(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】電気コネクターおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01R 11/01 20060101AFI20220615BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20220615BHJP
【FI】
H01R11/01 501G
H01R43/00 H
(21)【出願番号】P 2019549338
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 JP2018038827
(87)【国際公開番号】W WO2019078295
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2021-02-08
(31)【優先権主張番号】P 2017202475
(32)【優先日】2017-10-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100152146
【氏名又は名称】伏見 俊介
(72)【発明者】
【氏名】土屋 昌俊
(72)【発明者】
【氏名】清水 敦也
【審査官】高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第03/079497(WO,A1)
【文献】特開平06-251848(JP,A)
【文献】特開2009-289730(JP,A)
【文献】特開平03-289074(JP,A)
【文献】特開昭61-240511(JP,A)
【文献】特開昭61-243611(JP,A)
【文献】特開2001-210933(JP,A)
【文献】特開昭61-240512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 11/00-11/32
H01R 43/00-43/02
H01B 5/16
H01B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一デバイスの接続端子と、第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続する電気コネクターであって、
樹脂層と、該樹脂層を厚さ方向に貫通し、前記接続端子との接続面における形状が矩形である、複数の金属線材と、を備え、
各金属線材の前記矩形を構成する辺のうち、少なくとも一つの辺が同一方向に揃って等間隔に配置されており、
前記矩形の短辺の長さが
0.01μm以上0.5μm以下であ
り、
前記矩形の長辺の長さが0.1μm以上10μm以下であり、
前記短辺/前記長辺の比が0.001以上0.7以下である、電気コネクター。
【請求項2】
前記矩形の長辺方向における前記金属線材のピッチが0.2mm以下である、請求項1
に記載の電気コネクター。
【請求項3】
前記矩形の短辺方向における前記金属線材のピッチが0.2mm以下である、請求項1
又は2に記載の電気コネクター。
【請求項4】
前記金属線材は、前記樹脂層の厚さ方向に対して斜めに貫通している、請求項1~
3の何れか一項に記載の電気コネクター。
【請求項5】
前記金属線材の端部が前記樹脂層の一方の主面及び他方の主面の少なくとも一方から突出している、請求項1~
4の何れか一項に記載の電気コネクター。
【請求項6】
前記金属線材の端部にメッキ層が形成されている、請求項1~
5の何れか一項に記載の電気コネクター。
【請求項7】
基材の一面にメッキ層を形成することと、
前記メッキ層をレーザー加工して、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、
前記基材の一面に形成された前記複数の金属線材に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、
前記基材を除去し、前記複数の金属線材を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、
前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートを貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、
前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、
前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
【請求項8】
基材の一面にメッキ層を形成することと、
前記基材の一面に形成された前記メッキ層に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、
前記基材を除去し、前記メッキ層を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、
前記メッキ層をレーザー加工して、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、
前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、
前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、
前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
【請求項9】
基材の一面に、金属ナノペーストを塗布して、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、
前記基材の一面に形成された前記複数の金属線材に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、
前記基材を除去し、前記複数の金属線材を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、
前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、
前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、
前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
【請求項10】
シリコンウエハーの一面側に、同一方向に揃って等間隔に配置された複数の帯状の溝を有するシリコンウエハー型を用い、前記複数の溝内に浸入するように、前記シリコンウエハー型の一面に液状シリコーンゴムを塗布した後、前記液状シリコーンゴムを加硫し、前記溝に対応する複数の凸部と凹部を有するシリコーンゴム型を成形することと、
前記シリコーンゴム型の複数の凸部上に、金属ナノペーストを塗布して、複数の金属線材の前駆体を形成することと、
前記シリコーンゴム型の凸部に形成された前記複数の金属線材の前駆体に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせ、前記第1の未硬化のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材の前駆体を転写することと、
前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成するとともに、前記複数の金属線材の前駆体を焼成して、前記第1のゴムシートの一面に、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、
前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、
前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、
前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
【請求項11】
基材の一面に、同一方向に揃って等間隔に帯状の溝を有するラインアンドスペースのレジストパターンが形成された基材を用い、
前記基材の一面が露出する前記溝にメッキ層を形成することにより、同一方向に揃って等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、
前記基材の一面に形成された前記レジストパターンを除去することと、
前記基材の一面に形成された前記複数の金属線材に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、
前記基材を除去し、前記複数の金属線材を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、
前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の第1のゴムシートを、接着剤を介して積層して、積層体を成形することと、
前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気コネクターおよびその製造方法に関する。本願は、2017年10月19日に、日本に出願された特願2017-202475号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気・電子部品相互の接続に用いられる電気コネクターは、シリコーンゴム製の絶縁シートの平面内において、縦方向および横方向にそれぞれ略等間隔で、複数本の貴金属で被覆された金属線を絶縁シートの厚さ方向に斜めに貫通させた構造を有していた(例えば、特許文献1参照)。
また、金属線の代わりに、0.02mm~0.1mmの厚さを有する直線的な形状に形成され、アスペクト比(厚さ/幅)が0.2~0.6の範囲に設定され、表面から45°~85°の角度で傾いて配置されている金属リボンを備えた電気コネクターが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-251848号公報
