(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-13
(45)【発行日】2022-06-21
(54)【発明の名称】収集装置および製造システム
(51)【国際特許分類】
C01B 32/168 20170101AFI20220614BHJP
B65H 54/02 20060101ALI20220614BHJP
D01F 9/12 20060101ALI20220614BHJP
D01F 9/127 20060101ALI20220614BHJP
【FI】
C01B32/168
B65H54/02
D01F9/12
D01F9/127
(21)【出願番号】P 2021501063
(86)(22)【出願日】2018-03-26
(86)【国際出願番号】 CN2018080532
(87)【国際公開番号】W WO2019183767
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2020-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】520372995
【氏名又は名称】スーチョウ・ジェルナノ・カーボン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲達▼
(72)【発明者】
【氏名】金 赫▲華▼
(72)【発明者】
【氏名】李 清文
(72)【発明者】
【氏名】勇 振中
(72)【発明者】
【氏名】▲劉▼ 毛林
(72)【発明者】
【氏名】胡 殿利
【審査官】青木 千歌子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/131061(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/158-32/178
D01F 9/12- 9/127
D02G 3/00- 3/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維を収集するための収集装置であって、
少なくとも1束のカーボンナノチューブ集合体の配向を調整するための予備調整機構であって、第一予備調整サブ機構及び第二予備調整サブ機構を含み、前記第一予備調整サブ機構は少なくとも第一方向に沿って設置され且つ回転可能な第一輪体及び第二輪体を含み、前記第一輪体及び前記第二輪体はカーボンナノチューブ集合体の両側を予圧するためのものであり、前記第二予備調整サブ機構は、少なくともカーボンナノチューブ集合体を引っ張るための第三輪体を含む、予備調整機構と、
前記予備調整機構から引き出されたカーボンナノチューブ集合体を巻き取って収集する巻き取り機構と、を含
み、
前記第三輪体は回転可能であり、周りに複数の第一環状突起が周設され、前記第一環状突起は、カーボンナノチューブ集合体の配向を整理する
ことを特徴とする収集装置。
【請求項2】
前記第一環状突起は幅が10
μm以下であり、隣接する前記第一環状突起との間隔が100
μm以下である
ことを特徴とする請求項
1に記載の収集装置。
【請求項3】
前記収集装置は、さらに、第一加熱機構を含み、
前記第一加熱機構は、前記第一予備調整サブ機構及び/又は前記第二予備調整サブ機構のカーボンナノチューブ集合体との接触面の温度を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の収集装置。
【請求項4】
前記第一輪体及び/又は前記第二輪体は、カーボンナノチューブ集合体との接触面に、カーボンナノチューブ集合体を収容可能な環状のリミットスロットが設置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の収集装置。
【請求項5】
前記第二予備調整サブ機構は、さらに、第四輪体を含み、
前記第四輪体と前記第三輪体とは、第二方向に沿って間隔を置いてずらして設置され、いずれもカーボンナノチューブ集合体を収集方向に引っ張ることができる
ことを特徴とする請求項1に記載の収集装置。
【請求項6】
前記第四輪体は、回転可能であり、周りに複数の第二環状突起が周設され、
前記第二環状突起はカーボンナノチューブ集合体の配向を整理する
ことを特徴とする請求項
5に記載の収集装置。
【請求項7】
前記第一輪体と前記第二輪体は、対向または背向に回転し、前記第三輪体と前記第四輪体は回転速度が互いに異なる
ことを特徴とする請求項
5に記載の収集装置。
【請求項8】
前記巻き取り機構は、軸方向に伸縮可能なドラムを備え、
前記ドラムは、往復移動が可能であり、
前記往復移動の方向は、前記ドラムの軸方向と直交しない
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の収集装置。
【請求項9】
前記巻き取り機構は、第一ホイール、第二ホイール、及び前記第一ホイールと前記第二ホイールとの間に張られる収集ベルトを備える、又は、
前記巻き取り機構は、第一ホイール、第二ホイール、及び前記第一ホイールと前記第二ホイールとの間に設けられ、前記予備調整機構の方向に回転可能な収集板を備える
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の収集装置。
【請求項10】
