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特許7089565超音波シーケンス処理システムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-14
(45)【発行日】2022-06-22
(54)【発明の名称】超音波シーケンス処理システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/12 20060101AFI20220615BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2020166920
(22)【出願日】2020-10-01
(62)【分割の表示】P 2017559320の分割
【原出願日】2016-05-12
(65)【公開番号】P2021000525
(43)【公開日】2021-01-07
【審査請求日】2020-11-02
(31)【優先権主張番号】62/160,529
(32)【優先日】2015-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513228661
【氏名又は名称】アクタス メディカル インク
【氏名又は名称原語表記】Acutus Medical,Inc.
【住所又は居所原語表記】2210 Faraday Ave,Suite 100 Carlsbad CA U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チョウ デリック アール
(72)【発明者】
【氏名】ビーティ グレイドン イー
(72)【発明者】
【氏名】ジュリアン マーカス
(72)【発明者】
【氏名】コルヴィ ティモシー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】フラハティ ジェイ クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】フラハティ アール マックスウェル
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特許第6773686(JP,B2)
【文献】特開2001-70269(JP,A)
【文献】特表2014-514031(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0225983(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0055150(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔撮像システムの動作方法であって、
前記体腔撮像システムは、
周辺組織によって画定される体腔への送達用に構成されたカテーテルと、
前記カテーテルの遠位端に結合される複数の生体電位電極であって、3Dアレイに結合される複数の生体電位電極と、
前記カテーテルの遠位端に結合される複数の超音波変換器であって、前記3Dアレイ結合される複数の超音波変換器と、
電子モジュールと、を含み、
前記体腔撮像システムの動作は、
前記電子モジュールが、
各生体電位電極から受信した信号に基づいて、ユーザインターフェースシステム上に提供する表示を作り出す工程と、
2つの隣り合う超音波変換器の逐次的な活動化を回避する前記複数の超音波変換器をオン/オフするパターンを含む所定の活動化シーケンスに従って各超音波変換器を選択的にオン/オフする工程と、
各超音波変換器から受信した信号に基づいて、前記ユーザインターフェースシステム上に提供する3D表示を作り出す工程とを行うこと、
を含むことを特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項2】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記体腔は心腔であり、前記周辺組織は前記心腔の1つ以上の壁であること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項3】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記ユーザインターフェースシステムは、表示スクリーンと、前記3D表示のグラフィック操作を可能にするユーザ制御機構と、を有すること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項4】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記3Dアレイは、バスケットアレイ、スパイラルアレイ、バルーン、半径方向に展開可能なアーム、および/または、他の拡張可能かつ圧縮可能な構造であること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項5】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記超音波変換器は前記3Dアレイの複数のスプライン上に配設されること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項6】
請求項5に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記3Dアレイは少なくとも3つのスプラインを含むこと、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項7】
請求項5に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
少なくとも2つの超音波変換器が各スプライン上に配設されること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項8】
請求項5に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記生体電位電極は、前記3Dアレイの前記複数のスプライン上にも配設されること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項9】
請求項8に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記生体電位電極の少なくとも幾つか、および前記超音波変換器の少なくとも幾つかは同じスプライン上に配設されること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項10】
請求項8に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
1つの前記生体電位電極と1つの前記超音波変換器とが一緒に電極/変換器ペアを形成するように配設され、
前記体腔撮像システムが複数の電極/変換器ペアを含むこと、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項11】
請求項10に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
1つ以上のスプラインが複数の電極/変換器ペアを含むこと、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項12】
請求項10に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
複数のスプラインが少なくとも1つの電極/変換器ペアを含むこと、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項13】
請求項10に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
各スプラインが可撓性PCBを含み、各電極/変換器ペアが前記可撓性PCBに電気的に結合されること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項14】
請求項10に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
各電極/変換器ペアは共通の通信経路を共有すること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項15】
請求項10に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
1つのスプライン上の全ての電極/変換器ペアが共通の通信経路を共有すること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項16】
請求項10に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
1つのスプライン上の全ての電極/変換器ペアが共通のグランドを共有すること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項17】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記電子モジュールが、撮像デバイスを用いて生成される1つ以上の画像に心臓または他の電気的活動を相関できるように構成されること、
特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項18】
請求項17に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記撮像デバイスは、フルオロスコープと、MRIと、CTスキャナと、超音波撮像デバイスと、これらのうちの2つ以上の組み合わせと、からなる群から選択される撮像デバイスを含むこと、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項19】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記活動化シーケンスは、2つまたは3つの互いに隣り合う空間の内部の2つの変換器の逐次的な活動化を回避するものであること、
特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項20】
請求項19に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記隣り合う空間は、
スプライン1の変換器1および変換器2を含む単一のスプライン上の空間と、
スプライン1の変換器1およびスプライン2の変換器1を含むスプラインを横切る空間と、
スプライン1の変換器1およびスプライン2の変換器2を含むスプラインを斜めに横切る空間と、のうちの少なくともいずれかであること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項21】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記活動化シーケンスのパターンは、単一のスプラインにおける2つの変換器の逐次的な活動化を回避するパターンであること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項22】
請求項1に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記電子モジュールが1つ以上のスイッチを含み、
前記1つ以上のスイッチが選択的に開閉することで、1つ以上のスイッチが活動化されて前記変換器を信号発生器に接続すること、
を含む体腔撮像システムの動作方法。
【請求項23】
請求項22に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記1つ以上のスイッチはオプトカプラを含むこと、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【請求項24】
請求項23に記載の体腔撮像システムの動作方法であって、
前記オプトカプラは、約0.01μsから500μsの範囲の活動化時間を有すること、
を特徴とする体腔撮像システムの動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、心臓の活動をマッピングするのに役立ち得るシステム、デバイス、および方法などの、心臓の不整脈または他の心臓の疾患もしくは障害の診断および/または処置に役立ち得るシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づいて、2015年5月12日に出願された「Ultrasound Sequencing System and Method」という名称の下記特許文献1(米国仮特許出願第62/160,529号)の優先権を主張し、その全体を本願に引用して援用する。
【0003】
