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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】電子カード用の放熱装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20220615BHJP
   H01L 23/40 20060101ALI20220615BHJP
   H05K 7/14 20060101ALI20220615BHJP
   F16H 1/14 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
H05K7/20 B
H01L23/40 Z
H05K7/14 P
F16H1/14
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019521737
(86)(22)【出願日】2017-10-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-01-16
(86)【国際出願番号】 IB2017056586
(87)【国際公開番号】W WO2018078522
(87)【国際公開日】2018-05-03
【審査請求日】2020-09-18
(31)【優先権主張番号】102016000107037
(32)【優先日】2016-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507314143
【氏名又は名称】ユーロテック ソシエタ ペル アチオニ
(74)【代理人】
【識別番号】110002295
【氏名又は名称】弁理士法人M&Partners
(72)【発明者】
【氏名】ロッシ マウロ
【審査官】鹿野 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-308563(JP,A)
【文献】特開2004-071712(JP,A)
【文献】特開平06-188583(JP,A)
【文献】特開2009-259884(JP,A)
【文献】特開2009-283489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/40
H05K 7/14
F16H 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子カード(11)に結合された支持体(15)を備えた前記電子カード(11)用の放熱装置であって、
前記電子カード(11)は、電気コネクタ(12)に挿脱可能な電気接続インターフェース(11a)を備えると共に、前記電気コネクタ(12)は支持プレート(13)上に設けられ、前記支持プレート(13)の載置面に直交する方向に前記電気接続インターフェース(11a)が挿脱可能となるように構成され、
前記支持プレート(13)は、熱伝導によって伝達される熱を放熱する放熱面(14)を有し、
前記放熱装置は、
前記放熱面(14)に設けられた少なくとも1つの受け部材(20)と、
前記支持体(15)に結合され、前記放熱面(14)と接触して伝熱する前記支持体(15)の表面(16)の位置決めを行うために前記少なくとも1つの受け部材(20)に係合する固定部材(19)とを含むレベリング部材(18)と、を備え、
前記支持体(15)の前記表面(16)又は前記支持プレート(13)の前記放熱面(14)に対して直交する方向に、それぞれ、前記固定部材(19)又は前記少なくとも1つの受け部材(20)のうち少なくとも1つの位置決めを行うことが可能であると共に、
前記レベリング部材(18)は、前記表面(16)に対して直交する方向の位置決めができる前記固定部材(19)に結合されている本体(23)と、前記本体(23)の所定の位置に配置されている他の固定部材(24)と、を備え、
前記所定の位置は、作動時に、前記他の固定部材(24)と前記固定部材(19)とが協働して、万力のように前記少なくとも1つの受け部材(20)の一部を挟み固定するように定められていることを特徴とする、放熱装置。
【請求項2】
前記レベリング部材(18)が、前記支持体(15)の前記表面(16)に対して直交する方向に前記固定部材(19)の位置決めを行うことが可能な調節手段(25)を備えることを特徴とする、請求項1記載の放熱装置。
【請求項3】
