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特許7089139構造構成要素のための繊維強化材料を作るためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】構造構成要素のための繊維強化材料を作るためのシステム
(51)【国際特許分類】
   D06H 7/04 20060101AFI20220615BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20220615BHJP
   D06H 7/02 20060101ALI20220615BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20220615BHJP
【FI】
D06H7/04
B29C70/16
D06H7/02
B29K105:08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018561542
(86)(22)【出願日】2017-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 US2017028247
(87)【国際公開番号】W WO2017204945
(87)【国際公開日】2017-11-30
【審査請求日】2020-03-16
(31)【優先権主張番号】16382235.6
(32)【優先日】2016-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507220187
【氏名又は名称】オウェンス コーニング インテレクチュアル キャピタル リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(72)【発明者】
【氏名】アドルフス ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ベルトラン トニ セラロルス
【審査官】鈴木 祐里絵
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0247643(US,A1)
【文献】実開平05-081246(JP,U)
【文献】特開平05-111898(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0087198(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0065302(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B1/00-23/30
D06C3/00-29/00
D06G1/00-5/00
D06H1/00-7/24
D06J1/00-1/12
B29B11/16
15/08-15/14
B29C41/00-41/36
41/46-41/52
70/00-70/88
C08J5/04-5/10
5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造構成要素のための材料を生成するためのシステムであって、
前記構造構成要素は、前記材料の複数の層から形成され、
複数の強化繊維を含む織物504を生成するための装置と、
前記織物を切断又はロール化する前に前記織物上に印刷するための少なくとも1つのプリンタ520と、
前記織物を巻き取るための巻取機508と、
前記織物を、前記織物の第1のロール514a及び前記織物の第2のロール514bを含む前記織物の複数のロール514に切り離すために、前記織物内に少なくとも1つのスリットを作るためのカッターと、
を備え、
前記プリンタは、前記第1のロール514a上の前記織物上に1又は2以上の第1のライン530を印刷し、前記第1のラインは、前記第1のロール上の前記織物が、前記構造構成要素501を形成するために、複数の別個の第1の切断片531-1に切り離される場所を示し、
前記プリンタは、前記第2のロール514b上の前記織物上に1又は2以上の第2のライン530を印刷し、前記第2のラインは、前記第2のロール上の前記織物が、前記構造構成要素501を形成するために、複数の別個の第2の切断片531-2に切り離される場所を示し、
前記プリンタは、前記織物の前記第1の切断片531-1の各々の上に層番号532を印刷し、
前記プリンタは、前記織物の前記第2の切断片531-2の各々の上に層番号532を印刷し、
前記層番号532は、前記織物の前記第1の切断片531-1及び前記織物の前記第2の切断片531-2が、前記構造構成要素501を形成する際に、互いに対して位置付けられる順序を示す、
ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
少なくとも1つのレーザカッター570をさらに含み、
前記レーザカッターは、前記第1のロール514aの前記織物内に1又は2以上の部分切断部580を作り、前記部分切断部は、前記構造構成要素501を形成するために、前記織物を前記別個の第1の切断片531-1に切り離すのを容易にし、
前記レーザカッターは、前記第2のロール514bの前記織物内に1又は2以上の部分切断部580を作り、前記部分切断部は、前記構造構成要素501を形成するために、前記織物を前記別個の第2の切断片531-2に切り離すのを容易にする、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のロール514a上の前記織物504の長さは、前記第2のロール514b上の前記織物504の長さとは異なる、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記織物の前記第1の切断片531-1の全長は、前記第1のロール514a上の前記織物の長さの少なくとも95%であり、
前記織物の前記第2の切断片531-2の全長は、前記第2のロール514b上の前記織物の長さの少なくとも95%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記織物の前記第1の切断片531-1の全長は、前記第1のロール514a上の前記織物の長さの少なくとも97%であり、
前記織物の前記第2の切断片531-2の全長は、前記第2のロール514b上の前記織物の長さの少なくとも97%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記織物の前記第1の切断片531-1の全長は、前記第1のロール514a上の前記織物の長さの少なくとも99%であり、
前記織物の前記第2の切断片531-2の全長は、前記第2のロール514b上の前記織物の長さの少なくとも99%である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記織物はノンクリンプである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記強化繊維はガラス繊維を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記強化繊維は炭素繊維を含む、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2016年5月26日出願の欧州特許出願番号16382235.6の優先権及び利益を主張し、その開示内容全体は引用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
