(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】スクリーン振動方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G03B 21/64 20060101AFI20220614BHJP
G03B 21/56 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G03B21/64
G03B21/56
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019145907
(22)【出願日】2019-08-08
(62)【分割の表示】P 2016512471の分割
【原出願日】2014-05-09
【審査請求日】2019-08-15
(32)【優先日】2013-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516242301
【氏名又は名称】アイマックス シアターズ インターナショナル リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【氏名又は名称】原 裕子
(72)【発明者】
【氏名】コマーニッキー、 オリバー ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】ヘラチ、 ハメド
(72)【発明者】
【氏名】トレンブレー、 デニス ギレス
【審査官】小野 博之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第03125927(US,A)
【文献】特表2004-503834(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0010356(US,A1)
【文献】特開2010-060745(JP,A)
【文献】特開2008-102316(JP,A)
【文献】特開2012-118231(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011084530(DE,A1)
【文献】特開2005-107150(JP,A)
【文献】特開昭55-065940(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2000-0061077(KR,A)
【文献】特開2008-191533(JP,A)
【文献】特開2010-107995(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0117505(US,A1)
【文献】国際公開第2011/046035(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/00-21/10
21/12-21/30
21/56-21/64
33/00-33/16
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリーンの振動システムであって、
スクリーンと、
前記スクリーンに取り付けられた永久磁石と、
前記永久磁石に近接して位置決めされ、前記スクリーンとは切り離された磁気源とを含み、
前記スクリーンは、前記磁気源からの変化する磁場に応じて、前記スクリーンの変位が前記永久磁石が前記スクリーンに取り付けられた第1の位置において
前記スクリーンに取り付けられた前記永久磁石から離れた第2の位置における前記スクリーンの変位と比べて大きくなるように構成されるように、前記スクリーンから内側に又は外側の少なくとも一方に移動可能であるスクリーン振動システム。
【請求項2】
前記磁気源は、変化する磁場を生成するために電流によって制御可能である電磁石である請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項3】
前記電磁石及び前記永久磁石は、前記変化する磁場の経路について閉ループを形成するように構成された請求項2に記載のスクリーン振動システム。
【請求項4】
前記変化する磁場が非対称になるように非対称に変化する電流である前記電流を制御するように構成されたコントローラをさらに含み、前記スクリーン振動システムは、コントローラから前記電磁石に供給される電流信号に対する直流電流バイアスの量を調整することによって前記非対称に変化する電流を決定するように構成された請求項2に記載のスクリーン振動システム。
【請求項5】
前記磁気源は、前記変化する磁場を生成するように構成された第2の永久磁石を含み、
前記磁気源は、
前記第2の永久磁石に結合するように構成されたモータシャフトと、
前記第2の永久磁石に回転させるように前記モータシャフトを回転させるように構成されたモータと
をさらに含む請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項6】
前記永久磁石に取り付け、及び前記スクリーンに取り付けるように構成された硬い材料をさらに含み、前記永久磁石は前記硬い材料を介して前記スクリーンに取り付けることができる請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項7】
前記硬い材料は、バルサ材、炭素繊維、又は複合材料のうちの少なくとも一つを含む材料から作られたバテンである請求項6に記載のスクリーン振動システム。
【請求項8】
前記バテンは、接着剤を使用してスクリーンに取り付け可能である請求項7に記載のスクリーン振動システム。
【請求項9】
前記永久磁石は、北/南方向を有し、N極及びS極を含み、
前記磁気源は、開放端部を有するコアに巻かれたコイルを有する電磁デバイスであり、前記コイルは、前記コイルを通る電流に応じて、前記永久磁石が配置された前記コアの開放端部の間に磁束経路のループを生成するように構成され、
前記磁気源及び前記永久磁石は、(i)前記コアの開放端部と前記N極及び前記S極のそれぞれとの間にギャップが形成され、(ii)前記コアの開放端の
一方は前記N極の領域にあ
るように構成され、(iii)前記コアの開放端の
他方は前記S極の領域にあ
るように構成されるように、互いに対して配置可能である請求項1に記載のスクリーン振動システム。
【請求項10】
スクリーンを振動させる方法であって、
スクリーンに永久磁石を取り付け、
前記永久磁石に近接して磁気源を配置し、
前記永久磁石が引き続いて反発して引き付けるように前記磁気源を制御して、前記スクリーンの変位が前記永久磁石が前記スクリーンに取り付けられた第1の位置において
