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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】新生児向けの脳機能改善用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/745 20150101AFI20220614BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20220614BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20220614BHJP
   C12N 1/20 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A61K35/745
A61P25/28
A23L33/135
C12N1/20 E
C12N1/20 A ZNA
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018512035
(86)(22)【出願日】2017-04-12
(86)【国際出願番号】 JP2017014915
(87)【国際公開番号】W WO2017179602
(87)【国際公開日】2017-10-19
【審査請求日】2020-03-27
(31)【優先権主張番号】P 2016080676
(32)【優先日】2016-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【微生物の受託番号】NPMD  NITE-BP-31
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006138
【氏名又は名称】株式会社明治
(74)【代理人】
【識別番号】100107342
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 修孝
(74)【代理人】
【識別番号】100155631
【弁理士】
【氏名又は名称】榎 保孝
(74)【代理人】
【識別番号】100137497
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 未知子
(74)【代理人】
【識別番号】100207907
【弁理士】
【氏名又は名称】赤羽 桃子
(74)【代理人】
【識別番号】100217294
【弁理士】
【氏名又は名称】内山 尚和
(72)【発明者】
【氏名】楠田 聡
(72)【発明者】
【氏名】戸津 五月
(72)【発明者】
【氏名】寺原 正樹
【審査官】濱田 光浩
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/070016(WO,A1)
【文献】特開2006-273852(JP,A)
【文献】東邦大学プレスリリース発行No.577平成27年1月27日「ビフィズス菌を含む乳酸菌飲料の継続摂取が機能性消化管障害患者の消化器および心理症状を改善」,https://www.toho-u.ac.jp/press/2014_index/577.html
【文献】Bioscience of Microbiota, Food Health (2015), Vol. 34, No. 2, p. 37-44
【文献】Journal of Dairy Science (2015), Vol. 98, p. 2277-2283
【文献】Pediatrics International (2014), Vol. 56, p. 714-719
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/745
A61K 35/744
A61P 25/28
A23L 33/135
C12N 1/20
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)を有効成分として含んでなる、新生児向けの脳機能改善用組成物であって、発達指数を向上させるための組成物(但し、前記組成物は非消化性オリゴ糖を含まない)
【請求項2】
ビフィドバクテリウム・ビフィダムがビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株(Bifidobacterium bifidum、受託番号:NITE BP-31)である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ビフィドバクテリウム・ビフィダムが加熱処理された菌体である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
1日当たり10個以上の菌数のビフィドバクテリウム・ビフィダムを1ヶ月以上連続して摂取させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
食品である、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、先行する日本国出願である特願2016-80676(出願日:2016年4月13日)の優先権の利益を享受するものであり、その開示内容全体は引用することにより本明細書の一部とされる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、新生児向けの脳機能改善用組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