全体としての発明概念は、繊維強化材料に関し、より詳細には、繊維強化材料を用いて構造構成要素を形成するためのシステム及びその方法に関する。
【背景技術】
【0003】
織物、マット、ベール、及び同様のものなどの繊維強化材料を用いて構造構成要素を形成することは公知である。例えば、米国特許第8,226,866号には、連続工程によって積層体を製造することが開示されている。この工程は、樹脂槽を通して繊維トウ(例えば、ガラス繊維又は炭素繊維)を引き出すことを含み、その後、樹脂が硬化して積層体を形成する。積層体内で、繊維は、互いに並び実質的に平行に配列される。このような積層体は、一方向積層体と呼ばれる場合が多い。積層体は、1mm~数mmの厚みを有することができる。積層体は、あらゆる実用的な幅を有するように形成することができる。製造後、シート状積層体は、コイルに巻き取られ、各コイルは2~300メートルの長さを有する。
【0004】
これらの積層体は、構造構成要素を形成するのに有用である。米国特許第8,226,866号に記載されているように、これらの積層体は、積み重ねるか又はそうでない場合は積層して、風力エネルギータービンのブレードのスパーキャップを形成することができる。詳細には、積層体の切断片のいくつかの層は、互いに重なり合って配置されて構造構成要素を形成する。各切断片は、鋳型の特定の区域及び領域内に配置される。注入工程は、積層体の層に浸透させるために硬化性マトリックス材(樹脂)を鋳型の中に導入する。切断片の層を合わせて押圧して樹脂が層に浸透するのを助けるために、注入工程中に真空を鋳型に加えることができる。
【0005】
以下に、構造構成要素、この場合は風力タービンブレードのスパーキャップを形成するための従来のシステム100を図1~3を参照して説明する。システム100において、機械102は、予め決められた幅wを有する織布104の形態の繊維強化材料を連続的に製造する。織物104は、実質的にその長さに沿って(すなわち、矢印106に平行に)延びる繊維(例えば、ガラス及び/又は炭素繊維)を含むか又はそうでない場合はこれらで強化される。織物104が機械102を出て矢印106の方向に移動する際に、織物104は、ロール区域108で巻き取られる。巻取機又は他の搬送手段は、織物104を機械102からロール区域108に引っ張る。ブレード又は他の切断手段は、ロール区域108の前で織物104にスリット110を形成する。このようにして、織物104の別個のロール112が形成される。図1に示す実施形態において、3つのスリット110が作成されて4つのロール112が形成され、各ロール112は約w/4の幅を有する。
【0006】
予め決められた量の織物104がロール区域108に巻き取られると、手動切断114が織物104の幅を横切って行われ、これにより、機械102を出た織物104からロール112を切り離す。機械102は、この切断作業中は停止すること又はそうでない場合は休止することができる。切断114が手動で(例えば、剪断機を用いてオペレータによって)行われるので、各ロール112の端部は、必ずしも均等ではない。それにもかかわらず、各ロール112上の織物104の量(すなわち、長さ)は、実質的に同じである。
【0007】
図2に示すように、ロール112が織物104から切り離されると、複数のロール112は、パレット120上に配置されるか又はそうでない場合は使用前に保管及び/又は輸送のために一緒に包装される。図2では、8つのロール112がパレット120上に載っている。
【0008】
スパーキャップを形成する際に、ロール112の1又は2以上のパレット120は、スパーキャップを形成するのに用いる鋳型128の近くに移動される。上述のように、スパーキャップは、ロール112から織物104の多数の切断片をハンドレイ法(hand laying)などによって積層することによって形成される。鋳型内の切断片の数及び配置は、スパーキャップの特性(例えば、形状、厚み)を定める。
【0009】
図3に示すように、織物104の第1のロール130aは、パレット120から取り外されかつ切断されて所望の長さの切断片にされ、鋳型128に配置される。詳細には、第1の量の織物104は、矢印132の方向に広げられ、次に、切断されて破線1-1によって表す長さL1の第1の切断片134を形成する。次に、第2の量の織物104は、矢印132の方向に広げられ、次に、切断されて破線2-2によって表すL2の第2の切断片136を形成する。線1-1及び2-2で示すように、第1の切断片134の長さL1は、第2の切断片136の長さL2よりも長い。一部の切断片は同じ長さを有することができるが、切断片の多くは異なる長さを有することになる。各々の連続的な切断片は、先の切断片上に位置決めされるか又はそうでない場合はこれらと重なり合う。典型的には、多くの切断片(例えば、50又はそれ以上)が必要である。この工程は、鋳型128内で所望の厚み及び形状が得られるまで繰り返される。最後に、樹脂が上述の注入工程などによって鋳型の中に導入されて硬化してスパーキャップが形成される。
【0010】
織物104の多数の切断片は、スパーキャップを形成するのに必要であり、複数のロール112を用いて、必要な量の織物104を提供する必要がある。上述のように、ロール112の各々は、実質的に同じ量の織物104を保持する。結果として、ロール112(例えば、ロール130a)からの切断片は、ロール112上の織物104を完全に使い尽くさない場合が多い。換言すると、連続的な切断片(又は少なくとも次の切断片)に用いるには小さすぎる量の織物104がロール112上に残る。このようなロール112(例えば、ロール130b)の各々は、無駄な織物104を象徴する。この現象は、図4に示す実施例400でさらに示されている。
【0011】
図4に示すように、15個のロール112(すなわち、ロールR1~R15)は、鋳型128によってスパーキャップを製造するのに必要な織物104の50の切断片(すなわち、CP1~CP50)を得るのに必要である。ロール112の各々の長さは、実質的に同じであり、換言すると、各ロール112は、実質的に同じ量の織物104を保持する。第1のロールR1から、織物104の3つの切断片(すなわち、CP1、CP2、及びCP3)が得られるが、ロールR1上の残りの量402の織物104は、切断片すなわち少なくとも次の切断片CP4を生成するには不十分である(例えば、短すぎる)。同様に、第2のロールR2から、織物104の3つの切断片(すなわち、CP4、CP5、及びCP6)が得られるが、ロールR2上の残りの量404の織物104は、切断片すなわち少なくとも次の切断片CP7を生成するには不十分である(例えば、短すぎる)。第3のロールR3から、織物104の4つの切断片(すなわち、CP7、CP8、CP9、及びCP10)が得られるが、ロールR3上の残りの量406の織物104は、切断片すなわち少なくとも次の切断片CP11を生成するには不十分である(例えば、短すぎる)。