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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】巻き芯
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/28 20060101AFI20220614BHJP
   B65H 75/26 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
B65H75/28
B65H75/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018179040
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020050462
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-04-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(72)【発明者】
【氏名】桑原 弘
(72)【発明者】
【氏名】小高 正之
(72)【発明者】
【氏名】浅田 丈司
(72)【発明者】
【氏名】須藤 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】中村 卓
【審査官】飯田 義久
(56)【参考文献】
【文献】特公平05-049575(JP,B2)
【文献】特開2004-224569(JP,A)
【文献】特開2001-270513(JP,A)
【文献】特開2002-046943(JP,A)
【文献】特開2014-210647(JP,A)
【文献】実開平02-094868(JP,U)
【文献】特開2004-123375(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/14
B65H 75/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状物品を外周に巻き取り可能な筒状の胴部と、前記胴部の両端部のうち少なくとも一端部に連設され、前記胴部に連設される内端から外端に向けてテーパ形に拡がっており、その連設された端部の方向に前記胴部の外周に巻き取られたシート状物品がずれ動くのを阻止する鍔部と、を備える巻き芯と、
前記巻き芯の鍔部および胴部のうち胴部のみに巻き取られている前記シート状物品と、
からなる、シート状物品が巻き取られた巻き芯。
【請求項2】
前記胴部の外周と前記テーパ形の鍔部の外周とのなす角度は100度~150度である請求項1に記載のシート状物品が巻き取られた巻き芯。
【請求項3】
前記胴部と前記鍔部とは別体に形成されており、
前記鍔部は、前記シート状物品がずれ動くのを阻止するための鍔部本体と、前記胴部の開口する端部に嵌め込み可能な嵌合部とを有し、
前記嵌合部が前記胴部の端部にはめ込まれている、請求項1または2に記載のシート状物品が巻き取られた巻き芯。
【請求項4】
前記胴部の外周面の表面粗さは、前記胴部の内周面の表面粗さよりも大きくなっている、請求項1から3のいずれかに記載のシート状物品が巻き取られた巻き芯。
【請求項5】
前記鍔部は、前記胴部の周方向の一部に欠落部を有している請求項1から4のいずれかに記載のシート状物品が巻き取られた巻き芯。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のシート状物品が巻き取られた巻き芯と、
前記シート状物品が巻き取られた巻き芯を収納する収納ケースと、を備えるシート状物品の収納体。
【請求項7】
前記巻き芯の鍔部の最大径は、
前記巻き取られたシート状物品の外径よりも大きく、
前記収納ケースへ収納された状態で、
前記巻き芯の鍔部は前記収納ケースの内面と接触可能であり、
前記シート状物品の外周面は前記収納ケースの内面と接触不能である、請求項6に記載のシート状物品の収納体。
【請求項8】
前記巻き芯は略円筒形の紙管であり、
