(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】電子式変圧器及び電子レンジ調理器
(51)【国際特許分類】
H02M 3/28 20060101AFI20220614BHJP
H05B 6/64 20060101ALI20220614BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H02M3/28 H
H02M3/28 Y
H05B6/64 G
F24C7/02 320F
(21)【出願番号】P 2020559449
(86)(22)【出願日】2018-06-14
(86)【国際出願番号】 CN2018091330
(87)【国際公開番号】W WO2019205251
(87)【国際公開日】2019-10-31
【審査請求日】2020-10-23
(31)【優先権主張番号】201810386132.0
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201820618071.1
(32)【優先日】2018-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515032617
【氏名又は名称】広東美的厨房電器制造有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】512237419
【氏名又は名称】美的集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MIDEA GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】B26-28F, Midea Headquarter Building, No.6 Midea Avenue, Beijiao, Shunde, Foshan, Guangdong 528311 China
(74)【代理人】
【識別番号】100112656
【氏名又は名称】宮田 英毅
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】覃承勇
(72)【発明者】
【氏名】黎青海
(72)【発明者】
【氏名】鄭年重
(72)【発明者】
【氏名】増田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】張云祥
(72)【発明者】
【氏名】艾軍亮
【審査官】土井 悠生
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-359065(JP,A)
【文献】特開昭62-225165(JP,A)
【文献】特開2003-086437(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0114308(US,A1)
【文献】米国特許第04843202(US,A)
【文献】特開平05-071743(JP,A)
【文献】特開2005-223981(JP,A)
【文献】実開平04-046512(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00-3/44
H02M 7/00-7/98
H05B 6/46
H05B 6/52-6/64
H05B 6/70-6/80
H05B 11/00
F24C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源に接続するための整流モジュールと、
前記整流モジュールに接続される変圧器と、
オンオフ信号を前記変圧器に提供するように構成されるスイッチモジュールと、
前記スイッチモジュールに接続され、プリセット電力に基づいて前記スイッチモジュールへの制御信号を生成して前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される制御モジュールと、を含む、
電子式変圧器であって、
前記電子式変圧器は、前記交流電源及び前記整流モジュールに接続されるスイッチ部材を含み、
前記制御モジュールは、前記スイッチ部材のオンオフ時間を制御して前記変圧器の単位時間あたりの出力電力を調整するように構成され、又は
前記スイッチ部材は、前記電子式変圧器が適用される電子レンジ調理器の上位コンピュータによってオンオフ時間が制御されるように構成される、
ことを特徴とする電子式変圧器。
【請求項2】
前記制御モジュールは検出モジュールと、プロセッサとを含み、
前記検出モジュールは、前記交流電源に対する検出に基づいて検出信号を取得し、前記検出信号を前記プロセッサに送信するように構成され、
前記プロセッサは、前記検出信号に基づいて前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子式変圧器。
【請求項3】
前記制御モジュールは駆動回路を含み、前記駆動回路は前記スイッチモジュール及び前記プロセッサに接続され、
前記駆動回路は、前記プロセッサから出力された前記制御信号に基づいて前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子式変圧器。
【請求項4】
前記電子式変圧器は第1のサンプリングモジュールを含み、前記第1のサンプリングモジュールは、前記交流電源の出力端及び前記検出モジュールに接続され、
前記検出モジュールは、前記第1のサンプリングモジュールにより前記検出信号を収集するように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子式変圧器。
【請求項5】
前記電子式変圧器は第2のサンプリングモジュールを含み、前記第2のサンプリングモジュールは、前記整流モジュールの出力端及び前記検出モジュールに接続され、
前記検出モジュールは、前記第2のサンプリングモジュールにより前記変圧器の電流を検出するように構成され、
前記プロセッサは、前記変圧器の電流と、前記交流電源の電圧と、前記プリセット電力とに基づいて前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子式変圧器。
【請求項6】
前記電子式変圧器は、前記制御モジュールに接続される補助変圧器を含み、
前記補助変圧器は、前記変圧器の1次電圧を検出するように構成され、
前記制御モジュールは、前記変圧器の1次電圧が設定電圧より大きい場合、前記スイッチモジュールを制御してオフにするように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子式変圧器。
【請求項7】
前記電子式変圧器は第3のサンプリングモジュールを含み、前記第3のサンプリングモジュールは、前記補助変圧器及び前記制御モジュールに接続され、
前記制御モジュールは、前記第3のサンプリングモジュールにより前記変圧器の1次電圧を検出するように構成される、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子式変圧器。
【請求項8】
前記制御モジュールは、前記補助変圧器に接続される補助電源を含む、
ことを特徴とする請求項6に記載の電子式変圧器。
【請求項9】
前記電子式変圧器は、前記変圧器の2次側に接続される倍圧整流モジュールを含み、
前記倍圧整流モジュールは、前記変圧器の出力電圧を大きくするように構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子式変圧器。
【請求項10】
前記変圧器は、
巻線幅が積層高さより大きい1次巻線と、
前記1次巻線から離間され、巻線幅が積層高さより小さい2次巻線と、を含み、
前記スイッチモジュールは前記1次巻線に接続される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子式変圧器。
【請求項11】
前記変圧器は絶縁性のボビンを含み、前記ボビンには離間している単一の1次巻き溝及び単一の2次巻き溝が設けられており、前記1次巻線のワイヤは前記1次巻き溝に巻き付けられ、前記2次巻線のワイヤは前記2次巻き溝に巻き付けられる、
ことを特徴とする請求項
10に記載の電子式変圧器。
【請求項12】
交流電源に接続するための整流モジュールと、
前記整流モジュールに接続される変圧器と、
オンオフ信号を前記変圧器に提供するように構成されるスイッチモジュールと、
前記スイッチモジュールに接続され、プリセット電力に基づいて前記スイッチモジュールへの制御信号を生成して前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される制御モジュールと、を含み、
前記変圧器は、
巻線幅が積層高さより大きい1次巻線と、
前記1次巻線から離間され、巻線幅が積層高さより小さい2次巻線と、を含み、
前記スイッチモジュールは前記1次巻線に接続され、
前記2次巻線の積層高さと前記2次巻線の巻線幅は、1.1<H2/W2<2.5の関係式を満たし、H2は前記2次巻線の積層高さを表し、W2は前記2次巻線の巻線幅を表す、
ことを特徴とす
る電子式変圧器。
【請求項13】
交流電源に接続するための整流モジュールと、
前記整流モジュールに接続される変圧器と、
オンオフ信号を前記変圧器に提供するように構成されるスイッチモジュールと、
前記スイッチモジュールに接続され、プリセット電力に基づいて前記スイッチモジュールへの制御信号を生成して前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される制御モジュールと、を含み、
前記変圧器は、絶縁性のボビンと、前記ボビン内に突き合わされた2つの磁気コアとを含み、
前記ボビンの管内壁に第1のスペーサが設置されており、前記第1のスペーサは、第1のスペーサブロックと、前記第1のスペーサブロックに接続される第2のスペーサブロックとを含み、前記第2のスペーサブロックの厚さと前記第1のスペーサブロックの厚さは異なり、
前記2つの磁気コアの一端はそれぞれ前記第1のスペーサブロック又は前記第2のスペーサブロックにより離間される、
ことを特徴とす
る電子式変圧器。
【請求項14】
前記ボビンの外側に巻き溝が形成されており、前記変圧器は蓋部を含み、前記蓋部は少なくとも前記巻き溝の一部を覆い、前記蓋部は前記第1のスペーサの位置に対応する第2のスペーサを含み、前記第2のスペーサは、第3のスペーサブロックと、前記第3のスペーサブロックに接続される第4のスペーサブロックとを含み、前記第3のスペーサブロックの厚さと前記第1のスペーサブロックの厚さは同じであり、前記第4のスペーサブロックの厚さと前記第2のスペーサブロックの厚さは同じであり、前記2つの磁気コアの一端がそれぞれ前記第1のスペーサブロックによって離間される場合、前記2つの磁気コアの他端がそれぞれ前記第3のスペーサブロックによって離間され、前記2つの磁気コアの一端がそれぞれ前記第2のスペーサブロックによって離間される場合、前記2つの磁気コアの他端がそれぞれ前記第4のスペーサブロックによって離間される、
ことを特徴とする請求項
13に記載の電子式変圧器。
【請求項15】
交流電源に接続するための整流モジュールと、
前記整流モジュールに接続される変圧器と、
オンオフ信号を前記変圧器に提供するように構成されるスイッチモジュールと、
前記スイッチモジュールに接続され、プリセット電力に基づいて前記スイッチモジュールへの制御信号を生成して前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される制御モジュールと、を含み、
前記変圧器は、絶縁性のボビンと、前記ボビン内に突き合わされた2つの磁気コアとを含み、
