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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】耐損傷性インジケータコーティング
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/06 20060101AFI20220615BHJP
   B32B 1/02 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
F17C1/06
B32B1/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018552652
(86)(22)【出願日】2017-03-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-05-30
(86)【国際出願番号】 US2017025494
(87)【国際公開番号】W WO2017176590
(87)【国際公開日】2017-10-12
【審査請求日】2019-12-02
(31)【優先権主張番号】62/318,942
(32)【優先日】2016-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511167010
【氏名又は名称】ヘキサゴン テクノロジー アーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】グレーズマン ウィリアム イー.
(72)【発明者】
【氏名】ガブリエル ジョセフ エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン デレック アントン
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-222364(JP,A)
【文献】特開2011-174039(JP,A)
【文献】特開2011-162721(JP,A)
【文献】特開2007-238829(JP,A)
【文献】特開平05-234427(JP,A)
【文献】特開平06-286085(JP,A)
【文献】国際公開第2016/007437(WO,A1)
【文献】特開2016-166617(JP,A)
【文献】特開2001-153788(JP,A)
【文献】特開2015-132528(JP,A)
【文献】国際公開第2013/018237(WO,A1)
【文献】特開2001-074199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/00-1/06
G01N 21/84-21/958
H01B 3/16-3/56
B32B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を保持するための圧力容器であって、
流体を保持するための空隙を規定する貯槽であって、当該貯槽の外側表面が、第1の視覚的特徴を含む、貯槽と、
前記外側表面上に配置されたコーティングと、
を含み、前記コーティングが、
前記外側表面上に配置されたインジケータ層であって、当該インジケータ層が、前記第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む、インジケータ層と、
前記インジケータ層の上方に配置された外側層であって、当該外側層が、前記第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む、外側層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に位置付けられた第1の中間層であって、当該第1の中間層が、視覚的に透明又は半透明である、第1の中間層と、
を含む、圧力容器。
【請求項2】
前記コーティングが、前記インジケータ層と前記外側層との間に第2の中間層をさらに含む、請求項1に記載の圧力容器。
【請求項3】
前記インジケータ層、前記外側層、前記第1の中間層、及び前記第2の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォームを含む、請求項2に記載の圧力容器。
【請求項4】
前記第2の中間層が、前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つと視覚的に対照をなす第4の視覚的特徴を含む、請求項2又は3に記載の圧力容器。
【請求項5】
前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォームを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の圧力容器。
【請求項6】
前記第1の中間層が、前記インジケータ層及び前記外側層の合計の厚さよりも厚い、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧力容器。
【請求項7】
前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、UV硬化性材料を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧力容器。
【請求項8】
前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つが、色を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の圧力容器。