カーボンナノチューブ膜材料又はカーボンナノチューブ繊維材料を製造するための製造システムであって、
カーボンナノチューブ集合体を浮遊触媒法で合成するためのものであって、少なくとも一つの成長管を有する反応器を含む合成装置と、
請求項1から
9のいずれか一項に記載の収集装置であって、前記合成装置の出口端側に位置し、前記合成装置で製造されたカーボンナノチューブ集合体を収集する収集装置と、を含む
ことを特徴とする製造システム。
【請求項11】
前記成長管の前記収集装置に近い端部は、ラッパ状または円筒状である
ことを特徴とする請求項
10に記載の製造システム。
【請求項12】
前記製造システムは、さらに、投入装置を含み、
前記投入装置は、反応原料を提供し、前記合成装置の入口端に連通され、
前記投入装置は、少なくとも一つの注射機構と、少なくとも一つの投入管とを含み、
前記投入管は一端が前記注射機構に連通され、他端が前記成長管に連通される
ことを特徴とする請求項
10または
11に記載の製造システム。
【請求項13】
前記合成装置は、複数の成長管を有する反応器を含み、複数の前記成長管は、配置方式が環状分布またはマトリックス分布である
ことを特徴とする請求項
12に記載の製造システム。
【請求項14】
前記合成装置は、さらに、第二加熱機構を含み、
前記第二加熱機構は、複数の成長管の入口端の各エリアの温度分布を調整する
ことを特徴とする請求項
13に記載の製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボンナノチューブ材料の製造技術分野に関し、特に、収集装置及び製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
カーボンナノチューブ(Carbon nanotubes、CNTs)は、単層または多層のグラフェンが巻かれてなるチューブ状の一次元のナノ材料であり、その独特の構造によって優れた力、熱、電気的特性をもたらす。CNTsは、理論上、良好な力学特性、電気伝導、および熱伝導の特性を有し、非常に広く応用されることが見込まれている。カーボンナノチューブが相互に絡み合ってなるカーボンナノチューブ膜やカーボンナノチューブ繊維は、現在よく見られるカーボンナノチューブマクロであり、カーボンナノチューブの優れた特性を発揮でき、電磁シールド、コンポジット、電加熱などの分野での広汎な利用が期待されている。しかしながら、実際に製造されたカーボンナノチューブマクロの配向性や均一性は、悪く、最終的に得られるカーボンナノチューブマクロの各特性に悪い影響を及ぼす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このため、上記の技術的課題の少なくとも一つを解決するために、収集装置及び製造システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、カーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維を収集するための収集装置を提供し、該収集装置は、
少なくとも1束のカーボンナノチューブ集合体の配向を調整するための予備調整機構であって、第一予備調整サブ機構及び第二予備調整サブ機構を含み、前記第一予備調整サブ機構は少なくとも第一方向に沿って設置され且つ回転可能な第一輪体及び第二輪体を含み、前記第一輪体及び前記第二輪体はカーボンナノチューブ集合体の両側を予圧するためのものであり、前記第二予備調整サブ機構は、少なくともカーボンナノチューブ集合体を引っ張るための第三輪体を含む、予備調整機構と、
前記予備調整機構から引き出されたカーボンナノチューブ集合体を巻き取って収集する巻き取り機構と、を含む。
【0005】
上記の収集装置は、第一予備調整サブ機構と第二予備調整サブ機構を追加し、両者がそれぞれ少なくとも1束のカーボンナノチューブ集合体に対して配向調整を行うことにより、カーボンナノチューブの内部構造を改善するだけでなく、カーボンナノチューブの配向及び均一性を向上させ、収集されるカーボンナノチューブ材料の力、電気的、熱的特性を調整し、特性が異なるカーボンナノチューブ材料のカーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維の大規模生産に寄与する。
【0006】
一実施形態において、前記第三輪体は回転可能であり、周りに複数の第一環状突起が周設され、前記第一環状突起は、カーボンナノチューブ集合体の配向を整理する。
【0007】
一実施形態において、前記第一環状突起は幅が10μM以下であり、隣接する前記第一環状突起との間隔が100μM以下である。
【0008】
一実施形態において、前記収集装置は、さらに、第一加熱機構を含み、前記第一加熱機構は、前記第一予備調整サブ機構及び/又は前記第二予備調整サブ機構のカーボンナノチューブ集合体との接触面の温度を調整する。
【0009】
一実施形態において、前記第一輪体及び/又は前記第二輪体は、カーボンナノチューブ集合体との接触面に、カーボンナノチューブ集合体を収容可能な環状のリミットスロットが設置されている。
【0010】
一実施形態において、前記第二予備調整サブ機構は、さらに、第四輪体を含み、前記第四輪体と前記第三輪体とは、第二方向に沿って間隔を置いてずらして設置され、いずれもカーボンナノチューブ集合体を収集方向に引っ張ることができる。