前記支持体(15)にある台座部(27)と協働する調整工具(26)を用いて、前記調節手段(25)を動作させることができることを特徴とする、請求項2記載の放熱装置。
【請求項4】
前記調節手段(25)が、前記調整工具(26)の回転運動を、前記支持体(15)の前記表面(16)に対して直交方向に前記固定部材(19)を移動させる並進運動に変換するための運動転換部材(28)を備えることを特徴とする、請求項3記載の放熱装置。
【請求項5】
前記受け部材(20)が、前記支持プレート(13)の前記放熱面(14)に対して直交する方向に前記少なくとも1つの受け部材(20)の位置決めを行うことが可能な更なる調節手段を備えることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項記載の放熱装置。
【請求項6】
前記支持体(15)は、前記電子カード(11)に側面から結合され、
前記支持体(15)の前記表面(16)は、前記電気コネクタ(12)へ前記電子カード(11)を挿入する方向に対して直交していることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項記載の放熱装置。
【請求項7】
前記支持体(15)は、電気及び/又は電子部品と、分散、消散及び熱界面要素と、前記電子カード(11)及びコネクタ(21)に連結される電子カードと、からなる群から選択される1つ以上の要素を備えることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項記載の放熱装置。
【請求項8】
前記支持体(15)の前記表面(16)は、熱伝導性インターフェース(17)を備えることを特徴とする、請求項1乃至のいずれか一項記載の放熱装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項のいずれか一項記載の放熱装置(10)を、装着/取り外す方法であって、
放熱面(14)に設けられている少なくとも1つの受け部材(20)を、固定部材(19)と係合/分離させるステップと、
熱伝達に適した前記表面(16)が前記放熱面(14)と連結/分離するまで、前記放熱面(14)に対して直交する方向に前記支持体(15)の表面(16)の位置決めを行うステップと、を含み、
前記支持体(15)の前記表面(16)又は前記支持プレート(13)の前記放熱面(14)に対して直交する方向に、それぞれ、前記固定部材(19)又は前記少なくとも1つの受け部材(20)のうち少なくとも1つの位置決めが行われることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施例は、強制空冷システムを具備しない電子カード(例えば高性能演算器、スーパーコンピュータ、高性能な計算機システム、或いは管理可能な電力密度を最大にするための高度な電子的統合と大規模な放熱能力が必要となるその他のユニットに用いられる電子カード等)の放熱装置に関する。
【0002】
本発明は特に、例えばPCIe(Peripheral Component Interconnect Express)電子カード(モジュール)など、システムへの挿脱方向と直交する方向に作られた電気接続インターフェースを備えた電子カードに適用することができ、また、類似及び/又は同等のフォームファクタ及び/又は電気相互接続インタフェース及び/又はレイアウトを有する他の電子カードにも適用することができる。
【背景技術】
【0003】
例えばスーパーコンピュータの分野における高性能処理ユニットは通常、複数の電気コネクタを備えた支持プレートを備えており、そこに電子カードが装着される。
【0004】
当該電子カードは「カードエッジ」タイプ、すなわち一連の電気接点(「ゴールドフィンガー」ともいう)を有する電子カードである。そして、処理ユニットの支持プレートにある電気コネクタ(別名ソケット)に着脱自在に挿入することができる。
【0005】
非限定的な実施例として、着脱可能な電子カードとは、サーバーシステムのノードカード、電子拡張カード、列線交換ユニット(LRU)、フィールド交替可能ユニット(FRU)、又は分解する必要なく装着することができる類似又は同等の他の電子カード(カスタマイズタイプも含む)も意味する。本明細書で参照する他の電子カードは、「ボードtoボード」タイプの電気インターフェース接続を備えた電子カードである。
【0006】