本出願は、2015年9月25日に出願された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の下記特許文献2(米国特許出願第14/865,435号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。米国特許出願第14/865,435号は、2015年10月27日に発行された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第9,167,982号(以降、982特許)の継続出願である。982特許は、2014年12月23日に発行された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第8,918,158号(以降、158特許)の継続出願である。158特許は、2014年4月15日に発行された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第8,700,119号(以降、119特許)の継続出願である。119特許は、2013年4月9日に発行された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第8,417,313号(以降、313特許)の継続出願である。313特許は、2007年8月3日に出願されて国際公開第2008/014629号として公開された「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の特許協力条約出願第CH2007/000380号の米国特許法第371条に基づく国内段階出願であった。国際公開第2008/014629号は、2006年8月3日に出願されたスイス国特許出願第1251/06号の優先権を主張した。それらのそれぞれを本願に引用して援用する。
【0004】
本出願は、2015年10月19日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の下記特許文献3(米国特許出願第14/886,449号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。米国特許出願第14/886,449号は、2015年11月24日に発行された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の米国特許第9,192,318号の継続出願である。米国特許第9,192,318号は、2013年8月20日に発行されて米国特許出願第2010/0298690号(以降、690刊行物)として公開された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の米国特許第8,512,255号の継続出願である。690刊行物は、国際公開第2009/090547号として公開された「A Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の、2009年1月16日に出願された特許協力条約出願第PCT/IB09/00071号の米国特許法第371条に基づく国内段階出願であった。国際公開第2009/090547号は、2008年1月17日に出願されたスイス国特許出願第00068/08号の優先権を主張した。それらのそれぞれを本願に引用して援用する。
【0005】
本出願は、2013年9月6日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の下記特許文献4(米国特許出願第14/003,671号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。米国特許出願第14/003,671号は、国際公開第2012/122517号(以降、517刊行物)として公開された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の、特許協力条約出願第PCT/US2012/028593号の米国特許法第371条に基づく国内段階出願である。517刊行物は、米国特許仮出願第61/451,357号の優先権を主張した。それらのそれぞれを本願に引用して援用する。
【0006】
本出願は、2013年12月2日に出願された「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same, Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」という名称の下記特許文献5(米国意匠出願第29/475,273号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。米国意匠出願第29/475,273号は、2013年8月30日に出願された「Catheter System and Methods of Medical Uses of Same, Including Diagnostic and Treatment Uses for the Heart」という名称の特許協力条約出願第PCT/US2013/057579号の米国特許法第371条に基づく国内段階出願である。特許協力条約出願第PCT/US2013/057579号は、2012年8月31日に出願された「System and Method for Diagnosing and Treating Heart Tissue」という名称の米国特許仮出願第61/695,535号の優先権を主張し、それを本願に引用して援用する。
【0007】
本出願は、2015年7月23日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の下記特許文献6(米国特許出願第14/762,944号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。米国特許出願第14/762,944号は、2014年2月7日に出願されて国際公開第2014/124231号として公開された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の特許協力条約出願第PCT/US2014/15261号の米国特許法第371条に基づく国内段階出願である。国際公開第2014/124231号は、2013年2月8日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の米国特許仮出願第61/762,363号の優先権を主張し、それを本願に引用して援用する。
【0008】
本出願は、2015年1月14日に出願された「Gas-Elimination Patient Access Device」という名称の下記特許文献7(特許協力条約出願第PCT/US2015/11312号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。特許協力条約出願第PCT/US2015/11312号は、2014年1月17日に出願された「Gas-Elimination Patient Access Device」という名称の米国特許仮出願第61/928,704号の優先権を主張し、それを本願に引用して援用する。
【0009】
本出願は、2015年3月24日に出願された「Cardiac Analysis User Interface System and Method」という名称の下記特許文献8(特許協力条約出願第PCT/US2015/22187号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。特許協力条約出願第PCT/US2015/22187号は、2014年3月28日に出願された「Cardiac Analysis User Interface System and Method」という名称の米国特許仮出願第61/970,027号の優先権を主張し、それを本願に引用して援用する。
【0010】
本出願は、2016年3月2日に出願された「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」という名称の下記特許文献9(米国特許出願第14/916,056号)に関係し得るが、その優先権を主張はしない。米国特許出願第14/916,056号は、2014年9月10日に出願されて国際公開第2015/038607号として公開された「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」という名称の特許協力条約出願第PCT/US2014/54942/号の米国特許法第371条に基づく国内段階出願である。国際公開第2015/038607号は、2013年9月13日に出願された「Devices and Methods for Determination of Electrical Dipole Densities on a Cardiac Surface」という名称の米国特許仮出願第61/877,617号の優先権を主張し、それを本願に引用して援用する。
【0011】
心臓の不整脈の起源を局所化するために、一般的なやり方は、患者の心臓の内部の電気生理学的手段によって心臓の内側表面に位置する電気的な電位を測定することである。1つの方法は、電極カテーテルを心臓の中に挿入して、正常な心律動または心臓の不整脈の間に心臓電位を記録することである。不整脈が規則的な活動化シーケンスを有する場合、電極の場所で電圧について測定した電気的な活動化のタイミングは、不整脈の間に電極を周りに動かすときに蓄積することができ、電気的な活動化の3次元マップが作り出される。これを行うことにより、不整脈の源泉の場所およびメカニズム、すなわち、リエントリ回路、に関する情報は、処置(ラジオ波アブレーション)を開始または案内するために診断される場合がある。情報は、心臓再同期の処置を案内するために、使用することもでき、埋め込み型のペーシング電極は、心臓壁または腔の内部の特定の場所に配設され、正常なレベルの心臓の協調的な活動化が再建される。
【0012】
外部のセンサを使用する方法は、例えば、心電図(ECG)およびベクトル心電図(VCG)を含む心電図技術を用いて身体表面から心臓の電気的活動を測定する。これらの外部のセンサ技術は、地域的な心電活動に基づく情報および/またはデータを提供するために、それらの能力において限定される場合がある。これらの方法は、心臓の生体電気事故を局所化できない場合もある。
【0013】
心臓の不整脈の局所化のための外部のセンサを用いる方法は、身体の表面のマッピングを利用する。この技術では、複数の電極は、胸部の全体表面に取り付けられ、心臓の電気記録図(表面ECG)の情報は、心臓の活動化のマップの中に蓄積される電圧で測定される。この測定は、問題のある場合があるが、その理由は、電気的活動が、時間依存性を有し、心筋の全体にわたって空間的に分散され、しかも、心臓における生体電気事故を局所化できないからである。複雑な数学的な方法は、心臓モデルの外側表面(すなわち、心外膜)上の電気的活動化を決定すること、例えば、胸腔の内部の心臓の寸法および向きに関する情報を与えるCTまたはMRI画像から得られるものが必要とされる。
【0014】
代替的に、例えば、胴部上の場所での電位の記録は、胴部表面を被う体表面の電位マップ(BSPMs)を提供する場合がある。BSPMsは、従来のECG技術と異なり得る形で局地的な心臓の電気的活動を示す場合があるが、これらのBSPM技術は、心臓の電気的活動の比較的低い分解能で平滑化された投影を一般的に提供し、心事象の場所(例えば、不整脈の起爆の部位)、および、局地的な活動の詳細(例えば、心臓の中の不整脈病巣(arrhythmogenic foci)の数および場所)の視覚的な検出や識別を容易にしない。
【0015】
電位の使用による心臓の不整脈の局所化が不正確であるので、心臓の不整脈の成功した治療は難しく、限定された成功と信頼性しか示されてこなかった。このため、心臓の不整脈の局所化、分析、および処置についての改善された方法が希求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】米国仮特許出願第62/160,529号
【文献】米国特許出願第14/865,435号
【文献】米国特許出願第14/886,449号
【文献】米国特許出願第14/003,671号
【文献】米国意匠出願第29/475,273号
【文献】米国特許出願第14/762,944号
【文献】特許協力条約出願第PCT/US2015/11312号
【文献】特許協力条約出願第PCT/US2015/22187号
【文献】米国特許出願第14/916,056号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の概念の1つの態様によれば、提供されるのは、体腔撮像システムであり、周辺組織によって画定される体腔への送達用に構成されたカテーテルと、カテーテルの遠位端に結合される複数の超音波変換器と、所定の活動化シーケンスに従って各超音波変換器を選択的にオン/オフし、各超音波変換器から受信した信号を処理し、周辺組織の少なくとも2D表示を作り出すように構成された電子モジュールと、を含む。
【0018】
様々な実施形態では、撮像システムは、電気生理システムの一部である場合がある。
【0019】
様々な実施形態では、腔は、心腔である場合があり、周辺組織は、心腔の1つ以上の壁である場合がある。
【0020】
様々な実施形態では、表示は、周辺組織の3D表示である場合がある。
【0021】
様々な実施形態では、周辺組織の3D表示は、表示スクリーンと、周辺組織の3D表示のグラフィック操作を可能にするユーザ制御機構と、を有するユーザインターフェースシステム上に提供される場合がある。
【0022】
