IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カヤバ工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ダンパ 図1
  • 特許-ダンパ 図2
  • 特許-ダンパ 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】ダンパ
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/32 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
F16F9/32 P
F16F9/32 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018096878
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019203515
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-01-19
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】三橋 浩司
(72)【発明者】
【氏名】長峰 有佐
(72)【発明者】
【氏名】中原 学
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-197141(JP,A)
【文献】特開2015-068439(JP,A)
【文献】特開2014-029175(JP,A)
【文献】特開2005-337309(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/32- 9/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダと、前記シリンダ内に摺動自在に挿入されて前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、前記シリンダ内に挿入されるとともに前記ピストンに連結されるロッドと、前記シリンダの径方向外側に配置されて前記シリンダを覆って前記シリンダとの間に前記シリンダ内に連通されるリザーバを形成する外筒とを有するダンパであって、
前記シリンダと前記外筒のいずれか一方に対して摺動自在に装着されて前記リザーバ内に収容されるとともに前記リザーバに面する筒状のフリーピストンと、
前記シリンダと前記外筒のいずれか一方に取付けられて前記フリーピストンの内周或いは外周に摺接して前記フリーピストンとの間に気室を形成するストッパと、
前記気室を拡大する方向へ前記フリーピストンを付勢するばね要素とを備え、
前記ダンパの収縮作動時に、前記ロッドが前記シリンダ内に侵入する体積分の作動液体が前記シリンダから前記リザーバに排出されるとともに、前記フリーピストンが前記ストッパに接近することで前記リザーバに排出された作動液体の体積分だけ前記気室の容積を縮小させ、
前記ダンパの伸長作動時に、前記ロッドが前記シリンダ内から退出する体積分の作動液体が前記リザーバから前記シリンダに供給されるとともに、前記フリーピストンが前記ストッパから離間することで前記シリンダに供給された作動液体の体積分だけ前記気室の容積を拡大させる
ことを特徴とするダンパ。
【請求項2】
シリンダと、
前記シリンダ内に摺動自在に挿入されて前記シリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、
前記シリンダ内に挿入されるとともに前記ピストンに連結されるロッドと、
前記シリンダの径方向外側に配置されて前記シリンダを覆って前記シリンダとの間に前記シリンダ内に連通されるリザーバを形成する外筒と、
前記シリンダと前記外筒のいずれか一方に対して摺動自在に装着されて前記リザーバ内に収容される筒状のフリーピストンと、
前記シリンダと前記外筒のいずれか一方に取付けられて前記フリーピストンの内周或いは外周に摺接して前記フリーピストンとの間に気室を形成するストッパと、
前記気室を拡大する方向へ前記フリーピストンを付勢するばね要素とを備
前記フリーピストンは、前記シリンダと前記外筒のいずれか一方に摺接する環状のヘッド部と、前記ヘッド部から延びて前記ストッパに摺接する筒部とを有する
ことを特徴とするダンパ。
【請求項3】
前記シリンダから前記リザーバへ向かう作動液体の流れを許容するともに前記作動液体の流れに抵抗を与える減衰通路を備え、
前記減衰通路の前記リザーバ側の出口端と前記フリーピストンの前記ヘッド部とが対向している
ことを特徴とする請求項2に記載のダンパ。
【請求項4】
前記ばね要素は、コイルばねであって、
前記フリーピストンは、前記コイルばねの内周或いは外周をガイドするガイド部を有する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のダンパ。
