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特許7088975表面検出及びピッキングツールマニピュレーター
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】表面検出及びピッキングツールマニピュレーター
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/26 20060101AFI20220614BHJP
【FI】
C12M1/26
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2020050424
(22)【出願日】2020-03-23
(62)【分割の表示】P 2017551041の分割
【原出願日】2016-03-30
(65)【公開番号】P2020110177
(43)【公開日】2020-07-27
【審査請求日】2020-04-17
(31)【優先権主張番号】62/140,002
(32)【優先日】2015-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517274165
【氏名又は名称】ビーディー キエストラ ビーヴイ
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】ベルントセン,マルテイン クサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シンエマ,ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】クリーフストラ,マルテイン
【審査官】平林 由利子
(56)【参考文献】
【文献】特許第6681916(JP,B2)
【文献】国際公開第2014/189219(WO,A1)
【文献】特表2013-531505(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02793031(EP,A1)
【文献】特開2000-157257(JP,A)
【文献】特表2014-528723(JP,A)
【文献】特表2010-504086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00-3/10
C12N 1/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
培地から試料を採取するデバイスであって、
交換可能なピッキングツールを受け入れる空洞構造体を備える本体であって、前記本体及び前記ピッキングツールは組立された際におよそ軸方向に位置合わせされている、本体と、
前記ピッキングツールが前記培地の上に配置された試料と接触するとき、前記ピッキングツールに加えられる力に応じて信号を発生させるように構成された検出器と、
を備え、
前記デバイスは、少なくとも第1のモード及び第2のモードで動作するように構成され、前記第1のモードは、前記本体及びッキングツールアセンブリが、前記培地の表面に対して略垂直な軸方向において自由に移動するのを可能にし、前記第2のモードは、前記本体及び前記ピッキングツールアセンブリの前記軸方向の移動に対して、前記デバイスが前記第1のモードにあるときより大きい抵抗を加え、
前記デバイスは、前記本体に結合されたデバイス構造体であって、前記本体は、前記第1のモードでは前記デバイス構造体に対して前記軸方向により自由に移動し、前記第2のモードでは前記軸方向においてこうした軸方向の移動が阻止される、デバイス構造体と、前記本体に結合された鍵であって、前記鍵は、前記鍵の上方の前記デバイス構造体の開口部と協働し、前記第1のモードでは、前記デバイス構造体と係合せず、前記デバイス構造体内にかつそこを通って前進することができ、前記第2のモードでは、前記デバイス構造体内にかつそこを通って前進することができない、鍵と、を更に備える、デバイス。
【請求項2】
前記第2のモードにおける前記抵抗の大きさは、第1の所定の動きの範囲を超える前記本体の変位によって徐々に増大する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2のモードにおける前記抵抗の大きさは、第1の所定の動きの範囲を超える前記本体の変位時に階段関数として増大する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記デバイスが前記第2のモードに切り替わると、前記ピッキングツールと前記培地の上に配置された前記試料との接触の際の又は接触に続く前記本体の移動に応じて、前記本体の移動に抵抗し始めるように構成されたばねを更に備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記検出器は、前記デバイスと前記試料との間の相対位置を検出することに応じて前記信号を発生するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記ピッキングツールが、前記培地の上に配置された前記試料と接触しているか又は接触するとき、前記デバイスは、前記第1のモードから前記第2のモードに切り替わるように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記鍵は、前記鍵及び前記本体に共通の軸から離れる少なくとも1つの横方向の拡張部を有し、前記開口部は、前記少なくとも1つの横方向の前記拡張部が通過することができるようなサイズである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記本体が内部に延在するスリーブを更に備え、前記第1のモードでは、前記本体は、前記スリーブ内で前記軸方向に自由に移動可能であり、かつ、前記スリーブは、前記本体と同軸配置で前記本体を制限し、前記第2のモードでは、前記スリーブ及び前記デバイス構造体は、協働して、前記デバイス構造体に対する前記本体の移動を制限する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
