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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20220614BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20220614BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20220614BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20220614BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
H05K1/02 D
H05K1/14 C
F21S2/00 443
G09F9/00 348Z
G09F9/30 308A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021128758
(22)【出願日】2021-08-05
(62)【分割の表示】P 2017182158の分割
【原出願日】2017-09-22
(65)【公開番号】P2021192433
(43)【公開日】2021-12-16
【審査請求日】2021-08-05
(73)【特許権者】
【識別番号】321010863
【氏名又は名称】トライベイル テクノロジーズ, エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100184527
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 賢二
(72)【発明者】
【氏名】小川 雄二
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-080814(JP,A)
【文献】実開平01-005473(JP,U)
【文献】特開2004-086021(JP,A)
【文献】特開2003-031299(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0173171(US,A1)
【文献】国際公開第98/043227(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 1/14
F21S 2/00
G09F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲した表示パネルと、
前記湾曲した表示パネルの一方の面に接続されたフレキシブルプリント基板と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板は、
幅方向に並列配置される複数の配線を含み、かつ、可撓性を有する基板本体と、
前記基板本体上の一部に設けられる保護部材と、を含み、
前記複数の配線は、前記基板本体の一端から他端に延在し、
前記保護部材の平面形状は、前記基板本体の前記一端に位置する底辺と前記底辺に対して前記基板本体の前記他端の方向に位置する1以上の頂点とを含む多角形、または、前記多角形の少なくとも一辺が曲線である形状からなり、
前記基板本体の前記一端は、前記湾曲した表示パネルの前記一方の面に固定されており、
前記基板本体の前記他端が前記湾曲した表示パネルの他方の面側に位置するように、前記フレキシブルプリント基板は、前記頂点付近にて折り曲げられていることを特徴とする、表示装置。
【請求項2】
前記複数の配線は、前記頂点を避けて配置されることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記頂点は複数個有り、
前記複数の頂点のうちで、前記基板本体の前記幅方向において前記基板本体の中央の近くに位置する頂点ほど、前記基板本体の前記一端から前記頂点までの距離が離れていることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記保護部材は、
前記平面形状に前記底辺を含む第1保護部材と、
前記第1保護部材の前記平面形状に含まれる前記複数の頂点のうちいずれか2以上の前記頂点を基点に前記第1保護部材から前記基板本体の前記他端の方向に延在する第2保護部材と、を含むことを特徴とする、請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記基板本体は、前記頂点に対応する位置に孔を有することを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板およびそのフレキシブルプリント基板を含む表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置には液晶表示装置、有機EL(Electro Luminescence)表示装置等がある。一般的な液晶表示装置は、一対の基板内に液晶を含み、一対の基板を挟むように設けられた偏光板などからなる液晶表示パネルと、液晶表示パネルを照射する光源装置とを含む。また、液晶表示パネルと光源装置とを係合するフレーム、および液晶表示パネルの前面にタッチパネルもしくは保護板などの部品が設けられることがある。
