(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】融着フィラメント製造のためのフィラメント組成物及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
D01F 6/90 20060101AFI20220614BHJP
B29C 64/118 20170101ALI20220614BHJP
B33Y 70/00 20200101ALI20220614BHJP
【FI】
D01F6/90 311A
B29C64/118
B33Y70/00
(21)【出願番号】P 2019520799
(86)(22)【出願日】2017-10-12
(86)【国際出願番号】 US2017056256
(87)【国際公開番号】W WO2018075319
(87)【国際公開日】2018-04-26
【審査請求日】2020-09-18
(32)【優先日】2016-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390023674
【氏名又は名称】イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チー カイ
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特表2004-514044(JP,A)
【文献】特表2016-505409(JP,A)
【文献】特開平03-012452(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/00 - 64/40
B33Y 10/00 - 99/00
D01F 6/60
D01F 6/80
D01F 6/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物を含むフィラメントであって、前記ポリマー組成物は、
A)55~95重量パーセントの、融点を有する半芳香族コポリアミドであって、
a-1)5~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
i)8~20個の炭素原子を有する1つ以上の芳香族ジカルボン酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、5~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と、
a-2)60~95モルパーセントの脂肪族繰り返し単位であって、
ii)6~20個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、60~95モルパーセントの脂肪族繰り返し単位と
を含む、55~95重量パーセントの、融点を有する半芳香族コポリアミドと、
B)5~45重量パーセントの、融点を有する非晶質コポリアミドであって、
b-1)60~90モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
iii)イソフタル酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、60~90モルパーセントの芳香族繰り返し単位と、
b-2)10~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
iv)テレフタル酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、10~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と
を含む、5~45重量パーセントの、融点を有する非晶質コポリアミドと
を含
み、
前記半芳香族コポリアミドは、PA 66/6T、PA 610/6T、PA 612/6T、PA 614/6T、PA 616/6T及びPA 618/6Tからなる群から選択される、フィラメント。
【請求項2】
融着フィラメント製造プロセスを用いて請求項1に記載のフィラメントから印刷される物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
フィラメントの調製に使用されるポリマー組成物、融着製造プロセスにおけるそのようなフィラメントの使用及びそのようなプロセスによって調製される物品が本明細書に開示される。
【背景技術】
【0002】
付加製造又は三次元印刷(3D印刷)としても知られている融着フィラメント製造は、組成物の連続層を堆積及び融着させて、規定の形状を有する物品を製造するプロセスである。「融着」とは、連続層が互いに接着すること、即ち融着された物品が有用なレベルの機械的強度を有することを意味する。
【0003】
融着フィラメント製造(FFF)は、材料が、フィラメント、繊維又はストランドとして層毎の堆積を制御する3D印刷装置に入る特定の種類の融着製造プロセスである。フィラメントは、実質的に連続した形態で堆積装置に入ることを条件として、任意の断面形状又は大きさを有することができる。融着フィラメント製造は、ペレット又は粉末を使用することと比較して、材料の取り扱い及び堆積される材料の圧縮を単純化する。
【0004】
