(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】光学機器と統合された超音波生体感知デバイス
(51)【国際特許分類】
G06V 40/13 20220101AFI20220614BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20220614BHJP
A61B 5/1455 20060101ALI20220614BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
G06V40/13
A61B5/1172
A61B5/1455
G06T1/00 400G
(21)【出願番号】P 2020507040
(86)(22)【出願日】2018-08-07
(86)【国際出願番号】 US2018045614
(87)【国際公開番号】W WO2019032587
(87)【国際公開日】2019-02-14
【審査請求日】2021-08-05
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503115205
【氏名又は名称】ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ レランド スタンフォード ジュニア ユニバーシティー
(73)【特許権者】
【識別番号】520042755
【氏名又は名称】オーキッド サウンド テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】クリ-ヤクブ バトラス ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン モーテン フィッシャー
(72)【発明者】
【氏名】トウマ ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】アーウィン サード ジョン エヌ.
【審査官】新井 則和
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-522507(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0075700(US,A1)
【文献】特表2016-533234(JP,A)
【文献】特開2012-238186(JP,A)
【文献】特表2010-535594(JP,A)
【文献】特開2011-138090(JP,A)
【文献】特開2017-056029(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0090024(US,A1)
【文献】特開2014-166215(JP,A)
【文献】特表2016-526947(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0169136(US,A1)
【文献】特表2017-503255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06V 40/00-40/70
G06T 1/00
A61B 5/1172
A61B 5/1455
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波指紋感知を備えた生体感知デバイスであって、前記生体感知デバイスが、
指を受容するように構成された表面と、
超音波信号を生成し、前記表面に前記超音波信号を送信するように構成された超音波トランスデューサを含む超音波指紋センサであって、前記表面上にある前記指の少なくとも一部分の画像を示すデータを生成するように構成され
、少なくとも部分的に透明である、超音波指紋センサと、
前記超音波指紋センサと統合された光学システムであって、前記超音波指紋センサを通して前記表面に光を放出するように構成され
、前記超音波指紋センサを通して前記指によって反射された光を受信するために位置決めされた検出器を備える光学システム
と、
を備える、生体感知デバイス。
【請求項2】
前記超音波トランスデューサは、前記光学システムによって送信された前記光に対して透明なトランスデューサ材料を備える、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項3】
前記超音波指紋センサは前記超音波トランスデューサをアドレス指定するための電極を備え、前記電極は前記光学システムによって送信される前記光に対して透明である、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項4】
前記超音波指紋センサは前記超音波トランスデューサをアドレス指定するための電極を備え、前記電極は前記光学システムによって送信される前記光に対して不透明である、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項5】
前記超音波信号は、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項6】
前記光学システムは、反射酸素濃度計を備える、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項7】
前記光学システムは、少なくとも2つの異なる波長を有する光を放出し、
受信するように構成される、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項8】
前記光学システムによって受容される前記指によって反射された光に基づいて、少なくとも1つの生存パラメータを生成するように構成されたプロセッサをさらに備える、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項9】
前記超音波指紋センサと前記表面との間に配置された透明材料の層をさらに備える、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項10】
前記生体感知デバイスは、
前記超音波指紋センサからの前記データに基づいて前記指の少なくとも前記一部分の前記画像を生成し、前記指から反射されて受容した前記光に基づいて生存パラメータを生成するように構成された1つ以上のプロセッサ
をさらに備える、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項11】
前記光学システムは、少なくとも2つの異なる波長を有する光を生成して、送信するように構成され、前記光学システムは、前記少なくとも2つの異なる波長を有し、前記指から前記超音波指紋センサを介して反射された光を受信するように構成され、前記生体感知デバイスは、
前記超音波指紋センサからの前記データに基づいて前記指の少なくとも前記一部分の前記画像を生成し、前記少なくとも2つの異なる波長間で受容された前記光の差に少なくとも部分的に基づいて生存パラメータを生成するように構成された1つ以上のプロセッサを
さらに備える、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項12】
前記光学システムは、赤外線波長の光を生成
し、放出し、受信するように構成され、可視波長の光を生成
し、放出し、受信するように構成される、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項13】
前記生体感知デバイスは、前記光学システムを使用して心拍数および呼吸数のうちの少なくとも1つを検出するように構成される、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項14】
前記生体感知デバイスは、前記光学システムを使用してフォトプレチスモグラム(PPG)を生成するように構成される、請求項1に記載の生体感知デバイス。
【請求項15】
超音波指紋感知を備えた生体感知デバイスであって、前記生体感知デバイスが、
指を受容するように構成された表面と、
超音波信号を前記表面に送信するように構成された光学的に透明な超音波トランスデューサを備える超音波指紋センサであって、前記表面上にある前記指の少なくとも一部分の画像を示すデータを生成するように構成される、超音波指紋センサと、
前記超音波指紋センサと統合され
、検出器を備える光学システムであって、前記光学システムは、前記光学的に透明な超音波トランスデューサを通して前記表面に光を送信するように構成され、前記
光学的に透明な超音波トランスデューサ
は、前記表面の下に配置され、
前記光学的に透明な超音波トランスデューサを通して前記光を放出し、前記検出器において少なくとも前記光学的に透明な超音波トランスデューサを通して反射された光を受信するために、前記光学システム
は、前記
光学的に透明な超音波トランスデューサの下に配置される、光学システムと、
を備える、生体感知デバイス。
【請求項16】
前記生体感知デバイスは、
前記超音波指紋センサからの前記データに基づいて前記指の少なくとも前記一部分の前記画像を生成し、前記指から反射されて受容した前記光に基づいて生存パラメータを生成するように構成された1つ以上のプロセッサ
をさらに備える、請求項15に記載の生体感知デバイス。
【請求項17】
前記光学システムは、反射酸素濃度計を備える、請求項15に記載の生体感知デバイス。
【請求項18】
生体認証の方法であって、
少なくとも部分的に透明な圧電層を含む指紋センサによって、超音波信号を指に送信するステップと、
前記指からの前記超音波信号の反射に基づいて、前記指の少なくとも一部分の画像を生成するステップと、
光学システム
によって、前記指紋センサの前記
少なくとも部分的に透明な圧電層を通過する光を前記指に放出するステップと、
前記光学システムの検出器によって、前記少なくとも部分的に透明な圧電層を通して反射された光を受信するステップと、
受信された前記反射された光に基づいて、生存パラメータを生成するステップと、
前記画像および前記生存パラメータに基づいて、人を認証するステップ
を含む、方法。
【請求項19】
前記超音波信号を送信することは、前記指にガラスを通して前記超音波信号を送信することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記方法は、前記指紋センサと、前記光学システムとを備える携帯電話によって実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記方法は、前記指紋センサ
と、前記光学システムとを含むスマートカードを使用して実行される、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記
少なくとも部分的に透明な圧電層を通過する前記光を生成することは、前記光学システム
によって、少なくとも2つの異なる波長を有する光を生成することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記超音波信号を送信する
ステップは、前記超音波信号を
、表面を通して前記指に送信することを含み、前記方法は、前記表面、前記指紋センサ、および前記光学システムを含むデバイスによって実行され、前記デバイスの中に、前記指紋センサは前記表面の下に配置され、前記光学システムは前記指紋センサの下に配置される、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
超音波トランスデューサを有する生体感知デバイスであって、
少なくとも部分的に透明な圧電層と、前記少なくとも部分的に透明な圧電層の上側および下側のそれぞれの上部電極および下部電極と、を含む超音波トランスデューサであって、超音波信号をオブジェクトに送信するように構成された超音波トランスデューサと、
前記超音波トランスデューサと統合された光学システムであって、前記光学システムは光源および光検出器を備え、前記光源は前記超音波トランスデューサ
の前記少なくとも部分的に透明な圧電層を通して光を放出するように構成され、前記光検出器は、
前記少なくとも部分的に透明な圧電層を通して前記オブジェクトから反射された光を受信するように構成された、光学システムと、
前記オブジェクトからの前記超音波信号の反射に基づいて前記オブジェクトの少なくとも一部分の画像を生成し、前記オブジェクトから反射されて受信した前記光に基づいて生存パラメータを生成するように構成された1つ以上のプロセッサ
を備える、生体感知デバイス。
【請求項25】
前記上部電極および下部電極
は、前記超音波トランスデューサをアドレス指定する
ように構成され、前記
上部電極および下部電極は、前記
光源によって送信される前記光に対して
少なくとも部分的に透明である、請求項24に記載の生体感知デバイス。
【請求項26】
前記光源および前記光検出器は、前記超音波トランスデューサ
が、前記オブジェクトと前記光源および前記光検出器の両方の間に配置されるように、前記超音波トランスデューサの下に配置される、請求項24に記載の生体感知デバイス。
【請求項27】
前記超音波信号は、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する、請求項24に記載の生体感知デバイス。
【請求項28】
前記オブジェクトを収容するように構成された表面と、前記超音波トランスデューサと前記表面との間に配置されたガラス層とをさらに備える、請求項24に記載の生体感知デバイス。
【請求項29】
前記オブジェクトを収容するように構成された表面をさらに備え、前記超音波トランスデューサが前記表面の下に配置され、前記光学システムが前記超音波トランスデューサの下に配置される、請求項24に記載の生体感知デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2017年8月9日に提出された「光学機器と統合された生体タッチスキャナ」と題する米国仮特許出願第62/543,280号と、2017年8月9日に提出された「対話型生体タッチスキャナ」と題する米国仮特許出願第62/543,278号の優先権の利益を主張する。上記の出願のそれぞれの内容は、その全体があらゆる目的のために参照されることにより本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
開示される技術は、指紋認識および生身の指検出への応用を含む生体スキャンに関する。
【0003】
指紋は、犯罪者の識別、銀行取引、個人用デバイスのID認識、公式フォームなどを含む幅広い多様な用途および利用に関連付けられている。自動化された光学指紋スキャナは、指紋画像を取得するために使用されている。超音波ベースの指紋スキャナと静電容量指紋スキャナは、その他の指紋検出技術である。堅牢な認証を備えた堅牢で費用対効果の高い指紋スキャンシステムに対するニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
特許請求の範囲に記載されているイノベーションは、それぞれ複数の態様を有しており、それらの単一の態様は、いずれもその望ましい属性に単独で寄与するものではない。特許請求の範囲を限定することなく、本開示のいくつかの顕著な特徴をここで簡単に説明する。
【0005】
開示される技術の一態様は、生体感知デバイスである。このデバイスは、指を収容するように構成された表面を含む。デバイスは、表面に超音波信号を送信するように構成された超音波トランスデューサを備える超音波指紋センサをさらに含む。超音波指紋センサは、表面上の指の指紋の少なくとも一部分の画像を示すデータを生成するように構成されている。デバイスは、指紋センサと統合された光学システムをさらに含む。光学システムは、超音波指紋センサを介して収容表面に光を送信するように構成されている。
【0006】
一実施形態において、超音波トランスデューサは、光学システムによって送信される光に対して透明である。一実施形態において、超音波指紋センサは、電極が光学システムによって送信される光に対して透明である超音波トランスデューサをアドレス指定するための電極を含む。
【0007】
一実施形態において、超音波トランスデューサは収容表面の下に配置され、光学システムは超音波トランスデューサの下に配置される。
【0008】
一実施形態において、超音波トランスデューサは収容表面の下に配置され、光学システムは、超音波トランスデューサに対して横方向に配置された光源および光学センサを含む。
【0009】
一実施形態において、超音波トランスデューサは、収容表面と光学システムとの間に配置される。
【0010】
一実施形態において、超音波信号は、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する。一実施形態において、光学システムは、反射パルス酸素濃度計を含む。一実施形態において、光学システムは、2つ以上の異なる波長の光を送信するように構成される。
【0011】
一実施形態において、デバイスはプロセッサをさらに含む。一実施形態において、プロセッサは、指によって反射される2つ以上の異なる波長の光の比較に基づいて生存パラメータを生成するように構成される。一実施形態において、プロセッサは、指によって反射され、光学システムによって受信される光に基づいて生存パラメータを生成するように構成される。一実施形態において、生存パラメータは、心拍数、血中酸素化レベル、または体温のうちの少なくとも1つを示す。一実施形態において、プロセッサは、指が生身のものであるかどうかの表示を出力するように構成される。
【0012】
一実施形態において、デバイスは、指紋センサと指を収容するように構成された表面との間に配置されたガラスまたはプラスチック層などの透明材料の層をさらに含む。一実施形態において、指を収容するように構成された表面は、透明材料の層の表面である。
【0013】
別の態様は、生体感知デバイスである。このデバイスは、超音波信号を対象物に送信するように構成された超音波トランスデューサを含む。デバイスは、超音波トランスデューサと統合された光学システムをさらに含む。光学システムは、オブジェクトに光を送信し、オブジェクトから反射された光を受信するように構成されている。このデバイスは、さらに、1つ以上のプロセッサを含む。この1つ以上のプロセッサは、オブジェクトからの超音波信号の反射に基づいてオブジェクトの少なくとも一部分の画像を生成するように構成される。1つ以上のプロセッサは、オブジェクトから反射された受信光に基づいて生存パラメータを生成するようにさらに構成される。
【0014】
一実施形態において、光学システムは、超音波トランスデューサを介して、光をオブジェクトに送信するように構成される。
【0015】
一実施形態において、デバイスは、超音波トランスデューサをアドレス指定するための電極をさらに含み、電極は、光学システムによって送信される光に対して透明である。一実施形態において、電極および超音波トランスデューサは両方とも、光学システムによって送信される光に対して透明である。
【0016】
一実施形態において、デバイスは、超音波トランスデューサをアドレス指定するための電極をさらに含む。一実施形態において、電極は、光学システムによって送信される光に対して不透明である。
【0017】
一実施形態において、超音波トランスデューサは収容表面の下に配置され、光学システムは超音波トランスデューサの下に配置される。一実施形態において、超音波トランスデューサは収容表面の下に配置され、光学システムは、超音波トランスデューサに対して横方向に配置された光源および光学センサを含む。
【0018】
一実施形態において、超音波トランスデューサは、光学システムによって送信される光に対して透明である。一実施形態において、超音波トランスデューサはアレイとして配置される。一実施形態において、光学システムは、アレイ内に統合された光源および光センサを含む。
【0019】
一実施形態において、超音波信号は、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する。一実施形態において、デバイスは、オブジェクトを収容するように構成された表面と、超音波トランスデューサと表面の間に配置されたガラス層をさらに含む。
【0020】
別の態様は、生体感知デバイスである。このデバイスは、オブジェクトの少なくとも一部分の画像を示すデータを生成するように構成されたセンサを含む。このデバイスは、センサと統合された光学システムをさらに含み、光学システムは、センサを介してオブジェクトに光を送信するように構成される。特定の実施形態において、オブジェクトは、指、手のひら、足の裏、つま先などを含む。
【0021】
別の態様は、生体感知デバイスである。このデバイスは、超音波信号をオブジェクトに送信するように構成された超音波トランスデューサを含む。デバイスは、超音波トランスデューサと統合された光学システムをさらに含む。光学システムは、オブジェクトに光を送信し、オブジェクトから反射された光を受信するように構成されている。このデバイスは、1つ以上のプロセッサをさらに含む。この1つ以上のプロセッサは、オブジェクトからの超音波信号の反射に基づいてオブジェクトの少なくとも一部分の画像を生成し、受信した光に基づいて生存パラメータを生成するように構成される。一実施形態において、オブジェクトは指を含む。
【0022】
別の態様は、生体認証の方法である。この方法は、圧電層を備える指紋センサによって、超音波信号を指に送信するステップを含む。この方法は、指からの前記超音波信号の反射に基づいて、指の少なくとも一部分の画像を生成するステップをさらに含む。この方法は、指紋センサの圧電層を介して、指に光を送信するステップをさらに含む。この方法は、指からの光の反射に基づいて、生存パラメータを生成するステップをさらに含む。この方法は、画像および生存パラメータに基づいて、ユーザを認証するステップを含む
【0023】
一実施形態において、信号は超音波信号であり、受信信号は指からの超音波信号の反射である。一実施形態において、信号は光信号であり、受信信号は指からの光信号の反射である。超音波信号はガラスを介して送信できる。この方法は、指紋センサと、光を送信するように構成された光学システムを備えた携帯電話によって実行できる。この方法は、指紋センサを含むスマートカードを使用して実行できる。
【0024】
別の態様は、対話型生体感知システムである。このシステムは、オブジェクトに関連付けられた生体画像を生成するように構成されたセンサを含む。このシステムは、オブジェクトにエネルギーを送達するように構成されたアクチュエータをさらに含む。システムは、生体画像およびアクチュエータによって送達されるエネルギーに対する応答に基づいてオブジェクトを認証するように構成されたプロセッサをさらに含む。
【0025】
一実施形態において、センサは、アクチュエータを実装するように構成される。一実施形態において、アクチュエータは、応答を検出し、応答の指示をプロセッサに提供するように構成される。
【0026】
一実施形態において、アクチュエータは、指紋センサを含むコンピューティングデバイスの一部である。例えば、アクチュエータは、対話型生体システムを含む携帯電話のMEMSデバイスを含むことができる。この例では、MEMSデバイスは、携帯電話を振動させるようにアレンジすることもできる。
【0027】
一実施形態において、対話型生体感知システムは、オブジェクトに送達されたエネルギーに対するリアルタイムの応答を検出するように構成される。
【0028】
一実施形態において、オブジェクトは指である。一実施形態において、生体画像は指紋の画像である。
【0029】
一実施形態において、システムは、オブジェクトを収容するように構成された表面をさらに含む。一実施形態において、アクチュエータは、オブジェクトが表面上にある間にオブジェクトにエネルギーを送達するように構成される。
【0030】
一実施形態において、システムは、オブジェクトを収容するように構成された表面をさらに含み、オブジェクトに送達されたエネルギーに対する応答は、収容表面にあるオブジェクトに関連付けられる。
【0031】
一実施形態において、応答は不随意である。一実施形態において、応答は随意である。
【0032】
一実施形態において、アクチュエータは、オブジェクトの温度の変化を引き起こすように構成され、応答は、オブジェクトの温度の変化である。一実施形態において、アクチュエータは、オブジェクトに圧力を加えるように構成される。
【0033】
一実施形態において、センサは超音波トランスデューサを含む。一実施形態において、アクチュエータは超音波トランスデューサを含む。
【0034】
一実施形態において、超音波トランスデューサは、オブジェクトに圧力を加えるように構成され、応答はオブジェクトに加えられた圧力に対するものである。
【0035】
一実施形態において、超音波トランスデューサは、オブジェクトの温度の変化を引き起こすように構成され、応答は、超音波トランスデューサを使用して検出される。
【0036】
一実施形態において、アクチュエータは、オブジェクトに光を送信するように構成された光源を含む。
【0037】
一実施形態において、アクチュエータは、オブジェクトの温度を変化させるように構成された温度センサを含む。一実施形態において、センサは静電容量センサを含む。一実施形態において、センサは光学システムを備える。
【0038】
本開示の別の態様は、センサおよびプロセッサを備える対話型生体認証システムである。センサは、オブジェクトに関連付けられた生体画像データを生成するように構成される。センサは、オブジェクトにエネルギーを送達するように、さらに構成される。プロセッサはセンサと通信している。プロセッサは、生体画像データとセンサによってオブジェクトに送達されたエネルギーへの応答の表示に基づいてオブジェクトを認証するように構成される。
【0039】
センサは、超音波トランスデューサを含むことができる。超音波トランスデューサは、オブジェクトに圧力を加えるように構成でき、応答はオブジェクトに加えられた圧力に対するものである。超音波トランスデューサは、温度を変化させるように構成できる。応答は、超音波トランスデューサを使用して検出できる。
【0040】
センサは、応答を検出し、応答の表示をプロセッサに提供するように構成できる。センサは、統計的ランダム性を示す方法でエネルギーをプロンプトとしてオブジェクトに送達するように構成できる。
【0041】
対話型生体認証システムは、オブジェクトに送達されたエネルギーに対するリアルタイムの応答を検出するように構成できる。プロセッサは、エネルギーがオブジェクトに送達された後、ミリ秒のタイムスケールでオブジェクトを認証するように構成できる。
【0042】
対話型生体認証システムは、オブジェクトを収容するように構成された表面をさらに含むことができ、センサは、オブジェクトが表面上に配置されている間にオブジェクトにエネルギーを送達するように構成される。対話型生体認証システムは、センサと表面の間に配置された加工ガラスをさらに含むことができ、センサは加工ガラスを介してオブジェクトにエネルギーを送達するように構成される。
【0043】
応答は不随意であり得る。あるいは、応答は随意であり得る。
【0044】
対話型生体認証システムは、応答を受信するように構成されたユーザインターフェイスをさらに含むことができる。
【0045】
本開示の別の態様は、人を対話型認証する方法である。この方法は、指紋センサによって、表面に配置された人の指に信号を送信するステップと、指に送信された信号に関連する受信信号に基づいて、指の少なくとも一部分の画像を生成するステップと、指が表面に配置されている間に指にエネルギーを送達するステップと、指に送達されたエネルギーに対する応答を検出するステップと、画像および検出に基づいて、人を認証するステップを含む。
【0046】
指紋センサは、超音波トランスデューサを含むことができ、送達は、超音波トランスデューサを使用して実行される。検出には、ユーザインターフェイスを介した応答の検出を含む。この方法は、携帯電話で実行できる。
【0047】
本開示の別の態様は、対話型生体認証を備えた携帯電話である。携帯電話は、無線通信信号を送信するように構成されたアンテナと、指を収容するように構成された表面と、表面上に配置された指に関連付けられた生体画像データを生成するように構成されたセンサであって、表面上に配置された指にエネルギーを送達するようにさらに構成される、センサと、センサと通信するプロセッサであって、生体画像データおよびセンサによって指に送達されたエネルギーに対する応答の表示に基づいて指を認証するように構成される、プロセッサを備える。
【0048】
センサは、超音波トランスデューサを含むことができる。携帯電話は、センサと表面の間に配置された加工ガラスをさらに含むことができる。
【0049】
別の態様は、対話型生体感知デバイスである。このデバイスは、オブジェクトを収容するように構成された表面を含む。デバイスは、オブジェクトに関連する生体情報を生成し、オブジェクトが表面にある間にオブジェクトにエネルギーを送達し、送達されたエネルギーに対する応答を検出するように構成されたセンサをさらに含む。
【0050】
別の態様は、ユーザを認証する方法である。この方法は、指紋センサによって、収容表面に信号を送信するステップを含む。この方法は、指に送信された信号に関連する受信信号に基づいて、収容表面上に指の少なくとも一部分の画像を生成するステップをさらに含む。この方法は、指にエネルギーを送達するステップをさらに含む。この方法は、指に送達されたエネルギーに対して検出された応答に基づいて生存パラメータを生成するステップをさらに含む。この方法は、画像および生存パラメータに基づいてユーザを認証するステップをさらに含む。
【0051】
本開示を要約する目的で、本イノベーションの特定の態様、利点、および新規の特徴を本明細書で説明した。特定の実施形態に従って、そのような利点のすべてが必ずしも達成されるとは限らないことを理解されたい。したがって、本イノベーションは、本明細書で教示される一つの利点または一群の利点を達成または最適化する方法で、本明細書で教示または示唆され得る他の利点を必ずしも達成することなしに、実施または実行し得る。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】
図1は、音響指紋スキャンを示しており、超音波トランスデューサは、図示のように、表面と指の界面で、指の内部からも強く反射され、弱く送信できる超音波を放射する。
【
図2】
図2は、行列アドレス指定された二次元(2D)アレイを用いて音波を集束させるためのデバイスを示す。送信焦点線は、一度に1つだけアクティブにできる。受信焦点線は、一度に1つ以上をアクティブにできる。送信焦点線と受信焦点線とは互いに垂直で、コンパクトな焦点サイズの測定スポットで交差する。
【
図3】
図3は、行電極の垂直アレイおよび列電極の水平アレイによってアドレス指定されるトランスデューサ素子の二次元行列アドレス指定アレイを示し、垂直アレイと水平アレイとは互いに直交し、アレイの異なる側にある。
【
図4】
