(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/28 20060101AFI20220615BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
F04D29/28 J
F04D29/58 P
F04D29/28 N
F04D29/28 H
(21)【出願番号】P 2018052088
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】坂 吉和
【審査官】岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2011/0116928(US,A1)
【文献】特開2012-013035(JP,A)
【文献】特開2013-106411(JP,A)
【文献】特開2003-214386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/28
F04D 29/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インペラと、
モータとを備え、
前記インペラは、複数の第1の羽根と、当該複数の第1の羽根の内側に配置されたカップとを有し、
前記モータは、前記カップの内側に配置されたハウジングと、コイルを有するステータと、当該ステータの内側に配置されたインナーロータとを有し、
前記インナーロータは、マグネットを有し、
径方向において、前記カップと前記ハウジングとの間には空間が形成されており、
前記カップの外周面には、前記ハウジングの外周面に対向する開口部が設けられると共に当該カップの内周面には第2の羽根が設けられており、
前記開口部は、前記カップと前記複数の第1の羽根との間にある空間と、前記カップと前記ハウジングとの間にある空間とを連通しており、
前記ハウジングの外周面には、孔部が形成されており、
前記コイルは、前記孔部により前記カップと前記ハウジングとの間の空間に露出している、送風機。
【請求項2】
前記ハウジングは、回転軸方向における上側の面である上端面と、下側の面である下端面とを有し、
前記外周面は、前記上端面と前記下端面の間にある、請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記孔部は、前記上端面と前記下端面との間において回転軸方向に設けられた複数の縦枠と、前記上端面と前記下端面との中間に設けられた横枠とを配置することにより格子状に形成される、請求項2に記載の送風機。
【請求項4】
径方向において、前記第2の羽根は、前記カップの内周面から前記ハウジングに向かって延びている、請求項1乃至3のいずれか1項記載の送風機。
【請求項5】
前記カップは、前記開口部を含む複数の開口部を備え、
周方向において、前記複数の開口部は並んでいる、請求項1乃至4のいずれか1項記載の送風機。
【請求項6】
回転軸方向において、前記カップには、前記ハウジングに対向する端面が設けられ、
前記端面に開口部が形成されており、
前記端面の開口部は、前記カップの外周面に形成された開口部と連続している、請求項1乃至
5のいずれか1項記載の送風機。
【請求項7】
前記カップの外周面に形成された開口部は、前記カップの外周面において、前記ハウジングに対向する端面から下面にわたって連続して形成されている、請求項1乃至
6のいずれか1項記載の送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、送風機として、送風機内部に空気を吸い込む主ファンと、主ファンに取り付けられた補助ファンと、主ファン及び補助ファンを回転させるファンモータとを備える送風機が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この送風機では、主ファンに複数の風孔部を形成し、ファンモータ側と反対側に取り付けられた補助ファンを回転させることにより、ファンモータの周囲を流れる空気を風孔部から吸引して流量を増大させてファンモータを冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような送風機では、ファンモータを更に冷却するためには、主ファン及び補助ファンを高速で回転させなければならず、かえってファンモータが高温になるおそれがある。このため、効率良く冷却できる送風機の構造が求められていた。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、効率良く冷却できる送風機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る送風機は、インペラと、モータとを備え、前記インペラは、複数の羽根と、当該複数の羽根の内側に配置されたカップとを有し、前記モータは、前記カップの内側に配置されたハウジングと、ステータと、当該ステータの内側に配置されたロータとを有し、前記カップの外周面には、前記ハウジングの外周面に対向する開口部が設けられている。
【0008】
本発明の一態様に係る送風機は、径方向において、前記カップと前記ハウジングとの間には空間が形成されており、前記開口部は、前記カップと前記複数の羽根との間にある空間と、前記カップと前記ハウジングとの間にある空間とを連通する。
【0009】
