(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】マンガンを含有するディーゼル酸化触媒
(51)【国際特許分類】
B01J 29/78 20060101AFI20220614BHJP
B01D 53/94 20060101ALI20220614BHJP
F01N 3/10 20060101ALI20220614BHJP
F01N 3/28 20060101ALI20220614BHJP
B01J 23/656 20060101ALN20220614BHJP
【FI】
B01J29/78 A ZAB
B01D53/94 222
B01D53/94 241
B01D53/94 245
B01D53/94 280
F01N3/10 A
F01N3/28 301Q
B01J23/656 A
(21)【出願番号】P 2019548452
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(86)【国際出願番号】 EP2018055388
(87)【国際公開番号】W WO2018162434
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2021-02-22
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501399500
【氏名又は名称】ユミコア・アクチエンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Umicore AG & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Rodenbacher Chaussee 4,D-63457 Hanau,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・ヘンクスト
(72)【発明者】
【氏名】加藤 尚弘
【審査官】森坂 英昭
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500736(JP,A)
【文献】特表2017-501032(JP,A)
【文献】特開2003-320222(JP,A)
【文献】特表2017-501031(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 21/00 - 38/74
B01D 53/94
F01N 3/10
F01N 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の端面aと第2の端面bとの間に延在する長さLを有する担持体、及び前記担持体上に配置された触媒活性物質区画Aを備えるディーゼル酸化触媒であって、前記物質区画Aは、マンガン含有担体酸化物上に支持されたパラジウム及び白金を含有し、前記マンガン含有担体酸化物は担体酸化物成分A及び担体酸化物成分Bからなり、並びに前記担体酸化物成分Bはマンガン及び/又はマンガン化合物からなり、かつ
8~
12重量%の量で存在し、MnO
2として計算され、そして前記マンガン含有担体酸化物の総重量に基づ
き、
物質区画Aが、ゼオライトを含有しないことを特徴とする、ディーゼル酸化触媒。
【請求項2】
前記担体酸化物成分Aが、酸化アルミニウム、ドープトアルミニウム酸化物、酸化ケイ素、二酸化チタン、及び前記酸化物のうちの1つ以上を含有する混合酸化物からなるシリーズから選択されることを特徴とする、請求項1に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項3】
前記担体酸化物成分Aが、ドープトアルミニウム酸化物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項4】
前記担体酸化物成分Aが、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素又は酸化ケイ素でドープされたアルミニウム酸化物を含む混合酸化物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項5】
白金のパラジウムに対する比が、Pt:Pd≧1であることを特徴とする、請求項1~
4のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項6】
物質区画Aにおける前記白金とパラジウムが、前記マンガン含有担体酸化物上で独占的に支持されることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項7】
前記担持体及び物質区画Aからなることを特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項8】
物質区画Bを含むことを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項9】
物質区画Bが、物質区画B上の、前記担持体及び物質区画Aに直接位置することを特徴とする、請求項
8に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項10】