培地から試料を採取する方法であって、前記方法は、
培地から試料を採取するデバイスと検出器とを提供することであって、
前記デバイスは、交換可能なピッキングツールを受け入れる空洞構造体を備える本体を有し、前記本体及び前記ピッキングツールはおよそ軸方向に位置合わせされており、
前記検出器は、前記ピッキングツールが前記培地の上に配置された試料と接触するとき、前記ピッキングツールに加えられる力に応じて信号を発生させるように構成されており、
前記デバイスは、少なくとも第1のモード及び第2のモードで動作するように構成され、前記第1のモードにおいて、前記デバイスは前記培地の表面に対して略垂直な軸方向において前記本体及び前記ピッキングツールの移動に抵抗を与えず、前記第2のモードは、前記デバイス内の前記本体及び前記ピッキングツールの軸移動を制限し、前記第2のモードにおいて自由な前記軸移動が防止される、デバイスと検出器とを提供することと、
前記デバイスは、軸方向における前記デバイスの支持構造体に対する前記本体の動きに抵抗を与えずに、前記デバイスの前記第1のモードを開始することと、
前記試料を採取するように構成された前記ピッキングツールを受け入れかつ保持するように前記デバイスを前記軸方向に移動させることと、
前記培地の上に配置された前記試料と接触するように前記デバイスによって前記ピッキングツールを移動させることと、
前記デバイスの前記第2のモードを開始するとともに、前記軸方向における前記デバイスの移動を妨げるように移動に抵抗を与えることと、
前記ピッキングツールが前記デバイスに取り付けられている間に前記試料を採取するように前記ピッキングツールを操作することと、
前記採取された前記試料を採取位置に堆積させることと、
を含む、方法。
【請求項10】
採取された前記試料を堆積させた後、採取された前記試料を処理することを更に含み、採取された前記試料を前記処理するステップは、処理、試験、培養又は保存を含む群から選択されたプロセスのうちの少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記操作するステップは、前記デバイスが前記ピッキングツールを回転させることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記ピッキングツールを廃棄するように前記デバイスから前記ピッキングツールを解放することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
前記ピッキングツールと前記培地との間の接触を検出することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項14】
前記ピッキングツールが培養物と接触する高さを検出することを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ピッキングツールが前記試料と接触する高さを検出することを更に含む、請求項に記載の方法。
【請求項16】
前記デバイスは、前記本体に結合されたデバイス構造体と、前記本体に結合された鍵とを更に備え、
前記デバイスは、前記第1のモードにおいて、前記デバイス構造体に対して前記軸方向における軸移動から前記本体をロックせず、前記本体は前記第2のモードにおいて、前記軸方向における軸移動からロックされ、
前記鍵は、前記鍵の上方の前記デバイス構造体の開口部と協働し、前記第1のモードでは、前記デバイス構造体と係合せず、前記デバイス構造体内にかつそこを通って前進することができ、前記第2のモードでは、前記デバイス構造体内にかつそこを通って前進することができない、請求項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のモードにおいて、第1の所定の動きの範囲を超える前記本体の変位によって前記抵抗の大きさを徐々に増大する、請求項に記載の方法。
【請求項18】
前記第2のモードにおいて、第1の所定の動きの範囲を超える前記本体の変位時に前記抵抗の大きさを階段関数として増大する、請求項に記載の方法。
【請求項19】
ばねを更に備え、前記ばねは、前記第2のモードにおいて、前記ピッキングツールと前記培地の上に配置された前記試料との接触の際の又は接触に続く前記本体の移動に応じて、前記本体の軸方向の向きの移動に抵抗する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記検出器は更に、前記デバイスと前記試料との間の相対位置を検出することに応じて前記信号を発生する、請求項に記載の方法。
【請求項21】
前記ピッキングツールが、前記培地の上に配置された前記試料と接触しているか又は接触するとき、前記第1のモードから前記第2のモードに切り替わる、請求項に記載の方法。
【請求項22】
前記鍵は、前記鍵及び前記本体に共通の軸から離れる少なくとも1つの横方向拡張部を有し、前記開口部は、前記少なくとも1つの拡張部が通過することができるようなサイズである、請求項16に記載の方法。
【請求項23】
前記デバイスは、前記本体が内部に延在するスリーブを更に備え、前記第1のモードでは、前記デバイスは、前記スリーブ内で前記軸方向に自由に移動可能であり、かつ、前記スリーブは、前記本体と同軸配置で前記本体を制限し、前記第2のモードでは、前記スリーブ及び前記デバイス構造体は、前記デバイス構造体に対する前記本体の移動を抵抗する、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、「SURFACE DETECTION AND PICKTOOL MANIPULATOR」と題する2015年3月30日に出願された米国仮特許出願第62/140,002号明細書の出願日の利益を主張し、その開示内容は、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0002】
