(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】椅子の背部傾動機構
(51)【国際特許分類】
A47C 1/024 20060101AFI20220614BHJP
A47C 9/02 20060101ALI20220614BHJP
A47C 7/40 20060101ALI20220614BHJP
A47C 3/026 20060101ALN20220614BHJP
【FI】
A47C1/024
A47C9/02
A47C7/40
A47C3/026
(21)【出願番号】P 2019547407
(86)(22)【出願日】2018-02-28
(86)【国際出願番号】 US2018020141
(87)【国際公開番号】W WO2018160647
(87)【国際公開日】2018-09-07
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2017-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597070725
【氏名又は名称】ノル・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロウ,グレン オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ヘクター,アンドリュー ブレア
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第01410738(EP,A1)
【文献】独国特許出願公開第10306851(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第01878360(EP,A1)
【文献】特開2011-087832(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 1/024
A47C 9/02
A47C 7/40
A47C 3/026
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
座部と、
背もたれと、
基部であって、前記座部が前記基部によって支持され、前記背もたれの少なくとも一部分が前記座部の座枠及び前記基部の少なくとも一方に接続されている、基部と、
前記基部、前記座部、及び前記背もたれの間に取り付けられた傾動機構と、
を備えており、
前記傾動機構は、
前記座部の座枠と前記基部のハウジングとの間の複数の座部接続部であって、起立位置からリクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に前記座部が移動する場合における前記座部の移動経路を規定するように構成された複数の座部接続部と、
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の複数の座部枢結部であって、前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれの回転中に前記複数の突出部が回転し、前記背もたれの前記起立位置から前記リクライニング位置へのリクライニング中に前記座枠を前記移動経路に沿って前方に駆動するように構成された複数の座部枢結部と、
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の複数の背もたれ枢結部であって、前記起立位置と前記リクライニング位置との間の前記背もたれの移動中に、前記背もたれが前記複数の背もたれ枢結部及び前記複数の座部枢結部回りに回転する、複数の背もたれ枢結部と、
を備えており、
前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に、前記座部が前記背もたれの回転と同期して前方に移動するように構成されて
おり、
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の前記複数の座部枢結部の各々は、第一枢軸を備えており、
前記第一枢軸は、前記複数の座部接続部の各々のスロットの後方にあって前記座枠に規定されたアパーチャに近接して、その座部枢結部の前記背もたれの突出部に規定されたスリットを通って延びており、
前記第一枢軸は、前記背もたれの突出部を前記座枠に回転可能に結合し、
前記複数の座部接続部の各々は、前記座枠を前記ハウジングに取り付けるために前記座枠に規定された前記スロット内に配置されたコネクタを含んでおり、
前記コネクタが取り付けられる前記ハウジングの部分は傾斜部であって、前記コネクタが前記スロット内で上方又は下方に傾斜することで、前記座部が前方に移動すると前記座部が上方又は下方に移動するように前記座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される、椅子。
【請求項2】
前記基部は、前記ハウジングに接続された高さ調整装置と、前記高さ調整装置に接続されたアクチュエータとを備える、請求項1に記載の椅子。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記座部の下方にて前記ハウジング内で前記高さ調整装置に接続される、請求項2に記載の椅子。
【請求項4】
前記座枠と前記ハウジングとの間に取り付けられた第一付勢装置を備えており、
前記第一付勢装置は、前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれの移動時に前記座部が前方に移動すると、第一長さから前記第一長さより長い第二長さに伸びるように構成されており、
前記第一付勢装置は、前記座部を後方位置に付勢して前記背もたれを前記起立位置に付勢するように構成されている、請求項1に記載の椅子。
【請求項5】
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の前記複数の背もたれ枢結部の各々は、第
二枢軸を備えており、
前記第
二枢軸は、前記背もたれが前記第
二枢軸回りに回転自在となるように、前記ハウジングの複数の縦方向延出部材の上端から前記背もたれの複数の縦方向延出部材まで延びる、請求項1に記載の椅子。
【請求項6】
前記
スロットは細長いスロット
である、請求項
1に記載の椅子。
【請求項7】
前記コネクタは前記複数の座部枢結部の前方にあり、前記複数の座部枢結部は前記複数の背もたれ枢結部の前方にある、請求項
1に記載の椅子。
【請求項8】
前記背もたれの前記複数の突出部は、前記背もたれの下部から前記ハウジングの孔を通って前記複数の座部枢結部に延びる、請求項
1に記載の椅子。
【請求項9】
前記背もたれは、上部と、前記複数の突出部を有する下部とを備えており、
前記複数の突出部は、前記背もたれの下部から前記ハウジング内に延びており、
前記背もたれの前記上部と前記下部、及び前記複数の縦方向延出部材は、少なくとも1つの開口を規定しており、
前記背もたれの前記複数の縦方向延出部材は、第一の縦方向延出部材と第二の縦方向延出部材とを含んでおり、前記第一の縦方向延出部材は前記背もたれの第一側に近接しており、前記第二の縦方向延出部材は前記背もたれの第二側に近接している、請求項1に記載の椅子。
【請求項10】
座部と、
背もたれと、
基部であって、前記座部が前記基部によって支持され、前記背もたれの少なくとも一部分が前記座部の座枠及び前記基部の少なくとも一方に接続されている、基部と、
前記基部、前記座部、及び前記背もたれの間に取り付けられた傾動機構と、
を備えており、
前記傾動機構は、
前記座部の座枠と前記基部のハウジングとの間の複数の座部接続部であって、起立位置からリクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に前記座部が移動する場合における前記座部の移動経路を規定するように構成された複数の座部接続部と、