本開示内容は、リアバックプレーンで接続可能であるブレードアーキテクチャに基づいたシステムには関連しない。ブレードアーキテクチャでは、システムからの挿脱方向と同方向に接続が行われる。これらの電子カードについては、非常に複雑な接続及び放熱装置が知られており、また、この接続及び放熱装置は、それらとは異なるタイプの電子カード(例えばPCIe電子カード)に対してまで一般化はできない。
【0007】
このことに関連し、高度な電子集積化、従って、高い電力密度を達成することが必要であり、これは、電子カードが非常にコンパクトでなければならないことを意味する。
【0008】
温度限界値の超過を回避するために、電子カードは、故障及び/又は可逆的な損傷を引き起こさないよう、強い冷却を必要とする。
【0009】
例えば、強制空気冷却、熱媒体(冷媒)冷却、受動的な放熱装置を使用する技術といった、様々なタイプの冷却技術が公知である。
【0010】
電子カード間を流れる強制空気を利用するか、熱媒体を用いて達成される冷却では通常、得られる電力密度を制限するような寸法を有し、例えば熱媒体が流れる導管(チューブ)といった多数の追加要素を備えた複雑なアセンブリ(組立て)が必要である。
【0011】
このことに関連し、受動的な放熱装置によって得られる冷却は好ましい。なぜなら受動的な放熱装置では冷却を容易に得ることができ、そして故障が生じた際には、各種素子への損傷の可能性が他のタイプの冷却より低いからである。
【0012】
受動的な放熱装置を用いた、好ましい解決策の1つとして、冷却板(cooling plate)(別名「コールドプレート(cold plate)」)の使用という方法が提供されており、冷却液体が流れる一体化した導管が備えられている。
【0013】
冷却板で最大放熱効率を保証するためには、冷却板と、装着する電子カードとの間で、信頼性が高く広範な熱的結合(ヒートカップリング)が必要である。
【0014】
電気コネクタへの、2種類の主要な電子カードを挿脱する構成は公知である。しかし、それらは、任意のタイプの電子カードに対して、信頼性が高く広範な熱的及び機械的な冷却板との結合が必ずしも保証されるわけではない。
【0015】
ブレードタイプの電子カードは公知である。電子カードを挿入方向に対して直交する方向にかつ移動の終端まで挿入して電気コネクタに結合することにより、電気的及び機械的結合が得られる。この場合、電気コネクタは、「バックプレーン」の上に設けられる。
【0016】
直交方向に挿入する電子カードも公知である。一旦電気コネクタ上部でこの電子カードの位置決めを行い、電気コネクタの長手方向の延長方向に直交する方向に挿抜される。
【0017】
電気コネクタの長手方向の延長方向に平行な方向でのみ、電気コネクタへのアクセスが可能である場合、上記発明の処理ユニットで、直交方向に挿し込む電子カードを使用するのは容易ではない。なぜなら位置決めが困難であり、装着したとしても、信頼性が高く広範な機械的、熱的、及び電気的結合は保証されない。
【0018】
米国特許出願公開第2004/0022045号では、電子カードを取り付けるためのラックについて記載されている。ラックを含むパネルの内部表面にファンが設けられ、このファンを備えた強制空気冷却システムが使用される。電子カードは、マザーボードの上部及び底面に、これらの面に設けられているコネクタを使用して取り付けられる。
【0019】
この文献はまた、マザーボードと関連付けされた位置に対して、1つの電子カードをその位置までガイドするためのガイドシステムについて提供する。この文献では、相互の接触熱伝達に適した、冷却板と表面との間で行われる熱伝導が生じる熱の消散を得るための解決策については記載されていない。
【0020】
この場合、マザーボードとの唯一の接触点は電気コネクタによって与えられる。そしてこの電気コネクタは、熱を放散させるようには構成されておらず、電子カードをマザーボードに電気的に接続するものであり、そのため熱源であるマザーボードは電子カードから遠ざけられている。
【0021】
米国特許第5,966,289(US’289)号には、電子部品(例えばCPU)を取り付けるためのシステムについて記載されている。ここでは、支持部と、この支持部に連結されるクランプ要素とが設けられている。
【0022】
この支持部は、電子カードと実質的に平行して延在するフィン付き放熱器を備える。この放熱器は、電子カードが装着されるハウジングの表面に取り付けられる。そして、このフィン付き構成のおかげで、機能中は、電子カードから発生した熱を放散させる機能を有する。