前記スクリーンに取り付けられた前記永久磁石から離れた第2の位置における前記スクリーンの変位と比べて大きくなるように、前記スクリーンを内側に又は外側の少なくとも一方に振動させることを含む方法。
【請求項11】
前記磁気源は電磁石であり、前記スクリーンを振動させるために前記永久磁石が引き続いて反発させ引き付けるように前記磁気源を制御することは、
前記電磁石への電流を制御すること
を含む請求項10記載に記載の方法。
【請求項12】
前記電磁石への前記電流を制御することは、前記永久磁石が前記永久磁石を引き付ける距離に等しい距離だけ前記永久磁石に反発するように前記電磁石を制御することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電磁石への前記電流を制御することは、前記永久磁石の平均変位量から決定される位置が前記永久磁石の静止位置に対応するように前記電流を制御することを含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記電流がランダムである周波数を有する請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記磁気源は、前記スクリーンが振動するように前記永久磁石を連続的に反発させ引き付けるために変化する磁場を生成する第2の永久磁石を含む請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記スクリーンに永久磁石を取り付けることは、
前記永久磁石を硬い材料に取り付け、
前記永久磁石が前記硬い材料を介して間接的に前記スクリーンに取り付けられるように、前記硬い材料を前記スクリーンに取り付けること
を含む請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記硬い材料は、バルサ材、炭素繊維、又は複合材料のうちの少なくとも1つを含む材料から作られたバテンである請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記バテンを前記スクリーンに取り付けることは、接着剤を使用して前記バテンを前記スクリーンに取り付けることを含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記永久磁石は、北/南方向を有し、N極及びS極を含み、
前記磁気源は、開放端部を有するコアに巻かれたコイルを有する電磁デバイスであり、前記コイルは、前記コイルを流れる電流に応じて、前記永久磁石が配置された前記コアの開放端部の間に磁束経路のループを生成するように構成され、
前記磁気源及び前記永久磁石は、(i)前記コアの開放端部と前記N極及び前記S極のそれぞれとの間にギャップが形成され、(ii)前記コアの開放端の
一方は前記N極の領域にあ
るように構成され、(iii)前記コアの開放端の
他方は前記S極の領域にあ
るように構成されるように、互いに対して配置可能である請求項10に記載の方法。
【請求項20】
劇場のスクリーンに取り付け可能な永久磁石と、
前記永久磁石に近接して配置され、前記スクリーンに結合されていない磁気源であって、前記スクリーンの変位が前記永久磁石が前記スクリーンに取り付けられた第1の位置において
前記スクリーンに取り付けられた前記永久磁石から離れた第2の位置における前記スクリーンの変位と比べて大きくなるように、前記スクリーンを内側又は外側の少なくとも一方に移動させるように変化する磁場を出力するように構成された磁気源と
を含むシステム。
【請求項21】
前記変化する磁場を出力する際に前記磁気源を制御するために前記磁気源に結合するように構成されたコントローラをさらに含み、前記磁気源は前記変化する磁場を生成するように前記コントローラからの電流によって制御可能な静止した電磁石である請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラからの電流は、前記変化する磁場を非対称にするように非対称に変化する電流である請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記磁気源は、第2の永久磁石であり、
前記コントローラは、変化する磁場を生成するために、前記第2の永久磁石を回転させるように構成された請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記永久磁石に取り付けるように、及び前記スクリーンに取り付けるように構成された硬い材料をさらに含み、
前記永久磁石は、前記硬い材料を介して前記スクリーンに取り付け可能である
請求項20に記載のシステム。
【請求項25】
前記硬い材料は、バルサ材、炭素繊維、又は複合材料のうちの少なくとも1つを含む材料から作られたバテンである請求項24に記載のシステム。
【請求項26】
前記バテンは、接着剤を使用してスクリーンに取り付け可能である請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記永久磁石は、北/南方向を有し、N極及びS極を含み、
前記磁気源は、開放端部を有するコアに巻かれたコイルを有する電磁デバイスであり、前記コイルは、前記コイルを流れる電流に応じて、前記永久磁石が配置された前記コアの開放端部の間に磁束経路のループを生成するように構成され、
前記磁気源及び前記永久磁石は、(i)前記コアの開放端部と前記N極及び前記S極のそれぞれとの間にギャップが形成され、(ii)前記コアの開放端の
一方は前記N極の領域にあ
るように構成され、(iii)前記コアの開放端の
他方は前記S極の領域にあ
るように構成されるように、互いに対して配置可能である請求項20に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は2013年5月9日出願の「スクリーン振動方法及びシステム」と題する米国仮出願番号61/821311の優先権を主張し、その全体は参照により本明細書に組み込まれている。
技術分野
本開示は、一般的に画像表示の分野に関し、特に、しかし非排他的に、表示されたレーザ画像の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
表示スクリーンを揺すると、スクリーン上に表示された画像を向上させることができる。レーザ光源のようなコヒーレント光源を用いて静止したスクリーンに画像を投影すると、画像領域内に(スペックルとして知られている)視覚的アーチファクトをもたらされることがある。画像が投影されるスクリーン面を揺することにより、スペックルアーチファクトを低減又は除去することができる。スペックルがスクリーンの画像領域の全てに亘って低減することを確保するためには、スクリーン領域の全てが揺すられる。スクリーンの画像領域の全ての振動を達成するために、スクリーン振動の点又はソースを有することが望ましいことがあり得る。スクリーンは、複数の振動位置を必要とするようなスクリーンに与えられる十分な振動エネルギーを吸収する例えばビニールのような材料から構成され、大きな表面積を有することができる。