【文献】特開2002-008749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている電気コネクターでは、金属線は、直径が10μm~50μmであるため、比較的剛性がある。金属線と検査対象の電極との間で電気的に安定した接触を得るためには、一定以上の荷重が必要である。しかし、過度の荷重をかけると、金属線が電極に対して損傷を与えることがある。そこで、金属線を斜めに配置することにより、金属線にバネ性を与え、金属線と検査対象の電極との間で電気的に安定した接触を得つつ、過度の荷重を避けようとしても、検査対象の電極の損傷を完全に抑えることは難しかった。また、デバイスの小型化に伴い、検査対象の電極面積および電極間ピッチが狭くなり、従来の金属線の寸法では対応が困難であった。
また、特許文献2に記載されている電気コネクターでは、上記のような金属リボンを用いているが、検査対象の電極の損傷を完全に抑えることが難しく、デバイスの小型化に対応することも困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、検査対象の電極の損傷を抑制し、かつ狭ピッチおよび高集積化に対応することが可能な電気コネクターおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 第一デバイスの接続端子と、第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続する電気コネクターであって、樹脂層と、該樹脂層を厚さ方向に貫通し、前記接続端子との接続面における形状が矩形である、複数の金属線材と、を備え、各金属線材の前記矩形を構成する辺のうち、少なくとも一つの辺が同一方向に揃って等間隔に配置されており、前記矩形の短辺の長さが5μm未満である、電気コネクター。
[2] 前記矩形の長辺の長さが150μm以下である、[1]に記載の電気コネクター。
[3] 前記矩形の長辺方向における前記金属線材のピッチが0.2mm以下である、[1]または[2]に記載の電気コネクター。
[4] 前記矩形の短辺方向における前記金属線材のピッチが0.2mm以下である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の電気コネクター。
[5] 前記金属線材は、前記樹脂層の厚さ方向に対して斜めに貫通している、[1]~[4]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[6] 前記金属線材の端部が前記樹脂層の一方の主面及び他方の主面の少なくとも一方から突出している、[1]~[5]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[7] 前記金属線材の端部にメッキ層が形成されている、[1]~[6]の何れか一項に記載の電気コネクター。
[8] 基材の一面にメッキ層を形成することと、前記メッキ層をレーザー加工して、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、前記基材の一面に形成された前記複数の金属線材に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、前記基材を除去し、前記複数の金属線材を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートを貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
[9] 基材の一面にメッキ層を形成することと、前記基材の一面に形成された前記メッキ層に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、前記基材を除去し、前記メッキ層を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、前記メッキ層をレーザー加工して、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
[10] 基材の一面に、金属ナノペーストを塗布して、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、前記基材の一面に形成された前記複数の金属線材に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、前記基材を除去し、前記複数の金属線材を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
[11] シリコンウエハーの一面側に、同一方向に揃って等間隔に配置された複数の帯状の溝を有するシリコンウエハー型を用い、前記複数の溝内に浸入するように、前記シリコンウエハー型の一面に液状シリコーンゴムを塗布した後、前記液状シリコーンゴムを加硫し、前記溝に対応する複数の凸部と凹部を有するシリコーンゴム型を成形することと、前記シリコーンゴム型の複数の凸部上に、金属ナノペーストを塗布して、複数の金属線材の前駆体を形成することと、前記シリコーンゴム型の凸部に形成された前記複数の金属線材の前駆体に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせ、前記第1の未硬化のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材の前駆体を転写することと、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成するとともに、前記複数の金属線材の前駆体を焼成して、前記第1のゴムシートの一面に、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、前記第1のゴムシートの一面に、前記複数の金属線材を覆うように、第2の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第2の未硬化のゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、前記第1のゴムシート、前記複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形することと、前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の前記弾性体を積層して、積層体を成形することと、前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
[12] 基材の一面に、同一方向に揃って等間隔に帯状の溝を有するラインアンドスペースのレジストパターンが形成された基材を用い、前記基材の一面が露出する前記溝にメッキ層を形成することにより、同一方向に揃って等間隔に配置された複数の金属線材を形成することと、前記基材の一面に形成された前記レジストパターンを除去することと、前記基材の一面に形成された前記複数の金属線材に、第1の未硬化のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未硬化のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成することと、前記基材を除去し、前記複数の金属線材を前記第1のゴムシートの一面に残すことと、前記複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の第1のゴムシートを、接着剤を介して積層して、積層体を成形することと、前記積層体を、前記複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断することと、を有する、電気コネクターの製造方法。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、検査対象の電極の損傷を抑制し、かつ狭ピッチおよび高集積化に対応することが可能な電気コネクターおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の電気コネクターの概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A線に沿う断面図である。
【
図2】第1の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図3】第1の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図4】第2の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図5】第2の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図6】第3の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図7】第3の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図8】第4の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図9】第4の実施形態の電気コネクターの製造方法の概略を示す断面図である。
【
図10】実施例1の電気コネクターを用いた場合について、積層体の変位量(圧縮量)と、電気コネクターに加えられる荷重との関係を示す図である。
【
図11】比較例の電気コネクターを用いた場合について、積層体の変位量(圧縮量)と、電気コネクターに加えられる荷重との関係を示す図である。
【
図12】実施例1または比較例の電気コネクターを用いた場合について、積層体の変位量(圧縮量)と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係を示す図である。
【