【0003】
液晶表示装置を構成する液晶表示パネルまたは有機EL表示装置を構成する有機EL表示パネルには、表示パネルの面内に形成された薄型トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)に外部から入力される映像信号を伝達するためのフレキシブルプリント基板(Flexible Printed Circuits:FPC)が接続されている。近年の表示装置の市場においては、湾曲した表示装置の要求が高まっている。FPCは、実装前に平な形状を有していても、湾曲した表示パネルに接続されることにより、表示パネルの湾曲に従って湾曲する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平3-065925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
FPCの一端が表示パネルに接続され、他端がその表示パネルの裏側に回り込むように配置される表示装置において、表示パネルに接続された一端からFPCが回り込み始める位置までの距離が短い場合、FPCの面内には屈曲点が発生する。屈曲点が発生する位置に設けられた配線には、断線が生じやすい。しかし、屈曲点が発生する位置を制御することは困難であるため、従来の表示装置においては、表示パネルに接続されたFPCの一端からFPCが回り込み始める位置までの距離が、屈曲点が発生しない程度に確保されている。つまり、屈曲点の発生を抑えるために、表示装置の外形を大きくする必要があった。
【0006】
特許文献1には、FPC上に設けられた複数の配線パターンの各々の間に、スリットを設けた液晶表示装置が提案されている。しかし、その液晶表示装置は、FPC全体の幅が広くなり、コストが高くなるという課題を有する。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、配線の断線を抑制しかつコンパクトな表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る表示装置は、湾曲した表示パネルと、その湾曲した表示パネルの一方の面に接続されたフレキシブルプリント基板と、を備える。フレキシブルプリント基板は、幅方向に並列配置される複数の配線を含み、かつ、可撓性を有する基板本体と、基板本体上の一部に設けられる保護部材と、を含む。複数の配線は、基板本体の一端から他端に延在する。保護部材の平面形状は、基板本体の一端に位置する底辺と底辺に対して基板本体の他端の方向に位置する1以上の頂点とを含む多角形、または、多角形の少なくとも一辺が曲線である形状からなる。基板本体の一端は、湾曲した表示パネルの一方の面に固定されている。基板本体の他端が湾曲した表示パネルの他方の面側に位置するように、フレキシブルプリント基板は、頂点付近にて折り曲げられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、配線の断線を抑制しかつコンパクトな表示装置の提供が可能である。
【0010】
本発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態1における表示装置に具備されるFPCおよび表示パネルを模式的に示す斜視図である。
図2】実施の形態1におけるFPCおよび表示パネルの構成を示す平面図である。
図3】実施の形態1におけるFPCの構成を示す平面図である。
図4】実施の形態1におけるFPCおよび表示パネルの構成を示す断面図である。
図5】実施の形態1におけるFPCおよび表示パネルの構成を示す断面図である。
図6】実施の形態1の変形例1におけるFPCの構成を示す平面図である。
図7】実施の形態1の変形例2におけるFPCの構成を示す平面図である。
図8】実施の形態1の変形例3におけるFPCの構成を示す平面図である。
図9】実施の形態1の変形例4におけるFPCの構成を示す平面図である。
図10】実施の形態2におけるFPCの構成を示す平面図である。
図11】実施の形態3におけるFPCの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書におけるフレキシブルプリント基板(FPC)およびそのFPCを含む表示装置の一例を、図面を用いて説明する。なお、各実施の形態において、同一の符号を用いた構成は、互いに同一または実質的に同一な機能を含んでいるため、再度の説明は省略することがある。
【0013】
<実施の形態1>