この工程は、最終ロールR15まで繰り返され、織物104の3つの切断片(すなわち、CP48、CP49、及びCP50)が得られるが、ロールR15上の残りの量430の織物104は、別の切断片を生成するには不十分である(例えば、短すぎる)。従って、無駄な織物の量は、ロール上の織物104の量が十分に利用されない各ロールに対して増加する。こうした手法では、織物104の無駄な量(例えば、402、404、406、…、430)は、製造される同じ部品(例えば、スパーキャップ)毎に繰り返されることになる。この無駄な織物104に対するコストペナルティは、それに関連する生産コストだけでなく、廃棄物の処分の関連費用(例えば、輸送、埋め立て)も包含する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】米国特許第8,226,866号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の観点で、構造構成要素を製造するために繊維強化材料を用いるための改良されたシステム及びその方法に関する満たされていないニーズが存在する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書では、材料のロールから得られた繊維強化材料の層から構造構成要素を形成するための改良されたシステム及びその方法が提供される。
【0015】
全体としての発明概念は、構造構成要素を製造するための繊維強化材料のシステムに関し、これを企図する。例示的な実施形態において、システムは、繊維強化材料の複数のロールを含み、この複数のロールは、繊維強化材料の第1のロールと繊維強化材料の第2のロールとを含み、第1のロール上の繊維強化材料の長さは、第2のロール上の繊維強化材料の長さとは異なり、第1のロール上の繊維強化材料は、その上に印刷された1又は2以上の第1のラインを有し、この第1のラインは、第1のロール上の繊維強化材料が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第1の切断片に切り離される場所を示し、第2のロール上の繊維強化材料は、その上に印刷された1又は2以上の第2のラインを有し、この第2のラインは、第2のロール上の繊維強化材料が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第2の切断片に切り離される場所を示す。
【0016】
例示的な実施形態において、第1のロール上の繊維強化材料は、その中に1又は2以上の部分切断部を有し、この部分切断部は、第1のロール上の繊維強化材料が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第1の切断片に切り離される場所に対応し、第2のロール上の繊維強化材料は、その中に1又は2以上の部分切断部を有し、この部分切断部は、第2のロール上の繊維強化材料が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第2の切断片に切り離される場所に対応する。
【0017】
例示的な実施形態において、部分切断部は1又は2以上のレーザによって作られる。
【0018】
典型的には、システムは、廃棄物の量の実質的な低減を達成する。例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも98%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも98%である。
【0019】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99%である。
【0020】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99.9%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99.9%である。
【0021】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さに等しく、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さに等しい。
【0022】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の各々は、その上に印刷された層番号を有し、繊維強化材料の第2の切断片の各々は、その上に印刷された層番号を有し、層番号は、繊維強化材料の第1の切断片及び繊維強化材料の第2の切断片が、構造構成要素を形成する際に互いに対して位置付けされる順序を示す。
【0023】
一部の例示的な実施形態において、層番号は、それに関連する繊維強化材料の切断片に対する配置の順序を表す番号、記号又は画像、もしくは何らかの他の表示の形態を取ることができる。
【0024】
一部の例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片及び/又は繊維強化材料の第2の切断片は、その上に印刷された追加の情報(すなわち、層識別情報以外の)を有することができる。
【0025】
例示的な実施形態において、繊維強化材料はノンクリンプ織物である。
【0026】
例示的な実施形態において、繊維強化材料は織布である。
【0027】
例示的な実施形態において、繊維強化材料は複数のガラス繊維を含む。例示的な実施形態において、繊維強化材料は複数の炭素繊維を含む。
【0028】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の複数のロールは一緒に包装される。例示的な実施形態において、繊維強化材料の複数のロールは、1又は2以上のパレット上で一緒に包装される。
【0029】
例示的な実施形態において、構造構成要素は、風力タービンブレードの少なくとも一部分である。例示的な実施形態において、構造構成要素はスパーキャップである。
【0030】
全体としての発明概念は、構造構成要素のための材料を生成するためのシステムに関し、これを企図する。例示的な実施形態において、システムは、複数の強化繊維を含む織物を生成するための装置と、織物上に印刷するための少なくとも1つのプリンタと、織物を巻き取るための巻取機と、織物を織物の複数のロールに分離するために織物内に少なくとも1つのスリットをつくるためのカッターと備え、複数のロールは、織物の第1のロール及び織物の第2のロールを含み、第1のロール上の織物の長さは第2のロール上の織物の長さとは異なり、プリンタは、第1のロール上の織物上に1又は2以上の第1のラインを印刷し、第1のラインは、第1のロール上の織物が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第1の切断片に切り離される場所を示し、プリンタは、第2のロール上の織物上に1又は2以上の第2のラインを印刷し、この第2のラインは、第2のロール上の織物が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第2の切断片に切り離される場所を示す。
【0031】
例示的な実施形態において、システムは、少なくとも1つのレーザカッターをさらに含む。レーザカッターは、第1のロールの織物内に1又は2以上の部分切断部を作り、この部分切断部は、構造構成要素を形成するために織物を別個の第1の切断片に切り離すのを容易にし、レーザカッターは、第2のロールの織物内に1又は2以上の部分切断部を作り、この部分切断部は、構造構成要素を形成するために織物を別個の第2の切断片に切り離すのを容易にする。
