(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】煙道ガス洗浄用のカセット一体型触媒
(51)【国際特許分類】
F01N 3/28 20060101AFI20220614BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20220614BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220614BHJP
B63H 21/32 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F01N3/28 311U
F01N3/08 B ZAB
B01D53/94 300
B01D53/94 228
B63H21/32 Z
(21)【出願番号】P 2019534704
(86)(22)【出願日】2017-12-19
(86)【国際出願番号】 EP2017083452
(87)【国際公開番号】W WO2018127398
(87)【国際公開日】2018-07-12
【審査請求日】2020-12-07
(32)【優先日】2017-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DK
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ヘンリク・トロレ
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-251439(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0341098(US,A1)
【文献】特開平07-004233(JP,A)
【文献】特開2013-163160(JP,A)
【文献】特開平07-232081(JP,A)
【文献】特開2015-086727(JP,A)
【文献】特表2013-523443(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/28
F01N 3/08
B01D 53/94
B63H 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
煙道ガス洗浄用のカセット一体型触媒であって、前記触媒は、少なくとも1つのモノリスを含み、前記カセットは、
第1の開放端部と、
第2の開放端部と、
前記少なくとも1つのモノリスの周囲に嵌合するように適合された少なくとも1つの壁と、を備え、
前記カセットは、前記少なくとも1つのモノリスを前記カセットに固定するために、前記壁のうちの1つ以上に少なくとも1つの窪みを更に備
え、
前記少なくとも1つの窪み及び前記カセットの断面積が、前記少なくとも1つのモノリスの断面積に対して寸法決めされて、前記カセット内の前記少なくとも1つのモノリスをプレス嵌めし、それによって前記カセット内の前記少なくとも1つのモノリスを固定し、
前記カセットが、前記カセットの前記端部のうちの少なくとも1つに隣接する少なくとも1つのカラー又は1つ以上の内側に突出する縁部を更に含み、それにより、前記カセット内の前記少なくとも1つのモノリスの軸方向の移動を防止する、カセット一体型触媒。
【請求項2】
前記少なくとも1つの窪みが、前記カセット内で内側に突出する、請求項1に記載のカセット一体型触媒。
【請求項3】
前記少なくとも1つの壁が、前記少なくとも1つのモノリスの周囲で圧縮され、圧縮位置に固定される、2つの曲げプレートを備える、請求項1
または2に記載のカセット一体型触媒。
【請求項4】
前記2つのプレートのそれぞれが、2つの90°屈曲部を備える、請求項
3に記載のカセット一体型触媒。
【請求項5】
前記少なくとも1つの壁が、前記少なくとも1つのモノリスの周囲で圧縮され、前記圧縮位置に固定される、1つの曲げプレートを含む、請求項1
または2に記載のカセット一体型触媒。
【請求項6】
前記曲げプレート(複数可)が、前記プレート(複数可)の少なくとも2つの縁部の溶接又は幾何学的インターロックによって、前記圧縮位置に固定される、請求項
3~
5のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項7】
前記カセットが矩形断面を有する、請求項1~
6のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項8】
前記カセットが三角形の断面を有する、請求項1~
7のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項9】
前記カセットが六角形の断面を有する、請求項1~
8のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項10】