出生後、ヒトが成長するにつれ、社会生活に適応、及び社会生活を楽しむには、適度な脳機能の発達が求められる。成人時での脳機能の発達には、発育過程、すなわち、成人になる前の脳機能の発達を必要とする。
【0004】
現在、乳幼児向けや小児向けの食品には、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)などの脳機能の改善が期待できる機能性成分入りの食品が市場に出回っている。また、乳幼児向けや小児向けに限らず、成人向け、老人向けの食品を想定した場合においては、エイコサペンタエン酸(EPA)及び/又はドコサヘキサエン酸(DHA)に限らず、数多くの食品成分の脳機能改善効果が知られている。
【0005】
さらに、有用微生物の摂取により機能性を奏するプロバイオティクスにおいても、ビフィドバクテリウム・ロンガムATCC BAA-9を含む食用組成物が、海馬BDNF(脳由来神経栄養因子)発現の低下を抑制することが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2011-517568号公報
【発明の概要】
【0007】
特許文献1では、成人の不安及び関連障害の治療若しくは予防を目的としており、神経が未発達である乳児、特に生後間もない新生児の発達指数向上を始めとする脳機能改善に適用するには、発達した神経組織への作用と、発達過程での神経組織への作用とを同一視できないことから、これを応用できるものではない。また、特許文献1の実施例は、マウスによる動物試験系を用いたネズミ鞭虫の感染により引き起こされる現象、及びDSS投与時に引き起こされる現象に対する結果であり、換言すれば、特別な条件下の結果であり、通常の条件下で十分に発達した健常成人への応用ですら困難である。
【0008】
特に生後間もない新生児に対しては、成人の脳機能改善効果を示唆する機能性素材を投与すると、副作用などによりその後の成長に影響を与える可能性があることから、教育的な指導を充実するなどの生活環境を向上させることで、脳機能の発達を促してきた。
【0009】
本発明は、新生児向けの脳機能改善用組成物及び脳機能改善剤を提供することを目的とする。
【0010】
本発明者らは今般、乳酸菌及び/又はビフィズス菌を新生児、特に生後間もない新生児に経口摂取させると、発達指数を向上させることができることを見出した。本発明はこの知見に基づくものである。
【0011】
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1]乳酸菌及び/又はビフィズス菌を有効成分として含んでなる、新生児向けの脳機能改善用組成物及び新生児向けの脳機能改善剤(以下、「本発明の組成物及び用剤」ということがある)。
[2]有効成分がビフィズス菌である、前記[1]に記載の組成物及び用剤。
[3]前記ビフィズス菌がビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)である、前記[1]又は[2]に記載の組成物及び用剤。
[4]前記ビフィズス菌がビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株(Bifidobacterium bifidum、受託番号:NITE BP-31)である、前記[1]~[3]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[5]前記ビフィズス菌が加熱処理された菌体である、前記[1]~[4]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[6]1日当たり108個以上の菌数の前記ビフィズス菌を1ヶ月以上連続して摂取させるか、あるいは投与する、前記[1]~[5]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[7]食品である、前記[1]~[6]のいずれかに記載の組成物及び用剤。
[8]新生児向けの脳機能改善用組成物又は新生児向けの脳機能改善剤の製造のための、乳酸菌及び/又はビフィズス菌の使用。
[9]新生児の脳機能改善に使用するための乳酸菌及び/又はビフィズス菌。
[10]有効量の乳酸菌及び/又はビフィズス菌を、それを必要としている対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、新生児の脳機能改善方法。
【0012】
本発明の組成物及び用剤によれば、新生児、特に生後間もない新生児において、発達指数向上効果に基づく脳機能改善効果を期待することができる。本発明の有効成分である乳酸菌及び/又はビフィズス菌は人類が長年摂取してきた食品素材に含まれる菌であることから、本発明の組成物及び用剤は、副作用がない状態で発達指数を向上させることができ、新生児を効果的に発育、成長させることができる点で有利である。
【発明の具体的説明】
【0013】
<乳酸菌>
本発明に使用される乳酸菌は、その種類や由来に制限がない。具体的には、例えば、サーモフィラス菌などのストレプトコッカス属、ブルガリア菌、ガセリ菌、アシドフィラス菌などのラクトバチルス属、ラクチス菌、クレモリス菌、ジアセチルラクチス菌などのラクトコッカス属、ロイコノストック属などが挙げられる。
【0014】
<ビフィズス菌>