図4は、基板に取り付けられた例示的な超音波トランスデューサアレイの斜視図を示す。
【
図5】
図5は、基板に取り付けられた超音波トランスデューサアレイの一部分の斜視図を示す。
【
図6】
図6は、ガラス基板の上部に下部電極を堆積することにより超音波トランスデューサアレイを製造する中間ステップを示す。
【
図7】
図7は、下部電極上に圧電膜を堆積することにより超音波トランスデューサアレイを製造する中間ステップを示す。
【
図8】
図8は、要素間のクロストークを低減するために、膜の上側の2つの方向にトレンチまたは溝をエッチングすることにより、超音波トランスデューサアレイを製造する中間ステップを示す。
【
図9】
図9は、上部電極を下部電極に対して垂直方向に堆積させることにより、超音波トランスデューサアレイを製造する中間ステップを示す。
【
図10】
図10は、超音波トランスデューサアレイ、送信電子機器、および受信電子機器を含む例示的な音響生体タッチスキャナを示す。
【
図11】
図11は、単一アクティブ行と単一アクティブ列の交点を有する多重化された単一チャネル行列アドレストランスデューサアレイを示す。
【
図12】
図12は、3行2列の交点を有する多重化された単一チャネル行列アドレストランスデューサアレイを示す。
【
図13】
図13は、オペアンプを使用して超音波信号のピークを検出するピーク検出回路を示す。
【
図14】
図14は、超音波トランスデューサアレイと通信する受信回路内の信号に関連する周波数領域のプロットを示す。
【
図15】
図15は、超音波トランスデューサアレイと通信する受信回路での直接同相および直交(IQ)サンプリングの機能ブロック図を示す。
【
図16】
図16は、アンダーサンプリングされたときの元の高周波信号とそのスペクトルエイリアス、およびアンダーサンプリング後のベースバンドエイリアスを示す。
【
図17】
図17は、指が収容表面に押し付けられる力が増加するにつれて、指紋隆線が広がり、収容表面と接触する指の総面積が増加することを示す。
【
図18】。
図18は、媒体を通る音波の速度が、媒体内の温度の変化とともに変化できることを示す。
【
図19】
図19は、励起から反射波面が記録されるまでの飛行時間が温度とともに変化できることを示す。
【
図20】
図20は、開示される技術の一実施形態による生体情報を生成する方法のフローチャートである。
【
図21】
図21は、開示される技術の一実施形態による生体画像を生成する方法のフローチャートである。
【
図22】
図22は、開示される技術の一実施形態による音響生体タッチスキャナを製造する方法のフローチャートである。
【
図23】
図23は、開示される技術の一実施形態による指の温度を検出する方法のフローチャートである。
【
図24】
図24は、開示される技術の一実施形態による、指が表面に接触する力を推定する方法のフローチャートである。
【
図25】
図25は、開示される技術の一実施形態による、力測定値の時系列の周期を推定する方法のフローチャートであり、この周期は脈拍数推定に対応する。
【
図26】
図26~
図34は、超音波指紋スキャンのサンプリングおよびエンベロープ検出方法のシミュレーションの回路と結果を示している。
図26は、一方向挿入損失のシミュレーションを示す。
【
図27】
図27は、IチャネルおよびQチャネルへのRF信号のIQ復調のための回路を示す。
【
図28】
図28は、シミュレートされ、復調された同相信号および直交信号の一例を示す。
【
図32】
図32は、IQ復調信号のIQサンプリングのための回路を示す。
【
図33】
図33は、IQ復調信号のサンプリングされた同相信号および直交信号を示す。
【
図34】
図34は、IQサンプリングレートが200MHz、150MHz、100MHz、および50MHzのときのIQ復調信号のエンベロープのグラフを示す。
【
図35】
図35~
図45は、透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムを備えた例示的な実施形態を示す。超音波トランスデューサアレイは、ガラスおよび検査する指または他のオブジェクトの収容表面の下にある。
図35は、透明な上部および下部金属電極を有する超音波トランスデューサアレイを示す。
【
図36】
図36は、光学システムの上で、ガラスの下にある
図35の超音波トランスデューサアレイの分解図で、ガラス、超音波トランスデューサアレイおよび光学システムを備えているものを示す。
【
図37】
図37は、
図36の光学システム、超音波トランスデューサアレイ、およびガラスの統合を示す。
図36とは異なり、コンポーネントは互いに近接して示されている。これらのコンポーネントは、空間的に分離させずに隣接させることができる。
【
図38】
図38は、光学システムの発光体からの第一の波長の光を、透明トランスデューサアレイおよびガラスを介してガラスの収容表面上にある指に送信する間において、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図39】
図39は、指から離れた第一の波長の反射光を、ガラスおよび透明トランスデューサアレイを介して光学システム内の光学センサが受信する間において、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図40】
図40は、光学システムの発光体からの第二の波長の光を、透明トランスデューサアレイおよびガラスを介してガラスの収容表面上にある指に送信する間において、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図41】
図41は、指から離れた第二の波長の反射光を、ガラスおよび透明トランスデューサアレイを介して光学システム内の光学センサが受信する間において、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図42】
図42は、
図38~
図41に示すように、第一および第二の波長での光の送信および受信を示す。異なる波長で受信した光の比較は、例えば、収容表面上にある指の反射パルス酸素測定または他の適切な読み取りを行うために使用され得る。
【
図43】
図43は、指が収容表面上にない送信フェーズ中に、透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図44】
図44は、指が収容表面上にある送信フェーズ中に、透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図45】
図45は、指が収容表面上にある受信フェーズ中に、透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図46】
図46~
図55は、不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態を示す。超音波トランスデューサは、ガラスおよび検査する指または他のオブジェクトの収容表面の下にある。
図46は、不透明な上部および下部金属電極を有する超音波トランスデューサアレイを示す。
【
図47】
図47は、光学システムの上で、ガラスの下にある
図46の超音波トランスデューサアレイの分解図で、ガラス、超音波トランスデューサアレイおよび光学システムを備えているものを示す。
図48~
図55に示すように、ガラス、超音波トランスデューサアレイ、および光学システムを互いに近接させることができる。これらは、空間的に分離させずに隣接させることができる。
【
図48】
図48は、光学システムの発光体からの第一の波長の光を、透明トランスデューサアレイおよびガラスを介してガラスの収容表面上にある指に送信する間において、
図47の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
図48は、透明トランスデューサアレイが不透明金属電極間で透明であることを示す。
【
図49】
図49は、指から離れた第一の波長の反射光を、ガラスおよび透明トランスデューサアレイを介して光学システム内の光学センサが受信している間において、
図48の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。透明トランスデューサアレイは、不透明金属電極間で透明である。
【
図50】
図50は、光学システムの発光体からの第二の波長の光を、透明トランスデューサアレイおよびガラスを介してガラスの収容表面上にある指に送信する間において、
図47の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
図48は、透明トランスデューサアレイが不透明金属電極間で透明であることを示す。
【
図51】
図51は、指から離れた第二の波長の反射光を、ガラスおよび透明トランスデューサアレイを介して光学システム内の光学センサが受信している間において、
図48の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。透明トランスデューサアレイは、不透明金属電極間で透明である。
【
図52】
図52は、
図48~
図51に示すように、第一および第二の波長での光の送信および受信を示す。異なる波長で受信した光の比較は、例えば、収容表面上にある指の反射パルス酸素測定の読み取りを行うために使用され得る。
【
図53】
図53は、指が収容表面上にない送信フェーズ中に、不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図54】
図54は、指が収容表面上にある送信フェーズ中に、不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図55】
図55は、指が収容表面上にある受信フェーズ中にて、不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図56】
図56~
図65は、超音波トランスデューサアレイの内部に統合された光学システムを有する例示的な実施形態を示す。
図56は、統合された光源および光センサを有し、不透明な上部および下部金属電極を有する超音波トランスデューサアレイを示す。
【
図57】
図57は、ガラスの下にあり、
図56の統合された光源および光センサを有する超音波トランスデューサアレイの分解図で、ガラスと、統合された光源およびセンサを有する超音波トランスデューサアレイを備えているものを示す。
図58~
図66に示すように、ガラスと、統合された光源およびセンサを有する超音波トランスデューサアレイは、互いに近接することができる。これらは、空間的に分離させずに隣接させることができる。
【
図58】
図58は、光学システムの発光体からの第一の波長の光を、ガラスを介して、ガラスの収容表面上にある指に送信する間において、
図57の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図59】
図59は、指から離れた第一の波長の反射光を、ガラスを介して光学センサが受信している間において、
図48の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図60】
図60は、光学システムの発光体からの第二の波長の光を、ガラスを介して、ガラスの収容表面上にある指に送信する間において、
図57の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図61】
図61は、指から離れた第一の波長の反射光を、ガラスを介して光学センサが受信している間において、
図48の統合された光学および超音波システムの断面図を示す。
【
図62】
図62は、
図58~
図61に示すように、第一および第二の波長での光の送信および受信を示す。異なる波長で受信した光の比較は、例えば、収容表面上にある指の反射パルス酸素測定の読み取りを行うために使用され得る。
【
図63】
図63は、指が収容表面上にない送信フェーズ中に、不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの内部に統合された光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図64】
図64は、指が収容表面上にある送信フェーズ中に、不透明金属電極を有する不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの内部に統合された光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図65】
図65は、指が収容表面上にある受信フェーズ中に、不透明金属電極を有する不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイの内部に統合された光学システムがある例示的な実施形態の斜視図である。
【
図66】
図66は、不透明金属電極を有する超音波トランスデューサアレイに隣接/近接する光学システムを有する例示的な実施形態を示す。
図66は、この実施形態の送信フェーズを示す。
【
図67】
図67は、超音波システムおよび光学システムを含む例示的な音響生体タッチスキャナを示す。超音波システムは、超音波トランスデューサアレイ、送信電子機器、および受信電子機器を含む。光学システムは、光源、光学センサ、および支援電子機器を含む。
【
図68】
図68は、超音波システムおよび光学システムを含む例示的な生体タッチスキャナを示す。超音波システムおよび光学システムは、プロセッサと制御回路を共有する。
【
図69】
図69は、超音波トランスデューサアレイの下に光源アクチュエータを含み、双方向通信を有する生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示す。
【
図70】
図70は、
図69の実施形態を示し、光源アクチュエータは、超音波トランスデューサアレイとガラスを介してガラスの収容表面上にある指に光を照射し、光源が指を徐々に(incrementally)加熱するようにする。
【
図71】
図71は、超音波トランスデューサアレイからガラスを介してガラスの受信面上にある指の点(小領域)に超音波を集束させる点集束超音波ヒータを含む、双方向通信を有する生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示す。
【
図72】
図72は、超音波トランスデューサアレイからガラスを介してガラスの収容表面上にある指の線(線セグメント)に超音波を集束させる線集束超音波ヒータを含む、双方向通信を有する生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示す。
【
図73】
図73は、超音波トランスデューサアレイの電極(上部および下部金属電極)を介して電流を送ることができる抵抗ベースのヒータを含む、双方向通信を有する生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示す。
【
図74】
図74は、超音波トランスデューサアレイの電極(上部および下部金属電極)を介して電流を送ることができる抵抗ベースのヒータを含み、双方向通信を有する生体タッチスキャナで、
図73の例示的な実施形態を示し、このヒータは、超音波トランスデューサアレイからガラスを介してガラスの収容表面上にある指に熱を発する。
【
図75】
図75は、超音波トランスデューサアレイの電極(上部および下部金属電極)を介して電流を送ることができる抵抗ベースのヒータを含み、双方向通信を有する生体タッチスキャナで、
図73および
図74の例示的な実施形態の動作を示す。
【
図76】
図76~
図81は、双方向通信シナリオの代表的なステップを示す。第一のシナリオは、
図76~
図79に示されている。第二のシナリオは、
図76、
図77、
図80、および
図81に示されている。
図76は、音響生体タッチスキャナと、心拍数、パルス酸化レベル、血流、温度、双方向認証、および指紋検出を測定または表示するためのディスプレイを含む代表的な携帯通信デバイスのユーザインターフェイスを示す。
【
図77】
図77は、
図76~
図81の双方向通信シナリオの中間ステップを示し、このステップで、ユーザの指紋がスキャンされ、生体情報が取得される。
【
図78】
図78は、
図76~
図79の双方向通信シナリオの中間ステップを示す。生体測定値をスキャンした後、デバイスは、アクチュエータによって、ユーザの指先に感覚を生成する。次いで、ユーザは感じた感覚を入力するように求められる。
図78では、形状Aに対応する感覚がユーザの指先に描かれている。
【
図79】
図79は、
図76~
図79の双方向通信シナリオの中間ステップを示す。ユーザは、指先で感じた形状の文字を入力するように求められる。描かれていた形状をユーザが入力すると、ユーザが認証される。
【
図80】
図80は、
図76、
図77、
図80、および
図81の双方向通信シナリオの中間ステップを示す。生体測定をスキャンした後、デバイスはユーザの指先に感覚を生成する。次いで、ユーザは感じた感覚を入力するように求められる。
図80では、3つのパルスに対応する感覚がユーザの指先に付与される。
【
図81】
図81は、
図76、
図77、
図80、および
図81の双方向通信シナリオの中間ステップを示す。ユーザは、ユーザが指先で感じたパルスの数を入力するように求められる。ユーザが正しいパルスの数を入力すると、ユーザは認証される。
【
図82】
図82は、指が生身の人に付随する特性を示すかどうかを判定する双方向通信シナリオを示す。
【
図83】
図83は、指を収容するように構成された表面、指紋センサ、および光学システムを有する例示的な生体感知デバイスを示す。
【
図84】
図84は、指を収容するように構成された表面、超音波トランスデューサ、光学システム、およびプロセッサを有する例示的な生体感知デバイスを示す。
【
図85】
図85は、ユーザを認証する方法のフローチャートである。
【
図86】
図86は、センサ、アクチュエータ、およびプロセッサを有する例示的な対話型生体感知システムを示す。
【
図87】
図87は、オブジェクトを収容するように構成された表面と、アクチュエータとしても構成されたセンサとを有する例示的な双方向生体感知デバイスを示す。
【
図88】
図88は、ユーザを認証する方法のフローチャートである。
【
図89】
図89は、光源と光学的に透明な光検出器との間に配置された透明な超音波トランスデューサアレイを有する例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図90】
図90は、光学的に透明な超音波トランスデューサアレイの下に配置された光源および光検出器を含む光学システムを有する例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図91】
図91は、超音波トランスデューサアレイの上に配置された光源および光検出器を含む音響透過性光学システムを有する例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図92】
図92は、超音波トランスデューサアレイの側面に配置された光源および光検出器を含む光学システムを有する例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図93】
図93は、超音波トランスデューサアレイの側面に配置された光源を含み、別個のデバイスに配置された光検出器を利用する光学システムを有する例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図94】
図94は、超音波トランスデューサアレイの側面に配置された光源を含み、別個のデバイスに配置された光検出器を利用する光学システムを有する例示的な実施形態の断面図を示す。
【
図95】
図95は、指紋スキャナとして構成された透明な超音波トランスデューサアレイと、透明トランスデューサアレイの下に配置された光学システムとを有するスマートカードデバイスを示す。
【
図96】
図96は、指紋スキャナとして構成された超音波トランスデューサアレイと、超音波トランスデューサアレイの上に配置された1つ以上の光源とを有するスマートカードデバイスを示す。
【
図97】
図97は、指紋スキャナとして構成された透明な超音波トランスデューサアレイと、透明トランスデューサアレイの下に配置された光学システムとを有するモバイルデバイスを示す。
【
図98】
図98は、複数デバイス認証プロセスで使用され得るユーザデバイスおよび確認デバイスを示す。
【発明を実施するための形態】
【0053】
いくつかの実施形態の以下の詳細な説明は、特定の実施形態の様々な説明を提示する。しかしながら、本明細書で説明されるイノベーションは、例えば、特許請求の範囲によって定義およびカバーされるように、多数の異なる方法で具体化することができる。この説明では、同様の参照番号が同一または機能的に類似する要素を示すことができる図面を参照する。図面に示されている要素は、必ずしも縮尺通りに描かれていないことは理解されよう。さらに、いくつかの実施形態は、図面に示されているよりも多くの要素および/または図面に示されている要素のサブセットを含むことができることも理解されよう。さらに、一部の実施形態は、2つ以上の図面からの特徴の任意の適切な組み合わせを組み込むこともできる。本明細書で提供される見出しは、便宜上のものであり、特許請求の範囲または意味に必ずしも影響を与えるものではない。
【0054】
本開示は、音響生体タッチスキャナおよび方法を提供する。超音波指紋感知デバイスが開示される。そのようなデバイスは、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信するように構成された超音波トランスデューサのアレイを含むことができる。超音波トランスデューサは、圧電層と、指を収容するように構成された収容表面を含む。指紋感知デバイスは、送信フォーカスを実行できる。プロセッサは、指からの超音波信号の反射に基づいて、指の指紋の少なくとも一部分の画像を生成できる。超音波トランスデューサは、指の認証に使用できる生存パラメータも生成できる。生存パラメータは、指が表面に接触する力および/または反射の音速に関連する温度に基づくことができる。場合によっては、生存パラメータに関連付けられたパターンを認証に使用できる。本明細書に開示される超音波指紋センサの任意の適切な原理および利点は、本明細書に開示される統合光学システムおよび/または対話型生体感知に関連する任意の適切な特徴と組み合わせて実装できる。
【0055】
本明細書では、光学システムと統合された超音波生体感知デバイスについて説明する。超音波生体感知デバイスは、光学システムが超音波生体感知デバイスを通して光を送信および/または受信できるように、少なくとも部分的に透明であり得る。例えば、超音波生体感知デバイスは、光学システムと指を収容するように構成された表面の間に配置することができる。光は、光学システムの光源から超音波トランスデューサおよび/または電極を介して指に送信され得る。反射光は、指から超音波トランスデューサおよび/または電極を介して光学システムの光学検出器に伝播し得る。光学システムを使用して、指の認証に使用できる1つ以上の生存パラメータを生成できる。場合によっては、生存パラメータを経時的に追跡でき、これを使用して指を認証できる。光学システムと超音波生体感知デバイスによって生成された情報を使用して、堅牢な認証を提供できる。1つ以上のプロセッサを使用して、光学システムおよび超音波生体感知デバイスからの出力に基づいて指を認証できる。
【0056】
本明細書では、対話型生体認証が開示される。認証デバイスと、認証される指などのオブジェクトとの間で双方向通信を確立できる。本明細書で開示される生体感知デバイスは、指紋を検出することができ、指にエネルギーを送達することができるアクチュエータとしても機能する。双方向通信には、リアルタイムの対話型認証プロセスが含まれ得る。これにより、多要素認証が有効になり、堅牢な認証が提供される。認証中の認証のための指との相互作用により、詐欺師または他の悪者が以前のデータで認証することを防ぐことができる。場合によっては、光学システムと統合された超音波生体感知デバイスを使用して、対話型生体認証を実行できる。
【0057】
生体タッチスキャナ
超音波ベースの指紋スキャナは、指紋の表皮(表面)層だけでなく、内側(真皮)層も視覚化することができるので、濡れた手、油、グリース、または汚れを扱うときにそれらを堅牢にする。これにより、セキュリティレベルが向上し、なりすましが難しくなる。このことは、様々なアプリケーションに望ましい。超音波ベースの指紋スキャナシステムは、指の表皮層の2Dマップおよび/または真皮層の3D体積画像を取得できる。スキャン方法には、インピディオグラフィ、音響顕微鏡法、エコー撮像およびドップラー撮像が含まれる。本明細書で説明する指紋感知システムは、連邦捜査局(FBI)および/またはその他の基準を満たすために、500ピクセル/インチ(PPI)のスキャン解像度を実現できる。このような解像度は、通常、中心周波数、音響アパーチャサイズ、および焦点距離に依存する焦点深度で横方向の解像度50μmに変換できる。
【0058】
他の指紋感知技術は、超音波ベースの指紋スキャナには存在しないこともあり得る課題に直面する可能性がある。例えば、光学式指紋スキャナは、汚染のある指紋を解像するという課題に直面する可能性がある。別の例として、静電容量指紋スキャナでは、偽の指紋型を使用して比較的簡単に偽造できる。
【0059】
別のタイプのセンサは、指紋表面がトランスデューサ素子に接触し、表面が組織(隆線)であるか空気(谷)であるかに応じて音響インピーダンスを変えるインピディオグラフィの概念に基づいている。この手法は、超音波パルスとエコーの生成と処理を伴わないので便利だが、指紋表面の画像を取得することに限定され得る。さらに、いくつかの以前のアプローチにおける圧電セラミック超音波トランスデューサのインピーダンスは、周波数に比較的非常に敏感になる可能性がある。例えば、指紋の谷によってロードされる要素のインピーダンスは、19.8MHzの周波数で約800Ω、20.2MHzの周波数で約80,000Ωになる。同様に、指紋隆線によってロードされる要素のインピーダンスは、19.8MHzの周波数で約2,000Ω、20.2MHzの周波数で約20,000Ωになる。これには、信頼性の高い測定値を取得するために異なる周波数での複数のインピーダンス測定が含まれ、フレーム取得時間に影響する可能性がある。このようなアプローチの別の不便な点は、指とトランスデューサの接触によって、トランスデューサの表面が汚染されること、あるいはさらに恒久的に損傷させることと、その性能に影響を与える可能性があることである。
【0060】
いくつかの他のアプローチは、トランスデューサアレイから指に超音波を結合するために人間の組織に類似した音響インピーダンスを有する材料から作られた音響導波路を有し、必要な解像度を達成するためにビーム形成技術を使用する超音波トランスデューサを含む。導波路を使用すると周波数の制約が緩和されるが、導波路を製造するには、通常、追加でリソグラフィーのステップを含むので、トランスデューサ設計がさらに複雑になり、コストも増加する。このようなアプローチは、いくつかのアプリケーションにおいて、達成される結果が望ましくないものとなる。場合によっては、このようなアプローチでは、ビーム形成が実装されていても、この設計の機能に影響を与える比較的高い挿入損失が発生し、電子機器がさらに複雑になってきた。家電製品には適さない比較的高い電圧バイアスとパルスも、このようなアプローチで使用されている。
【0061】
開示される技術は、素肌に触れると、外皮層(表皮)および下層組織(真皮および皮下組織)の両方をスキャンする音響生体タッチデバイスを含む。そのようなセンサは、人を識別するために使用できる。スキャンによく使用される領域は指であるが、例えば、足の裏、足の指、または手のひらなど、身体の他の領域もスキャンできる。簡潔にするために、以下において、指がスキャン対象領域と呼ばれる。本明細書で使用される場合、「指」という用語は、親指を包含する。本明細書で説明される任意の適切な原理および利点は、人間または他の動物の任意の適切な対象領域のスキャンに適用することができる。
【0062】
本明細書で説明する生体感知システムは、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する音響信号を送信するように構成された薄膜圧電デバイスを含む。この周波数では、音速が比較的速い(例:5760m/s)ガラスなどの音響結合層を使用する場合でも、50μmなどの所望の解像度の画像を生成できる。薄膜トランスデューサアレイは、スパッタリングプロセスを使用して製造できる。トランスデューサの圧電材料は、例えば、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、またはチタン酸ジルコニウム鉛であり得る。厚さ16μm、面積0.2mm2、ソースとレシーバのインピーダンス50Ω、誘導性チューニング1nHのZnOトランスデューサデバイスのシミュレーションでは、挿入損失は3dB未満になる。これは、送信と受信に使用されるアレイ内の要素の数に応じて変化し得る。生体感知デバイスは、指紋層の3D超音波画像を取得できる。生体感知デバイスは、画質を向上するために、および/または統合および電子機器設計の複雑さの軽減するために、行列アドレス指定とビーム形成を実装することができる。
【0063】
本明細書では、指紋の撮像と組み合わせて、(1)隆線の広がりおよび指紋表面積を測定することによる指の接触力の検出、および(2)指の温度の生成および温度に依存する音速の変化を測定することによる周囲温度の検出など、いくつかの他の特徴について説明する。本明細書では、生体感知デバイスの血流、心拍/心拍数、および他の構造的特徴の測定について説明する。
【0064】
開示されるデバイスは、指とスキャナの間の中間媒体をスキャンする能力を有する。媒体は、例えば、ガラス、金属、プラスチック、または対象周波数範囲で超音波伝播を可能にする任意の適切な材料であり得る。これは、例えば、携帯電話の前面ガラスの任意の一部または全体を指紋スキャナにするために使用できる。
【0065】
超音波も指に入り、皮膚層を通過するため、指の表面も内部指組織も三次元(3D)スキャンを行うことができる。とりわけ、静脈および/または動脈をスキャンし、血流を推定することができる。血流の測定は、心拍数に応じて定期的に行うことができる。したがって、センサは、ガラスに触れている個人の心拍数も測定できる。
【0066】
