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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】シードトレイン法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/10 20060101AFI20220614BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20220614BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20220614BHJP
   C12P 21/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C12N5/10
C12M3/00 Z
C12N5/071
C12P21/00 C
【請求項の数】 21
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020177043
(22)【出願日】2020-10-22
(62)【分割の表示】P 2016572251の分割
【原出願日】2015-06-08
(65)【公開番号】P2021019621
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2020-10-29
(31)【優先権主張番号】62/009,553
(32)【優先日】2014-06-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500034653
【氏名又は名称】ジェンザイム・コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100127926
【弁理士】
【氏名又は名称】結田 純次
(74)【代理人】
【識別番号】100140132
【弁理士】
【氏名又は名称】竹林 則幸
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ブリュニングハウス
(72)【発明者】
【氏名】コンスタンティン・コンスタンティノフ
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ライト
(72)【発明者】
【氏名】ウェイチャン・チョウ
【審査官】長谷川 強
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-531930(JP,A)
【文献】Biotechnol. Prog., 2013, Vol.29, No.1, p.222-229
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 5/10
C12M 3/00
C12N 5/071
C12P 21/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シードトレイン法であって、
(a)槽内に含まれている第1の培養培地に複数の哺乳動物細胞を加えて第1の細胞培養物を得る工程;
(b)第1の細胞培養物を1.0×106細胞/mL~5.0×106細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程;
(c)潅流バイオリアクター内に含まれている第2の培養培地に、ある体積の工程(b)の第1の細胞培養物を加えて、0.25×106細胞/mL~0.5×106細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する第2の細胞培養物を得る工程;
(d)第2の細胞培養物を50×106細胞/mL~120×106細胞/mLの間の細胞密度範囲まで潅流培養する工程
e)生産用バイオリアクター内に含まれている第3の培養培地に、ある体積の工程(d)の第2の細胞培養物を加えて、×106細胞/mL~10×106細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する生産細胞培養物を得る工程;
(f)組換え哺乳動物細胞が組換えタンパク質を分泌することが可能となる条件下で、生産細胞培養物を潅流培養する工程;および
(g)生産細胞培養物から組換えタンパク質を収穫する工程
含む前記シードトレイン法。
【請求項2】
工程(a)における複数の哺乳動物細胞を加えて第1の細胞培養物を得る工程は:
凍結細胞バンクを解凍する工程;および
第1の培養培地に、ある体積の解凍細胞バンクを加える工程
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
凍結細胞バンクは、10×107細胞/mL~50×107細胞/mLの細胞密度を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
解凍細胞バンクは、少なくとも60%の生存細胞の割合を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
解凍細胞バンクは、少なくとも90%の生存細胞の割合を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
工程(a)における複数の哺乳動物細胞を加えて第1の細胞培養物を得る工程は、第1の培養培地に複数の哺乳動物細胞を含むある体積の第3の細胞培養物を加える工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
(1)槽内に含まれている第4の培養培地に複数の哺乳動物細胞を加えて、第3の細胞培養物を得る工程;
(2)工程(1)の第3の細胞培養物を1.0×106細胞/mL~5.0×106細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程
をさらに含み、
ある体積の工程(2)における第3の細胞培養物が工程(a)において第1の培養培地に加えられる、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
工程(1)における複数の哺乳動物細胞を加える工程は:
凍結細胞バンクを解凍する工程;および
第4の培養培地に、ある体積の解凍細胞バンクを加える工程
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
工程(a)における一方または両方の槽もしくは工程(1)における槽は、使い捨て単回使用向けバイオリアクターである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
使い捨て単回使用向けバイオリアクターは、プラスティック製滅菌バッグを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
工程(a)における第1の細胞培養物は、1.0L~50Lの体積範囲を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程(c)における第2の細胞培養物は、5~600Lの体積範囲を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
工程(e)における生産細胞培養物は、50L~20,000Lの体積範囲を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
工程(a)における槽は、1.5L~100Lの内部容積範囲を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
工程(c)における潅流バイオリアクターは、7.5L~1,000Lの内部容積範囲を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
工程(e)における生産用バイオリアクターは、150L~25,000Lの内部容積範囲を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
工程(c)における潅流培養は、交互タンジェンシャルフローろ過装置を装備した潅流バイオリアクターを使用して行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
程(e)における初期細胞密度は、定常状態の生産細胞密度の少なくとも10%である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
工程(e)における初期細胞密度は、定常状態の生産細胞密度の少なくとも20%である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
工程(f)における生産細胞培養物の潅流培養により、生産細胞培養物は、1日間~10日間の間の期間で定常状態の生産細胞密度に到達する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
工程(f)における生産細胞培養物の潅流培養により、生産細胞培養物は、2日間~5日間で定常状態の生産細胞密度に到達する、請求項20に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全内容を参照によって本明細書に組み入れる、2014年6月9日出願の米国仮特許出願第62/009,553号への優先権を主張する。
【0002】
本発明は、組換えタンパク質の生物工学および生物生産の方法に関する。
【背景技術】
【0003】
組換えタンパク質をコードする核酸を含む哺乳動物細胞は、治療的にまたは商業的に重要なタンパク質を生産するために使用されることが多い。多様性のある製品パイプラインという現在の環境では、バイオテクノロジー企業は、高度に柔軟性があり、コスト効率の高い治療剤の製造に対する革新的な解決策の開発を強いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
組換えタンパク質をコードする核酸を含む哺乳動物細胞は、大型の生産用バイオリアクター中で培養されて、対象とする治療用タンパク質が生産されることが多い。シードトレイン法は、大型生産用バイオリアクターに接種するのに十分な数のこうした哺乳動物細胞を産生するために使用される。慣用的なシードトレイン法は、凍結保存されている細胞バンクのバイアルの解凍から開始し、次いで、漸次、大型の培養槽中で複数の培養工程(例えば、5回以上)を行う。慣用的なシードトレイン法は、各工程中に複数の手作業による操作を必要とすることを含め、いくつかの欠点を有しており、これにより、方法全体が汚染物資の混入および操作エラーの影響が起こりやすくなっている。さらに、慣用的なシードトレイン法は、培養工程の数のため、およびN-1工程(生産用バイオリアクターの接種の直前の細胞培養)において到達される細胞密度が低いため、時間がかかる。この細胞密度では、大規模生産用バイオリアクター中、0.5×10細胞/mL未満の細胞密度からしか開始することができず、定常状態の生産細胞密度に到達するために、5~10日間の成長期を必要とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、例えば、それほど複雑ではないこと、培養工程数の削減、細胞培養の開始(例えば、解凍細胞バンク)から生産用バイオリアクターの接種までの時間量の削減、手作業量の低減、汚染物質混入のリスク低下、生産用バイオリアクターにおいて生存細胞密度がより高い細胞から開始すること、および生産用バイオリアクターにおける成長期の短縮(例えば、定常状態の生産細胞密度に到達するのに必要な期間が短い)を含めた、いくつかの利点をもたらすシードトレイン法の開発に少なくとも一部、基づいたものである。本提供のシードトレイン法は、(a)槽内に含まれている第1の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて第1の細胞培養物を得る工程;(b)第1の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程;(c)潅流バイオリアクター内に含まれている第2の培養培地に、ある体積の(b)の第1の細胞培養物を加えて、約0.25×10細胞/mL~約0.50×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する第2の細胞培養物を得る工程;(d)第2の細胞培養物を約5.0×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間の細胞密度範囲まで潅流培養する工程;および(e)生産用バイオリアクター内に含まれている第3の培養培地に、ある体積の(d)の第2の細胞培養物を加えて、約0.20×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する生産細胞培養物を得る工程を含む。本明細書に記載されているシードトレイン法の1つの使用を含む、組換えタンパク質
(例えば、組換え治療用タンパク質)を生産する方法も、本明細書において提供される。
【0006】
本明細書において:(a)槽内に含まれている第1の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて第1の細胞培養物を得る工程;(b)第1の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程;(c)潅流バイオリアクター内に含まれている第2の培養培地に、ある体積の工程(b)の第1の細胞培養物を加えて、約0.25×10細胞/mL~約0.5×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する第2の細胞培養物を得る工程;(d)第2の細胞培養物を約5×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間の細胞密度範囲まで潅流培養する工程;および(e)生産用バイオリアクター内に含まれている第3の培養培地に、ある体積の工程(d)の第2の細胞培養物を加えて、約0.25×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する生産細胞培養物を得る工程を含むシードトレイン法が提供される。これらの方法の一部の実施形態では、(a)における複数の組換え哺乳動物細胞を加える工程は:凍結細胞バンクを解凍する工程;および第1の培養培地に、ある体積の該解凍細胞バンクを加える工程を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、凍結細胞バンクは、約10×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの細胞密度範囲を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、解凍細胞バンクは、少なくとも60%(例えば、少なくとも90%)の割合の生存細胞を含む。
【0007】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における複数の組換え哺乳動物細胞を加える工程は、第1の培養培地に、複数の組換え哺乳動物細胞を含むある体積の第3の細胞培養物を加える工程を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態は、(1)槽に含まれる第4の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて、第3の細胞培養物を得る工程;(2)(1)の第3の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程をさらに含み、この場合、ある体積の(2)における第3の細胞培養物が、(a)において第1の培養培地に加えられる。本明細書において提供されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における槽と(1)における槽の一方または両方が、使い捨て単回使用向けバイオリアクター(例えば、プラスチック製滅菌バッグを含む使い捨て単回使用向けバイオリアクター)である。
【0008】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(1)における複数の組換え哺乳動物細胞を加える工程は、凍結細胞バンクを解凍する工程、およびある体積の解凍細胞バンクを第4の培養培地に加える工程を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、凍結細胞バンクは、約10×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの細胞密度範囲を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、解凍細胞バンクは、少なくとも60%(例えば、少なくとも90%)の割合の生存細胞を含む。
【0009】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における第1の細胞培養物は、約1.0L~約50L(例えば、約5.0L~約10.0L)の体積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(c)における第2の細胞培養物は、約5L~約600L(例えば、約10L~約300L)の体積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における生産細胞培養物は、約50L~約20,000L(例えば、約100L~約10,000L)の体積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(1)における第4の培養培地は、約500mL~約20L(例えば、約500mL~約10L)の体積範囲を有する。
【0010】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における槽は、約1.5L~約100L(例えば、約1.5L~約50L)の内部容積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(c)における潅流バイオリアクターは、約7.5L~約1,000L(例えば、約50L~約1000L)の内部容積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における生産用バイオリアクターは、約150L~約25,000L(例えば、約150L~約10,000L)の内部容積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(1)における槽は、約1L~約40L(例えば、約1L~約20L)の内部容積範囲を有する。
【0011】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(c)における潅流培養は、交互タンジェンシャルフローろ過装置を装備した潅流バイオリアクターを使用して行われる。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における初期細胞密度は、約2.0×10細胞/mL~約8×10細胞/mLの範囲にある。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における初期細胞密度は、定常状態の生産細胞密度の少なくとも10%(例えば、少なくとも20%)である。
【0012】
(a)槽内に含まれている第1の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて第1の細胞培養物を得る工程;(b)第1の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程;(c)潅流バイオリアクター内に含まれている第2の培養培地に、ある体積の(b)の第1の細胞培養培地を加えて、約0.25×10細胞/mL~約0.5×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する第2の細胞培養物を得る工程;(d)第2の細胞培養物を約5×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間の細胞密度範囲まで潅流培養する工程;(e)生産用バイオリアクター内に含まれている第3の培養培地に、ある体積の(d)の第2の細胞培養物を加えて、約0.25×10細胞/mL~約8×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する生産細胞培養物を得る工程;(f)組換え哺乳動物細胞が組換えタンパク質を分泌することが可能となる条件下で、生産細胞培養物を潅流培養する工程;および(g)該生産細胞培養物から組換えタンパク質を収穫する工程を含む、組換えタンパク質を生産する方法も提供される。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における複数の組換え哺乳動物細胞を加える工程は:凍結細胞バンクを解凍する工程;および第1の培養培地に、ある体積の解凍細胞バンクを加える工程を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、凍結細胞バンクは、約10×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの細胞密度範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、解凍細胞バンクは、少なくとも60%(例えば、少なくとも90%)の割合の生存細胞を含む。
【0013】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における複数の組換え哺乳動物細胞を加える工程は、第1の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を含むある体積の第3の細胞培養物を加える工程を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態は:(1)槽内に含まれる第4の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて、第3の細胞培養物を得る工程;および(2)(1)における第3の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程をさらに含み、この場合、ある体積の(2)における第3の細胞培養物が、(a)において第1の培養培地に加えられる。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における槽と(1)における槽の一方または両方が、使い捨て単回使用向けバイオリアクター(例えば、プラスチック製滅菌バッグを含む使い捨て単回使用向けバイオリアクター)である。
【0014】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(1)における複数の組換え哺乳動物細胞を加える工程は、凍結細胞バンクを解凍する工程;およびある体積の解凍細胞バンクを第4の培養培地に加える工程を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、凍結細胞バンクは、約1.0×10細胞/mL~約50×10細胞/mL(例えば、約10×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間)の細胞密度範囲を含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、解凍細胞バンクは、少なくとも60%(例えば、少なくとも90%)の割合の生存細胞を含む。
【0015】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における第1の細胞培養物は、約1.0L~約50L(例えば、約5.0L~約10.0Lの間)の体積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(c)における第2の細胞培養物は、約5L~約600L(例えば、約10L~約300L)の体積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における生産細胞培養物は、約50L~約20,000L(例えば、約100L~約10,000L)の体積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(1)における第4の培養培地は、約500mL~約20L(例えば、約500mL~約10L)の体積範囲を有する。
【0016】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(a)における槽は、約1.5L~約100L(例えば、約1.5L~約50L)の内部容積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(c)における潅流バイオリアクターは、約7.5L~約1,000L(例えば、約50L~約1000L)の内部容積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における生産用バイオリアクターは、約150L~約25,000L(例えば、150L~約10,000L)の内部容積範囲を有する。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(1)における槽は、約1L~約40L(例えば、約1L~約20L)の内部容積範囲を有する。
【0017】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(c)における潅流培養は、交互タンジェンシャルフローろ過装置を装備した潅流バイオリアクターを使用して行われる。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における初期細胞密度は、約2.0×10細胞/mL~約8×10細胞/mLの範囲にある。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(e)における初期細胞密度は、定常状態の生産細胞密度の少なくとも10%(例えば、少なくとも20%)である。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、定常状態の生産細胞密度は、5×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間(例えば、約15×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間)である。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(f)における潅流培養により、約1日間~約10日間の間(例えば、約2日間~約5日間の間)の期間で、生産細胞培養物が定常状態の生産細胞密度に到達する。
【0018】
本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、(g)における収穫は、生産用バイオリアクターから培養培地を抜き取る工程(例えば、連続的な除去)を含む。本明細書に記載されている方法のいずれかの一部の実施形態は、抜き取られた培養培地から組換えタンパク質を単離する工程をさらに含む。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態では、上記の単離は、統合された連続法を使用して行われる。本明細書に記載されているいずれかの方法の一部の実施形態は、単離組換えタンパク質を医薬剤に製剤化する工程をさらに含む。
【0019】
本明細書で使用する場合、名詞の前の単語「a」は、特定の名詞が1つまたはそれ以上であることを表す。例えば、句「組換え哺乳動物細胞」は、「1つまたはそれ以上の複数の組換え哺乳動物細胞」を表す。
【0020】
用語「哺乳動物細胞」は、任意の哺乳動物(例えば、ヒト、ハムスター、マウス、ミドリサル、ラット、ブタ、ウシまたはウサギ)に由来する、またはこれらから誘導された、いかなる細胞も意味する。例えば、哺乳動物細胞は、不死化細胞とすることができる。一部の実施形態では、哺乳動物細胞は分化細胞である。一部の実施形態では、哺乳動物細胞は非分化細胞である。哺乳動物細胞の非限定例は、本明細書に記載されている。哺乳動物細胞の追加例は、当分野で公知である。
【0021】
用語「シードトレイン法」は公知技術であり、第1の細胞培養物における(例えば、組換え哺乳動物細胞の)開始細胞数が、0.25×10細胞/mLを超える初期細胞密度で典型的な生産用バイオリアクターに接種するのに十分な数の細胞を含むN-1細胞培養物に拡大される多段法を意味する。