様々な実施形態では、グラフィック操作は、周辺組織についての、ズームイン/ズームアウト、回転、部分選択、またはサブセクションのうちの1つ以上を含む場合がある。
【0023】
様々な実施形態では、複数の超音波変換器は、3Dアレイに結合される場合がある。
【0024】
様々な実施形態では、3Dアレイは、バスケットアレイ、スパイラルアレイ、バルーン、半径方向に展開可能なアーム、および/または、他の拡張可能かつ圧縮可能な構造である場合がある。
【0025】
様々な実施形態では、超音波変換器は、3Dアレイの複数のスプライン上に配設される場合がある。
【0026】
様々な実施形態では、3Dアレイは、少なくとも3つのスプラインを含む場合がある。
【0027】
様々な実施形態では、少なくとも2つの超音波変換器は、各スプライン上に配設される場合がある。
【0028】
様々な実施形態では、システムは、カテーテルの遠位端に結合された複数の生体電位電極を更に含む場合がある。
【0029】
様々な実施形態では、生体電位電極は、3Dアレイの複数のスプライン上にも配設される場合がある。
【0030】
様々な実施形態では、少なくとも幾つかの生体電位電極と、少なくとも幾つかの超音波変換器とは、同じスプライン上に配設される場合がある。
【0031】
様々な実施形態では、生体電位電極および超音波変換器は、電極/変換器ペアを形成するために互いに配設され、システムは、複数の電極/変換器ペアを含む。
【0032】
様々な実施形態では、1つ以上のスプラインは、少なくとも1つの電極/変換器ペアを含む場合がある。
【0033】
様々な実施形態では、1つ以上のスプラインは、複数の電極/変換器ペアを含む場合がある。
【0034】
様々な実施形態では、複数のスプラインは、少なくとも1つの電極/変換器ペアを含む場合がある。
【0035】
様々な実施形態では、複数のスプラインは、複数の電極/変換器ペアを含む場合がある。
【0036】
様々な実施形態では、複数のスプラインは、少なくとも3つの電極/変換器ペアを含む場合がある。
【0037】
様々な実施形態では、各スプラインは、可撓性PCBを含む場合があり、各電極/変換器ペアは、可撓性PCBに電気的に結合される。
【0038】
様々な実施形態では、各電極/変換器ペアは、可撓性PCB上の共通の通信経路を共有する場合がある。
【0039】
様々な実施形態では、1つのスプライン上の全ての電極/変換器ペアは、可撓性PCB上の共通の通信経路を共有する場合がある。
【0040】
様々な実施形態では、共通の通信経路は、共通のグランドである場合がある。
【0041】
様々な実施形態では、システムは、心臓または他の電気的活動を、撮像デバイスを用いて生成される1つ以上の画像と、相関させるように更に構成される場合がある。
【0042】
様々な実施形態では、撮像デバイスは、フルオロスコープ、MRI、CTスキャナ、超音波撮像デバイス、および、これらのうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される撮像デバイスを含む場合がある。
【0043】
様々な実施形態では、活動化シーケンスは、2つの隣り合う超音波変換器の逐次的な活動化を回避する複数の超音波変換器をオン/オフするパターンである場合がある。
【0044】
様々な実施形態では、活動化シーケンスは、2つまたは3つの互いの隣り合う空間の内部の2つの変換器の逐次的な活動化を回避する場合がある。
【0045】
様々な実施形態では、隣り合う空間は、単一のスプライン上の空間、スプライン1の変換器1およびスプライン2の変換器1などのスプラインを横切る空間、および/または、スプライン1の変換器1およびスプライン2の変換器2などのスプラインを斜めに横切る空間、と認められる場合がある。
【0046】
様々な実施形態では、活動化シーケンスパターンは、単一のスプラインから2つの変換器の逐次的な活動化を回避するパターンである場合がある。
【0047】
本発明の概念の別の態様によれば、提供されるのは、診断評価を実行する方法であり、診断カテーテルの端部に結合された複数の超音波変換器および複数の電極を含む心臓診断システムを提供するステップと、診断カテーテルを患者の心腔の中に挿入するステップと、心臓診断システムを診断モードに置くステップと、生体電位測定プロセスを実行するステップと、局所化プロセスを実行するステップと、超音波測定プロセスを実行するステップと、局所化プロセスおよび超音波プロセスを交互に配置するステップと、を含む。
【0048】
様々な実施形態では、超音波変換器の周波数は、生体電位信号に干渉せず、生体電位信号は、局所化信号に干渉しない。
【0049】
様々な実施形態では、生体電位測定プロセスは、連続して実行される場合がある。
【0050】
様々な実施形態では、生体電位測定プロセスは、局所化プロセスおよび超音波測定プロセスと交互に配置される場合がある。
【0051】
様々な実施形態では、本方法は、単一の超音波測定プロセスよりも長く、または、その複数倍、局所化プロセスを実行するステップを含む場合がある。
【0052】
様々な実施形態では、本方法は、単一の超音波測定プロセスよりも長く、または、その複数倍、超音波測定プロセスを実行するステップを含む場合がある。
【0053】
様々な実施形態では、生体電位測定プロセスは、電極から生体電位を測定および分析することを含む場合がある。
【0054】
様々な実施形態では、生体電位測定プロセスは、生体電位データから双極子密度および/または表面電荷密度を決定することを含む場合がある。
【0055】
本発明の概念の別の態様によれば、提供されるのは、局所化プロセスを実行する方法であり、カテーテルの遠位端に結合された複数の生体電位電極、および任意選択で複数の超音波変換器を含む心臓診断システムを提供するステップと、診断カテーテルを患者の心腔の中に挿入するステップと、1つ以上のペアの表面電極を患者の上に置いて、各ペアの電極について個別の軸を画定するステップと、1つ以上の局所化信号を生成して、同じものを患者に1つ以上のペアの表面電極を介して伝送するステップと、1つ以上のペアの表面電極から収集したデータを記録するステップと、各ペアの表面電極の生成した局所化信号と相関する信号を分離するために、記録したデータをフィルタ濾過するステップと、1つ以上のペアの表面電極によって画定される座標系で、患者に対する各生体電位電極の場所を決定するために、フィルタ濾過したデータを分析するステップと、を含む。
【0056】
様々な実施形態では、少なくとも2つのペアの電極が存在する場合があり、1つの個別の軸は、各ペアの表面電極について決定される場合がある。
【0057】
様々な実施形態では、少なくとも3つのペアの電極が存在する場合があり、1つの個別の軸は、各ペアの表面電極について決定される。
【0058】
様々な実施形態では、3つの軸は、3軸局所化システムを画定する場合がある。
【0059】
様々な実施形態では、座標系は、3D座標系である場合がある。
【0060】
様々な実施形態では、座標系の原点は、患者の心臓の内部に論理的に位置する場合がある。
【0061】
様々な実施形態では、本方法は、第1の軸を画定する、第1のペアの電極から患者の胸部および背部上に表面電極を置くステップ、ならびに/または、第2の軸を画定する、第2のペアの電極から側方に患者の側部上に表面電極を置くステップ、ならびに/または、第3の軸を画定する、第3のペアの電極から患者の首部もしくは肩部および腿部上に表面電極を置くステップ、を含む場合がある。
【0062】
様々な実施形態では、本方法は、第1の軸を画定する、第1のペアの電極から側方に患者の側部上に表面電極を置くステップ、ならびに/または、第2の軸を画定する、第2のペアの電極から患者の上側胸部および下側背部上に表面電極を置くステップ、ならびに/または、第3の軸を画定する、第3のペアの電極から患者の上側背部および下側胸部上に表面電極を置くステップ、を含む場合がある。
【0063】
様々な実施形態では、各ペアの表面電極は、異なった周波数を有する信号で個別に駆動される場合がある。
【0064】
様々な実施形態では、局所化信号は、約1kHz~約100kHzの範囲の周波数で生成される場合がある。
【0065】
様々な実施形態では、各ペアの表面電極からの信号は、個別に記録される場合がある。
【0066】
様々な実施形態では、各ペアの表面電極からの信号は、個別にフィルタ濾過される場合がある。
【0067】
様々な実施形態では、局所化プロセスは、心臓診断システムの超音波測定プロセスと交互に配置される場合がある。
【0068】
様々な実施形態では、局所化プロセスは、心臓診断システムの生体電位測定プロセスと交互に配置される場合がある。
【0069】
本発明の概念の態様によれば、提供されるのは、超音波測定プロセスを実行する方法であり、カテーテルの遠位端に結合された複数の超音波変換器、および任意選択で複数の生体電位電極を含む心臓診断システムを提供するステップと、診断カテーテルを心腔の中に挿入するステップと、超音波変換器信号を生成するために超音波変換器を活動化(またはリンギング)させるステップと、超音波変換器をリングダウンさせるステップと、ソースによる超音波変換器信号の反射を検知して記録するステップと、受け取った反射に基づいて、変換器からソースまでの距離を決定するステップと、全ての超音波変換器が活動化されるまで上のステップを繰り返すステップと、超音波測定プロセスが完了または終了するまで全ての超音波変換器について上のステップを繰り返すステップと、を含む。
【0070】
様々な実施形態では、生体電位電極および超音波変換器は、ペアにされて電極/変換器ペアを形成する場合がある。
【0071】
様々な実施形態では、電極/変換器ペアは、3Dアレイの複数のスプライン上に配設される場合がある。
【0072】
様々な実施形態では、超音波変換器を活動化させるステップは、1つ以上のスイッチを入れることを含む場合があり、それによって前記変換器が信号発生器に電気的に接続される。
【0073】
様々な実施形態では、1つ以上のスイッチは、オプトカプラを含む場合がある。
【0074】
様々な実施形態では、オプトカプラは、約0.01μsまたは約500μsの範囲の活動化時間を有する場合がある。
【0075】
様々な実施形態では、超音波変換器を活動化させるステップは、変換器をリングさせ、振動させ、および/または、他の方法で変換器に超音波パルスを生成させるように構成されたパルス状の駆動信号を生成することを含む場合がある。
【0076】
様々な実施形態では、駆動信号は、10MHzなどの約1MHz~約25MHzの範囲の周波数を有する信号を含む場合がある。
【0077】
様々な実施形態では、駆動信号の周波数は、約10MHzである場合がある。
【0078】
様々な実施形態では、駆動信号は、パルス幅が約0.1μs~約10μsの範囲にある信号を更に含む場合がある。
【0079】
様々な実施形態では、駆動信号のパルス幅は、約2.0μsである場合がある。
【0080】
様々な実施形態では、リングダウンは、超音波変換器の振動の消散のために、約0.05μsから約1μsの間の持続時間を有する場合がある。
【0081】
様々な実施形態では、リングダウンは、約0.1μsの持続時間を有する場合がある。
【0082】
様々な実施形態では、反射を検知するステップは、約1μs~約200μsの範囲の持続時間の間実行される場合がある。
【0083】
様々な実施形態では、検知の持続時間は、約100μsである場合がある。
【0084】
様々な実施形態では、ソースは、心室の内壁である場合がある。
【0085】
様々な実施形態では、変換器の活動化は、ペアにされた生体電位電極の非活動化を生じさせる場合がある。
【0086】
様々な実施形態では、本方法は、電極/変換器ペアを非逐次的に活動化させること、それによって、超音波変換器の活動化によって生じる隣り合う生体電位電極の一時的な「盲点」を広げないこと、を更に含む場合がある。
【0087】
様々な実施形態では、患者は、生き物である場合がある。
【0088】
様々な実施形態では、患者は、シミュレートされる物または心臓である場合がある。
【0089】
本発明の概念の態様によれば、提供されるのは、図示および/または記載されているような体腔撮像システムである。
【0090】
本発明の概念の態様によれば、提供されるのは、図示および/または記載されているような心臓診断システムである。
【0091】
本発明の概念の態様によれば、提供されるのは、図示および/または記載されているような心臓診断プロセスである。
【0092】
本発明の概念の態様によれば、提供されるのは、図示および/または記載されているような局所化プロセスである。
【0093】
本発明の概念の態様によれば、提供されるのは、図示および/または記載されているような生体電位測定プロセスである。
【0094】
本発明の概念の態様によれば、提供されるのは、図示および/または記載されているような超音波撮像方法である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】本発明の概念の態様による、身体内部に展開され得る複数の電気部品を含む組立体を備えるカテーテルを含む心臓分析システムの例示的な実施形態の概略図である。
図2】本発明の概念の態様による、診断評価を実行する方法の実施形態のフローチャート図である。
図3】本発明の概念の態様による、局所化プロセスを実行する方法の実施形態のフローチャート図である。
図4】本発明の概念の態様による、超音波測定プロセスを実行する方法の実施形態のフローチャート図である。