【請求項5】
前記ばね要素は、前記コイルばねの両端に装着されて前記シリンダと前記外筒のいずれか一方に摺接する一対のスライダを有する
ことを特徴とする請求項4に記載のダンパ。
【請求項6】
前記ばね要素は、前記フリーピストンと前記ストッパとが最大限に離間した状態で前記フリーピストンに初期荷重を与える
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のダンパ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
ダンパは、機械や構造物、車両といった制振対象の振動を抑制するために幅広く使用されている。ダンパは、たとえば、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに仕切るピストンと、シリンダ内に挿入されてピストンに連結されるロッドとを備えており、伸縮時に伸側室と圧側室とに圧力差を生じさせて、伸縮に抵抗する減衰力を発揮する。
【0003】
通常、ダンパは、片ロッド型である場合にはロッドがシリンダに出入りする際の体積と作動液体の温度変化による体積変化を補償するため、両ロッド型である場合には作動液体の温度変化による体積変化を補償するため、気体と作動液体を貯留するリザーバを備える。
【0004】
このようなダンパが制振対象への取付姿勢に拘わらず設定通りの減衰力を発揮するには、リザーバ内の気体がシリンダ内に混入しないようにする必要があり、その場合、リザーバを気体と作動液体とが混ざらなように分離される構造のアキュムレータとするのが好ましい。
【0005】
たとえば、アキュムレータがロッド内に形成されるダンパがあるが、設置スペースに余裕がない場合、ダンパの外径が制限されてロッドを小径とせざるを得ず、アキュムレータの容量を確保できない場合がある(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
これに対して、シリンダの外周に外筒を設けてシリンダと外筒との間の環状隙間をアキュムレータとして利用するダンパがある(たとえば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2004-116552号公報
【文献】特開平11-82605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ダンパが最伸長した際には、シリンダ内が大気圧以下とならないように配慮する必要があり、ダンパが最収縮した際には、シリンダ内の圧力によりロッドをシリンダ内から押し出す力(ロッド反力)が過剰とならないように配慮する必要がある。このような要求を満たすため、アキュムレータを備えたダンパでは、アキュムレータでシリンダ内の伸側室と圧側室に予圧力を与える場合がある。
【0009】
しかしながら、設置スペースと制振対象に応じてシリンダおよび外筒の長さと肉厚が設計上一義的に決まってしまう。このように、シリンダと外筒との間をアキュムレータとして利用しようとすると、アキュムレータの容積が設計上一義的に決められてしまうために、ダンパが最伸長しても最収縮してもロッド反力が最適となるようにアキュムレータの特性を調整するのは非常に困難である。
【0010】
また、ダンパの外部に別体でアキュムレータを設ける構造を採用して、この問題を解決しようとすると、ダンパ全体が大型化するとともに、非対称形状となるためにダンパを設置スペースへ取付ける際に、他部品との干渉を招きかねず設置作業が非常に面倒となる。
【0011】
そこで、本発明は、アキュムレータの特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易なダンパの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した目的を達成するために、本発明は、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダ内に挿入されるとともにピストンに連結されるロッドと、シリンダの径方向外側に配置されてシリンダを覆ってシリンダとの間にシリンダ内に連通されるリザーバを形成する外筒とを有するダンパであって、シリンダと外筒のいずれか一方に対して摺動自在に装着されてリザーバ内に収容されるとともにリザーバに面する筒状のフリーピストンと、シリンダと外筒のいずれか一方に取付けられてフリーピストンの内周に摺接してフリーピストンとの間に気室を形成するストッパと、気室を拡大する方向へフリーピストンを付勢するばね要素とを備え、ダンパの収縮作動時に、ロッドがシリンダ内に侵入する体積分の作動液体がシリンダからリザーバに排出されるとともに、フリーピストンがストッパに接近することでリザーバに排出された作動液体の体積分だけ気室の容積を縮小させ、ダンパの伸長作動時に、ロッドがシリンダ内から退出する体積分の作動液体がリザーバからシリンダに供給されるとともに、フリーピストンがストッパから離間することでシリンダに供給された作動液体の体積分だけ気室の容積を拡大させている。