物質区画Bが、酸化アルミニウム、ドープトアルミニウム酸化物、酸化ケイ素、二酸化チタン、及び前記酸化物のうち1つ以上を含有する混合酸化物からなる群から選択される担体酸化物上に、貴金属を含むことを特徴とする、請求項
8又は
9に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項11】
物質区画Bが、ベータゼオライト、ZSM-5、ゼオライトY、又はこれらの混合物からなるシリーズから選択されるゼオライトを含有することを特徴とする、請求項
8~
10のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒。
【請求項12】
ディーゼル排気ガスを処理するための方法であって、前記ディーゼル排気ガスが、請求項1~
11のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒を通過することを特徴とする、方法。
【請求項13】
請求項1~
11のいずれか一項に記載のディーゼル酸化触媒を有する、ディーゼルエンジンからの排ガスを浄化するための装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディーゼルエンジンの排ガスを浄化するためのマンガン含有酸化触媒に関する。
【背景技術】
【0002】
一酸化炭素CO、炭化水素HC、及び酸化窒素NOxに加えて、ディーゼルエンジンの生ガスの酸素含有量は最大15体積%と比較的高い。更に、主に煤残留物(soot residues)からなる、いくつかの場合には有機凝集塊からなる微粒子排出物(particulate emissions)が含まれており、結果としてシリンダ内の燃料の燃焼が一部不完全なものとなってしまう。
【0003】
微粒子排出物(particle emissions)の除去には、触媒活性のあるコーティングを有する及び有しないディーゼル微粒子フィルターが適するのに対し、酸化窒素は、例えば、いわゆるSCR触媒における選択的触媒還元(SCR)により窒素に変換することができ、一酸化炭素及び炭化水素は、適した酸化触媒で酸化され無害化される。加えて、酸化触媒はしばしば、流出面のSCR触媒に関し、NOのNO2に対する最適比を設定する役割を有する。
【0004】
酸化触媒は、文献中に広く記載されている。例えば、大表面積、多孔質、高融点酸化物、酸化アルミニウム上に、白金及びパラジウムなどの必須の触媒活性構成成分である貴金属を担持する、セラミック又は金属製のいわゆるフロースルー基板がある。
【0005】
特許文献1(欧州特許第2000639(A1)号)は、白金に加えて、マグネシウム、アルカリ土類金属、及びアルカリ金属から選択される金属酸化物を含有する、酸化触媒を記載する。触媒の作用は、燃料噴射中の排気ガス温度を上昇させることである。
【0006】
現代のディーゼル燃料が低い硫黄分を有する場合であっても、ディーゼル酸化触媒が全寿命にわたり硫黄化合物に対して高感度を有することを確実にするためには、注意を払わなければならない。
【0007】
硫黄排出を制御するための酸化マンガン(MnO2)の使用は、特許文献2(国際公開第2014/080220号)により既知である。酸化マンガン及び貴金属は、それによってコーティング中のフィルター基板に適用される。
【0008】
マンガン化合物、特に酸化マンガンを自動車排気ガスの触媒のための触媒成分として使用することもまた、独国特許出願公開第102011109200(A1)号により既知である。
【0009】
特許文献3(独国特許出願公開第102012204524(A1)号)は、マンガン系混合酸化物、例えば、MnOx-Ce2を含有するLNT触媒について記載している。特許文献4(米国特許出願公開第2013/336865号)はまた、マンガンを含有するNOx吸収剤触媒についても記載している。
【0010】
特許文献5(国際公開第2015/095056(A1)号)及び特許文献6(国際公開第2015/095058(A1)号)は、複数の触媒活性層を含む触媒について記載しており、これらの層のうちの1層は、白金、及び随意にはパラジウム成分のマンガン含有担体酸化物を含有する。炭化水素及び一酸化炭素の酸化に加えて、触媒はまた、一酸化窒素を二酸化窒素に酸化することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許第2000639(A1)号
【文献】国際公開第2014/080220号
【文献】独国特許出願公開第102012204524(A1)号
【文献】米国特許出願公開第2013/336865号
【文献】国際公開第2015/095056(A1)号
【文献】国際公開第2015/095058(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、第1の端面aと第2の端面bとの間に延在する長さLを有する担持体(carrier body)、及び担持体上に配置された触媒活性物質区画Aを備えるディーゼル酸化触媒に関し、ここで、物質区画Aは、マンガン含有担体酸化物上にパラジウム及び白金を含有し、マンガン含有担体酸化物は担体酸化物成分A及び担体酸化物成分Bからなり、並びに担体酸化物成分Bはマンガン及び/又はマンガン化合物からなり、かつ5~15重量%の量で存在し、MnO2として計算され、そしてマンガン含有担体酸化物の総重量に基づく。
【0013】
