(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】血管閉塞診断方法、機器及びシステム
(51)【国際特許分類】
A61B 8/08 20060101AFI20220615BHJP
A61B 8/06 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
A61B8/08 ZDM
A61B8/06
(21)【出願番号】P 2019548952
(86)(22)【出願日】2018-03-06
(86)【国際出願番号】 GB2018050559
(87)【国際公開番号】W WO2018162888
(87)【国際公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-10-19
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519321096
【氏名又は名称】シンクソノ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100145241
【氏名又は名称】鈴木 康裕
(72)【発明者】
【氏名】ヌール、フォアド アル
(72)【発明者】
【氏名】ミスケウィッツ、スベン
(72)【発明者】
【氏名】マクロポロス、アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】タンノ、リュータロー
(72)【発明者】
【氏名】カインツ、バーンハード
(72)【発明者】
【氏名】オクタイ、オザン
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272025(JP,A)
【文献】特開2015-061591(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0249405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管が閉塞しているかどうかを
判定するための機器であって、
送信機および受信機を備える撮像装置との通信のためのインターフェースと、
ユーザインターフェースと、
以下のステップを実行するようにプログラムされるプロセッサと、を備え、
前記ステップは、
前記ユーザインターフェースを介して、前記撮像装置を患者の身体のどこに配置するかをユーザに
表示し、
放射線を送信するように前記撮像装置に指示し、
反射された放射線を前記撮像装置から受信し、
機械学習を使用して前記反射された
放射線を処理して、前記撮像装置が患者の血管に対して正しく配置されているかどうかを前記反射された放射線から判定し、
前記撮像装置が正しく配置されていない場合に
前記撮像装置が正しく配置されるまで
前記撮像装置を再配置するために前記ユーザインターフェースを介してユーザに
表示し、
前記撮像装置を使用して患者の血管に圧力を加えるようにユーザに前記ユーザインターフェースを介して表示し、
前記撮像装置に追加的な放射線を送信するように指示し、
追加的な反射された放射線を前記撮像装置から受信し、
血管が閉塞されているかどうかを少なくとも前記追加的な反射された放射線から判定する、
ことである機器。
【請求項2】
前記撮像装置から受信された前記反射された放射線および前記追加的な反射された放射線は、画像データを含む、請求項1に記載の機器。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記撮像装置に連続的に送信および受信するように命令するようにさらにプログラムされる、請求項1または2のいずれか1項に記載の機器。
【請求項4】
前記プロセッサは、少なくとも前記追加的な反射された放射線から、ユーザが患者の血管に所定の圧を加えているかどうかを判定し、もしそうでなければ、前記撮像装置を動かすようにユーザにさらに
表示するようにさらにプログラムされる、請求項1から3のいずれか1項に記載の機器。
【請求項5】
前記撮像装置は、超音波信号を送信するように構成される、請求項1~
4のいずれか1項に記載の機器。
【請求項6】
前記プロセッサは、1つ以上の機械学習および/または深層学習アルゴリズムを用いて血管が閉塞されているかどうかを判定するようにプログラムされている、請求項1から
5のいずれか1項に記載の機器。
【請求項7】
前記プロセッサは、超音波画像が前記ユーザインターフェースに直接提供されるエキスパートモードを提供するようにさらにプログラムされる、請求項1から
6のいずれか1項に記載の機器。
【請求項8】
撮像
装置と、前記撮像
装置と通信
しユーザインターフェースを備える計算装置とを使用して血管閉塞を
判定する方法であって、
撮像
装置を患者の身体のどこに配置すべきかをユーザに
前記ユーザインターフェースを介して表示し、
前記
撮像装置から放射線を送信し、
反射された放射線を
受信し、
機械学習を使用して前記反射された放射線を処理して、前記撮像
装置が患者の血管に対して正しく配置されているかどうかを
前記反射された放射線から判定し、
前記撮像
装置が正しく配置されていない場合、
前記撮像装置が正しく配置されるまで前記撮像
装置を再配置する
ためにユーザに
前記ユーザインターフェースを介して表示し、
前記
撮像装置を使用して患者の血管に圧力を加えるようにユーザに
前記ユーザインターフェースを介して表示し、
前記
撮像装置から追加的な放射線を送信し、
前記
撮像装置から追加的な反射された放射線を受信し、
血管が閉塞されているかどうかを少なくとも前記追加的な反射された放射線から判定する、
ことを含む方法。
【請求項9】
前記
撮像装置から送信される放射線は、超音波放射である請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
前記放射線は、
連続的に送信される、請求項
8または
9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記追加的な反射された放射線から、ユーザが患者の血管に正しい圧力を加えているかどうかを判定し、もしそうでなければ、血管が閉塞されているかどうかを判定する前に、前記圧力通知ステップを繰り返すステップをさらに含む、請求項
8から
10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記血管が閉塞しているかどうかを判定するステップは、1つ以上の機械学習および/または深層学習アルゴリズムを使用することによって行われる、請求項
8~
11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
機械学習を用いて目印検出および/または解剖学的基準面検出のステップをさらに含む、請求項8から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
血管が閉塞しているかどうかを判定することは、目印位置および/または解剖学的基準面位置での血管の圧迫に基づく、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