本出願の主題は、ロボットマニピュレーター機器とそれを動作させる方法とに関する。一例では、ロボットマニピュレーター機器は、寒天プレート等の培地から試料を採取するために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
ロボットシステムを用いて試料を採取する場合、例えば、粘性培地、例えば寒天プレート等から微生物培養物又は細菌培養物の試料を採取する場合には、ロボットシステムは、試料の採取のために自身を正確に位置決めする必要がある。培養物の水平面における位置(例えば、デカルト座標空間におけるx水平方向及びy水平方向における位置)は、撮像システムに基づく計算を通して求めることができる。しかしながら、こうした撮像システムは、十分な精度で培養物の垂直位置を求めることができない。垂直位置は、撮像システムで求めることが困難である可能性があり、それは、試料及び培地は、各々、限定されないが、色、透過性、反射率及び含水率等の特性が大きく異なる可能性があるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
幾つかの方法が提案され研究されてきたが、これまで好適な解決法は見つかっていない。培地の表面に対するロボットシステムの移動が深すぎることにより、システムが、培地の過剰な材料を採取するか、又は不十分な試料を採取する、例えば、非常にわずかな細菌を採取することになる可能性があるため、試料の垂直位置を求めることは必須である。いずれの場合も、これらの問題により、測定値が不安定になり試験結果の信頼性が低くなる可能性がある。
【0005】
これらの問題に鑑みて、ロボット採取システム及びそのための方法における更なる改良が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の実施形態の一態様によれば、培地から試料を採取するデバイスが記載される。デバイスは、使い捨てのピッキングツール(picktool)を受け入れる本体部分を含む。したがって、本体部分は、ピッキングツールを受け入れるように構成され、ピッキングツールは、使用後に本体部分から容易に分離される。本体及びピッキングツールアセンブリは、記載する実施形態ではおよそ軸方向に位置合わせされる。デバイスは、ピッキングツールが、培地又は培地の上に配置された試料のいずれかと接触するときにピッキングツールに加えられる力に応じて信号を発生させる検出器を含む。
【0007】
デバイスは、少なくとも第1のモード及び第2のモードで動作するように構成されている。第1のモードにおいて、本体及びピッキングツールアセンブリは、軸方向において相対的に自由に移動する。この方向は、培地の表面に対しておよそ垂直である。第2のモードは、本体及びピッキングツールアセンブリの軸方向移動に対して、デバイスが第1のモードにあるときより大きい抵抗を加える。
【0008】
ピッキングツールは、所定の動きの範囲を超えて動作するように構成されている。一実施形態では、第2のモードにあるときの軸方向における移動に対する抵抗は、所定の動きの範囲を超える本体の変位によって徐々に増大する。更なる実施形態では、第2のモードにおける移動に対する抵抗の大きさは、第1の所定の動きの範囲を超える本体の変位時に階段関数として増大する。
【0009】
幾つかの実施形態では、デバイスは、デバイスが第2のモードに切り替わると、ピッキングツールと培地の上に配置された試料との接触の際の又は接触に続く本体の移動に応じて、本体の軸方向の移動に抵抗し始めるように構成された、ばねを有する。例えば、デバイスは、ピッキングツールが培地の上に配置された試料と接触しているか又は接触するときに第1のモードから第2のモードに切り替わるように構成されている。
【0010】
幾つかの実施形態では、検出器は、デバイスと試料との間の相対位置を検出することに応じて信号を発生させるように構成されている。
【0011】
第1のモードから第2のモードに切り替わるために、本体は、本体に結合された構造体を備える。本体は、第1のモードでは、構造体に対して軸方向により自由に移動し、第2のモードでは、軸方向におけるこうした軸方向の移動に対してより抵抗があるか又はこうした軸方向の移動が阻止される。例えば、本体に結合された鍵が設けられている。鍵は、鍵の上方の構造体の開口部と協働し、それによって、第1のモードでは、構造体と係合せず、構造体内にかつそこを通って前進することができる。しかしながら、第2のモードでは、鍵は、構造体内にかつそこを通って前進することができない。更なる実施形態では、構造体は、軸を中心とする方向において本体を回転させるように本体に結合されたモーターを含む。これらの実施形態では、モーターは、鍵が構造体内にかつそこを通って前進することができる第1のモードに対応する第1の位置と、鍵が構造体内にかつそこを通って前進することができない第2のモードに対応する第2の位置との間で、構造体に対して本体を回転させるように構成されている。他の更なる実施形態では、鍵は、鍵及び本体に共通の軸から離れる少なくとも1つの横方向拡張部を有する。構造体は、少なくとも1つの拡張部が通過することができるようなサイズである開口部を有する。
【0012】
他の実施形態では、構造体は、スリーブを有し、本体はそこを通って延在する。デバイスが、これらの実施形態において第1のモードで動作しているとき、本体は、スリーブ内で軸方向に自由に移動可能であり、スリーブは、本体と同軸配置で本体を制限する。第2のモードで動作しているとき、スリーブ及び構造体は協働して、構造体に対する本体の移動を制限する。
【0013】