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の複数の座部枢結部であって、前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれの回転中に前記複数の突出部が回転し、前記背もたれの前記起立位置から前記リクライニング位置へのリクライニング中に前記座枠を前記移動経路に沿って前方に駆動するように構成された複数の座部枢結部と、
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の複数の背もたれ枢結部であって、前記起立位置と前記リクライニング位置との間の前記背もたれの移動中に、前記背もたれが前記複数の背もたれ枢結部及び前記複数の座部枢結部回りに回転する、複数の背もたれ枢結部と、
を備えており、
前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に、前記座部が前記背もたれの回転と同期して前方に移動するように構成されており、
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の前記複数の背もたれ枢結部の各々は、第一枢軸を備えており、
前記第一枢軸は、前記背もたれが前記第一枢軸回りに回転自在となるように、前記ハウジングの複数の縦方向延出部材の上端から前記背もたれの複数の縦方向延出部材まで延びており、
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の前記複数の座部枢結部の各々は、第二枢軸を備えており、
前記第二枢軸は、前記座枠に規定されたアパーチャに近接してその座部枢結部の前記背もたれの突出部に規定されたスロットを通って延びており、
前記第二枢軸は、前記背もたれが前記起立位置から前記リクライニング位置まで移動すると起こる前記背もたれの突出部の回転が前記座枠を前方に駆動するように、前記背もたれの突出部を前記座枠に回転可能に結合しており、
前記複数の座部接続部の各々は、前記座枠を前記ハウジングに取り付けるために前記座枠に規定された細長いスロット内に配置されたコネクタを含んでおり、
前記コネクタが取り付けられる前記ハウジングの部分は傾斜部であって、前記コネクタが前記スロット内で上方又は下方に傾斜することで、前記座部が前方に移動すると前記座部が上方又は下方に移動するように前記座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される
、椅子。
【請求項11】
座部と、
背もたれと、
基部であって、前記座部が前記基部によって支持され、前記背もたれの少なくとも一部分が前記座部の座枠及び前記基部の少なくとも一方に接続されている、基部と、
前記基部、前記座部、及び前記背もたれの間に取り付けられた傾動機構と、
を備えており、
前記傾動機構は、
前記座部の座枠と前記基部のハウジングとの間の複数の座部接続部であって、起立位置からリクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に前記座部が移動する場合における前記座部の移動経路を規定するように構成された複数の座部接続部と、
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の複数の座部枢結部であって、前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれの回転中に前記複数の突出部が回転し、前記背もたれの前記起立位置から前記リクライニング位置へのリクライニング中に前記座枠を前記移動経路に沿って前方に駆動するように構成された複数の座部枢結部と、
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の複数の背もたれ枢結部であって、前記起立位置と前記リクライニング位置との間の前記背もたれの移動中に、前記背もたれが前記複数の背もたれ枢結部及び前記複数の座部枢結部回りに回転する、複数の背もたれ枢結部と、
を備えており、
前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に、前記座部が前記背もたれの回転と同期して前方に移動するように構成されており、
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の前記複数の背もたれ枢結部の各々は、第一枢軸を備えており、
前記第一枢軸は、前記背もたれが前記第一枢軸回りに回転自在となるように、前記ハウジングの複数の縦方向延出部材の上端から前記背もたれの複数の縦方向延出部材まで延びており、
前記複数の座部接続部の各々は、前記座枠を前記ハウジングに取り付けるために前記座枠に規定された細長いスロット内に配置されたコネクタを含んでおり、
前記コネクタが取り付けられる前記ハウジングの部分は傾斜部であって、前記コネクタが前記スロット内で上方又は下方に傾斜することで、前記座部が前方に移動すると前記座部が上方又は下方に移動するように前記座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される
、椅子。
【請求項12】
座部と、
背もたれと、
基部であって、前記座部が前記基部によって支持され、前記背もたれの少なくとも一部分が前記座部の座枠及び前記基部の少なくとも一方に接続されている、基部と、
前記基部、前記座部、及び前記背もたれの間に取り付けられた傾動機構と、
を備えており、
前記傾動機構は、
前記座部の座枠と前記基部のハウジングとの間の複数の座部接続部であって、起立位置からリクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に前記座部が移動する場合における前記座部の移動経路を規定するように構成された複数の座部接続部と、
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の複数の座部枢結部であって、前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれの回転中に前記複数の突出部が回転し、前記背もたれの前記起立位置から前記リクライニング位置へのリクライニング中に前記座枠を前記移動経路に沿って前方に駆動するように構成された複数の座部枢結部と、
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の複数の背もたれ枢結部であって、前記起立位置と前記リクライニング位置との間の前記背もたれの移動中に、前記背もたれが前記複数の背もたれ枢結部及び前記複数の座部枢結部回りに回転する、複数の背もたれ枢結部と、
を備えており、
前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に、前記座部が前記背もたれの回転と同期して前方に移動するように構成されており、
前記背もたれは、上部と、前記複数の突出部を有する下部とを備えており、
前記複数の突出部は、前記背もたれの下部から前記ハウジング内に延びており、
前記背もたれの前記上部と前記下部、及び前記複数の縦方向延出部材は、少なくとも1つの開口を規定しており、
前記背もたれの前記複数の縦方向延出部材は、第一の縦方向延出部材と第二の縦方向延出部材とを含んでおり、前記第一の縦方向延出部材は前記背もたれの第一側に近接しており、前記第二の縦方向延出部材は前記背もたれの第二側に近接しており、
前記座枠と前記ハウジングとの間に取り付けられた第一及び第二付勢装置を備えており、
前記第一付勢装置は、前記ハウジング内で前記第二付勢装置から離間して配置されており、
前記第一及び第二付勢装置の各々は、前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれの移動時に前記座部が前方に移動すると、第一長さから前記第一長さより長い第二長さに伸びるように構成されており、
前記第一及び第二付勢装置は、前記座部を後方位置に付勢して前記背もたれを前記起立位置に付勢するように構成されており、
起立位置からリクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中に前記座部が移動すると前記座部の移動経路を規定するように構成された、前記座部の座枠と前記基部の前記ハウジングとの間の前記複数の座部接続部は、互いに揃えられて、互いに離間して配置された第一及び第二座部接続部を含んでおり、前記複数の座部接続部は、前記複数の座部枢結部の前方に位置しており、