コンピュータにより実行されるとき、請求項8~14のいずれか1項に記載の方法をコンピュータに実行させる血管閉塞の判定のための、撮像装置およびユーザインターフェースを有するシステムのための処理ロジックによって実行される命令を備えるコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深部静脈血栓症(DVT)で起こるような血管閉塞を診断するための方法およびシステムに関する。より具体的には、本発明が深部静脈血栓症または関連する状態の診断を支援するために、ユーザが患者の標準化された反復可能な検査を実行することを可能にするセンサハードウェアと共に使用するためのソフトウェアツールに関する。本発明はさらに、診断を行うための機器および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、1000人中平均1人が深部静脈血栓症(以下、「DVT」と呼ぶ)および関連する状態に罹患する。イギリスでは、DVTまたは関連症状により毎年約10万人が入院し、診断されていないDVTまたは関連症状により2万人が死亡する。世界中で、約1,000万人の人々が、DVTまたは関連する状態に罹患している。
【0003】
患者は、一般開業医、看護師、事故および救急部門などの第一線医療専門家によるDVT特異的検査、または手術後などの他の医療の後に紹介される傾向がある。DVTから患者へのリスクが高い、すなわち、死亡の確率が高いと考えられるので、患者がDVTからのリスクにさらされている可能性があるか、またはDVTに感受性である可能性があるという疑いがある場合、最前線の医療専門家は、DVTの十分な症状が示されるDVT特異的検査のために患者を紹介する可能性が高い。さらに、DVTを有する患者の確率が手術後に実質的に増加するので、DVTのための最近の手術を受けた患者をモニターする必要がある。
【0004】
DVTを診断するために使用される日常的な方法は、血餅が線維素溶解によって分解される場合に生じる血液中の小さなタンパク質フラグメントの濃度を決定するためのD-ダイマー血液検査、および超音波スキャンの使用による。DVT症状を有する患者は通常病院の専門家によって行われる超音波検査のために送られ、病院は十分に高い精度で状態を確認することができる。ほとんどの場合、超音波スキャンを行う前にD-ダイマー血液検査を行う。
【0005】
しかし、確定診断を十分な信頼性で得るためには、超音波検査を実施する必要があり、DVT専門家が実施すべきである。この1つの理由は、D-ダイマー血液検査が肺塞栓症(以下、PEと呼ぶ)を高い確実性で除外することができることである。DVT患者の多くはDVT患者の主な死因であるPEを有するように進行するので、D-ダイマー検査はPEの危険性があるかどうかを検出するのに有用である。しかしながら、D-ダイマー検査はPEに対して高い感受性を有するが、どれくらいのリスクがあるかに関して低い特異性を有する-すなわち、検査が陰性結果を返すかのようにPEのリスクがないかどうかを決定的に示すことができるだけであり、PEを有する患者がPEを発症する確率は非常に低い。D-ダイマー検査が陽性結果を返す場合、患者はDVTまたは多くの他の状態を有し得る-検査は多くの異なる理由のために陽性結果を頻繁に返すことができ、したがって、患者は、陽性結果に続いてDVT専門家による超音波スキャンのためにほとんど常に送られる。
【0006】
DVTのための十分に信頼できる確定診断を得る唯一の経路として、DVT専門家による超音波スキャンのために紹介される患者の数およびその結果としての作業負荷は、病院内の専門家のDVT放射線科医の数に比べて非常に大きくなり得る。紹介された患者のうち、紹介された患者の多くは、D-ダイマー血液検査から陽性結果を得た多数の患者にもかかわらず、DVTの陰性診断をもたらす。したがって、この偽陽性率は専門スタッフおよび設備が多数の検査に使用される必要があるために、かなりのコストにつながり、偽陽性率が高いために非効率になる。例えば、2004年に英国では年間6億4000万ポンドがDVTとPEの組み合わせ(ともに静脈血栓塞栓症またはVTEと呼ばれる)に取り組むために費やされると推定されたが、米国では2011年に年間100億ドルの費用がかかると推定された。
【0007】
DVTの診断がDVT専門放射線科医によって行われる超音波スキャンによって確認された後、通常、患者が3ヶ月の間のどこかの期間の間、および残りの生涯の間、抗凝固薬(例えば、ヘパリンまたはワルファリン)を処方される。
【0008】
第一線の医療専門家にとって、症状が他のより重篤でない状態と重複するので、DVTをより正確に評価することは困難である。
【0009】
専門医DVT放射線科医は通常大きな管轄区域を提供するより大きな病院のみを本拠地としているので、患者にとってこれらの医者との予約に出席することは困難であり、その結果、ほとんどの患者がD-ダイマー検査の高い偽陽性率のためにDVTと診断されないため、確定的な診断を得るためにこれらの病院に予約するのに苦労している。時には、遠隔地にいる患者が必要な専門スタッフおよび/または設備にアクセスできないことがある。他の場合には患者が専門スタッフの数が限られていること、および/または設備の利用可能性が限られていることにより、病院で診察される前に著しい遅延を経験し、これは例えば、手術後の患者のようなモニタリングの問題につながる可能性がある。
【0010】
専門のDVT放射線科医のアポイントメントに出席できないか、または出席しない患者は通常予防的治療のために抗凝固剤を処方されるが、D-ダイマー検査のみに基づくDVT診断が正しいという確信は全くなく、したがって、このような処方は多くの場合不必要である。これは特に、病院の専門家、例えば、ナーシングホームの居住者とのアポイントメントに参加することができない第一線スタッフによって訪問される患者の場合であり、第一線スタッフは専門知識または設備を有していないので、DVTを診断することができず、したがって、予防的投薬のための処方箋を処方または手配することしかできない。いくつかの場合において、抗凝固剤の不適切な処方は特定の状態を有する患者、または他の未診断の状態(例えば、高齢(65歳を超える患者)、癌、腎不全、肝不全、併存症、および機能的能力の低下)を有する患者について、出血のリスクを増加させ得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
比較的安価な超音波機械、通常手持ち式の超音波機械が、より最近になって利用可能になった。これらのより安価および/またはより小型の超音波機械はDVTおよび関連する状態を診断するために使用され得るが、専門家によって使用される場合、および/または専門放射線医が超音波画像を適切に解釈する場合にのみ使用され得る。
【0012】