【0022】
用語「実質的に不含である」は、指定した物質(例えば、哺乳動物細胞)が少なくとも、または約90%不含(例えば、少なくとも、もしくは約95%、96%、97%、98%、または少なくとももしくは約99%不含である、または約100%不含である)である組成物(例えば、液体培養培地)を意味する。
【0023】
用語「0.5x体積」は、体積の約50%を意味する。用語「0.6x体積」は、体積の約60%を意味する。同様に、0.7x、0.8x、0.9xおよび1.0xは、それぞれ、体積の約70%、80%、90%または100%を意味する。
【0024】
用語「培養する」または「細胞培養する」は、一連の制御されている物理的条件下、哺乳動物細胞(例えば、組換え哺乳動物細胞)の維持または増殖を意味する。
【0025】
用語「哺乳動物細胞の培養物」または「細胞培養物」は、一連の制御されている物理的条件下で、維持されているかまたは増殖された複数の哺乳動物細胞を含む液体培養培地を意味する。
【0026】
用語「液体培養培地」または「培養培地」は、細胞(例えば、哺乳動物細胞)がインビトロで成長または増殖することが可能な、十分な栄養素を含む流体を意味する。例えば、液体培養培地は、アミノ酸(例えば、20種のアミノ酸)、プリン(例えば、ヒポキサンチン)、ピリミジン(例えば、チミジン)、コリン、イノシトール、チアミン、葉酸、ビオチン、カルシウム、ナイアシンアミド、ピリドキシン、リボフラビン、チミジン、シアノコバラミン、ピルベート、リポ酸、マグネシウム、グルコース、ナトリウム、カリウム、鉄、銅、亜鉛および炭酸水素ナトリウム:の1つまたはそれ以上を含むことができる。一部の実施形態では、液体培養培地は、哺乳動物に由来する血清を含むことができる。一部の実施形態では、液体培養培地は、哺乳動物に由来する血清または別の抽出物を含まない(規定されている液体培養培地)。一部の実施形態では、液体培養培地は、微量金属、哺乳動物の成長ホルモンおよび/または哺乳動物の成長因子を含むことができる。液体培養培地の別の例は、最少培地(例えば、無機塩、炭素源および水しか含まない培地)である。液体培養培地の非限定例は、本明細書に記載されている。液体培養培地の追加例は、当分野で公知であり、市販されている。液体培養培地は、任意の密度の哺乳動物細胞を含むことができる。例えば、本明細書で使用する場合、生産用バイオリアクターから抜き取られたある体積の液体培養培地は、実質的に哺乳動物細胞を不含とすることができる。
【0027】
用語「動物から誘導された構成成分が不含の液体培養培地」は、哺乳動物から誘導され
た、いかなる構成成分(例えば、タンパク質または血清)も含まない、液体培養培地を意味する。
【0028】
用語「血清が不含の液体培養培地」は、哺乳動物の血清を含まない、液体培養培地を意味する。
【0029】
用語「血清を含む液体培養培地」は、哺乳動物の血清を含む液体培養培地を意味する。
【0030】
用語「化学的に規定されている液体培養培地」は、技術用語であり、化学構成成分のすべてが既知である、液体培養培地を意味する。例えば、化学的に規定されている液体培養培地は、これらの調製物が、アルブミンおよび脂質の複雑な混合物を、通常、含むので、ウシ胎児血清、ウシ血清アルブミンまたはヒト血清アルブミンを含まない。
【0031】
用語「タンパク質が不含の液体培養培地」は、任意のタンパク質(例えば、検知可能な任意のタンパク質)を含まない、液体培養培地を意味する。
【0032】
用語「撹拌」は、かき混ぜること、またはそうでなければ、槽(例えば、バイオリアクター)中の液体培養培地の一部を移動させることを意味する。これは、例えば、槽(例えば、バイオリアクター)中の液体培養培地中に溶解しているO濃度を増加させるために行われる。撹拌は、任意の公知技術方法、例えば、機器またはプロペラを使用して行うことができる。例えば、撹拌は、傾けるおよび/または回転するプラットフォーム上に槽を置くことにより行うことができる。槽(例えば、バイオリアクター)中の液体培養培地の一部の撹拌を行うために使用することができる例示的な装置および方法は、当分野で公知である。
【0033】
用語「統合法」は、特定の結果(例えば、液体培養培地からの単離組換えタンパク質の産生)を達成するために、協同して機能する構造的要素を使用して行われる方法を意味する。
【0034】
用語「連続法」は、少なくともシステムの一部により、連続的に流体を供給する方法を意味する。
【0035】
用語「免疫グロブリン」は、少なくとも15個のアミノ酸(例えば、少なくとも20個、30個、40個、50個、60個、70個、80個、90個または100個のアミノ酸)の免疫グロブリンタンパク質(例えば、可変ドメイン配列、骨格配列、または定常ドメイン配列)からなるアミノ酸配列を含むポリペプチドを意味する。この免疫グロブリンは、少なくとも15個のアミノ酸の軽鎖免疫グロブリン、例えば、少なくとも15個のアミノ酸の重鎖免疫グロブリンを含むことができる。免疫グロブリンは、単離抗体(例えば、IgG、IgE、IgD、IgAまたはIgM)であってもよい。免疫グロブリンは、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)のサブクラスであってもよい。免疫グロブリンは、抗体断片、例えばFab断片、F(ab’)断片またはscFv断片であってもよい。免疫グロブリンはまた、二重特異的抗体もしくは三重特異的抗体、または二量体、三量体もしくは多量体抗体、またはダイアボディ、Affibody(登録商標)もしくはNanobody(登録商標)であってもよい。免疫グロブリンはまた、少なくとも1つの免疫グロブリンドメイン(例えば、融合タンパク質)を含む、操作されたタンパク質とすることができる。免疫グロブリンの非限定例は本明細書に記載されており、免疫グロブリンの追加例は当分野で公知である。
【0036】
用語「タンパク質断片」または「ポリペプチド断片」は、長さが、少なくとももしくは約4個のアミノ酸、少なくとももしくは約5個のアミノ酸、少なくとももしくは約6個の
アミノ酸、少なくとももしくは約7個のアミノ酸、少なくとももしくは約8個のアミノ酸、少なくとももしくは約9個のアミノ酸、少なくとももしくは約10個のアミノ酸、少なくとももしくは約11個のアミノ酸、少なくとももしくは約12個のアミノ酸、少なくとももしくは約13個のアミノ酸、少なくとももしくは約14個のアミノ酸、少なくとももしくは約15個のアミノ酸、少なくとももしくは約16個のアミノ酸、少なくとももしくは約17個のアミノ酸、少なくとももしくは約18個のアミノ酸、少なくとももしくは約19個のアミノ酸、もしくは少なくとももしくは約20個のアミノ酸、または長さが20個のアミノ酸を超える、ポリペプチド配列の部分を意味する。組換えタンパク質断片は、本明細書に記載されている方法のずれかを使用して生産することができる。
【0037】
用語「操作されたタンパク質」は、生物(例えば、哺乳動物)内に存在している内因性核酸によって天然でコードされないポリペプチドを意味する。操作されたタンパク質の例は、酵素(例えば、操作された酵素の安定性および/または触媒活性の増加をもたらす、1つまたはそれ以上のアミノ酸の置換、欠失、挿入または追加)、融合タンパク質、抗体(例えば、二価抗体、三価抗体またはダイアボディ)、および少なくとも1つの組換え足場配列を含む抗原-結合タンパク質を含む。
【0038】
用語「マルチカラムクロマトグラフィーシステム」または「MCCS」は、合計で2本またはそれ以上を相互接続した、または切り替え式クロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜のシステムを意味する。マルチカラムクロマトグラフィーシステムの非限定例は、合計で2本またはそれ以上を相互接続した、または切り替え式クロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜を含む、周期的な向流クロマトグラフィーシステム(PCC)である。マルチカラムクロマトグラフィーシステムの追加例は、本明細書に記載されており、当分野で公知である。
【0039】
用語「捕捉する」は、液体培養培地または希釈液体培養培地(例えば、培養培地タンパク質、または哺乳動物細胞に存在しているかもしくはそれから分泌される、1つもしくはそれ以上の他の構成成分(例えば、DNA、RNAまたは他のタンパク質)中に存在している、1つまたはそれ以上の他の構成成分から、組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)を部分的に精製するまたは単離する(例えば、少なくとももしくは約5%、例えば、少なくとももしくは約10%、15%、20%、25%、30%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または少なくとももしくは約95%の重量純度)、濃縮するおよび安定化させるために行われた工程を意味する。通常、捕捉は、組換えタンパク質を結合させる樹脂(例えば、アフィニティークロマトグラフィーの使用による)を使用して行われる。液体培養培地または希釈液体培養培地から組換えタンパク質を捕捉する非限定法は本明細書に記載されており、他のものは、当分野において公知である。組換えタンパク質は、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜(例えば、本明細書に記載されているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜のいずれか)を使用して、液体培養培地から捕捉することができる。
【0040】
用語「精製」は、1つもしくは複数の他の不純物(例えば、バルク不純物)または組換えタンパク質を含む流体中に存在している構成成分(例えば、哺乳動物細胞中に存在しているかまたはそれから分泌される、液体培養培地タンパク質または1つもしくはそれ以上の他の構成成分(例えば、DNA、RNA、他のタンパク質、内毒素、ウイルスなど))から組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)を単離するために行われる工程を意味する。例えば、精製は、初期捕捉工程中またはその後に行うことができる。精製は、(例えば、アフィニティークロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、陰イオンもしくは陽イオン交換クロマトグラフィーまたはモレキュラーシーブクロマトグラフィーの使用により)組換えタンパク質または汚染物質のどちらかに結合する、樹脂
、膜または他の任意の固体担体を使用して行うことができる。組換えタンパク質は、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜(例えば、本明細書に記載されているクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜のいずれか)を使用して、組換えタンパク質を含む流体から精製することができる。
【0041】
用語「ポリッシング」は技術用語であり、所望の最終的な純度に近い、組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)を含む流体から、残留している微量もしくは少量の汚染物質または不純物を除去するために行う工程を意味する。例えば、ポリッシングは、標的組換えタンパク質、または組換えタンパク質を含む流体中に存在している少量の汚染物質もしくは不純物のどちらかに選択的に結合する、クロマトグラフィーカラムまたは膜吸収剤に、組換えタンパク質を含む流体を流すことにより行うことができる。こうした例では、クロマトグラフィーカラムまたは膜吸収剤の溶離液/ろ液は、組換えタンパク質を含む。
【0042】
用語「溶離液/ろ液」は技術用語であり、検出可能な量の組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)を含むクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜から送り出された流体を意味する。
【0043】
用語「ろ過」は、液体(例えば、本明細書に記載されているシステムまたは方法のいずれかにおいて存在している液体培養培地または流体)から、望ましくない生物学的汚染物質(例えば、哺乳動物細胞、細菌、酵母細胞、ウイルスまたはマイコバクテリア)および/または粒子物質(例えば、沈殿タンパク質)の少なくとも一部(例えば、少なくとも80%、90%、95%、96%、97%、98%または99%)を除去することを意味する。
【0044】
用語「分泌されたタンパク質」または「分泌された組換えタンパク質」は、哺乳動物細胞において、それが哺乳動物細胞内で翻訳された際、および少なくとも一部が、分泌シグナル配列の酵素的切断により、少なくとも1つの分泌シグナル配列を元々含んでいるタンパク質(例えば、組換えタンパク質)が、少なくとも部分的に細胞外空間(例えば、液体培養培地)に分泌されることを意味する。熟練専門家であれば、「分泌された」タンパク質は、分泌されたタンパク質と見なされる細胞から、完全に解離している必要がないことを理解するであろう。
【0045】
用語「潅流培養」は、技術用語であり、槽(例えば、バイオリアクター)中で細胞培養物を培養することを意味し、この場合、該槽中の細胞培養物の培養は、槽中に存在している液体培養培地(例えば、細胞を実質的に含まない液体培養培地)の定期的または連続的な抜き取り、および同時にまたはその直後に、該槽に実質的に同じ体積の交換用液体培養培地を添加することを含む。いくつかの例において、培養期間中に、抜き取られた液体培養培地の体積、および漸増期間(例えば、約24時間、約1分間~約24時間の間の期間、または24時間を超える期間)にわたり添加された交換用培養培地の体積の増分変化(例えば、増加または減少)が存在する(例えば、毎日の培養培地の再供給速度)。毎日、抜き取られた置き換えられた培地の画分は、培養される特定の細胞、初期播種密度、および特定の時間における細胞密度に応じて、様々となり得る。「RV」または「リアクター体積」は、培養プロセスの開始時に存在している培養培地の体積(例えば、播種後に存在している培養培地の全体積)を意味する。
【0046】
用語「槽」は公知技術であり、一連の制御されている物理的条件下で、細胞の維持または増殖を可能にする、液体培養培地中の複数の細胞(例えば、組換え哺乳動物細胞)を培養するのに適した内容積を有する装置を意味する。槽の非限定例は、バイオリアクター(例えば、本明細書に記載されているか、または当分野で公知の例示的なバイオリアクター
のいずれか)である。
【0047】
用語「潅流バイオリアクター」は公知技術であり、液体培養培地中の複数の細胞(例えば、組換え哺乳動物細胞)を培養する内容積を有するバイオリアクターであって、該バイオリアクター中の液体培養培地を周期的にまたは連続的に抜き取るための手段(例えば、出口、入り口、ポンプまたは他のこうした装置)および該バイオリアクターに実質的に同じ体積の交換用液体培養培地を添加するための手段(例えば、出口、入り口、ポンプまたは他のこうした装置)を有する、バイオリアクターを意味する。交換用液体培養培地の添加は、バイオリアクターからの液体培養培地の抜き取りと実質的に同時に、またはその直後に行うことができる。バイオリアクターから液体培養培地を抜き取るための手段、および交換用液体培養培地を添加するための手段は、単一装置またはシステムとすることができる。
【0048】
用語「生産用バイオリアクター」は、技術用語であり、大規模バイオリアクター(例えば、500L、1,000L、5,000L、10,000L、20,000L、50,000L、または100,000Lを超える内部容積を有する)を意味する。例えば、生産用バイオリアクターは、潅流バイオリアクターとすることができる。
【0049】
用語「定常状態での生産細胞密度」は、技術用語であり、経時的な潅流培養中に維持されている培養培地中の生存細胞(例えば、生存組換え哺乳動物細胞)の目標濃度を意味する。
【0050】
用語「回分培養する」は技術用語であり、槽(例えば、バイオリアクター)が液体培養培地中に複数の細胞(例えば、哺乳動物細胞)を含んでいることを意味し、この場合、槽(例えば、バイオリアクター)中に存在している細胞の培養が細胞培養物に十分な量または有意な量の新しい液体培養培地を添加することを含まず、かつ培養中に細胞培養物から十分な量または有意な量の液体培養培地を抜き取ることを含まない。
【0051】
用語「流加培養する」は技術用語であり、槽(例えば、生産用バイオリアクター)が液体培養培地中に複数の細胞(例えば、哺乳動物細胞)を含んでいることを意味し、この場合、槽(例えば、生産用バイオリアクター)中に存在している細胞の培養が、培養中に該槽から十分な量または有意な量の液体培養培地の抜き取りなしに、該槽への新しい液体培養培地の周期的または連続的な添加を含む。新しい液体培養培地は、培養の開始時に槽中に存在している液体培養培地と同一とすることができる。流加培養の一部の例では、新しい液体培養培地は、培養の開始時に槽中に存在している、濃縮形態の液体培養培地である。流加培養物の一部の例では、新しい培養培地は乾燥粉末として添加される。
【0052】
用語「単位操作」は、技術用語であり、液体培養培地から組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)を単離する方法において行うことができる機能的工程を意味する。例えば、操作の単位は、ろ過(例えば、組換えタンパク質を含む流体からの汚染物質である細菌、酵母ウイルスもしくはマイコバクテリア、および/または粒子物質の除去)、捕捉、エピトープタブの除去、精製、保管または貯蔵、ポリッシング、ウイルスの不活性化、組換えタンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHの調節、ならびに望ましくない塩の除去とすることができる。
【0053】
「比生産性速度」または「SPR」は技術用語であり、本明細書で使用する場合、1日あたりの哺乳動物細胞あたりに生産される、組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)の質量または酵素活性を指す。組換え抗体のSPRは、質量/細胞/日として通常、測定される。組換え酵素のSPRは、単位/細胞/日または(単位/質量)/細胞/日として通常、測定される。
【0054】
「体積生産性速度」または「VPR」は技術用語であり、本明細書で使用する場合、1日あたりの培養物の体積あたり(例えば、バイオリアクター、槽または管の体積1Lあたり)生産される、組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)の質量または酵素活性を指す。組換え抗体のVPRは、質量/L/日として通常、測定される。組換え酵素のVPRは、単位/L/日または質量/L/日として通常、測定される。
【0055】
「スキッド(Skid)」は、技術用語であり、本明細書で使用する場合、本明細書に記載されているシステムのためのプラットフォームまたは支持体として働くことができる三次元の中実構造を指す。skidは、移動を可能にする1つまたはそれ以上の構造体(例えば、輪またはローラーなど)を含む場合、システムまたはその一部に可動性を付与することができる。スキッドの非限定例は、本明細書に記載されている。スキッドの追加例は、当分野で公知である。
【0056】
特に定義されない限り、本明細書において使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。方法および物質は、本発明において使用するために本明細書に記載されている;当分野において公知の他の適切な方法および物質も使用することができる。これらの物質、方法および例は、単なる例示に過ぎず、限定を意図するものではない。本明細書において言及されているすべての刊行物、特許出願、特許、配列、データベースエントリーおよび他の参照物は、それらの全体が参照により組み入れられている。矛盾する場合、定義を含め、本明細書に従う。
【0057】
本発明の他の特徴および利点は、以下に詳述されている説明および図から、ならび特許請求の範囲から明白になろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1】500Lの生産用潅流バイオリアクターへの接種で終わる慣用的なシードトレイン法を示す模式図(上部)であり、500Lの生産用潅流バイオリアクターへの接種で終わる、本明細書において提供されている例示的なシードトレイン法の模式図(下部)である。
図2】10,000Lの生産用回分または流加バイオリアクターへの接種で終わる慣用的なシードトレイン法を示す模式図(上部)であり、10,000Lの生産用回分または流加バイオリアクターへの接種で終わる、本明細書において提供されている例示的なシードトレイン法の模式図(下部)である。
図3】本明細書に記載されている、例示的なシードトレイン法の工程全体:2Lの使い捨て単回使用向けバイオリアクター中で1Lの第3の細胞培養物を回分培養する工程、20Lの使い捨て単回使用向けバイオリアクター中で7.5Lの第1の細胞培養物を回分培養する工程、および15Lの潅流バイオリアクター中で10Lの第2の細胞培養物を潅流培養する工程の生存細胞密度を示すグラフである。
図4】本明細書に記載されている例示的なシードトレイン法における、N-1潅流細胞培養物の静電容量の関数としての生存細胞密度のグラフである。
図5】スピンチューブ(生産用バイオリアクターを表す)中で、25×10細胞/mL(青線)、50×10細胞/mL(緑線)または100×10細胞/mL(赤線)の生存細胞密度を有するある体積のN-1細胞培養物を用いて接種し、0.5×10細胞/mLの開始生存細胞密度が生じる、スピンチューブの場合の経時的な生存細胞密度(実線)およびパーセント細胞生存率(点線)のグラフである。実線および点線は、データ(n=3)の平均を表す。影付き領域は±2の標準偏差を表す。
図6】スピンチューブ(生産用バイオリアクターを表す)中で、25×10細胞/mL(青線)、50×10細胞/mL(緑線)または100×10細胞/mL(赤線)の生存細胞密度を有するある体積のN-1細胞培養物を用いて接種し、2.5×10細胞/mLの開始生存細胞密度が生じる、スピンチューブの場合の経時的な生存細胞密度(実線)およびパーセント細胞生存率(点線)のグラフである。実線および点線は、データ(n=3)の平均を表す。影付き領域は±2の標準偏差を表す。
図7】スピンチューブ(生産用バイオリアクターを表す)中で、25×10細胞/mL(青線)、50×10細胞/mL(緑線)または100×10細胞/mL(赤線)の生存細胞密度を有するある体積のN-1細胞培養物を用いて接種し、5.0×10細胞/mLの開始生存細胞密度が生じる、スピンチューブの場合の経時的な生存細胞密度(実線)およびパーセント細胞生存率(点線)のグラフである。実線および点線は、データ(n=3)の平均を表す。影付き領域は±2の標準偏差を表す。
図8】50×10生存細胞/mL(n=2)(緑線)のN-1潅流バイオリアクターから5.0×10生存細胞/mLで接種した10Lの生産用バイオリアクターと比べた、2.5×10生存細胞/mL(n=2)(赤線)のN-1潅流バイオリアクターから0.5×10細胞/mLで接種した10Lの生産用バイオリアクターの場合の経時的な生存細胞密度のグラフである。点線は、生産用バイオリアクターの定常状態の操作の場合の目標生存細胞密度を表す。実線はデータ(n=2)の平均を表す。影付き領域は±2の標準偏差を表す。
図9】50×10細胞/mL(緑点)のN-1バイオリアクターから5.0×10生存細胞/mLで接種した10Lの生産用バイオリアクターと比べた、2.5×10生存細胞/mL(赤点)のN-1潅流バイオリアクターから0.5×10生存細胞/mLで接種した10Lの生産用バイオリアクターの場合の全生存細胞濃度の関数としての累積生産活性(単位/L)を示すグラフである。これらのポイントは、データ(n=2)の平均を表し、エラーバーは±2の標準偏差を表す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本明細書において:(a)槽内に含まれている第1の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて第1の細胞培養物を得る工程;(b)第1の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの細胞密度範囲まで回分培養する工程;(c)潅流バイオリアクター内に含まれている第2の培養培地に、ある体積の工程(b)の第1の細胞培養物を加えて、約0.25×10細胞/mL~約0.50×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する第2の細胞培養物を得る工程;(d)第2の細胞培養物を約5.0×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間の細胞密度範囲まで潅流培養する工程;および(e)生産用バイオリアクター内に含まれている第3の培養培地に、ある体積の工程(d)の第2の細胞培養物を加えて、約0.25×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度を有する生産細胞培養物を得る工程を含むシードトレイン法が提供される。
【0060】
本明細書に記載されているシードトレイン法は、多くの利点をもたらす。第1の態様では、本シードトレイン法は、慣用的なシードトレイン法と比較して、生産細胞培養物の供給前の培養工程(1~2つの異なる培養工程の削減)をそれほど必要とせず(例えば、小規模な拡大期の数を低減する)、ひいては、細胞培養物の手作業による操作が少なくなり、生産細胞培養物を汚染するリスクの低下を実現する。本明細書に記載されているシードトレイン法は、生産細胞培養物における培養物の成長特性を損なうことなく、例えば、12日間で最大100×10生存細胞/mLという、高い生存細胞密度を有する、N-1細胞培養物(生産細胞培養物に接種するために使用される第2の細胞培養物)を実現することができる。本明細書に記載されているシードトレイン法を使用して、N-1培養物(第2の細胞培養物)において達成された生存細胞密度の高さにより、生産用バイオリアクター中の生産細胞培養物において、より高い初期細胞密度が可能になる。例えば、本シードトレイン法は、約0.50×10生存細胞/mLと10×10生存細胞/mLとの間の初期細胞密度を実現するために使用することができ、ひいては、生産細胞培養物に必
要な時間量を低下(例えば、4~6日間の短縮)させて、定常状態の生産細胞密度に到達させる。定常状態の生産細胞密度に到達するための生産細胞培養物に必要な時間量のこの低下により、50日間の生産培養の実施の総合的な生産性の10%増加をもたらすことができる。本明細書において提供されているシードトレイン法は、他のシードトレイン法に起因する、生産細胞培養よりも高い容量生産性速度および比生産性速度を有する、生産細胞培養をもたらす。
【0061】
シードトレイン法
他のシードトレイン法よりもいくつかの利点を実現する、シードトレイン法が本明細書において提供される。これらのシードトレイン法の非限定的な態様は、本明細書に記載されており、任意に組み合わせて使用することができる。
【0062】
第1の細胞培養物の取得
本明細書に記載されているシードトレイン法は、(a)槽に含まれている第1の培養培地に、複数の組換え哺乳動物細胞(例えば、本明細書に記載されているかまたは当分野において公知の組換え哺乳動物細胞のいずれか)を加えて、第1の細胞培養物を得る工程を含む。いくつかの例において、第1の培養培地に加えられた複数の組換え哺乳動物細胞は、約4.5×10細胞と約450×10細胞との間(例えば、約9.0×10細胞と約450×10細胞との間、約22.5×10細胞と約450×10細胞との間、約45×10細胞と約450×10細胞との間、約67.5×10細胞と約450×10細胞との間、約90×10細胞と約450×10細胞との間、約112.5×10細胞と約450×10細胞との間、約135×10細胞と約450×10細胞との間、約157.5×10細胞と約450×10細胞との間、約180×10細胞と約450×10細胞との間、約4.5×10細胞と約405×10細胞との間、約9.0×10細胞と約405×10細胞との間、約22.5×10細胞と約405×10細胞との間、約45×10細胞と約405×10細胞との間、約67.5×10細胞と約405×10細胞との間、約90×10細胞と約405×10細胞との間、約112.5×10細胞と約405×10細胞との間、約135×10細胞と約405×10細胞との間、約157.5×10細胞と約405×10細胞との間、約180×10細胞と約405×10細胞との間、約4.5×10細胞と約360×10細胞との間、約9.0×10細胞と約360×10細胞との間、約22.5×10細胞と約360×10細胞との間、約45×10細胞と約360×10細胞との間、約67.5×10細胞と約360×10細胞との間、約90×10細胞と約360×10細胞との間、約112.5×10細胞と約360×10細胞との間、約135×10細胞と約360×10細胞との間、約157.5×10細胞と約360×10細胞との間、約180×10細胞と約360×10細胞との間、約4.5×10細胞と約315×10細胞との間、約9.0×10細胞と約315×10細胞との間、約22.5×10細胞と約315×10細胞との間、約45×10細胞と約315×10細胞との間、約67.5×10細胞と約315×10細胞との間、約90×10細胞と約315×10細胞との間、約112.5×10細胞と約315×10細胞との間、約135×10細胞と約315×10細胞との間、約157.5×10細胞と約315×10細胞との間、約180×10細胞と約315×10細胞との間、約4.5×10細胞と約270×10細胞との間、約9.0×10細胞と約270×10細胞との間、約22.5×10細胞と約270×10細胞との間、約45×10細胞と約270×10細胞との間、約67.5×10細胞と約270×10細胞との間、約90×10細胞と約270×10細胞との間、約112.5×10細胞と約270×10細胞との間、約135×10細胞と約270×10細胞との間、約157.5×10細胞と約270×10細胞との間、約180×10細胞と約270×10細胞との間、約4.5×10細胞と約225×10細胞との間、約9.0×10細胞と約225×10