【0032】
例示的な実施形態において、織物の第1の切断片の全長は、第1のロール上の織物の長さの少なくとも95%であり、織物の第2の切断片の全長は、第2のロール上の織物の長さの少なくとも95%である。
【0033】
例示的な実施形態において、織物の第1の切断片の全長は、第1のロール上の織物の長さの少なくとも97%であり、織物の第2の切断片の全長は、第2のロール上の織物の長さの少なくとも97%である。
【0034】
例示的な実施形態において、織物の第1の切断片の全長は、第1のロール上の織物の長さの少なくとも98%であり、織物の第2の切断片の全長は、第2のロール上の織物の長さの少なくとも98%である。
【0035】
例示的な実施形態において、織物の第1の切断片の全長は、第1のロール上の織物の長さの少なくとも99%であり、織物の第2の切断片の全長は、第2のロール上の織物の長さの少なくとも99%である。
【0036】
例示的な実施形態において、織物の第1の切断片の全長は、第1のロール上の織物の長さの少なくとも99.9%であり、織物の第2の切断片の全長は、第2のロール上の織物の長さの少なくとも99.9%である。
【0037】
例示的な実施形態において、織物の第1の切断片の全長は、第1のロール上の織物の長さに等しく、織物の第2の切断片の全長は、第2のロール上の織物の長さに等しい。
【0038】
例示的な実施形態において、プリンタは、織物の第1の切断片の各々及び織物の第2の切断片の各々の上に層番号を印刷し、層番号は、織物の第1の切断片及び織物の第2の切断片が、構造構成要素を形成する際に互いに対して位置決めされる順序を示す。
【0039】
例示的な実施形態において、繊維強化材料はノンクリンプ織物である。
【0040】
例示的な実施形態において、織物は織布である。
【0041】
例示的な実施形態において、強化繊維はガラス繊維を含む。例示的な実施形態において、強化繊維は炭素繊維を含む。
【0042】
全体としての発明概念は、構造構成要素を製造するのに使用するための繊維強化材料を形成する方法に関し、これを企図する。例示的な実施形態において、本方法は、繊維強化材料の第1のロール及び繊維強化材料の第2のロールを含む繊維強化材料の複数のロールを形成する段階であって、第1のロール上の繊維強化材料の長さは、第2のロール上の繊維強化材料の長さとは異なる、段階と、第1のロール上の繊維強化材料上の1又は2以上の第1のラインを印刷する段階であって、第1のラインは、第1のロール上の繊維強化材料が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第1の切断片に切り離される場所を示す段階と、第2のロール上の繊維強化材料上の1又は2以上の第2のラインを印刷する段階であって、第2のラインは、第2のロール上の繊維強化材料が、構造構成要素を形成するために複数の別個の第2の切断片に切り離される場所を示す段階と、を含む。
【0043】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも95%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも95%である。
【0044】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも97%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも97%である。
【0045】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも98%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも98%である。
【0046】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99%である。
【0047】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99.9%であり、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さの少なくとも99.9%である。
【0048】
例示的な実施形態において、繊維強化材料の第1の切断片の全長は、第1のロール上の繊維強化材料の長さに等しく、繊維強化材料の第2の切断片の全長は、第2のロール上の繊維強化材料の長さに等しい。
【0049】
例示的な実施形態において、本方法は、繊維強化材料の第1の切断片の各々の上に層番号を印刷する段階と、繊維強化材料の第2の切断片の各々の上に層番号を印刷する段階とを含み、層番号は、繊維強化材料の第1の切断片及び繊維強化材料の第2の切断片が、構造構成要素を形成する際に互いに対して位置付けられる順序を示す。
【0050】
例示的な実施形態において、繊維強化材料はノンクリンプ織物である。
【0051】
例示的な実施形態において、繊維強化材料は織布である。
【0052】
例示的な実施形態において、繊維強化材料は複数のガラス繊維を含む。例示的な実施形態において、繊維強化材料は複数の炭素繊維を含む。
【0053】
例示的な実施形態において、本方法は、繊維強化材料の複数のロールを一緒に包装する段階をさらに含む。例示的な実施形態において、繊維強化材料の複数のロールは、1又は2以上のパレット上に保管される。
【0054】
例示的な実施形態において、構造構成要素は、風力タービンブレードの少なくとも一部である。例示的な実施形態において、構造構成要素はスパーキャップである。
【0055】
全体としての発明概念の多数の他の態様、利点、及び/又は特徴は、例示的な実施形態の以下の詳細な説明、特許請求の範囲、及び添付の図面からさらに容易に明らかになるであろう。
【0056】
全体としての発明概念並びに実施形態及びそれらの利点は、図面を参照して例示的に以下により詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1】スパーキャップを形成するための従来のシステムの図である。
図2図1のシステムによって生成された織布ロールの図である。
図3】スパーキャップ製造時の図2のロールの使用を示す図である。
図4図1のシステムのような従来のシステム内の無駄な織物を示す一群のロールの図である。
図5】例示的な実施形態によるスパーキャップのような構造構成要素を形成するためのシステムの図である。
図6図5のシステムによって生成された繊維材料のロールの図である。
図7】スパーキャップ製造時の図6のロールの使用を示す図である。
図8】無駄のない織物を説明する例示的な実施形態による一群のロールの図である。
図9】例示的な実施形態によるスパーキャップのような構造構成要素を形成する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0058】
全体としての発明概念は、図示された多くの様々な形態での実施形態が可能であり、その特定の実施形態が本明細書に詳細に示されているが、本開示は、全体としての発明概念の原理の例証と考えるべきであることを理解されたい。従って、全体としての発明概念は、本明細書で示す特定の実施形態に限定されることが意図されていない。