代替実施形態では、培地から試料を採取するデバイスは、取外し可能なピッキングツールを受け入れかつ保持する本体を有する。ピッキングツールは、本体によって受け入れられるとデバイスから延在する。デバイスは、デカルト空間において(ピッキングツールと結合することができる)本体を移動させる機構を有する。したがって、ピッキングツールは、デバイスによって受け入れられる第1の位置から、培地の上に配置された試料をピッキングするように使用される第2の位置まで移動させることができる。デバイスは、ピッキングツールを試料まで前進させる機構を含む。デバイスはまた、ピッキングツールが培地の上に配置された試料と接触するように前進すると信号を発生させる信号発生器も含む。デバイスは、第1のモードで、本体が所定の動きの範囲内で培地の表面に対して略垂直な方向においてより自由に移動するのを可能にする、機構を含む。この機構は、第2のモードに切り替えられると、本体が第2のモードにおいて所定の動きの範囲を超えて移動するときに略垂直な方向における移動に対する本体の抵抗を増大させる。或る特定の実施形態では、本体は、第1のモードでは(培地に対して)略垂直方向に自由に移動し、第2のモードでは略垂直方向に移動しない。
【0014】
本開示の別の態様によれば、培地から試料を採取する方法が開示される。本方法は、培地から試料を採取するデバイスの第1のモードを開始することであって、この第1のモードは、デバイスの支持構造体に対して軸方向におけるデバイスの移動を可能にすることと、試料を採取するように構成されたピッキングツールを受け入れかつ保持するようにデバイスを軸方向に移動させることと、培地の上に配置された試料と接触するようにデバイスによってピッキングツールを移動させることと、デバイスの第2のモードを開始するとともに軸方向におけるデバイスの移動を妨げることと、ピッキングツールがデバイスに取り付けられている間に、試料を採取するようにピッキングツールを操作することと、採取された試料を採取位置に堆積させることとを含むことができる。
【0015】
この態様の一実施形態では、操作するステップは、デバイスがピッキングツールを回転させることを含むことができる。さらに又は代替的に、ピッキングツールを廃棄するように、デバイスからピッキングツールを解放することができる。
【0016】
幾つかの実施形態では、採取された試料を堆積させた後、採取された試料を処理することができる。処理するステップは、処理試験、培養又は保存を含む群から選択されたプロセスのうちの少なくとも1つを含むことができる。
【0017】
別の実施形態では、本方法は、ピッキングツールと培地との間の接触を検出することを更に含むことができる。さらに又は代替的に、本方法は、ピッキングツールが培地と接触する高さを検出することを含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による培地から試料を採取するために用いられるデバイスの移動を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態による、培地との接触の高さを検出しかつ培地から試料を採取する方法を示すフローチャートである。
図3】本発明の一実施形態による、培地から試料を採取する例示的なデバイスの構造を概略的に示す断面図である。
図4A】第1のモードでの動作のために第1の位置にあるデバイスを概略的に示す平面図である。
図4B】第2のモードでの動作のために第2の位置にあるデバイスを概略的に示す平面図である。
図5図3に示す実施形態の変形を示す断面図である。
図6図3に示す実施形態の変形を示す断面図である。
図7図3に示す実施形態の変形を示す断面図である。
図8図3に示す実施形態の変形を示す断面図である。
図9図3に示す実施形態の変形を示す断面図である。
図10図3に示す実施形態の変形を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
したがって、本明細書に提供するデバイスは、培地の上の試料、例えば、培地、例えば寒天プレートの表面上の細菌コロニーの表面等、培地の表面をいずれも検出するために使用することができる。こうしたデバイスは、回転マニピュレーターとしても機能することができ、また、センサーを含むことができ、交換可能なピッキングツールの存在を検出し未使用のピッキングツールを受け入れ、試料を採取した後にこの採取済みの試料を堆積させ、使用済みのピッキングツールの除去を補助する等、追加の必要な機能もまた果たすことができる。
【0020】
したがって、培地からの試料、例えば、培地、例えば寒天プレートの上で成長するか又は他の方法でその上に支持される培養物又は組織を採取するために使用されるようなピッキングツールを操作する、改善されたデバイス及び方法が提供される。こうしたデバイスにより、デバイスが培地と接触するようにピッキングツールを移動させることに応じてデバイスによって生成される信号を用いて、培地に対するピッキングツールの高さを正確に測定することができる。
【0021】
したがって、一実施形態では、デバイスは、ピッキングツールを受け入れかつ保持するピッキングツール受入れ本体を有することができる。デバイスは、第1の動作モードを有することができ、そこでは、本体(及びそれによって受け入れられるピッキングツール)は、本体の軸方向においてデバイスの支持構造体に対してより自由に移動し、こうした移動は、ピッキングツールが培地と接触するか又は培地と「係合する」ことに応じて発生する。デバイスが培地に向かって、通常、下向きの方向、又は実質的に下向きの成分を含む方向に移動するとき、デバイスが培地に向かって移動している間、ピッキングツールは培地に近づき、培地と接触する。こうした動きの結果、培地は、デバイスの支持体等、デバイスの他の構造体に対して、培地から離れる方向で本体の軸方向における、ピッキングツール及びピッキングツール受入れ本体の下向きの動きに対する抵抗を与える。したがって、一例では、ピッキングツールが培地と係合するようにデバイスが培地に向かって下方に移動することにより、ピッキングツール及びピッキングツール受入れ本体は、デバイスの他の構造体に対して、軸方向に、例えば、培地から離れて上向きに付勢される。