本発明の一態様に係る送風機は、前記複数の羽根を複数の第1の羽根として、前記カップには、第2の羽根が設けられており、径方向において、前記第2の羽根は、前記カップの内周面から前記ハウジングに向かって延びている。
【0010】
本発明の一態様に係る送風機は、前記カップは、前記開口部を含む複数の開口部を備え、周方向において、前記複数の開口部は並んでいる。
【0011】
本発明の一態様に係る送風機は、前記カップは、前記第2の羽根を含む複数の第2の羽根を備え、前記複数の第2の羽根はそれぞれ前記複数の開口部に隣接している。
【0012】
本発明の一態様に係る送風機は、回転軸方向において、前記カップには、前記ハウジングに対向する端面が設けられ、前記端面に開口部が形成されており、前記端面の開口部は、前記カップの外周面に形成された開口部と連続している。
【0013】
本発明の一態様に係る送風機は、前記開口部は、前記カップの外周面において、前記ハウジングに対向する端面から下面にわたって連続して形成されている。
【0014】
本発明に係る送風機によれば、モータを冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施の形態に係る送風機の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る送風機の構成を概略的に示す
図1のA-A断面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る送風機のインペラの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る送風機のインペラの構成を概略的に示す
図1のB-B断面図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る送風機のハウジングの構成を概略的に示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る送風機のインナーモータの構成を概略的に示す
図1のC-C断面図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る送風機における風の流れを模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
【0017】
[送風機の全体構成]
はじめに、
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る送風機の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る送風機1の構成を概略的に示す斜視図である。
図2は、
図1のA-A線に沿う断面における断面図である。
【0018】
以下、説明の便宜上、回転軸x方向において矢印a方向を上側aとし、矢印b方向を下側bとする。また、回転軸xに垂直な方向(以下、「径方向」ともいう。)において、回転軸xから遠ざかる方向(
図1の矢印c方向)を外周側cとし、回転軸xに向かう方向(
図1の矢印d方向)を内周側dとする。そして、回転軸xを中心とする円周方向(
図1の矢印e方向)を周方向eとする。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施の形態に係る送風機1は、回転軸xを中心に反時計回りに回転するインペラ3と、当該インペラ3を回転させるモータ5とを備えている。インペラ3及びモータ5は、ケース10の内部に収容されている。
【0020】
ケース10は、インペラ3を覆う収容部11と、収容部11の下側bに配置された底部12とを有している。
【0021】
収容部11は、上側aに開口が形成された上壁部11aと、上壁部11aの外周に沿ってインペラ3の外周側cを囲む側壁部11cとを有している。上壁部11aは、径方向において、側壁部11cから内側に向かって突出した壁部を形成している。
【0022】
底部12は、
図2に示すように、後述するモータ5のハウジング51を支持する環状の板状部材で形成された支持部12aと、支持部12aの下側bに配置されてモータ5の下側bを覆うカバー部12bとを有している。収容部11と底部12とは、ネジ等の接合部材により連結されている。
【0023】
図1に示すように、上壁部11aの開口は、空気を取り込む円形状の吸気口10aとなっている。また、ケース10は、外周側cに延在した収容部11の一部と外周側cに延在した底部12の一部とで形成されて空気を排出する排気口10bを有している。
【0024】
[インペラの構成]
次いで、
図2乃至
図4を参照して、インペラ3の構成について説明する。
図3は、インペラ3の構成を概略的に示す斜視図である。
図4は、
図1のB-B線に沿う断面における断面図である。
【0025】
図3に示すように、インペラ3は、インペラ本体31と、インペラ本体31の内周面に回転軸xの周方向eに沿って等間隔に配置された複数の第1の羽根32と、複数の第1の羽根32の更に内側dに配置されたカップ33とを有している。カップ33と後述するハウジング51との間には、空間S1及び空間S2が形成されている。空間S1及び空間S2は、周方向eにおいて、環状に形成されている。
【0026】
インペラ本体31は、回転軸xを中心とする円盤状の形状を有し、カップ33の下側bに配置されたベース34と、ベース34の上側aに配置された上枠35と、ベース34の外周側cに配置された底枠36とを有している。