【0003】
しかしながら、スクリーンを振動させるために複数のソースを使用すると、問題を引き起こすことがある。
【発明の概要】
【0004】
一例では、スクリーン振動システムが提供される。スクリーン振動システムは、スクリーン、スクリーンに取り付けられた永久磁石、及び永久磁石に対して位置決めされ、スクリーンとは非結合の磁気源を含んでいる。スクリーンは、磁気源の変化する磁場に応じて移動可能である。
【0005】
他の例では、スクリーンを振動させる方法が提供される。永久磁石が、スクリーンに取り付けられる。電磁石が、永久磁石の向かいに配置される。電磁石への電流は、永久磁石を反発させ引き付けることを続けてスクリーンを振動させるように制御される。
【0006】
他の例では、スクリーンを振動させるシステムが提供される。システムは、第1アクチュエータ及び第2アクチュエータを含んでいる。第1のアクチュエータは、第1の電気信号に基づいて第1の位置でスクリーンを移動させるために第1の位置でスクリーンの後ろに配置されている。第2のアクチュエータは、第1の電気信号に無相関である第2の電気信号に基づいて第2の位置でスクリーンを移動させるために第2の位置でスクリーンの後ろに配置されている。
【0007】
他の例では、スクリーンを振動させる方法が提供される。第1の電気機械音響アクチュエータ及び第2の電気機械音響アクチュエータは、スクリーンの後ろに配置されている。第1の電気機械音響アクチュエータは、第1の電気信号を用いて駆動される。第2の電気機械音響アクチュエータは、第1の電気信号に対して無相関である第2の電気信号を用いて駆動される。スクリーンは、第1の電気機械音響アクチュエータ及び第2の電気機械音響アクチュエータによって振動されている。
【0008】
他の例では、スペックルアーチファクトを低減する方法が提供される。スクリーンは、スクリーンバイブレータにより振動される。スクリーン上に投影された画像についての情報は、センサを用いて捕捉される。スクリーンに投影された画像内に存在するスペックルアーチファクトの量は、捕捉された情報から決定される。コントローラへのスクリーンバイブレータを駆動する信号は、スペックルアーチファクトの量を所定の閾値と比較することに応じて制御される。
【0009】
他の例では、スクリーンを振動させるシステムが提供される。システムは、オープンバッフルを有する電気音響アクチュエータを含んでいる。電気音響アクチュエータは、動作設定においてはスクリーンから切り離される。システムは、(i)電気機械音響アクチュエータの前、及び(ii)電気機械音響アクチュエータとスクリーンとの間の空気を変動させる電気機械音響アクチュエータにエネルギーを出力させるために電気機械音響アクチュエータに電気信号を提供するコントローラも含んでいる。オープンバッフルは、電気音響アクチュエータの後ろで変動した空気がスクリーンに影響を及ぼすのを防止するように構成されている。
【0010】
他の例では、システムが提供される。システムは、画像を表示するスクリーン、スクリーンに向けて画像を投影するレーザプロジェクタ、スクリーンを振動させるように配置された少なくとも2つのバイブレータアセンブリ、及び無相関の制御信号を用いて少なくとも2つのバイブレータアセンブリを制御するコントローラを含んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施例に係るスクリーンを振動させるシステムの概略図である。
【
図2A】
図2Aは、スクリーンに対するバッフル及びスクリーンを振動させるアクチュエータの第1の例の側面断面図である。
【
図3A】
図3Aは、スクリーンに対するバッフル及びスクリーンを振動させるアクチュエータの第2の例の側面断面図である。
【
図4A】
図4Aは、スクリーンに対するバッフル及びスクリーンを振動させるアクチュエータの第3の例の側面断面図である。
【
図5】
図5は、一例による回転可能な永久磁石を含むスクリーン振動システムの概略図である。
【
図6】
図6は、一例による非振動位置で回転可能な永久磁石を有する
図5のスクリーン振動システムの概略図である。
【
図7】
図7は、一例による静止した電磁石を用いたスクリーン振動システムの概略図である。
【
図8】
図8は、一例によるコントローラ及び静止した電磁石を含むスクリーン振動システムの概略図である。
【
図9】
図9は、一例によるスクリーンに取り付けられたバテンの背面図である。
【
図10】
図10は、一例によるコイルドライバの概略図である。
【
図11】
図11は、一例による他のチャネルと無相関である出力チャネルに信号を出力するシステムのブロック図である。
【
図12】
図12は、一例による劇場におけるスペックルを低減するシステムの概略図である。
【
図13】
図13は、一例によるスペックルを低減させる処理のフローチャートである。
【
図14】
図14は、一例による自動的に調節可能なスクリーン振動システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
特定の態様、特徴、及び本開示の例は、音響、電磁気、又は他の種類のエネルギーを用いて劇場のスクリーンを振動させることができるとともに、スクリーンの振動のために見られることがある画像アーチファクトの存在を低減するスクリーン振動システムに関する。
【0013】
スクリーン支持構造によって支持されたスクリーンは、二百キログラム以上のオーダーの質量を有することがあり得る。スクリーンを揺する1つの手法は、スクリーンの領域に亘ってスクリーンを揺することができる振動源を分配することである。振動源のそれぞれに少量のエネルギーを適用し、スクリーン全体を集合的に揺することができる。
【0014】
1つの課題は、聴衆の誰かが見つけるようなスクリーン歪みアーチファクトを生成しないようにスクリーンを移動させることを含み得る。スクリーン歪みアーチファクトは、スクリーン表面に表示された局所的な物理歪みであり得、それはスクリーン表面の他の領域と整合していない。その表面に高利得コーティングを施したスクリーンは、わずかな局所歪みに影響を受けやすく、スクリーンを振動させることを意図するデバイスによってスクリーンが突かれたり引っ張られたりしたときに、スクリーンの知覚される利得の不連続が認識できる。スクリーン位置に局所的な物理歪みを生成すると、スクリーン表面の歪んだ部分の光の反射が、局所的な歪みがないスクリーンの領域からの反射と整合しないように見えることがある。スクリーン表面での変形は、輝度分布の歪みとして現れることがあり得る。