前記カセットが円形断面を有する、請求項1~
9のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項11】
前記カセットが、前記壁のうちの少なくとも1つに複数の窪みを備える、請求項1~
10のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項12】
前記少なくとも1つの窪みが長手方向であり、それによって、前記少なくとも1つの窪みを備える前記壁に更なる剛性を提供する、請求項1~
11のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項13】
前記カセットが、0.2mm~4mm、好ましくは0.5mm~2mmの厚さを有する鋼板から作製される、請求項1~
12のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項14】
前記少なくとも1つの窪みが、前記少なくとも1つの窪みを備える前記壁の内面に対して0.5mm~15.0mm、好ましくは1.5mm~4.0mmの突出高さを有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項15】
前記触媒が、前記カセットの前記第1の端部と前記第2の端部との間に直列に接続された、順に配置された複数のモノリスを備える、請求項1~
14のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項16】
前記触媒が、前記カセットの前記内部断面積にわたって並んで配置された複数のモノリスを備える、請求項1~
15のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項17】
摩擦強化カセットモノリス界面を更に備える、請求項1~
16のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項18】
前記摩擦強化カセットモノリス界面が接着剤を備える、請求項
17に記載のカセット一体型触媒。
【請求項19】
前記摩擦強化カセットモノリス界面が、制振マット材料を備える、請求項
17に記載のカセット一体型触媒。
【請求項20】
前記触媒がNH
3スリップ触媒である、請求項1~
19のいずれか一項に記載のカセット一体型触媒。
【請求項21】
請求項1~
20のいずれか一項に記載の少なくとも1つのカセット一体型触媒を備える船舶エンジン排気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒をカセット内に一体化して触媒を固定し保護するシステムである。具体的には、本発明は、特に煙道ガス浄化のための、周囲の固定カセットへの1つ以上のモノリス触媒の一体化に関し、ここで、カセットはモジュール式であり、グループ内の同様のカセットに隣接して配置するのに適している。
【背景技術】
【0002】
本発明は、煙道ガスを浄化するためにシステム内に触媒を設置する問題に対処する。煙道ガスは、エンジン、ボイラー又はセメント製造などのプロセス装置からの排気ガスであり得る。触媒は、存在する煙道ガス中の炭化水素、NOx又は他の物質の還元に適切であり得る。具体的には、本発明は、エンジンの排気、例えば、限定はしないがディーゼルエンジンの排気からの煙道ガスの浄化に有用であり得る。
【0003】
煙道ガス浄化のための触媒を設置するとき、煙道ガス流中に、例えば煙道ガスダクト又はパイプ中に、触媒を固定することが必要である。触媒をバイパスする煙道ガス量は触媒によって浄化されないので、装置は煙道ガスが触媒をバイパスできないことを確実にしなければならない。更に、触媒の設置が、過度に高価ではなく、安全で時間を節約する方法で行うことができることが重要である。触媒の効率を確実にするために、特に既存の煙道ガスシステムを改良するとき、又は、例えば海洋システムにおけるように限られた空間しかない状況では、煙道ダクト又はパイプの断面積の大部分を触媒で覆うことが重要である。多くの場合、触媒は振動が存在する過酷な環境に設置され、したがって煙道ガス浄化触媒システムは、触媒がその設置位置から移動して漏れをもたらし得る恐れ、触媒の破損又は他のシステムの故障若しくは破損又は排煙規制規則の違反なしに、振動に耐えることができなければならない。
【0004】
