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特許7088846衛星信号処理のための方法およびシステム
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  • 特許-衛星信号処理のための方法およびシステム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】衛星信号処理のための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
   G01S 19/24 20100101AFI20220614BHJP
   G01S 19/35 20100101ALI20220614BHJP
【FI】
G01S19/24
G01S19/35
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018560787
(86)(22)【出願日】2017-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2017061984
(87)【国際公開番号】W WO2017198774
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】1608940.1
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】511247389
【氏名又は名称】キネテイツク・リミテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プラット,アントニー
(72)【発明者】
【氏名】マザー,クリストファー・ジェームズ
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-527439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0211791(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 19/00-19/55
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の衛星からの複数の信号を追跡する方法であって、
衛星によって送信された第1の信号を受信するステップと、
同じ衛星によって送信された少なくとも第2の信号を受信するステップと、
第1および少なくとも第2の信号の累積的な同相および直角位相の成分を決定するためにプリフィルタリング処理を第1の信号および少なくとも第2の信号に適用するステップと、
衛星のレンジおよびレンジレートを決定するために、第1および少なくとも第2の信号の累積した同相および直角位相の成分にフィルタリング処理を適用するステップと
各衛星に対するレンジおよびレンジレートを生じるように、複数の異なる衛星からの信号を使用して、上記ステップを繰り返し、オブジェクトの位置が、このように生成されたレンジおよびレンジレートのデータを使用して計算されることと
を含み、
フィルタリング処理が、カルマンフィルタを適用するステップを含む、
方法。
【請求項2】
第1および少なくとも第2の信号が、異なる周波数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1および少なくとも第2の信号が、同じ周波数である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1および少なくとも第2の信号が、異なる時間に送信される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
単一の衛星からの複数の信号を追跡するためのシステムであって、
衛星によって送信された第1の信号、および同じ衛星によって送信された少なくとも第2の信号を受信するように構成された受信ユニットと、
第1および少なくとも第2の信号の累積的な同相および直角位相の成分を決定するためにプリフィルタリング処理を第1の信号および少なくとも第2の信号に適用し、衛星のレンジおよびレンジレートを決定するために第1および少なくとも第2の信号の累積した同相および直角位相の成分にフィルタリング処理を適用するように構成されたマイクロプロセッサと
を備え、
フィルタリング処理が、カルマンフィルタを適用することを含む、
システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の衛星からの複数の信号を追跡する方法およびそのためのシステムに関し、同じ衛星によって送られた第1および第2の信号は、衛星のレンジおよびレンジレートを決定するために受信され、フィルタリングされる。
【背景技術】
【0002】
衛星航法システムは、自律型地理空間測位情報(autonomous geo-spatial positioning information)を提供する、中軌道(MEO:medium earth orbit)の位置にある一連の衛星を利用する。このような衛星は典型的には、高度20,000kmにあり、軌道周期約12時間である。一般に「sat-navs」として知られる電子受信器は、このような衛星を使用して数メータ以内の精度で場所を確定し、衛星から受信器への見通し線に沿って送信された時間信号を用いて、経度、緯度、および高度を決定する。時間信号はまた、現在の現地時間を計算することによって高精度に時間同期を行えるようにする。地球規模のカバレッジをもつ衛星航法システムは一般に、全地球航法衛星システム、すなわちGNSS(global navigation satellite system)と称される。他の地域のシステムがそうであるように、開発の様々なステージにある中国(Beidou)およびヨーロッパ(Galileo)のシステムと共に、NAVSTAR(米国のGPS、すなわち全地球測位システム)およびGLONASS(ロシアのシステム)という、(2013年現在で)地球規模に活動するGNSSである2つのGNSSがある。
【0003】
GNSS受信器は複数の信号追跡ループを使用し、これらのうちのそれぞれは、異なる信号タイプおよび/または衛星に専用である。衛星によって送信された各信号は、時間情報(信号が送信された時間)および位置情報(信号が送信された位置)を含む。典型的には信号が受信され、同相および直角位相の(90°すなわちπ/2、位相がずれている)成分がその後フィルタリングされ、時間/位置データが、衛星のレンジ(衛星と受信器の間の距離)および衛星のレンジレート(受信器に対して衛星が進んでいる速度)を決定する基礎として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,151,486号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
しかし、衛星と受信器の間のレンジが同じである同じ衛星から受信された信号は、受信器内で処理する際の遅延差のために異なる時間に到着する。例えば、これらは、異なる帯域幅のフィルタを通ること、または電離圏遅延もしくは対流圏遅延などの、様々な外部要因によることがある。電離圏遅延は周波数依存であり、(現地のユーザの接平面上の)衛星の仰角、および衛星と受信器の間の信号経路の途中にある総電子数の両方による影響を受ける。対流圏遅延は、乾いた大気を通る信号の進路に依存する成分、および湿った大気を通る信号の進路に依存する、それほど簡単には決定されない成分を含む。それゆえに、単一の衛星からの複数の信号の信号処理における電離圏遅延の成分を除去する解決策が、例えば、米国特許第7,151,486号にあるように、提案されており、ある程度は成功したが、2つの搬送波信号に基づき動作する。任意の電離圏遅延推定におけるコヒーレンス遅延の問題もあり、これは重大になることがある。代替解決策は、任意のキャリア位相の曖昧さを迅速に解決できる第3の搬送波信号の使用を伴うが、これらは、実際には良くない信号対雑音比に苦しむ。信号が受信される角度は、電離圏遅延または対流圏遅延によるエラーも一部決定する。角度は、受信器に到達する前に信号が進んだ各媒体内の距離に影響を及ぼし、したがって信号が被った遅延の量に貢献する。
【0006】
多くの場合、単一の受信器は、任意の1つの時点で様々なタイプの複数の信号を受信する。位置、速度、および時間(PVT:position,velocity and time)または位置、航法、および時間(PNT:position,navigation and time)に関する単一の推定を行えるようにするために、従来の受信器は、複数の衛星から受信された(GPS L1 C/A信号などの)信号の所望の単一のタイプを処理できなければならない。中でも、電離圏遅延および対流圏遅延、ならびに雑音対信号比によるエラーが、受信器と衛星の相対位置(角度および距離)によって変化するので、多くの信号を組み合わせることは、エラーを増加させる。したがって、関心のある各信号には信号自体の固有のエラーがあり、これは、他の衛星から受信されるこのタイプのあらゆる他の信号とは異なる。複数の同じタイプの信号を組み合わせるとき、これらのエラーを減らすためにフィルタリング技法が使用され、数学的なフィルタリング機能が、組み合わされた信号およびエラーデータに適用される。例えば、最小二乗フィルタリング技法が一般に使用され、カルマンフィルタも使用されることがある。フィルタリングされたデータは、別のやり方で利用できるものよりもはるかに正確な信号推定をもたらす。このような数学的方法は、複数の送信源からの単一信号タイプのフィルタリングのうちのこのタイプによく適している。