【0015】
振動システムがないスクリーンは、スクリーンの自然な静止状態の表面プロファイルを有することができる。スクリーンは、その自然な静止した表面プロファイルからスクリーン表面プロファイルを歪めない振動システムを備えることができる。スクリーン振動システムは、スクリーン振動システムがアクティブでないか又は電源が入っていないときに、スクリーンに偏った力を及ぼすのを避けることができる。スクリーン振動システムがスクリーンをアクティブに振動させているとき、スクリーンの平均変位位置は、その自然な静止状態のスクリーンと同一の位置とすることができる。
【0016】
スペックルアーチファクトを低減するため、スクリーンの振動は、視聴者に見えるような大きなスクリーン変位の生成を避けるようにすることができる。変位は、スクリーン変位に視聴者が気付かないが、変位がスペックルアーチファクトを低減又は除去させるのに十分であり得るように少量に限定することができる。スペックルを低減するためのスクリーン変位の振幅は、変化させることができる。例えば、スクリーン変位の振幅は、スクリーンバイブレータの位置で大きくすることができるが、スクリーンバイブレータから遠く離れた位置ではスクリーン変位が小さくなり得るが、それでもスペックルアーチファクトを低減することができる。スクリーン変位の周波数は、変位が容易に知覚可能となることを避けるために特定のレベルを超えるようにすることができる。しかしながら、スクリーン変位の周波数が高いほど、振動システムはより可聴になることがある。スクリーンの変位の観客による知覚及びスクリーンを振動させることから起こり得る可聴ノイズを最小化し、スペックルアーチファクト低減の最適なトレードオフを提供することができるようなスクリーン変位の周波数及び振幅の限られた範囲があり得る。スクリーン変位の周波数の範囲は35ヘルツから10ヘルツの範囲内であることができるが、スペックル低減はこの範囲外の変位周波数を用いても起こることがあり得る。
【0017】
スクリーン表面は、表面を機械的に振動させて、例えばスクリーンの後ろから、物理的な接触によって振動させるように設計することができる。他の例では、スクリーンは、非接触の手法を用いて揺らされる。非接触型の手法の例は、スクリーンの後ろにスクリーンに近接して配置される、拡声器などの、電気機械音響トランスデューサ又はアクチュエータを有する音響部品によることができる。トランスデューサが低周波信号でアクティブにされると、音響トランスデューサはスクリーンのすぐ後ろの空気を変位させ、トランスデューサが移動するのと同一の周波数でスクリーンの移動を誘導する。音響トランスデューサは、空気を変位させる移動コーンや振動板を有することができる。音響トランスデューサへの信号の周波数は、視聴者による可聴検出を回避するために、人間の最大の聴覚範囲を超えるか又は満たないようにすることができる。音響トランスデューサ振動システムは、トランスデューサはアクティブではないときにスクリーン表面を自然の状態のプロファイルで静止するようにすることができ、トランスデューサがアクティブであるときにスクリーンを2つの方向に等しく変位させることができる。
【0018】
図1は、一例のスクリーン振動システムを示している。システムは、電源106からの信号を受信することができるアクチュエータ104を含んでいる。アクチュエータ104は、スクリーン102の後ろに配置されている。アクチュエータ104は、電源106からの信号の周波数でスクリーン102を変位させるようにスクリーン102の背後に空気を直接に変位させることができる。いくつかの例では、アクチュエータ104は、音響アクチュエータである。
【0019】
他の例では、電気機械音響アクチュエータは、スクリーンを振動させるバッフルと嵌合する。
図2Aから
図4Bは、スクリーン102に対向して配置されたアクチュエータ104に嵌合する異なるバッフルの例である。アクチュエータ104は、スクリーン102から4分の1インチから24インチの範囲にある距離に配置することができる。バッフルを追加すると、スクリーン102に対向するアクチュエータ104によって、スクリーン102とアクチュエータ104との間の空気が影響され、スクリーンの変位を最大化することがあり得る。アクチュエータ104が移動するとき、アクチュエータ104の一方の側の空気は正の圧縮を経験し、アクチュエータ104の他の側の空気は負の圧縮を経験する。アクチュエータ104の両側の変位した空気は、逆の極性又は位相が180度ずれたものであり得る。相互作用する逆の極性の空気の変位は、空気の正味の変位を低減又はキャンセルする正味の効果を有し得る。バッフルを有することがスクリーン102に面していないアクチュエータ104の表面で変位する空気の逆の極性をスクリーン102で空気に影響を与えることから制限することは、スクリーン102で空気の変位の望ましくない低下を防ぐことができる。バッフルを越えて、アクチュエータ104の前及び後ろから変位した空気は、相互作用することができ、そのようなスクリーンを見る観客が位置することがあり得る場所など、アクチュエータ104及びバッフルから遠く離れた場所で部分的又は完全にキャンセルを生じ得る。
【0020】
図2Aは、バッフル250の断面側面図を示している。バッフル250は、アクチュエータ104の前に由来するスクリーン102に向かう空気の変位をアクチュエータ104の後で発生する空気の変位との相互作用から分離するプレートであり得る。バッフルの表面は、スクリーン102に平行で、アクチュエータ104の音響軸に垂直に配置することができる。音響軸は空気がアクチュエータ104によって変位している方向に沿った中心線にすることができる。アクチュエータ104は、電気機械的に移動されるコーン又は他のダイヤフラムを有する電気機械トランスデューサのような音響拡声器で使用される構成の音響トランスデューサであり得る。
図2Bは、アクチュエータ104及びバッフル250の斜視図を示している。バッフル250及びアクチュエータ104の面252(スクリーン102に対向する側)は、
図2Bに示されている。バッフル250は、剛性材料又は高密度の材料とすることができ、空気の変位がバッフルを屈曲させるのを防止し、さらにアクチュエータ104の前方及び後方で変位した空気の間の相互作用を低減する。バッフル250は、特定の実装に適するように長方形、円形、又は他の形状であり得る。
【0021】