FFFのためのフィラメントに使用される熱可塑性樹脂は、いくつかの相反する要求に直面する。この熱可塑性樹脂は、物品を形成し、事前に堆積された層に付着するために堆積時に容易に流動しなければならないが、その後、流動を実質的に停止して、印刷された物品の垂れ下がり及び歪みを防止しなければならない。ポリアミド、ポリオキシメチレン又はポリエステルなどの高い融解ピーク温度を有する熱可塑性樹脂は、完成品において望ましい特性を有するが、冷却時のそれらの結晶化速度は、層間接着に悪影響を及ぼし、印刷時に物品を歪ませる場合がある収縮を引き起こす。エチレンコポリマー、熱可塑性ポリウレタン及びコポリエステルなどの低い結晶性のポリマーは、FFFによって容易に加工され得るが、これらのポリマーから得られる物品は、剛性を欠く。タルク、シリカ、TiO2又はCaCO3などの従来の無機充填剤を添加してこうしたポリマーの剛性を増加させると、フィラメント及び印刷された物品の密度が増加する。それぞれの連続する層が堆積されると、物品の重量が増加し、物品が印刷されるときに物品により大きい応力がかかり、潜在的に歪みを引き起こす。充填剤は、更に反りを悪化させる更なる異方性収縮を引き起こす場合がある。更に、高体積分率では、これらの充填剤が脆い物品を生成する可能性があり、又はフィラメントが印刷装置に摩耗を生じさせる場合がある。
【0005】
米国特許出願公開第2014/0141166A1号明細書及び同第2015/0145168号明細書は、少なくとも1つの半結晶性ポリアミド及び少なくとも1つの非晶質ポリアミドを含む、融着フィラメント製造のための組成物を開示している。
【0006】
米国特許第5,391,640号明細書は、従来のポリアミドと非晶質ポリアミドとのブレンドを開示しており、このようなブレンドは、湿度に対して比較的鈍感であり、良好なフィルムバリア特性を示す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、融着フィラメント製造のための半結晶性熱可塑性プラスチックを含むフィラメントの改良されたポリマー組成物及び融着フィラメント製造を介してこれらのフィラメントを加工する方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
略語
請求項及び本明細書は、以下に示す略語及び定義を使用して解釈すべきである。「MI」は、メルトインデックスを意味する。「MPa」は、メガパスカルを意味する。「psi」は、1平方インチ当たりのポンドを意味する。「%」は、用語パーセントを意味する。「重量%」は、重量パーセントを意味する。「モル%」は、モルパーセントを意味する。「IV」は、固有粘度を意味する。「RV」は、相対粘度を意味する。
【0009】
定義
本明細書において使用される場合、冠詞「1つの(a)」は、1つ及び2つ以上を意味し、その指示対象の名詞を単数の文法上のカテゴリーに必ずしも限定しない。
【0010】
本明細書において、「約」及び「ちょうど又は約」という用語は、量又は値を修飾するために使用される場合、請求項又は本明細書に記載の列挙されている厳密な量又は値よりも多い又は少ない量又は値の近似値を意味する。近似値の厳密な値は、当業者が厳密な値への適切な近似として認識するものによって決定される。本明細書において使用される場合、請求項又は本明細書の記載中で正確に列挙されていない同様の値を伝える用語は、請求項又は本明細書の記載中で列挙されているものと均等な結果又は作用をもたらすことができ、そのため、当業者は、同様の値によって許容可能にもたらされるものとして認識するであろう。
【0011】
本明細書において使用される場合、「物品」という用語は、未完成の若しくは完成した品物、物、物体又は未完成の若しくは完成した品物、物若しくは物体の要素若しくは特徴を意味する。本明細書において使用される場合、物品が未完成である場合、「物品」という用語は、完成品になるために更に処理され得る形態、形状、構成を有する任意の品物、物、物体、要素、装置等を意味する場合がある。物品が完成している場合、「物品」という用語は、全体又はその一部を更に処理することなしに具体的な用途/目的に適切な形態、形状、構成である品物、物、物体、要素、装置等を意味する。
【0012】
物品は、部分的に完成し、且つ更なる処理を待っているか、又はともに完成品を含むことになる他の要素/組立部品で組み立てられる1つ以上の要素又は組立部品を含むことができる。更に、本明細書において使用される場合、「物品」という用語は、物品のシステム又は構成を意味することができる。
【0013】
本明細書において使用される場合、分子又はポリマーを記載する用語は、2009年9月7日のIUPAC Compendium of Chemical Terminology version 2.15(International Union of Pure and Applied Chemistry)における専門用語に従う。
【0014】
範囲及び好ましい変形形態
本明細書に記載される任意の範囲は、特に明記されない限り、その端点を明確に包含する。範囲としての量、濃度又は他の値若しくはパラメーターの記載は、このような範囲の上限及び下限の対が本明細書に明示的に開示されるか否かに関わらず、任意の可能な範囲の上限及び任意の可能な範囲の下限から形成される全ての可能な範囲を具体的に開示する。本明細書に記載のポリマー組成物、化合物、プロセス及び物品は、本明細書中での範囲の定義で開示される具体的な値に限定されない。
【0015】
