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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】多層粘着テープ
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20220614BHJP
   C09J 133/04 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J133/04
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019549433
(86)(22)【出願日】2018-05-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 KR2018005710
(87)【国際公開番号】W WO2018216966
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2019-09-10
(31)【優先権主張番号】10-2017-0062844
(32)【優先日】2017-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】522063974
【氏名又は名称】コザ ノベル マテリアル コリア カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Koza Novel Materials Korea Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】301-1, B1, No. 327 Gangnam Avenue, Seocho-gu, Seoul Special City (Daelong Seocho Tower, Seocho-dong), Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】スレ・イ
(72)【発明者】
【氏名】ドン・フン・リム
(72)【発明者】
【氏名】ジュ・ヨン・ソ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・マン・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ウ・ヨン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ホ・キョン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・スン・ホン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン・スン・キム
(72)【発明者】
【氏名】クワン・ス・ソ
【審査官】井上 明子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008205(JP,A)
【文献】特開2009-013361(JP,A)
【文献】特開2017-075281(JP,A)
【文献】国際公開第2014/181853(WO,A1)
【文献】特開2012-167163(JP,A)
【文献】特開2012-184390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00 - 201/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次設けられ、
前記中間粘着層のガラス転移温度は-40℃以上0℃以下であり、
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のガラス転移温度は各々-60℃以上-20℃以下であり、
前記中間粘着層のガラス転移温度は、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度よりも高く、
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度と前記中間粘着層のガラス転移温度との差は5℃以上25℃以下であり、
前記中間粘着層は、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む中間粘着重合体を含む、多層粘着テープ。
【請求項2】
前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して0重量部超30重量部以下である、請求項1に記載の多層粘着テープ。
【請求項3】
前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して0重量部超20重量部以下である、請求項1に記載の多層粘着テープ。
【請求項4】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、各々独立して、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む外郭粘着重合体を含む、請求項1に記載の多層粘着テープ。
【請求項5】
前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して0重量部超過20重量部以下である、請求項4に記載の多層粘着テープ。
【請求項6】
前記中間粘着層の厚さは、30μm以上100μm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項7】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは、各々、25μm以上60μm以下である、請求項1から6のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項8】
前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、各々、1:4~2:1である、請求項1から7のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【請求項9】
前記多層粘着テープは、前記第1外郭粘着層と中間粘着層との間に設けられた第1界面混合層、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層との間に設けられた第2界面混合層をさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の多層粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