【請求項9】
第1の視覚的特徴を含む基材に塗布するために構成されたコーティングであって、
前記基材上に配置されたインジケータ層であって、当該インジケータ層が、前記第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む、インジケータ層と、
前記インジケータ層の上方に配置された外側層であって、当該外側層が、前記第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む、外側層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に位置付けられた第1の中間層であって、当該第1の中間層が、視覚的に透明又は半透明である、第1の中間層と、
を含み、
ここで、前記第1の中間層が、前記インジケータ層及び前記外側層の合計の厚さよりも厚い、コーティング。
【請求項10】
前記インジケータ層と前記外側層との間に第2の中間層をさらに含む、請求項9に記載のコーティング。
【請求項11】
第1の視覚的特徴を含む基材に塗布するために構成されたコーティングであって、
前記基材上に配置されたインジケータ層であって、当該インジケータ層が、前記第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む、インジケータ層と、
前記インジケータ層の上方に配置された外側層であって、当該外側層が、前記第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む、外側層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に位置付けられた第1の中間層であって、当該第1の中間層が、視覚的に透明又は半透明である、第1の中間層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に第2の中間層と、を含み、
前記インジケータ層、前記外側層、前記第1の中間層、及び前記第2の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォームを含
ここで、前記第1の中間層が、前記インジケータ層及び前記外側層の合計の厚さよりも厚い、コーティング。
【請求項12】
前記第2の中間層が、前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つと視覚的に対照をなす第4の視覚的特徴を含む、請求項10又は11に記載のコーティング。
【請求項13】
第1の視覚的特徴を含む基材に塗布するために構成されたコーティングであって、
前記基材上に配置されたインジケータ層であって、当該インジケータ層が、前記第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む、インジケータ層と、
前記インジケータ層の上方に配置された外側層であって、当該外側層が、前記第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む、外側層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に位置付けられた第1の中間層であって、当該第1の中間層が、視覚的に透明又は半透明である、第1の中間層と、
を含み、
前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォームを含
ここで、前記第1の中間層が、前記インジケータ層及び前記外側層の合計の厚さよりも厚い、コーティング。
【請求項14】
第1の視覚的特徴を含む基材に塗布するために構成されたコーティングであって、
前記基材上に配置されたインジケータ層であって、当該インジケータ層が、前記第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む、インジケータ層と、
前記インジケータ層の上方に配置された外側層であって、当該外側層が、前記第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む、外側層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に位置付けられた第1の中間層であって、当該第1の中間層が、視覚的に透明又は半透明である、第1の中間層と、
を含み、
前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、UV硬化性材料を含
ここで、前記第1の中間層が、前記インジケータ層及び前記外側層の合計の厚さよりも厚い、コーティング。
【請求項15】
前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つが、色を含む、請求項9~14のいずれか1項に記載のコーティング。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[背景技術]
圧力容器は概して、例えば、水素、酸素、天然ガス、窒素、プロパン、メタン、及び他の燃料といった様々な流体を、圧力下で収容するために使用される。圧力容器は通常、いかなるサイズ又は構成をもとることができる。これらの容器は、例えば、重量が小さい若しくは大きいことがあり得、単回使用(例えば、使い捨て)や再使用が可能であり得、高圧下(例えば50psiよりも高い)や低圧下(例えば50psi未満)に置かれ得、又は、流体を高温若しくは極低温において貯蔵するために使用され得る。
【0002】