図3Aは、側面断面図によるバッフル360の他の例を示している。バッフル360は管状であり、面362は
図3Bの斜視図に示され、アクチュエータ104の前及びアクチュエータ104の後ろの間に生じる空気の変位を分離する。アクチュエータ104の音響軸は、管状のバッフル360の軸に平行であり、スクリーン102に対して直角にすることができる。バッフル360の開口部は、スクリーン102に対向して配置することができる。アクチュエータ104は、コーンを有する電気機械トランスデューサとすることができる。バッフル360は、剛性材料又は高密度の材料とすることができる。バッフル360の開口部の断面形状は、特定の実装に適した長方形、円形、又は他の形状とすることができる。バッフル360は、アクチュエータ104の後ろに延長することができる。他の例では、バッフル360はアクチュエータ104の前に延長することができ、又はバッフル360はアクチュエータ104の後ろ及び前に延長することができる。
【0022】
図4Aは、側断面図によってプレート474及びプレート474から延在する管状(又は他の形状の)構造476を含むバッフル470の他の例を示している。
図4Bは、スクリーンに対向する面の向き472にすることができるバッフル470及びアクチュエータアセンブリ104の斜視図を示している。
【0023】
上記の開放されたバッフルはアクチュエータ104に近接したスクリーン102の領域の振動を僅かな相殺効果を有して可能にすることができるが、アクチュエータ104に取り付けられたバッフルを越えた距離で発生する低周波空気の乱れの伝播の相殺効果を可能にする。
【0024】
スクリーンを振動させる他のアプローチは、磁気源をスクリーンに近接して配置することを含み、磁力がスクリーンの背面に取り付けられた要素を排斥したり引き付けたりするため使用することができる。
【0025】
図5及び
図6は、永久磁石を用いたスクリーン振動の一例を示している。スクリーン102に取り付けるものは、永久磁石512aと相互作用することができる要素506を有するバテン504である。永久磁石512aはモータシャフト510に取り付けられ、永久磁石512aは電源106からの電力でモータ508によって回転することができる。要素506が北/南の方向を有する永久磁石である場合、図示のように、永久磁石512aの北極が要素506に向かって配向されているとき、回転する永久磁石512aは要素506を外側に押すことができる。永久磁石512aが回転して要素506に隣接してS極が位置するように配向されたとき、要素506は永久磁石512aに向けて引き寄せられることができる。要素506が永久磁石の代わりに鉄等の磁場によって影響され得る金属である場合、要素506は、要素506に対向する磁場が北又は南向きに関わらず永久磁石512aに向かってのみ移動することもある。スクリーンの変位は、例えば永久磁石512aに向かって、一方向のみであってもよい。しかしながら、要素506を永久磁石として有することは、経時的な平均スクリーン変位がスクリーンの自然な静止位置に近いことが望まれる場合には、有用であることもある。要素506が出入りする周波数は、永久磁石512が回転する速度に直接に比例することがあり得る。回転速度は、電源106を用いて振動の所望の周波数に調整することができる。スクリーン102は、永久磁石512aから外側に変位したとき、スクリーン102が永久磁石512aに向かって変位されたときのスクリーン102の静止位置より小さい変位を有していてもよい。システムは、要素506を引き付ける部分について永久磁石512aの長さを低減することで、外側及び内側の変位を等しくし、等しい内側及び外側のスクリーン変位を達成するようにすることにより、その差を補償することができる。スクリーンの振動システムがアクティブでない場合には、永久磁石512aは
図6に示すように配置され、要素506への影響が最小化され、スクリーン102は自然な静止位置に留まっている。
【0026】
図7は、静止した電磁石システムを使用したスクリーン振動システムの一例を示している。ワイヤコイル720は、コア722上に配置され、コア722の端部は要素506に向かって配向されている。コア722は磁場によって影響を及ぼされる鉄などの材料の場合、電源106によってコイル720に少量の電流を通し、要素506を反発したり引き付けたりすることができる磁場を生成することができる。電流がコイル720に逆方向で流れる場合、磁場は前とは逆になることがあり得、要素506を反発するのではなく引き付ける(又は設定に応じて引き付けることに代わり反発する)ことがあり得る。磁場によって要素506を移動させたことによるスクリーン変位は、スクリーン102をどちらの方向にも変位させることができる。
【0027】
スクリーン102は、コイル720及びコア722によって形成された電磁石から外側にずれたとき、スクリーン102が電磁石に向けて変位したときよりもより小さい静止位置からの変位を有してもよい。この差は、コイル720への電流を増加させることによって、コイル720が要素506を引き付けるときよりもコイル720が要素506を反発するときにコイル720を通るより多い電流が存在するようにすることにより、補償することができる。電流は、スクリーン102の静止位置から両方向に等しいスクリーン変位を提供するために、非対称な波形に成形することができる。一つの手法は、電磁石への所定の信号波形についてスクリーン変位プロファイルを測定し、入力信号がどのように修正されて所望のスクリーン変位を提供するかを決定することである。修正された波形は、その後、電磁石に印加され、所望の変位プロファイルが達成されたことを確認する。測距センサは、スクリーン変位を測定するために使用することができる。非対称な波形を作成するための他の手法は、スクリーンの自然な静止位置と同一の平均スクリーン変位を達成する量の直流バイアスを加えることである。
【0028】
図7のシステムの磁場を変更すると、スクリーン102に関連付けられた要素506に影響を及ぼすことができる。変更する磁場の周波数が増加する場合には、変更する磁場によって印加される力は、スクリーン102、バテン504、及び要素506の結合された慣性を乗り越えてスクリーン102が変更する磁場に追従することができなくなってもよい振動システム(例えば、磁気システム)がスクリーン102に影響を及ぼすことができる最大周波数が低すぎる場合には、スクリーン102、バテン504、及び要素506の慣性は、スクリーン102を振動させることができる上限を高めるために低減することができる。より強力な電磁石と電磁ドライバを使用すると、システムがスクリーン102を振動させることが可能である上限を高めることができる。スクリーンの張力も因子であってもよく、スクリーン102上に存在する張力が大きいほどスクリーン102を変位させるために必要な力の量は大きくなる。スクリーンの張力を低減させると、スクリーンの振動変位を増加させ、及びスクリーンの振動周波数を増加させることを促進することができる。しかしながら、スクリーンの張力の低減が大き過ぎると、スクリーンのたるみなどの他のスクリーン表面アーチファクトの問題をもたらすことがあり得る。