前記ボビンの管内壁に第1のスペーサが設置されており、前記第1のスペーサは、第1のスペーサブロックと、第2のスペーサブロックと、第3のスペーサブロックとを含み、前記第1のスペーサブロックは前記ボビンの管内壁に接続され、前記第2のスペーサブロック及び前記第3のスペーサブロックはいずれも前記第1のスペーサブロックに接続され、前記第1のスペーサブロックの厚さは前記第2のスペーサブロックの厚さ及び前記第3のスペーサブロックの厚さより小さく、前記第2のスペーサブロックの厚さと前記第3のスペーサブロックの厚さは異なり、
前記2つの磁気コアの一端がそれぞれ前記第1のスペーサブロック又は前記第2のスペーサブロック又は前記第3のスペーサブロックによって離間される、
ことを特徴とす
る電子式変圧器。
【請求項16】
前記ボビンの外側に巻き溝が形成されており、前記変圧器は蓋部を含み、前記蓋部は少なくとも前記巻き溝の一部を覆い、前記蓋部は前記第1のスペーサの位置に対応する第2のスペーサを含み、前記第2のスペーサは、第4のスペーサブロックと、第5のスペーサブロックと、第6スペーサブロックとを含み、前記第5のスペーサブロック及び前記第6スペーサブロックはいずれも前記第3のスペーサブロックに接続され、前記第4のスペーサブロックの厚さと前記第1のスペーサブロックの厚さは同じであり、前記第5のスペーサブロックの厚さと前記第2のスペーサブロックの厚さは同じであり、前記第6スペーサブロックの厚さと前記第3のスペーサブロックの厚さは同じであり、
前記2つの磁気コアの一端がそれぞれ前記第1のスペーサブロックによって離間される場合、前記2つの磁気コアの他端がそれぞれ前記第4のスペーサブロックによって離間され、前記2つの磁気コアの一端がそれぞれ前記第2のスペーサブロックによって離間される場合、前記2つの磁気コアの他端がそれぞれ前記第5のスペーサブロックによって離間され、前記2つの磁気コアの一端がそれぞれ前記第3のスペーサブロックによって離間される場合、前記2つの磁気コアの他端がそれぞれ前記第6スペーサブロックによって離間される、
ことを特徴とする請求項
15に記載の電子式変圧器。
【請求項17】
請求項1から
16のいずれか一項に記載の電子式変圧器とマイクロ波発振器とを含み、前記電子式変圧器は前記マイクロ波発振器に接続される、
ことを特徴とする電子レンジ調理器。
【請求項18】
前記電子レンジ調理器は上位コンピュータを含み、前記上位コンピュータは前記電子式変圧器に接続され、
前記上位コンピュータは、周波数に基づいて設定される入力命令を受信し、前記入力命令を前記電子式変圧器に送信するように構成され、前記制御モジュールは、前記入力命令に基づいて前記電子式変圧器の出力電力を制御するように構成され、又は
前記上位コンピュータは、周波数に基づいて設定される前記入力命令を受信し、前記入力命令に基づいて前記電子式変圧器の出力電力を制御するように構成される、
ことを特徴とする請求項
17に記載の電子レンジ調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2018年04月26日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が201810386132.0、および201820618071.1である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、家庭電器技術の分野に関し、より具体的には、電子式変圧器及び電子レンジ調理器に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の電子レンジでは、コンバータによって昇圧してからマグネトロンに給電することが一般的であるが、コンバータに接続される交流電源の電圧が変動しやすいため、コンバータが出力する電力が不安定であり、コンバータが動作している時に異常が発生しやすく、ユーザエクスペリエンスが悪い。
【0004】
また、従来のコンバータは、通信モジュールを設置して電子レンジのコントローラと通信することを必要とするとともに、コンバータは電力調整を絶えず行う必要があることで、コンバータの製作コストが高くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の実施形態は、電子式変圧器及び電子レンジ調理器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の実施形態の電子式変圧器は、交流電源に接続するための整流モジュールと、前記整流モジュールに接続される変圧器と、オンオフ信号を前記変圧器に提供するように構成されるスイッチモジュールと、前記スイッチモジュールに接続され、プリセット電力に基づいて前記スイッチモジュールへの制御信号を生成して前記スイッチモジュールのスイッチング周波数を制御するように構成される制御モジュールと、を含む。
【0007】
上記実施形態の電子式変圧器では、スイッチモジュールはオンオフ信号を変圧器に提供することができるため、交流電源が不安定である時に回路を保護するという役割を果たすことができ、また、制御モジュールはスイッチモジュールのスイッチング周波数を制御することができるため、電子式変圧器は出力電圧を安定的に提供することができ、そして、本実施形態の電子式変圧器は、製作コストが低くなる。
【0008】
本願の実施形態は、さらに、電子レンジ調理器を提供する。電子レンジ調理器は、上記のいずれかの実施形態の電子式変圧器とマイクロ波発振器とを含む。前記電子式変圧器は前記マイクロ波発振器に接続される。
【発明の効果】
【0009】
上記実施形態の電子レンジ調理器では、スイッチモジュールはオンオフ信号を変圧器に提供するように構成されるため、交流電源が不安定である時に回路を保護するという役割を果たすことができ、また、制御モジュールはスイッチモジュールのスイッチング周波数を制御することができるため、電子式変圧器は出力電圧を安定的に提供することができ、そして、本実施形態の電子レンジ調理器は製作コストが低くなる。
【0010】
本願の実施形態の追加の態様及び利点は、以下の説明において部分的に提示され、一部が以下の説明から明らかになり、又は本願の実施形態の実施によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本願の上記及び/又は追加の態様及び利点は、以下の図面と併せる実施形態の説明から明らかになり、容易に理解されるであろう。
【
図1】本願の実施形態の電子式変圧器の回路を示す概略図である。
【
図2】本願の実施形態の電子レンジ調理器のモジュール概略図である。
【
図3】本願の実施形態の変圧器の断面概略図である。
【
図4】関連技術における変圧器の断面概略図である。
【
図5】関連技術における変圧器の別の断面概略図である。
【
図6】本願の実施形態の変圧器の巻線構造概略図である。
【
図7】本願の実施形態の第1のスペーサの構造概略図である。
【
図8】本願の実施形態の第1のスペーサの別の構造概略図である。
【
図9】本願の実施形態の変圧器の別の断面概略図である。
【
図10】本願の実施形態の変圧器の第1のスペーサから第2のスペーサブロックを取り除いた場合の構造概略図である。
【
図11】本願の実施形態の変圧器の部分構造概略図である。
【
図12】本願の実施形態の第2のスペーサの構造概略図である。
【
図13】本願の実施形態の第2のスペーサの別の構造概略図である。
【
図14】本願の実施形態の第1のスペーサの別の構造概略図である。
【
図15】
図14における第1のスペーサのL-L線に沿う断面概略図である。
【
図16】本願の実施形態の変圧器の別の断面概略図である。
【
図17】本願の実施形態の変圧器の部分構造概略図である。
【
図18】本願の実施形態の変圧器の第1のスペーサから第3のスペーサブロックを取り除いた場合の構造概略図である。
【
図19】本願の実施形態の変圧器の第1のスペーサから第2のスペーサブロック及び第3のスペーサブロックを取り除いた場合の構造概略図である。
【
図20】本願の実施形態の第2のスペーサの別の構造概略図である。
【
図21】本願の実施形態の第2のスペーサのさらに別の構造概略図である。
【
図22】本願の実施形態の電子レンジ調理器の構造概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本願の実施形態について詳細に説明し、前記実施形態の例を図面に示し、なお、一貫して同一又は類似の符号は、同一又は類似の要素、あるいは同一又は類似の機能を有する要素を表す。以下、図面を参照して説明される実施形態は例示的なものであり、本願を説明するためのものに過ぎず、本願を限定するものと理解してはならない。
【0013】
本願の説明において、「第1」、「第2」という用語は、単に説明の目的のためのものであり、相対的な重要性を示すか又は暗示するものとして、或いは示された技術的特徴の数を暗黙的に示すものとして理解されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、「第1」、「第2」に限定された特徴は、1つ又は複数の前記特徴を明示的又は暗示的に含んでもよい。本願の説明において、「複数」とは、特に定義されていない限り、2つまたは2つ以上を意味する。
【0014】
本願の説明において、なお、特に明確に指定及び制限されていない限り、「取り付ける」、「接する」及び「接続」という用語は広義に理解されるべきである。例えば、固定接続としてもよいし、取り外し可能接続、又は一体型接続としてもよく、機械的接続としてもよいし、電気的接続、又は相互通信としてもよく、直接接続としてもよいし、中間媒体を介して間接的接続としてもよく、また、2つの素子の内部の連通、又は2つの素子の相互作用関係としてもよい。当業者にとっては、特定の状況に応じて、本願における上記の用語の具体的な意味を理解することができる。
【0015】
以下の開示は、本願の異なる構造を実現するための多くの異なる実施形態又は例を提供する。本願の開示を単純化するために、特定の例の構成要素及び設定を以下に説明する。もちろん、これらは単なる例であり、本願を制限することを意図したものではない。さらに、本願は、異なる例において参照番号及び/又は参照文字を繰り返すことができ、そのような繰り返しは、単純化及び明確化を目的とするものであり、議論される様々な実施形態及び/又は設定間の関係を示すものではない。さらに、本願は、様々な特定のプロセス及び材料の例を提供するが、当業者は、他のプロセスの適用及び/又は他の材料の使用を意識することができる。
【0016】
図1に示すように、本願の実施形態の電子式変圧器100は、整流モジュール10と、変圧器20と、スイッチモジュール30と、制御モジュール40とを含む。整流モジュール10は、交流電源50に接続するために用いられる。変圧器20は、整流モジュール10に接続される。スイッチモジュール30は、オンオフ信号を変圧器20に提供するように構成される。制御モジュール40は、スイッチモジュール30に接続される。制御モジュール40は、スイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御するように、プリセット電力に基づいてスイッチモジュール30への制御信号を生成するように構成される。
【0017】
上記実施形態の電子式変圧器100では、スイッチモジュール30はオンオフ信号を変圧器20に提供することができるため、交流電源50が不安定である時に回路を保護するという役割を果たすことができ、また、制御モジュール40はスイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御することができるため、電子式変圧器100は出力電圧を安定的に提供することができ、そして、本実施形態の電子式変圧器100は、製作コストが低くなる。
【0018】
具体的には、整流モジュール10は、4つのダイオードからなる全波整流回路を含む。整流モジュール10は、交流電源50によって生成された交流電圧を直流電圧に変換することができる。なお、一例では、交流電源50によって生成された交流電圧が約220Vであり、周波数が約50HZである。整流モジュール10は他の形態の回路を採用することができ、4つのダイオードからなることに限定されないことが理解され得る。
