(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】電力及び冷却下部構造体付きバックプレーン組立体
(51)【国際特許分類】
H01M 50/204 20210101AFI20220614BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20220614BHJP
H01M 10/6556 20140101ALI20220614BHJP
H01M 50/502 20210101ALI20220614BHJP
H01M 50/543 20210101ALI20220614BHJP
【FI】
H01M50/204 401H
H01M10/613
H01M10/6556
H01M50/502
H01M50/543
(21)【出願番号】P 2019506755
(86)(22)【出願日】2017-04-20
(86)【国際出願番号】 CA2017050489
(87)【国際公開番号】W WO2017181282
(87)【国際公開日】2017-10-26
【審査請求日】2020-04-20
(32)【優先日】2016-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518373841
【氏名又は名称】コルヴァス エナジー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】リンドストローム ジェレミー
(72)【発明者】
【氏名】ロンヌ ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ファッコーネ アンジェロ
【審査官】結城 佐織
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-351311(JP,A)
【文献】特開2015-109153(JP,A)
【文献】特開2012-226915(JP,A)
【文献】特開2013-171662(JP,A)
【文献】特開2016-029712(JP,A)
【文献】特開2015-060798(JP,A)
【文献】特開2005-176461(JP,A)
【文献】特開2000-022358(JP,A)
【文献】特開2010-080456(JP,A)
【文献】国際公開第2014/073524(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/204
H01M 10/613
H01M 10/6556
H01M 50/502
H01M 50/543
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバッテリーモジュールと係合するバックプレーン組立体であって、前記バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部を備えるとともに前記バッテリーモジュールを受け入れ側部と反対側の側部に別々の下部構造体を有し、前記別々の下部構造体は、
前記バッテリーモジュール受け入れ側部に隣接して位置する電力下部構造体を含み、前記電力下部構造体は、前記バックプレーン組立体と係合した前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上の電気コネクタと対応関係をなして係合するよう配置された電気コネクタを有し、
前記バッテリーモジュール受け入れ側部と流体連通関係をなして前記電力下部構造体に隣接して位置する冷却下部構造体を含み、前記冷却下部構造体は、前記冷却下部構造体を通って移動している冷却流体が前記バッテリーモジュール受け入れ側部の方へ差し向けられて前記バックプレーン組立体と係合状態にある前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上を冷却し、前記冷却下部構造体は、更に、前記冷却下部構造体に導入された冷却流体が前記バッテリーモジュール受け入れ側部に到達する前に前記冷却下部構造体を通って移動するよう構成されており、
前記バッテリーモジュール受け入れ側部と流体連通関係をなして前記冷却下部構造体に隣接して位置する排気下部構造体を更に含み、前記排気下部構造体は、前記バックプレーン組立体と係合状態にある前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上によって抜き出された排気ガスが前記バックプレーン組立体から遠ざかる方向に少なくとも1つの排気チャネルに沿って差し向けられるよう構成されており、
前記冷却下部構造体からの前記少なくとも1つの排気チャネルの物理的分離に起因して、前記排気ガスと、前記冷却下部構造体を通って移動している冷却流体との混合が行われないように構成されている、バックプレーン組立体。
【請求項2】
前側の側部及び複数のバッテリーベイを有するバッテリーラックを更に含み、前記バックプレーン組立体は、前記バッテリーラックの後側の側部を定め、各バッテリーベイは、前記バッテリーラックの前記前側の側部を通って前記バッテリーモジュールのうちの1つを受け入れるよう構成されている、請求項1記載のバックプレーン組立体。
【請求項3】
前記電力下部構造体の前記電気コネクタは、前記電気コネクタが前記バックプレーン組立体と係合状態にある前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上の対応の電気コネクタと係合するよう位置決めされている、請求項1又は2に記載のバックプレーン組立体。
【請求項4】
前記バックプレーン組立体と係合状態にあるバッテリーモジュールの前記電気コネクタのうちの少なくとも幾つかは、垂直整列関係をなして位置決めされている、請求項3記載のバックプレーン組立体。
【請求項5】
前記電力下部構造体は、通信ポートを更に有し、前記通信ポートは、前記通信ポートが前記バックプレーン組立体と係合状態にある前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上の対応の通信ポートと係合するよう位置決めされている、請求項1~4のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項6】
前記バッテリーベイは、バッテリーモジュールを前記バッテリーラックの前記前側の側部経由でバッテリーベイ中に滑り込ませてついには前記バッテリーモジュールが嵌合位置にあるようにすることによってバッテリーモジュールを受け入れるよう構成され、前記嵌合位置では、前記バッテリーモジュールの前記電気コネクタは、前記電力下部構造体の対応の電気コネクタと係合する、請求項
2記載のバックプレーン組立体。
【請求項7】
前記電気コネクタ及び/又は前記通信ポートの係合は、ブラインド式嵌合係合方式である、請求項
5記載のバックプレーン組立体。
【請求項8】
前記電力下部構造体は、各々が前記バックプレーン組立体と係合状態にある2つのバッテリーモジュールを相互に連結するよう構成された複数のバスバーを更に有する、請求項1~7のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項9】
前記バッテリーモジュール受け入れ側部から前記排気下部構造体まで延びるとともに前記冷却下部構造体を通過する少なくとも1つの排気チャネルを更に含む、請求項1~8のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項10】
各排気チャネルは、前記冷却下部構造体を通過するチャネル部分を構成し、前記チャネル部分のうちの少なくとも1つは、前記排気チャネルからの熱の放散を助けるヒートシンクを有する、請求項9記載のバックプレーン組立体。
【請求項11】
各下部構造体は、他の1つ又は複数の下部構造体から実質的に物理的に隔てられている、請求項1~10のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項12】
前記冷却下部構造体と前記排気下部構造体は、熱を前記排気下部構造体から引き出して前記冷却下部構造体中に引き込むヒートシンクを有するバリヤによって隔てられている、請求項1~11のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項13】
前記下部構造体の各々は、実質的に共通のバリヤによってその隣の1つの又は複数の下部構造体から隔てられている、請求項1~12のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項14】
前記バックプレーン組立体は、前記バッテリーモジュール受け入れ側部に多数のバッテリーベイを備え、前記電力下部構造体及び前記冷却下部構造体は、更に、前記冷却下部構造体を通って移動している冷却流体が隣合うバッテリーベイを互いに隔てるチャネルに差し向けられるよう配置されている、請求項1~13のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項15】