煙道ガス浄化システムの公知の例は、例えば米国特許第5144797号に記載されており、排気ガスパイプは、好ましくは約90度の角度を含む少なくとも1つの角度屈曲部を形成する複数のセグメントを含む。セグメントは、所与の直径を有する第1のセグメントを含む。アダプタは、第1のセグメントと連通する。第2のセグメントは、アダプタと連通し、所与の直径よりも大きな直径を有する。ハニカム体は、アダプタの下流に配置され、排気ガス流に面する端面を有する側面を有する。アダプタは、曲率及びピッチを有するヘリカル状及び/又はスパイラル状経路で排気ガスを端面に接近させる形状を有することができ、既に偏向された排気ガスとアダプタ内に新たに流入する排気ガスとの間の接触を低減又は防止する。アダプタは、端面に接近し、端面に向かう方向に切り開かれた、ほぼコイル状及び/又はスパイラル状の管セグメントの形状を有する内側を有してもよい。
【0005】
米国特許出願公開第2015314236号は、後処理部品をエンジンに接続するための取り付けシステムを開示している。取り付けシステムは、少なくとも1つのフランジを含むことができる。取り付けシステムはまた、少なくとも1つのフランジに接続された第1の端部、及び後処理構成要素の周囲に円周方向に巻き付けられた外側シェルに接続された第2の端部を有する支持構造体も含むことができる。取り付けシステムは、外側シェルと後処理構成要素の外側表面との間に配置された少なくとも1つのシールを更に含んでもよい。少なくとも1つのシールは、後処理からエンジンの振動を隔離するように構成され得る。
【0006】
米国特許第4347219号では、コンバータケーシングは中空の円筒体を含み、その中でモノリシック触媒基材がワイヤメッシュ緩衝要素によって支持されている。ケーシング本体に固定されているのは、一対の保持固定具であり、それらはそれぞれ触媒基材の隣接する端面と係合可能な端部緩衝要素と嵌合され、触媒基材を軸方向の変位に対して保持する。ケーシング本体は、小径部分、少なくとも1つの大径部分、及びそれらの間に挟まれた傾斜肩部分を含む。保持固定具は、触媒基材とケーシング本体との間に保持された緩衝要素に対して離間して、ケーシング本体の大径部分又は他の端部部分に固定される。そのようなケーシング構造は、振動又は衝撃下で触媒基材が損傷又は破損する危険性を最小限に抑え、それによって基材の耐久性を高め、特にコンパクトで安価な触媒コンバータの実現を可能にする。
【0007】
中国実用新案出願第204710113号は、配置ラック及び触媒骨格を含む一体型ハニカム式煙道ガス脱硝触媒構造を記載しており、ここで、位置決めラックは、スタンド、クロスビーム及びバッフル、並びにスタンド及びクロスビーム作業チャンバを含み、これらは最初に正しい順序で矩形のスペースフレーム構造を連結して構成し、バッフルは少なくとも2つあり、「10」スタイルのキャリパー及び分布であり、触媒骨格は、改良されることを期待して6つのプリズム構造を提示し、位置決めプーリを介してはめ込み、位置決めラック内にバッフルを用いてオフセットし、触媒骨格は保護壁及び排水プレートを含み、排水プレートは防護壁にはめ込み、規則的な六角形の水管理転換孔である複数のアレイ配置を構成し、壁の保護外面は広がり溝を確立し、触媒骨格の壁の保護外面は少なくとも1つの超音波振動デバイスを更に確立する。その実用新案は、機器固定の変更と使用の自由度を大幅に改善し、使用とメンテナンスコストを低減する組み立てる組み込み構造を開示しており、本明細書では効果的な温度調整を行うことができ、使用中に更に粉塵に対する堆積プロセスが同時に防止される。
【0008】
国際公開第16156163号は、複数の触媒コンバータモジュールを有する、排気ガス触媒コンバータ用の触媒コンバータユニット、具体的には船舶用ディーゼル内燃機関のSCR触媒コンバータ用のSCR触媒コンバータユニットを開示しており、各触媒コンバータモジュールは、排気ガスが流れるセラミック触媒コンバータ本体と、セラミック触媒コンバータ本体用の金属ケーシングとを有し、それぞれのセラミック触媒コンバータ本体は、それぞれの金属ケーシング内に受容されて、特定のセクションで金属ケーシングによって囲まれており、触媒コンバータモジュールは、支持格子上の第1の貫流端部によって位置決めされ、カウンターブレースが、触媒コンバータモジュールの反対側の第2の貫流端部に位置決めされ、触媒コンバータモジュールは支持格子とカウンターブレースとの間に固定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
当技術分野では、煙道ガス浄化用の触媒を支持体に包むことが知られている。しかしながら、既存の触媒システムは、例えばエンジンに関連して又は移動用途において発生するので、振動に耐える問題を経験する可能性がある。振動の問題に対処する既存の触媒封入システムは重く高価になる傾向がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、煙道ガス浄化用の触媒を包み込み、固定し、保護するという問題に対する解決法を提供するものであり、それは既存の触媒包み込みシステムよりも簡単で、軽量で、安価である。
【0011】