本明細書で説明する指紋スキャナは、指紋スキャナの表面に接触している指などのオブジェクトに関連する1つ以上の生存パラメータを検出することができる。1つ以上の生存パラメータの検出は、指紋の少なくとも一部分の画像も生成する超音波ベースの感知デバイスを使用して実行できる。この画像は500PPLの精度を有することができる。生存パラメータに基づいて、指紋スキャナは、指がその生存パラメータに基づく生身の人間の一部であるかどうかの表示を提供できる。これは、型、義指、または他のオブジェクトが特定の指に関連付けられた指紋と一致するものとして識別されるのを防ぐために使用できる。生存パラメータは、指紋スキャナの1つ以上のトランスデューサによって送信された音波の反射に基づいて決定できる。生存パラメータは、例えば、温度および/または組織硬直性(tissue stiffness)であり得る。
【0067】
指が体温であり、センサが室温である場合、触れられると、ガラスまたは他の中間層の温度は、通常、温かくなるはずである。これにより、一般的に、ガラス内での音速が低下する。場合によっては、デバイスを体温よりも高い温度に(例えば、日光によって)温めることができ、デバイスから指に熱が伝わり、デバイスを冷却することができる。したがって、本開示の別の目的は、指の温度を決定することである。これは、ガラスに触れているのが義指ではなく、生身の指であることを確認するために行うことができる。指がガラスに触れていないとき、周囲温度をデバイスによって決定できる。
【0068】
指がガラスをより強く押すと、指とガラスなどの表面との間の接触面積は、隆線の広がりおよび/または指表面の平坦化によって、大きくなるはずである。これは、指が表面に接触する力を検出するために使用できる。したがって、本出願の別の目的は、表面との接触密度の計算によって、加えられる圧力および/または力を測定することである。
【0069】
ガラス上の指の圧力は、心筋が収縮して動脈圧が増加するとき、各心拍とともに増加するはずである。収縮の間に、心臓は血液で満たされ、動脈圧が低下する。指先の力測定の時系列は、人の脈拍数に対応する周波数で周期的でリズミカルなパターンに従うことができる。したがって、開示される音響スキャナは、温度の測定に加えて、脈拍数を推定し、指先が義指のものではなく、測定された脈拍数で生身の人間に付随するものであることを確認するために使用できる。
【0070】
さらに、開示されるデバイスによって、上述の圧力推定を直接的な力または圧力の測定と比較することで、組織硬直性の推定が可能になる。これにより、センサに接触しているオブジェクトが義指のものではなく、真の指であるという確実性を高めることができる。
【0071】
開示されるデバイスは、また、ユーザを識別するために、および/または指またはスキャンされている他の身体部分が生身のものであることを保証するために、機械学習技術を使用し得る。一例として、デバイスは、認証の精度を高めるために、特定のユーザが認証セッション中に、どのようにデバイスと対話および/または応答しているかの個々の特性を監視し得る。特に、デバイスは、デバイスとユーザデバイスとの相互作用および/またはユーザデバイスに対する応答が一貫したパターンであることと、応答によって提供される刺激をチェックし、そのような相互作用パターンが一貫しているとき、ユーザをさらに認証できる。特定の一例として、デバイスはユーザの脈拍を監視し、(安静時の脈拍数や他の脈拍属性などの)脈拍のパターンに基づいて、少なくとも部分的にユーザを認証することができる。
【0072】
開示されるデバイスを使用して、数あるアプリケーションの中でも、通信デバイスまたはコンピューティングデバイスへのログイン、ソフトウェアアプリへのログイン、ドアまたは盗難防止デバイスのロック解除、電子決済の許可、または安全デバイスのロック解除を含むアプリケーションのために、人を識別または認証することができる。
【0073】
図1は、超音波トランスデューサ130(XDC)が超音波135を放出する音響指紋スキャンデバイス100を示しており、表面と指の界面125で反射され、指105の内部からも反射される。トランスデューサ130は、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信することができる。音響指紋スキャナは、指105と指が触れる媒体120との間の界面をスキャンする。媒体120は剛性であり得る。指105の隆線110が表面125に触れると、音波140の一部が指105に入り、反射150を介して反射されるエネルギーは少なくなる。指105の谷115がある場所では、比較的多くの(例えば、実質的にすべての)音響エネルギーは、反射155として超音波トランスデューサ130に反射して戻される。隆線110および谷115に関連する反射係数のこのコントラストをデバイスが使用して、指105の表面をスキャンすることができる。例えば、医療用超音波撮像技術を実施して、指105の表面をスキャンすることができる。
【0074】
超音波は隆線110を介して指105に入るため、スキャナは指105の内部特徴を撮像することもできる。これを使用して、パルス認識および/または組織構造、靭帯、静脈、および動脈などの他の生体特性を介した識別できる。一例として、音響スキャンデバイスは、指および/または手のひらの血管のパターンを検出することも、血管のパターンに基づいて人を識別することもできる。指105のこの三次元スキャンを使用して、指105の二次元および/または三次元画像を生成することができる。二次元および/または三次元画像は、画像処理およびパターン認識の技術を使用して処理できる。
【0075】
指紋を識別するために、指紋認識デバイスは、50μmよりも良い解像度で指の隆線を解像することができる。超音波アプローチでは、隆線を表すことができるプレート(ガラスプレートなど)と組織との間のインピーダンス不整合と、隆線間の谷を表すことができるプレートと空気との間のインピーダンス不整合を測定することができる。
【0076】
ガラスプレート内の導波路を使用するいくつかの超音波スキャナは、トランスデューサ130からの超音波信号の周波数より低い周波数(すなわち、50MHz未満)の超音波信号を導き、指とガラスプレートとの間のインピーダンス不整合の測定を可能にする。一部の超音波センサは、50μmより狭い圧電材料のポストを含むことができ、そのようなスキャナは各ポストと指の間の表面接触によるインピーダンス変化を測定できる。導波路および/または圧電材料の狭いポストを有する超音波スキャナでは、波長が50μmよりもはるかに大きい超音波信号で50μmのスケールで測定するために、比較的複雑な構造を伴う可能性がある。このような複雑なアセンブリは、比較的高価なものとなり、超音波指紋スキャン用のシステムの構築が困難になり得る。このような例の他の欠点には、不透明度であることや、特定の金属および/またはガラスの表面に導波路を組み込んだ収容表面のエンジニアリングが難しいことなどがある。
【0077】
一部の超音波スキャナは、1GHzを超える周波数(例えば、約5GHz)の超音波信号を生成して、回折に関連する問題を回避することができる。しかしながら、そのような周波数では、超音波信号が組織を貫通しないことがあり得る。さらに、そのような周波数の超音波信号を有するスキャナは、そのような周波数の信号が大幅に減衰することなく、伝搬できる材料で構築できる。さらに、50μmのトランスデューサ素子の二次元(2D)アレイは、アドレス指定が極めて複雑になる可能性があり、1GHzを超える周波数で動作する際の電気的クロストークによりさらに複雑になる。
【0078】
開示される技術は、
図2のデバイスに例示されているように、とりわけ、より低い周波数と、より高い周波数で動作する超音波スキャナの上述の欠陥を克服することができる。
【0079】
図2は、超音波トランスデューサの行列アドレス指定された2Dアレイで音波を集束するためのデバイス200を示す。デバイス200は、圧電薄膜210、ガラスプレート220、x方向の格子230、およびy方向の格子240を含む。
図2に示されるように、デバイス200は、x方向の焦点線250、y方向の焦点線260、およびx方向の焦点線250がy方向の焦点線260と交差する測定スポット270を有するように動作することができる。送信焦点線は、一度に1つだけアクティブにできる。受信焦点線は、一度に1つ以上をアクティブにできる。送信焦点線と受信焦点線とは互いに垂直で、コンパクトな焦点サイズの測定スポットで交差する。
【0080】
デバイス200は、ビーム形成を使用して50μmの解像度を達成するために、十分に高い周波数(例えば、約150MHzなどの50MHz~500MHzの範囲)で超音波撮像を使用する。したがって、デバイス200は、導波路なしで所望の50μmの解像度を達成することができる。したがって、デバイス200は、導波路を含む超音波スキャナデバイスに比べて、より単純な構造を有することができる。さらに、タッチ材料のタイプおよび/またはこの材料の厚さに対する制約を少なくすることができる。
【0081】
圧電層210は、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する音響信号を生成することができる。そのような音響信号を送信するようにアレンジされたトランスデューサアレイは、トランスデューサとデバイス200の収容表面との間の導波路なしで効率的に実装され、所望の画像解像度を達成することができる。収容表面は、指を収容して、その指と物理的に接触するように構成されている。一部の用途では、圧電層210は、125MHz~250MHzの範囲の周波数を有する音響信号を生成することができる。特定の実装によれば、圧電層210は、50MHz~100MHzの範囲の周波数を有する音響信号を生成することができる。例えば、50MHz~100MHzの範囲の音響信号は、クレジットカードに実装されたデバイスに使用できる。
【0082】
圧電層210は、任意の適切な圧電材料を含むことができる。例えば、圧電層210は、酸化亜鉛層、窒化アルミニウム層、ニオブ酸リチウム層、タンタル酸リチウム層、酸化ゲルマニウムビスマス、チタン酸ジルコニウム鉛であっても、さらにはポリフッ化ビニリド層などの高分子圧電体であってもよい。圧電層210の厚さは、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する音響信号を生成するのに適しているものであり得る。圧電層は、3μm~75μmの範囲の厚さを有し得る。いくつかの用途において、酸化亜鉛圧電層は、約10~20μmの範囲の厚さを有し得る。酸化亜鉛圧電層は、ガラス基板などの基板上にスパッタリングできる圧電層の一例である。特定の用途によれば、ニオブ酸リチウム圧電層は、約5~10μmの範囲の厚さを有し得る。そのようなニオブ酸リチウム圧電層は、ガラス基板などの基板にエポキシによって接着することができる。
【0083】
図示されるように、デバイス200は、ガラスプレート220を含む。ガラスプレート220は、圧電層を配置することができる例示的な基板である。本明細書で説明する音響感知デバイスのいずれも、適切な他の基板を含むことができる。例えば、金属層またはプラスチック基板は、特定の用途において適切な基板となり得る。
【0084】
一実施形態において、ガラスプレート220は約500μmの厚さとすることができる。この厚さは、使用する圧電材料、超音波周波数、および用途に基づいて、任意の適切な厚さにすることができる。そのような厚さは、携帯通信デバイスおよびコンピューティングデバイスにとって名目上のものであり得る。他の例では、ガラスプレート220は、より薄くすることができ、任意の適切な材料のより厚い板に取り付けることができる。したがって、指紋デバイスは、電話または任意のそのようなシステムの金属ハウジング上にあり得る。その配置は、任意の適切なサイズにすることができる。したがって、デバイス200は、プレート全体の大部分または全部分を覆って、タッチスクリーンと指紋認識を同時に行うことができる。
【0085】
動作中に、デバイス200は、焦点の位置、すなわちxおよびy方向の焦点線250および260の交点にある測定スポット270で反射係数を測定することができる。測定スポット270のサイズは、デバイスの回折分解能によって決定され得る。例えば、ガラスの中に150MHzの音響信号を提供する超音波トランスデューサの場合、このスポットサイズ270は約40μmである。ガラスと指との界面での反射係数の変化は、指紋デバイスで使用されるガラスのタイプに応じて、1または約0.85になる。ガラスと指の間で、ガラス上に整合層を追加することにより、組織への結合を強化し、最終的に約1~0の反射係数のコントラストを得ることができる。整合層の厚さは、整合層材料の中で、超音波信号の波長の4分の1になるように選択できる。一例として、整合層は、約150MHzの音響信号を送信するデバイス200用に、約5μmの厚さを有するエポキシを含み得る。
【0086】
デバイス200は、線形アレイ撮像のための電子機器を含み得る。このような線形撮像は、医療用超音波撮像システムの線形撮像に類似し得る。このような動作では、アレイ内の多数の要素がグループ化され、異なる位相信号で励起されるため、プレートと指との界面への到達時間がすべてのアレイ要素から同時に発生する。次に、送信アレイ要素と同数の受信アレイ要素が反射信号を受信し、各要素に電子位相遅延が追加されて、組織の動的アクティブフォーカシングの到着時間が同じになる。1つのスポットで測定が行われると、受信アレイ要素を1要素だけシフトして、次の隣接解像度スポットの測定を可能にすることができる。このプロセスを繰り返して、受信アレイをスキャンすることでライン全体を撮像できる。次いで、送信アレイを1要素だけ移動し、このプロセスを繰り返して、別のラインで受信することができる。全体として、このプロセスを繰り返して、指の領域全体または任意の所望の部分を撮像できる。
【0087】
上記の説明では、撮像は、プレートと指との界面125の平面で行われる。しかしながら、指がプレートと接触する場所では、超音波エネルギーが指に貫通することができ、指の内側の組織から反射が生じる。したがって、情報を指の内部から収集でき、例えば、指の毛細血管の血流に関する情報を収集できる。そのような情報から、デバイス200は、被験者の生存を示す心拍数などの情報を導き出すことも、あるいは血管内の脈波速度に基づく毛細血管の健康状態の何らかの尺度さえ導き出すことができる。
【0088】
指紋スキャナは、指の表面をスキャンでき、また場合によっては指の体積をスキャンできる。デバイス200は、超音波トランスデューサの二次元(2D)アレイを用いて、可動部分なしで、そのような撮像を実行することができる。相互接続の数が比較的多いため、完全な2Dトランスデューサアレイに迅速にアドレス指定するには課題があり得る。
【0089】
完全なアドレス指定の代替は、要素の行全体または要素の列全体が一度にアドレス指定される行列アドレス指定である。これは、同じ行の要素が上部(または下部)電極を共有し、同じ列の要素が下部(または上部)電極を共有することで達成できる。したがって、送信電極と受信電極はアレイの異なる側(上部または下部)にあり、送信アパーチャおよび受信アパーチャは2つの異なる方向(行または列)にあり得る。これにより、トランスデューサアレイからファンアウトする相互接続の数を減らすことができる。
図3は、行電極310の水平アレイおよび列電極320の垂直アレイによってアドレス指定されるトランスデューサ素子340の二次元N×N行列アドレス指定アレイ300を示し、水平アレイ310および垂直アレイ320は、それぞれ互いに直交している。
図3は、正方形のN×Nアレイを示すが、M行N列からなる任意の適切な長方形のM×Nアレイを代替的に実装することができ、ここで、NおよびMは、正の整数である。
図3は、N×l行アレイの各水平アレイ310および1×N列アレイの各垂直アレイ320の端部に接続330を含む。
【0090】
行列アドレス指定アレイ300を使用する1つの方法は、
図2を参照して既に説明されている。送受信イベントごとに、1つの受信フォーカスが生成される。送信アパーチャと受信アパーチャの両方で13個の能動素子を使用する512×512の2Dアレイは、1回のスキャンを行うために、約500×500=250,000の送受信イベントを使用し得る。結合媒体が音速5760m/s、厚さ0.5mmのガラスであるとき、1回のスキャンを完了するために、約43msを要する。受信電子機器を拡張して、すべての受信要素を並行して記録する場合、スキャンは、500回の送受信イベントで完了し得る。これは、フルスキャンに約87μsを要する。
【0091】
スキャン速度をさらに高めるために、同時に複数の送信波が放射されるように、送信ステージに並列化を導入することもできる。行列アドレス指定アレイの送信ビームを並列化するには、送信ビームを周波数領域で分離し、次いで、様々なフィルタで受信し、これらを分離し得る。その後、様々なフィルタがデータを受信ビームフォーマに渡すことができる。送信と受信の並列化の任意の組み合わせを利用することができる。超音波ビームは、アクティブなアパーチャを並進移動する代わりに、角度を変えることもでき、あるいは2つの組み合わせを使用することもできる。スキャンは、合成送信フォーカシング、合成受信フォーカシング、またはその両方を使用して、合成的にフォーカシングすることもできる。
【0092】
これにより、2Dトランスデューサアレイを、互いに直交する2つのIDトランスデューサアレイとして効果的に利用することができる。1つのアレイを送信に使用し、もう1つのアレイを受信に使用すると、完全な3D撮像を実現できる。1つの相互接続・ビームフォーマチャネルが、1行ごとにも、1列ごとにも使用できる。
【0093】
一例として、完全にアドレス指定された256×256要素アレイは、65536の相互接続を含むことができるが、行列アドレス指定の場合、512の相互接続330を実装することができる。
【0094】
動作において、一組の電極、例えば、x軸電極を使用して、超音波の線集束ビームを送信することができる。焦点は、表面と指との界面の位置にすることができる。パルスがx軸に整列した電極によって送信されると、y軸に整列した電極を使用して、
図2に模式的に示すように、x方向の線状焦点を検出できる。このシステムの総合的な応答は、2つの焦点線の交点であり、回折限界解像度に見合った解像度スポットをもたらす。
【0095】
送信ビーム形成は、完全アドレス指定アレイおよび行列アドレス指定アレイの両方に使用されて、放射された超音波ビームを媒体内の選択された焦点深度に集束させることができる。これにより、対象領域での音圧が最大化され、その焦点領域でのSNRと画質が向上する。長さ、振幅レベル、中心周波数などのパルス特性も、必要な撮像性能を得るために変えることができる。
【0096】
図4は、ガラス410上の例示的な超音波トランスデューサアレイ400の概略図の斜視図を示す。超音波トランスデューサアレイ400は、ガラス基板410の上部に下部電極430を含む。下部電極430は、水平方向の垂直アレイ線を形成する。酸化亜鉛などの圧電薄膜420は、下部電極430およびガラス基板410の上にある。圧電薄膜420は、形状が正方形または長方形であり得る。圧電薄膜420は、下部電極のアレイと重なり合うが、各下部電極430の端部は、図示のように圧電性薄膜420と重ならないように、金属接点を形成することができる。圧電薄膜420は、トランスデューサ素子450のアレイにおける受信および送信の両方のクロストークを低減するために、垂直方向および水平方向の両方でのv字型エッチング460などのトレンチまたは溝でエッチングされる。v字型エッチング460は、トレンチまたは溝の一例である。他の実施形態は、v字型ではなく、別の適切な形状を有するトレンチまたは溝を含み得る。特定の実施形態において、プラスチックの透明層などの他の任意の適切な透明層によって、ガラスの透明層410を置き換えることができる。
【0097】
各トランスデューサ素子450の上部は、図示のように実質的に正方形である。1つ以上のトランスデューサ素子450の上部は、いくつかの他の例において、長方形などの異なる形状を有し得る。上部電極440は、垂直方向のラインの水平アレイを形成する。上部電極440は、下部電極430に直交する。上部電極440は、v字型エッチング460によって形成されたトランスデューサ素子450の上部および側面を含むトランスデューサ素子450の形状に適合する。下部電極430および上部電極440のそれぞれの幅は、トランスデューサ素子450の対応する縁部の長さに実質的に対応する。例えば、下部電極430は、それぞれ上部電極440の幅と実質的に同じ幅を有し、これは、二次元超音波トランスデューサアレイ400の各トランスデューサ素子450の正方形の上部の各辺に長さが実質的に等しい。
【0098】
超音波トランスデューサアレイ400は、限定はしないが、蒸着、DCまたはACスパッタリング、ゾルゲル堆積、化学蒸着などの多くの薄膜堆積技術のうちの1つによって表面に堆積される圧電薄膜420を使用して製造することができる。任意の適切な堆積方法によって、適切に配向された薄膜を提供することができ、この薄膜によって、適切な電気機械結合係数を提供して超音波信号の励起と検出をすることが可能になる。50MHzを超え500MHz未満の中高域周波数の周波数に到達するために、圧電トランスデューサ(例えば、酸化亜鉛ベースのトランスデューサ)は、スパッタリング技術を使用して、または比較的薄い圧電プレート(例えば、ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウム)を用いて製造できる。36°回転しYカットされたニオブ酸リチウム圧電層の音速を想定すると、プレートは約7.4μm~から74μmの範囲の厚さを有し得る。ニオブ酸リチウムまたはタンタル酸リチウムの圧電層では、圧電と基板との間に薄い接着層を含めることができる。
【0099】
超音波センサデバイスの動作の周波数は、所望の解像度を有する画像を生成するために、センサプレートまたは基板の材料に依存し得る。センサプレートがサファイアでできている場合、サファイアの音速は11,100m/秒と比較的高速である。そのため、50μmの波長(分解能)には、222MHzの動作周波数が含まれる。また、サファイアはほとんどの圧電材料よりも機械的インピーダンスが高いため、圧電素子はいわゆる1/4波長モードで動作するため、より薄い圧電膜が必要になる。例えば、酸化亜鉛(ZnO)が使用されている場合、厚さは約7.1μmであり得る。同様の演習を行えば、6,320m/秒の音速のクォーツで動作する場合、126.4MHzで動作することにより50μmの波長が得られ、厚さ約25μmのZnO膜が得られることを示す。音速2,740m/秒のポリプロピレンで動作する場合、55MHzで動作することにより、50μmの波長が得られ、厚さ約57μmのZnOが得られる。特定の圧電膜の厚さが単純な堆積には大きすぎる状況では、エポキシ接着などの他の代替製造方法を利用することができる。
【0100】
プレート内の波長は、指紋認識の場合50μmである解像度にほぼ等しくすることができる。したがって、材料が選択されると、動作周波数は、f=音速/50μmで与えられる。圧電材料の厚さは、プレートが圧電材料よりもインピーダンスが低い場合の波長の約半分である。したがって、圧電素子の厚さは、t=音速/動作周波数の2倍で与えられる。
【0101】
一実施形態において、圧電膜は、約16μmの厚さ、単一のサブエレメントに対して20μm×20μm~30μm×30μmのトランスデューササイズ、線間隔(カーフ(kerf))10~20μm、10~20μmの線幅、40~50μmのピッチを有するZnO薄膜である。圧電膜が異なる材料を含む場合、線幅、線間隔、ピッチ、またはそれらの任意の組み合わせは、これらの範囲内にあり得る。
【0102】
デバイス400は、ガラス基板に沿って一方向に線のパターンを最初に堆積させることにより製造できる。例えば、ラインおよびスペースは25μm程度であり得、その後、厚さ約15μmの圧電薄膜の堆積が続き得る。ラインとスペースの別のセットは、前のラインとライン間のスペースに直交する方向に沿って形成できる。このようなデバイスの製造は、他の超音波指紋の解像に比べて比較的簡単である。ラインおよびスペースのリソグラフィーは、現在の半導体製造能力の範囲内であり、圧電薄膜(15μm)の堆積は、物理蒸着(スパッタリング)またはゾルゲル製造法のいずれかによって行うことができる。いずれの方法も、この目的のために圧電材料の多くの選択肢が利用可能である。これらの3つの製造ステップを使用して、デバイスを製造できる。次いで、x電極とy電極を電子回路に接続して、指紋認識の操作を行うことができる。
【0103】
図5は、基板上の超音波トランスデューサアレイの一部分の斜視図を示す。
図5は、
図4の音響生体タッチスキャナの一部分で、圧電薄膜420、上部電極440、トランスデューサ素子450、およびv字型エッチング460を含む部分を示す。
図5は、水平方向および垂直方向の両方における、トランスデューサ素子450間のv字型エッチング460を示す。上部電極440は、上部電極440の方向のv字型エッチング460に適合するが、上部電極440に直交する方向のv字型エッチング460を覆うことも、あるいは適合することもない。上述のように、実施形態は、v字型ではないエッチングをされたトレンチまたは溝を含み得る。
【0104】
図6は、
図4および
図5のスキャナなどの超音波トランスデューサアレイを、ガラス基板の上部に下部電極を堆積することによって製造する中間ステップ600を示す。
図6は、ガラス基板410上に堆積された下部金属電極430の水平方向および垂直方向の図を含む。下部電極430は、水平素子の垂直アレイを形成する。
【0105】
図7は、
図4および
図5のアレイなどの超音波トランスデューサアレイを、酸化亜鉛などの圧電薄膜420を下部電極430上に堆積することによって製造する中間ステップ700を示す。圧電薄膜420は、下部電極430が存在する領域で下部電極430に隣接しており、下部電極430の間などの下部電極430が存在しない領域でガラス基板410に隣接している。圧電薄膜420は、マグネトロンスパッタリングにより堆積され得る。下部電極430の一部は、後続のステップで接点を作成できるように両側の縁部が覆われていないままである。
【0106】
図8は、
図4および
図5のアレイなどの超音波トランスデューサアレイを製造する中間ステップで、素子450間のクロストークを低減するために、膜420の上面に水平および垂直方向にv字型エッチング460をエッチングする中間ステップを示す。v字型エッチング460が示されているが、任意の他の適切な形状のエッチングを実施することもできる。v字型エッチング460は、水平方向および垂直方向にトランスデューサ素子450の二次元アレイの上部境界を形成する。トランスデューサ素子450の上部は、
図8の例では実質的に正方形である。v字型エッチング460は、アレイの異なるトランスデューサ素子450間のクロストークを低減することができる。
【0107】
図9は、
図4および
図5のアレイなどの超音波トランスデューサアレイを、下部電極430に対して垂直方向に上部電極440を堆積させることによって製造する中間ステップを示す。縁部470において、上部電極440は、接点を作成できるように両側から下部電極430と同じ平面に落ちる。
【0108】
一実施形態(図示せず)において、タングステンまたは炭化ケイ素の粒子または任意のそのような材料が充填されたゴムまたはエポキシなどの吸収層がプレートの縁部に配置され、プレートの縁部から戻ってきて対象の信号に干渉し得る反射を低減する。そのような縁部での反射は、指が尋問される反復率、ひいては画像フレーム率を低下させる効果もあり得る。
【0109】
図10は、
図2~
図9を参照して上述した超音波トランスデューサアレイ400を含む例示的な音響生体タッチスキャナ1000を示す。音響生体タッチスキャナ100は、人のタッチを受け取るための収容表面125を含む。図示された超音波トランスデューサアレイ400は、その動作を制御する電子機器と接続されている。これらの電子機器は、送信回路と受信回路が含む。
【0110】
送信回路は、超音波トランスデューサアレイ400を励起して、撮像対象領域に向けて超音波ビームを放出する。励起は、トランスデューサアレイ内のトランスデューサ素子のセットの電極に電圧パルスを印加することにより作成できる。下部電極は、パルスが上部電極に印加されると接地でき、上部電極は、パルスが下部電極に印加されると接地できる。送信アパーチャのサイズと形状は、撮像対象領域に応じて変えることができる。図示された送信電子機器は、送信スイッチングネットワーク1005、電圧パルス発生器1010、送信ビーム形成回路1015、および送信制御回路1020を含む。
【0111】
超音波トランスデューサアレイは、それぞれが少なくとも1つの電極および超音波トランスデューサ素子に関連付けられた複数の送信チャネルを含む。各送信チャネルは、パルスを生成する電圧パルス発生器1010と、パルスをトリガするときに使用されると、チャネル間位相遅延を提供する送信制御回路1020を少なくとも含み得る。各送信電極を専用の送信チャネルに接続し得るし、あるいは複数の電極をグループ化して1つの送信チャネルに割り当てることもできる。特定の実装では、送信ビーム形成は省略される。
【0112】
送信スイッチングネットワーク1005は、必要な能動素子にパルスを向けることにより送信チャネルの数を減らすマルチプレクサであり得る。行列アドレス指定の操作中に、電極の片側が送信モードまたは受信モードで動作できる場合、反対側は設置される。これは、電極を接地/送信チャネルに接続するスイッチ、または接地に接続するための比較的低インピーダンスの経路を提供する抵抗器を使用して実現できる。
【0113】
送信ビーム形成回路1015は、ビーム形成を実施して、放出された超音波ビームを媒体内の選択された音響焦点深度に集束させることができる。これにより、最小のスポットサイズ(回折限界解像度)と焦点線での最大音圧が生成され、その焦点領域で最適な性能が得られる。特定の焦点領域に焦点を合わせるために、ビーム形成回路1015は、チャネルを互いに対して遅延させる遅延要素を含むことができる。例えば、超音波トランスデューサアレイ400は、一度に複数の下部電極、例えば、14個の電極で送信することができる。超音波トランスデューサアレイ400は、例えば、20個の電極のアパーチャを介して送信し、その後、1つ以上の電極だけシフトし、再び送信することができる。例えば、一度に20個の電極を介して送信することは、一度に1つの電極を介して送信する場合よりも、信号対雑音比が優れた強力な信号になる。ビーム形成回路1015は、電極間の遅延を調整することができる。電圧パルス発生器1010(パルサー)は、所望の撮像性能を得るために、形状、長さ、レベル、周波数、および帯域幅を持つパルスを生成することができる。
【0114】
上述のように、送信アパーチャのサイズおよび形状は、撮像対象領域に応じて変えることができる。例えば、
図11は、単一アクティブ行と単一アクティブ列の交点1150を有する多重化された単一チャネル行列アドレス指定アレイ1100を示す。アレイ1100は、トランスデューサ素子1180の行1110および列1120、ならびに接点1190を含む。スイッチングネットワーク1160はアクティブ列1140を選択し、スイッチングネットワーク1170はアクティブ行1130を選択する。アクティブ列1140とアクティブ行1130は、交点1150で交差する。アクティブアパーチャは、行素子の全長である。