【0029】
電流が
図7のコイル720を通っていないと、存在する唯一の引き付ける磁力は、要素506からコア722に対するものであり得る。これは、スクリーン102をコア722に向けてわずかに引っ張ることができる要素へのわずかな残留力を生成してもよい。残留力を低減する1つの手法は、コア722及びコイル720を要素506から遠くに移動し、コイル720に高い電流を使用し、磁場を増大させて増加した距離を補償することである。別の手法は、コア722が作成される材料を磁場に影響されない材料に変更することを含んでいる。これらの種類の材料の例としては、プラスチック、アルミニウム、及び空気が挙げられる。磁場に影響されない材料がコア722に使用される場合、鉄から作られたコアと比較して同じ磁場強度を達成するためにより多くの電流が必要とされてもよい。コイル720に使用されるワイヤの巻き数は、より高い磁場を達成するために増加させることができる。コイル720は、磁場に影響されないコアが使用されているときには、要素506のより近くに配置することができる。
【0030】
図8は、コントローラ806を有するスクリーン振動システムの一例を示し、コイル820及びコア822を含む電磁デバイスを介して電流を制御する。エアギャップを通る磁束経路は大幅に低減することができ、作動デバイス(すなわち、コイル820及びコア822)から永久磁石806、及びスクリーン802上のバテン804へのより効率的なエネルギー伝達を可能にする。より効率的な磁気結合がある場合、磁場は、スクリーン102により良いエネルギー伝達を提供するためにより多く含有させることができ、スクリーンバテン804上の永久磁石80及び電磁コア822を構成することによって、磁場が通るより完全なループ又は縮小されたエアギャップを有する閉ループを形成するようにすることができる。電磁コア822は、磁場によって影響される金属材料から作ることができる。金属材料は、高い相対透磁率特性を有することができる。高い相対的透磁率を有する金属材料としては、例えば、鉄又はミューメタルのような強磁性金属が挙げられる。磁束経路内のエアギャップは、コア822及び永久磁石806の端部間の短い経路に限定されてもよい。振動システムのエネルギー効率は、開放端部に大きなエアギャップが存在しないように電磁コア及びスクリーンバテン上の永久磁石を構成することによって改善することができる。
【0031】
上述の要素506、806は、それぞれバテン504、804に取り付けることができ、スクリーン102のより広い領域にわたって要素506、806に印加される反発する及び引き付ける力を分布させる。例えば、バテン504、804の長さは、1フットから2フィートの長さであり、1インチ以上の幅であり得る。水平曲率のみを有し、垂直曲率がないスクリーンについて、1つ以上のバテンは、スクリーンの背面に垂直に取り付けることができる。バテンは、バルサ材、炭素繊維、又は複合材料など、軽いけれども硬い材料で作ることができる。要素506、806は、バテン504、804の表面に取り付け、又はバテン504、804に凹設することができる。バテン504、804は、スクリーン102に変形又は汚れを発生させることのない接着剤でスクリーン102に固定することができる。スクリーン102に向かうバテン504、804の側面は、スクリーン102が有孔の場合は、それが見えないように色を黒にすることができる。例えば、オーディオスピーカがスクリーンの後ろに配置されて提示される音響がスクリーン材料の開口部を通ることができる場合には、有孔スクリーンが使用されてもよい。
【0032】
図9は、スクリーン930上に取り付けられたバテン932のあり得るバテン分布の位置を示している。スクリーンが大きいほど、よりバテンが使用されるか又は必要とされる。
【0033】
適切な電源は、バテンがスクリーン上に配置された位置について各コイルに電力を供給するために使用することができる。1つの手法は、コイルのすべてが同一の周波数及び同位相で振動するように、コイルのすべてに電力を供給する1つの電源を使用することである。しかしながら、スクリーンの振動は同一の周波数及び位相関係を有してもよく、スクリーン上に分布する局所的な定在振動波パターンをもたらすことがあり得る。定在波振動はスペックルを減少させために効果的でなくてもよいが、これは、スクリーンのある構成要素が移動することがなく、したがってスペックルアーチファクトを低減することができなくてもよいからである。
【0034】
定在振動波を低減又は排除するために使用されてもよい1つの手法は、別個の電源を有するコイルのそれぞれに、各電源が無相関(また、「脱相関」とも呼ばれる)であるランダム信号を生成するように、電力を供給するか又は駆動することである。ランダム信号は、振幅及び周波数がランダムであり、ピンク又はホワイトノイズに類似している。信号が、振幅でランダムであり周波数がそうでない場合、又は周波数がランダムであるが振幅はそうでない場合、異なる電源からの波形の相互作用に定在成分が依然として存在してもよい。ソースのそれぞれからの信号は、振幅及び周波数において脱相関させることができる。例えば、コイルのそれぞれは、他のコイルを駆動するために使用される信号とは異なる振幅、周波数、及び位相関係を有する信号で駆動することができ、定在波につながる又は定在波成分を有する条件を低減又は排除する。
【0035】
図10は、スクリーン振動システムのコイルドライバ構成の一例を概略的に示している。コイル1-n 1050、1052、1054、1056のそれぞれは、アクチュエータドライバ電源1040に電気的に接続することができる。アクチュエータドライバ電源は、チャネル出力1042、1044、1046、1048を有し、各コイルについて信号を提供するように(例えば、設計により)構成されている。各チャネルはそれ自身の周波数源を有して構成することができ、周波数源はピンク又はホワイトノイズ源などのランダム周波数源である。周波数源の帯域幅は、20ヘルツから30ヘルツの範囲に周波数成分が存在し、周波数源が、20ヘルツから30ヘルツのバンドパスフィルタでフィルタときに信号コンテンツが存在するようにすることができる。
【0036】