図5】本発明の概念の態様による診断カテーテルの実施形態の斜視図である。
図5A】本発明の概念の態様による、変更した形状の図5のカテーテルの斜視図である。
図6】本発明の概念の態様による、6つのスプライン上に配設された超音波変換器のアレイの活動化シーケンスの実施形態の図である。
図7】本発明の概念による、例えば、本明細書で説明するように診断カテーテルと共に使用される場合のあるユーザインターフェースシステムの実施形態のブロック図である。
図8A】本発明の概念によるユーザインターフェースシステムの出力に関する異なった図である。
図8B】本発明の概念によるユーザインターフェースシステムの出力に関する異なった図である。
図8C】本発明の概念によるユーザインターフェースシステムの出力に関する異なった図である。
図9】本発明の概念による心臓情報処理システムの実施形態の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0096】
様々な例示的な実施形態は、幾つかの例示的な実施形態が示された添付の図面を参照して、下でより詳細に説明する。しかしながら、本発明の概念は、多くの異なる形態で具現化される場合があり、本明細書に記載された例示的な実施形態に限定されると解釈するべきではない。
【0097】
用語「第1」、「第2」などが本明細書で使用されて様々な要素が説明されるが、これらの要素がそれらの用語によって限定されるべきではないことを理解されたい。それらの用語は、1つの要素を他から区別するために使用されるが、要素の所要のシーケンスを暗示するものではない。例えば、第1の要素が第2の要素と用語付けされる場合があり、同様に、第2の要素が第1の要素と用語付けされる場合があるが、本発明の範囲から逸脱はしない。本明細書で使用するとき、用語「および/または」は、1つ以上の関連する列挙した項目の任意の組み合わせと全ての組み合わせとを含む。また、関連する列挙した項目の「組み合わせ」は、列挙した項目の全てを含むことを要しないが、列挙した項目の全てを含んでいてもよい。
【0098】
要素が他の要素に対して「上に」あり、または、「取り付けられ」、「接続され」もしくは「結合され」と呼ばれるときに、それが他の要素に対して直接、上にあり、または、接続もしくは結合される場合があり、あるいは、介在する要素が存在する場合がある、ことを理解されたい。対照的に、要素が他の要素に対して「直接上に」あり、または、「直接接続され」もしくは「直接結合され」と呼ばれるときに、介在する要素は、存在しない。要素間の関係を説明するために使用される他の用語については、同様に解釈するべきである(例えば、「の間に」対する「の間に直接」、「隣接して」に対する「直接隣接して」等々)。
【0099】
本明細書で使用する用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけであり、本発明を限定することを意図していない。本明細書で使用するとき、単数形「1つ(a)」、「1つ(an)」、および「その(the)」は、文脈上別に規定することが明らかな場合を除いて、複数形をも含むことを意図している。用語「含む(comprises/includes)」および/または「含んでいる(comprising/including)」が、本明細書で使用するときに、記載した特徴、ステップ、動作、要素、および/または、部品の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、ステップ、動作、要素、部品、および/またはそれらを集めたものの存在や追加を除外するものではない、ことを更に理解されたい。
【0100】
「真下」、「下方」、「より下」、「上方」、「より上」などの空間に関係のある用語は、例えば、図面に図解されているような、要素および/または特徴の、他の要素および/または特徴に対する関係、を説明するために使用される場合がある。空間に関係のある用語が、図面に示した向きに加えて、使用中および/または動作中のデバイスの異なった向きを網羅することを意図している、ことを理解されたい。例えば、図面中のデバイスがひっくり返された場合、他の要素または特徴部の「下方」および/または「真下」と説明された要素は、それ故に他の要素または特徴部の「上方」に配向されることになろう。デバイスは、そうではなく配向される(例えば、90度または他の向きに回転される)場合があり、本明細書で使用される空間に関係のある記述が、それに応じて解釈される。
【0101】
様々の例示的な実施形態は、理想的または代表的な構造や中間の構造の参照用の図を用いて本明細書に説明されている。したがって、その結果として、製造する技術および/または許容範囲の、例えば、図の形状からの変形形態については、予想されるべきである。このように、例示的な実施形態は、本明細書に図示されている領域の特定の形状に限定されると解釈されるべきではなく、例えば、製造に起因する形状における偏差を含めるべきである。
【0102】
機能的な特徴、動作、および/またはステップが本明細書に記載され、そうでなければ、本発明の概念の様々な実施形態の範囲内に含まれると理解される限りで、そういった機能的な特徴、動作、および/またはステップは、機能的なブロック、ユニット、モジュール、動作および/または方法において具体化することができる。また、そういった機能的なブロック、ユニット、モジュール、動作および/または方法がコンピュータプログラムコードを含む限りで、そういったコンピュータプログラムコードは、例えば、非一時的なメモリおよびメディアなどのコンピュータ可読媒体に記憶させることができる、すなわち、少なくとも1つのコンピュータプロセッサによって実行可能である。
【0103】
図1を参照すると、身体内部に展開され得る複数の電気部品を含む組立体を備えるカテーテルを含む心臓分析システムの実施形態の概略図が、本発明の概念と矛盾せずに、図解されている。システム10は、診断カテーテル100および電子モジュール200を含む。実施形態によっては、システム10は、イントロデューサ50および/または撮像デバイス80を更に含む場合がある。イントロデューサ50は、ハンドル51および細長シャフト55を含む。シャフト55は、診断カテーテル100をシャフト55の内部に摺動式に受容するように構成されたルーメンなどの少なくとも1つのルーメンを含む。実施形態によっては、イントロデューサ50は、経中隔アクセスシース、または、例えば、心腔などの身体の空間または体腔に対するアクセスを提供するように構成された他のデバイスを含む。ハンドル51は、ノブ、レバー、スイッチまたは他の制御部(本明細書では制御部52と一般に呼ぶ)を含む場合がある。制御部52は、イントロデューサ50の遠位端を操縦、そうでなければ、偏向させるように構成される場合がある。撮像デバイス80は、フルオロスコープ、MRI、CTスキャナ、超音波撮像デバイス、および、これらのうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される撮像デバイスを含む場合がある。しかしながら、他の撮像デバイスは、様々な実施形態で使用してもよい。
【0104】
診断カテーテル100は、ハンドル110と、ハンドル110から延びる細長い可撓性のあるシャフト、すなわちシャフト105とを含む。シャフト105の遠位端に取り付けられているのは、半径方向に拡張可能および/または圧縮可能な組立体、すなわち、拡張可能な組立体130である。代替的な実施形態では、拡張可能な組立体130は、シャフト105の遠位部分に、すなわち、シャフト105の遠位端に近接する場所に、装着されている(例えば、取り囲んでいる)。実施形態によっては、拡張可能な組立体130は、本出願人の同時係属中の、2015年2月5日に出願された「System and Method for Diagnosing and Treating Heart Tissue」という名称の米国特許出願シリアル番号第14/422,941号(その内容を本願に引用して援用する)に関して説明されているように構築および配置される。シャフト105および拡張可能な組立体130は、体(例えば、動物の体、または、患者Pの身体などの人体)の中に挿入されるように構築および配置され、大腿静脈、頸静脈、または他の血管などの体内管を通って前進する。シャフト105および拡張可能な組立体130は、拡張可能な組立体130が圧縮状態にあるときなどに、イントロデューサ50を通って挿入されるように構築および配置され、心臓の腔などの、例えば、右心房もしくは左心房などの、身体の空間の中にシャフト55のルーメンを通って摺動式に前進する。
【0105】
ハンドル110は、制御部111などの1つ以上の制御部を含む場合がある。制御部111は、ノブ、スイッチ、レバー、ボタン、スライド、または他の制御部を含む場合があり、シャフト105の遠位部分を操縦すること;図示しないが図5に関して下で説明するなどの、制御ロッドを前進および/または後退させるなどによって、拡張可能な組立体130の拡張および/または収縮を制御すること;拡張可能な組立体130に動作可能に取り付けられた制御ロッドを前進または後退させるなどによって、拡張可能な組立体130の形状を制御すること;拡張可能な組立体130の1つ以上の部品に電力を供給するなどのために電気的な接続を閉じるおよび/または開くこと;プロセスを開始、そうでなければ、電子モジュール200にコマンドもしくは他のユーザアクチベーテッド信号を送信すること;および、これらの組み合わせ、からなる群から選択された機能を実行するように構成される。
【0106】
拡張可能な組立体130は、複数の可撓性アームまたはスプライン、すなわち、図示のようなスプライン131a~c(単一でまたはまとめて、スプライン131)を含む構造を含む場合がある。実施形態によっては、拡張可能な組立体130は、2から10のスプライン131、例えば、6つのスプライン131を含む場合がある。図1の実施形態では、3つのスプライン131a~cは、カテーテル100の中心軸の周りに均等に隔置されている(すなわち、拡張可能な組立体130が拡張状態に展開しているときの各スプライン間の120度の開き)。他の実施形態では、スプライン131は、均等な開きがそれぞれ180度、90度、60度、45度、および/または30度である2、4、8、または12のスプライン131などの均等または非均等に隔置される場合がある。実施形態によっては、拡張可能な組立体130は、バルーン、半径方向に展開可能なアーム、および/または拡張可能かつ圧縮可能な構造を含む場合がある。
【0107】
拡張可能な組立体130は、電気部品の複数の「ペア」、例えば、電極132と超音波要素すなわち変換器133を含む少なくとも1つのペアを更に含む場合がある。各電極132は、心臓の表面上にまたは心腔内部の場所に存在する電圧などの電圧を記録するように構成される場合がある。各超音波変換器133は、心臓の少なくとも一部分または患者の他の解剖学的場所の組織の解剖学的画像を作成するなどのために、超音波信号を送信および/または受信するように構成される場合がある。電極132および超音波変換器133は、円形、三角形、矩形、六角形、台形、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択された形状などの、異なった形状を含むことがある。実施形態によっては、第1の電極132は、第2の電極132と異なった形状を有する。実施形態によっては、第1の超音波変換器133は、第2の超音波変換器133と異なった形状を有する。実施形態によっては、1つ以上の超音波変換器133の個々は、単一の要素または要素のアレイ(例えば、超音波要素のマイクロアレイ)、例えば、フェーズドアレイとして(例えば、超音波エネルギーの操縦および/または焦点合わせを可能にするために)構成される超音波要素のアレイ、を含む。実施形態によっては、1つ以上の超音波変換器133は、バルクセラミック(厚みモードまたは球形)、圧電(pMUT)や容量性(cMUT)などの微細加工した超音波変換器(MUT)、PVDFなどの薄膜、せん断波、およびこれらのうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択された要素を含む。
【0108】
各関連付けられたペアの電極132および超音波変換器133は、下で説明する通信経路134(例えば、ワイヤ)などの単一の導体(例えば、ワイヤまたは他の通信および/または電力送達のコンジット)を共有する場合がある。実施形態によっては、複数のペアの電極132および超音波変換器133は、下でも説明しているように、単一の導体すなわち通信経路135(例えば、ワイヤ)を集団で共有する場合がある。
【0109】
図1の実施形態は、各スプライン131a~c当たり3つの電極/変換器ペア(すなわち、拡張可能な組立体130について9つのペア)を示しており、各ペアは、電極132および超音波変換器133を含む。スプライン131aは、3つの電極/超音波ペア132i/133i~132iii/133iiiを含む。スプライン131bは、3つの電極/超音波ペア132iv/133iv~132vi/133viを含む。スプライン131cは、3つの電極/超音波ペア132vii/133vii~132ix/133ixを含む。各電極/超音波ペア132/133は、スプライン131が印刷回路(例えば、可撓性印刷回路)を含むときなどに、電気的に、そうでなければ、動作可能に、接続点136に通信経路134を介して接続され、通信経路134は、本出願人の同時係属中の、2015年7月23日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の米国特許出願シリアル番号第14/762,944号(その内容を本願に引用して援用する)に関して説明されているなどのように、印刷回路上のトレースを含む場合がある。図1に示す実施形態などの様々な実施形態では、1つ以上の電極/超音波ペア132/133は、電気的に、そうでなければ、動作可能に、接続点136に接続される共通のグランドとして構成されるトレースなどの共通の通信経路135を共有する場合がある。