また、他の発明のダンパは、シリンダと、シリンダ内に摺動自在に挿入されてシリンダ内を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、シリンダ内に挿入されるとともにピストンに連結されるロッドと、シリンダの径方向外側に配置されてシリンダを覆ってシリンダとの間にシリンダ内に連通されるリザーバを形成する外筒と、シリンダと外筒のいずれか一方に対して摺動自在に装着されてリザーバ内に収容される筒状のフリーピストンと、シリンダと外筒のいずれか一方に取付けられてフリーピストンの内周に摺接してフリーピストンとの間に気室を形成するストッパと、気室を拡大する方向へフリーピストンを付勢するばね要素とを備え、フリーピストンは、シリンダと外筒のいずれか一方に摺接する環状のヘッド部と、ヘッド部から延びてストッパに摺接する筒部とを有している。
【0013】
このように構成されたダンパは、リザーバをアキュムレータとして機能させるとともに、アキュムレータ容積に寄与するフリーピストンのリザーバ内での移動による押し退け容積をリザーバ内で許容される限りにおいて任意に設定できる。また、リザーバをアキュムレータとして機能させるフリーピストン、ストッパおよびばね要素は、シリンダと外筒との間のリザーバ内に収容されるので、ダンパの大型化や非対称形状となるのを回避でき、ダンパを設置スペースへ取付ける際に他部品との干渉を招かずに済む。
【0014】
また、他の発明のダンパは、シリンダからリザーバへ向かう作動液体の流れを許容するとともに作動液体の流れに抵抗を与える減衰通路を備え、減衰通路のリザーバ側の出口端とフリーピストンのヘッド部とを対向させてもよい。このように構成されたダンパは、収縮作動時に減衰通路からリザーバへ排出される作動液体が噴流となって筒部内に進入するのを防止でき、リザーバ内での気泡の発生を防止できる。
【0015】
さらに、ダンパは、ばね要素がコイルばねであって、フリーピストンがコイルばねの外周をガイドするガイド部を備えていてもよく、この場合は、ばね要素とフリーピストンのストッパが摺接する内周面との干渉が防止されて、フリーピストンが長期間に亘って円滑にシリンダに対して軸方向移動可能となる。
【0016】
また、ダンパは、ばね要素がコイルばねの両端に装着されてシリンダと外筒のいずれか一方に摺接する一対のスライダを有していてもよく、この場合、ばね要素の圧縮時の座屈が防止されてフリーピストンが長期間に亘って円滑にシリンダに対して軸方向移動可能となる。
【0017】
さらに、ダンパは、ばね要素がフリーピストンとストッパとが最大限に離間した状態でフリーピストンに初期荷重を与えてもよく、このように構成されたダンパは、応答性よく圧側減衰力を発揮できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のダンパによれば、アキュムレータの特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】一実施の形態におけるダンパの断面図である。
図2】一実施の形態の第一変形例におけるダンパの断面図である。
図3】一実施の形態の第二変形例におけるダンパの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。一実施の形態におけるダンパD1は、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2を区画するピストン2と、シリンダ1内に挿入されるとともにピストン2に連結されるロッド3と、シリンダ1の径方向外側に配置されてシリンダ1との間にリザーバRを形成する外筒4と、シリンダ1の外周に摺動自在に装着される筒状のフリーピストン5と、シリンダ1の外周に取付けられてフリーピストン5の内周に摺接してフリーピストン5との間に気室Gを形成するストッパ6と、気室Gを拡大する方向へフリーピストン5を付勢するばね要素Sとを備えている。
【0021】
以下、ダンパD1の各部について詳細に説明する。シリンダ1の一端には、バルブケース7が嵌合されており、他端にはロッドガイド8が嵌合されている。また、シリンダ1の径方向外側には、シリンダ1の外周を覆ってシリンダ1との間にシリンダ1内に連通されるリザーバRを形成する外筒4が設けられている。外筒4の一端は、キャップ9によって閉塞され、外筒4の他端はロッドガイド8によって閉塞されている。シリンダ1は、外筒4に装着されるロッドガイド8とキャップ9に当接するバルブケース7によって挟持されて外筒4内に収容されつつ固定されている。
【0022】
さらに、シリンダ1は、図1中で中央付近から左端にかけて外周が小径とされて外周小径部1aを備えており、外周小径部1aから図1中右端の外径が外周小径部1aより大径となっていて段部1bが設けられている。
【0023】