多層粘着テープが提供される。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、様々な部材が粘着剤によって貼り付けられる。例えば、液晶表示装置(Liquid Crystal Display、LCD)には、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルムおよび輝度向上フィルムなどのような様々な光学部材が粘着テープによって貼り付けられる。最近、粘着テープを用いる機器の性能向上に応じて、粘着テープに求められる物性も次第に厳しくなっている。具体的には、高い温度変動に応じた優れた耐久性および半永久的な粘着性能を要求する場合もある。さらには、再施工のために粘着テープを除去する時に残余物が残らないリワーク性を要求する場合もある。このように向上した要求事項に適した粘着テープに関する持続的な研究が必要な実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】韓国公開公報:KR10-2016-0025050 A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高い段差埋め込み性を示すと同時に高いリワーク性を有し、高い打ち抜き性を有する多層粘着テープが提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施態様において、第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次設けられ、前記中間粘着層のガラス転移温度は-40℃以上0℃以下であり、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のガラス転移温度は各々-60℃以上-20℃以下であり、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度と前記中間粘着層のガラス転移温度との差は5℃以上25℃以下である、多層粘着テープが提供される。
【発明の効果】
【0006】
一実施態様による多層粘着テープは、高い段差埋め込み性を示すと同時に高いリワーク性を有する。
一実施態様による多層粘着テープは、高い打ち抜き性を有するため、カット時に誤差を最小化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。
図2】一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする時、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、二つの部材の間にまた他の部材が存在する場合も含む。
本明細書において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反する記載がない限り、他の構成要素を除くものではなく、他の構成要素をさらに含んでもよいことを意味する。
本明細書において、用語「モノマーの重合単位」とは、そのモノマーが重合反応を経てその重合体の骨格、例えば、主鎖または側鎖を形成している形態を意味する。
本明細書において、単位「重量部」とは、各成分間の重量の比率を意味する。
【0009】
以下では本明細書についてより詳しく説明する。
一実施態様において、第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次設けられ、前記中間粘着層のガラス転移温度は-40℃以上0℃以下であり、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のガラス転移温度は各々-60℃以上-20℃以下であり、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度と前記中間粘着層のガラス転移温度との差は5℃以上25℃以下である、多層粘着テープが提供される。
【0010】
図1は、一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。具体的には、図1は、第1外郭粘着層101、中間粘着層201および第2外郭粘着層102が順次積層されたものを示す。
【0011】
本明細書において、ガラス転移温度(glass transition temperature、Tg)は、DSC(Differential Scanning Calorimeter)(Q-1000、TA Instrument社製)を用いて-70℃~100℃の温度範囲で加熱速度5℃/minで昇温して測定する。この時、ガラス転移温度はDSC曲線の中間点に決定する。
【0012】
前記中間粘着層のガラス転移温度は、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度より高くてもよい。それにより、前記中間粘着層はより高い引張力を有することができる。前記多層粘着テープは、相対的に高いガラス転移温度および高い引張力を有する中間粘着層を含むため、被着体に貼り付けてから再施工のために除去する時によく切れず、除去が容易な長所がある。具体的には、前記中間粘着層は、前記多層粘着テープのリワーク性を向上させる役割をすることができる。
【0013】
さらに、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、低いガラス転移温度を有するため、高い段差埋め込み性を実現することができる。具体的には、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、低いガラス転移温度によって高い流動性を有することができる。それにより、前記多層粘着テープは、効果的に段差部を有する部材に埋め込みできる。
【0014】
前記多層粘着テープは、物性が異なる複数の粘着層を含むことによって、高い段差埋め込み性と高いリワーク性を同時に有することができる。特に、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々と前記中間粘着層とのガラス転移温度の差が5℃以上25℃以下を満たす場合、前記粘着テープは最適な性能を発揮することができる。
【0015】