図13】実施例1における、電気コネクターと銅箔テープの接触面の走査型電子顕微鏡である。
【
図14】比較例における、電気コネクターと銅箔テープの接触面の走査型電子顕微鏡である。
【
図15】実施例3(第5の実施形態)の電気コネクターの製造方法で作製した積層体80の概略を示す断面図である。
【
図16】実施例2の電気コネクターを用いた場合について、電気コネクターに加えられる荷重と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係を示す図である。
【
図17】実施例3の電気コネクターを用いた場合について、電気コネクターに加えられる荷重と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係を示す図である。
【
図18】実施例2又は実施例3の電気コネクターを用いた場合について、積層体の圧縮量と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係を示す図である。
【
図19】実施例2又は実施例3の電気コネクターを用いた場合について、積層体の圧縮量と、電気コネクターに加えられる荷重との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の電気コネクターおよびその製造方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0010】
(第1の実施形態)
[電気コネクター]
図1は、本実施形態の電気コネクターの概略構成を示し、(a)は平面図、(b)は(a)のA-A線に沿う断面図である。
図1に示すように、本実施形態の電気コネクター10は、樹脂層20と、樹脂層20を厚さ方向に貫通し、樹脂層20の一方の主面(上面)20aおよび他方の主面(下面)20bにおける形状が矩形であり、少なくとも矩形の一方の辺がX方向に揃って等間隔に配置された多数の金属線材30と、を備える。また、金属線材30の矩形の短辺の長さが5μm未満である。
本発明において「矩形」の4つの内角は厳密な90度である必要はなく、「矩形」は厚みのある線形とみなしてもよい。この場合、矩形の長辺の長さは線形の長さであり、矩形の短辺の長さは線形の厚みに相当する。
電気コネクター10は、図示略の第一デバイスの接続端子と、図示略の第二デバイスの接続端子との間に配置され、これらを電気的に接続するためのものである。電気コネクター10の一方の主面20aがデバイスに対する第1の接続面であり、他方の主面20bが別のデバイスに対する第2の接続面である。電気コネクター10において、金属線材30は、第一デバイスの接続端子と第二デバイスの接続端子の電気的接続を行う部材である。
前記デバイスとしては、例えば、半導体パッケージや回路基板、シリコンウエハー、受動部品、液晶モジュールおよびセンサーが挙げられる。
【0011】
樹脂層20は、形状が等しい複数の弾性体21が、接着層40を介して、第1の方向(
図1(a)に示すY方向)に連続的に接続(積層)されてなる。弾性体21を連続的に接続する数、すなわち、樹脂層20の第1の方向(積層方向)の長さは特に限定されず、検査対象となる電極の数、大きさ(面積)、ピッチ等に応じて適宜調整される。例えば、1mm~250mmの長さが挙げられる。また、樹脂層20の第2の方向の長さ(
図1(a)に示すX方向の長さ)は特に限定されず、検査対象となる電極の数、大きさ(面積)、ピッチ等に応じて適宜調整される。例えば、1mm~250mmの長さが挙げられる。ここで、X方向とY方向は直交する。
なお、弾性体21は、接着層40を介して積層される必要はなく、後述する電気コネクターの製造方法によって、接着層40を省略した電気コネクター10を製造することもできる。また、弾性体21は、金属線材30を含んでいる。
【0012】
金属線材30は、弾性体21の長辺方向(
図1(a)に示すX方向)における中心線に沿って、等間隔に配置されている。
【0013】
また、弾性体21は、それぞれの金属線材30がX方向に見て互いに平行となり、かつY方向に見て互いに重なり合うように連続的に接続されている。なお、変形例として、金属線材30がY方向に見て互いにずれている(重なっていない)配置であってもよい。接続するデバイスの接続端子の配置に合わせて、Y方向の重なりは製造時に調整することができる。
【0014】
樹脂層20の厚さ(
図1(b)に示すZ方向の長さ)、すなわち一方の主面20aと他方の主面20bの距離は、例えば、0.01mm以上10mm以下が挙げられ、薄型化の観点から、0.03mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0015】
樹脂層20の一方の主面20aおよび他方の主面20bにおける金属線材30の矩形の短辺の長さL1は0.01μm以上5μm未満であることが好ましく、0.05μm以上4μm未満がより好ましく、0.1μm以上3μm未満がさらに好ましく、0.3μm以上2μm未満が最も好ましい。
金属線材30の矩形の短辺の長さL1が5μm未満であれば、検査対象の電極の損傷を抑制することができ、かつ、狭ピッチの電極との電気的接続を行うことができる。また、短辺の長さL1が0.01μm以上であれば、金属線材30の破損を抑制しつつ、電気コネクターの耐久性を向上できる。
【0016】
樹脂層20の一方の主面20aおよび他方の主面20bにおける金属線材30の矩形の長辺の長さL2は0.01μm以上150μm未満であることが好ましく、0.05μm以上100μm未満がより好ましく、0.1μm以上50μm未満がさらに好ましい。
金属線材30の矩形の長辺の長さL2が150μm以下であれば、狭ピッチの電極との電気的接続を容易に行うことができる。また、長辺の長さL2が0.01μm以上であれば、金属線材30の破損を抑制しつつ、電気コネクターの耐久性を向上できる。
【0017】
金属線材30の矩形の短辺の長さL1と長辺の長さL2のL1/L2で表される比は、例えば、0.001~0.7が好ましく、0.01~0.6がより好ましく、0.02~0.5がさらに好ましい。
上記範囲の下限値以上であると、金属線材30及び電気コネクター10の耐久性が高まり、上記範囲の上限値以下であると、デバイス接続時に少ない圧縮力で安定に接続することができ、接続するデバイスの電極を傷付けることを防止できる。
【0018】
樹脂層20の一方の主面20aおよび他方の主面20bにおける金属線材30の面積が25%以下であることが好ましい。また、樹脂層20の一方の主面20aおよび他方の主面20bにおける金属線材30の面積の下限は、0.06%以上であってもよく、0.14%以上であってもよい。
樹脂層20の一方の主面20aおよび他方の主面20bにおける金属線材30の面積が25%以下であれば、検査対象の電極の損傷を抑制することができる。
【0019】
樹脂層20の一方の主面20aおよび他方の主面20bにおいて、金属線材30の矩形の短辺方向における金属線材30のピッチP1が0.2mm以下であることが好ましく、0.05mm以下であることがより好ましく、0.03mm以下であることがさらに好ましい。また、金属線材30の矩形の短辺方向における金属線材30のピッチP1の下限は、0.001mm以上であってもよい。
矩形の短辺方向における金属線材30のピッチP1が0.2mm以下であれば、狭ピッチの電極との電気的接続を容易に行うことができる。
【0020】
樹脂層20の一方の主面20aおよび他方の主面20bにおいて、金属線材30の矩形の長辺方向における金属線材30のピッチP2が0.2mm以下であることが好ましく、0.05mm以下であることがより好ましく、0.03mm以下であることがさらに好ましい。また、金属線材30の矩形の長辺方向における金属線材30のピッチP2の下限は、0.02mm以上であってもよい。
矩形の長辺方向における金属線材30のピッチP2が0.2mm以下であれば、狭ピッチの電極との電気的接続を容易に行うことができる。
【0021】
樹脂層20を構成する弾性体21の材質としては、絶縁性および弾性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、ポリウレタンゴム、クロロプレンゴム、ポリエステル系ゴム、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、天然ゴム等が挙げられる。これらの中でも、高弾性で耐熱性に優れる点から、シリコーンゴムが好ましい。
【0022】
金属線材30の材質としては、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、ロジウム、パラジウム、黒ルテニウム等や、これらの金属の合金が挙げられる。標準電極電位が高い金、白金、銀、銅がより好ましく、低硬度の金、銀がさらに好ましい。金属線材30は、同一若しくは複数の材質が積層された構造を有してもよい。
【0023】
接着層40を構成する接着剤としては、特に限定されないが、弾性体21と材質が同じものを用いてもよく、弾性体21と材質が異なるものを用いてもよい。前記接着剤としては、例えば、シリコーン系、変性シリコーン系、天然ゴムラテックス、ウレタン系、塩化ビニル系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、ニトロセルロース、フェノール系、ポリイミド系、ポリビニルアルコール系接着剤等が挙げられる。これらの接着剤の中でも、薄膜化が容易な液状シリコーンゴムが好ましい。ここで、液状シリコーンゴムは、塗工時に液体であるが、硬化することにより流動性が低い又は固形状のシリコーンゴムとなる。
【0024】
本実施形態の電気コネクター10は、樹脂層20と、樹脂層20を厚さ方向に貫通し、第一デバイスの接続端子および第二デバイスの接続端子との接続面における形状が矩形であり、少なくとも矩形の一方の辺が等間隔に配置された多数の金属線材30と、を備え、矩形の短辺の長さが5μm未満である。そのため、電気コネクター10に接続するデバイスの接続端子と金属線材30との接続時に、デバイスの接続端子に対して金属線材30から過剰な力が加えられることがなく、その接続端子が損傷することを防止できる。また、接続面における形状が矩形の金属線材30を用いることにより、狭ピッチおよび高集積のデバイスとの接続も可能である。さらに、本実施形態の電気コネクター10は、矩形の短辺の長さが5μm未満の金属線材30を備えるため、表面積が広く高周波特性にも優れる。