ピストン2は、シリンダ1内に摺動自在に挿入されており、シリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2とに区画している。伸側室R1および圧側室R2には、それぞれ、作動液体として作動油が充填されている。なお、作動液体は、本例では、作動油とされているが、水や水溶液等といった他の液体とされてもよい。
【0024】
ピストン2は、伸側室R1と圧側室R2とを連通する整流通路2aと、整流通路2aに設置されて圧側室R2から伸側室R1へ向かう作動油の流れのみを許容するチェック弁2bとを備えている。
【0025】
また、バルブケース7は、シリンダ1内に嵌合する小径部7aと、外筒4の内周に嵌合される大径部7bとを備えている。また、バルブケース7は、小径部7aの図1中左端から開口して大径部7bの図1中左端に通じて圧側室R2とリザーバRとを連通する吸込通路7cと、吸込通路7cに設置されてリザーバRから圧側室R2へ向かう作動油の流れのみを許容するチェック弁7dとを備えている。
【0026】
さらに、ロッドガイド8は、環状であって、シリンダ1内に嵌合する小径部8aと、外筒4の内周に嵌合する大径部8bとを備えている。また、ロッドガイド8は、小径部8aの図1中右端から開口して大径部8bの図1中右端に通じて伸側室R1とリザーバRとを連通する排出通路8cと、排出通路8cに設置されて伸側室R1からリザーバRへ向かう作動油の流れのみを許容するとともに通過する作動油の流れに抵抗を与える減衰弁8dとを備えている。そして、本実施の形態では、排出通路8cと減衰弁8dとで減衰通路DPが構成されている。
【0027】
ロッド3は、一端がロッドガイド8内を通してシリンダ1内に移動自在に挿入されてピストン2に連結されるとともに他端をシリンダ1外に突出させている。本例では、ダンパD1は、ロッド3が伸側室R1内にのみ挿通される所謂片ロッド型のダンパとされているが、圧側室R2にも挿通されてロッド3の両端がシリンダ1の両端側からそれぞれ外方へ突出する所謂両ロッド型のダンパとされていてもよい。ダンパD1は、制振対象に連結できるように、キャップ9とロッド3の他端の双方にブラケット3a,9aを備えている。
【0028】
ストッパ6は、環状であって、内周と外周に設けた環状溝6a,6b内にそれぞれ装着されるシールリング6c,6dを備えており、シリンダ1の外周小径部1aの外周に嵌合されており、シリンダ1に対して軸方向への移動が許容されている。ストッパ6は、シリンダ1に設けた段部1bに当接しており、シリンダ1に対して図1中右方への移動が規制されている。
【0029】
フリーピストン5は、リザーバR内に収容されており、シリンダ1の外周小径部1aの外周に摺接する環状のヘッド部5aと、ヘッド部5aの図1中右端外周から右方へ延びる筒部5bと、ヘッド部5aの内周に設けた環状溝5cに装着されるシールリング5dとを備えて筒形状となっている。そして、フリーピストン5は、シリンダ1の外周小径部1aの外周に装着されるとヘッド部5aが外周小径部1aの外周に摺接し、筒部5bの内周がストッパ6の外周に摺接し、シリンダ1およびストッパ6に対して軸方向へ移動可能である。また、シリンダ1の外周小径部1aの外周には、ロッドガイド8の大径部8bの図1中左端に当接する環状のストッパカラー10が装着されており、フリーピストン5がストッパカラー10に当接するとフリーピストン5の図1中左方への移動が規制される。よって、ストッパカラー10がフリーピストン5の図1中左方への移動限界を決定しているが、ストッパカラー10の代わりにシリンダ1の外周にCリングやピンを装着してフリーピストン5の前記移動限界を規制してもよい。
【0030】
また、このようにフリーピストン5とストッパ6をシリンダ1の外周に装着すると、シリンダ1の外周であってフリーピストン5とストッパ6との間に気室Gが形成される。フリーピストン5とシリンダ1との間はシールリング5dにより、ストッパ6とシリンダ1との間はシールリング6cにより、フリーピストン5とストッパ6との間はシールリング6dにより、それぞれシールされており、気室Gは、気密に保持されている。なお、気室Gには、気体が封入されている。フリーピストン5の外径は、外筒4の内径よりも小さく、フリーピストン5と外筒4との間には、作動油の通過を許容する隙間が形成される。
【0031】
また、ヘッド部5aの内周には図1中右端に開口する環状凹部5eが設けられている。そして、フリーピストン5のヘッド部5aは、ロッドガイド8の大径部8bの図1中左端に臨んでおり、減衰通路DPのリザーバR側の出口端に対向している。
【0032】
ばね要素Sは、コイルばね11と、コイルばね11の両端にそれぞれ嵌合される一対のスライダ12,13とを備えており、フリーピストン5のヘッド部5aとストッパ6との間に介装されて気室Gを拡大する方向である図1中左方へ向けてフリーピストン5を付勢している。ばね要素Sは、フリーピストン5が最大限離間する状態、つまり、フリーピストン5がストッパカラー10に当接して図1中左方への移動が規制された状態でも、自然長から圧縮された状態にあって気室Gを拡大する方向へフリーピストン5を付勢している。このようにばね要素Sは、フリーピストン5がストッパカラー10に当接する状態で自然長よりも圧縮された状態でフリーピストン5とストッパ6との間に介装されており、この状態でフリーピストン5に初期荷重と称される付勢力を作用させている。よって、ばね要素Sは、常に、気室Gを拡大する方向へフリーピストン5を付勢している。