【0019】
さらに、電子式変圧器100は整流モジュール10及び変圧器20に接続されるフィルタモジュール60を含む。フィルタモジュール60はフィルタコンデンサ62とフィルタインダクタ64とを含む。フィルタコンデンサ62の一端は接地する。フィルタコンデンサ62及びフィルタインダクタ64により、電子式変圧器100の干渉抵抗能力を高めることができ、電子式変圧器100による他の機器に対する干渉を低減することができる。
【0020】
なお、本実施形態では、変圧器20は高周波変圧器20であってもよい。高周波変圧器20は、動作周波数が中間周波数(10kHz)より大きい電源変圧器20であり。高周波変圧器20は、1次コイル(例えば、
図3の例における1次巻線510、
図9の例における1次巻線6141及び
図16の例における1次巻線7141)と、2次コイル(例えば、
図3の例における2次巻線520、
図9の例における2次巻線6143及び
図16の例における2次巻線7143)とを含む。高周波変圧器20は高周波パルス方形波信号を伝送する。制御モジュール40によって生成される制御信号は、例えば10kHzより大きい信号のような高周波信号であってもよい。
【0021】
スイッチモジュール30は、スイッチトランジスタ32と、共振コンデンサ34とを含む。スイッチトランジスタ32のベースは制御モジュール40に接続され、スイッチトランジスタ32のコレクタは変圧器20の1次コイルの一端及び共振コンデンサ34の一端に接続され、スイッチトランジスタ32のエミッタは整流モジュール10に接続され、共振コンデンサ34の他端は変圧器20の1次コイルの他端及び整流モジュール10に接続される。整流モジュール10から出力された直流電圧はスイッチトランジスタ32、共振コンデンサ34及び変圧器20の作用により、20kHzから50kHzの高周波交流電圧に逆変換する。スイッチトランジスタ32がオンになると、共振コンデンサ34により、電気エネルギーを変圧器20の1次コイルに蓄積して変圧器20の電圧を維持することができ、スイッチトランジスタ32がオフになると、変圧器20と共振コンデンサ34が互いに共振することで、スイッチトランジスタ32が次回オンになる時にスイッチトランジスタ32のコレクタの電圧が0Vから始まり、これにより、スイッチトランジスタ32のスイッチング損失を低減するという役割を果たす。
【0022】
なお、スイッチトランジスタ32はIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であってもよく、駆動回路46はIGBTのオン又はオフを駆動する。
【0023】
いくつかの実施形態では、オンオフ信号はスイッチモジュール30のスイッチング周波数と同期しており、例えば、スイッチモジュール30を入れる(オンにする)時に、スイッチモジュール30は変圧器にオン信号を提供し、変圧器を動作させ、スイッチモジュール30を切る(オフにする)時に、スイッチモジュール30は変圧器20にオフ信号を提供し、変圧器20の動作を停止させる。
【0024】
電子式変圧器100のプリセット電力は予め設定された電力であってもよく、交流電源50の電圧が変動すると、制御モジュール40は、スイッチモジュール30への制御信号を生成して、スイッチトランジスタ32のオン時間を制御することができる。スイッチトランジスタ32のオン時間が長ければ長いほど、スイッチトランジスタ32のスイッチング周波数が低くなり、これにより、スイッチトランジスタ32のエミッタの出力電流も小さくなる。つまり、制御モジュール40がプリセット電力で動作する場合に、交流電源50の電圧が変動して高くなる時に、制御モジュール40がプリセット電力に基づいてスイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御することにより、スイッチトランジスタ32のエミッタの出力電流を制御することができ、これにより、電子式変圧器100は単位時間あたりに一定の出力電力を維持することで、電子式変圧器100のプリセット電力を達成する。
【0025】
本願の実施形態では、電子式変圧器100は、通常の変圧器と異なり、電子式変圧器100は、外部制御装置の制御信号を必要とせず、検出された環境変数(例えば、交流電源の電圧変動など)及びプリセット電力に基づいて、自身の出力電力を安定化することができるという機能を有する。
【0026】
いくつかの実施形態では、本実施形態の電子式変圧器100は、電子レンジ調理器200と通信する必要がなく、従来の技術に対して、通信モジュールを設置する必要がなく、これにより、電子式変圧器100を作製する作製コストを低減することができることが理解され得る。
【0027】
なお、本実施形態における電子式変圧器100は、電子式変圧器100の動作を広範囲に連続的に調整する必要がなく、電子式変圧器100に入力される電力は、ユーザによって入力される最大電力及びゼロ電力のみであり、つまり、従来のコンバータに対して、本実施形態の電子式変圧器100は電力調整に適応するための分の作製コストを低減することができる。
【0028】
いくつかの実施形態では、制御モジュール40は、検出モジュール42と、プロセッサ44とを含み、検出モジュール42は、交流電源50に対する検出に基づいて検出信号を取得し、検出信号をプロセッサ44に送信するように構成され、プロセッサ44は、検出信号に基づいてスイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御するように構成される。
【0029】
こうすると、検出モジュール42による交流電源50の電圧検出により、スイッチモジュール30のスイッチング周波数を適時制御することで、電子式変圧器100は単位時間において安定的な出力電力を保持することができる。
【0030】
具体的には、プロセッサ44はMCU(Microcontroller Unit、マイクロコントローラユニット)であってもよい。プロセッサ44は、検出モジュール42に収集された検出信号を処理及び分析することができ、検出モジュール42が交流電源50の電圧変動を検出すると、プロセッサ44は対応する処理を行って、スイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御することになる。
【0031】
いくつかの実施形態では、制御モジュール40は駆動回路46を含み、駆動回路46はスイッチモジュール30及びプロセッサ44に接続され、駆動回路46は、プロセッサ44から出力された制御信号に基づいてスイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御するように構成される。
【0032】
こうすると、プロセッサ44から出力された制御信号は駆動回路46によりスイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御することができ、このように、回路構造が簡単になる。
【0033】
具体的には、プロセッサ44は、検出モジュール42によって検出された検出信号に基づいて対応するパルス幅変調信号(PWM、Pulse Width Modulation)を生成することができ、駆動回路46は、プロセッサ44から送信されたパルス幅変調信号を受信して、スイッチトランジスタ32のオン時間を制御することで、スイッチトランジスタ32のスイッチング周波数を変えることができる。なお、一例では、パルス幅変調信号は、パルス幅ごとが同じのパルスであり、パルス列の周期を変えることにより、出力周波数を調整することができ、パルスの幅又はデューティサイクルを変えることにより、出力電圧を調整することができ、つまり、適切な制御方法を採用すれば、電圧と周波数を調和させて変えることができ、これにより、PWMの周期、PWMのデューティサイクルの調整により、電子式変圧器100の電流を制御するという目的を達成することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、電子式変圧器100は第1のサンプリングモジュール70を含み、第1のサンプリングモジュール70は、交流電源50の出力端及び検出モジュール42に接続され、検出モジュール42は、第1のサンプリングモジュール70により検出信号を収集するように構成される。
【0035】
こうすると、第1のサンプリングモジュール70により、交流電源50の動作状態を正確に取得することができ、これにより、検出モジュール42は電子式変圧器100の動作状態をより正確に取得することができる。
【0036】
具体的には、第1のサンプリングモジュール70は第1の抵抗72と、第2の抵抗74とを含む。第1の抵抗72は、一端が交流電源50及び整流モジュール10に接続され、他端が第2の抵抗74及び検出モジュール42に接続される。第2の抵抗74は、一端が交流電源50及び整流モジュール10に接続され、他端が第1の抵抗72及び検出モジュール42に接続される。こうすると、検出モジュール42は、第1の抵抗72及び第2の抵抗74により、交流電源50の電圧を検出することができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、電子式変圧器100は第2のサンプリングモジュール80を含み、第2のサンプリングモジュール80は整流モジュール10の出力端及び検出モジュール42に接続され、検出モジュール42は、第2のサンプリングモジュール80により変圧器20の電流を検出するように構成され、プロセッサ44は、変圧器20の電流、交流電源50の電圧及びプリセット電力に基づいてスイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御するように構成される。
【0038】
こうすると、第2のサンプリングモジュール80により、変圧器20の電流を迅速かつ正確に検出することができ、回路の構造が簡単である。
【0039】
具体的には、第2のサンプリングモジュール80は、一端が整流モジュール10の出力端及び接地端に接続され、他端がスイッチトランジスタ32のエミッタ及び検出モジュール42に接続される第3の抵抗82を含む。検出モジュール42は、第3の抵抗82を流れる電流を検出することにより、変圧器20の電流を検出することができる。プロセッサ44は、検出モジュール42によって検出された変圧器20の電流、交流電源50の電圧及び制御モジュール40のプリセット電力に基づいて、スイッチトランジスタ32のオン時間を調整することができ、これにより、交流電源50の電圧が変動する時に、変圧器20の電流を調整することで、プリセット電力をそのまま維持するように制御し、さらに、変圧器20の単位時間における出力電力を安定的に維持する。
【0040】
いくつかの実施形態では、電子式変圧器100は、制御モジュール40に接続される補助変圧器130を含み、補助変圧器130は、変圧器20の1次電圧を検出するように構成され、制御モジュール40は、変圧器20の1次電圧が設定電圧より大きい場合、スイッチモジュール30を制御してオフにさせるように構成される。
【0041】
こうすると、補助変圧器130により、変圧器20の1次電圧を迅速に検出し、制御モジュール40に迅速にフィードバックすることができ、回路構造が簡単になる。
【0042】
具体的には、本願の実施形態では、制御モジュール40は、検出モジュール42と、プロセッサ44とを含み、補助変圧器130の電圧と変圧器20の1次電圧は比例関係にあり、例えば、正比例の関係にある。つまり、検出モジュール42は、補助変圧器130の電圧を検出し、補助変圧器130の電圧をプロセッサ44に伝送し、プロセッサ44は、補助変圧器130の電圧と変圧器20の1次電圧との比例関係に基づいて、変圧器20の1次電圧を知ることができる。また、変圧器20の1次電圧が設定電圧より大きい場合、プロセッサ44は、対応する処理及び分析を行った後に、スイッチモジュール30のスイッチトランジスタ32を制御してオフにさせることができ、これにより、変圧器20及びスイッチトランジスタ32を保護するという役割を果たす。
