IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ デジタル エンドスコピー ゲーエムベーハーの特許一覧

<>
  • 特許-内視鏡 図1
  • 特許-内視鏡 図2
  • 特許-内視鏡 図3
  • 特許-内視鏡 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20220614BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20220614BHJP
   A61B 1/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
A61B1/018 514
G02B23/24 A
A61B1/00 715
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020209489
(22)【出願日】2020-12-17
(62)【分割の表示】P 2019519304の分割
【原出願日】2017-11-21
(65)【公開番号】P2021049392
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2021-01-13
(31)【優先権主張番号】102016122477.4
(32)【優先日】2016-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】516021418
【氏名又は名称】デジタル エンドスコピー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】コルベルグ,ステファン
【審査官】北島 拓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-004804(JP,A)
【文献】特開2016-174817(JP,A)
【文献】実開平05-028303(JP,U)
【文献】特開2000-116598(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 1/00 - 1/32
A61B 8/00 - 8/15
G02B 23/24 -23/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入部の先端側端部に配置された内視鏡先端部(1)と起上台(30)とを備える内視鏡であって、
前記内視鏡先端部(1)は、
先端側と側方とに開口する先端凹部と、
前記先端凹部に突出する軸要素と、
前記先端凹部に開口する処置具挿通チャンネル(13)とを有し、
前記起上台は、前記軸要素に着脱可能に連結する軸連結部を有し、前記軸要素の軸方向に移動させることにより、前記先端凹部から取り出せる
内視鏡。
【請求項2】
前記起上台は、前記先端凹部の外側から、前記軸要素に向けて該軸要素の軸方向に移動させることにより前記軸要素に取り付けられる
請求項1に記載の内視鏡。
【請求項3】
前記先端凹部は、前記挿入部の長手方向に沿う第1面(21)を含み、
前記軸要素は、前記第1面(21)から前記先端凹部に突出する
請求項1または請求項2に記載の内視鏡。
【請求項4】
前記第1面(21)は平面である
請求項3に記載の内視鏡。
【請求項5】
前記先端凹部は、
前記挿入部の長手方向に垂直な第2面(22)と、
前記第2面(22)から前記挿入部の先端側に延び、前記第1面(21)と交差する第3面(23)とを含み、
前記処置具挿通チャンネル(13)は、前記第2面(22)に開口する
請求項3または請求項4に記載の内視鏡。
【請求項6】
前記第2面(22)は平面である
請求項5に記載の内視鏡。
【請求項7】
前記第3面(23)は平面である
請求項5または請求項6に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
このような内視鏡を、十二指腸内視鏡として、つまり、例えば食道(gullet, esophagus)又は十二指腸、胆管、胆嚢、膵管、膵臓などを検査するための内視鏡として使用してもよい。十二指腸内視鏡によって、食道、胃及び幽門を通って十二指腸に入ることが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
十二指腸内視鏡は、側視型(横方向)光学系(照明部及び観察部)を備えている。このような構成は、「前方の」観察を容易に行うことができないので、十二指腸内視鏡を食道に導入して食道を通って前方に押し進めることを困難にし得る。前方を見ることができるように十二指腸内視鏡の先端側端部を約90°曲げるための十分なスペースは、胃又は十二指腸のみで確保できる。
