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特許7088947マスクストリップ及びその製造方法、マスクプレート
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  • 特許-マスクストリップ及びその製造方法、マスクプレート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】マスクストリップ及びその製造方法、マスクプレート
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/04 20060101AFI20220614BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20220614BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20220614BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C23C14/04
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/10
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019545296
(86)(22)【出願日】2018-01-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 CN2018073790
(87)【国際公開番号】W WO2019037387
(87)【国際公開日】2019-02-28
【審査請求日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】201710742464.3
(32)【優先日】2017-08-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(73)【特許権者】
【識別番号】514161567
【氏名又は名称】鄂尓多斯市源盛光▲電▼有限▲責▼任公司
【氏名又は名称原語表記】ORDOS YUANSHENG OPTOELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】Ordos Equipment Manufacturing Base,Dongsheng District,Ordos,Inner Mongolia,017020,P.R.CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ジエン
(72)【発明者】
【氏名】ホアン チュン チー
(72)【発明者】
【氏名】リン ジーミン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン シンジエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン チー
(72)【発明者】
【氏名】ハオ ジーユエン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ドー
(72)【発明者】
【氏名】リウ ドージエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジェン
(72)【発明者】
【氏名】スン プー
【審査官】山本 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-233250(JP,A)
【文献】特開2012-229484(JP,A)
【文献】特開2010-180476(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 14/04
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクストリップであって、
第1方向に沿う複数のマスクユニットを備え、
前記マスクユニットの各々は、マスク領域と、前記マスク領域を取り囲んでいる非マスク領域とを備え、前記非マスク領域は、サイド領域と、前記サイド領域内のオリジナル応力集中領域とを備え、
前記マスクユニットの各々は、応力集中構造をさらに備え、
前記応力集中構造は、前記サイド領域内の前記オリジナル応力集中領域以外の部分に位置し、
前記応力集中構造は、複数の凹溝を含み、
前記凹溝は、エッチング溝であるマスクストリップ。
【請求項2】
前記サイド領域は、前記非マスク領域内の、前記マスクストリップの縁部からの間隔が第1間隔以下の部分である請求項1に記載のマスクストリップ。
【請求項3】
前記オリジナル応力集中領域は、前記サイド領域内の、対応するマスク領域からの間隔が第2間隔以下の部分である請求項1に記載のマスクストリップ。
【請求項4】
前記第1方向は、引張方向である請求項1に記載のマスクストリップ。
【請求項5】