本実施の形態1におけるFPCおよびそのFPCを含む表示装置について説明する。本実施の形態における表示装置の構成を示す図は省略するが、表示装置は、主に、表示パネル、光源装置、フロントフレーム、保護板およびFPC等により構成される。
【0014】
(表示パネル)
図1は、実施の形態1における表示装置に具備されるFPC20および表示パネル10を模式的に示す斜視図である。表示パネル10は、例えば、液晶表示パネル、有機EL表示パネル等である。または、表示パネル10は、文字や絵が透明板に印刷された表示板等であってもよい。本実施の形態において、表示パネル10は、液晶表示パネル10aである。液晶表示パネル10aは、前面すなわち表面が凹型に湾曲した凹面11を有する板状の部材である。なお、湾曲とは、曲線上に曲がった形態または弓形に曲がった形態のことをいう。液晶表示パネル10aはカラーフィルター基板とTFT基板とが対向配置された構成を有する。ただし、以下に示す各図において、液晶表示パネル10aは1枚の板状の部材として図示し、液晶表示パネル10aが含む詳細な構成要素の図示は省略している。
【0015】
カラーフィルター基板上には、カラーフィルター、遮光層等が配置されている。TFT基板上には、スイッチング素子である複数のTFTおよび画素電極等が配置されている。カラーフィルター基板とTFT基板と間には、複屈折性を有する液晶材料が挟持されており、各基板には液晶分子を配向させる配向膜が設けられている。また、液晶表示パネル10aには、カラーフィルター基板とTFT基板との間隔を保持するためのスペーサーが設けられ、シール材によって両基板は貼り合わされている。さらに、両基板のそれぞれの外面には、偏光板が設けられている。
【0016】
液晶表示パネル10aの凹面11の一辺には、制御回路等から映像信号を入力するための複数のパネル端子部が設けられている。各パネル端子部には、後述するFPC20に設けられた複数の配線の各々が接続される。
【0017】
TFT基板上に配置された各TFTには、制御回路等からFPC20および各パネル端子部を介して映像信号が入力される。各TFTは、その映像信号に基づいてスイッチング動作し、液晶層に電圧が印加される。液晶表示パネル10aは、その電圧のオンまたはオフに従って液晶分子の配向を制御し、液晶表示パネル10aに入射した光を変調して画像を表示する。なお、本実施の形態1における液晶表示パネル10aは、カラーフィルター基板とTFT基板との間に、略垂直な電界を印加して画像を表示するTNモードの液晶表示パネルであってもよいし、TFT基板上に配置されたスイッチング素子と対向電極とによって、横方向または斜め方向に電界を印加して画像を表示するIn-Plane Switching型、または、Fringe Filed-Switching型などの液晶表示パネルであってもよい。
【0018】
(光源装置)
光源装置は、液晶表示パネル10aの背面すなわち裏面に設けられ、液晶表示パネル10aを照明する。以下の説明において光源装置の詳細構成を示す図は省略するが、光源装置は、光源、導光板、光学シート群、反射シート、リアフレーム、中間フレーム、フロントフレーム等により構成される。
【0019】
光源は、導光板の側面に光が入射するよう配置される。光源は、例えば、LEDである。
【0020】
導光板は、例えば、透明なアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ガラス等の材料より構成される。導光板は、光源から出射される光を面状の光に変換する。すなわち、導光板の側面から入射する光は、導光板の内部を全反射または散乱しながら伝播し、導光板の表面に設けられた光出射面から出射する。光出射面と対面する裏面には光散乱部が形成されており、光散乱部は光の伝播方向を乱して光出射面の方向へと光を導く。すなわち、光散乱部は、導光板の裏面に到達する光を導光板の内部に向かって反射または散乱する手段として機能する。光散乱部を形成する手段としては、反光出射面にドット印刷をする方法、反光出射面を粗面化してシボ面を形成する方法または微小な球面や凸凹を形成する方法などがある。
【0021】
光学シート群は、複数の光学シートで構成され、各々は導光板の光出射面に配置される。各光学シートは、導光板から出射される光の伝播を制御する。光学シート群は、例えば、レンズシート、拡散シート等が組合された構成を有する。または例えば、光学シート群は、レンズシートが拡散シートで挟み込まれた構成を有してもよい。または例えば、光学シート群は、輝度向上のためにプリズムの方向を最適に組み合わせた複数のレンズシートで構成されてもよい。または例えば、光学シート群は、拡散シートの拡散性を向上させる場合に、2枚以上の拡散シートで構成されてもよい。光学シート群を構成する複数の光学シートは、所望の明るさまたは視野角を得るために適切に選定され、各光学シートの配置順序も適宜決定される。
【0022】