本明細書に記載のプロセス、ポリマー組成物、化合物、混合物及び物品の材料、化学物質、方法、工程、値及び/又は範囲等についての任意の変形形態の本明細書における開示は、好ましい又は好ましくないとして特定されているかどうかに関わらず、材料、方法、工程、値、範囲等の任意の可能な組み合わせを含むことが具体的に意図されている。
【0016】
本明細書において、式(I)の硬化剤などの本明細書に記載の任意の化学種の化学名に関する命名の誤り又は誤字が存在する場合、化学名よりも化学構造が優先される。また、本明細書に記載の任意の化学種の化学構造中に誤りが存在する場合、当業者が、意図されている記述を理解する化学種の化学構造が優先される。
【0017】
概要
物品の融着フィラメント製造のためのフィラメントが本明細書に開示され、前述記フィラメントは、ポリマー組成物を含み、前記ポリマー組成物は、
A)55~95重量パーセントの、融点を有する半芳香族コポリアミドであって、
a-1)5~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
i)8~20個の炭素原子を有する1つ以上の芳香族ジカルボン酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、5~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と、
a-2)60~95モルパーセントの脂肪族繰り返し単位であって、
ii)6~20個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、60~95モルパーセントの脂肪族繰り返し単位と
を含む、55~95重量パーセントの、融点を有する半芳香族コポリアミドと、
B)5~45重量%の非晶質コポリアミドであって、
b-1)60~90モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
iii)イソフタル酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、60~90モルパーセントの芳香族繰り返し単位と、
b-2)10~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
iv)テレフタル酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、10~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と
を含む、5~45重量%の非晶質コポリアミドと
を含む。
【0018】
また、融着フィラメント製造プロセスを使用して、本明細書に開示されているフィラメントから調製される物品が本明細書に開示される。融着フィラメント製造のためのフィラメントを作製するプロセスが本明細書で更に開示される。
【0019】
具体的には、融着フィラメント製造プロセスで使用するフィラメントが本明細書に開示され、前記フィラメントは、ポリマー組成物を含み、前記ポリマー組成物は、少なくとも1つの半結晶性コポリアミドと少なくとも1つの非晶質コポリアミドとの混合物を含む。半結晶性コポリアミドは、ポリマー組成物における半結晶性コポリアミド及び非晶質コポリアミドの重量の合計に基づいて55重量%~95重量%、好ましくは70~90重量%、最も好ましくは70~80重量%のポリマー組成物を含む。非晶質コポリアミドは、ポリマー組成物における半結晶性コポリアミド及び非晶質コポリアミドの重量の合計に基づいて5重量%~45重量%、好ましくは10重量%~30重量%、最も好ましくは20重量%~30重量%のコポリマー混合物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0020】
融着フィラメント製造プロセスを用いて、本明細書に開示されるポリマー組成物を含むフィラメントから調製される物品は、半結晶性コポリアミドのみ又は非晶質コポリアミドのみを含むポリマー組成物を用いて調製される物品と比較して、冷却時により低い反り、より少ない歪み及び望ましい印刷適性を示す。
【0021】
半結晶性コポリアミド
フィラメントを調製するために本明細書に記載のポリマー組成物に使用される半結晶性コポリアミドは、2つ以上のアミド及び/又はジアミド分子の繰り返し単位を有するコポリアミドである。本明細書に開示されているコポリアミドについて、繰り返し単位は、コポリアミドに存在する繰り返し単位のモル%の降順で列挙されている。以下のリストは、コポリアミド(PA)におけるモノマー及び繰り返し単位を同定するために使用される略語を例示する。
HMD ヘキサメチレンジアミン(又は二酸と組み合わせて使用される場合には6)
T テレフタル酸
AA アジピン酸
DMD デカメチレンジアミン
DDA デカン二酸
DDDA ドデカン二酸
I イソフタル酸
TMD 1,4-テトラメチレンジアミン
4T TMD及びTから形成されたポリマー繰り返し単位
6T HMD及びTから形成されたポリマー繰り返し単位
6I HMD及びIから形成されたポリマー繰り返し単位
66 HMD及びAAから形成されたポリマー繰り返し単位
10T DMD及びTから形成されたポリマー繰り返し単位
410 TMD及びDDAから形成されたポリマー繰り返し単位
510 1,5-ペンタンジアミン及びDDAから形成されたポリマー繰り返し単位
