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特許7089068電気自動車の誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】電気自動車の誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバ
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20220614BHJP
   H01F 27/255 20060101ALI20220614BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20220614BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20220614BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F27/255
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
H02J50/10
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020565297
(86)(22)【出願日】2019-05-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2019063082
(87)【国際公開番号】W WO2019224192
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-01-18
(31)【優先権主張番号】18382350.9
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516044978
【氏名又は名称】プレモ・エセ・ア
【氏名又は名称原語表記】PREMO,S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】カニェテ・カベサ,クラウディオ
(72)【発明者】
【氏名】ロハス・クエバス,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス・モレノ,ホルヘ
(72)【発明者】
【氏名】ヒメネス・ビジャダ,アレハンドロ
(72)【発明者】
【氏名】ナバロ・ペレス,フランシスコ・エセキエル
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-126596(JP,A)
【文献】特表2017-532777(JP,A)
【文献】特開2016-018882(JP,A)
【文献】特開2014-007813(JP,A)
【文献】特開2015-179704(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0033610(US,A1)
【文献】特開2018-037608(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H01F 27/255
H02J 7/00
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車の誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバであって、前記誘導エネルギーエミッタ/レシーバが、:
軸(A)に垂直であり、第1の中心開口部を有する主表面(S)であって、二つの対向する主表面(S)を有する平面状磁性コア(10)と;
-磁性コア(10)の前記主表面(S)の一つに重ねられた少なくとも一つの平面伝導コイル(20)であって、第2の中心開口部を有する軸(A)の周囲に巻かれた少なくとも一つの平面伝導コイル(20)であり、第1の中心開口部が第2の中心開口部に重ねられた少なくとも一つの平面伝導コイル(20)と;
-前記平面状磁性コア(10)および前記少なくとも一つの平面伝導コイル(20)に取り付けられるインダクタケーシング(30)と;
を包含し、
平面状磁性コア(10)が複数のフレキシブルな細長部分コア(11)で作製され、第1の中心開口部の周囲に、放射状に配置され
各細長部分コア(11)はフレキシブルであり、
インダクタケーシング(30)が、軟磁性材料と結合されたフレキシブルなポリマで作製されたフレキシブルなインダクタケーシング(30)であり、フレキシブルな細長部分コア(11)間の隙間を埋め、