好適な圧力容器のシェル材料には、鋼といった金属、又は、熱硬化性樹脂若しくは熱可塑性樹脂により共に接着された、巻きつけられたガラス繊維フィラメント若しくは他の合成フィラメントの積層を含み得る複合材が含まれる。この繊維は、ガラス繊維、アラミド、炭素、グラファイト又は通常知られている、いずれかの他の繊維強化材料であってもよい。使用される樹脂材料は、エポキシ、ポリエステル、ビニルエステル、熱可塑性のもの、又は容器が使用され得る特定の用途に必要とされる、繊維間接着、繊維層間接着及び破壊耐性を提供することが可能な、いずれかの他の好適な樹脂製材料であってもよい。容器を複合材で構築すると、軽量であることや、腐食、疲労、及び突発的破損に対する耐性といった、数々の利点がもたらされる。これらの性質は、強化繊維又は強化フィラメントの比強度が高いことによる。この場合、「複合材」とは、フィラメントが巻きつけられた、又は積層された構造といった、繊維強化樹脂マトリックス材料を意味する。
【0003】
複合材のシェル内には、容器を封止して、内部の流体が複合材の材料と接触することを防止するために、ポリマー製又は他の非金属製の、弾性ライナー又は内袋が配置されることが多い。このライナーは、圧縮成形、ブロー成形、射出成形、又は通常知られている他のいずれかの技法で製造することができる。あるいは、ライナーは、鋼、アルミニウム、ニッケル、チタン、白金、金、銀、ステンレス鋼、及びそれらのいずれかの合金を含む、他の材料で製造することができる。このような材料は通常、高い弾性率を有するものとして特徴付けられ得る。1つの実施形態において、ライナー20は、ブロー成形された高密度ポリエチレン(HDPE)により形成される。
【0004】
図1は、本明細書中に引用により援用され、「損傷軽減システムを有する圧力容器」と題された米国特許第5,476,189号に開示された、細長い圧力容器10を示す。容器10は概して、流体を保持するための空隙を規定する貯槽であり、幾つかの実施形態においては、本体部12と、実質的に半球形又はドーム形状の端部14とを有する。容器10の一端又は両端には、一般的にアルミニウムで構築されるボス16が設けられて、容器10の内部と連通するためのポートを提供する。図2に示すように、容器10は、シェル18によって被覆された内側ライナー20を有して形成され得る。一例において、シェル18は、フィラメントが巻きつけられた複合材シェルであり得る。このような場合、複合材シェル18は、容器10にかかる構造負荷を分散させる。
【0005】
図2は、本明細書中に引用により援用され、「フィラメントが巻きつけられた圧力容器のためのボス」と題された米国特許第5,429,845号に開示された、複合材シェル18と、ライナー20と、ボス16と、を含む典型的な端部14の、図1の線2-2に沿った部分断面図を示す。ボス16は、概して、首状部22と、容器10の内部との流体連通を可能にするポート26と、ポート26から半径方向に延在する環状フランジ24と、を有する。ボス16は、ポート26が圧力容器10の内部と外部との間に延在するように、外側シェル18及びライナー20に嵌合されている。概して、シェル18は首状部22に当接し、フランジ24は、ライナー20とシェル18との間に挟持されている。この構造により、ボス16は容器10に取り付けられ、ボス16、シェル18、及びライナー20間の界面において封止をもたらす。
【0006】
圧力容器10を形成するための方法は、マンドレル上にボスを搭載することと、ライナー20のための流体ポリマー材料を、ボス16のフランジ24の周囲に流すことと、を含む。その後、ライナー材料は凝固し、ライナー20は、それによってボス16と機械的に噛み合わされる。したがって、極圧条件下においてさえも、ライナー20がボス16から分離することが防止される。
【0007】
例示的な一実施形態において、外側シェル18は、巻きつけられた繊維で形成され、ライナー20と、ボス16のフランジ24の少なくとも一部と、を取り囲む。例示的な方法では、繊維の供給ヘッドが、繊維を所望のパターンでライナー20上に巻き付けるような方式で移動する。容器10が球形であるというよりも円筒形である場合、繊維の巻きつけは通例、実質的に長手方向(螺旋状)と円周方向(フープ状)との両方の巻き付けパターンで施行される。この巻きつけのプロセスは、樹脂含有量、繊維構成、巻きつけ張力、及びライナー20の軸に対する巻き付けのパターンといった、多数の因子によって規定される。例示的な圧力容器の形成に関連する詳細は、本明細書中に引用により援用され、「フィラメント巻きつけのプロセス及び装置」と題された米国特許第4,838,971号に開示されている。複合材の圧力容器は、一般的な商用及び輸送の用途のための使用が増えており、これらの用途には、例えば、乗用車及び商用車における燃料貯蔵(例えば、天然ガス又は水素)、油圧システム、並びに大規模気体輸送が含まれる。これらの使用及び他の制御されていない環境における圧力容器の使用により、当該容器は、落下、擦傷、衝撃下に置かれること、又はそうでなければ損傷を受けることの潜在性が増大する。このような損傷は、容器を目視検査しても直ぐには分からないかもしれないが、この容器を引き続き使用するには不適切であることを判断するのに十分なほど深刻なものである恐れがある。あるいは、シェル18に対する損傷は視認可能であり得るものの、損傷の深刻度は、目視点検を通じて判定できないかもしれない。換言すると、オペレータは、シェル18上における擦傷又は打痕といった損傷を見て、この損傷が、容器を使用するには不適切であることを判断するのに十分なほど深刻なものではない場合、この容器を運用から外してもよい。容器に対する損傷を防止するアプローチには、容器の外部に対して、保護性の層、材料、コーティング、エンドキャップ、又は他の犠牲片を追加することが含まれる。しかしながら、容器に対する損傷を完全に防止することが可能なアプローチは存在せず、そのため、容器の損傷の存在及び深刻度の視覚的標識に対する必要性が存在する。