胞との間、約22.5×10細胞と約225×10細胞との間、約45×10細胞と約225×10細胞との間、約67.5×10細胞と約225×10細胞との間、約90×10細胞と約225×10細胞との間、約112.5×10細胞と約225×10細胞との間、135×10細胞と約225×10細胞との間、約4.5×10細胞と約180×10細胞との間、約9.0×10細胞と約180×10細胞との間、約22.5×10細胞と約180×10細胞との間、約45×10細胞と約180×10細胞との間、約67.5×10細胞と約180×10細胞との間、約90×10細胞と約180×10細胞との間、約4.5×10細胞と約135×10細胞との間、約9.0×10細胞と約135×10細胞との間、約22.5×10細胞と約135×10細胞との間、約45×10細胞と約135×10細胞との間、約4.5×10細胞と約90×10細胞との間、約9.0×10細胞と約90×10細胞との間、約22.5×10細胞と約90×10細胞との間、または約45×10細胞と約90×10細胞との間)とすることができ、槽内に含まれる第1の培養培地の体積に応じて変わり得る。例えば、第1の液体培養培地に加えられている複数の細胞は、第1の細胞培養物において、約0.10×10細胞/mLと約0.80×10細胞/mLとの間(例えば、約0.10×10細胞/mLと約0.75×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.70×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.65×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.60×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.55×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.50×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.45×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.40×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.35×10細胞/mLとの間、約0.10×10細胞/mLと約0.30×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.80×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.75×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.70×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.65×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.60×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.55×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.50×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.45×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.40×10細胞/mLとの間、約0.15×10細胞/mLと約0.35×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.80×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.75×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.70×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.65×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.60×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.55×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.50×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.45×10細胞/mLとの間、約0.20×10細胞/mLと約0.40×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.75×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.70×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.65×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.60×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.55×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.50×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.45×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.40×10細胞/mLとの間、約0.25×10細胞/mLと約0.35×10細胞/mLとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.80×10細胞/mLとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.75×10細胞/mLとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.70×10細胞/mLとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.65×10細胞/m
Lとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.60×10細胞/mLとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.55×10細胞/mLとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.50×10細胞/mLとの間、約0.30×10細胞/mLと約0.45×10細胞/mLとの間、または約0.30×10細胞/mLと約0.40×10細胞/mLとの間)の初期細胞密度をもたらすのに十分とすることができる。
【0063】
本技術において理解される通り、工程(a)における槽は、様々な異なる体積を有することができる。例えば、第1の培養培地を含む工程(a)における槽は、約0.50Lと約200Lとの間(例えば、約0.50Lと約180Lとの間、約0.50Lと約160Lとの間、約0.50Lと約140Lとの間、約0.50Lと約120Lとの間、約0.50Lと約100Lとの間、約0.50Lと約90Lとの間、約0.50Lと約80Lとの間、約0.50Lと約70Lとの間、約0.50Lと約60Lとの間、約0.50Lと約50Lとの間、約0.50Lと約40Lとの間、約0.50Lと約30Lとの間、約0.50Lと約20Lとの間、約0.50Lと約10Lとの間、約0.50Lと約5.0Lとの間、約1.0Lと約200Lとの間、約1.0Lと約180Lとの間、約1.0Lと約160Lとの間、約1.0Lと約140Lとの間、約1.0Lと約120Lとの間、約1.0Lと約100Lとの間、約1.0Lと約90Lとの間、約1.0Lと約80Lとの間、約1.0Lと約70Lとの間、約1.0Lと約60Lとの間、約1.0Lと約50Lとの間、約1.0Lと約40Lとの間、約1.0Lと約30Lとの間、約1.0Lと約20Lとの間、約1.0Lと約10Lとの間、約1.0Lと約5.0Lとの間、約1.5Lと約200Lとの間、約1.5Lと約180Lとの間、約1.5Lと約160Lとの間、約1.5Lと約140Lとの間、約1.5Lと約120Lとの間、約1.5Lと約100Lとの間、約1.5Lと約90Lとの間、約1.5Lと約80Lとの間、約1.5Lと約70Lとの間、約1.5Lと約60Lとの間、約1.5Lと約50Lとの間、約1.5Lと約40Lとの間、約1.5Lと約30Lとの間、約1.5Lと約20Lとの間、約1.5Lと約10Lとの間、約1.5Lと約5.0Lとの間、約2.0Lと約200Lとの間、約2.0Lと約180Lとの間、約2.0Lと約160Lとの間、約2.0Lと約140Lとの間、約2.0Lと約120Lとの間、約2.0Lと約100Lとの間、約2.0Lと約90Lとの間、約2.0Lと約80Lとの間、約2.0Lと約70Lとの間、約2.0Lと約60Lとの間、約2.0Lと約50Lとの間、約2.0Lと約40Lとの間、約2.0Lと約30Lとの間、約2.0Lと約20Lとの間、約2.0Lと約10Lとの間、約2.0Lと約5.0Lとの間、約2.5Lと約200Lとの間、約2.5Lと約180Lとの間、約2.5Lと約160Lとの間、約2.5Lと約140Lとの間、約2.5Lと約120Lとの間、約2.5Lと約100Lとの間、約2.5Lと約90Lとの間、約2.5Lと約80Lとの間、約2.5Lと約70Lとの間、約2.5Lと約60Lとの間、約2.5Lと約50Lとの間、約2.5Lと約50Lとの間、約2.5Lと約40Lとの間、約2.5Lと約30Lとの間、約2.5Lと約20Lとの間、約2.5Lと約10Lとの間、約2.5Lと約5.0Lとの間、約5.0Lと約200Lとの間、約5.0Lと約180Lとの間、約5.0Lと約160Lとの間、約5.0Lと約140Lとの間、約5.0Lと約120Lとの間、約5.0Lと約100Lとの間、約5.0Lと約90Lとの間、約5.0Lと約80Lとの間、約5.0Lと約70Lとの間、約5.0Lと約60Lとの間、約5.0Lと約50Lとの間、約5.0Lと約40Lとの間、約5.0Lと約30Lとの間、約5.0Lと約20Lとの間、または約5.0Lと約10Lとの間)の内部容積を有することができる。
【0064】
本技術において理解される通り、第1の細胞培養物を含む槽は、哺乳動物細胞を培養するために当分野において使用される任意の器具(例えば、フラスコ(例えば、スピンフラスコ)、回転管またはバイオリアクター)とすることができる。この槽は、撹拌するための内部手段(例えば、インペラ)を含むことができるか、またはこの槽は、外から撹拌(例えば、回転プラットフォームおよび/または傾斜プラットフォームの使用により)する
ことができる。槽は、ステンレス鋼またはプラスチック製(例えば、プラスチック製滅菌バッグ)から作製することができる。一部の実施形態では、この槽は、使い捨て単回使用向けバイオリアクター(例えば、Millipore(商標)Mobius(登録商標)Cellreadyという3Lの使い捨てバイオリアクター、Pierre Guerin ATM1 Nucleo(商標)という20Lの使い捨てバイオリアクター、Sartorius Cultibag STRTM50Lの使い捨てバイオリアクター、Sartorius Cultibag RMTM 20Lという使い捨てバイオリアクター、Sartorius Cultibag Orbital(商標)50L、GEウェーブバイオリアクター2/10システム5L、GEウェーブバイオリアクター20/50システム25L、GEウェーブバイオリアクター200システム200LまたはGEウェーブバイオリアクター500/1000システム500L)とすることができる。槽の内表面は、少なくとも1種のコーティング(例えば、ゼラチン、コラーゲン、ポリ-L-オルニチン、ポリスチレンおよびラミニンの少なくとも1種のコーティング)、および当分野で公知の通り、第1の液体培養培地にO、COおよびNを吹き込むための1つまたはそれ以上の導入口を有することができる。槽は、1つまたはそれ以上のセンサープローブを装備することができる。槽が非剛性プラスチック製材料からなる(例えば、プラスチック製滅菌バッグ)場合、該槽を、槽を囲繞して支持する外部支持体に接続することができる。
【0065】
第1の細胞培養物は、様々な異なる体積を有することができ、例えば第1の細胞培養物は、約0.30L~約100Lの間(例えば、約0.30L~約90Lの間、約0.30L~約80Lの間、約0.30L~約70Lの間、約0.30L~約60Lの間、約0.30L~約50Lの間、約0.30L~約40Lの間、約0.30L~30Lの間、約0.30L~約20Lの間、約0.30L~約10Lの間、約0.30L~約5.0Lの間、約0.50L~約100Lの間、約0.50L~約90Lの間、約0.50L~約80Lの間、約0.50L~約70Lの間、約0.50L~約60Lの間、約0.50L~約50Lの間、約0.50L~約40Lの間、約0.50L~30Lの間、約0.50L~約20Lの間、約0.50L~約10Lの間、約0.50L~約5.0Lの間、約1.0L~約100Lの間、約1.0L~約90Lの間、約1.0L~約80Lの間、約1.0L~約70Lの間、約1.0L~約60Lの間、約1.0L~約50Lの間、約1.0L~約40Lの間、約1.0L~30Lの間、約1.0L~約20Lの間、約1.0L~約10Lの間、約1.0L~約5.0Lの間、約1.5L~約100Lの間、約1.5L~約90Lの間、約1.5L~約80Lの間、約1.5L~約70Lの間、約1.5L~約60Lの間、約1.5L~約50Lの間、約1.5L~約40Lの間、約1.5L~30Lの間、約1.5L~約20Lの間、約1.5L~約10Lの間、約1.5L~約5.0Lの間、約2.0L~約100Lの間、約2.0L~約90Lの間、約2.0L~約80Lの間、約2.0L~約70Lの間、約2.0L~約60Lの間、約2.0L~約50Lの間、約2.0L~約40Lの間、約2.0L~30Lの間、約2.0L~約20Lの間、約2.0L~約10Lの間、約2.0L~約5.0Lの間、約2.5L~約100Lの間、約2.5L~約90Lの間、約2.5L~約80Lの間、約2.5L~約70Lの間、約2.5L~約60Lの間、約2.5L~約50Lの間、約2.5L~約40Lの間、約2.5L~30Lの間、約2.5L~約20Lの間、約2.5L~約10Lの間、約2.5L~約5.0Lの間、約5.0L~約100Lの間、約5.0L~約90Lの間、約5.0L~約80Lの間、約5.0L~約70Lの間、約5.0L~約60Lの間、約5.0L~約50Lの間、約5.0L~約40Lの間、約5.0L~約30Lの間、約5.0L~約20Lの間、または約5.0L~約10Lの間)の体積を有することができる。
【0066】
本技術において理解されている通り、複数の細胞を槽に含まれている第1の培養培地に加えることができる多くの方法が存在する。例えば、複数の組換え哺乳動物細胞を加える工程は、凍結細胞バンクを解凍する工程(例えば、本明細書に記載されているかまたは当
分野において公知の、例示的な凍結細胞バンクのいずれか)、および第1の培養培地に、ある体積の解凍細胞バンクを加える工程(例えば、滅菌ピペット操作)を含むことができる。凍結細胞バンクは、例えば、約1.0×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間(例えば、約2.0×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約5.0×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約10×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約15×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約20×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約25×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約30×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約35×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約40×10細胞/mLと約100×10細胞/mLとの間、約1.0×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約2.0×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約5.0×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約10×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約15×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約20×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約25×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約30×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約35×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約40×10細胞/mLと約90×10細胞/mLとの間、約1.0×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約2.0×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約5.0×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約10×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約15×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約20×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約25×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約30×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約35×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約40×10細胞/mLと約80×10細胞/mLとの間、約1.0×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約2.0×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約5.0×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約10×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約15×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約20×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約25×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約30×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約35×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約40×10細胞/mLと約70×10細胞/mLとの間、約1.0×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約2.0×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約5.0×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約10×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約15×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約20×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約25×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約30×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約35×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約40×10細胞/mLと約60×10細胞/mLとの間、約1.0×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間、約2.0×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間、約5.0×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間、約10×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間、約15×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間、約20×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間、約25×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間、または約30×10細胞/mLと約50×10細胞/mLとの間)の細胞密度範囲を有することができる。こうした凍結細胞バンクを産生する方法は、当分野において公知である(例えば、2013年3月15日出願の米国仮特許出願第61/793,021号;2014年3月14日出願の米国特許出願第14/212,607号;および2014年3月14日出願の国際出願番号PCT/US2014/027757を参照されたい)。当分野において周知の通り、凍結細胞バンク
の解凍は、例えば、該凍結細胞バンクを加熱要素(室温への曝露以外)、例えば、水浴またはブロックヒーター(例えば、30℃または37℃に設定)に曝露することにより行うことができる。一部の例において、解凍は、1秒~1分の間、1秒~55秒の間、1秒~50秒の間、1秒~45秒の間、1秒~40秒の間、1秒~35秒の間、1秒~30秒の間、1秒~25秒の間、または1秒~20秒の間の時間をかけて行うことができる。凍結細胞バンクはまた、該凍結細胞バンクを室温(例えば、約25℃)に曝露することにより解凍することもできる。この解凍細胞バンクは、例えば、少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%)の割合の生存細胞を含むことができる。例えば、解凍細胞バンクは、60%と約98%との間(例えば、約60%と約95%との間、約60%と約90%との間、約60%と約85%との間、約60%と約80%との間、約60%と約75%との間、約60%と約70%との間、約65%と約98%との間、約65%と約95%との間、約65%と約90%との間、約65%と約85%との間、約65%と約80%との間、約65%と約75%との間、約70%と約98%との間、約70%と約95%との間、約70%と約90%との間、約70%と約85%との間、約70%と約80%との間、約80%と約98%との間、約80%と約95%との間、約80%と約90%との間、約85%と約98%との間、約85%と約95%との間、約90%と約98%との間、または約90%と約95%との間)の割合の生存細胞を含むことができる。
【0067】
一部の実施例において、第1の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて、第1の細胞培養物を産生する工程は、第1の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を含むある体積の第3の細胞培養物を加える工程を含むことができる。例えば、第1の培養培地に加えられる第3の培養物の体積は、例えば0.10mL~約10Lの間(例えば、約0.10mL~約8.0Lの間、約0.10mL~約6.0Lの間、約0.10mL~約4.0Lの間、約0.10mL~約2.0Lの間、約0.10mL~約1.0Lの間、約0.10mL~約800mLの間、約0.10mL~約600mLの間、約0.10mL~約400mLの間、約0.10mL~約200mLの間、約0.10mL~約100mLの間、約0.10mL~約50mLの間、約0.10mL~約25mLの間、約0.10mL~約10mLの間、約0.50mL~約10Lの間、約0.50mL~約8.0Lの間、約0.50mL~約6.0Lの間、約0.50mL~約4.0Lの間、約0.50mL~約2.0Lの間、約0.50mL~約1.0Lの間、約0.50mL~約1.0Lの間、約0.50mL~約800mLの間、約0.50mL~約600mLの間、約0.50mL~約400mLの間、約0.50mL~約200mLの間、約0.50mL~約100mLの間、約0.50mL~約50mLの間、約0.50mL~約25mLの間、約1.0mL~約10Lの間、約1.0mL~約8.0Lの間、約1.0mL~約6.0Lの間、約1.0mL~約4.0Lの間、約1.0mL~約2.0Lの間、約1.0mL~約1.0Lの間、約1.0mL~約800mLの間、約1.0mL~約600mLの間、約1.0mL~約400mLの間、約1.0mL~約200mLの間、約0.10mL~約100mLの間、約1.0mL~約50mLの間、約1.0mL~約25mLの間、約2.0mL~約10Lの間、約2.0mL~約8.0Lの間、約2.0mL~約6.0Lの間、約2.0mL~約4.0Lの間、約2.0mL~約2.0Lの間、約2.0mL~約1.0Lの間、約2.0mL~約800mLの間、約2.0mL~約600mLの間、約2.0mL~約400mLの間、約2.0mL~約200mLの間、約2.0mL~約100mLの間、約2.0mL~約50mLの間、約2.0mL~約25mLの間、約5.0mL~約10Lの間、約5.0mL~約8.0Lの間、約5.0mL~約6.0Lの間、約5.0mL~約4.0Lの間、約5.0mL~約2.0Lの間、約5.0mL~約1.0Lの間、約5.0mL~約800mLの間、約5.0mL~約600mLの間、約5.0mL~約400mLの間、約5.0mL~約200mLの間、約5.0mL~約100mLの間、約5.0mL~約50mLの間、約5.0mL~約25.0mLの間、約10.