【0022】
デバイスの構造体に対する本体の軸方向移動に基づいて、デバイスに関連する検出器は、ピッキングツールが培地と接触するデバイスの高さを求めるために使用することができる信号を発生する。求められる高さは、培地から試料を採取するようにピッキングツールを操作するためにデバイスが正確に位置決めされる、デバイスの垂直位置である。そして、デバイスを用いて、培地から試料を採取することができる。特定の例では、図5図10に関して後述するように、デバイスは、培地からの試料の採取を補助するためにピッキングツールと培地との間に増大する下方向の力(又は、上方向の力に対する増大する抵抗)を加える構造体を有することができる。
【0023】
一実施形態では、デバイスが試料を採取するために事前に求められた高さに達すると、本体は、デバイス構造体に対して上方に押し上げられることが制限される。そして、デバイスは、例えばモーターを用いてピッキングツールを回転させること等により、ピッキングツールを操作して培地から試料を採取することができる。例えば、培地から試料の物質を採集するように、デバイスにより、ピッキングツールを培地に対して移動させることができる。具体的な例では、本体に結合されたモーターが、培地に対してピッキングツールを回転させて、ピッキングツールが培地から試料物質を採集するようにすることができる。特定の例では、試料から採集される物質は、ピッキングツールのブレード又は他の採取面に留まる。
【0024】
第2の動作モードでは、ピッキングツール受入れ本体が自由に移動するのを可能にするのではなく、ピッキングツール受入れ本体は、デバイス構造体に対して軸方向に移動することが制限されるか又は妨げられる。このモードでの動作の一例では、デバイスは、新たなピッキングツールを受け入れるか又は使用済みのピッキングツールを廃棄するときに、この第2のモードで動作させることができる。
【0025】
ここで図1及び図2を参照すると、培養プレートのストックからサンプル採取用の高容量装置で使用されるために好適な高い繰返し率で個々の試料を採取するように、自動化方法においてデバイスを使用する例が示されている。培地は、プレート毎に異なる可能性があり、培地の数及びタイプは広く異なる可能性がある。プレート毎に1つ以上のピッキングがある可能性がある。デバイスによって保持されるピッキングツールを用いて試料を採取した後、デバイスは、採取した試料を、更なる処理、例えば試験、更なる培養、又は試料の保存のために、採取位置に堆積させる。その後、デバイスは、使用済みのピッキングツールを廃棄し、次いで、同じ採取プロセスを再び開始し、別のピッキングツールを受け入れ、その後、システムによる要求に応じて同じプレート又は異なるプレートのいずれかから、上述したような方法により別の試料を採取することができる。
【0026】
したがって、デバイス100を用いる例示的な動作方法では、使用を待つ第1のステーションA(図1)において、多数のピッキングツール102を配列形式で配置することができる。一例では、外部アクチュエーター110が、座標空間内で複数の自由度でデバイス100を移動させることができる。例えば、アクチュエーターは、様々な作業が行われるステーションの間で水平方向、垂直方向及び/又は周方向にデバイスを自動的に移動させるようにプログラムすることができる。このように、アクチュエーターは、ステーションからステーション(例えば、ピッキングツールを受け取る第1のステーション、サンプルをピッキングする第2のステーション、ピッキングされたサンプルを堆積させる第3のステーション等)に少なくとも横方向にデバイスを移動させ、必要な場合は上向きの方向及び下向きの方向にデバイスを移動させることができる。アクチュエーターは、論理回路、プロセッサによって実行可能な命令のセット、又は論理回路及び実行可能命令のセットの両方等の構成要素によって、電子的に制御される。特定の例では、アクチュエーターは、1つ以上のプロセッサによって実行される命令を含む1つ以上のプログラムによって制御される。
【0027】
したがって、A(図1)及び210(図2)に見られるように、デバイスは、ピッキングツールを保持する本体の上向きの移動を制限するか又は阻止するか又は抑制する、第2の動作モードで動作させることができ、アクチュエーターは、ピッキングツール受入れ本体の軸方向にデバイスを移動させることができ、それにより、本体はピッキングツールを受け入れる。例えば、ピッキングツールのシャフトが本体の空洞内に受け入れられ、ピッキングツールシャフトと本体との間の相対移動を妨げるように堅く保持されるように、デバイスを下向きに移動させることができる。
【0028】
その後、デバイスは、本体がデバイスに対してより自由に移動するのを可能にする第1の動作モードにすることができる。そして、B(図1)及び220(図2)に見られるように、アクチュエーターは、デバイスが第1のモードで動作している間に、培地に向かう方向、例えば下向きにデバイスを移動させて、ピッキングツールが培地と接触する高さを求めることができる。230(図2)に見られるように、デバイスは、ピッキングツールとサンプルとの間の接触がまだ検出されていない限り、下向きに移動し続ける。ピッキングツールと培地との間の接触をデバイスの検出器が検出し、高さが求められる。一例では、ピッキングツールの上向きの方向の移動に至る、下向きの方向の移動に対する抵抗を検出することにより、接触が検出される。
【0029】