前記シート状物品はアルミニウム箔である、請求項6または7に記載のシート状物品の収納体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻き芯、その巻き芯を用いたシート状物品の収納体、そのシート状物品の収納体を複数収納してなるシート状物品の収納体の包装体、および巻き芯の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム箔等のシート状物品を、特許文献1および2のような紙管等の筒状の巻き芯に巻き取り、その巻き芯を収納ケースに収納してなるシート状物品の収納体が市販されている。
シート状物品を使用する際には、ロール状に巻き取られたシート状物品の外周に現れる巻終端をつかんで引っ張ると、シート状物品の巻きが解ける向きに、巻き芯が収納ケース内で軸心周りに回転し、収納ケースの開口からシート状物品が繰り出される。
シート状物品を所望の長さ分引き出すと、収納ケースの開口縁に設けられたカッタに押し付けるなどしてカットする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-109849号公報
【文献】特開2014-12603号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで一般に、シート状物品は巻き芯に巻き回されることのみで保持されているため、シート状物品の収納体の輸送中などに衝撃がかかると、シート状物品が巻き芯の軸方向にずれ動く現象が起こりやすかった。
そして、特許文献1および2のような従来の巻き芯は、端部に至るまで均一径であったため、ずれ動いたシート状物品はその一部がそのまま巻き芯の端部からはみ出てしまうことがあった。
この状態でさらに衝撃がかかると、シート状物品の巻き芯端部からはみ出した箇所に打痕が発生する。このような打痕が発生すると、体裁が悪く商品価値が低下するうえ、シート状物品を繰り出す際にその打痕を起点に意図せずに引裂かれてしまうなどして、実用上も問題がある。
シート状物品の巻き芯への巻きの強さを大きくすることで軸方向へのずれ動きを抑制することも考えられるが、ずれ動きを完全に防止することはできないし、過剰に強く巻きつけようとすると、巻き取り作業時にシート状物品に破断等が生じる恐れもある。
【0005】
そこで本発明の解決すべき課題は、シート状物品を巻き取るための巻き芯について、巻き取られたシート状物品が端部へとずれ動くのを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、発明にかかる巻き芯を、シート状物品を外周に巻き取り可能な筒状の胴部と、前記胴部の両端部のうち少なくとも一端部に連設され、その連設された端部の方向に前記胴部の外周に巻き取られたシート状物品がずれ動くのを阻止する鍔部と、を備える構成としたのである。
【0007】
巻き芯の端部に鍔部を設けたことで、シート状物品が巻き芯の端部の方向にずれ動いて端部からはみ出し、打痕等が発生することが防止される。
【0008】
発明にかかる巻き芯では、前記鍔部は、前記胴部に連設される内端から外端に向けてテーパ形に拡がっている構成を採用するのが好ましい。
このように構成すると、従来の巻き芯の端部を加工することで、胴部と鍔部とを一体に形成することが容易となる。また、鍔部が滑らかに傾斜しているため、大きな衝撃がかかってシート状物品が巻き芯の軸方向に急にずれ動いた際にも、シート状物品の端部が鍔部の壁面に衝突するなどして損傷することが防止される。
【0009】
発明にかかる巻き芯では、前記テーパ形の鍔部の外周と前記胴部の外周とのなす角度は、100度~150度であるのが好ましい。
この角度が100度を下回ると、鍔部の胴部からの立ち上がり角度が大きすぎて、シート状物品がずれ動いて鍔部へと至った際に、鍔部の壁面に衝突して損傷するおそれがある。また角度が150度を上回ると、鍔部の胴部からの立ち上がり角度が小さすぎて、シート状物品がずれ動いて鍔部にまで至った際に、鍔部を乗り越えて巻き芯の端部からはみ出してしまうおそれがある。
【0010】
発明にかかる巻き芯では、前記胴部と前記鍔部とは筒状の原材から一体に構成されており、前記胴部は、前記原材の中央部から形成されており、前記鍔部は、前記原材の端部を縁巻状にカールさせることで形成されている構成を採用することができる。
このように構成すれば、一般的な紙容器や合成樹脂容器の周縁部に縁巻を形成するのと同様の技術で、巻き芯に鍔部を形成することができるため、発明にかかる巻き芯を簡易かつ低コストに作製することが可能となる。
【0011】
