、出力用内歯歯車18-Bには、外歯歯車14の自転成分と同じ大きさの回転が出力される。
【0024】
支持部材20は、出力用内歯歯車18-Bを主軸受24を介して回転自在に支持する外筒部20aを有する。外筒部20aは、減速用内歯歯車18-Aの第1内歯18b-Aより径方向外側に配置される。本実施形態の支持部材20と減速用内歯歯車18-Aは単一の部材の一部を構成しており、互いに一体化されている。外筒部20aには、外部部材への連結に用いるボルトB2を挿通するための挿通孔20bが形成される。外部部材は、歯車装置10の外部に配置され、歯車装置10を支持する役割を持つ。
【0025】
主軸受24は、複数の第2転動体24aと、第2内輪24bと、第2外輪24cを有する。本実施形態の第2転動体24aは球体であるが、ころ等でもよい。本実施形態の第2内輪24bは出力用内歯歯車18-Bの外周面が構成しているが、出力用内歯歯車18-Bとは別の部材により構成されてもよい。第2外輪24cは支持部材20の外筒部20aの内周面が構成しているが、支持部材20とは別の部材により構成されてもよい。
【0026】
軸受ハウジング22は、起振体12の軸方向Xに間隔を空けて配置される。軸受ハウジング22には、軸方向Xの入力側に配置される入力側軸受ハウジング22-Aと、軸方向Xの反入力側に配置される反入力側軸受ハウジング22-Bとが含まれる。
【0027】
入力側軸受ハウジング22-Aは、減速用内歯歯車18-AにボルトB1により連結されることで一体化される。入力側軸受ハウジング22-Aは、減速用内歯歯車18-Aに連結されるとともに、外歯歯車14の入力側端面に当接する第1当接部材として機能する。
【0028】
反入力側軸受ハウジング22-Bは、出力用内歯歯車18-BにボルトB3により連結されることで一体化される。反入力側軸受ハウジング22-Bは、出力用内歯歯車18-Bに連結されるとともに、外歯歯車14の反入力側端面に当接する第2当接部材として機能する。
【0029】
入力側軸受ハウジング22-Aと起振体12の入力側軸部12cとの間や、反入力側軸受ハウジング22-Bと起振体12の反入力側軸部12dとの間には軸受26が配置される。一対の軸受ハウジング22-A、22-Bは、起振体12を軸受26を介して回転自在に両持ち支持する。各軸受26は、複数の第3転動体26aと、第3内輪26bと、第3外輪26cを有する。
【0030】
反入力側軸受ハウジング22-Bと出力用内歯歯車18-Bは被駆動装置にボルトB4を用いて連結される。被駆動装置は、起振体12より軸方向Xの反入力側に配置される。反入力側軸受ハウジング22-Bには、ボルトB4の軸部が挿通される挿通孔22aが形成される。出力用内歯歯車18-Bには、そのボルトB4がねじ込まれる雌ねじ孔18dが形成される。
【0031】
以上の歯車装置10の動作を説明する。駆動装置の駆動軸が回転すると、駆動軸とともに起振体12が回転する。起振体12が回転すると、内歯歯車18との噛合位置を周方向に変えつつ、起振体12の中間軸部12bの形状に合うように外歯歯車14が連続的に撓み変形させられる。外歯歯車14は、起振体12が一回転するごとに、減速用内歯歯車18-Aの第1内歯18b-Aとの歯数差に相当する分、減速用内歯歯車18-Aに対して相対回転(自転)する。このとき、起振体12の回転は、第1内歯18b-Aとの歯数差に応じた減速比で減速されて外歯歯車14が自転する。出力用内歯歯車18-Bの第2内歯18b-Bは、第2外歯14b-Bと歯数が同じである。よって、出力用内歯歯車18-Bは、起振体12が一回転した前後で外歯歯車14との相対的な噛合位置が変わらないまま、外歯歯車14と同じ自転成分で同期して回転する。この出力用内歯歯車18-Bの回転は出力用内歯歯車18-Bから被駆動装置に伝達される。この結果、起振体12の回転が減速されて出力用内歯歯車18-Bから被駆動装置に出力される。
【0032】
ここで、第1実施形態の歯車装置10では、前述した構成要素の一部に関して樹脂により構成し、他の構成要素に関して後述する高熱伝導材料により構成した点に特徴がある。
【0033】
詳しくは、第1実施形態の歯車装置10では、外歯歯車14及び内歯歯車18のうちの一方の歯車が樹脂により構成される。本実施形態では内歯歯車18が樹脂により構成される。より詳しくは、減速用内歯歯車18-A、出力用内歯歯車18-Bのそれぞれが樹脂により構成される。以下、便宜的に、外歯歯車14及び内歯歯車18のうちの一方の歯車を構成する樹脂を歯車用樹脂という。ここでの歯車用樹脂には、たとえば、ポリアセタール、ポリアミド等の汎用エンジニアプラスチック等が用いられる。
【0034】
また、外歯歯車14及び内歯歯車18のうちの他方の歯車となる外歯歯車14は高熱伝導材料により構成される。詳しくは、外歯歯車14の全体、つまり、外歯基部14a、第1外歯14b-A及び第2外歯14b-Bのそれぞれは高熱伝導材料により構成される。この高熱伝導材料は、歯車用樹脂よりも熱伝導率[W/(m・K)]が高いものをいう。本実施形態では、この高熱伝導材料として鉄、アルミニウム等の金属を用いているが、歯車用樹脂より熱伝導率の大きい他の樹脂等が用いられてもよい。
【0035】