前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれの回転中に前記背もたれの前記複数の突出部が回転して、前記起立位置から前記リクライニング位置への前記背もたれのリクライニング中の前記移動経路に沿って前記座枠を前方に駆動するように構成された、前記背もたれの前記複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の前記複数の座部枢結部は、互いに離間して配置され、互いに揃えられた第一及び第二の座部枢結部を含んでおり、前記複数の座部枢結部は、前記複数の背もたれ枢結部の前方に位置しており、
前記背もたれの前記複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの前記複数の縦方向延出部材との間の前記複数の背もたれ枢結部は、互いに離間して配置され、互いに揃えられた第一及び第二背もたれ枢結部を含み、前記複数の背もたれ枢結部は、前記複数の座部接続部及び前記複数の座部枢結部の後方に位置している
、椅子。
【請求項13】
前記背もたれの複数の縦方向延出部材と前記ハウジングの複数の縦方向延出部材との間の前記複数の背もたれ枢結部の各々は、第一枢軸を備えており、前記第一枢軸は、前記背もたれが前記第一枢軸回りに回転自在になるように、前記ハウジングの縦方向延出部材の上端から前記背もたれの縦方向延出部材まで延びており、
前記背もたれの前記複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の前記複数の座部枢結部の各々は、第二枢軸を備えており、前記第二枢軸は、前記座枠に規定されたアパーチャに近接してその座部枢結部の前記背もたれの突出部に規定されるスリットを通って延びており、前記背もたれが前記起立位置から前記リクライニング位置に移動すると起こる前記背もたれの突出部の回転が前記座枠を前方に駆動するように、前記第二枢軸は、前記背もたれの突出部を前記座枠に回転自在に結合し、
前記複数の座部接続部の各々は、前記座枠に規定された細長いスロット内に配置されて、前記座枠を前記ハウジングに取り付けるコネクタを備えており、
前記コネクタが取り付けられる前記ハウジングの部分は傾斜部であって、前記コネクタが前記スロット内で上方又は下方に傾斜することで、前記座部が前方に移動すると前記座部が上方又は下方に移動するように前記座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される、請求項
12に記載の椅子。
【請求項14】
前記複数の座部接続部の各々は、前記ハウジングを前記座枠に取り付けるために前記ハウジングの一部に接続されており、前記座枠に規定された細長いスロット内に配置されたコネクタを含む、請求項
12に記載の椅子。
【請求項15】
前記コネクタが取り付けられる前記ハウジングの部分は傾斜部であって、前記コネクタが前記スロット内で上方又は下方に傾斜することで、前記座部が前方に移動すると前記座部が上方又は下方に移動するように前記座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される、請求項
14に記載の椅子。
【請求項16】
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の前記複数の座部枢結部の各々は、第一枢軸を備えており、
前記第一枢軸は、前記複数の座部接続部の各々のスロットの後方にあって前記座枠に規定されたアパーチャに近接して、その座部枢結部の前記背もたれの突出部に規定されたスリットを通って延びており、
前記第一枢軸は、前記背もたれの突出部を前記座枠に回転可能に結合する、請求項
12に記載の椅子。
【請求項17】
前記複数の座部接続部の各々は、前記座枠を前記ハウジングに取り付けるために前記座枠に規定された前記スロット内に配置されたコネクタを含む、請求項
16に記載の椅子。
【請求項18】
前記コネクタが取り付けられる前記ハウジングの部分は傾斜部であって、前記コネクタが前記スロット内で上方又は下方に傾斜することで、前記座部が前方に移動すると前記座部が上方又は下方に移動するように前記座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される、請求項
17に記載の椅子。
【請求項19】
前記背もたれの複数の突出部と前記座部の前記座枠との間の前記複数の座部枢結部の各々は、第
一枢軸を備えており、
前記第
一枢軸は、前記座枠に規定されたアパーチャに近接してその座部枢結部の前記背もたれの突出部に規定されたスロットを通って延びており、
前記第
一枢軸は、前記背もたれが前記起立位置から前記リクライニング位置まで移動すると起こる前記背もたれの突出部の回転が前記座枠を前方に駆動するように、前記背もたれの突出部を前記座枠に回転可能に結合する、請求項
12に記載の椅子。
【請求項20】
前記複数の座部接続部の各々は、前記座枠を前記ハウジングに取り付けるために前記座枠に規定された細長いスロット内に配置されたコネクタを含む、請求項
19に記載の椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本願は、2018年2月27日に出願された米国特許出願第15/906,246号の優先権を主張し、2017年3月2日に出願された米国仮特許出願第62/465,924号の優先権も主張する。
【0002】
本発明は、椅子と、椅子用の傾動機構と、椅子を製造及び使用する方法とに関する。
【背景技術】
【0003】
椅子は、多くの場合、座部を支持する基部を含む。椅子の例は、米国特許第8,216,416号、第8,167,373号、第8,157,329号、第8,029,060号、第7,887,131号、第7,198,329号、第6,824,218号、及び第6,817,667号と、米国特許出願公開第2003/0168901号、第2006/0006715号、及び第2008/0290712号とから理解されるであろう。一部の椅子は、起立位置からリクライニング位置に傾動する背部を持つように構成される。
【発明の概要】
【0004】
座部、背もたれ、及び基部を含む椅子を提供する。椅子は、背もたれの起立位置からリクライニング位置への傾動を容易にする傾動機構を含んでよい。傾動機構は、背もたれがリクライニング位置に傾動すると、座部が前方に移動するように構成されてよい。傾動機構はまた、背もたれのリクライニング中に座部が前方に移動すると同時に、座部が上方又は下方に移動するように構成されてもよい。
【0005】
幾つかの実施形態では、椅子は、座部、背もたれ、及び基部を含んでよい。座部は基部によって支持することができ、背もたれの少なくとも一部分は、座部の座枠及び基部の少なくとも一方に接続されてよい。傾動機構は基部、座部、及び背もたれの間に取り付けられてよい。傾動機構は、座部の座枠と基部のハウジングとの間の座部接続部であって、背もたれの起立位置からリクライニング位置へのリクライニング中に座部が移動する場合の座部の移動経路を規定するように構成された座部接続部と、背もたれの突出部と座部の座枠との間の座部枢結部であって、背もたれの起立位置からリクライニング位置への回転中に突出部が回転して、背もたれの起立位置からリクライニング位置へのリクライニング中の移動経路に沿って座枠を前方に駆動するように構成された座部枢結部と、背もたれの縦方向延出部材とハウジングの縦方向延出部材との間の背もたれ枢結部とを含んでよい。背もたれは、背もたれの起立位置とリクライニング位置との間の移動中に、背もたれ枢結部及び座部枢結部回りで回転してよい。傾動機構は、起立位置からリクライニング位置への背もたれのリクライニング中に、背もたれの回転と同時に座部が前方に移動するように構成されてよい。
【0006】
