(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】半導体装置及び半導体装置システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20220615BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20220615BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20220615BHJP
H03K 17/16 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L27/06 311A
H01L27/06 311B
H03K17/16 D
(21)【出願番号】P 2018231270
(22)【出願日】2018-12-11
【審査請求日】2021-06-11
(73)【特許権者】
【識別番号】302062931
【氏名又は名称】ルネサスエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】成田 幸輝
【審査官】市川 武宜
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-115339(JP,A)
【文献】国際公開第2014/188514(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0241021(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/822
H01L 27/04
H01L 27/06
H03K 17/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1端子と第2端子との間の電圧が、電源電圧より高く内部回路の破壊耐圧より低い閾値を超えた場合、検出信号を出力する電圧検出回路と、
入力された前記検出信号を増幅し、駆動信号を出力する第1アンプ回路と、
前記第1アンプ回路に入力される前記検出信号を帰還増幅する第2アンプ回路と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続され、前記駆動信号の大きさに応じて放電能力が変化する放電素子と、を備
え、
前記第2アンプ回路は前記第1アンプ回路よりも遅れて動作を開始する、
半導体装置。
【請求項2】
前記第1アンプ回路は、過渡検出回路を含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記過渡検出回路は、前記第1端子と前記第2端子との間において直列に接続された抵抗とキャパシタとを含むRC回路である、
請求項
2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記電圧検出回路は、
直列に接続された複数の整流素子からなる整流素子ストリングと、
前記第1端子と前記第2端子との間において前記整流素子ストリングと直列に接続された抵抗とを含む、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記整流素子は、ダイオード素子とダイオード接続されたMOSトランジスタとのいずれかである、
請求項
4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1端子が高電位側端子であり、前記第2端子が低電位側端子であり、
前記放電素子は、前記第1端子にソースが接続され、前記第2端子にドレインが接続された第1のPMOSトランジスタを備える、
前記第1アンプ回路は、
前記第1端子にソースが接続され、前記検出信号がゲートに入力される第2のPMOSトランジスタと、
前記第2のPMOSトランジスタのドレインに一端が接続され、前記第2端子に他端が接続された第1抵抗と、
前記第2のPMOSトランジスタと前記第1抵抗との接続ノードに入力が接続され、前記第1のPMOSトランジスタのゲートに前記駆動信号を出力する第1出力回路と、を備えた、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2アンプ回路は、
前記第1端子にソースが接続され、前記検出信号がゲートに入力される第3のPMOSトランジスタと、
前記第3のPMOSトランジスタのドレインに一端が接続され、前記第2端子に他端が接続された第2抵抗と、
前記第3のPMOSトランジスタと前記第2抵抗との接続ノードに入力が接続された第2出力回路と、
前記第2出力回路の出力信号がゲートに入力される第4のPMOSトランジスタと、を備え、
第4のPMOSトランジスタのソースは、前記第3のPMOSトランジスタのゲートに直接もしくは前記電圧検出回路を構成する複数の整流素子の少なくとも1つを介して接続されており、
第4のPMOSトランジスタのドレインは、前記第2端子に直接もしくは前記複数の整流素子の少なくとも1つを介して接続されている、
請求項
6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1端子が高電位側端子であり、前記第2端子が低電位側端子であり、
前記放電素子は、前記第2端子にソースが接続され、前記第1端子にドレインが接続された第1のNMOSトランジスタを備え、
前記第1アンプ回路は、
前記第2端子にソースが接続され、前記検出信号がゲートに入力される第2のNMOSトランジスタと、
前記第2のNMOSトランジスタのドレインに一端が接続され、前記第1端子に他端が接続された第1抵抗と、
前記第2のNMOSトランジスタと前記第1抵抗との接続ノードに入力が接続され、前記第1のNMOSトランジスタのゲートに前記駆動信号を出力する第1出力回路と、を備えた、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第2アンプ回路は、
前記第2端子にソースが接続され、前記検出信号がゲートに入力される第3のNMOSトランジスタと、
前記第3のNMOSトランジスタのドレインに一端が接続され、前記第1端子に他端が接続された第2抵抗と、
前記第3のNMOSトランジスタと前記第2抵抗との接続ノードに入力が接続された第2出力回路と、
前記第2出力回路の出力信号がゲートに入力される第4のNMOSトランジスタと、を備え、
第4のNMOSトランジスタのソースは、前記第3のNMOSトランジスタのゲートに直接もしくは前記電圧検出回路を構成する複数の整流素子の少なくとも1つを介して接続されており、
第4のNMOSトランジスタのドレインは、前記第1端子に直接もしくは前記複数の整流素子の少なくとも1つを介して接続されている、
請求項
8に記載の半導体装置。
【請求項10】
ロジック回路及びアナログ回路を含む内部回路が形成された内部回路領域と、
前記内部回路領域の周囲に設けられた周辺I/O領域と、
前記周辺I/O領域に設けられ、第1端子に接続された第1電源セルと、
前記周辺I/O領域に設けられ、第2端子に接続された第2電源セルと、
前記第1電源セル及び前記第2電源セルの少なくとも一方に設けられた半導体装置と、を備え、
前記半導体装置は、
前記第1端子と前記第2端子との間の電圧が、電源電圧より高く前記内部回路の破壊耐圧より低い閾値を超えた場合、検出信号を出力する電圧検出回路と、
入力された前記検出信号を増幅し、駆動信号を出力する第1アンプ回路と、
前記第1アンプ回路に入力される前記検出信号を帰還増幅する第2アンプ回路と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続され、前記駆動信号の大きさに応じて放電能力が変化する放電素子と、を備
え、
前記第2アンプ回路は、前記第1アンプ回路よりも遅れて動作を開始する、
半導体装置システム。
【請求項11】
前記第1アンプ回路は、過渡検出回路を含む、
請求項
10に記載の半導体装置システム。
【請求項12】
1つの半導体チップ上に形成されている、
請求項
10に記載の半導体装置システム。
【請求項13】
第1端子と第2端子との間の電圧が、所定の電圧を超えた場合に検出信号を出力する電圧検出回路と、
前記電圧検出回路に接続され前記検出信号が供給される第1入力ノードと、第1出力ノードとを有し、第1入力ノードに供給される信号を増幅し、前記第1出力ノードを介して駆動信号を出力する第1アンプ回路と、
前記検出信号が供給され、前記検出信号を増幅した増幅信号を前記第1入力ノードに出力する第2アンプ回路と、
前記第1端子と前記第2端子との間に接続され、前記駆動信号に基づき前記第1端子と前記第2端子との間に流れる放電電流を制御する放電素子と、を備え、
前記第1アンプ回路は、前記第1入力ノードに前記検出信号が供給された場合に第1駆動信号を出力し、前記第1入力ノードに前記第2アンプ回路の増幅信号が供給された場合に第2駆動信号を出力し、
前記第2駆動信号に基づく放電電流は、前記第1駆動信号に基づく放電電流よりも大き
く、
前記第2アンプ回路は、前記第1アンプ回路よりも遅れて動作を開始する、
半導体装置。
【請求項14】
前記第1アンプ回路及び前記第2アンプ回路は、それぞれ、前記第1端子と前記第2端子との間に接続され、
前記第1アンプ回路は、前記第1端子と前記第2端子との間の電圧が前記所定の電圧の場合に前記第1駆動信号を出力し、
前記第2アンプ回路は、前記第1端子と前記第2端子との間の電圧が前記所定の電圧とは異なる電圧値の場合に前記増幅信号を出力する、請求項
13に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置及び半導体装置システムに関し、例えば放電素子を備えた半導体装置及び半導体装置システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体集積回路には、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)によるノイズ(ESDノイズ)から内部回路を保護するための静電気保護回路が設けられている。静電気保護回路としては、RC回路からなる過渡検出回路を用いて放電素子を駆動するRCトリガ式の静電気保護回路が知られている。
【0003】
近年、立ち上がりが急峻でパルス幅の狭いESDノイズのみならず、立ち上がりが緩やかでパルス幅の広いEMS(Electro-Magnetic Susceptibility)ノイズからも内部回路を保護可能な静電気保護回路が求められている。上述のRCトリガ式の静電気保護回路では、EMSノイズ発生時に、過渡検出回路が動作せず、放電素子を駆動することができないため、内部回路を適切に保護することができない。