本発明は超音波検査を実行するために超音波設備を使用する非専門家を支援するために、および/または特にDVTのための超音波検査を実行することおよび/またはDVT(または関連する状態)を診断することに関して、実質的に高いレベルの精度で患者を診断する(または診断しない)ために非専門家を支援するために、これらのより最近利用可能な安価および/またはより小さい超音波機械を含むが、これらに限定されない超音波設備と共に使用され得る方法およびシステムに関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、血管が閉塞しているかどうかを診断するための機器が提供され、送信機および受信機を備える撮像装置と通信するためのインターフェースと、ユーザインターフェースと、以下のステップを実行するようにプログラムされたプロセッサとを備え、ステップは、ユーザインターフェースを介して、撮像装置を患者の身体のどこに配置するかをユーザに通知し、プローブから放射線を送信するように撮像装置に指示し、撮像装置から反射放射線を受信し、学習されたアルゴリズムを使用して反射情報を完全に自動的に解釈し、撮像装置が患者の血管に対して正しく配置されているかどうかを反射放射線から判定し、撮像装置が正しく配置されていない場合、撮像装置を再配置し、撮像装置が正しく配置されるまで命令、受信および判定ステップを繰り返すことをユーザに通知し、撮像装置を使用して患者の血管に圧力を加えるようにユーザに通知し、追加的な放射線を送信するように撮像装置に指示し、追加的な反射放射線を撮像装置から受信し、少なくとも追加的な反射放射線から血管が閉塞されているかどうかを判定する。このシステムは、新たな画像の再訓練および/または再ラベル付けによって、他のリアルタイム撮像装置と協働するように構成されてもよい。それはまた、他の非リアルタイム方法、例えばCTおよびMRIと協働することができる。例えば、圧力カフを用いて、圧迫されていない状態でスキャンし、圧迫下でスキャンし、差を評価する。この問題はより単純であり、セットアップはより高価であるが、同じパイプライン構成が依然として機能する可能性がある。CTおよびMRIスキャンに関連して、熟練した医療専門家がスキャンを行っていることが依然として必要とされ得る。学習されたアルゴリズムは、機械学習の1つまたは複数の要素を含むことができ、および/または機械学習を使用して開発されている。
【0014】
任意選択で、撮像装置から受け取った反射放射線および追加的な反射放射線は、画像データを含む。
【0015】
画像データは、従来、多くの医療装置からの出力として使用され、患者に関する有用な情報を提供することができる。
【0016】
任意選択で、プロセッサは、撮像装置に連続的に送信および受信するように命令するようにさらにプログラムされる。任意選択で、プロセッサはさらに、少なくとも追加的な反射放射線から、ユーザが所定の圧力を患者の血管に加えているかどうかを判定し、そうでない場合には、それに応じて圧力を調整するように撮像装置を動かすようにユーザにさらに通知するようにプログラムされる。
【0017】
機器のユーザが患者に関する一定の情報、および機器が有効に使用されているかどうかを受信することができることは、有利であり得る。これにより、ユーザは必要に応じて調整を行うことができるとともに、明確な情報を提供することができる。
【0018】
任意選択的に、機器は撮像装置を含む。任意選択で、撮像装置は、超音波信号を送信するように構成される。
【0019】
このような撮像装置は安価に製造することができ、多くの病院および関連する診療所で容易に入手可能である。
【0020】
任意選択で、プロセッサは、機械学習および/または深層学習アルゴリズムのうちの1つまたは複数を使用して、血管が閉塞されているかどうかを判定するようにプログラムされる。
【0021】
深層学習は、機械学習のより広い用語の範囲内で特定の技法と呼ばれることがあり、教師あり、半教師あり、教師なしでもよい。深層学習アーキテクチャは、医用画像解析を含む広範囲の分野に適用することができ、一般に、特徴および/または表現を通して学習し、正確かつ効率的な方法で生データから関連情報を検出することを可能にする。
【0022】
任意選択で、プロセッサは、超音波画像がユーザインターフェースに直接提供されるエキスパートモードを提供するようにさらにプログラムされる。そのようなモードは、その使用に関する機器からのフィードバックを必要としない熟練した開業医にとって有用であり得る。
【0023】
本発明のさらなる態様によれば、血管閉塞を診断するための、撮像プローブとユーザインターフェースを有する装置のための処理ロジックによって実行される命令を含むコンピュータ可読媒体が提供され、命令は以下のステップを含む。ユーザインターフェースを介して、撮像プローブを患者の身体上のどこに配置するかをユーザに通知し、プローブから放射線を送信するようにプローブに指示し、プローブから反射放射線を受信し、プローブが患者の血管に対して正しく配置されているかどうかを判定し、撮像プローブが正しく配置されていない場合、撮像プローブを再配置し、プローブが正しく配置されるまで命令、受信および判定ステップを繰り返すことをユーザに通知し、プローブを使用して患者の血管に圧力を加えるようにユーザに通知し、プローブに追加的な放射線を送信するように指示し、プローブから追加的な反射放射線を受信し、血管が閉塞されているかどうかを少なくとも追加的な反射された放射線から判定する。
【0024】
本発明のさらなる態様によれば、撮像プローブおよびユーザインターフェースを含み撮像プローブと通信する計算装置を使用して血管閉塞を診断する方法が提供され、この方法は、ユーザに撮像プローブを患者の身体のどこに配置すべきかを通知するステップと、プローブから放射線を送信するステップと、プローブで反射放射線を受信するステップと、撮像プローブが患者の血管に対して正しく配置されているかどうかを判定するステップと、撮像プローブが正しく配置されていない場合には撮像プローブを再配置し、プローブが正しく配置されるまで送信および判定ステップを繰り返すようにユーザに通知するステップと、プローブを使用して患者の血管に圧力を加えるようにユーザに通知するステップと、プローブから追加的な放射線を送信するステップと、プローブで追加的な反射放射線を受信するステップと、プローブで追加的な反射放射線を受信するステップと、血管が閉塞されているかどうかを少なくとも反射された追加的な放射線から判定するステップとを含む。
【0025】
任意選択的に、プローブから送信される放射線は、超音波放射である。任意選択的に、放射線は、診断全体を通して連続的に伝達される。任意選択で、血管閉塞を診断する方法は、反射された追加的な放射線から、ユーザが患者の血管に正しい圧力を加えているかどうかを判定するステップと、正しくない場合には、血管が閉塞されているかどうかを判定する前に圧力通知ステップを繰り返すステップとを含む。
【0026】
送信される放射線は、音波を利用する音響放射、特に超音波の形態であってもよい。これらの波は分析される媒体を通って進行する圧力波の形態であり、この実施形態では電磁波ではない。用語「エネルギー」は、プローブからの送信に関して放射線と交換可能に使用されてもよい。血管が閉塞しているかどうかを判定するステップは、機械学習および/または深層学習アルゴリズムのうちの1つまたは複数によって行われる。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、血管閉塞を診断するための機器を使用して血管閉塞を診断する方法が提供され、この方法は、診断のために患者を準備するステップと、診断のためのプローブを準備するステップと、機器によって指示された位置で患者上にプローブを配置するステップと、機器によって指示されたように患者上でプローブを移動させるステップと、機器によって指示されたように患者の血管を圧迫するステップと、血管閉塞が疑われるかどうかに関する指示を機器から取得するステップとを含む。