【0007】
電離圏の成分の除去も第3の搬送波信号の使用も、GNSS信号が例えば妨害によって打ち消され得る、環境の問題を考慮しない。このような信号は、すべてのGNSS信号が同時に妨害されるわけではないという仮定の下に、依然として追跡される必要がある。これは、知られている技法の根本的な問題である信号対雑音の悪化の問題と同時に、環境にかかわらず、送信源の単一の衛星からの複数の信号を追跡できなければならないことになる。
【0008】
本発明は、単一の衛星からの複数の信号を追跡する方法を提供することによってこれらの問題に対処することを目的とし、衛星によって送信された第1の信号を受信することと、同じ衛星によって送信された少なくとも第2の信号を受信することと、第1および少なくとも第2の信号の累積的な同相および直角位相の成分を決定するためにプリフィルタリング処理を適用することと、衛星のレンジおよびレンジレートを決定するために、第1および少なくとも第2の信号の累積した同相および直角位相の成分にフィルタリング処理を適用することとを含み、フィルタリング処理は、カルマンフィルタを適用することを含む。
【0009】
カルマンフィルタの出力は、単一の衛星に対するレンジの推定、およびレンジレートの推定を含む。複数の衛星(一般に少なくとも4台が必要とされる)から同じように抽出されると、レンジおよびレンジレートは、PVTまたはPNTに関する単一の推定を行うために使用されてよい。したがって上記の方法は、有利には複数の衛星を使用して繰り返される。
【0010】
カルマンフィルタの働きによって、当該の衛星に対するレンジおよびレンジレートの推定の信号対雑音比が改善されるので、カルマンフィルタを使用して単一の衛星からの複数の信号を処理することは、航法能力を改善させる。同じ衛星から受信された比較的低い信号対雑音比の信号を補償するために、比較的高い信号対雑音比の信号が使用されてよいということになる。信号妨害の問題はこの能力により、あまり問題にならなくなる。
【0011】
第1および少なくとも第2の信号は、異なる周波数であってよい。
【0012】
好ましくは、第1および少なくとも第2の信号は、同じ周波数である。この場合、第1および少なくとも第2の信号は、異なる時間に送信されてよい。
【0013】
好ましくは、方法は、各衛星に対するレンジおよびレンジレートを生じるように、複数の異なる衛星からの信号を使用して繰り返され、オブジェクトの位置は、多くの衛星からのレンジおよびレンジレートの推定を使用して計算される。単一の衛星から得られるレンジおよびレンジレートの推定は、本明細書で説明されるように、カルマンフィルタ処理により精度が改善される。したがって、改善された航法の修正(navigational fix)が、このさらに正確なデータを使用するときに得られることができる。方法は、好ましくは、航法の位置を提供するために使用される各衛星で用いられるが、これは依然として、使用中の衛星のただ1つ、またはより大きいサブセットと共に使用されるときに恩恵をもたらす。
【0014】
別の態様において、本発明は、単一の衛星からの複数の信号を追跡するためのシステムも提供し、衛星によって送信された第1の信号、および同じ衛星によって送信された少なくとも第2の信号を受信するように構成された受信ユニットと、第1および少なくとも第2の信号の累積的な同相および直角位相の成分を決定するためにプリフィルタリング処理を適用し、衛星のレンジおよびレンジレートを決定するために第1および少なくとも第2の信号の累積的な同相および直角位相の成分にフィルタリング処理を適用するように構成されたマイクロプロセッサとを含み、フィルタリング処理は、カルマンフィルタを適用することを含む。
【0015】
ほんの例示として、また添付の図面を参照しながら本発明がこれから説明される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の実施形態における、GNSSネットワークの一部として機能するようにセットアップされた衛星と受信ユニットの概略図である。