反射シートは、導光板の光出射面とは反対側に位置する裏面に配置される。反射シートは、導光板の裏面から出射される光を再び導光板に入射させる機能を有する。反射シートは、ポリエチレン(polyethylene)またはポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate)に、硫酸バリウムまたは酸化チタンを混ぜ合わせた材料を含むシート状の部材である。反射シートは、樹脂に微細な気泡を形成した材料、金属板に銀を蒸着した材料、または、金属板に酸化チタンを含む塗料を塗布した材料を含むシート状の部材であってもよい。なお、反射シートの反射率は、反射シートが有する反射面における反射ロスを抑えるために90%以上であることが望ましい。そのため、反射シートの反射面には、鏡面反射する材料により構成されてもよい。反射シートは、導光板の裏面から出射される光を再び導光板に入射させることにより、光源から出射される光の利用効率を向上させる。
【0023】
リアフレームは、箱型の形状を有し、その箱型の形状の内部に位置決めされて配置された光源および光源が実装される実装基板を保持している。リアフレームは、光源から放出される熱を伝導させるために、熱伝導性が高い金属で構成されることが好ましい。特に、熱伝導性が高いアルミニウムまたはアルミニウム合金からなるリアフレームは、光源にて発生する熱を効率よく放熱し、光源装置に蓄熱されることを防止する。
【0024】
中間フレームは、導光板の光出射面から光を出射させるための開口部を有する。中間フレームの上面周辺には液晶表示パネル10aが位置決めされて搭載され、中間フレームはその位置決めされた液晶表示パネル10aを保持する。中間フレームの材質は、金属または樹脂材料を含む。その金属とは、例えば、アルミニウム、ステンレス、鉄等を含む。樹脂材料とは、例えば、PC(Polycarbonate:ポリカーボネート)、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene:アクリロニトリルブタジエンスチレン)等を含む。
【0025】
上記の中間フレームおよびリアフレームは、ツメまたはネジにより互いに係合して固定され、さらに上述した光源装置を構成する各光学部材を保持する。
【0026】
(フロントフレーム)
フロントフレームは、開口部を有し、薄板の金属あるいは樹脂成型品等により構成される。フロントフレームは、一体に形成されてもよいし、複数の部材が組み合わされて構成されてもよい。フロントフレームには、側面、正面、背面、あるいは周辺部等に、最終製品への取り付け部(ネジ、取付穴等)が設けられてもよい。フロントフレームは、ツメ状の固定構造あるいはネジ止め等により、光源装置と固定される。また、フロントフレームは、両面接着テープなどにより液晶表示パネル10aを保持する。
【0027】
(保護板)
保護板は、光透過性が良いガラスまたは高透過性樹脂などからなり、液晶表示パネル10aの前面を覆い保護する。保護板は、液晶表示パネル10aの前面に設けられ、液晶表示パネル10aを保護する。保護板は、タッチパネルの機能を有していてもよい。
【0028】
(FPC)
図2は、図1に示されたFPC20および表示パネル10の構成を示す平面図であり、表示パネル10の凹面11に対し上方から観察した図に対応する。ただし、図2においては、FPC20は折り返された状態ではなく、平坦な状態にて示されている。
【0029】
FPC20は、基板本体21と保護部材30とで構成される。
【0030】
基板本体21は、可撓性を有し、例えばフィルム等で構成される。
【0031】
保護部材30は、基板本体21上の一部の領域に設けられる。本実施の形態において、保護部材30は、後述する各FPC端子部が設けられる面とは反対側に位置する面に、かつ、基板本体21の一端22に設けられる。保護部材30が設けられた基板本体21の一部の領域は、保護部材30を設けていない基板本体21の部分よりも可撓性が低い。
【0032】
保護部材30の平面形状は、基板本体21の一端22に位置する底辺36と、その底辺36に対して基板本体21の他端23の方向に位置する1以上の頂点37とを含む多角形からなる。本実施の形態においては、基板本体21の一端22に位置する底辺36を下底とした場合、保護部材30の平面形状は、下底と、下底よりも基板本体21の他端23の方向に4つの頂点37を含む台形に類似した六角形を有する。
【0033】
表示装置に実装されたFPC20は、図1に示すように、基板本体21の一端22が表示パネル10の凹面11に固定され、かつ、基板本体21の他端23が凹面11とは反対側に位置する凸面12の方向に折り返される。具体的には、基板本体21は、保護部材30が設けられている部分と保護部材30が設けられていない部分との境界を含む第1曲げ部50にて折り曲げられ、第1曲げ部50よりも他端23の方向に位置する第2曲げ部51にてさらに折り曲げられる。基板本体21の一端22が表示パネル10の凹面11に固定されていることから、基板本体21は第1曲げ部50において凹状の形状を保ちながら折り曲げられる。つまり、第1曲げ部50は、図2に示すように平面視において、基板本体21の幅方向に円弧状に延在する。