【0028】
必要に応じて、血流速度および血流の方向を判定するために、ドップラー画像化が、上記の局面とともに使用され得る。Bモード画像技術とドップラー技術との組み合わせを使用することにより、説明されるいくつかのまたはすべての態様の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
実施形態は、単なる例として、同様の参照番号を有する添付の図面を参照して、ここで説明される。
【
図1】
図1は、計算装置に結合された超音波プローブを示す。
【
図2】
図2は、サーバ・マルチ・クライアント・モードにおけるシステムの使用の概略図を示す。
【
図4】
図4は、例示的なハイレベルソフトウェアレイヤーアーキテクチャの概要を示す。
【
図5】
図5は、リアルタイム性能を保証するための多段バッファシステムの詳細な概要を示す。
【
図6】
図6は、最大移動外周によって囲まれた抽象的な血管表現を示す。
【
図7】
図7は、一実施形態による、ユーザによって実行されるステップのセットを示す。
【
図8】
図8は、DVT検査のための典型的なワークフローを示す。
【
図9】
図9は、患者検査中に行われるUI画像の一連の例を示す。
【
図10】
図10は、患者検査中に行われるUI画像の一連の例を示す。
【
図11】
図11は、患者検査中に行われるUI画像の一連の例を示す。
【
図12】
図12は、患者検査中に行われるUI画像の一連の例を示す。
【
図13】
図13は、患者検査中に行われるUI画像の一連の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施形態は主に2つの部分、すなわち、例えば
図1に示される、超音波プローブ100と、ユーザインターフェースを有する計算装置101とを備える。
【0031】
超音波プローブ100は従来の方法で動作し、すなわち、超音波放射を送信し、患者の組織によって反射された超音波放射を受信する。多くの超音波プローブは適切なフォームファクタ(すなわち、患者の身体に対して正確に配置されるのに十分に小さい)を有し、十分な電力および感度を有する(すなわち、患者の組織内に十分に深く超音波を送信し、反射された超音波放射を検出することができる)という条件で、本発明の実施形態と共に使用するのに適している。適切な超音波プローブ100は、スマートフォンまたはタブレット(図示せず)などの計算装置に接続するためのUSBインターフェースを都合よく含むPhilips Lumify(商標)ポータブル超音波プローブである。Clarius(商標)プローブを使用し、WiFiなどのインターネット接続を介して計算装置に接続することもできる。他の計算装置101もまた、本発明を実施するのに適しており、プローブおよび計算装置は有線接続を介する以外で(例えば、無線で)通信することができ、または単一のユニットに組み合わせることさえできることに留意されたい。
【0032】
機械学習アルゴリズムおよびモデルは単一の(例えば、モバイル)計算装置上で、またはサーバ-クライアントモードで実行することができる。後者は
図2に示されている。サーバ-クライアントモードでは、画像の一定のストリームがサーバとして動作する計算装置にストリーミングされる。サーバは画像を処理し、関連する血管が見えるかどうか、目印が見つかったかどうか、および/または血管がリアルタイムで圧迫可能であるかどうかを評価する。この情報は、例えばWiFiを介してサーバへのプライベートデータ接続を確立した軽量クライアント計算装置、例えばタブレットコンピュータまたは携帯電話に転送される。データは、軽量の、例えばブラウザベースのユーザインターフェース201、202で表示されてもよい。ユーザは例えば、訓練または監視の目的で、2つ以上のユーザインターフェース装置を接続することができる。そのような実施形態では、1人または複数の観察ユーザ202がメインユーザ201から自分のディスプレイを取得することができる。
【0033】
機械学習は、機械学習プロセスがそれらのタスクの計算実行中に獲得する経験またはデータから生成されたフィードバックを使用して、1つまたは複数のコンピュータがタスクのクラスを実行することを学習する研究分野である。
【0034】
特別な規則、技法、および/またはアプローチを有する強化学習および半教師あり学習などの特定のアプローチがあるが、通常、機械学習は、監視および非監視アプローチとして広く分類することができる。教師あり機械学習は、オペレータまたはプログラマによって予め決定されたように、通常、入力を含むデータセットがラベル付けされる場合に、例示的な入力と所望の出力との間をマッピングするための1つまたは複数の規則または機能を学習するコンピュータに関連している。
【0035】
教師なし学習は、例えばパターン認識を実行するときに、入力データの構造を決定することに関連し、通常、ラベルなしデータセットを使用する。強化学習は、1つまたは複数のコンピュータが例えばゲームをプレイしたり車両を運転したりするときに、動的環境と作用しあうことを可能にすることに関連する。
【0036】
訓練データセットが部分的にしかラベル付けされていない「半教師あり」機械学習など、これらのカテゴリの様々なハイブリッドが可能である。教師なし機械学習の場合、例えば、画像処理またはビデオ強調へのコンピュータ映像技法の適用など、様々な可能な用途がある。教師なし機械学習は、通常未知のデータ構造がデータ内に存在する可能性がある問題を解決するために適用される。データはラベル付けされていないので、機械学習プロセスは、例えば内部で導出された情報に基づいてクラスタリングメトリックを導出することによって、データ間の暗黙の関係を識別するように動作する必要がある。例えば、教師なし学習技法を使用して、データセットの次元を低減し、データセット内のクラスタ間の関係を識別しモデル化しようと試みることができ、例えば、クラスタメンバシップの尺度を生成し、またはクラスタ内またはクラスタ間のハブまたはノードを識別することができる(例えば、高次元データセットに適用することができる重み付き相関ネットワーク分析と呼ばれる技法を使用するか、または各データ間のユークリッド距離の尺度によってデータをクラスタリングするためにk平均クラスタリングを使用する)。
【0037】