前記マスクユニットの各々の中心が前記マスク領域の中心と重なり、且つ、前記応力集中構造は、前記サイド領域内の各マスクユニットの四隅に位置する請求項1に記載のマスクストリップ。
【請求項6】
前記応力集中構造は、長手方向が前記第1方向に平行する矩形形状をしている請求項1に記載のマスクストリップ。
【請求項7】
前記マスクユニットの各々は、前記第1方向に垂直な方向に配列された2つ以上のマスク領域を備える請求項1に記載のマスクストリップ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載のマスクストリップを備えるマスクプレート。
【請求項9】
マスクストリップの製造方法であって、
マスクストリップ本体を形成するステップと、
イド領域内のオリジナル応力集中領域以外の部分に応力集中構造を形成するステップとを含み、
前記マスクストリップ本体は、第1方向に配列された複数のマスクユニットを備え、前記マスクユニットの各々がマスク領域と前記マスク領域を取り囲んでいる非マスク領域とを備え、前記非マスク領域がサイド領域と前記サイド領域内のオリジナル応力集中領域とを備え
前記応力集中構造は、複数の凹溝を含み、
前記凹溝は、エッチング溝であるマスクストリップの製造方法。
【請求項10】
前記応力集中構造は、アレイ状に配列された複数の凹溝を含む請求項に記載の製造方法。
【請求項11】
記エッチング溝は、互いに重ならない請求項1に記載の製造方法。
【請求項12】
前記応力集中構造を形成するステップは、
エッチング液を用いて、前記マスクストリップ本体の表面において、前記凹溝を形成する対象となる位置に対応して前記エッチング溝を形成するステップを含む請求項1に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年8月25日に提出した中国特許出願番号201710742464.3との中国特許出願を基礎とする優先権を主張し、その開示の総てをここに取り込む。
【0002】
本発明は、表示技術に関し、特にマスクストリップ、マスクストリップの製造方法、及びマスクプレートに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、有機発光ダイオード(OLED)は、低消費電力、高彩度、広視野角、薄肉、可撓性などの優れた性能を有するため、表示装置の主流となりつつある。OLEDを量産する場合、微細メタルマスク(Fine Metal Mask、FMM)を用いて、蒸着工程によって各画素ユニット内に有機発光層を形成することが必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため、本開示の一例は、マスクストリップである。前記マスクストリップは、第1方向に沿う複数のマスクユニットを備える。前記マスクユニットの各々は、マスク領域と、前記マスク領域を取り囲んでいる非マスク領域とを備える。前記非マスク領域は、サイド領域と、前記サイド領域内のオリジナル応力集中領域とを備える。前記マスクユニットの各々は、応力集中構造をさらに備える。前記応力集中構造は、前記サイド領域内の前記オリジナル応力集中領域以外の部分に位置する。前記サイド領域は、前記非マスク領域内の、前記マスクストリップの縁部からの間隔が第1間隔以下の部分である。前記オリジナル応力集中領域は、前記サイド領域内の、対応するマスク領域からの間隔が第2間隔以下の部分である。前記第1方向は、引張方向である。
【0005】
前記応力集中構造は、複数の凹溝を備える。前記凹溝は、エッチング溝又は溶接スポット溝である。前記凹溝が溶接スポット溝である場合、前記応力集中構造における前記溶接スポット溝は、互いに重ならない。
【0006】
前記マスクユニットの各々は、前記マスク領域の中心と重なる。前記応力集中構造は、前記サイド領域内の各マスクユニットの四隅に位置する。前記応力集中構造は、長手方向が前記第1方向に平行する矩形形状をしている。前記マスクユニットの各々は、前記第1方向に垂直な方向に配列された2つ以上のマスク領域を備える。
【0007】
本開示の別の例は、本開示の一実施形態によるマスクストリップを備えるマスクプレートである。
【0008】
本開示の別の例は、マスクストリップの製造方法である。前記方法は、第1方向に配列された複数のマスクユニットを備え、前記マスクユニットの各々がマスク領域と前記マスク領域を取り囲んでいる非マスク領域とを備え、前記非マスク領域がサイド領域と前記サイド領域内のオリジナル応力集中領域とを備えるマスクストリップ本体を形成するステップと、前記サイド領域内の前記オリジナル応力集中領域以外の部分に位置する応力集中構造を形成するステップとを含む。前記応力集中構造は、アレイ状に配列された複数の凹溝を含む。前記凹溝は、溶接スポット溝であってもよい。
【0009】
一実施形態では、前記応力集中構造を形成するステップは、溶接装置を用いて、前記マスクストリップ本体の表面において、凹溝を形成する対象となる位置に対応して溶接スポット溝を形成するステップを含む。溶接スポット溝を形成するステップにおいて、溶接装置は、溶接ヘッドの出力エネルギーが0.1J~0.2Jであり、且つ、その処理時間が0.5ミリ秒~1ミリ秒である。前記凹溝は、エッチング溝であり、且つ前記応力集中構造における前記エッチング点溝が互いに重ならない。