【0059】
全体としての発明概念は、構造構成要素を製造するために繊維強化材料を用いるためのシステム及びその方法を包含する。
【0060】
例示的な実施形態による構造構成要素501(例えば、スパーキャップ503)を形成するためのシステム500は、図5~7を参照して以下に説明される。システム500では、機械502は、予め決められた幅wを有する織布504の形態で繊維強化材料を生成する。全体としての発明概念は、織布に限定されることなく、マット、ベール、及び同様のものなどの他の繊維強化材料を用いることができる。一部の実施形態において、繊維強化材料はノンクリンプ織物である。織物504は、繊維(例えば、ガラス及び/又は炭素繊維)を含み又はそうでない場合はこれらで強化される。一部の実施形態において、繊維は、実質的に織物504の長さに沿って(すなわち、矢印506に平行に)延びる。織物504が機械502を出て矢印506の方向に移動すると、織物504は、ロール区域508で巻き取られる。巻取機又は他の搬送手段は、織物504を機械502からロール区域508に引っ張る。
【0061】
また、システム500は、1又は2以上の印刷手段、例えば、インクジェットプリントヘッド520を含む。図5に示す実施形態において、システム500は、4つの別個のプリントヘッド520を含む。他の実施形態において、より多数の又はより少数のプリントヘッド520を用いることができる。プリントヘッド520は、織物504が機械502を出た後に織物504上に直接情報(例えば、テキスト及び/又はグラフ)を印刷することができる。一部の実施形態において、プリントヘッド520は、機械502と一体化することができる。コントローラ(図示せず)によって、オペレータは、何の情報を印刷すべきか、及びいつ情報を印刷すべきか(織物504上の場合)を定めることができる。一部の実施形態において、コントローラは、プリントヘッド520とインタフェース接続されて、織物504上の所望の場所においてプリントヘッド520に所望の情報を印刷させるようにプログラムされる、汎用コンピュータとすることができる。コンピュータとプリントヘッド520との間の通信は、有線接続(例えば、USBケーブル)又は無線接続を介して行うことができる。
【0062】
織物504上にあらゆるタイプの情報を印刷することができる。典型的には、情報は、織物504の下流側での処理/使用に有用である。例えば、図5に示す実施形態において、カットライン530と層番号532の2つのタイプの情報が織物504上に印刷される。この情報の有用性について以下に更に説明する。
【0063】
一部の実施形態において、システム500は、1又は2以上の切断手段、例えば、レーザカッター570を含むことができる。図5に示す実施形態において、システム500は、4つの別個のレーザカッター570を含む。他の実施形態において、より多数の又はより少数のレーザカッター570を用いることができる。レーザカッター570は、織物504が機械502を出た後、織物504に切断部580を作ることができる。一部の実施形態において、レーザカッター570は、機械502と一体化することができる。コントローラ(図示せず)によって、オペレータは、織物504に形成される切断部580に関する情報(例えば、場所、深さ、幅)を特定することができる。一部の実施形態において、コントローラは、レーザカッター570とインタフェース接続して、織物504上の所望の場所でレーザカッター570に切断部580を切断させるようにプログラムされた汎用コンピュータとするこことができる。コンピュータとレーザカッター570との間の通信は、有線接続(例えば、USBケーブル)又は無線接続を介して行うことができる。
【0064】
織物504にあらゆるタイプの切断部580を作ることができる。典型的には、切断部580は、織物504の下流側の処理/使用で有用である。例えば、図5に示す実施形態において、切断部580は、織物全体に完全に延びていない部分切断部である。その代わりに、部分切断部は、予め決められた幅及び深さを有する。切断部580の幅は、例えば、レーザを用いて複数の隣接する通路を作ることで変えることができる。切断部580の深さは、例えば、レーザに供給される出力及び/又はレーザが織物504に照射される速度を増加/低減させることによって変えることができる。切断部580は、連続的又は不連続的とすることができる(例えば、織物504にある種の穿孔を形成する)。
【0065】
切断部580は、構造構成要素501を形成するために織物504を使用するときに、織物504を個々の切断片(例えば、以下で説明する切断片531)に分離するのを容易にすることができる。詳細には、切断部580は、通常手動で作られる最終切断部を作ることをより容易にする。一部の実施形態において、切断部580は、カットライン530に重なる。一部の実施形態において、切断部580はカットライン530に取って代わり、部分切断部自体は、織物504上の最終切断部が作られる場所のインジケータとして機能する。
【0066】
ブレード又は他の切断手段は、ロール区域508の前で織物504にスリット510を形成する。このようにして、織物504の別個のロール514が形成される。一部の実施形態において、レーザカッター570を用いてスリット510を形成する。図5に示す実施形態において、3つのスリット510が作られて4つのロール514を形成し、各ロール514は、実質的にw/4の幅を有する。他の実施形態において、より多数の又はより少数の(1つずつを含む)ロール514は、システム500によって生成することができる。
【0067】
予め決められた量の織物504がロール区域508に巻き取られると、切断部516が、織物504の幅wを横切って形成され、これにより、機械502を出た織物504からロール514を切り離す。切断部516は典型的には、手動で形成される。機械502は、この切断作業時には停止又はそうでない場合は休止することができる。上記のカットライン530又はその変形形態を用いて、別個のロール514を形成するために織物504を切断すべき場所を明確かつ正確にマーク付けすることができる。一部の実施形態において、レーザカッター570を用いて織物504を切断して別個のロール514を形成することができる。
【0068】
その後、スリット510によって形成された4つの同一ロール514の各々は、図5に示すように別個のパレット120上に配置される。この工程は、各パレット120が所望の数のロール514で充填されるまで、後続のロール514のグループに対して繰り返される。一部の実施形態において、ロール514は、これらの下流側での使用を容易にするようにパレット120の上に搭載される。例えば、ロール514は、パレット120からアクセス又はそうでな場合は使用するのが最も容易なロール514が、構造構成要素501(例えば、スパーキャップ503)を構築するのに必要な第1のロール514になるように、パレット120上に順序付けすることができる。別の実施例として、ロール514は、ロール514がパレット120から降ろされる際に、ロール514がスパーキャップ503を形成するときにその使用を容易にする順序になるように、逆の順序でパレット120上に配置することができる。一部の実施形態において、スパーキャップ503を形成するのに必要なロール514は、単一パレット120に収まる。他の実施形態において、スパーキャップ503を形成するのに必要なロール514は、複数のパレット120に及ぶことができる。