610 HMD及びDDAから形成されたポリマー繰り返し単位
612 HMD及びDDDAから形成されたポリマー繰り返し単位
【0022】
当技術分野において、「6」という用語は、Tなどの二酸、例えば6Tと組み合わせて使用される場合、「6」は、HMDを意味することに留意されたい。ジアミン及び二酸を含む繰り返し単位では、ジアミンが最初に指定される。コポリマーの繰り返し単位は、スラッシュ(即ち/)で区切られる。例えば、ポリ(ヘキサメチレンドデカンジアミド/ヘキサメチレンテレフタルアミド)は、PA 612/6T(75/25)と略され、括弧内の値は、コポリマーにおけるそれぞれの繰り返し単位のモル%繰り返し単位である。
【0023】
8~20個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸及び2,6-ナフタレン二酸が挙げられる。テレフタル酸及びイソフタル酸が好ましく、テレフタル酸が最も好ましい。
【0024】
6~20個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、デカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ヘキサデカン二酸、オクタデカン二酸が挙げられる。ドデカン二酸、デカン二酸、ヘキサデカン二酸及びオクタデカン二酸が好ましい脂肪族ジカルボン酸であり、ドデカン二酸及びデカン二酸が最も好ましい。
【0025】
4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミンとしては、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン及び2-メチル-1,5-ペンタメチレンジアミンが挙げられ、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
【0026】
ポリマー組成物に有用な半結晶性コポリアミドの非限定的な例としては、PA 66/6T(95/5)~(60/40)、好ましくはPA 66/6T(90/10)~(70/30)、最も好ましくはPA 66/6T(85/15)~(75/25)、PA 612/6T(95/5)~(60/40)、好ましくはPA 612/6T(90/10)~(70/30)、最も好ましくはPA 612/6T(85/15)~(75/25)、PA 610/6T(95/5)~(60/40)、好ましくはPA 610/6T(90/10)~(70/30)、最も好ましくはPA 610/6T(85/15)~(75/25)、PA 616/6T(95/5)~(60/40)、好ましくはPA 616/6T(90/10)~(70/30)、最も好ましくはPA 616/6T(85/15)~(75/25)、PA 618/6T(95/5)~(60/40)、好ましくはPA 618/6T(90/10)~(70/30)、最も好ましくはPA 618/6T(85/15)~(75/25)からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0027】
非晶質コポリアミド
フィラメントを調製するために本明細書に記載のポリマー組成物に使用される非晶質コポリアミドは、1つの繰り返し単位がテレフタル酸を含み、第2の繰り返し単位がイソフタル酸を含む、2つ以上のアミド及び/又はジアミド分子繰り返し単位を有するコポリアミドである。
【0028】
非晶質コポリアミドを調製するために使用され得るジアミンとしては、4~20個の炭素原子を有する直鎖、分岐又は環状脂肪族ジアミンが挙げられる。適切なジアミンの例としては、ヘキサメチレンジアミン(HMD)、1,10-デカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン及び2-メチル-1,5-ペンタメンチレンジアミンが挙げられ、ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
【0029】
ポリマー組成物に有用な非晶質コポリアミドの非限定的な例としては、PA 6I/6T(60/40)~(95/5)、好ましくはPA 6I/6T(70/30)~(80/20)からなる群から選択されるものが挙げられる。
【0030】
ポリマー組成物における非晶質コポリアミドに対する半結晶性コポリアミドの重量比は、約55:45~95:5、好ましくは60:40~90:10、より好ましくは70:30~90:10の範囲である。
【0031】
驚くべきことに、ポリマー組成物から調製されたフィラメントは、特定のモル比の特定の繰り返し単位を有する非晶質コポリアミドとの組み合わせで、特定のモル比の特定の繰り返し単位を有する半結晶性コポリアミドを含み、非晶質コポリアミドに対する半結晶性コポリアミドの重量比は、規定の範囲内であり、望ましい相対強度及び反り特性を示す3D印刷された物品を提供することが判明した。
【0032】
添加剤
ポリマー組成物は、可塑剤、着色剤、潤滑剤、酸化防止剤及び熱安定剤などの追加の添加剤を任意選択的に含むことができる。このような添加剤は、得られる材料の所望の特性に従って添加することができ、所望の特性に対するこれらの量の制御は、当業者の知識の範囲内である。
【0033】
ポリマー組成物を調製するためのプロセス