【0011】
一実施形態において、前記第四輪体は、回転可能であり、周りに複数の第二環状突起が周設され、前記第二環状突起はカーボンナノチューブ集合体の配向を整理する。
【0012】
一実施形態において、前記第二環状突起は幅が10μM以下であり、隣接する前記第二環状突起との間隔が100μM以下である。
【0013】
一実施形態において、前記第一輪体と前記第二輪体は、対向または背向に回転し、前記第三輪体と前記第四輪体は回転速度が互いに異なる。
【0014】
一実施形態において、前記第一方向と前記第二方向は互いに直交する。
【0015】
一実施形態において、前記巻き取り機構は、軸方向に伸縮可能なドラムを備え、前記ドラムは、往復移動が可能であり、前記往復移動の方向は、前記ドラムの軸方向と直交しない。
【0016】
一実施形態において、前記巻き取り機構は、第一ホイール、第二ホイール、及び前記第一ホイールと前記第二ホイールとの間に張られる収集ベルトを備える、又は、
前記巻き取り機構は、第一ホイール、第二ホイール、及び前記第一ホイールと前記第二ホイールとの間に設けられ、前記予備調整機構の方向に回転可能な収集板を備える。
【0017】
一実施形態において、第一ホイールと第二ホイールとの間の間隔は、調整可能である。
【0018】
本発明は、カーボンナノチューブ膜材料又はカーボンナノチューブ繊維材料を製造するための製造システムを提供し、該製造システムは、
カーボンナノチューブ集合体を浮遊触媒法で合成するためのものであって、少なくとも一つの成長管を有する反応器を含む合成装置と、
上記いずれかの収集装置であって、前記合成装置の出口端側に位置し、前記合成装置で製造されたカーボンナノチューブ集合体を収集する収集装置と、を含む。
【0019】
一実施形態において、前記成長管の前記収集装置に近い端部は、ラッパ状または円筒状である。
【0020】
一実施形態において、前記成長管は管形状が四角形である。
【0021】
一実施形態において、前記製造システムは、さらに、投入装置を含み、前記投入装置は、反応原料を提供し、前記合成装置の入口端に連通され、前記投入装置は、少なくとも一つの注射機構と、少なくとも一つの投入管とを含み、前記投入管は一端が前記注射機構に連通され、他端が前記成長管に連通される。
【0022】
一実施形態において、前記合成装置は、複数の成長管を有する反応器を含み、複数の前記成長管は、配置方式が環状分布またはマトリックス分布である。
【0023】
一実施形態において、前記合成装置は、さらに、第二加熱機構を含み、前記第二加熱機構は、複数の成長管の入口端の各エリアの温度分布を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る収集装置の構造模式図である。
【
図2】本発明の他の実施形態に係る収集装置の構造模式図である。
【
図5】
図2の第一予備調整サブ機構の側面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る巻き取り機構の構造模式図である。
【
図7】本発明の更に他の実施形態に係る収集装置の構造模式図。
【
図8】本発明の一実施形態に係る製造システムの構造模式図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る合成装置の一部の構造の側面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る製造システムによって製造されたカーボンナノチューブ膜製品のサンプル1のSEM写真である。
【
図11】比較例の製造システムによって製造されたカーボンナノチューブ膜製品のサンプル2のSEM写真である。
【
図12】2枚のカーボンナノチューブ膜製品の引張応力-破断伸びのグラフである。
【
図13】本発明の他の実施形態に係る製造システムの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の上記の目的、特徴および利点をより明瞭にするために、以下、本発明の具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明を十分に理解するために、以下の説明において、詳細を細かく記載している。しかし、本発明はここに記載された形態とは別の形態で実施されうる。本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当業者が本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良が可能であり、以下に示す具体例により本発明を限定するものではない。
【0026】
特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的および科学的用語は、本発明の技術分野に属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、関連で記載した項目のうちの一つまたは複数の任意の組合せおよびすべての組合せを含む。
【0027】
図1は本発明に係る収集装置100を示す。収集装置100はカーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維を収集し、合成装置200の出口端に連通するハウジングと、ハウジング内に設けられた予備調整機構及び巻き取り機構130とを備える。