【0004】
これに対し、特許文献1、2には、ダイオードストリングを備えた電圧検出回路によって検出された電圧に基づいて放電素子を駆動する電圧トリガ式の静電気保護回路が開示されている。このような電圧トリガ式の静電気保護回路では、ESDノイズ、EMSノイズのいずれが発生した場合にも、所定の電圧に到達すると放電素子が駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-358297号公報
【文献】米国特許出願公開第2011/304940号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
発明者は、電圧検出回路によって検出された電圧に基づいて放電素子を駆動する電圧トリガ式の静電気保護回路すなわち半導体装置について、以下の問題を見出した。
システムレベルESDノイズやEMSノイズは、内部回路の動作中に発生し得る。そのため、放電素子が放電を開始する電圧(以下、「放電開始電圧」と言う)が内部回路の動作電圧すなわち電源電圧よりも低いと、放電時に内部回路の動作に支障をきたす虞がある。従って、放電開始電圧は、内部回路の破壊耐圧を超えない範囲で、高い方が好ましい。他方、放電開始電圧が内部回路の破壊耐圧に近付き過ぎると、放電中の電圧いわゆるクランプ電圧が内部回路の破壊耐圧を超えてしまう。
【0007】
すなわち、電圧トリガ式の静電気保護回路では、電源電圧に対する放電開始電圧のマージンと、内部回路の破壊耐圧に対するクランプ電圧のマージンとを両立させることが難しいという問題があった。
【0008】
その他の課題と新規な特徴は、本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
一実施の形態に係る半導体装置は、入力された検出信号を増幅して駆動信号を出力する第1アンプ回路と、第1アンプ回路に入力される検出信号を帰還増幅する第2アンプ回路と、駆動信号の大きさに応じて放電能力が変化する放電素子と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
前記一実施の形態によれば、電源電圧に対する放電開始電圧のマージンと、内部回路の破壊耐圧に対するクランプ電圧のマージンとを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】比較例に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】比較例に係る半導体装置の放電特性を示すグラフである。
【
図3】第1の実施形態に係る半導体装置が搭載された半導体システムのレイアウトを示す模式図である。
【
図4】第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】第1の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作を示すフローチャートである。
【
図6】第1の実施の形態に係る半導体装置の放電特性を示すグラフである。
【
図7】第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流が異なる場合の放電特性の変化を示すグラフである。
【
図8】第1の実施の形態に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。
【
図10】PMOSトランジスタPM4のソース及びドレインの接続のバリエーションを示す回路図である。
【
図11】PMOSトランジスタPM4のソース及びドレインの接続のバリエーションを示す回路図である。
【
図12】PMOSトランジスタPM4のソース及びドレインの接続のバリエーションを示す回路図である。
【
図13】第1の実施の形態に係る半導体装置の詳細な動作を示す回路図である。
【
図14】第1の実施の形態に係る半導体装置の詳細な動作を示す回路図である。
【
図15】第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の回路図である。
【
図16】第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の回路図である。
【
図17】第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
【
図18】第2の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作を示すフローチャートである。
【
図19】第2の実施の形態に係る半導体装置の放電特性を示すグラフである。
【
図20】第2の実施の形態に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。
【
図21】第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。
【
図22】第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。ただし、以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜簡略化されている。
【0013】
<比較例に係る半導体装置>
まず、発明者が事前に検討した比較例に係る半導体装置について説明する。
図1は比較例に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、比較例に係る半導体装置は、放電素子DE、電圧検出回路VDC、アンプ回路AMPを備えた電圧トリガ式の静電気保護回路である。
【0014】
放電素子DEは、第1端子T1と第2端子T2との間にノイズが発生した際に、放電電流I
ESDを流すためのスイッチ素子である。すなわち、放電素子DEは、第1端子T1に接続された第1電源配線PSL1と、第2端子T2に接続された第2電源配線PSL2との間に設けられている。ここで、
図1に示すように、例えば、第1端子T1には高電位側の電源電圧VDDが印加され、第2端子T2には低電位側の電源電圧VSSが印加される。
【0015】
電圧検出回路VDCは、第1端子T1と第2端子T2との間に設けられている。第1端子T1と第2端子T2との間にノイズが発生し、両端子間の電圧(以下、「端子間電圧」と言う)が電圧検出回路VDCの動作電圧に到達すると、電圧検出回路VDCが検出信号detを出力する。電圧検出回路VDCの動作電圧は、電源電圧VDDを超える所定の閾値である。
【0016】
アンプ回路AMPは、入力された検出信号detを増幅し、放電素子DEを駆動するための駆動信号drvを出力する。駆動信号drvに基づいて、放電素子DEが駆動され、OFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流IESDが流れる。
【0017】
以上の通り、第1端子T1と第2端子T2との間にノイズが発生し、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧に到達すると、電圧検出回路VDCが動作を開始し、検出信号detを出力する。それに伴い、アンプ回路AMPも動作を開始し、駆動信号drvを出力して、放電素子DEを駆動する。すなわち、放電素子DEが放電を開始する放電開始電圧は、電圧検出回路VDCの動作電圧である。
【0018】
ここで、
図2は、比較例に係る半導体装置の放電特性を示すグラフである。
図2の横軸は第1端子T1と第2端子T2との間の電圧(端子間電圧)、縦軸は放電電流I
ESDを示している。
図2には、放電パターンA、B、Cの3つのパターンが示されている。また、
図2には、内部回路の動作電圧(電源電圧VDD)及び内部回路の破壊耐圧が一点鎖線で示されている。
【0019】
上述の通り、システムレベルESDノイズやEMSノイズは、内部回路の動作中に発生し得る。ここで、
図2において破線で示した放電パターンAでは、電圧検出回路VDCの動作電圧Voaが内部回路の動作電圧(電源電圧VDD)よりも低くなっている。そのため、放電素子DEが駆動された際に、電源電圧VDDが低下し、内部回路の動作に支障をきたす虞がある。従って、電圧検出回路VDCの動作電圧は、内部回路の破壊耐圧を超えない範囲で、高い方が好ましい。
【0020】
他方、
図2において破線で示した放電パターンCでは、電圧検出回路VDCの動作電圧Vocが内部回路の破壊耐圧に近付き過ぎている。そのため、放電中すなわちクランプ動作中の端子間電圧(クランプ電圧)が、内部回路の破壊耐圧を超えており、内部回路が破壊される虞がある。
【0021】
従って、
図2において実線で示した放電パターンBのように、電圧検出回路VDCの動作電圧Vobを電源電圧VDDよりも高くすると共に、クランプ電圧が内部回路の破壊耐圧を超えないようにする必要がある。
このように、
図1に示した比較例に係る半導体装置では、電源電圧VDDに対する電圧検出回路VDCの動作電圧(放電開始電圧)のマージンと、内部回路の破壊耐圧に対するクランプ電圧のマージンとを両立させることが難しかった。
【0022】
(第1の実施の形態)
<半導体装置システムの構成>
以下に、第1の実施の形態に係る半導体装置について説明する。まず、
図3を参照して、第1の実施の形態に係る半導体装置が搭載された半導体装置システムについて説明する。
図3は、第1の実施形態に係る半導体装置が搭載された半導体装置システムのレイアウトを示す模式図である。
【0023】
図3に示すように、この半導体装置システムは、1つの半導体チップ上にコアロジック領域及びアナログIP(Intellectual Property)領域を備えたアナログデジタル混載型の半導体集積回路すなわちSoC(System On a Chip)である。ここで、ロジック回路が形成された大規模回路領域であるコアロジック領域と、アナログ回路が形成された小規模回路領域であるアナログIP領域からなる矩形状の内部回路領域の周囲に、四角環状の周辺I/O領域が形成されている。
【0024】
図3に示すように、周辺I/O領域の内部には、周辺I/O領域の周方向に沿って、四角環状の第1電源配線PSL1及び第2電源配線PSL2が互いに平行に設けられている。第1電源配線PSL1と第2電源配線PSL2との間には、それぞれ複数のI/Oセル、共通VDD電源セル(例えば第1電源セル)、及び共通VSS電源セル(例えば第2電源セル)が、周辺I/O領域の周方向に沿って、並べて配置されている。また、アナログIP領域に隣接した周辺I/O領域には、一対の専用VDD電源セル及び専用VSS電源セルが設けられている。
【0025】