ポリマー組成物は、半結晶性コポリアミド及び非晶質コポリアミド並びに任意選択的に他の添加剤を、溶融熱可塑性ポリマーを混合するように設計された装置、例えば一軸又は二軸押出機、Banbury(登録商標)ミキサー、Farrel Continuous Mixer(FCM(商標))又は二本ロールミルに供給することによって作製できる。コポリアミドは、それが溶融、混合、冷却される混合装置に供給され、必要に応じて冷却されたポリマー組成物をペレット化又は粒状化して、フィラメントの作製に使用するためのポリマー組成物を作製する。これらのプロセスは、当技術分野でよく知られている。
【0034】
フィラメントを作製するためのプロセス
融着製造プロセスで使用するためのフィラメント、ストランド又は繊維は、当技術分野で知られている任意の方法によって形成することができる。例えば、本明細書に開示されているフィラメントは、以下のプロセス工程によって調製することができる。
1)半結晶性コポリアミド及び非晶質コポリアミドを含むポリマー組成物のペレットが押出機に供給される工程であって、押出機内の温度は、ポリマー組成物を溶融して溶融混合物を形成するのに十分である、工程、
2)ダイを通して溶融混合物を押し出し、且つ混合物を冷却してフィラメントを形成する工程。
【0035】
或いは、本明細書に開示されるフィラメントは、以下のプロセス工程によって調製され得る。
1)溶融混合物を形成するのに十分な温度において、少なくとも1つの半結晶性コポリアミド、少なくとも1つの非晶質コポリアミド及び任意選択的に追加的な添加剤を混合する工程、
2)ダイを通して溶融混合物を押し出し、且つ溶融混合物を冷却してフィラメントを形成する工程。
【0036】
物品を作製するためのプロセス
本明細書に記載のポリマー組成物は、融着製造プロセスによって物品を作製するためのフィラメント、繊維及びストランドを調製するために使用することができる。これらのフィラメントは、高溶融熱可塑性ポリマーを含む物品を、三次元印刷技術を使用して調製することを可能にする。このような物品は、半結晶性コポリアミド又は非晶質コポリアミドのいずれかのみを含むポリマー組成物からフィラメントによって作製される物品と比較して、減少した反り、優れた印刷能力、高い寸法精度及び改善された表面外観などの望ましい特性を示す。
【0037】
融着フィラメント製造は、フィラメントから物品を調製するために一般的に使用されるプロセスである。一般的に、融着フィラメント製造において、本明細書に開示されるポリマー組成物を含むフィラメントは、加熱されたダイ又はノズルを通して供給され、ダイの温度は、フィラメントを溶融するのに十分に高い。溶融フィラメントは、ダイから出て層毎の方式で堆積されて所望の物品を形成する。堆積速度の制御は、フィラメント供給速度、フィラメント断面寸法並びにダイヘッド及び/又は物品の運動速度を変えることによって変動され得る。
【0038】
3D印刷された物品の調製中に使用されるベッド温度、ノズル温度及び他のパラメーターは、3D印刷された物品の特性に影響を及ぼし得ることが当技術分野において知られている。従って、本明細書に開示される3D印刷された物品の物理的特性の比較は、試験用に調製された試料の同一の印刷条件を使用して行われた。
【0039】
より具体的には、本明細書に開示される物品は、以下のプロセス工程によって調製することができる。
1)ポリマー溶融物を形成するのに十分な温度において、加熱されたダイを通してポリマー組成物を含むフィラメントを供給する工程、
2)ポリマー溶融物を層毎の方式で堆積させて、所望の物品を形成する工程。
【実施例】
【0040】
以下の表で「E」として識別される例示的な化合物は、本明細書に記載及び列挙する化合物、プロセス及び物品の範囲を更に明らかにすることのみを意図し、限定するものではない。比較例は、以下の表で「C」として識別される。
【0041】
材料
PA1 DuPontから入手可能である、1.20~1.35dl/gの固有粘度を有するPA 612/6T(75/25)、
PA2 DuPontから入手可能である、1.25~1.40dl/gの固有粘度を有するPA 612/6T(85/15)、
PA3 DuPontから入手可能である、1.25~1.40dl/gの固有粘度を有するPA 610/6T(80/20)、
PA4 DuPontから入手可能である、0.79~0.85dl/gの固有粘度を有するPA 61/6T(70/30)、
PA5 DuPontから入手可能である、0.68~0.75dl/gの固有粘度を有するPA 61/6T(70/30)、
PA6 DuPontから入手可能である、37~45の相対粘度を有するPA 66/6T(85/25)。
【0042】
試験方法
引張り強度、引張り弾性率及び破断歪みは、タイプ5Aの試験バーを用いて5mm/分の歪み速度でISO 527-2:2012に従って測定した。試験バーをFFFプロセスによって印刷し、表1及び2の試験バーについて試験する前に23℃、50%RHで少なくとも40時間調整した。表3及び4で使用された試験バーについて、試験バーは、いかなる調整もなしに「印刷されたままの状態で乾燥して」試験された。「印刷されたままの状態で乾燥して」いる試料を窒素環境下で印刷し、印刷されたバーを、試験前に真空下でアルミニウムバッグに密封する前に窒素下に保った。
【0043】
相対強度(RS)は、次の式で定義されるように、引張り強度と破断歪みとの積である。