【0033】
スライダ12,13は、ともに環状であって、コイルばね11の端部に当接する鍔部12a,13aと、鍔部12a,13aの内周からコイルばね11側へ向けて突出してコイルばね11の内周に嵌合する嵌合部12b,13bとを備えている。そして、スライダ12,13は、内周をシリンダ1の外周小径部1aの外周に摺接させており、シリンダ1の外周を滑動して図1中左右方向となる軸方向への移動が許容される。このようにばね要素Sは、シリンダ1の外周に摺接するスライダ12,13を備えているので、コイルばね11の内周とシリンダ1の外周との間にスライダ12,13の嵌合部12b,13bの厚み分の隙間が形成される。このように、スライダ12,13によって、シリンダ1のフリーピストン5が摺動する摺動面である外周小径部1aの外周面とコイルばね11との干渉が防止されている。また、ばね要素Sの図1中左端は、フリーピストン5のヘッド部5aの環状凹部5e内に挿入されており、コイルばね11が縮められた際にヘッド部5aによってコイルばね11がガイドされて座屈が抑制される。よって、フリーピストン5のヘッド部5aは、コイルばね11をガイドするガイド部として機能して、コイルばね11とフリーピストン5の筒部5bの内周との干渉が防止される。
【0034】
ダンパD1は、以上のように構成され、以下にダンパD1の作動について説明する。まず、ダンパD1が伸長作動する場合の作動を説明する。ダンパD1が伸長作動してピストン2がシリンダ1に対して図1中左方へ移動すると、伸側室R1が圧縮されて圧側室R2の容積が拡大される。すると、圧縮される伸側室R1内の作動油は、減衰通路DPを通過してリザーバRへ移動する。また、拡大する圧側室R2には、吸込通路7cを介してリザーバRから作動油が供給される。
【0035】
そして、前記した減衰通路DPを介して伸側室R1からリザーバRへ向かう作動油の流れに対して、減衰弁8dが抵抗を与えるので、伸側室R1内の圧力が上昇する一方、圧側室R2はリザーバR内の圧力と等しくなる。よって、伸側室R1と圧側室R2の圧力に差が生じ、ダンパD1は、圧力差に見合った伸長作動を妨げる方向の伸側減衰力を発揮する。
【0036】
なお、ダンパD1の伸長作動時では、シリンダ1からロッド3が退出する体積分の作動油をシリンダ1内に供給するためにリザーバR内において作動油量が減少するが、フリーピストン5がストッパ6から離間して減少分の作動油体積分だけ気室Gの容積を拡大させる。このように、ダンパD1の伸長作動時において、シリンダ1からロッド3が退出する体積は、気室Gを拡大させるようにフリーピストン5がリザーバR内で移動するために補償される。
【0037】
ダンパD1が収縮作動する場合の作動を説明する。ダンパD1が収縮作動してピストン2がシリンダ1に対して図1中右方へ移動すると、圧側室R2が圧縮されて伸側室R1の容積が拡大される。すると、圧縮される圧側室R2内の作動油は、チェック弁2bを押し開いて整流通路2aを通過して伸側室R1へ移動する。また、ロッド3がシリンダ1内へ進入する体積分の作動油は、シリンダ1内で過剰となり、この過剰分の作動油は、減衰通路DPを介してリザーバRへ排出される。そして、前記した減衰通路DPを介して伸側室R1からリザーバRへ向かう作動油の流れに対して、減衰弁8dが抵抗を与えるので、伸側室R1と圧側室R2の圧力は、共に等しく上昇する。本実施の形態では、ダンパD1は、片ロッド型のダンパであって、ピストン2の伸側室R1側の受圧面積より圧側室R2側の受圧面積が大きいため、収縮作動を妨げる圧側減衰力を発揮する。
【0038】
なお、ダンパD1の収縮作動時には、ロッド3がシリンダ1内に進入するために、ロッド3がシリンダ1内に進入する体積分の作動油がシリンダ1からリザーバRへ排出される。そのため、リザーバR内において作動油量が増大するが、フリーピストン5がストッパ6へ接近して増大分の作動油体積分だけ気室Gの容積を縮小させる。このように、ダンパD1の収縮作動時において、ロッド3がシリンダ1内へ侵入する体積は、気室Gを縮小させるようにフリーピストン5がリザーバR内で移動するために補償される。
【0039】
そして、リザーバR内の作動油量は、ダンパD1が最伸長した場合に最も少なく、ダンパD1が最収縮した場合に最も多くなる。よって、フリーピストン5は、ダンパD1が最伸長する場合にストッパ6からヘッド部5aが最も遠ざかって気室Gの容積を最大とし、ダンパD1が最収縮する場合にストッパ6にヘッド部5aが最も近寄って気室Gの容積を最小とする。リザーバR内の作動油は、ばね要素Sおよび気室G内の気体が発揮する弾発力によってフリーピストン5を介して加圧されている。つまり、フリーピストン5、ストッパ6およびばね要素Sとシリンダ1によって、リザーバRはアキュムレータとして機能して、リザーバRに連通されるシリンダ1内を常に加圧するとともに、シリンダ1に出入りするロッド3の体積を補償している。