【0043】
さらに、補助変圧器130を変圧器20の1次側に接続することで、変圧器20の出力を安定化させ、そして、補助変圧器130を変圧器20の2次側に接続することに必要な巻線コイル及び絶縁材料に対して、変圧器20の1次側に補助変圧器130を接続すれば、変圧器20のコストを低減し、変圧器20のサイズを小さくすることができる。
【0044】
いくつかの実施形態では、電子式変圧器100は、補助変圧器130及び制御モジュール40に接続される第3のサンプリングモジュール90を含み、制御モジュール40は第3のサンプリングモジュール90により変圧器20の1次電圧を検出する。
【0045】
こうすると、第3のサンプリングモジュール90により、変圧器20の1次電圧を迅速かつ正確に検出することができ、回路構造が簡単になる。
【0046】
具体的には、本願の実施形態では、制御モジュール40は、検出モジュール42と、プロセッサ44とを含み、第3のサンプリングモジュール90は、第4の抵抗92と、第5の抵抗94とを含み、第4の抵抗92は、一端が補助変圧器130の一端及びプロセッサ44に接続され、他端が検出モジュール42に接続される。第5の抵抗94は、一端が補助変圧器130の一端及びプロセッサ44に接続され、他端が検出モジュール42に接続される。検出モジュール42は、第4の抵抗92及び第5の抵抗94により、補助変圧器130の電圧を迅速に検出することができる。
【0047】
いくつかの実施形態では、制御モジュール40は、補助変圧器130に接続される補助電源48を含む。こうすると、補助電源48は、補助変圧器130により、制御モジュール40に電源を提供することができる。
【0048】
具体的には、プロセッサ44は、補助電源48により、第4の抵抗92の一端及び第5の抵抗94の一端にそれぞれ接続される。また、補助電源48はプロセッサ44に接続され、補助電源48は、プロセッサ44又は制御モジュール40の他のモジュール又は素子に電源を持続的に提供することができる。
【0049】
いくつかの実施形態では、補助電源48は電圧安定器、整流ダイオード及びコンデンサなどを含んでもよく、整流ダイオードは、補助変圧器130の出力電圧を直流電圧に変換してコンデンサに充電し、コンデンサの電圧は、電圧安定器により、ある数値、例えば18V及び/又は5Vに安定しており、電圧安定器は電圧を出力し、プロセッサ44及び駆動回路46に提供することができ、例えば、5Vをプロセッサ44に供給し、18Vを駆動回路46に提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、電子式変圧器100は、交流電源50及び整流モジュール10に接続されるスイッチ部材110を含み、制御モジュール40は、スイッチ部材110のオンオフ時間を制御して変圧器20の単位時間あたりの出力電力を調整するように構成される。
【0051】
こうすると、スイッチ部材110のオンオフ時間を制御して変圧器20の単位時間あたりの出力電力を調整することで、効率が高くなり、変圧器20の単位時間あたりの出力電力が安定に維持され、回路構造が簡単になる。
【0052】
具体的には、一例では、スイッチ部材110は継電器であり、好ましくは、電磁継電器である。電磁継電器は、一般的に、鉄心、コイル、アマチュア及び接点スプリングなどからなるものである。コイルの両端に一定の電圧を印加すると、一定の電流はコイルを流れることで、電気磁気効果が発生し、アマチュアは電磁力による吸引の作用下でばねの復帰引張力に抗して鉄心に吸引され、これにより、アマチュアの可動接点と固定接点(常開接点)との吸い付けが駆動され、継電器が閉成される。コイルが消勢されると、それに伴って電磁吸引力が消滅し、アマチュアはばねの反力で元の位置に戻り、可動接点が元の固定接点(常閉接点)から解放され、継電器がオフになる。このような吸い付け及び解放により、回路でのオン、オフの目的を達成する。本願の実施形態では、継電器のオンオフ時間を制御することにより、変圧器20の単位時間あたりの出力電力を制御することができる。つまり、ユーザの入力電力に基づいて、単位時間あたりの、継電器110のオンオフ時間比を制御することにより、変圧器20はユーザが設定した設定電力を出力することができる。
【0053】
なお、専門の保守要員ではなく、一般消費者であるユーザの入力電力又は設定電力は、電子式変圧器100のプリセット電力と同じでも、異なってもよい。ユーザの入力電力又は設定電力とは、ユーザが電器上のキー又は入力インタフェースを介して入力又は設定できる電力であり、電子式変圧器100のプリセット電力とは、ユーザの入力又は設定によって変更されない電力であり、電子式変圧器100のプリセット電力は、電器又は電子式変圧器100の出荷時に設定された固定電力であってもよい。電器又は電子式変圧器100が保守される時に、電子式変圧器100のプリセット電力は、保守要員が保守用器具により変更できるが、ユーザが電器を正常に使用する時に、電子式変圧器100のプリセット電力は、一般的に変更できないことが理解され得る。
【0054】
一実施例では、電子式変圧器100のプリセット電力は1000Wであり、ユーザの入力電力は800Wである。本願の実施形態では、電子式変圧器100のプリセット電力はユーザの入力電力に伴って変更できなく、つまり、電子式変圧器100は相変わらず1000Wでスイッチ部材110を制御する。しかしながら、ユーザが設定した800Wに到達するためには、電子式変圧器100によってスイッチ部材110のオンオフ時間を制御することにより、電子式変圧器100の出力電力を制御するしかなく、スイッチ部材110のオン時に電子式変圧器100の出力電力は1000Wであり、スイッチ部材110のオフ時に電子式変圧器100の出力電力は0Wであり、例えば、単位時間(例えば10S)あたりに、スイッチ部材110のオンを8S、オフを2Sに制御すると、単位時間(10S)あたりに、電子式変圧器100の出力電力の平均値は800Wであり、単位時間あたりの電子式変圧器100の出力電力は、ユーザの入力電力又は設定電力と等しくなることが可能である。
【0055】
いくつかの実施形態では、スイッチ部材110は、電子式変圧器100が適用される電子レンジ調理器200の上位コンピュータ220によってスイッチ部材110のオンオフ時間を制御するように構成される。
【0056】
具体的には、一例では、電子式変圧器100のプリセット電力は1000Wであり、ユーザの入力電力は800Wである。電子式変圧器100のプリセット電力はユーザの入力電力に伴って変更できない。ユーザが設定した800Wに到達するために、電子レンジ調理器200の上位コンピュータ220はスイッチ部材110のオンオフ時間を制御して、電子式変圧器100の出力電力を制御する。例えば、単位時間(例えば10S)あたりに、電子レンジ調理器200の上位コンピュータ220は、スイッチ部材110のオンを8S、オフを2Sに制御し、単位時間(10S)あたりに、電子式変圧器100の出力電力の平均値は800Wであり、単位時間あたりの電子式変圧器100の出力電力は、ユーザの入力電力又は設定電力と等しくなることが可能である。
【0057】
なお、電子式変圧器の出力電力は、ユーザ操作によって入力される入力電力に一致すると理解され得て、電子式変圧器100のプリセット電力は、電子式変圧器の制御モジュールが予め設定した電力である。
【0058】
いくつかの実施形態では、電子式変圧器100は、変圧器20の2次側に接続される倍圧整流モジュール120を含み、倍圧整流モジュール120は、変圧器20の出力電圧を大きくするように構成される。
【0059】
こうすると、倍圧整流モジュール120により、変圧器20の出力電圧が倍増し、回路構造が簡単になる。
【0060】
具体的には、倍圧整流モジュール120は、第1の倍圧ダイオード122と、第2の倍圧ダイオード124と、第1の倍圧コンデンサ126と、第2の倍圧コンデンサ128とを含む。第1の倍圧ダイオード122と第2の倍圧ダイオード124は直列に接続される。第1の倍圧コンデンサ126と第2の倍圧コンデンサ128は直列に接続される。第1の倍圧ダイオード122及び第2の倍圧ダイオード124からなる回路と第1の倍圧コンデンサ126及び第2の倍圧コンデンサ128からなる回路は並列に接続される。変圧器20の1つの2次コイルは、一端が第1の倍圧ダイオード122と第2の倍圧ダイオード124との間に接続され、他端が第1の倍圧コンデンサ126と第2の倍圧コンデンサ128との間に接続される。また、変圧器20の別の2次コイルは、例えばマイクロ波発振器210のような電気負荷に接続することができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、
図3に示すように、変圧器20は1次巻線510と、2次巻線520とを含む。2次巻線520は1次巻線510から離間している。1次巻線510の巻線幅W1は1次巻線510の積層高さH1より大きく、すなわちW1>H1。2次巻線520の巻線幅W2は2次巻線520の積層高さH2より小さく、すなわちW2<H2、スイッチモジュール30は1次巻線510に接続される。
【0062】
上記実施形態における変圧器20では、1次巻線510の巻線幅W1が1次巻線510の積層高さH1より大きく、2次巻線520の巻線幅W2が1次巻線510の積層高さH1より小さいため、変圧器20は適切な結合効率に保持されるとともに、変圧器20の構造が単純化及び小型化され、そして、本実施形態の変圧器20は、ジャンパ線受けの設計を行う必要も、変圧器20の磁気ギャップ精度への要求を高くする必要もない。
【0063】
具体的には、変圧器20は2つの突き合わされた磁気コア530を含み、2つの磁気コア530間の磁気ギャップの幅が変圧器20の結合効率に影響を与える一方で、変圧器20の巻き幅及び巻き高さが変圧器20の結合効率に影響を容易に与え、変圧器20は、使用中に、結合効率を0.5-1.2に安定化することが好ましい。
【0064】
1つの関連技術では、
図4に示すように、変圧器300は、1次巻線1、2次巻線2及びヒータ巻線3から構成される。2つの磁気コア4間に磁気ギャップ5が設置されている。1次巻線1、2次巻線2及びヒータ巻線3は変圧器300の幅方向、すなわち
図4の左右方向に配列されている。1次巻線1の巻線の横方向幅(W1)と1次巻線1の積層高さ(H1)との関係はW1≧H1である。2次巻線2の巻線の横方向幅(W2)と2次巻線2の積層高さ(H2)との関係はW2≧H2である。
図4の例では、2次巻線2の巻線の横方向幅(W2)の横断面積が大きいため、生産時に巻くことが複雑であり、巻き効果を保証するために、通常、複数の巻き溝9を設置する必要があり、かつ、1つの巻き溝9で巻き終わると、他の巻き溝9にジャンプして巻き続ける必要がある。このように、変圧器300の骨組設置難易度を増加させる一方で、大量生産時に、ジャンプに時間がかかるため、さらに変圧器300の生産効率に影響を与える。また、複数の巻き溝9を設置しなければ、現在の生産技術に基づいて、巻く時にずれが発生しやすく、これにより、コロナ効果が発生し、変圧器300の安定性に影響を与える。
【0065】
別の関連技術では、
図5に示すように、変圧器400は、1次巻線1、2次巻線2及びヒータ巻線3から構成される。2つの磁気コア4間に磁気ギャップ5が設置されている。1次巻線1、2次巻線2及びヒータ巻線3は変圧器300の幅方向、すなわち
図5の左右方向に配列されている。1次巻線1の巻線の横方向幅(W1)と1次巻線の積層高さ(H1)との関係はH1>W1である。2次巻線2の巻線の横方向幅(W2)と2次巻線の積層高さ(H2)との関係はH2>W2であり。