【0010】
別の実施形態では、前記応力集中構造を形成するステップは、エッチング液を用いて、前記マスクストリップ本体の表面であって凹溝を形成する対象となる位置に対応してエッチング溝を形成するステップを含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
明細書の最後に記載の特許請求の範囲が本発明の主題と見なされることは、特に明記されているとともに、特許請求される。以下、図面を参照しながら詳細に説明することによって、本発明の目的、特徴及び優位性が明らかなになる。
図1】本開示の一実施形態によるマスクストリップの平面図である。
図2】本開示の一実施形態によるマスクユニットのサイド領域及びオリジナル応力集中領域の概略図である。
図3】本開示の一実施形態において応力集中構造を備えないマスクストリップ本体に対して応力シミュレーションテストを行うときの概略図である。
図4】従来技術におけるマスクストリップの平面図である。
図5図4においてA-A’線に沿うシワ分布の概略図である。
図6図1においてA-A’線に沿うシワ分布と図4においてA-A’線に沿うシワ分布との比較概略図である。
図7】本開示の一実施形態による応力集中構造の平面図である。
図8】本開示の一実施形態によるマスクストリップの平面図である。
図9】本開示の一実施形態によるマスクストリップの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
当業者が本開示の技術案をさらに理解できるように、以下、図面及び実施形態にて本開示を詳細に説明する。本開示の明細書において、図1図9を参照する。図面については、明細書を通じて記載されている類似した構造及び素子は、類似した図面の符号で表される。
【0013】
微細金属マスクを製造する過程に、まず、マスクストリップの両端に引張力を印加してマスクストリップを引っ張る。次に、マスクストリップを固定フレームに固定する。このように、微細金属マスクが形成される。
【0014】
ただし、マスクストリップにおけるマスク領域が非規則的な形状(即ち、矩形形状以外)をしている場合、マスクストリップを引っ張る過程において、応力分布が不均一であることにより、マスクストリップのサイド領域には、明らかなシワが生じてしまう。このマスクストリップを有する微細金属マスクを用いて有機発光層を製造すると、マスクストリップのマスク領域と表示基板との間の間隔が大きくなり、その結果、蒸着効果を損なう。
【0015】
図1は、本開示の一実施形態によるマスクストリップの平面図である。図2は、本開示の一実施形態によるマスクユニットのサイド領域及びオリジナル応力集中領域6の概略図である。図1及び図2に示すように、該マスクストリップは、マスクストリップ本体1を備える。マスクストリップ本体1は、第1方向(即ち、所定の引張方向)に配列された複数のマスクユニット2を備える。マスクユニット2は、マスク領域3と、マスク領域3を取り囲んでいる非マスク領域11とを備える。非マスク領域11内の、マスクストリップの縁部からの間隔が第1所定間隔L1以下の領域は、サイド領域4となる。サイド領域4内の、対応するマスク領域3からの間隔が第2所定間隔以下の領域は、オリジナル応力集中領域6となる。サイド領域4内のオリジナル応力集中領域6以外の少なくとも一部には、応力集中構造が設けられている。
【0016】
一実施形態では、図1におけるマスクストリップは、単一列型マスクストリップである。単一列型マスクストリップにおいて、マスクユニット2は、マスク領域3だけを含む。マスクストリップ本体1におけるすべてのマスク領域3は、所定の引張方向に配列されている。一実施形態では、マスク領域3の形状は、円形である。マスク領域3の形状は、ほかの形状としてもよく、且つ本開示の技術案は、該実施形態により制限されない。
【0017】
一実施形態では、マスクストリップの寸法、及び、たとえばマスクストリップ内のマスク領域3の形状などの要素に応じて第1所定間隔を決定できる。それによって、適切なサイド領域4が画定可能である。
【0018】
一実施形態では、特定の理論に限定されずに、以下、図面を参照しながら、第2所定間隔の値を決定する過程及び原理について詳細に説明する。図3は、本開示の一実施形態において応力集中構造を備えないマスクストリップ本体1に対して応力シミュレーションテストを行うときの概略図である。図3に示すように、まず、シミュレーションソフトウェアを利用して、応力集中構造を備えないマスクストリップ本体1のモデルを作成する。次に、該マスクストリップ本体1の両端に所定引張方向における引張力を印加する。シミュレーションソフトウェアによってマスクストリップ本体1での応力分布を検出する。実際にシミュレーションテストをするときに、マスクストリップ本体1での応力集中領域7は、非マスク領域における、所定引張方向に垂直な方向において幅が比較的狭い領域に位置する。非マスク領域における、所定引張方向に垂直な方向において幅が比較的狭い領域での応力が比較的小さい。この知見に基づいて、サイド領域4内の、対応するマスク領域3からの間隔が第2所定間隔以下の領域は、オリジナル応力集中領域6として定義される。第2所定間隔の値は、シミュレーションした応力分布に応じて決定され得る。