前記中間粘着層のガラス転移温度は、-40℃以上0℃以下、-40℃以上-15℃以下、-40℃以上-20以下、または-35℃以上-25℃以下であってもよい。前記中間粘着層のガラス転移温度が前記範囲を満たす場合、前記多層粘着テープの打ち抜き性を向上させることができ、前記粘着テープのハンドリングが容易である。また、前記ガラス転移温度の範囲内で、前記多層粘着テープは、より向上した段差埋め込み性を有することができる。
【0016】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のガラス転移温度は、各々、-60℃以上-20℃以下、-60℃以上-30℃以下、-60℃以上-40℃以下、または-55℃以上-45℃以下であってもよい。前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層のガラス転移温度が各々前記範囲を満たす場合、前記多層粘着テープは、優れた段差埋め込み性を実現することができる。さらに、前記ガラス転移温度の範囲内で、前記多層粘着テープの打ち抜き性の低下を最小化することができる。
【0017】
前記中間粘着層は、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む中間粘着重合体を含むことができる。
【0018】
前記中間粘着層において、前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して、30重量部以上90重量部以下、50重量部以上85重量部以下、または60重量部以上85重量部以下であってもよい。
【0019】
また、前記中間粘着層において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して、0重量部超30重量部以下、5重量部以上30重量部以下、または5重量部以上15重量部以下であってもよい。前記中間粘着層において、前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、適切な付着力を有し、段差を有する部材に適切に埋め込みできる。また、前記含量の範囲内で、前記多層粘着テープは、向上したリワーク性を有することができる。具体的には、前記含量の範囲内で、前記多層粘着テープは、適切な強度を保持することができるため、再施工が必要な場合に被着体から容易に除去できる。また、前記含量の範囲内で、中間粘着剤組成物を容易に塗布および硬化することができる。さらには、前記含量の範囲内で、前記中間粘着層内の遅延気泡(delayed bubble)の急激な増加を防止することができる。
【0020】
前記中間粘着層において、前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記中間粘着重合体100重量部に対して、0重量部超20重量部以下、5重量部以上20重量部以下、または5重量部以上15重量部以下であってもよい。前記中間粘着層において、前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、リワーク性と段差埋め込み性を同時に適切なレベルに有することができる。具体的には、前記含量の範囲内で、前記中間粘着層の適切な凝集力を確保することができ、それにより、前記多層粘着テープは、高いリワーク性と段差埋め込み性を同時に有することができる。さらには、前記含量の範囲内で、前記多層粘着テープの段差埋め込み性および打ち抜き性能を効果的に向上でき、前記多層粘着テープが被着体に貼り付けられて一定時間の経過後に発生する遅延気泡(delayed bubble)の発生が抑制できる。
【0021】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、各々独立して、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位および極性官能基含有モノマーの重合単位を含む外郭粘着重合体を含むことができる。
【0022】
前記外郭粘着層において、前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して、50重量部以上98重量部以下、70重量部以上98重量部以下、80重量部以上95重量部以下、または90重量部以上95重量部以下であってもよい。
【0023】
前記外郭粘着層において、前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して、0重量部超20重量部以下、0重量部超10重量部以下、1重量部以上10重量部以下、または3重量部以上7重量部以下であってもよい。前記外郭粘着層において、前記極性官能基含有モノマーの重合単位の含量が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープの付着力および段差埋め込み性を同時に適切なレベルに実現できるという長所がある。さらには、前記含量の範囲内で、前記多層粘着テープが被着体に貼り付けられて一定時間の経過後に発生する遅延気泡(delayed bubble)の発生を抑制することができる。また、前記含量の範囲内で、前記多層粘着テープは、前記第1外郭粘着層および第2外郭粘着層が適切な粘着力を実現することができる。
【0024】
前記外郭粘着重合体は、ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位をさらに含むことができる。
【0025】
前記ヘテロシクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在せず炭素以外のヘテロ元素が含まれた環構造を含むことができる。さらに、前記ヘテロシクロアルキル基は、炭素数3~20の単環式環(monocyclic ring)または多環式環(polycyclic ring)の構造において一つ以上の炭素がヘテロ元素で置換された構造を含むことができる。
【0026】
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーはテトラヒドロフルフリルアクリレート(THFA)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、テトラヒドロピラニルアクリレート(THPA)、アクリロイルモルホリンおよび環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA、cyclictrimethylol-propaneformalacrylate)からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0027】