【0023】
この文献にも、冷却板と、相互の接触熱伝達に適した表面との間で行われる熱伝導から生じる熱を消散させるための解決策については記載されていない。
【0024】
この場合も、システムボードは電子カードのハウジングから遠ざけられている。なぜならシステムボードが熱源だからである。
【0025】
文書US’289には、ハウジングをシステムボードから遠ざけて保つように、機械的支持の基準面と接触するフィンが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0026】
【文献】米国特許出願公開第2004/0022045号
【文献】米国特許第5,966,289号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
従って、従来技術を完成させ、そして従来技術の問題点の少なくとも1つを克服する電子カード用の放熱装置を利用可能とする必要がある。
【0028】
本発明の目的は、装着した電子カードと支持プレート(冷却板を備えてもよい)との間で有効な放熱を保証するように、信頼性が高く広範な熱結合とともに、信頼性が高い機械的及び電気的連結を得ることができる、電気コネクタの長手方向の延長が定める方向に直交して装着することができる電子カード用の放熱装置を得ることである。
【0029】
本発明の別の目的は、支持プレートとの、信頼性が高く広範な熱結合を得るために、電気コネクタの長手方向の延長方向に平行な方向にしかアクセスできない場合であっても、直交した方向に挿し込んだ電子カードの装着を完成させることである。
【0030】
従来技術の欠点を克服し、これらの目的とその他の目的および利点を得るために、出願人は本発明を考案、テスト、及び、実施した。
【0031】
本発明は独立クレームにおいて記載され、特徴づけられる。その一方で従属クレームには、主たる発明概念に対して、本発明の他の特徴又はその変形例が記載される。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記の目的によると本発明は、電子カードに結合された支持体を備える、電子カード用の放熱装置に関する。
前記電子カードは、支持プレートの載置面に直交する方向で、対応する支持プレートに設けられた複数の電気コネクタに挿脱することが可能な電子接続インタフェースを備えており、そして前記支持プレートは、熱伝導によって伝達された熱を放散させるように構成される放熱面を有する。
【0033】
支持プレートはいわゆる「冷却板(コールドプレート)」タイプの放熱プレートを備えることができ、電気コネクタに対応した溝を備えている。この場合、支持プレートの放熱面は、「冷却板」放熱プレートの上側表面と一致する。
【0034】
本発明の一態様によると、本発明の放熱装置は以下も備える。
放熱面に設けられている少なくとも1つの受け部材(holding element)。
支持体に結合されており、そして、放熱面と接触して、熱を伝達する役割を果たす支持体の表面の位置決めを行うために、前記少なくとも1つの受け部材に係合する固定部材を備える、レベリング部材。支持体の表面又は支持プレートの放熱面に対して直交する方向で、それぞれ、固定部材又は少なくとも1つの受け部材の少なくとも1つの位置決めを行うことができる。
【0035】
可能な実施例によれば、放熱装置は、電気接続インターフェースを備えた電気コネクタの接続/分離を確実にするために、ガイド要素を備えることもできる。
【0036】
例えば、溝のある「冷却板」放熱プレートを備えた支持プレートに装着可能なPCIe電子カードの場合、PCIe電子カードの正しい位置決めを確実にするために、ガイド要素は、受け部材と協働する溝から成る。
【0037】
可能な実施例によれば、レベリング部材は、支持体の表面に対して直交した方向で固定部材の位置決めを行うことが可能な調節手段を備える。
【0038】
変形例によれば、受け部材は、支持プレートの放熱面に対して直交した方向で受け部材の位置決めを行うことが可能な更なる調節手段を備えることができる。
【0039】
本発明は、電気コネクタに対する、電子カードのアクセス及び位置決めが、電気コネクタの長手方向の延長に平行な方向として定義される一方向にのみ可能な場合でも、直交方向に挿し込んだ電子カードを装着/取り外しすることができる。
【0040】
考えられる製法によると、本発明はまた、以下のステップを提供する、放熱装置を挿脱するための方法に関する。