【0004】
更に十二指腸内視鏡は、処置具挿通チャンネルを通って押し進められる処置具の標的への偏向を回動によって可能にする起上台を、処置具挿通チャンネルの出口に備えている。このような起上台は通常、引張ワイヤ又は制御ワイヤによって内視鏡の操作部側で回動させられる。
【0005】
内視鏡先端部内の設置スペースは、特に光学系(照明部及び観察部)並びにその信号ケーブル及び電源ケーブル、処置具挿通チャンネル及び引張ワイヤチャンネルにより非常に制限されている。
【0006】
本発明は、設置スペースを最適に使用するために先端側領域の構造が改良された内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、請求項1の特徴を有する内視鏡によって達成される。有利な更なる展開例(実施形態)が、従属する請求項の主題を構成している。
【0008】
内視鏡は、挿入部の先端側端部に配置された内視鏡先端部(1)と起上台(30)とを備える内視鏡であって、前記内視鏡先端部(1)は、先端側と側方とに開口する先端凹部と、前記先端凹部に突出する軸要素と、前記先端凹部に開口する処置具挿通チャンネル(13)とを有し、前記起上台は、前記軸要素に着脱可能に連結する軸連結部を有し、前記軸要素の軸方向に移動させることにより、前記先端凹部から取り出せる。
【0009】
起上台を回動させるために、回動部材の突出部が、引張ワイヤによって作動可能な摺動部材に挿入されている。従って、引張ワイヤによって生じる摺動部材の移動が、回動部材の移動を引き起こす。起上台の回動移動を実現するために、摺動部材の短い移動経路のみを内視鏡先端部に設ける必要があるだけである。このようにして、起上台の回動移動を実現するためのスペース要件を最小限度に抑える解決法が提供される。
【0010】
前記回動部材の突出部は、インボリュート形状を有し、前記摺動部材の表面に転動自在に支持され得る。言い換えれば、回動部材の突出部は転動要素の形状を有することができる。従って、起上台の回動の際に回動部材が摺動部材に対する相対位置を変えるとき、回動部材の突出部は摺動部材の表面で転動することができる。従って、回動部材は、スペース要件を更に軽減すべく摺動部材に接するように設置され得る。或いは、回動部材の突出部は、摺動部材の表面に摺動自在に支持される摺動要素又は滑り要素として形成され得る。更なる代替例では、回動部材の突出部は、摺動部材との接触部分に、摺動部材の表面に転動自在に支持される転動輪を有することができる。
【0011】
前記摺動部材は、前記突出部の第1外面が支持されている第1表面を有することができ、前記摺動部材は、前記突出部の第2外面が支持されている第2表面を有することができる。従って、起上台の全ての回動方向で、回動部材は摺動部材に接するように設けられ得る。回動部材及び摺動部材は、起上台の位置とは無関係に常時接するように設けられ得る。
【0012】
前記摺動部材は、前記引張ワイヤが操作部側方向に移動すると、前記回動部材が前記起上台を操作部側方向に回動させるように、前記突出部の第1外面を前記摺動部材の第1表面で転動させて、前記引張ワイヤが先端側方向に移動すると、前記回動部材が前記起上台を先端側方向に回動させるように、前記突出部の第2外面を前記摺動部材の第2表面で転動させるように構成され得る。
【0013】
前記摺動部材の前記第1表面及び前記第2表面は互いに対向することができ、前記突出部の前記第1外面及び前記第2外面は反対方向に向くことができる。
【0014】
前記摺動部材は、前記引張ワイヤによって前記内視鏡先端部の軸方向に前後に移動可能である。本発明に係る内視鏡先端部では、(摺動部材の)並進移動/動きが(回動部材の)回動移動に変換される。従来の解決法では、引張ワイヤ受け要素の弓状の移動が起上台の弓状の移動を引き起こすため、内視鏡先端部に比較的大きなスペースを必要とする。この従来の解決法では、正弦波状の力経路が形成される。
【0015】
本発明によれば、起上台の回動移動を実現するために、摺動部材の軸方向に短い摺動/移動経路のみを内視鏡先端部に設けることが必要なだけである。このため、起上台の回動移動を実現するための内視鏡先端部内のスペース要件を更に軽減することができる。本発明によれば、(摺動部材の)並進移動が(回動部材の)回動移動に変換されるとき、より一定の力経路が形成される。
【0016】
前記引張ワイヤチャンネルの先端側端部が前記内視鏡先端部本体で密閉され得る。従って、感染性の細菌が引張ワイヤチャンネル内に付着する可能性を防止する。
【0017】
