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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】起動信号の多重化
(51)【国際特許分類】
   H04W 52/02 20090101AFI20220614BHJP
   H04L 27/26 20060101ALI20220614BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20220614BHJP
   H04W 72/04 20090101ALI20220614BHJP
【FI】
H04W52/02
H04L27/26 100
H04W84/12
H04W72/04 133
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2021500475
(86)(22)【出願日】2018-07-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-16
(86)【国際出願番号】 EP2018069034
(87)【国際公開番号】W WO2020011365
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2021-03-05
(73)【特許権者】
【識別番号】598036300
【氏名又は名称】テレフオンアクチーボラゲット エルエム エリクソン(パブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100109726
【弁理士】
【氏名又は名称】園田 吉隆
(74)【代理人】
【識別番号】100161470
【弁理士】
【氏名又は名称】冨樫 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100194294
【弁理士】
【氏名又は名称】石岡 利康
(74)【代理人】
【識別番号】100194320
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 亮
(72)【発明者】
【氏名】スンドマン, デニス
(72)【発明者】
【氏名】ウィルヘルムソン, レイフ
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0184379(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0020501(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0063824(US,A1)
【文献】Eunsung Park (LG Electronics),Performance Investigation on Partial OOK Follow-up,IEEE 802.11-18/0422r2,米国,IEEE mentor,2018年03月06日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
H04L 27/26
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムのネットワークノードにおいて、複数の無線通信受信機を低電力状態から通常状態に起動させるための多重化された起動パケットを無線で与える方法であって、前記多重化された起動パケットが個々の起動パケットの複合を備え、各個々の起動パケットが前記複数の無線通信受信機のうちの1つにアドレス指定され、前記方法が、
前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nを決定することと、
前記個々の起動パケットの各々について、n=1...Nとして時間オフセットT(n)を決定することと、
前記時間オフセットT(n)をもつ、N個の前記個々の起動パケットすべてを備える時間領域多重化信号として、前記多重化された起動パケットを生成することと、
前記多重化された起動パケットを送信することと
を含み、
前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数N max が、少なくとも、前記多重化された起動パケットの起動シンボルの長さT と、個々の起動パケットのシンボル部分の長さT NZ とから、決定され、前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの前記数Nの前記決定が、N≦N max となるように行われる、
方法。
【請求項2】
前記個々の起動パケットが、振幅シフトキーイング信号である信号を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号が部分オンオフキーイング(P-OOK)方式に従って変調される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記P-OOK方式がマンチェスターコーディングを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxが、前記多重化された起動パケットの起動シンボルの長さT、個々の起動パケットのシンボル部分の長さTNZとから、関係T/TNZよりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように決定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記多重化された起動パケットの前記生成が、前記個々の起動パケット間にガードインターバルを挿入することを含み、前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxが、前記多重化された起動パケットの起動シンボルの長さT、および、個々の起動パケットのシンボル部分の長さTNZと前記ガードインターバルの長さdとの和から、関係T/(TNZ+d)よりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように決定されている、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記多重化された起動パケットが、無線媒体上でリッスンビフォアトーク(LBT)手法に従って採用される送信のデータフィールド中に与えられ、前記データフィールドは、信号フィールドとペイロードフィールドとを備え、かつ、プリアンブルの後に与えられる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記信号フィールドが、アドレス指定可能な無線通信受信機の各々のための一意のインジケータを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
無線通信システムのネットワークノードであって、前記ネットワークノードは、複数の無線通信受信機を低電力状態から通常状態に起動させるための多重化された起動パケットを無線で与えるように構成され、前記多重化された起動パケットが個々の起動パケットの複合を備え、各個々の起動パケットが前記複数の無線通信受信機のうちの1つにアドレス指定され、前記ネットワークノードは、
前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nを決定し、前記個々の起動パケットの各々について、n=1...Nとして時間オフセットT(n)を決定し、前記時間オフセットT(n)をもつ、N個の前記個々の起動パケットすべてを備える時間領域多重化信号として、前記多重化された起動パケットを生成するように構成された通信コントローラと、
前記多重化された起動パケットを送信するように構成された送信機と
を備え
前記通信コントローラが、少なくとも、前記多重化された起動パケットのシンボルの長さT と、前記個々の起動パケットのシンボル部分の長さT NZ とから、前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数N max を決定するように構成され、前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの前記数Nの前記決定が、N≦N max となるように行われる、
ネットワークノード。
【請求項10】
前記個々の起動パケットが、振幅シフトキーイング信号である信号を備える、請求項9に記載のネットワークノード。
【請求項11】
前記信号が部分オンオフキーイング(P-OOK)方式に従って変調される、請求項10に記載のネットワークノード。
【請求項12】
前記P-OOK方式がマンチェスターコーディングを含む、請求項11に記載のネットワークノード。
【請求項13】
前記通信コントローラが、前記多重化された起動パケットのシンボルの長さTと、前記個々の起動パケットのシンボル部分の長さTNZとから、関係T/TNZよりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように、前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxを決定するように構成されている、請求項9から12のいずれか一項に記載のネットワークノード。
【請求項14】
前記多重化された起動パケットの前記生成が、前記個々の起動パケット間へのガードインターバルの挿入を含み、前記通信コントローラが、前記多重化された起動パケットのシンボルの長さT 、および、前記個々の起動パケットのシンボル部分の長さTNZと前記ガードインターバルの長さdとの和から、関係T/(TNZ+d)よりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように、前記多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxを決定するように構成されている、請求項9から12のいずれか一項に記載のネットワークノード。
【請求項15】
前記多重化された起動パケットが、無線媒体上でリッスンビフォアトーク(LBT)手法に従って採用される送信のデータフィールド中に与えられ、前記データフィールドは、信号フィールドとペイロードフィールドとを備え、かつ、プリアンブルの後に与えられる、請求項9から14のいずれか一項に記載のネットワークノード。
【請求項16】
前記信号フィールドが、アドレス指定可能な無線通信受信機の各々のための一意のインジケータを備える、請求項15に記載のネットワークノード。
【請求項17】
ネットワークノードのプロセッサ上で実行されたとき、前記ネットワークノードに請求項1から8のいずれか一項に記載の方法を実行させる命令を備えるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、起動(wake-up)信号のプロビジョンに関する。特に、本発明は、起動パケット内で複数の無線デバイスを個々にアドレス指定するために起動信号を多重化することに関する。
【背景技術】
【0002】