幾つかの実施形態では、基部は、ハウジングに接続された高さ調整装置と、高さ調整装置に接続されたアクチュエータとを含む。幾つかの実施形態では、高さ調整装置はガススプリングを含むことができ、アクチュエータは、高さ調整を容易にするガススプリングの動作を起動させるように、ユーザが掴持して操作できるレバー又は他の種類の部材を含んでよい。幾つかの実施形態では、アクチュエータは、座部の下のハウジング内の高さ調整装置に接続されてよい。
【0007】
椅子の実施形態はまた、座枠とハウジングとの間に取り付けられた第一付勢装置を含んでもよい。第一付勢装置は、起立位置からリクライニング位置への背もたれの移動時に、座部が前方に移動すると、第一長さから第一長さより長い第二長さに伸びるように構成されてよい。第一付勢装置は、座部を後方位置に付勢して背もたれを起立位置に付勢するように構成されてよい。幾つかの実施形態では、第一付勢装置は、コイルばね、エラストマーストラップ、エラストマー長尺体、ポリマー体、又は一種の伸縮可能なばね部材として構成されてよい。
【0008】
幾つかの実施形態では、座部接続部の各々は、ハウジングを座枠に取り付けるために、ハウジングの一部分に接続された座枠に規定された細長いスロット内に配置されるコネクタを含んでよい。コネクタが取り付けられるハウジングの部分は、コネクタがスロット内で上方又は下方に傾斜するように傾斜部とされてよく、座部が前方に移動すると座部が上方又は下方に移動するように座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される。
【0009】
幾つかの実施形態では、第一枢軸を含んでよく、第一枢軸は、背もたれの突出部と座部の座枠との間の座部枢結部の各々は、個々の座部接続部のスロットの後方で座枠に規定されたアパーチャに近接して座部枢結部の背もたれの突出部に規定されたスリットを通って延びる。第一枢軸は、背もたれの突出部を座枠に回転自在に結合してよい。そのような実施形態の場合、座部接続部の各々は、座枠をハウジングに接続するために座枠に規定されたスロット内に配置されるコネクタを含んでよい。コネクタが取り付けられるハウジングの部分は、コネクタがスロット内で上方又は下方に傾斜するような傾斜部とされてよく、座部が前方に移動すると、座部が上方又は下方に移動するように座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される。
【0010】
椅子の幾つかの実施形態では、背もたれの縦方向延出部材とハウジングの縦方向延出部材との間の背もたれ枢結部の各々は、ハウジングの縦方向延出部材の上端から背もたれの縦方向延出部材まで延びる第一枢軸を含んでおり、背もたれが第一枢軸回りに回転自在にされてよい。背もたれの突出部と座部の座枠との間の座部枢結部の各々は、第二枢軸を含んでよく、当該第二枢軸は、座枠に規定されたアパーチャに近接して座部枢結部の背もたれの突出部に規定されたスリットを通って延びる。背もたれが起立位置からリクライニング位置に移動すると、起こる突出部の回転が座枠を前方に駆動するように、第二枢軸は、背もたれの突出部を座枠に枢結してよい。座部接続部の各々は、座枠をハウジングに取り付けるために、座枠に規定された細長いスロット内に配置されるコネクタを含んでもよい。コネクタが取り付けられるハウジングの部分は、コネクタがスロット内で上方又は下方に傾斜するように傾斜部とされてよく、座部が前方に移動すると座部が上方又は下方に移動するように座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される。
【0011】
椅子の他の実施形態では、座部接続部の各々は、座枠をハウジングに取り付けるために、座枠に規定された細長いスロット内に配置されるコネクタを含んでよい。コネクタが取り付けられるハウジングの部分は、コネクタがスロット内で上方又は下方に傾斜するように傾斜部とされてよく、座部が前方に移動すると座部が上方又は下方に移動するように座部の上方又は下方傾斜移動経路を規定させる。コネクタは座部枢結部の前方に位置してよく、座部枢結部は背もたれ枢結部の前方に位置してよい。背もたれの突出部は、背もたれの下部からハウジングの孔を通って座部枢結部まで延びてよい。
【0012】
椅子の背もたれは、幾つかの異なる構成を有してよい。幾つかの実施形態では、背もたれは突出部を有する上部及び下部を含んでよい。突出部は背もたれの下部からハウジング内に延びてよい。背もたれの上部、下部、及び縦方向延出部材は、少なくとも1つの開口を規定してよい。背もたれの縦方向延出部材は、離間して配置された第一の縦方向延出部材及び第二の縦方向延出部材を含んでよい。第一の縦方向延出部材は背もたれの第一側に近接してよく、第二の縦方向延出部材は背もたれの第二側に近接してよい。
【0013】
椅子の実施形態は、少なくとも1つの付勢装置を含んでよい。例えば、実施形態は、座枠とハウジングの間に取り付けられた第一及び第二付勢装置を含んでよい。第一付勢装置は、ハウジング内の第二付勢装置から離間して配置されてよい。第一及び第二付勢装置の各々は、背もたれの起立位置からリクライニング位置への移動時に座部が前方に移動すると、第一長さから第一長さより長い第二長さに伸びるように構成されてよい。第一及び第二付勢装置は、座部を後方位置に付勢して背もたれを起立位置に付勢するように構成されてよい。そのような実施形態は、座部の座枠と基部のハウジングとの間の座部接続部が、起立位置からリクライニング位置への背もたれのリクライニング中に座部が移動する場合における座部の移動経路を規定するように構成されてよく、互いに揃えられて互いに離間して配置された第一及び第二座部接続部を含んでおり、それら座部接続部が座部枢結部の前方に配置されるように構成されてよい。背もたれの突出部と座部の座枠との間の座部枢結部は、そのような実施形態の場合、背もたれの起立位置からリクライニング位置への回転中に突出部が回転して、背もたれの起立位置からリクライニング位置へのリクライニング中の移動経路に沿って座枠を前方に駆動するように構成されてよく、そして、第一及び第二の座部枢結部を含んでよい。第一及び第二の座部枢結部は、離間して配置されて互いに揃えられており、それら座部枢結部は背もたれ枢結部の前方に配置される。背もたれの縦方向延出部材とハウジングの縦方向延出部材との間の背もたれ枢結部は、そのような実施形態の場合、第一及び第二背もたれ枢結部を含んでよく、第一及び第二背もたれ枢結部は、離間して配置されて互いに揃えられており、それら背もたれ枢結部は座部接続部及び座部枢結部の後方に配置される。そのような実施形態の場合、背もたれの縦方向延出部材とハウジングの縦方向延出部材との間の背もたれ枢結部の各々は、背もたれが第一枢軸回りに回転自在になるように、背もたれ枢結部のハウジングの縦方向延出部材の上端から背もたれの縦方向延出部材まで延びる第一枢軸を含んでよい。背もたれの突出部と座部の座枠との間の座部枢結部の各々は、座枠に規定されたアパーチャに近接して座部枢結部の背もたれの突出部に規定されたスリットを通って延びる第二枢軸を含んでよく、第二枢軸は、背もたれが起立位置からリクライニング位置に移動すると起こる突出部の回転が座枠を前方に駆動するように、背もたれの突出部を座枠に回転自在に結合する。座部接続部の各々は、座枠をハウジングに取り付けるために、座枠に規定された細長いスロット内に配置されるコネクタを含んでよい。コネクタが取り付けられるハウジングの部分は、コネクタがスロット内で上方又は下方に傾斜するように傾斜部とされてよく、座部が前方に移動すると座部が上方又は下方に移動するように座部の上方又は下方傾斜移動経路が規定される。
【0014】
本発明の他の詳細、目的、及び利点は、その特定の現在の好適な実施形態及びそれを実施する特定の現在の好適な方法についての以下の説明が進むにつれて、明らかになってくるであろう。
【0015】
椅子及び椅子用の傾動機構の例示的実施形態を添付の図面に示す。図面で使用される同様な符号は、同様な構成要素を特定するものであることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、椅子の第一の例示的実施形態の斜視図である。
【
図2】
図2は、椅子の第一の例示的実施形態の斜視図である。
【
図3】
