(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ガス検知器
(51)【国際特許分類】
G01N 27/12 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
G01N27/12 B
(21)【出願番号】P 2017175246
(22)【出願日】2017-09-12
【審査請求日】2020-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000190301
【氏名又は名称】新コスモス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩
(72)【発明者】
【氏名】中川 博司
【審査官】櫃本 研太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭64-026137(JP,A)
【文献】特開2016-024797(JP,A)
【文献】中国実用新案第202451312(CN,U)
【文献】特開2000-241382(JP,A)
【文献】特開昭61-172048(JP,A)
【文献】特開平10-010068(JP,A)
【文献】実開平07-029455(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケースの外側に突出するように配置され、所定の被検知ガスを検知するセンサと、
前記センサの外側に配置されて前記センサを保護するカバーと、
前記カバー内に配置されて、前記カバー内に被検知ガスが流入可能に構成されるフィルタと、を備え、
前記フィルタは、シート状の基材を加工することによって少なくとも前記センサの周りを囲むように構成され、
前記カバーは、先端および側面から前記被検知ガスが流入可能に構成される、ガス検知器。
【請求項2】
ケースと、
前記ケースの外側に突出するように配置され、所定の被検知ガスを検知するセンサと、
前記センサの外側に配置されて前記センサを保護するカバーと、
前記カバー内に配置されて、前記カバー内に被検知ガスが流入可能に構成されるフィルタと、を備え、
前記フィルタは、シート状の基材を加工することによって少なくとも前記センサの周りを囲むように構成され、
前記カバー内に配置され前記フィルタの形状を保持する保持部材をさらに備え、
外側から、前記カバー、前記フィルタ、前記保持部材、前記センサの順に配置される、ガス検知器。
【請求項3】
ケースと、
前記ケースの外側に突出するように配置され、所定の被検知ガスを検知するセンサと、
前記センサの外側に配置されて前記センサを保護するカバーと、
前記カバー内に配置されて、前記カバー内に被検知ガスが流入可能に構成されるフィルタと、を備え、
前記フィルタは、シート状の基材を加工することによって少なくとも前記センサの周りを囲むように構成され、
前記フィルタは、シート状の基材の一部分を重なるように折ることによって形成される折り部を備え、
前記カバーは、基端部と、先端部と、基端部と先端部とを連結するように構成されるリブと、を備え、
前記カバーと前記フィルタとは、前記カバーの外側からみて、前記カバーのリブと前記折り部とがそれぞれ重なる位置に配置される、ガス検知器。
【請求項4】
前記フィルタは、前記センサを覆うように構成される、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のガス検知器。
【請求項5】
前記フィルタの形状を保持する保持部材をさらに備え、
前記保持部材は、前記カバー内に配置され、基端部と、先端部と、基端部と先端部とを連結するように構成されるリブと、を備え、
前記保持部材と前記フィルタとは、前記カバーの外側からみて、前記保持部材のリブと前記フィルタの折り部とがそれぞれ重なる位置に配置される、
請求項3に記載のガス検知器。
【請求項6】
前記保持部材は、前記フィルタの折り部を配置する配置部を前記リブに備える、
請求項5に記載のガス検知器。
【請求項7】
前記センサは、前記センサの周方向から前記被検知ガスを取込み可能に構成される、
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のガス検知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検知器の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、周辺大気中における所定の被検知ガスを検知する機能を備え、作業者に装着されて携帯して持ち運び可能(ポータブル式)に構成されるガス検知器は、公知となっている(特許文献1参照)。