【0025】
電気コネクター10の厚さ方向に貫通する各金属線材30の延在方向(長手方向)の向きは、一方の主面20a及び他方の主面20bに対して垂直でもよいし、斜めであってもよい。
各金属線材30が電気コネクター10の厚さ方向に対して斜めになる場合、一方の主面20aの垂線に対する各金属線材30がなす鋭角側の角度は、0°超60°以下が好ましく、1°以上45°以下であることがより好ましく、10°以上30°以下であることがさらに好ましい。上記角度の範囲であると、低い荷重で安定した接続が得られやすく、接続するデバイスの端子を傷付けるおそれが少ない。上記角度は接続される2つのデバイスの接続端子の配置等に応じて適宜調整される。上記角度は、電気コネクター10の厚さ方向の断面について、5つ以上の金属線材30をデジタルマイクロスコープ等の拡大観察手段で観察して得た画像に基づいて測定し、平均した値である。
【0026】
電気コネクター10が有する金属線材30の端部は、一方の主面20a及び他方の主面20bの少なくとも一方から突出していてもよい。「金属線材の端部」とは、金属線材の先端から金属線材の全長の1/4の長さまでの範囲を意味する。 金属線材30の端部が主面から突出している場合の突出量は、特に限定されず、電気コネクター10によって電気的に接続する2つのデバイスの接続端子の形状、配置等に応じて適宜調整される。
【0027】
電気コネクター10が有する金属線材30の端部が一方の主面20a又は他方の主面20bから突出している場合、その突出した端部にメッキ加工が施されて、メッキ層が形成されていてもよい。メッキ層の材質は、特に限定されず、金属線材30の材質に応じて適宜選択される。メッキ層により金属線材30の端部の表面積(断面積)が増加し、金属線材30の端部と、接続するデバイスの接続端子との接触面積が増加し、これらの電気的な接続状態をより安定に保つことができる。
【0028】
[電気コネクターの製造方法]
本実施形態の電気コネクターの製造方法は、基材の一面にメッキ層を形成する工程(以下、「工程A1」と言う。)と、メッキ層をレーザー加工して、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数(即ち複数)の金属線材を形成する工程(以下、「工程B1」と言う。)と、基材の一面に形成された複数の金属線材に、第1の粘土状ゴムシートの一面を貼り合わせた後、第1の粘土状ゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成する工程(以下、「工程C1」と言う。)と、基材をウェットエッチングにより除去し、複数の金属線材を第1のゴムシートの一面に残す工程(以下、「工程D1」と言う。)と、第1のゴムシートの一面に、複数の金属線材を覆うように、第2の粘土状ゴムシートを貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、第1のゴムシート、複数の金属線材および第2のゴムシートからなる弾性体を成形する工程(以下、「工程E1」と言う。)と、第一の弾性体と第二の弾性体とを積層したときに各々の弾性体に含まれる複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の弾性体を積層して、積層体を成形する工程(以下、「工程F1」と言う。)と、積層体を、金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断する工程(以下、「工程G1」と言う。)と、を有する。
【0029】
以下、
図2(a)~
図2(d)および
図3(a)~
図3(c)を参照して、本実施形態の電気コネクターの製造方法を説明する。
図2および
図3において、
図1に示した構成と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0030】
図2(a)に示すように、基材50の一面50aにメッキ層60を形成する(工程A1)。
【0031】
工程A1では、基材50の一面50aに、電解メッキまたは無電解メッキによって、メッキ層60を形成する。
【0032】
基材50は、電解メッキまたは無電解メッキによって、メッキ層60を形成することができるものであれば特に限定されない。基材50としては、例えば、
図2(a)に示すように、銅または真鍮、リン青銅や洋白等の銅合金からなる第1の層51と、ニッケルまたは亜鉛からなる第2の層52が積層されてなる積層体や、これらの金属の合金や、水溶性フィルムの一面に、金メッキ層、白金メッキ層、銀メッキ層、銅メッキ層、ニッケルメッキ層、ロジウムメッキ層、パラジウムメッキ層または黒ルテニウムメッキ層が形成されたものが用いられる。また、水溶性フィルムとしては、例えば、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0033】
メッキ層60の材質としては、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル等や、これらの金属の合金が挙げられる。
【0034】
次いで、
図2(b)に示すように、メッキ層60をレーザー加工して、基材50の一面50aに、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数の金属線材30を形成する(工程B1)。
【0035】
レーザー加工に用いるレーザーの波長は、メッキ層60の加工が可能な波長であれば特に限定されない。工程B1では、金、銅等の反射率の高いものを加工し易く、加工面へ熱を与え難く、波長1064nmの基本波よりも微細加工が可能である波長532nmまたは波長355nmのレーザーを用いて、メッキ層60を加工して、金属線材30を形成する。
【0036】
次いで、
図2(c)に示すように、基材50の一面50aに形成された複数の金属線材30に、第1の粘土状ゴムシート71の一面71aを貼り合わせた後、第1の粘土状ゴムシート71を加硫して第1のゴムシート71Aを形成する(工程C1)。
【0037】
第1の粘土状ゴムシート71としては、特に限定されないが、例えば、加熱または光や電磁波照射によって加硫して硬化する、粘土状シリコーンゴム、粘土状フッ素ゴム、粘土状ポリブタジエンゴム、粘土状ポリイソプレンゴム、粘土状ポリウレタンゴム、粘土状クロロプレンゴム、粘土状ポリエステル系ゴム、粘土状スチレン-ブタジエン共重合体ゴム、粘土状天然ゴム等が挙げられる。
これらの粘土状ゴムシートは、ミラブルコンパウンドに、加硫剤と必要に応じた添加剤を加えて混練してなるものである。
粘土状シリコーンゴムの具体例としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKE-174-U等のいわゆるゴムコンパウンドが挙げられる。
粘土状シリコーンゴムの硬化後の硬さ(デュロメータA)は、20以上が好ましく、30以上がより好ましい。この硬さの上限値は、90以下であることが好ましい。硬さが上記範囲であると、電気コネクターに適度な剛性を付与できる。
上記硬さは、JIS K 6249:2003の方法に準拠して測定される。
【0038】
第1の粘土状ゴムシート71の厚さは、特に限定されず、第1の粘土状ゴムシート71によって形成される弾性体21を連接してなる樹脂層20に要求される厚さに応じて適宜調整される。例えば、0.0005mm~0.5mmの厚さが挙げられる。シートはフィルムと呼び替えてもよい。
【0039】
工程C1において、第1の粘土状ゴムシート71を加熱して加硫し、第1のゴムシート71Aを形成する。
【0040】
次いで、
図2(d)に示すように、基材50をウェットエッチングにより除去し、金属線材30を第1のゴムシート71Aの一面71aに残す(工程D1)。
【0041】
基材50として銅を用いた場合には、金属線材30が形成された基材50に第1のゴムシート71を貼り合わせたものを塩化鉄の溶液に浸漬する。また、基材50として水溶性フィルムを用いた場合には、金属線材30が形成された基材50に第1のゴムシート71を貼り合わせたものを水に浸漬する。これにより、基材50を除去する。
【0042】
工程D1において、基材50をウェットエッチングにより除去し、金属線材30を第1のゴムシート71Aの一面71aに残す。すなわち、第1のゴムシート71Aの一面71a上に複数の金属線材30を転写する。
【0043】
次いで、
図3(a)に示すように、第1のゴムシート71Aの一面71aに、複数の金属線材30を覆うように、第2の粘土状ゴムシート72を貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシート72を加硫して第2のゴムシート72Aを形成し、第1のゴムシート71A、複数の金属線材30および第2のゴムシート72Aからなる弾性体21を成形する(工程E1)。
【0044】
第2の粘土状ゴムシート72としては、第1の粘土状ゴムシート71と同様のものが用いられることが好ましい。
【0045】
第2の粘土状ゴムシート72の厚さは、第1の粘土状ゴムシート71の厚さと等しくすることが好ましい。
【0046】
工程E1において、第2の粘土状ゴムシート72を加熱して加硫し、第2のゴムシート72Aを形成する。
【0047】
次いで、
図3(b)に示すように、弾性体21の積層方向と直交する方向に見て複数の金属線材30が互いに平行となり、かつ弾性体21の積層方向に見て複数の金属線材30が互いに重なるように、工程A1~工程E1で得られた弾性体21を複数積層して、積層体80を成形する(工程F1)。
【0048】
弾性体21を積層する方法としては、接着剤90を用いる方法、弾性体21の表面をコロナ放電、真空紫外線等の表面処理により活性化させて化学結合する方法等が挙げられる。
【0049】
接着剤90としては、接着層40を構成する接着剤と同様のものが用いられる。