固定部材を、少なくとも1つの受け部材と係合/分離させるステップ。
支持体の表面が、支持プレートの放熱面と熱的に連結/分離するまで、放熱面に対して直交する方向で放熱装置の位置決めを行うステップ。支持体の表面又は支持プレートの放熱面に対して直交する方向で、それぞれ、固定部材又は受け部材の少なくとも1つの位置決めが行われる。
【0041】
可能な実施例によれば、放熱装置の位置決めを行うステップは、収縮/伸長を利用して実行される。
【0042】
本発明のこれらの特徴および他の特徴は、添付の図面を参照して非限定的な実施例として与えられ、いくつかの実施例の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の一実施例による放熱装置の分解図である。
図2図1の詳細図である
図3】本発明によるレベリング部材の可能な実施例の断面図である。
図4】支持プレートを備えた、連結していない構成にある放熱装置の斜視図である。
図5】支持プレートを備えた、連結された構成にある放熱装置の斜視図である。
図6】本発明による放熱装置に結合される電子カードの詳細分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
理解を容易にするために可能な場合は、図面において同じ共通の要素を識別するのに、同じ参照番号を使用した。一実施例の要素及び特徴は、更なる説明なく、他の実施例にも適宜組み入れることができるものと理解される。
【0045】
非限定的な発明の実施例を示す図1乃至6を参照し、これより、支持プレート13に設けられた複数の電気コネクタ12のうちの1つに、直交方向に挿し込まれる電子カード11のための放熱装置10の実施例について説明する。
【0046】
電子カードは、支持プレート13の載置面に対して直交する方向に、電気コネクタ12に対する挿脱可能な電気接続インターフェース11aを備える。支持プレート13はまた、熱伝導によって伝達される熱を放散させるように構成される放熱面14を有する。
【0047】
電気接続インターフェース11aは、複数の電気接点111(「ゴールドフィンガー」ともいう)を備えることができ、この複数の電気接点111は、電気コネクタ12に設けられている対応する電気接点12aに接続することができる。
【0048】
可能な実施例によれば、支持プレート13は、定められた長手方向の延長部をそれぞれ有する複数の電気コネクタ12を具備することができる。
【0049】
図示するX、Y、Z方向は、それぞれ、支持プレート13の横方向の延長、電気コネクタ12の長手方向の延長、及びX方向及びY方向に直交する方向として定義される。
【0050】
一実施例において、放熱面14は、その内側に冷却流体が流れる導管を組み込むことができる。この導管により、伝達された熱を放散させることが可能であり、そして同時に、接触する要素(部品)の冷却が行われる。
【0051】
可能な実施例によれば、支持プレート13は、ベース電子カード(電子カード基部)13aと、ベース電子カード13a上に配置され、電気コネクタ12に対応した溝33を備える冷却板放熱プレート13bと、を備えることができる。
【0052】
この場合、支持プレート13の放熱面14は、冷却板放熱プレート13bの上側表面に相当する。
【0053】
特に、放熱面14は、支持プレート13の載置面によって定められる表面として、特定することができる。
【0054】
上記説明から明白であるように、支持プレート13の機能は、放熱面14と接触する要素(部品)の熱を放散させることである。すなわち、この要素により生成された熱、もしくは、この要素から伝わってくる熱を放散させる機能である。
【0055】
放熱面14を介して、従って、支持プレート13を介して最大放熱効率を保証するために、支持プレート13を介して、熱を生成又は伝達する要素の接触表面と放熱面14との間に、均一で、広範かつ効果的な熱結合が必要とされる。
【0056】
可能な実施例によれば、放熱装置10は、電子カード11に結合される支持体15を備えることができる。
【0057】
本発明の別の態様では、放熱装置10は、以下を備えることができる。
放熱面14に設けられる少なくとも1つの受け部材20。
支持体15に結合されており、そして、放熱面14と接触して、熱伝達に適した支持体15の表面16の位置決めを行うために、前記少なくとも1つの受け部材20に係合する固定部材19を備える、レベリング部材18。支持体15の表面16又は支持プレート13の放熱面14に対して直交方向に、それぞれ、固定部材19又は少なくとも1つの受け部材20の少なくとも1つの位置決めを行うことが可能である。
