(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】メタルガスケット
(51)【国際特許分類】
F16J 15/08 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
F16J15/08 A
(21)【出願番号】P 2018066626
(22)【出願日】2018-03-30
【審査請求日】2020-10-06
(31)【優先権主張番号】P 2017150150
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229564
【氏名又は名称】株式会社バルカー
(74)【代理人】
【識別番号】100141472
【氏名又は名称】赤松 善弘
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広嗣
【審査官】山田 康孝
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-043766(JP,U)
【文献】特開2003-156147(JP,A)
【文献】特開平11-118036(JP,A)
【文献】特開2002-235854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
断面形状が円形状であるメタルガスケットの外周面に
断面形状がV字状の円周溝を有し
、当該円周溝の底部が鋭角または直角を有し、当該円周溝の深さAと当該メタルガスケットの断面における水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値が0.2~0.9であり、V字状の円周溝の切込み角度が45~90°であることを特徴とするメタルガスケット。
【請求項2】
表面硬度が15~250HVである請求項1に記載のメタルガスケット。
【請求項3】
メタルガスケットがアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、インコネル、炭素鋼、鉛、金、銀、銅およびマグネシウム合金からなる群より選ばれた金属で形成されてなる請求項1または2に記載のメタルガスケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルガスケットに関する。さらに詳しくは、本発明は、例えば、火力発電所、原子力発電所、スチームタービン船の蒸気機関、石油精製ライン、石油化学工業のプロセスライン、半導体製造ラインなどにおける配管同士を接続する際に用いられるメタルガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
耐熱性に優れ、低締付力化が図られたメタルガスケットとして、メタル中空Oリング、メタルCリングなどが提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。これらのメタルガスケットよりも締付力が小さく、シール性に優れたメタルガスケットとして、リング状の内周面にV字状の円周溝を有する金属製リングガスケット、外径部側面または内径部側面に凹溝を備えるメタルガスケットが提案されている(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【0003】
前記金属製リングガスケットおよび前記メタルガスケットは、いずれも締付力が小さく、シール性に優れている。
【0004】
しかし、近年、さらに小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保することができるメタルガスケットの開発が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-177976号公報
【文献】特開平11-30333号公報
【文献】実開昭60-43766号公報
【文献】特開2003-156147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保することができるメタルガスケットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
(1)断面形状が円形状であるメタルガスケットの外周面に断面形状がV字状の円周溝を有し、当該円周溝の底部が鋭角または直角を有し、当該円周溝の深さAと当該メタルガスケットの断面における水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値が0.2~0.9であり、V字状の円周溝の切込み角度が45~90°であることを特徴とするメタルガスケット、
(2)表面硬度が15~250HVである前記(1)に記載のメタルガスケット、および
(3)メタルガスケットがアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、インコネル、炭素鋼、鉛、金、銀、銅およびマグネシウム合金からなる群より選ばれた金属で形成されてなる前記(1)または(2)に記載のメタルガスケット
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保することができるメタルガスケットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(a)は、本発明のメタルガスケットの一実施態様を示す概略側面図、(b)は、当該メタルガスケットの一実施態様を示す概略平面図である。
【
図2】
図1(b)に示されるX-X部におけるメタルガスケットの一実施態様を示す概略断面図である。
【
図3】
図1(b)に示されるX-X部におけるメタルガスケットの他の実施態様を示す概略断面図である。
【
図4】
図1(b)に示されるX-X部におけるメタルガスケットの他の実施態様を示す概略断面図である。
【
図5】本発明のメタルガスケットのV字状の円周溝の深さAおよびメタルガスケットの水平方向の長さBに関する概略説明図である。