ここで、I/Oセルは、周辺機器との間において信号の入出力を行うためのセルである。共通VDD電源セルは、外部からコアロジック領域及びアナログIP領域に対して共通に高電位側の電源電圧VDD1を供給するためのセルである。共通VSS電源セルは、外部からコアロジック領域及びアナログIP領域に対して共通に低電位側の電源電圧VSS1を供給するためのセルである。専用VDD電源セルは、アナログIP領域に対して専用に電源電圧VDD2を供給するためのセルである。専用VSS電源セルは、アナログIP領域に対して専用に電源電圧VSS2を供給するためのセルである。
【0026】
第1電源配線PSL1は、共通VDD電源セルを介して、電源電圧VDD1が印加された第1端子T1に接続されている。第2電源配線PSL2は、共通VSS電源セルを介して、電源電圧VSS1が印加された第2端子T2に接続されている。
図3に示したアナログIP領域は、専用電源領域と共通電源領域に分割されている。専用電源領域には、専用VDD電源セル及び専用VSS電源セルを介して、外部から電源電圧VDD2、VSS2が供給されている。他方、共通電源領域には、コアロジック領域を介して、電源電圧VDD1、VSS1が供給されている。
【0027】
ここで、第1の実施の形態に係る半導体装置である静電気保護回路が、共通VDD電源セル、共通VSS電源セル、専用VDD電源セル、及び専用VSS電源セルにそれぞれ設けられている。
なお、第1の実施の形態に係る半導体装置は、I/Oセルに設けられていてもよい。
【0028】
<半導体装置の構成>
次に、
図4を参照して、第1の実施の形態に係る半導体装置について説明する。
図4は、第1の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、第1の実施の形態に係る半導体装置は、放電素子DE、電圧検出回路VDC、第1アンプ回路AMP1、第2アンプ回路AMP2を備えた電圧トリガ式の静電気保護回路である。すなわち、第1の実施の形態に係る半導体装置は、
図1に示した比較例に係る半導体装置の構成に第2アンプ回路AMP2を加えた構成を有している。
【0029】
放電素子DEは、第1端子T1と第2端子T2との間にノイズが発生した際に、放電電流I
ESDを流すためのスイッチ素子である。すなわち、放電素子DEは、第1端子T1に接続された第1電源配線PSL1と、第2端子T2に接続された第2電源配線PSL2との間に設けられている。ここで、
図4に示すように、例えば、第1端子T1には高電位側の電源電圧VDDが印加され、第2端子T2には低電位側の電源電圧VSSが印加される。第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvに基づいて、放電素子DEが駆動され、駆動信号drvの大きさに応じて、放電素子DEの放電能力が変化する。
なお、第1端子T1は信号端子であってもよい。
【0030】
電圧検出回路VDCは、第1端子T1と第2端子T2との間に設けられている。第1端子T1と第2端子T2との間にノイズが発生し、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧に到達すると、電圧検出回路VDCが検出信号detを出力する。電圧検出回路VDCの動作電圧は、電源電圧VDDより高く内部回路の破壊耐圧より低い所定の閾値である。
【0031】
第1アンプ回路AMP1は、第1入力ノードに入力された検出信号detを増幅し、放電素子DEを駆動するための駆動信号drvを第1出力ノードから出力する。駆動信号drvに基づいて、放電素子DEが駆動され、OFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流IESDが流れる。その結果、端子間電圧がクランプされる。
【0032】
第2アンプ回路AMP2は、入力された検出信号detを帰還増幅する。すなわち、検出信号detを増幅した増幅信号を第1アンプ回路AMP1の第1入力ノードに出力する。ここで、第1端子T1と第2端子T2との間にノイズが発生した際、第2アンプ回路AMP2は、第1アンプ回路AMP1とは別々に動作を開始する。第2アンプ回路AMP2が動作すると、第2アンプ回路AMP2によって増幅された検出信号detが第1アンプ回路AMP1に入力され、第1アンプ回路AMP1から出力される駆動信号drvも大きくなる。その結果、放電素子DEがより強いON状態となって、クランプ電圧を下げることができる。
【0033】
<半導体装置の動作>
次に、
図5を参照して、第1の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作について説明する。
図5は、第1の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作を示すフローチャートである。
図5に示すように、第1端子T1と第2端子T2との間にノイズが発生した際、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧未満であれば(ステップST1NO)、電圧検出回路VDC及び第1アンプ回路AMP1が動作せず、放電素子DEは駆動されない(ステップST2)。
【0034】
他方、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上であれば(ステップST1YES)、電圧検出回路VDCが検出信号detを出力する(ステップST3)。ここで、第2アンプ回路AMP2が動作を開始していなければ(ステップST4NO)、第1アンプ回路AMP1が検出信号detを増幅する(ステップST5)。
【0035】
そして、第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号(第1駆動信号)drvに基づいて、放電素子DEが駆動される(ステップST6)。すなわち、放電素子DEがOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ、端子間電圧がクランプされる。これを第1クランプ動作と呼ぶ。
図5に示すように、第2アンプ回路AMP2が動作を開始するまで、第1クランプ動作を継続する。
【0036】
第2アンプ回路AMP2が動作を開始すると(ステップST4YES)、第2アンプ回路AMP2が検出信号detを帰還増幅する(ステップST7)。続いて、第2アンプ回路AMP2が増幅した検出信号detを第1アンプ回路AMP1が増幅する(ステップST8)。そして、第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号(第2駆動信号)drvに基づいて、放電素子DEがより強く駆動される(ステップST9)。
【0037】
このように、第2アンプ回路AMP2が動作を開始すると、第2アンプ回路AMP2によって増幅された検出信号detが第1アンプ回路AMP1に入力され、第1アンプ回路AMP1から出力される駆動信号drvも大きくなる。その結果、放電素子DEがより強いON状態となって、放電電流IESDが大きくなり、端子間電圧が第1クランプ動作よりも低い電圧にクランプされる。これを第2クランプ動作と呼ぶ。
【0038】
ここで、
図6は、第1の実施の形態に係る半導体装置の放電特性を示すグラフである。
図6の横軸は第1端子T1と第2端子T2との間の電圧(端子間電圧)、縦軸は放電電流I
ESDを示している。また、
図6には、内部回路の動作電圧(電源電圧VDD)及び内部回路の破壊耐圧が一点鎖線で示されている。
【0039】
上述の通り、第1の実施の形態に係る半導体装置は、比較例に係る半導体装置の構成に第2アンプ回路AMP2を加えた構成を有している。そのため、
図6に示すように、第2アンプ回路AMP2が動作していない間は、比較例と同様の放電特性を示す。具体的には、ノイズの発生によって、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧Voに到達すると、電圧検出回路VDC及び第1アンプ回路AMP1が動作を開始し、放電素子DEが駆動される。すなわち、放電素子DEがOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ始め、端子間電圧がクランプされる(第1クランプ動作)。
【0040】
第2アンプ回路AMP2が動作を開始すると、上述の通り、放電素子DEがより強いON状態となって、放電電流I
ESDが大きくなる。そのため、
図6に示すように、端子間電圧が第1クランプ動作よりも低い電圧に移行し、クランプされる(第2クランプ動作)。
【0041】
従って、
図6に示すように、電源電圧VDDに対する電圧検出回路VDCの動作電圧Voのマージンを充分に大きくした上で、内部回路の破壊耐圧に対するクランプ電圧のマージンも充分に大きくすることができる。すなわち、第1の実施の形態に係る半導体装置では、電源電圧VDDに対する電圧検出回路VDCの動作電圧Vo(放電開始電圧)のマージンと、内部回路の破壊耐圧に対するクランプ電圧のマージンとを両立させることができる。
なお、
図6に示した比較例では、電源電圧VDDに対する電圧検出回路VDCの動作電圧Voのマージンは充分に大きいが、クランプ電圧が内部回路の破壊耐圧を超えてしまっている。
【0042】
次に、
図7は、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流を変化させた場合の放電特性の変化を示すグラフである。
図7には、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流が異なる放電パターンD、E、Fの3つのパターンが示されている。
【0043】
図7において破線で示した放電パターンDでは、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な端子間電圧、及び放電電流I
ESDが比較的小さいうちに第2クランプ動作へ移行する。その結果、第2クランプ動作時のクランプ電圧が電源電圧VDDよりも低くなっている。従って、放電素子DEが駆動された際に、電源電圧VDDが低下し、内部回路の動作に支障をきたす虞がある。
【0044】
他方、
図7において破線で示した放電パターンFでは、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧が大きい。そのため、第1クランプ動作時のクランプ電圧が、内部回路の破壊耐圧を超えており、第2クランプ動作が発生する前に内部回路が破壊される虞がある。
【0045】
従って、
図7において実線で示した放電パターンEのように、第1クランプ動作時のクランプ電圧が内部回路の破壊耐圧を超えることなく、かつ、第2クランプ動作時のクランプ電圧が電源電圧VDDを下回らないようにする必要がある。