フレキシブルな細長部分コアが、フレキシブルなインダクタケーシング(30)によって囲まれ、併せて二つの直行方向にフレキシブルな平面状磁性コアを作成し、
フレキシブルなインダクタケーシング(30)が、細長部分コア(11)と磁気的に協働し、併せて一つのモノリシック磁性コア(10)によって生成される磁気的効果と同等の磁気的効果を生成する、
誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項2】
フレキシブルな細長部分コア(11)の各々が、インダクタケーシング(30)の一部として細長ケーシング(31)でオーバーモールドされた高透磁率軟磁性合金から作製された平行連続強磁性ワイヤー(13)で作製された、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項3】
フレキシブルな細長部分コア(11)の各々が、強磁性材料から作製された複数の硬磁性コア(12)によって形成され、連結された方法でそれらの端で互いに接続され、インダクタケーシング(30)の一部として細長ケーシング(31)でオーバーモールドされた、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項4】
フレキシブルな細長部分コア(11)が互いに間隔を空けられている、請求項2記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項5】
平面状磁性コア(10)が放熱のための熱伝導性コンパウンドのシートと熱的に接触している、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項6】
少なくとも一つの平面伝導コイル(20)がインダクタケーシング(30)内に組み込まれる、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項7】
フレキシブルな細長部分コア(11)が、互いに隣接し、接触しているフレキシブルな細長部分コア(11)の群を含み、
前記隙間は、隣接する群の間に画定されるフレキシブルなインダクタケーシング(30)によって埋められる、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項8】
フレキシブルな細長部分コア(11)が、互いに隣接し、接触しているフレキシブルな細長部分コア(11)の群を含み、
前記隙間は、隣接する群の間に画定されるフレキシブルなインダクタケーシング(30)によって埋められ、
前記フレキシブルな細長部分コア(11)の群が十字構造形で第1の中心開口部の周囲に放射状に配置された四つの群である、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項9】
フレキシブルな細長部分コア(11)が、互いに隣接し、接触しているフレキシブルな細長部分コア(11)の群を含み、
前記隙間は、隣接する群の間に画定されるフレキシブルなインダクタケーシング(30)によって埋められ、
前記フレキシブルな細長部分コア(11)の群が十字構造形で第1の中心開口部の周囲に放射状に配置された四つの群であり、
追加のフレキシブルな細長部分コア(11)が十字構造形で前記群間の角領域に放射状に配置される、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項10】
各フレキシブルな細長部分コア(11)がそれらの端によってつなげられ、PBM材料でオーバーモールドされた二つの四角形の部材を包含する、請求項3記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項11】
各フレキシブルな細長部分コア(11)がそれらの端によってつなげられ、PBM材料でオーバーモールドされた二つの長方形の部材を包含する、請求項3記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項12】
少なくとも一つの平面伝導コイル(20)が互いに隣接した二つの平面伝導コイル(20)を含む、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項13】
少なくとも一つの平面伝導コイル(20)が互いに部分的に重ねられた二つの平面伝導コイル(20)を含む、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【請求項14】