【0027】
第1の羽根32は、外周側cから内周側dに向かって延びており、上枠35とベース34又は底枠36との間に配置されている。具体的には、外周側cにおける第1の羽根32の一部分は、回転軸x方向における上側aにおいて、インペラ本体31の上枠35と接続されている。また、回転軸x方向における下側bにおいて、外周側cにおける第1の羽根32の一部分がインペラ本体31の底枠36と接続され、内周側dにおける第1の羽根32の一部分がインペラ本体31のベース34に接続されている。すなわち、第1の羽根32は、回転軸x方向において、インペラ本体31の上枠35から底枠36にわたって形成されている。
【0028】
カップ33は、
図2に示すように、後述するハウジング51の回転軸x方向における上側aを覆うカップ形状の収容部41を備え、収容部41の内周側dに面する内周面41dからハウジング51に向かって延び、ハウジング51の外周面51cと接触することのないように突出した第2の羽根42が設けられている。すなわち、カップ33には第2の羽根42が設けられており、径方向において第2の羽根42はカップ33の内周面41dからハウジング51に向かって延びている。また、カップ33は複数の第2の羽根42を備え、これら複数の第2の羽根42はそれぞれ後述する複数の開口部43に隣接している。
【0029】
収容部41は、
図3に示すように、カップ33と複数の第1の羽根32との間に形成された空間S1と、カップ33と後述するハウジング51との間の空間S2とを連通する開口部43が設けられている。周方向eにおいて、カップ33と後述するハウジング51との間には、空間S2の一部となる隙間S3が複数形成されている。収容部41は、回転軸x方向における上側aから見ると、円形状又は略円形状を後述する半円形状又は略半円形状の端面開口部45で切り欠いた、平面形状を有している。
【0030】
この収容部41は、上側aの面である上端面41aと、下側bの面である下端面41bと、上端面41aと下端面41bとの間で複数の第1の羽根32に面する外周面41cと、上端面41aと下端面41bとの間で後述するモータ5のハウジング51に面する内周面41dとを有している。
【0031】
また、収容部41は、突出部41eと孔部41fとを備える。突出部41eは上端面41aより上側aに突出しており、内部にシャフト75(
図5参照)及び固定部78(
図5参照)を保持する。孔部41fにはシャフト75が貫通する。これら突出部41eと孔部41fは、後述するハウジング51の回転軸x方向における上側a及び外周側cに配置されている。
【0032】
なお、回転軸x方向において、収容部41は、上端面41aから下端面41bまでの高さがインペラ本体31及び第1の羽根32の高さより低くなっている。また、収容部41は、
図2に示すように、回転軸x方向における下端面41bがインペラ本体31のベース34に接続されており、回転軸xを中心にインペラ本体31及び複数の第1の羽根32と一体に回転可能になっている。
【0033】
収容部41の開口部43は、
図3に示すように、回転軸xの周方向eに沿って等間隔に並んで複数設けられており(本発明の実施の形態では、5個。)、収容部41の外周面41c及び上端面41aに設けられている。開口部43は、収容部41の外周面41cに形成されて後述するハウジング51の外周面51cに対向する開口部(以下、外周開口部と呼称する)44と、後述するハウジング51に対向する上端面41aに形成された開口部(以下、端面開口部と呼称する)45とを有しており、外周開口部44および端面開口部45が空間的に繋がっている。
【0034】
外周開口部44は、収容部41の外周面41cに等間隔に複数(本発明の実施の形態では、5個。)形成されている。具体的には、外周開口部44は、収容部41の外周面41cにおいて上端面41aから下端面41bにわたって矩形状又は略矩形状に形成されている。すなわち、外周開口部44は、上端面41aから下端面41bへ回転軸x方向に延在しており、カップ33と複数の第1の羽根32との間の空間S1と、カップ33と後述するハウジング51との間の空間S2との間を連通している。外周開口部44により、後述するハウジング51及びロータ52の一部は空間S1に露出している。
【0035】
端面開口部45は、収容部41の上端面41aの周方向eに沿って等間隔に複数(本発明の実施の形態では、5個。)形成されている。具体的には、端面開口部45は、回転軸x方向における上側aから見ると、半円形状に形成されており、回転軸x方向における上側aに向かって開口している。
【0036】
また、端面開口部45が形成された収容部41は、上端面41aから下端面41bまでの高さがインペラ本体31及び第1の羽根32の回転軸x方向における高さより低くなっているため、端面開口部45は、空間S1において上側aへ向かって開口している。この端面開口部45により、後述するハウジング51及びロータ52の一部は空間S1に露出している。
【0037】
開口部43における外周開口部44と端面開口部45とは、空間的に連続して形成されている。すなわち、開口部43は、上端面41aから下端面41bにわたって連続して形成された開口であり、開口部43から後述するハウジング51及びロータ52の一部が露出する。
【0038】
カップ33の収容部41に設けられた第2の羽根42は、