(A)これにより、内歯歯車18と外歯歯車14の噛合箇所が発熱したとき、その噛合箇所から高熱伝導材料の外歯歯車14を通して他の箇所への伝熱が促進され、その他の箇所での放熱が促進される。ここでの他の箇所には、外歯歯車14の噛合箇所以外の箇所の他、外歯歯車14以外の部材(本実施形態では後述する軸受ハウジング22)が含まれる。よって、内歯歯車18と外歯歯車14の噛合箇所での発熱による内歯歯車18や外歯歯車14の高温化を抑制できる。この結果、熱劣化の影響による内歯歯車18や外歯歯車14の寿命の低下を防止でき、内歯歯車18や外歯歯車14に関して良好な耐久性を得られる。このため、外歯歯車14と内歯歯車18の一方に歯車用樹脂を用いることで軽量化を図りつつ、歯車の発熱対策を図れる。
【0036】
高熱伝導材料は、歯車の噛合箇所で生じる熱を他の箇所へ伝熱させる観点から、歯車用樹脂より熱伝導率が大きいほど好ましい。この観点から、高熱伝導材料の熱伝導率は、たとえば、歯車用樹脂の熱伝導率の10.0倍以上となるように設定されると好ましい。
【0037】
撓み噛み合い式歯車装置10では、通常、外歯歯車14の外周側に配置される内歯歯車18の方が外歯歯車14よりが大体積になる。本実施形態では、この大体積の内歯歯車18を歯車用樹脂により構成しているため、小体積の外歯歯車14を歯車用樹脂により構成するより、効果的に軽量化を図れる。
【0038】
ところで、外歯歯車14が収容されている収容空間28は、内歯歯車18と外歯歯車14の間に形成され、歯車装置10の周囲の外部空間30から離れた奥まった箇所にある。よって、外歯歯車14の収容空間28と外部空間30との間では空気が流通し難く、その収容空間28には外歯歯車14から放熱された熱がこもり易い。特に、この収容空間28は、軸受ハウジング22や軸受26により軸方向Xの両側から挟まれた箇所に形成されていることもあり、いっそう熱がこもり易い。次に、このように熱のこもり易い箇所にある外歯歯車14の放熱を促進するための工夫を説明する。
【0039】
前述の通り、入力側軸受ハウジング22-Aや反入力側軸受ハウジング22-Bは、外歯歯車14に当接している当接部材として機能する。これら軸受ハウジング22は、その一部分が外部空間30に露出している。ここでの一部分とは、たとえば、軸受ハウジング22の軸方向X外側に臨む面や径方向外側の外周面である。これら軸受ハウジング22は、前述の歯車用樹脂より熱伝導率が高い高熱伝導材料により構成される。本実施形態では、この高熱伝導材料として外歯歯車14と同等の熱伝導率を持つ金属を用いているが、歯車用樹脂より熱伝導率が大きければ、その具体例は特に限定されない。たとえば、軸受ハウジング22は、外歯歯車14とは異なる素材を用いて構成されてもよい。
【0040】
これにより、外歯歯車14に当接している軸受ハウジング22に外歯歯車14の熱を伝熱でき、軸受ハウジング22からも外歯歯車14の熱を放熱できる。よって、歯車の噛合箇所で生じた熱の放熱箇所を増やすことで、内歯歯車18や外歯歯車14の高温化をより抑制できる。特に、軸受ハウジング22から周囲の外部空間30に放熱できるため、収容空間28に配置される外歯歯車14から外部空間30への放熱が促進され、内歯歯車18や外歯歯車14の高温化を効果的に抑制できる。
【0041】
なお、本実施形態の歯車装置10は、軽量化を図るため、起振体軸受16の第1外輪16c、軸受26の第3外輪26c及び第3内輪26b、起振体12のそれぞれが樹脂により構成される。これらは内歯歯車18と同等の熱伝導率の歯車用樹脂により構成されてもよいし、他の樹脂により構成されてもよい。起振体軸受16の第1転動体16a、主軸受24の第2転動体24a、軸受26の第3転動体26aは、金属により構成される。これは、軸受の転動体は、外輪や内輪より要求強度が大きいためである。
【0042】
また、支持部材20は、減速用内歯歯車18-Aと同じ単一の部材の一部を構成していることから、減速用内歯歯車18-Aと同様に歯車用樹脂により構成される。
【0043】
また、この他にも、本実施形態の歯車装置10は、樹脂により構成される部材と他の部材を連結するボルトB1、B3を備える。ここでの「樹脂により構成される部材」と「他の部材」の組み合わせは、本実施形態でいえば、減速用内歯歯車18-Aと入力側軸受ハウジング22-Aの組み合わせや、出力用内歯歯車18-Bと反入力側軸受ハウジング22-Bの組み合わせである。
【0044】
このボルトB1、B3は、外歯歯車14等と同様、高熱伝導材料としての金属により構成される。これにより、放熱量の小さい樹脂により構成される部材でも、高熱伝導材料により構成されるボルトB1、B3を通して放熱を促進でき、その部材の熱劣化を抑制できる。なお、この「他の部材」は、本実施形態では、伝熱及び放熱を促進する観点から、高熱伝導材料により構成される例を説明したが、歯車用樹脂により構成されてもよい。
【0045】
ところで、樹脂製の歯車を用いた場合、樹脂は金属等と比べて耐摩耗性が低いため、その歯面での摩耗が問題となる。歯面での摩耗が進行すると、歯の折損の原因となるため、その対策が求められる。以下、この対策を実現するための工夫点を説明する。
【0046】