図11に示すように、2つのアクティブアパーチャがあり、1つは送信用で、1つは受信用である。このアレイは、2つの線状焦点の交点である点に焦点を合わせることができる。
図11では、まったく焦点が合っていないこともあり得る。代わりに、焦点合わせは、合成アパーチャ焦点合わせの後処理ステップとして実行できる。
【0115】
図12において、デバイスは、合成アパーチャ焦点合わせの後処理ステップを実施することなく、ハードウェアビームフォーマの使用を含むことができる。アレイ1105は、トランスデューサ素子1185の行1115および列1125、ならびに接点1195を含む。スイッチングネットワーク1165は2つのアクティブ列1145を選択し、スイッチングネットワーク1175は3つのアクティブ行1135を選択する。アクティブ列1145とアクティブ行1135とは交点1155で交差する。トランスデューサアレイの1つ以上の行と1つ以上の列の任意の適切な組み合わせを、同時にアクティブになるように制御することができる。
【0116】
図10を参照すると、受信回路は、媒体からの超音波エコー信号の受信に応じてトランスデューサによって生成される電気無線周波数(RF)信号を処理することができる。次に、受信回路は信号をサンプリングでき、デジタルデータは、超音波画像を生成するように構成されたプロセッサ1065に提供され得る。
【0117】
図示された受信回路は、受信スイッチングネットワーク1025、低雑音増幅器1030、アナログフィルタ1035、時間利得補償回路1040、アナログデジタル変換器1045、受信ビーム形成回路1050、エンベロープ検出回路1055、および受信制御回路1060を含む。
【0118】
受信スイッチングネットワーク1025は、必要な受信電極に切り替えることにより受信チャネルの数を減らすマルチプレクサとすることができる。行列アドレス指定操作中に、電極の片側が送信モードまたは受信モードで動作できるとき、もう一方の側を設置することができる。これは、電極を接地/送信チャネルに接続する、または受信チャネル/接地に接続するスイッチを使用して実現できる。
【0119】
受信した超音波信号は、特にノイズに敏感であり、低電力であり得る。低雑音増幅器1030は、受信した超音波信号を増幅することができる。この最初の段階は、信号のノイズレベルに影響を与え得る。このノイズレベルは、スキャンが必要な信号対雑音レベルを達成できるように十分に低くする必要がある。後続のステージは、実装によって機能が異なり得る。これらの機能には、サンプリングと受信ビーム形成が含まれる。後続のステージは超音波画像再構成プロセッサであり、受信回路は、受信した超音波エコーを表すサンプリングされたデータをプロセッサに提供できることに留意されたい。
【0120】
アナログフィルタ1035は、不要な周波数成分を除去することができる(例えば、アナログフィルタ1035は、通過帯域外の不要な周波数成分を除去するバンドパスフィルタであり得る)。いくつかの他の例では、アナログフィルタ1035を時間利得補償回路1040とアナログデジタル変換器1045の間に結合することも、および/または追加のフィルタを時間利得補償回路1040とアナログデジタル変換器の間に含めることもできる時間利得補償回路1040は、より長い距離を移動した超音波信号の減衰の増加を補償することができる。例えば、指の内部構造からの反射は、指の表面構造からの反射よりも多く減衰する。時間利得補償回路1040は、より短い期間移動した近接構造からの反射の利得に対して、遠方構造からの反射の利得を増加させることにより補償することができる。
【0121】
時間利得補償の後、結果として得られた信号は、信号の後続のデジタル処理のために、アナログデジタル変換器(ADC)1045によってデジタル化することができる。一実施形態では、アナログからデジタルへの変換は、処理の異なるステージで起こり得る。例えば、アナログ領域でビーム形成を行う実施形態では、アナログからデジタルへの変換は、ビーム形成を受信するまで遅延され得る。
【0122】
受信ビーム形成回路1050は、低雑音増幅器103、アナログフィルタ1035、および時間利得補償回路1040によってそれぞれ増幅され、フィルタリングされ、補償された複数の受信電極からの受信信号を組み合わせることができる。アナログビームフォーマまたはデジタルビームフォーマのいずれかであり得る受信ビーム形成回路1050は、焦点の遅延を使用して、アクティブな受信電極によって受信された反射を結合するために遅延を適用することができる。
【0123】
受信制御回路1060は、連続測定間で反射が収まるのを待つときにADC1045をアイドル状態にするために、ADC1045をスイッチオフするか、スタンバイモードにして受信側回路をアクティブでないようにすることができる。これにより、電力消費の観点から音響生体タッチスキャナ1000をより効率的にすることができる。
【0124】
また、受信制御回路1060は、受信ビーム形成回路1050のタイミングおよび動作を制御することができる。例えば、受信制御回路1020は、異なる電極によるパルスの受信反射に必要なときに、チャネル間位相遅延を提供することができる。アナログ領域では、アナログ遅延線とアナログ加算回路を使用して、ビーム形成を実現できる。アナログ遅延線はチャネル間の所望の相対位相遅延を提供でき、アナログ加算回路はすべてのアナログ信号を加算して、ビーム形成信号を生成する。次いで、その単一のビーム形成信号はサンプリングされ、デジタル化され、超音波画像の再構成のために処理ユニットに送信され得る。
【0125】
場合によっては、単一のビーム形成された信号は、アナログ領域でエンベロープ検出され、サンプリングレート要件を低減することができる。次いで、エンベロープ検出された単一のビーム形成信号は、サンプリングされ、デジタル化され、超音波画像の再構成のためにプロセッサ1065に送信され得る。
【0126】
ビーム形成は、代替的または追加的にデジタル領域で実施することができ、受信チャネルの個々の信号がサンプリングされ、遅延して合計される前にデジタル化される。デジタルデータは、デジタル遅延回路を使用して比較的遅延させ、デジタル加算回路を使用して加算できる。別のアプローチは、軸方向に沿って一時的なサンプルを収集する代わりに、ガラスと指との界面でサンプルのみを取得して保存することである。これにより、ハードウェアの複雑さを軽減でき、アナログビーム形成実装と同様の回路を使用して実行できるが、サンプリング回路を使用して全信号をフルスピードでサンプリングする代わりに、ピーク検出および単一サンプルサンプリング回路を使用して、界面でのみ信号レベルを検出し、次いで、異なるアクティブアパーチャの位置からのデジタルデータを使用して、フルスキャンの画像を生成することができる。
【0127】
エンベロープ検出回路1055は、ビーム形成信号のエンベロープを検出して、必要なサンプリングレートを低減し、次いで、ビーム形成信号をサンプリングすることができる。
【0128】
オペアンプを使用したピーク検出を含め、エンベロープ検出を実装する方法には複数のオプションがある。1つのオプションが
図13に示されている。この図は、オペアンプを使用して超音波信号のピークを検出するピーク検出回路1300を示す。このアナログハードウェアピーク検出器は、他のいくつかのオプションに比べてハードウェアの複雑さとコストを削減して実装できる。ピーク検出器は、エンベロープ検出器の比較的安価なバージョンであるため、結果の信号はベースバンド信号に似ており、低いサンプリング周波数でサンプリングできる。
【0129】
第二のオプションが
図14に示されている。この図において、IQ復調器を使用してRF信号をベースバンドにダウンミックスし、より低いサンプリング周波数でサンプリングできる。
図14は、信号の同相および直交復調のための周波数領域プロットおよび信号混合を示している。グラフ1410は、20MHzの帯域幅で、150MHzを中心とする周波数領域の信号で、320MHzでサンプリングされたものを示す。ブロック
図1420は、グラフ1410の信号をダウンミックスするミキサを示す。グラフ1430は、周波数領域のダウンミックス信号を示し、ベースバンド信号は0Hzを中心とし、画像はより高い(負の)周波数である。グラフ1440では、1430のダウンミックスされた信号はローパスフィルタされ、ベースバンド信号が残されている。グラフ1450は、ベースバンド信号を今や低い周波数でサンプリングできることを示す。
【0130】
第三のオプションが
図26に示されている。この図は、直接同相および直交(IQ)サブサンプリングの機能ブロック
図1500を示している。このアプローチは、受信信号が狭帯域の場合に役立ち得る。IQサブサンプリング回路は、復調器の機能とサンプリング回路を組み合わせたものである。信号の帯域が狭いほど、画質を維持しながらサンプリングレートを下げることができる。直交信号は、1つの周波数に対して90°の位相シフトしかないため、広帯域信号よりも狭帯域信号の方が優れた性能を発揮できる。
【0131】
第四のオプションは、データレートを低下させるが信号情報を維持するもので、これは、帯域制限された信号のアンダーサンプリングである。連続時間信号をサンプリングするとき、その周波数成分は離散時間フーリエ変換によって決定される。離散時間フーリエ変換は、サンプリング周波数fsの倍数で元の信号の画像を有する。
図16は、アンダーサンプリングされるときの元の高周波信号とそのスペクトルエイリアス、およびアンダーサンプリング後の信号のベースバンドエイリアスを示す。
【0132】
第五のオプションは、信号内の最高周波数コンテンツの周波数の2倍で無線周波数信号をサンプリングすることである。このオプションには、比較的高いサンプリングレートが含まれる。
【0133】
図10に戻って参照すると、音響生体タッチスキャナ1000は、プロセッサ1065およびメモリ1070を含む。プロセッサ1065は、上述のように、増幅、フィルタリング、補償、デジタル化、ビーム形成、サンプリングおよびエンベロープ検出された反射超音波信号から画像を再構成する。プロセッサ1065によって再構成された画像は、三次元画像のことも、あるいは二次元画像のこともあり得る。画像は、二次元または三次元の指の変化検出またはビデオ処理を可能にするために、異なる時間または時系列で再構築される。
【0134】
プロセッサ1065は、例えば、スペックルを低減し、血管を強調し、脈拍数を測定し、温度を推定するために、再構成された画像に画像処理技術を適用することができる。メモリ1070は、再構成された画像、処理結果、送信および受信制御命令、ビーム形成パラメータ、およびソフトウェア命令を格納する。メモリ1070は、スキャン画像が一致しているかどうかを生体タッチスキャナ1000が判断するために使用する指紋画像などの画像も格納することができる。
【0135】
したがって、プロセッサ1065は、収容表面125で指から反射される超音波トランスデューサアレイ400からの超音波信号の反射に基づいて、指紋の少なくとも一部分の画像を生成することができる。反射は、超音波トランスデューサアレイ400によって受信され、受信回路によって処理される。プロセッサ1065は、超音波トランスデューサアレイ400からの超音波信号の反射に基づいて追加情報を生成することもできる。そのような追加情報は、指に関連する温度および/または指がデバイスに接触する力などの1つ以上の生存パラメータを含み得る。1つまたは複数の生存パラメータに基づいて、プロセッサ1065は、検出された画像が生身の指に関連付けられているかどうかの表示を提供することができる。生存パラメータは、指紋画像とともに、適切な識別および/または認証アプリケーションに使用できる。プロセッサ1065は、この表示を任意の適切な視覚的、聴覚的、または他の方法で出力させることができる。
【0136】
図17は、指がスキャナに押し付けられる力が増加するにつれて、指紋隆線が広がり、スキャナと接触する指の総面積が増加することを示している。より小さな力1700では、収容表面と接触する隆線および谷の幅は、それぞれR1およびVIである。より大きな力では、収容表面と接触する隆線および谷の幅は、それぞれR2およびV2である。隆線の幅は、指をスキャナに押し付ける力に依存し得る。より大きな力では、隆線が広がり(R2>R1)、谷が狭くなる(V2<V1)。例えば、小さな力で谷の幅が広がり、スキャナと接触する総面積が増加する。
図17の例では、力が増加するにつれて、収容表面と接触する隆線の表面積が増加する。この総面積、または接触密度を測定することができ、これから組織の硬直性を仮定することによって、加えられた力を推定することができる。組織が硬直であればあるほど、圧力下で変形する量は少なくなる。
【0137】
指から加えられた力を測定し、それを想定された組織の硬直性に基づいて推定された力と比較することにより、組織の硬直性自体も推定され得る。推定された組織の硬直性αは、次の式を真にする値である。
Fmeas=Fest(x)
【0138】
ここで、Fmeasは測定された力であり、Festは推定された力である。
【0139】
本明細書で説明される生体感知デバイスのいずれも、力の検出を実施することができる。力の検出を備えた生体感知デバイスは、収容表面を介して指に音響信号を送信するように構成されたプロセッサとトランスデューサを含み得る。プロセッサは、指からの音響信号の反射に基づいて指の指紋の少なくとも一部分の画像を生成し、反射に基づいて収容表面と接触している指の隆線の表面積を検出し、検出された表面積に基づいて、指が収容表面に接触する力を推定することができる。プロセッサは、推定された力に基づいて、指が生身の人間の一部であるかどうかの表示を生成できる。指紋の少なくとも一部分の画像は、1インチあたり500ピクセル以上の解像度を有し得る。
【0140】
媒体を通る音速は、温度とともに変化し得る。一部の素材では、音速は温度とともに増加し得る。様々な材料(例えば、ガラス、サファイア、金属などの固体)の場合、音速は温度とともに低下することが予想される。したがって、温度に基づく材料中の音速が依存することを、材料を伝播する音速の測定値から温度を評価するために使用できる。
【0141】
図18は、媒体を通る音波の速度が温度の上昇とともに低下し得ることを示している。材料を通って伝播する音の速度は、通常、材料の温度に依存する。通常、固体中の音速は温度が高くなると低下する。生体感知デバイスの温度の通常の動作範囲内では、温度と音速の間にほぼ線形の以下の関係がある。
c(T)∝Tφ、
【0142】
ここで、c(T)は材料を通る温度依存音速であり、Tは温度であり、φは材料に基づく音速勾配である。φの符号は負のことも正のこともあり得るが、本明細書で説明する媒体の様々な材料(例えば、ガラス、サファイア、および金属)では負である。
【0143】
超音波トランスデューサと、スマートフォン上の反対側のガラスと空気との界面のような音響反射オブジェクトとの間の距離も、熱膨張により温度とともに増加し得る。ただし、音速を低下させる弾性定数の変化は、通常、熱膨張係数よりも約1桁大きく、パルスの遅延を増加させる効果を支配するはずである。音速は、超音波信号がトランスデューサから音響反射オブジェクトに到達し、再び戻るまでに要する時間によって推定できる。時間が短いほど、音速は速くなり、材料は暖かくなる。
図18の例おいて、波面間の間隔は波長に対応する。高温1800および低温1810での反射超音波ビームの波長は、それぞれλ1およびλ2であり、λ2はλ1よりも大きい。音速から、材料の温度は、上記の方程式に基づいて、分析的および/または数値的に決定できる。材料温度は、指が生身の人間の一部であるかどうかの表示を生成するために使用できる指に関連付けられた温度であり得る。
【0144】
本明細書で論じられる生体感知デバイスのいずれも温度検出を実施することができる。温度検出を備えた生体感知デバイスは、収容表面を介して指に音響信号を送信するように構成されたプロセッサとトランスデューサを含み得る。プロセッサは、音響信号に関連付けられた音速に基づいて指の温度を検出し、指からの音響信号の反射に基づいて指の指紋の少なくとも一部分の画像を生成することができる。プロセッサは、検出された温度に基づいて、指が生身の人間の一部であるかどうかの表示を生成できる。プロセッサは、指が収容表面に接触していないとき、音響信号に関連付けられた第二の音速に基づいて周囲温度を検出できる。プロセッサは、指が収容表面に接触しているときと、指が収容表面に接触していないときとの間の音響信号に関連付けられた音速の差に基づいて指の温度を検出できる。
【0145】
図19は、励起から反射波面までの飛行時間が、温度が高いほど短いことを示している。具体的には、
図19は、温度が上昇すると音波の速度が増加するため、励起から反射波面が記録されるまでの飛行時間は、20℃よりも34℃の方が短いことを示している。指は体温であり、センサは室温であるため、触れると、ガラスやその他の中間層の温度が温まり、一般的にガラス内の音速が速くなる。したがって、本明細書で説明する生体デバイスは、音速に基づいて指の温度を決定できる。これにより、ガラスに触れているのが義指ではないことを確認できる。指がガラスに触れていない場合、周囲温度はデバイスによって決定できる。
【0146】
図19では、34℃の高温での超音波の移動時間と20℃の低温での超音波の移動時間を比較している。図示のように、音速は低温で4000m/sであり、高温で4020m/sである。時間間隔は、移動時間の違いを強調するために縮尺通りに描かれていない。
【0147】
グラフィック1910の時刻t=0で、低温で、パルスはトランスデューサによって空気/ガラス界面に向かって送信される。グラフィック1920の時刻t=1で、パルスは空気/ガラスの界面に近づく。グラフィック1930の時刻t=2で、パルスの反射がトランスデューサに到達する。グラフィック1940の時刻t=4にはアクティビティがないが、これは、反射パルスが以前にトランスデューサに到達していたためである。したがって、グラフィック1950に示すように、高温において、励起から反射波面の記録までの飛行時間は約2の時間間隔である。
【0148】
グラフィック1960の時刻t=0で、高温で、パルスはトランスデューサによって空気/ガラス界面に向けて送信される。グラフィック1970の時刻t=1で、パルスは空気/ガラスの界面に近づくが、まだ、その近くではない。グラフィック1970の時刻t=2で、パルスの反射はトランスデューサに近づくが、まだ到達していない。グラフィック1970の時刻t=3で、反射がトランスデューサに到達した。高温の場合、グラフィック1950に示すように、励起から反射波面の記録までの飛行時間は、約3の時間間隔である。したがって、飛行時間は、低温で短くなる。飛行時間は温度によって変化するため、飛行時間を使用して相対温度を推定し、キャリブレーション後に、絶対温度を推定することができる。
【0149】
図20は、開示される技術の一実施形態による生体情報を生成する方法2000のフローチャートである。ブロック2010において、方法2000は、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信する。ブロック2020において、方法2000は、超音波システムの反射に基づいて生体情報を生成する。
【0150】
図21は、生体画像を生成する方法2100のフローチャートである。ブロック2110において、方法2000は、1つ以上の超音波トランスデューサを使用して、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信する。ブロック2120において、方法2100は、超音波信号の反射を受信する。ブロック2130において、方法2000は、反射に基づいて生体画像を生成する。
【0151】
図22は、開示される技術の一実施形態による音響生体タッチスキャナを製造する方法2200のフローチャートである。ブロック2210において、方法2200は、ガラス基板の上部の下部金属電極を第一の方向で底部平面にパターン化する。ブロック2220において、方法2200は、下部金属電極の上側の左端部分および右端部分を除き、全体にわたって圧電膜を堆積する。ブロック2230において、方法2200は、堆積された圧電膜に、第一の方向と、第一の方向に直交する第二の方向にトレンチまたは溝をエッチングする。ブロック2240において、方法2200は、エッチングされた圧電膜の上部に一致する上部金属電極を第二の方向に堆積し、上部金属電極は膜の左端部分および右端部分に一致し、下部金属電極に接触する。
【0152】
図23は、開示される技術の一実施形態による指の温度を検出する方法2300のフローチャートである。ブロック2310において、方法2300は、1つ以上の超音波トランスデューサを使用して、50MHz~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を、媒体を介して指に送信する。ブロック2320において、方法2300は、超音波信号の反射を受信する。ブロック2330において、方法2300は、送信および反射された信号の移動時間に応じて指の温度を検出する。
【0153】
図24は、開示される技術の一実施形態による、指が表面に接触する力を推定する方法2400のフローチャートである。ブロック2410において、方法2400は、音響信号を指に送信する。ブロック2420において、方法2400は、指からの音響信号の反射に基づいて、指の指紋の少なくとも一部分の画像を生成する。ブロック2430において、方法2400は、反射に基づいて表面と接触している指の面積を検出する。ブロック2440において、方法2400は、表面と接触している指の検出面積に基づいて、指が表面に接触する力を推定する。
【0154】
図25は、開示される技術の一実施形態による、力測定値の時系列の周期を推定する方法2500のフローチャートであり、その周期は脈拍数推定に対応する。ブロック2510において、方法2500は、収容表面を介して複数の音響信号を指に送信する。ブロック2520において、方法2500は、第一のサンプリングレートで時系列の画像を生成し、各画像は、指からの音響信号の反射に基づいて指の指紋の少なくとも一部分の画像である。ブロック2530において、方法2500は、画像の時系列の各画像の反射に基づいて、収容表面と接触している指の隆線の表面積を検出する。ブロック2530において、方法2500は、画像の時系列の各画像について検出された表面積に基づいて、指が収容表面に接触する力の時系列を推定する。ブロック2540において、方法2500は力の時系列の期間を推定し、この周期は脈拍数推定に対応する。
【0155】
図26~
図34は、超音波指紋スキャンのためのエンベロープ検出方法のシミュレーションの回路と結果を示す。シミュレーションでは、エレメント幅20μm、線間隔(カーフ)20μm、エレメント高さ10mm、超音波帯域幅43:8%と仮定している。励起は、150MHzで5サイクルの正弦波である。14個のアクティブエレメントが実効f#=0:893で使用される。ここで、f#はf数またはアパーチャ数であり、焦点距離をアクティブアパーチャの直径で割ったものとして定義される。
【0156】
図26は、一方向挿入損失のシミュレーションを示す。
【0157】
図27は、IチャネルおよびQチャネルへのRF信号のIQ復調のための回路を示す。
【0158】
図28は、シミュレートされ、復調された同相信号および直交信号の一例を示す。
【0159】
図29は、
図27のプロセスのIQ復調に使用されるローパスフィルタの応答を示す。
【0160】
図30は、
図27の回路によって復調された信号のIQ復調エンベロープを示す。
【0161】
図31は、
図30のIQ復調エンベロープから取られた100MHzサンプルを示す。
【0162】
図32は、IQ復調信号のIQサンプリングのための回路を示す。
【0163】
図33は、IQ復調信号のサンプリングされた同相信号および直交信号を示す。
【0164】
図34は、IQサンプリングレートが200MHz、150MHz、100MHz、および50MHzのときのIQ復調信号のエンベロープのグラフを示す。
【0165】
光学システムと統合された生体スキャナ
本開示の態様は、統合光学システムを備えた生体スキャナに関する。生体スキャナは、光学システムが生体スキャナを介して指などのオブジェクトに光を放射できるように、少なくとも部分的に透明にすることができる。生体スキャナと光学システムは、認証のために一緒に使用され得る。生体スキャナは、指紋スキャナにすることができる。光学システムは、指紋スキャナでスキャンされた指紋に関連する生存パラメータを検出できる。プロセッサは、指紋スキャナで生成された指の画像と光学システムで生成された生存パラメータに基づいて指を認証できる。
【0166】
統合光学システムは、超音波指紋センサなどの指紋スキャナによって、容易に測定されない属性および/または信頼性高く測定されない属性を有利に測定することができる。例えば、光学システムは、酸素レベル(SbO2など)および/または呼吸を測定できる。さらに、光学システムによって送信される特定の周波数の光では、測定で、様々な超音波システムよりも指の奥深くまで入り込むこと、および/または指の様々な属性を照らすこともできる。
【0167】
超音波指紋スキャナなどの指紋スキャナは、光学システムを使用してマルチモダリティ感知を可能にするために光学的に透明にすることができる。例えば、フォトプレチスモグラフィデバイスなどの光学システムは、光学的に透明な指紋スキャナを介して光を送受信できる。一例として、本明細書で説明される原理および利点のいずれかによる超音波スキャナは、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、ポリジフッ化ビニルなどの薄膜などの透明圧電薄膜を含み得る。場合によっては、そのような超音波センサは、酸化インジウムスズ電極などの透明金属電極を含み得る。特定の実施形態では、生体測定感知デバイスは、可撓性圧電膜を有する超音波指紋センサと、超音波指紋センサを介して伝搬する光を送信および/または受信するように配置された光学システムとを含む。
【0168】
指紋スキャナを通して光を送受信するように構成された光学システムと統合された少なくとも部分的に透明な指紋スキャナを含む生体スキャンシステムは、指紋と、認証の強度を高めるために指に関連する別の生物学的特性を検出して指を認証することができる。
。このようなシステムは、マルチモダリティセンサ(またはアクチュエータ)を実装できる。一例として、光学システムは、認証の堅牢性を支援するために、心拍数または血中酸素化レベルなどの生存パラメータを生成できる。指紋スキャナと統合光学システムを使用したマルチレベル認証は、生身の指がないと認証を困難にする堅牢なアプローチを提供する。さらに、本明細書で説明する原理および利点による指紋スキャナと光学デバイスの統合は、比較的コンパクトなデバイスで堅牢な認証を提供できる。
【0169】
光学システムと少なくとも部分的に統合された指紋スキャナを含む生体スキャンシステムは、指紋認証システム、掌紋認証システムなどの生体認証を使用する任意のデバイスおよび/またはシステムに実装することができる。
【0170】
以下で説明する例示的な実施形態は、光学システムと統合された超音波指紋スキャナを含み得るが、少なくとも部分的に透明な他の適切な指紋スキャナは、本明細書で説明する原理および利点に従って光学システムと統合することができる。例えば、光学システムは、静電容量指紋スキャナなどの様々な指紋スキャナと統合できる。さらに、指紋スキャナは、生存パラメータの検出に使用できる適切なエネルギーモダリティに対して透明であり得る。
【0171】
図35~
図45は、透明電極430’および440’を備えた超音波トランスデューサアレイ400の下に光学システム550を備えた生体感知デバイスの例示的な実施形態を示す。超音波トランスデューサアレイ400は、ガラス410と、指または検査される他のオブジェクトのための収容表面の下にある。携帯電話などのいくつかの例では、ガラス410は加工ガラス(engineered glass)であり得る。加工ガラスは、耐損傷性および耐擦傷性を有し得る。加工ガラスの一例は、CORNING(登録商標)のGORILLA(登録商標)ガラスである。ガラス410は、これらの例示的な実施形態を参照して説明されるが、透明プラスチックなどの任意の他の適切な透明材料は、特定の用途において代替的または追加的に使用され得る。電極430’および440’は、超音波トランスデューサアレイのトランスデューサをアドレス指定するために使用される金属電極であり得る。代替として、超音波トランスデューサアレイ400の超音波トランスデューサのための他の適切な金属電極を実装することができる。
【0172】
本明細書に開示される光学システム550および任意の他の光学システムは、任意の適切な数および/またはタイプの光源および/または任意の適切な光学検出器を含むことができる。例えば、光学システム550は、赤色LEDおよび赤外LEDに加えて受光体を含む反射酸素濃度計を含み得る。別の例として、光学システム550は、3つ以上のLEDを含み得る。代替的または追加的に、光学システム550は、埋め込みクワッド接合(quad junction)光検出器などの1つ以上のマルチスペクトルセンサを含み得る。特定の実施形態では、光学システム550は、1つ以上のレーザ光源を含み得る。いくつかの実施形態によれば、光学システム550は、LEDおよびレーザ光源を含み得る。
【0173】
図35は、透明な上部および下部金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400を示している。超音波トランスデューサアレイ400は、
図2~
図10に関して上述した任意の適切な原理および利点に従って実装することができる。超音波トランスデューサアレイ400は、光に対して透明であり得る。例えば、超音波トランスデューサアレイ400は、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、またはポリジビニルフルオライドなどの透明な圧電層を含み得る。上部電極440および下部電極430’は、
図35~
図45の実施形態では少なくとも部分的に透明である。透明性により、光は、下部金属電極430’、トランスデューサ材料420、および上部金属電極440’の超音波トランスデューサアレイ400のコンポーネントを通過することができる。下部金属電極430’および上部金属電極440’は、任意の適切な透明金属から実装し得る。例えば、これらの金属電極は、酸化インジウムスズで実装し得る。
【0174】
図36は、光学システム550の上で、ガラス410の下にある
図35の透明な超音波トランスデューサアレイの分解図を示す。ガラス410は、光に対して透明である。したがって、光学システム550から送信された光は、超音波トランスデューサアレイ400と、検出またはスキャンされるオブジェクトを置くことのできる上部収容表面を有するガラス410との両方を透過する。次いで、検出またはスキャンされるオブジェクトから反射された光は、ガラス410および超音波トランスデューサアレイ400を通って、光学システム550に到達できる。