【0028】
予備調整機構は、ハウジング内に設けられ、少なくとも1束のカーボンナノチューブ集合体400の配向を調整する。具体的には、予備調整機構は、1束のカーボンナノチューブ集合体の配向を調整してもよいが、2束以上の複数束のカーボンナノチューブ集合体の配向を調整してもよい。
【0029】
予備調整機構は、第一予備調整サブ機構110と第二予備調整サブ機構120とを含む。
【0030】
第一予備調整サブ機構110は、第一方向に設けられ且つ回転可能な第一輪体111及び第二輪体112を少なくとも備え、第一輪体111及び第二輪体112がカーボンナノチューブ集合体の両側を予備加圧する。第二予備調整サブ機構120は、カーボンナノチューブ集合体を引っ張るための第三輪体121を少なくとも備える。該第一輪体111、第二輪体112及び第三輪体121は、カーボンナノチューブ集合体の大きさに合わせるサイズの回転可能なスクロールホイール又はローラ構造であってもよい。本実施形態では、カーボンナノチューブ集合体は、まず、第一予備調整サブ機構110によって一回目の配向調整が行われ、次いで、第二予備調整サブ機構120によって二回目の配向調整が行われる。
【0031】
巻き取り機構130は、予備調整機構から引き出されたカーボンナノチューブ集合体を巻き取って収集する。
【0032】
上述した収集装置100は、第一予備調整サブ機構110と第二予備調整サブ機構120を追加し、両者がそれぞれ少なくとも1束のカーボンナノチューブ集合体に対して配向調整を行うことにより、カーボンナノチューブの内部構造を改善するだけでなく、カーボンナノチューブの配向及び均一性を向上させ、収集されたカーボンナノチューブ材料の力、電、熱の特性の調整を達成し、特性が異なるカーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維の大規模生産に寄与する。
【0033】
図1において、出口端から収集機構への連結方向をM方向とし、このM方向において出口端に近い側を後端とし、出口端から遠い側を前端とするとともに、M方向の左右両端および上下両端のそれぞれに対応する左側、右側および上側、下側を定義する。
【0034】
実施例1
【0035】
図2において横型炉体用収集装置100が示される。収集装置100は、カーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維を収集するためのものであり、ハウジングと、予備調整機構と、巻き取り機構130とを備える。その内、予備調整機構は、第一予備調整サブ機構110と第二予備調整サブ機構120とを含み、複数束のカーボンナノチューブ集合体を調整する。
【0036】
第一予備調整サブ機構110は、出口端に近接して設置され、第二予備調整サブ機構120は、第一予備調整サブ機構110と巻き取り機構130との間に設置される。第一輪体111及び第二輪体112は、M方向の左側及び右側、即ちカーボンナノチューブ集合体の左側及び右側に設置されることが好ましい。
【0037】
カーボンナノチューブ集合体は複数束である場合が多く、個々のカーボンナノチューブ集合体の引張方向とカーボンナノチューブの軸方向とが一致していないため、複数束のカーボンナノチューブ集合体を均一に収集することが困難である。そして、カーボンナノチューブ材料の内部構造は各特性に大きく影響するため、カーボンナノチューブ材料の全体的な特性に影響を与える。左側及び右側に設置された第一輪体111及び第二輪体112によって、複数束のカーボンナノチューブ集合体を1束にまとめてなるカーボンナノチューブ集合体が一つの完全な形状で収集されることができる。これにより、収集されたカーボンナノチューブ集合体の均一性をより向上させることができる。また、第一輪体111と第二輪体112の間の回転速度を調整することによって、第一輪体111及び第二輪体112がカーボンナノチューブ集合体に付加する正圧力を変化させることで、異なる集束及び引張効果を実現し、カーボンナノチューブ集合体の配向を調整し、カーボンナノチューブ材料の各特性を調整することができる。このとき、カーボンナノチューブ集合体の生成量及び生成速度に応じて、第一輪体111と第二輪体112との間隔、回転速度及びその位置を適宜に調整することにより、最適な予備調整効果を得ることができる。なお、この場合、第一方向に沿って設けられる輪体は、常に2つ、即ち第一輪体111及び第二輪体112のみである。もちろん、第一方向に沿って設置される輪体の数は、2つ以外の複数であってもよく、好ましくは、複数束のカーボンナノチューブ集合体に合わせる数であってもよい。
【0038】
第二予備調整サブ機構120は、第三輪体121を備え、該第三輪体121はM方向の下側であるカーボンナノチューブ集合体の下側に設けられる。第三輪体121は、回転可能であって、周りに複数の第一環状突起140が周設されている。第一環状突起140はカーボンナノチューブ集合体の配向を整理する。
【0039】