本発明は、煙道ガス浄化用のカセット一体型触媒を提供する。触媒は、カセット内に封入され固定されている1つ以上のモノリスの形態である。カセットは、第1及び第2の開放端部を有し、これにより、流体が、カセットの第1の端部からモノリスを通って、カセットの第2の開放端部を通って流出することを可能にする。カセットが複数のモノリスを備える実施形態では、モノリスは、カセットを通る流体流に対して直列又は並列接続で配置されてもよい。したがって、モノリスがカセット内で並列に接続されるとき、それらはカセットの第1の開放端部から第2の開放端部への流体の流れ方向に対してカセットの内側断面積にわたって並んで配置される。モノリスがカセットに直列接続されるとき、それらは、流体の流れ方向に順々に配置される。複数のモノリスが、カセット内で直列及び並列の両方で、すなわちカセットの断面積にわたって並んで及びカセット内の流体の流れ方向に順々に並んでの両方で、配置されることも可能である。カセット一体型触媒は、例えばダクト又はパイプなどの煙道ガスシステム内に設置された触媒を備える複数のカセットを有するモジュールとして使用することができる。また、複数のカセット一体型触媒モジュールは、煙道ガスシステムにおいて平行、直列、又は並列及び直列の両方で設置されてもよい。カセットは、1つ以上のモノリスの周囲に嵌合するように適合された少なくとも1つ以上の壁を備える。壁の数は、カセットの形状に依存する。円形又は楕円形の断面形状を有するカセットは単一のモノリス周囲壁を備え、長方形の断面形状を有するカセットは4つの壁を備え、三角形の断面形状を有するカセットは3つの壁を備える。
【0012】
本発明の本質的な特徴は、カセットの1つ以上の壁が少なくとも1つの窪みを備えることである。この窪みは、カセット内の1つ以上のモノリスを固定する能力を増加させ、更にカセット壁の剛性を増加させる。したがって、カセット壁の構造強度が増加するにつれて、壁の厚さ、重量、材料消費及びカセットのコストを最小限に抑えることができる。1つ以上の窪みは、両方を、モノリスに向かってカセット壁の内側に、又はモノリスから離れるようにカセット壁の外側に、並びに内側及び外側の両方に突出するように向けられてもよい。いずれの場合でも、窪みは、カセット内のモノリス(複数可)の固定及びカセット壁の構造強度を増加させ、したがって、カセットの壁厚、重量及びコストを低下させることができる。
【0013】
窪みがカセット壁の内側に突出している場合、窪みは、カセット内にモノリスを固定するための十分に画定された固定点を提供する。モノリスは、モノリスとカセットとの間の摩擦力によって、特に窪みの内面に固定されてもよい。カセット内のモノリスの固定は、カセットとモノリスとの間に設けられた層、例えば、可撓性材料又は接着剤によって更に増加させることができる。カセットの1つ以上の壁のそれぞれは、必要とされるモノリス(複数可)の構造強度及び固定に応じて、1つ又は複数の窪みを有してもよい。窪みは、任意の方向に更に配向されてもよく、例えば、カセット内の流体の流れ方向に対して垂直又は平行に配向された楕円形の窪みなどの任意の有利な形状を有してもよい。
【0014】
本発明の一実施形態では、カセットは、モノリス(複数可)の周りにプレス嵌めで配置される。プレス嵌めは、カセット内のモノリスの堅固な固定を提供する。いくつかの実施形態では、窪みと組み合わせたプレス嵌めは、窪みに面する領域においてモノリスのわずかな局所的変形を伴う。モノリス(複数可)の変形は、窪みの向きに応じて、モノリス(複数可)内で外側又は内側になり得る。次いで、固定は摩擦力によって引き起こされるだけでなく、カセット内のモノリス(複数可)の機械的なへこみ/刻み目のロックによっても生じるため、カセット内のモノリス(複数可)の固定を増加させる。しかしながら、いくつかの実施形態で生じ得るモノリス(複数可)の変形は、本発明の前提条件ではないことを理解されたい。
【0015】
本発明の更なる実施形態では、カセットは、モノリス(複数可)の周りに互いに嵌合するように形成された、2つの曲げプレートから作製される。曲げプレート片は、互いに嵌合するときに90°のL字形に形成されて矩形断面形状を形成してもよく、又は他の形状に形成されて三角形、六角形又は他の断面形状を形成してもよい。異なる形状は、本発明に係る多数のカセット一体型触媒をダクト内に並べて積み重ねたときに、所与の煙道ダクトの断面積を最も効率的に利用するという目的に役立ち得る。曲げプレートは、溶接、幾何学的インターロック、又は当技術分野で公知の他の任意の方法によってモノリス(複数可)の周りに互いに固定されてもよい。
【0016】
本発明の更なる実施形態では、カセットは、カセットの一方又は両方の開口端部に隣接する1つ以上の内向きに突出する縁部又は1つ以上のカラーを備える。これらの縁部は、カセットの開放端部に追加の構造強度を与え、カセット内のモノリスの追加の固定を与え、おそらくはカセットの鋭い縁部を回避するという目的も、果たすことができる。