【0175】
光学システム550は、光源560、光学センサ570、および支援電子機器580を含む。光学システム550は、特定の用途において、カメラおよび/またはビデオカメラに含めることができる。そのような用途では、超音波トランスデューサアレイ400は、指を収容するように構成された表面とカメラおよび/またはビデオカメラとの間に配置し得る。光源560は、1つ以上の波長または周波数帯域で光を透過する。場合によっては、光源560は、可視光を透過するように配置される。光源560は、特定の用途において赤外光を送信し得る。光源560は、いくつかの用途ではレーザ光を送信することができる。支援電子機器580は、光源560によって放射される光の波長、持続時間、およびタイミングを制御し得る。光源560からの透過光は、透明な超音波トランスデューサアレイ400を透過する。光学センサ570は、光源560によって送信された光を受信する。センサによって受信される光は、光源560によって送信される光の反射に対応し得る。
【0176】
光学システム550のための支援電子機器580は、光源ドライバ、光源制御ユニット、および制御回路を用いて、光源560伝送を支援する。支援電子機器580は、トランスインピーダンス増幅器、第二段増幅器、アンチエイリアシングフィルタ、アナログデジタル変換器、および制御回路を用いて、光学センサ570を支援する。これらの支援電子機器580のコンポーネントは、
図67に示されており、
図67の説明で後述する。
【0177】
ガラス410、超音波トランスデューサアレイ400、および光学システム550は、個々のコンポーネントが見えるように空間的に分離して、
図36に示されている。これらのコンポーネントは、互いに生体感知デバイスに統合される。
【0178】
図37は、
図36の光学システム550、超音波トランスデューサアレイ400、およびガラス410の統合を示す。
図36とは異なり、コンポーネントは互いに近接して示されている。コンポーネントは、隣接しているように示されており、互いに空間的に分離されていない。
【0179】
図38は、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図で、光学システム550の光源560からの第一の波長λ1の光を、透明トランスデューサアレイ400およびガラス410を介して、ガラス410の収容表面上の指に送信する間のものを示す。指は、隆線および谷、ならびに静脈107などの内部構造を有する。第一の波長λ1の透過光は、ガラスの収容表面に到達し、指に入り、指の表面に比較的近い静脈107などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、静脈107などの指の内部構造から、および指の隆線の表面から反射され得る。
【0180】
図39は、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図で、第一の波長λ1の反射光が指から離れ、ガラス410および透明トランスデューサアレイ400を介して、光学システム550内の光学センサに戻るのを受信する間のものを示す。感知された反射光は、受信光の波長もしくは光源から光が送信されてからの期間、またはそれらの任意の適切な組み合わせに基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。受信した光は、組織内の反射光または吸収光の量に基づいて評価できる。
【0181】
図40は、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図で、光学システム550の光源からの第二の波長λ2の光を、透明トランスデューサアレイ400およびガラス410を介して、ガラス410の収容表面上の指に送信する間のものを示す。第二の波長λ2の透過光は、ガラスの収容表面に到達し、指に入り、指の表面に比較的近い静脈107などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、静脈107などの指の内部構造から、および指の隆線の表面から反射され得る。
【0182】
図41は、
図37の統合された光学および超音波システムの断面図を示し、第二の波長λ2の反射光が指から離れ、ガラス410および透明トランスデューサアレイ400を介して、光学システム550内の光学センサに戻るのを受信する間のものを示す。感知された反射光は、受信光の波長、光源から光が送信されてからの期間、送信されてから受信された反射光がたどる経路の距離、またはそれらの任意の適切な組み合わせに基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。
【0183】
図42は、
図38~
図41に示すように、それぞれ第一および第二の波長での光の送信および受信をそれぞれ示している。異なる波長での受信光の比較は、例えば、収容表面上の指の反射パルス酸素測定の読み取りを行うために使用され得る。そのような比較は、光学システム550と通信する任意の適切なプロセッサによって実行することができる。明るい赤色酸素化血液は、赤色波長よりも赤外波長で、より多くの光を吸収する。対照的に、より暗い脱酸素化された血液は、赤外波長よりも赤色波長で、より多くの光を吸収する。反射酸素濃度計は、赤色波長(例えば660nm)および赤外波長(例えば940nm)で吸収を測定し、赤色光測定値と赤外光測定値の比を周辺酸素の飽和度の推定値(SpO2)に変換することにより、この吸収の差を定量化できる。反射酸素濃度計は、パルス酸素濃度計の機能を実行できる。場合によっては、統合超音波指紋センサなどの統合指紋センサに関連して、パルス酸素濃度計を実装することができる。
図42の実施形態は、パルス酸素濃度の読み取りなど、2つの異なる波長での測定値をキャプチャする。この実施形態の他の用途は、これらの周波数での吸収スペクトルの違いを特徴付けるために、3つ以上の周波数(または周波数範囲)で光を送受信し得る。
【0184】
図43は、
図42の例示的な実施形態の斜視図で、収容表面上に指のない送信フェーズ中に、透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400の下に光学システム550がある。光は、光学システム550の光源から発して、透明トランスデューサアレイ400およびガラス410を通る。ガラス410の収容表面上には指は図示されていない。
【0185】
図44は、
図37の例示的な実施形態の斜視図で、収容表面上に指のある送信フェーズ中に、透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400の下に光学システム550がある。光は、光学システム550の光源から発し、透明トランスデューサアレイ400およびガラス410を通って、ガラス410の受光面上の指に至る。透過光はガラス140の収容表面に到達し、指に入り、指の表面に比較的近い静脈などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、静脈などの指の内部構造から、および指の隆線の表面から反射され得る。
【0186】
図45は、
図37の例示的な実施形態の斜視図で、収容表面上に指のある受信フェーズ中に、透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400の下に光学システム550がある。光は指から反射され、ガラス410および透明トランスデューサアレイ400を通って光学システム550内の光学センサに戻ることができる。感知された反射光は、受信光の波長、光源によって光が送信されてからの期間、送信されてから受信された反射光がたどる経路の距離、またはそれらの任意の適切な組み合わせに基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。
【0187】
図46~
図55は、不透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイの下に光学システムがある例示的な実施形態を示している。超音波トランスデューサアレイは、ガラスと、検査される指またはその他のオブジェクトの収容表面の下にある。透明性により、下部金属電極430および上部金属電極440が不透明であっても、光がトランスデューサ材料420を通過することが可能になる。
【0188】
図46は、不透明な上部および下部金属電極440および430をそれぞれ有する超音波トランスデューサアレイを示している。超音波トランスデューサアレイ400は、
図2~
図10に関して上述した任意の適切な原理および利点に従って実装することができる。上部金属電極440および下部金属電極430は、
図35~
図45の実施形態では不透明である。透明性により、光がトランスデューサ材料420を通過することは可能だが、光は不透明な下部金属電極430または上部金属電極440を通過しない。
【0189】
図47は、光学システム550の上で、ガラス410の下にある
図46の超音波トランスデューサアレイ400の分解図で、ガラス410、超音波トランスデューサアレイ400および光学システム550を備えているものを示す。
図48~
図55に示されるように、ガラス410、超音波トランスデューサアレイ400、および光学システム550は、互いに非常に近接していてもよい。これらのコンポーネントは、互いに隣接することができ、互いに空間的に分離することはできない。ガラス410は光に対しても透明であるため、光学システム550から送信された光は、超音波トランスデューサアレイ400と、検出またはスキャンされるオブジェクトを置くことのできる上部収容表面を有するガラス410との両方を透過する。次いで、検出またはスキャンされるオブジェクトから反射された光は、ガラス410および超音波トランスデューサアレイ400を通過できるが、光は不透明な下部金属電極430または上部金属電極440を通過せず、光学システム550に到達しない。
【0190】
光学システム550は、光源560、光学センサ570、および支援電子機器580を含む。光源560は、1つ以上の波長または周波数帯域で光を送信することができる。支援電子機器580は、光源560に、光を送信する波長、持続時間、またはタイミングのうちの1つ以上を調整させることができる。光源560から送信された光は、不透明な下部金属電極430と上部金属電極440との間の長方形(または正方形)部分で、透明トランスデューサアレイ400の部分を透過する。光センサ570は、以前に送信された光を受信するように配置されている。光学センサ570によって受信された光は、光源560によって送信された光の反射に対応し得る。
【0191】
光学システム550のための支援電子機器580は、光源ドライバ、光源制御ユニット、および制御回路を用いて、光源560伝送を支援する。支援電子機器580は、トランスインピーダンス増幅器、第二段増幅器、アンチエイリアシングフィルタ、アナログデジタル変換器、および制御回路を備えた光学センサ570を支援することができる。これらの支援電子機器580のコンポーネントは、
図67に示されており、
図67の説明で後述する。
【0192】
ガラス410、超音波トランスデューサアレイ400、および光学システム550は、個々のコンポーネントが見えるように空間的に分離されて、
図47に示されている。
【0193】
図48は、
図47の統合された光学および超音波システムの断面図で、光学システム550の光源560からの第一波長λ1の光を、不透明な下部金属電極430と上部金属電極440との間のセクションで透明トランスデューサアレイ400の部分と、ガラス410を介して、ガラス410の収容表面に送信する間のものを示す。第一の波長λ1の透過光は、ガラスの収容表面に到達し、指に入り、指の表面に比較的近い静脈107などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、指の内部構造から、および指の隆線の表面から反射し得る。
【0194】
図49は、
図48の統合された光学および超音波システムの断面図で、指から離れた第一の波長λ1の反射光が、ガラス410および光学システムの光学センサ570に対して透明トランスデューサアレイ400の部分を介して戻るのを受信する間を示す。感知された反射光は、受信光の波長、光源から光が送信されてからの期間、送信反射光と受信反射光がたどる経路の距離、またはそのいずれの適切な組み合わせに基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。
【0195】
図50は、
図47の統合された光学および超音波システムの断面図で、光学システム550の光源からの第二の波長λ2の光を、不透明な下部金属電極430と上部金属電極440との間のセクションにある透明トランスデューサアレイ400の部分と、ガラス410を介して、ガラス410の収容表面上の指105に送信する間のものを示す。第二の波長λ2の透過光は、ガラスの収容表面に到達し、指に入り、指の表面に比較的近い静脈107などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、指の内部構造から、および指の隆線の表面から反射し得る。
【0196】
図51は、
図50の統合された光学および超音波システムの断面図で、指から離れた第二の波長X2の反射光を、ガラス410および光学システム550内の光学センサに対して透明トランスデューサアレイ400の部分を介して戻るのを受信する間のものを示す。感知された受信光は、受信光の波長、光源によって光が送信されてからの期間、および/または送信されてから受信された反射光がたどる経路の距離、またはそれらの任意の適切な組み合わせに基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。
【0197】
図52は、
図48~
図51に示すように、第一および第二の波長での光の送信および受信を示す。異なる波長での受信光の比較は、例えば、
図42に関して上述したように、収容表面上の指の反射パルス酸素濃度の読み取りを行うために使用され得る。
【0198】
図53は、
図47の例示的な実施形態の斜視図で、収容表面に指のない送信フェーズ中に、不透明な金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400の下に光学システム550がある。光は、光学システム550の光源から発し、トランスデューサアレイ400の透明な部分およびガラス410を通る。
図53のガラス410の収容表面には、指がない。
【0199】
図54は、
図47の例示的な実施形態の斜視図で、収容表面に指がある送信フェーズ中に、不透明な金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400の下に光学システム550がある。光は、光学システム550の光源から発し、トランスデューサアレイ400の透明な部分およびガラス410を介して、ガラス410の収容表面上にある指105に到達する。透過光は、ガラスの収容表面410に到達し、指に入り、指の表面に比較的近い静脈107などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、指の内部構造から、および指の隆線の表面から反射し、不透明な金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイの下の光学システムに到達することができる。
【0200】
図55は、
図47の例示的な実施形態の斜視図で、ガラス410と、光学システムの光学センサ550に対して透明トランスデューサアレイ400の一部を介して指から戻ってくる反射光の受信中に、収容表面上に指がある受信フェーズ中に、不透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400の下の光学システム550がある。感知された受信光は、例えば、受信光の波長、光源によって光が送信されてからの期間、および送信されてから受信された反射光がたどる経路の距離に基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。
【0201】
図56~
図65は、不透明な金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ内に埋め込まれた光学システムを有する例示的な実施形態を示す。埋め込まれた光学システムを備えた超音波トランスデューサアレイ400は、ガラスと、指または検査される他のオブジェクトのための収容表面の下にある。下部金属電極430および上部金属電極440は、図示のように不透明である。いくつかの他の実施形態において、下部金属電極430および/または上部金属電極440は、透明または少なくとも部分的に透明である。埋め込み光学システム550は、埋め込み光源560および光センサ570を含む。支援電子機器580(図示せず)は、超音波トランスデューサアレイ内、超音波トランスデューサアレイ400の側面、および/または超音波トランスデューサアレイ400の下に埋め込むことができる。
【0202】
図56は、不透明な上部金属電極430と下部金属電極440とを有し、埋め込まれた光源560と光センサ570とを備えた超音波トランスデューサアレイ400を示す。超音波トランスデューサアレイ400は、
図2~
図10に関して上述した任意の適切な原理および利点に従って実装することができる。光源560およびセンサ570は、超音波トランスデューサアレイ内、例えば、不透明な下部金属電極430と上部金属電極440との間の長方形(または正方形)部分内に埋め込まれている。光源560からの光およびセンサ570への光は、光源560およびセンサ570を含む光学システム550が超音波トランスデューサアレイ400内に埋め込まれているため、もはや超音波トランスデューサアレイ400全体を通る必要がない。光源560および/または光学センサ570がトランスデューサ材料420の上面で、上部金属電極440の間にある実施形態において、光はトランスデューサ材料420、下部金属電極430、または上部金属電極440を通過する必要はない。
【0203】
図57は、
図56の光源560および光センサ570ならびにガラス410が埋め込まれた超音波トランスデューサアレイ400の分解図を示す。
図58~
図66に示されるように、ガラス410と、光源560およびセンサ570が埋め込まれた超音波トランスデューサアレイ400とは、互いに統合されている。
【0204】
図58は、
図57の統合された光学および超音波システムの断面図で、光源560からのに第一の波長λ1の光を、ガラス410を介して、ガラス410の収容表面上にある指に送信する間のものを示す。第一の波長λ1の透過光は、ガラス410の収容表面に到達し、指に入り、指107の表面に比較的近い静脈107などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、指の内部構造から、および指の隆線の表面から光学センサ570まで反射され得る。
【0205】
図59は、
図57の統合された光学および超音波システムの断面図で、指から離れた第一の波長λ1の反射光を、ガラス410を介して光学システム内の光学センサ570に戻るのを受信する間のものを示す。感知された反射光は、例えば、受信光の波長、光源によって光が送信されてからの期間、および送信されてから受信された反射光がたどる経路の距離に基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。
【0206】
図60は、
図57の統合された光学および超音波システムの断面図で、光源560からの第二の波長λ2の光を、ガラス410を介してガラス410の収容表面上の指に送信する間のものを示す。
【0207】
図61は、
図57の統合された光学および超音波システムの断面図で、指から離れた第二の波長λ2の反射光を、ガラス410を介して光学システム内の光学センサ570に戻るのを受信する間のものを示す。感知された反射光は、例えば、受信光の波長、光源によって光が送信されてからの期間、および送信されてから受信された反射光がたどる経路の距離に基づいて、最近送信された光に関連付けることができる。
【0208】
図62は、
図58~
図61に示すように、第一および第二の波長での光の送信および受信を示す。異なる波長での受信光の比較は、例えば、
図42に関して上述したように、収容表面上の指の反射パルス酸素濃度の読み取りを行うために使用され得る。
【0209】
図63は、
図57の例示的な実施形態の斜視図で、収容表面に指のない送信フェーズ中に、不透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400内に埋め込まれた光学システム550を有する。光は、光学システム550の光源560から発し、ガラス410を通る。ガラス410の収容表面125には、指がない。
【0210】
図64は、
図57の例示的実施形態の斜視図で、収容表面上に指がある送信フェーズ中に、不透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400内に埋め込まれた光学システムを有する。光は、光学システム550の光源560から発して、ガラス410を通る。
【0211】
図65は、
図64の例示的な実施形態の斜視図で、収容表面上に指がある受信フェーズ中に、不透明金属電極を備えた超音波トランスデューサアレイ400内に埋め込まれた光学システム550を有する。
【0212】
図66は、超音波トランスデューサアレイ400の側方およびそれに隣接する光源560および光センサ570を備えた例示的な実施形態の断面図を示す。
図66の実施形態において、光源560は、収容表面に実質的に平行な方向に光を発することができる。光源560によって発せられた光は、透明トランスデューサ材料420を介して超音波トランスデューサアレイ400の溝460に、ガラス410を介してガラス410の収容表面125にある指に伝達される。溝460は、光源560によって放出された光を収容表面に向けることができる。透過光は、ガラス410の収容表面に到達し、指105に入り、指の表面に比較的近い静脈107などの指の内部構造に伝達され得る。光は、例えば、指の内部構造から、および指の隆線の表面から反射され得る。そのような反射光は、ガラス410を通過して、上部金属電極間の溝460、および超音波トランスデューサアレイ400の側方およびそれに隣接する光センサ570に到達する。溝460は、反射光を光学センサ570に向けることができる。
【0213】
超音波トランスデューサアレイ400の側方およびそれに隣接する光源560および光センサ570に加えて、光学システム550は、超音波トランスデューサアレイ400の側面にあり得る支援電子機器580(図示せず)を含み、これらは、光源560および光センサ570を備えた超音波トランスデューサアレイ400の側部、および/または超音波トランスデューサアレイ400の下にあり得る。
【0214】
図67は、超音波システムおよび光学システム550を含む例示的な音響生体タッチスキャナを示す。超音波システムは、超音波トランスデューサアレイ400、送信電子機器、および受信電子機器を含む。光学システム550は、光源560、光学センサ570、および支援子機器580を含む。
【0215】
図示された送信電子機器は、送信スイッチングネットワーク1005、電圧パルス発生器1010、送信ビーム形成回路1015、送信制御回路1020を含む。図示された受信電子機器は、受信スイッチングネットワーク1025、低雑音増幅器1030、アナログフィルタ1035、時間利得補償回路1040、アナログデジタル変換器1045、受信ビーム形成回路1050、エンベロープ検出回路1055、受信制御回路1060、プロセッサ1065、およびメモリ107を含む。受信電子機器および/または送信電子機器は、
図10に関して上述した任意の適切な原理および利点に従って実装することができる。
【0216】
図示された光学システム550は、光源560、光学センサ570、および支援電子機器580を含む。図示された支援電子機器580は、光源ドライバ581、光源電流制御ユニット582、および制御回路583を用いて、光源560を支援する。図示された支援電子機器580は、制御回路583、トランスインピーダンス増幅器584、第二段増幅器585、アンチエイリアシングフィルタ586、およびアナログデジタル変換器587を用いて、光学センサ570を支援する。一実施形態において、光学システム550は、反射パルス酸素濃度計に対応し、それに対応するコンポーネントを有する。
【0217】
制御回路583は、図示された光学システム550の光源からの光放射のタイミング、持続時間、波長(波長範囲)、および出力を制御する。制御回路583は、以前に透過した光の反射であり得る入射光を感知するタイミングも制御できる。制御回路583は、
図67では単一のブロックとして示されている。しかしながら、制御回路583は、送信および受信を制御するように機能することができ、超音波システムのプロセッサ1065、受信制御回路1060、および/または送信制御回路1020と分割または結合され得る。一実施形態において、制御回路583は、プロセッサ1065、送信制御回路1020、および受信制御回路1060と調整して、超音波トランスデューサアレイ400の送信と光源560の発光の相対的タイミングを調整して、制御する。例えば、一実施形態において、超音波と光源の放射は、重ならないように制御され得る。別の実施形態において、超音波および光源放射は、少なくとも部分的に重なるように制御され得る。
【0218】
光源560は、任意の適切な光源を含み得る。例示的な光源には、発光ダイオード、有機発光ダイオード、レーザなどを含む。例えば、光源560は、生体測定値を取得するために、ある範囲の周波数、持続時間および電力レベルにわたって光を発するように構成された1つ以上の発光ダイオードを含み得る。例示的な生体測定には、パルス酸素濃度測定の読み取り、血流測定値、パルスの読み取り、温度、グルコース検出、血糖値レベル、脱水レベル、血中アルコールレベル、血圧を含む。例えば、スペクトルの可視部分と赤外部分の光を発するLEDは、生体測定値を取得するために使用され得る。光源560は、特定の用途では様々な異なる波長を放出することができるが、そのような用途での特定の波長に限定されない。例えば、中赤外レーザパルスは、グルコース検出に使用され得る。
【0219】
光源560は、一直線に、行と列に、六角形のテッセレーションに、または他の適切な配置で配置された複数の光源を含み得る。個々の光源560または複数の光源が光学システム550の中に含まれ得る。一実施形態において、単一の光源560は、
図37および
図47に示されるように、超音波トランスデューサアレイ400の下にあり得る。一実施形態において、個々の光源は、例えば、
図56に示すように、上部金属電極430と下部金属電極440との間の部分で、超音波トランスデューサアレイ400の中に埋め込まれ得る。一実施形態において、光源は、例えば、
図66に示すように、超音波トランスデューサアレイ400の側面にあり得る。一実施形態において、光ファイバ(複数可)または他の適切な光方向転換機構は、光を内側に導くことができる。
【0220】
光源電流制御ユニット582は、光源560が発する光のパルスの開始時間、終了時間、波長、パワーを制御する。光源ドライバ581は、パルスを光源560に送信する。
【0221】
放出されたパルスは、光源560によって送信され、反射されて光学センサ570に戻り得る。
【0222】
光学センサ570は、任意の適切な光学感知素子を含み得る。例えば、光学センサ570は、パルス酸素濃度の読み取りおよび/または血流測定値などの生体測定値を取得するために、ある範囲の周波数、持続時間および電力レベルにわたって光を受信するように構成された1つ以上のフォトダイオードを含み得る。例えば、生体測定値を取得するために、スペクトルの可視部分と赤外部分の光を受信するフォトダイオードを使用し得る。光学センサ570は、特定の用途において様々な異なる波長を感知することができるが、そのような用途における特定の波長に限定されない。一実施形態において、光学センサ570は、複数の周波数帯域の光を感知することができるマルチスペクトル撮像装置を含み得る。一実施形態において、光学センサ570は、脈拍を検出するために、血流から生じる皮膚の微妙な色の変化を測定することができるビデオカメラの中に含めることができる。
【0223】
光学センサ570は、一直線に、行と列に、六角形のテッセレーションに、または他の適切な配置で配置された複数の光学センサを含み得る。個々の光学センサ570または複数の光学センサが光学システム550の中に含まれ得る。一実施形態において、単一の光学センサ570は、例えば、
図37および
図47に示されるように、超音波トランスデューサアレイ400の下にあり得る。一実施形態において、個々の光学センサ570は、例えば、
図56に示すように、上部金属電極430と下部金属電極440との間の部分で、超音波トランスデューサアレイ400の中に埋め込まれ得る。一実施形態において、光学センサ570は、例えば、
図66に示すように、超音波トランスデューサアレイ400の側面にあり得る。
【0224】
特定の実施形態において、光学センサ570は、入射光子を電流に変換する1つ以上のフォトダイオードを含む。結果として生じる電流は、トランスインピーダンス増幅器584によって電圧に変換され、第二段増幅器585によって増幅される。アンチエイリアスフィルタローパス586は、第二段増幅器からの増幅電圧をフィルタリングしてエイリアシングを低減する。アンチエイリアシングフィルタの出力は、アナログデジタル変換器587でデジタル化される。光学システム550のアナログデジタル変換器587は、超音波システムのアナログデジタル変換器1045よりも低い周波数で動作できる。例えば、光学システム550のアナログデジタル変換器1045は、例えば、約22ビットのデジタル化精度で、2kHzの範囲で動作することができる。他の適切な周波数範囲および/または精度は、特定のアプリケーションに実装できる。アナログデジタル変換器587は、信号の後続のデジタル処理のために、アンチエイリアシングフィルタ586のアナログ出力をデジタル化することができる。一実施形態において、アナログからデジタルへの変換は、受信処理チェーンの異なる段階で起こり得る。
【0225】
図68は、超音波システムおよび光学システムを含む例示的な生体タッチスキャナを示す。超音波システムには、超音波トランスデューサアレイ、送信電子機器、および受信電子機器が含まれる。光学システムには、光源、光学センサ、および支援電子機器が含まれる。
図68のコンポーネントは、
図10および
図67に関して上述したように実装することができる。