前記ガス検知器は、センサとカバーとフィルタとを備える。センサは、所定の被検知ガス(被検知ガスの濃度)を検知するガスセンサであり、例えば、メタンセンサ、酸素センサ、COセンサ、または、都市ガスセンサ等で構成される。カバーは、センサの外側に配置されてセンサを保護する。フィルタは、例えば、平面視円状でシート状のPTFE(Polytetrafluoroethylene)フィルタで構成され、カバー内に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記ガス検知器では、カバーの流入口(フィルタ)からセンサまでの距離が長く構成される場合(例えば、ケースの側面と面一となるようにセンサが配置され、カバーがドーム状に構成される場合)や、カバーの流入口が1つの面(側面等)だけに設置される場合には、カバー内に被検知ガスが流入し難いためセンサが検知動作を良好に行えない場合がある。
このため、前記ガス検知器においては、カバー内に流入した被検知ガスをセンサがより検知し易いように、センサをケースの外側に突出させる構成とすることが考えられる。また、センサがケースの外側に突出する構成では、焼結等することによってセンサの周りを囲むような立体形状にフィルタを構成することが考えられる。
しかし、焼結等によってフィルタがセンサを囲む形状に構成されるものでは、平面視円状でシート状に構成されるものに比べて、フィルタの製造が困難となり、また、フィルタが高価なものとなる、という問題があった。
【0005】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、センサを囲む構成のフィルタを簡易にまた安価に実現することができるガス検知器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0007】
即ち、本願に開示するガス検知装置においては、ケースと、前記ケースの外側に突出するように配置され、所定の被検知ガスを検知するセンサと、前記センサの外側に配置されて前記センサを保護するカバーと、前記カバー内に配置されて、前記カバー内に被検知ガスが流入可能に構成されるフィルタと、を備え、前記フィルタは、シート状の基材を加工することによって少なくとも前記センサの周りを囲むように構成され、前記カバーは、先端および側面から前記被検知ガスが流入可能に構成されるものである。
【0008】
本願に開示するガス検知装置においては、ケースと、前記ケースの外側に突出するように配置され、所定の被検知ガスを検知するセンサと、前記センサの外側に配置されて前記センサを保護するカバーと、前記カバー内に配置されて、前記カバー内に被検知ガスが流入可能に構成されるフィルタと、を備え、前記フィルタは、シート状の基材を加工することによって少なくとも前記センサの周りを囲むように構成され、前記カバー内に配置され前記フィルタの形状を保持する保持部材をさらに備え、外側から、前記カバー、前記フィルタ、前記保持部材、前記センサの順に配置されるものである。
【0009】
本願に開示するガス検知装置においては、ケースと、前記ケースの外側に突出するように配置され、所定の被検知ガスを検知するセンサと、前記センサの外側に配置されて前記センサを保護するカバーと、前記カバー内に配置されて、前記カバー内に被検知ガスが流入可能に構成されるフィルタと、を備え、前記フィルタは、シート状の基材を加工することによって少なくとも前記センサの周りを囲むように構成され、前記フィルタは、シート状の基材の一部分を重なるように折ることによって形成される折り部を備え、前記カバーは、基端部と、先端部と、基端部と先端部とを連結するように構成されるリブと、を備え、前記カバーと前記フィルタとは、前記カバーの外側からみて、前記カバーのリブと前記折り部とがそれぞれ重なる位置に配置されるものである。
【0010】
本願に開示するガス検知装置においては、前記フィルタは、前記センサを覆うように構成されるものである。
【0011】
本願に開示するガス検知器においては、前記フィルタの形状を保持する保持部材をさらに備え、前記保持部材は、前記カバー内に配置され、基端部と、先端部と、基端部と先端部とを連結するように構成されるリブと、を備え、前記保持部材と前記フィルタとは、前記カバーの外側からみて、前記保持部材のリブと前記フィルタの折り部とがそれぞれ重なる位置に配置されるものである。
【0012】
本願に開示するガス検知器においては、前記保持部材は、前記フィルタの折り部を配置する配置部を前記リブに備えるものである。
【0013】
本願に開示するガス検知器においては、前記センサは、前記センサの周方向から前記被検知ガスを取込み可能に構成されるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、センサによる被検知ガスを検知する動作をより安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るガス検知器の全体的な構成を示す斜視図。