起動無線は、無線デバイスの低エネルギー動作を可能にするための技術である。この技術は、たとえば起動信号(WUS)が与えられる起動無線(WUR)ソリューションのために、マンチェスターコーディングを伴うオン/オフキーイング(OOK)変調方式の使用が企図される、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)または他の無線通信ソリューションにおいて使用され得る。このコンテキストでは、WUSのために、たとえば少なくとも2つのレート、たとえば62.5kbpsおよび250kbpsがあり得る。OOKを使用する理由は、それが、極めて低い複雑度で実装され得る包絡線検出器を使用して復調され得るからである。
【0003】
信号は、オン/オフキーイングを使用するとき、「オン」期間の前にガードインターバルを有し得る。このことの恩恵は、許容電力はある時間にわたって計算されるので、「オン」期間の電力が上がり得ることである。手短に言えば、信号の同じエネルギーがより短い時間で送られ、またそれによってより短い時間で受信され得る場合、復調のために使用される受信された信号はあまり雑音エネルギーを含んでおらず、したがって信号の信号対雑音比が改善される。ガードインターバルを付加する他の理由もあり得る。これを達成するいくつかの方法が、「Partial OOK-Generalizing the Blank GI Idea」という名称の寄稿記事IEEE802.11-17/1673r1、および「WUR128 us Preamble Design」という名称のIEEE802.11-17/1665r3に提示されている。
【0004】
上記で説明した技術を適用することは、「サイレント」部分が送信のために使用されず、これはスペクトル効率の減少につながることを暗示する。
【0005】
起動無線技術に依拠する低エネルギーエンティティは将来多くなることが予想されるため、スペクトル効率を十分に保ちたいという要望がある。
【0006】
この背景技術セクションで開示されている上記の情報は、発明の背景の理解の向上のためのものにすぎず、したがって、当業者にすでに知られている従来技術を形成しない情報を含み得る。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、無線デバイスを個々にアドレス指定する起動信号の多重化は起動パケット中に多重化され得るという理解に基づき、その場合には、各起動信号がそれ自体のパケット中に与えられるレガシー手法と比較して、スペクトル効率が増加する。
【0008】
第1の態様によれば、複数の無線通信受信機を低電力状態から通常状態に起動させるための多重化された起動パケットを無線で与える方法であって、多重化された起動パケットが個々の起動パケットの複合を備え、各起動パケットが複数の無線通信受信機のうちの1つにアドレス指定される、方法が提供される。本方法は、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nを決定することと、個々の起動パケットの各々について、n=1...Nとして時間オフセットT(n)を決定することと、時間オフセットT(n)をもつ、N個の個々の起動パケットすべてを備える時間領域多重化信号として、多重化された起動パケットを生成することと、多重化された起動パケットを送信することとを含む。
【0009】
起動パケットは、振幅シフトキーイング信号である信号を備え得る。信号は部分オンオフキーイング(P-OOK)方式に従って変調され得る。P-OOK方式はマンチェスターコーディングを含み得る。
【0010】
多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxは、多重化された起動パケットの起動シンボルの長さTと、各個々の起動パケットのための割り当てられたシンボル部分の長さTNZとから、関係T/TNZよりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように決定され得、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nの決定が、N≦Nmaxとなるように行われ得る。代替的に、多重化された起動パケットの生成が、個々の起動パケット間にガードインターバルを挿入することを含む場合、起動シンボルの長さTと、割り当てられたシンボル部分の長さTNZ+ガードインターバルの長さdとから、起動パケットの起動信号の最大数Nmaxが、関係T/(TNZ+d)よりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように決定され得、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nの決定は、N≦Nmaxとなるように行われ得る。
【0011】
多重化された起動パケットは、無線媒体上でリッスンビフォアトーク(LBT)手法に従って採用される送信のデータフィールド中に与えられ得、前記データフィールドは、信号フィールドとペイロードフィールドとを備え、かつ、プリアンブルの後に与えられる。信号フィールドは、アドレス指定可能な無線通信受信機の各々のための一意のインジケータを備え得る。
【0012】
第2の態様によれば、無線通信システムのネットワークノードが提供される。ネットワークノードは、複数の無線通信受信機を低電力状態から通常状態に起動させるための多重化された起動パケットを無線で与えるように構成され、多重化された起動パケットは個々の起動パケットの複合を備え、各個々の起動パケットは複数の無線通信受信機のうちの1つにアドレス指定される。ネットワークノードは、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nを決定し、個々の起動パケットの各々について、n=1...Nとして時間オフセットT(n)を決定し、時間オフセットT(n)をもつ、N個の個々の起動パケットすべてを備える時間領域多重化信号として、多重化された起動パケットを生成するように構成された通信コントローラと、多重化された起動パケットを送信するように構成された送信機とを備える。