【0058】
放散させる熱は、例えば、電子カード11に存在する電子部品から発生する。
【0059】
上記の解決策により、支持体15の表面16と、支持プレート13の放熱面14との間で広範な結合を定めることができる。
【0060】
可能な実施例によれば、支持体15は、電子カード11に側面から結合することができ、及び/又は、1つ以上の放熱要素を備えることができる。
【0061】
これらの実施例によれば、電子カード11に対して側面から支持体15を結合することより、電子カード11の広い領域から伝達される熱を放散させることができる。
【0062】
可能な実施例によれば、支持体15は、設計ニーズに従って特定の機能を発揮するために、電子カード11と協働する電気的及び/又は電子的部品を備えることもできる。
【0063】
支持体15に含まれる放熱要素は、電子カード11に装着される電子部品(特にホットスポット)から発生する熱を分散させるように構成することができる。電子カード11は例えば、集積電力回路、処理回路、又はメモリ回路を備える。
【0064】
可能な実施例によると、電子カード11がPeripheral Component Interconnect express(PCI express)規格に従って作成される場合、もしくは、形状係数及び/又は電気相互接続インタフェース及び/又は、類似及び/又は同等のレイアウトを有する他の電子カード11である場合、支持体15は、結合された電子カード(この場合「PCIeドータカード」とも呼ばれる)から発生する熱を取り込み、分散させることができる。
【0065】
可能な実施例によれば、支持体15は、ケーブルを接続したり、又は電子カード11に追加の電気及び/又は電子機器を装着するよう構成される1つ以上のコネクタ21を備えることもできる。
【0066】
可能な実施例によれば支持体15は、電気及び/又は電子部品と、分散、消散及び熱界面(熱的接触)要素(サーマルインターフェース要素)と、前記電子カード11に連結される電子カードと、コネクタ21と、からなる群から選択される1つ以上の要素を備えることができる。
【0067】
可能な実施例によれば、支持体15の表面16は、電気コネクタ12へ電子カード11を挿し込む方向に対して直交する表面として特定することができる。
【0068】
可能な実施例によれば、表面16は、熱界面(熱的接触)材料(「サーマルインターフェースマテリアル」又はTIMと呼ばれる)を含む熱伝導性インターフェース(接触部)17を備えることができる。
【0069】
これにより作動中は、支持体15の表面16と支持プレート13の放熱面14との間で、効率的な熱交換を行うことができる。
【0070】
信頼性が高く広範な熱的及び機械的連結を達成するために、有利な実施例によれば、熱伝導性インターフェース17には、変形が非常に容易な熱伝導材料(「Soft-TIM」とも呼ばれる)を含めることができる。その結果、連結ステップの間、熱伝導性インターフェース17には圧力が加えられ、そして支持プレート13の放熱面14の延設部の一部又は全体に安全に接触して、配置されることができる。
【0071】
これにより、熱伝導性インターフェース17を備えている表面16と支持プレート13の放熱面14との接触により、最適な熱交換を保証することができる。
【0072】
可能な実施例によると、受け部材20に固定部材19を結合させた後に、レベリング部材18により、支持プレート13に対する位置を修正すると同時に、圧力下でも、支持体15を支持プレート13の放熱面14に連結することができるようにする。
【0073】
可能な実施例によれば、冷却板放熱プレート13bがある場合、その上に設けられている溝33は、支持プレート13の電気コネクタ12に電子カード11を配置するために、ガイド要素として機能することができる。
【0074】
可能な実施例によれば、固定部材19は、予め定められた厚みの、平らな本体部(例えばフランジ又は類似及び/又は同等の物体)を備えることができる。
【0075】
可能な実施例によれば、支持プレート13は、各電気コネクタ12の近くに配置される複数の受け部材20を備えることができる。そして例えば受け部材20は、電気コネクタ12の側部に定められる位置に配置及び設置することができる。
【0076】