本発明に使用されるビフィズス菌は、その種類や由来に制限がない。具体的には、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum)、ビフィドバクテリウム・ブレーベ(B.breve)、ビフィドバクテリウム・アドレセンティス(B.adolescentis)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(B.infantis)、ビフィドバクテリウム・シュードロンガム(B.pseudolongum)、ビフィドバクテリウム・テルモフィルム(B.thermophilum)等のビフィズス菌が挙げられる。
【0015】
具体的には、ビフィドバクテリウム・ビフィダムとしては、例えば、ビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株(Bifidobacterium bifidum、受託番号:NITE BP-31)が挙げられ、この菌株を使用することにより、本発明の組成物及び用剤を提供することが可能となった。
【0016】
本発明者らは、この菌株を独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託した。以下に寄託を特定する内容を記載する。
【0017】
本発明者らは、ビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378菌株(Bifidobacterium bifidum OLB6378)を下記の条件で寄託した。
(1)寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター
(2)連絡先:〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8(電話番号0438-20-5580)
(3)受託番号:NITE BP-31
(4)識別のための表示:Bifidobacterium bifidum OLB6378
(5)原寄託日:2004年10月26日
(6)ブダペスト条約に基づく寄託への移管日:2006年1月18日
【0018】
ビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378株は、ヒト乳幼児糞便由来のグラム陽性偏性嫌気性桿菌である。BL寒天培地(栄研化学株式会社)平板上に本菌を塗布し、AnaeroPack・ケンキ(三菱ガス化学製)使用による嫌気状態にて37℃48時間培養すると、不透明な円形半球状の光沢を有するコロニーを形成する。また、Bifidobacterium bifidumの特異的プライマー(腸内フローラシンポジウム8、腸内フローラの分子生物学的検出・同定、光岡知足、松本隆広)、具体的には、16S rRNA領域の種特異的プライマーである、BiBIF-1:CCA CAT GAT CGC ATG TGA TT(配列番号1)、及びBiBIF-2:CCG AAG GCT TGC TCC CAA A(配列番号2)を用いたPCRでPCR産物が認められる。また、ガラクトース、グルコース、フルクトース、ラクトース、ゲンチオビオースに対する発酵性を有する。
【0019】
本発明の菌株を培養するための培地としては乳酸菌及び/又はビフィズス菌の培地に通常用いられる培地を用いることができる。すなわち本発明に利用できる培地は特に限定されず、主炭素源のほか窒素源、無機物その他の栄養素を所定範囲の量で含有する培地であれば、いずれの培地も使用可能である。炭素源としてはラクトース、グルコース、スクロース、フラクトース、澱粉加水分解物、廃糖蜜などが使用菌の資化性に応じて使用できる。窒素源としてはカゼインの加水分解物、ホエイタンパク質加水分解物、大豆タンパク質加水分解物等の有機窒素含有物が使用できる。ほかに増殖促進剤として肉エキス、魚肉エキス、酵母エキス等を用いることができる。
【0020】
特にビフィズス菌においては、培養は嫌気条件下で行うことが好ましく、炭素ガスを通気しながら培養する方法などの公知の手法を適用することができるが、通常用いられる液体静置培養などによる微好気条件や、あるいはバッチ培養条件下など他の手法を用いて培養することもできる。培養温度は25~50℃、特に35~42℃が好ましいが、本発明はこれに限定されず、菌が生育できる温度であれば他の温度条件でもよい。培養中の培地のpHは、6.0~7.0に維持することが好ましいが、菌が生育することができる時間であれは他のpH条件であってもよい。培養時間は好ましくは3~48時間、さらに好ましくは8~24時間、特に好ましくは10~20時間であるが、菌が生育することができる時間であれは他の培養時間であってもよい。
【0021】
得られた菌体は以下のような処理を行った乳酸菌及び/又はビフィズス菌処理物として本発明の組成物及び用剤に含有させることができる。乳酸菌及び/又はビフィズス菌処理物としては、培養終了後のままの培養物、培養終了後に遠心分離又は濾別等をおこなった培養物、それらの濃縮物、さらにペースト状に加工したもの、各種方法による乾燥物(噴霧乾燥物、凍結乾燥物、真空乾燥物、ドラム乾燥物など)、媒体に分散させた液状物、希釈剤による希釈物、加熱処理した加熱処理物(加熱処理菌体)、紫外線及び/又は放射線により処理した光照射処理物(光照射処理菌体)、薬剤(殺菌剤、抗菌剤、静菌剤)により処理した薬剤処理物(薬剤処理菌体)、乾燥物をミルなどで破砕した破砕物、などが含まれる。遠心分離、濾別、濃縮は通常用いられている手法で行う。また乾燥は、例えば真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥、ドラム乾燥等により行うことができる。本明細書ではこれらを、「乳酸菌及び/又はビフィズス菌処理物」又は「処理物」と略記することがある。