RS=(引張り強度)×(破断伸び%/100)
【0044】
熱変形温度(HDT)値は、66psi(0.45MPa)の曲げ応力を用いてISO 75-2:2013方法Bに従って決定した。試験バーをFFFプロセスで印刷し、表1及び2の試験バーについて、試験前に少なくとも40時間、23℃、50%RHで調整した。表3及び4で使用した試験バーについて、試験バーは、いかなる調整もなしに「印刷されたままの状態で乾燥し」試験した。
【0045】
カールバー試験:この試験は、米国特許出願公開第20140141166A1号明細書から採用したものであり、3D印刷された試験試料中のカールの量を測定するために使用される。試験試料の印刷は、3ntr(Oleggio,Italy)及びPlural AM(Portland,OR)から市販されている押出系付加製造システム3ntr A4v3を使用して層毎の方式で行われ、この場合、アイオノマー(A)を含み、2.85mmの平均公称直径を有するフィラメントが使用される。試験は、3Dプリンターのベッド全体をAleph Objects,Inc.(Loveland,CO;Lulzbot(登録商標)TAZ PEIシート;部品番号817752016438)から市販されているポリエーテルイミド(PEI)のシートで処理することを伴い、次いで以下のプリンター設定を使用して、ツールパス命令から試験バーを印刷して、長さ270mm、幅10mm及び垂直高さ10mmにする:0.4mmのノズル、0.25mmの層の高さ、100%の45/-45度の充填材、1つのシェル、2.85mmのフィラメント直径及び100%のフロー。印刷する材料に応じて、ノズルとベッドの温度、印刷速度及び冷却を調整することができる。本明細書では、ナイロンについて、特に断りのない限り、ノズル温度240~290℃、ベッド温度25~110℃及び印刷速度30mm/秒を使用し、冷却ファンをオフにした。接着剤の薄い層(ElmerのWashable Glue Stick)を印刷前に塗布した。試験バーを印刷した後、システムから取り除き、室温(25℃)でカールについて測定した。材料のカールは、試験バーが曲がるか又はカールするように、試験バーの端が丸くなることで現れる。カール測定は、最も長い寸法で試験バーの端を結ぶ線を識別し、これらの端間の試験バーの長さに沿って中点を置くことを伴う。次いで、カールの量を、試験バーの2つの端間の線から中点での試験バーの表面まで測定した試験バーの端の変位の高さとして測定する。変位のこの高さは、マイクロメーターを用いて測定され、mmで記録され得る。換言すれば、試験バーの長さ方向(最長方向)の2つの端の縁間に線が引かれる。長さ方向の試験バーの中点と、試験バーの2つの端によって作られる線との間の距離又は高さは、mm単位のカールの度合いである。
【0046】
フィラメントを作製するための手順
実施例C1~C7のフィラメントは、Zenith PEP-IIメルトポンプを備えたWerner&Pfleiderer 28mm二軸押出機に本明細書に記載の半芳香族コポリアミド及び非晶質コポリアミドのペレットを供給することによって作製した。使用される特定のポリマー組成物に応じて最適なフィラメント品質を達成するために、バレル温度及びメルトポンプ温度を240~280℃に設定した。ダイから出た溶融混合物を5~60℃の温度の水浴中で急冷してフィラメントを形成した。フィラメントを、破損を防ぐ速度でストランドプラーによって動かし、スプールに巻き取った。引張り速度を調整することにより、2.85mm及び1.75mmの2つの直径のフィラメントを作製した。
【0047】
E1~E6及びE8~E20に記載の半芳香族コポリアミド及び非晶質コポリアミドを含むポリマーブレンドのペレットを溶融混練によって作製し、ここで、半芳香族コポリアミド及び非晶質コポリアミドのペレットを、表1~4に開示された重量比でWerner&Pfleiderer 30mm二軸押出機に同時に供給した。溶融及び適切な混合を確実にするために、バレル温度を240~280℃に設定した。ダイを通して溶融混合物を押し出し、5~60℃の温度の水浴中で急冷し、ペレットに切断し、フィラメント調製のために窒素パージ流を用いて90℃で12時間真空乾燥した。
【0048】
実施例E1~E6、E8~E9及びE11~E18のフィラメントは、Zenith PEP-IIメルトポンプを備えたWerner&Pfleiderer 28mm二軸押出機に、本明細書に記載の半芳香族コポリアミド及び非晶質コポリアミドを含むポリマーブレンドの乾燥したペレットを供給することによって作製した。使用される特定のポリマー組成物に応じて最適なフィラメント品質を達成するために、バレル温度及びメルトポンプ温度を240~280℃に設定した。ダイから出た溶融混合物を5~60℃の温度の水浴中で急冷してフィラメントを形成した。フィラメントを、破損を防ぐ速度でストランドプラーによって動かし、スプールに巻き取った。引張り速度を調整することにより、2.85mm及び1.75mmの2つの直径のフィラメントを作製した。
【0049】
実施例E10、E19及びE20のフィラメントは、任意選択的にZenith PEP-IIメルトポンプを備えた1.25インチ(32mm)Brabender一軸押出機に、対応するポリマーブレンドの乾燥したペレットを供給することによって作製した。使用される特定のポリマー組成物に応じて最適なフィラメント品質を達成するために、バレル温度及びメルトポンプ温度を240~280℃に設定した。ダイから出た溶融混合物を5~60℃の温度の水浴中で急冷してフィラメントを形成した。フィラメントを、破損を防ぐ速度でストランドプラーによって動かし、スプールに巻き取った。引張り速度を調整することにより、2.85mm及び1.75mmの2つの直径のフィラメントを作製した。