図5の例では、1次巻線1及び2次巻線2の横断面積が小さく、かつ、対応する複数の溝を設置する必要がなく、誤って巻くことがないが、1次巻線1の巻線の横方向幅(W1)及び2次巻線2の巻線の横方向幅(W2)がすべて小さくなる場合、磁気ギャップ5は正比例の対応調整を必要とすることで、非常に高い磁気ギャップ5の精度が要求される。したがって、
図5の変圧器は、磁気ギャップ5を1次巻線1と2次巻線2との間の中間部位置に置き、ここでは、高いマッチング効率を達成するとともに、磁気ギャップ5の調整精度を低減する。しかしながら、このような構造は生産精度が規範化しにくいという問題が存在する。
【0066】
また、
図5の変圧器では、1次巻線1の積層高さH1が高く、かつ、H1>W1、このように、1次巻線1の最低の巻き層と最高の巻き層との間の電圧が大きく、1次巻線に誘電破壊が発生しやすくなることで、変圧器の耐用年数が短くなる。本願の実施形態の変圧器20では、H1<W1のため、H1が小さく、誘電破壊の現象が発生しにくく、具体的には、
図6に示すように、一実施形態では、巻線の最底部の巻き層であるL1巻き層の電圧は0であり、層数が高くなるに伴い、例えば、L1、L2、L3、L4、L5、L6、L7、L8、L9、L10の順に、巻き層の電圧がますます大きくなり、H1が小さいであるため、L1巻き層と最高の巻き層であるL10巻き層との間の電圧差が小さく、各巻き層間に誘電破壊の現象が発生しにくく、変圧器20の耐用年数の引き上げに寄与する。
【0067】
また、本実施形態では、
図3に示すように、磁気ギャップ550は1次巻線510に偏向することで、変圧器20の結合効率が調整しやすくなり、変圧器20の結合効率が約0.5から1.2に安定し、これにより、変圧器20は使用性能の要求を満たすことができ、磁気ギャップの精度要件が低くなり、このような構造は、現在の生産精度の規範化に合致し、生産難易度及びコスト低減する。
【0068】
また、本実施形態では、2次巻線520の巻線幅W2が2次巻線520の積層高さH2より小さく、このように、変圧器20の構造設計上に、2次巻線520の横断面碩が小さく、かつ本実施形態の2次巻線を巻く時に、ジャンパを必要とせず、このように変圧器の構造が単純化及び小型化されるとともに、生産難易度を低減し、生産効率を高めることができる。
【0069】
さらに、
図3に示すように、いくつかの実施形態では、変圧器20は、離間している単一の1次巻き溝542及び単一の2次巻き溝544が設けられている絶縁性のボビン540を含み、1次巻線510のワイヤが1次巻き溝542に巻き付けられ、2次巻線520のワイヤが2次巻き溝544に巻き付けられる。
【0070】
こうすると、本実施形態の変圧器20の巻線は、ワイヤを巻く時にジャンパを必要とせず、これにより、変圧器20の生産難易度を低減し、生産効率を向上させることができる。
【0071】
具体的には、
図4に対して、本実施形態では、ボビン540に単一の2次巻き溝544のみを設け、2次巻き溝544に巻き付けられる2次巻線520の巻線幅W2を2次巻線520の積層高さH2より小さくし、このように、2次巻線520の巻き層間の電圧差を適切な範囲内に維持するとともに、変圧器20の構造を単純化及び小型化することができ、そして、巻く時にジャンパを必要とせず、生産の難易度を低減し、生産効率を向上させることができる。なお、本実施形態において、変圧器20は、2次巻線に単一の2次巻き溝544のみが設けられるが、本実施形態の設計は生産プロセスの難題を解決することで、本実施形態の変圧器20は相変わらずプロセスの要求及び使用性能の要求を満たすことができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、2次巻線520の積層高さH2と2次巻線520の巻線幅W2は、1.1<H2/W2<2.5の関係式を満たし、H2は2次巻線520の積層高さを表し、W2は2次巻線520の巻線幅を表す。
【0073】
こうすると、2次巻線520は変圧器20の使用性能の要求を満たすことができる。
【0074】
2次巻線520の積層高さH2と2次巻線520の巻線幅W2は、1.1<H2/W2<2.5の関係式を満たすため、2次巻線520の各巻き層間の電圧差は1つの適切な範囲に維持することができることが理解され得る。好ましくは、2次巻線520の積層高さH2は2次巻線520の巻線幅W2の1.2から2倍であってもよい。なお、実際の生産時に、生産ラインの磁気ギャップ精度に基づいて、具体的な数値又は数値範囲を取得することができる。H2とW2の比が1.1と2.5の間にあることを満たすことを保持する場合、W2を小さく設計する必要があれば、磁気ギャップ550を小さく設計してもよいが、磁気ギャップ550の精度について要求が高い。同様に、H2とW2の比が1.1と2.5の間にあることを満たすことを保持する場合、W2を大きく設計する必要があれば、磁気ギャップ550を大きく設計してもよいが、磁気ギャップ550の精度について要求が低い。
図3に示すように、いくつかの実施形態では、変圧器20は2つの突き合わされた磁気コア530を含み、ボビン540はスペーサ546を含み、各磁気コア530の一端がボビン540内に位置し、かつ、それぞれスペーサ546の相反する両側に当たる。
【0075】
こうすると、スペーサ546により、2つの突き合わされた磁気コア530は磁気ギャップ550を満足することができ、これにより、変圧器20の結合効率を適切な範囲に維持することができる。
【0076】
具体的には、2つの突き合わされた磁気コア530はそれぞれスペーサ546の相反する両側に当たることで、2つの磁気コア30間は磁気ギャップ550を形成することができ、これにより、変圧器20の磁気ギャップは使用要求を満たすことができる。なお、スペーサ546の数は2つとしてもよく、1つのスペーサ546は2つの磁気コア530の一端を離間するために用いられ、もう1つのスペーサ546は2つの磁気コア530の他端を離間するために用いられる。
【0077】
いくつかの実施形態では、変圧器20はフィラメント巻線560を含み、ボビン540にフィラメント巻き溝545が設けられており、2次巻き溝544はフィラメント巻き溝545と1次巻き溝542との間に位置し、フィラメント巻線560のワイヤがフィラメント巻き溝545に巻き付けられる。こうすると、フィラメント巻線560により、外部のマイクロ波発振器に接続することができ、これにより、マイクロ波発振器に給電できる。
【0078】
いくつかの実施形態では、
図7から
図9に示すように、変圧器20は絶縁性のボビン610と、2つの磁気コア620とを含む。2つの磁気コア620はボビン610内において突き合わされる。ボビン610の管内壁611に第1のスペーサ612が設置されており、第1のスペーサ612は第1のスペーサブロック6122と、第1のスペーサブロック6122に接続される第2のスペーサブロック6124とを含み、第2のスペーサブロック6124の厚さD2と第1のスペーサブロック6122の厚さD1は異なる。2つの磁気コア620の一端はそれぞれ第1のスペーサブロック6122又は第2のスペーサブロック6124によって離間されている。
【0079】
上記実施形態の変圧器20では、ボビン610の内部に厚さが異なる第1のスペーサブロック6122と第2のスペーサブロック6124が設置されており、そして2つの磁気コア620は、2つの磁気コア620間の間隔を調整するように、実際のニーズに応じて第1のスペーサブロック6122又は第2のスペーサブロック6124に当たることができ、これにより、変圧器20は異なる仕様や型番の要求を満たすことができ、変圧器20全体としてコストが低く、生産効率が高い。
【0080】
具体的には、一例では、絶縁性のボビン610は樹脂材料であってもよい。磁気コア620は銅心又は鉄心などであってもよい。
【0081】
具体的には、関連技術では、変圧器はプリセット磁気ギャップの要求を満たすことが可能になるように、変圧器の2つの突き合わされた磁気コア間は実際の需要に応じてプリセット隙間を保持する必要がある。2つの磁気コアは交番磁化の時に渦電流損が発生するが、磁気ギャップは渦電流損の低減に寄与する。また、変圧器の結合効率は、磁気ギャップの大きさにも、巻線の巻き積層高さ及び巻き幅の大きさにも関連する。つまり、変圧を1つの適切な結合効率に保持することができるために、2つの磁気コア間の磁気ギャップ又は巻線の巻き積層高さ及び巻き幅の大きさを調整することができる。本実施形態では、本実施形態の2つの磁気コア620は第1のスペーサブロック6122又は第2のスペーサブロック6124によって離間することができ、このように、変圧器20は異なる仕様や型番の要求を満たすことができ、かつ、変圧器20は異なる結合効率の要求を満たすことができる。
【0082】
なお、
図8の例では、第1のスペーサブロック6122の厚さD1は第2のスペーサブロック6124の厚さD2より小さく、変圧器20の2つの磁気コア620間の隙間は第2のスペーサブロック6124の厚さD2を満足することが必要である時、2つの磁気コア620の一端を第2のスペーサブロック6124の両側に直接当たり(
図11に示す)、この時、第1のスペーサブロック6122は相変わらず第2のスペーサブロック6124に接続される。変圧器20の2つの磁気コア620間の隙間は第1のスペーサブロック6122の厚さD1を満足することが必要である時、第1のスペーサブロック6122と第2のスペーサブロック6124との接続を断ってもよく、例えば、直接取り除くことで、第2のスペーサブロック6124を変圧器20から離脱させ、このように、2つの磁気コア620は第1のスペーサブロック6122の相反する両側に直接当たる(
図10に示す)。
【0083】
図9、
図12及び
図13に示すように、ボビン610の外側に巻き溝614が形成されており、変圧器20は蓋部630を含み、蓋部630は少なくとも巻き溝614の一部を覆い、蓋部630は第1のスペーサ612の位置に対応する第2のスペーサ632を含み、第2のスペーサ632は、第3のスペーサブロック6322と、第3のスペーサブロック6322に接続される第4のスペーサブロック6324とを含み、第3のスペーサブロック6322の厚さD3と第1のスペーサブロック6122の厚さD1は同じであり、第4のスペーサブロック6324の厚さD4と第2のスペーサブロック6124の厚さD2は同じであり、2つの磁気コア620の一端がそれぞれ第1のスペーサブロック6122によって離間される場合、2つの磁気コア620の他端がそれぞれ第3のスペーサブロック6322によって離間され、2つの磁気コア620の一端がそれぞれ第2のスペーサブロック6124によって離間される場合、2つの磁気コア620の他端がそれぞれ第4のスペーサブロック6324によって離間される。
【0084】
こうすると、第1のスペーサブロック6122及び第3のスペーサブロック6322により、2つの磁気コア620の両端を離間し、或いは、第2のスペーサブロック6124及び第4のスペーサブロック6324により、2つの磁気コア620の両端を離間し、このように、変圧器20は異なる仕様や型番の要求を満たすことができ、変圧器20全体としてコストが低く、生産効率が高い。
【0085】
なお、第1のスペーサブロック6122及び第3のスペーサブロック6322は、形状及び大きさが一致しても、一致しなくてもよい。第2のスペーサブロック6124及び第4のスペーサブロック6324は、形状及び大きさが一致しても、一致しなくてもよい。一実施形態では、第1のスペーサブロック6122は2つの磁気コア620の一端を離間するために用いられ、第3のスペーサブロック6322は2つの磁気コア620の他端を離間するために用いられる。別の実施形態では、第2のスペーサブロック6124は2つの磁気コア620の一端を離間するために用いられ、第4のスペーサブロック6324は2つの磁気コア620の他端を離間するために用いられる。第1のスペーサ612はボビン610の中心隙間Aに位置する。第2のスペーサ632は蓋部630の片側の間隔Bに位置する。