前記引張ワイヤの先端側端部が前記内視鏡先端部本体に固定されることができ、前記摺動部材は、固定点の操作部側で前記引張ワイヤに配置されることができる。引張ワイヤの先端側端部が摺動部材の位置決めに役立つことができる。このように、摺動部材を案内するための案内要素が摺動部材と回動部材との間に設けられる必要がないため、摺動部材のためのスペースが回動部材に向かって開放されていることが可能である。摺動部材及び回動部材は互いの更に近くに設置され得る。
【0018】
更に、前記引張ワイヤが操作部側から引っ張られると、前記摺動部材を前記引張ワイヤチャンネルの操作部側端部と連結する引張ワイヤスリーブが、前記摺動部材を前記引張ワイヤに対して先端側方向に移動させる。引張ワイヤスリーブは、ボーデンケーブルスリーブのように構成されることができ、弾性を有し得る。引張ワイヤスリーブは、引張ワイヤチャンネルの操作部側端部且つ摺動部材の操作部側で摺動部材に固定され得る。
【0019】
本発明の上述した態様は適切に組み合わせられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を右側から示す斜視断面図である。
図2図1からの本発明の第1実施形態の内視鏡先端部の詳細を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態の内視鏡先端部を左側から示す斜視図である。
図4】起上台がまだ挿入されていない状態の本発明の第2実施形態の内視鏡先端部を左側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を、図面を参照して実施形態によって以下に詳細に説明する。
【0022】
第1実施形態
まず、本発明の第1実施形態を図1~3を参照して説明する。
【0023】
図1は、本発明の第1実施形態の内視鏡先端部1 を示す斜視断面図である。明瞭化を高めるために、内視鏡先端部に設けられた複数の要素(33, 41-44 )及びこれらの相互関係をより理解し易いように示すべく、内視鏡先端部1 は図1に断面図で示している。
【0024】
図1は内視鏡先端部1 を右側から示している一方、図3は内視鏡先端部1 を左側から示している。そのため、本発明では「右側」及び「左側」の記載は図1及び図3の表示に関連する。従って、以下に記載される起上台は内視鏡先端部1 の左側に配置されている。
【0025】
図1を参照すると、内視鏡先端部1 は、より詳細には図示しない内視鏡の先端側領域に配置された内視鏡先端部本体11を備えている。
【0026】
内視鏡は操作部及び挿入部を備えている。操作部は操作部側にあり、挿入部は操作部の先端側にある。操作部は、処置具挿通チャンネル入口と、内視鏡の挿入部の先端側端部で内視鏡の曲げ部分を曲げるための湾曲操作ノブとを有している。更に操作部は、オペレータが内視鏡を把持するための把持部分を有している。本発明に係る内視鏡先端部1 は挿入部の先端側端部に配置されている。
【0027】
処置具挿通チャンネル13(図3参照)が、内視鏡先端部1 の内視鏡先端部本体11に形成されている。処置具挿通チャンネル13は、操作部の処置具挿通チャンネル入口から内視鏡先端部1 に延びている。処置具挿通チャンネル13は、図3に示しているように起上台30に対向する先端側出口開口部を有している。
【0028】
起上台30は、図1に示しているような起上台30の静止位置で上方を向いた作業面300 を有している。図1に示している起上台30の静止位置は、起上台30の非回動位置である。作業面300 は内側に湾曲している、つまり凹状である。
【0029】
処置具挿通チャンネル13を通って案内される案内ワイヤのような処置具を先端側方向に更に進めるとき、処置具は起上台30の作業面300 と接触する。作業面300 は、起上台30を回動させることにより上げられ得るため、処置具挿通チャンネル13の先端側出口開口部に対する角度を変えることができる。このようにして、処置具挿通チャンネル13に案内される処置具は横方向に進むことができる。
【0030】
そのため、起上台30は、内視鏡先端部本体11に対して回動可能であるように配置されており、このために回動部材によって回動する。第1実施形態では、回動部材は、(明瞭化のために)図1に示さない回動軸要素と力受け要素33とによって形成されている。回動軸要素は、内視鏡先端部本体11に形成された軸受に回転自在に支持されている。
【0031】
図示しない回動軸要素は軸要素であり、起上台30が軸要素の長手方向の端部(左側の長手方向の端部)に配置される端部を有している。この(左側の)端部は、前記端部に配置された起上台30に形状適合するように連結されるべく形成されている。本実施形態では、(左側の)端部は正方形の外形を有する。起上台30は、対応する正方形の外形を軸連結部分に有している。図3参照。
【0032】