【
図2】同じくガス検知器の検知部を分解した状態を示す斜視図。
【
図3】同じくガス検知器のカバーとフィルタと保持部材とを示す斜視図。
【
図6】同じくガス検知器のフィルタとフィルタを構成するための基材とを示す図。
【
図10】同じくガス検知器の保持部材を示す背面図。
【
図13】同じくガス検知器のフィルタを示す背面図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
次に、
図1から
図13に記載のガス検知器1について説明する。
ガス検知器1は、周辺大気中における所定の被検知ガスを検知する機能を備える。ガス検知器1は、被検知ガスの濃度の表示や、被検知ガスの濃度を時間経過に沿って定期的に保存する機能を備えるため、個人ばく露濃度の管理や低減等に使用することが可能である。また検知器1は、作業者に装着され、携帯して持ち運び可能(ポータブル式)に構成される。
図1または
図2に示すように、ガス検知器1は、ケース2と、制御部(不図示)と、表示部3と、操作部4と、検知部5と、を備える。
ケース2は、内部に制御部を備え、表示部3および操作部4を正面に備える。また、ケース2は、検知部5(センサ10)が取付けられる取付部6を側面に備える。取付部6は、ケース2の側面に配置され、略円筒状に構成される。
制御部は、ガス検知器1の各種の動作を制御する。制御部は、各種情報を記憶する記憶装置を有する。
表示部3は、ガス検知器1の動作状態(例えば、被検知ガスの検知動作を行っているか否か、被検知ガスを検知しているか否か、または、被検知ガスを検知している時間等)を表示する。
操作部4は、ガス検知器1の各種の操作を行う。
検知部5は、被検知ガスを検知する検知手段であり、外部環境の変化を検知する。検知部5は、センサ10と、蓋部材11と、パッキン12と、カバー20と、フィルタ30と、保持部材40と、を備える。センサ10と蓋部材11とはケース2に配置され、カバー20はセンサ10を囲んで覆うように配置され、パッキン12とフィルタ30と保持部材40とはカバー20内に配置される。
【0017】
検知部5のセンサ10は、所定の被検知ガス(被検知ガスの濃度)を検知するガスセンサであり、メタンセンサ、酸素センサ、COセンサ、都市ガスセンサ、または、VOCガスセンサ等で構成される。センサ10では、例えば、メタンセンサはメタンガスを検出でき、酸素センサは酸素ガスを検出でき、COセンサは不完全燃焼で発生する一酸化炭素ガスを検出でき、都市ガスセンサは炭化水素ガス等の漏洩ガスを検出でき、VOCガスセンサはトルエン等の揮発性有機化合物(VOC)を検出できるものであれば、公知の半導体式センサ素子や接触燃焼式センサ素子等が使用できる。なお、センサ10の検知対象とされる被検知ガスには、上記のようなガスの他に、所定のガス中に含まれる微粒子やエアゾール等を含む。
センサ10は、ケース2の取付部6から側方(ケース2の外側)に突出するように配置される。センサ10は、略円柱状に構成され、先端部の網状部分から内部に被検知ガスが流入することによって、被検知ガスを検知する。センサ10は、ケース2よりも外側の位置において、センサ10の周方向から被検知ガスを取込み可能に構成される。
【0018】
検知部5の蓋部材11は、略平板円環状に構成される。蓋部材11は、中央の貫通孔にセンサ10を挿通させた状態で、ケース2の取付部6内に配置される。蓋部材11は、ケース2の取付部6に蓋をするように配置され、ケース2内部への水や被検知ガスの流入を防止する。
【0019】
検知部5のパッキン12は、カバー20内の水密を確保する。パッキン12は、平板円環状に形成される。パッキン12は、蓋部材11の外側に配置される。
【0020】
図1乃至
図5に示すように、検知部5のカバー20は、センサ10を保護するものであり、例えば、センサ10に異物が接触してセンサ10が破損すること等を防止する。カバー20は、センサ10の外側に配置される。カバー20は、略ドーム状に構成される。カバー20は、ケース2の取付部6に取付けられる。
カバー20は、基端部22と、先端部23と、複数個(六個)のリブ24・24・・・と、複数個(先端に一個と、側面に六個)の流入口25・25・・・と、を備える。
【0021】
カバー20の基端部22は、平板円環状の円環部が円筒部の一端(先端)に設けられて略円筒状に構成される。
先端部23は、円環状に構成される。先端部23の外径は基端部22の外径よりも小さく構成される。
リブ24は、基端部22の円環部から先端部23側に延出して先端部23近傍において湾曲し、基端部22と先端部23とを連結するように構成される。リブ24は、60度位相をずらすように均等に配置される。リブ24は、カバー20の軸心からみて放射状に配置される。