前記下部構造体は、単一の一体型構造体を形成している、請求項1~14のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項16】
前記バックプレーン組立体は、前記バッテリーモジュール受け入れ側部に二次元アレイの状態に配列された多数のバッテリーベイを備え、バッテリーベイの各縦列は、左側半部及び右側半部を有し、バッテリーベイの一縦列に関し、前記電力下部構造体の前記電気コネクタは、前記縦列の前記左側半部及び前記縦列の前記右側半部のうちの一方上に位置決めされている、請求項1~15のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項17】
前記アレイは、幅に関して偶数個のバッテリーベイであり、前記アレイは、バッテリーベイの1つ又は2つ以上の対をなす隣合う縦列から成り、各対は、前記バッテリーモジュール受け入れ側部に向いて見て、左縦列及び右縦列を定め、前記電力下部構造体の前記電気コネクタは、バッテリーベイの前記左縦列に関し、前記左縦列の前記右側半部上に位置決めされ、バッテリーベイの前記右縦列に関し、前記右縦列の前記左側半部上に位置決めされている、請求項16記載のバックプレーン組立体。
【請求項18】
前記アレイは、幅に関して奇数個のバッテリーベイでありかつ幅に関して3つ以上のバッテリーベイであり、前記アレイは、バッテリーベイの1つ又は2つ以上の対をなす隣合う縦列及びバッテリーベイの奇数個の縦列を有し、前記アレイが5つ以上の縦列を有する場合、各対をなす隣合う縦列は、別の対をなす隣合う縦列に隣接して位置し、各対は、前記バッテリーモジュール受け入れ側部に向いて見て、左縦列及び右縦列を定め、前記電力下部構造体の前記電気コネクタは、バッテリーベイの前記左縦列に関し、前記左縦列の前記右側半部上に位置決めされ、バッテリーベイの前記右縦列に関し、前記右縦列の前記左側半部上に位置決めされ、前記電力下部構造体の前記電気コネクタは、バッテリーベイの前記奇数個の縦列に関し、前記奇数個の縦列に隣接して位置する前記縦列に関する半部と同一の前記奇数個の縦列の半部上に位置決めされている、請求項16記載のバックプレーン組立体。
【請求項19】
バッテリーベイの各縦列は、左側の縁及び右側の縁を有し、前記左側縁と前記右側縁は、距離dだけ隔てられており、前記電力下部構造体の前記電気コネクタは、縦列の前記左側半部上に位置決めされている縦列に関し、前記電気コネクタは、前記左側縁からdの30%以下、20%以下又は10%以下のところにそれぞれ位置決めされ、前記電力下部構造体の前記電気コネクタが縦列の前記右側半部上に位置決めされている縦列に関し、前記電気コネクタは、前記右側縁からdの30%以下、20%以下又は10%以下のところにそれぞれ位置決めされている、請求項16~18のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項20】
前記バックプレーン組立体と係合するとともに前記バックプレーン組立体に電気的に接続された1つ又は2つ以上のバッテリーモジュールを更に含む、請求項1~19のうちいずれか一に記載のバックプレーン組立体。
【請求項21】
複数の電気的に相互に接続されたバッテリーモジュールを動作させる方法であって、各バッテリーモジュールは、バッテリーモジュール受け入れ側部を定めるとともに前記バッテリーモジュール受け入れ側部と反対側の側部上に別々の下部構造体を含むバックプレーン組立体と係合し、前記別々の下部構造体は、
前記バッテリーモジュール受け入れ側部に隣接して位置する電力下部構造体を含み、前記電力下部構造体は、前記バッテリーモジュールの電気コネクタと対応関係をなして係合した電気コネクタを有し、
前記電力下部構造体に隣接して位置する冷却下部構造体を含み、前記冷却下部構造体は、前記冷却下部構造体から前記バッテリーモジュール受け入れ側部までの流体流路を提供し、
前記方法は、
前記電気コネクタを用いて電力を前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上から引き出し又は電力を前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上に提供するステップと、
冷却流体を差し向けて前記冷却流体が前記冷却下部構造体から前記バッテリーモジュール受け入れ側部に流れ、前記冷却流体が前記バッテリーモジュール受け入れ側部に達する前に前記冷却下部構造体を通って移動するようにするステップと、を含み、
前記バックプレーン組立体は、前記冷却下部構造体に隣接して位置する排気下部構造体を更に含み、前記排気下部構造体は、前記バックプレーン組立体と係合する前記バッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上によって抜き出された排気ガスを前記バッテリーモジュール受け入れ側部から前記排気下部構造体まで遠ざかる方向に差し向ける少なくとも1つの排気チャネルを提供し、
前記冷却下部構造体からの前記少なくとも1つの排気チャネルの物理的分離に起因して、前記排気ガスと、前記冷却下部構造体を通って移動している冷却流体との混合が行われないように構成されている、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のバッテリーモジュールと係合するバックプレーン組立体、特に一体型バックプレーン組立体を備えたバッテリーラックに関する。
【背景技術】
【0002】
充電式電池の一形式は、種々の混合酸化物又はかんらん石によってアクティブ状態にされる正電極、特定の酸素によってアクティブ状態にされる負電極、及び分離器を含む多層構造体を有するリチウムイオンバッテリーであり、これらのバッテリー構成要素は全て、有機電解質内に浸漬されている。バッテリーは、典型的には、バッテリーモジュールを形成するようエンクロージャ内に収容されている。通常の動作条件中、電気エネルギーが充電の際に化学エネルギーに変換されてこの化学エネルギーとして蓄えられ、そして蓄えられた化学エネルギーは、放電の際に電気エネルギーに変換される。具体的に説明すると、充電中、正電極のリチウムは、イオン化され、このリチウムは、層から層に移動して負電極に至り、放電中、イオンは、正電極に移動し、そしてその元の化合物に戻る。多数のリチウムイオンバッテリーモジュールをラック組立体に取り付けると、バッテリーパックを形成することができる。
【0003】
バッテリーモジュール用の現行のラックには種々の問題がある。バッテリーモジュールは、典型的には、これらの前側フェース上に正及び負のコネクタを含み、電力ケーブル組立体がこれら正負のコネクタに接続されて開閉装置又はスイッチギア(パックコントローラ)で終端するモジュールのストリングを形成する。また、冷却剤入口及び出口連結部が典型的には、バッテリーモジュールの前側フェースに設けられている。外部可撓性ホースがこれら冷却剤取り付け部をラックシステムの前面に取り付けられた外部剛性管に連結する。かかる連結は、設置したり点検整備したりするのが困難かつ大きな労働力を有する場合が多く、圧着上の問題に起因して貧弱な製造上の品質のものとなり、更に、設置業者/点検整備業者による配線ミスが起こりやすく、それにより短絡が生じる場合がある。さらに、ケーブルがラックの前側フェース上に露出される場合が多いので、これらケーブルは、他の機器又は活動に起因する衝撃/機械的損傷を受ける。モジュールの前側フェース上に露出されるケーブルにより、バッテリーパックはまた、冷却剤がバッテリー室の隣接区域内のフロア上にこぼれ落ちる場合のある冷却剤の漏れの恐れを生じる状態にある。
【0004】
現行のバッテリーパックに関し、バッテリーモジュールの設置/点検整備はまた、比較的複雑なプロセスである。モジュールを設置し又はモジュールをバッテリーパックから取り出すため、モジュールがラックからの設置/取り外しを自由に行うことができるようにするまで、上述の個々のインターフェースの全ての接続/分解が一般的に必要になる。
【0005】
さらにまた、バッテリーモジュールの種々の物理的構成に対応するには多数のケーブル長さが必要である場合が多い。この結果、電源回路が複雑でありかつ過度に長くなる場合がある。電力回路は、ケーブルジャケットが互いに接触した状態でそれ自体クロスオーバーすることになり、その結果、潜在的なホットスポットが生じる。ケーブル布設の結果として生じる全体的なループ領域は、大きい場合があり、それにより潜在的に電磁干渉(EMI)の問題が生じる。
【0006】
上述のリチウムイオンバッテリーは、海運業界において普及している。バッテリーは、典型的には、一日24時間の動作が行われ、しかも一年のうちほぼ毎日である。バッテリーに課されるこれら高いエネルギー需要のために、これらの性能を定期的にモニタしてこれらの寿命の間、これら電池が安全上の要件を適切に満たしているようにすることが重要である。
【0007】