図3に示すように、第三輪体121は、カーボンナノチューブ集合体との接触面に複数の第一環状突起140が設けられている。第一環状突起140は、第三輪体121の軸方向の周りに設けられている。第一環状突起140は幅が10μm以下であり、隣接する第一環状突起140との間隔が100μm以下である。第一輪体111及び第二輪体112は、回転可能であり、両者の回転方向が同じであってもよく、異なっていてもよい。好ましくは、第一輪体111の回転方向と第二輪体112の回転方向は逆であり、更に好ましくは、両者が対向または背向に回転してもよい。
【0040】
該第一環状突起140は幅が10μm以下であり、隣接する第一環状突起140との間隔が100μm以下である。好ましくは、該第一環状突起140の幅は0.2―5μmであり、隣接する第一環状突起140との間隔は50―90μmである。該第一環状突起140の高さは、1―10mmであってもよい。さらに、該第一環状突起140は、第三輪体121と一体に構成されてもよく、別々に加工され成形されて第三輪体121に着脱可能に取り付けられてもよい。該第一環状突起140は、レーザーエッチングや化学エッチング、印刷などの方法で製造される。
【0041】
第三輪体121が回転すると、対応する第一環状突起140が共に回転する。第一環状突起140は、間隔をおいて設けられた複数の突起であり、カーボンナノチューブ集合体に対して接線方向の力を加えることによって、カーボンナノチューブ集合体の内部構造を整理して接線方向に配列させる。また、該第一環状突起140は、それぞれにカーボンナノチューブ集合体にある程度の正圧力を加え、第三輪体121の回転速度を調整することで第三輪体121がカーボンナノチューブ集合体に加える正圧力が異なることによって、カーボンナノチューブ集合体を引っ張ってカーボンナノチューブ集合体の配向を調整してカーボンナノチューブ材料の各特性を調整することができる。
【0042】
引き続き
図2を参照し、本実施形態において、第二予備調整サブ機構120は、少なくとも回転可能な第四輪体122を更に含み、第四輪体122と第三輪体121は、第二方向に沿って互いに間隔を空けてずらして設置され、いずれもカーボンナノチューブ集合体を収集方向に沿って引っ張ることができる。該第二方向は、第一方向と異なる。好ましくは、第二方向は、第一方向と直交する。もちろん、第二方向と第一方向は他の方式であってもよい。
【0043】
さらに、第四輪体122及び第三輪体121は、M方向の上下両側又は左右両側に設けられており、両者の設置位置は第一輪体111及び第二輪体112の設置状況に応じて調整可能となっている。第四輪体122が追加された以上、第四輪体122と第三輪体121とを異なる回転速度に調整することにより、第三輪体121及び第四輪体122がカーボンナノチューブ集合体に与える第二方向に沿う正圧力を変化させることによって、カーボンナノチューブ集合体を更に引っ張ってカーボンナノチューブ集合体の配向を更に調整し、カーボンナノチューブ材料の各特性を制御可能に調整することができる。本実施形態においては、第三輪体121及び第四輪体122の数は、同数で1個であるが、他の実施形態においては、第三輪体121及び第四輪体122の数は、2個又はそれ以上であってもよい。このように、複数の輪体を増加してカーボンナノチューブ集合体を多様な程度で引っ張ることにより、カーボンナノチューブ集合体の内部のマイクロ構造をさらに調整してカーボンナノチューブ集合体の配向性を改善する。
【0044】
さらに、
図4に示すように、第四輪体には、複数の第二環状突起150が周設されている。第二環状突起150は、カーボンナノチューブ集合体の配向を整理するためのものである。具体的には、第四輪体122は、カーボンナノチューブ集合体との接触面に複数の第二環状突起150が設置され、第二環状突起150は第四輪体122の軸方向周りに設けられる。
【0045】
第二環状突起150は幅が10μm以下であり、隣接する第二環状突起150との間隔が100μm以下である。該第二環状突起150の幅は、第一環状突起140と同様に、0.2―5μmであり、隣接する第二環状突起150との間隔は、1―80μmであることが好ましい。該第二環状突起150は、高さが1―10mmであってもよい。さらに、この第二環状突起150は、対応する第四輪体122と一体に構成されてもよく、別々に加工され成形されて、対応する第四輪体122に着脱可能に取り付けられてもよい。この第二環状突起150は、レーザーエッチングや化学エッチング、印刷等の方法で製造される。
【0046】
一実施形態において、第一環状突起140と第二環状突起150は、対称に分布して設置されてもよく、ずらして設置されてもよい。
【0047】
第三輪体121及び第四輪体122が回転すると、対応する第一環状突起140及び第二環状突起150が共に回転する。環状突起は、いずれも間隔をおいて設置された複数の突起であり、カーボンナノチューブ集合体に対して接線方向の力を与えることで、カーボンナノチューブ集合体の内部構造を接線方向に整理して配向調整の効果を最適化する。また、該第一環状突起140と第二環状突起150は、それぞれにカーボンナノチューブ集合体の両側にある程度の正圧力をかけることができ、第三輪体121と第四輪体122とを異なる回転速度に調整することによって、第三輪体121と第四輪体122とがカーボンナノチューブ集合体にかける第一方向に沿う正圧力を異ならせてカーボンナノチューブ集合体を引っ張ってカーボンナノチューブ集合体の配向を調整してカーボンナノチューブ材料の各特性を調整することができる。
【0048】