【0022】
カバー20の流入口25は、カバー20外からカバー20内に被検知ガスが流入する開口であり、先端流入口25aと、複数個(六個)の側面流入口25b・25b・・・と、で構成される。先端流入口25aは、先端部23の中央の開口で構成される。側面流入口25bは、基端部22と先端部23とリブ24とに囲まれる空間で構成される。カバー20の流入口25は、カバー20(先端流入口25aおよび側面流入口25b)の外側からみてフィルタ30が露出するように構成される。側面流入口25bは、カバー20の側部において、60度位相をずらすように均等に配置される。側面流入口25bは、カバー20の軸心からみて放射状に配置される。
【0023】
図1乃至
図3、または、
図6乃至
図8に示すように、フィルタ30は、カバー20内に配置されて、カバー20内におけるセンサ10が配置される空間に異物(例えば、塵や水等)が入込むことを防止し、且つ、カバー20内に被検知ガスが流入可能に構成される。フィルタ30は、疎水性を有し且つガス透過性を有する、PTFE(Polytetrafluoroethylene)等のフィルタである。
フィルタ30は、センサ10の外側に配置される。フィルタ30は、少なくともセンサ10の周りを囲むように構成されればよく、本例では、フィルタ30は、センサ10を覆うように構成される。また、フィルタ30は、内部にセンサ10を配置可能に構成される。フィルタ30は、略ドーム状(半球状)に構成される。
フィルタ30は、手作業また所定の冶具を用いて、平面視円状でシート状の基材Aを加工することによって、平面形状(シート状)から立体形状(略ドーム状)に形成される。フィルタ30は、複数個(六個)の折り部31・31・・・を有する。フィルタ30は、基材Aの一部分を複数個所(六カ所)において重なるように折って谷折り状にすることよって折り部31を複数個形成しつつ、略ドーム状に形成される。
なお、フィルタ30は、略ドーム状に形成されるもの以外に、カバー20内に配置され、且つ、ケース2の外側に突出するセンサ10を内部配置可能な立体形状(例えば、円筒状、角筒状、円錐状、または、角錐状等)に構成することもできる。
【0024】
フィルタ30の折り部31は、フィルタ30の内側に若干突出してヒダ状に構成される。折り部31は、フィルタ30の縁部から天頂部近傍まで突条に形成される。折り部31は、フィルタ30の内側面において、60度位相をずらすように均等に配置される。折り部31は、フィルタ30の軸心からみて放射状に配置される。
【0025】
図2、
図3、
図9、または、
図10に示すように、保持部材40は、カバー20内に配置される。保持部材40は、カバー20内に配置されるフィルタ30を、所定の位置に保持し、また、所定の形状の状態(略ドーム状に形成される状態)に保持する。
保持部材40は、略ドーム状に構成される。
保持部材40は、ベース部41と、基端部42と、先端部43と、複数個(六個)のリブ44・44・・・と、複数個(先端に一個と、側面に六個)の流入口45・45・・・と、を備える。
【0026】
保持部材40のベース部41は、略平板円環状に形成される。
基端部42は、円筒状に構成され、ベース部41から突出する。基端部42の内径はベース部41の内径と一致するように構成され、基端部42の外径はベース部41の外径よりも小さく構成される。
先端部43は、円環状に構成される。先端部43の外径は基端部42の外径よりも小さく構成される。
リブ44は、基端部42から先端部43側に延出して先端部43近傍において湾曲し、基端部42と先端部43とを連結するように構成される。リブ44は、60度位相をずらすように配置される。リブ44は、保持部材40の軸心からみて放射状に配置される。
【0027】
保持部材40の流入口45は、保持部材40外から保持部材40内に被検知ガスが流入する開口であり、先端流入口45aと、複数個(六個)の側面流入口45b・45b・・・と、で構成される。先端流入口45aは、先端部43の中央の開口で構成される。側面流入口45bは、基端部42と先端部43とリブ44とに囲まれる空間で構成される。側面流入口45bは、保持部材40の側部において、60度位相をずらすように均等に配置される。側面流入口45bは、保持部材40の軸心からみて放射状に配置される。
【0028】
次に、検知部5(カバー20、フィルタ30、保持部材40、およびパッキン12)の組立方法について説明する。
まず、フィルタ30をカバー20内(カバー20の先端部23とリブ24とで囲まれる空間内)に配置する。