本実施形態では、前述の「他方の歯車」となる外歯歯車14を構成する高熱伝導材料は、「一方の歯車」となる内歯歯車18を構成する歯車用樹脂より耐摩耗性が高い。以下、「一方の歯車」を樹脂製歯車40といい、この「他方の歯車」を高耐摩耗性歯車42という。本明細書で説明する「高熱伝導材料」は、いずれも歯車用樹脂より耐摩耗性が高いものをいう。このような条件を満たす高熱伝導材料として、前述のような鉄、アルミニウム等の金属を用いているが、歯車用樹脂とは異なる他の樹脂等が用いられてもよい。
【0047】
ここでの「耐摩耗性が高い」とは、同じ摺動条件のもとで、摩耗試験により、言及している歯車上で歯車とは別の相手部材を摺動させたときの比摩耗量が小さいことを意味する。つまり、高耐摩耗性歯車42を構成する高熱伝導材料は、樹脂製歯車40を構成する歯車用樹脂より比摩耗量が小さいということである。この摩耗試験は、歯車から切り出したサンプルの被摺動面上で相手部材を摺動させたときの摩耗量を測定することで行われる。この「同じ摺動条件」とは、サンプルの被摺動面や相手部材の表面粗さ、相手部材の材料が同じで、かつ、潤滑剤の有無や潤滑剤の組成等の潤滑条件が同じであることを意味する。比摩耗量[mm2/kgf]は、被摺動面に垂直に付与される荷重[kgf]、その荷重を被摺動面に付与した状態で相手部材を摺動させたときの摺動距離[mm]、その摺動によるサンプルの摩耗量[mm3]を用いて、次の式(1)により表される。
比摩耗量=摩耗量/(摺動距離×荷重) ・・・ (1)
【0048】
図2は、内歯歯車18の一部や外歯歯車14を軸方向から見た図であり、
図3は、
図2の拡大図である。本実施形態では、外歯歯車14と内歯歯車18の噛合範囲Reにおいて、樹脂製歯車40の歯厚は、高耐摩耗性歯車42の歯厚よりも大きい。ここでの「噛合範囲Re」とは、外歯歯車14と内歯歯車18の歯面のなかで、これらが噛み合うときに互いに接触する範囲をいう。
【0049】
内歯歯車18の内歯18bの周方向中央位置と起振体12の回転中心線La(
図2参照)を通る半径線Lbに沿った方向を内歯18bの歯丈方向Pbとする。内歯歯車18の歯厚とは、その内歯18bの歯丈方向Pb及び歯筋方向(軸方向X)と直交する方向での内歯18bの寸法をいう。外歯歯車14の歯厚は、撓み変形可能な外歯歯車14をたるみなく外嵌できる直径をもつ真円状の芯材(不図示)に外歯歯車14を外嵌したときを基準にした寸法をいう。この基準の条件のもと、外歯歯車14の外歯14bの周方向中央位置と芯材の中心とを通る半径線Lcに沿った方向を外歯14bの歯丈方向Pcとする。外歯歯車14の歯厚は、この基準の条件のもと、その外歯14bの歯丈方向Pc及び歯筋方向(軸方向X)と直交する方向での外歯14bの寸法をいう。
【0050】
ここでの「樹脂製歯車40の歯厚が高耐摩耗性歯車42の歯厚よりも大きい」とは、次に説明する(1)~(3)の何れかの条件を満たすことをいう。本実施形態においては、(1)~(3)の全ての条件を満たしているが、いずれかの条件のみを満たしていてもよい。
(1)前述の噛合範囲Reにおいて、樹脂製歯車40の歯厚の最小値Lx-minは、高耐摩耗性歯車42の歯厚の最小値Ly-minよりも大きいこと。
(2)前述の噛合範囲Reにおける歯丈方向の中央位置において、樹脂製歯車40の歯厚Lx-cenは、高耐摩耗性歯車42の歯厚Ly-cenよりも大きいこと。
(3)前述の噛合範囲Reにおいて、樹脂製歯車40の歯厚の最大値Lx-maxは、高耐摩耗性歯車42の歯厚の最大値Ly-maxよりも大きいこと。
【0051】
(1)の条件を満たすことは、噛合範囲Reの全域において、樹脂製歯車40の歯厚が、高耐摩耗性歯車42の歯厚の最小値Ly-minよりも大きいことを意味する。
【0052】
これにより、外歯歯車14と内歯歯車18の噛合範囲Reにおいて、樹脂製歯車40の歯厚と高耐摩耗性歯車42の歯厚を同じにする場合と比べ、樹脂製歯車40の歯(本例では内歯18b)の歯面が摩耗したときに歯の強度を確保し易くなる。これに伴い、樹脂製歯車40の歯の折損リスクを軽減でき、歯車装置10の長寿命化を図れる。
【0053】
樹脂製の歯車を用いた場合、樹脂は金属と比べて剛性が低いため、樹脂製歯車40の歯当たり箇所に付与される荷重による歯の曲げ変形量が大きくなる。これは、樹脂製歯車40と高耐摩耗性歯車42の間での噛合誤差やラチェッティング(歯飛び)の原因となる。この点、本実施形態によれば、樹脂製歯車40の歯厚は、高耐摩耗性歯車42の歯厚よりも大きい。よって、外歯歯車14と内歯歯車18の噛合範囲Reにおいて、樹脂製歯車40の歯厚と高耐摩耗性歯車42の歯厚を同じにする場合と比べ、樹脂製歯車40の歯の高剛性化を図れ、その歯の曲げ変形量を小さくできる。これに伴い、樹脂製歯車40と高耐摩耗性歯車42の間での噛合誤差の低減や、ラチェッティングトルクの向上によるラチェッティングの抑制を図れる。
【0054】
特に、本実施形態では、前述の(1)の条件を満たすため、噛合範囲Reで最小値となる箇所を含む範囲において、前述の各種効果をより得やすくなる。ここでの前述の各種効果とは、樹脂製歯車40の歯面が摩耗したときに歯の強度を確保し易くなる効果や、噛合誤差の低減、ラチェッティングの抑制を図れる効果である。これらの効果を更に得やすくする観点からは、前述の噛合範囲Reにおいて、樹脂製歯車40の歯厚の最小値Lx-minは、高耐摩耗性歯車42の歯厚の最小値Ly-minの2.5倍以上の大きさに設定されると好ましい。