【0008】
[概要]
1つの態様において、流体を保持するための圧力容器が開示される。この容器は、貯槽と、当該貯槽の外側表面上に配置されたコーティングと、を含む。当該貯槽は、流体を保持するための空隙を規定し、当該貯槽の外側表面は、第1の視覚的特徴を含む。当該コーティングは、インジケータ層、外側層、及び第1の中間層を含む。当該インジケータ層は、当該外側表面上に配置され、当該インジケータ層は、第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む。当該外側層は、インジケータ層の上方に配置され、当該外側層は、第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む。当該第1の中間層は、当該インジケータ層と当該外側層との間に位置付けられ、当該第1の中間層は、視覚的に透明又は半透明である。
【0009】
別の態様において、この開示は、第1の視覚的特徴を含む基材に塗布するために構成されたコーティングについて記載している。このコーティングは、インジケータ層、外側層、及び第1の中間層を含む。当該インジケータ層は、当該基材上に配置され、当該インジケータ層は、第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む。当該外側層は、インジケータ層の上方に配置され、当該外側層は、第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む。当該第1の中間層は、当該インジケータ層と当該外側層との間に位置付けられ、当該第1の中間層は、視覚的に透明又は半透明である。
【0010】
この開示は、その種々の組み合わせにおいて、装置の形態又は方法の形態のいずれにおいても、以下の項目一覧により、同様に特徴付けられ得る。
1. 流体を保持するための圧力容器であって、
流体を保持するための空隙を規定する貯槽であって、当該貯槽の外側表面が、第1の視覚的特徴を含む、貯槽と、
前記外側表面上に配置されたコーティングと、
を含み、当該コーティングが、
前記外側表面上に配置されたインジケータ層であって、当該インジケータ層が、当該第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む、インジケータ層と、
前記インジケータ層の上方に配置された外側層であって、当該外側層が、前記第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む、外側層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に位置付けられた第1の中間層であって、当該第1の中間層が、視覚的に透明又は半透明である、第1の中間層と、
を含む、圧力容器。
【0011】
2. 前記コーティングが、前記インジケータ層と前記外側層との間に第2の中間層をさらに含む、項目1に記載の圧力容器。
3. 前記インジケータ層、前記外側層、前記第1の中間層、又は前記第2の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォーム(collapsible foam)を含む、項目2に記載の圧力容器。
【0012】
4. 前記第2の中間層が、前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つと視覚的に対照をなす第4の視覚的特徴を含む、項目2~3のいずれかに記載の圧力容器。
【0013】
5. 前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォームを含む、項目1~4のいずれかに記載の圧力容器。
6. 前記第1の中間層が、前記インジケータ層及び前記外側層の合計の厚さよりも厚い、項目1~5のいずれかに記載の圧力容器。
【0014】
7. 前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、UV硬化性材料を含む、項目1~6のいずれかに記載の圧力容器。
8. 前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つが、色を含む、項目1~7のいずれかに記載の圧力容器。
【0015】
9. 第1の視覚的特徴を含む基材に塗布するために構成されたコーティングであって、
前記基材上に配置されたインジケータ層であって、当該インジケータ層が、前記第1の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第2の視覚的特徴を含む、インジケータ層と、
前記インジケータ層の上方に配置された外側層であって、当該外側層が、当該第2の視覚的特徴と視覚的に対照をなす第3の視覚的特徴を含む、外側層と、
前記インジケータ層と前記外側層との間に位置付けられた第1の中間層であって、当該第1の中間層が、視覚的に透明又は半透明である、第1の中間層と、
を含む、コーティング。
【0016】
10. 前記インジケータ層と前記外側層との間に第2の中間層をさらに含む、項目9に記載のコーティング。
11. 前記インジケータ層、前記外側層、前記第1の中間層、又は前記第2の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォームを含む、項目10に記載のコーティング。