起上台30は、回動軸要素から横方向(左方向)に抜き取られることにより回動軸要素の(左側の)端部から取り出され得る。起上台30は、強固なクランプ嵌合で回動軸要素に押し付けられ、固定手段(ボルト、ピンなど)によって回動軸要素に固定され得る。
【0033】
図示しない回動軸要素は、他方の長手方向の端部(右側の長手方向の端部)に、力受け要素33が配置される端部を有している。前記(右側の)端部は、前記端部に配置された力受け要素33に形状適合するように連結されるべく形成されている。本実施形態では、(右側の)端部は正方形の外形を有する。力受け要素33は、回動軸要素のための開口部332 が形成されている力受け要素本体331を有している。回動軸要素のための開口部332 は、回動軸要素の(右側の)端部の正方形の外形に対応する正方形の外形を有する。図1及び図2参照。力受け要素本体331 は、固定ねじが挿入され得る径方向開口部337 を有して形成され得る。前記固定ねじは、回動軸要素上で力受け要素33を固定する。力受け要素33は、引張ワイヤ42に動作可能に連結された摺動部材43によって作動可能である。
【0034】
引張ワイヤチャンネル40が、内視鏡先端部1 の内視鏡先端部本体11に形成されている。引張ワイヤチャンネル40は、図示しない操作部側の操作部から内視鏡先端部1 に内視鏡先端部1 の軸方向に延びている。ボーデンケーブルスリーブとして構成されている引張ワイヤスリーブ41が引張ワイヤチャンネル40内に延びている。引張ワイヤスリーブ41は弾性の管要素であり、引張ワイヤスリーブ41の管の外周に、引張ワイヤスリーブ41の軸方向の長さ全体に亘ってばね要素(コイルばね)を有することができる。引張ワイヤスリーブ41は、引張ワイヤチャンネル40の操作部側端部に取り付けられており、摺動部材43まで延びている。引張ワイヤスリーブ41は、摺動部材43の操作部側で摺動部材43に固定されている。このようにして、摺動部材43は引張ワイヤスリーブ41の一部として機能する。
【0035】
摺動部材43は軸方向の孔を有しており、この孔内で引張ワイヤ42は摺動部材43を貫通する。引張ワイヤ42は、操作部側の制御要素(例えばジョイスティック、操縦輪など)によって動作する、つまり引っ張られるか又は離される。引張ワイヤ42は、操作部側の制御要素から引張ワイヤスリーブ41の操作部側の入口に延びて引張ワイヤスリーブ41及び摺動部材43を貫通し、摺動部材43の先端側から突出している。より正確に言うと、引張ワイヤ42の操作部側部分が摺動部材43の操作部側に設けられている。
【0036】
従って、引張ワイヤ42は引張ワイヤチャンネル40内に配置されている。より正確に言うと、引張ワイヤ42は引張ワイヤスリーブ41内に配置されて、引張ワイヤスリーブ41に対して軸方向に移動可能である。
【0037】
摺動部材43の形状は四角形であるが、本発明はこの特定の形状に限定されない。摺動部材43は、内視鏡先端部本体11内で軸方向に往復移動可能である。従って、少なくとも内視鏡先端部本体11内の領域で、引張ワイヤチャンネル40は、摺動部材43が往復移動中に案内され得る形状及び大きさで形成されている。
【0038】
従って、制御要素は、引張ワイヤチャンネル40の操作部側で、ボーデンケーブルの場合のように引張ワイヤスリーブ41に対して引張ワイヤ42を引っ張るように構成された操作部側の操作部として配置されている。引張ワイヤニップル44が、引張ワイヤ42の先端側端部の先端に設けられており、内視鏡先端部本体11の止り穴114 に固定されている。
【0039】
止り穴114 は、内視鏡先端部本体11の外縁から内部に延びている孔として形成されている。引張ワイヤニップル44を導入した後、止り穴114 を、図示しないプラグ又は別の閉鎖手段によって密閉している。引張ワイヤ42が引張ワイヤチャンネル40に操作部側から導入されて、その後、引張ワイヤニップル44が引張ワイヤ42の先端で押されるように、引張ワイヤ42は内視鏡先端部本体11に配置され得る。
【0040】
摺動部材43を貫通する引張ワイヤ42により、摺動部材43は容易に案内されることが可能であり、誤った位置決めを防ぐ。
【0041】
以下に、力受け要素33及び摺動部材43をより詳細に説明する。図2図1の詳細を示し、力受け要素33及び摺動部材43を拡大図に示している。
【0042】
力受け要素33は、インボリュート形状として形成された突出部333 を力受け要素33の外周部に有している。突出部333 は、力受け要素33から径方向に延びている。突出部333 は平坦な形状を有する。突出部333 は、操作部側の面として形成された第1側面334 と、先端側の面として形成された第2側面335 とを有している。第1側面334 及び第2側面335 は、外側面/外面として突出部333 に形成されており、反対方向に向いている。第1側面334 及び第2側面335 はカム面を形成しており、図2に示しているように中央突部を夫々有している。