次に、当該フィルタ30をカバー20とで挟んで内側から押えるように保持部材40をカバー20内に配置する。このとき、保持部材40のベース部41をカバー20の基端部22の円環部に近接させた状態とする。そして、保持部材40の先端部43とリブ44の外面をフィルタ30の内面に当接(密着)させ、フィルタ30の外面をカバー20の先端部23とリブ24の内側面に当接(密着)させた状態とする。このようにして、カバー20内に配置されるフィルタ30を、保持部材40によって、所定の位置に保持し、また、所定の形状(略ドーム状)に保持する(
図11参照)。またこのとき、カバー20、フィルタ30、および、保持部材40は、カバー20の外側からみて、カバー20のリブ24、フィルタ30の折り部31、および、保持部材40のリブ44がそれぞれ重なる位置に配置される。
次に、保持部材40のベース部41に当接するように、パッキン12を配置する。
このような状態において、カバー20の第一凸部26を、ケース2の取付部6の外面に形成される係合部7に係合させることによって、カバー20をケース2に取付ける。
【0029】
以上のように、センサ10がセンサ10の周方向から被検知ガスを取込み可能に構成される、ガス検知器1では、例えば、ケース2の側面と面一となるようにセンサ10が配置されてセンサ10が周方向から被検知ガスを取込むことができない構成のものと比べて、センサ10による被検知ガスの検知動作を良好に行うことができる。
【0030】
以上のように、センサ10が、ケース2の外側に突出するように配置され、フィルタ30が、シート状の基材Aを加工することによって少なくともセンサ10の周りを囲むように構成される、ガス検知器1では、センサ10がケース2の外側に突出する構成であっても、焼結等することなくフィルタ30によってセンサ10の周りを囲む構成とすることができる。
したがって、ガス検知器1によれば、ケース2の外側に突出するセンサ10を囲む構成のフィルタ30を簡易にまた安価に実現することができる。
【0031】
以上のように、フィルタ30がセンサ10を覆うように構成される、ガス検知器1では、ケース2の外側に突出するセンサ10を覆うようにフィルタ30が構成されることから、センサ10がケース2の外側に突出する構成であっても、フィルタ30の内側のセンサ10が配置される空間内に異物が入込むことをより確実に防止することができる。
【0032】
以上のように、フィルタ30が、シート状の基材Aの一部分を重なるように折ることによって形成される折り部31を備える、ガス検知器1では、フィルタ30が折り部31を備えることによって、ケース2の外側に突出するセンサ10を囲みまた覆うことができる立体形状のフィルタ30を、シート状の基材Aから容易に形成することができる。
【0033】
以上のように、フィルタ30が、シート状の基材Aの一部分を重なるように折ることよって折り部31を形成しつつ略ドーム状に形成されて、センサ10を覆うように構成される、ガス検知器1では、センサ10がケース2の外側に突出する構成であっても、焼結等することなくフィルタ30を略ドーム状に構成してセンサ10を覆うように構成することができる。
したがって、ガス検知器1によれば、略ドーム状に構成してケース2の外側に突出するセンサ10を覆う構成のフィルタ30を簡易にまた安価に実現することができる。
【0034】
以上のように、保持部材40が、カバー20内のフィルタ30の形状の状態を(フィルタ30が略ドーム状に形成される状態に)保持する、ガス検知器1では、カバー20内においてフィルタ30の形状が崩れないように、カバー20内のフィルタ30の形状の状態を保持する。
したがって、ガス検知器1によれば、カバー20内においてフィルタ30の形状が崩れることによって、例えば、水がカバー20内に流入して当該水によってセンサ10が破損すること、また、被検知ガスの流入不良が生じてセンサ10による被検知ガスを検知する動作が安定しなくなること等を防止することができる。
【0035】
以上のように、カバー20の流入口25(側面流入口25b)がカバー20の側部において均等に配置され、保持部材40の流入口45(側面流入口45b)が保持部材40の側部において均等に配置される、ガス検知器1では、カバー20の流入口25と保持部材40の流入口45とがそれぞれ側部において均等に配置されることから、カバー20の流入口25からカバー20内に流入して、保持部材40の流入口45から保持部材40内に被検知ガスが流入し易くなるとともに被検知ガスが流入可能なフィルタの有効開口部面積を確保(保持部材40の流入口45が塞がれないように)することができる。
したがって、ガス検知器1によれば、センサ10による被検知ガスを検知する動作をより安定させることができる。
【0036】