【0055】
本実施形態では、前述の(2)の条件を満たすため、噛合範囲Reの中央位置となる箇所を含む歯丈方向の広い範囲で、前述の各種効果を得やすくなる。このような効果を更に得やすくする観点からは、前述の噛合範囲Reにおける歯丈方向の中央位置において、樹脂製歯車40の歯厚Lx-cenは、高耐摩耗性歯車42の歯厚Ly-cenの1.6倍以上の大きさに設定されると好ましい。
【0056】
本実施形態では、前述の(3)の条件を満たすため、噛合範囲Reで最大値となる箇所を含む範囲において、前述の各種効果を得やすくなる。
【0057】
本実施形態では、前述の噛合範囲Reにおいて、樹脂製歯車40の歯厚の最小値Lx-minは、高耐摩耗性歯車42の歯厚の最大値Ly-max以上である。これは、噛合範囲Reの全域において、樹脂製歯車40の歯厚は、高耐摩耗性歯車42の歯厚の最大値Ly-maxより大きいことを意味する。これにより、噛合範囲Reの全域において、前述の各種効果をより一層得やすくなる。
【0058】
高耐摩耗性歯車42を構成する高熱伝導材料は金属であり、樹脂製歯車40を構成する樹脂より剛性が大きい。よって、前述のように樹脂製歯車40の歯(本例では内歯18b)を歯厚の増大により高剛性化したとしても、金属製の高耐摩耗性歯車42の歯(本例では外歯14b)への悪影響を抑えつつ、前述の各種効果を得られる。
【0059】
樹脂製歯車40は内歯歯車18であり、高耐摩耗性歯車42は外歯歯車14であり、その内歯歯車18の歯厚が外歯歯車14の歯厚より大きくなる。よって、内歯歯車18の歯厚に対して外歯歯車14の歯厚を同じにする場合と比べて、内歯歯車18の歯厚に対して外歯歯車14の歯厚を薄くした分、外歯歯車14の外歯14bの体積が減少し、外歯歯車14の撓み変形に要する力を軽減できる。これに伴い、外歯歯車14の撓み変形に伴うエネルギー損失を避けられ、歯車装置10の高伝達効率化を図れる。
【0060】
(第2の実施の形態)
図4は、第2実施形態の歯車装置10を示す側面断面図である。第1実施形態と同様、本実施形態の外歯歯車14は高耐摩耗性歯車42を構成し、内歯歯車18は樹脂製歯車40を構成する。第1実施形態と同様、樹脂製歯車40(内歯歯車18)の歯厚は高耐摩耗性歯車42(外歯歯車14)の歯厚より大きい。
【0061】
本実施形態の転動体16aはころである。本実施形態の転動体16aは、その外周面が軸方向Xに沿って設けられる円筒ころである。本実施形態の転動体16aは、軸方向Xに沿った回転軸線周りに回転する。
【0062】
本実施形態の第1外輪16cは外歯歯車14の内周面が構成しており、その内周面は第1転動体16aが転動する外輪側転走面16eを構成する。外歯歯車14は起振体軸受16の第1外輪16cを兼ねることになる。
【0063】
撓み噛み合い式歯車装置の伝達効率の高効率化を図るうえでは、撓み変形箇所でのエネルギー損失を低減させるために、撓み変形箇所の体積の削減が有効となる。外歯歯車14の内周面は、転動体16aが転動する外輪側転走面16eを構成しており、撓み変形可能な第1外輪16cが外歯歯車14とは別体に設けられていない構成である。よって、外歯歯車14とともに撓み変形する外輪が外歯歯車14とは別体にない分、その外輪の撓み変形に伴うエネルギー損失を避けられ、歯車装置10の高伝達効率化を図れる。
【0064】
また、内歯歯車18と外歯歯車14の両方を金属製とした場合、通常、内歯歯車18や外歯歯車14の歯面での摩耗より、外歯歯車14の内周面でのフレーキング損傷が先に生じ易く、そこが内歯歯車18及び外歯歯車14のなかで最も強度の低い最弱部となる。よって、この場合、通常、外歯歯車14とは別体に起振体軸受16の外輪を設け、寿命の向上が図られている。
【0065】
本実施形態では、内歯歯車18が樹脂製であり、外歯歯車14が歯車用樹脂より耐摩耗性が高い高熱伝導材料製である。この場合、外歯歯車14の内周面でのフレーキング損傷より、内歯歯車18の歯面での摩耗が進行し易くなる。特に、この傾向は、高熱伝導材料が金属の場合に強くなる。よって、内歯歯車18及び外歯歯車14のなかで内歯歯車18の歯面が最弱部となり、外歯歯車14の内周面は最弱部とはならない。このため、前述のように歯車装置10の高伝達効率化を図るために、外歯歯車14とは別体に起振体軸受16の外輪を設けない構成とした場合でも、寿命への影響を排除できる利点がある。
【0066】
(第3の実施の形態)
図5は、第3実施形態の歯車装置10を示す側面断面図である。本実施形態では、熱のこもり易い箇所にある外歯歯車14の放熱を促進するための他の工夫を説明する。第1実施形態では、このような工夫として、軸受ハウジング22を高熱伝導材料により構成する例を説明した。本実施形態では、この工夫を実現するため、軸受ハウジング22ではなく、起振体12と起振体軸受16を高熱伝導材料により構成している。
【0067】