そして、C(図1)及び250(図2)に見られるように、デバイスは依然として第1の動作モードにある状態で、ピッキングツールは、培地の上に配置された試料と接触し、その時点で、デバイスは、第1のモードから第2のモードに切り替わって試料を採取する。試料を採取するとき、デバイスは、上向きの動きを少なくとも阻止するか又は抑制するが、代替実施形態では、採取が行われる際に、ピッキングツールを培地及び試料と確実に接触したままにするように、ピッキングツールに対して増大した下向きの力を加えることができる。ピッキングツールと培地との間の下向きの力を加えかつ維持する様々な方法については、例えば、図6図10に関して後述する。そして、D(図1)及び260(図2)に見られるように、アクチュエーターは、その後、デバイスが試料表面からピッキングツールを引っ込めるようにし(ピッキングツールは、プレート表面にわたるピッキングツールの引きずりを回避するように最初は垂直方向上向きに移動するべきである)、その後、デバイスを試料堆積位置、例えばサンプル調製ステーションまで移動させ、その後、採取した試料が、更なる処理のためにピッキングツールから溶液内に解放されるようにすることができる。
【0030】
その後、E(図1)において、デバイス100は、第2の動作モードになり、第3のステーションまで移動することができ、その時点で、デバイスは、使用済みのピッキングツールを廃棄することができる。そして、プロセスは、Aにおいてデバイスに別の(未使用の)ピッキングツールを受け取らせることにより、再び開始することができる。ピッキングツールは、上述したようにデバイスによって受け取られる。
【0031】
ここで図3を参照すると、ここでは、本発明の一実施形態によるデバイス300の具体的な例が与えられる。図3の実施形態に示すように、デバイス300は、ピッキングツール受入れ本体302を有し、ピッキングツール受入れ本体302は、ピッキングツールのシャフトとすることができるピッキングツール102(図1)の一部を受け入れる空洞305を有する。当業者は、ピッキングツールを受け入れるようにデバイスを構成することができる多くの異なる構成を認識している。本発明は、図3に示す具体的な構成に限定されるものとして解釈されるべきではない。空洞305は、軸方向に延在する軸306を確定し、その方向において、ピッキングツールシャフトは、空洞305に受け入れられたときに延在する。ピッキングツールは、空洞305に受け入れられる際、ピッキングツールのシャフトを本体302内に挿入しているとき又はそこから除去若しくは投棄しているときを除き本体に対する移動を妨げるように、本体302によって堅く保持される。
【0032】
空洞305の断面寸法及び形状は、通常、ピッキングツールのシャフトの寸法及び形状と一致するが、場合によっては、寸法及び形状は、ピッキングツールが受け入れられたときに空洞305内で堅く保持される程度に対応するだけでよい。本体302内にロッド304を摺動可能に配置することができ、ロッドは、例えば、ピッキングツールが本体302の開放端部301内に挿入されたときに上向きに力を加えることができる固定つまみ326を有する。ロッド304は、ピッキングツールが本体302内に挿入されていないときに開放端部301から下向きに突出するように付勢することができる。
【0033】
図3に更に見られるように、本体302によって受け入れられるピッキングツールの存在を検出するように、つまみ326が上向きに押されるときを検出する光学反射センサー328を設けることができる。
【0034】
本体302は、例えば、ねじ309等を用いて、その頂部に、頭部308を取り付けるためのねじ穴を有することができる。本体302は、通常V字型を有する溝312を有することができ、その中で、ビード又はボール314を配置しかつ回転させることができる。スリーブ316が、ボールがスリーブと本体302との間で保持されるように対応する孔を有することができる。
【0035】
一例では、デバイスのステッピングモーター等のモーターの中空ローター318の開口部に、スリーブ316を圧入することができ、そこでは、要素320が、更なる部分、例えばモーターのハウジング及びステーターを表す。スリーブ316及びピッキングツール受入れ本体302は、協働して、本体をモーターのローター318に係止しながら、本体の開放端部301から離れる方向である軸方向、例えば垂直に、本体302が自由に移動にするのを可能にし、それにより、ローターを回転させることによって、本体302を様々な位置の間で制御可能に回転させることができる。
【0036】
開放端部301から遠く離れた本体302の上端部322に取り付けられた頭部308は、軸306から離れる横方向に延在する1つ以上の部分を有することができる。図3に示すように、横方向に延在する部分は、軸306から離れて反対方向に延在する2つの翼状部324とすることができる。(デバイス構造体340の下から上向きに見ている)図4Aにおける平面図に更に示すように、第1の動作モードにおいて、第1の位置で、翼状部324は、デバイス構造体、例えば、デバイスの上部カバーの対応する開口部325と位置合わせすることができる。この第1のモードでは、翼状部を開口部と位置合わせすることにより、翼状部324は、本体302の軸方向において、例えば上向きに及び下向きに自由に移動することができる。対照的に、第2の動作モードでは、頭部308及びそこから延在する翼状部324は、図4Bに見られるように、翼状部が開口部325と位置合わせされないように位置決めされる。例えば、第2の位置で、頭部は、第1の位置に対して90度の角度で回転することができ、それにより、デバイスの構造体は、頭部308及びそれに取り付けられている本体302が軸方向に移動するのを制限する。
【0037】
図3における、翼状部324を備える頭部308と開口部325とは、「鍵と穴」の構成として示されているが、等しく適切に機能を提供する他の構成が可能である。例えば、開口部は、軸306から離れて反対方向に延在する円筒状部分及び側方部分を有する代わりに、代替的に、第1の位置で翼状部を収容するのに十分な単純な矩形の形状を有することができ、一方で、第2の開口部では、翼状部は、こうした矩形開口部の外側に位置する構造体の領域によって、軸方向に移動することが阻止される。