【0017】
12. 前記第2の中間層が、前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つと視覚的に対照をなす第4の視覚的特徴を含む、項目10~11のいずれかに記載のコーティング。
【0018】
13. 前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、潰れることのできるフォームを含む、項目9~12のいずれかに記載のコーティング。
14. 前記第1の中間層が、前記インジケータ層及び前記外側層の合計の厚さよりも厚い、項目9~13のいずれかに記載のコーティング。
【0019】
15. 前記インジケータ層、前記外側層、及び前記第1の中間層の少なくとも1つが、UV硬化性材料を含む、項目9~14のいずれかに記載のコーティング。
16. 前記第1の視覚的特徴、前記第2の視覚的特徴、及び前記第3の視覚的特徴の少なくとも1つが、色を含む、項目9~15のいずれかに記載のコーティング。
【0020】
この概要は、発明を実施するための形態において以下にさらに説明する概念を、簡略化された形で導入するために提供されている。この概要は、開示された又はクレームされた主題の、鍵となる特徴又は本質的な特徴を識別することは意図されておらず、開示された又はクレームされた主題の、開示された各実施形態又は実施例のすべてを説明することも意図されていない。具体的には、1つの実施形態に関して本明細書中に開示される特徴は、別の実施形態にも等しく適用可能であり得る。さらに、この概要は、クレームされた主題の範囲の特定を助けるものとして使用されることは意図されていない。この説明が進行するにつれ、多くの他の新たな利点、特徴、及び関係性が明らかになるであろう。以下に続く図面及び説明は、例示的な実施形態を、より具体的に例示する。
【0021】
添付の図面を参照して、開示された主題がさらに解説されるであろう。これらの図面においては、幾つかの図全体にわたり、同じ構造又はシステム要素が同じ参照番号を用いて言及されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、典型的な圧力容器の側面図を示す。
図2図2は、図1の線2-2に沿った、図1の容器の一方端の部分断面図であり、典型的なシェル、ボス、及びライナーを示す。
図3図3は、本開示の、保護性多層コーティングを含む圧力容器の例示的な一実施形態の部分断面図である。
図4図4は、図3の圧力容器及び保護性多層コーティングの一部の拡大部分断面図であり、当該一部は、圧力容器の内側が左に、圧力容器の外側が右に示されるように配向されている。
図5図5は、図4に類似しているが、穴を含んでおり、ここでは、コーティングの一部が取り去られて、中間透明層を露出させている。
図6図6は、図5に類似しているが、より深い穴を含んでおり、ここでは、コーティングの中央透明層の一部が取り去られ、それにより、当該透明層を通して底部のインジケータ層が視認可能になっている。
図7図7は、図6に類似しているが、さらにより深い穴を示しており、ここでは、コーティングの一部の中央透明層の全体の厚さが取り去られ、それにより、コーティングの底部インジケータ層を露出させている。
図8図8は、図7に類似しているが、より一段と深い穴を示しており、ここでは、当該穴が、コーティングの全体の厚さを取り去っており、それにより、圧力容器のシェルを露出させている。
図8A図8Aは、図4の保護性コーティングを有する圧力容器の一部の、図8の右側からの図であり、ここでは、穴が、コーティングの全体の厚さを取り去っており、それにより、圧力容器のシェルを露出させている。
図9図9は、圧力容器と、図3の保護性多層コーティングの第2の例示的な実施形態との拡大部分断面図である。
図10図10は、圧力容器と、幾つかの中間層を含む保護性多層コーティングの第3の例示的な実施形態との拡大部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
上で識別された図面は、開示された主題の1つ以上の実施形態を明記しているものの、本開示に注記されるように、他の実施形態もまた企図される。全ての場合において、この開示では、開示された主題を限定ではなく、代表として提示している。理解されるべきこととして、この開示の原理の範囲及び性質の範囲内に入る数々の他の変更例及び実施形態を、当業者が考案することが可能である。
【0024】
これらの図面は、縮尺通りに描かれていないことがあり得る。特に、幾つかの特徴は、明確にするために、他の特徴よりも拡大されていることがあり得る。また、上方(above)、下方(below)、上方(over)、下(under)、上部(top)、底部(bottom)、側部(side)、右(right)、左(left)などといった用語が使用される場合、これらは、説明の理解を容易にするために専ら使用されていることが理解されるべきである。構造は、その他の態様で配向されてもよいことが企図されている。
【0025】
[詳細な説明]
本開示は、コーティングが損傷を受けたという視覚的標識を提供する、圧力容器のための保護性多層の種々の実施形態を説明する。加えて、このコーティングは、当該損傷により、容器が使用には不適切であることを判断するには至っていない場合、オペレータがこの容器を引き続き運用し得るように、損傷の深刻度についての視覚的標識を提供する。オペレータは、容器に対する損傷が、当該容器の効果的使用に障害を生じさせている場合、この容器を運用から外し得る。擦傷、掻き傷、又は穴といった損傷は、多層コーティングの少なくとも1つの内側層を露出させ、この少なくとも1つの内側層が、損傷の深刻度についての視覚的インジケータを提供する。例示的な実施形態において、視覚的インジケータは、例えば、対照色、異なる反射率特性、又は異なる屈折特性を含めた、コーティングの層間において対照をなす視覚的特徴によるものであってもよい。加えて、コーティングの例示的な一実施形態は、例えば摩耗及び衝撃といった損傷から圧力容器を保護するように作用する。