好適な担体酸化物成分Aは、酸化アルミニウム、ドープトアルミニウム酸化物、酸化ケイ素、二酸化チタン、及び該酸化物の1つ以上を含有する混合酸化物からなるシリーズから選択される。
【0014】
ドープトアルミニウム酸化物は、例えば、酸化ランタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンをドープされた酸化アルミニウムである。
【0015】
ランタンでドープされた酸化アルミニウムが有利に使用され、ここでランタンは、1~10重量%の量、好ましくは3~6重量%の量で使用され、いずれの場合においてもLa2O3として算出され、ドープトアルミニウム酸化物の重量に基づく。
【0016】
酸化アルミニウム及び酸化ケイ素又は酸化ケイ素でドープされた酸化アルミニウムの混合酸化物もまた、有利に使用される。
【0017】
担体酸化物成分Aは、特に、マンガン及びマンガン化合物を含有しない。
【0018】
担体酸化物成分Aは、85~95重量%の量で存在し、酸化物として計算され、かつマンガン含有担体酸化物の総重量に基づく。
【0019】
マンガン含有担体酸化物に対し担体酸化物成分Bの比率は、本発明の5~15重量%のマンガン及び/又はマンガン化合物に従い、MnO2として計算され、かつ担体酸化物の総重量に基づく。8~12重量%、例えば9、10又は11重量%が特に好ましい。
【0020】
本発明の一実施形態では、マンガン含有担体酸化物は、担体酸化物成分Aが担体酸化物成分Bでドープされるように設計される。
【0021】
このようなマンガン含有担体酸化物は、例えば、対応する量の水溶性マンガン塩、例えば酢酸マンガンを担体酸化物成分Aに添加し、次いで乾燥させ、適切であれば焼成することによって得られる。次いで、原則として酸化マンガン、特にMnO2として、担体酸化物成分A上にマンガンが存在する。
【0022】
この方法によれば、酸化アルミニウム及び酸化ケイ素又は酸化ケイ素でドープされた酸化アルミニウムの混合酸化物を、酸化マンガンでドープすることが特に有利である。
【0023】
誤解を避けるために、本発明のマンガン含有担体酸化物は、担体酸化物成分Aと担体酸化物成分Bとの物理的混合物を含まないということを、これによって明らかとなる。
【0024】
本発明の実施形態では、物質区画Aは酸化セリウムを含有しない。
【0025】
本発明の実施形態では、物質区画Aはゼオライトを含有しない。
【0026】
本発明の実施形態では、本発明に係る酸化触媒は、希土類金属及び希土類金属化合物を含有しない。
【0027】
物質区画Aは、貴金属として白金及びパラジウムを本発明に従って含有する。白金のパラジウムに対する比は、特にPt:Pd≧1、すなわち例えば、20:1~1:1である。Pt:Pd比が10:1~2:1、例えば8:1、6:1又は4:1が好ましい。
【0028】
本発明に係る酸化触媒中に存在するパラジウム及び白金の量は、広い限界内で変化することができ、本発明に係る酸化触媒が完全に満たされることを意図する正確な機能(exact function)に依存する。当業者であれば、単純な様式で必要な量を決定することができる。
【0029】
本発明に係る酸化触媒の実施形態では、物質区画Aにおける白金及びパラジウムが、マンガン含有担体酸化物上で独占的に支持される。
【0030】
本発明に係る酸化触媒の実施形態では、物質区画Aが唯一の触媒活性物質区画である。
【0031】
本発明に係る酸化触媒の実施形態では、物質区画Aが唯一の物質区画である。この場合、本発明に係る酸化触媒は、第1の端面aと第2の端面bとの間に延在する長さLを有する担持体、及び担持体上に配置された触媒活性物質区画Aからなる。
【0032】
本発明に係る酸化触媒の実施形態では、物質区画Aは、担持体の体積に基づいて50~150g/Lの量で存在する。
【0033】
本発明に係る酸化触媒の実施形態では、物質区画Aは、担持体の全長Lにわたって延在する。しかしながら、担持体が、物質区画Aに加えて、1つ以上の他の触媒活性又は不活性物質区画を含む実施形態では、物質区画Aの長さはまた、長さLよりも短くてもよく、すなわち担持体の全長Lのおよそ10~90、20~70、40~60又は45~50%である。これらの場合、物質区画Aは、端面a又は端面bのいずれかに由来し得る。
【0034】
本発明の一実施形態では、本発明に係る酸化触媒は、物質区画Aに加えて、物質区画Bを含む。これにより、物質区画Bが、物質区画B上の、担持体に特にその全長Lにわたって、物質区画Aに直接位置することが好ましい。
【0035】
物質区画Bは概して、酸化アルミニウムドープアルミニウム酸化物、酸化ケイ素、二酸化チタン、及び該酸化物のうちの1つ以上を含有する混合酸化物からなるシリーズから選択される担体酸化物上に、貴金属、特に白金、パラジウム又は白金、及びパラジウムを含む。
【0036】
加えて、物質区画Bはゼオライトを含有してもよく、それは、ベータゼオライト、ZSM-5、ゼオライトY、又はこれらの混合物からなるシリーズから特に選択される。
【0037】
物質区画Bが白金及びパラジウムを含有する場合、その重量比は、広い限界内で変化し得る。特に、白金のパラジウムに対する重量比は、Pt:Pd≧1、すなわち例えば、20:1~1:1である。Pt:Pd比が10:1~1.5:1、例えば8:1、6:1又は4:1が好ましい。
【0038】