受け部材20の位置は、支持体15の位置決めを行うために定められる。従って、受け部材20は電子カード11の挿入位置の基準として機能するので、電子カード11は、正確かつ一義的に接続される。
【0077】
可能な実施例によれば、受け部材20は、取付要素(例えば釘、ねじ付き要素、又は類似及び/又は同等の要素)で、支持プレート13に取付けることができるか、又は放熱面14に溶接してもよい。
【0078】
可能な実施例によれば、受け部材20は、固定部材19を収容するために、固定部材19の形状と一致するハウジング座部22を備えることができる。
【0079】
可能な実施例によれば、受け部材20の一部分が支持プレート13に取り付けられ、そして他の部分が固定部材19の形状(すなわち厚み)と一致する距離だけ放熱面14から間隔をあけ、固定部材19が差し込まれるハウジング座部22を構成するように受け部材20の形状を適合させることができる。
【0080】
可能な実施例によれば、レベリング部材18は、固定部材19に結合され、支持体15の表面16に対して直交する方向に配置される本体23を備えることができる。
【0081】
この場合、ハウジング座部22を形成する部分も、本体23を収納するような形状に適合させる。例えば、本体23が円柱状に形づくられる場合、ハウジング座部22はC字形の部分を備えることができる。
【0082】
可能な実施例によれば、レベリング部材18は、本体23の所定の位置に配置されてい追加的な固定部材24を備えることもできる。
【0083】
この追加的な固定部材(リテーナー)24により、支持体15の位置を修正することができる。そして、支持体15、したがって電子カード11が不必要に動くことがないようにする。
【0084】
事実、表面16及び放熱面14が互いに連結するとき、作動中は、他方の固定部材24と固定部材19とが協働して万力(vise)のように受け部材20の一部を挟み固定するように、所定の位置が定められる。
【0085】
可能な実施例によれば、レベリング部材18は、支持体15の表面16に対して直交する方向で固定部材19を位置決めすることが可能な調節手段25を備える。
【0086】
可能な実施例によれば、支持体15にある台座部27と協働する調整工具26により、調節手段25を動作させることができる。
【0087】
このようにして固定部材19が受け部材20に固定されると、電子カード11の電気接点111を、電気コネクタ12にある電気接点12aの対応部に、電気的に接触させるように、支持体15の位置を調整することができ、そして、効果的に支持体15の表面16を支持プレート13の放熱面14に熱的に連結することができる。
【0088】
これにより、電子カード11から発生する熱を、放熱面14を介して効果的に放散させることでき、信頼性の高い広範な熱結合とともに、信頼性の高い機械的及び電気的結合が保証される。
【0089】
さらにまた、この結合を達成するために、考えられる他の機械的結合手段(例えば保持ハンドル、取付けクリップ、又は他のアタッチメント手段)を用いてもよい。
【0090】
可能な実施例によれば、調節手段25は、調整工具26の回転運動を、支持体15の表面16に直交する方向に固定部材19を移動させる並進運動に変換する運動変換部材28を備えることができる。
【0091】
運動変換部材28は例えば、ピニオン、ギア、歯車、連結される直交ネジ、又は回転運動を、固定部材19及びそれに結合された本体23の並進運動に変換できるようにする他のメカニズムを備えることができる。
【0092】
可能な実施例によれば調節手段25は、回転ツール26を台座部27に挿し込むことによって、制御されるアクチュエータ又は他の公知タイプのドライブ(駆動装置)を用いて作製することもできる。
【0093】
図3を参照し、調節手段25の可能な実施例が示される。運動変換部材28は、一対の歯車29を備える。そしてその内の1つは軸30と一体化しており、調整工具26を用いて動作させることで軸30を回転させる。
【0094】
軸30はねじ部31を有する。このねじ部31により、調整工具26による回転に従って、固定部材19が支持体15の表面16に対して直交する方向に摺動することができる。この場合、支持体19は、本体23と一体となるよう統合される。
【0095】
固定部材19の摺動は、軸30のねじ部31と、後者のねじ部32との連結により達成される。
【0096】
可能な実施例によれば、支持体15は、定められた位置に電子カード11を正しく配置するために、ガイド要素を備えることができる。