【0013】
個々の起動パケットは、振幅シフトキーイング信号である信号を備え得る。個々の起動パケットは部分オンオフキーイング(P-OOK)方式に従って変調され得る。P-OOK方式はマンチェスターコーディングを含み得る。
【0014】
通信コントローラは、多重化された起動パケットの起動シンボルの長さTと、各個々の起動パケットのための割り当てられたシンボル部分の長さTNZとから、関係T/TNZよりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxを決定するように構成され得、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nの決定は、N≦Nmaxとなるように行われ得る。代替的に、多重化された起動パケットの生成は、個々の起動パケット間へのガードインターバルの挿入を含み得、通信コントローラは、起動シンボルの長さTと、割り当てられたシンボル部分の長さTNZ+ガードインターバルの長さdとから、関係T/(TNZ+d)よりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxを決定するように構成され得、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nの決定は、N≦Nmaxとなるように行われ得る。
【0015】
多重化された起動パケットは、無線媒体上でリッスンビフォアトーク(LBT)手法に従って採用される送信のデータフィールド中に与えられ得、前記データフィールドは、信号フィールドとペイロードフィールドとを備え、かつ、プリアンブルの後に与えられ得る。信号フィールドは、アドレス指定可能な無線通信受信機の各々のための一意のインジケータを備え得る。
【0016】
第3の態様によれば、ネットワークノードのプロセッサ上で実行されたとき、ネットワークノードに第1の態様による方法を実行させる命令を備えるコンピュータプログラムが提供される。
【0017】
本発明の上記、ならびに追加の目的、特徴および利点は、添付の図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態の以下の例示的で非限定的な詳細な説明によってより良く理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】旧来のOFDMおよびOOK送信に関係するオン/オフキーイング(OOK)を概略的に示す図である。
図2】旧来のOFDMおよびOOK送信に関係するガードインターバルをもつOOKを概略的に示す図である。
図3】部分OOKを概略的に示す図である。
図4】起動信号の多重化を概略的に示す図である。
図5】一実施形態による方法を示すフローチャートである。
図6】起動信号のために好適なフォーマットを概略的に示す図である。
図7】一実施形態によるネットワークノードを概略的に示すブロック図である。
図8】コンピュータ可読媒体および処理デバイスを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、旧来の直交周波数分割多重(OFDM)およびOOK送信に関係するオン/オフキーイング(OOK)の例を概略的に示す。図1の上側の信号図は、たとえば、WURがそれと一緒に動作するように意図された主トランシーバによって使用されることが仮定される、旧来のOFDM送信を示す。その下に、OFDMシンボルレートと整合させられた、この例ではマンチェスターコーディングを使用する旧来のOOK送信についての信号図が与えられている。さらに下側の信号図は、ガードインターバル(GI)がON部分のために適用されるOOK送信を示す。
【0020】
この手法は、参照によりそれらの全体が組み込まれる、アメリカ合衆国において出願された仮特許出願(US62/574464、US62/581297、およびUS62/581245)において部分OOKと呼ばれている。ここで、用語T(「時間0」)は、GIとして使用される信号の部分に対して使用されるのに対し、アクティブな部分、すなわちシンボル値間を区別するために信号がアクティブに高いまたは低い部分は、TNZ(「時間非0」)と呼ばれる。たとえば1つまたは複数のビットを表すシンボルのための時間Tは、したがってT=T+TNZである。
【0021】
図2は、旧来のOFDMおよびOOK送信に関係するガードインターバルの例とともに旧来のOOKを概略的に示す。図1と同様に、図2の上側の信号図は、たとえば、WURがそれと一緒に動作するように意図された主トランシーバによって使用されることが仮定される、旧来のOFDM送信を示す。その下に、OFDMシンボルレートと整合させられた、この例ではマンチェスターコーディングを使用する、旧来のOOK送信についての信号図が与えられている。さらに下側の信号図は、GIがON部分のために適用されるOOK送信を示す。さらに、OOK信号のレートは、図1に与えられるように1つおきのOFDMシンボル時間に1つのOOKシンボルの代わりに、OFDMシンボル時間当たり1つのOOKシンボルが与えられるように、ここでは図1のものと比較してより高い。
【0022】
パルス位置変調(PPM)は、時間中の異なるロケーションにおいてパルスを送信することによって情報が送信される変調技法である。マンチェスターコーディングを用いるOOKは、したがってPPM方式とも見られ得る。これは、特に、GIが、マンチェスターコーディングを用いるOOKのON部分のために導入されるときに明らかになる。本開示では、変調をOOKと考えるが、変調はPPMの観点からも説明され得る。