セラミック製、特にコージライト製、又は金属製のいわゆるハニカム体が、担持体として特に適する。いわゆるフロースルーハニカム体(flow-through honeycomb bodies)が好ましく使用される。しかし、ウォールフローフィルター(wall-flow filters)を担持体として使用する実施形態も想到される。
【0039】
本発明に係る酸化触媒は、コーティング懸濁物、いわゆるウォッシュコートによって、それ自体既知である手法で、好適な担持体をコーティングすることにより作製されてもよい。例えば、物質区画Aを作製するためのコーティング懸濁物を調製するためには、例えば、好適なマンガン含有担体酸化物を水に懸濁する。次に、例えば、白金及びパラジウムを、硝酸パラジウム又はヘキサヒドロキソ白金酸などといった好適な水溶性前駆化合物の形態で撹拌しながら懸濁物に添加し、任意に、pHを設定することで、及び/又は補助試薬を添加することで、担持物質上に固定する。
【0040】
代替的に、担持物質には、欧州特許出願公開第1101528(A2)号に記載の方法と類似した方法で貴金属を適用してもよい。
【0041】
このような方法で得られた懸濁物を、次に標準的なコーティング方法の1つにより担持体に下塗り(ground)及び適用する。コーティングの後に、コーティングした部分は熱気流中で乾燥し、いくつかの場合には焼成を行う。
【0042】
前述の前駆体化合物及び補助試薬は、当業者に既知のものである。
【0043】
物質区画Aに加えて、更なる物質区画、例えば物質区画Bが存在する場合、これらは、基本的に同じ方法で、かつ所望の順序で担持体に適用される。
【0044】
本発明のディーゼル酸化触媒は、ディーゼルエンジンの排ガスを、特に、一酸化炭素及び炭化水素に関し浄化するのに、好適である。更に、これらは、一酸化窒素を二酸化窒素へと酸化することができ、したがって、排気面SCR触媒に対して一酸化窒素の二酸化窒素に対する最適比を調整することができる。
【0045】
したがって本発明はまた、ディーゼル排気ガスの処理方法にも関し、ディーゼル排気ガスは、上に記載され定義されるディーゼル酸化触媒を介して実施されることを特徴とする。
【0046】
本発明のディーゼル酸化触媒は、特に排ガス浄化システムの構成要素として使用される。本発明のディーゼル酸化触媒に加えて、対応する排ガス浄化システムとしては、例えば、ディーゼル微粒子フィルター及び/又は窒素酸化物の選択的触媒還元のための触媒が挙げられ、ディーゼル微粒子フィルター及びSCR触媒は、通常、流出面上にある本発明のディーゼル酸化触媒の下流に配置される。排出制御システムの一実施形態では、SCR触媒は、ディーゼル微粒子フィルター上に配置される。
【0047】
本発明を、以下の実施例及び図面において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1a】650℃で16時間エイジングした後の排気ガス混合物III(10% O
2、250ppm CO、750ppm NO、7.5% H
2O、7% CO
2及び平衡(balance)N
2)によって測定された、C5触媒及びCC3比較触媒のNO
2/NO
x比を示す。
【
図1b】650℃で16時間エイジングした後の排気ガス混合物II(6% O
2、350ppm CO、270ppm NO、180ppm C
3H
6、90ppm C
3H
8、116ppm H
2、5% H
2O、10.7% CO
2及び平衡N
2)によって測定された、C5触媒及びCC3比較触媒のNO
2/NO
x比を示す。
【
図2a】650℃で16時間エイジングした後の排気ガス混合物III(10% O
2、250ppm CO、750ppm NO、7.5% H
2O、7% CO
2及び平衡N
2)によって測定された、C6及びC7触媒並びにCC4比較触媒のNO
2/NO
x比を示す。
【
図2b】650℃で16時間エイジングした後の排気ガス混合物II(6% O
2、350ppm CO、270ppm NO、180ppm C
3H
6、90ppm C
3H
8、116ppm H
2、5% H
2O、10.7% CO
2及び平衡N
2)によって測定された、C6及びC7触媒並びにCC3比較触媒のNO
2/NO
x比を示す。
【
図3a】650℃で16時間エイジングした後の排気ガス混合物III(10% O
2、250ppm CO、750ppm NO、7.5% H
2O、7% CO
2及び平衡N
2)によって測定された、C8及びC9触媒並びにCC5比較触媒のNO
2/NO
x比を示す。
【
図3b】650℃で16時間エイジングした後の排気ガス混合物II(6% O
2、350ppm CO、270ppm NO、180ppm C
3H
6、90ppm C
3H
8、116ppm H
2、5% H
2O、10.7% CO
2及び平衡N
2)によって測定された、C8及びC9触媒並びにCC5比較触媒のNO
2/NO
x比を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
実施例1
a)白金1.36g/L、パラジウム0.91g/L、二酸化ケイ素でドープされたアルミニウム酸化物67.8g/L及びベータゼオライト26.0g/Lを含有し、市販のコージライトフロースルーハニカム体上に従来の方法でコーティングした、コーティング懸濁液を調製した。