発明にかかる巻き芯では、前記胴部と前記鍔部とは別体に形成されており、前記鍔部は、前記シート状物品がずれ動くのを阻止するための鍔部本体と、前記胴部の開口する端部に嵌め込み可能な嵌合部とを有し、前記嵌合部が前記胴部の端部にはめ込まれている構成を採用することができる。
このように構成すれば、従来の巻き芯を胴部としてそのまま利用し、その端部に鍔部をはめ込むことで発明にかかる巻き芯を作製することが可能となる。また、胴部と鍔部とで素材を異ならせ、胴部を紙製とし、鍔部を合成樹脂製とするなどして、一定以上の強度が要請される鍔部のみを重点的に補強することができる。胴部と鍔部のいずれかに欠陥が生じた場合にも、巻き芯全体を廃棄するのではなく、胴部または鍔部のみを廃棄すればよいため、巻き芯の各部位の有効利用が図られる。
【0012】
発明にかかる巻き芯では、前記胴部の外周面の表面粗さは、前記胴部の内周面の表面粗さよりも大きくなっている構成を採用することが好ましい。
このように構成すれば、胴部の外周面におけるシート状物品との摩擦力が大きくなるため、シート状物品が巻き芯の端部の方向にずれ動くことが一層抑制される。
【0013】
発明にかかる巻き芯では、前記鍔部が前記胴部の周方向の一部に欠落部を有する構成を採用することができる。
鍔部を胴部の全周に連続的に設ける場合に、巻き芯の端部の全周を押し拡げる等して鍔部を形成しようとすると、引張荷重に耐えきれず鍔部に割れが生じる恐れがある。胴部の全周のうちの一部に鍔部が設けられていない箇所を設けることで、鍔部の形成中に割れが生じることが防止される。
【0014】
上記した課題を解決するため、発明にかかるシート状物品の収納体を、発明にかかる巻き芯と、前記巻き芯の胴部に巻き取られたシート状物品と、前記シート状物品が巻き取られた前記巻き芯を収納する収納ケースと、を備える構成としたのである。
【0015】
発明にかかるシート状物品の収納体では、前記巻き芯の鍔部の最大径は、前記巻き取られたシート状物品の外径よりも大きく、前記収納ケースへ収納された状態で、前記巻き芯の鍔部は前記収納ケースの内面と接触可能であり、前記シート状物品の外周面は前記収納ケースの内面と接触不能である構成を採用することが好ましい。
このように構成すると、シート状物品は収納ケースの内部で浮き上がった状態にあるため、繰り出しの際に巻き芯以外からは摩擦力が加わらず、スムーズに繰り出すことができる。また、シート状物品の外周面が収納ケースの内面と接触していないか、接触したとしてもごくわずかとなるため、擦り傷がつくことも防止でき、衛生面でも好適となる。
【0016】
発明にかかるシート状物品の収納体では、前記巻き芯は略円筒形の紙管であり、前記シート状物品はアルミニウム箔である、構成を採用するのが好ましい。
巻き芯としては紙管が安価かつ軽量で廃棄処分も容易である。また、シート状物品としてはアルミニウム箔が打痕が発生した場合に巻きの内側と外側とが、かしめられたようになって固着しやすく千切れ等が生じやすいため、巻き芯に鍔部を設けて打痕を防ぐことがもっとも効果的である。
【0017】
上記した課題を解決するため、発明にかかるシート状物品の収納体の包装体を、上下面、前後面および左右面を有する包装箱と、前記包装箱に対して、前記巻き芯の軸方向が前記包装箱の上下方向と略一致するように前後左右方向に並列して収納される発明にかかる複数のシート状物品の収納体と、からなり、前記巻き芯の鍔部は、胴部の両端部の内の一端部のみに連設されており、その連設された端部は前記シート状物品の収納体が前記包装箱に収納された状態で、前記包装箱の下面の側に位置している構成とすることができる。
このように構成すると、巻き芯の片端部にのみ鍔部を設ければよいため、両端部に設ける場合よりも作製が容易となる。シート状物品の収納体の包装体の輸送中に衝撃がかかると、通常は重力の関係で下方向にのみシート状物品は巻き芯の胴部上をずれ動くが、その下方向には鍔部が存在するため、それ以上のずれ動きが阻止される。
【0018】
上記した課題を解決するため、発明にかかる巻き芯の製造方法を、先端部から根元部に向けて拡径するテーパ形をしており、先端部の径は前記原材の径よりも小さく根元部の径は前記原材の径よりも大きなパンチを、前記原材の開口する端部から、前記先端部が前記根元部よりも先行する向きに挿入することで、前記原材の端部を内側から押し拡げる工程と、を含み、前記押し拡げる工程により押し拡げられなかった前記原材の中央部が、シート状物品が巻き取られてなるロール体を外周上に保持可能な胴部となり、前記押し拡げる工程により押し拡げられた前記原材の端部が、その端部の方向に前記ロール体が前記胴部の外周上からずれ動くのを阻止するテーパ形の鍔部となる、構成としたのである。