【0043】
摺動部材43は、力受け要素33のための開口部として機能する凹部430 を、少なくとも摺動部材43の右側に有している。凹部430 は、操作部側の面として形成された第1境界面431 と、先端側の面として形成された第2境界面432 とを有している。第1境界面431 及び第2境界面432 は凹部430 を画定して、右側に横方向に突出している。第1境界面431 及び第2境界面432 は互いに対向している。より正確に言うと、第1境界面431 及び第2境界面432 は、図2に示しているように最上部に向かって互いに徐々に離れているように屈曲した形状で形成されている。従って、第1境界面431 及び第2境界面432 は、最上部に向かって拡がっている開口部を形成している。言い換えれば、第1境界面431 及び第2境界面432 は、力受け要素33に向かって拡がっている開口部を形成している。
【0044】
突出部333 は凹部430 内に配置されている。突出部333 のカム形状が最上部に向かって拡がっている凹部430 の部分に少なくとも受け入れられるように、突出部333 の大きさが決められている。突出部333 が凹部430 内に受け入れられているとき、第1側面334 は第1境界面431 と対向しており、第2側面335 は第2境界面432 と対向している。
【0045】
第1境界面431 及び第2境界面432 の右側への横方向の高さは、平坦な突出部333 の厚さより好ましくは僅かに大きい。
【0046】
従って、第1側面334 は第1境界面431 で転動することができ、第2側面335 は第2境界面432 で転動することができる。
【0047】
以下に、内視鏡先端部本体11の更なる要素を説明する。
【0048】
図3に示しているように、観察部60と照明部としての少なくとも1つのLED 70とが、内視鏡先端部本体11の先端側領域に設けられている。観察部60は、弾性の信号線及び弾性の電源線を有している。少なくとも1つのLED 70は少なくとも1つの弾性の電源線を有している。前記線は共通の線として構成されることができ、内視鏡の操作部側で操作部に連結されている。操作部は、ビデオプロセッサ、表示装置などに操作部側で連結されている。
【0049】
更に、洗浄ノズル(水ノズル)50が内視鏡先端部本体11の先端側領域に配置されることができ、前記洗浄ノズルによって、観察部60の観察窓が自由に洗浄され得る。
【0050】
内視鏡先端部1 には、超音波要素が、内視鏡先端部本体11から先端側方向に配置されている。このために、超音波要素ホルダ80が内視鏡先端部本体11の先端側に設けられている。図示しない超音波要素のための収容スペース81が超音波要素ホルダ80内に設けられている。更に、超音波要素のための弾性の信号線及び弾性の電源線が超音波要素ホルダ80に設けられている。超音波要素のための線は内視鏡先端部本体11を通って操作部に延びている。
【0051】
用途
操作部側の操作部(制御要素)は、引張ワイヤ42を押すか又は引っ張ることによって引張ワイヤ42を作動させることができる。引張ワイヤ42が制御要素によって引っ張られると、引張ワイヤスリーブ41内の引張ワイヤ42の長さが短くなる。このようにして、摺動部材43は、引張ワイヤ42に対して先端側方向に移動する/移る。言い換えれば、引張ワイヤ42が制御要素によって引っ張られると、引張ワイヤスリーブ41が引張ワイヤ42に対して先端側方向に押される。従って、摺動部材43は先端側方向又は操作部側方向に移動することができる。
【0052】
摺動部材43が先端側方向に移動すると、摺動部材43の第1境界面431 が、突出部333 の第1側面334 を先端側方向に押す。従って、突出部333 、及び突出部333 と共に力受け要素33全体が、起上台30の回動軸要素が起上台30を静止位置から上げるように回転する。
【0053】
摺動部材43が操作部側方向に移動すると、摺動部材43の第2境界面432 が、突出部333 の第2側面335 を操作部側方向に押す。従って、突出部333 、及び突出部333 と共に力受け要素33全体が、起上台30の回動軸要素が起上台30を静止位置に向かって下げるように回転する。
【0054】
実施形態の効果
摺動部材43が、内視鏡先端部本体11の軸方向のみに移動可能であるように内視鏡先端部本体11に配置されているので、摺動部材43のこのような軸方向の移動のためのスペースのみを内視鏡先端部本体11内に設ける必要があるだけである。
【0055】