図2図1のネットワークで使用される受信ユニットの概略図である。
図3】本発明の第2の実施形態の一部として、GNSSネットワークの一部として機能するようにセットアップされた衛星と受信ユニットの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、同じ衛星から受信器によって受信された複数の信号を追跡するアーキテクチャの基礎として、カルマンフィルタを使用するアプローチを採用する。衛星によって送信された第1の信号を受信すること、および同じ衛星によって送信された第2の信号を受信することによって、第1および第2の信号の累積的な同相および直角位相の成分を決定するために、プリフィルタリング処理が適用されてよい。これはその後、衛星のレンジおよびレンジレートを決定するために、第1および第2の信号の累積的な同相および直角位相の成分にフィルタリング処理が適用されるのを可能にする。フィルタリング処理はカルマンフィルタであり、これは、下記でさらに詳細に説明されるように、単一の衛星からの信号に対して使用されるときにいくつかの利点をもたらす。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態における、GNSSネットワークの一部として機能するようにセットアップされた衛星と受信ユニットの概略図を示す。ネットワーク1は、(図示されていない、ネットワーク内のさらなる衛星を伴う)衛星2、および受信ユニット3を備える。衛星2は地表5の上空の軌道4にあり、受信ユニット3は地表5に位置する。衛星2は、レンジrだけ受信ユニット3から隔てられるように位置し、衛星2と受信ユニット3との間の相対速度は、レンジレートvである。時間tに衛星2が、周波数fの第1の信号sを受信ユニット3に送信する。時間tに同じ衛星2が、やはり周波数fの第2の信号sを受信ユニット3に送信する。
【0019】
図2は、図1のネットワークで使用される受信ユニットの概略図である。受信ユニット3は、受信器6、マイクロプロセッサ7、および表示出力8を備える。(液晶ディスプレイまたは他の表示装置などの)表示出力8は、受信ユニット3に統合されてよく、また(間に接続されるさらなるハードウェアまたは処理手段の有無にかかわらず、バス、または他の類似の接続デバイスを介するなどして)ディスプレイに直接的または間接的に接続されてもよい。第1の信号sおよび第2の信号sは、受信器6で受信される。マイクロプロセッサ7は、第1に、第1sおよび第2sの信号の同相および直角位相の成分を選択するため、ならびに第2に、同じ成分を互いに合計するためのプリフィルタリング手段を有し、累積的な同相および直角位相の出力を形成する。累積的な同相および直角位相の成分は次に、衛星2のレンジおよびレンジレートを決定するためにフィルタリング処理を受ける。フィルタリング処理は、カルマンフィルタを使用することを含む。
【0020】
カルマンフィルタは、運動の物理法則、知られているシステムへの制御入力、および任意の1つの測定を単独で使用して得られる推定より正確な、システムの変化量の推定を形成するための複数の連続測定などの、システムの動的モデルを使用する線形二次推定器である。カルマンフィルタは、重み付き平均を使用してシステムの状態の予測を平均し、その結果、重み付き平均計算の結果は、測定状態と推定状態の間の状態であり、その推定の不確実性のためにどちらか1つよりも正確である。新しい推定と、(予測状態における不確実性の推定として重み付けシステムにおいて使用される)その共分散だけが、次の反復に使用されるので、処理は再帰的反復処理である。測定の不確実性は数量化するのに困難なことがあり、したがってフィルタの性能は、利得の観点から論じられることが多い。低いカルマン利得は予測に重点を置いて、データ内の雑音を平滑化し、高いカルマン利得は測定に重点を置く。
【0021】
カルマンフィルタモデルは、方程式1に従って、時間kにおけるシステムの真の状態が、時間k-1における状態から導き出されると仮定する。
=Fk-1+B+w 方程式1
【0022】
ここで、Fは、xk-1における以前の状態に適用される状態遷移モデルである。
【0023】
は、制御ベクトルuに適用される制御入力モデルである。
【0024】
は、共分散Qの正規分布w~N(0,Q)に基づく雑音である。
【0025】
方程式2に従って、時間kにおける真の状態xのzの観測が行われる。
=H+v 方程式2
【0026】
ここで、Hは、真の状態空間を観測空間に写像する観測モデルであり、vは、共分散Rの、ゼロ平均のガウス分布v~N(0,R)であると仮定される観測雑音である。初期状態および各ステップにおける雑音ベクトルは、独立であると仮定される。