皿状ベース(39)および蓋(40)で作製されたハウジングをさらに含み、皿状ベース(39)が平面状磁性コア(10)、誘導コイル(20)およびフレキシブルなインダクタケーシング(30)を含む、請求項1記載の誘導エネルギーエミッタ/レシーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気自動車の誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバを対象にする。誘導自動車充電器は、通常、静止位置、例えば、大地に固定された誘導エネルギーエミッタと、通常、誘導エネルギーエミッタに面して配置されるのに好適な位置で自動車に固定され、自動車が充電位置にあるとき、前記誘導エネルギーエミッタから電力を無線で受けるように設定された誘導エネルギーレシーバとによって構成される。
【0002】
誘導エネルギーエミッタと誘導エネルギーレシーバの両方は、少なくとも磁性コアおよび伝導コイルを包含する磁性アセンブリを包含する同様のまたは同一の構成を有する。
【0003】
誘導エネルギーエミッタでは、電気エネルギーは、一つまたは複数の磁性コアと連携して向きを有する磁界を発生させる伝導コイルに供給される。誘導エネルギーレシーバでは、誘導エネルギーエミッタによって発生した磁界内に伝導コイルがあり、前記磁界は、前記伝導コイル上に電流の発生を誘導し、前記電気エネルギーは、例として、自動車バッテリーに接続されて、その充電を生成し得る。
【0004】
「インダクタケーシング」は、本説明においては、磁性コアおよび伝導コイルを包含し得る磁性アセンブリ全体を囲む連続的な塊を意味する。
【0005】
PBMは、本説明においては、以下に記載される誘導エネルギーエミッタ/レシーバの様々な部分に使用されるポリマーボンド軟磁性材料を指し示す。
【0006】
現在の技術水準
【0007】
硬磁性コアおよびケーシングと組み合わせて伝導コイルを使用する誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバが現在の技術水準において公知であるが、硬磁性コアは、通常、薄く、脆性材料、例えば、フェライトで作製される。電気自動車の急速充電を可能にするに十分な誘導エネルギーエミッタ/レシーバのサイズは、通常、400cm2~10000cm2で構成され、脆性材料で作製されたこのサイズの薄い磁性コアは、壊れやすい。
【0008】
文献国際公開公報第2013092305A1号は、モバイル機器、例えば、スマートフォンのための誘導無線充電システムを記載している。この文献は、モールドしたフレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料で作製された磁性コアと組み合わせた伝導コイルの使用を記載しているが、この文献は、それだけで電気自動車の急速充電に要するエネルギーの量を扱うことができない前記ポリマーボンド軟磁性材料以外の磁性コアの使用を記載していない。
【0009】
文献中国特許第104194070号は、重量比(1:3)~(3:1)のマンガン亜鉛フェライトパウダーとゴムをフレキシブルな磁性コアとして使用する同様の提案を記載している。磁性コアとして使用されるこの製品は、電気自動車の急速充電の要件に耐えることができないと考えられる。
【0010】
他の使用については、改善された磁気特性を有するフレキシブルな磁性コアが既知である。
【0011】
例として、文献国際公開公報第2016038434号は、その中に組み込まれた平行ワイヤーを包含するフレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料によって構成されたフレキシブルなアンテナを記載している。
【0012】
同様に、文献欧州特許第3089176号は、互いに連結された方法でそれらの端で互いに接続された一連の硬磁性コアによって構成され、フレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料を使用して被覆したフレキシブルな磁性コアを使用するアンテナの代替ソリューションを記載している。
【0013】
前記文献上では、磁性コアは、低エネルギー要件に使用され、他の磁性コアから分離されて使用され、前記磁性コアの一つがそれだけで急速自動車充電のエネルギー要件に耐えることはできない。
【0014】
国特許第20170338023号は、冷却剤アセンブリおよび磁性アセンブリを含む充電パッドであって、ハウジング内で冷却剤アセンブリの第1の壁に隣接して配置された磁性アセンブリを有する冷却剤アセンブリに接続されたハウジングをさらに含み得る充電パッドを開示している。磁性アセンブリは、1つ以上のフェライトタイルと誘導コイルの配置を含む。フェライトタイルは、誘導コイルの配置のコイル巻線上に配置される(図6Aおよび6Bを参照)。ポッティング材料(例えば、充填エポキシまたは充填シリコーン)は、誘導コイルの配置のコイル巻線と冷却剤アセンブリの底壁の外側との間の空きスペースを埋める。
【0015】
国特許第20130249477号は、無線電力伝送機器内に平行配列して位置付けられた強磁性ブロック303によって図4に提供された、コイルと、複数のコアまたは磁気的に透過性の部材によって提供された平面磁性コアとを包含する、電気自動車のための無線電力伝送装置開示している。装置は、外部の圧縮力に耐え得る壁の内側表面から伸びる複数の突出部材を有する壁を有する第一のケーシング部と、コイルおよび磁気的に透過性の部材がその中に収容され、チャンバを充填するように埋め込み材料が配されたチャンバを形成するために第一のケーシング部に接続された第二のケーシング部とを含む。第1のケーシング部301は、エポキシ樹脂306の形態の硬化可能な流動性媒体によって充填またはポッティングされ得、硬化すると、ケーシングの内部に補強を提供する。
【0016】
Wuxi Spinel Magnetics Co.の中国特許第104194070号は、製品性能が電磁シールドおよび常温での電磁妨害遮蔽の従来の設計要件を完全に満たし、製品が高い柔軟性を有し、加工しやすいように、軟フェライトパウダーがゴム基材中に分散される軟フェライト複合材料を開示している。
US2013/0249303は、誘導コイルに関して放射状に端から端まで配置されたフェライトバー(図10参照)を有するフェライトコアを形成する一連のフェライトバーを含む、無線電力伝送のための装置、システム、および方法を開示している。縦方向の圧力が各フェライトバーの端に加えられ、隣接するフェライトバーの隣接面間のエアギャップを減らし、フェライトバー間の緊密な結合を保証する。
【0017】
発明の簡単な説明
【0018】
本発明は、電気自動車の誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバに関する。
【0019】
誘導エネルギーエミッタ/レシーバは、その構造形に依存して、電気エネルギーを磁界に変え得る、または磁界によって影響を受けるとき、電気エネルギーを発生させ得る機器である。
【0020】
互いに面する前記誘導エネルギーエミッタ/レシーバの二つを設置し、それらの一方に電気エネルギーを供給することは、このエネルギーのほとんどの他方への伝達を許容し、例として、大地に固着された誘導エネルギーエミッタ/レシーバの上に駐車した、そのフロア上に誘導エネルギーエミッタ/レシーバを備えている電気自動車のバッテリーを充電するための非接触エネルギー伝達を可能にする。
【0021】
提案された誘導エネルギーエミッタ/レシーバは、現在の技術水準において公知のように、先の先行文の一つまたは複数により、:
-二つの対向する主表面を有する平面状磁性コアと;
-磁性コアの前記主表面の一つに重ねられた伝導コイルであって、平面状磁性コアの主表面に垂直な軸の周囲に巻かれた少なくとも伝導コイルと;
-前記平面状磁性コアおよび前記少なくとも一つの伝導コイルに取り付けられたインダクタケーシングと;
を包含する。
【0022】
誘導エネルギーエミッタ/レシーバの性能は、他のパラメータにもよるが、磁性コアの体積およびその形状寸法に依存する。エネルギー伝達における効率を増大させるために、誘導エネルギーエミッタ/レシーバの両方が互いに面する大きい面積を有することが好ましい。
【0023】
したがって、磁性コアの好ましい形状寸法は、平らな構造形および薄い厚さ(幅が厚さの少なくとも20倍である)を有する平面状磁性コアであり、平面状磁性コアの二つの主表面を画定する。
【0024】
好ましくは、伝導コイルは、らせん形状に巻かれ、増大するサイズ、一つまたは複数の層の厚さを有する、平らなコイルを作成する。
【0025】
提案された発明は、現在の技術水準において公知でない、以下のフィーチャも提案する:
平面状磁性コアが複数のフレキシブルな細長部分コアで作製され、フレキシブルな平面状磁性コアを形成し、フレキシブルな細長部分コアの各々が伝導コイルの重ねられたセクションに垂直であり;
インダクタケーシングが、フレキシブルな細長部分コア間の隙間を埋めるフレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料(PBM)で少なくとも部分的に作製される。
【0026】
前記フレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料は、例として、ポリマーマトリクス内に単独でまたはそれらの任意の組み合わせで存在する軟強磁性材料のマイクロファイバー、微粒子および/またはナノ粒子を包含するポリマーマトリクスである。