0mL~約10Lの間、約10.0mL~約8.0Lの間、約10.0mL~約6.0Lの間、約10.0mL~約4.0Lの間、約10.0mL~約2.0Lの間、約10.0mL~約1.0Lの間、約10.0mL~約800mLの間、約10.0mL~約600mLの間、約10.0mL~約400mLの間、約10.0mL~約200mLの間、約10.0mL~約100mLの間、約10.0mL~約50mLの間、または約10.0mL~約25.0mLの間)とすることができる。第1の培養培地に加えられる第3の細胞培養物の細胞密度は、本明細書に記載されている例示的な細胞密度または細胞密度範囲のいずれかとすることができる。当業者により理解される通り、約0.10×10細胞/mLと約0.80×10細胞/mLとの間(または、上記の第1の細胞培養物について列挙されている初期細胞密度の他の例示的な範囲のいずれか)の初期細胞密度を有する第1の細胞培養物を産生するのに十分な第3の細胞培養物の体積は、槽内に存在している、第3の細胞培養物の細胞密度および第1の液体培養培地の体積(第1の培養培地に第3の細胞培養物を加える前)から決定することができる。
【0068】
第3の細胞培養物を使用する一部の実施形態は、(1)槽に含まれる第4の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて、第3の細胞培養物を得る工程;および(2)(1)の第3の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間(例えば、約1.0×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約10.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約2.5×10細胞/mLの間、約1.5×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間、約1.5×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約1.5×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約1.5×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約1.5×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約1.5×10細胞/mL~約2.5×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約15×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約2.5×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約15×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約15×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約15×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約15×10細胞/mLの間、または約10×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間)の細胞密度範囲まで回分培養する工程を含むことができ、ある体積の(2)における第3の細胞培養物が、次に、第1の培養培地に加えられて、第1の細胞培養物が産生される。第4の培養培地に加えられた複数の細胞は、例えば、約0.10×10細胞~約20×10細胞の間(例えば、約0.10×10細胞~約15×10細胞の間、約0.10×10細胞~約10×10細胞の間、約0.10×10細胞~約5.0×10細胞の間、約0.10×10細胞~約2.0×10細胞の間、約0.10×10細胞~約1.0×10細胞の間、約0.10×10細胞~約0.50×10細胞の間、約0.20×10細胞~約20×10細胞の間、約0.20×10細胞~約15×10細胞の間、約0.20×10細胞~約10×10細胞の間、約0.20×10細胞~約5.0×10細胞の間、約0.20×1
細胞~約2.0×10細胞の間、約0.20×10細胞~約1.0×10細胞の間、約0.20×10細胞~約0.50×10細胞の間、約0.40×10細胞~約20×10細胞の間、約0.40×10細胞~約15×10細胞の間、約0.40×10細胞~約10×10細胞の間、約0.40×10細胞~約5.0×10細胞の間、約0.40×10細胞~約2.0×10細胞の間、約0.40×10細胞~約1.0×10細胞の間、約0.60×10細胞~約20×10細胞の間、約0.60×10細胞~約15×10細胞の間、約0.60×10細胞~約10×10細胞の間、約0.60×10細胞~約5×10細胞の間、約0.60×10細胞~約2×10細胞の間、約0.60×10細胞~約1×10細胞の間、約0.80×10細胞~約1.0×10細胞の間、約1.0×10細胞~約20×10細胞の間、約1.0×10細胞~約15×10細胞の間、約1.0×10細胞~約10×10細胞の間、約1.0×10細胞~約5.0×10細胞の間、約1.0×10細胞~約2.0×10細胞の間、約5.0×10細胞~約20×10細胞の間、約5.0×10細胞~約15×10細胞の間、または約5.0×10細胞~約10×10細胞の間)とすることができ、槽内に含まれる第4の培養培地の体積に応じて変わり得る。例えば、第3の液体培養培地に加えられている複数の細胞は、第3の細胞培養物において、約0.10×10細胞/mL~約0.80×10細胞/mLの間(例えば、第1の細胞培養物について上で列挙されている例示的な初期細胞密度または初期細胞密度の範囲のいずれか)の初期細胞密度をもたらすのに十分とすることができる。
【0069】
一部の実施形態では、第4の培養培地に複数の組換え哺乳動物細胞を加えて第3の細胞培養物を産生する工程は、凍結細胞バンクを解凍する工程、および第4の培養培地に、ある体積の解凍細胞バンクを加える工程を含むことができる。こうした実施形態では、凍結細胞バンクは、本明細書に記載されている凍結細胞バンクについて、任意の細胞密度または細胞密度の範囲のを有することができる。凍結細胞バンクは、本明細書に記載されている方法または当分野で公知の方法のいずれかを使用して解凍することができる。得られた解凍細胞バンクは、本明細書に記載されている解凍細胞バンクに関し、任意の割合の生存細胞または任意の割合の範囲の生存細胞を有することができる。
【0070】
第3の細胞培養物を含む槽の内部容積は、例えば、約0.20L~約30Lの間(例えば、約0.20L~約20Lの間、約0.20L~約10Lの間、約0.20L~約5.0Lの間、約0.20L~約2.5Lの間、約0.50L~約30Lの間、約0.50L~約20Lの間、約0.50L~約10Lの間、約0.50L~約5.0Lの間、約0.50L~約2.5Lの間、約1.0L~約30Lの間、約1.0L~約20Lの間、約1.0L~約10Lの間、約1.0L~約5.0Lの間、約1.0L~約2.5Lの間、約2.0L~約30Lの間、約2.0L~約20Lの間、約2.0L~約10Lの間、約2.0L~約5.0Lの間、約5.0L~約30Lの間、約5.0L~約20Lの間、約5.0L~約10Lの間、約10L~約30Lの間、または約10L~約20Lの間)とすることができる。第4の培養培地は、例えば、約0.10L~約20Lの間(例えば、約0.10L~約20Lの間、約0.10L~約15Lの間、約0.10L~約10Lの間、約0.10L~約5.0Lの間、約0.20L~約20Lの間、約0.20L~約15Lの間、約0.20L~約10Lの間、約0.20L~約5.0Lの間、約0.50L~約20Lの間、約0.50L~約15Lの間、約0.50L~約10Lの間、約0.50L~約5.0Lの間、約1.0L~約20Lの間、約1.0L~約15Lの間、約1.0L~約10Lの間、約1.0L~約5.0Lの間、約1.5L~約20Lの間、約1.5L~約15Lの間、約1.5L~約10Lの間、約1.5L~約5.0Lの間、約2.0L~約25Lの間、約2.0L~約20Lの間、約2.0L~約15Lの間、約2.0L~約10Lの間、約2.0L~約5.0Lの間、約5.0L~約20Lの間、約5.0L~約15Lの間、約5.0L~約10Lの間、約10L~約20Lの間、または約10L~約15Lの間)の体積を有することができる。
【0071】
本技術において理解される通り、第3の細胞培養物を含む槽は、哺乳動物細胞を培養するために当分野において使用される任意の器具(例えば、フラスコ(例えば、スピンフラスコ)、回転管またはバイオリアクター)とすることができる。この槽は、撹拌するための内部手段(例えば、インペラ)を含むことができるか、またはこの槽は、外から撹拌(例えば、回転プラットフォームおよび/または傾斜プラットフォームの使用により)することができる。この槽は、ステンレス鋼またはプラスチック製(例えば、プラスチック製滅菌バッグ)から作製することができる。一部の実施形態では、槽は使い捨て単回使用向けバイオリアクター(例えば、本明細書に記載されている使い捨て単回使用向けバイオリアクターのいずれか)とすることができる。潅流バイオリアクターの内表面は、少なくとも1種のコーティング(例えば、ゼラチン、コラーゲン、ポリ-L-オルニチン、ポリスチレンおよびラミニンの少なくとも1種のコーティング)、および当分野で公知の通り、第3の培養培地にO、COおよびNを吹き込むための1つまたはそれ以上の導入口を有することができる。槽は、1つまたはそれ以上のセンサープローブを装備することができる。槽が非剛性プラスチック製材料からなる(例えば、プラスチック製滅菌バッグ)場合、この槽を外部構造体により囲繞して支持することができる。
【0072】
本明細書に記載されている加える工程はそれぞれ、滅菌ピペット(例えば、組織培養物フード中での滅菌ピペット操作)を使用して行うことができる。
【0073】
第1の細胞培養物の回分培養
工程(a)における第1の細胞培養物の取得後、本明細書に記載されているシードトレイン法は、(b)第1の細胞培養物を約1.0×10細胞/mL~約20.0×10細胞/mLの間(例えば、約1.0×10細胞/mL~約17.5×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約10.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約2.5×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約20.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約17.5×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約10.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約20.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約17.5×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約10.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約7.5×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約20.0×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約17.5×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約7.5×10細胞/mL~約10.0×10細胞/mLの間、約10.0×10細胞/mL~約20.0×10細胞/mLの間、約10.0×10細胞/mL~約17.5×10細胞/mLの間、約10.0×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間、約10.0×10細胞/mL~約12.5×10細胞/mLの間、約12.5×10細胞/mL~約20.0×10細胞/mLの間、約12.5×10細胞/mL~約17.5×10細胞/mLの間、または約12.5×10細胞/mL~約15.0×10細胞/mLの間)の細胞密度範囲まで回分培養する工程を含む。細胞密度を決定するための様々な異なる方法が、当分野で公知である(例えば、光学顕微鏡および血球計算盤の使
用、または例えば、Countess(登録商標)自動細胞カウンター(Life Technologies)、Cellometer(登録商標)(Nexcelom Bioscience)、Luna(商標)自動細胞カウンター(Logos Biosystems)のような自動細胞カウンター、またはVi-Cell(登録商標)細胞生存率分析器の使用)。
【0074】
第1の細胞培養物の回分培養は、培養の間、第1の細胞培養物へのかなりの量または有意な量の液体培養培地の添加を含まず、かつかなりの量または有意な量の第1の細胞培養培地の抜き取りを含まない。回分培養は、本明細書に記載されている例示的な温度のいずれか、および/またはCOガスの曝露を使用して行うことができる。回分培養は、当分野で公知のOおよび/またはNガスの曝露のいずれかを使用して行うことができる。回分培養はまた、本明細書に記載されているタイプの撹拌のいずれかを含むことができる。当業者であれば理解する通り、約1.0×10細胞/mL~約20.0×10細胞/mLの間(または、本明細書に記載されている他の細胞密度または細胞密度の範囲のいずれか)を目標とする細胞密度に到達するまで第1の細胞培養物を回分培養する時間の長さは、組換え哺乳動物細胞の成長速度および第1の細胞培養物の初期細胞密度に依存するであろう。例えば、第1の細胞培養物は、約1日間~約9日間の間(例えば、約1日間~約8日間の間、約1日間~約7日間の間、約1日間~約6日間の間、約1日間~約5日間の間、約1日間~約4日間の間、約1日間~約3日間の間、約2日間~約9日間の間、約2日間~約8日間の間、約2日間~約7日間の間、約2日間~約6日間の間、約2日間~約5日間の間、約2日間~約4日間の間、約3日間~約9日間の間、約3日間~約8日間の間、約3日間~約7日間の間、約3日間~約6日間の間、約3日間~約5日間の間、約4日間~約9日間の間、約4日間~約8日間の間、約4日間~約7日間の間、約4日間~約6日間の間、約5日間~約9日間の間、約5日間~約8日間の間、約5日間~約7日間の間、約6日間~約9日間の間、約6日間~約8日間の間、または約7日間~約9日間の間)培養することができる。本方法において使用することができる回分培養の他の例示的なパラメータは、本明細書に記載されている。
【0075】
第2の細胞培養物の取得
本明細書に記載されているシードトレイン法は、(c)潅流バイオリアクター中に含まれる第2の培養培地に、ある体積の工程(b)の第1の細胞培養物を加えて、約0.10×10細胞/mL~約0.8×10細胞/mL(例えば、上記の第1の細胞培養物に関して記載されている初期細胞密度または初期細胞密度の範囲のいずれか)の間の範囲の初期細胞密度を有する第2の細胞培養物を得る工程をさらに含む。当業者が理解することができる通り、第2の細胞培養物に関して約0.10×10細胞/mL~約0.80×10細胞/mLの間の範囲の初期細胞密度に到達させるために、第2の培養培地に加える適切な体積の第1の細胞培養物は、第1の細胞培養物の細胞密度および第2の培養培地の体積から決定することができる。第2の培養培地に加えられる第1の細胞培養物の体積は、例えば、0.30L~約100Lの間(例えば、約0.30L~約90Lの間、約0.30L~約80Lの間、約0.30L~約70Lの間、約0.30L~約60Lの間、約0.30L~約50Lの間、約0.30L~約40Lの間、約0.30L~約30Lの間、約0.30L~約20Lの間、約0.30L~約10Lの間、約1.0L~約100Lの間、約1.0L~約90Lの間、約1.0L~約80Lの間、約1.0L~約70Lの間、約1.0L~約60Lの間、約1.0L~約50Lの間、約1.0L~約40Lの間、約1.0L~約30Lの間、約1.0L~約20Lの間、約1.0L~約10Lの間、約2.5L~約100Lの間、約2.5L~約90Lの間、約2.5L~約80Lの間、約2.5L~約70Lの間、約2.5L~約60Lの間、約2.5L~約50Lの間、約2.5L~約40Lの間、約2.5L~約30Lの間、約2.5L~約20Lの間、約2.5L~約10Lの間、約5.0L~約100Lの間、約5.0L~約90Lの間、約5.0L~約80Lの間、約5.0L~約70Lの間、約5.0L~約60Lの間、約5
.0L~約50Lの間、約5.0L~約40Lの間、約5.0L~約30Lの間、約5.0L~約20Lの間、約5.0L~約10Lの間、約15L~約100Lの間、約15L~約90Lの間、約15L~約80Lの間、約15L~約70Lの間、約15L~約70Lの間、約15L~約60Lの間、約15L~約50Lの間、約15L~約40Lの間、約15L~約30Lの間、約15L~約20Lの間、約20L~約100Lの間、約20L~約90Lの間、約20L~約80Lの間、約20L~約70Lの間、約20L~約60Lの間、約20L~約50Lの間、約20L~約40Lの間、約30L~約100Lの間、約30L~約90Lの間、約30L~約80Lの間、約30L~約70Lの間、約30L~約60Lの間、約30L~約50Lの間、約40L~約100Lの間、約40L~約90Lの間、約40L~約80Lの間、約40L~約70Lの間、約40L~約60Lの間、約50L~約100Lの間、約50L~約90Lの間、約50L~約80Lの間、約50L~約70Lの間、約60L~約100Lの間、約60L~約90Lの間、約60L~約80Lの間、約70L~約100Lの間、約70L~約90Lの間、または約80L~約100Lの間)とすることができる。
【0076】
第2の細胞培養物の体積は、例えば、2.0L~800Lの間(例えば、約2.0L~約750Lの間、約2.0L~約700Lの間、約2.0L~約650Lの間、約2.0L~約600Lの間、約2.0L~約550Lの間、約2.0L~約500Lの間、約2.0L~約450Lの間、約2.0L~約400Lの間、約2.0L~約350Lの間、約2.0L~約300Lの間、約2.0L~約250Lの間、約2.0L~約200Lの間、約2.0L~約150Lの間、約2.0L~約100Lの間、約2.0L~約50Lの間、約2.0L~約25Lの間、約5.0L~約800Lの間、約5.0L~約750Lの間、約5.0L~約700Lの間、約5.0L~約650Lの間、約5.0L~約600Lの間、約5.0L~約550Lの間、約5.0L~約500Lの間、約5.0L~約450Lの間、約5.0L~約400Lの間、約5.0L~約350Lの間、約5.0L~約300Lの間、約5.0L~約250Lの間、約5.0L~約200Lの間、約5.0L~約150Lの間、約5.0L~約100Lの間、約5.0L~約50Lの間、約5.0L~約25Lの間、約10L~約800Lの間、約10L~約750Lの間、約10L~約700Lの間、約10L~約650Lの間、約10L~約600Lの間、約10L~約550Lの間、約10L~約500Lの間、約10L~約450Lの間、約10L~約400Lの間、約10L~約350Lの間、約10L~約300Lの間、約10L~約250Lの間、約10L~約200Lの間、約10L~約150Lの間、約10L~約100Lの間、約10L~約50Lの間、約10L~約25Lの間、約15L~約800Lの間、約15L~約750Lの間、約15L~約700Lの間、約15L~約600Lの間、約15L~約550Lの間、約15L~約500Lの間、約15L~約450Lの間、約15L~約400Lの間、約15L~約350Lの間、約15L~約300Lの間、約15L~約250Lの間、約15L~約200Lの間、約15L~約150Lの間、約15L~約100Lの間、約15L~約50Lの間、約15L~約25Lの間、約20L~約800Lの間、約20L~約750Lの間、約20L~約700Lの間、約20L~約650Lの間、約20L~約600Lの間、約20L~約550Lの間、約20L~約500Lの間、約20L~約450Lの間、約20L~約400Lの間、約20L~約350Lの間、約20L~約300Lの間、約20L~約250Lの間、約20L~約200Lの間、約20L~約150Lの間、約20L~約100Lの間、約20L~約50Lの間、約25L~約800Lの間、約25L~約750Lの間、約25L~約700Lの間、約25L~約650Lの間、約25L~約600Lの間、約25L~約550Lの間、約25L~約500Lの間、約25L~約450Lの間、約25L~約400Lの間、約25L~約350Lの間、約25L~約300Lの間、約25L~約250Lの間、約25L~約200Lの間、約25L~約150Lの間、約25L~約100Lの間、約25L~約50Lの間、約50L~約800Lの間、約50L~約750Lの間、約50L~約700Lの間、約50L~約650Lの間、約50L~約600Lの間、約50L
~約550Lの間、約50L~約500Lの間、約50L~約450Lの間、約50L~約400Lの間、約50L~約350Lの間、約50L~約300Lの間、約50L~約250Lの間、約50L~約200Lの間、約50L~約150Lの間、約50L~約100Lの間、約75L~約800Lの間、約75L~約750Lの間、約75L~約700Lの間、約75L~約650Lの間、約75L~約600Lの間、約75L~約550Lの間、約75L~約500Lの間、約75L~約450Lの間、約75L~約400Lの間、約75L~約350Lの間、約75L~約300Lの間、約75L~約250Lの間、約75L~約200Lの間、約75L~約150Lの間、約75L~約100Lの間、約100L~約800Lの間、約100L~約750Lの間、約100L~約700Lの間、約100L~約650Lの間、約100L~約600Lの間、約100L~約550Lの間、約100L~約500Lの間、約100L~約450Lの間、約100L~約400Lの間、約100L~約350Lの間、約100L~約300Lの間、約100L~約250Lの間、約100L~約200Lの間、約100L~約150Lの間、約150L~約800Lの間、約150L~約750Lの間、約150L~約700Lの間、約150L~約650Lの間、約150L~約600Lの間、約150L~約550Lの間、約150L~約500Lの間、約150L~約450Lの間、約150L~約400Lの間、約150L~約350Lの間、約150L~約300Lの間、約150L~約250Lの間、約150L~約200Lの間、約200L~約800Lの間、約200L~約750Lの間、約200L~約700Lの間、約200L~約650Lの間、約200L~約600Lの間、約200L~約550Lの間、約200L~約500Lの間、約200L~約450Lの間、約200L~約400Lの間、約200L~約350Lの間、約200L~約300Lの間、約200L~約250Lの間、約250L~約800Lの間、約250L~約750Lの間、約250L~約700Lの間、約250L~約650Lの間、約250L~約600Lの間、約250L~約550Lの間、約250L~約500Lの間、約250L~約450Lの間、約250L~約400Lの間、約250L~約350Lの間、約250L~約300Lの間、約300L~約800Lの間、約300L~約750Lの間、約300L~約700Lの間、約300L~約650Lの間、約300L~約600Lの間、約300L~約550Lの間、約300L~約500Lの間、約300L~約450Lの間、約300L~約400Lの間、約300L~約350Lの間、約350L~約800Lの間、約350L~約750Lの間、約350L~約700Lの間、約350L~約650Lの間、約350L~約600Lの間、約350L~約550Lの間、約350L~約500Lの間、約350L~約450Lの間、約350L~約400Lの間、約400L~約800Lの間、約400L~約750Lの間、約400L~約700Lの間、約400L~約650Lの間、約400L~約600Lの間、約400L~約550Lの間、約400L~約500Lの間、約400L~約450Lの間、約450L~約800Lの間、約450L~約750Lの間、約450L~約700Lの間、約450L~約650Lの間、約450L~約600Lの間、約450L~約550Lの間、約450L~約500Lの間、約500L~約800Lの間、約500L~約750Lの間、約500L~約700Lの間、約500L~約650Lの間、約500L~約600Lの間、約500L~約650Lの間、約550L~約800Lの間、約550L~約750Lの間、約550L~約700Lの間、約550L~約650Lの間、約550L~約600Lの間、約600L~約800Lの間、約600L~約750Lの間、約600L~約700Lの間、約600L~約650Lの間、約650L~約800Lの間、約650L~約750Lの間、約650L~約700Lの間、約700L~約800Lの間、約700L~約750Lの間、または約750L~約800Lの間)とすることができる。
【0077】
潅流バイオリアクターは、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の例示的な潅流バイオリアクターのいずれかとすることができる。例えば、潅流バイオリアクターは、ステンレス鋼またはプラスチック製(例えば、プラスチック製滅菌バッグ)から作製す
ることができる。潅流バイオリアクターの内表面は、少なくとも1種のコーティング(例えば、ゼラチン、コラーゲン、ポリ-L-オルニチン、ポリスチレンおよびラミニンの少なくとも1種のコーティング)、ならびに当分野で公知の通り、液体培養培地にO、COおよびNを吹き込むための1つまたはそれ以上の導入口、ならびに該液体培養培地を撹拌するためのかき混ぜ装置を有することができる。潅流バイオリアクターはまた、バイオリアクターからある体積の第2の液体培養培地を抜き取ることができる機械装置、および場合によりバイオリアクターから第2の液体培養培地を移すプロセス中に、第2の液体培養培地から細胞を抜き取る機械装置内にフィルター(例えば、交互タンジェンシャルフロー(ATF)、タンジェンシャルフローろ過(TFF)システム、または米国仮特許出願第61/878,502号に記載されているろ過システム)を備えることもできる。バイオリアクターはまた、1つまたはそれ以上のポンプ、ならびに抜き取られた第2の培養培地および潅流バイオリアクターに潅流される新しい培養培地を保管するための1つまたはそれ以上の貯蔵器を装備することもできる。
【0078】
潅流バイオリアクターは、例えば、約5.0L~約2,000Lの間(例えば、約5.0L~約1,900Lの間、約5.0L~約1,800Lの間、約5.0L~約1,700Lの間、約5.0L~約1,600Lの間、約5.0L~約1,500Lの間、約5.0L~約1,400Lの間、約5.0L~約1,300Lの間、約5.0L~約1,200Lの間、約5.0L~約1,100Lの間、約5.0L~約1,000Lの間、約5.0L~約900Lの間、約5.0L~約800Lの間、約5.0L~約700Lの間、約5.0L~約600Lの間、約5.0L~約500Lの間、約5.0L~約400Lの間、約5.0L~約300Lの間、約5.0L~約200Lの間、約5.0L~約100Lの間、約5.0L~約50Lの間、約100L~約2,000Lの間、約100L~約1,900Lの間、約100L~約1,800Lの間、約100L~約1,700Lの間、約100L~約1,600Lの間、約100L~約1,500Lの間、約100L~約1,400Lの間、約100L~約1,300Lの間、約100L~約1,200Lの間、約100L~約1,100Lの間、約100L~約1,000Lの間、約100L~約900Lの間、約100L~約800Lの間、約100L~約700Lの間、約100L~約600Lの間、約100L~約500Lの間、約100L~約400Lの間、約100L~約300Lの間、約100L~約200Lの間、約150L~約2,000Lの間、約150L~約1,900Lの間、約150L~約1,800Lの間、約150L~約1,700Lの間、約150L~約1,600Lの間、約150L~約1,500Lの間、約150L~約1,400Lの間、約150L~約1,300Lの間、約150L~約1,200Lの間、約150L~約1,100Lの間、約150L~約1,000Lの間、約150L~約900Lの間、約150L~約800Lの間、約150L~約700Lの間、約150L~約600Lの間、約150L~約500Lの間、約150L~約400Lの間、約150L~約300Lの間、約150L~約200Lの間、約200L~約2,000Lの間、約200L~約1,900Lの間、約200L~約1,800Lの間、約200L~約1,700Lの間、約200L~約1,600Lの間、約200L~約1,500Lの間、約200L~約1,400Lの間、約200L~約1,300Lの間、約200L~約1,200Lの間、約200L~約1,100Lの間、約200L~約1,000Lの間、約200L~約900Lの間、約200L~約800Lの間、約200L~約700Lの間、約200L~約600Lの間、約200L~約500Lの間、約200L~約400Lの間、約200L~約300Lの間、約300L~約2,000Lの間、約300L~約1,900Lの間、約300L~約1,800Lの間、約300L~約1,700Lの間、約300L~約1,600Lの間、約300L~約1,500Lの間、約300L~約1,400Lの間、約300L~約1,300Lの間、約300L~約1,200Lの間、約300L~約1,100Lの間、約300L~約1,000Lの間、約300L~約900Lの間、約300L~約800Lの間、約300L~約700Lの間、約300L~約600Lの間、約300L~約500Lの間、約300L~約4