一実施形態において、第一環状突起140及び第二環状突起150それぞれの対応する突起は、幅及び間隔が同じであってもよく、異なってもよい。第一環状突起140及び第二環状突起150それぞれの対応する突起は、幅及び間隔が異なることでそれぞれの突起の分布密度を調整して異なる向きに調整するとの効果を実現することができる。
【0049】
一実施形態において、
図5に示すように、第一輪体111及び/又は第二輪体112は、カーボンナノチューブ集合体との接触面の中部に、カーボンナノチューブ集合体を収容可能な環状のリミットスロット160が設置されている。
【0050】
環状のリミットスロット160は、溝幅がカーボンナノチューブ集合体を収容するとの大きさに合わせるように設定される。本実施形態において、環状のリミットスロット160が軸方向に沿った断面は、対称的な三角形であってもよい。別の実施形態では、環状のリミットスロット160は、軸方向に沿った断面が対称的な円弧状溝である。他の実施形態では、環状のリミットスロット160は、他の形状の槽体であってもよい。
【0051】
該環状のリミットスロット160を追加することにより、カーボンナノチューブ集合体を固定及び制限し、第一予備調整サブ機構110によって予圧されるときにカーボンナノチューブ集合体が上下に移動することを回避することができる。また、カーボンナノチューブ集合体を環状のリミットスロット160内に効率よく集合させることができ、均一な収集を更に確保して収集後のカーボンナノチューブ集合体の配向を高めることができる。
【0052】
一実施形態において、収集装置100は、ハウジング内に設置され、第一予備調整サブ機構110及び/又は第二予備調整サブ機構120がカーボンナノチューブ集合体との接触面の温度を調整するための第一加熱機構(図示せず)を更に備える。
【0053】
一実施形態において、第一加熱機構は、第一予備調整サブ機構110及び/又は第二予備調整サブ機構120の端部又は内部に内蔵された加熱抵抗線と、ハウジング内に設けられ、加熱抵抗線の発熱量を制御するためのコントローラとを含む。第一加熱機構は、さらに、前記予備調整機構の対応の接触面の温度を測定する熱電対又は温度計を含んでもよい。
【0054】
一実施形態において、第一加熱機構は、温度範囲が100―500℃としてもよい。さらに、第一加熱機構は、温度範囲が200―400℃としてもよい。なお、収集装置100のハウジング内は、不活性雰囲気であることが好ましい。
【0055】
第一加熱機構を追加することにより、適当な加熱でカーボンナノチューブ集合体の内部の気体を排出して収集後のカーボンナノチューブ製品の緻密性を向上させることができる。また、カーボンナノチューブ集合体との接触面の温度を制御することも可能となり、予備調整機構によるカーボンナノチューブ集合体の内部構造の調整効果を高め、カーボンナノチューブの配向及び均一性を高め、収集されたカーボンナノチューブ材料の各特性を調整することが実現される。
【0056】
本実施形態において、巻き取り機構130は、カーボンナノチューブ集合体を収集するように回転可能なローラであってもよい。通常にカーボンナノチューブ集合体に微量の鉄元素が含まれているので、このローラは少し磁性が付いている材質とすることによって、カーボンナノチューブ集合体の吸着と収集に有利となる。
【0057】
一実施形態において、巻き取り機構130は、軸方向に伸縮可能なドラム(図示せず)であってもよい。収集されたカーボンナノチューブ集合体がカーボンナノチューブ繊維である場合に、スリーブは、位置を移動する必要ない。また、収集されたカーボンナノチューブ集合体がカーボンナノチューブ膜である場合には、移動可能なドラムが一方向に移動又は往復移動することによって、一定の面積のカーボンナノチューブ膜を収集することができる。この往復移動方向は、ドラムの軸方向と直交しなく、ドラムの軸方向と平行であることが好ましい。もちろん、往復移動の方向とドラムの軸方向とが角度を成してもよい。これにより、カーボンナノチューブ膜の収集を実現する。設置されたドラムが軸方向に伸縮可能であるので、収集されたカーボンナノチューブ膜の面積をさらに変えることによって、製造されるカーボンナノチューブ膜の膜厚を制御し、特性が多様なカーボンナノチューブ膜材料を得られる。
【0058】
別の実施形態において、巻き取り機構130は、第一ホイールと、第二ホイールと、第一ホイールと前記第二ホイールとの間に張られる収集ベルト(図示せず)とを備える。第一ホイール及び第二ホイールの軸方向は、出口端の延長線方向に直交する。一実施形態において、第一ホイールと第二ホイールとの間の間隔は、調整可能である。このように、第一ホイールと第二ホイールとの間隔を調整することにより、収集されるカーボンナノチューブ集合体膜の幅方向の寸法を調整してカーボンナノチューブ膜の面積を調整することができる。
【0059】
さらに別の実施形態において、
図6に示すように、巻き取り機構130は、第一ホイール131と、第二ホイール132と、第一ホイール131と第二ホイール132との間に設置されて予備調整機構の方向に回転可能な収集板133と、を備えてもいい。この収集板133は、少し磁性が付いていて一定の厚さを有する板状部材である。一実施形態において、第一ホイール131と第二ホイール132との間の間隔は、調整可能である。これに応じて、収集板133は伸縮可能な板状部材として構成されて第一ホイール131と第二ホイール132との間隔を調整することにより、収集されるカーボンナノチューブ集合体膜の長手方向の寸法を調整してカーボンナノチューブ膜の面積を調整する。