【0050】
実施例E7のフィラメントは、Zenith PEP-IIメルトポンプを備えたWerner&Pfleiderer 28mm二軸押出機に、表2に開示の重量比において、本明細書に記載の半芳香族コポリアミド及び非晶質コポリアミドのペレットを同時に供給することによって作製した。使用される特定のポリマー組成物に応じて最適なフィラメント品質を達成するために、バレル温度を240~280℃に設定した。ダイから出た溶融混合物を5~60℃の温度の水浴中で急冷してフィラメントを形成した。フィラメントを、破損を防ぐ速度でストランドプラーによって動かし、スプールに巻き取った。引張り速度を調整することにより、2.85mm及び1.75mmの2つの直径のフィラメントを作製した。
【0051】
これらのフィラメントを使用して、実施例E1~E20に使用された3D試験バーを印刷した。
【0052】
融着フィラメント製造プロセス
本明細書に記載の実施例では、指定された通り以下のプリンターを使用した。(a)公称2.85mmのフィラメントを使用した、標準直接駆動押出機及び0.5mmのノズルを備えたLulzbot(登録商標)Mini(Aleph Objects,Inc.(Loveland,CO)。(b)公称2.85mmのフィラメントを使用した、2つの間接駆動押出機及び1つの直接駆動押出機を備え、全て0.4mmのノズルを備えた3ntr A4v3(3ntr,Oleggio,Italy;Portland,ORのPlural AMからも入手可能)。(c)公称1.75mmのフィラメントを使用した、直接駆動押出機及び0.35mmのノズルを備えたMakergear M2(Makergear,LLC;Beachwood,OH)。
【0053】
表1~4の実施例及び比較例は、ISO 527-2に従って調製されたISO試験バーの組成及び物理的特性を示す。これらのISO試験バーは、LulzBot(登録商標)Mini(平坦バー)又は3ntr A4v3(縁バー)3Dプリンターを使用する融着フィラメント製造プロセスによって印刷した。「縁バー」として印刷したE5及びE6を除いて、全ての実施例及び比較例は、「平坦バー」として印刷した。
【0054】
比較例C1~C3は、非晶質コポリアミドの不在下での半結晶性コポリアミドの例である。比較例C4は、非晶質コポリアミドに対する半結晶性コポリアミドの重量比がC4において50:50であることを除いて、実施例E1~E3と同じ半結晶性コポリアミドと非晶質コポリアミドとの混合物である。C4は、試験のためのフィラメントに加工することができなかった。
【0055】
E1~E3について表1及び2に示すように、対照と比較した相対強度(RS対対照(%))は、対照としてC1を使用した。E4及びE7の相対強度は、対照としてC2を使用し、E8の相対強度は、対照としてC3を使用した。E5及びE6は、縁バーとして調製したため、結果を直接比較できないことから、平坦バーとして調製した試験バーと比較しなかった。
【0056】
非晶質コポリアミドを含まない対照と比較した相対強度は、実施例E8について対照の相対強度の少なくとも160パーセントであり、他の全ての実施例では、相対強度は、対照の相対強度の少なくとも500%である。これは、非晶質コポリアミドを含まない物品と比較して相対強度の驚くべき予想外の増加である。
【0057】
実施例及び比較例において3D印刷された物品を調製するために使用される全てのフィラメントは、窒素パージ流を用いてフィラメントを12時間にわたり、90℃で20~25mm/Hgの真空下において、加熱されたチャンバ又はオーブン中で乾燥することによって調整した。
【0058】
【0059】
【0060】
C1~C3、E1~E4E7及びE8の例についてのカールバー試験は、ノズル温度265℃、ベッド温85℃及びチャンバ温度75℃を用いて3ntrA4v3 3Dプリンターを使用して印刷した。C8及びE20の例のカールバー試験は、周囲環境(25℃)下でノズル温度290℃、ベッド温度85℃を用いてMakergear M2プリンターを使用して印刷した。非晶質コポリアミドを含まない半芳香族コポリアミドC1~C3単独の場合、カールバーの高さ変位は、10mmを超える(表1)一方、半芳香族コポリアミドと非晶質コポリアミドとの両方を含むコポリアミドのカールバーの高さ変位は、1mm以下である(表1及び2)。C8に例示されるように、非晶質コポリアミドを含まない半芳香族コポリアミド単独の高さ変位は、5mmを超える。印刷中に反りが進行するにつれて層が剥離することによって証明されるように、C8から作製されたカールバーは、層間接着力を著しく弱めた。印刷中の剥離を防止するために層間接着力が強い場合、高さ変位は、5mmよりはるかに大きかったはずである。比較例C8と比較して、実施例E20から印刷されたカールバーは、1mmの高さ変位を示した。カールバー試験における低い高さ変位によって証明されるように、低い反りは、特に融着フィラメント製造を使用して大きい部品を印刷する場合、改善されたポリマー組成物の明らかな利点である。