【0046】
第1の実施の形態に係る半導体装置では、第2アンプ回路AMP2と第1アンプ回路AMP1とは別々に動作を開始する。そのため、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流を調整することによって、第1クランプ動作時及び第2クランプ動作時のクランプ電圧を適切な範囲に容易に調整することができる
【0047】
なお、
図6及び
図7では、第2アンプ回路AMP2が第1アンプ回路AMP1よりも遅れて動作開始する場合を示しているが、第2クランプ動作時のクランプ電圧が電源電圧VDDよりも低くならなければ、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流は第1アンプ回路AMP1の動作開始に必要な電圧あるいは電流と同じでもよい。すなわち、第2クランプ動作時のクランプ電圧が電源電圧VDD以上であれば、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧Voに到達した場合に第1アンプ回路AMP1及び第2アンプ回路AMP2が動作し始めてもよい。
【0048】
<半導体装置の詳細な構成>
次に、
図8を参照して、第1の実施の形態に係る半導体装置についてより詳細に説明する。
図8は、第1の実施の形態に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。すなわち、
図8は、
図4に示した半導体装置の具体的な回路構成例である。
図4、
図8に示すように、第1の実施の形態に係る半導体装置は、放電素子DE、電圧検出回路VDC、第1アンプ回路AMP1、第2アンプ回路AMP2を備えている。
【0049】
放電素子DEは、スイッチ素子であって、例えばトランジスタから構成される。
図8の例では、放電素子DEは、PMOSトランジスタPM1から構成されている。PMOSトランジスタ(第1のPMOSトランジスタ)PM1は、例えば総ゲート幅Wが数百~数千の大型のトランジスタである。PMOSトランジスタPM1のソースは、第1電源配線PSL1に接続され、PMOSトランジスタPM1のドレインは、第2電源配線PSL2に接続されている。そして、PMOSトランジスタPM1のゲートに、第1アンプ回路AMP1から出力された駆動信号drvが入力されている。駆動信号drvに基づいて、PMOSトランジスタPM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れる。
【0050】
図8に示すように、電圧検出回路VDCは、抵抗R1、複数の整流素子REを備えている。複数の整流素子REは、直列に接続され、整流素子ストリングを形成している。抵抗R1の一端は、第1電源配線PSL1に接続されており、整流素子ストリングの一端は、第2電源配線PSL2に接続されている。抵抗R1の他端と整流素子ストリングの他端とが接続されている。すなわち、第1端子T1と第2端子T2との間において抵抗R1と整流素子ストリングとが直列に接続されている。電圧検出回路VDCの動作電圧は、1個の整流素子REの動作電圧と接続する個数との積によって決定することができる。
【0051】
抵抗R1と整流素子ストリングとの接続ノードから検出信号detが出力される。第1端子T1と第2端子T2との間の電圧が電源電圧VDDを超える所定の閾値(電圧検出回路VDCの動作電圧)に到達すると、整流素子REに電流が流れ、検出信号detが出力される。検出信号detの大きさは、抵抗R1の両端間の電圧の大きさである。
【0052】
ここで、
図9は、整流素子REの具体例を示す回路図である。
図9に示すように、整流素子REとして、ダイオード素子D、ダイオード接続されたPMOSトランジスタPM及びNMOSトランジスタNMなどを例示することができる。ダイオード接続されたPMOSトランジスタPM及びNMOSトランジスタNMを用いれば、MOSトランジスタを用いて整流機能を実現することができ、容易に製造することができる。
【0053】
図9に示すように、ダイオード素子Dのアノードは第1電源配線PSL1側に接続され、ダイオード素子Dのカソードは第2電源配線PSL2側に接続される。PMOSトランジスタPMのソースは第1電源配線PSL1側に接続され、PMOSトランジスタPMのドレインは第2電源配線PSL2側に接続される。NMOSトランジスタNMのソースは第2電源配線PSL2側に接続され、NMOSトランジスタNMのドレインは第1電源配線PSL1側に接続される。
【0054】
図8に示すように、第1アンプ回路AMP1は、PMOSトランジスタPM2、抵抗(第1抵抗)R2、第1出力回路OP1を備えている。
PMOSトランジスタ(第2のPMOSトランジスタ)PM2のゲートに、電圧検出回路VDCから出力される検出信号detが入力され、PMOSトランジスタPM2のソースは、第1電源配線PSL1に接続されている。すなわち、PMOSトランジスタPM2のソース・ゲート電圧の大きさは、検出信号detの大きさに等しい。PMOSトランジスタPM2のドレインは、抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は第2電源配線PSL2に接続されている。PMOSトランジスタPM2のドレインと抵抗R2との接続ノードは、第1出力回路OP1の入力に接続されている。
【0055】
第1出力回路OP1は、PMOSトランジスタPM11及びNMOSトランジスタNM11から構成されたインバータ回路である。PMOSトランジスタPM11のゲートとNMOSトランジスタNM11のゲートとが互いに接続されており、その接続ノードは第1出力回路OP1の入力である。PMOSトランジスタPM11のソースは、第1電源配線PSL1に接続されている。NMOSトランジスタNM11のソースは第2電源配線PSL2に接続されている。そして、PMOSトランジスタPM11のドレインとNMOSトランジスタMN11のドレインとが互いに接続されており、その接続ノードは第1出力回路OP1の出力である。第1出力回路OP1から放電素子DEを駆動するための駆動信号drvが出力される。
【0056】
図8に示すように、第2アンプ回路AMP2は、PMOSトランジスタPM3、PM4、抵抗(第2抵抗)R3、第2出力回路OP2を備えている。
PMOSトランジスタ(第3のPMOSトランジスタ)PM3のゲートに、電圧検出回路VDCから出力される検出信号detが入力され、PMOSトランジスタPM3のソースは、第1電源配線PSL1に接続されている。すなわち、PMOSトランジスタPM3のソース・ゲート電圧の大きさは、検出信号detの大きさに等しい。PMOSトランジスタPM3のドレインは、抵抗R3の一端に接続されている。抵抗R3の他端は第2電源配線PSL2に接続されている。PMOSトランジスタPM3のドレインと抵抗R3との接続ノードは、第2出力回路OP2の入力に接続されている。
【0057】
第2出力回路OP2は、PMOSトランジスタPM21及びNMOSトランジスタNM21から構成されたインバータ回路である。PMOSトランジスタPM21のゲートとNMOSトランジスタNM21のゲートとが互いに接続されており、その接続ノードは第2出力回路OP2の入力である。PMOSトランジスタPM21のソースは、第1電源配線PSL1に接続されている。NMOSトランジスタNM21のソースは第2電源配線PSL2に接続されている。そして、PMOSトランジスタPM21のドレインとNMOSトランジスタMN21のドレインとが互いに接続されており、その接続ノードは第2出力回路OP2の出力である。
【0058】
第2出力回路OP2の出力は、PMOSトランジスタ(第4のPMOSトランジスタ)PM4のゲートに接続されている。PMOSトランジスタPM4のソースは、PMOSトランジスタPM3のゲートすなわち電圧検出回路VDCの出力に接続されている。PMOSトランジスタPM4のドレインは、第2電源配線PSL2に接続されている。PMOSトランジスタPM4が駆動することにより、検出信号detが増幅される。すなわち、PMOSトランジスタPM4は、ブースト回路である。
なお、PMOSトランジスタPM4は、多段縦積み構成としてもよい。
【0059】
ここで、
図10~
図12は、PMOSトランジスタPM4のソース及びドレインの接続のバリエーションを示す回路図である。
図10に示すように、PMOSトランジスタPM4のドレインは、第2電源配線PSL2に代えて、電圧検出回路VDCの整流素子RE同士の接続ノードに接続されていてもよい。
また、
図11に示すように、PMOSトランジスタPM4のソースは、電圧検出回路VDCの出力に代えて、電圧検出回路VDCの整流素子RE同士の接続ノードに接続されていてもよい。
【0060】
さらに、
図12に示すように、PMOSトランジスタPM4のソース及びドレインの両方が、電圧検出回路VDCの整流素子RE同士の接続ノードに接続されていてもよい。当然のことなら、PMOSトランジスタPM4のソースは、ドレインよりも高電位側に接続される。
【0061】
<半導体装置の詳細な動作>
次に、
図13、
図14を参照して、第1の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作についてより詳細に説明する。
図13、
図14は、第1の実施の形態に係る半導体装置の詳細な動作を示す回路図である。ここで、
図13、
図14は、
図8に示した回路図に破線矢印を用いて電流の流れを書き加えたものである。
【0062】
図13は、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上となり、第1アンプ回路AMP1のみが動作している様子を示している。
図14は、第1アンプ回路AMP1に加え、第2アンプ回路AMP2も動作している様子を示している。以下の動作説明では、
図13、
図14に加え、
図5のフローチャートも参照しつつ説明する。
【0063】
まず、
図13に示すように、電圧検出回路VDCは、整流素子ストリングを備えているため、端子間電圧が所定の閾値(電圧検出回路VDCの動作電圧)未満であれば(
図5ステップST1NO)、抵抗R1に検出電流I1が流れない。そのため、抵抗R1と整流素子ストリングとの接続ノードから検出信号detが出力されない。この場合、第1アンプ回路AMP1のPMOSトランジスタPM2のソース・ゲート電圧が0Vであり、PMOSトランジスタPM2は駆動されない。従って、第1アンプ回路AMP1が動作せず、放電素子DEは駆動されない(
図5ステップST2)。
【0064】
他方、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上であれば(