摺動部材43が移動すると、力受け要素33は起上台30の回動軸要素の周りを回転する。力受け要素33が回転すると、摺動部材43の突出部333 が移動する。前記突出部333 が摺動部材43の開口部430 に取り付けられているので、突出部333 が移動するための内視鏡先端部本体11内に設けられるスペースは非常に小さい。
【0056】
従って、本発明で起上台30の回動を実現する要素が内視鏡先端部本体11に占めるスペースは非常に小さい。
【0057】
内視鏡先端部内のスペースは他の目的に使用され得る。更にこのため、内視鏡先端部の直径を減少させることができる。
【0058】
第2実施形態
以下に、本発明の第2実施形態を図4を参照して説明する。
【0059】
第1実施形態では、起上台30が、(左側に)横方向に取り出され得るように軸要素に配置されている。第2実施形態では、図示しない起上台が先端側に向かって取り出され得る。
【0060】
図4は、回動軸要素31の平坦な連結端部を示している。回動軸要素31の平坦な連結端部に対応する対向開口部を有する起上台が、前記平坦な連結端部に先端側から押し付けられ得る。
【0061】
起上台は、第1実施形態に記載されている方法と同一の方法で制御され得る。
【0062】
代替例
第1実施形態では、内視鏡先端部1 に超音波要素が配置されている。本発明は、超音波要素が設けられてない内視鏡先端部に更に適用可能であり、前記内視鏡先端部は、超音波要素ホルダ80無しで構成されている。
【0063】
例えばコイルばねのような付勢手段が、摺動部材43を操作部側方向に付勢するための押圧付勢手段として摺動部材43の先端側に配置され得る。引張ワイヤ42の操作部側方向への引っ張り移動によって、摺動部材43は、先端側のコイルばねのばね力を上回ることにより先端側方向に移る。
【0064】
代替例では、引張ばねのような付勢手段が、摺動部材43を先端側方向に付勢するための引張付勢手段として摺動部材43の先端側に配置され得る。
【0065】
摺動部材43に係合する突出部の形状は限定されない。更に、摺動部材43と力受け要素33との接触の種類は限定されない。インボリュート形状の突出部333 の代わりに、例えば棒状の突出部が力受け要素33に形成されることができ、前記突出部は、摺動部材43の開口部に挿入されて、摺動部材43上で摺動するように構成される。棒状の突出部は、摺動部材43の開口部に対して比較的大きな遊びを有することができる。従って、回動部材の突出部は、摺動部材の表面に摺動自在に支持されている摺動要素として形成され得る。
【0066】
更なる代替例では、転動輪が、力受け要素33の前記棒状の突出部に設けられることができ、前記転動輪は摺動部材の表面に転動自在に接する。本実施形態でも、並進移動が回動移動に変換され、回動移動は起上台を回動させるために使用される。
【0067】
摺動部材43は、力受け要素を介して起上台を回動させるために力を伝えるように構成されることが必要なだけである。力受け要素の形状は如何なる制限も受けない。
【0068】
摺動部材43の形状も如何なる制限も受けない。内視鏡先端部本体11内で摺動部材43を確実に案内することが、唯一注意しなければならないことである。
【0069】
代替例では、摺動部材は引張ワイヤに固定されることができ、引張ワイヤは弾性(可撓性)であるように形成され得る。この場合、引張ワイヤスリーブ41は必要ではない。制御要素は引張ワイヤを操作部側方向に引っ張り、摺動部材は、摺動部材の先端側の引張ワイヤ部分の弾性によって操作部側方向に移動する。
【0070】
本発明の原理は、起上台の全ての種類の動作に適用され得る。
【0071】
LED の使用は、光ファイバのような別の照明部を使用することにより取り替えられてもよい。
【0072】
本発明は、硬性内視鏡にも軟性内視鏡と同様に適用可能である。本発明の原理は、全てのタイプの内視鏡に適用され得る。
【0073】
上述した代替例は適切に組み合わせられ得る。
【符号の説明】
【0074】
1 内視鏡先端部
11 内視鏡先端部本体
13 処置具挿通チャンネル
21 第1面
22 第2面
23 第3面
30 起上台
31 回動軸要素
33 力受け要素
40 引張ワイヤチャンネル
41 引張ワイヤスリーブ
42 引張ワイヤ
43 摺動部材
44 引張ワイヤニップル
50 水ノズル
60 観察部
70 照明部
80 超音波要素ホルダ
81 超音波要素のための収容スペース
114 引張ワイヤニップルのための止り穴
300 作業面
331 力受け要素本体
332 回動軸要素のための開口部
333 突出部
334 第1外面、操作部側の面
335 第2外面、先端側の面
337 固定ねじのための開口部
430 力受け要素のための開口部
431 第1表面、操作部側の面
432 第2表面、先端側の面
図1
図2
図3
図4