前記ヘテロシクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーの重合単位の含量は、前記外郭粘着重合体100重量部に対して1重量部以上15重量部以下、具体的には、5重量部以上15重量部以下であってもよい。
【0028】
前記中間粘着重合体は、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマー、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび極性官能基含有モノマーを含む組成物を溶液重合して形成されたものであってもよい。具体的には、前記中間粘着重合体は、前記組成物を熱重合および/または光重合によって前記モノマーを重合して形成されたものであってもよい。
【0029】
また、前記第1外郭粘着重合体および前記第2外郭粘着重合体は、各々、アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーおよび極性官能基含有モノマーを含む組成物を溶液重合して形成されたものであってもよい。具体的には、前記第1外郭粘着重合体および前記第2外郭粘着重合体は、前記組成物を熱重合および/または光重合によって前記モノマーを重合して形成されたものであってもよい。
【0030】
前記中間粘着重合体、前記第1外郭粘着重合体および前記第2外郭粘着重合体は、各々、当業界で一般的に用いられる架橋剤、重合開始剤、粘着付与剤などの追加物質を必要に応じてさらに含むことができる。
【0031】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」または「メタクリレート」を意味する。
【0032】
前記シクロアルキル基は、官能基内に不飽和結合が存在しない炭素環構造を含むことができる。さらに、前記シクロアルキル基は、炭素数3~20の単環式環(monocyclic ring)または多環式環(polycyclic ring)を含むことができる。
【0033】
前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーは、炭素数1~20のアルキル基を有する(メタ)アクリレートであってもよい。具体的には、前記アルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソボルニルメチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-メチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレートおよびイソオクチル(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0034】
前記シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーはシクロヘキシルアクリレート(CHA)、シクロヘキシルメタクリレート(CHMA)、イソボルニルアクリレート(IBOA)、イソボルニルメタクリレート(IBOMA)、イソボルニルメチル(メタ)アクリレートおよび3,3,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート(TMCHA、3,3,5-trimethylcyclohexylacrylate)からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0035】
前記極性官能基含有モノマーは、ヒドロキシ基含有モノマー、カルボキシ基含有モノマーおよび窒素含有モノマーからなる群より選択される1種以上のモノマーを含むことができる。
【0036】
前記ヒドロキシ基含有モノマーは2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチレングリコール(メタ)アクリレートおよび2-ヒドロキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0037】
前記カルボキシ基含有モノマーはアクリル酸、メタクリル酸、2-カルボキシエチルアクリル酸、3-カルボキシプロピルアクリル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ酢酸、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチル酸、アクリル酸二量体、イタコン酸およびマレイン酸からなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0038】
前記窒素含有モノマーは2-イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、3-イソシアナトプロピル(メタ)アクリレート、4-イソシアナトブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミドおよびN-ビニルカプロラクタムからなる群より選択される1種以上であってもよいが、これらに制限されるものではない。
【0039】
前記中間粘着層の厚さは、30μm以上100μm以下、50μm以上100μm以下、50μm以上80μm以下、または60μm以上80μm以下であってもよい。前記中間粘着層の厚さが前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、適切な硬度を有するため、優れたリワーク性および段差埋め込み性を実現することができる。
【0040】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは、各々、25μm以上60μm以下、具体的には、25μm以上50μm以下であってもよい。前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さが前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、優れた段差埋め込み性を有することができる。
【0041】
前記多層粘着テープの総厚さは、100μm以上250μm以下、具体的には、100μm以上200μm以下、または120μm以上170μm以下であってもよい。前記多層粘着テープの総厚さが前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、薄い厚さを有するにもかかわらず、高い粘着性、段差吸収性およびリワーク性を同時に有することができる。