図5ステップST1YES)、
図13に示すように、抵抗R1(抵抗値r1)に検出電流I1(電流値i1)が流れる。そのため、抵抗R1と整流素子ストリングとの接続ノードから大きさr1×i1の検出信号detが出力される(
図5ステップST3)。検出信号detの大きさは、抵抗R1の両端間の電圧の大きさである。
【0065】
第2アンプ回路AMP2が動作を開始するまでの間(
図5ステップST4NO)、
図13に示すように、第1アンプ回路AMP1が検出信号detを増幅する(
図5ステップST5)。具体的には、第1アンプ回路AMP1のPMOSトランジスタPM2のソース・ゲート電圧は検出信号detの大きさr1×i1に等しい。そのため、
図13に示すように、PMOSトランジスタPM2が駆動され、抵抗R2に電流I2が流れる。それに伴い、第1出力回路OP1の入力電圧がVSSから上昇し、インバータ回路である第1出力回路OP1の閾値を超えると、第1出力回路OP1から駆動信号drvが出力される。
【0066】
第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvにより、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1のソース・ゲート電圧が大きくなり、PMOSトランジスタPM1が駆動される(
図5ステップST6)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ、端子間電圧がクランプされる(第1クランプ動作)。
【0067】
次に、第2アンプ回路AMP2が動作を開始すると(
図5ステップST4YES)、第2アンプ回路AMP2が検出信号detを帰還増幅する(
図5ステップST7)。具体的には、第2アンプ回路AMP2のPMOSトランジスタPM3のソース・ゲート電圧は検出信号detの大きさr1×i1に等しい。そのため、
図14に示すように、PMOSトランジスタPM3が駆動され、抵抗R3に電流I3が流れる。それに伴い、第2出力回路OP2の入力電圧がVSSから上昇し、インバータ回路である第2出力回路OP2の閾値を超えると、第2出力回路OP2の出力信号によってPMOSトランジスタPM4が駆動される。
【0068】
すなわち、PMOSトランジスタPM4がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に抵抗R1とPMOSトランジスタPM4とを経由する電流が流れる。その結果、抵抗R1に流れる検出電流I1が大きくなり、検出信号detが大きくなる。
【0069】
ここで、PMOSトランジスタPM3のサイズを小さくするか、抵抗R3の抵抗値を小さくすると、第2出力回路OP2の入力電圧は小さくなる。つまり、第2アンプ回路AMP2の動作開始のためには、より大きな端子間電圧あるいは放電電流IESDが必要となる。従って、PMOSトランジスタPM3のサイズをPMOSトランジスタPM2に比べて小さくするか、又は、抵抗R3の抵抗値を抵抗R2の抵抗値よりも小さくすると、同じ端子間電圧もしくは放電電流IESDのもとでは、第1出力回路OP1の入力電圧に比べて第2出力回路OP2の入力電圧は小さくなる。つまり、第2アンプ回路AMP2は、第1アンプ回路AMP1の動作開始に必要な端子間電圧あるいは放電電流に比べて大きな端子間電圧あるいは大きな放電電流IESDとなった場合に、その動作を開始する。反対に、PMOSトランジスタPM3のサイズを大きくするか、抵抗R3の抵抗値を大きくすると、第2出力回路OP2の入力電圧は大きくなる。つまり、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流を小さくすることができる。このように、PMOSトランジスタPM3のサイズ及び抵抗R3の抵抗値を適切に設定することで、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流を所望の値に設定可能になる。
【0070】
続いて、第2アンプ回路AMP2が増幅した検出信号detを第1アンプ回路AMP1が増幅する(
図5ステップST8)。具体的には、
図14に示すように、増幅された検出信号detによってPMOSトランジスタPM2がより強く駆動され、抵抗R2に流れる電流I2が大きくなる。それに伴い、第1出力回路OP1から出力される駆動信号drvも大きくなる。
【0071】
その結果、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1のソース・ゲート電圧が大きくなり、PMOSトランジスタPM1がより強く駆動される(
図5ステップST9)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がより強いON状態となって、
図14に示すように、放電電流I
ESDが大きくなる。そのため、端子間電圧が第1クランプ動作よりも低い電圧にクランプされる(第2クランプ動作)。ここで、第2クランプ動作におけるクランプ電圧は、PMOSトランジスタPM4のサイズによって調整することができる。具体的には、PMOSトランジスタPM4のサイズを大きくすると、第2クランプ動作におけるクランプ電圧を下げることができる。
【0072】
第1の実施の形態に係る半導体装置は、第2アンプ回路AMP2の動作によってクランプ電圧を下げることができる。そのため、
図6に示すように、電源電圧VDDに対する電圧検出回路VDCの動作電圧Vo(放電開始電圧)のマージンと、内部回路の破壊耐圧に対するクランプ電圧のマージンとを両立させることができる。また、第2アンプ回路AMP2が第1アンプ回路AMP1とは別々に動作を開始する。そのため、
図7に示すように、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流を調整し、第1クランプ動作時及び第2クランプ動作時のクランプ電圧を適切な範囲に容易に調整することができる。
【0073】
なお、
図6では、第2アンプ回路AMP2が第1アンプ回路AMP1よりも遅れて動作開始する場合を示しているが、第2クランプ動作におけるクランプ電圧が電源電圧VDDを下回らなければ、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流は第1アンプ回路AMP1の動作開始に必要な電圧あるいは電流と同じでもよい。その場合、PMOSトランジスタPM2、PM3のサイズ、抵抗R2、R3の抵抗値、第1出力回路OP1及び第2出力回路OP2の特性をそれぞれ等しく設定すればよい。
【0074】
<第1の実施の形態の変形例の構成>
次に、
図15、
図16を参照して、第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置について説明する。
図15、
図16は、第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置の回路図である。ここで、
図15、
図16は、同じ回路図に破線矢印を用いて電流の流れを書き加えたものである。
図15は、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上となり、第1アンプ回路AMP1のみが動作している様子を示している。
図16は、第1アンプ回路AMP1に加え、第2アンプ回路AMP2も動作している様子を示している。
【0075】
図8に示した半導体装置の放電素子DEは、PMOSトランジスタPM1から構成されている。これに対し、
図15に示した変形例に係る半導体装置の放電素子DEは、NMOSトランジスタNM1から構成されている。これに伴い、変形例に係る半導体装置では、第1アンプ回路AMP1がPMOSトランジスタPM2に代えて、NMOSトランジスタNM2を備えている。また、第2アンプ回路AMP2がPMOSトランジスタPM3、PM4に代えて、NMOSトランジスタNM3、NM4を備えている。以下に詳細に説明する。
【0076】
放電素子DEを構成するNMOSトランジスタ(第1のNMOSトランジスタ)NM1は、例えば総ゲート幅Wが数百~数千の大型のトランジスタである。NMOSトランジスタNM1のソースは、第2電源配線PSL2に接続され、NMOSトランジスタNM1のドレインは、第1電源配線PSL1に接続されている。そして、NMOSトランジスタNM1のゲートに、第1アンプ回路AMP1から出力された駆動信号drvが入力されている。駆動信号drvに基づいて、NMOSトランジスタNM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流IESDが流れる。
【0077】
図15に示すように、変形例に係る半導体装置の電圧検出回路VDCでは、抵抗R1の一端が第2電源配線PSL2に接続され、整流素子ストリングの一端が第1電源配線PSL1に接続されている。抵抗R1と整流素子ストリングとの接続ノードから検出信号detが出力される。第1端子T1と第2端子T2との間の電圧が電源電圧VDDを超える所定の閾値(電圧検出回路VDCの動作電圧)に到達すると、整流素子REに電流が流れ、検出信号detが出力される。検出信号detの大きさは、抵抗R1の両端間の電圧の大きさである。変形例でも、整流素子ストリングを構成する整流素子REの具体例は、
図9に示した通りである。
【0078】
第1アンプ回路AMP1は、NMOSトランジスタNM2、抵抗R2、第1出力回路OP1を備えている。
NMOSトランジスタ(第2のNMOSトランジスタ)NM2のゲートに、電圧検出回路VDCから出力される検出信号detが入力され、NMOSトランジスタNM2のソースは、第2電源配線PSL2に接続されている。すなわち、NMOSトランジスタNM2のゲート・ソース電圧の大きさは、検出信号detの大きさに等しい。
【0079】
NMOSトランジスタNM2のドレインは、抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は第1電源配線PSL1に接続されている。NMOSトランジスタNM2のドレインと抵抗R2との接続ノードは、第1出力回路OP1の入力に接続されている。
第1出力回路OP1の構成は
図8と同様である。第1出力回路OP1から放電素子DEを駆動するための駆動信号drvが出力される。
【0080】
第2アンプ回路AMP2は、NMOSトランジスタNM3、NM4、抵抗R3、第2出力回路OP2を備えている。