図3は、起立姿勢にある椅子の第一の例示的実施形態の断面図である。
【
図4】
図4は、リクライニング姿勢にある椅子の第一の例示的実施形態の
図3と同様の断面図である。
【
図5】
図5は、起立姿勢にある椅子の第一の例示的実施形態の断面図である。
【
図6】
図6は、リクライニング姿勢にある椅子の第一の例示的実施形態の
図5と同様の断面図である。
【
図7】
図7は、起立位置にある椅子の第一の例示的実施形態の部分底面図であり、傾動機構6の構成要素を示すために座部の一部分が切り取られている。
【
図8】
図8は、リクライニング位置にある椅子の第一の例示的実施形態の
図7と同様の部分底面図である。
【
図9】傾動機構6、背もたれ7、肘掛け9、ハウジング3b、及び座部5の構成要素を示す、椅子の第一の例示的実施形態の部分分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
椅子1は、座部5及び背もたれ7を支持する基部3を含んでよい。基部3は、回転自在なキャスタ3aによって支持される台座として構成されてよく、キャスタ3aは、床と係合し且つ基部を床に沿って滑走又は自走させるように移動可能である。幾つかの代替的実施形態では、基部3は、複数の脚部を持つように構成されてよく、これらの脚部は、床に接触するように、床と直接係合するように、又は床と接触するように構成されたグライドに取り付けられる底端を有してよい。
【0018】
椅子1は座部5の上に位置する肘掛けを含んでよい。肘掛け9は、肘掛けが座部5の上に支持されるように、背もたれ7の背枠の一部に、座部5の座枠の一部に、及び/又は基部3に取り付けられてよい。肘掛けは、基部3及び/又は背もたれ7とは独立して移動可能であってよく、或いは、背もたれ7が起立位置とリクライニング位置との間を移動すると、肘掛け9が背もたれ7と協調して且つそれと同時に移動するように、背もたれ7に固定されてよい。
【0019】
背もたれ7は、上部7b及び下部を含んでおり、下部は、下部から上部7bに延びる複数の縦方向延出部材7aを有するように構成されてよい。背もたれの下部はまた、背もたれの下部から座部5の下にある基部3のハウジング3bに延びる複数の突出部7cを含んでよい。下部と、離間して配置された第一及び第二の縦方向延出部材7aと、上部7bとは、座部5と背もたれ7の上部7bとの間の開口8を規定してよい。背もたれ7の上部7bは、ユーザが座部5に着座すると、ユーザの背中と接触するような形状に構成されてよい。
【0020】
背もたれ7は、背もたれ外装も背もたれに取り付けられるように構成されてよい。背もたれ外装は、背もたれの少なくとも一部についてカバーを提供してもよい。そのようなカバーと背もたれ7との間にクッション又は詰め物が配置されてよい。
【0021】
肘掛け9の各々は、座部5の上に支持されるように、背もたれ7の上部7bと縦方向延出部材7aの各々との間に位置する背もたれ7の部分に固定されてよい。例えば、第一肘掛け9は、背もたれ7の上部7bと背もたれ7の第一側に近接する背もたれ7の第一の縦方向延出部材7aとの間に取り付けられてよく、第二肘掛け9は、背もたれ7の上部7bと、背もたれ7の第一側とは反対側にある背もたれ7の第二側に近接する背もたれ7の第二の縦方向延出部材7aとの間に取り付けられてよい。他の実施形態では、肘掛け9は、座部5の上に支持されるように、座部5、座枠、又は基部に取り付けられてよい。
【0022】
座部5は、座枠5bによって支持されるクッション5aを含んでよい。クッションは、カバー(例えば、布製又は皮革製カバー等)によって被覆されてよい。他の実施形態では、座部5は、座枠にわたって掛けられた或いは座枠に取り付けられたポリマー材、エラストマー材、メッシュ材、又は布材を含んでよい。そのような実施形態はクッション5aを利用しなくてもよい。
【0023】
基部3は、床と係合して座部5及び背もたれ7を支持するキャスタ3a又はグライドを有する下部3cを含んでよい。基部3はまた、座部5の下にあって座部5の座枠に連結されて、座部5を支持するハウジング3bを含んでよい。背もたれ7はまた、ハウジング3bを介して基部3に取り付けられてよい。基部は、ハウジング3bから床と係合する基部3の下部に延びる高さ調整機構4を含んでよい。高さ調整機構4は、細長部材4c(例えば、ワイヤ、ケーブル、又はアーム構造)を介してガススプリング又は他の種類の高さ調整装置4bに連結されたアクチュエータ4aを含んでよい。アクチュエータ4aはハウジング3bに取り付けられてよく、可動であるように構成されて、座部5及び背もたれ7の高さを上昇又は下降させるように高さ調整装置4bの動作を引き起こすように構成されてよい。例えば、アクチュエータ4aは、アクチュエータの第一位置から第二位置への移動によって高さ調整装置4bをロック解除位置に移動させて、高さ調整を可能にするように構成されてよい。アクチュエータの第二位置から第一位置への移動は、高さ調整装置をそのロック解除位置からそのロック位置に移動させるように構成されてよく、ロック位置では、更なる高さ調整が阻止されて、アクチュエータ4aが再び高さ調整を行うように動くまで座部5及び背もたれ7の位置がそのユーザ選択位置に維持される。ばね装置17(例えば、板ばねやコイルばね等)がハウジング3bに配置されて、高さ調整装置4bがそのロック位置に付勢されてハウジング3bの高さが維持されるように、アクチュエータ4aをその第一位置に付勢してよい。これは、ハウジング3bとハウジング3bに取り付けられた座部5及び背もたれ7の位置を上昇又は下降させる高さ調整装置4bの高さ調整を可能にするように、アクチュエータをその第二位置へと操作するための力をユーザが提供することを要求してよい。
【0024】
幾つかの実施形態では、ハウジング3bは、ガススプリング又は他の種類の高さ調整装置4bの一部を受け入れる開口3dを含んでいてよい。幾つかの実施形態では、ノックダウン機構又は他の種類の機構が、ガススプリングの上端を受け入れて保持する開口3dに近接して、ハウジング3bに設けられてよく、例えば、アクチュエータ4aを介した高さ調整を可能にする弁の作動を容易にする。米国特許第8,388,066号明細書は、アクチュエータ4aの運動により高さ調整装置4bを介して高さ調整を作動できるように、開口3dに近接して配置されるそのような機構の一例を開示している。米国特許第8,388,066号明細書の全体は、参照によって本明細書の一部とされる。
【0025】
椅子1はまた、背もたれ7の起立位置からリクライニング位置への傾動を容易にするように構成された傾動機構6を含んでよい。傾動機構6はまた、背もたれと同時に座部5が移動するように構成されてよく、背もたれが起立位置からリクライニング位置に傾動すると、座部が第一方向に移動し、且つ、背もたれがリクライニング位置から起立位置に傾動すると、座部が第一方向とは反対の第二方向に移動する。座部5及び背もたれ7は、ハウジング3bに対して相対的に移動でき、ハウジング3bには、座部5及び背もたれ7が傾動機構6を介して取り付けられている。
【0026】
幾つかの実施形態では、背もたれ7がリクライニング位置へと後方に傾動すると、座部が前方に移動し、且つ、背もたれがリクライニング位置から起立位置に傾動すると、座部が後方に移動するように、座部5が傾動機構6に接続されてよい。他の実施形態では、背もたれがリクライニング位置に傾動すると、座部5が後方に移動するように構成され、背もたれがリクライニング位置から起立位置に傾動すると、座部5が前方に移動できるようにすることも考えられる。背もたれの傾動中に同時に発生し得る座部5の前方又は後方移動中に、座部5はまた、傾動機構6へのその接続を介して、移動経路上で上昇又は下降するように構成されてよい。例えば、幾つかの実施形態では、座部5は、背もたれが起立位置からリクライニング位置に傾動すると、上方且つ前方に又は下方且つ前方に移動するように構成されてよく、座部5は、傾動機構6へのその接続を介して背もたれ7がリクライニング位置から起立位置に傾動すると、下方且つ後方に又は上方且つ後方に移動してよい。代替的な例では、座部5は、背もたれ7が起立位置からリクライニング位置に傾動すると、上方且つ後方に又は下方且つ後方に移動するように構成されてよく、座部5は、傾動機構6へのその接続を介して背もたれ7がリクライニング位置から起立位置に傾動すると、下方且つ前方に又は上方且つ前方に移動するように構成されてよい。背もたれ7の傾動と同時に発生し得るそのような移動中に座部が辿り得る移動経路は、傾動機構6へのその接続によって少なくとも部分的に規定される直線移動経路又は曲線移動経路とすることができる。