図11は、他のチャネルと無相関の出力チャネルに信号を出力するシステム1100のブロック図を示している。アクチュエータドライバ電源1040から
図10のチャネル出力1042、1044、1046、1048のそれぞれは、アクチュエータドライバ電源1040内の別個のシステムによって供給することができ、その一つの例が
図11に示されている。周波数源1160は、DSP又は他の種類の信号プロセッサであることができ、ランダム周波数の範囲は、周波数がピンクノイズ又はホワイトノイズに相当するように作成することができる。バンドパスフィルタ1162は、振動コイルが使用されているスクリーンについて信号の不用の部分を除去するために、周波数源1160からの信号をフィルタすることができる。スクリーンの振動範囲は、30ヘルツから20ヘルツであり得るが、この範囲に限定されない。フィルタされたソース信号は、信号レベルがスクリーン振動コイルに適切であるように、増幅回路1164で増幅される。各チャネルは、各チャネルからの信号が無相関であり得るように、独自の周波数源を有することができる。同一のドライバ構成は、アクチュエータ104又はモータ508など、
図7及び
図8でそれぞれコイル720とコイル820の代わって他のアクチュエータを駆動するために使用することができる。
【0037】
本明細書で開示されているスクリーンの振動システムのいくつかの例は、既存の劇場のスクリーン上に後付けすることができ、投影システムの画像光源が非コヒーレント光源からレーザ光源などのコヒーレント光源に変更された劇場のスクリーンを含む。
【0038】
スペックルアーチファクトの低減を最適化するために、スクリーン画像監視システム及びフィードバックループは、振動の量を調整し、又はスクリーンバイブレータに印加される振動のパラメータを変更するように設定することができる。
図12は、劇場でのスペックルの低減を最適化するために使用できるシステムを示している。劇場スクリーン1202は、スクリーンの後ろに配置され、コントロールユニット1214により制御される複数のスクリーンバイブレータ1212a-cを有してもよい。コントロールユニット1214は、バイブレータ1212a-cのそれぞれに脱相関の駆動信号を提供することができ、スクリーン1202が各バイブレータによって振動され、スクリーンの振動が互いに脱相関になり得るようにする。プロジェクタ1204はスクリーン1202に投射レンズ1206を介して光を投影し、カメラなどのセンサ1208はスクリーン1202に投影された光を捕捉することができる。捕捉された画像は、センサ1208又は別個のユニット1210に格納することができる。別個のユニット1210は、カメラ画像を処理することもでき、スクリーン1202上の光の中のスペックルの量を分析、及び決定又は定量化する。別個のユニット1210からの情報は、コントロールユニット1214に通信することができ、コントロールユニット1214はスクリーンバイブレータ1212a-cのそれぞれに駆動信号を提供することができる。センサ1208はプロジェクタ1204とともに投影ブース内に配置することができ、又はセンサ1208は投影ブースの外側に配置することができ、センサ1208がブースの窓1216を介してスクリーン1202を見る必要がないようにする。別個のユニット1210は、それ自身の上、又はセンサ1208の一部、プロジェクタ1204の一部、又はコントロールユニット1214の一部であり得る。
【0039】
スペックルの低減を最適化する処理は、プロジェクタ1204からスクリーン1202上に光を投影することによって行うことができる。投影された光は、投影されたパターンであり得るか、又は全スクリーン領域に投影された唯一の色であり得る。例えば、スクリーン1202に投影された光は、青、赤、又は緑であり得る。最適化はスペックルアーチファクトがより明らかになることが知られた緑色光などの1つの色について行うことができ、又は最適化はスペックルアーチファクトの低減がすべての色の光を考慮して最適化されることを確保するように行うことができる。スペックルを低減するための最適化は、ショーの日の前に行うことができ、又は長期間が経過すると繰り返すようにスケジュールすることができる。センサ1208は、スペックル低減のために意図された投影光パターンを捕捉するカメラであり得る。捕捉した画像は、別個のユニット1210によって存在するスペックルの量について処理及び分析することができるであろう。スペックルの量はスクリーン1202について大域的に決定することができ、又はスペックルは、バイブレータ1212a-cの影響を受けるスクリーン領域のようなスクリーン1202のより局所的な領域について決定することができる。存在するスペックルの量と比較して許容できるスペックルの量についての所定の基準に基づいて、コントロールユニット1214は、バイブレータ1212a-cへの信号を変更して必要なスペックルの低減を達成するために、別個のユニット1210からの情報に影響されることがあり得る。
【0040】
スペックルのアーチファクトを低減する処理1300の一例は、
図13のフローチャートとして示されている。処理1300は、
図12に示したシステムの図を参照して説明するが、他の実施も可能である。ブロック1302では、スクリーン1202上の画像の光は、センサ1208で捕捉される。ブロック1304では、別個のユニット1210は、スペックルアーチファクトの分析のために捕捉した画像を処理する。スペックルアーチファクトの分析のための捕捉した画像の処理は、スペックルアーチファクトをさらに分離するために画像の低域フィルタを含むことができる。ブロック1306では、別個のユニット1210は、処理された情報からスクリーン1202上に存在するスペックルアーチファクトの量を決定する。ブロック1308では、スペックルアーチファクトの存在する量の比較は、しきい値レベルでなされる。決定ブロック1310では、さらなるアクションは、この比較に基づいて決定される。スペックルの存在する量が閾値を超えない場合、ブロック1312のようにさらなる調整は必要とされない。スペックルの存在する量が許容できる範囲を超えると、スクリーンバイブレータ1212a-cの1つ以上に印加される補正の調整はブロック1314で決定される。1つ以上のスクリーンバイブレータ1212a-cは補正された振動信号を受信し、ブロック1316でスクリーン1202はスクリーンバイブレータへの補正された調整で振動する。
図13の処理1300は、補正の調整が所定の閾値範囲内にスペックルの量を低減しているかどうかを決定するために繰り返すことができる。処理1300が所定回にわたり繰り返された後で、スペックルの量が所定の閾値範囲内に低減されていない場合、状態にフラグを立てることができる。フラグが立てられると、スクリーンバイブレータの再配置などの他の要因を考慮することができる。再配置は、手動で行うことができ、又は