【0034】
保護部材30の平面形状をなす台形に類似した六角形は、下底よりも長さが短くかつ下底に対し基板本体21の他端23の方向に位置する上底38を含む。その上底38の両端に対応する2つの頂点37は、第1曲げ部50の円弧に対応して位置する。それら2つの頂点37が、上述した保護部材30が設けられている部分と保護部材30が設けられていない部分との境界である。基板本体21は、第1曲げ部50に位置する2つの頂点37のそれぞれに対応する屈曲点誘導部40を含む。詳細は後述するが、2つの屈曲点誘導部40は、凹面11に従って湾曲した基板本体21が第1曲げ部50にて折り返された場合、基板本体21の面内の一部に生じ得る屈曲点の位置を、上底38の両端に位置する2つの頂点37に誘導する。
【0035】
保護部材30は、基板本体21上にエポキシ系接着剤またはアクリル系接着剤で接着したポリイミドフィルムまたはポリエチレンテレフタレート(PET)などからなる。保護部材30は、例えば、表面保護フィルム、補強板、カバーレイなどである。または、保護部材30は、面状銅箔パターンなどでもよい。
【0036】
図3はFPCの構成を示す平面図である。基板本体21の面内には、幅方向に複数の配線24が並列配置され、各配線24は基板本体21の一端22から他端23にかけて延在する。ただし、FPCの構成を示す他の図には、各配線24の図示は省略されている。また、本実施の形態において、複数の配線24の各々は、各屈曲点誘導部40に対応する位置を避けて配置されている。複数の配線24は、銅などの金属膜からなる。なお、各配線24上にはカバーレイが形成され、そのカバーレイによって各配線24が保護される構造が一般的である。ここでは、そのカバーレイの図示は省略している。
【0037】
図4はFPC20および表示パネル10の構成を示す断面図であり、図1のA-A’における断面を表す。基板本体21の一端22に位置する各配線24の一端241は、湾曲した表示パネル10の凹面11に設けられた複数のパネル端子部13の各々に固定されている。各配線24の一端241にはFPC端子部(図示せず)が設けられ、各FPC端子部が各パネル端子部13に、ACF(anisotropic conductive film:異方性導電フィルム)(図示せず)を介して接続される。基板本体21の他端23に位置する各配線24の他端242は、湾曲した表示パネル10の凹面11の反対側に位置する凸面12の方向に折り返され、映像信号を出力する制御回路60に接続される。FPC20は、それら複数の配線24を通じて映像信号を表示パネル10に伝達する。なお、図1または図4では、FPC20は制御回路60に接続されているが、図示しないコネクタに挿入されてもよい。
【0038】
次に、屈曲点誘導部40の機能および動作について説明する。図5はFPC20および表示パネル10の構成を示す断面図であり、図1のB-B’における断面を表す。ただし、複数の配線24および複数のパネル端子部13の個数に関する詳細構成は簡略化して図示している。
【0039】
表示パネル10は、FPC20の幅方向すなわち図5において上下方向に湾曲している。その表示パネル10にACF接続するFPC20も、表示パネル10の凹面11の湾曲に従って湾曲する。ただし、FPC20は可撓性を有しているため、FPC20の曲率は、基板の一端22から他端23の方向に離れるほど小さくなる。基板本体21の一端22から十分に離れた位置つまり曲率が十分小さい位置にて、FPC20を表示パネル10の裏側つまり凸面12の方向(図2において紙面下方向または図5において右方向)に折り返すことにより、屈曲点の発生は抑えられる。しかし、表示パネル10の表示領域より外側に位置する額縁部分は広くなる。近年は額縁部分が狭い表示装置の要求があり、FPC20の基板本体21の一端22から折り曲げる位置までの距離を短くする必要がある。その場合、曲率の大きな位置にて基板本体21が折り返されることとなり屈曲点が生じやすくなる。屈曲点には応力が集中するため、その屈曲点に位置する配線24は断線しやすい。
【0040】
本実施の形態における表示装置に設けられるFPC20は、図1および図4に示すように、第1曲げ部50にて折り曲げられ、さらに第1曲げ部50から他端23に至るまでの途中に位置する第2曲げ部51にて折り曲げられることよって、基板本体21の他端23が表示パネル10の凸面12の方向に折り返される。保護部材30が設けられている部分は保護部材30が設けられていない部分よりも可撓性が小さいため、保護部材30が設けられている部分には屈曲点が生じ難く、保護部材30が設けられていない部分には屈曲点が生じやすい。特に、保護部材30が設けられている部分と保護部材30が設けられていない部分との境界と第1曲げ部50の円弧状の位置とが一致する2つの屈曲点誘導部40には応力が集中する。そのため、屈曲点はそれら屈曲点誘導部40にて発生しやすい。このように、屈曲点誘導部40は、基板本体21の面内において応力が生じる位置を制御し、屈曲点が発生する位置を自身に誘導する。