性能の低下を生じるバッテリーモジュールは、当業界において「熱暴走」として知られている現象を生じがちである。例えば、過電圧、過電流、又は過剰温度のある特定の極端な環境においては、「自己発熱」と呼ばれる状態がリチウムイオンバッテリー内に生じることがあり、それによりバッテリーは、熱暴走状態に入ることがある。自己発熱は、バッテリーセルの内部電気化学構造がこの内部の温度を上昇させる状態である。熱暴走は、バッテリーセル内の内部温度が、化学反応が起こって可燃性ガスが放出されるレベルまで増大したときに起こる。バッテリーセルを収容したエンクロージャ内に十分な酸素が存在する場合、可燃性ガスが着火して相当な量のエネルギーを放出する。単一のバッテリーモジュール内の熱暴走の効果は、極めて劇的でありかつ損傷を与える場合がある。熱暴走が起こると、少量の酸素が発生し、内部エネルギーが800℃を超える温度まで上昇することがある。これら現象の組み合わせにより、内部出火、過度のガス発生及びその結果としてリチウムイオンセルの周りのエンクロージャの破壊が起こることがある。熱暴走の防止は、極めて重要であり、したがって、バッテリーモジュール温度を許容可能な範囲内に保つために用いられる冷却システムができるだけ効率が高くなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術のバッテリーラック、特に海運業において用いられるバッテリーラックに直面する種々の問題を考慮して、先行技術の直面している課題のうちの少なくとも幾つかに対する解決手段を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下の説明は、一般的な意味において開示内容の概観を提供するものであり、本発明の範囲に対する限定として理解されるべきではない。
【0010】
一体型組立体を有するバックプレーンを備えたバッテリーラッキング構造体が説明される。バックプレーン付きのラックは、追加の外部コネクタ、ケーブル、管、ホース、又は通気ダクトを何ら必要としないでバッテリーモジュールを動作させるのに必要な機能を提供することができる。ラックは、単にモジュールをモジュールベイ又はバッテリーベイ中に滑り込ませて締結具又は他の何らかのロック機構体により締結することにより必要なインターフェース接続を提供することができる。
【0011】
ブラインド式嵌合接続方式は、バッテリーモジュールを摺動させてこれをラッキング構造体内において動作位置にロックすることによって自動的に形成されるのが良い。バッテリーモジュールの後部のところに設けられた電力ピンがバックプレーン組立体内に固定された電力ソケットと係合したときに電力接続部が形成されるのが良い(又は、逆の場合においては、バックプレーン組立体内の電力ピンがバッテリーモジュールの後部のところに設けられたソケットと係合する)。
【0012】
電力ソケットは、各々、バスバーに接続されるのが良く、その結果、バッテリーモジュールの全てがラック内に設置されると、完全な直列ストリングが形成され、このストリングの両端部(正及び負)は、電力スイッチギア装置又はパックコントローラで終端する。相互接続バスバーは、僅かな位置合わせ不良を許容するよう柔軟性があるのが良く、したがって、コネクタを着座させるのに必要な最小限の力で正確な嵌まり合いが可能である。
【0013】
モジュールの動作位置では、バッテリーモジュールの後部のところに設けられた皮下リポートがバックプレーン組立体内に固定された光ポートの十分な近接範囲内に入ったときに光接続部が形成されるのが良い。光媒体は、好ましくは、安価な低帯域幅ライトパイプ材料である。光インターフェース空隙は、位置合わせ不良を十分に許容することができ、したがって、正確な位置合わせを保証するには一般的に非高精度コンポーネント又は特定の位置合わせ/較正手順が必要とされるに過ぎない。
【0014】
バッテリーモジュールは、1つ又は2つ以上の雄型/雌型排気ポートを備えるのが良く、これらポートは、通常のバッテリー動作条件下においてシールを提供する。関連の圧力上昇により高いセル温度状態が万が一生じた場合、1つ又は2つ以上のバッテリーセルは、毒性ガスを出す場合がある。この状況下において、排気シールは、高いガス温度に起因して溶け去ることによって開くことになり(又は圧力によって開くことになり)、かくして、バッテリーモジュールの外部にガスが放出されるとともに差し向けられる。バックプレーン組立体は、雄型モジュールポートを受け入れる合致する相手方の雌型/雄型排気ポートを備えるのが良い。ガス排出現象の場合、ガスは、バックプレーン組立体中に安全に差し向けられるのが良く、更に、安全取り扱い場所に差し向けられるのが良く、その結果、バッテリーシステムのすぐ付近に逃げ込むガスが存在しないようになる。
【0015】
空冷式ラックの場合、ラックバックプレーンは、一体型空気送り出しシステムを備えるのが良く、その結果、冷却用空気が前方にかつ各バッテリーモジュールに設けられているフィン付きヒートシンク構造体上に/中に差し向けられるようになっている。次に、加熱状態の空気がラック組立体の前側フェースのところで排出されるのが良い。かかる較正は、例えば室内の低温空気が主としてフロアレベルのところに位置している場合に好ましいと言える。空気送り出しシステムは、フロアレベルの近くでラックの底部のところに位置決めされるのが良く、この空気送り出しシステムは、空気をバックプレーン組立体中に押し又は引くことができる。変形例として、空気送り出しシステムがラックの頂部のところに配置されている場合、低温空気をラック組立体の頂部から底部に向かってバックプレーン沿いに下方に押すのが良く、次に、かかる低温空気をフロアレベルのところでラック組立体の底部から放出するのが良い。この同じ形態では、これとは異なり、空気を、バックプレーン組立体を通って上方に引き上げることができ(空気送り出しシステムがラック頂部のところに配置されている場合)、そして頂部のところで放出することができる。好ましい形態は、一般に、空気送り出しシステムがラックの底部のところに配置されていて空気をバックプレーン組立体中に吸い込み(又は引き込む)よう構成されている形態である。空気送り出しシステムは、種々のバッテリーモジュール形態に対応するよう構成されているのが良く、かかるバッテリーモジュール形態としては、シングル型ヒートシンクを備えたモジュールやデュアル式ヒートシンク(1つがバッテリーモジュールの頂部のところに設けられ、もう1つがバッテリーモジュールの底部のところに設けられている)を備えたモジュールが挙げられる。
【0016】
各バッテリーモジュールは、バックプレーン組立体内の冷却剤送り出し接続部と対応関係をなして結合するよう配置された入口及び出口を有する一体型冷却プレートを備えるのが良い。したがって、冷却剤をバッテリーモジュールに通して差し向けることができ、それによりバッテリーモジュールを冷却することができる。
【0017】
垂直に差し向けられたラックの場合、スイッチギア又はパックコントローラは、好ましくは、最も上側の又は最も下側のベイ内に配置され、かくして電力回路の単純なループ構成の実現が可能である。例えば、パックコントローラが左上のベイ内に配置されている場合、電力接続部は、ラックの左側部沿いに下方に進み、ラックの底部のところでくるりと向きを変え、次にラックの右側部沿いに上方に進むのが良い。電力分配バスバーの長さ及び複雑さを最小限に抑えるため、各バッテリーモジュールは、その電力ポートがモジュールの後部のところで一方の側にかつ更に垂直に(上下に)配置された状態で設計されるのが良く、その結果、モジュールが例えば幅に関してベイ2つ分であり高さに関してベイ6つ分であるラック中に装填されると、バッテリーの各縦列内の電力ポートは、垂直に整列する。さらに、その結果、電力ポートは全て、ラックの側部のいずれか一方ではなく、ラックの中心線に隣接しかつこの近くに位置する。
【0018】
上述したように、バッテリーモジュールをラック内に各縦列について互いに異なる垂直の向きで設置することによって、全体として短い電気経路長さを達成することができる。例えば、バッテリーモジュールをこれらの電力ポートがラックの左側の縦列内の右後ろに位置した状態で設置することができるが、バッテリーモジュールの垂直の向きを逆にすることによって、バッテリーモジュールをこれらの電力ポートがラックの右側縦列内の左後ろに配置した状態で設置することができる。バッテリーをこのように設置することにより、相互に接続されるバスバーの長さを最小限に抑えることができ、それによりコストを減少させ、電力回路抵抗を最小限に抑え、しかもEMIの減少のために密閉ループ領域を最小限に抑えることができる。加うるに、バスバーについて必要なサイズ/長さは1つだけであり、それによりサプライチェーンの製造が単純化されるとともにコストが一段と減少する。バッテリーモジュールは、上述の2つの垂直向きのいずれか一方における設置を可能にするよう適切に設計可能であり、しかも好ましくは、これらの水平中心線に関して対称である。
【0019】