【0027】
さらに、述べた軟強磁性材料のマイクロファイバー、微粒子および/またはナノ粒子は、好ましくは、ポリマーケーシングの総重量のおよそ少なくとも50%を示す。
【0028】
軟磁性材料は、通常、伝導コイルによって生成される磁束を強化するおよび/または導く、1000Am-1未満の固有飽和保磁力を有する、磁化および消磁されやすいそれらの材料である。したがって、軟磁性材料は、比較的透磁率の高い材料であり、印加された磁場に材料がどれだけ容易に反応するかを示す尺度となる。
【0029】
インダクタケーシングを構成する前記フレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料は、誘導エネルギーエミッタ/レシーバの効率を増大させ、平面状磁性コアの影響を、前記磁性コアの一部としてのインダクタケーシングも使用して、拡大させる。
【0030】
電気自動車の誘導充電器向けの誘導エネルギーエミッタ/レシーバは、前記自動車が誘導エネルギーエミッタ/レシーバの上を循環しやすい前記自動車が循環するのと同じフロア上に、または自動車が移動している間、それが石、縁石またはスピードバンプにぶつかり得る自動車のフロア上にしばしば設置される。
【0031】
通常、脆性材料、例として、フェライトである硬モノリシック材料で作製された小さい厚さを有する平面状磁性コアは、自動車の重量の下ではまたはぶつかったとき、壊れやすく、したがって、しばしば前記誘導エネルギーエミッタ/レシーバには、平面状磁性コアに負荷を伝達することなく、自動車重量または衝撃に耐え得る重いシールドが提供されるが、その厚さ、コストおよび重量を増大させる。
【0032】
これに反して、本発明は、フレキシブルなインダクタケーシングによって囲まれた複数のフレキシブルな細長部分コアによって構成され、併せて二つの直行方向にフレキシブルな平面状磁性コアを作成する平面状磁性コアを提案する。
【0033】
フレキシブルな磁性コアは、壊れたり、その一時的な変形を生成したりすることなく、衝撃および重量を吸収し得、したがって、重いシールドを要しない。
【0034】
フレキシブルな磁性コアは、フレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料、したがってフレキシブルかつ磁気応答性材料で作製されるインダクタケーシングと、磁性材料で作製され、細長形状、例として、長方形のセクションバーを有する細長部分コアとの組み合わせによって得られ、前記細長部分コアもフレキシブルである。
【0035】
各細長部分コアの磁気的挙動は、インダクタケーシングを通じたそれらの接続により他の細長部分コアと協働し、併せて、例として、フェライトで作製されたモノリシック硬磁性コアによって生成されるものと同様の磁気的挙動を生成する。
【0036】
一つの態様によると、フレキシブルな細長部分コアは、インダクタケーシングの一部として細長ケーシングでオーバーモールドされた高透磁率軟磁性合金から作製された平行連続強磁性ワイヤーで作製される。
【0037】
ワイヤーと細長ケーシングとの両方は、フレキシブルであり、したがって、結果として生じるアセンブリもフレキシブルである。
【0038】
各細長部分コアの各細長ケーシングは、独立した細長ケーシングであり得、複数の細長ケーシングが、例として、接着剤によって残りのインダクタケーシングに取り付けられる。
【0039】
あるいは、ワイヤーは、インダクタケーシング内に組み込まれ得、細長部分コアに対応するワイヤーの各群に対する前記ワイヤーを囲む前記インダクタケーシングの部分が細長ケーシングと呼ばれる。
【0040】
細長部分コアの異なる態様によると、各細長部分コアは、強磁性材料から作製された複数の硬磁性コアによって形成され、連結された方法でそれらの端で互いに接続され、インダクタケーシングの一部として好ましくはPBMの細長ケーシングでオーバーモールドされる。
【0041】
前記連結された取り付けは、例として、互いに接続された各硬磁性コアの端上の相補的な凹凸の丸い構造形を通じて得られ得、それらを互いに間隔を空けることなしにシステムの効率を低下させ得るそれらの間の連結された動きを可能にする。
【0042】
各細長部分コアの各細長ケーシングは、独立した細長ケーシングであり得、複数の細長ケーシングが、例として、接着剤によって残りのインダクタケーシングに取り付けられる。
【0043】
あるいは、硬磁性コアは、インダクタケーシング内に組み込まれ得る。
【0044】