【
図6】各実施例および各比較例で用いられたガスケットのシール性の評価試験装置の概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明のメタルガスケットは、前記したように、当該メタルガスケットの外周面にV字状の円周溝を有し、当該円周溝の深さAと当該メタルガスケットの断面における水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値が0.1~0.95であり、V字状の円周溝の切込み角度が30~120°であることを特徴とする。本発明のメタルガスケットは、前記構成を有することから、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保するという優れた効果を発現する。
【0011】
以下に、本発明のメタルガスケットを図面に基づいて詳細に説明するが、本発明は、当該図面に記載の実施態様のみに限定されるものではない。
【0012】
図1(a)は、本発明のメタルガスケットの一実施態様を示す概略側面図であり、
図1(b)は、当該メタルガスケットの概略平面図である。
【0013】
図1において、本発明のメタルガスケット1の表面硬度(ビッカース硬度)の下限値は、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、好ましくは15HV以上、より好ましくは19HV以上である。また、本発明のメタルガスケット1の表面硬度(ビッカース硬度)の上限値は、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、好ましくは250HV以下、より好ましくは220HV以下、さらに好ましくは175HV以下、さらに一層好ましくは170HV以下である。
【0014】
本発明のメタルガスケット1は、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、メタルガスケットの材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、インコネル、炭素鋼、鉛、金、銀、銅およびマグネシウム合金からなる群より選ばれた金属であることが好ましく、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼およびインコネルからなる群より選ばれた金属であることがより好ましく、アルミニウムまたはステンレス鋼であることがさらに好ましい。
【0015】
アルミニウム合金としては、例えば、アルミニウム-鉄合金、アルミニウム-銅合金、アルミニウム-マンガン合金、アルミニウム-マグネシウム合金、アルミニウム-亜鉛合金、アルミニウム-ニッケル合金などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0016】
ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS430、SUS630、SUS631、SUS633、SUS420J2などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0017】
また、マグネシウム合金に使用されるマグネシウム以外の金属としては、例えば、リチウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛、チタン、マンガン、ジルコニウム、イットリウム、タンタル、ネオジウム、ニオブなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
【0018】
メタルガスケット1の平面形状は、
図1(b)に示されるように、環状である。メタルガスケット1の平面形状における外径Lは、メタルガスケット1の用途によって異なるので一概には決定することができないことから、メタルガスケット1の用途に応じて適宜決定することが好ましいが、通常、2mm~3m程度である。
【0019】
図1(b)に示されるX-X部におけるメタルガスケット1の断面形状は、
図2(a)に示されるように円形であってもよく、
図2(b)に示されるように矩形であってもよく、
図2(c)に示されるように正方形、長方形などの多角形であってもよい。前記円形状は、真円のみならず、縦長の楕円形状および横長の楕円形状を含む概念のものである。なお、
図2(a)~(c)は、それぞれ本発明のメタルガスケットの一実施態様を示す概略断面図である。
【0020】
メタルガスケット1の上下面には、例えば、
図3(a)に示されるように平面部1aが形成されていてもよく、
図3(b)に示されるように凸部(突起)1bが形成されていてもよく、
図3(c)に示されるように凹部1cが形成されていてもよく、
図3(d)に示されるように切り欠き部1dが形成されていてもよい。平面部1a、凸部1b、凹部1cおよび切り欠き部1dは、それぞれ、上下面の両面に形成されていてもよく、上面のみに形成されていてもよく、下面のみに形成されていてもよい。なお、
図3(a)~(d)は、それぞれ
図1(b)に示されるX-X部におけるメタルガスケットの他の実施態様の概略断面図である。
【0021】
メタルガスケット1は、その外周面にV字状の円周溝2を有する。V字状の円周溝2の底部は、
図4(a)に示されるように鋭角をなしていてもよく、
図4(b)に示されるように平面をなしていてもよく、
図4(c)に示されるように円弧状であってもよい。これらのV字状の円周溝2の形状のなかでは、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、
図4(a)に示されるように鋭角をなしていることが好ましい。なお、
図4(a)~(c)は、それぞれ
図1(b)に示されるX-X部におけるメタルガスケットの他の実施態様の概略断面図である。
【0022】