【0086】
図7に示すように、いくつかの実施形態では、第1のスペーサ612は、第1のスペーサブロック6122及び第2のスペーサブロック6124に接続される接続部6126を含み、第2のスペーサブロック6124は第1のスペーサブロック6122よりもボビン610の中心に近く、第2のスペーサブロック6124の厚さD2は第1のスペーサブロック6122の厚さD1より大きく、第1のスペーサブロック6122はボビン610の管内壁611に設置され、接続部6126の厚さは第1のスペーサブロック6122の厚さD1より小さい。
【0087】
こうすると、接続部6126が第1のスペーサブロック6122及び第2のスペーサブロック6124に接続され、かつ、接続部6126の厚さが第1のスペーサブロック6122より小さいことで、2つの磁気コア620は第1のスペーサブロック6122の厚さD1である隙間を満足する必要がある場合、第2のスペーサブロック6124と接続部6126の接続を切って、第2のスペーサブロック6124を変圧器20から迅速に離脱させることができる。
【0088】
好ましくは、第1のスペーサブロック6122の厚さD1の範囲は1.3mmから1.7mmであってもよい。第2のスペーサブロック6124の厚さD2の範囲は1.8mmから2.2mmであってもよい。
【0089】
具体的には、いくつかの実施形態では、第1のスペーサブロック6122は、全体として連続する環状をなし、第2のスペーサブロック6124を取り巻くように構成される。第2のスペーサブロック6124は中実円盤であってもよい。第1のスペーサブロック6122はボビン610の管内壁611に設置され、第2のスペーサブロック6124はボビン610の中心により近いため、2つの磁気コア620は第2のスペーサブロック6124の厚さD2である隙間を満足する必要がある場合、2つの磁気コア620の一端を第2のスペーサブロック6124の相反する両側に直接当たることができ、この時、第1のスペーサブロック6122は磁気コア620に直接接触していなく、つまり、第1のスペーサブロック6122は磁気コア620を離間するという役割を果たしていない。2つの磁気コア620は第1のスペーサブロック6122の厚さD1である隙間を満足する必要がある場合、第1のスペーサブロック6122と第2のスペーサブロック6124を接続する接続部6126を迅速に直接断って、第2のスペーサブロック6124を変圧器20から離間させることができ、このように、2つの磁気コア620の一端は、ボビン610の管内壁611に設置される第1のスペーサブロック6122の相反する両側に当たることができる。
【0090】
図9に示すように、いくつかの実施形態では、巻き溝614は1次巻き溝6142と、2次巻き溝6144とを含み、変圧器20は、1次巻き溝6142に巻き付けられる1次巻線6141と、2次巻き溝6144に巻き付けられる2次巻線6143とを含む。こうすると、変圧器20の構造が簡単になる。
【0091】
具体的には、1次巻線6141及び2次巻線6143は、電導率が高い銅導線及びアルミニウム導線で巻き付けてなる。いくつかの実施形態では、1次巻線6141及び2次巻線6143はそれぞれ層式巻線であってもよい。層式巻線は構造がコンパクトであり、生産効率が高い。
【0092】
いくつかの実施形態では、
図14から
図16に示すように、変圧器20は絶縁性のボビン710と2つの磁気コア720とを含む。2つの磁気コア720はボビン710内において突き合わされる。ボビン710の管内壁711に第1のスペーサ712が設置されている。第1のスペーサ712は、第1のスペーサブロック7122と、第2のスペーサブロック7124と、第3のスペーサブロック7123とを含む。第1のスペーサブロック7122はボビン710の管内壁711に接続される。第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123はいずれも第1のスペーサブロック7122に接続される。第1のスペーサブロック7122の厚さD1は第2のスペーサブロック7124の厚さD2及び第3のスペーサブロック7123の厚さD3より小さい。第2のスペーサブロック7124の厚さD2と第3のスペーサブロック7123の厚さD3は異なる。2つの磁気コア720の一端がそれぞれ第1のスペーサブロック7122、第2のスペーサブロック7124又は第3のスペーサブロック7123によって離間される。
【0093】
上記実施形態の変圧器20では、ボビン710の内部に厚さが異なる第1のスペーサブロック7122、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123が設置され、2つの磁気コア720は、2つの磁気コア720間の間隔を調整するように、実際の需要に応じて第1のスペーサブロック7122、第2のスペーサブロック7124又は第3のスペーサブロック7123に当たることができ、これにより、変圧器20は異なる仕様や型番の要求を満たすことができ、変圧器20全体としてコストが低く、生産効率が高い。
【0094】
具体的には、一例では、絶縁性のボビン710は樹脂材料であってもよい。磁気コア720は銅心又は鉄心などであってもよい。
【0095】
具体的には、関連技術では、変圧器はプリセット磁気ギャップの要求を満たすことが可能になるように、変圧器の2つの突き合わされた磁気コア間は実際の需要に応じてプリセット磁気ギャップを保持する必要がある。2つの磁気コアは交番磁化の時に渦電流損が発生するが、磁気ギャップは渦電流損の低減に寄与する。また、変圧器の結合効率は、磁気ギャップの大きさにも、巻線の巻き積層高さ及び巻き幅の大きさにも関連する。つまり、変圧を1つの適切な結合効率に保持することができるために、2つの磁気コア間の磁気ギャップ又は巻線の巻き積層高さ及び巻き幅の大きさを調整することができる。本実施形態では、本実施形態の2つの磁気コア720は、第1のスペーサブロック7122、第2のスペーサブロック7124又は第3のスペーサブロック7123によって離間することができ、このように、変圧器20は異なる仕様や型番の要求を満たすことができ、つまり、コストを増加させない場合、本実施形態の第1のスペーサ712は3種類の特性の異なる変圧器20に適用でき、そして、変圧器20が異なる結合効率の要求を満たすことは可能になる。
【0096】
なお、
図15の例では、第1のスペーサブロック7122の厚さD1は第2のスペーサブロック7124の厚さD2及び第3のスペーサブロック7123の厚さD3より小さく、第2のスペーサブロック7124の厚さD2は第3のスペーサブロック7123の厚さD3より小さい。
【0097】
好ましくは、第1のスペーサブロック7122の厚さD1の範囲は1.4mmから1.7mmであってもよく、第2のスペーサブロック7124の厚さD2の範囲は1.9mmから2.2mmであってもよく、第3のスペーサブロック7123の厚さD3の範囲は2.4mmから2.7mmであってもよい。
【0098】
具体的には、いくつかの実施形態では、第1のスペーサブロック7122は、全体として連続する環状をなし、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123を巻き回すように構成される。第2のスペーサブロック7124は、2つの中実の略扇形盤であるスペーサブロックを含んでもよく、第3のスペーサブロック7123も2つの中実の略扇形盤であるスペーサブロックを含んでもよい。第2のスペーサブロック7124の2つのスペーサブロック及び第3のスペーサブロック7123の2つのスペーサブロックはボビンの周方向に沿って交互に間隔を置いて設置され、かつ、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123は1つの連続しない環状構造に囲まれている。他の実施形態では、第2のスペーサブロック7124は単一のスペーサブロックであってもよく、第3のスペーサブロック7123も単一のスペーサブロックであってもよいことが理解され得る。
【0099】
変圧器20の2つの磁気コア720間の磁気ギャップは第3のスペーサブロック7123の厚さD3を満足する必要がある場合、2つの磁気コア720の一端を第3のスペーサブロック7123の両側に直接当ててもよい(
図17に示す)、この時、第1のスペーサブロック7122及び第2のスペーサブロック7124は相変わらず第3のスペーサブロック7123に接続される。
【0100】
変圧器20の2つの磁気コア720間の磁気ギャップは第2のスペーサブロック7124の厚さD2を満足する必要がある場合、第3のスペーサブロック7123と第2のスペーサブロック7124との接続(あれば)を断ち(例えば取り除く)、第3のスペーサブロック7123と第1のスペーサブロック7122との接続を断つことができ、これにより、第3のスペーサブロック7123を第1のスペーサ712から分離させ、この時、2つの磁気コア720の一端を第2のスペーサブロック7124の両側に直接当てる(
図18に示す)。
【0101】
変圧器20の2つの磁気コア720間の磁気ギャップは第1のスペーサブロック7122の厚さD1を満足する必要がある場合、第3のスペーサブロック7123と第1のスペーサブロック7122との接続(あれば)を断ち(例えば取り除く)、第2のスペーサブロック7124と第1のスペーサブロック7122との接続を断つことができ、これにより、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123を第1のスペーサ712から同時に分離させ、この時、2つの磁気コア720一端を第1のスペーサブロック7122の両側に直接当てる(
図19に示す)。
【0102】
図14に示すように、いくつかの実施形態では、第1のスペーサ712は第1の接続部7125を含み、第1の接続部7125は第1の接続部材71252と第2の接続部材71254を含み、第1の接続部材71252は第1のスペーサブロック7122及び第2のスペーサブロック7124に接続され、第2の接続部材71254は第1のスペーサブロック7122及び第3のスペーサブロック7123に接続される。
【0103】
こうすると、第1の接続部材71252及び第2の接続部材71254の接続役割により、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123を第1のスペーサブロック7122に固定することができ、また、第1の接続部材71252をオフにすることにより、第2のスペーサブロック7124を第1のスペーサブロック7122との接続から迅速に離脱させることができ、第2の接続部材71254をオフにすることで、第3のスペーサブロック7123を第1のスペーサブロック7122との接続から迅速に離脱させることができ、操作が簡単である。
【0104】
図14に示すように、いくつかの実施形態では、第1のスペーサブロック7122の数が複数ある。複数の第1のスペーサブロック7122は、ボビン710の周方向に沿って間隔を置いて設置される。第1の接続部材71252の数が複数である。各第1の接続部材71252は各第1のスペーサブロック7122及び第2のスペーサブロック7124に接続される。第2の接続部材71254の数が複数である。各第2の接続部材71254は各第1のスペーサブロック7122及び第3のスペーサブロック7123に接続される。
【0105】
こうすると、第1のスペーサ712の製造コストを低減し、第1の接続部材71252と第2の接続部材71254を容易に断つことができる。
【0106】
具体的には、一例では、複数の第1のスペーサブロック7122は、ボビン710の周方向に沿って間隔を置いて均一に設置され、このように、第2のスペーサブロック7124の力受けを均一にすることができる。複数の第1のスペーサブロック7122は1つの連続しない環状構造を形成する。例えば、