【0110】
図示した実施形態では、通信経路134は、電極132iなどの電極132に接続され、電極132iは、超音波変換器133iなどのペアにされた超音波変換器133の正端子に接続される。超音波変換器133iの負端子は、共通の通信経路135に接続される。実施形態によっては、2つ以上の電極/超音波ペア132/133は、共通の通信経路135を共有する場合がある。実施形態によっては、各スプライン131は、個々が4つ電極/超音波ペア132/133によって共有される、2つの共通の通信経路134を含む、8つの電極/超音波ペア132/133を含むスプラインなどの2つ以上の共通の通信経路135を含む場合がある。
【0111】
コンジット106などの、1つ以上の電気的、光学的、または電気光学的ワイヤまたはケーブル(例えば、同軸ワイヤ)を含むコンジットは、1つ以上の電極/超音波ペア132/133などの拡張可能な組立体130の1つ以上の部品と、カテーテル100のハンドル110と、の間の通信経路を提供する場合がある。コンジット106は、コネクタ116でハンドルの中で終端する。コネクタ116は、ジャック、プラグ、ターミナル、ポート、あるいは他のカスタムまたは標準の電気的、光学的、もしくは電気光学的コネクタを含む場合がある。コンジット106は、ハンドル110から遠位方向に、シャフト105の1つ以上のルーメンを通って延びて、1つ以上の接続点136で終端する場合がある。実施形態によっては、コンジット106は、コンジット106が電極/超音波ペア132/133毎に1つの同軸ケーブルを含むときなどに、シャフト105の内部の複数のルーメンを通って延びるように構成された複数の同軸ケーブルを含む場合があり、同軸シールドは、共通の通信経路(例えば、グランドワイヤ)を提供するように構築および配置される。2つ以上の同軸ケーブルは、共通チャネルを作成するためにリンク接続される4つまたは8つの同軸ケーブルなどの共通の通信経路を共有するように接合される場合がある。実施形態によっては、同軸ケーブルは、42AWGや46AWGなどの、36AWGより大きいゲージを含んで使用される場合があり、50Ωより小さいかまたは等しい公称インピーダンスと、1kHzでほぼ110pF/mのキャパシタンスとを含む場合がある。
【0112】
電子モジュール200は、1つ以上のコネクタ216を含み、個々が、ジャック、プラグ、ターミナル、ポート、あるいは他のカスタムまたは標準の電気的、光学的、もしくは電気光学的コネクタを含む。システム10は、電気的、光学的、および/または電気光学的にカテーテル100を電子モジュール200にコネクタ116、216を介して接続するように構成されたケーブル206などのケーブルまたは他のコンジットを含む場合がある。実施形態によっては、電子モジュール200は、(例えば、衝撃や他の望ましくない電気的エネルギーの患者Pへの望ましくない送達を回避するために)電子モジュールの1つ以上の部品を患者Pから電気的に分離するように構成された患者分離回路201を含む場合がある。分離回路201は、電子モジュール200に一体化される場合があり、および/または、切り離した離散型の部品(例えば、セパレートハウジング)を含む場合がある。
【0113】
システム10は、患者の皮膚に取り付けるように構成された、例えば、パッチ電極などの1つ以上の表面電極225を更に含む場合がある。表面電極225は、電子モジュール200に、コンジット226と呼ぶ1つ以上の電気的、光学的または他のコンジットを介して、電気的に接続される。表面電極は、表面電極225が電気信号を送信して、本明細書で説明するような局所化手順で使用される電界などの1つ以上の電界を患者Pの内部に生成するときなどに、患者Pへの信号および/または患者Pからの信号を伝送および/または記録するように構築および配置される場合がある。実施形態によっては、システム10は、診断カテーテル100を用いて記録された情報に基づいて1つ以上の画像を生成するように、また、心臓または他の電気的活動(例えば、電圧情報、双極子情報および/または表面電荷情報)を1つ以上の画像と相関させるように、構成される場合がある。代替的または追加的に、システム10は、心臓または他の電気的活動を、撮像デバイス80を用いて作成される1つ以上の画像と相関させるように、構成される場合がある。
【0114】
電子モジュール200は、電極トランシーバ回路210、超音波トランシーバ回路220、および、ユーザインターフェースサブシステム230を含む。電極トランシーバ回路(ETC)210は、電極132から記録されたデータに基づいて1つ以上の計算を実行するように構成されたコンピュータプロセッサなどのプロセッサ;電極132から記録された1つ以上のデータセットをフィルタ濾過するように構成された1つ以上のフィルタなどの少なくとも1つのフィルタ;下で説明するような局所化フィールドを作成するために使用される信号を生成するように構成された信号発生器211などの少なくとも1つの信号発生器;電極132から記録されたデータを記憶するように構成されたメモリモジュールなどの少なくとも1つのメモリモジュール;およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択された1つ以上の部品を含む。
【0115】
超音波トランシーバ回路(UTC)220は、超音波変換器133から記録されたデータに基づいて1つ以上の計算を実行するように構成されたコンピュータプロセッサなどのプロセッサ;変換器133から記録された1つ以上のデータセットをフィルタ濾過するように構成された1つ以上のフィルタなどの少なくとも1つのフィルタ;超音波信号が下で説明するように作成されるように、変換器133を駆動するために使用される信号を生成するように構成された信号発生器221などの少なくとも1つの信号発生器;変換器133から記録されたデータを記憶するように構成されたメモリモジュールなどの少なくとも1つのメモリモジュール;およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択された1つ以上の部品を含む。しかしながら、実施形態によっては、ETC210およびUTC220は、1つ以上のプロセッサおよび/または1つ以上のメモリモジュールを共有するなど、部品を共有する場合がある。
【0116】
ユーザインターフェースサブシステム230は、キーボード、マウス、1つ以上のボタンもしくはスイッチ、モニタ、タッチスクリーン、スピーカ、マイクロホン、フットペダル、プリンタ、トランスミッタ、レシーバ、およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択された1つ以上の部品などの、1つ以上のユーザ入力部品および/またはユーザ出力部品を含む場合がある。ユーザインターフェースサブシステム230は、ユーザ入力がシステム10の動作に関連する1つ以上のパラメータを設定するなどを可能にするように構成される場合がある。ユーザインターフェースサブシステムは、電気的心臓活動情報(例えば、双極子密度、表面電荷密度、および/または、電極132から測定および記録された電圧情報などの電圧情報、ならびに/あるいは、電極132から記録されたデータから計算された双極子密度情報または表面電荷密度情報);電極132および/またはシステム10の他の電極から記録されたデータから計算されたデータなどのデバイス局所化(位置)データ;超音波変換器133によって提供される信号から計算されたジオメトリデータなどの心臓ジオメトリデータ;撮像デバイス80から記録された1つ以上の画像、および/または、ETC210および/またはUTC220による1つ以上の計算値のテキストまたはグラフィック描写などの、(例えば、超音波変換器133によって提供されたデータから)電子モジュール200によって生成された1つ以上の画像、などの1つ以上の画像;およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択された情報などの情報をユーザに表示するように更に構成される場合がある。
【0117】
実施形態によっては、システム10は、本出願人の、2012年8月31日に出願された「Device and Method for the Geometric Determination of Electrical Dipole Densities on the Cardiac Wall」という名称の米国特許第8,512,255号(その内容を本願に引用して援用する)に説明されたシステムなどの、心腔の壁上の双極子密度の分布と相関する双極子密度マップ、および/または、心腔の壁上の表面電荷密度の分布と相関する表面電荷密度マップ、を決定するように構築および配置されるシステムを含む場合がある。代替的または追加的に、システム10は、電圧マップ、あるいは、カテーテル100によって記録および/または電子モジュール200によって計算される電気的または解剖学的情報の他の診断データセット、を決定するように構築および配置されるシステムを含む場合がある。
【0118】
電極132は、心臓の電気的活動を代表する生体電位(電圧)などによって、心腔の電気的活動を記録するように構成される場合がある。電極132は、表面電極225によって生成される局所化フィールドなどの電界によって生じる電圧を記録することを含む局所化プロセスを実行するように更に構成される場合がある。電子モジュール200および超音波変換器133は、超音波ベースの距離測定を実行するように構成される場合があり、1つ以上の超音波変換器133から超音波信号を伝送すること、および、同様または同様でない超音波変換器133に送信された信号の少なくとも第1の反射を記録させることを含む。
【0119】
ETC210は、電極132によって記録されたデータを処理するように構成される場合があり、個々の電極132の場所;(記録された局所化データを処理することによる)拡張可能な組立体130およびそのそれぞれの部品の場所、最新ジオメトリおよび/または向き;心腔の内部に存在する1つ以上の追加の部品もしくはデバイスの場所;記録された生体電位データを処理することによる、心腔の壁上の双極子密度または表面電荷密度あるいは電圧などの心腔の電気的活動;およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択された情報を作成する。
【0120】
UTC220は、超音波変換器133からの記録済み超音波反射データを処理するように構成される場合があり、変換器133から心腔の第1の表面までの距離;超音波変換器133から心腔の第2の表面までの距離;心腔の第1の表面から心腔の第2の表面の間の距離(例えば、心腔の心内膜表面から心外膜表面の間の距離を含む心臓壁厚さ);肺静脈(例えば、肺静脈口)などの1つ以上の解剖学的特徴部の場所;心臓弁の場所;他の解剖学的ジオメトリ情報;組織速度;組織密度;変換器133からシステム10の他の部品の表面までの距離;およびこれらの組み合わせ、からなる群から選択される情報を作成する。
【0121】
実施形態によっては、電極132/超音波変換器133ペアの単一の部品(例えば、単一の電極132または単一の超音波変換器133)は、ある時刻に「活動化」される(例えば、電子モジュール200によって信号が提供されるまたは電子モジュール200によって記録されたその信号を有する)。例えば、超音波変換器133の活動化期間の間(例えば、リングすること、リングダウンすること、および/または、記録すること、を含む)、そのペアにされた電極132の記録することおよび/または駆動することは、無効にされる(例えば、実行されないかまたは無視される)場合がある。代替的に、電極132の活動化(例えば、駆動することおよび/または記録すること)の間、ペアにされた超音波変換器133の駆動することまたは記録することは、無効にされる(例えば、実行されないかまたは無視される)場合がある。接続されたペアの電極132または超音波変換器133のどちらかの分離または活動化は、(例えば、表面電極によって提供される)局所化駆動信号に干渉する超音波変換器133駆動信号および/または電極132によって記録された生体電位信号によって生じる場合のある問題を回避することができる。実施形態によっては、1つ以上の記録された信号は、フィルタ濾過され、超音波処理および生体電位処理の同時の動作を可能にする。実施形態によっては、システム10は、下で図2に関して説明したプロセス500などの、生体電位測定を連続して実行することならびに局所化プロセスおよび超音波測定プロセスを交互に配置することを含む標準的な診断モードを含む場合がある。超音波信号は、生体電位信号に干渉する場合がある、および/または、生体電位信号は、局所化信号に干渉する場合がある。実施形態によっては、1つ以上のプロセス(局所化、超音波、および生体電位測定)は、1つ以上の他のプロセスと交互に配置される場合があり、したがって、別々のプロセス(またはプロセスの組み合わせ)は、別個のプロセス(またはプロセスの組み合わせ)との干渉を生じさせない。
