(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】圧縮機用アンローダ、そのメンテナンス、及びアンローダを備えた圧縮機
(51)【国際特許分類】
F16K 31/122 20060101AFI20220614BHJP
F16K 41/04 20060101ALI20220614BHJP
F04B 49/03 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
F16K31/122
F16K41/04
F04B49/03 331
(21)【出願番号】P 2020540602
(86)(22)【出願日】2018-05-17
(86)【国際出願番号】 IB2018053462
(87)【国際公開番号】W WO2019155272
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2020-09-23
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(73)【特許権者】
【識別番号】593074329
【氏名又は名称】アトラス コプコ エアーパワー,ナームローゼ フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】ATLAS COPCO AIRPOWER,naamloze vennootschap
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】マルテンス クリストフ アドリアン
(72)【発明者】
【氏名】ド シャンフェラエーレ ピーター
(72)【発明者】
【氏名】スミス ダニエル ジョゼフ
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04396345(US,A)
【文献】米国特許第01291854(US,A)
【文献】実開昭56-039879(JP,U)
【文献】特開昭61-116082(JP,A)
【文献】実開昭62-132281(JP,U)
【文献】実開平04-068274(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0141891(US,A1)
【文献】特開2005-325960(JP,A)
【文献】米国特許第01969507(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/00-51/00
F16K 31/12-31/165
31/36-31/42
39/00-51/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機用のアンローダであって、前記アンローダ(1)は、吸入口(3)及び排出口(4)を含むハウジング(2)を備え、前記アンローダ(1)は、往復様式での移動のために前記ハウジング(2)内に設けられた軸(6)内に、往復様式で移動可能に配置されたピストンロッド(5)をさらに備え、前記ピストンロッド(5)の一端(5a)上には前記排出口(4)を閉鎖できるようにするバルブ(7)が設けられ、前記ピストンロッド(5)の他端(5b)上にはピストン(8)が配置され、前記ピストンは、そこに設けられたキャビティ(9)内に往復様式で移動可能に配置され、前記キャビティ(9)は、前記ハウジング(2)上に設けられかつ前記アンローダ(1)の一部でもある蓋(10)によって少なくとも部分的に境界が定められ、シール手段(11)が、前記キャビティ(9)内の前記ピストン(8)の漏洩のない移動のために設けられており、内部に前記ピストン(8)が往復様式で移動可能に配置された前記キャビティ(9)は、前記蓋(10)内に完全に位置するか又は統合され、前記ピストン(8)及び
全ての前記シール手段(11)は、前記蓋(10)が取り除かれる場合に自由にアクセスできる、アンローダ。
【請求項2】
前記蓋(10)は、円筒形のケーシング(13)及びフード(14)として形成され、前記ピストン(8)は、前記ケーシング(13)内に往復様式で移動可能に配置される、請求項1に記載のアンローダ。
【請求項3】
前記シール手段(11)は、前記ピストン(8)のシール面と前記蓋(10)のシール面との間に設けられる、請求項1又は2に記載のアンローダ。
【請求項4】
前記シール手段(11)は、シール(18)及び/又は摺動リング(17)を備える、請求項1から3のいずれかに記載のアンローダ。
【請求項5】