図14に示す例では、第1のスペーサブロック7122の数が4つのであり、4つの第1のスペーサブロック7122は、ボビン710の周方向に沿って90度の間隔を置いて設置される。第2のスペーサブロック7124の数が2つであり、第3のスペーサブロック7123の数も2つであり、第2のスペーサブロック7124と第3のスペーサブロック7123は、複数の第1のスペーサブロック7122によって形成される環状構造の中に交互に間隔を置いて設置される。各第2のスペーサブロック7124と隣接して間隔を置いて設置される各第3のスペーサブロック7123との間はプリセット距離を保持し、各第2のスペーサブロック7124のラジアンが90度であり、各第3のスペーサブロック7123のラジアンも90度である。
【0107】
さらに、水平に配置される2つの第1のスペーサブロック7122、第1の接続部材71252及び第2のスペーサブロック7124は同一の水平面に位置してもよい。縦に配置される2つの第1のスペーサブロック7122、第2の接続部材71254及び第3のスペーサブロック7123は同一の垂直面に位置してもよい。
【0108】
いくつかの実施形態では、第1のスペーサ712は、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123に接続される第2の接続部7127を含む。
【0109】
こうすると、第2の接続部7127により、第2のスペーサブロック7124と第3のスペーサブロック7123を一体に接続することができ、第1のスペーサ712の構造を安定的にする。
【0110】
具体的には、第2の接続部7127は第1のスペーサ712の中心位置に配置されてもよい。
図14及び
図15に示すように、いくつかの実施形態では、第2の接続部7127は複数の第3の接続部材71272と、複数の第4の接続部材71274と、複数の第5の接続部材71276とを含み、第3の接続部材71272と第4の接続部材71274は、ボビン710の周方向に沿って第5の接続部材71276の側面に交互に接続され、各第3の接続部材71272は第2のスペーサブロック7124及び第5の接続部材71276に接続され、各第4の接続部材71274は第3のスペーサブロック7123及び第5の接続部材71276に接続される。
【0111】
こうすると、第3の接続部材71272、第4の接続部材71274及び第5の接続部材71276により、第2のスペーサブロック7124と第3のスペーサブロック7123を一体に接続することができ、構造が簡単であり、第3の接続部材71272又は第4の接続部材71274をせん断することにより、第2のスペーサブロック7124と第3のスペーサブロック7123との接続を迅速に断つことができる。
【0112】
具体的には、第5の接続部材71276は菱形構造又は方形構造にすることができ、第3の接続部材71272及び第4の接続部材71274はストリップ構造にすることができる。第3の接続部材71272の数が2つであり、第4の接続部材71274の数が2つである。2つの第3の接続部材71272はそれぞれ第5の接続部材71276の1つの対角線における2つの隅位置に接続され、2つの第4の接続部材71274はそれぞれ第5の接続部材71276の別の対角線における2つの隅位置に接続される。このように形成される第2の接続部7127は第1のスペーサ712に均一な接続強度を提供することができる。
【0113】
一実施形態では、第1の接続部材71252及び第3の接続部材71272を断つことで、第2のスペーサブロック7124を第1のスペーサ712から分離させることができ、そして、第2の接続部材71254及び第4の接続部材71274を断って、第3のスペーサブロック7123を第1のスペーサ712から分離させ、この時、2つの磁気コア720の一端を第1のスペーサブロック7122の相反する両側に直接当てることができる(
図19に示す)。
【0114】
別の実施形態では、第2の接続部材71254及び第4の接続部材71274を断つことで、第3のスペーサブロック7123を第1のスペーサ712から分離させることができ、この時、2つの磁気コア720の一端を第2のスペーサブロック7124の相反する両側に直接当てることができる(
図18に示す)。
【0115】
さらに別の実施形態では、第2のスペーサブロック7124と第3のスペーサブロック7123は第2の接続部7127によって一体に接続され、この時、2つの磁気コア720の一端を第3のスペーサブロック7123の相反する両側に直接当てることができる(
図17に示す)。
【0116】
いくつかの実施形態では、第1の接続部7125の厚さは第1のスペーサブロック7122の厚さD1の以下であり、第2の接続部7127の厚さは第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123のうちより小さい厚さの以下である。
【0117】
こうすると、第1のスペーサブロック7122、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123は離間の役割を果たし、接続部が厚いことにより、磁気コア720の一端に接触して、2つの磁気コア720の一端の距離に影響を与えることを防止する。
【0118】
第1の接続部7125の厚さは第1のスペーサブロック7122の厚さD1の以下であり、つまり、一例では、第1の接続部7125の厚さは第1のスペーサブロック7122の厚さD1に等しくてもよく、又は、別の一例では、第1の接続部7125の厚さは第1のスペーサブロック7122の厚さD1より小さくしてもよいことが理解され得る。第2の接続部7127の厚さは第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123のうちより小さい厚さの以下であり、つまり、一例では、第2の接続部7127の厚さは第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123のうちより小さい厚さに等しくてもよく、又は、別の一例では、第2の接続部7127の厚さは第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123のうちより小さい厚さより小さい。なお、スペーサブロック及び接続部の厚さの設定及び位置の設定は、2つの磁気コア720の離間がスペーサブロックによって実現され、スペーサブロック間の接続が接続部によって実現されることを保証するために用いられる。そして、厚さが小さい接続部は、接続部を断つ時の操作にも便利である。
【0119】
いくつかの実施形態では、第2の接続部7127は、複数の第1のスペーサブロック7122によって形成された環状構造の中心に位置し、第2のスペーサブロック7124及び第3のスペーサブロック7123は第2の接続部7127を囲む。こうすると、第1のスペーサは構造が簡単かつ安定的であり、全体として変形しにくく、変圧器100の組み立てる時の効率が保証され、そして、第2のスペーサブロック7124と第3のスペーサブロック7123の接続を断つことが容易になる。
【0120】
図16、
図20及び
図21に示すように、いくつかの実施形態では、ボビン710の外側に巻き溝714が形成されている。変圧器20は、少なくとも一部の巻き溝714を覆う蓋部730を含む。蓋部730は第1のスペーサ712の位置に対応する第2のスペーサ732を含む。第2のスペーサ732は第4のスペーサブロック7322と、第5のスペーサブロック7324と、第6スペーサブロック7326とを含む。第5のスペーサブロック7324及び第6スペーサブロック7326はいずれも第3のスペーサブロック7123に接続される。第4のスペーサブロック7322の厚さD4と第1のスペーサブロック7122の厚さD1は同じである。第5のスペーサブロック7324の厚さD5と第2のスペーサブロック7124の厚さD2は同じである。第6スペーサブロック7326の厚さD6と第3のスペーサブロック7123の厚さD3は同じである。
【0121】
2つの磁気コア720の一端がそれぞれ第1のスペーサブロック7122によって離間される場合、2つの磁気コア720の他端がそれぞれ第4のスペーサブロック7322によって離間される。2つの磁気コア720の一端がそれぞれ第2のスペーサブロック7124によって離間される場合、2つの磁気コア720の他端がそれぞれ第5のスペーサブロック7324によって離間される。2つの磁気コア720の一端がそれぞれ第3のスペーサブロック7123によって離間される場合、2つの磁気コア720の他端がそれぞれ第6スペーサブロック7326によって離間される。
【0122】
こうすると、第1のスペーサブロック7122及び第4のスペーサブロック7322により2つの磁気コア720の両端を離間し、或いは、第2のスペーサブロック7124及び第5のスペーサブロック7324により2つの磁気コア720の両端を離間し、或いは、第3のスペーサブロック7123及び第6スペーサブロック7326により2つの磁気コア720の両端を離間し、このように、変圧器20は異なる仕様や型番の要求を満たすことができ、変圧器20全体としてコストが低く、生産効率が高い。
【0123】
なお、第1のスペーサブロック7122及び第4のスペーサブロック7322は、形状及び大きさが一致しても、一致しなくてもよい。第2のスペーサブロック7124及び第5のスペーサブロック7324は、形状及びおおきさが一致しても、一致しなくてもよい。第3のスペーサブロック7123及び第6スペーサブロック7326は、形状及びおおきさが一致しても、一致しなくてもよい。一実施形態では、第1のスペーサブロック7122は2つの磁気コア720の一端を離間するために用いられ、第4のスペーサブロック7322は2つの磁気コア720の他端を離間するために用いられる。別の実施形態では、第2のスペーサブロック7124は2つの磁気コア720の一端を離間するために用いられ、第5のスペーサブロック7324は2つの磁気コア720の他端を離間するために用いられる。さらに別の実施形態では、第3のスペーサブロック7123は2つの磁気コア720の一端を離間するために用いられ、第6スペーサブロック7326は2つの磁気コア720の他端を離間するために用いられる。第1のスペーサ712は、ボビン710における2つの磁気コア720の一端によって形成される中心磁気ギャップAに位置する。第2のスペーサ732は、蓋部730の片側にある2つの磁気コア720の他端によって形成される間隔Bに位置する。
【0124】
図16に示すように、いくつかの実施形態では、ボビン710の外側に巻き溝714が形成されており、巻き溝714は1次巻き溝7142と2次巻き溝7144とを含み、変圧器20は1次巻き溝7142に巻き付けられる1次巻線7141と、2次巻き溝7144に巻き付けられる2次巻線7143とを含む。こうすると、変圧器20の構造が簡単になる。
【0125】
具体的には、1次巻線7141及び2次巻線7143は、電導率が高い銅導線及びアルミニウム導線で巻き付けてなる。いくつかの実施形態では、1次巻線7141及び2次巻線7143はそれぞれ層式巻線であってもよい。層式巻線は構造がコンパクトであり、生産効率が高い。本実施形態では、1次巻き溝7142は単一であり、2次巻き溝7144は3つの副の巻き溝を含む。
【0126】
図2に示すように、本願の実施形態は、さらに、電子レンジ調理器200を提供する。電子レンジ調理器200は、上記のいずれかの実施形態の電子式変圧器100と、マイクロ波発振器210とを含む。電子式変圧器100はマイクロ波発振器210に接続される。
【0127】