硬磁性コア間の連結された取り付けと、フレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料で作製された細長ケーシングとの態様によると、繋げられた硬磁性コア間の磁気分散が回避され、細長部分コアは、前記フレキシブルなポリマーボンド軟磁性材料を通じて一つの磁性コアとして協働する。
【0045】
細長部分コアが互いに間隔を空けられることも提案される。磁性コアの性能は、主に強磁性材料の体積に依存し、したがって、複数の間隔を空けられた細長部分コアは、一つのプレートで作製された非常に薄い平面状磁性コアと同じ性能を提供し得るが、細長部分コアは、一つのプレートで作製された非常に薄い平面状磁性コアよりもより厚い(したがって、より強い)。
【0046】
その上、先に説明したような細長部分コアを包含する平面状磁性コアは、放熱のための熱伝導性コンパウンドのシートと熱的に接触している。
【0047】
インダクタケーシングは、伝導コイルを支持する伝導コイル成形機と、磁性コアを構成する細長部分コアを支持する磁性コアケーシングとを包含し得、前記伝導コイル成形機と前記磁性コアケーシングが、例として、接着剤を使用して、互いに取り付けられ、二部分のケーシングを構成する。
【0048】
そのような場合、少なくとも一つの伝導コイルは、伝導コイルケーシング内に組み込まれ得る。
【0049】
細長部分コアの群の態様によると、一部のコアは隣接し、互いに接触する。具体的な配置に従うと、前記細長部分コアの群は、四つであり、それらは、中心開口部の周囲に十字構造形で配置され、中心開口部がコイルのコイルがない区域に重なる。
【0050】
その上、最後に指し示された態様では、追加の細長部分コアは、前記群の間の角領域に十字構造形で配置される。
【0051】
このようにして、図に最も明らかに見てとれるように、一式の様々な細長部分コアは、中心開口部の周囲に放射状に配置される。
【0052】
本発明の一つの態様によると、インダクタケーシングは、その周囲に伝導コイルが巻かれる中心軸の方向に突起している中心突起部を包含する。
【0053】
本発明の誘導エネルギーエミッタ/レシーバは、皿状ベースと蓋とで作製されたハウジングで組み立てられ、皿状ベースが平面状磁性コア、誘導コイルおよびインダクタケーシングを含有する。
【0054】
本発明の他のフィーチャは、以下の態様の詳細な説明に示されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
先述のおよび他の利点およびフィーチャは、限定的でなく例示的に取られるべき添付図面を参照しながら、以下の態様の詳細な説明からより完全に理解される:
図1】一つの態様による、本発明の誘導エネルギーエミッタ/レシーバの分解図を示す;
図2】本発明による、誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバの断面である。
図3】オーバーモールドされた細長ケーシングのない、連結された方法で互いに接続された一連の硬磁性コアで作製された一つの細長部分コアの斜視図およびその端の拡大図を示す;
図3A図3に相当するが、鎖の各硬磁性コアが四角形である。
図4】細長PBMケーシングでオーバーモールドされた高透磁率軟磁性合金から作製された平行連続強磁性ワイヤーで作製された細長部分コアの斜視図およびその端の拡大図を示す;
図5】伝導コイルが互いに隣接した、または互いに部分的に重ねられた二つの伝導コイルからなる二つの異なる態様の斜視図を示す。
図6】伝導コイルが互いに隣接した、または互いに部分的に重ねられた二つの伝導コイルからなる二つの異なる態様の斜視図を示す。
【0056】
態様の詳細な説明
【0057】
本発明では、平面伝導コイル20に重なるフレキシブルかつ平面状磁性コア10を包含する電気自動車の誘導充電器のための誘導エネルギーエミッタ/レシーバが提案される。
【0058】
提案されたフレキシブルな平面状磁性コア10は、それが衝撃を受けたまたは圧縮されたとき、壊れることなく曲がり得る。その上、フレキシブルな平面状磁性コアは、ケーシングとフレキシブルを提供するPBM材料30内に囲まれおよび/または組み込まれ、アセンブリ全てがフレキシブルであるようにする。
【0059】
効率的なフレキシブルな平面状磁性コア10を得るために、同一平面上に置かれたフレキシブルな細長部分コア11であって、隣接した平面コイル20の別の開口部に重なる中心開口部の周囲に放射状に配置された複数のフレキシブルな細長部分コア11でそれを作製し、フレキシブルな細長部分コア11の各々が伝導平面コイル20の重ねられたセクションに垂直になることが提案される。PBMのインダクタ材料30は、一式の細長部分コア11を囲み、ケーシング30を提供する。