【0019】
上記のように定義したオリジナル応力集中領域6とシミュレーションしたサイド領域4内の実際応力集中領域7との間に所定の偏差が存在するが、該オリジナル応力集中領域6は、サイド領域4内に応力が集中した実際位置を大体反映することができる。
【0020】
以下、図面を参照しながら、本開示の一実施形態による応力集中構造の位置について詳細に説明する。
【0021】
一実施形態では、図2に示すように、各マスクユニット2は、42mm×42mmの正方形領域である。マスク領域3は、マスクユニット2の中央の円形領域に位置する。該円形領域の中心が正方形領域の中心と重なる。円形領域の半径が18mmである。第1所定間隔の値が3mmである。シミュレーションテスト結果による第2所定間隔の値が3mmである。
【0022】
サイド領域4は、マスク領域3の上下両側に位置し且つ寸法が42mm×3mmである矩形領域である。オリジナル応力集中領域6は、Oを円心とした半径21mmの円形領域のサイド領域4と重なる領域である。サイド領域4とオリジナル応力集中領域6が特定された後、サイド領域4内のオリジナル応力集中領域6以外の少なくとも一部に応力集中構造が設置され得る。
【0023】
本開示の一実施形態では、応力集中構造は、サイド領域4の両端における寸法10mm×3mmの各矩形領域に設置される。該矩形領域の長手方向が所定引張方向に平行である。応力集中構造は、サイド領域4の両端に設置されるとともに、マスクユニット2の四隅に位置する。それによって、サイド領域内の応力分布を改善できる。これに加えて、応力集中構造によるマスク領域内の網状構造(未図示)への悪影響を避けられる。
【0024】
当業者にとって公知のとおり、図3に示したマスクユニットの場合は、本開示の例示的な一実施形態に過ぎない。本開示の技術案の制限とならない。
【0025】
特定の理論に制限されずに、以下、図面を参照しながら、本開示の一実施形態によるマスクストリップのサイド領域4内のシワの範囲を減少する原理について、詳細に説明する。
【0026】
図4は、従来技術におけるマスクストリップの平面図である。図5は、図4においてA-A’線に沿うシワ分布の概略図である。図4及び図5に示すように、サイド領域4に関しては、従来技術におけるマスクストリップの両端が引っ張られると、所定引張方向に垂直な方向において幅が比較的狭い領域、即ちオリジナル応力集中領域6だけにシワが存在する。これに加えて、シワの範囲が広い。
【0027】
図6は、図1においてA-A’線に沿うシワ分布と図4においてA-A’線に沿うシワ分布との比較概略図である。図6に示すように、本開示では、マスクストリップ本体1の両端に所定引張方向に沿う引張力を印加すると、応力集中構造の存在のため、応力集中構造に対応した領域内の応力が増大し、即ち、応力が集中する。その反面、オリジナル応力集中領域6における応力が小さくなる。従来技術に比べて、本開示の技術案では、サイド領域4における応力集中領域の面積が増大する。言い換えれば、サイド領域4における応力分布がより均一になる。それによって、サイド領域4においてシワが存在する領域が増大する一方、シワの範囲が減少する。
【0028】
本開示の一実施形態によるマスクストリップを有する微細金属マスクを用いて有機発光層を製造する場合、シワの範囲が減少するため、マスクストリップのマスク領域3と表示基板との間の間隔が小さくなり、さらに蒸着効果が改善され得る。
【0029】
図7は、本開示の一実施形態による応力集中構造の平面図である。図7に示すように、応力集中構造は、アレイ状に配列された複数の凹溝8を含む。前記複数の凹溝のため、マスクストリップ本体1が引っ張られるとき、マスクストリップ本体1の応力が凹溝8の周辺に集中する。複数の凹溝8がアレイを構成すると、応力集中領域が形成される。
【0030】
一実施形態では、凹溝8は、エッチング溝又は溶接スポット溝であってもよい。エッチング溝は、セミエッチングプロセスによって形成され得る。溶接スポット溝は、スポット溶接プロセスによって形成され得る。
【0031】
溶接ヘッドを用いてマスクストリップの表面に溶接スポット溝を形成する場合、隣り合う溶接スポット溝が重なると、スポットの密度が大きすぎることにより、マスクストリップが変形する。本開示の一実施形態では、スポット溶接過程におけるマスクストリップの変形を避けるように、応力集中構造における溶接スポット溝が互いに重ならないようにする。
【0032】
上記した凹溝8を備える応力集中構造は、本開示の一実施形態に過ぎない。凹溝8は、マスクストリップの硬さを損なわずに応力集中機能を果たせる。応力集中構造は、たとえば、孔、切り欠き、段差などのほかの構造であってもよいが、ここで説明を省略する。
【0033】