【0022】
上記の方法で得られた乳酸菌及び/又はビフィズス菌並びにその処理物は、そのまま生菌で、又は加熱処理菌とした後、破砕あるいは未粉砕した処理物として、単独又は複数種の混合物として、本発明の組成物及び用剤に含有させることができる。生菌であれば、摂取又は投与後に体内(腸内)で増殖する等の効果が期待でき、加熱処理した菌体(例えば、加熱処理済みのビフィズス菌の懸濁(分散)液より0.1mlサンプリングし、これをビフィズス菌の生育できる培地を含むシャーレに塗沫し、嫌気条件下で培養してもビフィズス菌の集落(コロニー)が形成されない形態のもの)であれば、酸素の存在下で生存しづらいというビフィズス菌の特性を考慮する必要がなく、本発明の組成物及び用剤として応用範囲が拡がるため、好ましい。
【0023】
なかでもビフィズス菌は、生菌であることが特に好ましい。新生児に対し、生菌のビフィズス菌を下記の通りに継続的にビフィズス菌を摂取又は投与することで、新生児の腸内でビフィズス菌が定着し、本発明の効果を持続的に奏することが推認される。
【0024】
本発明で、加熱処理したビフィズス菌を用いる場合には、加熱処理の条件としては、例えば、加熱温度は通常60~300℃、好ましくは60℃~200℃、より好ましくは60~150℃、さらに好ましくは60~140℃、さらに好ましくは60~130℃、さらに好ましくは60~120℃、さらに好ましくは60~110℃、さらに好ましくは60~100℃、さらに好ましくは70~100℃、さらに好ましくは80~100℃、特に好ましくは85~95℃である。加熱処理の条件として60℃以上とすることで、ビフィズス菌の栄養細胞が殺菌されるため、好ましい。また、加熱処理の条件として300℃以下とすることで、ビフィズス菌が炭化せずに残存するため、好ましい。
【0025】
また、加熱処理の時間は、通常0.01~120分間、好ましくは0.015~60分間、より好ましくは0.02~40分間、さらに好ましくは0.025~30分間、さらに好ましくは0.03~25分間、特に好ましくは0.03~20分間である。加熱処理の時間を0.1分間以上とすることで、ビフィズス菌の栄養細胞が殺菌されるため、好ましい。また、加熱処理の時間を120分間以下とすることで、熱変性を抑えて栄養細胞の殺菌が効率よく行える点から好ましい。
【0026】
最適な加熱処理の時間を、低温域(60~100℃)での加熱処理においては、例えば、0.2~120分間、好ましくは0.2~60分間、より好ましくは0.2~40分間、さらに好ましくは0.2~30分間、さらに好ましくは0.2~25分間、特に好ましくは0.2~20分間とすることができる。また、最適な加熱処理の時間を、高温域(100~300℃)での加熱処理においては、例えば、0.01~0.5分間、好ましくは0.015~0.5分間、より好ましくは0.02~0.5分間、さらに好ましくは0.025~0.5分間、さらに好ましくは0.03~0.5分間、特に好ましくは0.03~0.5分間である。例えば、加熱処理は90℃で15分間の条件で行う。
【0027】
加熱処理方法は、特に限定されない。例えば得られた菌体をプレート式殺菌機、チューブラー式殺菌機、直接加熱式殺菌機、ジャケット付きタンク等の加熱殺菌装置を用いて、所定の条件で加熱することができる。
【0028】
本発明の新生児向けの脳機能改善効果を発揮するために、乳酸菌及び/又はビフィズス菌を摂取又は投与すべき量は、例えば、一日あたり10個以上、10~1012個、5×10~5×1011個、10~1011個、5×10~5×1010個、6×10~4×1010個、7×10~3×1010個である。好ましくは、8×10~2×1010個、さらに好ましくは9×10~2×1010個である。前記範囲であることによって、新生児向けの発達指数向上に基づく脳機能改善効果を効果的に発揮させることができる。なお、本発明の組成物及び用剤は、予防及び治療の効果を奏する成分、すなわち有効成分、であることを見出しており、その効果を発揮できる形態であれば、その使用目的に制限は無い。
【0029】
また、本発明の組成物及び用剤は、副作用が少ないため、新生児、特に生後間もない新生児においても、連続して摂取又は投与することができる。新生児向けの脳機能改善効果を発揮するために、本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌の摂取又は投与期間は、期間の観点から鑑みると、例えば、1ヶ月以上、1~12ヶ月、1~10ヶ月、1~9ヶ月、1~8ヶ月、2~7ヶ月である。前記範囲であることによって、新生児向けの脳機能改善効果を効果的に発揮させることができる。特に、一日あたり1010以上の菌数の乳酸菌及び/又はビフィズス菌を1ヶ月以上連続して適用することが好ましい。また、本発明のビフィズス菌の摂取又は投与期間は、新生児の体重の観点から鑑みると、例えば、新生児の体重が1.5kg以上になるまでの期間、新生児の体重が1.5~5kgになるまでの期間、新生児の体重が1.7~5kgになるまでの期間、新生児の体重が1.8~5kgになるまでの期間、新生児の体重が1.9~5kgになるまでの期間、新生児の体重が2~5kgになるまでの期間、新生児の体重が2~4kgになるまでの期間、新生児の体重が2~3kgになるまでの期間である。前記範囲であることによって、新生児向けの脳機能改善効果を効果的に発揮させることができる。