図4に示すように、収容部41の回転軸x方向における内周面41d側に回転軸xに沿って延在して配置された中間部42aと、中間部42aの上側aから後述するハウジング51に向かって延びる端部(以下、上側先端部と呼称する)42bと、中間部42aの下側bに設けられた端部(以下、下側丸端部と呼称する)42cとを有している。
【0039】
また、第2の羽根42は、隣接する開口部43の間における収容部41の上端面41aから下端面41bにわたって形成されており、内周側dへ向かって突出した中間部42a、上側先端部42b及び下側丸端部42cがハウジング51の外周面51cとの間にすき間S3を設けて配置されている。具体的には、第2の羽根42は、上側先端部42bから中間部42aへ向かって湾曲しており、上側先端部42bから中間部42a及び下側丸端部42cにわたって、ハウジング51の外周面51cと一定の間隔を隔てて、且つ、外周面51cに沿う形状に形成されている。すなわち、隙間S3は、空間S2の一部分であり、第2の羽根42が収容部41の内周面41dから内周側dへ突出した分だけ径方向における幅が狭まっている。
【0040】
[モータの構成]
次いで、
図5及び
図6を参照して、モータ5の構成について説明する。
図5は、モータ5のハウジング51の構成を概略的に示す斜視図である。
図6は、モータ5のロータ52の構成を概略的に示す図であり、
図1のC-C線に沿う断面における断面図である。
【0041】
図5及び
図6に示すように、モータ5は、カップ33の収容部41(
図2参照)の内側に配置されたハウジング51と、ステータ73と、ステータ73の内側に配置されたロータ52とを有している。ロータ52は、ステータの内側に配置されている。
【0042】
ハウジング51は、
図5に示すように、回転軸x方向における上側aの面である上端面51aと、下側bの面である下端面51bと、上端面51aと下端面51bとの間の外周面51cとを有している。ハウジング51の内部には、ロータ52の回転軸x方向における上側aの部分が収容されている。
【0043】
ハウジング51の上端面51aには、後述するロータ52のシャフト75が貫通する円形状の孔部53と、回転軸x方向において上端面51aから突出した環状の突出部54とが設けられている。ハウジング51に設けられた孔部53及び突出部54は、収容部41の突出部41eに収容されている(
図2参照)。また、ハウジング51の突出部54の内側dには、後述するロータ52の固定部78が配置されている(
図2参照)。
【0044】
回転軸x方向において、下端面51bの外周部は、上端面51aよりも外周側cへ突出しており、下側bからケース10の支持部12aによって支持されている(
図2参照)。
【0045】
ハウジング51の外周面51cには、ロータ52の一部が露出する複数の矩形状の孔部55が形成されている。具体的には、複数の孔部55は、上端面51aと下端面51bとの間において回転軸x方向に設けられた複数の縦枠61cと、上端面51aと下端面51bとの中間又は略中間に設けられた横枠61dとを配置することにより格子状に形成されている。横枠61dは、回転軸x方向に交差する方向に延在しており、縦枠61cと交差している。複数の孔部55により、ロータ52の一部は、カップ33とハウジング51との間の空間S2に露出している。
【0046】
ロータ52は、
図6に示すように、円筒形状のフレーム71と、フレーム71内に後述する軸受74a,74bにて回転可能に支えられたインナーロータ72と、インナーロータ72を囲むステータ73とを有している。
【0047】
フレーム71は、その内部に、インナーロータ72の回転軸x方向における上側aの部分を回転可能に支える軸受74aと、インナーロータ72の回転軸x方向における下側bの部分を回転可能に支える軸受74bとを有している。
【0048】
インナーロータ72は、フレーム71の回転軸x方向における上側aの部分から突出したシャフト75と、当該シャフト75を囲むように環状に形成されたコア76と、コア76の外周側cの面を囲むように環状に形成されたマグネット77とを有している。シャフト75の上側aの部分は、ハウジング51の孔部53及び収容部41の孔部41fを貫通している。
【0049】
また、シャフト75の上側aには、シャフト75の外周面を囲むように環状に形成されてインペラ3を固定するための固定部78が設けられている。径方向において、固定部78は、ハウジング51の突出部54の内周側dで、且つ、収容部41の突出部41eの内側に配置されている。
【0050】
ステータ73は、インナーロータ72を囲むように環状に形成されたステータコア79と、コイル80と、ステータコア79とコイル80とを絶縁するインシュレータ(図示せず)とを有している。コイル80は、ステータコア79が有するティース(図示せず)に巻回されており、ティースはステータコア79からインナーロータ72に向かう方向に延在している。
【0051】
[送風機の風の流れ]
次いで、
図7を参照して、送風機1による風の流れについて説明する。
図7は、送風機1による風の流れを模式的に示す斜視図である。
【0052】
図7に示すように、モータ5によってシャフト75が回転軸xを中心に反時計回りに回転すると、シャフト75の固定部78に固定されたインペラ3が回転することにより吸気口10a付近の空気が矢印G1方向へ導入される。すなわち、インペラ3の第1の羽根32によってカップ33と複数の第1の羽根32との間の空間S1に気流が発生し、吸気口10a付近の空気が矢印G1方向へ導入される。