半教師あり学習は、通常部分的にラベル付けされたデータセットが存在する場合、例えばデータのサブセットのみがラベル付けされる場合の問題を解決するために適用される。半教師あり機械学習は、外部から提供されるラベルおよび目的関数、ならびに任意の暗黙のデータ関係を利用する。機械学習システムを最初に構成するとき、特に教師あり機械学習アプローチを使用するとき、機械学習アルゴリズムは何らかのトレーニングデータまたはトレーニング例の集合を備えることができ、各例は、通常入力信号/ベクトルと所望の出力値、ラベル(または分類)または信号とのペアである。機械学習アルゴリズムは、トレーニングデータを分析し、見えない入力ベクトル/信号のための所望の出力値または信号を生成するために、見えないデータセットと共に使用され得る一般化された関数を生成する。ユーザは、どのタイプのデータをトレーニングデータとして使用するかを決定し、代表的な実世界データセットを準備する必要がある。しかしながら、ユーザはトレーニングデータがあまりに多くの特徴を提供することなく所望の出力値を正確に予測するのに十分な情報を含むことを確実にするように注意しなければならない(これはトレーニング中に機械学習プロセスによって考慮される次元が多すぎることになり、また、機械学習プロセスがすべてのまたは特定の例について良好な解に収束しないことを意味し得る)。また、ユーザは学習された関数または一般化された関数の所望の構造、例えば、サポートベクトルマシンを使用するか、決定木を使用するかを決定しなければならない。
【0038】
ラベル付けされたデータが容易に利用できない場合、またはシステムが、いくつかの初期シードラベルを与えられた未知のデータから新しいラベル付けされたデータを生成する場合、教師なしまたは半教師あり機械学習アプローチの使用が時々使用される。
【0039】
機械学習は、非線形階層アルゴリズム、ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、回帰型ニューラルネットワーク、長短期メモリネットワーク、多次元畳み込みネットワーク、メモリネットワーク、またはゲート付回帰型ネットワークのうちの1つまたは複数を使用して実行することができ、視覚データの予測ブロックを生成するときに柔軟なアプローチを可能にする。長短期メモリネットワーク(LSTM)、メモリネットワーク、またはゲート付回帰型ネットワークなどのメモリユニットを有するアルゴリズムを使用することにより、予測ブロックの状態を、同じ元の入力フレーム上で実行される動き補償プロセスから維持することができる。このアルゴリズムが動きの変化のある種の状態または記憶を維持するので、これらのネットワークの使用は計算効率を改善することができ、また、いくつかのフレームにわたる動き補償プロセスにおける時間的一貫性を改善することができる。これは、付加的に誤り率の減少をもたらすことができる。
【0040】
図3は、画像取得システム/装置305、任意選択でプローブ、および計算装置101のハイレベルブロック図を示す。画像取得装置305は、超音波放射を送受信することができる送信機(TX)および受信機(RX)300と、処理ユニットおよびメモリを備えるプロセッサ301とを備え、任意選択で、処理ユニットは中央処理ユニット(CPU)であり、任意選択で、メモリはランダムアクセスメモリ(RAM)であり、任意選択で、プロセッサ301はハードディスクドライブ(HDD)および/またはグラフィックス処理ユニット(GPU)を備える。画像取得システム/装置の構成要素は、データバス304を介して通信することができる。任意選択で、画像取得システム/装置は、ディスプレイおよびユーザインターフェースコンポーネント303も備える。画像取得システム/装置305は、計算装置内のソフトウェアの制御下で動作して、超音波放射を患者に送信し、反射信号を入力装置および出力装置302(タッチスクリーンなど)を介して計算装置101に戻す。計算装置101への反射信号は、任意選択で、入出力デバイス302を備えるユーザインターフェース303を介してもよい。計算装置101内には、インターフェース310、プロセッサおよびメモリ311、ならびに入力デバイスおよび出力デバイス310(タッチスクリーンなど)を備えるユーザインターフェースがある。計算装置のコンポーネントは、データバス313を介して通信することができる。画像取得システム/装置305および計算装置101は、例えば、USB接続、他の有線接続、Bluetooth、および/または他の有線または無線接続を介することができるそれぞれの入力/出力ハードウェア312、302を介して通信する。
【0041】
上記を容易にするために、以下ではそれぞれ取得されたフレームが処理されることを確実にするためのアプローチを概説し、超音波プローブ100と計算装置101との間のロバストな入力/出力(I/O)通信は、マルチバッファ非同期通信システムを介して保証され得る。予測装置ソフトウェアレイヤのアーキテクチャ400は
図4に概説されている。これは、リアルタイム実行フレームが先入れ先出し(FIFO)方式で処理されることを保証する。予期しない状況(例えば、オペレーティング・システムが引き起こした)のために、処理能力の低下が生じた場合、提案されたアプローチはリアルタイム実行を維持し、ユーザに命令するためにフレームをドロップする。
【0042】
診断およびガイダンスの複雑さを解消するために、ソフトウェアは
図4に示されるようなレイヤで設計される。これらのレイヤは、予測レイヤ401、決定レイヤ402、およびフロントエンドドレイヤ403を含む。各レイヤは、TCP/IPスタックと同様に、その隣接するレイヤとのみ通信する。画像取得、画像分析、診断決定、並びにGUI及びユーザ命令の異なるタスクは、異なるレイヤにおいて互いに切り離される。予測レイヤ、決定レイヤ、およびフロントエンドレイヤの目的は、
図5に概説されている。
【0043】
システムのソフトウェア部分は、入力超音波画像ストリームのリアルタイム分析を提供することを目的とするマルチスレッドアプリケーションである。各レイヤは、コンポーネント、バッファ、アイテム、およびイベントループから構成される。各コンポーネントはそれ自体でスレッドであり、入ってくる画像またはイベントのための処理ユニットを表す。バッファは、コンポーネント間で処理されたデータを共有するためのスレッドセーフワーカキューである。バッファ内の共用データは、キューアイテムにラップされる。イベントループは、コンポーネント間で非同期に通信するために使用される。
【0044】
図5に開示されるシステムは、3つの主要部分に分割される。
(1) 予測レイヤ401は、最も低いレベルのレイヤである。このレイヤは、例えば、ハンドヘルド超音波プローブ例えばClarius(商標)からプッシュされた画像ストリームから画像を取得し、予測モジュールにおいてDVT関連機械学習モデルを用いて画像コンテンツを解析する。これらのモデルは、非同期的に予測を実行する開/閉状態検出(「OC」)および/または平面検出(「PD」)モデルを含むことができる。血管の状態検出は、圧力が加えられた後に行ってもよい。PDモデルは、代替的に又は追加的に、目印検出および/または解剖学的基準面検出を含むことができる。フロントエンドフレームは、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)にプルされる前に、フロントエンドフレームキュー501にキューイングされる。他のフレームは、予測モジュールにプルされる前にフレームキュー502にキューイングされてもよい。画像は、プローブから安定したFPSで一貫して読み取られる。画像がプローブから予測レイヤに転送されると、画像は、適切な機械学習モデルを通してリアルタイムで実行される。予測出力および元の入力画像は、予測フレーム待ち行列503の形で次のレイヤに提供される。予測フレーム待ち行列503は、予測モジュールからプッシュされ、意思決定モジュールにプルされる。