図67の生体スキャンデバイスには、超音波システムと光学システムのために個別のコンポーネントが含まれている。対照的に、
図68の生体スキャンデバイスは、超音波システムと光学システムのために共有処理ユニットが含まれている。
図68のプロセッサ1065は、超音波システムのプロセッサおよび光学システムの制御回路として機能できる。
【0226】
開示される技術の一態様は、生体指紋感知デバイスである。このデバイスは、400nm~1000nmの範囲の周波数を有する光を送信するように構成された光エミッタを含む。このデバイスは、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信するように構成された超音波トランスデューサのアレイをさらに含む。超音波トランスデューサは、圧電膜を含む。デバイスは、第一の金属電極をさらに含む。デバイスは、第一の金属電極に直交する第二の金属電極をさらに含む。第一の金属電極および第二の金属電極は、アレイの超音波トランスデューサのアドレス指定を可能にする。デバイスは、指を収容するように構成された表面をさらに含む。デバイスは、指からの可視光および/または超音波信号の反射に基づいて、指の指紋の少なくとも一部分の画像を生成するように構成されたプロセッサをさらに含む。デバイスは、収容表面と接触する指の温度および/または指の圧力を変化させるように構成されたアクチュエータをさらに含む。
【0227】
一実施形態において、光エミッタは、超音波トランスデューサ、第一の金属電極、および第二の金属電極を介して光を送信する。一実施形態において、超音波トランスデューサは少なくとも部分的に透明である。一実施形態において、第一および第二の金属電極は少なくとも部分的に透明である。
【0228】
一実施形態において、超音波トランスデューサのアレイは、光エミッタと収容表面との間にあり、超音波トランスデューサ、第一の金属電極、および第二の金属電極は、透過光に対して少なくとも部分的に透明である。
【0229】
一実施形態において、超音波トランスデューサは、光エミッタを介して超音波信号を送信する。
【0230】
一実施形態において、光エミッタは、平面上の正方形の光エミッタのアレイを備え、各正方形は、平面への第一の金属電極および第二の金属電極の投影によって境界付けられる。
【0231】
一実施形態において、光エミッタは超音波トランスデューサに隣接する。
【0232】
対話型生体スキャナ
本開示の実施形態は、アクチュエータになる能力を備えた指紋スキャナなどのスキャナに関する。アクチュエータは、指などのオブジェクトにエネルギーを供給できる。これにより、スキャナとユーザとの間で双方向通信を確立できる。このような双方向通信には、リアルタイムの対話型認証プロセスが含まれる。双方向通信による認証は、本明細書に開示されている任意の適切な対話型生体スキャナで、ミリ秒のタイムスケールで実行できる。例えば、本明細書に開示される超音波感知および/または作動を備えた任意の適切な超音波対話型生体スキャナは、ミリ秒のタイムスケールで双方向認証を実行できる。本明細書で開示されるいくつかの他の双方向通信技術は、数秒で実行することができる。双方向通信は、堅牢な認証を提供できる。双方向通信は、対話性と呼ばれる。
【0233】
双方向通信は、認証からユーザの指紋スキャンおよび/または他の生体情報を表すデータ(例えば、以前の認証セッションからのパルスと温度)を内密および/または違法にコピーまたは取得した可能性のある詐欺師を打ち負かすことを目的としたリアルタイム相互作用を提供する多要素認証を可能にし得る。事前に予測できない(例えば、ランダムな)認証中の認証のための指または他のオブジェクトとの相互作用は、詐欺師が以前のデータで認証するのを防ぐことができるはずである。一例として、指紋と脈拍をスキャンしている間、認証されているユーザは、スキャナに指を置いたまま立つように促すことができる。スキャナは、立っていることに関連する脈拍の変化を検出でき、脈拍の変化を使用してユーザを認証できる。別の例として、触覚エネルギーはユーザが感じることができ、スキャナから指を離すか、指がスキャナに加える力を変えるなどのアクションをするように、ユーザに促すことができる。そのようなアクションは、超音波センサなどのセンサによって、指の隆線の広がり(例えば、力の検出)および/または毛細血管の検出などの様々な方法によって検出できる。
【0234】
超音波指紋スキャナなどの指紋スキャナは、センサおよびアクチュエータを実装するここともできる。スキャナは、アクチュエータとして、ユーザが感じることのできる形で超音波などのエネルギーを供給することができる。これにより、スキャナとユーザとの間で双方向通信を確立できる。スキャナは、認証で使用するために供給されたエネルギーへの応答を検出できる。一例として、超音波エネルギーは、熱パルス、プッシュ、指のうずき感覚などの神経調節など、またはそれらの任意の適切な組み合わせとして指によって検出できるフォーカスバースト(focus burst)を通じて送達できる。代替的または追加的に、他のエネルギー様式が、指で感知できる信号を配信するために使用できる。したがって、スキャナを双方向通信デバイスに変換するという考え方は、様々な形式のスキャナに適用できる。センサがアクチュエータとしても機能する場合、センサは供給されたエネルギーへの応答を検出できる。例えば、超音波指紋センサは、超音波指紋センサによって供給されるエネルギーに応じて、様々な生存パラメータ(組織の硬直性および/または温度など)がどのように変化するかを検出することもできる。
【0235】
センサおよびアクチュエータは、認証のために指を収容するように構成された表面の下に実装することができる。センサおよびアクチュエータは、1つまたは複数のガラス層および/または加工ガラス層の下に配置できる。指を認証しているデバイスの表面に指を置いた状態で、対話型生体認証を実行できる。
【0236】
特定のアクチュエータは、認証されている人に知覚可能なエネルギーを送達することができる。一例として、超音波指紋センサは、人からの応答(例えば、立ち上がること)を促すように感じることができる触覚エネルギーを指に提供することができる。他のいくつかのアクチュエータは、識別されている人には感知できないエネルギーを供給することができる。例えば、超音波指紋センサは、人間には知覚できないが、指の認証に使用される応答として検出できる程度の熱を発生させることができる。
【0237】
双方向通信は、指がスキャンされている超音波センサと同じ場所からの異なる生存測定値を備えた1つの統合されたデバイスによって実装することができる。
【0238】
双方向通信は、異なる生存測定と対話性を使用して実装され得て、指紋と同時に同じ場所で実行することができる。これにより、異なる生存パラメータを同じユーザに関連付けることができる。
【0239】
双方向通信は、人を認証するために異なるデバイスを使用して実装され得る。例えば、認証されている人は、あるデバイスから別のデバイスと対話するように促され得る。2つのデバイスが電話とタブレットである実施形態において、タブレットを指で押すように、人を電話で促すことができる。
【0240】
双方向通信により、スキャナの安全性および/またはセキュリティを強化することができる。対話型の認証セッションまたはプロセスを使用すると、過去のサインインを使用した詐欺師による偽の認証を防止できる。認証中にスキャナによって送信された信号によって、ユーザは多要素認証の追加アクションで応答する場合がある。信号は、事前に簡単に予測できない時間に送信できる。アクチュエータは様々な応答を促すことができる。一部の応答は、不随意であり得る。例えば、エネルギーがアクチュエータに加えられることに応答して、指が加熱され得る。特定の応答には、ユーザの随意アクションを含み得る。例えば、応答は、事前の合意によって合意された別の指のスキャン、一連の数字の入力、またはシステムのセットアップ時の以前にすべて合意されていた他の考えられるアクションもしくは多くのアクションを行うことであり得る。他のタイプの励起は、ユーザからコード化された応答を引き出すコードであり得る点字を指の下に作成することである。これらの認証プロンプトは、事前の同意なしにランダムに生成でき、プロセッサ、メモリ、および関連ソフトウェアによって認識および記録できる。そのようなプロセッサ、メモリ、または関連ソフトウェアも、本明細書で開示される技術の1つ以上の適切な特徴を具現化することができる。これらのタイプの応答のいずれかを検出すると、単に指紋を検出するよりも安全な認証方法を作成できる。
【0241】
指紋は通常変化しない。したがって、指紋が偽造された場合、パスワードのように簡単に変更することはできない。双方向通信では、生身の指または生身のユーザの側面を、堅牢な認証を提供する利点として使用できる。特定の作動により、偽装が困難な可能性のある多要素認証で検出および使用され得る不随意な生物学的反応が生じる可能性がある。場合によっては、作動への応答がユーザの脳に関与し、多要素認証で検出および使用ができるようにするために、ユーザが特定のアクションを実行する。このような応答は、なりすましに対して特に困難であり得る。
【0242】
本明細書で説明する双方向通信の原理および利点は、認証を使用して安全なデータまたは情報にアクセスする任意の適切なデバイス、システム、または方法で実装することができる。アプリケーションの例には、電子デバイス、銃、および車または家のドアの鍵の安全な認証が含まれる。その他のアプリケーションには、スマートカード(統合チップを含むクレジットカードなど)が含まれる。本明細書で説明される任意の適切な原理および利点は、スマートカードに実装することができる。スマートカードは、超音波指紋センサなどの指紋スキャナを含むチップを含み得る。場合によっては、スマートカードは、超音波生体感知のために、カードの主表面のほぼ全体または全体の上に圧電膜(例えば、酸化亜鉛膜)を含み得る。いくつかの追加アプリケーションには、運転手の生体情報(心拍数など)をチェックして、運転手が怒り、不安、酔っぱらい、またはそれらの適切な組み合わせであるかどうかを判断する車のハンドルを含む。
【0243】
したがって、開示された技術によって可能になった「生存」測定によって、対話性にすることができる。これにより、ユーザの指紋スキャン、または網膜スキャン、パルス、温度、心電図、またはユーザの他の識別子のデジタル表現を取得した詐欺師による不正アクセスを取得する試みを阻止することを目的とする堅牢な認証のためのリアルタイムの対話が可能になる。このようなセキュリティシステムは、例えば、ウェブサイトデータベース、ビルへのアクセス、または武器の使用を制御するために使用できる。認証プロセス中にランダムな相互作用が必要な場合、以前の認証セッションのコピーは、アクセスをするのに十分ではない。
【0244】
開示された技術は、以下の3つのタイプの認証要素、すなわち、知識要素、所有要素、および固有要素のうちの1つ以上を使用できるシステムを含む。知識要素には、個々のユーザにのみ知られている(または知られるべき)パスワードと個人識別番号(PIN)が含まれる。所有要素には、キー、フォブ、スマートフォン、またはYubiKeyなどの物理暗号キーが含まれる。固有要素または生体認証には、指紋、虹彩、または顔のスキャン、歩行、心拍、または他の生体インジケータが含まれる。これらの3つのタイプの要素のうちの1つだけに依存するシステムは、これらの要素の2つ以上を使用するシステムより脆弱である。例えば、パスワードが盗まれたり、フォブが複製されたり、生体認証がデジタル的に模倣されたりすることもあり得る。
【0245】
2要素認証は、3つのタイプの認証要素のうちの2つからの認証を含むことができる。例えば、2要素認証システムでは、ユーザがパスワードなどの知識要素を入力し、携帯電話、Yubikey、またはDuoアプリなどの所有要素を持つことに基づく認証を伴い得る。この例では、ユーザのパスワードを有する攻撃者は、ユーザの携帯電話またはフォブを持っていなければ、阻止され得る。同様に、ユーザの携帯電話を持っていても、そのパスワードを有さない攻撃者は認証できない。
【0246】
3要素認証は、知識、所有、および固有の3つの要素すべてからの認証を含み得る。表面のみの指紋は、犯罪容疑者を識別するために数十年にわたって使用されてきた。このような指紋は、「ミッションインポッシブル」およびジェームズ・ボンドの映画に描かれているように、表面から除去したり、あるいは認証システムを欺くためにデジタルでコピーしたりできる。内部構造の特徴と指紋表面をキャプチャする3次元指紋は、表面から簡単に除去したり、あるいはデジタルでコピーしたりすることはできない。攻撃者は認証プロセス中にどの刺激が適用されるかを必ずしも事前に知らないため、刺激に応じて変化する固有特性または生体特性を使用することにより、セキュリティのレベルが向上する。
【0247】
指紋または虹彩スキャン認証を導入することに関する1つの懸念は、例えば戦争地帯の攻撃者が認証システムを無効にするために身体部分を除去する可能性があることである。この恐ろしい可能性によって、切断された指、死人の指、義指、または指のデジタル表現とは対照的に、スキャンされた指が無傷で生身のユーザに付随しているかどうかをテストすることの重要性が浮き彫りになる。
【0248】
開示された技術には、放射線、圧力または熱を介してニューロンを活性化し、固有の特徴または生体の変化を引き起こすアクチュエータで生存測定する方法が含まれる。開示された技術には、ユーザにアクションを起こすように促すことにより、生存測定する方法がさらに含まれる。ユーザの脳とのこの相互作用は、ユーザの脳への神経学的接続があるので、固有の要素を検証するのに役立つために、指がユーザに付随する生身の指であることを判断するのに役立つ。
【0249】
例えば、開示された技術の実施形態によってスキャンされるユーザは、指紋が認証されている間にパルスをスキャンすることができ、二要素認証のために、ユーザはスキャナにつかまって立つように求められる。デバイスは、心拍数の変化および/または立った結果を変化する別のパラメータを測定する。触覚エネルギーは、ユーザが感じることができ、ユーザに、指を離すこと、スキャナを押し下げることなどのアクションを実行するように促すことができる。この動作は、指がスキャナに加える力として、あるいは画面上で文字または単語をタイプすることによって登録される。触覚エネルギーは、MEMSデバイスによって作動し、ASICなどのコントローラによって制御され得る。触覚エネルギーに応じた不随意または随意な指の動きは、指紋センサによって検出され得る。
【0250】
特定の用途において、開示された技術の実施形態によってスキャンされるユーザは、血中酸素レベルを増加させるはずである深呼吸を何回かするように促された後に、自分の血中酸素レベルを取得することができる。代わりに、血中酸素濃度を低下させるはずである息を止めることを行うように促すこともできる。血中酸素濃度の変化は、プロンプト前後の血中酸素測定値の比較に基づいて判断できる。一実施形態において、スキャン中のユーザの呼吸パターンは、瞬間心拍数などの心拍数と相関させ得る。一実施形態において、スキャン中のユーザの呼吸パターンの変化はプロンプトに応答して分析され、プロンプト前後の瞬間心拍数と相関する。
【0251】
指紋、網膜スキャン、パルスまたは他の測定値を含む「生存」している許可されたユーザの以前のセッションのデジタル表現は、場合によっては、予測可能な認証セッションにアクセスするために使用され得る。例えば、セッションごとに触覚エネルギーパターンおよびタイミングをランダムにまたは予測不可能に変化させることにより、以前のセッションのデジタル表現は、不正アクセスをするのに十分ではない。
【0252】
一部のユーザは、パスワードとは異なり、指紋は容易に変更できないので、スマートフォンなどのポータブルコンピューティングデバイスをロック解除するために指紋を使用したがらない。盗まれたパスワードは容易に置き換えることができるが、誰かが指紋のデジタル肖像を盗んだ場合、指紋は容易に変更されない。開示された技術は、(「肖像」が盗まれることを心配する人のために)ネガティブからポジティブへの指紋の一意性を組み込み、ユーザ固有の指紋やその他の指の特徴が関係する「生存」測定およびランダムまたは予測不可能な認証操作を追加することにより、誰かが指紋をコピーするという問題を緩和する。
【0253】
ユーザがユーザであり、ユーザのパスワードを表す0と1または高度な生体表現を銀行に送信する詐欺師ではないことを認証する1つの解決策は、ユーザを検証するために第二の要素認証(2FA)を追加することである。現在の2FAでは、認証にパスワードと2番目の要素の両方を使用している。第二の要素の例には、例えば、ユーザの携帯電話にテキスト送信される番号、ユーザに電子メールで送信されるコード、またはユーザが以前に提供した質問に対する正解が含まれる。一部の第二の要素の認証では、第二のデバイスを使用する。
【0254】
しかしながら、既存の2FA方法は、パスワードを入力した後にユーザが入力する第二のデバイスにテキスト送信される乱数を含め、ハッキングされる可能性がある。さらに、既存の2FAまたは多要素認証方法は、時間がかかるため、またはユーザにとって困難であるため、あるいは第二のデバイスを必要とするため、多要素認証方法を使用しているユーザは少ない。
【0255】
開示された技術には、スキャンされている瞳孔の不随意の筋肉収縮を引き起こす明るい光に似て、あるいは目を閉じるようにという認証コマンドに続いて目が閉じたことを認識する顔認識システムに似て、デバイスが指紋に影響を与え得る対話型アプローチが含まれる。開示された技術には、ユーザと相互作用し、検出可能な応答を引き起こすアクチュエータが含まれる。相互作用には、加熱、冷却、振動、光の照射、音の放出、またはユーザに影響を与える他の適切な刺激が含まれる。アクチュエータは指紋センサによって実装され得る。場合によっては、アクチュエータは、指紋センサとは離されて、コンピューティングデバイスのその他の機能(デバイスの振動など)を実行する携帯電話などのコンピューティングデバイスのハードウェアを含み得る。応答は、不随意のことも、あるいは随意のこともあり得る。心拍数や脈拍数の変化などの不随意な応答は、ユーザには明らかでないことさえあり得る。不随意な応答は、指紋隆線または内部指紋構造の変化に関連し得る。随意な応答には、指の直接的な動き、指の圧力、またはタッチ、タイピング、または音声によるユーザインターフェイスへの情報の入力が含まれる。
【0256】
刺激は予測不可能であり得(例えば、ランダムおよび/または統計的ランダム性を示し)、複数のステップであり得、予測可能な随意または不随意の応答を引き出し得るため、開示された技術は堅牢な認証を可能にする。刺激または方法シーケンスは、例えば、ランダム化アルゴリズムによって、および/または乱数発生器を使用して、ランダムに選択することができる。例えば、触覚刺激は、振動間の間隔、振動の数、振動の持続時間、刺激の位置、または刺激のパターンに関して予測できないほど変化し得る。同様に、異なる加熱刺激も可能である。ユーザは、もう一方の手のひらにすばやく指をこすり付けてから、指紋センサに戻すように促され得る。その後、より高い温度を測定できる。この種の相互作用を予測することは非常に困難である。ユーザは、デバイスの向きを変えたり、特定の方向に移動したり、または指をひねるように促され得る。これらのアクションのそれぞれは、例えば、指の隆線間隔または指の超音波画像の取得セットでフレームからフレームへの指の点の動きを定量化することにより、感知および分析できる予測可能な結果をもたらす。
【0257】
一実施形態において、ユーザは、本明細書に開示される原理および利点のいずれかに従う生体タッチスキャナを含む銀行支店のコンピュータおよびユーザの携帯電話などの2つの併置されたデバイスを使用して認証され得る。ユーザは、次いで、デバイスがユーザの温度、脈拍数、および/またはパルス酸素濃度計の読み取りなどの対応する測定値で、同じユーザの指紋を読み取っているのを確認することによって認証される。
【0258】
このアプローチは、特定のドルの閾値を超える共同署名ワイヤを必要とする銀行に類似したシステムにおいて、同じ場所にいる2人のユーザに拡張することができる。両当事者は、一方が口座所有者であり、もう一方が連帯保証人であることを示すアプリケーションを使用してサインオンできる。両当事者は、自分の脈拍、体温、酸素レベルなどのうちの1つ以上を自分の生体パラメータの1つ以上として、自分の指紋を検証する。銀行または他のオンラインサイトからのプロンプトが表示されると、当事者はデバイスを切り替え、切り替え後に、各ユーザについて、指紋と1つ以上の生体パラメータが検出される。指紋と生体レベルが一致する場合、ユーザは認証される。
【0259】
デジタル透かしおよび暗号化を導入することにより、セキュリティのレベルを上げることが可能になり、生体データおよび相互作用が組み合わされて、デジタル透かしを形成し、データストリーム内で暗号化される。例えば、そのようなデジタル透かしおよび暗号化は、
図67および/または
図68のシステムのデータストリームの中に導入することができる。透かしと暗号化により、データストリームの中断もしくは一時停止、またはブレークに気付くことができるため、カットアンドペースト操作の検出が可能になる。例えば、銀行が指を除去する必要があることをユーザに認識させるための触覚エネルギーパルスプロンプトを発生させる場合、詐欺師は、認証されるために、指を除去することと同等に、ほぼ即座に0と1を送信する必要があり、その後、パルスを変更する立ち姿勢のプロンプトに応じて必要な0と1、または押し下げられるユーザの指紋を表す0と1を送信する必要がある。透かしと暗号化は、詐欺師が対話型のプロンプトに着いていこうとするときに、データの流れのスプライスまたは中断を検出できるように設計される。
【0260】
開示された技術の実施形態は、生存を判定する認証を含む認証のために改善されたデバイス、システム、および方法に関する。そのような実施形態は、感知デバイスの収容表面上の指先が、人工装具、生身でない指、または生身の指の代わりに認証しようとする他のオブジェクトではなく、実際の生身の指であるかどうかの判定に関する。
【0261】
開示された技術は、いわゆる「リプレイ」攻撃でリモートデバイスをスプーフィングする詐欺師に関連する問題に対処することができる。例えば、詐欺師は、新しい生体スキャンからの認証セッション中に使用されるデジタル署名をリプレイすることにより、認証方法を騙そうとし得る。さらに、特定の生体スキャンは、トロイの木馬を使用して偽のテンプレート(つまり、認証時に指紋または顔のアルゴリズムと一致するテンプレート)を追加して、認証プロセスを回避する詐欺師を止めることはできない。スキャナとユーザ間の双方向通信では、デジタル署名または偽のテンプレートを使用してスキャナを騙すこと、またはそのスキャナを騙そうとする他の試みは、さらに著しく困難である。
【0262】
送信中に、詐欺師は、電話と銀行との間の送信を攻撃し、銀行またはクラウドサイトに保存されたテンプレートを改ざんし得る。顔認識または虹彩スキャンなどの指紋スキャンに加えて生体スキャンを含むコンピューティングデバイスは、依然として偽のテンプレートまたはリプレイ攻撃に騙される可能性がある。
【0263】
したがって、これらの認証問題を克服する方法として、認証セッション中に複数のスキャンが行われる、対話型の実行が簡単なシステムに対するニーズがある。開示された技術は、認証のために生体測定値と要素を異なる生体デバイス間の相互作用と組み合わせる。
【0264】
「ミッション・インポシブル」のエージェントとジェームズ・ボンドが指紋を複製して認証者を欺くように、リプレイ攻撃との対話性を欠く既存のシステムに侵入することが可能であるため、開示された技術は、ランダムで予測不可能な認証用対話型セッションのために、感知と実行を含む双方向通信を導入する。例えば、開示された技術は、指紋デバイスと別の別個の生体デバイスで脈拍などの共通要素を測定できる。各デバイスが、例えば指紋認識、虹彩認識、顔認識、または網膜認識と組み合わされたメイン認証プロセス中にパルスを測定する。
【0265】
例示的な実施形態は、指紋センサと、アクチュエータと、指紋センサによって生成された指の画像およびアクチュエータによって送達されたエネルギーに対して検出された応答に基づいて指を認証するように構成されたプロセッサを含む。特定の実施形態において、指紋センサはアクチュエータを実装し得る。ここで、図面を参照して様々な実施形態を説明する。
【0266】
図69は、超音波トランスデューサアレイ400の下に光源560アクチュエータを含む双方向通信を備えた生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示し、この超音波トランスデューサアレイ400は、指を置くことができる収容表面を有するガラス410の下にある。一実施形態において、光源560は、
図68に関して上述したような光学システム550のコンポーネントである。
【0267】
図70は、
図69の実施形態示し、
図69では、光源560アクチュエータは、超音波トランスデューサアレイ400およびガラス410を介して、ガラス410の収容表面上にある指105に光を送信する。光源560は、収容表面上にある指105の少なくとも一部分を温度Tから温度Τ+ΔΤまで加熱するのに十分な波長、持続時間、および電力レベルで光を放出する。ここで、Tは室温および/または指の温度に近い場合があり、ΔΤは、生体ソーススキャナによって検出可能であるのに十分である。温度変化ΔΤは、人が認識できるが、人の指を火傷するほど大きくはない。例えば、華氏スケールでは、ΔΤは10分の1度から数度まで変化し得る。温度変化ΔΤは、特定の用途において超音波トランスデューサアレイ400によって検出することができる。温度変化ΔΤは、場合によっては光源560を含む光学システムの光センサによって検出することができる。
【0268】
温度差ΔTから、指105の組織の比熱を検出することができる。温度や比熱の変化は、生身の指と、偽の指や生身でない指など、生身の指の代用され得る他のオブジェクトとは異なる場合がある。プロセッサは、温度差ΔΤが生身の組織に関連する予想温度差と一致するかどうかに基づいて指105を認証することができる。また、プロセッサは、超音波トランスデューサアレイ400を使用して生成された指105の画像を使用して、指105を認証することができる。
【0269】
超音波トランスデューサアレイは、アクチュエータおよびセンサとして使用され得る。
図71および
図72は、超音波トランスデューサアレイがセンサおよびアクチュエータとして使用される実施形態を示している。これらの実施形態において、超音波トランスデューサアレイは、エネルギーをオブジェクトに送達することができ、オブジェクトに送達されたエネルギーに対する応答も検出することができる。超音波トランスデューサアレイは、
図71および
図72の超音波加熱に応答して温度の変化を検出することができるが、超音波トランスデューサアレイは、圧力に対する応答など、印加された超音波エネルギーに対する様々な他の応答も検出できる。さらに、
図71および
図72の超音波トランスデューサアレイは、指紋の認証にも使用できる。
【0270】
図71は、点集束超音波ヒータ710を含み、双方向通信を備えた生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示し、点集束超音波ヒータ710は、超音波トランスデューサアレイ400からガラス410を通して超音波をガラス410の収容表面上にある指の点(例えば、比較的小さな領域、ドット、またはピクセル)に集束させ、点集束超音波エネルギーが指を徐々に加熱する。点集束超音波ヒータ710は、180°位相がずれている対向電極に励起を入力し、各組の電極で集束超音波エネルギーを送信することができる。加熱中の領域の指の温度の変化は、指を認証するために使用できる超音波トランスデューサアレイ400を使用して検出することができる。
【0271】
図72は、線集束超音波ヒータ720を含み、双方向通信を備えた生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示し、線集束超音波ヒータ720は、超音波トランスデューサアレイ400からガラス410を通して超音波をガラス410の収容表面上にある指の線(線形領域)に集束させ、線集束超音波エネルギーが指を徐々に加熱する。線集束超音波ヒータ720は、アレイの片側に励起を入力する。加熱中の線形領域の指の温度の変化は、指を認証するために使用できる超音波トランスデューサアレイ400を使用して検出することができる。
【0272】
他のアクチュエータは、超音波指紋センサなどの指紋センサと統合することができる。例えば、抵抗ベースの温度センサは、抵抗ベースの加熱を指に適用して、温度の変化を感知できる。
図73~
図75は、指紋センサを備え、アクチュエータと統合された対話型生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示す。
【0273】
図73は、抵抗ベースのヒータ730を含み、双方向通信を備えた生体タッチスキャナの例示的な実施形態を示し、抵抗ベースのヒータ730は、超音波トランスデューサアレイ400の電極(上部および下部金属電極)を介してガラス410を通って、ガラスの収容表面上にある指に電流を送り、ユーザの指先で熱感を作り出すことができる。
【0274】
図74は、
図73の生体タッチスキャナで指105を加熱することを示す。抵抗ベースのヒータ730は、指730を加熱して、指105の一部または全部の温度を温度Tから温度T+ΔTに上昇させることができる。場合によっては、Tは室温に比較的近く、ΔΤは人が識別できるのに十分であるが、人の指を火傷するほど大きくはない。抵抗は、代替的または追加的に、トランスデューサデバイスの電極とは別の電極を使用して実装することができる。
【0275】
図75は、
図73および
図74の実施形態の動作を示す。
図75の左側部分においては、電流は流れておらず、収容表面上にある指の温度は、温度Tである。温度センサは、この状態で温度Tを検出することができる。
図75の右側部分においては、電極に電流が流れ、抵抗ベースの加熱が発生し、ガラスを介してガラス上にある指に熱が放出され、収容表面上にある指を、T+ΔΤに加熱する。温度センサは、この状態で温度T+ΔΤを検出できる。プロセッサは、指105を認証するために、この温度変化を使用することができる。プロセッサは、認証でトランスデューサアレイ400を使用して生成された指105の画像を使用することもできる。
【0276】
対話型生体認証は、携帯電話などの無線通信デバイスで実行することができる。無線通信デバイスには、信号を無線で送信および/または受信するための1つ以上のアンテナが含まれる。携帯電話には、通常、液晶ディスプレイ(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイなどのディスプレイが含まれる。本明細書で開示される指紋センサは、携帯電話のディスプレイの下に配置することができる。携帯電話には、また、指を収容するように構成された表面を有する加工ガラスおよび/または指を収容するように構成された表面の下にある加工ガラスも含むことができる。本明細書で開示される指紋センサは、携帯電話の加工ガラスの下に配置することができる。