上記の実施形態の電子レンジ調理器200では、スイッチモジュール30はオンオフ信号を変圧器20に提供することができるため、交流電源50が不安定である時に回路を保護するという役割を果たすことができ、また、制御モジュール40はスイッチモジュール30のスイッチング周波数を制御することができるため、電子式変圧器100は電圧をマイクロ波発振器210に安定的に出力することができ、そして、本実施形態の電子レンジ調理器200は製作コストが低い。
【0128】
具体的には、マイクロ波発振器210はマグネトロンを含む。マグネトロンはマイクロ波エネルギーを生成するための電子真空機器である。マグネトロンはて定磁場に置かれるダイオードである。マグネトロン内の電子は、相互に直交する定磁場と定電場の制御下で、高周波電磁場と相互に作用し、電子式変圧器100の出力電力から取得されるエネルギーをマイクロ波エネルギーに変換し、これにより、マイクロ波エネルギーを生成するという目的を達成する。
【0129】
いくつかの実施形態では、電子レンジ調理器200は上位コンピュータ220を含み、上位コンピュータ220は電子式変圧器100に接続され、上位コンピュータ220は、周波数に基づいて設定される入力命令を受信し、制御信号を電子式変圧器100に送信するように構成され、制御モジュール40は、入力命令に基づいて、電子式変圧器100の出力電力を制御するように構成される。
【0130】
こうすると、電子レンジ調理器200は、ユーザの入力命令に基づいて、電子式変圧器100の出力電力を制御することができ、操作が柔軟であり、ユーザエクスペリエンスが良い。
【0131】
具体的には、上位コンピュータ220は電子レンジ調理器200の制御ボード230又はコンピュータボードであってもよく、制御ボード230又はコンピュータボードにキーが設置されており、ユーザはキーを操作して、設定された電子レンジ調理器200の出力電力を入力する。もちろん、上位コンピュータ220は上記の実施形態に限定されるものではなく、実際の需要に応じて他の実施形態を選択してもよい。例えば、上位コンピュータ220は有線又は無線の方式により、ユーザの入力電力を電子式変圧器100に送信する。
【0132】
具体的には、一実施例では、電子式変圧器100のプリセット電力は1000Wであり、ユーザは、上位コンピュータ220により、設定された電子レンジ調理器200の出力電力800Wを入力する。単位時間(例えば10S)あたりに、制御モジュール40のプロセッサ44は、スイッチ部材110のオンを8S、オフを2Sに制御し、単位時間(10S)あたりに、電子式変圧器100の出力電力の平均値は800Wであり、つまり、単位時間あたりの電子式変圧器100の出力電力は、ユーザが電子レンジ調理器200に操作する入力電力と等しいことが可能である。
【0133】
いくつかの実施形態では、電子式変圧器がスイッチ部材110を含む場合、スイッチ部材110は制御ボード230、コントローラボード又はコンピュータボードに設置されてもよく、上位コンピュータ220は、ユーザの入力命令を有線又は無線の方式により制御モジュール40に送信することができ、制御モジュール40はユーザの入力命令に基づいて、有線又は無線の方式により制御信号を制御ボード230又はコンピュータボードに送信し、そして、制御ボード230又はコンピュータボードによってスイッチ部材110のオンオフ比を制御する。
【0134】
いくつかの実施形態では、上位コンピュータ220は、周波数に基づいて設定される入力命令を受信し、入力命令に基づいて電子式変圧器100の出力電力を制御するように構成される。
【0135】
こうすると、上位コンピュータ220は、直接、ユーザの入力命令に基づいてスイッチ部材110のオンオフ比を制御することができ、これにより、電子式変圧器100の出力電力を制御するという役割を果たす。
【0136】
一例では、電子式変圧器100のプリセット電力は1000Wであり、ユーザが上位コンピュータ220を介して入力する入力電力は800Wである。単位時間(例えば10S)あたりに、上位コンピュータ220はスイッチ部材110のオンを8S、オフを2Sに制御し、単位時間(10S)あたりに、電子式変圧器100の出力電力の平均値は800Wであり、つまり、単位時間あたりの電子式変圧器100の出力電力は、ユーザが電子レンジ調理器200に操作する入力電力と等しいことが可能である。なお、電子式変圧器100の出力電力は、ユーザが上位コンピュータ220を介して入力する入力電力に一致すると理解され得て、電子式変圧器100のプリセット電力は、電子式変圧器の制御モジュールが予め設定した電力である。
【0137】
図22に示すように、電子レンジ調理器200は、さらに、キャビティ130と、ドア(図示しない)と、ファン150とを含む。キャビティ130内に加熱される食べ物を置くためのトレイ160が設けられており、ドアは、キャビティ130の開口を開閉するために、キャビティ130の前方に回動可能に設置され、マイクロ波生成器110及び変圧器20は、キャビティ130の外側に取り付けられ、ファン150の吹き方向に設置される。電子レンジ調理器200の動作時に、変圧器20はマイクロ波生成器110に動作電流を提供し、マイクロ波生成器110は、キャビティ130中の食べ物を加熱するためのマイクロ波エネルギーを生成する。また、ファン150は外界からの空気を吸収し、気流を形成することができ、気流はエアダクトを通して変圧器20中で伝導し、変圧器20を降温及び放熱することができ、変圧器20の冷却後、気流は変圧器20中から電子レンジ調理器200の外に排出される。
【0138】
本明細書の説明において、「一実施例」、「いくつかの実施例」、「例示的な実施形態」、「例」、「具体的な例」、又は「いくつかの例」などの用語を参考した説明とは、前記実施形態或いは例に合わせて説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性が、本願の少なくとも1つの実施形態又は例に含まれることである。本明細書において、上記用語に対する例示的な説明は、必ずしも同じ実施形態又は例を示すものではない。また、説明された具体的な特徴、構造、材料又は特性は、いずれか1つ又は複数の実施形態又は例において適切に結合することができる。
【0139】
フローチャートにおける、又はここで他の形態で記載された任意のプロセス又は方法は、特定のロジック機能又はプロセスのステップを実行するための1つ又は複数の実行可能な命令のコードを含むモジュール、セグメント又は部分を表すと理解されてもよい。また、本願の好ましい実施形態の範囲は、他の実行を含み、ここで、示された又は論議された順番ではなく、係る機能に応じてほぼ同時の形態又は逆の順番で機能を実行してもよいことは、当業者であれば理解すべきものである。
【0140】
フローチャートで示された又はここで他の形態で説明されたロジック及び/又はステップは、例えば、ロジック機能を実行するための実行可能な命令の順番付けられたリストと見なされておもよく、任意のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体において具体的に実行して、命令実行システム、装置、又は機器(例えばコンピュータに基づいたシステム、プロセッサを含むシステム、又は他の命令実行システム、装置又は機器から命令を取得して命令を実行するシステム)に利用されるか、或いはこれらの命令実行システム、装置又は機器と組み合わせて利用されることができる。本明細書において、「コンピュータ読み取り可能な記憶媒体」は、命令実行システム、装置又は機器に使用され、或いは、命令実行システム、装置又はデバイスと組み合わせて使用するためのプログラムを含む、格納する、通信する、伝播する、又は伝送することができる任意の装置であってもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体のより具体的な例(非限定的なリスト)として、1つ又は複数の配線を備える電気接続部(電子装置)、ポータブルコンピュータディスクカートリッジ(磁気装置)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、光ファイバデバイス、及びポータブルコンパクトディスク読み出し専用リメモリ(CDROM)を含む。また、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、前記プログラムが印刷され得る紙又は他の適切な媒体であってもよく、これは、例えば、紙や他の媒体を光学的スキャンし、次に編集し、解釈し、又は必要な場合に他の適切な形態で処理して前記プログラムを電子の方式より取得して、そしてコンピュータメモリに格納することができるからである。
【0141】
本願の各部分は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はこれらの組み合わせによって実行することができることが理解されるべきである。上記実施形態において、複数のステップ又は方法は、メモリに記憶された且つ適切な命令実行システムによって実行されるソフトウェア又はファームウェアによって実現することができる。例えば、ハードウェアで実現する場合に、もう1つの実施形態と同様に、データ信号に対してロジック機能を実現するためのロジックゲート回路を備える離散ロジック回路、適切な組み合わせロジックゲート回路を備える特定用途向け集積回路、プログラマブルゲートアレイ(PGA)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの当分野の周知技術のうちいずれか1つ又はこれらの組み合わせによって実現することができる。
【0142】
当業者であれば、上記実施方法に含まれる全部又は一部のステップは、プログラムによって相関ハードウェアを命令することで実行することができると理解することができ、前記プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に格納することができ、当該プログラムは、実行時に、方法の実施例におけるステップの1つ又はそれらの組み合わせを含む。
【0143】
また、本願の各実施例における各機能ユニットは、1つの処理モジュールに集積されてもよいし、それぞれが個別の物理的存在であってもよいし、2つ以上のユニットが1つのモジュールに集積されてもよい。前記集積モジュールは、ハードウェアの形態で実現されてもよいし、ソフトウェア機能モジュールの形態で実現されてもよい。前記集積モジュールがソフトウェア機能モジュールの形態で実現されるとともに、独立した製品として販売又は使用される場合に、1つのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶されてもよい。
【0144】
上記の記憶媒体は、読み出し専用メモリ、磁気ディスク、又は光ディスクなどであってもよい。以上、本発明の実施例が示されて説明されたが、上記実施例は例示的であり、本願を制限するものであると理解してはいけない。当業者であれば、本願の範囲内で上記実施例に対して変更、補正、置換、変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0145】
200…電子レンジ調理器、100…電子式変圧器、10…整流モジュール、20…変圧器、30…スイッチモジュール、32…スイッチトランジスタ、34…共振コンデンサ、40…制御モジュール、42…検出モジュール、44…プロセッサ、46…駆動回路、48…補助電源、50…交流電源、60…フィルタモジュール、62…フィルタコンデンサ、64…フィルタインダクタ、70…第1のサンプリングモジュール、72…第1の抵抗、74…第2の抵抗、80…第2のサンプリングモジュール、82…第3の抵抗、90…第3のサンプリングモジュール、92…第4の抵抗、94…第5の抵抗、110…スイッチ部材、120…倍圧整流モジュール、122…第1の倍圧ダイオード、124…第2の倍圧ダイオード、126…第1の倍圧コンデンサ、128…第2の倍圧コンデンサ、130…補助変圧器、210…マイクロ波発振器、220…上位コンピュータ、230…制御ボード