【0027】
カルマンフィルタが、第1sおよび第2sの信号の成分、ならびに確認済のレンジおよびレンジレートに適用されると、これらは、いくつかの衛星からの信号を三角測量することによって受信ユニット3の位置を決定する、マイクロプロセッサ7によって動かされるアルゴリズムに供給される。これは、経度、緯度、および高度の正確な決定を可能にする。カルマンフィルタのアプローチは、三角測量処理で使用されるそれぞれの単一の衛星から受信される複数の信号に対して、または環境条件および/もしくは信号強度に依存する1つもしくは複数の信号に対して使用されてよい。
【0028】
カルマンフィルタを利用してレンジおよびレンジレートを決定すること、ならびにその結果、単一の衛星からの信号を追跡することは、多くの利点をもたらす。いくつかの衛星信号の追跡を単一の追跡フィルタに組み合わせることによって、より弱い信号の追跡を補助するためにより強い信号が使用されてよい。例えば、特定の周波数信号が遮断されるか、または特定の衛星が利用できない場合に、残りの信号を追跡することによってレンジおよびレンジレートの推定が維持されるので、信号停止後の信号の再取得がさらに迅速に行われる。より多くの信号が利用されるので、受信ユニット2の位置を決定する測定値生成アルゴリズムに提示された推定における雑音も低減され、さらに正確な航法の解決策に至る。さらに、電離圏遅延および対流圏遅延のモデルは、数分以上の相関時間によるフィルタによって維持され、また、重大な信号停止があっても性能を維持するのに十分である。
【0029】
信号強度の変化は、低速フェージング効果(例えば、固定サイトでの動作における、建物などのオブジェクトによるマルチパス信号および信号不明瞭化)、または高速フェージング効果(モバイルサイトでの動作に関するマルチパス信号問題)を含む、様々な効果によって引き起こされることがある。例えば、10-20Hzより高い周波数において変化が迅速な場合、位置決定時のこのような変化を排除するために、カルマンフィルタリング法が使用されてよい。意図的または非意図的に1つまたは2つの信号が妨害される場合、本発明の方法は、追跡フィルタの性能を維持するために衛星によって送信される他の任意の残存周波数信号を利用することによって信号の損失を補償する。
【0030】
本発明の代替実施形態において、カルマンフィルタの本態様がさらに検討される。図3は、本発明の第2の実施形態の一部として、GNSSネットワークの一部として機能するようにセットアップされた衛星と受信ユニットの概略図を示す。ネットワーク9は、(図示されていない、ネットワークにあるさらなる衛星を伴う)衛星10、および受信ユニット11を備える。衛星10は地表13の上空の軌道12にあり、受信ユニット11は地表13に位置する。衛星10は、レンジrだけ受信ユニット11から隔てられるように位置し、衛星10と受信ユニット11の間の相対速度は、レンジレートvである。時間tに衛星10が、周波数fの第1の信号sを受信ユニット11に送信する。時間tに同じ衛星10が、周波数fの第2の信号sも受信ユニット11に送信し、ここでf≠fである。図2を参照しながら上記で説明されたように、受信ユニット11は、受信器6、マイクロプロセッサ7、および表示出力8を備える。(液晶ディスプレイまたは他の表示装置などの)表示出力8は、受信ユニット11に統合されていてよく、また(間に接続されるさらなるハードウェアまたは処理手段の有無にかかわらず、バス、または他の類似の接続デバイスを介するなどして)ディスプレイに直接的または間接的に接続されてもよい。第1の信号sおよび第2の信号sは、受信器6で受信される。マイクロプロセッサ7は、第1に、第1sおよび第2sの信号の同相および直角位相の成分を選択し、第2に、互いに同じ成分を合計するためのプリフィルタリング手段を有し、累積的な同相および直角位相の出力を形成する。累積的な同相および直角位相の成分は次に、衛星2のレンジおよびレンジレートを決定するために、フィルタリング処理を受ける。上記で同様に説明されたように、フィルタリング処理は、カルマンフィルタを使用することを含む。
【0031】
特許請求の範囲の範囲に入る他の実施形態が当業者には明白であろう。例えば、受信ユニット3、11は、据え置き型ユニット(固定サイトでの動作)、移動ユニット(モバイルでの動作)、スタンドアロンユニット、または別のデバイスに組み込まれたユニットであってよく、地表、または飛行機などの地表の上空の移動オブジェクトの中、もしくはその上にあってよい。
図1
図2
図3