以上のように、カバー20のリブ24、フィルタ30の折り部31、および、保持部材40のリブ44が、カバー20の外側からみてそれぞれ重なる、ガス検知器1では、カバー20のリブ24または保持部材40のリブ44と、フィルタ30の折り部31と、が重なるように配置することによって、他の部分に比べて被検知ガスの透過性が低いフィルタ30の折り部31にできるだけ被検知ガスを流通させずに、他の部分から被検知ガスが流入する構成として、被検知ガスが流入可能なフィルタの有効開口部面積を確保(保持部材40の流入口45が塞がれないように)することができる。
したがって、ガス検知器1によれば、センサ10による被検知ガスを検知する動作をより安定させることができる
【0037】
カバー20のリブ24がカバー20の側部において均等に配置され、フィルタ30の折り部31がフィルタ30の側部において均等に配置され、保持部材40のリブ44が保持部材40の側部において均等に配置される、ガス検知器1では、カバー20のリブ24とフィルタ30の折り部31と保持部材40のリブ44とがそれぞれ側部において均等に配置されることから、それら以外のカバー20内に被検知ガスが流入する部分(カバー20の流入口25、フィルタ30の折り部31以外の部分、および、保持部材40の流入口45)が均等に配置されて、被検知ガスが流入可能なフィルタの有効開口部面積を確保(保持部材40の流入口45が塞がれないように)することができる。
したがって、ガス検知器1によれば、センサ10による被検知ガスを検知する動作をより安定させることができる。
【0038】
図3、
図9、または、
図10に示すように、保持部材40は、フィルタ30の折り部31を配置する配置部46をリブ44に備える。
配置部46は、保持部材40のリブ44の外側面に形成される溝であり、保持部材40のリブ44の縁部近傍から先端部43近傍まで筋状に形成される。配置部46は、保持部材40の外側面において、60度位相をずらすように均等に配置される。配置部46は、保持部材40の軸心からみて放射状に配置される。
【0039】
以上のように、フィルタ30の折り部31が、フィルタ30の内側に若干突出するヒダ状に構成され、保持部材40が、フィルタ30の折り部31を配置する配置部46をリブ44に備える、ガス検知器1では、保持部材40をカバー20内に配置したときに、フィルタ30の折り部31が保持部材40の配置部46に配置される。
このため、ガス検知器1では、保持部材40をカバー20内に配置するときに、フィルタ30の折り部31が保持部材40に当接して、フィルタ30の折り部31が所定の位置(カバー20のリブ24または保持部材40のリブ44と重なる位置)からズレること、また、保持部材40をカバー20内に配置したときに、フィルタ30の折り部31がカバー20のリブ24または保持部材40のリブ44からはみ出た状態となること等を防止して、被検知ガスが流入可能なフィルタの有効開口部面積を確保(保持部材40の流入口45が塞がれないように)することができる。
【0040】
図3、または、
図5に示すように、カバー20は、第一凸部26と、第二凸部27と、を備える。
第一凸部26は、基端部22の円筒部における基端側端部の内周面から内側に対向するように突出する。第一凸部26は、一対からなり、180度位相をずらして配置される。
第二凸部27は、基端部22の円筒部における先端側端部の内周面から内側に対向するように突出する。第二凸部27は、基端部22の円環部に近接して配置される。第二凸部27は、一対からなり、180度位相をずらして配置される。
第一凸部26間の距離、または、第二凸部27間の距離は、保持部材40のベース部41の直径よりも短く構成される。
一対のうち一方の第一凸部26と一対のうち一方の第二凸部27とは、基端部22の軸心方向にそれぞれ並べて配置される。一対のうち他方の第一凸部26と一対のうち他方の第二凸部27とは、基端部22の軸心方向にそれぞれ並べて配置される。
第一凸部26と第二凸部27とは、隣り合うリブ24・24間の中央に配置される。
【0041】
図3、
図9、または、
図10に示すように、保持部材40は、凹部47を備える。
凹部47は、ベース部41の縁部が凹状に切欠かれるように形成される。凹部47の幅は、カバー20の第一凸部26の幅および第二凸部27の幅よりも若干大きく構成される。凹部47は、一対からなり、180度位相をずらして配置される。
凹部47は、隣り合うリブ44・44間の中央に配置される。
【0042】
ガス検知器1では、検知部5(カバー20、フィルタ30、保持部材40、およびパッキン12)を組み立てるとき、保持部材40の凹部47が、カバー20の第一凸部26を通過し、次いで、カバー20の第二凸部27を通過するように、保持部材40をカバー20内に配置する。
そして、保持部材40をカバー20内に配置して保持部材40のベース部41をカバー20の基端部22の円環部に当接させた状態としたときに、カバー20の第二凸部27が保持部材40の凹部47内に配置されて、カバー20部材内において回転しないように、保持部材40の位置が固定される。