【0030】
本明細書において、新生児とは、生後間もない乳児のことをいい、さらに詳細には、健常新生児、未熟児、早産児及び低出生体重児を含む。本発明において、新生児の種には、特に断りがない限り、ヒトが含まれる。
【0031】
また、新生児とは、新生児期にある子供を指し、新生児期とは出生後の間もない時期を意味し、ヒトの場合、通常では出生後から4週間以内が新生児期にあたる。
【0032】
後記実施例に示される通り、本発明の組成物及び用剤は、新生児、特に出生後間もない新生児に摂取又は投与を開始し、その後に摂取又は投与を継続することで、発達指数向上に基づく脳機能改善の効果が実証された。具体的には、本発明の組成物及び用剤を摂取又は投与しない場合と比較して、特に出生体重1000g以上の新生児に対して、発達指数を有意に向上させることができることが実証された。すなわち、本発明の組成物及び用剤の摂取又は投与により、出生後間もない新生児に副作用などがない状態で、発達指数向上作用が付与され、その後の成長においても当該発達指数向上作用が期待できる。すなわち、教育的な指導を充実するなどの生活環境を向上させることで脳機能の発達を促す生活を強いられるという生活の不便や不安を解消及び/又は緩和することができる。
【0033】
出生後間もない新生児は神経が未発達な状態であり、このときに乳酸菌及び/又はビフィズス菌を有効成分として含む本発明の組成物及び用剤を摂取又は投与することで、発達指数向上に基づく脳機能改善効果が奏されるため、その後の成長過程における脳機能の大いなる発達が期待できる。また、本発明の組成物及び用剤の摂取又は投与に加えて、教育的な指導を充実するなどの生活環境を向上させることで脳機能の発達を促すことができ、さらに発達指数を高めることが期待できる。本発明において「脳機能改善」とは、発達指数向上や、脳機能の発達促進または加速を含む意味で用いられる。ここでいう、出生後間もない新生児とは、例えば、生後0~60日、0~50日、0~40日、0~30日、0~20日、0~15日、0~10日などである。また、ここでいう低出生体重児とは、ヒトの場合、出生体重が300~3000g、350~2900g、400~2800g、450~2700g、500~2600g、500~2500gである。さらに、ここでいう出生体重が1000g以上の低出生体重児とは、ヒトの場合、出生体重が1000~3000g、1000~2900g、1000~2800g、1000~2700g、1000~2600g、1000~2500gである。
【0034】
本発明の組成物及び用剤は、乳酸菌及び/又はビフィズス菌単独、又は、他の成分と混合して使用することもできる。本発明の組成物及び用剤における乳酸菌及び/又はビフィズス菌の配合量は、その目的、用途、形態、剤型、症状、体重などに応じて任意に定めることができ、本発明はこれに限定されないがその含量としては、全体量に対して、0.1~90%(w/w)の含量で配合することができ、さらに好ましくは0.1~50%の含量で配合することができる。前記範囲であることによって摂取又は投与しやすくなるからである。本発明においては、本発明の用剤を乳酸菌及び/又はビフィズス菌からなるものとし、本発明の組成物を乳酸菌及び/又はビフィズス菌と他の成分を含んでなるものとすることができる。
【0035】
本発明の組成物及び用剤は、経口投与又は非経口投与(筋肉内、皮下、静脈内、坐薬、経皮等)のいずれでも投与できる。また、本発明の組成物及び用剤は、薬剤投与による副作用に影響されることなく、投与することができる。特に、本発明のビフィドバクテリウム・ビフィダムOLB6378(NITE BP-31)は、生後間もない新生児に投与しても副作用がなく安全であると考察されている(Totsu et al.,(2014)PEDIATRICS INTERNATIONAL Vol.56 No.5、pp714-719)。さらに、本発明の組成物及び用剤は、下痢症の改善、便秘症の改善、腸内の有害細菌の増殖抑制、ビタミンB群の産生、乳糖の分解による消化吸収の促進しつつ、同時に、発達指数向上に基づく脳機能改善効果も奏する。
【0036】
具体的に本発明の組成物及び用剤は、医薬品又は飲食品いずれの形態でも利用することができる。例えば、医薬品として直接投与することにより、又は特定保健用食品等の特別用途食品や栄養食品として直接摂取することにより、脳機能改善効果を発揮することが期待される。また、特別用途食品や栄養食品の例として、調製粉乳、流動食、病者用食品、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、サプリメント、栄養強化食品などである。
【0037】
本発明の組成物及び用剤を医薬品として使用する場合は、形態としては、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、溶液、シロップ剤、乳液等の製剤による経口投与をあげることができる。これらの各種製剤は、常法に従って主薬である本発明の菌体及び/又は処理物に、分散剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯臭剤、溶解補助剤、懸濁剤、コーティング剤等の医薬の製剤技術分野において通常使用しうる既知の補助剤を用いて製剤化し、本発明の医薬組成物及び薬剤とすることができる。
【0038】