【0069】
図6に例示的な実施形態によるパレット120が示されている。パレット120は、7個のロール514、すなわち、第1のロール514a、第2のロール514b、第3のロール514c、第4のロール514d、第5のロール514e、第6のロール514f、及び第7のロール514gを含む。パレット120が、より多数の又はより少数のロールを含み得ることを理解されたい。パレット120上の各ロール514には、その上に印刷された各ロール514を互いに識別するのに用いることができる識別情報を含む。詳細には、ロール514上には、スパーキャップ503を形成するためにロール514を用いる順序を示す情報を有する。一部の実施形態において、ロール514の外面上に見える少なくとも1つの層番号532は、ロール514に関する識別情報として用いることができる。
【0070】
各ロール514の織物504の量(すなわち、長さ)は、同時に生成されるロール514(すなわち、同時にスリット510によって形成された各グループの4つのロール514、例えば、ロール514a)に関しては実質的に同じであるが、後続のグループのロール514(例えば、ロール514b)は、多くの場合、異なる量の織物504を保持することになる。概して、ロール514上の全ての織物504は、スパーキャップ503を形成するのに用いられる少なくとも1つの層に関連付けられ、無駄な織物504は結果として生じない。
【0071】
カットライン530は、織物504を特定の切断片531、シート、又は同様のもの(スパーキャップ503を形成するのに使用される層)に切り離すために、切断部を各ロール514上に作るべき場所を描出する。従って、カットライン530は、隣接する切断片531の各対の間に位置する(1つの層の端部及び別の層の始めをマーク付けするように)。関連して、層番号532は、スパーキャップ503を形成するために、どの順序でこれらの切断片531を鋳型128に配置すべきかを示す。従って、層番号532は、各対のカットライン530の間の織物504上のどこかに位置する。一部の例示的な実施形態において、層番号532の複数の事例は、単一切断片531の上に提示することができる。例えば、層番号532は、1つの切断片531を定める、1つのカットライン530の後及び別のカットライン530の前に表示することができる。
【0072】
スパーキャップ503を形成するときに、ロール514の1又は2以上のパレット120(又は単にロール514自体)は、スパーキャップ503を形成するのに用いる鋳型128の近くに移動する。上述のように、スパーキャップ503は、ロール514からの織物504の多数の切断片531をハンドレイ法などで積層することによって形成される。鋳型内の切断片531の数及び配置は、スパーキャップ503の特性(例えば、形状、厚み)を定める。
【0073】
図7に示すように、織物504の第1のロール540は、パレット120から降ろされて鋳型128に配置される所望の長さの切断片に切断される。
【0074】
詳細には、第1の量の織物504は、矢印552の方向に広げられ、次に、破線1-1によって表す長さL1の第1の切断片554を形成するように切断される。織物504は、手動切断が比較的安価で容易に行えるので、一般的には手動で(例えば、剪断機を用いてオペレータによって)切断される。従来のシステム(例えば、システム100)では、この手動切断は、意図した場所から不均一になる及び/又は外れる(例えば、+/-1メートルだけ)可能性があった。しかしながら、システム500では、切断片531(例えば、第1の切断片554)を形成することが意図された各量の織物504は、少なくとも1つのカットライン530によって明確にマーク付けされる。このようにして、織物504のより正確な切断(従って、ユーザエラーによる無駄の低減)を行うことができる。さらに、従来のシステム(例えば、システム100)では、切断片531が不適切に、すなわち不正確な層位置で鋳型128の中に導入されたかどうか容易には分からない。しかしながら、システム500では、各切断片531(例えば、第1の切断片554)は、その上に印刷された切断片531に対して正しい層位置を指定する、1又は2以上の層番号532で明確にマーク付けされている。例えば、図7に示すように、第1の切断片554は、その上に印刷された「1」の層番号556を有し、これは第1の切断片554が鋳型128内で第1の層を形成することが意図されることを示す。
【0075】
次に、第2の量の織物504は、矢印552の方向に広げられ、次いで、破線2-2によって表す長さL2の第2の切断片558を形成するように切断される。第2の切断片558は、その上に印刷された「2」の層番号560を有し、これは、第2の切断片558が、鋳型128内で第2の層を形成することが意図されることを示す。線1-1及び2-2で示すように、第1の切断片554の長さL1は、第2の切断片558の長さL2よりも長い。一部の切断片531は同じ長さを有することができるが、切断片531の多くは異なる長さを有することになる。各連続切断片531は、前の切断片531上に位置決めされるか又はそうでない場合は重ね合わされる。一般的に、多数の切断片531(例えば、50又はそれ以上)を必要とする。この工程は、所望の厚み及び形状が鋳型128内で得られるまで繰り返される。最後に、樹脂は、上述の注入工程などによって鋳型の中に導入され、硬化してスパーキャップ503を形成する。
【0076】
スパーキャップ503を形成するために織物504の多数の切断片531が必要であり、複数のロール514を用いて、必要な量の織物504を供給する必要がある。従来のシステム(例えば、システム100)とは異なり、システム500では、ロール514の各々は、ロール514から得られる切断片531に対応する所定量の織物504を保持する。結果として、ロール514(例えば、ロール540)からの切断片531は、完全ではないにしても、ロール514上の織物504を実質的に排出する。その結果、システム500は、有意に無駄が低減された織物504を生成する。この改良は、図8に示す実施例800にさらに示されている。
【0077】
図8に示すように、15個のロール514(すなわち、ロールR1、514a~R15、514o)は、鋳型128によってスパーキャップ503を製造するのに必要な織物504の50個の切断片531(すなわち、CP1~CP50)を得るのに必要である。第1のロールR1、514aから、織物504の3つの切断片531-1(すなわち、CP1、CP2、及びCP3)が得られ、ロールR1上に有意な量の織物504を残さない。同様に、第2のロールR2、514bから、織物504の3つの第2の切断片531-2(すなわち、CP4、CP5、及びCP6)が、ロールR2上に何ら余分な織物504を残さずに得られる。第3のロールR3から、織物504の4つの第3の切断片531-3(すなわち、CP7、CP8、CP9及びCP10)が、ロールR3上に何ら余分な織物504を残さずに得られる。この工程は、最終ロールR15、514oまで繰り返され、織物504の3つの切断片531-15(すなわち、CP48、CP49、及びCP50)が、ロールR15上に何ら余分な織物504を残さずに得られる。従って、もしあれば、少しの無駄な織物504が、システム500によって生成されるロール514の使用から生じる。