【0017】
カセットは、カセットのサイズ及び所与の用途における構造的強度に対する要求に応じて、0.2mm~4mmの厚さを有する鋼板で作製されてもよい。いくつかの実施形態では、カセットプレートの厚さは、カセット壁(複数可)内の窪み(複数可)が構造強度を増加させるので、最大1mmの厚さにすぎないことがある。用途に応じて、強度の要求、モノリス(複数可)の物理的特性をいくつか挙げると、カセット壁の内面に対する窪みの突出高さは変化し得る。高さは、いくつかの実施形態では、0.5mm~15.0mm、又は1.5~4.0mmであり得る。
【0018】
本発明の触媒の一実施形態では、NH3スリップ触媒であり、更なる実施形態では、船舶エンジン排気システムは、記載及び特許請求される本発明に係る少なくとも1つのカセット一体型触媒を備える。
【0019】
特徴1.煙道ガス洗浄用のカセット一体型触媒であって、触媒は、少なくとも1つのモノリスを含み、カセットは、
・第1の開放端部と、
・第2の開放端部と、
・少なくとも1つのモノリスの周囲に嵌合するように適合された少なくとも1つの壁と、を備え、
カセットは、少なくとも1つのモノリスをカセットに固定するために、壁のうちの1つ以上に少なくとも1つの窪みを更に備える、カセット一体型触媒。
【0020】
特徴2.少なくとも1つの窪みが、カセット内で内側に突出する、特徴1に記載のカセット一体型触媒。
【0021】
特徴3.少なくとも1つの窪み及びカセットの断面積が、少なくとも1つのモノリスの断面積に対して寸法決めされて、カセット内の少なくとも1つのモノリスをプレス嵌めし、それによってカセット内の少なくとも1つのモノリスを固定する、特徴1又は2に記載のカセット一体型触媒。
【0022】
特徴4.少なくとも1つの壁が、少なくとも1つのモノリスの周囲で圧縮され、圧縮位置に固定される、2つの曲げプレートを備える、特徴1~3のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0023】
特徴5.2つのプレートのそれぞれが、2つの90°屈曲部を備える、特徴4に記載のカセット一体型触媒。
【0024】
特徴6.少なくとも1つの壁が、少なくとも1つのモノリスの周囲で圧縮され、圧縮位置に固定される、1つの曲げプレートを含む、特徴1~3のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0025】
特徴7.曲げプレート(複数可)が、プレート(複数可)の少なくとも2つの縁部の溶接又は幾何学的インターロックによって、圧縮位置に固定される、特徴4~6のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0026】
特徴8.カセットが矩形断面を有する、特徴1~7のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0027】
特徴9.カセットが三角形の断面を有する、特徴1~8のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0028】
特徴10.カセットが六角形の断面を有する、特徴1~9のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0029】
特徴11.カセットが円形断面を有する、特徴1~10のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0030】
特徴12.カセットが、壁のうちの少なくとも1つに複数の窪みを備える、特徴1~11のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0031】
特徴13.少なくとも1つの窪みが長手方向であり、それによって、少なくとも1つの窪みを備える壁に更なる剛性を提供する、特徴1~12のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0032】
特徴14.カセットが、カセットの端部のうちの少なくとも1つに隣接する少なくとも1つのカラー又は1つ以上の内側に突出する縁部を更に含み、それにより、カセット内の少なくとも1つのモノリスの軸方向の移動を防止する、特徴1~13のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0033】
特徴15.カセットが、0.2mm~4mm、好ましくは0.5mm~2mmの厚さを有する鋼板から作製される、特徴1~14のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0034】