バックプレーン組立体は、3つの別々の垂直下部構造体又はプレーンを含む野が良い。第1の「パワープレーン」は、バッテリーモジュールの後部の最も近くに位置するのが良く、しかも電力分配及び通信媒体を収容することができる。設置のしやすさ及びコスト減少に加えて、この構成は、電流を流す要素及び電力分配要素の全てが金属製構造体内に封入され、それにより電磁遮蔽が可能であるという別の利点を奏することができる。他の望ましい利点は、以下を含むことができる。
‐バッテリー挿入によるバックプレーンへのバッテリーモジュールの自動接続、
‐他の近くの又は隣接の機器に対する放射妨害波の潜在的な影響の軽減、
‐他の近くの又は隣接の機器からの潜在的な影響からのバッテリーシステムの放射イミュニティの向上、
‐電源導体遮蔽の必要性がなくなること(ラックがアース又は船舶の船体接地に結合される場合)、及び
‐導体に施される絶縁ジャケットの必要性がなくなること(と言うのは、導体が完全に包囲されるので通常の動作中においてはこれには接近できないからである)。
【0020】
「冷却プレーン」が電力プレーンに隣接して位置するのが良い。空冷式バッテリーラックの場合、ラックは、空気を各バッテリー縦列のベースに水平に分配する中央プレナムから成る一体型空気送り出しシステムを備えるのが良い。このプレナムは、ラックの後部のところでバックプレーンの冷却プレーンに連結されるのが良く、それにより空気を各バッテリー縦列の後ろに垂直に差し向ける。各バッテリーの後部のところにおいて、空気を各モジュールのフィン付きヒートシンクを横切って前方に差し向けるのが良い。
【0021】
液冷式ラックの場合、バックプレーン内に組み込まれたラックプレナム及び管路系統は、各モジュールの液体送り出しを可能にするよう追加の機器を備えた状態で構成されるのが良い。各モジュールに設けられている液体入力及び出力との連結を可能にするため、バックプレーンは、互いに嵌合するコネクタを備えるのが良い。これらコネクタは、バックプレーン組立体内にルーズに捕捉されるとともに可撓性ホースによって剛性流体マニホルドに連結されるのが良い。このように、流体連結は、僅かな機械的位置合わせ不良を許容することができ、正確な嵌まり具合及びシールがバッテリーモジュールをベイ内に設ける際に最小限の挿入力で形成できる。
【0022】
剛性流体マニホルド、入口及び出口は、冷却プレーン内で各バッテリー縦列の後ろに垂直に差し向けられるのが良くかつ過度の圧力降下を阻止するよう寸法決めされるのが良い。垂直マニホルドは、硬質給排水管路(hard plumbing line)から構成でき、そしてバックプレーン組立体に固定でき、あるいは、好ましくは、押し出し加工によって形成された一体型チャネルであり、したがって、全体がバックプレーン組立体中に組み込み可能である。垂直マニホルドは、更に、バックプレーンの頂部又は底部のところで、ラック全体としての役目を果たす大型マニホルド中に連結されるのが良い。加うるに、多数のラックを相互に連結するのが良く、その結果、単一の組をなす入口/出口ポート連結部が多数のラックをまかなうことができる。
【0023】
冷却システムは、ラックの外側に位置する空気ブロワ及び/又は冷却剤チラーに連結されるのが良い。これらシステム(空気又は液体)のいずれもパックコントローラから制御でき又はパックコントローラから指令を受け取ることができ、その目的は、個々のバッテリーモジュールから集められた情報に基づいて作動及び/又は調整が行われるようにすることにある。例えば、バッテリーモジュールに関する温度データを集めるために配置された温度センサは、かかる情報を通信システム経由でパックコントローラに提供することができる。制御は、船舶又はフェリーの地理的位置を考慮に入れて、船舶搭載型ナビゲーション機器との一体化によりいっそう改良できる。例えば、地理的位置(例えば、北海に対する南アメリカ沿岸領域)は、全体的熱管理/冷却設定値に寄与することができる。加うるに、ある特定の形式の船舶、すなわちフェリーの場合、航路の情報は、より効率的かつ最良のバッテリーモジュール冷却を可能にするよう動作インテリジェンスとして用いることができる。例えば、バッテリーパックは、典型的には、船舶がドッキングしているとき又はドックに位置している間に積み込みを受けているときに激しく働かされる場合がある。この場合、冷却システムは、バッテリーが重い負荷を送り出すために要求される前にバッテリーをあらかじめ冷却するために用いられるのが良く、その結果、バッテリー温度のオーバーシュートが回避される。一般的に言って、温度を安定にかつできるだけ均一に保つことは、バッテリーセルの寿命に対してプラスに寄与する。
【0024】
冷却プレーンに隣接して、バックプレーン組立体の第3のプレーン、すなわち「排気プレーン」が位置するのが良い。排気プレーンは、排気ガスをラックから遠ざかるよう差し向けるためのチャネルとなる。モジュール排気ポートは、バックプレーン排気コレクタポート中に結合し、これらバックプレーン排気コレクタポートは、排気ガスを電力及び冷却プレーンに通して排気チャネル経由で排気プレーン中に送る。
【0025】
バックプレーン組立体の第3のプレーン内に配置されているバックプレーン排気システムは、排気チャネルに追加の長さをもたらすことができる。これは、2つのシステム上の利点をもたらすことができる。第1に、バックプレーン排気チャネルは、これらがオプションとしてフレームアレスタ(火炎防止器)を備えることができるようにするのに十分な長さを有することができ、その目的は、モジュールから出る潜在的な火炎が十分に冷やされて排気プレーンに入ることがないようにすることにある。第2に、排気チャネルは、冷却プレーンを貫通して延びるので、これら排気チャネルは、冷却システムと一体化されるのが良く、かくして、バッテリーモジュールと同様な仕方で冷却される。空冷式システムの場合、排気チャネルは、好ましくは、効率的な熱の抽出を可能にするためにフィンを備える。液冷式システムの場合、排気チャネルは、効率的な熱抽出を可能にするよう入口/出口冷却マニホルド中に形成されるのが良い。加うるに、冷却が排気プレーンに隣接して行われるので、空冷の場合、冷却プレーンと排気プレーンを隔てる壁は、好ましくは、排気プレーンから冷却プレーンへの熱伝達を可能にするようヒートシンクフィンを備える。
【0026】
排気プレーンの頂部には、追加の管路系統が設けられるのが良く、その結果、排気ガスは、ラック組立体から更に送り出されて安全な外部の場所に至ることができ、かくして排気ガスがバッテリーラックの付近に溜まるのが阻止される。排気プレーンは、負圧を提供する抽出ポンプにより能動的に排気されるのが良くかつ/あるいは自然に上方へのガス抜きが行われるようになっているのが良い。抽出ポンプ/ファンシステムの場合、システムは、パックコントローラにより制御されるとともに温度センサから集められた情報に基づいて作動されるとともに/あるいは調節されるのが良い(上述したように)。加うるに、パックコントローラは、冷却システムが作動中のままであるようにするよう働くのが良く、更に潜在的なモジュールガス抜き現象の間、冷却システム容量に対する電力を増大させて上述したように排気チャネル冷却を可能にするのが良い。パックコントローラはまた、適当な安全警報器と連絡することができ、ラックを収容した室内の適当な視覚表示器を作動させることができ、そしてバッテリーを必要ならばバックプレーン組立体から切り離すことができる。
【0027】
本発明の第1の観点では、複数のバッテリーモジュールと係合するバックプレーン組立体が提供される。バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部を備えるとともにバッテリーモジュールを受け入れ側部と反対側の側部に別々の下部構造体を有し、別々の下部構造体は、バッテリーモジュール受け入れ側部に隣接して位置する電力下部構造体を含み、電力下部構造体は、バックプレーン組立体と係合したバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上の電気コネクタと対応関係をなして係合するよう配置された電気コネクタを有する。バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部と流体連通関係をなして電力下部構造体に隣接して位置する冷却下部構造体を更に含み、冷却下部構造体は、冷却下部構造体を通って移動している冷却流体がバッテリーモジュール受け入れ側部の方へ差し向けられてバックプレーン組立体と係合状態にあるバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上を冷却し、冷却下部構造体は、更に、冷却下部構造体に導入された冷却流体がバッテリーモジュール受け入れ側部に到達する前に冷却下部構造体を通って移動するよう構成されている。
【0028】
本明細書で用いられる「隣の」という用語は、単一の分割バリヤ又はインターフェースが1つの下部構造体を別の下部構造体から隔てるという意味ですぐ隣接していることを意味することができる。変形例として、「隣の」は、多数のバリヤ又はインターフェースが2つの隣合う下部構造体を互いに隔てることができるが、本明細書において説明した下部構造体については2つの他の隣合う下部構造体を隔てるものは存在しないという意味で間接的に隣接していることを意味する場合がある。