このとき、カバー20のリブ24と保持部材40のリブ44とが重なる位置に、保持部材40の位置が固定されるように、カバー20の第二凸部27と保持部材40の凹部47とが配置される。
【0043】
以上のように、カバー20のリブ24と保持部材40のリブ44とが重なる位置に保持部材40の位置が固定されるように、カバー20の第二凸部27と保持部材40の凹部47とが配置される、ガス検知器1では、カバー20内で保持部材40の位置がズレることによって保持部材40のリブ44の位置がずれて、被検知ガスが流入可能なフィルタの有効開口部面積を確保(保持部材40の流入口45が塞がれないように)することができる。
【0044】
以上のように、カバー20の第一凸部26と第二凸部27とが、カバー20の基端部22の軸心方向に並べて配置される、ガス検知器1では、保持部材40をカバー20内に配置するときに、保持部材40の凹部47がカバー20の第一凸部26を通過した後にカバー20の第二凸部27を通過し易く構成され、容易に、カバー20の第二凸部27が保持部材40の凹部47内に配置された状態(保持部材40の位置が固定された状態)とすることができる。
【0045】
また、
図12または
図13に示すように、フィルタ30の折り部31は、フィルタ30の外側に若干突出してヒダ状に構成することもできる。
このとき、カバー20は、フィルタ30の折り部31を配置する配置部28をリブ24に備える構成とする。配置部28は、カバー20のリブ24の内側面に形成される溝であり、カバー20のリブ24の縁部近傍から先端部23近傍まで筋状に形成される。配置部28は、内側面において、60度位相をずらすように均等に配置される。配置部28は、カバー20の軸心からみて放射状に配置される。またこのとき保持部材40は、配置部46として凸状部を設けてもよく、配置部46を設けなくてもよい。
【0046】
またガス検知器1では、シート状の基材Aに予めカバー20のリブ24に対応したスリットを形成し、フィルタ30の折り部31が形成されないように基材Aをたたむことでフィルタ30を形成してもよい。このとき、保持部材40には、前記シート状の基材Aのスリットに対応する位置に配置部46として凸状部を設けてもよく、配置部46を設けなくてもよい。また、前記シート状の基材Aにスリットを1ヶ所形成し、当該スリットの部分でしかフィルタ30の折り部31が形成されないようにしてもよい。
また、カバー20のリブ24の数は、六個に限らず、六個よりも多くても少なくてもよいが、流入口25が、被検知ガスを十分に取り込むことができ、かつ外側からカバー内に手指が入り込まない大きさに構成されることが好ましい。
また、検知部5の設けられる位置は、ケース2の側面に限らず、他の側面(例えば、ケース2の正面または背面)であってもよい。
また、センサ10は、センサ10の周方向から被検知ガスを取込可能に形成されるものに限らず、センサ10の天面(外方に突出する側の面)のみから被検知ガスを取込可能に形成されるものでもよい。
また、ガス検知器1は、蓋部材11やパッキン12を備えない構成としてもよい。
また、カバー20は、ドーム状に構成されることに限らず、円筒状等の他の形状に構成されるものであってもよい。また、カバー20は、先端部23の外径を基端部22の外径と同径とし、リブ24が湾曲しない形状としてもよい。
また、PTFE以外の材質を用いてフィルタ30を構成してもよい。
また、保持部材40は、ドーム状に構成されることに限らず、円筒状等の他の形状に構成されるものであってもよい。また、保持部材40は、先端部43の外径を基端部42の外径と同径とし、リブ44が湾曲しない形状としてもよい。
また、カバー20のリブ24の数、フィルタ30の折り部31の数、保持部材40のリブ44の数、保持部材40の配置部46の数は、それぞれ同じ数でなくてもよく、例えば、フィルタ30の折り部31の数、保持部材40のリブ44の数、または、保持部材40の配置部46の数が、カバー20のリブ24よりも少なくてもよい。ただし、被検知ガスの流入性が低減することを抑制する観点から、フィルタ30の折り部31の数、保持部材40のリブ44の数、または、保持部材40の配置部46の数が、カバー20のリブ24の数と同じかまたはリブ24の数よりも少ないことが好ましい。
また、フィルタ30の折り部31を確実に配置する観点から、保持部材40の配置部46の数は、フィルタ30の折り部31の数と同じか折り部31の数よりも多いことが好ましい。
【符号の説明】
【0047】
1 ガス検知器
2 ケース
3 表示部
4 操作部
5 検知部
6 取付部
10 センサ
11 蓋部材
12 パッキン
20 カバー
30 フィルタ
31 折り部
40 保持部材