【0026】
図3は、シェル18上における、多層インジケータコーティング28の例示的な一実施形態を示す。幾つかの実施形態において、コーティング28は、紫外線(UV)硬化性コーティングであり、その1つ以上の層は、UV硬化性の液体又は粉末といった形で提供される。しかしながら、コーティング28は、例えば、シェル18といった基材に対する(それ自体の上への、又は、図示されていない中間結合層を介した)付着性、耐摩耗性及び耐衝撃性、並びに容器10に対する損傷の視知覚を可能にするための保色性といった特性を呈示するいかなる材料又はタイプのものであってもよい。図4図8図9、及び図10は、図3の圧力容器及び保護性多層コーティングの一部の例示的な実施形態の拡大部分断面図であり、当該一部は、圧力容器の内側が左に、圧力容器の外側が右に示されるように配向されている。これらは断面図であるが、インジケータコーティング28の構成要素のクロスハッチングは、例示を明確にするために省略されている。
【0027】
図4は、シェル18及びライナー20を有する圧力容器上の例示的なコーティング28aの拡大部分断面図を示す。例示的な一実施形態において、コーティング28aは、シェル18上に配置されたインジケータ層30と、インジケータ層30上に配置された中央層又は中間層32と、中央層32上の外側層34と、を含む。よって、中央層32は、中間インジケータ層30と外側層34との間に位置付けられる。コーティング28の例示的な実施形態において、それぞれのコーティング層30、32、34は、それら自体の上に、又は、図示されていない1つ以上の中間結合層を介して、互いに付着している。
【0028】
例示的な一実施形態において、多層コーティング28の層のいずれも、下にある容器シェル18又は下にある層に塗布されることが可能な材料を含む。好適な材料には、例えば、ウレタン、ポリウレタン、エポキシ、アクリル樹脂、並びに圧縮性及び/又は潰れることのできるのフォームが含まれる。特に好適な材料は、紫外線(UV)照射による硬化性を有する。UV硬化性材料の使用により、より長い硬化時間を必要とする材料に比べ、多層コーティング28の種々の層のコーティング及び硬化に必要とされる時間を短縮することができる。多層コーティング28の層のいずれの層の材料の特定の組成も、例えば、耐温度性及び耐湿度性、耐退色性、強度、耐摩耗性、並びに耐衝撃性といった、所望の付着性及び耐環境性の特性を提供するように調整することができる。
【0029】
例示される実施形態において、インジケータ層30は、シェル18上に配置されている。例示的な一実施形態において、インジケータ層30は、当該インジケータ層30からシェル18が直ぐに視覚的に区別可能になるように、シェル18の色と対照をなす色のUV硬化性塗料である。例えば、シェル18が黒色である場合、インジケータ層30に好適な色は、金色、赤色、橙色、又は蛍光色であり得る。しかしながら、多層コーティング28に隣接する層には、いかなる対照色も好適である。インジケータ層30は、ローラ塗り、スプレー塗り、刷毛塗り、流し塗り、又は、いずれかの有用な塗布方法により、シェル18に塗布される。例示的な一実施形態において、インジケータ層30は、全体の厚さが、約0.003インチ(0.076mm)以上且つ約0.006インチ(0.152mm)以下になるよう2枚の塗膜において塗布されて、シェル18の適切な被覆を提供し、ユーザに対し、(半透明又は不均質とは対立するものとして)一様な色を視覚的に提示する。他の実施形態において、インジケータ層30は、当該層が、中央層32及び/又は外側層34の一部が取り去られたときに直ぐに視認可能である限り、いかなる厚さの、いかなる数の塗膜において塗布されてもよい。
【0030】
例示的な一実施形態において、中央層32は、インジケータ層30上に塗布された、実質的に透明又は半透明なUV硬化性コーティングであり、このUV硬化性コーティングを通してインジケータ層30の色を見ることができる。例示的な一実施形態における中央層32が視覚的に透明又は半透明であるとき、中央層32は、単体では視覚的な損傷インジケータとしては働かない。むしろ、その主な役割は、穴、掻き傷、及び他の損傷を容認し、且つ、当該損傷がインジケータ層30又はシェル18に到達することを防止する、保護層としての役割である。また、中央層32は、透明又は半透明であるとき、損傷の早期標識を提供する。その理由は、たとえ中央層32が本質的に無傷である場合でも、単に外側層34が含まれているとき、透明な中央層32を通してインジケータ層30を視認できるためである。
【0031】
中央層32は、ローラ塗り、スプレー塗り、刷毛塗り、流し塗り、又は、いずれかの有用な塗布方法により、インジケータ層30に塗布される。幾つかの実施形態において、中央層32は、インジケータ層30及び外側層34の合計の厚さよりも厚い。例示的な一実施形態において、中央層32は、約0.015インチ(0.381mm)以上且つ約0.035インチ(0.889mm)以下の厚さを有する。幾つかの実施形態において、中央層32は、多層コーティング28の全体の厚さの約90%を占めていてもよい。例示的な一実施形態において、中央層32は、衝撃力を吸収することが可能な材料で製造され得、それにより、さらなる耐損傷性をもたらす。この材料は、可撓性又は潰れることのできるフォームであってもよく、例えばポリウレタンフォームであってもよい。