【0040】
このように本発明のダンパD1は、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2を区画するピストン2と、シリンダ1内に挿入されるとともにピストン2に連結されるロッド3と、シリンダ1の外側に配置されてシリンダ1を覆ってシリンダ1との間にシリンダ1内に連通されるリザーバRを形成する外筒4と、シリンダ1に対して摺動自在に装着されてリザーバR内に収容される筒状のフリーピストン5と、シリンダ1に取付けられてフリーピストン5の内周に摺接してフリーピストン5との間に気室Gを形成するストッパ6と、気室Gを拡大する方向へフリーピストン5を付勢するばね要素Sとを有している。
【0041】
このように構成されたダンパD1は、リザーバRをアキュムレータとして機能させるとともに、アキュムレータ容積に寄与するフリーピストン5のリザーバR内での移動による押し退け容積をリザーバR内で許容される限りにおいて任意に設定できる。よって、本発明のダンパD1では、最伸長から最収縮までロッド反力が適切となるようにアキュムレータ容積を調整でき、アキュムレータ特性をダンパD1に最適となるようにチューニングできる。
【0042】
また、リザーバRをアキュムレータとして機能させるフリーピストン5、ストッパ6およびばね要素Sは、シリンダ1と外筒4との間のリザーバR内に収容されるので、ダンパD1の大型化や非対称形状となるのを回避でき、ダンパD1を設置スペースへ取付ける際に他部品との干渉を招かずに済む。以上より、本発明のダンパD1によれば、アキュムレータ特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。
【0043】
また、本発明のダンパD1では、シリンダ1にフリーピストン5とストッパ6を装着するので、フリーピストン5とストッパ6とがシリンダ1に調心されるので、組付性もよく、シリンダ1を利用するのでリザーバRをアキュムレータとして機能させる上で部品点数の増加を抑制できるからダンパD1が安価となる。
【0044】
本実施の形態では、シリンダ1の外周に外周小径部1aを形成して段部1bを設けて、この段部1bをストッパ6に当接させてストッパ6のフリーピストン5からの離間を規制している。外周小径部1aを形成して段部1bを設ける代わりにシリンダ1の外周にCリングを装着して、Cリングでストッパ6の移動を規制してもよい。ただし、シリンダ1に加工を施して外周小径部1aを設ける場合、ストッパ6の移動を規制する追加の部品も不要となる利点がある。また、外周小径部1aを研削加工によって設ける場合、シリンダ1におけるフリーピストン5の摺動面を滑らかとする加工も不要となる。
【0045】
また、本実施の形態のダンパD1は、シリンダ1からリザーバRへ向かう作動油(作動液体)の流れを許容するとともに作動油(作動液体)の流れに抵抗を与える減衰通路DPを備え、フリーピストン5がシリンダ1に摺接する環状のヘッド部5aとヘッド部5aから延びてストッパ6に摺接する筒部5bとを有し、減衰通路DPのリザーバR側の出口端とフリーピストン5のヘッド部5aとが対向している。フリーピストン5を図1に示した配置とは左右が逆に取付ける場合、つまり、ヘッド部5aを図1中右方へ筒部5bを図1中左方へ向けて配置し、シリンダ1についても左右逆向きとに取付ける。この場合、ストッパ6と筒部5bとが減衰通路DPのリザーバR側の出口端に対向するため、ダンパD1の収縮作動時に減衰通路DPを通過した作動油がポケット状となる筒部5b内が噴流となって勢いよく流入すると筒部5b内で気泡が発生する可能性がある。これに対して図1に示すようにヘッド部5aを減衰通路DPの出口端に対向させたダンパD1では、収縮作動時に減衰通路DPからリザーバRへ排出される作動油(作動液体)が噴流となって筒部5b内に進入するのを防止でき、リザーバR内での気泡の発生を防止できる。なお、筒部5bと減衰通路DPの出口端との間に十分な間隔があって、減衰通路DPを通過した作動油が筒部5b内に進入する際に十分に減速される場合には、筒部5bを減衰通路DPのリザーバR側の出口端に対向させてもよい。
【0046】
さらに、本実施の形態のダンパD1は、ばね要素Sがコイルばね11であって、フリーピストン5がコイルばね11の外周をガイドするガイド部(ヘッド部5a)を備えているので、ばね要素Sとフリーピストン5のストッパ6が摺接する内周面との干渉が防止される。よって、フリーピストン5は、長期間に亘って円滑にシリンダ1に対して軸方向移動可能である。
【0047】