【0053】
吸気口10aから導入された空気は、空間S1を循環しながら開口部43の外周開口部44又は端面開口部45からカップ33の内部へ流入される。すなわち、吸気口10aから導入された空気の一部は、カップ33と複数の第1の羽根32との間の空間S1から、開口部43を介して、カップ33とハウジング51との間の空間S2へ流入されることになる。
【0054】
カップ33の内部へ流入された空気は、インペラ3のカップ33の回転に伴って矢印G2方向へ流れる。特に、カップ33において第2の羽根42が設けられたことにより、空間S2へ流入された空気は矢印G2方向への流れが強くなって流量が増大する。
【0055】
そして、空間S2へ流入された空気は、空間S2を循環又は排気口10b付近で矢印G3方向へ案内されて排出される。
【0056】
このように送風機1において、収容部41の外周面41cには、カップ33と複数の第1の羽根32との間の空間S1と、カップ33とハウジング51との間の空間S2とを連通する開口部43が形成されているため、収容部41内部に配置されたモータ5を容易且つ効率的に冷却することができる。
【0057】
すなわち、カップ33と複数の第1の羽根32との間の空間S1へ導入された空気は、開口部43からモータ5の周囲である空間S2を循環するため、モータ5を効率良く冷却することができる。
【0058】
また、カップ33には、収容部41の内周面41dからハウジング51に向かって延びる第2の羽根42が設けられている。このため、空間S2へ案内された空気は矢印G2方向への流れが強くなり流量が増加する。これにより、モータ5を効率良く冷却することができる。
【0059】
さらに、インペラ3においては、第2の羽根42が設けられているため、この第2の羽根42がリブの役割をも担うことになるので、カップ33の強度を大幅に向上することができる。
【0060】
さらに、収容部41の開口部43は、収容部41の外周面41cに形成された外周開口部44と、収容部41の上端面41aに形成された端面開口部45とを有し、開口部43は、上端面41aから下端面41bにわたって連続して形成されているため、矢印G2方向から矢印G3方向への気流を容易に生じさせることができるので、モータ5の全体を効率的に冷却することができる。
【0061】
そして、ハウジング51の外周面51cには、ロータ52の一部が露出する複数の孔部55が形成されている。ロータ52は、熱源となるコイル80が回転軸x方向における外周側cに配置されているため、コイル80を効率良く冷却することができる。
【0062】
[他の実施の形態]
なお、上述した実施の形態においては、開口部43は、外周開口部44及び端面開口部45を有している場合について説明したが、開口部43は、外周開口部44及び端面開口部45のいずれか一方のみ有していてもよい。
【0063】
また、開口部43の形状は、図示の形状に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、開口部43は、外周面41cにおいて上端面41aから下端面41bにわたって形成されておらず、上端面41aと下端面41bとの間に形成された長方形状や丸形状の開口部であってもよい。
【0064】
さらに、開口部43は、回転軸xの周方向eに沿って5つ形成されている場合について説明したが、開口部43が形成されている個数は適宜変更が可能である。
【0065】
そして、上述した実施の形態においては、ハウジング51の外周面51cには、縦枠61cと横枠61dとを格子状に配置することにより孔部55が形成されている場合について説明したが、縦枠61c及び横枠61dのいずれか一方が外周面51cに配置されていることにより孔部55が形成されていてもよい。すなわち、ハウジング51の外周面51c形成された孔部の形状及び個数は適宜変更が可能である。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る送風機1に限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成要の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0067】
1…送風機、3…インペラ、5…モータ、10…ケース、10a…吸気口、10b…排気口、11…収容部、11a…上壁部、11c…側壁部、12…底部、12a…支持部、12b…カバー部、31…インペラ本体、32…第1の羽根、33…カップ、34…ベース、35…上枠、36…底枠、41…収容部、41a…上端面、41b…下端面、41c…外周面、41d…内周面、41e…突出部、41f…孔部、42…第2の羽根、42a…中間部、42b…上側先端部、42c…下側丸端部、43…開口部、44…外周開口部、45…端面開口部、51…ハウジング、51a…上端面、51b…下端面、51c…外周面、52…ロータ、53…孔部、54…突出部、55…孔部、61c…縦枠、61d…横枠、71…フレーム、72…インナーロータ、73…ステータ、74a…軸受、74b…軸受、75…シャフト、76…コア、77…マグネット、78…固定部、79…ステータコア、80…コイル、a…上側、b…下側、c…外周側、d…内周側、e…周方向、x…回転軸、S1…空間、S2…空間、S3…隙間