【0032】
例示的な一実施形態において、外側層34は、インジケータ層30及び外側層34が互いに直ぐに区別されることが可能であるように、インジケータ層30の色と対照をなす色の塗料の形における、UV硬化性材料である。外側層34は、中央層32と、外側層34に追加され得るあらゆる(1つ又は複数の)層と、に付着し、このあらゆる層とは、例えば、その上にラベルを付着させていること、又はそうでなければ添付させていることがあり得るベース層といった層である。外側層34は、ローラ塗り、スプレー塗り、刷毛塗り、流し塗り、又はいずれかの有用な塗布方法により、中央層32に塗布される。例示的な一実施形態において、外側層34は、2枚又は3枚の塗膜において、約0.003インチ(0.076mm)以上且つ約0.006インチ(0.152mm)以下の厚さまで塗布される。他の実施形態において、外側層34は、いかなる厚さの、いかなる数の塗膜において塗布されてもよい。より厚い外側層34を有する容器10では、より深い穴が、突き抜けて中央層32にまで至ってインジケータ層30を視認させるまで露出させることなく、多層コーティング28に生じる恐れがある。
【0033】
図4図8Aは、多層コーティング28の第1の例示的な実施形態を示す。図4は、容器10上における、損傷を受けていない多層コーティング28aの例示的な一実施形態を示す。図5図8の各々においては、異なる深さの穴36により、異なるレベルの深刻度を有する損傷が生じている。この開示は、あらゆる擦傷、掻き傷、傷、摩耗、ひび割れ、又は、コーティング28の外側表面を破壊する他の特徴を説明するために、「穴」に言及している。図5は、多層コーティング28aが、容器10の使用が危うくなるほど深刻ではない穴36iにより、軽微な損傷下に置かれていることを示す。図5において、外側層34に対する損傷は、外側層34を経由して中央層32まで延在していない穴36iを生じている。外側層34の色のみが視認可能であり、容器10の使用に適切であることを示している。
【0034】
図6及び図7において、穴36ii、36iiiは、多層コーティング28の全体の厚さを経由して延在してはいない。むしろ、図6において穴36iiは、中央層32内へと部分的に延在し、そのため、透明な(又は半透明な)中央層32を通してインジケータ層30を見ることができる。図7において穴36iiiは、中央層32を経由して延在し、それにより、インジケータ層30を露出させている。図6及び図7のいずれも、インジケータ層30の色の視認性(図7におけるように直接的、又は図6におけるように中央層32を通して間接的のいずれにおいても視認可能である)は、容器10が、衝撃又は摩耗といった損傷下に置かれているものの、容器10の使用が禁忌されるほどの損傷を受けていないことがあり得る程度を示す。容器10は、運用から直ちに外されるのではなく、例えば、日常的なメンテナンス中に、損傷を受けた現場において点検され得る。
【0035】
図8及び図8Aにおいて、損傷は、多層コーティング28aの一部の全体の厚さを取り去る穴36ivを生じている。容器10のシェル18が視認されるまで露出され、深刻な損傷が生じたことと、幾つかの場合においては、容器10が運用から外される準備が整ったこと、又は、他の補修措置の準備が整ったことと、を示す。この場合、穴36ivの少なくとも一部は、シェル18の色であり、この部分は、インジケータ層30の色である穴36の一部により取り囲まれており、インジケータ層30は、例示的な一実施形態において、シェル18の色と視覚的に対照をなす。中央層32が透明であるとき、中央層32及びインジケータ層30を通した壁40aの部分は、インジケータ層30の色であるように見え、層30と層32との間の境界は、直ぐに認識可能ではない。例示的な一実施形態において、外側層34の色は、インジケータ層30の色と視覚的に対照をなす。
【0036】
穴又は傷によって露呈された着色部分の相対的なサイズ及び形状は、当該穴のサイズ及び形状と、シェル18の外部表面に対する穴の壁40の角度と、に依存する。参照番号36は、いずれかの構成における穴を指し、36iは、図5に示される穴の構成を指し、36iiは、図6に示される穴の構成を指し、36iiiは、図7に示される穴の構成を指し、36ivは、図8及び図8Aに示される穴の構成を指し、36cは、図10に示される穴の構成を指す。参照番号40は、いずれかの構成における穴の壁を指し、40aは、図8及び図8Aに示される穴の壁の構成を指し、40cは、図10における穴の壁の構成を指す。
【0037】
図8及び図8Aにおいて明らかであるように、シェル18に対してほぼ垂直に配向された穴の壁40は、層30のインジケータの色を少ししか露呈させないが、シェル18に対して相対的に斜めに配向された壁40を有する穴は、インジケータの色をより多く露呈させる。緩やかに傾斜する壁を有する、相対的に幅の広い穴36は、シェル18の露出部分の周囲において、インジケータ層30の相対的に大きな部分が視認可能であることによって特徴付けられる。急峻に傾斜する壁を有する穴36は、シェル18の露出部分の周囲において、インジケータ層30の相対的に小さな又は幅の狭い部分が視認可能であることによって特徴付けられる。露出された層の外観により、容器10に対する損傷のサイズ、形状、タイプ、及び/又は深刻度を大まかに判定することが可能になる。例示的な一実施形態において、外側層34、インジケータ層30、及びシェル18の全ては、互いに対照色を有している。その場合、穴の壁40がたとえ急峻であっても(及び、たとえアンダーカットが生じていても)、穴36ivは、インジケータ層30の色が容易に見えない場合でも、外側層34の色と対照をなすシェル18の色を検出することにより、視覚的に知覚され得る。