詳しくは、本実施形態では、起振体軸受16の第1転動体16a及び第1外輪16cのそれぞれと、起振体12とを高熱伝導材料としての金属により構成している。起振体軸受16が起振体12とは別体の第1内輪16bを有する場合、第1内輪16bも高熱伝導材料により構成すればよい。本実施形態では、この高熱伝導材料として外歯歯車14と同等の熱伝導率を持つ金属を用いているが、歯車用樹脂より熱伝導率が大きければ、その具体例は特に限定されない。たとえば、起振体12と起振体軸受16は、外歯歯車14とは異なる素材を用いて構成されてもよい。
【0068】
なお、この起振体12の一部分は外部空間30に露出している。ここでの一部分とは、起振体12の軸方向X両端部の外周面や、軸方向X外側に臨む端面等である。
【0069】
以上の構成により、外歯歯車14に当接する起振体軸受16を通して起振体12に外歯歯車14の熱を伝熱でき、起振体軸受16や起振体12からも外歯歯車14の熱を放熱できる。よって、歯車の噛合箇所で生じた熱の放熱箇所を増やすことで、内歯歯車18や外歯歯車14の高温化をより抑制できる。特に、起振体12から周囲の外部空間30に放熱できるうえ、起振体12から起振体12に接続される駆動装置の駆動軸へも放熱できる。よって、収容空間28に配置される外歯歯車14から外部空間30や駆動軸への放熱が促進され、内歯歯車18や外歯歯車14の高温化を効果的に抑制できる。
【0070】
また、起振体12が金属により構成されるため、次の利点がある。起振体12は、通常、大外径になり易く、曲げモーメントの増大に伴い大負荷が付与され易く、要求強度も大きくなり易い。この点、起振体12は金属により構成されるため、起振体12を歯車用樹脂により構成する場合と比べ、起振体12の要求強度を確保し易くなる。よって、歯車装置10の軽量化や歯車の発熱対策を図りつつ、起振体12の要求強度を確保し易くなる。
【0071】
本実施形態でも、第1実施形態と同様、外歯歯車14と内歯歯車18の一方に歯車用樹脂を用いることで軽量化を図りつつ、歯車の発熱対策を図れる。
【0072】
また、第1実施形態と同様、樹脂製歯車40(内歯歯車18)の歯厚は高耐摩耗性歯車42(外歯歯車14)の歯厚より大きい。これにより、第1実施形態と同様、前述の各種効果を得られる。
【0073】
なお、本実施形態では軸受ハウジング22は歯車用樹脂により構成されるが、第1実施形態と同様、高熱伝導材料により構成されてもよい。また、本実施形態では、外歯歯車14、内歯歯車18、主軸受24、軸受26等の他の構成要素は第1実施形態と同様の素材により構成される。つまり、外歯歯車14、主軸受24の第2転動体24a、軸受26の第3転動体26aは高熱伝導材料としての金属により構成され、内歯歯車18、軸受26の第3外輪26c及び第3内輪26bは歯車用樹脂により構成される。
【0074】
(第4の実施の形態)
図6は、第3実施形態の歯車装置10を示す側面断面図である。第1~第3実施形態では、外歯歯車14が高熱伝導材料により構成され、内歯歯車18が歯車用樹脂により構成される例を説明した。本実施形態では、外歯歯車14が歯車用樹脂により構成され、内歯歯車18が高熱伝導材料により構成される。詳しくは、内歯歯車18のうちの出力用内歯歯車18-Bが高熱伝導材料により構成され、減速用内歯歯車18-Aが歯車用樹脂により構成される。外歯歯車14、減速用内歯歯車18-Aが樹脂製歯車40、出力用内歯歯車18-Bが高耐摩耗性歯車42を構成することになる。本実施形態でも、第1実施形態と同様、樹脂製歯車40(外歯歯車14)の歯厚が高耐摩耗性歯車42(減速用内歯歯車18-A)の歯厚より大きい。これにより、第1実施形態と同様、前述の各種効果を得られる。
【0075】
本実施形態によっても、内歯歯車18と外歯歯車14の噛合箇所が発熱したとき、その噛合箇所から高熱伝導材料の出力用内歯歯車18-Bを通して他の箇所への伝熱が促進され、その他の箇所での放熱が促進される。ここでの他の箇所には、出力用内歯歯車18-Bの噛合箇所以外の箇所が含まれる。よって、前述の(A)で記載した内容と同様、出力用内歯歯車18-Bと外歯歯車14の噛合箇所での発熱による出力用内歯歯車18-Bと外歯歯車14の高温化を抑制できる。この結果、熱劣化の影響による出力用内歯歯車18-Bや外歯歯車14の寿命の低下を防止でき、出力用内歯歯車18-Bや外歯歯車14に関して良好な耐久性を得られる。このため、外歯歯車14と内歯歯車18の一方に歯車用樹脂を用いることで軽量化を図りつつ、歯車の発熱対策を図れる。
【0076】
また、出力用内歯歯車18-Bは、高熱伝導材料としての金属により構成されるため、次の利点がある。出力用内歯歯車18-Bは、被駆動装置に連結されるため、被駆動装置から回転中心線Laを傾斜させるような曲げモーメントが付与されることがある。これに伴い、外歯歯車14との噛合箇所や主軸受24の転動面に大負荷が付与され易く、要求強度が大きくなり易い。この点、出力用内歯歯車18-Bは金属により構成されるため、出力用内歯歯車18-Bを歯車用樹脂により構成する場合と比べ、出力用内歯歯車18-Bの要求強度を確保し易くなる。よって、歯車装置10の軽量化や歯車の発熱対策を図りつつ、出力用内歯歯車18-Bの要求強度を確保し易くなる。
【0077】