b)酸化ランタンでドープされた酸化アルミニウム35g/L、及び表面積およそ160m2/gの酸化マンガンを、酢酸テトラアンミン白金(tetraammineplatinum acetate)の形態である白金1.9g/L及び酢酸テトラアンミンパラジウム(tetraamminepalladium acetate)の形態であるパラジウム0.32g/Lを含有する水溶液で湿らせることで、酸化アルミニウムの細孔を充填したが、粉末は自由流動(free-flowing)のままであるようにした。ドープトアルミニウム酸化物中の酸化アルミニウム、酸化ランタンと酸化マンガンとの重量比は、91:4:5であった。貴金属を固定するために、湿潤粉末(moist powder)を120℃で8時間乾燥させ、300℃で4時間焼成した。次いで、得られた粉末を水に懸濁し、D90<20マイクロメートルの粒径に粉砕した。
c)工程b)で得られたコーティング懸濁液を、従来の方法によって、工程a)で得られた触媒上にコーティングした。
このようにして得た触媒を以下ではC1と称する。
【0050】
実施例2
酸化ランタン及び酸化マンガンでドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約150m2/g、かつ酸化アルミニウム、酸化ランタンと酸化マンガンとの重量比86:4:10を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではC2と称する。
【0051】
比較実施例1
酸化ランタンでドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約150m2/g、かつ酸化アルミニウムと酸化ランタンとの重量比96:4を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではCC1と称する。
【0052】
実施例3
酸化ケイ素及び酸化マンガンでドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約180m2/g、かつ酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化マンガンとの重量比90:5:5を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではC3と称する。
【0053】
実施例4
酸化ケイ素及び酸化マンガンでドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約170m2/g、かつ酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化マンガンとの重量比85:5:10を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではC4と称する。
【0054】
比較実施例2
酸化ケイ素でドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約150m2/g、かつ酸化アルミニウムと酸化ケイ素との重量比95:5を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではCC2と称する。
【0055】
比較実験I
a)コアを、触媒C1、C2、CC1、C3、C4及びCC2から取り出し、800℃のオーブン内で16時間で熱水エイジング(hydrothermally aged)した(10% H2O、10% O2、平衡N2)。
b)CO T50値は、抽出及びエイジングされたコアによって決定された。その上、実験室規模反応器では、6% O2、CO 350ppm、NO 270ppm、C3H6 180ppm、C3H8 90ppm、10% H2O、10% CO2、及び平衡N2(排ガス混合物I)を含む人工排気ガスを、コアを通して2000L/時で実施し(conduct)、15℃/分の温度を75℃から500℃tまで上昇させた。これにより、一酸化炭素50%を反応させる温度を決定した。
結果を表1から得ることができる。
【0056】
【0057】
実施例5
白金0.61g/L、パラジウム0.10g/L、二酸化ケイ素及び二酸化マンガンでドープした酸化アルミニウム105.29g/Lを含有し、市販のコージライトフロースルーハニカム体上に従来の方法でコーティングした、コーティング懸濁液を調製した。ドープトアルミニウム酸化物中の酸化アルミニウム、酸化ケイ素と酸化マンガンとの重量比は、85:5:10であった。
このようにして得た触媒を以下ではC5と称する。
【0058】
比較実施例3
酸化ケイ素でドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約150m2/g、かつ酸化アルミニウムと酸化ケイ素との重量比95:5を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例5を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではCC3と称する。
【0059】
実施例6