このように構成すると、従来の巻き芯の端部をパンチで加工することで簡易に発明にかかる巻き芯を製造することができる。
【0019】
発明にかかる巻き芯の製造方法では、前記押し拡げる工程は、前記原材と前記パンチの間にガイドを介在させ、前記パンチが前記原材に接触しないように行なわれる構成とすることができる。
このように構成すると、パンチが原材との接触により磨耗することが防止され、パンチの交換頻度を減らすことができる。
【発明の効果】
【0020】
発明にかかる巻き芯等を以上のように構成したので、巻き取られたシート状物品が端部へとずれ動くのを防止できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】実施形態のシート状物品の収納体の、(a)は分解した状態の斜視図、(b)は組み立てた状態の斜視図
図2図1(b)の矢印断面図
図3】実施形態の巻き芯の(a)はシート状物品が中央にある状態の正面図、(b)はシート状物品が端部に偏った状態の正面図
図4】実施形態の巻き芯の鍔部の傾斜角度を示す要部拡大図
図5】実施形態の巻き芯の製造工程図
図6】実施形態の巻き芯の製造工程の他の例を示す図
図7】実施形態の巻き芯の他の例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1および図2に示すように、実施形態のシート状物品の収納体1は、実施形態の巻き芯10と、実施形態の巻き芯10に巻き取られるシート状物品20と、実施形態の巻き芯を収納する収納ケース30と、を有し、実施形態の巻き芯10の特殊な構造により、シート状物品20が巻き芯10の端部へとずれ動くことが阻止されている。
なお、本明細書において、シート状物品20が巻き芯10の端部へとずれ動くことを阻止(あるいは防止)するとは、シート状物品20の巻き芯10からの完全なずれ動きを止めることのみならず、シート状物品20が巻き芯10からずれ動いたとしても巻き芯10の端部までは到達していない状態をも含むものである。
【0023】
図1のように、実施形態の巻き芯10は、両端面が開口する略円筒形をしており、中央の胴部11と、胴部11の両端部に連設された鍔部12とを有する。
巻き芯10の材質は特に限定されず、紙製、合成樹脂製、金属製、これらを複合したものが例示できるが、安価で軽量であり、廃棄処分も容易であることから紙製であることが好ましい。紙製の巻き芯10としては、帯状の原紙を螺旋状に巻回したものを複数層重ね合わせることで形成される紙管が一般的である。
【0024】
図1のように、胴部11は、その全長にわたってほぼ均一径であり、その外周にシート状物品20を巻き取ることが可能となっている。
図3のように、胴部11の軸方向の長さLはシート状物品20の幅wよりも若干大きく、シート状物品20がはみ出さないように、幅方向の全域を胴部11に巻き取ることが可能となっている。
【0025】
胴部11は、その外周面の表面粗さが内周面の表面粗さよりも大きくなっている。胴部11の内周面の表面粗さは、一般的な巻き芯の表面粗さと同様となっている。
このように胴部の外周面の表面が通常よりも粗くなっているため、ここに巻き取られたシート状物品20は、胴部11上をずれ動きにくくなっている。
胴部11の外周面の表面粗さを大きくする方法については特に限定されないが、巻き芯10の全体を作製後に、胴部11の外周面のみを粗面加工することや、帯状の原紙としてその両面で表面粗さが異なるものを予め準備して、外周側の表面粗さが内周側の表面粗さよりも大きくなるように巻き回して巻き芯10を形成することが例示できる。
【0026】
図1のように、鍔部12は、胴部11の両端部の全周に連続的かつ一体的に連設され、その連設された内端から外端に向けて拡径するテーパ形をなしている。鍔部12の胴部11に連設された内端の径は胴部の径とほぼ同一であり、鍔部の外端の径(最大径)は胴部の径よりも大きくなっている。
この鍔部12があることで、胴部11に巻き取られたシート状物品20が図3(a)から(b)のように、巻き芯10の軸方向にずれ動いても、胴部11と鍔部12との境界でシート状物品20の端部が鍔部12に接触して、それ以上のずれ動きが阻止されるようになっている。
【0027】