【0122】
下で図2に説明するような診断モードなどの動作モードの間、変換器133の活動化期間は、ペアの電極132についての「ブランク(blanked)」期間を生じさせ、生体電位測定の一時的な「盲点」を生じさせる。下で図4に関して説明するように、変換器133のシーケンスが実行される場合があり、したがって、一時的な「盲点」は、隣接するのやそうでない近位のペア132/133を逐次的に活動化させることによって、拡大することがない。
【0123】
実施形態によっては、シーケンスは、次のように実行される。超音波測定プロセスの間、全ての電極132は、生体電位信号を能動的に記録することができる。第1の変換器133iは、図4に関して下で説明するように、活動化される場合があり、ペアにされた電極132iの「ブランキング(blanking)」を生じさせる。変換器133iの活動化に続いて、変換器133vが活動化される場合があり、それに133ix、133ii、133vi、133viii、133iii、133iv、および133viiが続く。この実施形態では、ペアにされた電極132の「ブランキング」によって作出される「盲点」は、同一のパターンに従い、拡張可能な組立体130の周りを非逐次的に動いて、作出された盲点のおかげで任意の電位データの完全性の低下が最小化される。
【0124】
実施形態によっては、システム10は、図1に個々が示されたように、イントロデューサ50のセンサ59、診断カテーテル100のセンサ(例えば、ハンドル110のセンサ119またはアレイ130のセンサ139)、電子モジュール200のセンサ209、および/または、撮像デバイス80のセンサ89、などの個々が信号を作成するように構成された1つ以上のセンサを含む場合がある。実施形態によっては、システム10は、2つ以上のセンサ59、119、139、209および/または89を含む。実施形態によっては、センサ59、119、139、209および/または89は、力センサ;圧力センサ;歪みゲージ;光センサ;撮像センサ(例えば、レンズまたは光ファイバ);超音波センサなどの音響センサ;ホール効果センサ;pHセンサ;磁気センサ;温度センサ;および、これらのうちの1つ以上の組み合わせ、からなる群から選択されるセンサを含む。実施形態によっては、センサ59および/または139は、血圧センサ;血液ガスセンサ;温度センサ;血糖値センサ;pHセンサ;呼吸センサ;平均凝固時間(ACT)センサ;および、これらのうちの1つ以上の組み合わせ、からなる群から選択されるセンサなどの患者生理学的センサを含む。実施形態によっては、システム10は、1つ、2つまたはそれ以上のセンサ59、119、139、209および/または89によって作成される信号を分析するように構成される。実施形態によっては、システム10(例えば、電子モジュール200および/またはETC210のアルゴリズム)は、電圧データ、双極子密度データ、表面電荷データ、および/または、解剖学的データ(例えば、1つ以上の超音波変換器133によって収集される解剖学的データ)と組み合わせて、1つ、2つまたはそれ以上のセンサ59、119、139、209および/または89によって作成される1つ以上の信号の分析を実行するように構成される。実施形態によっては、1つ以上のセンサ59、119、139、209および/または89からの信号は、システム10によって使用されて、システム10によって表示される解剖学的画像を改善すること;システム10によって表示される心臓情報(例えば、双極子密度および/または表面電荷情報)を改善すること;システム10の故障を検出すること;患者の生理的データを提供すること;および、これらのうちの1つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される機能を実行する。実施形態によっては、1つ以上のセンサ59、119、139、209および/または89は、加熱要素;冷却要素;振動要素;薬剤または他の薬品の送達要素;磁界生成要素;光送達要素;(レンズ、および/または光ファイバなどの)撮像要素;および、これらのうちの1つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される変換器などの、(例えば、センサであることの代わりとしてまたはセンサであることに加えて)変換器を含む場合がある。
【0125】
図2を参照すると、提供されるのは、診断評価を実行する方法の実施形態であり、それは本発明の概念と一致する。実施形態によっては、図2のプロセス500は、上で説明した図1のシステム10を用いて成し遂げられる。ステップ510で、診断カテーテル100は、患者Pの心腔の中に挿入される。更なるプロセスは、1つ以上の表面電極225を患者に適用すること、上で説明した撮像デバイス80などの1つ以上の代わりの撮像デバイスを準備すること、心臓投薬や抗凝血剤などの1つ以上の薬剤または他の薬品を患者に送達すること、使用するためにETC210を準備すること、および、これらのうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択されるプロセスなどの診断手順のために患者を準備処置する目的で実行される場合がある。
【0126】
ステップ520で、システム10は、診断モードに置かれる。診断モードは、心腔の解剖学的な形状および/または構成に相関する1つ以上の画像またはセットの情報、ならびに/あるいは、心臓アブレーション手順より前および/またはその間に集められるマッピング情報などの心腔の電気的活動、を作成するように構成される場合がある。診断モードは、本明細書で説明するように、繰り返して、一斉に、または特定のパターンで、実行されるステップ530、540、および550を含む場合がある。
【0127】
ステップ530で、システム10は、「Method and Device for Determining and Presenting Surface Charge and Dipole Densities on Cardiac Walls」という名称の米国特許第8,417,313号(本願に引用して援用する)に説明などされている、心臓の電気的活動に相関する情報に基づいて、双極子、表面電荷および/または他の電圧もしくは電荷を決定する生体電位データの分析を実行する。電極132は、電子モジュール200のETC210にコンジット106およびケーブル206を介して電気的に接続されている。ETC210は、電極132から記録されるデータに基づいて双極子密度および/または表面電荷を決定するための1つ以上のアルゴリズムを含む場合がある。ETC210は、1つ以上のフィルタ(例えば、ハードウエアフィルタまたはソフトウエアフィルタ)を更に含む場合があり、フィルタは、生体電位信号を通過(例えば、著しくないフィルタ濾過)させるが、他の信号、具体的には、心臓の腔内部、そうでなければ患者の内部に存在する超音波および/または局所化信号をフィルタ濾過するように構成される。実施形態によっては、ステップ530のプロセスは、システム10が診断モードのままである間において連続してなどと、ステップ540および550の完了および/または反復の間に連続して実行される場合がある。
【0128】
ステップ540で、図3を参照して下で説明する局所化プロセスなどの局所化プロセスが実行される。
【0129】
ステップ550で、超音波測定プロセスは、図4に関して下で説明する超音波測定プロセスなどが実行される。
【0130】
ステップ560で、システム10が診断モードのままである場合、ステップ530、540、および550は、繰り返される。実施形態によっては、ステップ530が、システム10が診断モードのままである間、連続して実行されるときなどに、ステップ540および550は、システム10が診断モードのままである間、連続して繰り返される。実施形態によっては、ステップ540は、単一のステップ550についてよりも長い間、またはその複数倍、実行される場合がある。実施形態によっては、ステップ550は、単一のステップ540についてよりも長い間、またはその複数倍、実行される場合がある。
【0131】
システム10は、診断手順が実行されていないがカテーテル100が患者Pに挿入されたままであるときのモードなどのホールドモード;システム10がエラーを検出して診断手順および/または他の手順が休止しているときのモードなどのアラートモード;システム10が診断または処置の手順の最後に患者Pから取り外されるべきなどの非活動化されるときのモードなどのシャットダウン/完了モード;からなる群から選択されるモードなどの代替モードに置かれる場合がある。ステップ560で、システム10がもはや診断モードでないと決定されるとき、プロセス500は、ステップ570に入る。ステップ570で、全ての診断手順は、停止する。
【0132】
実施形態によっては、システム10は、心臓の解剖学的構造のモデルを作成するために局所化情報および超音波情報を集めるなどのために、ステップ540とステップ550を交互に行う場合がある。その後に、ステップ530およびステップ540は、心臓の電気的活動をマッピングするなどのために、交互にまたは一斉に実行される場合があり、したがって、システム10は、既に集めたモデル化済み解剖学的構造に対するマッピング済み電気的活動を登録する場合がある。実施形態によっては、システム10は、解剖学的構造のモデルを更新するために、ステップ540とステップ550を再度交互に行う場合がある。
【0133】
図3を参照すると、提供されるのは、局所化プロセスを実行する方法の実施形態であり、それは本発明の概念と一致する。実施形態によっては、図3のプロセス600は、上で説明した図1のシステム10を用いて成し遂げられる。ステップ610で、システム10は、局所化プロセスを始める。実施形態によっては、このプロセスは、図4を参照して下で説明するように超音波測定プロセスと交互に配置される場合がある。
【0134】
ステップ620で、信号発生器211は、患者Pに1つ以上の表面電極225を通してコンジット226を介して伝送される1つ以上の局所化信号を生成する。表面電極225は、3軸局所化システムを提供するように構成された3つのペアの電極225などの1つ以上のペアの電極225を含む場合がある。例えば、3軸局所化構成では、ペアの表面電極225は、患者Pの上に配置される場合がある、すなわち、第1のペアは、患者Pの胸部および背部上に配置されて第1のX軸を画定し、第2のペアは、患者Pの側部上に配置されて第2のY軸を画定し、第3のペアは、患者Pの首部もしくは肩部および腿部上に配置されて第3のZ軸を画定する。代替的に、第1のペアの電極は、患者の側部上に側方に配置されて第1の軸を画定する場合があり、第2のペアの電極は、患者の上側胸部および下側背部上に配置されて第2の軸を画定する場合があり、第3のペアの電極は、患者の上側背部および下側胸部上に配置されて第3の軸を画定する場合がある。実施形態によっては、信号発生器211は、3つ以上の軸(例えば、上で説明した各軸X、Y、およびZ)を駆動するなどのために、個々が固有の周波数である、3つ以上の異なった周波数を生成する。3つ以上の軸は、相互に直交する2つ以上の軸を含む場合がある。代替的または追加的に、信号発生器211は、位相または他の測定可能な特性において異なっている3つの信号を生成する場合があり、したがって、各信号(軸)は、フィルタ濾過を介して決定されて下で説明するように複数軸の局所化を実行する場合がある。実施形態によっては、各軸は、個別に(例えば、1度に1つ)給電され、単一軸の局所化は、1つ以上の所望の軸間で交互に配置される場合がある。プロセス600の実施形態では、ステップ620は、プロセス600の全体にわたって、または、診断手順の全体にわたって、連続して実行される場合がある(例えば、局所化信号は、診断手順の全体にわたって連続して駆動される)。
【0135】
ステップ630で、ETC210は、一斉にまたは逐次的に各電極132からなど、1つ以上の電極132から収集したデータを記録する。ステップ640で、記録されたデータは、1つ以上の直列フィルタおよび/または1つ以上の並列フィルタなどにより、1つ以上の回数、フィルタ濾過される場合がある。1つの実施形態では、記録されたデータは、最初はフィルタ濾過され、10から100kHzの間などの1から100kHzの間の周波数を含む信号などの、発生器211によって生成される局所化信号に相関している信号を分離する場合がある。フィルタ濾過されたデータは、その後に、単一の軸に関連する周波数範囲などの単一の周波数範囲を分離するように個々が構成された複数(例えば3つ)の並列フィルタによってスプリットおよびフィルタ濾過される場合がある。
【0136】
ステップ650で、3セットの個別にフィルタ濾過されたデータは、3次元座標系における患者Pに対する各電極132の場所を決定するなどのために、例えば、局所化アルゴリズムによって分析される場合がある。実施形態によっては、局所化プロセス600は、2つ、3つ、または4つの軸などのより多いまたはより少ない軸の使用を含む場合がある。追加的または代替的に局所化プロセス600は、同心の表面電極225の使用を含む場合がある。局所化プロセス600は、ETC210の内部の複数のフィルタ、および/または、複数の軸とデータのフィルタ濾過の複数のレベルとに対応している複数のデータ経路などの、複数のデータ経路、を含む場合がある。