また、本実施の形態のダンパD1は、ばね要素Sがコイルばね11の両端に装着されてシリンダ1に摺接する一対のスライダ12,13を有しており、ばね要素Sの圧縮時の座屈が防止される。よって、フリーピストン5は、長期間に亘って円滑にシリンダ1に対して軸方向移動可能である。なお、図2に示すように、ばね要素Sの全長が長くなる場合、複数のコイルばね18,19をシリンダ1の外周に摺接する中間スライダ20で直列に接続して、コイルばね18とコイルばね19の中間スライダ20で接続されていない端部のそれぞれにスライダ12,13を装着するようにしてもよい。このようにすると、ばね要素Sの全長が長くとも、コイルばね18,19がシリンダ1側に撓んでシリンダ1の外周に干渉するのを防止できる。
【0048】
さらに、本実施の形態のダンパD1は、ばね要素Sがフリーピストン5とストッパ6とが最大限に離間した状態でフリーピストン5に初期荷重を与えている。このように構成されたダンパD1では、リザーバR内が常に加圧されるので、ダンパD1が伸長作動時に拡大する圧側室R2内にリザーバRから作動油を充分に供給でき、シリンダ1内での作動油の吸込不良が発生しにくくなる。よって、ダンパD1が伸長作動してから収縮作動する際にあっても、シリンダ1内が速やかに昇圧されるので、ダンパD1は応答性よく圧側減衰力を発揮できる。詳しくは、ダンパD1の伸長作動時にシリンダ1内で吸込不良が生じると、ダンパD1が伸長作動から収縮作動に転じる際にシリンダ1内で圧力がなかなか上昇せずに圧側減衰力の発揮が時間的に遅れる「から走り」と称される現象が生じるが、前述したようにフリーピストン5に初期荷重を与えると「から走り」の発生を抑制できるのである。
【0049】
なお、図1に示したダンパD1の構成に代えて、フリーピストン14とストッパ15は、図3に示す第一変形例のダンパD2のように、外筒4の内周に装着されてもよい。この場合、ストッパ15は、環状であって、外筒4の内周に装着されており内周と外周にそれぞれ設けた環状溝15a,15bに装着されるシールリング15c,15dを備えている。ストッパ15は、外筒4の内周に装着されるCリング16によって、図3中右方への移動が規制されている。
【0050】
フリーピストン14は、外筒4の内周に摺接する環状のヘッド部14aと、ヘッド部14aの図2中右端内周から図3中右方へ延びる筒部14bと、ヘッド部14aの内周に設けた環状溝14cに装着されるシールリング14dとを備えて筒形状となっている。そして、フリーピストン14は、外筒4の内周に装着されるとヘッド部14aが外筒4の内周に摺接し、筒部14bの外周がストッパ15の内周に摺接し、外筒4およびストッパ15に対して軸方向へ移動可能である。また、外筒4の内周であって図3中左端近傍には、Cリング17が装着されており、フリーピストン14がCリング17に当接するとフリーピストン14の図3中左方への移動が規制される。
【0051】
また、このようにフリーピストン14とストッパ15を外筒4の外周に装着すると、外筒4の内周であってフリーピストン14とストッパ15との間に気室Gが形成される。フリーピストン14と外筒4との間はシールリング14dにより、ストッパ15と外筒4との間はシールリング15cにより、フリーピストン14とストッパ15との間はシールリング15dにより、それぞれシールされており、気室Gは、気密に保持されている。なお、気室Gには、気体が封入されている。フリーピストン14の内径は、シリンダ1の外径よりも小さく、フリーピストン14とシリンダ1との間には、作動油の通過を許容する隙間が形成される。また、ヘッド部14aの内周には図3中右端に開口する環状凹部14eが設けられている。そして、フリーピストン14のヘッド部14aは、ロッドガイド8の大径部8bの図1中左端に臨んでおり、減衰通路DPのリザーバR側の出口端に対向している。
【0052】
なお、ばね要素Sは、コイルばね21と、コイルばね21の両端の外周に嵌合されて装着されて外筒4の内周に摺接するスライダ22,23とを備えており、一端がフリーピストン14のヘッド部14aの環状凹部14e内に挿入されている。
【0053】
このように図3に示したダンパD2は、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されてシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2を区画するピストン2と、シリンダ1内に挿入されるとともにピストン2に連結されるロッド3と、シリンダ1の外側に配置されてシリンダ1を覆ってシリンダ1との間にシリンダ1内に連通されるリザーバRを形成する外筒4と、外筒4に対して摺動自在に装着されてリザーバR内に収容される筒状のフリーピストン14と、外筒4に取付けられてフリーピストン14の内周に摺接してフリーピストン14との間に気室Gを形成するストッパ15と、気室Gを拡大する方向へフリーピストン14を付勢するばね要素Sとを有している。
【0054】