図76~
図81に示す携帯電話には、それぞれ、1つ以上のアンテナ、ディスプレイ、および指紋センサが含まれる。これらの携帯電話はいずれも、本明細書に開示されている任意の適切な原理および利点に従って光学システムと統合された指紋センサを含み得る。
【0277】
図76~
図81は、アクチュエータによって送達されるエネルギーに応じたユーザの随意応答に関連する双方向通信シナリオの代表的な動作を示している。場合によっては、随意アクションを伴う認証は、ユーザの脳を引き付け、特定のアプリケーションでの不随意応答よりもさらに騙すのが困難な堅牢な認証を提供できる。第一の例示的なシナリオは、
図76~
図79に示されている。第二の例示的なシナリオは、
図76、
図77、
図80および
図81に示されている。
【0278】
図76は、生体タッチスキャナと、心拍数、パルス酸化レベル、血流、温度、双方向認証、および指紋検出を測定または表示するためのディスプレイを含む例示的な携帯通信デバイスのユーザインターフェイスを示す。
図76~
図81の双方向通信シナリオの第一の動作では、デバイスは、ユーザに指をスキャンするように促す。
【0279】
図77は、
図76~
図81の双方向通信シナリオの中間動作を示しており、ユーザが指をスキャンしている。生体タッチスキャナは、生体情報を抽出し、生体情報を表示する。例えば、
図77において、生体情報には、指紋、100bpmの心拍数、98%のパルス酸化測定値、5cm/sの血流推定値、および37℃の体温が含まれる。例示された生物学的情報および/または他の適切な生物学的情報の任意の組み合わせなど、任意の適切な生体測定情報をユーザに提示することができる。緑色の楕円形などの配置インジケータは、指先がセンサに適切に配置され、生体情報が取得された場合、フィードバックを提供する。スキャンされた指紋のテンプレート画像は、緑色の楕円内に表示され得る。このテンプレート画像は、指が適切に置かれていることと、指紋が取得されたことをユーザに知らせるが、必ずしも指紋自体を表示する必要はない。
【0280】
図78は、
図76~
図79の双方向通信シナリオの中間動作を示す。デバイスは、生体情報をスキャンした後、加熱、放射、圧力、神経刺激、または任意の他の適切な手法により、アクチュエータを使用して、ユーザの指先に感覚を生成する。次に、ユーザは、感じる感覚に対応する入力を提供するように求められる。感覚は、パルスカウント、感覚が生成される場所、感覚の方向、指に提供される感覚の形状など、またはそれらの任意の適切な組み合わせに対応し得る。
図78では、形状Aに対応する感覚がユーザの指先に描かれている。ディスプレイは、双方向認証の対話型形式として、ユーザが感じた感覚に対応する形状を入力するようにユーザに促す。作動は、双方向認証エントリが事前に予測できないように決定することができる。
【0281】
図79は、
図76~
図79の双方向通信シナリオの別の動作を示す。
図78のプロンプトに応答して、ユーザは指先で感知された形状、この例ではAを入力する。ユーザが指に適用された作動形状と一致する形状を入力する場合、ユーザは認証される。
【0282】
図80は、
図76、
図77、
図80および
図81の双方向通信シナリオの中間動作を示す。デバイスは、生体測定をスキャンした後、加熱、放射、圧力、神経刺激、または他の適切な手法により、アクチュエータを使用してユーザの指先に感覚を生成する。次いで、ユーザは感じた感覚を入力するように求められる。感覚は、パルスカウント、感覚が生成される場所または角、超音波ビームの方向(上から下など)、または指に描かれた感覚の形状に対応し得る。
図80では、3つのパルスに対応する感覚がユーザの指先に適用される。ディスプレイは、感知したパルスの数を入力するように、ユーザに促す。作動は、双方向認証エントリが事前に予測できないように決定することができる。
【0283】
図81は、
図76、
図77、
図80および
図81の双方向通信シナリオの動作を示す。
図80のプロンプトに応答して、ユーザは、自分の指先で感知されたパルス数の表示を入力する。ユーザが正しいパルス数(すなわち、この例では3)を入力すると、ユーザは認証される。
【0284】
この2つのシナリオは、双方向、三方向、またはより高いレベルの多方向認証の代表である。ユーザの生体的側面の特定、指紋、および作動に対して検出された応答を組み合わせることにより、生体測定が使用されていないシステムでの認証よりも強力な認証形式が可能である。
【0285】
図82は、指が生身の人に付随する特性を示すかどうかを判定する双方向通信シナリオを示す。生身の指は、心拍数、血流、温度、末梢血酸素量などの生体測定値を提供できる。これらの生物学的測定値のいくつかを使用して、指を認証できる。例えば、偽の指が、生身の指を模倣する前述の生物学的測定値のうち少なくとも3つを有することは考えられない。人工指、デジタルシミュレーション、または生身でない指のいずれかを使用して、これらの測定値の1つ以上をシミュレートすることは可能であるが、認証の測定値を組み合わせて使用することで、誤識別の可能性が著しく増加する。
【0286】
図82は、指が生身のものであるかどうかを判定するシステムの能力を示している。生身の指ディスプレイ7650には、心拍数、パルス酸素濃度(SpCh)、血流、および体温の生体測定値が含まれ、これらはすべて通常の範囲内にある。生身の指ディスプレイ7650には、タッチ圧力とユーザの指紋も含まれまる。それに比べて、偽の指ディスプレイ7660は、生体特性を登録しない。指紋が正確であるように見えても、心拍数または他の生体特性が通常の制限内にある可能性は低いため、生身でない指を使用してシステムを騙す試みは成功しない。予想温度と有効な指紋を含む人工指は、すべての生体認証機能をシミュレートでき得るか、あるいはでき得ない。さらに、人工指は、例えば、
図76~
図81のシナリオで説明されているように、感知されたパルスの形状または数に関するプロンプトに応答するのが特に難しいこともあり得る。統計的なランダム性を示すように生成されたプロンプトへの対応は、人工指にとって特に困難なことがあり得る。このようなプロンプトは、アルゴリズムによってランダムに生成できる。
【0287】
図83は、指を収容するように構成された表面8305、指紋センサ8310、および光学システム550を備えた例示的な生体感知デバイス8300を示す。指紋センサ8310は、表面に接触している指の指紋の少なくとも一部分の画像を示すデータを生成する。指紋センサ8310と統合された光学システム550は、指紋センサを通して表面に光を送信するように構成されている。生体感知デバイス8300は、生体測定センサの特徴を本明細書で説明する統合光学システムと任意の適切な組み合わせで実装することができる。生体感知デバイス8300は、本明細書で説明する対話型生体スキャナの1つ以上の特徴を実装することができる。
【0288】
図84は、指を収容するように構成された表面8305、超音波トランスデューサ405、光学システム550、および1つ以上のプロセッサ8410を備えた例示的な生体感知デバイス8400を示す。超音波トランスデューサ405は、表面に超音波信号を送信するように構成される。光学システム550は、超音波トランスデューサ405と一体化される。光学システム550は、表面に光を送信し、表面に接触している指から反射された光を受信するように構成される。1つ以上のプロセッサ8410は、指からの超音波信号の反射に基づいて、指紋の少なくとも一部分の画像を生成するように構成される。1つ以上のプロセッサ8410は、受信した光に基づいて、生存パラメータを生成するように構成される。生体感知デバイス8400は、超音波トランスデューサの特徴を本明細書で説明する統合光学システムと任意の適切な組み合わせで実装することができる。生体感知デバイス8400は、本明細書で説明される対話型生体スキャナの1つ以上の特徴を実装することができる。
【0289】
図85は、ユーザを認証する方法8500のフローチャートである。ブロック8510で、方法8500は、指紋センサによって指に信号を送信する。ブロック8520で、方法8500は、指に送信された信号に関連する受信信号に基づいて、指の少なくとも一部分の画像を生成する。ブロック8530で、方法8500は、指紋センサを介して指に光を送信する。ブロック8540で、方法8500は、指からの光の反射に基づいて、生存パラメータを生成する。ブロック8550で、方法8500は、画像と生存パラメータに基づいて、ユーザを認証する。方法8500は、本明細書で説明する統合光学システムを備えた生体センサの1つ以上の特徴を備えたシステムを使用して実行することができる。さらに、本明細書で説明する対話型双方向通信の任意の適切な特徴は、方法8500で実行することができる。
【0290】
図86は、センサ8610、アクチュエータ8620、およびプロセッサ8630を備えた例示的な対話型生体感知システム8600を示す。センサ8610は、オブジェクトに関連する生体画像を生成するように構成される。生体画像は、指の少なくとも一部分の画像であり得る。そのような画像は、指の表面または指の内部構造のものであり得る。代替として、生体画像は、顔または虹彩の少なくとも一部分のものであり得る。アクチュエータ8620は、オブジェクトにエネルギーを供給するように構成されている。プロセッサ8630は、生体画像およびアクチュエータによって送達されるエネルギーへの応答に基づいて、オブジェクトを認証するように構成される。
【0291】
図87は、オブジェクトを収容するように構成された表面8305と、センサ8710とを備えた、例示的な対話型生体感知デバイス8700を示す。表面8305は、オブジェクトを収容するように構成される。センサ8710は、オブジェクトが表面にある間にオブジェクトに関連する生体情報を生成し、オブジェクトにエネルギーを送達し、送達されたエネルギーに対する応答を検出するように構成される。したがって、センサ8710は、センサとアクチュエータの両方として機能する。
【0292】
図88は、ユーザを認証する方法8800のフローチャートである。ブロック8810で、方法8800は、指紋センサによって、指を収容するように構成された表面に信号を送信する。ブロック8820で、方法8800は、指に送信された信号に関連する受信信号に基づいて、指の少なくとも一部分の画像を生成する。ブロック8830で、方法8800は、エネルギーを指に送達する。ブロック8840で、方法8800は、指に送達されたエネルギーに対して検出された応答に基づいて、生存パラメータを生成する。ブロック8850で、方法8800は、画像と生存パラメータに基づいて、ユーザを認証する。本明細書で説明する対話型双方向通信の任意の適切な機能は、方法8800で実行することができる。
【0293】
図89および
図90は、少なくとも部分的に透明であり、光学システムの光を通過させる指紋センサを備えた例示的な実施形態を示している。指紋センサは、少なくとも部分的に透明な超音波トランスデューサアレイを含み得る。超音波トランスデューサアレイは、光学的に透明な指紋センサとして構成され得る。超音波トランスデューサアレイは、完全に、実質的に完全に、または部分的にのみ透明な材料から形成され得る。
【0294】
光学システムと超音波指紋スキャナが一緒に配置される構成(例えば、
図81~
図91の配置のように)は、認証プロセスのなりすましを有益に防止し得る。特に、そのような構成は、高品質のダミー指紋の影響を比較的受けない可能性があり得る。例えば、ダミー指紋は、画像化される指またはオブジェクトのより深い深度に関連付けら得る光学システムからの読み取りに従って生身の指として登録されないからである。そのような実施形態では、詐欺師がデバイス上の他の場所に生身の指を置いたとしても、システムはなりすましの試みを識別することができ得る。
【0295】
図89は、生体感知デバイス8900の例示的実施形態を示し、このデバイスでは、(光学システム550などの)光学システム用の光源560が超音波トランスデューサアレイ400の下に配置され、光学システム用の光学センサ570が超音波トランスデューサアレイ400の上に配置されている。光源560は、LEDまたはOLEDなどの赤外線高原および/または可視光源であり得る。光源560は、2つ以上の異なる波長の光を透過するように構成され得る。超音波トランスデューサアレイ400は、指紋センサとして構成され得、光源560からの光に対して少なくとも部分的に透明であり得る。光学センサ570は、赤外線および/または可視光に敏感な光検出器であり得、部分的に音響的に透明(例えば、指紋センサ400の動作を可能にするため)で、少なくとも部分的に光学的に透明(例えば、光源560からの光が光源560から指105に向かう途中でセンサ570を通り抜けるようにするため)でもあり得る。光検出器570は、デバイス8900内に指105を収容するための表面を含むことができる。
【0296】
図示されるように、
図89のデバイス8900は、光検出器570と超音波トランスデューサアレイ400との間に透明基板8910を含むことができる。基板8910は、ガラス410または任意の他の適切な透明材料(例えば、超音波トランスデューサアレイ400および光源560を含む光学システムの動作を可能にする適切な光学特性および音響特性を有する任意の材)から形成され得る。
【0297】
図90は、生体感知デバイス9000の例示的な実施形態を示し、このデバイスにおいて、光源560および光学センサ570を含むことのできる光学システム550は、超音波トランスデューサアレイ400の下に配置されている。
図90の例において、光学システム550は、音響的に透明である必要はない。
【0298】
図91は、生体感知デバイス9100の例示的な実施形態を示し、このデバイスにおいて、光学システム550は、超音波トランスデューサアレイ400と統合され、その上に配置されている。
図90の例において、光学システム550は、超音波トランスデューサアレイ400が光学システム550を通して指105を撮像またはスキャンできるように、少なくとも部分的に音響的に透明であり得る。
図91の例において、超音波トランスデューサアレイ400は、光学的に透明である必要はない。
【0299】
図92は、超音波トランスデューサアレイ400ならびに光学システム550aおよび550bを含む生体感知デバイス9200の例示的な実施形態を示す。1つの光学システム550bは、デバイス基板410内のトランスデューサアレイ400から横方向に配置される。トランスデューサアレイ400は、他の光学システム550aと、指を収容するるように構成された生体感知デバイス9200の表面との間に配置される。指紋センサから離れて配置された
図92の光学システム550bは、指105をスキャンし、指105内の静脈および/または1つ以上の他の生体パラメータを検出することができる。静脈のパターンは、ユーザを認証および/または識別するために使用され得る。光学システム550bは、赤外線(IR)光源、LED、および1つ以上の受光体などのコンポーネントを含み得る。
【0300】
図93および
図94は、超音波トランスデューサアレイ400ならびに光学システム550aおよび550bを含み、外部デバイス上に配置された少なくともいくつかのコンポーネントを含む例示的な実施形態を示している。
図93および
図94に示されるような実施形態は、ユーザの指紋を共有せずに、かつユーザが別の信頼できないデバイスに指紋をさらす必要なしに、認証または生存を検証するための追加手段または代替手段を提供し得る。例として、外部デバイスは、機械学習-誘導識別パラメータを使用して、またはユーザの指もしくは他の身体部分の静脈パターンもしくは動脈パターンを使用して、ユーザを識別し、および/または生存を確認し得る。さらに、デバイス9200および外部デバイス590(
図93)または595(
図94)のコンポーネントは、指105および関連するユーザの認証の一部として、指105内の静脈のパターンを画像化するために一緒に動作し得る。
【0301】
図93の例において、光学システム550bは光源560を含み、外部デバイスは光学センサ590を含む。光学センサ590は、光源560によって放射される可視光および/または赤外光を使用して、指105を撮像またはスキャンし得る。
【0302】
図94の例において、光学システム550bは、光源560を含み得、また光学センサ570も含み得る。外部デバイスは、光源および/または光学センサを含む外部光学システム595を含み得る。
図94の構成で、指105は、光学センサ570および光源560によって個別にスキャンされ、外部光学システム595によって個別にスキャンされ、またはこれらのシステムの組み合わせを使用してスキャンされ得る。第一の例として、外部光学システム595は、指105を撮像するために、光センサ570によって受信される光を放出し得る。第二の例として、光源560は、指105を撮像するために、外部光学システム595によって受信される光を放出し得る。
【0303】
図93および
図94の例は、吸収パルス酸素濃度計または反射酸素濃度計を含み得る。特に、外部デバイスは、センサ590で、光源560によって放出される可視光および/またはIR光を受信し得、指105の脈拍数および/または血中酸素含有量(例えば、SbCh)などの1つ以上の生体測定パラメータを測定し得る。いくつかの他の実施形態では、外部デバイスは、可視光および/またはIR光を放出し得、開示されたデバイスの光学センサ570は光を受信し得る。さらに他の実施形態では、外部デバイスおよび/または開示されたデバイスは、反射酸素濃度計として独立して動作し得る。
【0304】
スマートカード
図95に示すように、光学的に透明な超音波指紋スキャナ(本明細書に記載された超音波トランスデューサアレイ400など)を含み、超音波指紋スキャナの下に配置される統合光学システム(本明細書で開示された光学システム550など)を有するスマートカード9500が提供され得る。スマートカード9500は、それ単独で、および/または外部デバイス(例えば、カードリーダ)と組み合わせて、本明細書で開示された対話型生体認証の任意の適切な機能を実装することができる。
【0305】
スマートカード9500は、支払目的および/または他の目的に使用されるカードなどの任意の適切なカードであり得る。例として、スマートカード9500は、クレジットカード、デビットカード、会員カード、ポイントカード、身分証明書、セキュリティカード、クリアランスカード、セキュリティカード、アクセスカード、医療カード、保険証などであり得る。スマートカード9500には、カード本体9502が含まれる。カード本体9502は、財布に収まるのに適したサイズを有することができる。スマートカード9500の厚さは、400μm~1000μmの範囲を有することができる。例えば、スマートカード9500は、約760μmの厚さを有することができる。スマートカード9500は、約85.60mm×53.98mmであり得る。スマートカード9500は、特定の場合に、角を丸くすることができる。超音波指紋センサを含むスマートカードの追加の詳細および例は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT特許出願PCT/US2018/029309にも記載されている。
【0306】
スマートカード9500内の超音波指紋スキャナは、認証のためにスマートカード9500を提示するユーザを認証するために使用され得る。指紋スキャナ400は、許可されていない人がカードを使用する可能性を低くするのに役立ち得る。一例として、ユーザはスマートカード9500を使用して商品を購入することを望み、支払システムは指紋スキャナ400を使用してユーザの指紋を同時に検出したときにのみ購入を許可するように構成され得る。
【0307】
いくつかの実施形態では、光学システム550は、認証のためにスマートカード9500を提示するユーザを認証する際に使用され得る。本明細書でさらに詳細に説明するように、光学システム550などの光学システムは、独立してまたは超音波トランスデューサアレイ400などの指紋センサと協働して、アイデンティティおよび/または生存を確認するために使用され得る。光学システム550は、指105内のパルスを感知すること(したがって、生存を確認すること)、指105内の血液の酸素レベルを感知すること(例えば、反射酸素濃度計の原理と同様の原理を使用し、潜在的に生存を確認すること)、指105の静脈のパターンを撮像すること(したがって、アイデンティティを確認し、および/または潜在的な詐欺を少なくともいくつかの形態を防止すること)などをし得る。
これらは単に例示的な例であり、ユーザを認証して不正行為を防止する際に光学システムが超音波システムとどのように機能するかについて本明細書で説明する他の例も、
図95の例などのスマートカードのアプリケーションに適用され得る。
【0308】
特定の実施形態において、スマートカード9500は、回路9510を含むことができる。回路9510は、以下の機能、すなわち、ユーザの指紋の検出を支援すること、光学システム550を使用して認証および/または生存パラメータの検出を支援すること、光学システム550で使用されるユーザの指紋および/または認証もしくは生存情報を(安全な方法で)保存すること、スマートカード9500および/または指紋スキャナ、光学システム550の動作を支援することなど、またはそれらの任意の適切な組み合わせの機能のうちの1つ以上を実行することができる。回路9510には、光電池、バッテリー、コンデンサ、RFハーベスティング回路などの電源が含まれ得る。特定の例では、回路9510には、スマートカードチップ、プロセッサ、メモリ、電力調整回路などのうちの1つ以上を含めることができる。
【0309】
様々な実施形態では、スマートカード9500は、1つ以上の電気経路9514を介して外部デバイス9516と接続する1つ以上の接点9512を含み得る。一例として、スマートカード9500がカードリーダ9516に挿入されるか、そうでなければカードリーダ9516と通信する場合、接点9512はカードリーダ9516と係合し得る。そのような実施形態では、信号は、カードリーダ9516と指紋スキャナ400および/または回路9510との間でルーティングされ得る。これらの信号は、指紋スキャナ400および/または回路9510に電力を供給するための電力信号を含むことができ、指紋スキャン(例えば、ユーザの指紋がリモートで格納される場合)、検証結果(例えば、ユーザの指紋がスマートカード9500にローカルに格納される場合)など、またはそれらの任意の適切な組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、指紋スキャナ400の送信および読出し回路の一部またはすべては、カード9500から除外され、カードリーダ9516の外部回路内に提供され得る。これにより、スマートカード9500のコストと複雑さを低減できる。
【0310】
いくつかの他の実施形態では、スマートカード9500は、回路9510に無線通信回路(アンテナを含む)を含むことができ、ユーザの指紋のスキャンおよび/または指紋検証結果に関連するデータをカードリーダ9516などの外部回路に無線で伝え得る。例として、回路9510は、近接場周波数または他の無線周波数の信号を使用して信号を送信し得る。
【0311】
図95に示すように、超音波スキャナ400および光学システム550は、スマートカード9500のカード本体9502内に埋め込むことができる。いくつかの実施形態では、超音波スキャナ400および光学システム550は、
図95に示すように、ユーザの指105を収容する表面と同一平面に埋め込むことができる。いくつかの他の実施形態では、超音波スキャナ400および光学システム550は、ユーザの指105を収容する表面と反対の表面と同一平面であり得、超音波9506は、スキャナ400によってカード本体9502を介して送信され得る。様々な実施形態において、超音波スキャナ400および光学システム550は、スマートカード9500の容積内に埋め込むことができ(例えば、スマートカード9500の表面と同一平面にない)、カード本体9502を形成する材料によって完全またはほぼ完全に囲まれることができる。必要に応じて、光学システム550は、
図92~
図95の例のように、超音波スキャナ400から離れて配置され得る。さらに他の実施形態では、超音波指紋スキャナ400および/または光学システム550の一部または全部は、スマートカード9500の表面(例えば、ユーザの指105を収容する側と反対側または同じ側)に設けることができる。
【0312】
超音波トランスデューサアレイ400は、圧電ポリマーポリフッ化ビニリデン(PVDF)、酸化亜鉛(ZnO)薄膜、または他の所望の材料などの圧電材料から形成され得る。スマートカード9500の超音波トランスデューサアレイ400は、光学システムからの光がトランスデューサアレイを介して指105に伝播し、指105から反射された光が超音波トランスデューサアレイ400を介して光学システムに伝播できるように、少なくとも部分的に光学的に透明であり得る。ZnO薄膜および/または関連する金属電極は、光学的に透明であり得る。PVDF圧電層は、光学的に透明にすることができる。例えば、十分に薄い(例えば、厚さ9μm未満の)PVDF層は光学的に透明であり得る。いくつかの実施形態では、カード本体9502は可撓性であり得る。いくつかの他の実施形態では、カード本体9502は剛性であり得る。超音波トランスデューサアレイ400は、可撓性であり得る。例えば、PVDFベースの超音波トランスデューサアレイ400は、可撓性であり得る。
【0313】
したがって、少なくとも部分的に光学的に透明である可撓性超音波指紋スキャナは、統合された光学系を備えている。この場合、超音波指紋スキャナは、光源からの光が超音波指紋スキャナを伝搬し、反射光が受光体まで伝搬するのに十分に透明にすることができる。統合光学系を備えたこの指紋スキャナは、スマートカードに含めることができる。
【0314】
図96に示すように、スマートカード9600は、超音波指紋スキャナ400の上に配置されたLED9602などの1つ以上の光源を有することができる。このような構成は、LED9602からの光が超音波トランスデューサアレイ400を通過する必要がないため、指105に比較的大量の光を放出するのを容易にすることができる。図示された超音波トランスデューサアレイ400は、透明であることも、あるいは部分的にのみ光学的に透明であることもでき、したがって、それを通過する少なくともいくらかの光を吸収し得る。そのような大量の光は、指105の静脈パターンを検出するとき、および/または指105の脈拍または血中酸素レベルを測定するときに有益であり得る。
【0315】
別の実施形態では、図示のスマートカード9600と同様のカードは、超音波指紋スキャナ400の下に配置された図示の光学システム550なしで実装できる。そのような実施形態では、超音波指紋スキャナ400は、非光学的に透明または光学的に透明であり得る。
【0316】
モバイルデバイス
図97に示すように、(本明細書に記載の超音波トランスデューサアレイ400などの)光学的に透明な超音波指紋スキャナを含み、指紋スキャナの下に配置される(本明細書に開示される光学システム550などの)光学システムを備えたモバイルデバイス9700を提供することができる。モバイルデバイス9700は、スマートフォン、タブレットデバイス、ポータブルデバイス、ハンドヘルドデバイスなどの携帯電話であり得る。モバイルデバイス9700は、タッチスクリーンディスプレイであり得るディスプレイ9702、および1つ以上のアンテナ9704も含み得る。アンテナ9704は、無線周波数信号を送信および/または受信することができる。モバイルデバイス9704は、本明細書で開示される対話型生体認証の任意の適切な機能を実装することができる。
【0317】
図97は、超音波トランスデューサアレイ400および光学システム550がモバイルデバイス9700の前面に配置され得ることを示す。アレイ400および光学システム550は、代替的または追加的に、モバイルデバイス9700の背面または横側面に配置され得る。
図97は、ディスプレイ9702の下にあるものとしてアレイ400および光学システム550を示しているが、これは単なる例示である。一般に、アレイ400および光学システム550は、ディスプレイ9702の任意の側に配置され得、またはディスプレイ9702内(例えば、ディスプレイ9702の背後)に配置することができる。光学システム550は、単に例示的な目的のために、
図97のアレイ400よりも小さいものとして示されている。一般に、光学システム550は、超音波トランスデューサアレイ400よりも小さくても、大きくても、同じサイズでもよい。
【0318】
複数デバイス認証
図98は、ユーザデバイス9800および確認デバイス9810を使用した複数デバイス認証を示す。ユーザデバイス9800および確認デバイス9810は、例えば、携帯電話であり得る。ユーザデバイス9800は、統合指紋および光スキャナ9802および光スキャナ9804を含む。統合指紋および光スキャナ9802は、本明細書に開示される任意の適切な原理および利点による超音波指紋センサおよび光スキャナを含み得る。例えば、超音波指紋センサは少なくとも部分的に透明にすることができ、光スキャナは超音波指紋センサを通して光を送受信できる。光スキャナ9804は、PPG波形、心拍数、呼吸数、静脈パターンなど、またはそれらの任意の組み合わせのうちの1つ以上の生体パラメータを検出することができる。光スキャナ9804は、反射酸素濃度計を含むことができる。確認デバイス9810は、統合指紋および光スキャナ9812および光スキャナ9814を含む。
【0319】
場合によっては、反射パルス酸素濃度計の測定値は、周囲光および/またはセンサ上の組織の圧力の差によって悪影響を受ける可能性がある。したがって、スキャンされる周囲光の差を低減および/または最小化し、および/またはスキャンされる組織とセンサ間の圧力の差を低減および/または最小化するように、ユーザデバイス9800の光スキャナ9804を構成し、確認デバイス9810の光スキャナ9814を構成することは、有益であり得る。一例として、光スキャナ9804および9814は、デバイスを保持するユーザが、一般に、スキャンされた指を光スキャナ9804および9814のそれぞれに、同じ指、同じ圧力レベル、同じ向きなど、またはそれらの組み合わせで押し付けるように、それぞれのデバイス上で同様の位置および/または同様の向きに配置され得る。これにより、2つの光スキャナによって取得されるスキャンの差を提言および/または最小化できる。
【0320】