酸化ランタン及び酸化マンガンでドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約145m2/g、かつ酸化アルミニウム、酸化ランタンと酸化マンガンとの重量比86:4:10を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例5を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではC6と称する。
【0060】
実施例7
表面積約170m2/gを有する酸化ランタンでドープされたアルミニウム酸化物90g/Lを、酢酸マンガン四水和物(manganese acetate tetrahydrate)の形態である酸化マンガン10g/Lを含有する水溶液で湿らせることで、酸化アルミニウムの細孔を充填したが、粉末は自由流動のままであるようにした。ドープトアルミナ中の酸化アルミニウム、酸化ランタン及び酸化マンガンの重量比は、86.4:3.6:10であった。マンガンを(酸化マンガンとして)固定するために、湿潤粉末を120℃で8時間乾燥させ、300℃で4時間焼成した。次いで、得られた粉末を水に懸濁し、D90<20マイクロメートルの粒径に粉砕した。
白金0.61g/L、パラジウム0.10g/L及び前述の粉末105.29g/Lを含有するコーティング懸濁液を、こうして得られた粉末から調製し、従来の方法によって市販のコージライトフロースルーハニカム体上にコーティングした。
このようにして得た触媒を以下ではC7と称する。
【0061】
比較実施例4
酸化ランタンでドープされた酸化アルミニウムであり、表面積約190m2/g、かつ酸化アルミニウムと酸化ランタンとの重量比96:4を有する酸化アルミニウムを使用したこと以外は、実施例5を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではCC4と称する。
【0062】
実施例8
表面積およそ140m2/gを有する純粋な酸化アルミニウム95g/Lを、酢酸マンガン四水和物の形態である酸化マンガン5g/Lを含有する水溶液で湿らせることで、酸化アルミニウムの細孔を充填したが、粉末は自由流動のままであるようにした。ドープトアルミニウム酸化物中の酸化アルミニウムと酸化マンガンとの重量比は、95:5であった。マンガンを(酸化マンガンとして)固定するために、湿潤粉末を120℃で8時間乾燥させ、300℃で4時間焼成した。次いで、得られた粉末を水に懸濁し、D90<20マイクロメートルの粒径に粉砕した。
白金0.61g/L、パラジウム0.10g/L及び前述の粉末105.29g/Lを含有するコーティング懸濁液を、こうして得られた粉末から調製し、従来の方法によって市販のコージライトフロースルーハニカム体上にコーティングした。
このようにして得た触媒を以下ではC8と称する。
【0063】
実施例9
表面積およそ140m2/gを有する純粋な酸化アルミニウム90g/Lを、酢酸マンガン四水和物の形態である酸化マンガン10g/Lを含有する水溶液で湿らせることで、酸化アルミニウムの細孔を充填したが、粉末は自由流動のままであるようにした。ドープトアルミニウム酸化物中の酸化アルミニウムと酸化マンガンとの重量比は、90:10であった。マンガンを(酸化マンガンとして)固定するために、湿潤粉末を120℃で8時間乾燥させ、300℃で4時間焼成した。次いで、得られた粉末を水に懸濁し、D90<20マイクロメートルの粒径に粉砕した。
白金0.61g/L、パラジウム0.10g/L及び前述の粉末105.29g/Lを含有するコーティング懸濁液を、こうして得られた粉末から調製し、従来の方法によって市販のコージライトフロースルーハニカム体上にコーティングした。
このようにして得た触媒を以下ではC9と称する。
【0064】
比較実施例5
表面積約140m2/gを有する純粋な酸化アルミニウムを使用した点以外は、実施例5を繰り返した。
このようにして得た触媒を以下ではCC5と称する。
【0065】
比較実験II
a)2つのコアを、触媒C5、CC3、C6、C7、CC4、C8、C9及びCC5のそれぞれから抽出し、650℃のオーブン内で16時間で熱水エイジングした(10% H2O、10% O2、平衡N2)。
b)CO T50値は、抽出及びエイジングされたコアによって決定された。その上、実験室規模反応器では、6% O2、CO 350ppm、NO 270ppm、C3H6 180ppm、C3H8 90ppm、H2 116ppm、5% H2O、10.7% CO2、及び平衡N2(排ガス混合物II)を含む人工排気ガスを、コアを通して1930L/時で実施し、15℃/分の温度を75℃から500℃まで上昇させた。これにより、一酸化炭素50%を反応させる温度を決定した。
c)更なる試験では、b)に係る方法を繰り返したが、10% O2、CO 250ppm、NO 750ppm、7.5% H2O、7% CO2、及び平衡N2(排ガス混合物III)を含む、人工排ガスを用いた。
d)a)及びb)に係る比較実験を、750℃で16時間エイジングしたコアで繰り返した。
【0066】
結果を表2~表5に示す。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
e)触媒出口におけるNO2/NOx比もまた、650℃で16時間エイジングしたコアで測定した。
【0072】
結果を、触媒C5及びCC3について
図1a及び1b、触媒C6、C7及びCC4について
図2a及び2b、並びに触媒C8、C9及びCC5について
図3a及び3bに示す。