接着剤の一例である液状シリコーンゴムの具体例としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKE-1935-A,KE-1935-B等の付加反応によって熱硬化するものが挙げられる。
液状シリコーンゴムの硬化前の粘度は、粘土状シリコーンのコンパウンドよりも格段に低く、例えば、500Pa・s以下であることが好ましく、200Pa・s以下が好ましく、100Pa・s以下がさらに好ましい。この粘度の下限値としては、10Pa・s以上が好ましい。
液状シリコーンゴムの硬化前の密度(23℃,単位:g/cm3)は、粘土状シリコーンゴムよりも低いことが好ましく、例えば、1.10未満が好ましく、1.06以下が好ましく、1.03以下がさらに好ましい。この密度の下限値は、通常1.00以上である。密度が上記範囲であると、液状シリコーンゴムの塗工が容易になる。
液状シリコーンゴムの硬化後の硬さ(デュロメータA)は、20以上が好ましく、30以上がより好ましい。この硬さの上限値は、90以下であることが好ましい。硬さが上記範囲であると、電気コネクターに適度な剛性を付与できる。
上記粘度、密度及び硬さは、JIS K 6249:2003の方法に準拠して測定される。
【0050】
次いで、工程F1で得られた積層体80を、複数の金属線材30の延在する方向(すなわち、
図3(c)の紙面奥行き方向)に対して垂直又は斜めに切断する(工程G1)。垂直に切断すると、電気コネクター10における各金属線材30の延在方向は、一方の主面20a及び他方の主面20bに対して垂直になる。斜めに切断すると、電気コネクター10における各金属線材30の延在方向は、一方の主面20a及び他方の主面20bに対して斜めになり、電気コネクター10の厚さ方向に対して斜めになる。
これにより、
図3(c)に示すように、電気コネクター10を得る。
【0051】
以上で説明した第1の実施形態の製造方法において、前記第1及び前記第2の粘土状ゴムシートの代わりに、液状シリコーンからなるゴムシートを用いてもよい。液状シリコーンからなるゴムシートを用いる場合には、液状シリコーンを半硬化させたシート又は流動性が比較的低い液状シリコーンをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0052】
(第2の実施形態)
[電気コネクターの製造方法]
本実施形態の電気コネクターの製造方法は、基材の一面にメッキ層を形成する工程(以下、「工程A2」と言う。)と、基材の一面に形成されたメッキ層に、第1の粘土状ゴムシートの一面を貼り合わせた後、第1の粘土状ゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成する工程(以下、「工程B2」と言う。)と、基材をウェットエッチングにより除去し、メッキ層を第1のゴムシートの一面に残す工程(以下、「工程C2」と言う。)と、メッキ層をレーザー加工して、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数(即ち複数)の金属線材を形成する工程(以下、「工程D2」と言う。)と、第1のゴムシートの一面に、複数の金属線材を覆うように、第2の粘土状ゴムシートの一面を貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、第1のゴムシート、複数の金属線材および第2のゴムシートからなる弾性体を成形する工程(以下、「工程E2」と言う。)と、第一の弾性体と第二の弾性体とを積層したときに各々の弾性体に含まれる複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の弾性体を積層して、積層体を成形する工程(以下、「工程F2」と言う。)と、積層体を、金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断する工程(以下、「工程G2」と言う。)と、を有する。
前記第1及び前記第2の粘土状ゴムシートの代わりに、液状シリコーンからなるゴムシートを用いてもよい。液状シリコーンからなるゴムシートを用いる場合には、液状シリコーンを半硬化させたシート又は流動性が比較的低い液状シリコーンをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0053】
以下、
図4(a)~
図4(d)および
図5(a)~
図5(c)を参照して、本実施形態の電気コネクターの製造方法を説明する。
図4および
図5において、
図1~
図3に示した構成と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0054】
図4(a)に示すように、基材50の一面50aにメッキ層60を形成する(工程A2)。
【0055】
工程A2では、上述の工程A1と同様に、基材50の一面50aに、電解メッキまたは無電解メッキによって、メッキ層60を形成する。
【0056】
次いで、
図4(b)に示すように、基材50の一面50aに形成されたメッキ層60に、第1の粘土状ゴムシート71の一面71aを貼り合わせた後、第1の粘土状ゴムシート71を加硫して第1のゴムシート71Aを形成する(工程B2)。
【0057】
工程B2では、上述の工程C1と同様に、第1の粘土状ゴムシート71を加硫する。
【0058】
次いで、
図4(c)に示すように、基材50をウェットエッチングにより除去し、メッキ層60を第1のゴムシート71Aの一面71aに残す(工程C2)。
【0059】
工程C2では、上述の工程D1と同様に、基材50をウェットエッチングにより除去する。
【0060】
次いで、
図4(d)に示すように、メッキ層60をレーザー加工して、第1のゴムシート71Aの一面71aに、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数の金属線材30を形成する(工程D2)。
【0061】
工程D2では、上述の工程B1と同様に、メッキ層60をレーザー加工する。
【0062】
次いで、
図5(a)に示すように、第1のゴムシート71Aの一面71aに、複数の金属線材30を覆うように、第2の粘土状ゴムシート72を貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシート72を加硫して第2のゴムシート72Aを形成し、第1のゴムシート71A、複数の金属線材30および第2のゴムシート72Aからなる弾性体21を成形する(工程E2)。
【0063】
工程E2では、上述の工程E1と同様に、弾性体21を成形する。
【0064】
次いで、
図5(b)に示すように、弾性体21の積層方向と直交する方向に見て金属線材30が互いに平行となり、かつ弾性体21の積層方向に見て金属線材30が互いに重なるように、工程A2~工程E2で得られた弾性体21を複数積層して、積層体80を成形する(工程F2)。
【0065】
工程F2では、上述の工程F1と同様に、積層体80を成形する。
【0066】
次いで、工程F2で得られた積層体80を、金属線材30の延在する方向(すなわち、
図5(c)の紙面奥行き方向)と垂直に切断する(工程G2)。
これにより、
図5(c)に示すように、電気コネクター10を得る。
【0067】
(第3の実施形態)
[電気コネクターの製造方法]
本実施形態の電気コネクターの製造方法は、基材の一面に、金属ナノペーストを塗布して、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数(即ち複数)の金属線材を形成する工程(以下、「工程A3」と言う。)と、基材の一面に形成された複数の金属線材に、第1の粘土状ゴムシートの一面を貼り合わせた後、第1の粘土状ゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成する工程(以下、「工程B3」と言う。)と、基材をウェットエッチングにより除去し、複数の金属線材を第1のゴムシートの一面に残す工程(以下、「工程C3」と言う。)と、第1のゴムシートの一面に、複数の金属線材を覆うように、第2の粘土状ゴムシートの一面を貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、第1のゴムシート、複数の金属線材および第2のゴムシートからなる弾性体を成形する工程(以下、「工程D3」と言う。)と、第一の弾性体と第二の弾性体とを積層したときに各々の弾性体に含まれる複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の弾性体を積層して、積層体を成形する工程(以下、「工程E3」と言う。)と、積層体を、金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断する工程(以下、「工程F3」と言う。)と、を有する。
前記第1及び前記第2の粘土状ゴムシートの代わりに、液状シリコーンからなるゴムシートを用いてもよい。液状シリコーンからなるゴムシートを用いる場合には、液状シリコーンを半硬化させたシート又は流動性が比較的低い液状シリコーンをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0068】
以下、
図6(a)~
図6(c)および
図7(a)~
図7(c)を参照して、本実施形態の電気コネクターの製造方法を説明する。
図6および
図7において、
図1~
図3に示した構成と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0069】
図6(a)に示すように、基材50の一面50aに、金属ナノペーストを塗布して、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数の金属線材30を形成する(工程A3)。
【0070】
工程A3において、基材50の一面50aに複数の金属線材30を形成する方法としては、例えば、まず、静電吐出方式等により、基材50の一面50aに金属ナノペーストからなる細線30Aを描画する。この際、基材50の一面50aに、同一方向に揃えて等間隔に多数の細線30Aを形成する。