このように構成されたダンパD2は、ダンパD1と同様に、リザーバRをアキュムレータとして機能させるとともに、アキュムレータ容積に寄与するフリーピストン14のリザーバR内での移動による押し退け容積をリザーバR内で許容される限りにおいて任意に設定できる。よって、本発明のダンパD2では、最伸長から最収縮までロッド反力が適切となるようにアキュムレータ容積を調整でき、アキュムレータ特性をダンパD2に最適となるようにチューニングできる。
【0055】
また、リザーバRをアキュムレータとして機能させるフリーピストン14、ストッパ15およびばね要素Sは、シリンダ1と外筒4との間のリザーバR内に収容されるので、ダンパD2の大型化や非対称形状となるのを回避でき、ダンパD2を設置スペースへ取付ける際に他部品との干渉を招かずに済む。以上より、本発明のダンパD2によれば、アキュムレータ特性の最適化が容易で、かつ、設置作業も容易となる。
【0056】
また、本発明のダンパD2では、外筒4にフリーピストン14とストッパ15を装着するので、フリーピストン14とストッパ15とが外筒4に調心されるので、組付性もよく、外筒4を利用するのでリザーバRをアキュムレータとして機能させる上で部品点数の増加を抑制できるからダンパD2が安価となる。
【0057】
なお、外筒4の内周の一部に内径が大径となる内径大径部を設けて、この内径大径部にフリーピストン14とストッパ15を装着し、内径大径部の境に形成される段部でストッパ15の移動を規制してもよい。また、ダンパD2にあっても、ヘッド部14aを減衰通路DPのリザーバR側の出口端に対向させているので、リザーバR内での気泡の発生を防止できる。
【0058】
さらに、本実施の形態のダンパD2は、ばね要素Sがコイルばね11であって、ばね要素Sの図3中左端がフリーピストン14のヘッド部14aの環状凹部14e内に挿入されており、コイルばね11が縮められた際にヘッド部14aによってコイルばね11がガイドされて座屈が抑制される。よって、このダンパD2にあっても、フリーピストン14がコイルばね11の内周をガイドするガイド部(ヘッド部14a)を備えているので、ばね要素Sとフリーピストン14のストッパ15が摺接する内周面との干渉が防止される。よって、フリーピストン14は、長期間に亘って円滑にシリンダ1に対して軸方向移動可能である。
【0059】
また、本実施の形態のダンパD2におけるばね要素Sがコイルばね11の両端に装着されて外筒4に摺接する一対のスライダ22,23を有しており、ばね要素Sの圧縮時の座屈を防止できる。よって、フリーピストン14は、長期間に亘って円滑にシリンダ1に対して軸方向移動可能である。
【0060】
さらに、本実施の形態のダンパD2にあっても、ばね要素Sがフリーピストン14とストッパ15とが最大限に離間した状態でフリーピストン14に初期荷重を与えるようにすれば、シリンダ1内での作動油の吸込不良が発生しにくくなる。よって、ダンパD2が伸長作動してから収縮作動する際にあっても、シリンダ1内が速やかに昇圧されるので、ダンパD2は応答性よく圧側減衰力を発揮できる。
【0061】
また、本実施の形態のダンパD1,D2では、ばね要素Sがコイルばね11,18,19を備えているが、これに代えて気室Gに封入した気体の圧力でフリーピストン5,14を付勢するエアばねとしてもよいし、コイルばねとエアばねとの組み合わせたものをばね要素Sとしてもよい。さらには、ばね要素Sは、コイルばねに代えてゴムなどの弾性体で構成されてもよい。
【0062】
なお、前述したところでは、ダンパD1,D2は、伸縮作動時において作動油がリザーバR、圧側室R2、伸側室R1の順に循環するユニフロー型のダンパとして構成されているが、バイフロー型のダンパとされてもよい。バイフロー型のダンパとする場合、たとえば、整流通路2aを廃止して伸側室R1から圧側室R2へ向かう作動油の流れに抵抗を与える伸側通路と圧側室R2から伸側室R1へ向う作動油の流れに抵抗を与える圧側通路とをピストン2に設け、ロッドガイド8の減衰通路DPを廃止してバルブケース7に圧側室R2からリザーバRへ向かう作動油の流れに抵抗を与える減衰通路を設ければよい。この場合、フリーピストン5,14のヘッド部5a,14aは、バルブケース7側へ向けて配置して減衰通路のリザーバR側の出口端へ対向させるとリザーバR内での気泡の発生を抑制できる。前記したバイフロー型ダンパの構成は、一例であって他の構成であってもよく、リザーバRをアキュムレータとして機能させる本発明の構造は、種々のダンパに適用可能である。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱しない限り、改造、変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0064】
1・・・シリンダ、2・・・ピストン、3・・・ロッド、4・・・外筒、5,14・・・フリーピストン、5a,14a・・・ヘッド部、5b,14b・・・筒部、6,15・・・ストッパ、11,18,19,21・・・コイルばね、12,13,22,23・・・スライダ、D1,D2・・・ダンパ、DP・・・減衰通路、G・・・気室、S・・・ばね要素、R・・・リザーバ、R1・・・伸側室、R2・・・圧側室
図1
図2
図3