【0060】
インダクタケーシング30は、併せて、一つのモノリシック磁性コア10によって生成される効果に相当する効果を生成する細長部分コア11と磁気的に協働する。
【0061】
各細長部分コア11はフレキシブルであり、インダクタケーシング30もフレキシブルであり、したがって、両方の併用はフレキシブルな要素を生産する。
【0062】
前記取り付けの結果は、二つの主表面Sを有する平面状複合磁性コア10である。平面伝導コイル20は、前記主表面Sに垂直な軸Aの周囲に巻かれ、前記伝導コイル20が磁性コア10の前記主表面Sの一つに重ねられている。
【0063】
この平面状複合磁性コアは、伝導コイル20に面する側と反対の磁性コア10の他方の側に配置される放熱のための熱伝導性コンパウンドのシート51とさらに熱的に接触している。
【0064】
前記伝導コイル20上を循環する電流は磁界を発生させ、前記伝導コイル20に影響を与える磁界は電流を発生させる。
【0065】
図1に示された本発明の第一の態様によると、提案された誘導エネルギーエミッタ/レシーバは、平面状でありかつ四角である。
【0066】
一つの態様では、各細長部分コア11は、PBM被覆内に組み込まれる。
【0067】
放射状に配置された細長部分コア11とPBMケーシング30の集合体は、伝導コイル成形機32に重ねられ、かつ取り付けられる。
【0068】
伝導コイル成形機32は、前記複数の細長部分コア11の集合の結果として生じる磁性コア10の主表面Sに垂直な方向、したがって中心軸Aの方向に突起している中心突起部を包含する。コイル成形機の突起部は、磁性コア10の中心開口部と一致する。
【0069】
伝導コイル20は、前記中心軸Aの周囲に巻かれ、コイル成形機32の前記中心突起部を囲む。
【0070】
あるいは、前記伝導コイル20は、例として、図5に示されたように互いに隣接した、または図6に示されたように部分的に重ねられた、二つまたは三つの伝導コイル20を包含し得る。それらの例では、伝導コイル成形機32は、二つまたは三つの中心突起部を包含し、各伝導コイル20が前記中心突起部の一つまたは二つの周囲に巻かれる。
【0071】
誘導エネルギーエミッタ/レシーバは、皿状ベース39および蓋40によって完成し、皿状ベース39が誘導コイル20、平面状磁性コア10、インダクタケーシング30および熱伝導性コンパウンドのシート51を含有する。一つの態様では、蓋40は、アルミニウム製であり得る。
【0072】
各フレキシブルな細長部分コア11は、図3および3Aに示されるように、連結された方法でそれらのそれぞれの端の互いに接続され、フレキシブルな鎖を作成するPBM被覆を有する複数の硬磁性コア12によって得られ得る。
【0073】
好ましくは、前記端は、丸められた凹凸の相補的な端であり、硬磁性コア12のずれを防ぐための突起部を包含し得る。
【0074】
前記硬磁性コア12は、好ましくは、フェライトまたはフェライト合金で作製されるが、前記材料が脆性であるにもかかわらず、小さい連結された要素のその構造は、衝撃または圧縮を受けるとき、それが壊れることを防ぐ。PBMの被覆は、鎖の個々の硬磁性コア12全てを覆う。
【0075】
図4に示された代替態様では、各細長部分コア11は、細長ケーシングでオーバーモールドされた高透磁率軟磁性合金から作製された平行連続強磁性ワイヤー13で作製される。
【0076】
図1に戻ると、態様は、細長部分コア11の群が互いに隣接し、接触していることを示す。具体的には、前記群が四つの群であり、各々が、この例では、中心開口部の周囲に十字構造形で配置された二つの平行な隣接した細長部分コアを含有する。細長部分コアは、ここでは、図3Aに図示されたように二つの四角形のコア要素によって構成される一方で、図3のような長方形の形状も使用され得る。
【0077】
同様に、追加の細長部分コア11は、十字構造形の前記群間の角領域に配置される。
【0078】
したがって、平面状磁性コア10は、細長部分コア11の放射状フォーメーションによって形成され、中心開口部を囲み、平面コイル20上に重畳される。
【0079】
前述のとおり、平面伝導コイル20は、互いに隣接した二つの伝導コイル20を包含し得、または代替態様では、互いに部分的に重ねられた二つの伝導コイル20によって作製され得る。図5および6は、これらの態様を図示する。
【0080】
組み合わせが明示的に記載されていなかった場合でさえも、そのような組み合わせに害がないという条件に、本発明の一つの態様の様々な部分が他の態様に記載された部分と自由に組み合わされ得ることが理解される。
図1
図2
図3
図3A
図4
図5
図6