図4に示す鍔部の傾斜角度α(胴部の外周と鍔部の外周とのなす角度)は特に限定されないが、100度~150度が好ましく、110~140度がより好ましい。
傾斜角度αが100度に満たないと、鍔部12が胴部11から立ち上がる角度が大きすぎて、胴部11からずれ動いたシート状物品20の端部が鍔部の壁面に正面衝突して損傷するおそれがある。また、傾斜角度αが150度を超えると、鍔部12が胴部11から立ち上がる角度が小さすぎて、胴部11からずれ動いたシート状物品20の端部が鍔部12に乗り上げ、さらに鍔部12を乗り越えて巻き芯の端面からはみ出してしまうおそれや巻き芯10の軸方向の長さが大きくなってしまうおそれがある。
鍔部12の軸方向への長さは特に限定されないが、2~6mmが好ましく、2.5~4mmであればより好ましい。2mmに満たないと、大きな衝撃がかかった時に、シート状物品20が鍔部12を乗り越えてしまうおそれがある。6mmを超えると、巻き芯10の軸方向の長さが大きくなりすぎて嵩張ってしまうおそれがある。
【0028】
図1および図2のように、シート状物品20は、巻き芯10の胴部11の外周にロール状に巻き取られている。
シート状物品の種類は特に限定されず、アルミニウム箔、クッキングペーパー、ペーパータオルが例示できる。アルミニウム箔の表面にシリコンコート処理をするなど、表面処理をおこなうこともできる。特にシート状物品の表面が滑りやすいものは、ロール状に巻き取ったときに巻き芯10からのずれ動きが生じやすいので、本発明の巻き芯を適用するとずれ動きが防止できるので効果的である。
図2のように、巻き芯10に巻き取られた状態でのシート状物品20のロール径rは、巻き芯10の胴部11の径よりも大きく、かつ鍔部12の外端に相当する最大径Rよりも小さくなっている。
【0029】
図1および図2のように、収納ケース30は、シート状物品20が巻き取られた巻き芯10を収納するケース本体31と、フラップ32と、ケース本体31の開口を開閉可能な蓋33と、カッタ34とを有する。
収納ケース30の材質は特に限定されず、紙製、合成樹脂製、金属製であることが例示できるが、軽量かつ安価であり、廃棄処分も容易であるため紙製であることが好ましい。
【0030】
図1および図2のように、ケース本体31は、前後に対向する正面板31aと背面板31b、左右に対向する一対の側面板31c、および底面板31dからなって天面が開口する左右方向に細長い直方体形状をなしている。
ケース本体31の左右の側面板31c間の距離は、巻き芯10の軸方向の長さLとほぼ同じか若干大きく、正面板31aと背面板31bの間の距離は、巻き芯10の最大径Rとほぼ同じか若干大きい。巻き芯10は、その軸方向とケース本体31の左右方向が一致するようにケース本体31に若干の隙間を有した状態で収納される。
【0031】
上述のように、巻き芯10の最大径Rはシート状物品20のロール径rよりも大きいため、図2のように、巻き芯10がケース本体31に収納された状態で、巻き芯10の鍔部12は、ケース本体31の底面板31dや正面板31a、背面板31bの内面に接触する。一方、ロール状に巻き取られたシート状物品20は、ケース本体31の内面に接触せず、宙に浮いた状態にある。
したがって、ケース本体31の開口を通じて、巻き芯10にロール状に巻き取られたシート状物品20の巻終端を引っ張り、シート状物品20を繰り出す際に、シート状物品20はケース本体31と擦れることなく、スムーズに繰り出されることになる。
【0032】
ケース本体31の一対の側面板31cの上縁には、フラップ32が連設されており、このフラップ32は、ケース本体31の収納空間に向けて折り曲げられている。フラップ32の側面板31cとの境界には、切込によりロック片32aが区画されており、このロック片32aは折り曲げられていない。
ケース本体31に巻き芯10が収納された状態で、左右のフラップ32がケース本体の開口に臨んでいるため、このフラップ32が障壁となって、巻き芯10が意図せずにケース本体31の開口から飛び出ることが防止されている。
【0033】
図1および図2のように、蓋33は、正面板33a、左右に対向する一対の側面板33b、および天面板33cを有し、天面板33cの後縁はケース本体31の背面板31bの上縁に連結されている。
蓋33は、天面板33cとケース本体31の背面板31bとの境界を中心に回動操作できるようになっており、ケース本体31の天面開口を閉鎖および開閉することが可能となっている。