【0071】
金属ナノペーストとしては、例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル等や、これらの金属の合金等のナノサイズ(平均粒径1nm~1μm未満)の金属粒子がバインダー樹脂に分散されたものである。金属ナノペーストとして市販品を適用できる。
【0072】
次いで、細線30Aを基材50とともに焼成して、金属線材30とする。焼成温度としては、基材50が焼損しない温度であることが好ましく、例えば、150~400℃程度が挙げられる。基材50は、焼成時に焼損しない材料によって形成されているものが好ましい。
【0073】
次いで、
図6(b)に示すように、基材50の一面50aに形成された複数の金属線材30に、第1の粘土状ゴムシート71の一面71aを貼り合わせた後、第1の粘土状ゴムシート71を加硫して第1のゴムシート71Aを形成する(工程B3)。
【0074】
工程B3では、上述の工程C1と同様に、第1の粘土状ゴムシート71を加硫する。
【0075】
次いで、
図6(c)に示すように、基材50をウェットエッチングにより除去し、複数の金属線材30を第1のゴムシート71Aの一面71aに残す(工程C3)。
【0076】
工程C3では、上述の工程D1と同様に、基材50をウェットエッチングにより除去する。
【0077】
次いで、
図7(a)に示すように、第1のゴムシート71Aの一面71aに、金属線材30を覆うように、第2の粘土状ゴムシート72を貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシート72を加硫して第2のゴムシート72Aを形成し、第1のゴムシート71A、複数の金属線材30および第2のゴムシート72Aからなる弾性体21を成形する(工程D3)。
【0078】
工程D3では、上述の工程E1と同様に、弾性体21を成形する。
【0079】
次いで、
図7(b)に示すように、弾性体21の積層方向と直交する方向に見て複数の金属線材30が互いに平行となり、かつ弾性体21の積層方向に見て複数の金属線材30が互いに重なるように、工程A3~工程D3で得られた弾性体21を複数積層して、積層体80を成形する(工程E3)。
【0080】
工程E3では、上述の工程F1と同様に、積層体80を成形する。
【0081】
次いで、工程E3で得られた積層体80を、複数の金属線材30の延在する方向(すなわち、
図7(c)の紙面奥行き方向)と垂直に切断する(工程F3)。
これにより、
図7(c)に示すように、電気コネクター10を得る。
【0082】
(第4の実施形態)
[電気コネクターの製造方法]
本実施形態の電気コネクターの製造方法は、シリコンウエハーの一面側に、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数(即ち複数)の帯状の溝を有するシリコンウエハー型を用い、シリコンウエハー型の溝内に浸入するように、シリコンウエハー型の一面に液状シリコーンゴムを塗布した後、液状シリコーンゴムを加硫し、シリコンウエハー型の溝に対応する凸部と凹部を有するシリコーンゴム型を成形する工程(以下、「工程A4」と言う。)と、シリコーンゴム型の凸部上に、金属ナノペーストを塗布して、複数の金属線材の前駆体を形成する工程(以下、「工程B4」と言う。)と、シリコーンゴム型の凸部に形成された複数の金属線材の前駆体に、第1の粘土状ゴムシートの一面を貼り合わせ、第1の粘土状ゴムシートの一面に、複数の金属線材の前駆体を転写する工程(以下、「工程C4」と言う。)と、第1の粘土状ゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成するとともに、複数の金属線材の前駆体を焼成して、第1のゴムシートの一面に、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数(即ち複数)の金属線材を形成する工程(以下、「工程D4」と言う。)と、第1のゴムシートの一面に、複数の金属線材を覆うように、第2の粘土状ゴムシートの一面を貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシートを加硫して第2のゴムシートを形成し、第1のゴムシート、複数の金属線材および前記第2のゴムシートからなる弾性体を成形する工程(以下、「工程E4」と言う。)と、第一の弾性体と第二の弾性体とを積層したときに各々の弾性体に含まれる複数の金属線材が互いに平行となるように、複数の弾性体を積層して、積層体を成形する工程(以下、「工程F4」と言う。)と、積層体を、複数の金属線材の延在する方向に対して垂直又は斜めに切断する工程(以下、「工程G4」と言う。)と、を有する。
前記第1及び前記第2の粘土状ゴムシートの代わりに、液状シリコーンからなるゴムシートを用いてもよい。液状シリコーンからなるゴムシートを用いる場合には、液状シリコーンを半硬化させたシート又は流動性が比較的低い液状シリコーンをシート状に成形したものを用いることが好ましい。
【0083】
以下、
図8(a)~
図8(d)および
図9(a)~
図9(e)を参照して、本実施形態の電気コネクターの製造方法を説明する。
図8および
図9において、
図1~
図3に示した構成と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0084】
図8(a)に示すように、シリコンウエハー100の一面100a側に、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数の帯状の溝101を形成し、シリコンウエハー型110を成形する。
【0085】
シリコンウエハー100に溝101を形成する方法としては、例えば、フッ酸と硝酸を純水若しくは酢酸で希釈した酸性エッチング液や、水酸化カリウムと水酸化ナトリウムを純水で希釈したアルカリ性エッチング液等を用いたウェットエッチングまたはプラズマを用いたドライエッチング等が挙げられる。
【0086】
次いで、
図8(b)に示すように、シリコンウエハー型110の溝101内に浸入するように、シリコンウエハー型110の一面110aに液状シリコーンゴム200を塗布した後、液状シリコーンゴム200を加硫し、
図8(c)に示すように、シリコンウエハー型110の溝101に対応する凸部212と凹部211を有するシリコーンゴム型210を成形する(工程A4)。
【0087】
工程A4において、液状シリコーンゴム200を加熱して加硫する。
【0088】
次いで、
図8(d)に示すように、シリコーンゴム型210の凸部212上に、金属ナノペーストを用いて、複数の金属線材の前駆体300を形成する(工程B4)。
【0089】
工程B4において、シリコーンゴム型210の凸部212上に、金属線材の前駆体300を形成するには、転写方式等により、シリコーンゴム型210の凸部212上に金属線材の前駆体300を描画する方法が適用できる。
【0090】
次いで、
図9(a)に示すように、シリコーンゴム型210の複数の凸部212に形成された複数の金属線材の前駆体300に、第1の粘土状ゴムシート71の一面71aを貼り合わせ、第1の粘土状ゴムシート71の一面71aに、複数の金属線材の前駆体300を転写する(工程C4)。
【0091】
次いで、第1の粘土状ゴムシート71を加硫して第1のゴムシート71Aを形成するとともに、複数の金属線材の前駆体300を焼成して、
図9(b)に示すように、第1のゴムシートの71Aの一面71aに、同一方向に揃えて等間隔に配置された多数の金属線材30を形成する(工程D4)。
【0092】
工程D4において、前記前駆体を焼成する際に、同時に、第1の粘土状ゴムシート71を加熱して加硫することができる。ここで、前記前駆体を焼成する好適な温度としては、例えば、150~250℃程度が挙げられる。
【0093】
次いで、
図9(c)に示すように、第1のゴムシート71Aの一面71aに、複数の金属線材30を覆うように、第2の粘土状ゴムシート72を貼り合わせた後、第2の粘土状ゴムシート72を加硫して第2のゴムシート72Aを形成し、第1のゴムシート71A、複数の金属線材30および第2のゴムシート72Aからなる弾性体21を成形する(工程E4)。
【0094】
工程E4では、上述の工程E1と同様に、弾性体21を成形する。
【0095】
次いで、
図9(d)に示すように、複数の金属線材30が互いに平行に重なり合うように、工程A4~工程E4で得られた弾性体21を複数積層して、積層体80を成形する(工程F4)。
【0096】
工程F4では、上述の工程F1と同様に、積層体80を成形する。
【0097】
次いで、工程F4で得られた積層体80を、複数の金属線材30の延在する方向と垂直に切断する(工程G4)。
これにより、
図9(e)に示すように、電気コネクター10を得る。
【0098】
(第5の実施形態)
[電気コネクターの製造方法]
本実施形態の電気コネクターの製造方法は、基材の一面に、同一方向に揃って等間隔に帯状の溝を有する、ラインアンドスペース(Line and Space:L/S)のレジストパターンが形成された基材を用い、前記基材の一面が露出する前記溝にメッキ層を形成することにより、同一方向に揃えて等間隔に配置された複数の金属線材を形成する工程(以下、「工程A5」と言う。)と、前記基材の一面に形成された前記レジストパターンを除去する工程(以下、「工程B5」と言う。)と、前記基材の一面に形成された前記複数の金属線材に、第1の未加硫のゴムシートの一面を貼り合わせた後、前記第1の未加硫のゴムシートを加硫して第1のゴムシートを形成する工程(以下、「工程C5」と言う。)と、前記基材をウェットエッチングにより除去し、前記複数の金属線材を前記第1のゴムシートの一面に残す工程(以下、「工程D5」と言う。)と、を有する。
前記未加硫のゴムシートは、粘土状シリコーン又は液状シリコーンの何れによっても形成され得る。液状シリコーンを用いる場合には、半硬化させたもの又は流動性が比較的低いものを用いることが好ましい。
【0099】