【0060】
実施例2
【0061】
図7において、縦型炉体用の収集装置100が示される。カーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維を収集する収集装置100は、合成装置200の出口端に連通するハウジングと、ハウジング内に設けられた予備調整機構及び巻き取り機構130とを備える。予備調整機構は、第一予備調整サブ機構110と第二予備調整サブ機構120とを備え、1束のカーボンナノチューブ集合体の配向を調整する。
【0062】
本実施例は、縦型炉体で成長したカーボンナノチューブ膜又はカーボンナノチューブ繊維の収集に適用される以外に、実施例1と異なる点は、第二予備調整サブ機構120が合成装置200の出口端に近接して設けられ、第一予備調整サブ機構110が第二予備調整サブ機構120と巻き取り機構130との間に設けられる点である。
【0063】
本実施例のその他の内容について実施例1を参照し、ここでその説明が省略される。
【0064】
本発明は、さらに、カーボンナノチューブ膜材料又はカーボンナノチューブ繊維材料の製造に使用される製造システムを提供する。以下、図面を参照して製造システムを詳細に説明する。
【0065】
実施例3
【0066】
図8は本発明の一実施形態に係る横型炉体を含む製造システムを示す。製造システムは、合成装置200と収集装置100とを含む。合成装置200は浮遊触媒法でカーボンナノチューブ集合体を合成するためのものである。合成装置200は、少なくとも一つの成長管211を有する反応器210を備える。収集装置100は、合成装置200の出口端側に設置され、合成装置200で製造されたカーボンナノチューブ集合体を収集する。収集装置100は、合成装置200の出口端と連通しており、例えば、フランジ(図示せず)によって合成装置200と密封されて接続される。
【0067】
本実施形態において、この反応器210は、多管横型構造であってよく、成長管211の数は2つである。複数の成長管211は、共に反応器210の内部に設けられ、一つの反応炉体を共用している。このように、複数の管を設けることにより、カーボンナノチューブの生産量を大幅に向上させるとともに、各成長管211内のカーボンナノチューブの品質を確保してカーボンナノチューブ材料全体の特性を向上させることができる。もちろん、他の実施形態では、成長管211の数は一つであってもよく、2つ以外の複数であってもよい。
【0068】
この反応器210は、水平に設置されてもよいし、所定角度で傾斜した多管構造であってもよい。成長管211は、石英管、コランダム管、又は本技術分野で一般的に使用される他の材料から作製されることができる。一実施形態において、成長管211の管形状は四角形であるので、成長管211によって生成されるカーボンナノチューブ集合体の構造を変え、収集されるカーボンナノチューブ集合体の均一性を調整することができる。もちろん、他の実施形態では、成長管211は、通常の中空円筒構造であってもよい。
【0069】
本実施形態では、成長管211の収集装置100に近い端部はラッパ状になっている。よって、カーボンナノチューブ集合体を浮遊触媒法で合成する時にキャリアガスを流す必要があるため、成長管211の内部に乱流が発生し、カーボンナノチューブ集合体が浮き上がり、成長管211の内壁に付着しやすくなり、その結果、収集が中断される。このように、成長管211の端部をラッパ状にすることにより、カーボンナノチューブ集合体が成長管211の内壁に付着する確率を低減し、カーボンナノチューブ集合体の収集の連続性を高めることができる。もちろん、他の実施形態では、成長管211の収集装置100に近い端部は、円筒形または他の通常の形状であってもよい。
【0070】
また、製造システムは、反応原料を供給するために合成装置200の入口端と連通する投入装置300を備えている。
【0071】
さらに、前記投入装置300は、少なくとも一つの注射機構310と、一端が注射機構310に連通され、他端が成長管211に連通される少なくとも一つの投入管320とを含む。該注射機構310は、注射速度を調整できる投入ポンプ、液体インジェクタ、及び超音波霧化注入機構のうちの一つであってもよい。
【0072】
本実施形態では、投入管320及び注射機構310の数は、いずれも生長管211の数に合わせるものである。この場合、投入管320は、直列又は並列方式を採用してもよい。このように、注射機構310を制御することにより、製造される内部構造が異なるカーボンナノチューブ材料を個別に制御してカーボンナノチューブ材料の特性を制御することができる。
【0073】
一実施形態において、投入管320と注射機構310の数は一つでよく、このような構造は簡単で操作も容易になる。他の実施形態において、投入管320は、複数個であってもよく、注射機構310は、1個であってもよく、こうすることで複数の投入管320が一つの注射機構310を共有することができる。もちろん、投入管320と注射機構310の数は、他の合理的な数であってもよい。
【0074】