【0023】
NZが小さくなり、Tが大きくなるほど、データを送信するために使用されるチャネルの時間は少なくなる。チャネルは常に送信データのために使用されるとは限らないので、スペクトル効率は低いと考えられ得る。スペクトル効率を改善するために、ここでは、いくつかの起動パケットを多重化するためにT部分を使用することが提案され、各起動パケットは個々の起動パケットを備える多重化された起動パケットが形成されるように、個々の受信エンティティに関連づけられる。これは、時間関係がT≧TNZであるときはいつでも可能である。いくつの信号が多重化され得るかは、使用される特定のヌメロロジー(numerology)に依存する。図3は、時間オフセットTを用いる部分OOKのためのヌメロロジーの定義を概略的に示す。図3では、原理のより容易な説明のために、マンチェスターコーディングは適用されないが、マンチェスターコーディングは、説明された原理の下で等しく実現可能であることに留意されたい。したがって、ビット時間Tは、T=T+TNZ+T-Tである(すなわち、定義は、Tの導入以外、上記と同じである)。
【0024】
異なる個々の起動パケットに対して異なって割り当てられる時間オフセットTの導入とともに、複数の個々の起動パケットシンボルが、多重化された起動パケットのシンボル持続時間T中に多重化され得る。図4は、この原理を適用することによる起動信号の多重化を概略的に示す。上側部分は、前に定義されたシンボル時間Tを示し、次に、異なるオフセットを適用することによる多重化されたシンボルが示されており、その下に、提示された手法のために適応させられたGIを含み、異なるオフセットを使用した多重化されたシンボルが示されている。下側の信号図において、いくつかのシンボル時間を使用されないままにしておく随意の特徴について、以下でさらに説明する。
【0025】
図4の示された上側の多重化図からは、WUR nをアドレス指定するnがインデックス付けされた個々の起動パケットには、たとえばタイミングオフセットT=nTNZが与えられることがわかる。図4の示された下側の多重化図からは、WUR nをアドレス指定するnがインデックス付けされた個々の起動パケットには、たとえば、dをGIの持続時間として、タイミングオフセットT=n(TNZ+d)が与えられることがわかる。GIを導入する理由は、シンボル間干渉を低減するためである。いくつかの使用されないシンボル時間を導入する理由は、それぞれの個々の起動パケットの信号について所与の電力に関係する平均電力出力を制限するためである。そのような考慮がなされる必要がない場合、必要な場合、すべてのシンボル時間が使用され得る。
【0026】
上記で説明された図について考えると、1つのシンボル時間T中にN個のWURがアドレス指定され得る、すなわち、上記で与えられた例の場合、nは0、…、N-1である。シンボル時間T当たりアドレス指定可能なWURの最大数Nmaxは、シンボル時間Tと、各WURが必要とする時間、すなわち、上記で説明されたTNZまたはTNZ+dとに依存する。
【0027】
上記で説明されたパラメータ、すなわちT、TNZ、T、d、N、Nmaxなどのうちの1つまたは複数の選択は、設計および実装において行われ得るか、または使用されるシステムもしくは規格の仕様によって固定され得る。たとえば、TおよびTNZは規格によって固定され得、設計は、一定のNmaxを処理することを目的とし、設計者は、適切な実装を行うためにdを選定する必要がある。または、設計者は、予想されるシンボル間干渉に関する調査に基づいてdを選定し、次いで、実現可能なNmaxを決定する。設計はまた、パラメータのうちのいくつかを動的に選択すること、たとえば、経験されたシンボル間干渉に基づいてdを動的に設定すること、平均電力出力などに関する制約に基づいてNmaxを動的に設定/低減することのためのルールを含み得る。
【0028】
図5は、実施形態による方法を示すフローチャートである。本方法は、複数のWURを低電力状態から通常状態に起動させるための多重化された起動パケットを無線で与えることに関する。多重化された起動パケットは個々の起動パケットの複合を備える。各個々の起動パケットは、適切な個々の起動パケットが検出されると無線通信受信機の主トランシーバを起動させるように構成されたWURを装備された複数の無線通信受信機のうちの1つにアドレス指定される。本方法は、たとえば、アクセスポイント、または無線通信受信機にサーブする他のネットワークノードにおいて実行されるが、無線通信受信機のいずれかとの通信を開始するタスクを有する任意のステーションにおいても実行され得る。本開示のより容易な理解のために、本方法を実行するユニットを以下で「エンティティ」と呼ぶ。エンティティは、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nを決定し(502)、個々の起動パケットの各々について、n=1...Nとして時間オフセットT(n)を決定する(504)。それぞれの決定502、504は、たとえばルールおよび/またはルックアップテーブルに基づいて動的に行われ得るか、または、設計もしくは設定から固定され得る。エンティティは、次いで、時間オフセットT(n)をもつN個の個々の起動パケットすべてを備える時間領域多重化信号として、多重化された起動パケットを生成し(506)、多重化された起動パケットを送信する(508)。
【0029】
個々の起動パケットは、上記で説明したように、たとえば、オンオフキーイング(OOK)方式に従って変調される、振幅シフトキーイング信号である信号を備え得る。OOK方式はマンチェスターコーディングを含み得る。