【0038】
多層コーティング28の全体の厚さは、理論的に又は経験的に導出されてもよい。多層コーティング28の例示的な厚さは、約0.010インチ(0.254mm)以上且つ約0.100インチ(2.540mm)以下である。多層コーティング28の全体の厚さ、各層の厚さ、各層の色、及び各層の保護特徴を選択及び調節して、所望の標識を提供することができる。例えば、多層コーティング28の組成及び構造は、シェル18の視認可能な露出が、容器10を運用には不適切とする恐れがある最も低い深刻度の損傷を示すように選択されてもよいが、多層コーティング28の組成及び構造は、所与の用途に有用な、いかなるレベルの損傷をも示すように選択されてもよい。
【0039】
例えば、僅かな容器損傷に対するレスポンスを必要とする用途では、多層コーティング28の全体の厚さが小さくなるように選択されてよく、それにより、コーティング28の一部の全体の厚さが相対的に浅い穴36により取り去られるようになり、相対的に軽い損傷が生じると、容器10が運用から外されるべきであること、又はそうでなければ、対応されるべきであることを示す。あるいは、容器10の僅かな損傷に対するレスポンスを必要とする用途では、多層コーティング28の全体の厚さが大きくなるように選択されてよく、一方、外側層34の厚さは小さくなるように選択される。図6の穴36iiといった、相対的に浅い穴36は、外側層34の一区分を取り去り、それにより、透明な中央層32を通してインジケータ層30の色を露呈させる。ユーザは、相対的に軽い損傷が生じると、容器10を運用から外してもよく、又は、その時点で容器10に対応してもよい。よって、多層コーティング28は、当該多層コーティング28の少なくとも幾つかの層又は部分がなお無傷であって、損傷に対する継続的な保護を提供しつつも、損傷の早期標識を提供する方法で使用されることが可能である。
【0040】
例示的な一実施形態において、多層コーティング28の少なくとも幾つかの層は、視覚的インジケータとして働くだけではなく、摩耗、掻き傷、及び軽微な衝撃などからシェル18を保護するようにも機能する。そのため、所与の材料について、コーティング28又はそれぞれの層が薄くなるほど、もたらされる保護が少なくなる。いずれの場合も、それぞれの層の相対的な厚さは、当該層に使用される材料と、容器10の用途の要件とに関して選択されてもよい。
【0041】
図9は、中央層32を有していない多層コーティング28bの例示的な一実施形態を示す。この実施形態において、外側層34は、インジケータ層30上に直接的に塗布されており、そのため、(多層コーティング28が中央層32を含む実施形態に比べて)少量のコーティング28bが取り去られることにより、容器10が損傷を受けたことが示される。例示的な一実施形態において、中央層32を有しないコーティング28bの全体の厚さは、約0.010インチから約0.015インチの間である。中央層32を有しないコーティング28bは、小さな摩耗又は衝撃が損傷として示されるという点で、損傷に対する感度の高いインジケータをもたらす。このようなコーティング28bは、より厚いコーティングに比べ、使用されるコーティング材料が少なくなるため、費用効率がよく、軽量である。
【0042】
図10は、インジケータ層30と外側層34との間に幾つかの中間インジケータ層38を有する、容器10上の多層コーティング28cの例示的な一実施形態を示す。個々の中間インジケータ層38は、異なる色を有してもよく、透明/半透明であってもよく、又は、着色層38及び透き通った層38の組み合わせであってもよい。コーティング28cの穴36cは、穴36cの壁40cに沿ってインジケータ層を露出させ、それにより、各層が既知の厚さを有している場合、例えば、露出された層の数を数えることにより、又は露出された最も深い層の色に着目することにより、穴36cの深さが判定され得る。例示的な一実施形態において、シェル18は、第1の色、例えば黒色を有する。インジケータ層30は、第1の色と対照をなす第2の色、例えば金色を有する。外側層34は、第1の色及び第2の色の両方と対照をなす第3の色、例えば赤色を有する。中間層38の少なくとも1つは、実質的に透き通っている。また、中間層38の少なくとも1つは、第1の色、第2の色、及び第3の色のいずれとも対照をなす第4の色、例えば緑色を有する。この例は、各層について異なる色を使用しているが、対照色が隣接する層で使用されている限り、より少ない数の色が使用されてもよいことが企図される。
【0043】
また、多層コーティング28cの構造は、着色層30、38を、外側層34から、既知の離散した深さ測定値の箇所に配置してもよい。よって、特定の色の露出により、穴36cの深さがユーザに直ぐに警告される。穴36の壁上に露出された所与の色の全領域が、外側層34から実質的に同じ深さに存在している一実施形態においては、複数の中間インジケータ層38が、穴36の形状学的特徴を判定するためにも使用されてもよい。
【0044】
幾つかの実施形態を参照してこの開示の主題について説明してきたが、当業者は、この開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細において変更を行ってもよいことを認識するであろう。加えて、1つの実施形態に関して開示されたいかなる特徴も、別の実施形態に組み込まれてもよく、その逆の場合もまた同様である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図8A
図9
図10