【0078】
さらに、ロール514上の切断片531は、一般的に、上述したように織物504上に印刷されたカットライン530によって各端部上にマーク付けされる。例えば、図8に示すように、第1の切断片CP1は、第1のカットライン530aと第2のカットライン530bとの間に形成される。第2の切断片CP2は、第2のカットライン530bと第3のカットライン530cとの間に形成される。第3の切断片CP3は、第3のカットライン530cと第4のカットライン530dとの間に形成される。このようにして、個々の切断片531は、各ロール514から、例えば、カットライン530に沿って織物504の手動切断によって容易に切り離される。一部の実施形態において、各ロール514の開始部分570及び/又は終了部分572は、織物504の手動切断がこれらの箇所では不要なので、その上に印刷されたカットライン530でマーク付けしなくてもよい。
【0079】
また、ロール514上の切断片531の各々は、上述したように織物504上に印刷された少なくとも1つの層番号532でマーク付けされる。一部の例示的な実施形態において、同じ層番号532は、同じ切断片531上に複数回提示される。例えば、長い切断片531の場合には、切断片531の少なくとも各反対端上に層番号532を配置することが有利な場合がある。これらの層番号532は、切断片531がロール514から切り離された状態で、鋳型128内での切断片531の不正確な配置を阻止するのに役立つ。一部の実施形態において、層番号532によって、切断片531は、順序付けされない方式でロール514上に定めることができ、これは、異なるロール514のサイズ及び/又は重量の間の差異を低減するのに役立つことができる。
【0080】
上記に照らして、全体としての発明概念は、織物504の無駄な量のかなりの低減(例えば、4%~7%)を可能にし、これは、製造工程の簡素化(無駄な織物を収集して管理する必要がないので)及びそれに関連する費用(例えば、無駄な織物の処分費用)の低減などの利益を提供することができる。
【0081】
例示的な実施形態による構造構成要素501(例えば、スパーキャップ503)の製造に使用するための繊維強化材料を形成する方法900は、図9を参照して以下に説明される。繊維強化材料は、織物、マット、ベールなどの何らかの好適な形態を取ることができる。同様に、繊維強化材料は、ガラス繊維、炭素繊維などの何らかの好適なタイプの繊維材料で強化することができる。
【0082】
本方法900では、繊維強化材料(例えば、織物504)の複数のロール(例えば、ロール514)が生成される(ステップ902)。ロールは、繊維強化材料の少なくとも第1のロール及び第2のロールを含む。第1のロール上の繊維強化材料の量(すなわち、長さ)は、第2のロール上の繊維強化材料の量(すなわち、長さ)とは異なる。第1のロール及び第2のロールの各々の上の繊維強化材料は、例えばこれを切断することによって複数の別個の切断片(例えば、構造構成要素の層)に分解することが意図される。詳細には、各ロール上の繊維強化材料の量(すなわち、長さ)は、ロールから得られる切断片に必要な材料の量に対応する。その結果、ロールの各々は、ロール上の繊維強化材料の残りの量が殆どないか又は全くない繊維強化材料の予め決められた切断片を提供することができる。
【0083】
これらの切断片の形成を容易にするために、第1のロール上の繊維強化材料は、その上に印刷された、繊維強化材料を切断して切断片を形成すべき場所を正確に示すための少なくとも1つのカットライン(例えば、カットライン530)を有する(ステップ904)。同様に、第2のロール上の繊維強化材料は、同じ目的のためにその上に印刷された少なくとも1つのカットラインを有する(ステップ904)。典型的には、ロールの各々は、その上に保持された繊維強化材料上に印刷された複数のカットラインを含むことになる。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された3又は4以上のカットラインを含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された3又は4以上のカットラインを含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された4又は5以上のカットラインを含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された4又は5以上のカットラインを含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された5又は6以上のカットラインを含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された5又は6以上のカットラインを含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された2~12のカットラインを含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された2~12のカットラインを含む。
【0084】
ロールの繊維強化材料上に描出された別個の切断片に関して、繊維強化材料は、切断片の各々に対してその上に印刷された少なくとも1つの層番号(例えば、層番号532)をさらに有し、例えば鋳型128内で各切断片が互いに対して位置付けられて構造構成要素を構築するための順序を示すようになっている(ステップ906)。一般に、層番号は、ロール上の隣接するカットラインのそれぞれの対の間の所定の場所で繊維強化材料上に印刷される。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された複数の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された複数の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された3又は4以上の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された3又は4以上の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された4又は5以上の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された4又は5以上の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された5又は6以上の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された5又は6以上の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールのうちの少なくとも1つは、これらの繊維強化材料上に印刷された3~13の層番号を含む。一部の実施形態において、第1のロール及び第2のロールの両方は、これらの繊維強化材料上に印刷された3~13の層番号を含む。