【0029】
本発明のバックプレーン組立体は、バッテリーモジュールについて改良した保守のしやすさを提供し、と言うのは、バッテリーラックの前のところにケーブル布設をもたらすことが必要ではないからである。バッテリーモジュール受け入れ側部はバッテリーモジュールをバックプレーン組立体と係合させるバックプレーン組立体の側部である。
【0030】
バックプレーン組立体は、前側の側部及び複数のバッテリーベイを有するバッテリーラックを更に含むのが良い。バックプレーン組立体は、バッテリーラックの後側の側部を定めることができ、各バッテリーベイは、バッテリーラックの前側の側部を通ってバッテリーモジュールのうちの1つを受け入れるよう構成されているのが良い。バッテリーラックは、バッテリーモジュールを案内してバックプレーン組立体と係合させるのを助けることができる。バッテリーラック及びバックプレーン組立体は、単一の一体構造体を形成することができ、バックプレーン組立体は、バッテリーパックの後壁を形成する。変形例として、バッテリーパック及びバックプレーン組立体は、互いに結合され、後で互いに結合解除可能な別々のコンポーネントであって良い。
【0031】
バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部と流体連通関係をなして冷却下部構造体に隣接して位置する排気下部構造体を更に含むのが良く、排気下部構造体は、バックプレーン組立体と係合状態にあるバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上によって抜き出された排気ガスがバックプレーン組立体から遠ざかる方向に差し向けられるよう構成されている。したがって、排気ガスは、バックプレーン組立体から安全に排出可能である。
【0032】
電力下部構造体の電気コネクタは、電気コネクタがバックプレーン組立体と係合状態にあるバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上の対応の電気コネクタと係合するよう位置決めされるのが良い。バックプレーン組立体と係合状態にあるバッテリーモジュールの電気コネクタのうちの少なくとも幾つかは、垂直整列関係をなして位置決めされるのが良い。電気コネクタの垂直整列状態は、上述したようにバックプレーンの相互に接続された電気コネクタの電気ループ領域の減少に寄与することができる。
【0033】
電力下部構造体は、通信ポートを更に有するのが良く、通信ポートは、通信ポートがバックプレーン組立体と係合状態にあるバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上の対応の通信ポートと係合するよう位置決めされている。通信ポートは、光ポートであるのが良く、係合は、電力下部構造体の光ポートがバックプレーン組立体と係合状態にある1つ又は2つ以上のバッテリーモジュールの光ポートの光学的に通信可能距離内に位置していることから成ると言える。電力下部構造体の通信ポートは、垂直整列状態に位置決めされるのが良い。
【0034】
バッテリーベイは、バッテリーモジュールをバッテリーラックの前側の側部経由でバッテリーベイ中に滑り込ませてついにはバッテリーモジュールが嵌合位置にあるようにすることによってバッテリーモジュールを受け入れるよう構成されるのが良い。嵌合位置では、バッテリーモジュールの電気コネクタを電力下部構造体の対応の電気コネクタと係合させることができる。その結果、バッテリーモジュールをバックプレーン組立体に連結する追加のケーブルの必要性をなくすことができる。加うるに、バッテリー回路からのバッテリーモジュールの係合解除は、容易であり、その結果、バッテリーモジュールのそのベイからの挿入/引き出しは簡単である。
【0035】
電気コネクタ及び/又は通信ポートの係合は、ブラインド式嵌合係合方式であるのが良い。
【0036】
電力下部構造体は、各々がバックプレーン組立体と係合状態にある2つのバッテリーモジュールを相互に連結するよう構成された複数のバスバーを更に有するのが良い。有利には、電力下部構造体及び冷却下部構造体は、冷却下部構造体内で移動する冷却流体が電力下部構造体経由でバックプレーン組立体のバッテリーモジュール受け入れ側部に差し向けられるよう構成されているのが良い。換言すると、冷却下部構造体は、電力下部構造体とバックプレーン組立体のバッテリーモジュール受け入れ側部の両方と流体連通状態にあるのが良い。これにより、電力下部構造体の電力/通信コネクタならびにバスバーを冷却流体が冷却下部構造体からバックプレーン組立体のバッテリーモジュール受け入れ側部に動いているときに冷却することができる。
【0037】
バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部から排気下部構造体まで延びるとともに冷却下部構造体を通過する少なくとも1つの排気チャネルを更に含むのが良い。排気ガスの追加の冷却は、排気チャネルが冷却下部構造体を通って延びていることによって提供できる。加うるに、排気ガスと冷却剤流体との望ましくない混合を回避することができる。
【0038】
各排気チャネルは、冷却下部構造体を通過するチャネル部分を構成するのが良い。チャネル部分のうちの少なくとも1つは、排気チャネルからの熱の放散を助けるヒートシンクを有するのが良い。
【0039】
各下部構造体は、他の1つ又は複数の下部構造体から実質的に物理的に隔てられるのが良い。
【0040】
冷却下部構造体と排気下部構造体は、熱を排気下部構造体から引き出して冷却下部構造体中に引き込むヒートシンクを有するバリヤによって隔てられるのが良い。
【0041】
下部構造体の各々は、実質的に共通のバリヤによってその隣の1つの又は複数の下部構造体から隔てられるのが良い。
【0042】
バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部に多数のバッテリーベイを備えるのが良い。電力下部構造体及び冷却下部構造体は、更に、冷却下部構造体を通って移動している冷却流体が隣合うバッテリーベイを互いに隔てるチャネルに差し向けられるよう配置されるのが良い。バッテリーベイは、上述のバッテリーラックのベイと同一のベイであるのが良く、バックプレーン組立体は、ラックをバックプレーン組立体と係合させると、各バッテリーベイの後壁を構成する。
【0043】
下部構造体は、単一の一体型構造体を形成するのが良い。したがって、バックプレーン組立体の製造を簡単にすることができる。
【0044】
バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部に二次元アレイの状態に配列された多数のバッテリーベイを備えるのが良い。バッテリーベイは、上述のバッテリーラックのベイと同一のベイであるのが良く、バックプレーン組立体は、ラックをバックプレーン組立体と係合させると、各バッテリーベイの後壁を構成する。バッテリーベイの各縦列は、右側半部及び左側半部を有するのが良い。バッテリーベイの一縦列に関し、電力下部構造体の電気コネクタは、縦列の左側半部及び縦列の右側半部のうちの一方上に位置決めされるのが良い。これにより、バッテリーモジュールの単一の縦列(バックプレーン組立体と係合した場合)が先行技術と比較して小さな電気ループ領域を有することができ、それによりEMIの減少が可能である。本明細書で用いられる「アレイ」という用語は、バッテリーベイの長方形の配列状態、幅に関してある特定の数のバッテリーベイ及び高さに関してある特定の数のバッテリーベイを意味するよう使用されている場合がある。
【0045】
アレイは、幅に関して偶数個のバッテリーベイであり、アレイは、バッテリーベイの1つ又は2つ以上の対をなす隣合う縦列から成るのが良い。各対は、バッテリーモジュール受け入れ側部に向いて見て、左縦列及び右縦列を定めるのが良い。電力下部構造体の電気コネクタは、バッテリーベイの左縦列に関し、左縦列の右側半部上に位置決めされ、バッテリーベイの右縦列に関し、右縦列の左側半部上に位置決めされるのが良い。かくして、バッテリーモジュールの多数の縦列に関しても、先行技術と比較して小さな電気ループ領域を作ることができ、それにより、EMIの減少が可能である。
【0046】
アレイは、幅に関して奇数個のバッテリーベイでありかつ幅に関して3つ以上のバッテリーベイであるのが良い。アレイは、バッテリーベイの1つ又は2つ以上の対をなす隣合う縦列及びバッテリーベイの奇数個の縦列を有するのが良い。アレイが5つ以上の縦列を有する場合、各対をなす隣合う縦列は、別の対をなす隣合う縦列に隣接して位置するのが良い。縦列の各対は、バッテリーモジュール受け入れ側部に向いて見て、左縦列及び右縦列を定めるのが良い。電力下部構造体の電気コネクタは、バッテリーベイの左縦列に関し、左縦列の右側半部上に位置決めされ、バッテリーベイの右縦列に関し、右縦列の左側半部上に位置決めされるのが良い。電力下部構造体の電気コネクタは、バッテリーベイの奇数個の縦列に関し、奇数個の縦列に隣接して位置する縦列に関する半部と同一の奇数個の縦列の半部上に位置決めされるのが良い。