【0038】
デバイスは、ピッキングツールが培地と接触することに応じて信号を発生させる検出器330を含むことができる。一例では、検出器は、デバイスが培地に向かって下向きに移動し、その後ピッキングツールが培地と接触するとき等、軸方向、例えば上向きの方向における頭部の移動を検出することができる。そして、こうした検出器330は、デバイスの頭部308及び本体302が、本体が軸方向に自由に移動するのを可能にする第1の位置にある状態で、培地と接触したときに本体が上向きに押し上げられると、信号を発生させる。一例では、検出器は、ホール効果センサー330とすることができ、このホール効果センサー330は、頭部308の中又は上に配置された磁石332の移動による等、磁場の変化に応じて電気信号を発生させるように構成されている。一例では、頭部308は、頭部の周縁部に4つの磁石332を組み込むことができ、各磁石は、頭部の上で次の隣接する磁石から90度の角度で間隔を空けて配置され、頭部における各位置の磁石の磁気分極は、頭部の周縁部におけるこうした磁石に隣接する磁石の磁気分極に対して交互である。検出器及びこうした4つの磁石の配置を用いて、頭部が第1の位置で開口部と位置合わせされているか否か、又は、頭部が、第1の位置に対して軸306を中心に回転した第2の位置にあって、頭部がそれにより軸方向に移動するのが制限されているか否かを検出することができる。頭部が既知の位置にあるとき、検出器又はホール効果センサー330を用いて、既知の位置から離れる頭部の垂直移動を検出することができる。
【0039】
動作の例では、頭部308が、デバイス構造体340によって軸方向に移動するのを制限されると、デバイス300は、外部アクチュエーター(110、図1)によってピッキングツール102のシャフトの上に下向きの方向に移動して、本体内にピッキングツールを受け入れることができる。ピッキングツールが本体内の所定位置まで挿入されるまで、又は光学センサー328がつまみ326を検出するまで、デバイスの下向きの移動を続けることができる。
【0040】
そして、アクチュエーター110によって、デバイス300を上向きに移動させることができ、本体を90度の角度回転させるように、ステッピングモーターのローター318を作動させることができる。こうした時点で、デバイスはこのとき第1のモードにあり、頭部308は第1の位置にあって、阻止されない垂直移動を可能にする。そして、デバイス300は、試料(例えば、限定なしに、寒天等の成長培地上の微生物コロニー又は細菌コロニー)を含有する培地の表面の上方に位置決めされ、その後、検出器330が頭部308の上向きの移動に基づいて信号を発生させるまで、下向きに低速で移動する。信号が発生する時点での垂直アクチュエーターの実際の位置を用いて、試料が培地の上に位置する、培地に対するデバイスの高さを求めることができる。ピッキングツールは、このとき、寒天培地等の培地の上の試料、例えば細菌コロニーの上に、下向きの力によって載ることができ、この下向きの力は、デバイスの他の部分(例えば、本体302、ロッド304等)に対して軸方向に移動するデバイスの部分に関連するそれらの構成要素の重量によって決まる。
【0041】
特定の実施形態では、培地の表面を検出するために第1のモードでデバイスを動作させるとき、培地に対するピッキングツールの総表面圧力が(その上に押し付けるデバイスの部分の総合重量による等)高すぎる場合、本体302に結合された磁石をコイル内に位置決めすることができる。このように、コイルは、通電されると磁場を発生し、この磁場は、磁石に作用して、培地の表面に対するピッキングツールの圧力を抑制することができる力を生成する。
【0042】
上述したデバイスの機能及び特徴は、種々の方法で実施することができる。例えば、図5に見られるように、代替的に、又はセンサー328(図3)に加えて、デバイスは、デバイスの正面500に関連する光電子センサー510を含むことができる。センサー510は、ピッキングツールから又は培地の表面から反射する光を受け入れる反射センサーとして構成することができる。一実施形態では、センサー510は、ピッキングツールに向かう方向に光を放出するように構成され、放出される光の比に基づく信号が、ピッキングツールの表面からセンサーに反射される。特定の実施形態では、センサーはU字型とすることができる。センサーは、本体302の位置に対するピッキングツールの位置を検出することができるように位置決めされる。
【0043】
一実施形態では、デバイスは、誘導センサー610を含むことができ、この誘導センサー610は、誘導センサーに近接する金属部分の移動及び/又は存在を検出する。例えば、誘導センサー610は、本体に関連する部分620(ロッド304の上部)が、ピッキングツールが培地の表面と接触するときに本体302の上向きの移動に応じて近接するように移動する構造体を有する。こうした実施形態では、部分620は、導電性であり、通常、誘導センサー610による検出を可能にするように金属から作製される。一実施形態では、誘導センサーは環状構造体を有し、「つまみ」326(図3)は、省略されるか、又は誘導センサーの開口部内に適合されるようなサイズである。こうした実施形態の変形では、誘導センサーは、1つ以上の誘導コイルとして設けることができる。
【0044】
代替的に、一実施形態では、デバイスは、金属部分又は非金属部分の存在を検出することができる1つ以上の容量センサーを含むことができる。誘導センサー610の代わりに1つ以上の容量センサーを設けることができる。こうした実施形態では、容量センサーは、デバイスの部分620が金属製であるか否かにかかわらず、その部分620の存在又は移動を検出することができる。この実施形態では、センサーは、可変コンデンサーであり、静電容量はロッドの位置によって変化する。静電容量の変化は、例えば、ピッキングツールの試料との接触によってもたらされる上向きの力を示す。