図5に示されるように、メタルガスケット1のV字状の円周溝の深さAと断面における水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値は、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、0.1以上、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.3以上、さらに好ましくは0.4以上、さらに一層好ましくは0.5以上であり、メタルガスケット1の機械的強度を高め、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、0.95以下、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.88以下、さらに好ましくは0.86以下である。なお、
図5は、本発明のメタルガスケット1のV字状の円周溝2の深さAおよびメタルガスケット1の水平方向の長さBに関する概略説明図である。
【0023】
メタルガスケット1のV字状の円周溝2と外周面との境界には、
図5に示されるように、円周溝2の端部3a,3bが2カ所存在する。円周溝の深さAは、それらのうちV字状の円周溝2の深さが深いほうの長さを意味する。
【0024】
メタルガスケット1の水平方向の長さBは、メタルガスケット1の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、メタルガスケット1の用途などに応じて適宜決定することが好ましいが、通常、1~15mm程度である。
【0025】
メタルガスケット1の厚さtは、メタルガスケット1の用途などによって異なるので一概には決定することができないことから、メタルガスケット1の用途に応じて適宜決定することが好ましいが、通常、1.5~15mm程度である。
【0026】
V字状の円周溝の切込み角度θは、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、30°以上、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上であり、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保する観点から、120°以下、好ましくは110°以下、より好ましくは100°以下である。
【0027】
以上のように構成されるメタルガスケット1は、小さい締め付け力でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保することができる。
【0028】
したがって、本発明のメタルガスケット1は、例えば、火力発電所、原子力発電所、スチームタービン船の蒸気機関、石油精製ライン、石油化学工業のプロセスライン、半導体製造ラインなどにおける配管同士を接続する際に好適に使用することができる。
【実施例】
【0029】
次に、本発明のメタルガスケットを実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。
【0030】
実施例1
メタルガスケットとして、
図1および
図5に示される断面形状を有するアルミニウム製メタルガスケット(表面硬度:22HV)を用いた。より具体的には、
図1および
図5に示されるメタルガスケット1において、メタルガスケット1の平面形状における外径Lが75mmであり、厚さtが3.5mmであり、V字状の円周溝の深さAが3mmであり、水平方向の長さBが3.5mmであり、深さAと水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値が0.86であり、V字状の円周溝の切込み角度が75°であるメタルガスケット1を用いた。
【0031】
前記メタルガスケット1のシール性を以下の評価方法に基づいて評価した。その結果、メタルガスケット1からのヘリウムガスの漏れ量は、1×10-9Pa・m3/s・mであった。前記シール性の評価結果を表1に示す。
【0032】
また、メタルガスケット1の圧縮性を以下の評価方法に基づいて評価した。その結果を表1に示す。なお、圧縮性が優れることは、ガスケットと試験プラテンとの間の間隙を消滅させるために必要な圧縮荷重が小さいことを意味する。
【0033】
〔シール性〕
ガスケットのシール性を評価する際に
図6に示されるガスケットのシール性の評価試験装置4を用いた。
図6は、ガスケットのシール性の評価試験装置4の概略説明図である。
【0034】
まず、シール性の評価試験装置4内にガスケット5を試験プラテン6a,6bの間に装着し、圧縮荷重25kN/mをガスケット5に付与した後、ヘリウムガスボンベ7のノズル7aからヘリウムガスを噴射させ、大気圧のヘリウムガスを評価試験装置4内に充満させた。
【0035】
次に、ヘリウムリークディテクター8を用い、ガスケット内を真空度が0.1Paとなるまで減圧し、当該真空度に到達してから5分間経過した時点でガスケットの外部からガスケットの内側の空間部に流入したヘリウムガスの漏れ量を測定した。
【0036】
前記で測定したヘリウムガスの漏れ量に基づき、シール性を以下の評価基準にしたがって評価した。
【0037】
(評価基準)
◎:ヘリウムガスの漏れ量が1×10-9Pa・m3/s・m以下である。
〇:ヘリウムガスの漏れ量が1×10-9Pa・m3/s・mを超え、1×10-8Pa・m3/s・m以下である。
△:ヘリウムガスの漏れ量が1×10-8Pa・m3/s・mを超え、1×10-6Pa・m3/s・m以下である。
×:ヘリウムガスの漏れ量が1×10-6Pa・m3/s・mを超える。
【0038】
〔圧縮性〕
図6に示されるガスケットのシール性の評価試験装置4を用い、ガスケット5を試験プラテン6a,6bの間に装着し、ガスケットを圧縮しながら試験プラテン6aの移動量をダイヤルゲージで測定し、式:
[圧縮率]=[(初期のガスケットの高さ)-(圧縮後のガスケットの高さ)]
÷[初期のガスケットの高さ]×100
に基づいて求められる圧縮率が17%に到達したときの圧縮荷重を測定し、以下の評価基準にしたがって圧縮性を評価した。