本発明の組成物及び用剤は、分散剤と混合した組成物として使用することが好ましい。分散剤としては、例えばカゼイン等の乳タンパク質、大豆タンパク質、ペプチド、アミノ酸、デンプン、デキストリン、キシラン、オリゴ糖、糖類(グルコース、ラクトース、スクロース、ガラクトース、マルトース)、糖アルコール(トレハロース、キシリトール、エリスリトール、パラチノース、トレハルロース、キシロース)等が挙げられる。分散剤の中でも特にデキストリンが好ましい。分散剤としてデキストリンを用いることによって、粉末を造粒することができ、また、デキストリンは分散溶解等の取扱いが容易で、かつ、長期保存も可能であるからである。
【0039】
デキストリンの形状は顆粒であることが好ましい。顆粒であることにより、溶解性が高いだけでなく、充填性能が高いため、少量での分包が可能となるからである。また包装材料に落下させて分包するだけで質量分布にばらつきがなく正確な分包を可能にするという製造上の利点をも有するからである。
【0040】
本発明の組成物及び用剤中、有効成分である乳酸菌及び/又はビフィズス菌と分散剤との質量比は、1:100~1:2であることが好ましく、より好ましくは1:100~1:10、さらに好ましくは1:100~1:20である。前記範囲にすることによって、有効成分を効率よく分散できるからである。
【0041】
例えば、有効成分である乳酸菌及び/又はビフィズス菌とデキストリンとを含有する、本発明の組成物及び用剤を経口摂取又は経口投与する場合、本発明の組成物及び用剤を所定量ずつ小分けにして、包材内に包装し包装体としてから、摂取又は投与することができる。本発明において、1回使用量ずつ包装すること、及び複数個で1回使用量となるように包装することが好ましく、1回使用量を包装することが特に好ましい。
【0042】
本発明の組成物及び用剤を副作用のない食品組成物に添加する場合には、各種飲食品(牛乳、清涼飲料、発酵乳、ヨーグルト、チーズ、パン、ビスケット、クラッカー、ピッツァクラスト、調製粉乳、流動食、病者用食品、幼児用粉乳等食品、授乳婦用粉乳等食品、栄養食品等)に添加し、これを摂取してもよい。本発明の組成物及び用剤をそのまま使用したり、他の食品ないし食品成分と混合したりするなど、通常の食品組成物における常法に従って使用できる。また、その性状についても、通常用いられる飲食品の状態、例えば、固体状(粉末、顆粒状その他)、ペースト状、液状ないし懸濁状のいずれでもよい。このような形態をとることで、本発明の組成物及び用剤を心理的な障害を感じることなく摂取することができる。
【0043】
また、本発明の組成物及び用剤を副作用のない水、タンパク質、糖質、脂質、ビタミン類、ミネラル類、有機酸、有機塩基、果汁、フレーバー類等を混合した組成物として使用することもできる。タンパク質としては、例えば全脂粉乳、脱脂粉乳、部分脱脂粉乳、カゼイン、ホエイ粉、ホエイタンパク質、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質分離物、α―カゼイン、β―カゼイン、κ-カゼイン、β―ラクトグロブリン、α―ラクトアルブミン、ラクトフェリン、大豆タンパク質、鶏卵タンパク質、肉タンパク質等の動植物性タンパク質、これら加水分解物;バター、乳性ミネラル、クリーム、ホエイ、非タンパク態窒素、シアル酸、リン脂質、乳糖等の各種乳由来成分などが挙げられる。医薬品や飲食品として使用実績のある副作用のないものは全て適用可能である。またこれらの成分は、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0044】
糖質としては、例えば、糖類、加工澱粉(テキストリンのほか、可溶性澱粉、ブリティッシュスターチ、酸化澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル等)、食物繊維などが挙げられる。脂質としては、例えば、ラード、魚油等、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の動物性油脂;パーム油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、ヤシ油、これらの分別油、水素添加油、エステル交換油等の植物性油脂などが挙げられる。ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、カロチン類、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD群、ビタミンE、ビタミンK群、ビタミンP、ビタミンQ、ナイアシン、ニコチン酸、パントテン酸、ビオチン、イノシトール、コリン、葉酸などが挙げられ、ミネラル類としては、例えば、カルシウム、カリウム、マグネシウム、ナトリウム、銅、鉄、マンガン、亜鉛、セレンなどが挙げられる。有機酸としては、例えば、リンゴ酸、クエン酸、乳酸、酒石酸などが挙げられる。医薬品や飲食品として使用実績のある副作用のないものは全て適用可能である。またこれらの成分は、2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0045】
本発明の組成物及び用剤を食品や薬剤として提供する場合、製造方法は当業者に周知の方法によって行うことができる。当業者であれば、本発明のビフィズス菌又は処理物を他の成分と混合する工程、成形工程、殺菌工程、発酵工程、焼成工程、乾燥工程、冷却工程、造粒工程、包装工程等を適宜組み合わせ、所望の食品や薬剤を製造することが可能である。
【0046】