(2) 決定レイヤ402は、意思決定モジュール内の提示されたシステムの診断決定論理を提供する。それは、画像ストリームの分析された出力を取得する。そのレイヤは、現在のシーケンスがDVT診断検査に臨床的に関連するかどうかを検証する。それは、現在のシーケンスに血餅が存在するかどうかを決定する。画像の現在のシーケンスが、不完全に実行された検査を表す場合、検査を繰り返さなければならないと決定する。これらの全ての決定は有効な検査を実行するためにオペレータに与えられる指示をカプセル化し、正しく実行された場合には診断の最終状態をカプセル化する。これらの決定は、状態機械としてモデル化される。決定がなされるたびに、フロントエンドレイヤは、ディスパッチャモジュール504を介して送信される1つ以上のメッセージを通して告知される。フロントエンドおよび/またはGUI自体は、メッセージを検出するように動作可能である。
(3) フロントエンドレイヤ403は最上レイヤである。これは、グラフィカルユーザインターフェースを含む。GUIは、決定及び決定レイヤの入力を視覚化する。それは、新しい決定がなされるたびに、それに応じて反応する。このレイヤは、オペレータ構成入力、例えば、どの脚が検査されるかを受け取る。これらの構成は、決定および予測レイヤに伝播されて戻される。
【0045】
計算装置101は、超音波デバイス100を駆動するための適切な命令を提供し、ユーザ(通常、超音波撮像専門家または放射線科医ではない)に、プローブ100を患者に配置する方法を指示し、反射信号を解釈するように構成される。プローブ100が正しく配置されていることを保証し、患者が血餅、例えばDVTの危険にさらされているかどうかを判定するために信号を解釈することは、以下の部分を含むことができる。
(1) プローブから転送された画像の一定の流れは、指定されたスキャン領域内に正しい血管を含む画像か含まない画像かに自動的かつリアルタイムで分類される。これは、多数(通常100以上)の正しく取得されたDVT検査について訓練された機械学習技術(畳み込みニューラルネットワーク)を使用して達成される。ユーザは、血管が識別されない場合、関連する血管がプローブの視野の中心になるまで、規定された関心領域内でプローブを動かすように指示される。システムは、現在取得されている画像が所望の血管を含むとすぐにユーザにフィードバックを提供し、この位置を維持するようにユーザに指示する。画像ストリームは、正しい血管の画像が取得された場合、またはユーザが所望の撮像領域から外れた場合、(2)を通して常に監視される。
(2) 正しい血管の上にあることは、1自由度までのガイダンスを単純化する。正しい血管が識別された場合、システムは、予め定義された数の目印の最初が識別されるまで、この血管に沿って、すなわち「上」または「下」(例えば、鼠径部領域検査の場合、生殖器領域または膝に向かって)に移動するようにユーザに指示する。目印の識別は、機械学習(畳み込みニューラルネットワーク)に基づいており、以前のDVT検査で訓練されている。開始目印が見つかるとすぐに、システムはユーザに告知し、(3)を評価しながら圧力を加えるように指示する。(3)が成功した場合、システムは、次の目印が自動的に識別されるまで、血管に沿って「下」(例えば、鼠径部測定の場合には膝に向かって)に移動するようにユーザに指示する。(3)は、事前定義された目印の番号(2-8)のそれぞれで評価される。
(3) (1)および(2)が満たされる場合、すなわち、システムが、関連する血管が検査される(1)こと、およびプローブ位置が標準DVT検査プロトコル目印に対応していることを確実にする場合、ユーザは、プローブを用いて圧力を加えるように指示される。得られた画像ストリームは、DVT検査からのデータについて訓練された機械学習モデル(畳み込みニューラルネットワーク)を用いて自動的に評価される。システムがロバストに、すなわち、定義された数を超えるフレームについて、血管を圧迫されたものとして識別する場合、正のフィードバックがユーザに与えられ、すべての目印が圧迫可能な血管として識別されるまで、次の目印にさらに「下」に移動するように指示される。目印の1つが圧迫可能であると識別されない場合、患者は専門家によるさらなる検査に紹介される。
【0046】
ガイダンスは、提示されたアプローチのための外部追跡を必ずしも必要としない。ガイダンス情報は、画像情報のみおよび以前に訓練された機械学習検査モデルから自動的に導出される。プローブが関心領域から離れすぎて移動し、血管が画像ストリームに含まれていない場合、ユーザは(1)で開始し、検査プロトコルの開始目印に戻って処理するように指示される。この実施形態ではあらかじめ定義されたすべての目印がDVTの陰性診断をもたらすために(3)を満たさなければならず、すべての決定は時間的一貫性を提供するためにフィルタリングされる。これは、カルマンフィルタリングおよび長短期メモリユニットによって達成することができる。
【0047】
計算装置101のためのソフトウェアは、その装置上に事前にインストールされてもよく、リモートサーバから(アプリケーションストアなどから)ダウンロードされてもよく、または光ディスクなどのローカルストレージからロードされてもよい。
【0048】
以下の例は深部静脈血栓症(DVT)に言及するが、当業者は、この技術が腹部大動脈瘤の検出、頸動脈狭窄、腎結石、胆石、精巣捻転、アテローム性動脈硬化症の他の形態、および/または瘻孔の評価などの腎臓学の分野内の他の適用など、他の医学的画像化タスクおよび/または血管関連評価に適用され得ることを理解するであろう。
【0049】
いくつかの実施形態では、計算装置101は、ソフトウェアの制御下で、超音波プローブ100を適切に制御するためのハードウェアコントローラを提供しなければならない。他の実施形態では、計算装置101は、単にプローブ100と相互に作用し、デバイス101の使用によって必要とされる方法でプローブ100を動作させる。このシステムは、いくつかのプローブおよび関心領域のための予め定義された最適な設定を提供し得る。任意選択で、超音波プローブ固有の設定が自動的に提供されて、指示された検査プロトコルのために使用される超音波プローブを調整する。
【0050】
さらに、超音波プローブ100は、通常、深度、ゲイン(gain)、焦点、およびズームを制御するために使用されるインターフェースを提供する。これらの用語は、DVTを検出するための適切な設定と同様によく知られている。画像は、データがシステムに供給されると自動的に調整され得るが、代替的に、ユーザにこれを行わせることができる。超音波プローブ100のいくつかのモデルは、ある程度の自動構成が可能である。いくつかの実施形態では、計算装置101は、プローブ100から超音波信号/データを受信するためのインターフェースをさらに備える。
【0051】
計算装置101はさらに、超音波プローブによって生成された画像のコンピュータ映像および分析を提供しなければならない。
【0052】