工程A5において用いる基材は、その一面にメッキ層を形成可能な導電性を有し、後段の工程D5で行うウェットエッチングにより除去可能な基材であればよく、例えば前述の工程A1で説明した基材が挙げられる。基材の一面には、予めL/Sのレジストパターンが形成されたものを用いる。L/Sのスペースによって区画されてなる溝の底面には基材の一面が露出している。この露出した一面に対して、電解メッキまたは無電解メッキの常法によってメッキ層を形成することにより、溝の中に溝の長手方向に沿う金属線材を形成することができる。L/Sのスペースのピッチを調整することにより、形成する複数の金属線材同士のピッチを調整することができる。また、メッキ層の厚みを調整することにより金属線材の厚みを調整することができる。ここで、形成した複数の金属線材同士が短絡することを防ぐ観点から、レジストパターンの厚みはメッキ層の厚みよりも厚いことが好ましい。
工程A5で用いる基材のレジストパターンは、本工程で常法により形成してもよいし、予め所望のレジストパターンが形成されたものを購入してもよい。
以上の工程A5により、基材の一面に、同一方向に等間隔に配置された複数の金属線材を形成することができる。
【0100】
工程B5において、複数の金属線材及びレジストパターンが配置された基材の一面から、レジストパターンを除去する。除去方法は、樹脂製のレジストを溶解可能な溶媒に基材を浸漬するウェットエッチング法が、簡便で好ましい。レジストを除去した基材の一面には工程A5で形成した複数の金属線材が残っている。
以上の工程B5により、
図2(b)に示すような、基材50の一面50aに複数の金属線材30が配置されたものが得られる。
【0101】
次に、
図2(c)に示すように、基材50の一面50aに形成された複数の金属線材30に、第1の未加硫のゴムシート71の一面71aを貼り合わせた後、第1の未加硫のゴムシート71を加硫して第1のゴムシート71Aを形成する(工程C5)。さらに、
図2(d)に示すように、基材50をウェットエッチングにより除去し、金属線材30を第1のゴムシート71Aの一面71aに残す(工程D5)。
【0102】
以上の工程D5の後の工程は、第1の実施形態の製造方法の工程E1~工程G1と同様に行ってもよいし、次のように別の工程E5~工程F5を行ってもよい。
【0103】
本実施形態においては、工程D5で得た複数のゴムシート71Aを複数用意して、
図15に示すように、第一のゴムシート71Aの金属線材30を有する一面71aを、第二のゴムシート71Aの金属線材30を有しない側の他面に対して、接着剤90を介して積層し、積層体80を得る(工程E5)。
図15において、
図1~
図3に示した構成と同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0104】
図15の例では、積層体80の最上層と最下層には、ゴムシート71Aの代わりに、複数の金属線材30を備えた基材50を積層した場合を例示している。積層した基材50は後段でエッチングにより除去され、金属線材30が露出する場合には、接着剤90を塗布して絶縁層を表面に形成する。ただし、基材50を積層せずに、複数のゴムシート71Aだけを接着剤90を介して積層してもよい。
【0105】
積層体80の接着剤90の厚みとしては、例えば、第1の実施形態で用いた第2の未加硫のゴムシート72と同等の厚みが挙げられる。
接着剤90の加硫や硬化は、使用する接着剤90の種類に応じて、加熱、乾燥等の公知方法により適宜行われる。
【0106】
次に、工程E5で得た積層体80を、複数の金属線材30の延在する方向(すなわち、
図15の紙面奥行き方向)と垂直に切断する(工程F1)。
これにより、目的の電気コネクター(例えば
図3(c)と同様の電気コネクター)が得られる。
本実施形態は、第1の実施形態と比べて、第2の未加硫のシリコーンゴムを用いて弾性体21を形成する工程がないので、より簡便である。
【0107】
以上で説明した第1~第5の実施形態の電気コネクターの製造方法によれば、電気コネクター10に接続するデバイスの接続端子に対して金属線材30から過剰な力が加えられることがなく、デバイスの接続端子が損傷することを防止でき、かつ狭ピッチおよび高集積のデバイスとの接続も可能な電気コネクター10が得られる。また、第1~第5の実施形態の電気コネクターの製造方法によれば、薄い金属線材30を備えた、狭ピッチの電気コネクター10を容易に製造することができる。
【0108】
また、各本実施形態の電気コネクターの製造方法は、電気コネクター10の一方の主面20a及び他方の主面20bの少なくとも一方から、複数の金属線材30の端部を突出させる工程(突出工程)を有していてもよい。
金属線材30の端部を主面から突出させる方法としては、例えば、レーザーエッチング、ケミカルエッチング、切削等の機械的加工により電気コネクター10の主面を構成する樹脂層の一部を削る方法が挙げられる。
突出させた金属線材30の端部にメッキ層を形成する場合には、公知の電解メッキ又は無電解メッキの方法を適用することができる。
【実施例】
【0109】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、実施例1,2は比較例である。
【0110】
[実施例1]
図1~
図3を参照して、本発明の実施例を説明する。
厚さ50μmの銅板の表面に、厚さ0.5μmのニッケルメッキ層を備える基材と、基材のニッケルメッキ層の表面に厚さ0.5μmの金メッキ層が積層された金メッキ板を用意した。
次いで、金メッキ板の金メッキ層をレーザー加工して、金メッキ層を除去し、金メッキ板の一面に、幅50μm、ピッチ200μmのストライプ状をなす複数の金属線材を形成した。ここでは、波長532nmのレーザーを用いた。
ミラブルコンパウンド(品番:KE-174-U、信越化学工業株式会社製)100質量部に、加硫剤(品番:C-19A、信越化学工業株式会社製)0.6質量部および加硫剤(品番:C-19B)2.5質量部と、シランカップリング剤(品番:KBM-403、信越化学工業株式会社製)1質量部を加えて混練し、第1の粘土状シリコーンゴムシートを作製した。
この第1の粘土状シリコーンゴムシートを、厚さ85μmに成形した。
次いで、金メッキ板に形成された複数の金属線材に、第1の粘土状シリコーンゴムシートの一面を貼り合わせた後、第1の粘土状シリコーンゴムシートを135℃にて40分間加熱して、第1のシリコーンゴムシートを形成した。
次いで、金属線材が形成された金メッキ板に第1のシリコーンゴムシートを貼り合わせたものを塩化鉄の溶液に浸漬して、基材を除去した。これにより、第1のシリコーンゴムシートの一面上に複数の金属線材を転写した。
次いで、第1のシリコーンゴムシートの一面に、複数の金属線材を覆うように、第1の粘土状シリコーンゴムシートと構成および厚さが等しい第2の粘土状シリコーンゴムシートを貼り合わせた後、第2の粘土状シリコーンゴムシートを135℃にて40分間加熱して、第2の粘土状シリコーンゴムシートを加硫して、第2のシリコーンゴムシートを形成した。これにより、第1のシリコーンゴムシートおよび第2のシリコーンゴムシートと、これらに挟まれた複数の金属線材とからなる弾性体を成形した。弾性体を複数作成した。
次いで、各弾性体に含まれる複数の金属線材が互いに平行に重なり合うように、液状シリコーンゴムを介して、弾性体を複数積層して、積層体を成形した。ここでは、弾性体の貼着面に、スクリーン印刷により、厚さが30μmとなるように液状シリコーンゴムを塗布した。また、液状シリコーンゴムを介して、弾性体を積層した後、積層体を135℃にて40分間加熱して、液状シリコーンゴムを加硫した。
次いで、得られた積層体を、複数の金属線材の延在する方向と垂直に切断し、
図1に示すような、厚さ300μmの電気コネクターを得た。
本実施例の電気コネクターでは、接合面における各金属線材の矩形の短辺の長さは0.5μm、接合面における各金属線材の矩形の長辺の長さは0.05mm(50μm)、接合面の5mm
2当たりにおける複数の金属線材の合計面積が0.003125mm
2、接合面における矩形の長辺方向の金属線材のピッチ(
図1のP
2に相当)が0.2mm、接合面における矩形の短辺方向の金属線材のピッチ(
図1のP
1に相当)が0.2mmであった。なお、接合面とは、電気コネクターの主面であり、デバイスを接合(接続)する面である。
【0111】
[実施例2]
実施例1と同様に用意した金メッキ板の金メッキ層に対して、実施例1と同様の第1の粘土状シリコーンゴムシートの一面を貼り合わせた後、第1の粘土状シリコーンゴムシートを135℃にて40分間加熱して、第1のシリコーンゴムシートを形成した。
次いで、金メッキ板の金メッキ層に対して第1のシリコーンゴムシートを貼り合わせたものを、塩化鉄の溶液に浸漬して、基材を除去した。これにより、第1のシリコーンゴムシートの一面上に金メッキ層を転写した。
形成した第1のシリコーンゴムシートの一面に露出する金メッキ層に対して、レーザー(波長532nm)を照射し、幅25μm(
図1のL
2に相当)、ピッチ50μm(
図1のP
2に相当)のストライプ状に加工した。このように加工した第1のシリコーンゴムシートの一面に、実施例1と同様に、複数の金属線材を覆うように、第2の粘土状シリコーンゴムシートを貼り合わせて、加硫することにより、弾性体を成形した。次いで、実施例1と同様に、弾性体を複数積層し、加硫した積層体を得て、複数の金属線材の延在する方向と垂直に切断(スライスカット)することにより、厚さ150μmの電気コネクターを得た。
本実施例の電気コネクターでは、接合面における金属線材の矩形の短辺の長さは0.5μm、接合面における金属線材の矩形の長辺の長さは0.025mm(25μm)、接合面の5mm
2当たりにおける複数の金属線材の合計面積が0.025mm
2、接合面における矩形の長辺方向の金属線材のピッチ(
図1のP
2に相当)が0.05mm、接合面における矩形の短辺方向の金属線材のピッチ(
図1のP
1に相当)が0.05mmであった。なお、ピッチP
1を実施例1よりも小さくするために、各シリコーンゴムシートの厚さ及び液状シリコーンゴムの塗膜の厚さを実施例1よりも薄くした。