【0047】
バッテリーベイの各縦列は、左側の縁及び右側の縁を有するのが良く、左側縁と右側縁は、距離dだけ隔てられる。電力下部構造体の電気コネクタは、縦列の左側半部上に位置決めされている縦列に関し、電気コネクタは、左側縁からdの30%以下、20%以下又は10%以下のところにそれぞれ位置決めされるのが良い。電力下部構造体の電気コネクタが縦列の右側半部上に位置決めされている縦列に関し、電気コネクタは、右側縁からdの30%以下、20%以下又は10%以下のところにそれぞれ位置決めされるのが良い。
【0048】
本発明の第2の観点では、複数の電気的に相互に接続されたバッテリーモジュールを動作させる方法が提供される。各バッテリーモジュールは、バッテリーモジュール受け入れ側部を定めるとともに反対側の側部上に別々の下部構造体を含むバックプレーン組立体と係合するのが良い。下部構造体は、バッテリーモジュール受け入れ側部に隣接して位置する電力下部構造体を含み、電力下部構造体は、バッテリーモジュールの電気コネクタと対応関係をなして係合した電気コネクタを有する。下部構造体は、電力下部構造体に隣接して位置する冷却下部構造体を更に含み、冷却下部構造体は、冷却下部構造体からバッテリーモジュール受け入れ側部までの流体流路を提供する。本方法は、電気コネクタを用いて電力をバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上から引き出し又は電力をバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上に提供するステップを含む。本方法は、冷却流体を差し向けて冷却流体が冷却下部構造体からバッテリーモジュール受け入れ側部に流れるようにするステップを更に含む。
【0049】
バックプレーン組立体は、冷却下部構造体に隣接して位置する排気下部構造体を更に含むのが良く、排気下部構造体は、バッテリーモジュール受け入れ側部から排気下部構造体までの流体流路を提供する。
【0050】
本発明の第3の観点では、複数のバッテリーモジュールと係合するバックプレーン組立体が提供される。バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部を定め、このバックプレーン組立体は、バックプレーン組立体と係合状態にあるバッテリーモジュールのうちの1つ又は2つ以上の電気コネクタと対応関係をなして係合するよう配置された電気コネクタを含む。バックプレーン組立体は、バッテリーモジュール受け入れ側部に二次元アレイの状態に配列された多数のバッテリーベイを備えるのが良い。バッテリーベイの各縦列は、右側半部及び左側半部を有する。バッテリーベイの一縦列に関し、バックプレーン組立体の電気コネクタは、縦列の左側半部及び縦列の右側半部のうちの一方上に位置決めされる。
【0051】
アレイは、幅に関して偶数個のバッテリーベイであるのが良く、アレイは、バッテリーベイの1つ又は2つ以上の対をなす隣合う縦列から成るのが良い。各対は、バッテリーモジュール受け入れ側部に向いて見て、左縦列及び右縦列を定めるのが良い。バックプレーン組立体の電気コネクタは、バッテリーベイの左縦列に関し、左縦列の右側半部上に位置決めされ、バッテリーベイの右縦列に関し、右縦列の左側半部上に位置決めされるのが良い。かくして、バッテリーモジュールの多数の縦列に関しても、先行技術と比較して小さな電気ループ領域を作ることができ、それにより、EMIの減少が可能である。
【0052】
アレイは、幅に関して奇数個のバッテリーベイでありかつ幅に関して3つ以上のバッテリーベイであるのが良い。アレイは、バッテリーベイの1つ又は2つ以上の対をなす隣合う縦列及びバッテリーベイの奇数個の縦列を有するのが良い。アレイが5つ以上の縦列を有する場合、各対をなす隣合う縦列は、別の対をなす隣合う縦列に隣接して位置するのが良い。縦列の各対は、バッテリーモジュール受け入れ側部に向いて見て、左縦列及び右縦列を定めるのが良い。バックプレーン組立体の電気コネクタは、バッテリーベイの左縦列に関し、左縦列の右側半部上に位置決めされ、バッテリーベイの右縦列に関し、右縦列の左側半部上に位置決めされるのが良い。バックプレーン組立体の電気コネクタは、バッテリーベイの奇数個の縦列に関し、奇数個の縦列に隣接して位置する縦列に関する半部と同一の奇数個の縦列の半部上に位置決めされるのが良い。
【0053】
バッテリーベイの各縦列は、左側の縁及び右側の縁を有するのが良く、左側縁と右側縁は、距離dだけ隔てられる。バックプレーン組立体の電気コネクタは、縦列の左側半部上に位置決めされている縦列に関し、電気コネクタは、左側縁からdの30%以下、20%以下又は10%以下のところにそれぞれ位置決めされるのが良い。バックプレーン組立体の電気コネクタが縦列の右側半部上に位置決めされている縦列に関し、電気コネクタは、右側縁からdの30%以下、20%以下又は10%以下のところにそれぞれ位置決めされるのが良い。
【0054】
本発明の第1及び第2の観点と関連して説明した任意の特徴を本発明の第3の観点と容易に組み合わせることができる。例えば、第3の観点のバックプレーン組立体は、本発明の第1及び第2の観点と関連して説明した多数の下部構造体、例えば電力下部構造体、冷却下部構造体及び排気下部構造体を含むのが良い。
【0055】
次に、図面を参照して本発明の種々の実施形態について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の一実施形態によるラック組立体の斜視図である。
【
図2】
図1のラック組立体の斜視図であり、バッテリーモジュールがいっぱいに装填された状態を示す図である。
【
図3A】本発明のラック組立体に使用できる空冷式バッテリーモジュールの前側フェースの斜視図である。
【
図3B】
図3Aのバッテリーモジュールの後側フェースの斜視図である。
【
図4A】本発明のラック組立体に使用できる液冷式バッテリーモジュールの前側フェースの斜視図である。
【
図4B】
図4Aのバッテリーモジュールの後側フェースの斜視図である。
【
図6】本発明の一実施形態としてのラック組立体の断面側面図である。
【
図7】本発明に従って4×4のアレイをなすバッテリーベイを含むラック組立体の略図である。
【
図8】本発明の一実施形態に従って5×4のアレイをなすバッテリーベイを含むラック組立体の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、改良型バックプレーン組立体を提供しようとするものである。本発明の種々の実施形態を以下に説明するが、本発明は、これら実施形態には限定されず、これら実施形態の変形例は、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲によってのみ限定されるべき本発明の範囲に十分に含まれると言える。
【0058】
方向を示す用語、例えば「頂又は上」、「底又は下」、「上方」、「下方」、「垂直に」、「側方に」は、相対的な基準を提供するためだけの目的で本明細書において用いられており、任意の物品が使用の際にどのように位置決めされるようになっているか、あるいは組立体内に又は周囲環境に対してどのように設けられるようになっているかについての限定を何ら示唆するものではない。
【0059】
加うるに、本明細書に対応した英文明細書において用いられている用語“couple”(訳文では、「結合する」)及びその変形語、例えば“coupled”(「結合され」)、“couples”、及び“coupling”は、別段の指定がなければ、間接的及び直接的な連結を含むことが意図されている。例えば、第1の物品が第2の物品に結合される場合、この結合は、直接的な連結によるものであって良くあるいは別の物品を介する間接的な連結によるものであって良い。また、互いに直に接触し又は互いに直に接触状態にある第1の材料及び第2の材料といった場合、これは、第1の材料と第2の材料が接着剤層の使用によって互いに直接くっつけられていることを含む。
【0060】
さらに、本明細書に対応した英文明細書において用いられている単数形“a”、“an”、及び“the”は、文脈上別段の明示の指定がなければ、複数形をも含むものである。
【0061】
図1を参照すると、本発明の一実施形態としてのラック組立体100が示されている。ラック組立体100は、基部14と頂部16を接合する側壁10,12を含む。仕切り壁18が基部14から頂部16まで延びており、この仕切り壁は、ラック組立体100を左側縦列及び右側縦列に分離している。各縦列は、バッテリーモジュールを受け入れる多数のバッテリーベイ20を有する。各バッテリーベイ20は、単一のバッテリーモジュールを受け入れ又は受け取るよう構成されているが、他の実施形態では、バッテリーベイは、2つ以上のバッテリーモジュールを受け入れるよう構成されているのが良い。側壁10,12及び仕切り壁18は各々、ラック組立体100中へのバッテリーモジュールの挿入中にバッテリーモジュールの適切な位置合わせ又は整列を助ける案内部材22を有する。基部14は、バッテリーベイ20の下に空気流チャンバ24(