【0039】
(評価基準)
◎:圧縮荷重が50kN/m未満である。
〇:圧縮荷重が50kN/m以上、80kN/m未満である。
△:圧縮荷重が80kN/m以上、100kN/m未満である。
×:圧縮荷重が100kN/m以上である。
【0040】
〔総合評価〕
ガスケットのシール性および圧縮性の評価結果に基づき、◎を50点、〇を30点、△を10点、×を-10点とし、シール性の得点と圧縮性の特定とを合計し、その合計点を表1の総合評価の欄に記載し、ガスケットのシール性および圧縮性の評価結果のいずれかに×の評価が存在する場合には、総合評価の欄に「不合格」を記載した。なお、総合評価の最高得点は100点である。
【0041】
実施例2
メタルガスケットとして、
図1および
図5に示される断面形状を有するアルミニウム製メタルガスケット(表面硬度:22HV)を用いた。より具体的には、
図1および
図5に示されるメタルガスケット1において、メタルガスケット1の平面形状における外径Lが75mmであり、厚さtが3.5mmであり、V字状の円周溝の深さAが1.5mmであり、水平方向の長さBが3.5mmであり、深さAと水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値が0.43であり、V字状の円周溝の切込み角度が45°であるメタルガスケット1を用いた。
【0042】
前記メタルガスケット1のシール性および圧縮性を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。なお、前記メタルガスケット1を用いて実施例1と同様のシール性(1×10-9Pa・m3/s・m以下)を付与するために必要な圧縮荷重は、25kN/mであった。
【0043】
実施例3
メタルガスケットとして、
図1および
図5に示される断面形状を有するアルミニウム製メタルガスケット(表面硬度:22HV)を用いた。より具体的には、
図1および
図5に示されるメタルガスケット1において、メタルガスケット1の平面形状における外径Lが75mmであり、厚さtが3.5mmであり、V字状の円周溝の深さAが1mmであり、水平方向の長さBが3.5mmであり、深さAと水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値が0.29であり、V字状の円周溝の切込み角度が90°であるメタルガスケット1を用いた。
【0044】
前記メタルガスケット1のシール性および圧縮性を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。なお、前記メタルガスケット1を用いて実施例1と同様のシール性(1×10-9Pa・m3/s・m以下)を付与するために必要な圧縮荷重は、25kN/mであった。
【0045】
実施例4~31および比較例1~9
実施例1において、メタルガスケットの材質、
図1(b)に示されるメタルガスケット1の平面形状の外径Lと、
図5に示されるメタルガスケット1の厚さt、V字状の円周溝の深さA、断面における水平方向の長さB、V字状の円周溝の深さAと断面における水平方向の長さBとの比(円周溝の深さA/水平方向の長さB)の値(表1に「深さA/長さB」と表記)およびV字状の円周溝の切込み角度θ(表1に「角度θ」と表記)を表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてメタルガスケットを作製し、当該メタルガスケットのシール性および圧縮性を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0046】
なお、メタルガスケットの材質を表1の「材質」の欄に記載し、Alはアルミニウム〔硬度(HV):22〕、SUSはSUS304〔硬度(HV):202〕を示す。
【0047】
比較例10
従来のガスケットとして、ステンレス鋼(SUS304)製のメタル中空Oリング〔日本バルカー工業(株)製、品番:3640〕を用い、実施例1と同様にしてシール性および圧縮性を評価した。その結果を表1に示す。
【0048】
比較例11
従来のメタルガスケットとして、特開2003-156147号公報の
図2に示される断面に片仮名のコの字形状を有するステンレス鋼(SUS316L)製のメタルガスケットを用いた。より具体的には、当該
図2に示されるメタルガスケットにおいて、外径Dが75mmであり、半径方向の幅W
1が4mm、幅W
2が3mmであり、突端15、15間の幅dが2mmであるメタルガスケットを用いた。当該メタルガスケットのシール性および圧縮性を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0049】
比較例12
従来のリングガスケットとして、実開昭60-43766号公報の第1図および第2図に示されるように内周面にV字状の円周溝を有するステンレス鋼(SUS304)製のリングガスケットを用いた。より具体的には、当該第1図および第2図において、外径が75mmであり、断面形状が半径3mmの円形であり、中心Oから底部23までの距離dが0mmであり、開度(切込み角度)θが90°であるV字状の円周溝が内周面に形成されているリングガスケットを用いた。前記リングガスケットのシール性および圧縮性を実施例1と同様にして評価した。その結果を表1に示す。
【0050】
【0051】
表1に示された結果から、各実施例で得られたメタルガスケットでは、従来のメタル中空Oリング、メタルガスケットおよびリングガスケットと対比して、小さい締め付け力(圧縮荷重)でフランジ間を締め付けることによってシール性を確保することができることがわかる。
【符号の説明】
【0052】
1 メタルガスケット
1a 平面部
1b 凸部
1c 凹部
2 V字状の円周溝
3a 円周溝の端部
3b 円周溝の端部
4 シール性の評価試験装置
5 ガスケット
6a 試験プラテン
6b 試験プラテン
7 ヘリウムガスボンベ
7a ノズル
8 ヘリウムリークディテクター