蓋33がケース本体31の開口を閉鎖した状態で、蓋33の正面板33aと、ケース本体31の正面板31aとは、正面板33aが外側に正面板31aが内側になるように重なり合う。同様に、蓋33の左右の側面板33bと、ケース本体31の左右の側面板31cとは、側面板33bが外側に側面板31cが内側になるように重なり合う。ここで、閉鎖状態で、フラップ32のロック片32aは蓋33の側面板33bの内面に押し当てられている。したがって、蓋33はロック片32aにより保持され、蓋33が素材の復元弾性などにより回動して、ケース本体31の開口が意図せずして開放されてしまうことが防止されている。
【0034】
図1および図2のように、蓋33の正面板33aの下縁の内面には、鋸歯状のカッタ34が連設されている。
所望の長さに引き出されたシート状物品20は、このカッタ34に押し当てられることで切断され、使用に供される。
【0035】
実施形態のシート状物品の収納体1および実施形態の巻き芯10の構成は以上のようであり、次に図5および図6を参照して、実施形態の巻き芯10の製造方法について説明する。
【0036】
図5(a)のように、まず原材SとパンチPとを準備する。原材Sは円筒形でかつ全長にわたり均一径である。このような原材Sの種類は限定されないが、一般的な紙管が例示できる。
パンチPは、先端部から根元部に向けて拡径するテーパ部tを有する。テーパ部tの先端部の径は原材Sの径(内径)よりも小さく、テーパ部tの根元部の径は原材Sの径(外径)よりも大きい。テーパ部tの外周面は円弧状に窪んでいる。
いま図5(a)から(b)のように、原材Sの端面とパンチPの先端とが対向した状態で、パンチPを前進させ、そのテーパ部tの先端部を原材Sの端面開口から挿入する。
【0037】
パンチPをさらに前進させると、テーパ部tの根元部まで原材Sの端面開口に入り込もうとする。このとき、上述した寸法関係から、テーパ部tの根元部が入り込むことで、原材Sの端部は内側から押し拡げられ、図5(b)のようにテーパ状に変形する。
このような変形を容易とするために、原材Sを適宜加熱等してもよい。
原材SのパンチPにより加工された両端部が鍔部12となり、パンチPの影響を受けない中央部が胴部11となって実施形態の巻き芯10が完成する。
【0038】
あるいは図6(a)のように、原材SとパンチPに加えてガイドGを準備する。このガイドGは、周方向に分割されており、拡径可能となっている。パンチPのテーパ部tは直線状に傾斜している。
図示のように、あらかじめガイドGが原材Sの端面開口に挿入された状態で、パンチPを前進させ、ガイドGに差し込む。パンチPのテーパ部tの楔作用により、ガイドGは拡径し、これにより原材Sの端部は内側から押し拡げられ、図6(b)の用にテーパ状に変形する。
パンチPと原材Sとの間にガイドGを介在させることで、パンチPが原材Sに接触することがなくなり、巻き芯10の作製時におけるパンチPの摩耗が抑制される。
なお、原材Sの端部への鍔部12の形成は、シート状物品20を巻き取る前の状態の原材Sに前述のパンチPによる加工を行って形成してもよいし、原材Sにシート状物品20を巻き取った後にその原材Sの端部へ前述の加工を行って形成してもよい。
【実施例
【0039】
次に本発明の実施例および比較例を挙げて本発明の内容を一層明確にする。
【0040】
実施例として、胴部と胴部の両端部にテーパ形の鍔部が設けられていない巻き芯を準備し、この巻き芯に所定長のアルミホイルを巻き取った後、胴部の端部(アルミホイルが巻かれてない部分)にパンチを挿入して端部を拡径させることにより、胴部の両端部にテーパ形の鍔部を設けた。
ここで巻き芯の全長は256mm、胴部の径は29mm、鍔部の傾斜角度は135度、鍔部の最大径は32mmであり、アルミホイルの幅は250mm、アルミホイルの箔厚みは11μmであり、巻き取ったアルミホイルの長さは15m、胴部に巻き取られたアルミホイルの巻径は31mmであった。
また比較例として、鍔部が設けられていない巻き芯を準備し、この巻き芯に実施例と同様にのアルミホイル箔を巻き取った。
ここで、比較例における寸法は、鍔部を除いて実施例と同様である。
【0041】
ついで、アルミホイルが巻き取られた巻き芯よりも口径の大きな、有底円筒形の容器を準備し、実施例および比較例の巻き芯を、その軸方向が上下方向に向くように、かつその下側の端部と容器の底との距離が10cmになるまで挿入した。
ここから実施例および比較例の巻き芯を自然落下させ、アルミホイルのずれ具合を観察した。