計算装置が反射画像を受信すると、自動血管セグメント化の追加タスクが実行される。これは、いくつかの(通常100以上)DVT検査の画素ごとの専門家注釈に訓練された機械学習モデル(畳み込みニューラルUネット)を使用してリアルタイムで達成される。一実施形態では、セグメンテーションの結果がユーザインターフェースを介して、ハイレベル抽象化形式でユーザに提供される。この形態は、血管壁を表す変形可能な円であってもよく、現在検査されている目印における解剖学的状況に従って配置される。「生の」超音波画像の解釈は従来専門家を必要とし、したがって、ユーザは、関心のある静脈または静脈のみを示す単純化された表示を提供され、その結果ユーザのタスクが単純化される。現在の変形状態は、ユーザインターフェース内の提示された円の変形に変換される。視野は単純なボックスとして表され、ボックスに対する円の位置は超音波画像のフレームに対する血管の実際の位置を表す。これは、ユーザにフィードバックを提供して、血管を中心に保ち、血管を中心にするガイダンスに必要な視野外に血管を移動させないようにする。一例を
図3に示す。このような考えは
図9~
図13を参照して以下でさらに説明される。
【0053】
図6を参照すると、円600は抽象的な血管表現を表し、周囲のブラックボックス605は最大移動外周を表す。円600がブラックボックス605の外側にある場合、プロトコルをリセットすることができる。セグメント化された血管のシーケンスを見ると、システムは、静脈の3Dモデルをリアルタイムで再構成することができる。このモデルは、血管境界、開閉状態、DVT予測、圧力、角度、および身体部分情報と共に使用されて、ユーザのためのフィードバックループを生成することができる。したがって、新しい画像情報が利用可能になるたびに(通常、毎秒約20フレームで)、新しい情報がシステムに利用可能になり、検査中にユーザを安心させ、または修正する。
【0054】
上記のタスクは、機械学習および/または深層学習を含む学習されたアプローチを使用して、少なくともいくつかの実施形態で実行される。この実施形態では、1つ以上の深層学習アルゴリズムを利用して、深層学習アプローチが採用される。これらの深層学習タスクのそれぞれは、計算装置上でリアルタイムに実行される。深層学習は、人間の脳によって着想されるアルゴリズムに基づいて、ソフトウェアで実施されるニューラルネットワークを使用した機械学習のサブフィールドである。1つ以上のアルゴリズムはラベル付けされたデータセットに基づいて予測を行い、画像解析を実行する。使用されるアルゴリズムは、畳み込みニューラルネットワーク、スキップ接続を有するUネット、および/または長短期メモリ(LSTM)アルゴリズムを含むことができる。ロバストなセグメンテーションに基づいてヒューリスティックを用いて1つ以上の学習されたアプローチを決定するオプションも存在する。一実施形態では、画像からこの情報を直接導出するために深層学習ネットワークが使用されるが、良好なセグメンテーションを生成し、プログラムロジックを手動で実施するために、例えばセグメンテーションネットワーク(または任意の他のロバストなセグメンテーションアプローチ)を使用することも可能である(例えば、管腔ボクセルの数を、それらが特定の閾値未満になるまでカウントし、次いで、血管が圧迫可能になる)。
【0055】
これらの深層学習タスクの各々は、ラベル付けされたデータセットを必要とする。ラベル付けされたデータセットは、血管が明示的にマークされたDVT検査を示す超音波画像のセットである。これらのタスクのいくつかに対して同じ生の超音波画像を使用することが可能であるが、この実施形態では各タスクに対するラベルの固有のセットが提供される。データのラベル付けは、ラベルの正確さを検証するために医学的知識も必要とする時間のかかる問題である。結局、不正確なラベルは不正確な予測を引き起こす。学習されたモデルは一般的な方法で最も普及した重要な特徴を採用するので、不正確なラベルの特定のパーセンテージ(従来は1~10%)は深層学習方法に許容可能である。外れ値はこのようなアプローチにおいて重大な問題ではないが、専門家による手動データ浄化およびモデル検証によって軽減することができる。後者の場合、計算されたラベル、決定基準及びセグメンテーションと共に生の超音波画像を示すインターフェースが利用可能である。
【0056】
最後に、計算装置上で実行されるアルゴリズムは、ユーザに何をすべきかを指示するためのユーザインターフェースを提供する。適切なグラフィカルユーザインターフェースからの画像は
図9~
図13を参照して以下で説明され、当業者は適切なインターフェースをどのように実装するかを容易に知るのであろう。
【0057】
計算装置101上で実行されるアルゴリズムはさらに、以下の拡張を提供するように構成され得る。
【0058】
血管ガイダンス、目印検証、および圧迫状態識別のタスクのための機械学習アルゴリズムを個別に実行し、訓練すること、または単一のネットワークアーキテクチャにおいてすべてのタスクを組み合わせ、すべてのタスクを一度に訓練すること、いわゆるエンド・ツー・エンド訓練することが可能である。開示されるシステムは、両方のアプローチを可能にする。個々のモデルおよび組み合わされたモデルは、個々のタスクに対して同じ精度を達成する。しかしながら、組み合わせられたエンド・ツー・エンドの訓練された機械学習モデルは、個々のタスク処理よりも少ない潜在的パラメータおよび少ない計算リソースしか必要としない。エンド・ツー・エンドの機械学習方法は小さいサイズに圧迫することができ、その結果個々のモデルよりも著しく高速であり、必要なメモリが少なく、携帯計算装置上で毎秒少なくとも20フレームでリアルタイム処理するために計算的に軽量である。
【0059】
プローブ上に十分なゲルが存在するかどうかを判定する。超音波画像品質は超音波放射を患者の組織に/から結合するのに不十分なゲルが存在する場合に劣化するので、システムは好ましくは必要に応じて、プローブ(または患者)にゲルを再塗布するようにユーザに通知するように構成される。このアルゴリズムは、画像データが劣化しているので、プローブ上により多くのゲルが必要であることをユーザに警告することができる。
【0060】
患者に血餅が存在するかどうかを物理的に判定するために、系統的な方法での静脈の圧迫が必要とされる。相対圧力は、検査されている患者の静脈の各部分について物理的圧迫ステップを実行するようにユーザに指示するときに、画像シーケンスの変化から推定することができる。これは、圧迫段階の間に加えられる圧力が多すぎるか、または少なすぎること、例えば、患者を傷つけることが望ましくないことをユーザに示すのに有用である。静脈が圧迫されない場合、これは、圧力が少なすぎるまたはDVTがあることを意味し得る。静脈が圧迫されない場合、システムは試行を続けるように指示する。合理的な方法で押すにもかかわらず、圧迫が達成できない場合、オペレータはこの時点で停止し、専門家に紹介することを決定する。
【0061】
反射画像の性質から、アルゴリズムは、プローブが患者に適用された角度を判定することができる。通常ユーザが患者の皮膚に対して垂直にプローブを保持しなければならず、そうでない場合にはユーザがこれを矯正するようにアドバイスされてもよい。
【0062】