【0042】
前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層は、同一な組成の組成物を用いて形成されたものであってもよい。さらに、前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の厚さは同一であってもよい。
【0043】
前記第1外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層の厚さ比は、各々、1:4~2:1、具体的には、1:0.7~1:2、または1:0.7~1:1.5であってもよい。前記第1外郭粘着層および前記第2外郭粘着層の各々に対する前記中間粘着層の厚さ比が前記範囲内である場合、前記多層粘着テープは、優れた段差埋め込み性とリワーク性を同時に有することができ、打ち抜き性能にも優れる。
【0044】
前記多層粘着テープは、前記第1外郭粘着層と中間粘着層との間に設けられた第1界面混合層、および前記第2外郭粘着層と前記中間粘着層との間に設けられた第2界面混合層をさらに含むことができる。具体的には、前記第1界面混合層は、前記第1外郭粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質を全て含むことができる。さらに、前記第2界面混合層は、前記第2外郭粘着層を構成する物質と前記中間粘着層を構成する物質を全て含むことができる。
【0045】
図2は、一実施態様による多層粘着テープの積層構造の模式図である。具体的には、図2は、第1外郭粘着層101と中間粘着層201との間に第1界面混合層301が設けられ、中間粘着層201と第2外郭粘着層102との間に第2界面混合層302が設けられた多層粘着テープを示す。
【0046】
前記多層粘着テープは、第1外郭粘着剤組成物、中間粘着剤組成物および 第2外郭粘着剤組成物を順次積層した後、同時に硬化、具体的には光硬化させて製造されるものであってもよい。
【0047】
前記第1外郭粘着剤組成物は硬化後に前記第1外郭粘着層を構成し、前記中間粘着剤組成物は硬化後に前記中間粘着層を構成し、前記第2外郭粘着剤組成物は硬化後に前記第2外郭粘着層を構成することができる。具体的には、前記多層粘着テープは、各層を別途に製造した後にそれを接合するのではなく、液状組成物を積層した後にそれを同時に硬化する方法により製造できる。そのため、前記多層粘着テープを構成する各層間には液混じり区間が発生しうる。前記多層粘着テープは、このような液混じり区間により、一般的な多層粘着テープに比べて優れた層間付着力を確保することができ、極低温の環境においても層間の界面分離現象が発生しない。
【0048】
前記第1外郭粘着剤組成物と前記中間粘着剤組成物の界面、および前記中間粘着剤組成物と前記第2外郭粘着剤組成物の界面は、各々、液混じりに応じた界面層が存在しうる。具体的には、前記第1外郭粘着剤組成物と前記中間粘着剤組成物の界面における液混じりによる界面層は、硬化後に前記第1界面混合層を構成することができる。また、前記中間粘着剤組成物と前記第2外郭粘着剤組成物の界面における液混じりによる界面層は、硬化後に前記第2界面混合層を構成することができる。
【0049】
前記第1外郭粘着剤組成物、前記中間粘着剤組成物および前記第2外郭粘着剤組成物は、順次に基材上に塗布されることができる。また、前記第1外郭粘着剤組成物、前記中間粘着剤組成物および前記第2外郭粘着剤組成物は、同時に基材上に順次塗布されることができる。さらに、前記粘着剤組成物は、スロット-ダイ、リップ-ダイなどの当業界で一般的に用いられる方法により塗布されることができる。
【0050】
前記中間粘着層の厚さは、前記第1界面混合層の中心から前記第2界面混合層の中心までの最短距離であってもよい。また、前記第1外郭粘着層の厚さは、前記第1界面混合層の中心から前記第1外郭粘着層の外側面までの最短距離であってもよい。さらに、前記第2外郭粘着層の厚さは、前記第2界面混合層の中心から前記第2外郭粘着層の外側面までの最短距離であってもよい。
【0051】
前記多層粘着テープは、前記中間粘着剤組成物および前記外郭粘着剤組成物を各々フィルムに硬化させた後、それらを張り合わせることにより製造されるものであってもよい。具体的には、前記多層粘着テープは、第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層を各々別途にフィルム形態に製造した後、それらを順次積層した後に圧着して製造することができる。但し、前記製造方法に限定されるものではなく、前記多層粘着テープは、当業界で一般的に適用される製造法を用いて製造することができる。
【0052】
前記多層粘着テープは、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、反射シート、保護フィルムおよび輝度向上フィルムなどのような様々な光学部材の貼り付けのための用途として用いることができる。但し、これらに限定されるものではなく、当業界で使用できる用途として特に制限されずに用いることができる。
【実施例
【0053】
以下、本発明を具体的に説明するために実施例を挙げて詳しく説明することにする。但し、本発明に係る実施例は種々の他の形態に変形することができるものであって、本発明の範囲が下記に記述する実施例に限定されるものではない。本明細書の実施例は、当業界における平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0054】
[実施例1]
組成物100重量部に対し、80重量部の2-エチルヘキシルアクリレート、10重量部のイソボルニルメタクリレート、10重量部のアクリル酸を含む中間粘着剤組成物を製造した。
さらに、組成物100重量部に対し、94重量部の2-エチルヘキシルアクリレートおよび6重量部のアクリル酸を含む外郭粘着剤組成物を製造した。
前記外郭粘着剤組成物、前記中間粘着剤組成物および前記外郭粘着剤組成物を各々45μm、60μmおよび45μmの厚さに順次塗布した後、UV照射により同時に硬化させて、第1外郭粘着層、中間粘着層および第2外郭粘着層が順次設けられた多層粘着テープを製造した。
実施例1による多層粘着テープの中間粘着層のガラス転移温度は約-30℃であり、第1および第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度は約-50℃であった。