【0097】
他の実施例によれば、レベリング部材18の固定部材19は、固定部材19の下にガイド要素を備えることができ、電子カード11を正しく挿し込むためのガイドとして機能する。
【0098】
調整工具26を用いて、支持体15の外側から、放熱面14に対して直交する方向に位置を調整することができるので、電気コネクタ12に対する、電子カード11のアクセス及び位置決めが、電気コネクタ12の長手方向の延長方向で定められる一方向でのみ可能な場合でも、直交方向に挿し込んだ電子カード11を装着/取り外すことができる。
【0099】
高性能コンピューティングの場合、又は非常に高い電力密度を備えるシステムの場合でも、上記の解決策により、システムそのものすべての展開においてシステム統合を最大にすることができる。
【0100】
特に、支持プレート13の幅に対応するX方向においては、本発明により、2つの隣接する電子カード11について、すなわち、X方向に所定のピッチに従った距離に配置されている電子カード11の場合、詰め込みそして接触させることすら可能となる。これはピッチを最小化することを意味する。
【0101】
電子カード11をシステムへ挿入する方向に対応するY方向、すなわち、電気コネクタ12の延長方向について、本発明により、集積化を最大とすることができる。なぜなら効率的な放熱を達成するために、電子カード11により決まる体積と比べて追加のスペースを使用しないからである。
【0102】
上記により「バックツーバック(back to back)」の解決策が可能となり、すなわち、システムの全体の密度を2倍にするために、標準ラックシステムと同じ容量で、前面側と反対側にも電子カード11を挿入することができるようになる。
【0103】
電子カード11の垂直な延長に対応するZ方向において、本発明により、寸法を最小化することができる。なぜなら本発明の電子カード11の場合、この寸法は、電気コネクタ12へ電気接点111を挿入する最大深さで決まるからである。
【0104】
さらにまた、本発明によると、処理ユニットの組み立て作業を拡張させ、容易にすることができ、垂直及び/又は傾斜した構成及び/又は限られたスペースでも、正確かつ精密に電子カード11を装着することができる。
【0105】
可能な実施例(図示せず)によれば、受け部材20は、支持プレート13の放熱面14に対して直交する方向に受け部材20の位置決めが可能な更なる調節手段、又は固定部材19を係合する部分を少なくとも備えることができる。
【0106】
この更なる調節手段は、上記された調整手段と同じ又は類似した方法で達成されることが可能である。
【0107】
考えられる形成によれば本発明は、電気コネクタ12の1つに、直交方向に挿入される電子カード11のための放熱装置10を、装着/取り外す方法にも関する。
【0108】
本発明の別の態様では、放熱装置10を挿脱する方法は、以下のステップを含む。
固定部材19を、放熱面14に設けられている少なくとも1つの受け部材20に係合/分離させるステップ。
【0109】
熱伝達に適した表面16が放熱面14と連結/分離するまで、放熱面14に対して直交する方向に支持体15の表面16の位置決めを行うステップ。支持体15の表面16又は支持プレート13の放熱面14に対して直交する方向に、それぞれ、固定部材19又は受け部材20の少なくとも1つの位置決めが行われる。
【0110】
可能な実施例によれば、放熱装置10の位置決めを行うステップは、収縮/伸長によって実行される。
【0111】
可能な実施例によれば、放熱装置10を挿脱する方法はまた、処理ユニットの電子カード11を挿脱するY方向において、例えば溝33により規定されるガイド要素の摺動ステップを提供する。
【0112】
可能な実施例によれば、放熱装置10を挿脱する方法はまた、調節手段25によって実行される、支持体15の表面16に対して直交する方向の固定部材19の位置決めステップを提供することもできる。
【0113】
可能な実施例によれば、放熱装置10を挿脱する方法はまた、支持プレート13の放熱面14に対して直交する方向の、受け部材20の位置決めステップを提供することもできる。
【0114】
本発明の分野及び範囲を逸脱しない範囲で、本発明の放熱装置に対して部分的な修正又は追加を行ったり、これまで記載した各挿脱の方法に対して行うことができることは明白である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6