00Lの間、約400L~約2,000Lの間、約400L~約1,900Lの間、約400L~約1,800Lの間、約400L~約1,700Lの間、約400L~約1,600Lの間、約400L~約1,500Lの間、約400L~約1,400Lの間、約400L~約1,300Lの間、約400L~約1,200Lの間、約400L~約1,100Lの間、約400L~約1,000Lの間、約400L~約900Lの間、約400L~約800Lの間、約400L~約700Lの間、約400L~約600Lの間、約400L~約500Lの間、約500L~約2,000Lの間、約500L~約1,900Lの間、約500L~約1,800Lの間、約500L~約1,700Lの間、約500L~約1,600Lの間、約500L~約1,500Lの間、約500L~約1,400Lの間、約500L~約1,300Lの間、約500L~約1,200Lの間、約500L~約1,100Lの間、約500L~約1,000Lの間、約500L~約900Lの間、約500L~約800Lの間、約500L~約700Lの間、約500L~約600Lの間、約600L~約2,000Lの間、約600L~約1,900Lの間、約600L~約1,800Lの間、約600L~約1,700Lの間、約600L~約1,600Lの間、約600L~約1,500Lの間、約600L~約1,400Lの間、約600L~約1,300Lの間、約600L~約1,200Lの間、約600L~約1,100Lの間、約600L~約1,000Lの間、約600L~約900Lの間、約600L~約800Lの間、約600L~約700Lの間、約700L~約2,000Lの間、約700L~約1,900Lの間、約700L~約1,800Lの間、約700L~約1,700Lの間、約700L~約1,600Lの間、約700L~約1,500Lの間、約700L~約1,400Lの間、約700L~約1,300Lの間、約700L~約1,200Lの間、約700L~約1,100Lの間、約700L~約1,000Lの間、約700L~約900Lの間、約700L~約800Lの間、約800L~約2,000Lの間、約800L~約1,900Lの間、約800L~約1,800Lの間、約800L~約1,700Lの間、約800L~約1,600Lの間、約800L~約1,500Lの間、約800L~約1,400Lの間、約800L~約1,300Lの間、約800L~約1,200Lの間、約800L~約1,100Lの間、約800L~約1,000Lの間、約800L~約900Lの間、約1,000L~約2,000Lの間、約1,000L~約1,750Lの間、約1,000L~約1,500Lの間、約1,000L~約1,250Lの間、約1,250L~約2,000Lの間、約1,250L~約1,750Lの間、約1,250L~約1,500Lの間、約1,500L~約2,000Lの間、約1,500L~約1,750Lの間、または約1,750L~約2,000Lの間)の内部容積を有することができる。
【0079】
第2の細胞培養物の潅流培養
本明細書に記載されているシードトレイン法は、(d)第2の細胞培養物を約5.0×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間(例えば、約5.0×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約40×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約30×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約20×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約10×1
細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約40×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約30×10細胞/mLの間、約10×10細胞/mL~約20×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約40×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約30×10細胞/mLの間、約15×10細胞/mL~約20×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約40×10細胞/mLの間、約20×10細胞/mL~約30×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約40×10細胞/mLの間、約25×10細胞/mL~約30×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間、約30×10細胞/mL~約40×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約40×10細胞/mL~約50×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約10
0×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約50×10細胞/mL~約60×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約60×10細胞/mL~約70×10細胞/mLの間、約70×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約70×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約70×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約70×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約70×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約70×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約70×10細胞/mL~約80×10細胞/mLの間、約80×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約80×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約80×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約80×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約80×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約80×10細胞/mL~約90×10細胞/mLの間、約90×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約90×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約90×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約90×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約90×10細胞/mL~約100×10細胞/mLの間、約100×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約100×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約100×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約100×10細胞/mL~約110×10細胞/mLの間、約110×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、約110×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、約110×10細胞/mL~約120×10細胞/mLの間、約120×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間、
約120×10細胞/mL~約130×10細胞/mLの間、または約130×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間)の細胞密度まで潅流培養する工程をさらに含む。
【0080】
潅流培養は当分野で周知であり、この工程では、潅流バイオリアクターからある体積の液体培養培地(例えば、実質的に細胞不含の潅流バイオリアクター中の、ある体積の第2の液体培養培地)を抜き取る工程(例えば、連続的または周期的な抜き取り)、およびある体積の交換用培養培地をほぼ同時に、または実質的に同時に、該潅流バイオリアクターに添加する工程を含む。抜き取りおよび添加は、同時にもしくは逐次に、またはこれらの2つを組み合わせて行うことができる。さらに、抜き取りおよび添加は、連続的(例えば、任意の所与の時間をかけて(例えば、24時間をかけて、約1時間~約24時間の増分期間をかけて、または24時間超の増分期間をかけて)、潅流バイオリアクターの容積または培養の開始時における液体培養培地の初期体積(例えば、第2の液体培養培地の体積)の0.1%~800%の間(例えば、1%~700%の間、1%~600%の間、1%~500%の間、1%~400%の間、1%~350%の間、1%~300%の間、1%~250%の間、1%~100%の間、100%~200%の間、5%~150%の間、10%~50%の間、15%~40%の間、8%~80%の間および4%~30%の間)の体積を抜き取って置き換わる速度で)、または周期的に(例えば、3日毎に1回、2日毎に1回、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、または1日5回)、またはそれらの任意の組合せで行うことができる。周期的に行われる場合、抜き取られるかまたは置き換えられる(例えば、約24時間以内、約1時間~約24時間の増分期間以内、または24時間超の増分期間以内)体積は、例えば、潅流バイオリアクターの体積、または培養の
開始時におけるバイオリアクター内の培養培地の体積(例えば、第2の液体培養培地の体積)の0.1%~800%の間(例えば、1%~700%の間、1%~600%の間、1%~500%の間、1%~400%の間、1%~300%の間、1%~200%の間、1%~100%の間、100%~200%の間、5%~150%の間、10%~50%の間、15%~40%の間、8%~80%の間、および4%~30%の間)とすることができる。抜き取られた液体培養培地の体積および添加された交換用液体培養培地(例えば、新しい液体培養培地)の体積は、一部の場合、培養期間の全体または一部にわたり、24時間毎(または、代替として、約1時間から約24時間の増分期間、または24時間を超える増分期間)にほぼ同じに維持される。当分野で公知の通り、液体培養培地の体積が抜き取られる速度(体積/時間の単位)、および交換用液体培養培地(例えば、新しい第2の液体培養培地)の体積が添加される速度(体積/時間の単位)は様々となり得る。液体培養培地の体積が抜き取られる速度(体積/時間の単位)、および交換用液体培養培地(例えば、新しい液体培養培地)の体積が添加される速度(体積/時間の単位)は、ほぼ同じとすることができるか、または異なることができる。
【0081】
あるいは、抜き取られるおよび添加される体積は、培養期間中、各24時間にわたり(または、代替として、1時間~約24時間の間の増分期間、または24時間超の増分期間)変わり得る(例えば、徐々に増加する)。例えば、培養期間にわたり、各24時間以内(または、代替として、約1時間から24時間超の間の増分期間、もしくは24時間超の増分期間)に抜き取られた液体培養培地の体積、および添加される交換用液体培養培地(例えば、添加される新しい液体培養培地)の体積は、培養期間にわたり、バイオリアクターの体積または培養開始時に存在している液体培養培地(例えば、第2の培養培地の体積)の体積の0.5%~約20%の間である体積から、バイオリアクターの体積または培養開始時に存在している液体培養培地の体積(例えば、第2の液体培養培地の体積)の約25%~約300%まで増加させることができる(例えば、増分を徐々に、または時間をずらして)。
【0082】
熟練専門家は、抜き取られた液体培養培地および添加された交換用液体培養培地(例えば、添加された新しい液体培養培地)は、同じタイプの培地(例えば、血清不含の化学的に規定されている培地、または血清不含でタンパク質不含の化学的に規定されている培地)とすることができることを理解するであろう。他の場合、抜き取られる液体培養培地および添加される交換用液体培養培地(例えば、添加される新しい液体培養培地)は異なることができる。
【0083】
液体培養培地の体積は、例えば、該体積中に存在している哺乳動物細胞を排除する分子量のカットオフを備えた滅菌膜に該体積を通して、機械システムを使用する、および/または浸透させるかまたは重力流によって抜き取ることができる。
【0084】
交換用液体培養培地(例えば、新しい第2の液体培養培地)の体積は、例えば、潅流ポンプにより自動的にバイオリアクターに添加することができる。一部の例では、液体培養培地の体積(例えば、哺乳動物細胞が実質的に不含のある体積の第2の液体培養培地)の抜き取りおよび交換用液体培養培地(例えば、新しい液体培養培地)の体積の添加は、潅流バイオリアクターに哺乳動物細胞を供給する少なくとも1時間以内(例えば、2時間以内、3時間以内、4時間以内、5時間以内、6時間以内、7時間以内、8時間以内、9時間以内、10時間以内、12時間以内、14時間以内、16時間以内、18時間以内、24時間以内、36時間以内、48時間以内、72時間以内、96時間以内、または96時間後)に行われない。
【0085】
当業者であれば理解する通り、約5×10細胞/mL~約140×10細胞/mLの間(または、本明細書に記載されている他の細胞密度もしくは細胞密度の範囲のいずれ
か)を目標とする細胞密度に到達するまで第2の細胞培養物を潅流培養する時間の長さは、組換え哺乳動物細胞の成長速度および第2の細胞培養物の初期細胞密度に依存するであろう。例えば、第2の培養物は、約1日間~約9日間の間(例えば、上記の回分培養について列挙されている期間の例示的な範囲のいずれか)の期間、潅流培養することができる。本方法において使用することができる潅流培養の他の例示的なパラメータは、本明細書に記載されている。
【0086】
生産細胞培養物の取得
本明細書に記載されているシードトレイン法は、(e)生産用バイオリアクター中に含まれる第3の培養培地に工程(d)のある体積の第2の細胞培養物を加えて、約0.25×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの範囲(例えば、約0.25×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、0.25×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約4.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約2.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約1.0×10細胞/mLの間、約0.25×10細胞/mL~約0.75×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、0.50×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約4.0×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約2.0×10細胞/mLの間、約0.50×10細胞/mL~約1.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約4.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約2.0×10細胞/mLの間、約0.75×10細胞/mL~約1.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約4.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mLの間、約1.0×10細胞/mL~約2.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約4.0×10細胞/mLの間、約2.0×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約6
.0×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約4.0×10細胞/mLの間、約2.5×10細胞/mL~約3.0×10細胞/mLの間、約3.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約3.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約3.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約3.0×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約3.0×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約3.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約3.0×10細胞/mL~約4.0×10細胞/mLの間、約4.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約4.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約4.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約4.0×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約4.0×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約4.0×10細胞/mL~約5.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約5.0×10細胞/mL~約6.0×10細胞/mLの間、約6.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約6.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約6.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約6.0×10細胞/mL~約7.0×10細胞/mLの間、約7.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約7.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、約7.0×10細胞/mL~約8.0×10細胞/mLの間、約8.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間、約8.0×10細胞/mL~約9.0×10細胞/mLの間、または約9.0×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの間)の初期細胞密度を有する生産細胞培養物を得る工程をさらに含む。一部の実施形態では、生産細胞培養物の初期細胞密度は、定常状態の生産細胞密度の少なくとも約8%(例えば、少なくとも約10%、少なくとも約12%、少なくとも約14%、少なくとも約16%、少なくとも約18%、少なくとも約20%、少なくとも約22%、少なくとも約24%、少なくとも約26%、少なくとも約28%、少なくとも約30%、少なくとも約32%、少なくとも約34%、少なくとも約36%、少なくとも約38%、少なくとも約40%、または少なくとも約50%)である。例えば、生産細胞培養物の初期細胞密度は、定常状態の生産細胞密度の約4.0%~約30%の間(例えば、約4.0%~約28%の間、約4.0%~約26%の間、約4.0%~約24%の間、約4.0%~約22%の間、約4.0%~約20%の間、約4.0%~約18%の間、約4.0%~約16%の間、約4.0%~約14%の間、約4.0%~約12%の間、約4.0%~約10%の間、約4.0%~約8.0%の間、約4.0%~約6.0%の間、約5.0%~約30%の間、約5.0%~約28%の間、約5.0%~約26%の間、約5.0%~約24%の間、約5.0%~約22%の間、約5.0%~約20%の間、約5.0%~約18%の間、約5.0%~約16%の間、約5.0%~約14%の間、約5.0%~約12%の間、約5.0%~約10%の間、約5.0%~約8.0%の間、約10%~約30%の間、約10%~約28%の間、約10%~約26%の間、約10%~約24%の間、約10%~約22%の間、約10%~約20%の間、約10%~約18%の間、約10%~約16%の間、約10%~約14%の間、約10%~約12%の間、約15%~約30%の間、約15%~約28%の間、約15%~約26%の間、約15%~約24%の間、約15%~約22%の間、約15%~約20%の間、約15%~約18%の間、約20%~約30%の間、約20%~約28%の間、約20%~約26%の間、約20%~約24%の間、約20%~約22%の間、約25%~約30%の間、または約25%~約28%の間)とすることができる。当業者が理解することができる通り、生産細胞培養物の場合、約0.25×10細胞/mL~約10×10細胞/mLの範囲の初期細胞密度に到達させるために、第3の培養培地に加える適切な体積の第2の細胞培養物は、生産用バイオリアクター中の第2の細胞培養物の細胞密度および第3の培養培
地の体積から決定することができる。例えば、第3の細胞培養培地に加えられる第2の細胞培養物の体積は、例えば、2.0L~800Lの間(例えば、本明細書に記載されている第2の細胞培養物の体積の例示的な範囲のいずれか)とすることができる。
【0087】
第3の細胞培養物は、ある体積、例えば、約50L~約20,000L(例えば、約50L~約17,500Lの間、約50L~約15,000Lの間、約50L~約12,500Lの間、約50L~約10,000Lの間、約50L~約7,500Lの間、約50L~約5,000Lの間、約50L~約2,500Lの間、約50L~約1,000Lの間、約50L~約750Lの間、約50L~約500Lの間、約50L~約200Lの間、約50L~約100Lの間、約100L~約20,000Lの間、約100L~約17,500Lの間、約100L~約15,000Lの間、約100L~約12,500Lの間、約100L~約10,000Lの間、約100L~約7,500Lの間、約100L~約5,000Lの間、約100L~約2,500Lの間、約100L~約1,000Lの間、約100L~約750Lの間、約100L~約500Lの間、約100L~約250Lの間、約200L~約20,000Lの間、約200L~約17,500Lの間、約200L~約15,000Lの間、約200L~約12,500Lの間、約200L~約10,000Lの間、約200L~約7,500Lの間、約200L~約5,000Lの間、約200L~約2,500Lの間、約200L~約1,000Lの間、約200L~約750Lの間、約200L~約500Lの間、約200L~約250Lの間、約500L~約20,000Lの間、約500L~約17,500Lの間、約500L~約15,000Lの間、約500L~約12,500Lの間、約500L~約10,000Lの間、約500L~約7,500Lの間、約500L~約5,000Lの間、約500L~約2,500Lの間、約500L~約1,000Lの間、約500L~約750Lの間、約750L~約20,000Lの間、約750L~約17,500Lの間、約750L~約15,000Lの間、約750L~約12,500Lの間、約750L~約10,000Lの間、約750L~約7,500Lの間、約750L~約5,000Lの間、約750L~約2,500Lの間、約750L~約1,000Lの間、約1,000L~約20,000Lの間、約1,000L~約17,500Lの間、約1,000L~約15,000Lの間、約1,000L~約12,500Lの間、約1,000L~約10,000Lの間、約1,000L~約7,500Lの間、約1,000L~約5,000Lの間、約1,000L~約2,500Lの間、約2,500L~約20,000Lの間、約2,500L~約17,500Lの間、約2,500L~約15,000Lの間、約2,500L~約12,500Lの間、約2,500L~約10,000Lの間、約2,500L~約7,500Lの間、約2,500L~約5,000Lの間、約5,000L~約20,000Lの間、約5,000L~約17,500Lの間、約5,000L~約15,000Lの間、約5,000L~約12,500Lの間、約5,000L~約10,000Lの間、約5,000L~約7,500Lの間、約7,500L~約20,000Lの間、約7,500L~約17,500Lの間、約7,500L~約15,000Lの間、約7,500L~約12,500Lの間、約7,500L~約10,000Lの間、約10,000L~約20,000Lの間、約10,000L~約17,500Lの間、約10,000L~約15,000Lの間、約10,000L~約12,500Lの間、約12,500L~約20,000Lの間、約12,500L~約17,500Lの間、約12,500L~約15,000Lの間、約15,000L~約20,000Lの間、約15,000L~約17,500Lの間、または約17,500L~約20,000Lの間)の間を有することができる。
【0088】
これらの方法において使用される生産用バイオリアクターは、例えば、100L~約25,000Lの間(例えば、約100L~約22,500Lの間、約100L~約20,000Lの間、約100L~約17,500Lの間、約100L~約15,000Lの間、約100L~約12,500Lの間、約100L~約10,000Lの間、約100L