図8は、本開示の一実施形態によるマスクストリップの平面図である。図8に示すように、本実施形態におけるマスクストリップは、複列型マスクストリップである。即ち、1つのマスクユニット2は、2つのマスク領域3を含む。マスクユニット2では、この2つのマスク領域3は、所定引張方向に垂直な方向に配列されている。マスクユニットの上下両側におけるサイド領域4内のオリジナル応力集中領域6以外の少なくとも一部には、応力集中構造が設置される。
【0034】
一実施形態では、各マスクユニット2のマスク領域3の数は、3つ以上であり得る。マスクユニット2におけるマスク領域3は、所定引張方向に垂直な方向に配列されている。これに加えて、マスク領域3の形状は、円形に制限されず、ほかの規則的形状又は不規則的な形状としてもよい。本明細書では、その詳細についての説明を省略する。
【0035】
本開示の上記実施形態によれば、マスクストリップが提供される。該マスクストリップは、マスクストリップ本体を含む。マスクストリップ本体のサイド領域内のオリジナル応力集中領域以外の少なくとも一部には、応力集中構造が設置される。それによって、マスクストリップが引っ張られると、サイド領域内の応力分布がより均一になる。このため、サイド領域内のシワの範囲を効果的に減少させ、さらに蒸着効果を改善する。
【0036】
図9は、本開示の一実施形態によるマスクストリップの製造方法のフローチャートである。図9に示すように、該製造方法は、本開示の上記実施形態に記載のマスクストリップの製造に適用できる。該方法は、ステップS1とステップS2を含む。
【0037】
ステップS1では、マスクストリップ本体を形成する。
【0038】
マスクストリップ本体は、第1方向(即ち、所定引張方向)に配列された複数のマスクユニットを備える。マスクユニットは、マスク領域とマスク領域を取り囲んでいる非マスク領域とを備える。非マスク領域のマスクストリップの縁部からの間隔が第1所定間隔以下の領域は、サイド領域となる。サイド領域の対応するマスク領域からの間隔が第2所定間隔以下の領域は、オリジナル応力集中領域となる。
【0039】
一実施形態では、マスクストリップ本体は、インバーで製造されるため、高い靭性及び可塑性を持っている。
【0040】
ステップS2では、サイド領域内のオリジナル応力集中領域以外の少なくとも一部に応力集中構造を形成する。
【0041】
一実施形態では、応力集中構造は、アレイ状に配列された複数の凹溝を含む。該凹溝は、溶接スポット溝又はエッチング溝であってもよい。
【0042】
一実施形態では、凹溝が溶接スポット溝である場合、応力集中構造を形成する方法は、溶接装置を用いて、マスクストリップ本体の表面であって凹溝を形成する対象となる位置に溶接スポット溝を形成するステップを含む。溶接スポット溝を形成する過程に、溶接ヘッドの出力エネルギーが小さすぎる又は処理時間が短すぎると、溶接スポット溝が形成されにくい。溶接ヘッドの出力エネルギーが大きすぎる又は処理時間が長すぎると、マスクストリップが変形しやすくなる。本開示の一実施形態によれば、溶接スポット溝を形成する過程に、溶接ヘッドの出力エネルギーは、0.1J-0.2Jである。処理時間は、0.5ミリ秒-1ミリ秒である。それによって、マスクストリップの変形を引き起こすことなくマスクストリップに溶接スポット溝を形成できる。
【0043】
本開示の別の実施形態では、応力集中構造における溶接スポット溝が重ならず、それによりある程度でマスクストリップの変形の発生を効果的に防止する。
【0044】
一実施形態では、凹溝がエッチング溝である場合、応力集中構造を形成するステップは、エッチング液を用いてマスクストリップ本体の表面であって凹溝を形成する対象となる位置に対応してエッチング溝を形成するステップを含む。
【0045】
本開示の別の例は、マスクプレートである。該マスクプレートは、本開示の一実施形態によるマスクストリップを備える。該マスクストリップは、本開示の上記実施形態におけるマスクストリップであってもよい。具体的な構造については、上記実施形態の説明を参照すればよいため、ここで重複説明を省略する。
【0046】
一実施形態では、上記マスクプレートを製造する際、まず、マスクストリップ本体に応力集中構造を形成する。次に、応力集中構造を備えるマスクストリップを固定フレームに溶接して固定するようにしてもよい。別の実施形態では、まず、マスクストリップを固定フレームに溶接して固定し、次に、マスクストリップ本体に応力集中構造を形成する。一実施形態では、まず、応力集中構造を形成し、次に溶接して固定するような方法が採用される。
【0047】
本開示の各実施形態の説明は、説明するために過ぎず、実施形態を網羅的に示すか、または開示された実施形態に制限されることを意図しない。説明した実施形態の範囲及び主旨から逸脱せずに行う多くの修正及び変形が当業者にとって自明なことである。本明細書に使用される用語は、実施形態の原理、実用又は市場において発見した技術に対する技術的改良を適正に解釈するか、又は当業者が本明細書に開示されている実施形態を理解できるようにするために選択されるのである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9