【0137】
ステップ660で、システム10が局所化プロセスのままである場合、ステップ620~650は、繰り返される。実施形態によっては、システム10は、例えば、局所化プロセス600が超音波測定プロセスと交互に配置され、各プロセスが同様または同様でない量の時間の間に実行されるとき、ほぼ10msなどの50μsから0.5μsの間などの1μsから1sの間の期間について局所化プロセスのままである場合がある。ステップ660で、システム10がもはや診断モードでないと決定されるとき、プロセス600は、ステップ670に入る。ステップ670で、局所化プロセス600は、停止する。
【0138】
図4を参照すると、提供されるのは、超音波測定プロセスを実行する方法であり、それは本発明の概念と一致する。実施形態によっては、図4のプロセス700は、上で説明した図1のシステム10を用いて成し遂げられる。ステップ710で、システム10は、超音波測定プロセスを始める。実施形態によっては、このプロセスは、上で図3に関して説明したように局所化プロセスと交互に配置される場合がある。
【0139】
ステップ720で、UTC220は、第1の変換器133(133FIRSTと呼ぶ場合がある)を、下で図6に関して説明などするように、第1の変換器133FIRSTを発生器221および/またはUTC220の他の電気部品に電気的に接続している1つ以上のスイッチを、例えば、閉じることによって、「活動化」させる。実施形態によっては、1つ以上のスイッチは、ほぼ0.01μsまたはほぼ500μsの活動化時間を有するオプトカプラなどのオプトカプラを含む場合がある。発生器221は、変換器133を「リング」させ、振動させ、および/または、そうでなければ、変換器133に超音波パルスを生成させるように構成されたパルス状の「駆動信号」を生成するように構成される場合がある。駆動信号は、ほぼ10MHzの周波数を少なくとも有する駆動信号などの、1MHzから25MHzの間の1つ以上の周波数を有する信号を含む場合がある。駆動信号は、ほぼ0.1μsまたは2.0μsのパルス幅などの、0.1μsから10μsの間のパルス幅を含む信号を更に含む場合がある。
【0140】
実施形態によっては、図1のペアにされた電極/変換器の実施形態などのように、変換器133の活動化は、そのペアにされた電極132の非活動化を生じさせる。変換器133の活動化期間の間、ETC210は、ペアにされた電極132によって受信された電気信号を記録せず、一時的な「盲点」を生じさせる。下で説明するように、変換器133の非逐次的なシーケンスは、活動化される場合があり、したがって、電気的な記録の一時的な「盲点」は、隣接するペア132/133を逐次的に活動化させることによって、広がらない。
【0141】
ステップ730で、第1の変換器133FIRSTは、活動化されたままであるが、もはや発生器221によって駆動されてはいない。変換器133は、第1の変換器133FIRSTの全ての被駆動信号が終止するのを可能にすると共に第1の変換器133FIRSTの内部の任意の残余の振動が消散するのを可能にするなどのために、「リングダウンする」(または「ラングダウン」)。実施形態によっては、ステップ730は、ほぼ0.1μsの持続時間などの、0.05μsから1μsの間の持続時間を含む場合がある。
【0142】
ステップ740で、UTC220は、第1の変換器133FIRSTによって検知された任意の超音波振動を記録することおよびステップ720で生成された1つ以上の超音波パルスの反射を記録することなどによって、「聴取」するように構成される。これらの反射は、心腔の内壁;心腔の外壁;肺静脈または心臓弁などの心腔の特徴部;心腔にも挿入されたアブレーションカテーテルおよび/または第2のマッピングカテーテルなどの心腔に挿入されたデバイスの一部分;および、これらのうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択される特徴部または構造からの超音波の反射に相関する場合がある。実施形態によっては、ステップ740は、ほぼ100μsの期間などの1μsから200μsの間の期間の間、反射について「聴取」するように構成される場合がある。UTC200または電子モジュール200の他の部品は、第1の変換器133FIRSTから、心腔の内壁からの反射などの、第1の受け取った反射のソースまでの測定した距離などの距離測定を決定するように構成される場合がある。距離測定は、パルスの合計進行距離を決定するために、超音波パルスの合計「進行時間」を決定することおよび血液および/または他の組織(必要に応じて)の中での音速を用いることなどによって、当業者に普通に知られた技術を用いて、決定される場合がある。
【0143】
ステップ750で、それに続く変換器133FIRSTは、電子的に準備される場合がある。準備は、上で説明したように、変換器133NEXTを「活動化すること」を含む場合がある。ステップ750は、前の変換器133PREV、例えば、変換器133FIRSTの非活動化を更に含む場合がある。実施形態によっては、変換器133NEXTの活動化は、ほぼ50μsの持続時間などの0.01μsから500μsの間の持続時間を必要とするプロセスを含む場合がある。これらの実施形態では、変換器133NEXTの活動化は、前の変換器133PREVの非活動化と、および/または、ステップ740の一部と、交互に配置される場合があり、したがって、変換器133NEXTは、変換器133PREVが聴取する間は活動化され、および/または、非活動化される。実施形態によっては、これらのプロセスは、ほぼ100μsの期間などの0.01μsから500μsの間の期間についてオーバーラップする場合がある。実施形態によっては、変換器133の活動化プロセスのスタートから非活動化プロセスのエンドまでの持続時間は、ほぼ200μsの持続時間などの1μsから700μsの間である場合がある。
【0144】
ステップ760~780で、上でステップ720~740に関して説明したように、変換器133NEXTは、リングされ、リングダウンされ、聴取され、記録される。
【0145】
ステップ790で、全ての変換器133(または、それらの所定のサブセット)がプロセス700のスタートから活動化されていなかった場合、ステップ750~790は、繰り返される。実施形態によっては、サブセットの変換器133は、2または3サイクルが逐次的に運転されるかまたは1つ以上の他のプロセス(図3のプロセス600など)と交互に配置されるなど、プロセス700の2または3サイクルが全ての変換器133を活動化させるために必要とされるときなどに、変換器133のほぼ2分の1またはほぼ3分の1など、プロセス700につき活動化される。実施形態によっては、全ての変換器133が活動化されるサイクルなどの全サイクルは、ほぼ5,000μsの持続時間などの500μsから10,000μsの間の持続時間を含む場合がある。下で説明した図5の実施形態では、カテーテル100は、48個の変換器133を含む場合がある。各活動化期間は、ほぼ200μsの持続時間を含む場合があり、プロセス700は、ほぼ5msの持続時間を含む場合がある。
【0146】
ステップ790で、全ての変換器133(または、それらの所定のサブセット)が活動化されていた場合、プロセス700は、ステップ795を続ける。ステップ795で、測定プロセスが繰り返されるべき場合、例えば、それに続く(同様または同様でない)サブセットの変換器133が活動化されるべき場合、ステップ720~790は、繰り返される。測定プロセスが完了した場合、プロセス700は、ステップ799に入る。ステップ799で、測定プロセスは、停止する。
【0147】
図5を参照すると、提供されるのは、拡張可能な組立体130を含む診断カテーテルの実施形態の斜視図であり、それは本発明の概念と一致する。拡張可能な組立体130は、2015年7月23日に出願された「Expandable Catheter Assembly with Flexible Printed Circuit Board (PCB) Electrical Pathways」という名称の米国特許出願第14/762,944号の説明に、全部または一部、従う場合があり、それを本願に引用して援用する。図5の実施形態では、拡張可能な組立体130は、図示したように構成された複数のスプライン131を含む(すなわち、半径方向に60度で離間された6つのスプライン、各スプラインが8つの電極変換器ペア132/133を含む)。この実施形態では、変換器133は、ハウジング138を用いてスプライン131に結合されている。他の実施形態では、複数の変換器133は、別のやり方でスプライン131(例えば、2個と12個のスプライン131間の)に結合される場合がある。
【0148】
この実施形態では、アレイの変換器133および電極132は、拡張可能な組立体130の拡張状態で示されているように、スプライン131を横切って実質上均等に分配される。スプライン131の近位端(シャフト105直近)は、シャフト105の中および/または内部の場所あるいはシャフト105と内側の並進可能(すなわち、前進可能および後退可能)なシャフトすなわち制御ロッド107との間などの、シャフト105の遠位部分に取り付けられる。制御ロッド107は、示したようなルーメン108などの1つ以上のコンジットおよび/または通路を含む場合がある。ルーメン108は、ガイドワイヤを摺動式に受容するようにルーメン108が寸法決めされるときなど、カテーテル100がガイドワイヤに挿入できるように構成される場合があり、ルーメン108は、ルーメン108がカテーテル100のハンドル110から出るときなど、カテーテル100の近位部分に続く。追加的または代替的に、ルーメン108は、アブレーションカテーテル;マッピングカテーテル;クライオアブレーションカテーテル;チップアブレーションカテーテル;診断カテーテル;および、これらのうちの2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択されるデバイスなどの1つ以上のデバイスを摺動式に受容するように寸法決めされる場合がある。実施形態によっては、診断または他の手順の間に1つ以上の薬剤または他の薬品の送達を可能にするように構成される場合がある。
【0149】
実施形態によっては、電極132は、スプライン131の内側に位置決めされる場合がある。代替的または追加的に、電極132は、スプライン131の内側に位置決めされた幾つかの電極と、スプライン131の外側に位置決めされた幾つかの電極と、を含む場合がある。代替的または追加的に、電極132は、対向する表面がバスケットの内側および外側の双方に面する両面型の電極である場合があり、あるいは、電極132は、各スプライン131をそれぞれ取り囲むリング形状の電極を含む場合がある。
【0150】
示したように、スプライン131の遠位端は、制御ロッド107の遠位端に接続される。制御ロッド107は、前進および後退される場合があり、拡張可能な組立体130をそれぞれ圧縮、拡張させる。制御ロッド107は、図1のハンドル110上の制御部111などの近位ハンドル上の制御部を介して前進および後退される場合がある。実施形態によっては、制御ロッド107は、結果として少なくとも最遠位の変換器133が図5Aに示すように前方に面する方向に整列するように、スプライン131の遠位部分を反転させるためなどの、拡張可能な組立体130を変形させるなどのため、拡張可能な組立体130の自然な拡張した位置(図5の例によって示されるような)に相関する位置から後退する場合がある。この構成では、前方に面する変換器133は、変換器のアレイとして使用される場合があり、Bモードスキャン、あるいは、当分野で公知の他の超音波スキャニング方法を実行する。
【0151】
本明細書で説明するように、48個の電極/変換器ペア132/133を含む図5の拡張可能な組立体130は、生体電位測定、局所化測定、および/または、超音波距離測定を実行するために使用される場合がある。上で説明した図4のプロセス700などの超音波測定プロセスの間、図5の拡張可能な組立体130の変換器133は、図6に関して下で説明するようにシーケンス処理される場合がある。
【0152】
図6を参照すると、6つのスプライン上に配設された48個の超音波変換器(1スプライン当たり8個)のアレイの活動化シーケンスの描写が図解されており、それは本発明の概念と一致する。図6は、活動化シーケンスの特定の図であり、上の図5の拡張可能な組立体130などの拡張可能な組立体上の特定の数のスプラインを横切って実質上均等に隔置された特定の数の変換器を描写している。代替的に、拡張可能な組立体130は、異なった数の変換器および/またはスプラインを有する場合があり、変換器活動化の同様または同様でない非逐次的シーケンスは、実行される場合がある。
【0153】
図6の実施形態では、変換器1~8は、6つスプラインの個々を横切って最遠位の変換器(1)から最近位の変換器(8)を示す。中実のボックスで示された各活動化期間は、活動化の期間と、本明細書で説明したような、ペアにされた電極の非活動化またはブランキングと、を示す。示したパターンは、相互の2つまたは3つの「隣り合う空間」の内部の2つの変換器の逐次的な活動化を回避するパターンなどの2つの隣り合う変換器の逐次的な活動化を回避するパターンを示す。隣り合う空間は、単一のスプライン上の空間、スプライン1の変換器1およびスプライン2の変換器1などのスプラインを横切る空間、および/または、スプライン1の変換器1およびスプライン2の変換器2などのスプラインを斜めに横切る空間、と認められる場合がある。示したパターンは、単一のスプラインから2つの変換器の逐次的な活動化を回避するパターンも示す。