NMOSトランジスタ(第3のNMOSトランジスタ)NM3のゲートに、電圧検出回路VDCから出力される検出信号detが入力され、NMOSトランジスタNM3のソースは、第2電源配線PSL2に接続されている。すなわち、NMOSトランジスタNM3のゲート・ソース電圧の大きさは、検出信号detの大きさに等しい。NMOSトランジスタNM3のドレインは、抵抗R3の一端に接続されている。抵抗R3の他端は第2電源配線PSL2に接続されている。NMOSトランジスタNM3のドレインと抵抗R3との接続ノードは、第2出力回路OP2の入力に接続されている。
【0081】
第2出力回路OP2の構成は
図8と同様である。第2出力回路OP2の出力は、NMOSトランジスタ(第4のNMOSトランジスタ)NM4のゲートに接続されている。NMOSトランジスタNM4のソースは、NMOSトランジスタNM3のゲートすなわち電圧検出回路VDCの出力に接続されている。PMOSトランジスタPM4のドレインは、第2電源配線PSL2に接続されている。NMOSトランジスタNM4が駆動することにより、検出信号detが増幅される。すなわち、NMOSトランジスタNM4は、ブースト回路である。
なお、NMOSトランジスタNM4は、多段縦積み構成としてもよい。
【0082】
<第1の実施の形態の変形例の動作>
次に、
図15、
図16を参照して、第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置のノイズ発生時の動作について詳細に説明する。以下の動作説明では、
図15、
図16に加え、
図5のフローチャートも参照しつつ説明する。
【0083】
まず、
図15に示すように、電圧検出回路VDCは、整流素子ストリングを備えているため、端子間電圧が所定の閾値(電圧検出回路VDCの動作電圧)未満であれば(
図5ステップST1NO)、抵抗R1に検出電流I1が流れない。そのため、抵抗R1と整流素子ストリングとの接続ノードから検出信号detが出力されない。この場合、第1アンプ回路AMP1のNMOSトランジスタNM2のゲート・ソース電圧が0Vであり、NMOSトランジスタNM2は駆動されない。従って、第1アンプ回路AMP1が動作せず、放電素子DEは駆動されない(
図5ステップST2)。
【0084】
他方、端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上であれば(
図5ステップST1YES)、
図15に示すように、抵抗R1(抵抗値r1)に検出電流I1(電流値i1)が流れる。そのため、抵抗R1と整流素子ストリングとの接続ノードから大きさr1×i1の検出信号detが出力される(
図5ステップST3)。検出信号detの大きさは、抵抗R1の両端間の電圧の大きさである。
【0085】
第2アンプ回路AMP2が動作を開始するまでの間(
図5ステップST4NO)、
図15に示すように、第1アンプ回路AMP1が検出信号detを増幅する(
図5ステップST5)。具体的には、第1アンプ回路AMP1のNMOSトランジスタNM2のゲート・ソース電圧は検出信号detの大きさr1×i1に等しい。そのため、
図15に示すように、NMOSトランジスタNM2が駆動され、抵抗R2に電流I2が流れる。それに伴い、第1出力回路OP1の入力電圧が第1端子T1の電圧から降下し、インバータ回路である第1出力回路OP1の閾値を超えると、第1出力回路OP1から駆動信号drvが出力される。
【0086】
第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvにより、放電素子DEであるNMOSトランジスタNM1のゲート・ソース電圧が大きくなり、NMOSトランジスタNM1が駆動される(
図5ステップST6)。すなわち、NMOSトランジスタNM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ、端子間電圧がクランプされる(第1クランプ動作)。
【0087】
次に、第2アンプ回路AMP2が動作を開始すると(
図5ステップST4YES)、第2アンプ回路AMP2が検出信号detを帰還増幅する(
図5ステップST7)。具体的には、第2アンプ回路AMP2のNMOSトランジスタNM3のゲート・ソース電圧は検出信号detの大きさr1×i1に等しい。そのため、
図16に示すように、NMOSトランジスタNM3が駆動され、抵抗R3に電流I3が流れる。それに伴い、第2出力回路OP2の入力電圧が第1端子T1の電圧から降下し、インバータ回路である第2出力回路OP2の閾値を超えると、第2出力回路OP2の出力信号によってNMOSトランジスタNM4が駆動される。
【0088】
すなわち、NMOSトランジスタNM4がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に抵抗R1とNMOSトランジスタNM4とを経由する電流が流れる。その結果、抵抗R1に流れる検出電流I1が大きくなり、検出信号detが大きくなる。
【0089】
ここで、NMOSトランジスタNM3のサイズを小さくするか、抵抗R3の抵抗値を小さくすると、第2出力回路OP2の入力電圧は小さくなる。つまり、第2アンプ回路AMP2の動作開始のためには、より大きな端子間電圧あるいは放電電流IESDが必要となる。従って、NMOSトランジスタNM3のサイズをNMOSトランジスタNM2に比べて小さくするか、又は、抵抗R3の抵抗値を抵抗R2の抵抗値よりも小さくすると、第2出力回路OP2の入力電圧を第1出力回路OP1の入力電圧より小さくすることができる。その結果、第2アンプ回路AMP2は、第1アンプ回路AMP1の動作開始に必要な端子間電圧あるいは放電電流に比べて、大きな端子間電圧あるいは放電電流になった場合にその動作を開始することが可能になる。反対に、NMOSトランジスタNM3のサイズを大きくするか、抵抗R3の抵抗値を大きくすると、第2出力回路OP2の入力電圧が大きくなる。つまり、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流を小さくすることができる。
【0090】
続いて、第2アンプ回路AMP2が増幅した検出信号detを第1アンプ回路AMP1が増幅する(ステップST8)。具体的には、
図16に示すように、増幅された検出信号detによってNMOSトランジスタNM2がより強く駆動され、抵抗R2に流れる電流I2が大きくなる。それに伴い、第1出力回路OP1から出力される駆動信号drvも大きくなる。
【0091】
その結果、放電素子DEであるNMOSトランジスタNM1のゲート・ソース電圧が大きくなり、NMOSトランジスタNM1がより強く駆動される(ステップST9)。すなわち、NMOSトランジスタNM1がより強いON状態となって、
図16に示すように、放電電流I
ESDが大きくなる。そのため、端子間電圧が第1クランプ動作よりも低い電圧にクランプされる(第2クランプ動作)。ここで、第2クランプ動作におけるクランプ電圧は、NMOSトランジスタNM4のサイズによって調整することができる。具体的には、NMOSトランジスタNM4のサイズを大きくすると、第2クランプ動作におけるクランプ電圧を下げることができる。
【0092】
第1の実施の形態の変形例に係る半導体装置も、第2アンプ回路AMP2の動作によってクランプ電圧を下げることができる。そのため、
図6に示すように、電源電圧VDDに対する電圧検出回路VDCの動作電圧Vo(放電開始電圧)のマージンと、内部回路の破壊耐圧に対するクランプ電圧のマージンとを両立させることができる。また、第2アンプ回路AMP2が第1アンプ回路AMP1から遅れて別々に動作を開始する。そのため、
図7に示すように、第2アンプ回路AMP2の動作開始に必要な電圧あるいは電流を調整し、第1クランプ動作時及び第2クランプ動作時のクランプ電圧を適切な範囲に容易に調整することができる。
【0093】
(第2の実施の形態)
<半導体装置の構成>
次に、
図17を参照して、第2の実施の形態に係る半導体装置について説明する。
図17は、第2の実施の形態に係る半導体装置の構成を示すブロック図である。
図17に示すように、第2の実施の形態に係る半導体装置は、第1の実施の形態に係る半導体装置における第1アンプ回路AMP1に過渡検出回路TDCを備えた電圧トリガ式かつRCトリガ式の静電気保護回路である。
【0094】
第1アンプ回路AMP1は、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様に、入力された検出信号detを増幅し、放電素子DEを駆動するための駆動信号drvを出力する。加えて、第1アンプ回路AMP1は、過渡検出回路TDCの出力信号を増幅し、放電素子DEを駆動するための駆動信号drvを出力する。駆動信号drvに基づいて、放電素子DEが駆動され、OFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流IESDが流れる。その結果、端子間電圧がクランプされる。
【0095】
立ち上がりが急峻なESDノイズが発生した場合、過渡検出回路TDCの出力信号が所定の閾値(第1アンプ回路AMP1の動作電圧)に達し、電圧検出回路VDCが動作する前に、第1アンプ回路AMP1が動作する。
【0096】
他方、立ち上がりが緩やかなEMSノイズが発生した場合には、過渡検出回路TDCの出力信号が第1アンプ回路AMP1の動作電圧に達しない。そのため、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様に、第1アンプ回路AMP1は、電圧検出回路VDCが出力した検出信号detを増幅する。
その他の構成は、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、説明を省略する。
【0097】
<半導体装置の動作>
次に、
図18を参照して、第2の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作について説明する。
図18は、第2の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作を示すフローチャートである。
【0098】
図18に示すように、端子間に発生したノイズが立ち上がりの急峻なESDノイズである場合、過渡検出回路TDCの出力信号が所定の閾値以上となり(ステップST21YES)、過渡検出回路TDCの出力信号を増幅する(ステップST22)。そして、第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvに基づいて、放電素子DEが駆動される(ステップST23)。
【0099】
すなわち、放電素子DEがOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流IESDが流れ、端子間電圧がクランプされる。上述の通り、過渡検出回路TDCの出力信号は、第2アンプ回路AMP2によって増幅された検出信号detと同等である。そのため、放電素子DEが強く駆動され、クランプ電圧は第2クランプ動作時のクランプ電圧と同等となる。