~約7,500Lの間、約100L~約5,000Lの間、約100L~約2,500Lの間、約100L~約1,000Lの間、約100L~約500Lの間、約100L~約250Lの間、約200L~約25,000Lの間、約200L~約22,500Lの間、約200L~約20,000Lの間、約200L~約17,500Lの間、約200L~約15,000Lの間、約200L~約12,500Lの間、約200L~約10,000Lの間、約200L~約7,500Lの間、約200L~約5,000Lの間、約200L~約2,500Lの間、約200L~約1,000Lの間、約200L~約750Lの間、約200L~約500Lの間、約200L~約250Lの間、約500L~約25,000Lの間、約500L~約22,500Lの間、約500L~約20,000Lの間、約500L~約17,500Lの間、約500L~約15,000Lの間、約500L~約12,500Lの間、約500L~約10,000Lの間、約500L~約7,500Lの間、約500L~約5,000Lの間、約500L~約2,500Lの間、約500L~約1,000Lの間、約500L~約750Lの間、約1,000L~約25,000Lの間、約1,000L~約22,500Lの間、約1,000L~約20,000Lの間、約1,000L~約17,500Lの間、約1,000L~約15,000Lの間、約1,000L~約12,500Lの間、約1,000L~約10,000Lの間、約1,000L~約7,500Lの間、約1,000L~約5,000Lの間、約1,000L~約2,500Lの間、約5,000L~約25,000Lの間、約5,000L~約22,500Lの間、約5,000L~約20,000Lの間、約5,000L~約17,500Lの間、約5,000L~約15,000Lの間、約5,000L~約12,500Lの間、約5,000L~約10,000Lの間、約5,000L~約7,500Lの間、約7,500L~約25,000Lの間、約7,500L~約22,500Lの間、約7,500L~約20,000Lの間、約7,500L~約17,500Lの間、約7,500L~約15,000Lの間、約7,500L~約12,500Lの間、約7,500L~約10,000Lの間、約10,000L~約25,000Lの間、約10,000L~約22,500Lの間、約10,000L~約20,000Lの間、約10,000L~約17,500Lの間、約10,000L~約15,000Lの間、約10,000L~約12,500Lの間、約12,500L~約25,000Lの間、約12,500L~約22,500Lの間、約12,500L~約20,000Lの間、約12,500L~約17,500Lの間、約12,500L~約15,000Lの間、約15,000L~約25,000Lの間、約15,000L~約22,500Lの間、約15,000L~約20,000Lの間、約15,000L~約17,500Lの間、約17,500L~約25,000Lの間、約17,500L~約22,500Lの間、約17,500L~約20,000Lの間、約20,000L~約25,000Lの間、約20,000L~約22,500Lの間、または約22,500L~約25,000Lの間)の内部容積を有することができる。
【0089】
生産用バイオリアクターは、当分野で公知の任意の適切なバイオリアクター(例えば、大規模潅流バイオリアクター、回分バイオリアクターまたは流加バイオリアクター)とすることができる。例えば、適切な生産用バイオリアクターは、Xcellerex、Thermo Fisher、およびGE Healthcareから入手することができる。例えば、大規模生産用バイオリアクター(例えば、潅流、回分、または流加バイオリアクター)は、Holloway American(Springfield、MO)により製造されており、Cotter Brothers Corporation(Danvers、MA)においてバイオリアクター向けスキッド上に組み立てられている。
【0090】
哺乳動物細胞
組換え哺乳動物細胞は、ヒト、マウス、ハムスターまたはサルの細胞とすることができる。例えば、組換え哺乳動物細胞は、細胞株、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(例えば、CHO DG44細胞、CHO-K1s細胞、C02.31クロー
ナル細胞、A14.13クローナル細胞、C02.57クローナル細胞、およびF05.43クローナル細胞)、Sp2.0、骨髄腫細胞(例えば、NS/0)、B-細胞、ハイブリドーマ細胞、T-細胞、ヒト胎児由来腎臓(HEK)細胞(例えば、HEK293EおよびHEK293F)、アフリカミドリサルの腎臓上皮細胞(Vero)またはメイディン-ダービーイヌ(コッカースパニエル)腎臓上皮細胞(MDCK)とすることができる。
【0091】
組換えタンパク質をコードする核酸は、分子生物学および分子遺伝学において公知の幅広い方法を使用して、組換え哺乳動物細胞を生産するために哺乳動物細胞に導入することができる。非限定例は、トランスフェクション(例えば、リポフェクション)、形質導入(例えば、レンチウイルス、アデノウイルスまたはレトロウイルス感染)および電気穿孔法を含む。一部の例では、組換えタンパク質をコードする核酸は、組換え哺乳動物細胞(一過性トランスフェクション)の染色体に安定的に一体化されない一方、他の組換え哺乳動物細胞では、核酸が一体化される。代替として、または追加的に、組換えタンパク質をコードする核酸は、プラスミドにおいて、および/または哺乳動物の人工染色体(例えば、ヒト人工染色体)において存在することができる。代替として、または追加的に、核酸はウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、レトロウイルスまたはアデノウイルスベクター)を使用して、哺乳動物細胞に導入することができる。核酸は、促進剤の配列(例えば、β-アクチン促進剤およびCMV促進剤のような強力な促進剤、または誘発性促進剤)に連結させて操作可能となる。核酸を含むベクターはまた、所望の場合、選択可能なマーカー(例えば、ハイグロマイシン、ピューロマイシンまたはネオマイシンに、哺乳動物細胞に対する耐性を付与する遺伝子)も含むことができる。
【0092】
液体培養培地
液体培養培地(培養培地)は、当分野において公知である。液体培養培地は、哺乳動物の血清(例えば、ウシ胎児血清およびウシ血清)、および/または成長ホルモンまたは成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリンおよび上皮成長因子)を補給することができる。本明細書に記載されている液体培養培地のいずれも、動物に由来する構成成分を含まない液体培養培地、血清不含の液体培養培地、血清を含む液体培養培地、化学的に規定されている液体培養培地、およびタンパク質不含の液体培養培地:からなる群から選択することができる。化学的に規定されている液体培養培地、動物に由来する構成成分を含まない液体培養培地、血清不含の液体培養培地、および血清を含む液体培養培地の非限定例は、市販されている。
【0093】
液体培養培地は、通常、エネルギー源(例えば、グルコースのような炭水化物)、必須アミノ酸(例えば、基礎となる一式の20種のアミノ酸およびシステイン)、ビタミンおよび/または低濃度で必要とされる他の有機化合物、遊離脂肪酸、および/または微量元素を含む。液体培養培地(例えば、第1および/または第2の液体培養培地)は、所望の場合、例えば、哺乳動物のホルモンまたは成長因子(例えば、インスリン、トランスフェリンまたは上皮成長因子)、塩および緩衝剤(例えば、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩の塩)、ヌクレオシドおよび塩基(例えば、アデノシン、チミジンおよびヒポキサンチン)、タンパク質および組織加水分解物、ならびに/またはこれらの添加物の任意の組合せを補給することができる。
【0094】
本明細書に記載されているいずれの方法のいずれの工程においても、細胞(例えば、哺乳動物細胞)を培養するために使用することができる、幅広い様々な液体培養培地が当分野で公知である。本方法においてやはり有用とすることができる培地の構成成分は、以下に限定されないが、化学的に規定されている(CD)加水分解物、例えば、CDペプトン、CDポリペプチド(2種またはそれ以上のアミノ酸)およびCD成長因子を含む。液体組織培養培地および培地の構成成分の追加例は、当分野で公知である。
【0095】
組換え哺乳動物細胞の培養物から得られる液体培養培地は、細胞および/またはウイルスが実質的に不含の液体培養培地を得るためにろ過または浄化することができる。細胞を除去するために液体培養培地をろ過または浄化する方法は、当分野で公知である(例えば、0.2μmのろ過、交互タンジェンシャルフロー(ATF(商標))システム、タンジェンシャルフローろ過(TFF)システム、または米国仮特許出願第61/878,502号に記載されているシステムのいずれかを使用するろ過)。組換え細胞はまた、遠心分離を使用して、実質的に細胞不含である液体培養培地である上澄み液を除去して、または液体培養培地を含む容器(例えば、槽)の重力底部に沈殿させて、沈殿した組換え哺乳動物細胞から離れた液体培養培地(実質的に細胞不含である液体培養培地)を除去することにより液体培養培地から抜き取ることもできる。一部の実施形態では、第1の培養培地、第2の培養培地、第3の培養培地および第4の培養培地の1つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つまたはすべて)が同一である。
【0096】
本明細書に記載されている方法のいずれかにおける工程のいずれかにおいて使用される液体培養培地は、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の液体培養培地のタイプのいずれかとすることができる。本明細書に記載されている組換えタンパク質を単離するための例示的な方法のいずれにおいても、生産細胞培養物から得られた液体培養培地は、第1のMCCS(例えば、第1のPCCS)に供給される前に、第2の流体(例えば、緩衝液)を添加することによって希釈することができる。
【0097】
実質的に細胞不含である組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)を含む液体培養培地は、組換えタンパク質を単離する前に(例えば、第1のMCCS(例えば、第1のPCCS)に液体培養培地を供給する前に)、少なくとも1日間(例えば、少なくとも約2日間、少なくとも約5日間、少なくとも約10日間、少なくとも約15日間、少なくとも約20日間、または少なくとも約30日間)、貯蔵することができる(例えば、約15℃未満の温度(例えば、約10℃未満、約4℃未満、約0℃未満、約-20℃未満、約-50℃未満、約-70℃未満、または約-80℃未満)で)。あるいは、一部の例において、実質的に細胞不含である組換えタンパク質を含む液体培養培地が、生産用バイオリアクターから直接、組換えタンパク質を単離するために使用されるシステムに供給される(例えば、ろ過または浄化工程の後に、生産用バイオリアクターから直接、第1のMCCS(例えば、第1のPCCS)に供給される)(例えば、生産用バイオリアクターから直接、第1のMCCS(例えば、第1のPCCS)に供給される))。
【0098】
組換えタンパク質
組換えタンパク質は、組換え治療用タンパク質とすることができる。本明細書において提供される方法によって生産することができる組換え治療用タンパク質の非限定例は、免疫グロブリン(軽鎖および重鎖免疫グロブリンを含む)、抗体または抗体断片(例えば、本明細書に記載されている抗体断片のいずれか)、酵素(例えば、ガラクトシダーゼ(例えば、アルファ-ガラクトシダーゼ)、Myozyme(登録商標)、またはCerezyme(登録商標))、タンパク質(例えば、ヒトエリスロポエチン、腫瘍壊死因子(TNF)またはインターフェロンアルファまたはベータ)、または免疫原性または抗原性タンパク質またはタンパク質断片(例えば、ワクチンで使用するためのタンパク質)を含む。組換え治療用タンパク質は、少なくとも1つの多機能組換えタンパク質の足場を含む、操作された抗原結合性ポリペプチドとすることができる(例えば、Gebauerら、Current Opin.Chem.Biol.13巻:245~255頁、2009年に記載されている組換え抗原-結合タンパク質;および米国特許出願公開第2012/0164066号(それらの全体が参照により組み入れられている)を参照されたい)。抗体である組換え治療用タンパク質の非限定例は、以下を含む:パニツムマブ、オマリズマブ、アバゴボマブ、アブシキシマブ、アクトクスマブ、アダリムバブ、アデカツムマブ、
アフェリモマブ、アフツズマブ、アラシズマブ、アレムツズマブ、アルイロクマブ、アルツモマブ、アマツキシマブ、アナツモマブ、アンルキンズマブ、アポリズマブ、アルシツモマブ、アチヌマブ、トシリズマブ、バシリジマブ、ベクツモマブ、ベリムバブ、ベバシズマブ、ベシレソマブ、ベズロトクスマブ、ビシロマブ、カナキヌバム、セルトリズマブ、セツキシマブ、シクスツムマブ、ダクリズマブ、デノスマブ、デンスマブ、エクリズマブ、エドレコロマブ、エファリズマブ、エフングマブ、エプラツズマブ、エルツマキソマブ、エタラシズマブ、フィギツムマブ、ゴリムマブ、イブリツモマブチウキセタン、イゴモマブ、イムガツムマブ、インフリキシマブ、イノリモマブ、イノツズマブ、ラベツズマブ、レブリキズマブ、モキセツモマブ、ナタリズマブ、オビヌツズマブ、オレゴボマブ、パリビズマブ、パニツムマブ、ペルツズマブ、ラニビズマブ、リツキシマブ、トシリズマブ、トシツモマブ、トラロキヌマブ、ツコツズマブ、トラスツズマブ、ベルツズマブ、ザルツムマブおよびザツキシマブ。本明細書に記載されている方法によって生産することができる組換え治療用抗体の追加例は、当分野で公知である。本方法によって生産することができる組換え治療用タンパク質のさらなる非限定例は、以下を含む:アルグルコシダーゼアルファ、ラロニダーゼ、アバタセプト、ガルスルファーゼ、ルトロピンアルファ、抗血友病因子、アガルシダーゼベータ、インターフェロンベータ-1a、ダルベポエチンアルファ、テネクテプラーゼ、エタネルセプト、凝固因子IX、卵胞刺激ホルモン、インターフェロンベータ-1a、イミグルセラーゼ、ドルナーゼアルファ、エポエチンアルファ、インスリンまたはインスリン類似体、メカセルミン、因子VIII、因子VIIa、抗トロンビンIII、タンパク質C、ヒトアルブミン、エリスロポエチン、顆粒球コロニー刺激因子、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、インターロイキン-11、イデュルスルファーゼ、ガルスルファーゼ、α-1-プロテイナーゼ阻害剤、ラクターゼ、アデノシンデアミナーゼ、組織プラスミノーゲン活性化因子、チロトロピンアルファ(例えば、Thyrogen(登録商標))およびアルテプラーゼ。本方法によって生産することができる組換えタンパク質の追加例は、酸α-グルコシダーゼ、アルグルコシダーゼアルファ(例えば、Myozyme(登録商標)およびLumizyme(登録商標))、α-L-イズロニダーゼ(例えば、Aldurazyme(登録商標))、イズロン酸スルファターゼ、ヘパランN-スルファターゼ、ガラクトース-6-スルファターゼ、酸β-ガラクトシダーゼ、β-グルクロニダーゼ、N-アセチルグルコサミン-1-ホスホトランスフェラーゼ、α-N-アセチルガラクトサミニダーゼ、酸リパーゼ、リソソーム酸セラミダーゼ、酸スフィンゴミエリナーゼ、β-グルコシダーゼ(例えば、Cerezyme(登録商標)およびCeredase(登録商標))、ガラクトシルセラミダーゼ、α-ガラクトシダーゼ-A(例えば、Fabrazyme(登録商標))、酸β-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、ノイラミニダーゼ、ヘキソサミニダーゼA、およびヘキソサミニダーゼBを含む。
【0099】
分泌され可溶性組換えタンパク質は、細胞(例えば、哺乳動物細胞)から液体培養培地を除去する、または他には物理的に分離することにより、液体培養培地から回収することができる。細胞(例えば、哺乳動物細胞)から液体培養培地を除去するための様々な異なる方法が、例えば、遠心分離、ろ過、ピペット操作および/または吸引を含めて、当分野で公知である。次に、分泌された組換え治療用タンパク質は、様々なタイプのクロマトグラフィー(例えば、アフィニティークロマトグラフィー、モレキュラーシーブクロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、または陰イオン交換クロマトグラフィー)および/またはろ過(例えば、分子量カットオフろ過)を含めた、様々な生化学的技法を使用して、液体培養培地から回収および単離することができる。
【0100】
培養パラメータ
本明細書に記載されている回分または潅流培養工程のいずれも、約31℃~約40℃の温度で行うことができる。熟練専門家は、この温度は、培養工程の間の指定時間点に、例
えば、1時間毎または毎日の基準で変えることができることを理解するであろう。例えば、この温度は、細胞(例えば、組換え哺乳動物細胞)を含む槽(例えば、バイオリアクター)の初期播種後、約1日間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、12日間、14日間、15日間、16日間、17日間、18日間、19日間、または約20日間もしくはそれ以上で変えることができるか、またはシフトする(例えば、向上させるかまたは低下させる)ことができる。例えば、温度は、上方(例えば、最大もしくは約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または最大もしくは約20℃の変化)にシフトすることができる。例えば、温度は、下方(例えば、最大もしくは約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または最大もしくは約20℃の変化)にシフトすることができる。
【0101】
本明細書に記載されている潅流および回分培養工程は、槽、潅流バイオリアクターまたは生産用バイオリアクター中の液体培養培地をせいぜいまたは約15%のCO(例えば、せいぜいもしくは約14%CO、12%CO、10%CO、8%CO、6%CO、5%CO、4%CO、3%CO、2%CO、またはせいぜいもしくは約1%CO)を含む大気に曝露させる工程をさらに含むことができる。槽、潅流バイオリアクターまたは生産用バイオリアクターは、制御されている加湿雰囲気(例えば、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%または95%を超える湿度で、または100%の湿度で)中で細胞培養物をインキュベートすることができる。潅流バイオリアクターおよび生産用バイオリアクターはまた、バイオリアクターからある体積の液体培養培地を抜き取ることができる機械装置、および場合によりバイオリアクターから液体培養培地を移すプロセス中に、液体培養培地から細胞を抜き取る機械装置内にフィルター(例えば、ATFシステム)を備えることもできる。
【0102】
本明細書に記載されている槽、潅流バイオリアクターまたは生産用バイオリアクターのいずれかの内表面は、少なくとも1種のコーティング(例えば、ゼラチン、コラーゲン、ポリ-L-オルニチン、ポリスチレンおよびラミニンからなる少なくとも1種のコーティング)、ならびに当分野で公知の通り、液体培養培地にO、COおよびNを吹き込むための1つまたはそれ以上の導入口、該液体培養培地を撹拌するためのかき混ぜ装置、および1つまたはそれ以上のセンサー(例えば、溶解Oおよび溶解COのセンサー)を有することできる。
【0103】
組換えタンパク質の作製方法
上記の例示的なシードトレイン法のいずれか、および(f)組換え哺乳動物細胞が組換えタンパク質を分泌することが可能となる条件下で生産細胞培養物を潅流培養して、生産細胞培養物から組換えタンパク質を収穫する追加の工程を含む、組換えタンパク質を生産する方法も提供される。
【0104】
組換えタンパク質を生産する他の方法は、本明細書において提供されている例示的なシードトレイン法のいずれか、および(f)組換え細胞が組換えタンパク質を分泌するのを可能にする条件下で、生産細胞培養物を回分培養または流加培養して、生産細胞培養物から組換えタンパク質を収穫する追加の工程を含む。
【0105】
生産細胞培養物の潅流培養は、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の例示
的な潅流培養法のいずれかを使用して行うことができる。例えば、生産細胞培養物(第3の培養培地に第2の細胞培養物を加えた後)の産生と生産細胞培養物が定常状態の生産細胞密度に達する時間との間の期間は、約1.5日間~約5.0日間の間(例えば、約1.5日間~約4.0日間の間、約1.5日間~約3.5日間の間、約1.5日間~約3.0日間の間、約1.5日間~約2.5日間の間、約1.5日間~約2.0日間の間、約2.0日間~約5.0日間の間、約2.0日間~約4.5日間の間、約2.0日間~約4.0日間の間、約2.0日間~約3.5日間の間、約2.0日間~約3.0日間の間、約2.0日間~約2.5日間の間、約2.5日間~約5日間の間、約2.5日間~約4.5日間の間、約2.5日間~約4.0日間の間、約2.5日間~約3.5日間の間、約2.5日間~約3.0日間の間、約3.0日間~約5.0日間の間、約3.0日間~約4.5日間の間、約3.0日間~約4.0日間の間、約3.0日間~約3.5日間の間、約3.5日間~約5.0日間の間、約3.5日間~約4.5日間の間、約3.5日間~約4.0日間の間、約4.0日間~約5.0日間の間、約4.0日間~約4.5日間の間、または約4.5日間~約5.0日間の間)である。生産細胞培養物の潅流培養は、例えば、5.0日間~200日間の間(例えば、5.0日間~190日間の間、5.0日間~180日間の間、5.0日間~170日間の間、5.0日間~160日間の間、5.0日間~150日間の間、5.0日間~140日間の間、5.0日間~130日間の間、5.0日間~120日間の間、5.0日間~110日間の間、5.0日間~100日間の間、5.0日間~90日間の間、5.0日間~80日間の間、5.0日間~70日間の間、5.0日間~60日間の間、5.0日間~50日間の間、5.0日間~40日間の間、5.0日間~30日間の間、5.0日間~20日間の間、5.0日間~10日間の間、10日間~200日間の間、10日間~190日間の間、10日間~180日間の間、10日間~170日間の間、10日間~160日間の間、10日間~150日間の間、10日間~140日間の間、10日間~130日間の間、10日間~120日間の間、10日間~110日間の間、10日間~100日間の間、10日間~90日間の間、10日間~80日間の間、10日間~70日間の間、10日間~60日間の間、10日間~50日間の間、10日間~40日間の間、10日間~30日間の間、10日間~20日間の間、20日間~200日間の間、20日間~190日間の間、20日間~180日間の間、20日間~170日間の間、20日間~160日間の間、20日間~150日間の間、20日間~140日間の間、20日間~130日間の間、20日間~120日間の間、20日間~110日間の間、20日間~100日間の間、20日間~90日間の間、20日間~80日間の間、20日間~70日間の間、20日間~60日間の間、20日間~50日間の間、20日間~40日間の間、30日間~200日間の間、30日間~190日間の間、30日間~180日間の間、30日間~170日間の間、30日間~160日間の間、30日間~150日間の間、30日間~140日間の間、30日間~130日間の間、30日間~120日間の間、30日間~110日間の間、30日間~100日間の間、30日間~90日間の間、30日間~80日間の間、30日間~70日間の間、30日間~60日間の間、30日間~50日間の間、30日間~40日間の間、40日間~200日間の間、40日間~190日間の間、40日間~180日間の間、40日間~170日間の間、40日間~160日間の間、40日間~150日間の間、40日間~140日間の間、40日間~130日間の間、40日間~120日間の間、40日間~110日間の間、40日間~100日間の間、40日間~90日間の間、40日間~80日間の間、40日間~70日間の間、40日間~60日間の間、40日間~50日間の間、50日間~200日間の間、50日間~190日間の間、50日間~180日間の間、50日間~170日間の間、50日間~160日間の間、50日間~150日間の間、50日間~140日間の間、50日間~130日間の間、50日間~120日間の間、50日間~110日間の間、50日間~100日間の間、50日間~90日間の間、50日間~80日間の間、50日間~70日間の間、50日間~60日間の間、75日間~200日間の間、75日間~175日間の間、75日間~150日間の間、50日間~125日間の間、50日間~100日間の間、50日間~75日間の間、75日間~200日間の間、75日間~175日間の間、75日
間~150日間の間、75日間~125日間の間、75日間~100日間の間、100日間~200日間の間、100日間~175日間の間、100日間~150日間の間、100日間~125日間の間、125日間~200日間の間、125日間~175日間の間、125日間~150日間の間、150日間~200日間の間、150日間~175日間の間、または175日間~200日間の間)の期間、継続することができる。
【0106】
培養培地は、連続的または周期的な除去によって生産用バイオリアクターから除去(例えば、潅流培養中、同時にまたは様々な頻度で)することができる。培養培地は、手作業により(例えば、ピペット操作により)、またはポンプシステム(例えば、交互タンジェンシャルフロー(ATF)ろ過システムまたはタンジェンシャル流体ろ過)により除去することができる。
【0107】
組換えタンパク質の単離
本明細書に記載されている組換えタンパク質を生産する方法は、(潅流培養中)、生産用バイオリアクターから除去される培養培地から組換えタンパク質を単離する工程をさらに含むことができる。生産用バイオリアクターから除去された培養培地から組換えタンパク質を単離する工程は、捕捉、精製、ポリッシング、ウイルスの不活性化、組換えタンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHの調節、ならびにろ過:からなる群から選択される、1つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたは7つ)の単位操作の実施を含むことができる。例えば、組換えタンパク質を単離するための1つまたはそれ以上の単位操作は、1つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のマルチカラムクロマトグラフィーシステム(MCCS)に組換えタンパク質を含む流体を流すことにより行うことができる。培養培地から組換えタンパク質を単離する工程は、統合された連続法(例えば、例示的な方法は、以下の出願の各々の全内容が参照により本明細書に組み入れられている、米国仮特許出願第61/775,060号、米国仮特許出願第61/856,390号、米国特許出願第14/195,481号、国際特許出願番号PCT/US2014/019909および米国仮特許出願第61/928,906号に記載されている)を使用して行うことができる。例示的な方法は、実質的に細胞不含である組換えタンパク質(例えば、組換え治療用タンパク質)を含む液体培養培地(例えば、生産用バイオリアクターから除去して、ATFシステムによりろ過した液体培養培地)を得る工程を含むことができる。いくつかの工程は、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムを含むマルチカラムクロマトグラフィーシステム(MCCS)に、液体培養培地(例えば、生産用バイオリアクターから除去して、ATFシステムによりろ過した液体培養培地)を連続的に供給する工程を含み、この場合、これらの工程を統合して、液体培養培地から単離組換えタンパク質であるMCCS由来の溶離液に連続的に流す。いくつかの工程は、液体培養培地(例えば、生産用バイオリアクターから除去してATFシステムによりろ過した液体培養培地)を第1のMCCS(MCCS1)に連続的に供給する工程、MCCS1を使用して、液体培養培地から組換えタンパク質を捕捉する工程、組換えタンパク質を含むMCCS1からの溶離液を生産して第2のMCCS(MCCS2)に該溶離液を連続的に供給する工程、および続いて、組換えタンパク質(MCCS2から)を溶出させて、これにより単離組換えタンパク質を生産する工程を含み、この場合、これらの方法を統合して、液体培養培地から単離組換えタンパク質へと連続的に流す。一部の実施形態は、単離組換えタンパク質を医薬剤に製剤化する工程をさらに含む。
【0108】