【0027】
図3~
図9から最もよく分かるように、傾動機構6は幾つかの様々な要素を含んでよい。傾動機構6の要素は、1又は複数の付勢装置11aと、傾動機構6の一部分と座部5及び/又は背もたれ7との間に形成された複数の枢結部とを含んでよい。枢結部は、回転可能に互いに結合された座部5及び/又は背もたれ7の構造によって規定されてよく、ユーザが背もたれを後方に傾動させるために背もたれ7に対して力を加えると、1又は複数の付勢装置11aが背もたれ7をその起立位置に付勢する一方で、弾性的に延びて、背もたれをリクライニング位置に傾動させるようにされている。背もたれ7を後方に移動させるためにユーザによって加えられる力はまた、背もたれ7の傾動と同時に座部をその第一方向に移動させるために用いられる力を与えてよい。1又は複数の付勢装置11によってもたらされる付勢力は、ユーザがもはや背もたれに力を与えなくなると、背もたれ7をそのリクライニング位置からその起立位置に移動させるように構成されてよい。少なくとも1つの付勢装置11aによってもたらされる付勢力はまた、背もたれ7のリクライニング位置から起立位置への移動と同時に発生し得る座部の第二方向の移動を駆動してよい。
【0028】
幾つかの実施形態では、傾動機構6は、第一付勢装置12と第二付勢装置14を含む付勢装置11aを含んでよい。これらの付勢装置の各々は、コイルばね、エラストマー細長部材、又は別の種類のばね、ばね装置、若しくは弾性付勢機構として構成されてよい。各付勢装置は、座部5の下にある基部によって支持されるハウジング3b内に配置されてよい。ハウジング3bは複数の付勢装置と、枢結部を形成するその他の構造とを受け入れる1又は複数の空間を座部の下に規定してよく、背もたれ7の起立位置とリクライニング位置との間の背もたれの傾動中にハウジング3bに対して相対的に発生し得る座部及び背もたれの同時移動を容易にする。
【0029】
幾つかの実施形態では、第一付勢装置12は、開口3dの第一側(例えば、開口3dの左側又は右側)にてハウジング3bの第一側に近接して配置されてよく、第二付勢装置14は、第一側とは反対側のハウジング3bの第二側(例えば、開口3dの右側又は左側)に近接して配置されてよい。
図7~
図8から理解できるように、第一付勢装置12及び第二付勢装置14は、ハウジング3bの両側に近接した同様な構造を介して接続されてよい。例えば、各付勢装置11aは、第一端11b及び第二端11cを有してよい。第一端11bは、ハウジング3bに取り付けられた構造又はハウジング3bの本体に規定された構造に接続されてよい。第二端は、座枠5bに取り付けられた、又は、座枠5b内に規定された付勢装置接続構造26を介して、座枠5bに接続されてよい。そのような付勢装置接続構造26は、座枠5bの本体によって規定された、又はそれに取り付けられたアパーチャ、ハトメ、フック、又は他の構造を含んでよく、それらは、座部5の座枠5bを介して付勢装置11aの第二端11cを座部5に接続するのを容易にする大きさにされてよい。接続構造26は代替的に、座枠5bに取り付けられたフック、ボルト、若しくはブラケット、又は他の種類の固定具であってよく、座枠5bへの付勢装置11aの第二端11cの接続が容易にされる。
【0030】
傾動機構6はまた、座部5とハウジング3bの間における複数の第一の座部接続部13と、背もたれ7と座部5の間における複数の第二の座部枢結部15と、背もたれ7とハウジング3bの間における複数の第三の背もたれ枢結部18とを含んでよい。第一の座部接続部13は、これらの接続部が相互に揃えられており、ハウジング3b及び座枠5bの両側で対応する場所に位置するように配置されてよい。
【0031】
第一の座部接続部13の各々は、枢軸31bを含んでよく、枢軸31bは、座枠5bに規定された細長いスロット21a内で延びるように、座枠5bの構造31aによって規定されたアパーチャを通って延びている。幾つかの実施形態では、枢軸31bは、スロット21aの長さに対して縦又は横方向に、スロット21aの幅を通して延びてよい。幾つかの実施形態では、細長いスロット21aは、多角形又は楕円形に形成されてよい。
【0032】
コネクタ23は、その第一及び第二の両端を有してよく、それらは、ハウジング3bに規定された孔23aを介して、スロット21aにコネクタ23を配置するようにハウジング3bに固定されており、コネクタ23をスロット21a内に配置するために、コネクタ23を通ってコネクタ23をハウジング3bに取り付けるための孔23aに入る固定具(例えば、ボルト、ねじ、リベット等)を受け入れる。枢軸31bは、座枠5bのスロット21a内でハウジング3bとコネクタ23の間に配置されて、コネクタが固定されるハウジング3bの部分3gでコネクタ23が座枠5bをハウジング3bに取り付けることを確実にするのを助ける。
【0033】
スロット21aの前側終端及び後側終端は、コネクタ23と、ハウジング3bの部分3gと協働して機能して、座部の前方及び後方移動経路を規定するように構成されてよい。座部の最後方位置は、ハウジング3bに固定されたコネクタ23の前側端がスロット21aの前側端を規定する座枠5bの部分に接触することで規定されてよい。座部5の最前方位置は、スロット21aの後端を規定する座枠5bの部分がハウジング3bに固定されたコネクタ23の後側終端に接触することで規定されてよい。
【0034】
背もたれ7と座部5の間の第二の座部枢結部15は互いに揃えられてよく、ハウジング3b、座枠5b、及び背もたれ7の両側で対応する場所に配置されてよい。背もたれ7と座部5の間の第二の座部枢結部15の各々は、座枠5bの細長いスロット21aの各々の後ろに位置する後方アパーチャ21b内に配置されてよい。後方アパーチャ21bは、突出部7cを受け入れるように構成されてよく、突出部7cは、背もたれ7によって規定された開口8の下側に位置する背もたれ7の下部から延びており、縦方向延出部材7aの離隔した下端に取り付けられる。背もたれ突出部接続構造32aは、背もたれ7の突出部7cの座枠5への回転可能な結合を容易にするために後方アパーチャ21bに近接して配置されてよい。
【0035】
背もたれ7の下部の第一端は、背もたれの第一側に近接して第一の縦方向延出部材7aの下端に取り付けられてよく、背もたれの下部の第二端は、背もたれ7の第二側に近接して第二の縦方向延出部材7aの下端に取り付けられてよい。突出部7cは、第一及び第二の縦方向延出部材7aの間に配置されてよい。各突出部7cの遠位端は、座枠に接続して座部枢結部13を形成するために、座枠の個々のアパーチャ21b内に又は個々のアパーチャ21bに近接して配置するために、背もたれ7から離れて且つ背もたれ7の前方に配置されてよい。各突出部7cの遠位端は、スリット7dを規定してよく、スリット7dは、枢軸32bを受け入れるために後方を向いた開口部と連通し、枢軸32bは、座枠5bのアパーチャ21b内に水平方向に延びて背もたれがそれを中心に枢動し得る軸線を規定する。
【0036】
枢軸32bの中間部分は、座部枢結部15を形成するために枢軸が突出部7cを座枠5bに取り付けるための開口部に通された後、スリット7d内に受け入れられてよい。枢軸32bの両端は、枢軸32bをアパーチャ21bに近接して又はアパーチャ21内に配置し、且つ突出部7cを座枠5bに取り付けるために、アパーチャ21bに近接した構造32a内に受け入れられてよい。ハウジング3bは、ハウジング3bの底面に規定された突出部受入れ開口3eを有してよく、これによって、突出部7cは、背もたれ7からこれらの開口3eを介してアパーチャ21bに延びて、突出部7cの遠位端は、枢軸32bを突出部の開口部に通して枢軸32bを突出部7cのスリット7d内に配置することによって、アパーチャ21b内で枢軸32bに掛止される。突出部がハウジング3b内のアパーチャ21b内に移動した後に、固定具(例えばボルト、ねじ、又はリベット等)が突出部7cに通されることで、枢軸32bがスリット7d内に係止されてよい。背もたれが起立位置からリクライニング位置へと枢軸32bを中心に後方に枢動すると、突出部7cの遠位端が、座部枢結部15の枢軸32bを介した座枠5bへのそれらの接続を介して、座枠5bを前方に押し出すように、突出部7cは形作られて構成されてよい。背もたれ7のリクライニング位置から起立位置への枢動の結果として、突出部が後方に移動して、背もたれの起立位置方向の回転中に座部の後方移動を駆動してよい。