【0100】
一方、端子間に発生したノイズが立ち上がりの緩やかなEMSノイズである場合、過渡検出回路TDCの出力信号が所定の閾値未満となり(ステップST21NO)、
図18において破線で囲ったように
図5に示したステップST1~ステップST9と同様に動作する。そのため、詳細な説明は省略する。
【0101】
ここで、
図19は、第2の実施の形態に係る半導体装置の放電特性を示すグラフである。
図19の横軸は第1端子T1と第2端子T2との間の電圧(端子間電圧)、縦軸は放電電流I
ESDを示している。また、
図19には、内部回路の動作電圧(電源電圧VDD)及び内部回路の破壊耐圧が一点鎖線で示されている。
端子間に立ち上がりの緩やかなEMSノイズが発生した場合、
図19に実線で示すように、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様の放電特性を示すため、詳細な説明は省略する。
【0102】
一方、端子間に立ち上がりの急峻なESDノイズが発生すると、
図19に破線で示すように、電圧検出回路VDCが動作する前に、第1アンプ回路AMP1が動作を開始し、放電素子DEが駆動される。すなわち、放電素子DEがOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ始め、端子間電圧がクランプされる。
【0103】
ここで、上述の通り、過渡検出回路TDCの出力信号は、第2アンプ回路AMP2によって増幅された検出信号detと同等である。そのため、放電素子DEが強く駆動され、クランプ電圧は第2クランプ動作時のクランプ電圧と同等となる。このように、第2の実施の形態に係る半導体装置では、ESDノイズ発生時のクランプ電圧を第1の実施の形態に係る半導体装置よりも小さくすることができる。
【0104】
なお、過渡検出回路TDCの出力信号が所定の閾値以上となるのは、ESDノイズによって端子間電圧が電源電圧VDDから急激に上昇する場合である。そのため、第1アンプ回路AMP1が動作を開始する際の端子間電圧が電源電圧VDDを下回ることはない。
【0105】
<半導体装置の詳細な構成>
次に、
図20を参照して、第2の実施の形態に係る半導体装置についてより詳細に説明する。
図20は、第2の実施の形態に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。すなわち、
図20は、
図17に示した半導体装置の具体的な回路構成例である。
【0106】
図17、
図20に示すように、第2の実施の形態に係る半導体装置は、放電素子DE、電圧検出回路VDC、第1アンプ回路AMP1、第2アンプ回路AMP2を備えている。そして、第1アンプ回路AMP1が過渡検出回路TDCを備えている。ここで、第1アンプ回路AMP1以外の構成は、
図8に示した第1の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0107】
図20に示すように、第1アンプ回路AMP1は、
図8に示したPMOSトランジスタPM2、抵抗R2、第1出力回路OP1に加え、過渡検出回路TDC及びNMOSトランジスタNM5を備えている。
【0108】
PMOSトランジスタPM2のゲートに、電圧検出回路VDCから出力される検出信号detが入力され、PMOSトランジスタPM2のソースは、第1電源配線PSL1に接続されている。すなわち、PMOSトランジスタPM2のソース・ゲート電圧の大きさは、検出信号detの大きさに等しい。PMOSトランジスタPM2のドレインは、抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は第2電源配線PSL2に接続されている。
【0109】
PMOSトランジスタPM2のドレインと抵抗R2との接続ノードは、NMOSトランジスタNM5のゲートに接続されている。NMOSトランジスタNM5のドレインは、第1電源配線PSL1に接続され、NMOSトランジスタNM5のソースは、第1出力回路OP1の入力に接続されている。
第1出力回路OP1の構成は
図8と同様である。第1出力回路OP1から放電素子DEを駆動するための駆動信号drvが出力される。
【0110】
過渡検出回路TDCは、第1端子T1と第2端子T2との間において、直列に接続されたキャパシタC1と抵抗R4とからなるRC回路である。キャパシタC1の一端は第1電源配線PSL1に接続され、抵抗R4の一端は第2電源配線PSL2に接続されている。キャパシタC1の他端と抵抗R4の他端との接続ノードは、過渡検出回路TDCの出力であって、第1出力回路OP1の入力に接続されている。
【0111】
<半導体装置の詳細な動作>
次に、
図20を参照して、第2の実施の形態に係る半導体装置のノイズ発生時の動作についてより詳細に説明する。以下の動作説明では、
図20に加え、
図18のフローチャートも参照しつつ説明する。
【0112】
まず、端子間に立ち上がりの急峻なESDノイズが発生した場合、過渡検出回路TDCのキャパシタC1及び抵抗R4に過渡電流I4が流れる。そのため、過渡検出回路TDCの出力の電圧がVSSから上昇し、インバータ回路である第1出力回路OP1の閾値を超えると(
図18ステップST21YES)、第1出力回路OP1から駆動信号drvが出力される。すなわち、第1アンプ回路AMP1が過渡検出回路TDCの出力信号を増幅する(
図18ステップST22)。
【0113】
第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvにより、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1のソース・ゲート電圧が大きくなり、PMOSトランジスタPM1が駆動される(
図18ステップST23)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ、端子間電圧がクランプされる。
【0114】
上述の通り、過渡検出回路TDCの出力信号は、第2アンプ回路AMP2によって増幅された検出信号detと同等である。そのため、放電素子DEが強く駆動され、クランプ電圧は第2クランプ動作時のクランプ電圧と同等となる。このように、第2の実施の形態に係る半導体装置は、第1アンプ回路AMP1が簡易なRC回路からなる過渡検出回路TDCをさらに備える。そのため、ESDノイズ発生時のクランプ電圧を第1の実施の形態に係る半導体装置よりも小さくすることができる。
【0115】
一方、端子間に発生したノイズが立ち上がりの緩やかなEMSノイズである場合、過渡検出回路TDCの出力信号が所定の閾値未満となる(
図18ステップST21NO)。この場合、
図18に示すように、第2の実施の形態に係る半導体装置も、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様に動作する。つまり、第1アンプ回路AMP1が、過渡検出回路TDCの出力信号ではなく、電圧検出回路VDCから出力された検出信号detを増幅する。以下の動作説明では、
図20に加え、
図5のフローチャートも参照しつつ説明する。
【0116】
端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上であれば(
図5ステップST1YES)、
図20に示すように、抵抗R1(抵抗値r1)に検出電流I1(電流値i1)が流れ、大きさr1×i1の検出信号detが出力される(
図5ステップST3)。ここで、第2アンプ回路AMP2が動作を開始するまでの間(
図5ステップST4NO)、第1アンプ回路AMP1が検出信号detを増幅する(
図5ステップST5)。
【0117】
具体的には、検出信号detによって、PMOSトランジスタPM2が駆動され、抵抗R2に電流I2が流れる。それに伴い、NMOSトランジスタNM5のゲート電圧がVSSから上昇し、NMOSトランジスタNM5が駆動され、抵抗R4に電流I5が流れる。その結果、第1出力回路OP1の入力電圧がVSSから上昇し、インバータ回路である第1出力回路OP1の閾値を超えると、第1出力回路OP1から駆動信号drvが出力される。
【0118】
そして、第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvにより、PMOSトランジスタPM1が駆動される(
図5ステップST6)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ、端子間電圧がクランプされる(第1クランプ動作)。
【0119】
次に、第2アンプ回路AMP2が動作を開始すると(
図5ステップST4YES)、第2アンプ回路AMP2が検出信号detを帰還増幅する(
図5ステップST7)。第2アンプ回路AMP2の動作は
図14を参照して説明した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0120】
続いて、第2アンプ回路AMP2が増幅した検出信号detを第1アンプ回路AMP1が増幅する(
図5ステップST8)。具体的には、増幅された検出信号detによってPMOSトランジスタPM2及びNMOSトランジスタNM5がより強く駆動され、抵抗R2に流れる電流I2及びが抵抗R4に流れる電流I5が大きくなる。それに伴い、第1出力回路OP1から出力される駆動信号drvも大きくなる。
【0121】
その結果、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1のソース・ゲート電圧が大きくなり、PMOSトランジスタPM1がより強く駆動される(ステップST9)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がより強いON状態となって、放電電流IESDが大きくなり、端子間電圧が第1クランプ動作よりも低い電圧にクランプされる(第2クランプ動作)。
【0122】
<第2の実施の形態の変形例1の構成>
次に、
図21を参照して、第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置についてより詳細に説明する。
図21は、第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。
【0123】
図21に示した半導体装置の第1アンプ回路AMP1は、
図20に示した半導体装置の第1アンプ回路AMP1から抵抗R2、NMOSトランジスタNM5が削除された簡易な構成となっている。これに伴い、