図1には示されていない)を収容している。基部14の前部は、以下に詳細に説明するように空気を通すことができるベント付きダクト26を備えている。
【0062】
ラック組立体100は、ラック組立体100の後壁を構成するバックプレーン組立体28を更に含む。ラック組立体の後側壁は、バックプレーン組立体28のバッテリーモジュール受け入れ側部上に位置していると言える。以下に詳細に説明するように(
図1には示されていないが)バックプレーン組立体28は、多数の下部構造体を含む。
図1では、電力下部構造体30だけが見える。電力下部構造体30は、各バッテリーベイ20の後壁を形成し、この電力下部構造体は、多数の電力コネクタ32及び光コネクタ33を有し、これら電力コネクタ32及び光コネクタ33は、バッテリーモジュールに設けられた対応の電力ポート及び光ポートと係合し又は嵌合するよう配置されている。したがって、各バッテリーベイ20は、バッテリーベイ内に挿入されたバッテリーモジュールと係合するための1組の電力コネクタ32及び光コネクタ33を備えている。
【0063】
バスバー24が2つの隣合う電力コネクタ32を相互に接続するよう設けられており、その結果、電力が一方の電力コネクタ32から別の電力コネクタに流れることができるようになっている。左下に位置する電力コネクタ32は、船舶のDCバスに接続されるよう用いられる。電力コネクタ32及び光コネクタ33は、仕切り壁18の近くに位置決めされ、この実施形態では、仕切り壁18からdの20%以下の範囲内のところ位置決めされている。電力下部構造体は、電力コネクタと光コネクタの両方を有しているが、分かりやすくするために、以下、これを「電力及び通信下部構造体」ではなく「電力下部構造体」ということに注目されたい。
【0064】
電力下部構造体30は、各バッテリーベイに設けられた排気ポート34を有する。各排気ポート34は、各バッテリーベイ20からバックプレーン組立体28の排気下部構造体58まで延びる流体経路を提供するが、これについては以下に詳細に説明する。電力下部構造体30は、各バッテリーベイ20に設けられた1組の冷却孔36を更に有する。以下に詳細に説明するように、冷却孔36は、電力下部構造体30から冷却下部構造体56まで流体経路を提供するのを助ける。
【0065】
図1は、ラック組立体100を空の形態で示している。すなわち、
図1では、ラック組立体100は、バッテリーモジュールが全く設置又は装填されない状態で示されている。バッテリーモジュール38,50、例えば
図3A、
図3B、
図4A及び
図4Bに示されたバッテリーモジュールは、ラック組立体100に使用できる。
図3A及び
図3Bを参照すると、ラック組立体100内に設置できるバッテリーモジュール38の一実施形態が示されている。
図3Aは、バッテリーモジュール38の正面図、
図3Bは、バッテリーモジュール38の配面図である。バッテリーモジュール38は、エンクロージャ40内に積み重ね配列状態で設けられた多数のセル(ただし、図示されていない)を収容している。バッテリーモジュール38の後側フェース上には、光通信ポート42、電力ポート44及び排気シール46が設けられている。光通信ポート42は、電力ポート44の場合と同様、垂直整列状態で位置決めされている。バッテリーモジュール38の下面上には、ヒートシンク48が設けられ、このヒートシンクは、バッテリーモジュール38からの熱の放散を助けるフィン付き構造を有する。バッテリーモジュール38は、これが液体手段を介してバッテリーモジュール38を冷却するポートを備えていないので、空冷式バッテリーモジュールである。
【0066】
図4A及び
図4Bは、本発明に従って使用できる類似の実施形態としてのバッテリーモジュールを示している。
図4A及び
図4Bは、設計がバッテリーモジュール38と類似したバッテリーモジュール50を示している。したがって、同一の特徴が同一の参照符号で示されている。しかしながら、バッテリーモジュール38とは異なり、バッテリーモジュール50は、液冷式であり、この目的のため、バッテリーモジュール50の後側フェース上に冷却剤入口及び出口52を備えている。使用にあたり、バッテリーモジュール(例えば、バッテリーモジュール38,50)がバッテリーモジュールをラック組立体の空のバッテリーベイ中に滑り込ませることによりラック組立体内に設置される。
図1の実施形態では、ラック組立体100は、複数のバッテリーモジュール38(すなわち、空冷式バッテリーモジュール)を受け入れるよう設計されている。バッテリーモジュール38を空のバッテリーベイ20中に挿入する際、側壁10,12に設けられた案内部材22及び仕切り壁18は、挿入中、バッテリーモジュール38を適正に整列させるのを助ける。
【0067】
電力下部構造体30の電力コネクタ32、光コネクタ33及び排気ポート34の位置決め状態に起因して、バッテリーベイ20内へのバッテリーモジュール38の挿入の結果として、バッテリーモジュール38の光ポート42、電力ポート44及び排気シール46は、電力下部構造体30の対応のコネクタと係合する。すなわち、光ポート42が光コネクタ33と係合し、電力ポート44が電力コネクタ32と係合し、排気シール46が排気ポート34と係合する。光ポート42と光コネクタ33の係合、電力ポート44と電力コネクタ32の係合、及び排気シール46と排気ポート34の係合は、当該技術分野において知られているブラインド式嵌合係合方式から成る。光ポート42と対応の光コネクタ33の係合は、光ポート42を光コネクタ33の光学的に通信可能な近接範囲内に至らせることを意味している。上述のブラインド式嵌合により、ユーザが手作業で各バッテリーモジュール38をバックプレーン28に連結する必要はない。各バッテリーモジュール38とバックプレーン28の光及び電気的係合は、バッテリーモジュール38の後側フェース上と電力下部構造体30上の両方における光/電力ポート42/44と光/電力コネクタ33/32の適正な整列、及び排気シール46と排気ポート34の適正な整列によって保証される。
【0068】
図面に示されていないが、
図4A及び
図4Bに示されているバッテリーモジュール50は、バッテリーモジュール50の後側フェースに設けられた流体ポート52とブラインド式嵌合方式で対応関係をなして係合するよう構成された流体ポートを備えるバックプレーンを含むラック組立体内に設置できる。
【0069】
バッテリーモジュール38をラック組立体100内に設置する際、ラック組立体100の左側の側部のバッテリーベイ(
図1に見える)に関し、バッテリーモジュール38は、ヒートシンク48が基部14の方へ向いた状態で挿入される。ラック組立体100の右側の側部のバッテリーベイに関し、バッテリーモジュール38の後側フェース上の連結部が電力下部構造体30の対応の接続部と係合するようにするために、バッテリーモジュール38は、左側ベイ内のバッテリーモジュール38に対して逆さまの状態で挿入されなければならない。換言すると、ラック組立体100の右側の側部のバッテリーベイに関し、バッテリーモジュール38は、ヒートシンク48が基部14から遠ざかる方向に向いた状態で挿入される。
【0070】
いっぱいに詰め込まれたラック組立体100が
図2に示されている。各バッテリーベイ20は、この中に挿入されたバッテリーモジュール38を収容し、各バッテリーモジュールは、バックプレーン28の電力下部構造体30とブラインド式嵌合係合関係をなしている。以下に詳細に説明するように、スペース又は空冷チャネル62が空気を通すことができるよう2つの垂直方向に隣合ったバッテリーモジュール相互間に存在する。左側縦列のバッテリーモジュールに関し、このスペースはまた、バッテリーモジュール対の最も上側のバッテリーモジュールのヒートシンク48を受け入れ、これに対し、右側縦列のバッテリーモジュールに関し、このスペースはまた、バッテリーモジュール対の最も下側のバッテリーモジュールのヒートシンク48を受け入れる。
【0071】
次に
図5を参照すると、いっぱいに詰め込まれたラック組立体100の断面図が示されている。基部14の空気流チャンバ24は、空気を空気流チャンバ24中に引き込むファン組立体54を有する。バックプレーン28が詳細に示されており、特に、バックプレーン28の3つの垂直下部構造体、すなわち電力下部構造体30、冷却下部構造体56及び排気下部構造体58の各々が詳細に示されている。
【0072】
上述したように、電力下部構造体30は、バッテリーモジュール38の電力ポート44及び光ポート42に対応関係をなして連結された電力コネクタ32及び光コネクタ33を有する。バスバー24が垂直方向に隣合っている電力コネクタ32を相互に接続した状態で示されており、その結果、垂直方向に隣合ったバッテリーモジュール38は、直列に互いに接続されている。電力下部構造体30は、好ましくは、電力下部構造体30内に設けられた電気部品に対するEMI遮蔽を提供するよう金属内に全体が封入されている。