これらの方法(MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)のいずれかに使用することができるMCCSの非限定的な態様は、米国仮特許出願第61/775,060号、米国仮特許出願第61/856,390号、米国特許出願第14/195,481号、国際特許出願番号PCT/US2014/019909および米国仮特許出願第61/928,906号に記載されている(各々が、参照により本明細書に組み入れられている)。これらの例示的な方法の様々な追加の態様は以下に記載されており、本明細書において
提供されている方法の任意の組合せにおいて非限定的に使用することができる。提供されている方法の例示的な態様は以下に記載されている;しかし、当業者は、追加の工程を本明細書に記載されている方法に追加することができること、および他の材料を使用して、本明細書に記載されている方法の工程のいずれかを行うことができることを理解するであろう。
【0109】
本明細書に記載されている例示的な方法は、MCCS、または2つもしくはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つ)のマルチカラムクロマトグラフィーシステム(MCCS)(例えば、MCCS1およびMCCS2)の使用を含むことができる。MCCSは、2つもしくはそれ以上のクロマトグラフィーカラム、2つもしくはそれ以上のクロマトグラフィー膜、または少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムと少なくとも1つのクロマトグラフィー膜との組合せを含むことができる。非限定例では、MCCS(例えば、本明細書における方法のいずれかにおけるMCCS、MCCS1および/またはMCCS2)は、4つのクロマトグラフィーカラム、3つのクロマトグラフィーカラムと1つのクロマトグラフィー膜、3つのクロマトグラフィーカラム、2つのクロマトグラフィーカラム、2つのクロマトグラフィー膜、および2つのクロマトグラフィーカラムと1つのクロマトグラフィー膜を含むことができる。クロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜の組合せの追加例は、非限定的に、当業者によりMCCS(例えば、本明細書に記載されている方法のいずれかにおける、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)において使用する場合に考えることができる。MCCSに存在している個々のクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、同一(例えば、同じ形状、体積、樹脂、捕捉機構および単位操作を有する)とすることができるか、または異なる(例えば、異なる形状、体積、樹脂、捕捉機構および/または単位操作の1つまたはそれ以上を有する)ことができる。MCCS(例えば、本明細書に記載されている方法のいずれかにおける、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)に存在している個々のクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、同一の単位操作(例えば、捕捉、精製またはポリッシングという単位操作)、または異なる単位操作(例えば、捕捉、精製、ポリッシング、ウイルスの不活性化、組換えタンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHの調節、ならびにろ過から例えばなる群から選択される異なる単位操作)を行うことができる。例えば、本明細書に記載されている方法の例では、MCCSまたはMCCS1における少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、組換えタンパク質を捕捉する単位操作を行う。
【0110】
本明細書に記載されている方法のいずれかにおいて使用されている、MCCS(例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)における1つまたはそれ以上のクロマトグラフィーカラムは、実質的に同じ樹脂体積を有することができるか、または異なる樹脂体積を有することができる。本明細書に記載されている方法のいずれかにおける、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2の使用の間に、1つまたはそれ以上(例えば、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23または24)の異なるタイプの緩衝液を使用することができる。当分野で公知の通り、本明細書に記載されている方法におけるMCCS、MCCS1および/またはMCCS2に使用される1つまたはそれ以上のタイプの緩衝液は、MCCS、MCCS1および/もしくはMCCS2のクロマトグラフィーカラムならびに/またはクロマトグラフィー膜中に存在している趣旨、組換えタンパク質の生物物理学性質、ならびにMCCS、MCCS1および/もしくはMCCS2のうちの特定のクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜によって行われる単位操作(例えば、本明細書に記載されている例示的な単位操作のいずれか)に依存するであろう。本明細書に記載されている方法のいずれかにおけるMCCS、MCCS1および/またはMCCS2の使用中に使用される緩衝液の体積およびタイプは、当業者により決定することもできる(例えば、以下に詳細に論じられている)。例えば、本明細書に
記載されている方法のいずれかにおけるMCCS、MCCS1および/またはMCCS2の使用中に使用される緩衝液の体積およびタイプは、単離組換えタンパク質において、以下:組換えタンパク質の総収率、組換えタンパク質の活性、組換えタンパク質の純度レベル、および組換えタンパク質を含む流体(例えば、液体培養培地)に由来する生物学的汚染物質の除去(例えば、活性なウイルス、マイコバクテリア、酵母、細菌または哺乳動物細胞が存在しない)の1つまたはそれ以上を最適化するために選択することができる。
【0111】
MCCS、MCCS1および/またはMCCS2は、周期的な向流クロマトグラフィーシステム(PCCS)とすることができる。PCCSは、例えば、2つまたはそれ以上のクロマトグラフィーカラムから組換えタンパク質の連続的な溶出を可能にするため、切り替えられる2つまたはそれ以上のクロマトグラフィーカラム(例えば、3つまたは4つのカラム)を含むことができる。PCCSは、2つまたはそれ以上のクロマトグラフィーカラム、2つまたはそれ以上のクロマトグラフィー膜、または少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムと少なくとも1つのクロマトグラフィー膜を含むことができる。カラム操作(周期)は、一般に、ロード、洗浄、溶出および再生工程からなる。PCCSでは、複数のカラムが使用されて、同一工程を別々で、および周期的に連続して実施される。カラムを直列で操作するので、1つのカラムを通る流れおよびそれからの洗浄液は、別のカラムにより捕捉される。PCCSのこの特異な特徴により、回分式クロマトグラフィー中に典型的な、動的結合能力の代わりに、静電的結合能力に近い樹脂の搭載が可能になる。連続的な周期および溶出の結果として、PCCSに入る流体は、連続的に処理され、組換えタンパク質を含む溶離液は連続的に生産される。
【0112】
カラム切り替え戦略は、PCCS周期における1つの工程から別の工程に進めるために使用される。PCCSにおいて使用することができるカラムの切り替えの例は、米国仮特許出願第61/775,060号、米国仮特許出願第61/856,390号、米国特許出願第14/195,481号、国際特許出願番号PCT/US2014/019909および米国仮特許出願第61/928,906号に記載されている。PCCSにおいて、PCCS中に存在しているそれぞれのクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜上の組換えタンパク質の滞留時間(RT)は、第1のカラム/膜からすり抜けたもの(breakthrough)がPCCS中の別のカラム/膜上に捕捉されるので、カラム/膜のサイズを向上させることなく、低下させることができる。連続法のシステムは、以下の式:V=DRTを使用して、カラム/膜体積(V)およびRTを変えることにより、任意の潅流速度(D)における液体培養培地を処理するよう設計することができる。
【0113】
本明細書に記載されている方法において使用されるMCCSまたはMCC1および/もしくはMCCS2によって行うことができる1つまたはそれ以上の単位操作は、例えば、組換えタンパク質の捕捉、組換えタンパク質を含む流体中に存在しているウイルスの不活性化、組換えタンパク質の精製、組換えタンパク質のポリッシング、組換えタンパク質を含む流体の保管(例えば、本明細書に記載されている例示的な休止タンクのいずれかを使用する)、組換えタンパク質を含む流体からの粒子物質および/もしくは細胞のろ過または除去、ならびに組換えタンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHの調節を含む。一部の実施形態では、MCCSまたはMCCS1は、組換えタンパク質を捕捉する単位操作を行う、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜を含む。捕捉の単位操作は、例えば、捕捉機構を利用する少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー樹脂を使用して行うことができる。捕捉機構の非限定例には、タンパク質A結合捕捉機構、抗体または抗体断片結合捕捉機構、基質-結合捕捉機構、アプタマー-結合捕捉機構、タグ-結合捕捉機構(例えば、ポリ-Hisタグをベースとする捕捉機構)、および補因子-結合捕捉機構が含まれる。捕捉はまた、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、モレキュラーシーブク
ロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うために使用することができる樹脂を使用して行うこともできる。組換えタンパク質を捕捉するために使用することができる非限定的な樹脂は、本明細書に記載されている。組換えタンパク質を捕捉するために使用することができる樹脂の追加例は、当分野で公知である。
【0114】
組換えタンパク質を含む流体中に存在しているウイルスを不活性化する単位操作は、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2(例えば、これらは、例えば、クロマトグラフィーカラム、クロマトグラフィー膜、または少なくとも、30分間(例えば、約30分間~1.5時間の間の時間、約30分間~1.25時間の間の時間、約0.75時間~1.25時間の間の時間、または約1時間の時間)の期間、約3.0~5.0の間のpH(例えば、約3.5~約4.5の間、約3.5~約4.25の間、約3.5~約4.0の間、約3.5~約3.8の間、または約3.75)で、組換えタンパク質を含む流体をインキュベートすることが可能な保管タンクを含む)を使用して行うことができる。
【0115】
組換えタンパク質を精製する単位操作は、例えば、捕捉システムを利用する樹脂を含む、例えばクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜を含む、1つまたはそれ以上のMCCS(例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)を使用して行うことができる。捕捉機構の非限定例には、タンパク質A結合捕捉機構、抗体または抗体断片結合捕捉機構、基質-結合捕捉機構、アプタマー-結合捕捉機構、タグ-結合捕捉機構(例えば、ポリ-Hisタグをベースとする捕捉機構)、および補因子-結合捕捉機構が含まれる。精製はまた、陽イオンまたは陰イオン交換クロマトグラフィー、モレキュラーシーブクロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うために使用することができる樹脂を使用して行うこともできる。組換えタンパク質を精製するために使用することができる非限定的な樹脂は、本明細書に記載されている。組換えタンパク質を精製するために使用することができる樹脂の追加例は、当分野で公知である。
【0116】
組換えタンパク質をポリッシングする単位操作は、例えば、陽イオン交換、陰イオン交換、モレキュラーシーブクロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うために使用することができる樹脂を含む、例えばクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜を含む、1つまたはそれ以上のMCCS(例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)を使用して行うことができる。組換えタンパク質をポリッシングするために使用することができる非限定的な樹脂は、本明細書に記載されている。組換えタンパク質をポリッシングするために使用することができる樹脂の追加例は、当分野で公知である。
【0117】
組換えタンパク質を含む流体をろ過する単位操作は、例えば、モレキュラーシーブ樹脂を含む、フィルターまたはクロマトグラフィーカラムもしくはクロマトグラフィー膜を含む、MCCS(例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)を使用して行うことができる。当分野で公知の通り、沈殿した任意の物質および/または細胞(例えば、沈殿物した変性(unfolded)タンパク質;沈殿物した望ましくない宿主細胞タンパク質;沈殿物した脂質;細菌;酵母細胞;真菌細胞;マイコバクテリア;および/または哺乳動物細胞)を除去することが可能な、広範囲のサブミクロンフィルター(例えば、1μm未満、0.5μm未満、0.3μm、約0.2μm、0.2μm未満、100nm未満、80nm未満、60nm未満、40nm未満、20nm未満または10nm未満の孔径を有するフィルター)が当分野で利用可能である。約0.2μmまたは0.2μm未満の孔径を有するフィルターは、組換えタンパク質を含む流体から細菌を効果的に除去することが知られている。当分野で公知の通り、モレキュラーシーブ樹脂を含むクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜は、組換えタンパク質を含む流体をろ過する単位操作を行うために、MCCS(例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)において使用することもできる。
【0118】
組換えタンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHを調節する単位操作は、組換えタンパク質を含む流体に新しい緩衝溶液を添加する緩衝液調整貯蔵器(例えば、インライン型緩衝液調整貯蔵器)を含みそれを利用するMCCS(例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2)を使用して行うことができる(例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2内のカラム間、または最後から2番目のMCCS(例えば、MCCS1)における最後のカラムの後、および組換えタンパク質を含む流体が、次のMCCS(例えば、MCCS2)の最初のカラムに供給される前)。
【0119】
本明細書に記載されている例示的な方法では、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2は、2つまたはそれ以上の単位操作を行うことができる。例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2は、少なくとも以下の単位操作:組換えタンパク質の捕捉および組換えタンパク質を含む流体中に存在しているウイルスの不活性化;組換えタンパク質の捕捉;組換えタンパク質を含む流体中に存在しているウイルスの不活性化および組換えタンパク質を含む液体のイオン濃度および/またはpHの調節;組換えタンパク質の精製および組換えタンパク質のポリッシング;組換えタンパク質の精製、組換えタンパク質のポリッシングおよび組換えタンパク質を含む流体のろ過または組換えタンパク質を含む流体に由来する沈殿物および/または粒子物質の除去、および組換えタンパク質の精製、組換えタンパク質のポリッシング、組換えタンパク質を含む流体のろ過または組換えタンパク質を含む流体に由来する沈殿物および/または粒子物質の除去、および組換えタンパク質を含む液体のイオン濃度および/またはpHの調節をそれぞれ行うことができる。
【0120】
本明細書に記載されている例示的な方法では、液体培養培地からの組換えタンパク質の捕捉は、MCCSまたはMCCS1を使用して行われる。当分野で理解される通り、組換えタンパク質の捕捉を達成するために、MCCSまたはMCCS1における少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムまたは少なくとも1つのクロマトグラフィー膜は、捕捉機構(例えば、本明細書に記載されている例示的な捕捉機構のいずれか)を利用する樹脂を含まなければならないか、または陽イオン交換、陰イオン交換、モレキュラーシーブまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うことが可能な樹脂を含む。例えば、組換えタンパク質が抗体または抗体断片である場合、捕捉システムは、タンパク質A結合捕捉機構または抗原結合捕捉機構(この場合、捕捉抗原は組換え抗体または抗体断片によって特異的に認識される)とすることができる。組換えタンパク質が酵素である場合、捕捉機構は、組換え酵素、組換え酵素を捕捉する酵素の基質、組換え酵素を捕捉する酵素の補因子を捕捉する酵素に特異的に結合する抗体または抗体断片を使用することができるか、または組換え酵素がタグを含む場合、組換え酵素に存在しているタグに特異的に結合するタンパク質、金属キレートまたは抗体(または、抗体断片)を使用することができる。組換えタンパク質を捕捉するために使用することができる、非限定的な樹脂は、本明細書に記載されており、組換えタンパク質を捕捉するために使用することができるさらなる樹脂は、当分野で公知である。タンパク質A結合捕捉機構を利用する樹脂の非限定例の1つは、MabSelect SuRe樹脂(GE Healthcare、Piscataway、NJ)、JSR LifeSciences Amsphere ProA JWT203(Sunnyvale、CA)、およびKaneka KanCap A(大阪、日本)である。
【0121】
本明細書に記載されている例示的な方法の一部では、MCCSまたはMCCS1は、低いpH(例えば、pHが、4.6未満、4.4未満、4.2未満、4.0未満、3.8未満、3.6未満、3.4未満、3.2未満または3.0未満)で例えば約1分間から1.5時間(例えば、約1時間)、組換えタンパク質を含む流体を保管する貯蔵器を含むことができ、組換えタンパク質を含む流体に存在しているウイルスを不活性化する。当業者に
より理解される通り、様々な他の手段を使用し、ウイルスを不活性化する単位操作を行うことができる。例えば、組換えタンパク質を含む流体の紫外線照射も、ウイルスを不活性化する単位操作を行うために使用することができる。
【0122】
MCCSまたはMCCS1は、4つのクロマトグラフィーカラムを含むPCCSを含むことができ、この場合、4つのクロマトグラフィーカラムの少なくとも3つは、液体培養培地からの組換えタンパク質を捕捉する単位操作を行う(例えば、捕捉の単位操作(例えば、本明細書に記載されているもののいずれか)を行うことが可能な樹脂を含む少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムのいずれかを含むMCCSを使用する)。これらの例では、PCCの第4のカラムは、組換えタンパク質を含む流体中のウイルスを不活性化する単位操作(例えば、組換えタンパク質を含む流体のウイルスの不活性化を実現するために使用することができる、本明細書に記載されている例示的なカラムのいずれか)を行うことができる。
【0123】
本明細書に記載されている例示的な方法におけるMCCS、MCCS1および/またはMCCS2は、組換えタンパク質の精製およびポリッシングの単位操作を行うために使用することができる。例えば、MCCS2は、組換えタンパク質の精製およびポリッシングの操作を行うために使用することができ、MCCS2からの溶離液は単離組換えタンパク質である。MCCS、MCCS1および/またはMCCS2は、組換えタンパク質を精製する単位操作を行うために使用することができる、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つまたは4つ)のクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜、および組換えタンパク質をポリッシングする単位操作を行うために使用することができる、少なくとも1つ(例えば、2つ、3つまたは4つ)のクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜を含むことができる。
【0124】
組換えタンパク質を精製する単位操作を行うために使用することができる少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜は、捕捉機構(例えば、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の捕捉機構のいずれか)を利用する樹脂、または陰イオン交換、陽イオン交換、モレキュラーシーブもしくは疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うために使用することができる樹脂を含むことができる。組換えタンパク質をポリッシングする操作の単位を行うために使用することができる少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムまたはクロマトグラフィー膜は、陰イオン交換、陽イオン交換、モレキュラーシーブもしくは疎水性相互作用クロマトグラフィー(例えば、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の、陰イオン交換、陽イオン交換、モレキュラーシーブもしくは疎水性相互作用クロマトグラフィーを行うための例示的な樹脂のいずれか)を行うために使用することができる樹脂を含むことができる。ポリッシングする単位操作を行うために使用することができる1つまたはそれ以上のクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、組換えタンパク質を含む流体中に存在している不純物に選択的に結合するかまたは保持する樹脂を含むことができる。
【0125】
本明細書に記載されている例示的な方法のいくつかの例では、MCCS2は、3つのクロマトグラフィーカラムおよび1つのクロマトグラフィー膜を含むPCCSを含み、例えばこの場合、PCCSにおける3つのクロマトグラフィーカラムは、組換えタンパク質を精製する(例えば、タンパク質を精製する操作の単位を行うために使用することができる、少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムを使用して)単位操作を行い、PCCSにおけるクロマトグラフィー膜は、組換えタンパク質をポリッシングする単位操作を行う。これらの例において、組換えタンパク質をポリッシングする単位操作を行うために使用することができるPCCSにおけるクロマトグラフィー膜は、組換えタンパク質をポリッシングする単位操作を行うために使用することができる、本明細書に記載されている例示的なクロマトグラフィー膜のいずれかとすることができる。本明細書に記載されているカラ
ムの切り替え方法のいずれかを使用して、この例におけるPCCSの最初の3つのクロマトグラフィーカラムおよびクロマトグラフィー膜を切り替えることができる時期を決定することができる。
【0126】
例示的な組換えタンパク質単離システム
本明細書に記載されている方法を行うのに有用で、MCCSまたはMCCS1およびMCCS2を含む生物学的製造システムの例は、米国仮特許出願番号、米国仮特許出願第61/775,060号、米国仮特許出願第61/856,390号、米国特許出願第14/195,481号、国際特許出願番号PCT/US2014/019909および米国仮特許出願第61/928,906号に記載されている(参照により組み入れられている)。全体のシステムは、例えば、合計4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20のクロマトグラフィーカラムを含むことができる。例えば、MCCS、MCCS1および/またはMCCS2は、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つまたは10のクロマトグラフィーカラムを含むことができる(または、それぞれが、含むことができる)。
【0127】
例えば、有用なシステムは、入り口を含むMCCS1、ならびに出口を含むMCCS2、または入り口および出口を含むMCCSを含むことができる。一部の実施形態では、MCCS1およびMCCS2は、互いに流体連通している。これらのシステムはまた、流体がMCCS1およびMCCS2から入り口に入って通過することができるよう構成されており、出口から製造システムを出て行く。
【0128】
これらの例示的なシステムでは、MCCSまたはMCCS1は、流体(例えば、実質的に細胞不含である生産用バイオリアクターからの液体培養培地)が、そこからそれぞれMCCSまたはMCCS1に入って通過することができる、入り口を含むことができる。この入り口は、こうした目的のため、当分野で公知の任意の構造とすることができる。この構造は、例えば、流体用導管の入り口への挿入後、流体が、入り口から流体がかなり漏出することなく入り口からMCCSまたはMCCS1に入るよう、流体用導管を挿入することを可能にする、ねじ山、リブ(ribbing)または封止を含むことができる。本システムにおいて使用することができる非限定的な入り口は、公知であり、当業者により理解されよう。
【0129】
MCCSまたはMCCS1は、少なくとも2つのクロマトグラフィーカラム、少なくとも2つのクロマトグラフィー膜、または少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムと少なくとも1つのクロマトグラフィー膜、および入り口を含むことができる。MCCSまたはMCCS1は、本明細書に記載されている例示的なMCCSのいずれかとすることができるか、または本明細書に記載されているMCCS(任意の組合せ)の例示的な特徴のいずれかの1つまたはそれ以上を有する。MCCSまたはMCCS1に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の、例示的な形状、サイズ、体積(ベッドボリューム)および/または単位操作のいずれかの1つまたはそれ以上を有することができる。
【0130】
MCCSまたはMCCS1に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の、例示的な樹脂のいずれかの1つまたはそれ以上を含むことができる。例えば、MCCSまたはMCCS1に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜の1つまたはそれ以上に含まれている樹脂は、捕捉機構(例えば、タンパク質A結合捕捉機構、タンパク質G結合捕捉機構、抗体または抗体断片結合捕捉機構、基質結合捕捉機構、補因子結合捕捉機構、アプタマー結合捕捉機構、および/またはタグ結合捕捉機構)を利用する樹脂とすることができる。MCCSまたはMCCS1のクロマトグラフィーカラムお