さらに本発明の組成物及び用剤を、保健機能食品や病者用食品にも適用することができる。保健機能食品制度は、内外の動向、従来からの特定保健用食品制度との整合性を踏まえて、通常の食品のみならず錠剤、カプセル等の形状をした食品を対象として設けられたもので、特定保健用食品(個別許可型)と栄養機能食品(規格基準型)の2種類の類型からなる。本発明の組成物及び用剤を含有する特定保健用食品等の特別用途食品や栄養機能食品として直接摂取することにより、脳機能改善効果を発揮することが期待される。
【0047】
本発明の組成物及び用剤を調製粉乳に添加する場合の形態として、例えば、新生児用調製粉乳、ペプチドミルク、フォローアップミルク、グローイングアップミルク、低出生体重児用調製粉乳、無乳糖粉乳、低ナトリウム特殊粉乳及び母乳添加用粉末などの新生児用の脳機能改善用の経口組成物が挙げられ、本発明の効果・効能を期待できるものであれば、特に制限されない。
【0048】
例えば、新生児の発育や成長を促すドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコタペンタエン酸(EPA)、アラキドン酸(ARA)、コレステロール類などを適正量で配合して、母乳の組成に近づけた本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳を製造して提供したときには、さらなる新生児の効果的な発育や成長も期待できる。
【0049】
また、アレルゲン性の強いβ-ラクトグロブリンを除去又は低減させた本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳、免疫調節機能を有するヌクレオシドやヌクレオチドを適正量で配合した本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳、乳化剤として、大豆レシチンを含まない本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳を製造して提供したときには、新生児の脳機能改善効果が期待できる共に、新生児のアレルギーの効果的な回避を期待できる。
【0050】
さらに、感染防御機能を有するラクトアドへリンを強化した本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳、免疫力を強化するフラクトオリゴ糖、ヌクレオシドやヌクレオチド、タウリン及び亜鉛の少なくとも一つ以上を適正量で配合した本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳を製造して提供したときには、新生児用の脳機能改善効果が期待できると共に、新生児の免疫力の効果的な強化も期待できる。
【0051】
さらに、消化吸収されにくいβ-ラクトグロブリンを選択的に分解した本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳、消化性の良いα-ラクトアルブミンを強化した本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳を製造して提供したときには、新生児の脳機能改善効果が期待できると共に、新生児の消化管内の消化吸収性の効果的な向上も期待できる。
【0052】
さらに、適正な腸内菌叢の形成を促すフラクトオリゴ糖又はヌクレオシドやヌクレオチドを適正量で配合した本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳、適正な腸内菌叢の形成を促す乳糖を適正量で配合した本発明の乳酸菌及び/又はビフィズス菌入り新生児用調製粉乳を製造して提供したときには、新生児の脳機能改善効果が期待できると共に、新生児の便性の効果的な改善も期待できる。
【0053】
本発明の有効成分である乳酸菌及び/又はビフィズス菌を、医薬組成物、食習慣があり、副作用が少ないことを予想できる飲食品、もしくは発達指数向上効果などの脳機能改善効果が期待できる組成物に対して添加剤として使用してもよく、経口的又は経管的な摂取又は投与が可能である。
【0054】
本発明の有効成分である乳酸菌及び/又はビフィズス菌は、ヒトに限られることなく、ヒト以外のほ乳動物(ほ乳類)に対しても、上述した優れた効果・効能を示すものである。したがって、本発明によれば、乳酸菌及び/又はビフィズス菌を有効成分として含有する飼料及び飼料添加剤、特に、ほ乳動物の飼育用の粉乳及び粉乳添加剤が提供される。
【0055】
本発明でいう、発達指数とは、精神運動発達評価方法の一つである、新版K式発達検査2001において実証した。具体的には、本発明の組成物及び用剤などの被験サンプルを摂取又は投与した新生児が、1.5歳に到達した時点で、所定の設定された検査場面での児の行動や反応を観察し、発達指数を算出する方法である。詳しくは、姿勢・運動(P-M)、認知・適応(C-A)、言語・社会(L-S)の領域を見て、全領域の発達年齢と発達指数を導き出す方法である。すなわち、当該検査による発達年齢と実際の年齢の割合(パーセント)が発達指数となり、例えば、発達指数が100であれば、発達年齢と実際の年齢が同等であることがわかる。なお、上記精神運動発達評価方法には様々な手法があり、仮に新版K式発達検査2001以外の方法で、児の発達を検証し、新版K式発達検査2001による発達指数向上と同等の効果が得られた場合においても、本発明でいう、発達指数の向上と同義であることがいうまでもない。
【0056】