【0045】
デバイスの特定の実施形態は、ピッキングツールが試料を採取するために培地と接触しているときのため等、ピッキングツールと培地との間の下向きの力を増大させるように構成された構造体を含むことができる。例えば、図7は、1つ以上の磁石712又は本体302の磁気部分とともに使用することができる誘導コイル710を示す。磁気コイルは、本体302の軸方向の動きに対する抵抗を追加するか又は軸方向において本体302に反発するように構成することができる。第2の例では、コイルに、第1の印加電流で通電して、磁石712に磁気引力を加えて磁石がコイル710に向かって引き寄せられるようにし、本体302に下向きの力を加えて本体を下向きに移動させることができる。コイルは、より低い電流レベルで通電されるか又は通電されないとき、本体302に対してより小さい力を加え、それにより、本体は、より小さい抵抗で又は抵抗なしに上向きに移動することができる。デバイスは、さらに、復元要素を含むことができ、それは例えばばね(802、図8)とすることができ、復元要素は、コイルがより低いレベルで通電される場合、又はコイルが通電されない場合、本体302の位置を静止位置に復元するように構成されている。
【0046】
一実施形態では、コイルは、第1の印加電流と反対の極性の電流で通電されるように構成することができる。この場合、コイルは、磁石712に磁気反発力を加えて、磁石がコイル710から反発されるようにして、本体302に上向きの力を加える。
【0047】
図8は、本体302に復元力を与えるばね802を含む一実施形態を示す。図示する実施形態では、ばねは、本体の上方に配置されて、上向きに移動する本体に対して増大する抵抗を与える。一例では、ばね802は、ねじ頭310を有するねじ309等により本体302に機械的に結合された第1の端部804と、固定位置を有するデバイスの部分に当接する第2の端部806とを有する。動作時、本体302が上向きの方向に移動することにより、ばね802が圧縮され、それにより、ばねは、本体302に対して増大する下向きの力を加え、この下向きの力は、本体が上向きに移動するほど増大する。このように、デバイスは、ピッキングツールが強制的に培地と接触させられるときに、ピッキングツールと培地との間に増大した力を加える。
【0048】
図9に見られるような一実施形態では、デバイスは、1つ以上のおもり910を含むことができ、それは、本体が本体302の静止位置から所定の上向きの距離を移動した後、本体302に対して増大した下向きの重力を加えるように配置されている。例えば、デバイスの上又は中の棚(図示せず)に部分的に載るように、環状のおもり910を位置決めすることができる。デバイスが、アクチュエーターによって培地に向かって下向きに移動するとき、本体302は、培地と接触すると上向きに移動し、それにより、要素、例えば、本体と結合されたねじ頭310が、最終的に、おもり910と接触することになる。本体が同じ位置にあり続けるか又は上向きに移動し続ける場合、おもり910は、このとき、本体302を通して培地に下向きの重力を加えるように本体302に結合される。
【0049】
図10に見られるような別の実施形態では、本体が培地と接触するように移動するとき、封止されたチャンバー1004内の加圧空気又はガスが、本体302に下向きの力を加えることができる。したがって、デバイスが、アクチュエーターによって培地に向かって下向きに移動するとき、本体302は、培地と接触すると上向きに移動し、それにより、チャンバー1004内で移動する要素(つまみ326)は内部のガスを圧縮する。ガスは、圧縮されるに従い、つまみ326に次第に増大する力を加える。このように、チャンバー1004内のガスは、本体が培地と接触しているときに本体に増大した力を加える受動的な復元要素として作用する。こうした場合、チャンバー1004は、つまみ326とチャンバーの壁との間に設けられたシールにより完全に封止され、それにより、空気又はガスはチャンバー1004に入ることも、チャンバー1004から漏れることもない。
【0050】
こうした実施形態の変形では、デバイスは、チャンバー1004にガスを供給するか又はチャンバー1004からガスを引き抜くようにポンプ、タンク又は調節装置に接続された導管1002を更に含むことができる。こうした場合、本体に増大した下向きの力が加えられるとき、チャンバーに対してガスを能動的に供給することができる。特定の例では、本体に低減した力を加えるか又は本体を上向きに移動させるために、導管を通してチャンバーからガスを引き抜くことができる。
【0051】
上述した実施形態は、デバイスによって受け入れられかつ試料を採取するために使用され、採取後、当該ピッキングツールが廃棄される、消耗可能なピッキングツールの使用について言及しているが、本発明の原理及び実施形態は、ピッキングツールが試料を繰り返し採取するためにデバイスの一体部分のままであり、ピッキングツールが、概して、損傷するか又は摩耗するまで廃棄されないデバイスに対しても、適用することができる。
【0052】
本明細書における発明について、特定の実施形態を参照して説明したが、これらの実施形態は、本発明の原理及び応用を単に例示するものであることが理解されるべきである。したがって、例示的な実施形態に対して多数の変更を行うことができ、添付の特許請求の範囲によって定義されるような本発明の範囲から逸脱することなく、他の構成を考案することができることが理解されるべきである。
【0053】
様々な従属請求項及びそこに示す特徴は、最初の請求項に提示するものとは異なるように組み合わせることができることが理解されよう。個々の実施形態に関連して記載されている特徴を、記載されている実施形態のうちの他のものと共有することができることも理解されよう。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10