前記シール手段(11)は、シール(18)を備え、前記シール(18)は、単動式シール(18)を備える、請求項4に記載のアンローダ。
【請求項6】
前記蓋(10)は、ハウジング(2)上にボルト(12)を用いて着脱可能に取り付けられる、請求項1から5のいずれかに記載のアンローダ。
【請求項7】
前記蓋(10)は、ハンドル又は持ち手(16)を備える、請求項1から6のいずれかに記載のアンローダ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載のアンローダ(1)の前記シール手段を交換する方法であって、
前記ピストン(8)が自由に使用できるようになるように、前記ハウジング(2)の前記蓋(10)を分解する段階と、
任意の前記1又は複数のシール手段(11)を交換する段階と、
前記蓋(10)を取り付ける段階と、
を含む方法。
【請求項9】
圧縮されるガスのための吸入口及び圧縮ガスのための排出口を含む圧縮機要素を備える圧縮機であって、前記圧縮機は、請求項1から7のいずれかに記載のアンローダ(1)を備え、前記アンローダ(1)の排出口(4)は、圧縮されるガスのための前記吸入口に接続される、圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮機用アンローダに関し、より詳細には修理が改善されたアンローダに関する。
【背景技術】
【0002】
アンローダは、圧縮機の吸入口のレベルに取り付けられたバルブであり、これは圧縮機が吸い込むことができる空気量を制御することができる。アンローダを利用して圧縮機の空気吸入口を開閉することで、圧縮機の能力を制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のアンローダの問題点は、アンローダの修理にあり、これによりシール及び摺動リングは、ほぼ毎年、定期的に交換する必要がある。このため、アンローダは取り外す必要がある。
【0005】
例えば、
図1の既存のアンローダにおいて、アンローダは、圧縮機から切り離す必要があり、続いて、シール及び摺動リングを交換するために、8本の予応力が与えられボルトを外すことで蓋を取り除く必要がある。その後、リング、ねじ、及びワッシャを分解することでピストンからピストンロッドを分離することができる。要するに、シール及び摺動リングに至るまでには多くの作業が必要である。そのため、誤り又は間違いの大きなリスクがある。
【0006】
さらに、これらの全ての作業は、シール及び摺動リングの交換後に再び圧縮機をアンローダに取り付けるために逆の順番で再び行う必要がある。
【0007】
他の問題点は、一般的なアンローダの重さが約30キロであり、圧縮機からアンローダを取り外すのは大変な仕事であることである。
【0008】
さらなる問題点は、圧縮機は、一旦アンローダが取り除かれると、大きな開口が現れ、この中にほこり等が行き着く可能性があることである。このほこりは、圧縮機の吸入口の中に直接行き着き、そこで相当の損傷を引き起こす可能性がある。
【0009】
他の問題点は、修理の後で再びアンローダを取り付ける際に生じる。装着後、ピストン上のシールは、ほとんど盲目的かつ強制的にアンローダの中に固定されることになるので、シールが損傷を受け、不適切なシールにつながる可能性がある。
【0010】
米国特許第6,397,892号には、往復式圧縮機シリンダの内容積を変えるための同様の公知のアンローダが説明されている。修理のためにアンローダを解体するに際に、構成要素76、74、78、72、及び40で構成される全ての蓋は、ねじを外す必要がある。しかしながら、これによってピストンロッドは露出しないので、ピストンのシール及び/又は摺動リングを交換できない。
【0011】
本発明の目的は、上記の及び/又は他の欠点の少なくとも1つに対する解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
このため、本発明は圧縮機用のアンローダに関し、アンローダは、吸入口及び排出口を含むハウジングを備え、アンローダは、ハウジング内に往復様式で移動可能に配置されたピストンロッドをさらに備え、ピストンロッドの一端上には排出口を閉鎖できるようにするバルブが設けられ、ピストンロッドの他端上にはピストンが配置され、ピストンは、そこに設けられたキャビティ内に往復様式で移動可能に配置され、キャビティは、ハウジング上に設けられかつアンローダの一部でもある蓋によって少なくとも部分的に境界が定められ、シール手段は、キャビティ内のピストンの漏洩のない移動のために設けられており、内部にピストンが往復様式で移動可能に配置されたキャビティは、蓋内に少なくとも部分的に設けられる。