【0037】
スロット21a及びコネクタ23は、背もたれの起立位置とリクライニング位置の間での背もたれ7の回転中の座部5の移動経路の規定を支援する一方で、背もたれ7がその起立位置からそのリクライニング位置に移動する場合に、アパーチャ21b、枢軸32b、及び背もたれ7の突出部7cのスリット7dを介して背もたれ7に生じる回転量も規定することを理解すべきである。突出部7cの形状並びにハウジング3bの突出部受入れ開口3eの大きさ及び形状もまた、背もたれがその起立位置からそのリクライニング位置に移動する場合における背もたれの回転運動の程度を定めるのに寄与し得る。
【0038】
幾つかの実施形態では、スリット7dを有する突出部7cの遠位端は、枢軸32bに接続して座部枢結部15を形成するための様々な形状の構造を有してよい。例えば、遠位端7cの各々は、U字状遠位端を有するように形成されてよく、当該U字状遠位端は、U字状遠位端構造における水平方向に離間して前方に延びるアームに孔を有しており、(後方を向いた開口部を有するスリットの代わりに)前方を向いた開口部を有するスリット7dが規定されてよい。そのようなスリットは、相互に水平方向に離間して配置されたU字状遠位端の両アームにある孔と連通してよく、これにより、突出部7cの遠位端が枢軸32bの両端部を受け入れることができ、また、その他の構造が、遠位端に規定されるスリット内に配置可能になってよく、遠位端は、枢軸32bに近接して配置され得る及び/又は枢軸32bに接続され得る。例えば、枢軸32bの中間部分は、枢軸32に配置されたホイール、プーリ、又は他の構造を有してよく、且つ/又は、座枠5bの一部は、枢軸32bまで延びており、また、枢軸32bを通す孔を有してよい。ホイール、プーリ、及び/又は座枠構造は、突出部7cのU字状遠位端に規定された前方を向いた開口部を有するスリット内に配置されてよい。枢軸32bの突出部7cへの接続部は、突出部7cを座枠5b、及び突出部のU字状遠位端内に受け入れられる枢軸32bに接続され得る他の構造に相互接続されてよい。
【0039】
第三の背もたれ枢結部18は、これらの枢結部が相互に揃えられて、背もたれ7及びハウジング3bの両側に位置するように配置されてよい。第三の背もたれ枢結部18は、それらが座部5より上に位置するように、或いは、座部5の頂面付近であるが座部5より少し下(例えば座部5の頂面より1~5センチメートル(cm)下、又は座部5の頂面より1~25ミリメートル(mm)下)の位置にあるように、配置されてよい。背もたれ7とハウジング3bの間の第三の背もたれ枢結部18の各々は、縦方向延出部材3fによって形成されてよく、縦方向延出部材3fは、背もたれ7の縦方向延出部材7aに規定された凹部7e内でハウジング3bから上方に延びている。ハウジング3bの縦方向延出部材3fは、ハウジング3bの本体に規定された、又はハウジング3bに取り付けられたヨーク構造の第一及び第二アーム部分であってよい。縦方向延出部材3fの各々は、枢軸(例えばピン、ねじ、ボルト等)を受け入れる孔3iを有する上側遠位端3hを有してよい。縦方向延出部材3fの上端に規定される孔3iは、背もたれの縦方向延出部材7aの凹部7eに規定される孔7gと揃えられてよく、これにより、枢軸38が、背もたれ7の縦方向延出部材7aからハウジングの縦方向延出部材3fに延びて、ハウジング3bの縦方向延出部材3fと背もたれ7の縦方向延出部材7aとの間で枢結部を形成する。
【0040】
背もたれ7は、ユーザが背もたれ7をリクライニングさせるために力を加えると、第二の座部枢結部15及び第三の背もたれ枢結部18を介して、水平枢軸38及び水平枢軸32b回りに回転するように構成される。これらの枢軸を中心とする背もたれ7の回転の結果、突出部7cの形状及び大きさと、枢軸32bを介したそれらの座枠5bへの接続とに起因して、背もたれがそのリクライニング位置へと後方に傾動すると、突出部7cは、枢軸32b回りに回転して座枠5b(及び従って座部5)を前方に移動させる。座部5の前方移動には、ハウジング3b及び座部5をハウジング3bに接続する第一の座部接続部13によって規定される座部5の規定前方移動経路がある。規定移動経路は、傾斜した直線移動経路を有してよく、これによって、座部の前方移動の結果、座部の上昇も発生し、座部が前方に移動すると座部がより高い位置に移動し、座部が移動経路に沿って後方に移動すると座部がより低い位置に移動するように変化してよい。背もたれ7のリクライニングを介して駆動される座部5の前方及び上方移動の程度は、スロット21aによって定められてよく、コネクタ23は、孔23aを介して座部5をハウジング3bに接続するためにハウジング3bに固定されて、スロット21aに配置される。背もたれ7がリクライニングされ、座枠5bが前方に移動すると、第一付勢装置12及び第二付勢装置14は夫々、前方に移動する座枠と移動しないハウジング3bとの間におけるそれらの接続を介して、それらの第一長さL1よりも長い次の第二長さL2に引き伸ばされ又は伸張されてよい。伸張又は引き伸ばされた各付勢装置11aは、伸張されると力を提供して、第二の座部枢結部15及び第三の背もたれ枢結部18を中心とする背もたれ7の回転を駆動して背もたれをその起立位置に戻すために、座部5を付勢して後方に移動させる。
【0041】
ユーザが例えば前傾するか或いは座部5から降りることによって、背もたれをリクライニングするために加えていた力が除去されると、付勢装置11aによってもたらされる付勢力を克服するように加えられた力がユーザによって取り除かれることから、付勢装置11aはそれらの第二長さL2からそれらのより短い第一長さL1に移動して、付勢装置11aは、座部5の後方移動を駆動してよい。座部5は、座部が後方に移動すると下方の位置に移動するように、移動経路に沿って後方に移動してよい。付勢装置11aの移動によって駆動される座部5の後方移動は、第二の座部枢結部15の枢軸32bを中心とする背もたれ7の回転を駆動してよい。第一付勢装置12及び第二付勢装置14によって駆動される座部5の後方移動に応答して背もたれ7の突出部7cが第二の座部枢結部15回りに回転すると、背もたれ7はまた、第三の背もたれ枢結部の枢軸38回りに回転して、リクライニング位置から起立位置へと回転してよい。
【0042】
座部及び背もたれのリクライニング中と、リクライニング位置からそれらの起立位置への移動中とにおける座部5及び背もたれ7の移動は、ハウジング3b及び基部3に対して相対的に起こることを理解すべきである。座部5の移動は、背もたれ7の回転と同時に起こる。
【0043】
座部5の移動経路は、第一の座部接続部13のコネクタ23が取り付けられるハウジングの部分によって規定されてよい。コネクタ23は、略平坦で直線状に延びる本体(例えば楕円形又は矩形の板状部材等)であってよく、当該本体は、コネクタ23が水平に対してある角度で上方又は下方に傾斜するように、孔23aを介してハウジング3bに固定される。孔23aは、ハウジング3bの傾斜部3gに配置されてよい。座部が前方に移動する場合に生じる座部の高さ増加と、座部が後方に移動する場合に生じる座部の高さ減少とを容易にするために、傾斜部は、後端より高い前端を有してよい(例えば、最も前にある孔23aは、傾斜部の後側孔23aに対して上昇した傾斜部分に配置されてよい)。座部が前方に移動する場合に生じる座部の高さ減少と、座部が後方に移動する場合に生じる座部の高さ増加を容易にするために、傾斜部3gは後端より低い前端を有してよい(例えば、最も後にある孔23aは、傾斜部の前側孔23aに対して上昇した傾斜部分に配置されてよい)。幾つかの実施形態では、上方又は下方の傾斜の程度は1°~15°、5°~15°、1°~30°、又は5°~45°であってよい。他の実施形態では、コネクタ23は、湾曲又は円弧形状にされて、ハウジングの対応する湾曲形状部に取り付けられてよく、座部の垂直方向及び水平方向の移動(例えば、座部が上昇すると同時に生じる前方移動、又は、座部が上昇又は下降すると同時に生じる下降及び後方移動)のための座部5の曲った移動経路が規定される。各座部接続部13のためにコネクタ23が取り付けられるハウジング3bの部分3gは、座部5のリクライニング中に座部5が前方に移動すると、座部5の高さが増加するか、或いは高さが低くなるように、上方又は下方に傾斜する傾斜部とされてよい。