【0030】
多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxはエンティティによって決定され得る(501)。たとえば、決定501は、多重化された起動パケットのシンボルの長さTと、個々の起動パケットの長さTNZとから行われ得、Nmaxは、関係T/TNZよりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように決定され(501)、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nの決定502は、N≦Nmaxとなるように行われる。
【0031】
多重化された起動パケットの生成506は、個々の起動パケット間にガードインターバルを挿入することを含み得る。多重化された起動パケットの個々の起動パケットの最大数Nmaxの決定501は、その場合、当然影響を受ける。Nmaxは、次いで、多重化された起動パケットの長さTと、個々の起動パケットの長さTNZ+ガードインターバルの長さdとから、関係T/(TNZ+d)よりも小さいかまたはそれに等しい最も大きい整数になるように決定され得(501)、多重化された起動パケットの個々の起動パケットの数Nの決定502は、N≦Nmaxとなるように行われる。
【0032】
多重化された起動パケットは、たとえば、上記で説明したように、たとえば、無線媒体上でリッスンビフォアトーク(LBT)手法に従って採用される送信のデータフィールド中に与えられ得、、前記データフィールドは、シグナリングフィールドとペイロードフィールドとを備え、かつ、プリアンブルの後に与えられる。シグナリングフィールドは、アドレス指定可能な無線通信受信機の各々のための一意のインジケータを備え得、インジケータは、システムによってはカラービットと呼ばれ、周波数、変調方式など、同じ媒体アクセス特性を用いて動作するユニットについての媒体競合に対処することを目的とする。
【0033】
図6は、たとえばWLANのために一般的に使用され、起動信号を与えるように修正するのに好適である送信フォーマットを概略的に示す。フォーマットはプリアンブルとデータフィールドとを含む。データフィールドは、シグナリング部分(SIG)とペイロード部分とを備える。プリアンブルは、受信機が信号の存在を検出し、同期、チャネル推定などを実行することを可能にする信号を備え得る。シグナリング部分は、ヘッダ情報、データレートに関する指示などを備え得る。ペイロード部分は、その場合、実際のデータ送信を備える。本明細書で説明される手法の適用のために、シグナリング部分SIGが、代わりに、多重化された起動パケットを与えるために使用される。
【0034】
ここで提示された手法は、他のタイプのフォーマットに対して等しく実現可能である。
【0035】
図7は、一実施形態によるネットワークノード700を概略的に示すブロック図である。ネットワークノードは、アンテナ構成702と、アンテナ構成702に接続された随意の受信機704と、アンテナ構成702に接続された送信機706と、1つまたは複数の回路を備え得る処理要素708と、1つまたは複数の随意の入力インターフェース710と、1つまたは複数の随意の出力インターフェース712とを備える。インターフェース710、712は、たとえば電気的または光学的な、オペレータインターフェースおよび/または信号インターフェースであり得る。ネットワークノード700は、起動信号を与えるように構成される。特に、処理要素708が、図1図6に関して説明される実施形態を実行するように構成されることによって、ネットワークノード700は、1つの多重化された起動パケット中の個々の起動パケットとともに複数の無線デバイスを個々にアドレス指定することが可能である。処理要素708はまた、受信機704と送信機706とに接続されるので、受信および送信を可能にするための信号処理から、アプリケーションを実行すること、インターフェース710、712を制御することなどにわたる、多数のタスクを実現することができる。
【0036】
本発明による方法は、特に、上記で説明された処理要素708が、起動信号通信制御を処理するプロセッサを備える場合について、コンピュータおよび/またはプロセッサなど、処理手段の助けを用いた実装のために好適である。したがって、処理手段、プロセッサ、またはコンピュータに、図1図6に関して説明した実施形態のいずれかによる方法のいずれかのステップを実行させるように構成された命令を備えるコンピュータプログラムが提供される。コンピュータプログラムは、好ましくは、図8に示されているように、コンピュータ可読媒体800上に記憶されたプログラムコードを備え、プログラムコードは、処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ802によってロードされ、実行されて、好ましくは図1図6に関して説明した実施形態のいずれかのように、それにそれぞれ本発明の実施形態による方法を実行させ得る。コンピュータ802およびコンピュータプログラム製品800は、プログラムコードを連続的に実行するように構成され得、本方法のいずれかの行為は、段階的に実行され、および/または実行をリアルタイムベースで実行する。処理手段、プロセッサ、またはコンピュータ802は、好ましくは、通常、組込みシステムと呼ばれるものである。したがって、図8に描かれているコンピュータ可読媒体800およびコンピュータ802は、原理の理解を与えるための説明のためのものにすぎないと解釈されるべきであり、要素の直接的な例示として解釈されるべきでない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8