【0061】
表3及び4における全ての実施例及び比較例について、3D印刷装置のベッド温度は、25℃であった。E9及びE10について表3及び4に示されるように、対照と比較した相対強度(RS対対照(%))は、対照としてC5を使用した。E11~E13の相対強度は、対照としてC6を使用し、E14~E19の相対強度は、対照としてC7を使用し、E20の相対強度は、対照としてC8を使用した。
【0062】
【0063】
表3及び4の結果は、25℃のベッド温度で調製された試験試料の相対強度の改善が表1及び2の試料のベッド温度85℃に対して対照より優れたままであることを示す。実施例E11~E13は、対照(C6)と比較した場合、少なくとも140パーセントの相対強度の向上を示す。E9対C5では、相対強度の向上は、500パーセントを超える。
【0064】
【表4】
以下、本明細書に記載の主な発明について列記する。
(1)
ポリマー組成物を含むフィラメントであって、前記ポリマー組成物は、
A)55~95重量パーセントの、融点を有する半芳香族コポリアミドであって、
a-1)5~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
i)8~20個の炭素原子を有する1つ以上の芳香族ジカルボン酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、5~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と、
a-2)60~95モルパーセントの脂肪族繰り返し単位であって、
ii)6~20個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、60~95モルパーセントの脂肪族繰り返し単位と
を含む、55~95重量パーセントの、融点を有する半芳香族コポリアミドと、
B)5~45重量パーセントの、融点を有する非晶質コポリアミドであって、
b-1)60~90モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
iii)イソフタル酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、60~90モルパーセントの芳香族繰り返し単位と、
b-2)10~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位であって、
iv)テレフタル酸及び4~20個の炭素原子を有する脂肪族ジアミン
から誘導される、10~40モルパーセントの芳香族繰り返し単位と
を含む、5~45重量パーセントの、融点を有する非晶質コポリアミドと
を含む、フィラメント。
(2)
前記半芳香族コポリアミドは、PA 66/6T、PA 610/6T、PA 612/6T、PA 614/6T、PA 616/6T及びPA 618/6Tからなる群から選択される、(1)に記載のフィラメント。
(3)
前記半芳香族コポリアミドは、PA 66/6T、PA 610/6T、PA 612/6T、PA 614/6T、PA 616/6T及びPA 618/6Tからなる群から選択され、且つ前記非晶質コポリアミドは、PA 6I/6Tである、(1)に記載のフィラメント。
(4)
前記ポリマー組成物は、60~95重量パーセントの半芳香族コポリアミド(A)及び5~40重量パーセントの非晶質コポリアミド(B)を含む、(1)に記載のフィラメント。
(5)
前記ポリマー組成物は、65~90重量パーセントの半芳香族コポリアミド(A)及び5~35重量パーセントの非晶質コポリアミド(B)を含む、(1)に記載のフィラメント。
(6)
(a-1)の芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸である、(1)に記載のフィラメント。
(7)
芳香族繰り返し単位(a-1)のモルパーセントは、10~30モルパーセントであり、且つ脂肪族繰り返し単位(a-2)のモルパーセントは、70~90モルパーセントである、(1)に記載のフィラメント。
(8)
芳香族繰り返し単位(b-1)のモルパーセントは、70~90モルパーセントであり、且つ芳香族繰り返し単位(b-2)のモルパーセントは、10~30モルパーセントである、(1)に記載のフィラメント。
(9)
融着フィラメント製造プロセスを用いて(1)に記載のフィラメントから印刷される物品。
(10)
ISO 527-2試験バーの形状に印刷されると、(1)に記載のフィラメントから調製される同一の物品の相対強度の少なくとも140パーセントである相対強度を示し、前記フィラメントは、非晶質コポリアミドを含まない、(9)に記載の物品。
(11)
ISO 527-2試験バーの形状に印刷されると、(1)に記載のフィラメントから調製される同一の物品の相対強度の少なくとも140パーセントである相対強度を示し、前記フィラメントは、非晶質コポリアミド(B)を含まない、請求項9に記載の物品。
(12)
長さ270mm、幅10mm及び高さ10mmの寸法を有する試験バーの形状に印刷されると、カールバー試験に従って測定された場合に2mm未満の高さ変位を示す、(9)に記載の物品。
(13)
長さ270mm、幅10mm及び高さ10mmの寸法を有する試験バーの形状に印刷されると、カールバー試験に従って測定された場合に1mm未満の高さ変位を示す、(9)に記載の物品。