【0085】
構造構成要素を形成するのに必要な切断片の数は比較的大きくなることがあるので(例えば、50又はそれ以上)、繊維強化材料の多数のロールを必要とする場合がある。その結果として、本方法900によれば、ロールは、随意的に貯蔵、輸送、及び使用を容易にするために一緒に包装することができる(ステップ908)。例えば、構造構成要素を形成するのに必要なロールは、1又は2以上のパレット(例えば、パレット120)上に包装することができる。一部の実施形態において、ロールは、例えば、顧客による下流側での使用を容易にする方式で包装されるか又はそうでない場合は配置される。一部の実施形態において、各ロール上の繊維強化材料は、その上に印刷された情報(例えば、層番号)を含み、この情報は、どの順序でロールを使用するかを識別するために用いることができる。
【0086】
本明細書で説明するシステム及び方法は、繊維強化材料のロールから構造構成要素を形成するための精密かつ正確な手法を提供し、廃棄物量の実質的な低減を達成することができる。
【0087】
全体としての発明概念の範囲は、本明細書で示しかつ説明した特定の例示的な実施形態に限定されることが意図されていないことを理解されたい。所与の開示から、当業者は、全体としての発明概念及びこれらの付随する利点を理解するだけでなく、開示された本方法及びシステムの明白な種々の変更例及び修正例を見出すことになる。従って、本明細書で説明しかつ請求項に記載したような全体としての発明概念の精神及び範囲内に含まれ全ての変更例及び修正例、及びこれらのあらゆる均等物をカバーすることが求められる。例えば、本明細書で示しかつ説明する例示的な実施形態は、多くの場合、スパーキャップの製造に言及するが、全体としての発明概念は、そのように限定されるものでなく、その代わりに、材料のロールから得られる繊維強化材料の別個の層から形成された(少なくとも部分的に)あらゆる構造構成要素の製造に適用可能である。
本発明のその他の実施態様を以下に記載する。
[実施態様1]
繊維強化材料504の第1のロール514aと前記繊維強化材料504の第2のロール514bとを含む前記繊維強化材料504の複数のロール514を備える、構造構成要素を製造するための繊維強化材料のシステムであって、
前記第1のロール514a上の前記繊維強化材料504は、その上に印刷された1又は2以上の第1のライン530を有し、前記第1のラインは、前記第1のロール上の前記繊維強化材料が、前記構造構成要素501を形成するために、複数の別個の第1の切断片531-1に切り離される場所を示し、
前記第2のロール514b上の前記繊維強化材料504は、その上に印刷された1又は2以上の第2のライン530を有し、前記第2のラインは、前記第2のロール上の前記繊維強化材料が、前記構造構成要素501を形成するために、複数の別個の第2の切断片531-2に切り離される場所を示し、
前記第1のロール514a上の前記繊維強化材料504の長さは、前記第2のロール514b上の前記繊維強化材料504の長さとは異なる、ことを特徴とするシステム。
[実施態様2]
前記第1のロール514a上の前記繊維強化材料504は、その中に1又は2以上の部分切断部580を有し、前記部分切断部580は、前記第1のロール上の前記繊維強化材料が、前記構造構成要素501を形成するために、前記複数の別個の第1の切断片531-1に切り離される場所に対応し、
前記第2のロール514b上の前記繊維強化材料504は、その中に1又は2以上の部分切断部580を有し、前記部分切断部580は、前記第2のロール上の前記繊維強化材料が、前記構造構成要素501を形成するために、前記複数の別個の第2の切断片531-2に切り離される場所に対応する、実施形態1に記載のシステム。
[実施態様3]
前記部分切断部580は、1又は2以上のレーザカッター570によって作られる、実施態様2に記載のシステム。
[実施態様4]
前記繊維強化材料の前記第1の切断片531-1の全長は、前記第1のロール514a上の前記繊維強化材料の長さの少なくとも95%であり、
前記繊維強化材料の前記第2の切断片531-2の全長は、前記第2のロール514b上の前記繊維強化材料の長さの少なくとも95%である、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様5]
前記繊維強化材料の前記第1の切断片531-1の全長は、前記第1のロール514a上の前記繊維強化材料の長さの少なくとも97%であり、
前記繊維強化材料の前記第2の切断片531-2の全長は、前記第2のロール514b上の前記繊維強化材料の長さの少なくとも97%である、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様6]
前記繊維強化材料の前記第1の切断片531-1の全長は、前記第1のロール514a上の前記繊維強化材料の長さの少なくとも99%であり、
前記繊維強化材料の前記第2の前記第2の切断片531-2の全長は、前記第2のロール514b上の前記繊維強化材料の長さの少なくとも99%である、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様7]
前記繊維強化材料の前記第1の切断片531-1の各々は、その上に印刷された層番号532を有し、
前記繊維強化材料の前記第2の切断片531-2の各々は、その上に印刷された層番号532を有し、
前記層番号532は、前記繊維強化材料の前記第1の切断片531-1及び前記繊維強化材料の前記第2の切断片531-2が、前記構造構成要素501を形成する際に、互いに対して位置付けられる順序を示す、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様8]
前記繊維強化材料はノンクリンプ織物である、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様9]
前記繊維強化材料は織布である、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様10]
前記繊維強化材料は複数のガラス繊維を含む、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様11]
前記繊維強化材料は複数の炭素繊維を含む、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様12]
前記繊維強化材料の前記複数のロール514は一緒に包装される、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様13]
前記繊維強化材料540の前記複数のロール514は、1又は2以上のパレット120上で一緒に包装される、実施態様1に記載のシステム。
[実施態様14]
前記構造構成要素はスパーキャップ503である、実施態様1に記載のシステム。
【符号の説明】
【0088】
106 矢印
120 パレット
502 機械
504 織物
508 ロール区域
510 スリット
514 ロール
516 切断部
520 プリントヘッド
530 カットライン
532 層番号
570 レーザカッター
580 切断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9