ユーザは、統合指紋および光スキャナ9802の指紋センサを使用して、自分の指紋を使用して、認証され得る。一致の確認は、ユーザの指紋が認証されたことを示すために送信され得る。この確認は、銀行またはその他の当事者に送信され得る。ユーザは、指紋センサと同じ場所で、PPG波形を読み取って分析する。PPG波形および/または1つ以上の他の生体パラメータに関連付けられたパターンなどのデータは、関係者に送信され得る。ユーザは、別の電話やコンピュータなどの確認デバイスに人差し指を置くと、光スキャナ9814を使用して感知した生体パラメータを有することができる。
光スキャナ9814は、生体パラメータを決定する(例えば、PPG波形読み取りを行う)ために、実質的に同じまたは同様の機器およびソフトウェアを有することができる。関連するデータは、ユーザの電話からのデータとの一致を確認するために、関係者(銀行など)に送信される。
【0321】
デバイスのソフトウェアおよび機械学習技術を介した関係者は、過去の相互作用にわたってユーザに対応する年齢および健康状態に関連する特徴を検出することができる。例えば、時間ごとに変動があるため、PPG波形読み取り値の一部が異なる場合がある。この変動は、リプレイ攻撃の防止に役立ち得る。ユーザは両方のデバイスに2本の指があるので、PPG波の時間ごとの違いは、両方のデバイスでその時点で同じであることが示される。
【0322】
したがって、生体パラメータまたはパターン(例えば、PPGスキャン)を、識別および/または認証の目的に使用できる。2つの異なるデバイス上の実質的に同じまたは類似の機器とソフトウェアを認証に使用できる。超音波指紋スキャンは、両デバイスの一方のみで、他方のデバイスでの光スキャンと同時に、同じ場所で実行できる。他方のデバイスは指紋を検出しないため、ユーザの指紋は、この他方のデバイスに公開されたりコピーされたりすることはない。
【0323】
機械学習を、第二のステップ認証に利用可能な識別特性を追加するアルゴリズムを開発するために使用できる。これらの特性は両方の電話に表示され、確認のために銀行またはクラウドウェブサイトなど、認証デバイスの外部に保存できる。特性は、例えば、心臓の状態もしくは年齢、または単に概要脈拍数よりも具体的な心拍数の読み取り値に関連している可能性がある。ハッキングしているユーザの記録された超音波指紋認証のリプレイ攻撃とともに、PPGスキャンに自分の指を使用する詐欺師は、超音波指紋アルゴリズムを取得するために電話に侵入できると仮定して、この技術で認証される本物のユーザと同様の特性(例えば、年齢および心臓の状態、ならびに呼吸状態がほぼ同じであること)を有しなければならない。
【0324】
別のアルゴリズムは、時間ごとに変動する関連するPPG波のいくつかをキャプチャすることができ、その結果、様々なPPG読み取り値を取得する認証要素も存在するため、変動のたびに読み取り値がわずか異なるようになる。ただし、その変動は、ユーザデバイス9800上のユーザの指と確認デバイス9810上のユーザの指についても同じように記録される。
【0325】
認証のために第二のデバイスを使用することにより、ユーザの指紋を第二のデバイスにさらすことなく、第二のデバイスによる第二のステップ認証が可能になる。これは、クレジットカード会社または商人が翻訳を認証するのに役立つことができる。ライドシェアリングサービスの運転手またはホテルのマネージャは、すでに既知の位置を有することがあり、ユーザの指紋を読み取らずにユーザを認証するために自分のデバイスを使用できる。この技術により、銀行などの認証機関は、ユーザがパロアルトからサンディエゴに移動し、グローバル・ポジショニング・システム(GPS)によって位置が確認されたことを、Uber運転手のまたはサンディエゴホテルのフロントデスクの人の両方のスマートフォン上で知ることができる。反射酸素濃度計からの同じライブサイン(live sign)は、ライフサイン(life sign)の読み取りと同時にユーザの指紋が認証されるユーザの電話に表示される。これにより、堅牢な認証を提供できる。
【0326】
動的生体認証および機械学習
いくつかの実施形態は、生存パラメータを参照して説明されているが、本明細書に開示されている任意の適切な生体感知デバイスは、動的生体認証を検出するために使用できる。動的生体認証は、1つ以上の生体パラメータのパターンを長期にわたって表すことができる。動的生体認証の検出には、外部および/または内部刺激に対する生体組織のリアルタイムの生理学的応答の撮像、測定、または分析の1つ以上が含み得る。動的生体認証を使用することにより、生体認証システムはプレゼンテーション攻撃に対する耐性を高めることができる。さらに、動的生体認証は、平均パルスまたは血中酸素濃度などの静的な読み取りよりも特徴的である。実際、動的生体認証は、指紋と組み合わせて人物を検証するために十分に区別することができる。1つ以上のプロセッサ(例えば、プロセッサ1065、8410、または8630のうちの1つ以上)は、本明細書に開示されている任意の適切な生体感知デバイスを使用して生成された1つ以上の生体パラメータを経時的に追跡することができる。一例として、反射酸素濃度計に関連するバイオリズムは、認証に使用できる。
【0327】
動的生体認証は、指紋認証プロセッサの間に検出することができる。1つ以上のプロセッサは、本明細書で開示される任意の適切な対話型生体デバイスのアクチュエータからのプロンプトに応答する人の特性を識別するために、機械学習を適用できる。本明細書に開示され、作動可能(例えば、触覚エネルギーを適用可能)な任意の適切な対話型デバイスまたは対話型システムは、認証セッション中に人がデバイスにどのように応答するかに関する個々の特性を測定できる。プロセッサは、超音波センサとフォトプレチスモグラム(PPG)を生成する光学システムの両方によって認証されている間に、立ち上がるように促されるなどのプロンプトに、人が応答するとパターンを検出できる。
【0328】
動的生体認証は、改善された個人用の生体認証読み取り値を生成するために使用できる。機械学習は、PPGスキャン、呼吸数、心拍数など、またはそれらの任意の組み合わせなど、様々な生体パラメータのパターンを見つけるために使用できる。このようなパターンは、生体認証で使用できる。例えば、PPGの波は、人の活動に基づいて1時間ごとに変化し得る。機械学習および/または人工知能で予想されるものと一致しないことがPPGの読み取り値で検出されると、認証が失敗したり、あるいは人を認証するために認証システムが追加の読み取り値を取得したりすることがあり得る。
【0329】
機械学習および/または他の技術は、認証中に(例えば、指の少なくとも一部分の画像を生成する間に)、1つ以上の生体パラメータ(例えばPPG)から人の合理的に区別できる署名をキャプチャすることができる。合理的に区別できる署名は、異なる携帯電話の感知デバイスなど2つの異なる感知デバイスを使用して検証できる。一例として、第一の携帯電話は、超音波指紋センサの下の光学システムの反射型酸素濃度計を使用して生体パラメータを読み取ることができる。第二のデバイスでは、人が第二のデバイスの反射型酸素濃度計を使用して、指紋などの機密データが露出する危険を冒すことなく、生体パラメータを照合できる。実質的に同じ反射型酸素濃度計、実質的に同じ周波数、および実質的に同じソフトウェアを有することは、堅牢な認証のための生体パラメータの検証に役立ち得る。
【0330】
生体パターンは永続的ではなく、人の活動に基づいて時間ごとに変化する可能性があるが、それでも日々現れ得る特有の側面を提供する。したがって、2つのデバイスで、一意ではないが合理的に区別できる(例えば、数千分の1程度の)何らかのライフパターンを複製する方法を同時に実装できる。読み取り値はわずかに異なるはずなので、ユーザは認証のための追加の測定を受けている間、自分に固有な指紋または顔の識別を提供していない。
【0331】
追加の実施形態
開示された技術の実施形態は、指紋スキャナおよび/または顔認識および動き感知ソフトウェアを同時に備えたカメラスキャナによって認証されているユーザとの相互作用の一部として、本明細書で説明される任意の適切な原理および利点に従って超音波トランスデューサアレイを使用することができる。ユーザが何らかのアクションをトリガし、2つのデバイスで検出することで、セキュリティを強化できる。2つの生体デバイスにいくつかの異なる対話型試み(effort)を組み込むと、詐欺師が「リプレイ」攻撃を装うこと、および/または予測することが難しい多数の可能性が生まれる。開示された技術は、ユーザを認証するような対話で2つ以上のモダリティを使用できるが、認証デバイスの1つによるトリガに応じてアクションが取られたことも登録している。
【0332】
例えば、ユーザが超音波トランスデューサアレイ400によって、指の先端に加えられる触覚エネルギーに応じて、顔を上に傾けること、あるいは代替として、指紋の下部に加えられる触覚エネルギーに応じて、顔を下に傾けることなどの特定の動きをするようにトリガされた場合、そのような動きは、例えば、カメラと関連する赤外線ビームを同時に組み合わせる三次元モーションセンサを備えたポータブルコンピューティングデバイスによって、顔識別認証が完了したことを検出できる。
【0333】
この場合、指紋が超音波システムによって認証されているユーザの指は、指紋デバイスからの触覚エネルギーの信号を検出して、ユーザに反応を促すことができる。次に、電話カメラなどの別のデバイスによって認証されたユーザの顔が移動したことが検出される。例えば、認証スキームの一部では、ユーザに目を閉じるように、またはウインクするように促すことができる。次に、顔認証と顔の動きの両方の情報がシステムに渡され、認証プロセスの一部としてアクションを登録して、確認する。この場合、2つの異なる生体デバイス間でクロストークが作成され、作業が行われ、調整され、確認される。
【0334】
ユーザの腕の代わりに、ユーザの顔による動きを登録する利点は、ユーザの顔は、確認された指紋と同じ人物からのものであることを確認できるという利点を有する。
【0335】
一実施形態では、順序を逆にすることができる。カメラ/フラッシュ/イルミネータは、小さな赤色光などのアクションを開始し、画面から認証されている指紋を一時的に削除するようにユーザに促すことができる。同時に、赤色光は、ユーザが頭を左右に短く動かしたことを示すこともあり得る。この場合、カメラ/フラッシュ/イルミネータは、両方のデバイスが応答として読み取るアクションをトリガできる。カメラ/フラッシュ/イルミネータは頭の動きを記録し、指紋リーダは指の除去を記録する。
【0336】
対話性により、認証セッション中に複数のスキャンを同時に行うことができる。このようなスキャンでは、いくつかの異なる生体測定値を、共通の測定値/因子、および異なる生体デバイス間の相互作用と組み合わせることができる。システムには、様々な生体センサと、マルチモード生体スキャンを備えた指紋センサ/デバイスを含めることができる。
【0337】
対話型生体システムは、指紋デバイスおよび別の別個の生体デバイスで脈拍などの共通因子を測定でき、それぞれがメイン認証プロセス中に同じ共通因子を測定しながら、その間に、それぞれが指紋と顔などの他の2つの因子を測定する。
【0338】
開示された技術によって、同じ電話、コンピュータ、または他のデバイス上の別の生体スキャンデバイスからの指先または他の付属器官の生存の確認が可能になる。生存パラメータの検出の例には、反射酸素濃度計の同様の原理を使用して、顔のわずかな色の変化、心臓パルスを介した血液の動き、電話のカメラ、および指紋デバイスからパルスをスキャンすることが含まれる。これらのパルスのスキャンはいずれも、ユーザの顔識別が電話のカメラによって確認され、指紋スキャナがユーザの指紋を確認している間に発生するし得る。これにより、それ自体および顔または虹彩を認証するカメラによって共有され、確認される測定値の共通点(common denominator)を作成できる。
【0339】
カメラと指紋スキャナの両方が脈拍を測定している場合、ユーザが立ち上がると脈拍が増加し、カメラと指紋スキャナの両方で測定されるため、このような対話型アクションは、電話上の2つの異なる生体センサによって測定される。さらに、3Dモーションセンサを備えたカメラデバイスは、カメラがパルスの変化も読み取っている間に、立ち上がったユーザからのこのようなモーションの変化を検出できる。
【0340】
指紋スキャナの心拍がカメラの顔識別スキャナによる測定に類似していることを確認するために、心拍または心拍間のタイミングを比較して、心臓からの距離が異なるために、心拍が指と顔で異なる時間に発生しても、心拍が同じであることを判定することができる。
【0341】
ユーザが顔と指紋を認識した同じ人物であることを2つのマルチモード生体スキャンデバイスが認証しているのと同時に、2つ以上の異なる生体スキャンデバイスを複数の変数または測定値(例えば、異なるセンサーモダリティによって測定される心拍数)と組み合わせると、偽の顔は偽の指紋と同じパルスを登録する必要があるため、詐欺師が両方のセンサを騙すことは困難になる。
【0342】
他のセンサ様式も、カメラによる呼吸速度の測定などを含めることができ、これは、反射酸素測定のための光学システム550の使用と同様であり得る。例えば、光学システムによってキャプチャされたプレチスモグラムは、画像処理およびパターン認識技術を使用して分析し、呼吸数の変化を判断できる。
【0343】
いくつかの実施形態では、多要素認証は、1つの統合された超音波/反射パルス酸素濃度計デバイスで実行でき、いくつかの多要素認証は、より大きなデバイス(スマートフォンなど)によって促されうる。一例として、スマートフォンはプロンプトとして振動することができる。
【0344】
携帯電話などのデバイスは、どの段階で生存の読み取りが認証に関与するか、および/またはどの段階で対話型認証セッションが実装されるかをプログラムすることができる。ユーザは、自分の携帯電話の電源を確実かつ迅速にオンにすることを望み得るので、基本的な超音波指紋スキャンにより電話のロックを解除できる。このような測定により、誤って拒否される可能性を減らすことができる。ユーザは、携帯電話の設定または携帯電話にインストールされたアプリケーションに組み込んで、特定のファイルにアクセスするための別の生体測定値(パルス、温度、SP02読み取りなど)を認証に含めることができるように、および/またはユーザは、電話コンピューティングユニットまたは特定用途向け集積回路からのランダムプロンプトを使用して、対話型認証を追加できるように、設定を構成できる。ユーザ、またはユーザを認証したい第三者は、デバイスが対話型認証を使用して、セキュリティアクセスと外部接続のアイデンティティ保護(オフィスに遠隔で、もしくはクラウドに、ショッピングサイトもしくは銀行サイトにサインオンすることなど)を追加するタイミングについて、電話をプログラムできる。したがって、生体認証システムは、認証のレベルが異なる様々なモードで動作できる。そのようなシステムは、特定のファイルおよび/またはデバイスの特定の機能へのアクセスが、本明細書で説明する対話型生体感知の任意の適切な機能など、より高いレベルの認証を含むように構成可能である。
【0345】
本明細書で説明する原理および利点に従って対話型認証を実装するために、携帯電話またはコンピュータ上のアプリケーションは、第三者からの入力を受け入れて、ユーザに促すアクチュエータを開始することができる。したがって、第三者は、ランダムおよび/または予測不可能な対話型生体プロンプトおよび/または生体測定を指示することができる。
【0346】
対話型生体感知システムは、オブジェクトに関連付けられた生体画像を生成するように構成されたセンサ、オブジェクトに関連付けられた動作を促すように構成されたプロンプトデバイス、および生体画像およびプロンプトに対して検出された生体応答に基づいてオブジェクトを認証するように構成されたプロセッサを含むことができる。例えば、センサは指紋センサであり得る。プロンプトデバイスは、検出生体応答をもたらすべきアクション(例えば、立ち上がる、ジャンプするなど)をユーザに促すために、テキストおよび/または音声を提供することなどによって、ユーザにアクションを促すことができる。次に、生体応答が検出され、プロセッサは生体画像と検出された応答の両方を使用して、使用されたことを認証できる。
【0347】
開示された技術の一態様は、音響指紋感知デバイスである。デバイスは、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信するように構成された超音波トランスデューサのアレイを含む。超音波トランスデューサは、圧電膜を含む。デバイスは、第一の金属電極をさらに含む。デバイスは、第一の金属電極に直交することができる第二の金属電極をさらに含む。第一の金属電極および第二の金属電極は、アレイの超音波トランスデューサのアドレス指定を可能にする。デバイスは、指を収容するように構成された表面をさらに含む。デバイスは、指からの超音波信号の反射に基づいて、表面と接触している指の指紋の少なくとも一部分の画像を生成するように構成されたプロセッサをさらに含む。デバイスは、表面と接触する指の温度および/または指の圧力を変化させるように構成されたアクチュエータをさらに含む。
【0348】
一実施形態において、アクチュエータは、超音波トランスデューサを含む。
【0349】
一実施形態において、アクチュエータは、収容表面の構成可能な領域に収束する一連のパルスの圧力を変化させる。一実施形態において、アクチュエータは、収容表面の構成可能な領域に熱を集中させて、その領域の温度を少なくとも0.1℃上昇させる。
【0350】
一実施形態において、超音波信号の周波数は、125MHz~250MHzの範囲にある。一実施形態において、超音波信号の周波数は、50MHz~100MHzの範囲にある。一実施形態において、圧電膜は、3マイクロメートル(μm)~75μmの範囲の厚さを有する。一実施形態において、圧電膜は、10マイクロメートル(μm)~20μmの範囲の厚さを有する。
【0351】
一実施形態において、デバイスは、反射に応じて超音波トランスデューサのアレイによって生成された電子受信信号を処理して、処理された信号をプロセッサに提供するように構成された受信回路をさらに含む。
【0352】
一実施形態において、画像は、少なくとも500ピクセル/インチの解像度を有する。
【0353】
一実施形態において、第一の金属電極は、表面を含むプレートと物理的に接触している。
【0354】
一実施形態において、圧電膜は、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、またはチタン酸ジルコニウム鉛のうちの少なくとも1つを含む。一実施形態において、表面は、ガラスおよび整合層を含むプレートの表面であり、整合層は、整合層の材料中の超音波信号の波長の4分の1に対応する厚さを有する。
【0355】
一実施形態において、プロセッサは、収容表面と接触している指の面積に基づいて、指が収容表面と接触する力を推定するように構成される。一実施形態において、プロセッサは、反射に関連する音速に基づいて、指の温度を検出するように構成される。一実施形態において、プロセッサは、反射に基づいて指の生存に関連するパラメータを検出し、生存パラメータに基づいて指が生身の人の一部であるかどうかの表示を提供するように構成される。
【0356】
別の態様は、指紋を認証する方法である。この方法は、第一の金属電極と第二の金属電極を使用して、超音波トランスデューサのアレイの超音波トランスデューサをアドレス指定するステップであって、第二の金属電極は第一の金属電極に直交する、ステップを含む。この方法は、超音波トランスデューサのアレイによって、収容表面に向けて、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの周波数範囲にある第一の超音波信号を送信するステップをさらに含む。この方法は、1つ以上の超音波トランスデューサを使用して、第一の超音波信号の反射を受信するステップをさらに含む。この方法は、第一の超音波信号の反射に基づいて、収容表面上にある指の少なくとも一部分の第一の画像を生成するステップをさらに含む。この方法は、アクチュエータによって、収容表面と接触している指の温度および/または指の圧力を変化させるステップをさらに含む。この方法は、超音波トランスデューサのアレイによって、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する第二の超音波信号を送信するステップをさらに含む。この方法は、第二の超音波信号の反射に基づいて、指の指紋の少なくとも第二の部分の第二の画像を生成するステップをさらに含む。この方法は、収容表面と接触する指の温度および/または圧力の変化に対応する、第一の画像と第二の画像の比較に応答して指紋を認証するステップをさらに含む。
【0357】
一実施形態において、この方法は、アクチュエータによって、収容表面の構成可能な領域に集束する一連のパルス内の圧力を変化させるステップをさらに含む。一実施形態において、この方法は、アクチュエータによって、収容表面の構成可能な領域を加熱して、その領域の温度を上昇させるステップをさらに含む。場合によっては、温度を少なくとも0.1℃上昇させることができる。
【0358】
一実施形態において、この方法は、第一の超音波信号の反射に応じて超音波トランスデューサのアレイによって生成された電子受信信号を処理するステップをさらに含む。
【0359】
一実施形態において、第一の金属電極は、収容表面を含むプレートと物理的に接触している。
【0360】
一実施形態において、この方法は、収容表面と接触している指の面積に基づいて、指が収容表面と接触する力を推定するステップをさらに含む。一実施形態において、この方法は、反射に関連する音速に基づいて、指の温度を検出するステップをさらに含む一実施形態において、この方法は、反射に基づいて指の生存に関連するパラメータを検出するステップをさらに含む。一実施形態において、この方法は、生存パラメータに基づいて、指が生身の人の一部であるかどうかの表示を提供するステップをさらに含む。
【0361】
別の態様は、指紋識別のための生体感知および作動デバイスである。デバイスは、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信するように構成された超音波トランスデューサのアレイを含む。デバイスは、第一の金属電極をさらに含む。デバイスは、第一の金属電極に直交することができる第二の金属電極をさらに含む。第一の金属電極および第二の金属電極は、アレイの超音波トランスデューサのアドレス指定を可能にする。デバイスは、指を収容するように構成された表面をさらに含む。デバイスは、指からの超音波信号の反射に基づいて、指の指紋の少なくとも一部分の画像を生成するように構成されたプロセッサをさらに含む。デバイスは、収容表面と接触する指の温度および/または指の圧力を変化させるアクチュエータをさらに含む。一実施形態において、アクチュエータは超音波トランスデューサを含む。一実施形態において、アクチュエータは、収容表面の領域に収束する一連のパルスで圧力を変化させる。一実施形態において、アクチュエータは、収容表面の領域に熱を集中させる。これにより、少なくとも0.1℃など、検出可能な量だけ、この領域の温度を上昇させることができる。
【0362】
別の態様は、生体感知および作動デバイスを使用して指紋を認証する方法である。この方法は、第一の金属電極と第二の金属電極を使用して、超音波トランスデューサのアレイの超音波トランスデューサをアドレス指定するステップであって、第二の金属電極は第一の金属電極に直交し得る、ステップを含む。この方法は、超音波トランスデューサのアレイによって、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する第一の超音波信号を送信するステップをさらに含む。この方法は、第一の超音波信号の反射に基づいて、第一の指の第一の指紋の少なくとも一部分の第一の画像を生成するステップをさらに含む。この方法は、収容表面の領域を加熱して、その領域の温度を少なくとも0.1℃上昇させるステップをさらに含む。この方法は、超音波トランスデューサのアレイによって、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する第二の超音波信号を送信するステップをさらに含む。この方法は、第二の超音波信号の反射に基づいて温度の上昇を検出するステップをさらに含む。この方法は、第一の画像および検出された温度の上昇に基づいて第一の指紋を認証するステップをさらに含む。
【0363】
別の態様は、生体感知および作動デバイスを使用して指紋を認証する方法である。この方法は、第一の金属電極と第二の金属電極を使用して、超音波トランスデューサのアレイの超音波トランスデューサをアドレス指定するステップであって、第二の金属電極は第一の金属電極に直交し得る、ステップを含む。この方法は、超音波トランスデューサのアレイによって、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する第一の超音波信号を送信するステップをさらに含む。この方法は、第一の超音波信号の反射に基づいて、第一の指の第一の指紋の少なくとも一部分の第一の画像を生成するステップをさらに含む。この方法は、収容表面と接触している指の収容表面の領域の圧力をxxN/m2(またはyy psi)だけ変化させるステップをさらに含む。この方法は、超音波トランスデューサのアレイによって、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する第二の超音波信号を送信するステップをさらに含む。この方法は、第二の超音波信号の反射に基づいて、第二の指の第二の指紋の少なくとも第二の部分の第二の画像を生成するステップをさらに含む。この方法は、第一の画像と第二の画像との比較に応答して、収容表面の領域の圧力の変化に対応する第一の指紋を認証するステップをさらに含む。識別可能な圧力変化は、トランスデューサの機械的ノイズフロア、トランスデューサの感度、電子機器の雑音指数、またはそれらの任意の組み合わせによって設定できる。
【0364】
別の態様は、光学信号と超音波信号の両方を使用する指紋識別のための生体感知デバイスである。デバイスには、光を透過するように構成された光源が含まれる。光は、例えば、400nm~1000nmの範囲の周波数を有することができる。デバイスは、50メガヘルツ(MHz)~500MHzの範囲の周波数を有する超音波信号を送信するように構成された超音波トランスデューサのアレイを含む。デバイスは、第一の金属電極をさらに含む。デバイスは、第一の金属電極に直交することのできる第二の金属電極をさらに含む。第一の金属電極および第二の金属電極は、アレイの超音波トランスデューサのアドレス指定を可能にする。デバイスは、指を収容するように構成された表面をさらに含む。デバイスは、指からの光および/または超音波画像の反射に基づいて、指を認証するように構成されたプロセッサをさらに含む。
【0365】
一実施形態において、光源は、超音波トランスデューサ、第一の金属電極、および第二の金属電極を通して光を送信し、超音波トランスデューサは少なくとも部分的に透明であり、第一の金属電極は少なくとも部分的に透明であり、第二の金属電極は少なくとも部分的に透明である。この実施形態において、超音波トランスデューサのアレイは、光エミッタと収容表面との間にあり、超音波トランスデューサ、第一の金属電極、および第二の金属電極は、透過光に対して少なくとも部分的に透明である。
【0366】
一実施形態において、超音波トランスデューサは、光源を通して超音波信号を送信する。この実施形態において、超音波信号は光源を通過する。この実施形態では、平面上に正方形の光源のアレイを含むことができ、各正方形は、平面内の第一の金属電極および第二の金属電極の投影によって境界付けられる。
【0367】
一実施形態において、光源は超音波トランスデューサに隣接する。この実施形態において、光源と超音波トランスデューサは並んでいるが、互いに近接している。
【0368】
アプリケーションおよび結論
上述の実施形態のいくつかは、超音波ベースの指紋センサに関連する例を提供した。しかしながら、実施形態の原理および利点は、そのような原理および利点から利益を得ることができる任意の他の適切なデバイス、システム、装置、および/または方法に使用することができる。指紋の文脈で説明したが、本明細書で説明した1つ以上の特徴は、人間または動物の他の適切な部分を検出する際にも利用できる。
【0369】
本明細書で説明される様々な特徴およびプロセスは、互いに独立して実装され得るし、または様々な方法で組み合わされ得る。すべての可能な組み合わせおよび下位の組み合わせは、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、一部の実装において、特定の方法またはプロセスのブロックが省略され得る。本明細書で開示される方法およびプロセスも特定のシーケンスに限定されず、それに関連するブロックまたは状態は、適切な他の任意のシーケンスで実行することができる。例えば、説明されたブロックまたは状態は、具体的に開示された順序以外の順序で実行されてもよく、または複数のブロックまたは状態は、単一のブロックまたは状態に組み合わされてもよい。例示的なブロックまたは状態は、シリアル、パラレル、または必要に応じて他の方法で実行され得る。ブロックまたは状態は、開示された例示的な実施形態に適切に追加または除去され得る。本明細書で説明される例示的なシステムおよびコンポーネントは、説明されるものとは異なるように構成され得る。例えば、開示された例示的な実施形態と比較して、要素を追加、削除、または再配置され得る。様々な実施形態は、異なるタイプの電子デバイスを製造するための異なる技術を適用することができる。
【0370】
本開示の態様は、様々なデバイスに実装することができる。例えば、本明細書で説明する音響生体感知デバイスは、スマートフォンなどの携帯電話、タブレットコンピュータ、ハンドル、銃、ドア、ドアの取っ手、壁、エレベーター、または本明細書で説明する原則および利点のいずれかから恩恵を受けることができるその他の任意の適切なアプリケーションに実装することができる。
【0371】
特定の実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、本開示の範囲を限定することを意図したものではない。実際、本明細書で説明される新規のデバイス、システム、装置、方法、およびシステムは、様々な他の形態で具現化され得る。さらに、本開示の精神から逸脱することなく、本明細書に記載された方法およびシステムの形態における様々な省略、置換、および変更を行うことができる。例えば、ブロックは所定の配置で提示されているが、代替の実施形態は異なるコンポーネントおよび/または回路トポロジで同様の機能を実行し得、一部のブロックは削除、移動、追加、細分化、結合、および/または変更され得る。これらの各ブロックは、様々な方法で実装され得る。上記の様々な実施形態の要素および行為の任意の適切な組み合わせは、さらなる実施形態を提供するために、組み合わせることができる。