アルゴリズムは、身体部分への登録をさらに提供することができる。これが意味していることは、プローブの現位置(膝、大腿部等)を自動的に決定できることである。通常、これは放射線医が検査の開始時に使用する、いわゆる「目印」を識別することによって行われる。これらの目印には、DVTを有する患者の高い有病率が存在する。したがって、特定の検査の性質は、関連する結果と一緒に記憶することができる。これにより、例えば、身体検査中の任意の時点でのプローブの場所、または関心のあるデータポイントがプローブによって収集される時を、正確にソフトウェアに対して手動で識別しなければならないユーザは助けられる。
【0063】
ソフトウェアは実行される診断手順への導入をさらに提供されてもよく、これはユーザが患者に示すことができる短いビデオであってもよい。
【0064】
さらに、ユーザのための手続きの「ウォークスルー」が提供されてもよく、これもまた、ユーザが何をしようとしているかをユーザに教え、または思い出させるための短いビデオであってもよく、必要でない場合にはスキップされてもよい。
【0065】
次に、ソフトウェアによって指示され、ユーザによって実行される実際の処理について説明する。
【0066】
図7は、一実施形態による、ユーザによって実行されるステップのセットを示す。これらのステップは、ユーザが機器を効果的に操作することを可能にするために、ユーザに提供されてもよい。
【0067】
図8は、DVT検査のための典型的なワークフローを示す。患者が準備された後、システムは、プローブを規定された検査領域に配置するようにユーザに指示する。ユーザは、システムが関連する血管を自動的に検出するまで、領域を探査する。正しい血管が見えるならば、検査中の間ずっと評価される。血管が識別された場合、ユーザは、目印1に到達するまで血管に沿って移動するように指示される。フィードバックは
図6に示すものと同様のインターフェースを介して提供される。目印が自動的に識別される場合、ユーザは血管を圧迫するように指示される。この方法が目印位置で圧迫可能である血管を識別し、圧迫自体が有効に実行されたことを識別する場合、検査領域が終了し、すべての定義された目印が処理されるまで、次の目印に移動するようにユーザに指示する。血管が特定の目印で圧迫可能でない場合、および/または圧迫自体が有効に実行されなかった場合、ユーザは、既に5回このプロセスを試みたかどうかについて質問される。試行回数は変更可能であるが、本実施形態では5回に設定されている。これらの5回の試みの後、血管が依然として特定の目印で圧迫可能でない場合、および/または圧迫自体が有効に行われなかった場合、患者は専門家に紹介される。プローブが検査領域の外側に移動される場合、ユーザは、第1の目印でこの血管を再開するように指示される。全ての検査領域内の全ての目印が圧迫可能であると自動的に識別された場合、患者は臨床作業フローから解放される。
【0068】
図9は患者900の脚を示しており、この脚は、検査が従来行われている3つの主要な領域、鼠径部902、大腿部903、および膝904を含んでいる。
図10は、DVT検査1000および1001における関心のある静脈の簡略表示を示す。
【0069】
図11の特徴1100は、患者の右脚の鼠径部領域から始まる、患者の皮膚に垂直なプローブの配置を示す。次に、システムは、上述のように反射された超音波データを解釈して、
図11の特徴1101のように血管が見つかるまで、プローブの配置をユーザに指示する。これは、計算装置上のグラフィカルユーザインターフェースを介して都合よく行うことができる。システムは、正しい位置をユーザに通知することに加えて、プローブが垂直でないかどうかをユーザに告知することもできる。
【0070】
血管が見つかると、システムは、鼠径部の目印が見つかるまで、プローブの配置をユーザに指示する。鼠径部の血管の適切な3Dマップが生成されるまで、これを繰り返す。
図13は、2つのこのような血管の拡大された簡略化された表示を示す。
【0071】
ここで、システムはどの静脈をDVTについて検査するかを決定し、
図11の1102に示すように、血管を圧迫するようにユーザに指示し、関心のある静脈のみが示される、さらに簡略化された表示を示す。ユーザは、
図11の1102に示すように静脈を圧迫するように指示され、システムはその圧迫性を評価する。
【0072】
図11の特徴1103は、圧力を加えることよって首尾よく閉じられる静脈を示し、一方、
図11の特徴1104は、首尾よく閉じられず、DVTが疑われる静脈を示す。
【0073】
図11は、身体位置の表示がプローブのおおよその位置を示す身体の小型モデルを示す、ユーザに示される可能な表示を示す。3D表示は現在評価されている血管セグメントのより大きなモデルを示し、横断表示は、静脈の断面を示す。これらの表示の全ては、プローブが動かされるか、または血管が圧縮されると、リアルタイムで更新される。
【0074】
次に、システムは血管を解放するようにユーザに指示し、DVTの危険性があると判定された場合、ユーザに警告する。このシーケンスは、患者のさらなる静脈/領域および脚について繰り返される。システムは、血管が確実に圧迫可能で、すなわちDVTが全く存在しないことをユーザに伝えるように構成されてもよい。圧迫可能でない場合には、他の理由もあるかもしれず、専門の放射線科医への紹介が必要である。システムは、オペレータがあきらめるまで、現在の目印を圧迫するように指示し続ける。
【0075】
患者を準備する第1のステップは、
図12に示されている。この姿勢は、検査中に静脈を圧迫するために、良好な血流およびユーザへの良好なアクセスを可能にする。
【0076】
次に、ユーザは、先端をゲルで覆うことによってプローブを準備する。ゲルは超音波の良好な伝達を保証し、通常検査中に補充されなければならない。
【0077】
任意選択で、検査は、(鼠径部の)総大腿静脈、(膝の)膝窩、(大腿部の)浅大腿静脈、および(ふくらはぎの)伏在静脈の検査を含む。これらの静脈の全てが、両方の脚においてDVTのリスクについて陰性であると検査する場合、患者は開放されうる。陽性の検査がある場合は、専門医または他のさらなる治療によるさらなるスキャンのために患者を紹介すべきである。
【0078】
計算装置はタブレットまたはスマートフォンとして開示されているが、ラップトップ、PC、またはPDAなどのユーザインターフェースおよびプロセッサを有する他のデバイスも同様に使用することができる。
【0079】
本発明は、ハンドヘルドおよび/または安価な超音波装置に限定されない。本発明の原理は、本発明の機能性を、より大きな病院部門で一般的であるような独立型超音波撮像装置に追加することによって、同様に実施することができる。
【0080】
本発明の実施形態は、当業者が専門技術なしで使用することができる使いやすいデバイスを提供することに焦点を当てているが、計算装置のディスプレイが実際の超音波画像を表示するようにさらに構成することができる「エキスパートモード」をさらに提供することができる。この表示は、自動的に生成された注釈と、分類決定の背後にある推論に関する情報とを含むことができる。これは、ユーザが「生の」超音波画像を解釈する能力を有する、より経験豊富な同僚に相談する場合に有用であり得る。
【0081】
可視画面を含むユーザインターフェースが示されているが、他のユーザインターフェース、例えば、ユーザに口頭指示を出すオーディオインタフェースを代替的に又は追加的に使用することができる。