【0073】
電力下部構造体28に隣接しかつこの背後には冷却下部構造体56が設けられている。冷却下部構造体56は、空気流チャンバ24から各バッテリーベイ20まで延びる流体連通経路を提供する。これを達成するため、ラック組立体100は、ファン組立体54によってかつダクト26を経て空気流チャンバ24内に引き込まれた空気が冷却下部構造体56によって画定された容積部中に上方に流れることができるようにする1つ又は2つ以上の孔(図示せず)を有する。少しだけ
図5Bを参照すると、冷却下部構造体56は、冷却下部構造体56からの空気流が電力下部構造体28に設けられた冷却孔36(図示せず)を経てバッテリーベイ20に到達することができるようにするために冷却下部構造体56に設けられた冷却孔60を示すために別の角度から見た状態で示されている。冷却下部構造体56の頂部は、冷却下部構造体56中に引き込まれた空気が冷却孔60中に押し込まれ、次に電力下部構造体30に設けられた冷却孔36(
図5A及び
図5Bには示されていない)中に押し込まれ、そして空冷チャネル62に沿って流されるようラック組立体100の外部から封止されている。
【0074】
排気下部構造体58は、冷却下部構造体56に隣接しかつこの背後に位置決めされている。かくして、排気下部構造体58は、バッテリーベイ20から見て最も遠くに位置する下部構造体である。冷却下部構造体56と排気下部構造体58は、共通のインターレース又はバリヤ68を共有している。排気下部構造体58は、バッテリーモジュール38のうちの1つ又は2つ以上からの排気ガスをラック組立体100から遠ざかる方向に差し向けることができるようにする容積部を提供する。
図6を参照すると、
図5A及び
図5Bに示されたラック組立体の拡大断面図が示されている。バッテリーモジュール38は、各バッテリーモジュール38内のセル64の積み重ね配列状態を示すために断面で示されている。排気チャネル66が冷却下部構造体56を通って、電力下部構造体30に設けられた各排気ポート34から排気下部構造体58によって画定された排気容積部まで延びている。ラック組立体100の頂部では、排気下部構造体58は、流体流路が各バッテリーモジュール38からラック組立体100の外部まで形成されるよう封止されてはいない。
【0075】
使用にあたり、多数のバッテリーモジュール38をラック組立体100内に入れ、ついには、ラック組立体100が部分的にか又は全体的かのいずれかの状態に充填される。上述したように、バッテリーモジュール38をラック組立体100内に入れるため、バッテリーモジュール38を挿入するのに最初に後側フェースを空のバッテリーベイ20に挿入する。バッテリーモジュール38を嵌合位置に達するまでバッテリーベイ20中に完全に挿入し、この嵌合位置では、光ポート42及び電力ポート44(バッテリーモジュール38の)が光コネクタ33及び電力コネクタ32(電力下部構造体30の)とブラインド式嵌合関係をなして係合し、排気シール46(バッテリーモジュール38の)が排気ポート34(電力下部構造体30の)とブラインド式嵌合関係をなして係合する。案内部材22が電力下部構造体30の対応のコネクタ/ポートに対してバッテリーモジュール38のコネクタ/ポートの適正な整列又は位置合わせを助ける。
【0076】
バッテリーパックの動作使用中、当該技術分野において知られているように、電気エネルギーがバッテリーモジュール38の各々から電力下部構造体30の電力コネクタ32の使用により引き出されて船舶の種々の機能の実施のために用いられる。バッテリーモジュールの効率的な使用を保証するとともに潜在的な熱暴走を回避するためには、バッテリーモジュールの冷却は、バッテリーモジュールの動作中、極めて重要である。この目的のため、この実施形態では、ファン組立体54が外部空気を空気流チャンバ24中に引き込むために用いられている。空気は、冷却下部構造体56中に押し込まれ、空気は、次に冷却下部構造体56に形成された冷却孔60を通り、次に電力下部構造体30に形成された冷却孔36を通って差し向けられる。冷却孔36は、垂直方向に隣合うバッテリーモジュール38を互いに隔てる(ならびにヒートシンク48を受け入れる)空冷式チャネル62と流体連通状態にある。ヒートシンク48は、動作中のバッテリーモジュール38によって出た熱エネルギーを、空冷式チャネル62を通って流れる空気に伝達するのを助ける。次に、空気は、
図5Aで分かるようにラック組立体100の前部を通って放出される。
図5Aの矢印は、空気流の方向を示している。
【0077】
熱暴走の場合、排気ガスは、
図6で分かるようにバッテリーモジュール38内に蓄積する。排気ガスの放出を続けることにより、排気シール46に設けられているシールが開き、それによりバッテリーモジュール38から排気下部構造体58までの流体連通経路が作られる。排気ガスは、排気ポート34と係合状態にある排気シール46を通り、排気チャネル66に通って流れ、そして排気下部構造体58中に流れる。次に、排気ガスは、排気下部構造体58から上方に差し向けられ、好ましくはラック組立体100を収容している部屋から離れた場所に差し向けられる。排気ガスの冷却は、排気チャネル66を冷却下部構造体56に直接通すことによって補強される。冷却下部構造体56を通って延びる各排気チャネル66の各部分にヒートシンク(図示せず)が設けられていることにより、排気ガスの冷却が一段と助長される。排気ガスが排気下部構造体58に沿って上方に差し向けられているとき、排気ガスは、インターフェース68を介する熱エネルギーの伝導によって更に冷却される。さらにまた、1つ又は2つ以上のヒートシンクが冷却下部構造体56を排気下部構造体58から隔てるインターフェース68に設けられるのが良く、それにより冷却を更に助ける。冷却下部構造体56からの排気チャネル66の物理的分離に起因して、排気バスト冷却下部構造体56を通って移動している空気の混合が行われない。幾つかの実施形態では、排気チャネル66は、熱暴走を生じているバッテリーモジュール38から出ている火炎が排気下部構造体58に到達するのを阻止するためにフレームアレスタ(図示せず)を備えるのが良い。
【0078】
本発明を特定の実施形態と関連して説明したが、本発明は、これら実施形態には限定されず、これら実施形態の変更例、改造例、及び変形例は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者によって実施できることは理解されるべきである。さらに、本明細書において説明した任意の観点又は実施形態の任意の部分を本明細書において説明した任意他の観点又は実施形態の任意の部分とともに具体化でき又は組み合わせることができる。
【0079】
例えば、
図1のラック組立体は、幅に関してベイ2つ分、高さに関してベイ12個分のバッテリーベイのアレイを有しているが、任意のアレイをなすバッテリーベイを本発明に使用できることは理解されるべきである。例えば、ラック組立体は、単一の縦列をなすバッテリーベイを有することができ又は幅に関してベイ3つ分以上のアレイを有することができる。
【0080】
図7は、幅に関してベイ4つ分(C1~C4の符号が付けられている)及び高さに関してベイ4つ分のアレイをなすバッテリーベイの略図である。この例示の実施形態では、電力コネクタは、縦列C1及びC3の右側半部にかつ縦列C2及びC4の左側半部に設けられている。かくして、電力コネクタをバスバー6で相互に接続すると、結果として得られる電気ループ領域は、同一のアレイに対して最小限に抑えられるが、電力コネクタは、各ベイ内の中央に配置される。
【0081】
図8は、幅に関してベイ5つ分(C1~C5の符号が付けられている)及び高さに関してベイ4つ分のアレイをなすバッテリーベイの略図である。この例示の実施形態では、電力コネクタは、縦列C1及びC3の右側半部にかつ縦列C2、C4及びC5の左側半部に設けられている。かくして、電力コネクタをバスバー6で相互に接続すると、結果として得られる電気ループ領域は、同一のアレイに対して最小限に抑えられるが、電力コネクタは、各ベイ内の中央に配置される。
【0082】
さらに、本発明のラック組立体を海運業におけるその使用と関連して説明したが、ラック組立体は、任意のエネルギー貯蔵装置をラック内に設けるとともにバックプレーン組立体と係合させることができるよう他の業界においても同様に使用できる。また、上記の開示内容から明らかなように、バックプレーン組立体は、ラックとは別個に機能することができる。例えば、ある特定の場合、バックプレーン組立体は、壁に組み込み可能であり、バッテリーモジュールを、ラックを必要としないでバックプレーン組立体に係合させることができる。例えば、バックプレーン組立体の電力接続部を電力下部構造体内に引っ込めることができ、その結果、電力下部構造体は、これと係合状態にある任意のバッテリーモジュールに対してある程度の支持作用を提供する。
【0083】
したがって、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲の記載に基づいてのみ定められる。