なお、複数の成長管211は全てがカーボンナノチューブ集合体の成長に用いられて純粋なカーボンナノチューブ材料を製造してもよい。また、一つまたは複数の成長管211が他の材料を製造すると設置することによって、カーボンナノチューブを含む複合材料を製造し、複合材料に異なる特性を持たせ、材料の適用分野を広げることができる。
【0075】
一実施形態において、
図9に示すように、合成装置200は、複数の成長管211を有する反応器210を含む。複数の成長管211は、配列方式が環状分布である。他の実施形態では、複数の成長管211は、配列方式が並列またはマトリックス状分布である。
【0076】
さらに、
図8に示すように、合成装置200は、複数の成長管211の入口端の各エリアの温度分布を調整するための第二加熱機構212をさらに含む。本実施形態において、第二加熱機構212は、間隔をおいて設置された3個のヒーターであり、該ヒーターは反応器210の内壁に設置され、それぞれに成長管211の入口端の各エリアの温度を調整してカーボンナノチューブ集合体の成長を制御する。
【0077】
収集装置100の具体的な内容は、実施例1で説明した内容を参照すればよく、ここでその説明が省略される。
【0078】
本実施例の製造システムにより、カーボンナノチューブ膜材料を製造することができる。製造ステップは、まず、炭素源に触媒と成長促進剤を溶解することで反応液を準備し、この反応液を注射機構300からキャリアガスとともに反応器210の成長管211に供給して接触分解反応を起こして、連続カーボンナノチューブ集合体を生成し、カーボンナノチューブ集合体を連続的に収集してカーボンナノチューブ膜を得ることを含む。カーボンナノチューブ膜の製造プロセスは一般的であるため、上記の製造プロセスでは、本技術分野で通常に用いられる原料、配合比及びプロセスの条件を使用してもよく、ここでその説明が省略される。
【0079】
本実施例の製造システム(予備調整機構を含む)を用いてカーボンナノチューブ膜の製品を製造して得られた製品をサンプル1と標記する。予備調整機構の役割を説明するために、本実施例の製造システムの予備調整機構を取り除き、他の機構はそのままにして、これを比較例の製造システム(予備調整機構を含まない)として、サンプル1を製造するプロセス条件でカーボンナノチューブ材料膜の製品をも製造して得られた製品をサンプル2とした。
【0080】
図10および
図11は、それぞれサンプル1およびサンプル2のSEM写真である。比較により、予備調整機構により調整されたカーボンナノチューブ材料膜(サンプル1)の配向性は、予備調整機構により調整されていないカーボンナノチューブ材料膜(サンプル2)よりも良好であることがわかる。
【0081】
図12は、サンプル1およびサンプル2の引張応力-破断伸びを示すグラフである。比較により、予備調整機構により調整されたカーボンナノチューブ材料膜(サンプル1)の力学特性は、予備調整機構により調整されていないカーボンナノチューブ材料膜(サンプル2)よりも良好であることがわかる。
【0082】
実施例4
【0083】
図13は本発明の他の実施形態に係る縦型炉体を含む製造システムを示す。製造システムは、合成装置200と収集装置100とを含む。合成装置200は、カーボンナノチューブ集合体を浮遊触媒法で合成するためのものである。合成装置200は、少なくとも一つの成長管211を有する反応器210を備える。収集装置100は、合成装置200の出口端に連通し、合成装置200で製造されたカーボンナノチューブ集合体を収集する。具体的には、収集装置100は、フランジによって合成装置200と密封されて接続される。
【0084】
本実施形態において、反応器210は、単管縦型構造である。他の実施形態において、該反応器210は、多管式縦型構造であってよい。この反応器210は、垂直に設置されてもよく、もちろんある角度で傾斜して設置されてもよい。
【0085】
収集装置100の他の具体的な内容は、実施例2に記載の内容を参照すればよく、ここでその説明が省略される。
【0086】
本実施例のその他の内容は実施例3の説明を参照すればよく、ここでその説明が省略される。
【0087】
上記実施形態の各技術特徴は、任意に組み合わせることが可能であり、説明の簡潔化のため、上記実施形態の各特徴の全ての可能な組み合わせを記載していないが、これらの特徴の組み合わせに矛盾が生じない限り、本明細書に記載の範囲にあると考えるべきである。
【0088】
上記実施形態は、本発明のいくつかの実施形態を示したに過ぎず、その説明は、具体的かつ詳細なものであり、特許請求の範囲を制限するものと理解すべきではない。なお、本発明は、当業者にとって、本発明の思想を逸脱しない範囲において各種の変更、改良等を行うことが可能であり、それらも本発明の範囲に包含されるものである。したがって、本発明の特許保護される範囲は、添付の請求項の範囲によって規定されるべきである。
【符号の説明】
【0089】
100 収集装置
110 第一予備調整サブ機構
111 第一輪体
112 第二輪体
120 第二予備調整サブ機構
121 第三輪体
122 第四輪体
130 巻き取り機構
131 第一ホイール
132 第二ホイール
133 収集板
140 第一環状突起
150 第二環状突起
160 環状のリミットスロット
200 合成装置
210 反応器
211 成長管
212 第二加熱機構
300 投入装置
310 注射機構
320 投入管
400 カーボンナノチューブ集合体