【0041】
また、各配線24は、屈曲点誘導部40を避けて配置されているため、断線は生じない。したがって、額縁部分が狭いコンパクトな表示装置であっても、屈曲点誘導部40を形成することで屈曲点の発生位置が制御され、断線が抑制される。
【0042】
なお、本実施の形態において、保護部材30は基板本体21が表示パネル10に接続される面とは反対側に位置する面に設けられている例が示されたが、保護部材は表示パネル10に接続される面に設けられてもよいし、それらの両面に設けられてもよい。また、基板本体21の一端22が固定される表示パネル10の曲率が基板本体21の幅方向に一定である場合、保護部材30の平面形状は、基板本体21の幅方向に対し線対称であることが好ましい。
【0043】
(効果)
以上をまとめると、実施の形態1におけるFPC(フレキシブルプリント基板)20は、幅方向に並列配置される複数の配線24を含み、かつ、可撓性を有する基板本体21と、基板本体21上の一部に設けられる保護部材30と、を含む。複数の配線24は、基板本体21の一端22から他端23に延在する。保護部材30の平面形状は、基板本体21の一端22に位置する底辺36と底辺36に対して基板本体21の他端23の方向に位置する1以上の頂点37とを含む多角形からなる。基板本体21は、頂点37に対応する位置に屈曲点誘導部40を含む。屈曲点誘導部40は、湾曲した板状の部材が有する凹面11に基板本体21の一端22が固定され、かつ、基板本体21の他端23が凹面11の反対側に位置する凸面12の方向に折り返されることにより、湾曲した基板本体21の面内の一部に生じる折れ曲がる点である屈曲点の位置を頂点37に誘導する。
【0044】
以上の構成により、FPC20は、屈曲点の発生位置を制御することができ、基板本体21の一端22から折り返され始める第1曲げ部50までの距離を短くすることができる。FPC20は、狭い額縁部分を有するコンパクトな表示装置の提供を可能とする。
【0045】
また、実施の形態2におけるFPC20が含む保護部材30の平面形状は、多角形からなる。複数の配線24は、屈曲点誘導部40を避けて配置される。
【0046】
以上の構成により、FPC20は、屈曲点誘導部40を避けて各配線24を配置することで断線を防ぐことができる。
【0047】
また、実施の形態1における表示装置は、上記のフレキシブルプリント基板と、湾曲した板状の部材であり、フレキシブルプリント基板を介して映像信号を入力する湾曲した表示パネル10と、を含む。基板本体21の一端22に位置する各配線24の一端22は、湾曲した表示パネル10が有する凹面11に設けられた複数の端子部の各々に固定される。基板本体21の他端23に位置する各配線24の他端23は、湾曲した表示パネル10の凹面11の反対側に位置する凸面12の方向に折り返されることにより、映像信号を出力する制御回路60またはコネクタに接続される。
【0048】
このような構成により、表示パネル10の端から、FPC20が裏面側に折り返えされる位置までの距離の短縮化が可能であり、コンパクトな表示装置の提供が可能となる。
【0049】
<実施の形態1の変形例1>
図6は、実施の形態1の変形例1におけるFPC20の構成を示す平面図である。本変形例における保護部材31の平面形状は、図2に示された保護部材30をなす台形に類似する六角形の上底38に、もう1つの頂点37が付加された七角形を有する。その付加された頂点37も屈曲点誘導部40であり、他の2つの屈曲点誘導部40よりも基板本体21の幅方向において中央近くに位置し、かつ、基板本体21の一端22から最も離れて位置する。3つの屈曲点誘導部40は円弧状の第1曲げ部50に対応して位置する。
【0050】
FPC20が表示パネル10および制御回路60に接続される際、基板本体21は第1曲げ部50、つまり、3つの屈曲点誘導部40を含む位置にて折り曲げられる。各FPC端子部から第1曲げ部50までの長さは、屈曲点誘導部40の個数が増加するほど短くできる。つまり、屈曲点誘導部40の個数を2個から3個に増加させることにより、表示装置の狭額縁化が可能となる。なお、屈曲点誘導部40の個数は、2個または3個に限定されず、それ以上の個数であってもよい。また、各屈曲点誘導部40の位置は、表示パネル10の湾曲の曲率に応じて変えることも可能である。なお、FPC接続端子部から第1曲げ部50までの長さ、または、FPC接続端子部における表示パネル10の曲率によって、屈曲点誘導部40の位置を変えてもよい。
【0051】
以上をまとめると、実施の形態1の変形例1におけるFPC20が含む保護部材31の平面形状は、複数の屈曲点誘導部40を含む。複数の屈曲点誘導部40のうち基板本体21の幅方向において、基板本体21の中央の近くに位置する屈曲点誘導部40ほど、基板本体21の一端22から屈曲点誘導部40までの距離が離れている。