特徴16.少なくとも1つの窪みが、少なくとも1つの窪みを備える壁の内面に対して0.5mm~15.0mm、好ましくは1.5mm~4.0mmの突出高さを有する、特徴1~15のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0035】
特徴17.触媒が、カセットの第1の端部と第2の端部との間に直列に接続された、順に配置された複数のモノリスを備える、特徴1~16のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0036】
特徴18.触媒が、カセットの内部断面積にわたって並んで配置された複数のモノリスを備える、特徴1~17のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0037】
特徴19.摩擦強化カセットモノリス界面を更に備える、特徴1~18のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0038】
特徴20.摩擦強化カセットモノリス界面が接着剤を備える、特徴19に記載のカセット一体型触媒。
【0039】
特徴21.摩擦強化カセットモノリス界面が、制振マット材料を備える、特徴19に記載のカセット一体型触媒。
【0040】
特徴22.触媒がNH3スリップ触媒である、特徴1~21のいずれか1つに記載のカセット一体型触媒。
【0041】
特徴23.特徴1~22のいずれか1つに記載の少なくとも1つのカセット一体型触媒を備える船舶エンジン排気システム。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本発明のより詳細な説明は、図面を参照して、特定の実施形態の以下の説明から明らかとなるであろう。
【
図1】窪みを有するがモノリスを有さないカセットの等角図である。
【
図5】
図3に示したカセットの一部の詳細図を示す。
【
図6】
図3に示したカセットの詳細の切断図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係るカセット01は、その内側にモノリス(複数可)を有さずに示されている。本実施形態のカセットは、その内側に取り付けられるモノリスの側部を取り囲み、カセットに対する運動に対してモノリスを固定するように適合された4つのカセット壁04を有する。モノリス(複数可)がカセット内に取り付けられると、それはカセット02の第1の開放端部からカセット内のモノリス(複数可)を通ってモノリス(複数可)内で浄化される煙道ガスを受容し、更にカセット03の第2の開口端部を通って出るように適合される。
【0044】
4つすべてのカセット壁のそれぞれには5つのカセット窪み05があり、これらは
図6において切断図でより詳細に見ることができる。この実施形態では、窪みは、カセットの第1の開口端部から第2の開口端部への煙道ガスの流れ方向に対して垂直に配置されている。これにより薄板カセット壁の構造強度の増加が提供され、それに応じて曲げ及び振動の傾向が少なくなる。更に、本実施形態ではモノリスに向かってカセットの内側に突出している窪みは、カセット内に配置されるモノリスの明確かつ最適化された固定を提供する。前述のように、カセットがプレス嵌めでモノリス(複数可)を囲む実施形態では、窪みは、モノリス(複数可)の面が窪みと接触するモノリス(複数可)のわずかな変形を引き起こす可能性があり、これは、高い摩擦力およびおそらくはモノリス(複数可)の機械的なへこみ/刻み目のロックにもより、カセット内のモノリス(複数可)の強固な固定を引き起こす。
【0045】
図1に示すカセットは、その両方の開放端部にカセットカラー06も備える。本実施形態では、カラーは、
図5及び
図7でより詳細に見られるように、わずかに内向きのS字形のカセット壁の2つの屈曲部である。これは、開放端部においてカセット壁の更なる強度を提供し、モノリス(複数可)のための端部停止部も更に提供して、カセット内の又はカセットを出る動きに対してモノリスを更に固定する。
【0046】
図2は、モノリス(複数可)の周りにカセットを取り付けることを説明するために、
図1に示したのと同じカセットの半分の部分の等角図を示す。図示のように、半分の部分は2つの90°の屈曲部を有するプレートであり、それによって半分の部分がモノリスの周りに配置されることを可能にし、それは次いでカセットの他の半分の部分を受容する。次いで、2つの半分の部分を一体にしてモノリスの周りに嵌合し、半分の部分の壁の縁部に沿って溶接する。
図3では、半分の部分が側面図で示されており、溶接に適した半分の部分の縁部を明らかにしている。同じ半分の部分が
図4の端面図に示されており、2つの90°の屈曲部及び壁の縁部を明らかにしている。
【符号の説明】
【0047】
位置番号
01. カセット。
02. カセットの第1の開放端部。
03. カセットの第2の開放端部。
04. カセット壁。
05. カセット窪み。
06. カセットカラー。