【0154】
図7は、例えば、本発明の概念による、本明細書で説明するように診断カテーテルと共に使用される場合のあるユーザインターフェース(UI)システム230の実施形態のブロック図を提供する。
【0155】
UIシステム230は、表示エリア240を含み、それは1つ以上の窓、スクリーン、および/またはモニタを含む場合があり、その上には情報が、例えば、2D表示や3D表示として、表現/表示される場合がある。表示エリア240の窓は、図7で示されているように配置することも相関的に寸法付けすることも必要もない。そして、表示窓240に示された全ての窓が、含められなければならないわけではない。図7の描写は、図解的な実施形態を代表しているが、本発明の概念によるUIシステムは、示された特定の実施形態に限定されない。
【0156】
3D表示窓242は、心臓または心腔などの3次元(3D)空間のグラフィックの要素を示すために、含められる場合がある。3D表示窓242に表現される画像および情報は、例えば、メインアプリケーション窓250の中で行われるタスクに基づいて実行されるユーザタスクに基づいて変化する場合がある。3D表示窓242は、実施形態によっては、メインアプリケーション窓250の範囲内に存在する場合もある。3D表示窓242は、ユーザ対話型になる場合があり、ユーザのそれとの相互作用に応答して変化する場合がある。
【0157】
2次元(2D)表示窓244は、2次元空間のグラフィックの要素を示すために、含められる場合がある。2D表示窓244に表現される画像および情報は、例えば、メインアプリケーション窓250の中で行われるタスクに基づいて実行されるユーザタスクに基づいて変化する場合がある。2D表示窓244は、実施形態によっては、メインアプリケーション窓250の範囲内に存在する場合もある。2D表示窓244は、ユーザ対話型になる場合があり、ユーザのそれとの相互作用に応答して変化する。
【0158】
メインアプリケーション窓250は、3Dマップを作出するために主要なワークフローインターフェースを含む場合がある。取得窓252は、ツール、例えば、生体電位信号、局所化信号、および/または超音波信号を見て記録するのに必要であるユーザインターフェースツール、を提供する。取得窓252の1つのツールは、超音波および局所化データが、結合されて、腔の解剖学的構造を再建(すなわち、腔の解剖学的構造を代表する表面のデジタルモデルを建造)するのを可能にする。この解剖学的構造の描写は、表面建造窓254に表示される場合がある。追加的に、(例えば、患者および/または代理人の)既に再建した腔の解剖学的構造は、ファイル、データベース、またはメモリなどの1つ以上のデータ倉庫からローディングされて、ライブデータと共に使用され得るように表面建造窓254に表示される場合がある。構成のセッティングは、腔の再建をライブデータに対して適切にレジスタ/配向するために、この窓254から利用可能である。
【0159】
波形処理窓256は、記録済みデータがレビュー、フィルタ濾過、および/または分析できるように、設けられて使用される場合がある。ユーザは、マッピングされるべきデータの時間セグメントを識別するためにこれらのツールを使用することができる。セグメントは、1つのサンプルの長さから完全に記録されたデータ長さまでである場合がある。セグメントの選択は、マッピングアルゴリズムに対する、時間サンプルずつの、直接の通過データの形式を取る場合もあり、したがって、マップは、手動のセグメント選択なしで、「オンザフライ」(例えば、リアルタイムまたはほぼリアルタイム、あるいは擬似リアルタイム、ここでは「リアルタイム」)で作成される。処理されている波形は、2D処理窓244に、例えば、電気記録図(EGM)または心電図(ECGまたはEKG)の形式で、示される場合がある。3D表示窓242は、次のもののうちの任意または全てを示す場合がある。バスケットの寸法および形状の3次元表面上にレンダリングされたバスケット電極上の電圧信号、相対的な隣接関係で電極が配向された電極信号を示す着色された地形表面(色と電圧振幅に対応する地形の「Z高さ」)、および/または、関心の腔内部のバスケット位置を示すための再建した表面に関連するバスケットの空間位置。
【0160】
マッピング窓258は、表面ソースモデルの選択を含むマッピングアルゴリズムの構成および実行を可能にするために設けられて使用される場合がある。結果得られる3Dマップは、3D表示窓242でレンダリングされる場合があり、対応する波形が2D表示窓244に示される。時間カーソルまたは窓は、表示窓間の時間インデックスを提供するために含められる場合がある。時間カーソルまたは窓は、3D窓にレンダリングされた動的に変化する表示と同期する2D窓の波形をスライドまたは横断するように構成される場合がある。
【0161】
システム構成および診断窓246は、カテーテルからのライブ信号(例えば、電子モジュール200を介して処理された)、例えば、生体電位、局所化、および/または、超音波、を示すために、設けられて使用される場合がある。この窓246は、そういったシステムまたはサブシステムの動作の検証のために使用される場合がある。
【0162】
表面編集窓248は、再建した解剖学的構造をユーザが編集して処理するのを可能にするために、設けられて使用される場合がある。設けられるツールは、セレクション(個別の頂点/多角形、楕円形、自由造形の形状、自動分離部品セレクションおよび/またはシャープな機能セレクション)、トリミング(スルーカット、フロントサーフェスカット)、スムージング、リメッシング、ホールフィリング、サブディビジョン、および、プッシュプルのツールなどのサーフェスデフォメーション、を含む場合があるが、それらに限定されない。これらのツールは、形状識別、部品識別、分離、抽出、貼付、および/または、併合、のためのツールを含む場合がある。これらのツールは、ユーザ対話型の表面を編集するツールである場合がある。これらのツールは、手動、半自動、および/または、自動で動作するように構成される場合がある。
【0163】
ユーザ入力モジュール260は、マウス、キーボード、タッチスクリーン、デジタルペン、あるいは、システムへのユーザ入力および/またはシステムの制御とそのレンダリングとを提供するために使用することのできる他のデバイス、などのヒューマンインターフェースデバイスを含む場合がある。
【0164】
図8A~8Cは、本発明の概念の態様によるユーザインターフェースシステムの出力に関する異なった図を提供する。
【0165】
図8Aを参照すると、ポイントクラウド(PointCloud)データ構造が示されており、3D表示窓242でレンダリングされる場合がある。この実施形態によれば、3D座標空間は、N側にされる極を除いて、四辺形断面を有する球面セクタに分割される。原点から同一半径での各ビンの断面は、面積が同様であるように構成される。表面点座標(Surface point coordinates)は、1つ、ただ1つのビンの中に入り、したがってオーバーラップしない。ビン寸法、例えば、範囲を定めたアジマスまたは迎角は、構造化可能(例えば、インスタンス上)である場合がある。ビン寸法(したがって、メッシュ寸法)および/または球面ビンの中心に対する表面の変位を変化させるために、現在のポイントクラウドの全ての表面点は、一括動作の所望のパラメータを有する第2のデータ構造の中に配置される場合がある。
【0166】
データ構造の表面点を代表する表面は、各ビンの全ての代表点または表面を併合させることによって表示される。1つの実施形態では、代表頂点は、表面を形成するためにビン間の相互接続するメッシュを有して描画される場合がある。点がデータ構造に追加されるので、ビンは、アップデートされるであろうし、代表表面がそれに応じてアップデートされる。点をその内部に有しないビンは、表示から隠される場合がある。
【0167】
図8Bを参照すると、ポイントクラウドビンが、心臓の3Dレンダリングを参照して図示および説明されている。各ビンに入る全てのデータ点は、ビンのための代表点(頂点)または表面(表面パッチ)を決定するために分析される。1つの実施形態では、ビンの全ての点の図心は、代表頂点として使用される。各ビンの内部のデータは、品質のために評価される場合があり、代表表面の頂点または多角形は、データの品質を示すために着色される場合がある。1つの実施形態では、データの分散または径方向距離の分散は、心臓弁、静脈、または他の径方向に配向した解剖学的な構造の検出を示す場合がある。
【0168】
図8Cを参照すると、隣り合うビンのサブセットが示されており、それらの関係が図解され、各ビンがブロックで代表されている。非多様体の相互接続するメッシュは、隣り合うビン間で計算される。ビンの向き関係は、隣り合うビン間の非多様体の相互接続するメッシュについての時間の掛かる再計算を回避するために、固定である。
【0169】
図9は、本発明の概念による心臓情報処理システム900の実施形態の機能ブロック図を提供する。
【0170】
図9から説明したシステムを用いて、ユーザは、何を計算するかおよび/または何を表示するかを選ぶことができ、例えば、ユーザは、双極子密度(DDM)、電荷密度(CDM)、または電圧(V-V)を表示することができる。この情報は、上部の3つの箱902、904、906に示された情報、例えば、電極902の位置、腔(表面)の形状および場所、および、電極906で記録された電位、に基づいて計算される。システムは、支持を行って異なった表示モード間で前後に変化するのを可能にするように構成される場合もあると共に、事後処理ツールを用いて、どのようにその情報が表示されるかを変化させることができる。
【0171】
処理は、順モデル908を選択することを含む。それに基づいて、次の3つの動作、すなわち、双極子密度マッピング(DDM)910、電荷密度マッピング(CDM)912、および/または、電圧対電圧マッピング(V-V)914、のうちの1つが実行される場合がある。双極子密度マッピング(DDM)では、心腔の内側および/または外側の電極によって測定することのできる電界は、双極子ソースの分布から生成され、双極子密度(DD)として組織化および配置された心腔の表面上の大きさおよび方向を有する。電荷密度マッピング(CDM)では、心腔の内側または外側の電極によって測定され得る電界は、電荷密度(CD)として組織化および配置された心腔の表面上の大きさだけを有するスカラ電荷ソースの分布から生成される。また、電圧対電圧マッピング(V-V)では、ソースの想定は、行われず、心腔の内側または外側の電極上の測定された電圧は、心腔表面上の電圧から伝播される(例えば、ラプラス方程式および/または電磁界理論の当業者に公知の他の方法を用いて)。
【0172】
腔表面および電極の位置が入力として表面と共に登録されるが、測定した電極上の電圧に対する心腔上のDD/CD/電圧の間の関係を符号化する変換行列は、順方向計算の出力である。
【0173】
逆計算916は、実行され、電位がマッピングカテーテルおよび変換行列(順方向計算からの出力)から入力として取得され、表面上のDD/CD/電圧は、正則化法、例えば、Tikhonovの正則化法を用いて線形システムを解くことによって得ることができる。
【0174】
表面920上のDD/CD/電圧は、逆計算916からの出力である。表面電圧は、導出されたDDM/CDM用の表面DD/CDから前進的にコンピュータ処理される場合があり、V-Vからの表面電圧は、心腔表面によって特定される変換行列を用いて、表面DD/CDを導出するために使用される場合がある。
【0175】
実施形態によっては、心臓情報処理システム900は、事後処理ツール930を含む。同じものを用いて、DD/CD/電圧は、例として、クーロンのマップ(離散ラプラシアンの適応、あるいは、DDM、CDMおよび/または電圧のマップの空間2次微分)、等時曲線マップ(活動化タイミング)、マグニチュードマップ(ピークトゥピークマグニチュードまたは負ピークマグニチュード)、抵抗マップ(活動および静止の状態)、および/または、伝播マップ(波面)、を作成するために、事後処理される場合がある。
【0176】
3D表示器242は、事後処理ツール930からの出力を表示するために使用される場合がある。すなわち、例えば、表面DD/CD電圧、ならびに、事後処理マップは、UIシステム230の表示パネル上の選択肢を選択することによってレンダリングされる場合がある。3Dマップは、異なった視野角まで回転される場合があり、カラーマップは、例えば、ユーザによって調整される場合がある。
【0177】
既に上でベストモードおよび/または他の好適な実施形態と認められるものについて説明してきたが、様々な変形を本明細書の中で行うことができること、しかも、本発明が様々な形態および実施形態で実施してもよいこと、しかも、本明細書でそのうちの幾つかを説明したに過ぎない数多くの用途に適用できることを理解されたい。以下の特許請求の範囲では、各請求項の範囲内に入る全ての変形および変化を含む、文字通り説明されていることと、その全ての均等物を権利請求することが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図5A
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9