図21に示すように、PMOSトランジスタPM2のドレインが、抵抗R2に代えて、過渡検出回路TDCを構成する抵抗R4に接続されている。それ以外の構成は、
図20に示した第2の実施の形態に係る半導体装置と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0124】
<第2の実施の形態の変形例1の動作>
次に、
図21を参照して、第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置のノイズ発生時の動作についてより詳細に説明する。以下の動作説明では、
図21に加え、
図5のフローチャートも参照しつつ説明する。
まず、端子間に立ち上がりの急峻なESDノイズが発生した場合、
図20に示した第2の実施の形態に係る半導体装置と同様に動作するため、詳細な説明は省略する。
【0125】
一方、端子間に発生したノイズが立ち上がりの緩やかなEMSノイズである場合、過渡検出回路TDCの出力信号が所定の閾値未満となる(
図18ステップST21NO)。この場合、
図18に示すように、第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置も、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様に動作する。つまり、第1アンプ回路AMP1が、過渡検出回路TDCの出力信号ではなく、電圧検出回路VDCから出力された検出信号detを増幅する。以下の動作説明では、
図21に加え、
図5のフローチャートも参照しつつ説明する。
【0126】
端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上であれば(
図5ステップST1YES)、
図21に示すように、抵抗R1(抵抗値r1)に検出電流I1(電流値i1)が流れ、大きさr1×i1の検出信号detが出力される(
図5ステップST3)。ここで、第2アンプ回路AMP2が動作を開始するまでの間(
図5ステップST4NO)、第1アンプ回路AMP1が検出信号detを増幅する(
図5ステップST5)。
【0127】
具体的には、検出信号detによって、PMOSトランジスタPM2が駆動され、抵抗R4に電流I2が流れる。それに伴い、第1出力回路OP1の入力電圧がVSSから上昇し、インバータ回路である第1出力回路OP1の閾値を超えると、第1出力回路OP1から駆動信号drvが出力される。
【0128】
そして、第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvにより、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1が駆動される(
図5ステップST6)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ、端子間電圧がクランプされる(第1クランプ動作)。
【0129】
次に、第2アンプ回路AMP2が動作を開始すると(
図5ステップST4YES)、第2アンプ回路AMP2が検出信号detを帰還増幅する(
図5ステップST7)。第2アンプ回路AMP2の動作は
図14を参照して説明した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0130】
続いて、第2アンプ回路AMP2が増幅した検出信号detを第1アンプ回路AMP1が増幅する(
図5ステップST8)。具体的には、増幅された検出信号detによってPMOSトランジスタPM2がより強く駆動され、抵抗R4に流れる電流I2が大きくなる。それに伴い、第1出力回路OP1から出力される駆動信号drvも大きくなる。
【0131】
その結果、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1のソース・ゲート電圧が大きくなり、PMOSトランジスタPM1がより強く駆動される(ステップST9)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がより強いON状態となって、放電電流IESDが大きくなり、端子間電圧が第1クランプ動作よりも低い電圧にクランプされる(第2クランプ動作)。
【0132】
<第2の実施の形態の変形例2の構成>
次に、
図22を参照して、第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置についてより詳細に説明する。
図22は、第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置の詳細な構成を示す回路図である。
【0133】
図22に示した半導体装置の第1アンプ回路AMP1は、
図21に示した半導体装置の第1アンプ回路AMP1における抵抗R4に代えて、直列に接続された抵抗R41、R42を備えている。詳細には、キャパシタC1の一端は第1電源配線PSL1に接続され、キャパシタC1の他端は抵抗R41の一端に接続されている。抵抗R41の他端は抵抗R42の一端に接続され、抵抗R42の他端は第2電源配線PSL2に接続されている。
【0134】
キャパシタC1と抵抗R41との接続ノードは、過渡検出回路TDCの出力であって、第1出力回路OP1の入力に接続されている。そして、
図22に示すように、PMOSトランジスタPM2のドレインが、抵抗R41と抵抗R42との接続ノードに接続されている。それ以外の構成は、
図21に示した第2の実施の形態の変形例1に係る半導体装置と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0135】
<第2の実施の形態の変形例2の動作>
次に、
図22を参照して、第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置のノイズ発生時の動作についてより詳細に説明する。以下の動作説明では、
図22に加え、
図5のフローチャートも参照しつつ説明する。
まず、端子間に立ち上がりの急峻なESDノイズが発生した場合、
図20に示した第2の実施の形態に係る半導体装置と同様に動作するため、詳細な説明は省略する。
【0136】
一方、端子間に発生したノイズが立ち上がりの緩やかなEMSノイズである場合、過渡検出回路TDCの出力信号が所定の閾値未満となる(
図18ステップST21NO)。この場合、
図18に示すように、第2の実施の形態の変形例2に係る半導体装置も、第1の実施の形態に係る半導体装置と同様に動作する。つまり、第1アンプ回路AMP1が、過渡検出回路TDCの出力信号ではなく、電圧検出回路VDCから出力された検出信号detを増幅する。以下の動作説明では、
図22に加え、
図5のフローチャートも参照しつつ説明する。
【0137】
端子間電圧が電圧検出回路VDCの動作電圧以上であれば(
図5ステップST1YES)、
図21に示すように、抵抗R1(抵抗値r1)に検出電流I1(電流値i1)が流れ、大きさr1×i1の検出信号detが出力される(
図5ステップST3)。ここで、第2アンプ回路AMP2が動作を開始するまでの間(
図5ステップST4NO)、第1アンプ回路AMP1が検出信号detを増幅する(
図5ステップST5)。
【0138】
具体的には、検出信号detによって、PMOSトランジスタPM2が駆動され、抵抗R42に電流I2が流れる。それに伴い、第1出力回路OP1の入力電圧がVSSから上昇し、インバータ回路である第1出力回路OP1の閾値を超えると、第1出力回路OP1から駆動信号drvが出力される。
【0139】
そして、第1アンプ回路AMP1が出力する駆動信号drvにより、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1が駆動される(
図5ステップST6)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がOFF状態からON状態に変化し、第1端子T1と第2端子T2との間に放電電流I
ESDが流れ、端子間電圧がクランプされる(第1クランプ動作)。
【0140】
次に、検出信号detが第2アンプ回路AMP2の動作電圧に到達すると(
図5ステップST4YES)、第2アンプ回路AMP2が検出信号detを帰還増幅する(
図5ステップST7)。第2アンプ回路AMP2の動作は
図14を参照して説明した第1の実施の形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0141】
続いて、第2アンプ回路AMP2が増幅した検出信号detを第1アンプ回路AMP1が増幅する(
図5ステップST8)。具体的には、増幅された検出信号detによってPMOSトランジスタPM2がより強く駆動され、抵抗R42に流れる電流I2が大きくなる。それに伴い、第1出力回路OP1から出力される駆動信号drvも大きくなる。
【0142】
その結果、放電素子DEであるPMOSトランジスタPM1のソース・ゲート電圧が大きくなり、PMOSトランジスタPM1がより強く駆動される(ステップST9)。すなわち、PMOSトランジスタPM1がより強いON状態となって、放電電流IESDが大きくなり、端子間電圧が第1クランプ動作よりも低い電圧にクランプされる(第2クランプ動作)。
【0143】
なお、
図20~
図22に示した半導体装置についても、
図15、
図16に示した第1の実施の形態の変形例と同様に、PMOSトランジスタに代えてNMOSトランジスタを放電素子DEとして用いる回路構成としてもよい。
【0144】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は既に述べた実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能であることはいうまでもない。
【0145】
例えば、上記の実施の形態に係る半導体装置では、半導体基板、半導体層、拡散層(拡散領域)などの導電型(P型もしくはN型)を反転させた構成としてもよい。そのため、N型及びP型の一方の導電型を第1の導電型とし、他方の導電型を第2の導電型とした場合、第1の導電型をP型、第2の導電型をN型としてもよいし、反対に第1の導電型をN型、第2の導電型をP型としてもよい。
【符号の説明】
【0146】
AMP1 第1アンプ回路
AMP2 第2アンプ回路
C1 キャパシタ
D ダイオード素子
DE 放電素子
NM、NM1-NM5、MN11、MN21 NMOSトランジスタ
PM、PM1-PM4、PN11、PN21 PMOSトランジスタ
R1-R4、R41、R42 抵抗
RE 整流素子
TDC 過渡検出回路
VDC 電圧検出回路