【0044】
椅子の実施形態はまた、起立止め具41a及びリクライニング止め具41bのような停止要素41を有してよい。停止要素41は、座部5及び背もたれ7の移動経路の終端をそれらの起立位置とリクライニング位置との間で規定するのに役立つように構成されてよい。停止要素41は、ハウジング3bに又はそれに近接して配置されて、背もたれがその起立位置とリクライニング位置との間で傾動すると移動し得る背もたれの少なくとも一部、又は背もたれに取り付けられた止め具係合要素と係合して、背もたれ7及び座部5の移動経路の終端をそれらの起立位置とリクライニング位置との間で規定してよい。
【0045】
例えば、起立止め具41aは、ハウジング3bの一部に接続されてよく、背もたれ7がその起立位置にある場合に、背もたれの突出部7cの一部と係合するように構成されて、起立止め具41aによって規定される起立位置を超えて背もたれ7が更に前方に移動するのを防止してよい。背もたれ7の移動の防止はまた、背もたれが前方に傾動すると背もたれの移動と同期して生じる座部の移動を防止するように機能してよい。リクライニング止め具41bは、背もたれ7の更なる後方の傾動を防止するために、突出部7cの一部分と係合するようにハウジング3bに取り付けられてよい。背もたれの更なる後方傾動の防止はまた、背もたれ7の後方傾動と同期して座部5が移動する方向の座部5の更なる移動を防止するように機能してよい。突出部7cの一部との停止要素41の係合は、突出部7cの異なる部分との係合又は同じ部分との係合であってよく、或いは突出部に取り付けられた(例えば、突出部7cに形成されるか、或いは固定具又は他の種類の取付け機構を介して突出部7cに取り付けられた)止め具係合要素との係合であってよい。
【0046】
停止要素の各々は、止め具係合要素との弾性接触又は変形可能な接触をもたらすように構成された係合体を含んでよく、これによって、背もたれ7がその起立位置とリクライニング位置の間で傾動する間に起こる背もたれ7のリクライニング又は起立及び座部の同期移動の「穏やかな」停止をユーザが経験するように、座部及び背もたれの停止が起きてよい。そのような弾性接触又は変形可能な接触は、これらの要素の材料特性によって、或いは弾性接触要素又は変形可能な接触要素を含むこれらの要素(例えばゴム又はエラストマー材等から作られた要素)によって達成されてよい。
【0047】
背もたれを座部に連結するためにハウジング内に通された各突出部7cは、背もたれ7の傾動中にハウジング3b内を移動すると、各々の直立及びリクライニング止め具41a及び41bと係合するように構成されてよいことを理解すべきである例えば、2つの突出部7cを有する背もたれを利用する椅子の実施形態は、2組の直立及びリクライニング止め具41a及び41bを有してよく、各組の停止要素は各々の突出部7cと係合するように構成される。他の実施形態では、1つの突出部7cのみが、停止要素41と係合するために止め具係合要素として機能するように構成された部分、又は、それに取り付けられた止め具係合要素を有するように構成されてよい。更に他の実施形態では、背もたれ7は3つ以上の突出部7cを有するが、これらの突出部7cのうち1つか2つだけが、直立及びリクライニング止め具41a及び41bの各々の組の停止要素41を係合するために、止め具係合要素として機能するように構成された部分、又はそれに取り付けられた停止係合要素を有するように構成されてよい。
【0048】
幾つかの実施形態では、リクライニング止め具は、様々な構成を有してよい。例えば、最前方止め具41aは、使用しないように取り外されてよく、その止め具と置換するために、別の種類の停止機構が利用されてよい。例えば、凹部7eの形状化と構成は、縦方向延出部材7aの凹部を規定する部分がリクライニング止め具として機能するように、又は、凹部7e内の停止要素が縦方向延出部材3fと係合することによって止め具として機能するようにされてよい。
【0049】
椅子の実施形態は、様々な組の設計基準を満たすように、多くの様々な特徴の機構を利用してよいことを理解するべきである。例えば、座部5は、ポリマー材から構成された単体構造であってよく、或いは、布製又は皮革製カバーと、椅子の脚部又はキャスタの上であって椅子の座部5の下に配置された剛性板状部品又は他の中間構造部品との間に配置された発砲部材のような多くの相互接続部品を有する構造であってよい。例えば、座部は、カバーを含んでよく、当該カバーは、発泡クッションのような発泡部材を包封するために、縫合され、比較的剛性のポリマー板又は金属板に接着され、或いは他の方法で取り付けられた布材又はメッシュ材であってよい。更に別の実施例では、椅子の基部の形状及び構成は、基部が座部、椅子の背部、及び座部に着座し且つ椅子の背部に寄り掛かるユーザを支持することを可能にして、特定の設計目的を満たすために必要とされる幾つかの異なる構成の何れかであってよいことを理解すべきである。更に別の実施例として、座部の高さ調整を作動させるために使用される高さ調整機構は1つだけのガススプリングを含んでよく、又は、高さ調整を作動させるために操作可能なアクチュエータ(例えば、ワイヤ又はケーブルなどのコネクタを介して高さ調整機構の構成要素に連結されたボタン、レバー、又は他のアクチュエータ、或いはアクチュエータの操作により高さ調整機構が移動して座部の高さを調整することが可能になるようにしたレバー)に連結された別の種類の昇降機構を含んでよい。更に別の実施例として、肘掛け9の各々は静置状態に固定されるように構成することができ、或いは肘掛け9の回転及び/又は肘掛け9の位置の高さ調整が可能であるように可動的に取り付けられるように構成されてよい。肘掛け9は、背もたれ枠、背もたれ、座部5の座枠、座部5、又は基部に、及び/又は、脚又は基台によって支持される座枠5の下に配置されるハウジング又は他の要素に取り付けられてよい。更に別の実施例として、ハウジング3b、背もたれ7、肘掛け9、及び座枠5bの構造の組成は、幾つかの異なる適切な材の何れかであってよい。例えば、これらの構成要素の全部は、ポリマー材から構成されてよく、或いは一部がポリマー材から構成される一方で、その他が金属又は他の種類の材料から構成されてよい。例えば、幾つかの実施形態では、ハウジング3bは金属であってよく、肘掛け9及び背もたれ7はポリマー材又はエラストマー材から構成されてよく、座枠5bは金属又はポリマー材から構成されてよく、クッション5aは発泡材から構成されてよく、クッション5aを被覆するカバーはメッシュ材、布、又は皮革であってよい。他の実施形態では、座部5は、クッションが不要となるようにカバーが座枠5b全体にわたって延びるように構成することができ、又は、より小さいクッションが座部に使用されてよい。幾つかの実施形態では、そのようなカバーは布、エラストマー材、ポリマー材、又はメッシュ材から構成されてよい。更に別の実施例として、個別に又は一実施形態の一部として記載した特定の特徴は、他の個別に記載した又は他の実施形態の一部として記載した特徴と組み合わせることができることが考えられる。従って、本明細書に記載した様々な実施形態の要素及び行為は、更なる実施形態を提供するために組み合わせることができる。従って、椅子及び椅子を製造し且つ使用する方法の特定の例示的実施形態を本明細書に記載し且つ図示したが、本発明はそれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲内で、別様に様々に具現化し実施することができることが明確に理解されるべきである。