【0112】
[実施例3]
厚さ50μmの銅板の表面に、L/Sのレジストパターンを常法により形成した後、銅が露出した表面に厚さ0.5μmのニッケルメッキ層を形成し、さらに厚さ0.5μmの金メッキ層を積層した。その後、レジストパターンを除去することにより、銅板の表面に、幅10μm、ピッチ20μmのストライプ状をなす複数の金属線材が形成された金メッキ板を得た。
上記金メッキ板の複数の金属線材に対して、実施例1と同様の第1の粘土状シリコーンゴムシートの一面を貼り合わせた後、第1の粘土状シリコーンゴムシートを135℃にて40分間加熱して、第1のシリコーンゴムシートを形成した。
次いで、第1のシリコーンゴムシートが貼り合された金メッキ板を、塩化鉄の溶液に浸漬して、基材を除去した。これにより、第1のシリコーンゴムシートの一面上に、複数の金属線材を転写した。
複数の金属線材を転写した上記の第1のシリコーンゴムを複数用意して、金メッキ板/(液状シリコーンゴム/第1のシリコーンゴム)×所望の積層枚数/液状シリコーンゴム/金メッキ板の順に積層した積層体を得た(
図15参照)。積層体において、各金属線材は、積層方向と積層方向に直交するシートの平面方向に見て重なるように、それぞれ等間隔に配置された。
さらに、積層体の最表面及び最裏面にある基材を塩化鉄の溶液によって除去し、露出した金属線材を覆うように、実施例1と同様の第2の粘土状シリコーンゴムシートを貼り合わせて、積層体の全体を加硫した。
次いで、実施例1と同様に、積層体を、複数の金属線材の延在する方向と垂直に切断(スライスカット)することにより、厚さ150μmの電気コネクターを得た。
本実施例の電気コネクターでは、接合面における各金属線材の矩形の短辺の長さは0.5μm、接合面における各金属線材の矩形の長辺の長さは0.010mm(10μm)、接合面の5mm
2当たりにおける金属線材の面積が0.0625mm
2、接合面における矩形の長辺方向の金属線材のピッチ(
図1のP
2に相当)が0.020mm、接合面における矩形の短辺方向の金属線材のピッチ(
図1のP
1に相当)が0.020mmであった。なお、ピッチP
1は液状シリコーンゴムの塗膜の厚さによって調整した。
【0113】
[比較例]
ポリエチレンテレフタレート基材上に形成したシリコーンゴムからなる厚さ85μmの第一の樹脂層の一方の面上に、多数の導電部材を、向きを揃えて任意の間隔で並列に配置した。
導電部材としては、真鍮からなる直径39.6μmの円柱状の芯材と、その芯材の外周面に形成された厚さ0.1μmのニッケルメッキ層および厚さ0.1μmの金メッキ層とを有するものを用いた。
次いで、多数の導電部材が配置された第一の樹脂層の一方の面上に、シリコーンゴムからなる厚さ85μmの第二の樹脂層を形成し、第二の樹脂層を第一の樹脂層と一体化するとともに、第一の樹脂層と第二の樹脂層の間に導電部材を固定し、導電部材含有シートを形成した。
次いで、導電部材含有シートの複数枚を、互いに導電部材の向きを揃えて積層し、導電部材含有シートの積層体を形成した。
次いで、積層体を、厚さ300μmとなるように、切削加工により、複数の導電部材の延在する方向に対して垂直に切断し、輪切りした導電部材が接合された貫通孔を備える電気コネクターを得た。
比較例の電気コネクターでは、接合面における各導電部材の直径は40μm、接合面の5mm2当たりにおける複数の導電部材の合計面積が0.123663706mm2、接合面における長辺方向の導電部材のピッチが0.2mm、接合面における縦方向の導電部材のピッチが0.25mmであった。
【0114】
[評価1]
実施例1と比較例の電気コネクターを、銅の表面にニッケルメッキおよび金メッキが施された直径1.0mmのプローブと、金メッキされた接続端子を有する基板との間に配置して、積層体(試験装置)を形成した。
また、プローブと基板上の接続端子の間の抵抗値を測定するために、プローブと接続端子に抵抗測定器(商品名:RM3545-01、日置電機社製)を接続した。
この状態で、積層体を、その厚さ方向に圧縮しながら、プローブと接続端子の間の抵抗値を測定し、積層体の変位量(圧縮量:積層体が厚さ方向に圧縮された量)と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係を調べた。なお、積層体の変位量は、電気コネクターの変位量に等しい。
また、積層体を圧縮する際に、自動荷重試験機(商品名:MAX-1KN-S-1、日本計測システム社製)により、積層体に加えられる荷重を測定し、積層体の変位量と、荷重との関係を調べた。
以上の結果から、プローブと基板の接続端子との間の抵抗値と、電気コネクターに加えられる荷重との関係を調べた。実施例1の電気コネクターを用いた場合における、積層体の変位量と荷重との関係の結果を
図10に示す。比較例の電気コネクターを用いた場合における、積層体の変位量と荷重との関係の結果を
図11に示す。実施例1または比較例の電気コネクターを用いた場合における、積層体の変位量と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係の結果を
図12に示す。
図10~
図12の結果から、抵抗値が安定する圧縮量は、実施例1および比較例ともに0.02mm程度であるが、そのときの荷重は実施例1では0.8Nであり、比較例では4.76Nであった。すなわち、比較例では、抵抗値が安定するときの荷重が実施例1の2倍を超えていた。従って、実施例1では検査対象の電極へ掛かる荷重を低減することができ、電極の損傷を抑制することができる。
【0115】
実施例2~3の電気コネクターについても、実施例1の場合と同様に、積層体を形成して、積層体の圧縮量(変位量)と、プローブ‐接続端子の抵抗値との関係、及び、積層体の圧縮量と、荷重との関係を調べた。
その結果、抵抗値が安定する圧縮量は、実施例2では0.008mmであり、実施例3では0.005mmであった。また、そのときの荷重は、実施例2では0.62Nであり、実施例3では0.3Nであった。
以上の結果から、実施例2~3では、実施例1よりも少ない圧縮量で抵抗値が安定するので、実施例2~3では検査対象の電極へ掛かる荷重をより一層低減することができ、電極の損傷をより一層抑制することができる。
【0116】
[評価2]
実施例1と比較例の電気コネクターを、銅の表面にニッケルメッキおよび金メッキが施された直径1.0mmのプローブと、厚さ35μmの銅層と厚さ25μmの導電性粘着剤とからなる銅箔テープが貼付されたガラス基板との間に配置して、銅層に向けて積層体(試験装置)を形成した。
この状態で、積層体を、その厚さ方向に圧縮した。
実施例1および比較例において、8Nの荷重を加えた場合について、電気コネクターと銅箔テープの接触面を走査型電子顕微鏡により観察した。実施例1における走査型電子顕微鏡を
図13に示す。比較例における走査型電子顕微鏡を
図14に示す。
図13の結果から、実施例1では、銅箔テープに、電気コネクターの金属線材に起因する傷が見られなかった。一方、
図14の結果から、比較例では、銅箔テープに、電気コネクターの導電部材に起因する傷が見られた。
【0117】
実施例2~3の電気コネクターについても、実施例1の場合と同様に、銅箔テープに対して圧縮しながら接触させた。その接触面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、電気コネクターの導電部材に起因する傷は見られなかった。
【0118】
[評価3]
実施例2~3の電気コネクターを用いて、評価1で使用したプローブを直径0.14mmのプローブに変更した以外は、評価1と同様の積層体(試験装置)を形成し、抵抗測定器と自動荷重試験機を評価1と同様に接続した。
この状態で、積層体を、その厚さ方向に圧縮しながら、プローブと接続端子の間の抵抗値を測定し、積層体の圧縮量(変位量)と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係を調べた。また、積層体に加えられる荷重が0.15Nになるまで測定し、積層体の圧縮量と、荷重との関係を調べた。
以上の結果から、プローブと基板の接続端子との間の抵抗値と、電気コネクターに加えられる荷重との関係を調べた。実施例2の電気コネクターを用いた場合における、積層体の荷重と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係の結果を
図16に示す。実施例3の電気コネクターを用いた場合における、積層体の荷重と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係の結果を
図17に示す。実施例2または実施例3の電気コネクターを用いた場合における、積層体の圧縮量と、プローブと接続端子の間の抵抗値との関係の結果を
図18に示す。実施例2または実施例3の電気コネクターを用いた場合における、積層体の圧縮量と、積層体の荷重との関係の結果を
図19に示す。
図16~
図19の結果から、実施例2~3では、実施例1よりも少ない圧縮荷重で検査対象の電極を安定に接続できるので、検査対象の電極へ掛かる荷重をより一層低減することができ、電極の損傷をより一層抑制することができることが明らかである。
なお、実施例1の電気コネクターにおける金属線材間のピッチが、直径0.14mmのプローブに対して広すぎるため、このプローブを実施例1の電気コネクターの金属線材に接触させることに大きな手間を要した。このため、直径0.14mmのプローブを用いて実施例1及び比較例の電気コネクターを測定することを諦めた。
【符号の説明】
【0119】
10 電気コネクター
20 樹脂層
21 弾性体
30 金属線材
30A 細線
40 接着層
50 基材
51 第1の層
52 第2の層
60 メッキ層
71 第1の粘土状ゴムシート
71A 第1のゴムシート
72 第2の粘土状ゴムシート
72A 第2のゴムシート
80 積層体
90 接着剤
100 シリコンウエハー
101 溝
110 シリコンウエハー型
200 液状シリコーンゴム
210 シリコーンゴム型
211 凹部
212 凸部
300 金属線材の前駆体