【0013】
この利点は、蓋が、蓋を取り除くことで摺動リング及びシールに容易にアクセスできるように構成されることである。
【0014】
そのため、シール手段を交換するためにアンローダ全体を取り外す必要がない。蓋だけを取り除くことが必要なので、この蓋は、アンローダ全体の何分の一だけの重量、典型的には僅か1.5kgであり、そのため取り扱いが非常に簡単である。
【0015】
また、結果として、シール手段を交換するために行う必要がある作業数を制限することができる。例えば、ピストンロッドは、もはやピストンから切り離す必要はない。
【0016】
さらに、圧縮機の吸入口が露出することがないので、ほこり等が圧縮機の中に行き着くことになるリスクがない。
【0017】
本発明では、キャビティ全体が蓋内に設けられることは除外されない。
好ましい実施形態において、蓋は、円筒形のケーシング及びフードとして構成され、ピストンは、ケーシング内に往復様式で移動可能に配置される。
【0018】
もしくは、蓋は、例えば、より厚く構成することができ、内部にピストンが往復様式で移動可能に配置された軸を備える。
【0019】
特定の実施形態において、シール手段は、ピストンのシール面と蓋のシール面との間に設けられる。
このことは、シール手段は、蓋内でピストンとキャビティとの間のシールを保証することができることを意味する。このピストン及び蓋の各シール面は、互いに接触することができる、
【0020】
他の実施形態において、ピストンのシール手段は、シール及び/又は摺動リングを備える。
このシールは、例えば、単動式シールを備えることができる。
【0021】
好ましくは、蓋は、ボルトを用いてハウジング上に着脱可能に取り付けられる。
【0022】
特定の実施形態において、キャビティは、蓋内に完全に統合されるか又は位置する。
【0023】
ピストン及びシール手段は、蓋が取り除かれる場合に自由にアクセスできる。
【0024】
特定の実施形態において、蓋は、ハンドル又は持ち手を備える。
【0025】
本発明は、上記のアンローダのシール手段を交換する方法に関し、本方法は、
a)ピストンが自由にアクセス可能になるよう、ハウジングの蓋を分解する段階と、
b)1又は複数のシール手段を交換する段階と、
c)蓋をハウジング上に取り付ける段階と、
を含む。
【0026】
本発明は、圧縮されるガスのための吸入口及び圧縮ガスのための排出口を含む圧縮機要素を備える圧縮機に関し、圧縮機は、請求項1の特徴を備えるアンローダを備え、アンローダの排出口は、圧縮されるガスのための吸入口に接続される。
【0027】
本発明の特徴をより良く示す目的で、添付図面を参照して、本発明によるアンローダの好ましい実施形態を非限定的で例示的に以下に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】本発明による装着されたアンローダの好ましい実施形態を概略的に示す。
【
図4】本発明による分解されたアンローダの好ましい実施形態を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、既存のアンローダ1の実施形態を示す。
アンローダ1は、吸入口3及び排出口4を含むハウジング2を備える。
排出口4は、圧縮機の吸入口に接続されることを目的としている。アンローダ1の吸入口3は、圧縮機が吸い込むガスを浄化することができる吸い込みフィルタを備えるか又はそれに接続される。
【0030】
アンローダ1は、ピストンロッド5をさらに備え、ピストンロッド5は、アンローダ1内で軸6内に往復様式で移動可能に配置され、軸6はハウジング2内の往復様式での移動のために設けられる。
【0031】
ピストンロッド5の一端5a上には、ハウジング2内のピストンロッド5の往復運動によって排出口4を閉鎖できるようにするバルブ7が設けられる。
【0032】
ピストンロッド5の他端5b上には、ピストン8がアンローダ1に設けられたキャビティ9内に往復様式で移動可能に配置されている。
キャビティ9はハウジング2内に設けられ、ハウジング2上に取り付けることができる蓋10によって少なくとも部分的に境界が定められる。
【0033】
図1から明らかに推測できるように、公知の方法でのキャビティ9内のピストン8の往復運動によって、バルブ7は、アンローダ1の排出口4を開閉するために移動することが可能である。
【0034】