【0052】
このような構成により、表示装置の狭額縁化が可能である。
【0053】
<実施の形態1の変形例2>
図7は、実施の形態1の変形例2におけるFPC20の構成を示す平面図である。本変形例における保護部材32の平面形状は、図2に示された保護部材30をなす台形に類似する六角形の上底38に凹みが設けられた形状を有する。より具体的には、保護部材32の平面形状は、台形に類似する六角形の上底38にもう1つの頂点37が付加された七角形を有する。その付加された頂点37は、2つの屈曲点誘導部40よりも基板本体21の幅方向において中央近くに位置する。ただし、付加された頂点37は、2つの屈曲点誘導部40よりも、基板本体21の一端22に近い。付加された頂点37は、屈曲点誘導部40ではなく、第1曲げ部50の円弧に対応する位置にもない。
【0054】
このような構成を有するFPC20は、図2に示した保護部材30を有するFPCと比較して、各屈曲点誘導部40の間に位置する可撓性の高い領域が広い。よって、実施の形態1または変形例1と比較して、第1曲げ部50における曲率は大きくなる。そのため、本変形例におけるFPC20の各配線24は断線しにくい。
【0055】
<実施の形態1の変形例3>
図8は、実施の形態1の変形例3におけるFPC20の構成を示す平面図である。本変形例におけるFPC20は、2つの保護部材33が基板本体21上に設けられる。2つの保護部材33の各々は、基板本体21の長さ方向(図8において左右方向)に延在する間隙に対して線対称に配置される。間隙には保護部材33は設けられていない。各保護部材33の平面形状は、基板本体21の一端22に位置する底辺36と、その底辺36に対して基板本体21の他端23の方向に位置する2つの頂点37とを含む直角三角形に類似した四角形からなる。各保護部材33の平面形状をなす上記の2つの頂点37のうち、基板本体21の一端22から最も離れて位置する一の頂点37は、他の頂点37よりも基板本体21の幅方向において中央近くに位置する。その一の頂点37は、屈曲点誘導部40である。各屈曲点誘導部40が位置する頂点37を含みかつ基板本体21の長さ方向に対して平行に延在する2つの辺によって、上述した間隙は形成されている。
【0056】
保護部材33が設けられていない間隙部分は可撓性が高い。FPC20が湾曲する場合、その間隙部分の延長上に屈曲点が形成されやすい。本変形例においては、図8に示すように、間隙部分が狭くなるように、2つの屈曲点誘導部40の距離すなわち2つの保護部材33の距離を近づけて各保護部材33は配置される。そのため、実施の形態1または変形例1に記載したような間隙が設けられない構成に比べ、本変形例のFPC20は、屈曲点が発生する範囲をより限定することができる、すなわち、より確実に屈曲点の発生位置を制御することができる。なお、間隙が狭い場合、2つの屈曲点誘導部40は、実質的に1つの屈曲点誘導部として機能し得る。
【0057】
また、本変形例のFPC20は、屈曲点誘導部40の個数を上記の実施の形態1または各変形例よりも少なくできるため、屈曲点誘導部40に対応して配線24を設けない領域を削減できる。そのため、FPC20の幅を短くできる。
【0058】
なお、保護部材33の個数、間隙の個数および屈曲点誘導部40の個数は、本変形例に示した例に限定されない。3つ以上の保護部材が設けられ、各保護部材の間に間隙を有するFPCであっても同様の効果を奏する。
【0059】
また、図8においては、2つの保護部材33の間に位置する間隙は、各屈曲点誘導部40から基板本体21の一端22まで延在しているが、基板本体21の一端22に到達する途中まで形成される構成であってもよい。その場合、基板本体21に設けられる保護部材の個数は1個である。上述した実施の形態1の変形例2と同様、保護部材の平面形状は、図2に示された保護部材30をなす台形に類似する六角形の上底38に凹みが設けられた形状を有し、その凹みが基板本体21の一端22に到達する途中まで形成される間隙に対応する。
【0060】
<実施の形態1の変形例4>
図9は、実施の形態1の変形例4におけるFPC20の構成を示す平面図である。本変形例における保護部材34の平面形状は曲線部39を含む。すなわち、保護部材34の平面形状は、多角形の少なくとも一辺が曲線である形状からなる。本変形例における保護部材34の平面形状は、図2に示された保護部材30をなす台形に類似する六角形の上底38に曲線部39を含む。その曲線部39は第1曲げ部50の円弧に対応して位置する。
【0061】
基板本体21が第1曲げ部50にて折り曲げられる際、基板本体21は曲線部39に沿って曲がる。局所的に屈曲点誘導部40に加わる応力に比べると、曲線部39に加わる応力は小さい。そのため、曲線部39は、基板本体21の折り曲げ位置を制御しながら、基板本体21の局所的な変形を抑える、または無くすことができる。つまり、曲線部39は、屈曲点誘導部40にて生じ得る屈曲点における基板本体21の変形を緩和する。