本発明によれば、有効量の乳酸菌及び/又はビフィズス菌、又はそれを含む組成物を、それを必要としている対象に摂取させるか、あるいは投与することを含んでなる、新生児の脳機能改善方法が提供される。摂取又は投与対象は、ヒトを含む哺乳動物の新生児であり、好ましくはヒト新生児である。本発明の方法は、本発明の組成物及び用剤に関する記載に従って実施することができる。
【0057】
本発明によればまた、新生児向けの脳機能改善用組成物の製造のための、乳酸菌及び/又はビフィズス菌、又はそれを含む組成物の使用が提供される。本発明によればさらに、新生児向けの脳機能改善剤の製造のための、乳酸菌及び/又はビフィズス菌、又はそれを含む組成物の使用が提供される。本発明によればさらにまた、新生児の脳機能改善のための、乳酸菌及び/又はビフィズス菌、又はそれを含む組成物の使用が提供される。本発明によればさらにまた、新生児の脳機能改善に使用するための、乳酸菌及び/又はビフィズス菌、又はそれを含む組成物が提供される。本発明の使用並びに本発明の乳酸菌、ビフィズス菌及び組成物は、本発明の組成物及び用剤に関する記載に従って実施することができる。
【実施例
【0058】
以下の例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0059】
例1:試験食と対照食の調製
Bifidobacterium bifidum OLB 6378株(受託番号:NITE BP-31)の原菌末(生菌数、3.9×1011cfu/g、商品名「明治ビフィピュア(登録商標)」、明治フードマテリア社)120gと顆粒デキストリン(松谷化学社)2880gを均一に混合し、各1gずつ分包し、試験食(生菌)とした。
【0060】
試験食の代わりに、顆粒デキストリン(松谷化学社)3000gを、各1gずつ分包し、対照食(プラセボ)とした。
【0061】
試験例1
試験例1では、試験食(生菌)を摂取した被験者群を「試験食(生菌)摂取群」とし、対照食(プラセボ)を摂取した被験者群を「対照食(プラセボ)摂取群」とした。被験者群は、新生児(出生体重1000g以上88名、出生体重1000g未満80名)を選択し、試験食(生菌)摂取群89名(出生体重1000g以上49名、出生体重1000g未満40名)、対照食(プラセボ)摂取群79名(出生体重1000g以上39名、出生体重1000g未満40名)選抜した。各群はいずれも1日1回、試験食(生菌)又は対照食(プラセボ)を摂取した。摂取期間は新生児の体重が2kgに到達した日までである。
【0062】
試験例2
試験例1の試験食(生菌)摂取群89名、対照食(プラセボ)摂取群79名それぞれに対し、1.5歳に到達した時点で、新版K式発達検査2001を用い、適宜対応可能な検査法で発達指数を確認した。具体的には、姿勢・運動(P-M)、認知・適応(C-A)、言語・社会(L-S)の領域を見て、総合的な見地から、全領域の発達年齢と発達指数を導き出した。実年齢に対する、得られた発達年齢のパーセントが発達指数となり、70未満、70以上85未満、85以上100未満、100以上に分類した。
【0063】
試験食(生菌)摂取群においては、被験者89名のうち、発達指数70未満が12名、70以上85未満が12名、85以上100未満が25名、100以上が40名であった。すなわち、試験食(生菌)摂取群(被験者89名)においては、発達指数70未満の割合が13%、70以上85未満が13%、85以上100未満が28%、100以上が45%であった。
【0064】
一方、対照食(プラセボ)摂取群においては、被験者79名のうち、発達指数70未満が15名、70以上85未満が17名、85以上100未満が23名、100以上が24名であった。すなわち、対照食(プラセボ)摂取群(被験者79名)においては、発達指数70未満の割合が19%、70以上85未満が22%、85以上100未満が29%、100以上が30%であった。
【0065】
試験食(生菌)摂取群と対照食(プラセボ)摂取群との間で、U検定を行ったところ、P=0.038であり、両者には有意差があった。
【0066】
以上より、本発明の組成物及び用剤の新生児への所定期間の摂取又は投与により、1.5歳における発達指数が有意に向上することが判明した。
【0067】
次に、両群とも、出生体重1000g以上の被験者(試験食(生菌)摂取群49名、対照食(プラセボ)摂取群39名)を対象に、得られた発達指数を再度集計した。
【0068】
試験食(生菌)摂取群においては、被験者49名のうち、発達指数70未満が3名、70以上85未満が6名、85以上100未満が10名、100以上が30名であった。すなわち、試験食(生菌)摂取群(被験者49名)においては、発達指数70未満の割合が6%、70以上85未満が12%、85以上100未満が20%、100以上が61%であった。
【0069】
一方、対照食(プラセボ)摂取群においては、被験者39名のうち、発達指数70未満が9名、70以上85未満が6名、85以上100未満が10名、100以上が14名であった。すなわち、対照食(プラセボ)摂取群(被験者39名)においては、発達指数70未満の割合が23%、70以上85未満が15%、85以上100未満が26%、100以上が35%であった。
【0070】
試験食(生菌)摂取群と対照食(プラセボ)摂取群との間で、U検定を行ったところ、P=0.009であり、両者には有意差があった。
【0071】
以上より、本発明の組成物及び用剤の新生児への所定期間の摂取又は投与により、特に出生体重が1000g以上の児においては、1.5歳における発達指数が有意に向上することが判明した。
【配列表】
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