図14で説明されるように自動化された振動システムとすることができる。
【0041】
スクリーンバイブレータは、バイブレータとスクリーンとの間の最適な距離を維持するために時間をかけて再配置する必要がある。スクリーンフレーム又は他の接続点に取り付けられたバイブレータ又はバイブレータアセンブリは、時間の経過又は温度及び湿度の変化に伴って発生することもあるバイブレータとスクリーンとの間の距離の変化に対応するために調整可能ではないこともある。
【0042】
図14に示す調整可能な構成1400はバッフル1450を有するバイブレータアセンブリ1414を有し、プラットフォームアセンブリの静止部1404はスクリーン構造(図示せず)に取り付けられたプラットフォームアセンブリの可動部1402に取り付けることができる。プラットフォームアセンブリは、バイブレータアセンブリ1414をスクリーン102から離れるように又はスクリーン102に近づくように移動させるために、プラットフォームの可動部1402を移動するように命令することができるモータ又はアクチュエータ1406を有することができる。バイブレータアセンブリ1414及びバッフル1450は、非音響電磁アクチュエータアセンブリと置き換えてもよく、その例は
図5、
図7及び
図8に示されている。
【0043】
他の構成では、バイブレータとスクリーンとの間の距離は、小さな距離だけスクリーンに近づく又はスクリーンから離れる移動、摺動又は軸動ができるように、バイブレータアセンブリを取り付けることによって調整することができる。モータ又はアクチュエータを用いてスクリーンに対するバイブレータアセンブリの移動、摺動又は軸動の量を制御することによって、バイブレータとスクリーンとの距離を調整することができる。パンタグラフ機構も、バイブレータアセンブリが、スクリーンに対して一定の角度関係を維持しながらスクリーンに対して再配置することができるように使用することができる。
【0044】
図14に示す自動調整システムでは、距離感知デバイス1408は、スクリーン102からのバイブレータアセンブリ1414の距離1410を決定するためにバイブレータアセンブリ1414に取り付けることができる。距離感知デバイス1408は、超音波距離センサ、又は別の距離感知技術を利用した距離センサとすることができる。コントローラアセンブリ1412内のプロセッサは、距離感知デバイス1408から距離情報を受信し、バイブレータアセンブリ1414がスクリーン102から許容可能な距離範囲内であるかどうかを決定するために使用することができる。距離1410が許容可能でない場合、プロセッサはコントローラアセンブリ1412内のモータドライバに命令し、それがバイブレータアセンブリ1414とスクリーン102との間の許容可能な距離の範囲内になるまでバイブレータアセンブリ1414が取り付けられたプラットフォームの可動部を移動させる。バイブレータアセンブリ1414がスクリーン102からの許容可能な距離範囲内に留まっている場合は、プロセッサは現在のモータ位置を保持するようにコントローラアセンブリ1412に命令することができる。
【0045】
各スクリーンバイブレータは、スクリーンとバイブレータとの間で自動的に調整するように構成することができる。他の例では、スクリーンとバイブレータとの間の距離が時間の経過に伴い変化する大きな傾向があるスクリーン位置にあるスクリーンバイブレータのみである。例えばスクリーンのいくつかの部分は、時間の経過とともにスクリーンの他の部分よりもより多くのたるみを経験することがあり得、したがってより多くのたるみを経験したスクリーンの部分に配置されたバイブレータは、バイブレータアセンブリとスクリーンとの距離を調整することができるように構成することができる。1つの構成では、スクリーンの下部に配置されたバイブレータは、スクリーンへの距離を調整することができるようなバイブレータとすることができる。
【0046】
他の例では、バイブレータとスクリーンとの間の位置は、スクリーンの調整処理において最適化することができる。例えば、
図12のシステムは、
図14で説明した構成の調整可能なバイブレータになるようにスクリーンバイブレータを1212a-cを構成することによって設計することができる。コントローラアセンブリ1412は、
図12の別個のユニット1210又はコントロールユニット1214からのスペックルの量に基づいて情報を受信するように構成することができる。スクリーン調整処理では、別個のユニット1210又はコントロールユニット1214から受信した情報は、スペックルの低減を最適化し、スクリーン振動における変位量を最小にするようにバイブレータとスクリーンとの間の距離を変更する命令であり得る。スペックルを低減する最適化及びスクリーンを調整する処理は、日々のシステム較正の一部として、又は各提示の前又は必要に応じて提示中に発生し得る。
【0047】
他の例では、
図14のバイブレータアセンブリ1414上で、距離感知デバイス1408からの信号は、
図12のコントロールユニット1214に提供することができ、コントロールユニット1214によって対応するバイブレータへの信号の振幅を制御し、バイブレータとスクリーンとの間の距離の変化を補償するスクリーン振動を維持する。
【0048】
他の構成では、複数のスクリーンバイブレータが使用され、すべて実質的に同一の非脱相関信号によって駆動され、定在波アーチファクトは各スクリーンバイブレータを隣接するスクリーンバイブレータから一定距離だけ離して保持することによって最小にすることができ、それぞれの振動変位波が互いの最小の干渉を有するようにする。各スクリーンバイブレータ間の距離も、十分な振動の量を受け取らないスクリーン上の領域がないことを確保するように必要により接近させるが、2つの隣接するスクリーンバイブレータからの2波の干渉により形成する可視の定在波を生成するほど接近し過ぎないようにすることができる。スクリーン振動スペックルを低減するフィードバックループが使用される場合、大域的なスペックルアーチファクトの低減は、共通のバイブレータ駆動信号について最適化することができる。最適化は、すべてのバイブレータが同一の周波数で駆動されても、各スクリーンバイブレータについて駆動信号の振幅を異なるレベルに調整することも含み得る。
【0049】
本発明の図示された態様を含む態様の上述の説明は、単に図示及び説明の目的で提示され、網羅的であること又は開示された正確な形態に本発明を限定することを意図するものではない。本発明の多くの修正、適応、及びの使用は、本発明の範囲から逸脱することなく当業者に明らかであろう。