【0062】
屈曲点誘導部40にて生じ得る屈曲点の変形の程度が抑制されるため、本変形例におけるFPC20は、FPC20端子部から第1曲げ部50までの長さを短くできる。また、屈曲点誘導部40を避けて配線24する必要なくなるためFPC20の幅を短くすることができる。
【0063】
<実施の形態2>
実施の形態2におけるFPC20を説明する。本実施の形態において、実施の形態1と同一の符号を用いたものは同一または実質的に同一な機能を含んでいるため、説明は省略する。
【0064】
図10は、実施の形態2におけるFPC20の構成を示す平面図である。保護部材35は、第1保護部材351と、第1保護部材351の平面形状に含まれる複数の屈曲点誘導部40のうちいずれか2以上の屈曲点誘導部40を基点に第1保護部材351から基板本体21の他端23の方向に延在する第2保護部材352と、を含む。本実施の形態において、第1保護部材351の平面形状は、図2に示された保護部材30の平面形状と同一であり、底辺36を含む台形に類似した六角形を有する。第2保護部材352の平面形状は、2つの屈曲点誘導部40を基点に、第1保護部材351から基板本体21の他端23の方向に延在する四角形を有する。つまり、本実施の形態における保護部材35は、第1保護部材351をなす台形に類似した六角形の上底38にから保護部材35の材料が他端23の方向に延在して形成される第2保護部材352を有する。
【0065】
実施の形態1に示したFPC20においては、表示パネル10の湾曲の曲率が大きい場合などに、2つの屈曲点誘導部40の間に位置する第1曲げ部50に応力が集中して、屈曲点が発生する可能性がある。本実施の形態におけるFPC20は、2つの屈曲点誘導部40の間に応力が集中する場合においても、第2保護部材352が2つの屈曲点誘導部40の間に集中する応力に耐え、屈曲点の発生を抑制する。第1保護部材351と第2保護部材352とを含むFPC20によれば、曲率の大きい第1曲げ部50の形成が可能である。
【0066】
(効果)
以上をまとめると、実施の形態2におけるFPC20が含む保護部材30は、平面形状に底辺36を含む第1保護部材351と、第1保護部材351の平面形状に含まれる複数の屈曲点誘導部40のうちいずれか2以上の屈曲点誘導部40を基点に第1保護部材351から基板本体21の他端23の方向に延在する第2保護部材352と、を含む。
【0067】
以上の構成により、FPC20は、複数の屈曲点誘導部40の間に発生する屈曲点を抑制することができる。その結果、断線による不具合の発生を抑えることができ、従来よりも狭い額縁部分を有する表示装置の提供が可能である。
【0068】
<実施の形態3>
実施の形態3におけるFPC20を説明する。なお、実施の形態1と同様の構成および動作については説明を省略する。表示パネル10が有する凹面の曲率は表示装置の仕様によって様々である。FPC20には、そのような様々な曲率に対応して、屈曲点の発生位置を制御することが求められる。また、表示装置の製造工程において、基板本体21の第1曲げ部50の位置がばらつくことにより、屈曲点の発生位置が変動することも考えられる。
【0069】
図11は、実施の形態3におけるFPC20の構成を示す平面図である。基板本体21は、2つの屈曲点誘導部40に対応する各々の位置に孔25を含む。保護部材30の平面形状は、2つの孔25が設けられること以外、実施の形態1と同様である。
【0070】
このような構成により、FPC20は、屈曲点が発生する位置を、孔25によって規定された屈曲点誘導部40に誘導することにより制御できる。なお、保護部材30は図11に示す形状に限定されず、他の形状であっても良い。また、孔25の平面形状は、図11に示す丸孔に限定されず、長孔またはスリットつまり切り込みでもよい。
【0071】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。本発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての態様において、例示であって、本発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、本発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
【符号の説明】
【0072】
10 表示パネル、10a 液晶表示パネル、11 凹面、12 凸面、13 パネル端子部、20 FPC、21 基板本体、22 一端、23 他端、24 配線、241 一端、242 他端、25 孔、30 保護部材、351 第1保護部材、352 第2保護部材、36 底辺、37 頂点、40 屈曲点誘導部、60 制御回路。
図1
図2
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図11