ピストン8を動かすために、キャビティ9内のピストン8の上部と下部との間の差圧を利用する。この差圧の結果としてのピストン8を横切るガスの漏洩を防ぐためにシール手段11が設けられており、シール手段はピストン8の輪郭部上に適用される。
【0035】
これらのシール手段11を交換するために、圧縮機のアンローダ1は取り除く必要があり、その後、蓋10は予応力が与えられたボルトを外すことで取り除く必要がある。その後、バルブ7は、ピストンロッド5から分離することができ、ピストン8がキャビティ9から外に持ち上がるまでピストンロッド5を持ち上げることで、ピストン8は、アンローダ1から取り出すことができ、その後、シール手段11を取り除いて交換することができる。
【0036】
図2は、本発明による、装着されたアンローダ1を示す。
アンローダ1の構造は、
図1の公知のアンローダの構造に部分的に一致する。
【0037】
重要な相違点は、この場合キャビティ9が蓋10の中に設けられることである。このため、本実施例では、蓋10は、円筒形のケーシング13及びフード14として、換言すれば上部が平らなハウジング2上の「ハット」のように構成される。蓋10とハウジング2との間には、この場合、例えばO-リング15の形態のシールが設けられるが、本発明では、これは必須ではない。明らかに、O-リング以外の他の形式のシールを適用することもできる。キャビティ9は、蓋10とハウジング2との間の自由内部空間として位置している。
【0038】
本発明の好ましい特徴によれば、蓋10は、ハンドル又は持ち手16をさらに備え、本実施例では、これは蓋10の上部に設けられるが、その側部に設けることもできる。
【0039】
ピストンロッド5は、ハウジング2内の軸6によって蓋10の下の自由空間9の中に延びるので、ピストン8は、蓋10の中、より詳細にはキャビティ9又は自由内部空間の中を上下に動くことができる。
【0040】
図3に示すように、ピストン8は、その輪郭部上にシール手段11を備える。本実施例では、シール手段11は摺動リング17及びシール18を備え、ピストン8と蓋10の内側19との間のシールを保証する。
【0041】
この場合、シール18は、図示のように単動式のシール18である。これは、一方向で完全にシールすることができることを意味する。この場合、バルブ7が蓋10の上部に向かう方向である。本発明は、摺動リング17及びシール18を備える実施形態に限定されず、例えば、シール18のみ又は摺動リング17のみによってこのシール手段を達成する他の可能性もある。
【0042】
この場合、シール18及び摺動リング17を交換するために、
図2及び4に示すように、ボルト12を外してハンドル又は持ち手16を用いて蓋10を持ち上げることで、蓋10を外してハウジング2から取り除くことのみを必要とする。
【0043】
勿論、ハウジング2と蓋10との結合部は様々な方法でシールすることができ、ボルト結合に限定されない。例えば、クランプ手段、ねじ等を用いることができる。
【0044】
蓋10を取り除くことで、ピストン8の輪郭部は自由になり、シール18及び摺動リング17は、これらを取り出して新しいシール18及び/又は摺動リング17を取り付けることで交換するために容易にアクセスできる。また、シール18及び摺動リング17は、蓋10をハウジング2上でピストン8の上に置いてボルト12を用いて締結する場合、正しく所定位置に留まる。ピストンロッド5は、ハウジング2の軸6の中に固定され続ける。さらに、蓋10をハウジング2上に戻す際に、蓋10は、上部から下部まで単動式シール18上を摺動することができ、これによりシール18は損傷を受けることはない。
【0045】
他の利点は、ハウジング2は圧縮機の吸入口上に取り付けられたままとすることができるので、アンローダ1全体を圧縮機から取り外す必要はないこと、さらにピストン8及び/又はバルブ7をピストンロッド5から分離する必要がないことである。さらに、アンローダ1自体は取り外す必要はないので圧縮機の吸入口はほこりに対して依然としてシールされる。
【0046】
本発明は、実施例として記載されかつ図面に示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲で定義されるような本発明のアンローダは、本発明の範囲を逸脱することなく様々な変形例によって実現することができる。
【符号の説明】
【0047】
1 アンローダ
2 ハウジング
3 吸入口
4 排出口
5 ピストンロッド
5a ピストンロッド一端
5b ピストンロッド他端
7 バルブ
8 ピストン
9 キャビティ
10 蓋
11 シール手段