よび/またはクロマトグラフィー膜の1つまたはそれ以上に含まれている樹脂は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ樹脂、もしくは疎水性相互作用樹脂、またはそれらの任意の組合せとすることができる。組換えタンパク質を精製するために使用することができる樹脂の追加例は当分野で公知であり、MCCSまたはMCCS1に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜の1つまたはそれ以上に含まれる。MCCSまたはMCCS1に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、同一および/または異なる樹脂(例えば、組換えタンパク質の精製に使用するために、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の樹脂のいずれか)を含むことができる。
【0131】
MCCSまたはMCCS1に存在している2つもしくはそれ以上のクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー樹脂は、1つまたはそれ以上の単位操作(例えば、組換えタンパク質の捕捉、組換えタンパク質の精製、組換えタンパク質のポリッシング、ウイルスの不活性化、組換えタンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHの調節または組換えタンパク質を含む流体のろ過)を行うことができる。非限定例では、MCCSまたはMCCS1は、流体(例えば、液体培養培地)からの組換えタンパク質の捕捉、および組換えタンパク質を含む流体中に存在しているウイルスの不活性化の単位操作を行うことができる。MCCSまたはMCCS1は、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知のさらなる数の単位操作のうちの2つの任意の組合せを行うことができる。
【0132】
MCCSまたはMCCS1に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は接続されるか、または切り替え機構(例えば、カラムの切り替え機構)により、互いに移動される。MCCSまたはMCCS1はまた、1つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のポンプ(例えば、自動ポンプ、例えば自動ペリスタポンプ)も含むことができる。カラムの切り替え行為(event)は、MCCSまたはMCCS1を通過する流体(例えば、MCCSまたはMCCS1におけるクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜の1つまたはそれ以上への流入物および/または溶離液)における組換えタンパク質のある種のレベルに対応するUV吸光度によって検出される組換えタンパク質のレベルの検出、液体(例えば、緩衝液)の比体積、または特定の経過時間を契機とすることができる。カラムの切り替えは、一般に、MCCSまたはMCCS1における、少なくとも2つの異なるクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜(例えば、MCCS1またはMCCS2に存在している、2つもしくはそれ以上の異なるクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜)が、この工程の少なくとも一部の間の実質的に同じ時間に、様々な工程(例えば、平衡、搭載、溶出または洗浄)を通過することが可能となる機構を意味する。
【0133】
MCCSまたはMCCS1は、周期的な向流クロマトグラフィーシステム(PCCS)とすることができる。例えば、MCCSまたはMCCS1(すなわち、それぞれPCCSまたはPCCS1)であるPCCSは、4つのクロマトグラフィーカラムを含むことができ、この場合、最初の3つのカラムは、流体(例えば、液体培養培地)からの組換えタンパク質を捕捉する単位操作を行い、PCCSの4番目のカラムは、組換えタンパク質を含む流体中のウイルスを不活性化する単位操作を行う。MCCSまたはMCCS1であるPCCSは、カラム切り替え機構を利用することができる。PCCシステムは、最大で例えば4つ、5つ、6つ、7つもしくは8つまたはそれ超のカラムを操作することが可能な、改変AKTAシステム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を利用することができる。
【0134】
本明細書に記載されている例示的なシステムにおける、第2のMCCS(MCCS2)は、少なくとも2つのクロマトグラフィーカラム、少なくとも2つのクロマトグラフィー
膜、または少なくとも1つのクロマトグラフィーカラムと少なくとも1つのクロマトグラフィー膜、および出口を含むことができる。MCCS2は、本明細書に記載されている例示的なMCCSのいずれかとすることができるか、または本明細書に記載されているMCCS(任意の組合せ)の例示的な特徴のいずれか1つまたはそれ以上を有することができる。MCCS2に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、本明細書に記載されている、形状、サイズ、体積(ベッドボリューム)および/または単位操作のいずれか:の1つまたはそれ以上を有することができる。クロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の、例示的な樹脂のいずれかを含むことができる。例えば、MCCS2に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜の1つまたはそれ以上に含まれている樹脂は、捕捉機構(例えば、タンパク質A結合捕捉機構、タンパク質G結合捕捉機構、抗体または抗体断片結合捕捉機構、基質結合捕捉機構、補因子結合捕捉機構、タグ結合捕捉機構および/またはアプタマー結合捕捉機構)を利用する樹脂とすることができる。有用な樹脂は、例えば、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ樹脂および疎水性相互作用樹脂を含む。樹脂の追加例は、当分野で公知である。MCCS2に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、同一のおよび/または異なる樹脂(例えば、組換えタンパク質精製に使用するために、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知の樹脂のいずれか)を含むことができる。
【0135】
MCCS2に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は、1つまたはそれ以上の単位操作(例えば、本明細書に記載されている単位操作のいずれか、または本明細書に記載されている単位操作の任意の組合せ)を行うことができる。非限定例では、MCCS2は、流体からの組換えタンパク質の精製、および組換えタンパク質を含む流体中に存在している組換えタンパク質のポリッシングからなる単位操作を行うことができる。別の非限定例では、MCCS2は、流体中に存在している組換えタンパク質の精製、流体中に存在している組換えタンパク質のポリッシング、および組換えタンパク質を含む流体のろ過からなる単位操作を行うことができる。別の例では、MCCS2は、流体中に存在している組換えタンパク質の精製、流体中に存在している組換えタンパク質のポリッシング、組換えタンパク質を含む流体のろ過、および組換えタンパク質を含む流体のイオン濃度および/またはpHの調節からなる単位操作を行うことができる。MCCS2は、本明細書に記載されているかまたは当分野で公知のさらなる数の単位操作のうちの2つの任意の組合せを行うことができる。
【0136】
MCCS2に存在しているクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜は接続されるか、または切り替え機構(例えば、カラムの切り替え機構)により、互いに移動される。MCCS2はまた、1つまたはそれ以上(例えば、2つ、3つ、4つまたは5つ)のポンプ(例えば、自動ポンプ、例えば自動ペリスタポンプ)を含むことができる。カラムの切り替え行為は、MCCS2を通過する流体(例えば、MCCS2におけるクロマトグラフィーカラムおよび/またはクロマトグラフィー膜の1つまたはそれ以上への流入物および/または溶離液)における組換えタンパク質のある種のレベルに対応するUV吸光度によって検出される組換えタンパク質のレベルの検出、液体(例えば、緩衝液)の比体積、または特定の経過時間を契機とすることができる。
【0137】
MCCS2は、周期的な向流クロマトグラフィーシステム(すなわち、PCCS2)とすることができる。例えば、PCCS2は、流体からの組換えタンパク質を精製する単位操作を行う3つのカラム、および流体中に存在している組換えタンパク質をポリッシングする単位操作を行うクロマトグラフィー膜を含むことができる。例えば、流体からの組換えタンパク質を精製する単位操作を行う3つのカラムは、例えば陽イオン交換樹脂を含むことができ、ポリッシングする単位操作を行うクロマトグラフィー膜は、陽イオン交換樹
脂を含むことができる。PCCS2は、カラム切り替え機構を利用することができる。PCCS2は、最大で例えば4つ、5つ、6つ、7つまたは8つまたはそれ超のカラムを操作することが可能な、改変AKTAシステム(GE Healthcare、Piscataway、NJ)を利用することができる。
【0138】
MCCS2は、単離された組換えタンパク質がそこからシステムを出ることができる、出口を含むことができる。出口は、例えば、流体用導管を挿入するのを可能にする、ねじ山、リブもしくは封止、または単離組換えタンパク質を保管もしくは貯蔵するよう設計されているバイアルを含むことができる。出口は、単離組換えタンパク質がバイオバーデンの低いバイアルまたは貯蔵容器に直接流入することを可能にするため、出口にバイオバーデンの低いバイアルまたは他のこうした貯蔵容器を封止するために使用することができる表面を含むことができる。本システムにおいて使用することができる非限定的な出口は公知であり、当業者により理解されよう。
【0139】
単離組換えタンパク質の製剤化
単離組換えタンパク質は、当分野で公知の方法を使用して医薬剤にさらに製剤化することができる。医薬剤は、それらの所期の投与経路(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下または腹腔内)と適合するよう製剤化される。医薬剤は、滅菌賦形剤(例えば、滅菌水または生理食塩水)、不揮発性油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコールまたは他の合成溶媒、ベンジルアルコールもしくはメチルパラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサールなどのような抗細菌剤もしくは抗真菌剤、アスコルビン酸もしくは亜硫酸水素ナトリウムのような抗酸化剤、エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤、酢酸塩、クエン酸塩もしくはリン酸塩のような緩衝液、および糖(例えば、デキストロース)のような等張剤、ポリアルコール(例えば、マンニトールまたはソルビトール)、または塩(例えば、塩化ナトリウム)、またはそれらの任意の組合せを含むことができる。リポソーム懸濁液も、薬学的に許容される担体として使用することができる(例えば、米国特許第4,522,811号を参照されたい)。医薬剤の製造は、アンプル、使い捨てシリンジまたは多回用量バイアル中で製剤化して封入することができる。必要な場合(例えば、注射可能な製剤と同様に)、例えば、レシチンのようなコーティングまたは界面活性剤の使用により適切な流動性を維持することができる。単離組換えタンパク質の吸収は、吸収を遅延させる作用剤(例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチン)を含ませることにより延長することができる。あるいは、制御放出は、インプラントおよびマイクロカプセル化送達システムにより実現することができ、このシステムは、生体分解性ポリマー、生体適合性ポリマー(例えば、エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸;Alza Corporation and Nova Pharmaceutical、Inc.)を含むことができる。
【0140】
単離組換えタンパク質のいずれかの1つまたはそれ以上を含む医薬剤は、投与量単位形態(すなわち、投与および投与量の均質性を容易にするための、所定量の活性タンパク質を含む物理的に個別の単位)で、非経口(例えば、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下または腹腔内)投与向けに製剤化することができる。
【0141】
医薬剤の毒性および治療効能は、細胞培養物または実験動物(例えば、サル)における標準薬学的手順によって決定することができる。例えば、LD50(集団の50%までの致死用量)、およびED50(集団の50%において治療上有効となる用量):LD50:ED50の比である治療指数を決定することができる。高い治療指数を示す医薬剤が好ましい。医薬剤が望ましくない副作用を示す場合、潜在的な損傷を最小化するための注意を払うべきである(すなわち、望ましくない副作用の低減)。毒性および治療効能は、他の標準薬学的手順によって決定することができる。
【0142】
細胞培養アッセイおよび動物検討から得られたデータは、対象(例えば、ヒト)において使用するための、適切な投与量の任意の所与の単離組換えタンパク質を製剤化する際に使用することができる。本明細書に記載されている医薬剤のいずれの有効性および投与も、当分野で公知の方法を使用して、ヘルスケア専門家または獣医専門家によって決定することができる。ある種の要因は、対象を効果的に処置するために必要な投与量およびタイミングに影響を及ぼすことがある(例えば、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の一般的健康状態および/または年齢、ならびに他の疾患の存在)。
【0143】
本発明は、以下の実施例においてさらに記載され、この実施例は、特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例
【0144】
〔実施例1〕
2工程の例示的なシードトレイン法
実験は、改善されたシードトレイン法を開発するために行った。本明細書において提供されている例示的なシードトレイン法が図1および図2に示されている。慣用的なシードトレイン法と比べて、本明細書において提供されている例示的なシードトレイン法により、2つの中間的なスピナー培養工程がなくなる。図1および2に示されている例示的なシードトレイン法により、スピナー培養(例えば、図1および2における125mLから10Lのスピナー培養)が図1および2のウェーブバイオリアクター(2Lおよび20L)に置き換えられる。図1および2における多回スピナー培養をウェーブバイオリアクターに置き換えることにより、ラミナーフローフードにおける必要な操作数が減り、こうして、密閉システム下での操作が可能となることにより、操作の成功が改善される。N-1潅流培養工程における潅流培養の使用(例えば、図1および2における、ATFろ過装置を備えた50L潅流バイオリアクター)により、50×10生存細胞/mL以上の培養細胞密度の到達がやはり可能となる。N-1潅流培養工程において到達する生存細胞密度が高いことにより、500Lの生産用バイオリアクターにおいて5×10生存細胞/mLという接種密度が可能になり、これにより、慣用的なシードトレイン法により達成される生産用バイオリアクターにおける初期細胞密度よりもかなり高くなる(図1)。本シードトレイン法によって提供される生産用バイオリアクターでの播種密度の高さは、生産用バイオリアクターでの成長期を約5日間、削減する一助となり、50日間の生産用バイオリアクター操作にとって、製造プラント時間の節約となる。図1および2に示されている例示的なシードトレイン法の生産性を試験するために使用される材料および方法は、以下に記載されている。
【0145】
材料および方法
細胞株および培地
実験はすべて、4mMグルタミン(Sigma-Aldrich、St.Louis、MO)を補給した、市販の化学的に規定されている細胞培養培地(Life Technologies、Grand Island、NY)およびCHO細胞株を使用して行い、組換えヒト酵素を生産した。
【0146】
2Lおよび20Lのウェーブバイオリアクターにおける回分シードトレイン培養
高密度(HD)細胞バンクバイアル(10×10生存細胞/mL、4.5mL/バイアル)を1Lの作業体積のある2Lウェーブ細胞バッグ(GE Healthcare、Piscataway、NJ)に解凍した。2Lのウェーブ細胞バッグ中の生存細胞密度が3.0×10生存細胞/mLに到達すると、培養物を7.5Lの作業体積のある20Lウェーブ細胞バックに拡大した。2Lと20Lのウェーブ細胞バッグの両方に対する振動プラットフォームとして、ウェーブバイオリアクターシステム(モデル20/50EH
TD)(GE Healthcare)を使用した。培養物を37℃の温度、16RPMの振動速度、および7°の振動角に維持した。20%のOと5%のCOとのガス混合物を0.25slpmの流速でヘッドスペースに加えた。
【0147】
シードトレインN1潅流培養
ATF4潅流装置(Refine Technology、Pine Brook、NJ)を装備した15Lのグラス製潅流バイオリアクター(Broadley-James
Corporation、Irvine、CA)を使用して、シードトレインN1の段階を模倣した(図1において示されている50Lのバイオリアクター)。酸素を20μmの焼成スパージャーにより加えて、酸素の溶解を40%に制御し、窒素を1mmのドリル穴のスパージャーにより加え、溶解COレベルを120mmHg未満に制御した。0.5M炭酸ナトリウムを添加することにより、バイオリアクター培養物のpHを6.85超に維持した。10%の消泡剤溶液(FoamAway、Life Technologies、Grand Island、NY)を添加し、必要に応じて、発泡レベルを制御した。
【0148】
10Lの作業体積のある15Lのバイオリアクターに0.5×10生存細胞/mLで播種し、潅流が開始すると、この培養を2日目まで回分形式で操作した。潅流速度は、最初に、オンラインの静電容量センサー(Aber Instruments、Aberystwyth、UK)およびプログラマブルロジックコントローラ(DeltaV)を使用して、0.2nL/細胞/日の細胞特異的潅流速度(CSPR)で制御した。生存細胞密度が20×10細胞/mLに達した後、潅流速度を1日あたり4バイオリアクター体積(RV/日)を上限に定めた。
【0149】
接種密度評価に関する、50mLスピンチューブの回分再供給モデル
培養物の細胞密度が25×10生存細胞/mL、50×10生存細胞/mLおよび100×10生存細胞/mLに到達すると、その一定分量をシードトレインN-1バイオリアクターから抜き出し、続いて、3つの異なる接種密度:0.5×10生存細胞/mL、2.5×10生存細胞/mLまたは5.0×10生存細胞/mLで、10mLの作業体積の50mLスピンチューブ(TPP Techno Plastic Products AG、Trasadingen、スイス)に三連で接種した。連続的な潅流はこの規模では行うことができないので、1日1回、再供給を行った。再供給は、1日目に開始し、インキュベータからスピンチューブを取り出し、細胞の回転を5分間、1100RPMに下げ、上澄み液を除去して、次に新しい培地を添加して、細胞を再懸濁することにより行った。再供給戦略は、異なる接種密度条件で同じCSPRが得られるよう設計した。スピンチューブのすべてを37℃の温度、振動速度160RPM、振動角度を卓上に対して45度、相対湿度80%およびCO濃度5%で、Multitron II震とうインキュベータ(HT Infors、Bottmingen、スイス)中に維持した。
【0150】
生産用バイオリアクター
図1に示されている500Lの生産用バイオリアクターを模倣するため、作業体積10Lを有する、15Lバイオリアクター(Broadley-James Corporation、Irvine、CA)を、20μmの焼成スパージャーにより溶解酸素を40%に制御した、ATF4潅流装置(Refine Technology、Pine Brook、NJ)を使用する潅流形式で操作し、1mmのドリル穴のスパージャーにより窒素を加え、溶解COレベルを120mmHg未満に維持した。0.5M炭酸ナトリウムを添加することにより、pHを6.85超に維持した。ペリスタポンプにより、10%の消泡剤溶液(FoamAway、Life Technologies、Grand Island、NY)を添加して発泡レベルを制御した。
【0151】
一式の生産用バイオリアクターに、回分形式で操作した播種用槽から低密度(0.5×10生存細胞/mL)で接種した。潅流は、1日目に0.5RV/日で開始し、2RV/日の潅流速度に到達するまで、毎日0.5RV/日ずつ向上させた。この密度が50×10生存細胞/mLに到達すると、別の一式の生産用リアクターに、N-1 15Lの潅流播種用槽から、高密度(5.0×10生存細胞/mL)で接種した。接種密度が高いので、潅流は、接種直後に2RV/日で開始した。生産用バイオリアクターのすべての場合に、生存細胞密度をオンライン静電容量センサーおよびブリードポンプを使用して40×10生存細胞/mLに制御した。生産用バイオリアクターはすべて、50日間、操作した。
【0152】
分析方法
生存細胞密度は、ViCell XR細胞生存率分析装置(Beckman Coulter、Brea、CA)を使用して決定した。RAPIDLab血流ガス分析器(Siemans、Tarrytown、NY)を使用して、オフラインでpHおよびpCOを測定した。タンパク質の生産性は、特許権のある光度酵素活性アッセイにより測定した。
【0153】
結果および考察
図3は、ウェーブ回分培養およびN-1潅流培養を含めた、これらの実施例において記載されている例示的なシードトレイン法の生存細胞密度の成長プロファイルを示している。2Lおよび20Lのウェーブ回分培養の期間は、それぞれ8日間および5日間であった。N-1潅流バイオリアクターを12日間、操作し、最終生存細胞密度は110×10生存細胞/mLおよび細胞生存率は>98%に到達した。生存細胞密度は、9日目に50×10細胞/mLに到達し、これは、(50L N-1のバイオリアクターから)5×10生存細胞/mLで500Lのバイオリアクターに接種するのに必要な細胞密度である。
【0154】
N-1バイオリアクターの場合、潅流を2日目に開始し、細胞密度が向上するにつれて、自動的に供給速度が向上するオンライン静電容量プローブを使用して、0.2nL/細胞/日のCSPRを維持するよう制御した。この潅流速度の制御戦略の成功は、静電容量プローブが生存細胞密度を正確に見積もることができるかに依存している。潅流速度が4RV/日を上限に定められているので、この戦略は7日目までしか使用されないが、このプローブは、110×10生存細胞/mLに到達した12日目までの実施に、密度を正確に見積もることが可能であった(図4)。
【0155】
小規模スピンチューブモデルを使用して、生産用バイオリアクターにおける細胞成長に対するN-1細胞密度の影響を評価した。細胞密度がそれぞれ、25×10生存細胞/mL、50×10生存細胞/mLまたは100×10生存細胞/mLになると、培養物の試料をN-1バイオリアクターから抜き取った。これらの試料を3つの一定分量に分け、新しい培地を使用して、0.5×10生存細胞/mL、2.5×10生存細胞/mLまたは5×10生存細胞/mLまで希釈し、次に、スピンチューブに三連で接種した(潅流生産用バイオリアクターのモデル化)。培養物をそれぞれの接種密度にまで分けた際に到達させた希釈度のため、毎日の再供給を1日目まで行わなかった。再供給速度をスピンチューブの接種密度に基づいて調節し、これにより、対応する細胞密度において、各接種密度の条件が同じCSPRとなった。
【0156】
細胞数および生存率のプロファイルが、図5~7に示されており、各接種密度におけるN-1密度条件間の比較を行えるようプロットした。スピンチューブモデルにおける最大潅流速度が1RV/日であるので、培養物は、CSPRが潅流バイオリアクターモデルと
一致する20×10生存細胞/mLまでしか成長しなかった。試験した3つの接種密度すべてについて、異なるN-1密度条件間に観察可能な成長の差異はなかった。
【0157】
生産用バイオリアクターの細胞成長および生産性に対する、N-1密度および接種密度に及ぼす影響を検討するため、50×10生存細胞/mLのN-1バイオリアクターから5.0×10生存細胞/mLでバイオリアクターに接種し、2.5×10生存細胞/mLのN-1バイオリアクターから0.5×10生存細胞/mLで接種したバイオリアクターと比較した。図8に示されている通り、両方の条件の場合の細胞成長は同等であった。この細胞生存率は、両方の接種条件について、50日間の実施全体にわたり90%を超えて維持された。図9は、累積的生産性対一体化した生存細胞密度を示しており、条件間で、類似した比生産速度を示している。最も留意すべきことに、40×10生存細胞/mLの定常状態の細胞密度(図8)、および精製のために必要な力価は、高接種密度条件の場合、4~5日間、早く到達した。
【0158】
本明細書に記載されている例示的なシードトレイン法は、経済性と操作上の利点の両方を有する。例えば、5.0×10細胞/mLで500Lの潅流生産用バイオリアクターに接種すると、成長期の期間が4~5日間、減少し、50日間の実施の場合、生産性が10%向上する。さらに、N-1潅流バイオリアクターは、100×10生存細胞/mLに到達することが可能であり、10×10生存細胞/mLで500Lのバイオリアクターに接種することが理論的に可能であり、成長期の期間がさらに低下する(例えば、合計で5~6日間)。
【0159】
本明細書に記載されている例示的なシードトレイン法はまた、回分または流加形式で操作される生産用バイオリアクターに接種するために使用することもできる。500Lのバイオリアクターを使用する、21日間の流加細胞培養法の場合、5.0×10生存細胞/mLの接種密度により、生産用バイオリアクターの期間を25%短縮することができる。全体として、これは、1年あたりさらに5~6回分の回分が可能になり、製造生産性が25%~30%向上する。
【0160】
ほとんどの場合、回分および流加法は、通常、潅流法に使用されるものよりもはるかに大きな生産用バイオリアクターを使用し、これにより、大規模なステンレス鋼製バイオリアクターにおいて、いくつかのシードトレイン段階が必要となる。図2は、ATF潅流装置を備えた50LのN-1バイオリアクターを使用したシードトレイン法と比較した、10,000Lのバイオリアクターに接種するために使用した、慣用的なシードトレイン法の一例を示している。本明細書に記載されている例示的なシードトレイン法を使用すると、50~100×10生存細胞/mLの50L N-1バイオリアクターは、10,000Lバイオリアクターに0.25×10生存細胞/mL~0.50×10生存細胞/mLで接種することが可能であり、これにより、2つの中間のシードトレイン細胞培養段階がなくなる。
【0161】
この実施例において記載されているデータは、HD細胞バンク登録、使い捨て単回使用向けバイオリアクター技法、およびN-1バイオリアクター段階における潅流培養を含む例示的なシードトレイン法はを実証している。本明細書において提供されているシードトレイン法は、小規模培養段階の数を削減することにより、慣用的なシードトレイン法の複雑さが低減される。本実施例において記載されているデータは、N-1段階に潅流培養を使用することより、さらなる拡大工程後の培養物の成長特性を損なうことなく、12日間で最大100×10生存細胞/mLの生存細胞密度を達成することができることを示している。これらのデータに基づくと、本明細書に記載されている例示的なシードトレイン法を使用して、500Lの生産用バイオリアクターに5×10生存細胞/mLの細胞密度で接種すると、定常状態の細胞密度となるまでの時間を4~5日間、削減することがで
き、50日間の実施の総合的な生産性が10%向上する。10,000Lのようなより大型の生産用バイオリアクターを必要とする回分または回分法の場合、本明細書において提供されているシードトレイン法により、N-1段階における単一の50L潅流バイオリアクターを使用することにより、拡大プロセスから1~2段階をなくすことができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9