なお、本実施形態の歯車装置10は、軽量化を図るため、起振体軸受16の第1外輪16c、軸受26の第3外輪26c及び第3内輪26b、起振体12、軸受ハウジング22のそれぞれが樹脂により構成される。これらは外歯歯車14と同等の熱伝達率の歯車用樹脂により構成されてもよいし、他の樹脂により構成されてもよい。起振体軸受16の第1転動体16a、主軸受24の第2転動体24a、軸受26の第3転動体26aは、金属により構成される。これは、軸受の転動体は、他の箇所よりも要求強度が大きいためである。また、この他にも、本実施形態のボルトB1、B3は、第1実施形態、第3実施形態と同様、高熱伝導材料としての金属により構成される。
【0078】
本実施形態では、出力用内歯歯車18-Bのみを高熱伝導材料により構成し、減速用内歯歯車18-Aは歯車用樹脂により構成する例を説明した。この他にも、減速用内歯歯車18-Aと出力用内歯歯車18-Bの両方を高熱伝導材料により構成してもよいし、減速用内歯歯車18-Aのみを高熱伝導材料により構成してもよい。減速用内歯歯車18-Aと出力用内歯歯車18-Bの両方を高耐摩耗性歯車42により構成してもよいし、減速用内歯歯車18-Aのみを高耐摩耗性歯車42により構成してもよいということである。いずれの場合も、外歯歯車14は歯車用樹脂により構成される。
【0079】
また、本実施形態では、内歯歯車18を高熱伝導材料により構成しつつ、起振体12、起振体軸受16の第1外輪16c、軸受ハウジング22を樹脂により構成する例を説明した。このように内歯歯車18を高熱伝導材料により構成する場合も、起振体12、起振体軸受16、軸受ハウジング22を高熱伝導材料により、詳しくは、金属により構成してもよい。
【0080】
(第5の実施の形態)
図7は、第5実施形態の歯車装置10を示す側面断面図である。
図1~
図6の例では、反入力側軸受ハウジング22-Bと出力用内歯歯車18-Bが別体である例を説明した。
【0081】
本実施形態の反入力側軸受ハウジング22-Bは、出力用内歯歯車18-Bと同じ部材の一部を構成しており、互いに一体化されている。これは、出力用内歯歯車18-Bが軸受ハウジング22の機能を兼ねていることを意味している。軸受ハウジング22の機能を兼ねる出力用内歯歯車18-Bは、歯車用樹脂により構成される。
【0082】
歯車用樹脂と高熱伝導材料の組み合わせは、この他の点では、第3実施形態と同様である。つまり、起振体12、外歯歯車14、起振体軸受16の第1転動体16a、主軸受24の第2転動体24a、軸受26の第3転動体26aは、高熱伝導材料としての金属により構成される。入力側軸受ハウジング22-A、減速用内歯歯車18-A、起振体軸受16の第1外輪16c、軸受26の第3外輪26c及び第3内輪26bは樹脂により構成される。
【0083】
本実施形態でも、他の実施形態と同様、外歯歯車14と内歯歯車18の一方に歯車用樹脂を用いることで軽量化を図りつつ、歯車の発熱対策を図れる。また、第1実施形態と同様、樹脂製歯車40(内歯歯車18)の歯厚は、高耐摩耗性歯車42(外歯歯車14)の歯厚より大きい。これにより、第1実施形態と同様、前述の各種効果を得られる。
【0084】
(第6の実施の形態)
図8は、第6実施形態の歯車装置10を示す側面断面図である。第1~第5実施形態では、筒型の撓み噛み合い式歯車装置を説明した。本実施形態では、出力用内歯歯車18-Bを用いずに、単数の減速用内歯歯車18-Aのみを用いて、起振体12の回転を減速して出力する、いわゆるシルクハット型の撓み噛み合い式減速装置を説明する。
【0085】
外歯歯車14は、筒状の外歯基部14aと、外歯基部14aの入力側端部から径方向の外側に張り出すフランジ部14dとを有する。外歯歯車14の外歯基部14aとフランジ部14dはシルクハット状をなす。外歯基部14aの反入力側部分は、外歯基部14aの入力側部分より厚肉に形成される。外歯歯車14は、外歯基部14aの反入力側部分の外周側に外歯基部14aと一体的に形成された第1外歯14b-Aを有する。
【0086】
外歯歯車14は、ボルトB1がねじ込まれるボルト穴が形成された連結部14eを有する。このボルトB1は、外歯歯車14を入力側軸受ハウジング22-Aに連結するために用いられる。連結部14eは、フランジ部14dの径方向外側に設けられる。
【0087】
外歯歯車14は、減速用内歯歯車18-Aを主軸受24を介して回転自在に支持する外筒部20aを有する支持部材20と一体化される。本実施形態の支持部材20と外歯歯車14は単一の部材の一部を構成しており、これにより互いに一体化されている。
【0088】
減速用内歯歯車18-Aは、第1実施形態と同様、剛性を持つ環状部材である。減速用内歯歯車18-Aは、外歯歯車14の第1外歯14b-Aの外周側に配置される。減速用内歯歯車18-Aは、外歯歯車14の第1外歯14b-Aが噛み合う第1内歯18b-Aを有する。第1内歯18b-Aの歯数は、第1実施形態と同様、第1外歯14b-Aの歯数より2iだけ多い。
【0089】
減速用内歯歯車18-Aは、被駆動装置にボルトB5を用いて連結される。減速用内歯歯車18-Aには、そのボルトB5がねじ込まれる雌ねじ孔18eが形成される。
【0090】
本実施形態の反入力側軸受ハウジング22-Bは、減速用内歯歯車18-Aと同じ部材の一部を構成しており、互いに一体化されている。これは、減速用内歯歯車18-Aが反入力側軸受ハウジング22-Bの機能を兼ねていることを意味する。この反入力側軸受ハウジング22-Bの機能を兼ねた減速用内歯歯車18-Aと起振体12の反入力側軸部12dの間には軸受26が配置される。