【0055】
[実施例2]
外郭粘着剤組成物のアクリル酸を2-カルボキシエチルアクリル酸に変更したことを除いては、実施例1と同様の方法により多層粘着テープを製造した。
実施例2による多層粘着テープの中間粘着層のガラス転移温度は約-30℃であり、第1および第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度は約-50℃であった。
【0056】
[比較例1]
外郭粘着剤組成物のアクリル酸の含量を1重量部に調節したことを除いては、実施例1と同様の方法により多層粘着テープを製造した。
比較例1による多層粘着テープの中間粘着層のガラス転移温度は約-30℃であり、第1および第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度は約-70℃であった。
【0057】
[比較例2]
外郭粘着剤組成物のアクリル酸の含量を15重量部に調節したことを除いては、実施例1と同様の方法により多層粘着テープを製造した。
比較例2による多層粘着テープの中間粘着層のガラス転移温度は約-30℃であり、第1および第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度は約-10℃であった。
【0058】
[比較例3]
中間粘着剤組成物のイソボルニルメタクリレートの含量を30重量部に調節し、外郭粘着剤組成物のアクリル酸の含量を2重量部に調節したことを除いては、実施例1と同様の方法により多層粘着テープを製造した。
比較例3による多層粘着テープの中間粘着層のガラス転移温度は約5℃であり、第1および第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度は約-60℃であった。
【0059】
[比較例4]
中間粘着剤組成物のイソボルニルメタクリレートの含量を2重量部に調節したことを除いては、実施例1と同様の方法により多層粘着テープを製造した。
比較例4による多層粘着テープの中間粘着層のガラス転移温度は約-50℃であり、第1および第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度は約-50℃であった。
【0060】
[比較例5]
中間粘着剤組成物がイソボルニルメタクリレートを含まないようにし、中間粘着剤組成物が22重量部のアクリル酸を含むようにしたことを除いては、実施例1と同様の方法により多層粘着テープを製造した。
比較例5による多層粘着テープの中間粘着層のガラス転移温度は約-30℃であり、第1および第2外郭粘着層の各々のガラス転移温度は約-50℃であった。
前記実施例および比較例における組成およびガラス転移温度を下記の表1に整理した。
【0061】
【表1】
*AA:アクリル酸
*IBOMA:イソボルニルメタクリレート
*B-CEA:2-カルボキシエチルアクリル酸
【0062】
[実験例]
前記実施例および比較例による多層粘着テープの物性を評価して下記の表2に示す。
リワーク性の評価
製造された多層粘着テープをガラス基板に貼り付け、40℃および4bar条件のオートクレーブに20分間放置した後、多層粘着テープを除去する時、多層粘着テープが切れずに一度に全て除去される場合には「◎」に、多層粘着テープが切れるが、5回以下の除去作業が必要な場合には「○」に、 多層粘着テープが容易に切れて6回以上の除去作業が必要な場合には「△」に、 多層粘着テープが容易に切れて除去作業が不可能な場合には「×」に評価した。
【0063】
段差埋め込み性の評価
20μmの印刷段差を有するベゼル部および印刷段差のない画面部を有するガラス基板上に製造された多層粘着テープを貼り付け、その上に0.55T厚さのガラス基板を積層した。そして、40℃および4bar条件のオートクレーブに20分間放置した後、ベゼル部の4個の頂点部分での段差を十分に克服できないために生成される気泡の個数および24時間経過後の画面部での遅延気泡(delayed bubble)を確認して段差埋め込み性を評価した。具体的には、遅延気泡が2個以下であり、遅延気泡(delayed bubble)が発生しない場合には「◎」に、遅延気泡が2~3個であり、遅延気泡(delayed bubble)が弱く発生する場合には「○」に、遅延気泡が3~4個であり、遅延気泡(delayed bubble)が強く発生する場合には「△」に、遅延気泡が4個以上であり、遅延気泡(delayed bubble)が強く発生する場合には「×」に評価した。
【0064】
打ち抜き性能の評価
製造された多層粘着テープをトムソン打抜機を用いて打ち抜き時の糊残りの発生有無および刃部および打ち抜き部に糊残りがくっ付いて打ち抜き工程収率が減少する程度などを測定して打ち抜き性能を評価した。具体的には、糊残りの発生なしに打ち抜きされ、打ち抜き工程収率が95%以上であり、打ち抜きしてから一週間の経過後に打ち抜き面から粘着剤の流れがない場合には「◎」に、糊残りの発生なしに打ち抜きされ、打ち抜き工程収率が80%以上95%未満であり、打ち抜きしてから一週間の経過後に打ち抜き面から粘着剤の流れがない場合には「○」に、糊残りの発生なしに打ち抜きされ、打ち抜き工程収率が50%以上80%未満であり、打ち抜きしてから一週間の経過後に打ち抜き面から粘着剤の流れが発生する場合には「△」に、糊残りの発生なしに打ち抜きされ、打ち抜き工程収率が50%未満であり、打ち抜きしてから一週間の経過後に打ち抜き面から粘着剤の流れが発生する場合には「×」に評価した。
【0065】
【表2】
【0066】
表2によれば、比較例1は、中間粘着層と外郭粘着層のガラス転移温度差が過度に大きいため、リワーク性と打ち抜き性能が非常に低調であることが分かる。また、比較例2は、外郭粘着層のアクリル酸の含量が過度に高いため、段差埋め込み性が低調であることが分かる。また、比較例3は、中間粘着層のガラス転移温度が過度に高く、中間粘着層と外郭粘着層のガラス転移温度差も過度に大きいため、段差埋め込み性が低調であることが分かる。また、比較例4は、中間粘着層のガラス転移温度が過度に低いため、リワーク性および打ち抜き性能が低調であることが分かる。さらに、比較例5は、シクロアルキル基含有(メタ)アクリレートモノマーを含まないことによって、中間粘着層の硬度が確保されないため、リワーク性が低調であることが分かる。
【符号の説明】
【0067】
101 ・・・第1外郭粘着層
102 ・・・第2外郭粘着層
201 ・・・中間粘着層
301 ・・・第1界面混合層
302 ・・・第2界面混合層
図1
図2