ここで、アルミホイルが巻き芯に対してずれ動いていないかアルミホイルが巻き芯に対してずれ動いているが端部にまでは至っていない場合は○と、アルミホイルが巻き芯に対してずれ動き端部にまで至っている場合は×と評価した。
その結果、実施例においては○、比較例においては×の結果を得た。これにより、実施例の巻き芯ではアルミホイルのずれ動きが充分に抑制されていることがわかった。
【0042】
今回開示された実施形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲内およびこれと均等の意味でのすべての修正と変形を含む。
【0043】
実施形態では、巻き芯10の鍔部12を胴部11の両端に設けているが、図7(a)のように、一端部のみに設けてもよい。
一般にシート状物品の収納体1を輸送する際には、この収納体1を、上下面、前後面および左右面を有する包装箱に、巻き芯の軸方向が包装箱の上下方向と略一致するように左右方向に並列して収納する。すなわち、シート状物品の収納体の包装体の状態で輸送されるが、巻き芯10の鍔部12が胴部11の一端部のみに設けられている場合には、その鍔部12が包装箱の下面に側に位置するように収納するのが好ましい。
輸送中には、重力の関係からシート状物品20は通常、包装箱の下面に向けてずれ動こうとし、上面に向けてずれ動こうとはしない。その包装箱の下面の方向に巻き芯10の鍔部12が存在するため、シート状物品20のずれ動きが防止される。
【0044】
また、巻き芯10の鍔部12の形状は実施形態のテーパ形に限定されず、胴部11の外周に巻き取られたシート状物品20の巻き芯10端部へのずれ動きを阻止できるものであればよい。
たとえば、図7(b)のように、フランジ状のものとしたり、図7(c)のように、縁巻状のものとすることができる。
鍔部12の寸法についても、実施形態のように、その最大径が胴部11の径より大きくなっているのが好ましいが、少なくとも鍔部12の最大径が胴部11の径と同じであればシート状物品20のずれ動きを防止する効果を奏しうる。
実施形態では、巻き芯10の胴部11と鍔部12とを一体に形成しているが、別体に形成した後に一体化するものでもよい。
たとえば、図7(b)のように、鍔部12を胴部11よりも大径の鍔本体12aと、鍔本体12aと同心上に位置し、胴部11の内径とほぼ同径の嵌合部12bとからなるものとして、胴部11の開口する端部に嵌合部12bをはめ込むことで一体化することもできる。
鍔部12の形成態様も実施形態に限定されず、たとえば図7(c)のように、従来の紙容器や合成樹脂容器に用いられる縁巻技術を利用して、鍔部12を形成することもできる。
鍔部12は実施形態のように胴部11の全周に連続して形成されるものに限定されず、全周の一部に鍔部12の欠落部を有していてもよい。すなわち、鍔部12は胴部11の全周に断続的に形成したり一部のみに形成したりしてもよい。
【0045】
巻き芯10の製造方法は実施形態に限定されない。たとえば、巻き芯10の材質を合成樹脂製とする場合には、実施形態のように、均一径の原材の端部にパンチPで加工する必要はなく、所望の鍔部12の形状となるよう金型等を用いて成形すればよい。
【0046】
収納ケース30の形状は、シート状物品20を巻き取った巻き芯10を収納可能な限りにおいて、実施形態の形状に限定されない。
たとえば、フラップ32やロック片32aは省略可能である。また、ケース本体31の両側面板31cに切込みにより、収納空間に向けて押しこみ可能なロック片を設け、このロック片を押し込んで巻き芯10の端部開口に差し込むことで、巻き芯10のケース本体31からの飛び出しを防止することもできる。
【符号の説明】
【0047】
1 実施形態のシート状物品の収納体
10 実施形態の巻き芯
11 胴部
12 鍔部
12a 鍔本体
12b 嵌合部
20 シート状物品
30 収納ケース
31 ケース本体
31a 正面板
31b 背面板
31c 側面板
31d 底面板
32 フラップ
32a ロック片
33 蓋
33a 正面板
33b 側面板
33c 天面板
34 カッタ
R 鍔部の最大径
r シート状物品のロール径
L 胴部の軸方向長さ
w シート状物品の幅
α 鍔部の傾斜角度
S 原材
P パンチ
t パンチのテーパ部
G ガイド
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7