【0091】
以上の歯車装置10の動作を説明する。駆動装置の駆動軸が回転すると、駆動軸とともに起振体12が回転する。起振体12が回転すると、減速用内歯歯車18-Aとの噛合位置を周方向に変えつつ、起振体12の中間軸部12bの形状に合うように外歯歯車14が連続的に撓み変形させられる。起振体12が回転すると、外歯歯車14の第1外歯14b-Aと減速用内歯歯車18-Aの第1内歯18b-Aの歯数差に応じた相対回転が外歯歯車14と減速用内歯歯車18-Aに発生する。本実施形態では、外歯歯車14がボルトB2を用いて外部部材に固定されている。よって、起振体12の回転によって、外歯歯車14に対して減速用内歯歯車18-Aが回転し、その回転が被駆動装置に出力される。このとき、起振体12の回転は、外歯歯車14と内歯歯車18の歯数差に応じた減速比で減速されて出力される。この結果、起振体12の回転が減速されて減速用内歯歯車18-Aから被駆動装置に出力される。
【0092】
ここで、本実施形態の歯車装置10でも、外歯歯車14が歯車用樹脂により構成され、減速用内歯歯車18-Aが高熱伝導材料としての金属により構成される。外歯歯車14が樹脂製歯車40を構成し、減速用内歯歯車18-Aが高耐摩耗性歯車42を構成することになる。樹脂製歯車40(外歯歯車14)の歯厚は、第1実施形態と同様、高耐摩耗性歯車42(減速用内歯歯車18-A)の歯厚より大きい。これにより、第1実施形態と同様、前述の各種効果を得られる。なお、支持部材20は、外歯歯車14と同じ単一の部材の一部を構成していることから、外歯歯車14と同様に歯車用樹脂により構成されることになる。
【0093】
歯車用樹脂と高熱伝導材料の組み合わせは、この他の点では、第4実施形態と同様である。つまり、起振体12、起振体軸受16の第1外輪16c、入力側軸受ハウジング22-A、軸受26の第3外輪26c及び第3内輪26bは樹脂により構成される。起振体軸受16の第1転動体16a、主軸受24の第2転動体24a、軸受26の第3転動体26aは、金属により構成される。ボルトB1は高熱伝導材料としての金属により構成される。
【0094】
以上の歯車装置10でも、外歯歯車14と内歯歯車18の一方の歯車が歯車用樹脂により構成され、他方の歯車が高熱伝導材料により構成される。よって、他の実施形態と同様、一方の歯車に歯車用樹脂を用いることで軽量化を図りつつ、歯車の発熱対策を図れる。
【0095】
また、減速用内歯歯車18-Aの外周側に配置される支持部材20は、通常、減速用内歯歯車18-Aより大体積になり易い。本実施形態では、この支持部材20も外歯歯車14とともに歯車用樹脂により構成しているため、支持部材20を金属により構成するより、効果的に軽量化を図れる。
【0096】
本実施形態では、出力用内歯歯車18-Bを用いずに、単数の減速用内歯歯車18-Aのみを用いて、起振体12の回転を減速して出力している。よって、出力用内歯歯車18-Bを用いる場合と比べ、内歯歯車18と外歯歯車14の噛合箇所を減らせる。これは、出力用内歯歯車18-Bを用いる場合と比べ、歯車の発熱箇所を減らすことで、内歯歯車18や外歯歯車14が高温化し難い状況にできることを意味している。よって、外歯歯車14や内歯歯車18が熱劣化の影響を受け難くなり、その熱劣化の影響による内歯歯車18や外歯歯車14の寿命の低下を防止できる。
【0097】
なお、本実施形態では、減速用内歯歯車18-Aが被駆動装置に連結され、外歯歯車14と一体化された支持部材20が外部部材に固定される例を説明した。この他にも、減速用内歯歯車18-Aが外部部材に固定され、外歯歯車14と一体化された支持部材20が被駆動装置に連結されてもよい。この場合、起振体12が回転したとき、起振体12の回転は、外歯歯車14と減速用内歯歯車18-Aにより減速されたうえで、外歯歯車14や支持部材20を通して被駆動装置に出力される。
【0098】
(第7の実施の形態)
図9は、第7実施形態の歯車装置10を示す部分拡大図である。本実施形態の歯車装置10は、第4実施形態の歯車装置10と比べ、主に、外歯歯車14の構造が相違している。
【0099】
外歯歯車14は、前述の実施形態と同様、外歯基部14aと、第1内歯歯車18と噛み合う第1外歯14b-Aと、第2内歯歯車18と噛み合う第2外歯14b-Bとを有する。なお、本実施形態でも、第4実施形態と同様、外歯歯車14は歯車用樹脂により構成され、起振体12、起振体軸受16の第1外輪16c、入力側軸受ハウジング22-Aは樹脂により構成される。また、減速用内歯歯車18-A、出力用内歯歯車18-B、起振体軸受16の第1転動体16aは高熱伝導材料としての金属により構成される。外歯歯車14は樹脂製歯車40を構成し、内歯歯車18-A、18-Bは高耐摩耗性歯車42を構成することになる。第1実施形態と同様、樹脂製歯車40(外歯歯車14)の歯厚は高耐摩耗性歯車42(内歯歯車18)の歯厚より大きい。これにより、第1実施形態と同様、前述の各種効果を得られる。
【0100】
外歯歯車14の第1外歯14b-Aと第2外歯14b-Bには、第1内歯歯車18や第2内歯歯車18との噛み合い時、互いに周方向の逆向きの力が付与される。この結果、第1外歯14b-Aと第2外歯14b-Bの歯面はねじれ易くなり、内歯歯車18の内歯18b-A、18b-Bに歯面の一部のみが強く当たる片当たりが生じ易くなる。
【0101】
この対策として、外歯歯車14は、第1外歯14b-Aと第2外歯14b-Bの間に設けられる溝部14gを有する。この溝部14gは、第1外歯14b-Aと第2外歯14b-Bそれぞれの歯先から歯底までの径方向の範囲を含むように設けられ、第1外歯14b-Aと第2外歯14b-Bを軸方向Xに分離させている。これにより、第1外歯14b-Aと第2外歯14b-Bに互いに周方向の逆向きに力が付与された場合でも、その力の影響が相互に及び難くなり、片当たりの発生を抑制できる。
【0102】
ここで、本実施形態の外歯歯車14は、溝部14gの径方向内側にて、外歯歯車14の内周側に設けられる凸部14hを有する。凸部14hは、外歯基部14aから径方向内側に突出している。凸部14hは、溝部14gの軸方向Xの全長に亘る範囲で溝部14gより径方向内側にあるように設けられる。つまり、凸部14hは、径方向から見たとき、溝部14gの全長に亘る範囲で溝部14gと重なるように配置される。凸部14hは、第1起振体軸受16-Aと第2起振体軸受16-Bの間に配置される。
【0103】
これにより、外歯歯車14の溝部14g周りの部位を凸部14hにより補強でき、その溝部14g周りの部位のねじれに対する強度の向上を図れる。また、起振体軸受16と内歯歯車18の間での外歯歯車14の周方向寸法の増大を招くことなく補強できる利点もある。この他にも、第1起振体軸受16-Aと第2起振体軸受16-Bの間のスペースを利用して補強できる利点もある。また、外歯歯車14は歯車用樹脂により構成され、金属と比べて強度を確保し難いが、凸部14hにより強度を確保できる利点もある。
【0104】
なお、本実施形態では、凸部14hを有する外歯歯車14が歯車用樹脂により構成される例を説明したが、凸部14hを有する外歯歯車14が高熱伝導材料、詳しくは、金属により構成されてもよい。
【0105】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明した。前述した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施形態の内容は、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された発明の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。前述の実施形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「実施形態の」「実施形態では」等との表記を付して説明しているが、そのような表記のない内容に設計変更が許容されないわけではない。また、図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0106】
歯車装置10の構成要素は、外歯歯車14と内歯歯車18の一方の歯車が樹脂、他方の歯車が高熱伝導材料により構成されていれば、その他の構成要素の素材は特に限定されるものではない。たとえば、外歯歯車14と内歯歯車18以外の構成要素として、起振体12、起振体軸受16、主軸受24、軸受ハウジング22、軸受26、ボルトB1、B3等があるが、これらは、外歯歯車14と内歯歯車18の素材にかかわりなく、樹脂及び高熱伝導材料の何れが用いられてもよい。
【0107】
撓み噛み合い式歯車装置の種類は、特に限定されず、筒側、シルクハット型の他に、いわゆるカップ型等でもよい。
【0108】
減速用内歯歯車18-Aと支持部材20は、単一の部材の一部を構成しており、互いに一体化される例を説明した。この他にも、これらを別々の部材として設け、これらを連結することで一体化してもよい。
【0109】
当接部材は、軸受ハウジング22を例に説明したが、外歯歯車14に当接するものであればよく、その具体例は特に限定されない。
【0110】
第3実施形態~第7実施形態のもとでも、外歯歯車14の内周面には外輪側転走面16eを設けてもよい。
【0111】
内歯歯車18-A、18-Bを樹脂、外歯歯車14を高熱伝導材料により構成する場合、実施形態においては、内歯歯車18-A、18-Bの両方の歯厚を外歯歯車14の歯厚より大きくする例を説明したが、これに限定されない。この場合、内歯歯車18-A、18-Bの少なくとも一方の歯厚が外歯歯車14の歯厚より大きければよい。
【0112】
また、内歯歯車18-A、18-Bを高熱伝導材料、外歯歯車14を樹脂により構成する場合、外歯歯車14の歯厚は、内歯歯車18-A、18-Bの少なくとも一方の歯厚より大きければよい。
【符号の説明】
【0113】
10…歯車装置、12…起振体、14…外歯歯車、14a…基部、14b…第1外歯、14c…第2外歯、14g…溝部、14h…凸部、16…起振体軸受、16e…外輪側転走面、18…内歯歯車、18-A…減速用内歯歯車(第1内歯歯車)、18-B…出力用内歯歯車(第2内歯歯車)、20…支持部材、22-A…入力側軸受ハウジング(第1当接部材)、22-B…反入力側軸受ハウジング(第2当接部材)。